【実施例】
【0078】
実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含められる。以下に続く実施例において開示される技術は、本発明者らによって発見された技術が本発明の実施において十分に機能することを表し、従って、その実施のために好ましい様式を構成すると見なすことができることが当業者によって認識されるはずである。しかし、当業者は、本開示に鑑みて、開示される特定の態様において多くの変更を行うことができ、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、同様のまたは類似の結果をなお得ることができることを認識するはずである。
【0079】
実施例1
新規なアルキル置換ラクチドの合成および開環重合
生体適合性および生物分解性のポリ(ラクチド)材料は、例えば、縫合糸および移植片、または薬物送達系として、最初に生物医学分野において最近30年間にわたって大きな関心を受けてきた(Penning et al., 1993; Uhrich et al., 1999)。これらはまた、環境に優しいパッケージング材料として報告および使用され(Drumright et al., 2000)、発泡剤、アパレル、カーペット、またはマットレスまで広範な領域において商業的に応用されている(Vink et al., 2003)。再生可能な資源から合成されるラクチドモノマーに基づいて、および新たな工業スケール技術によって可能にされたポリマーコストの減少のおかげで、生物分解性ポリ(ラクチド)は、他の合成ポリマーに対して大きな利点を有する。
【0080】
ポリマーの物理化学的特性(疎水性/親水性、分解性、T
gなど)を調節する能力は、それらの特定の応用に適合させる材料を得るための鍵となる点である。この状況において、新規な制御された重合可能なアルキル置換ラクチド(メチルリガンドの少なくとも1つが他のアルキル置換基によって置換されているラクチドをいう)は、これらを新規なホモポリマーとして、または新規なコポリマーとして、ラクチドおよびグリコリドと一緒に使用することによって、種々の医学的応用のための材料特性を仕立てるための興味深いアプローチであり得る。ラクチドの開環重合(ROP)は文献に広範に記載されているが(Kricheldorf et al., 1995; Hyon et al., 1997; Schwach et al., 1997; Degee et al., 1999; Ryner et al., 2001; Shirahama et al., 2002; Myers et al., 2002; Ouchi et al., 2002; Storey et al., 2002; Finne et al., 2003; Mullen et al., 2003; Mullen et al., 2003; McGuinness et al., 2003)、脂肪族誘導体の合成およびROPはほとんど研究されていない(Lou et al., 2003)。最近になってやっと、Baker et al.が、対称ジベンジル-置換ラクチド3,6-ジ(フェニルメチル)-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(以下に示す6')の重合を報告した。触媒として2-エチルヘキサノアートスズ(II)(Sn(Oct)
2)を用いて50〜100℃にて溶液中で実行された重合は、一週間の反応時間後でさえ、比較的低い転換(<70%)をもたらしたのに対して、180℃における溶融重合は、2時間以内に90%転換を可能にした。それにも関わらず、この後者の場合においては、トランスエステル化およびエピマー化の副反応が、長い重合時間後に観察された(Simmons and Baker, 2001)。このグループはまた、3,6-ジエチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン、3,6-ジイソブチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオンおよび3,6-ジヘキシル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(5')などの新規な他の対称置換ラクチドの合成を報告した(Yin and Baker, 1999)。アルコール開始剤を伴う、または伴わない、比較的高温における(130〜180℃)、いくつかのスズベースの触媒の存在下でのこれらのモノマーの開環重合は、高い多分散性(>1.7)を示すポリマーに導いた。置換ラクチド合成は、2つの異なる方法によって、対応するα-ヒドロキシ酸(Deane and Hammond, 1960)によって、またはSchollkopf et al. (1979)によって以前に報告された2-ハロアルカノイルハロゲン化物を用いるα-ヒドロキシ酸の2段階合成によってのいずれかで実現した。Baker and Smith (2002)は、金属有機触媒を用いるROPを記載している。
【0081】
合成した置換ラクチドの構造を以下に示す;1:D,L-ラクチド、2:3,6,6-トリメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ジメチル置換ラクチドと呼ばれる)、3:3-メチル-6-イソプロピル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(イソプロピル置換ラクチド)、4:3-メチル-6-ブチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ブチル置換ラクチド)、5:3-メチル-6-へキシル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(へキシル置換ラクチド)、5':3,6-ジヘキシル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(対称ジヘキシル置換ラクチド)、6:3-メチル-6-フェニルメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(ベンジル置換ラクチド)、6':3,6-ジフェニルメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(対称ジベンジル置換ラクチド)。
【0082】
上記に引用したROP方法の焦点は、本発明のアプローチ(すなわち、所望の粘性ポリラクチド)と反対である(すなわち、その逆である)、高融点を用いてポリマーを合成することに注目することは重要である。さらに、Baker and Smith (2002)は、金属有機触媒の使用を単に意図するように見える;対照的に、本発明は有機触媒を単に使用することができる。
【0083】
彼らのここでの焦点は、対称ジアルキル置換ラクチドの合成および重合に対してであるが、本特許は、可能な非官能基モノアルキル置換ラクチドの重合の可能性もまた含む。「制御された特性を有するポリ(ラクチド)ベースの新規な物質」の合成を強調して、本発明者らは、ここで、モノ-イソプロピル(3)、-ブチル(4)、-へキシル(5)および-ベンジル(6)-置換ラクチド、ジメチル置換ラクチド(2)、および対称ジヘキシル-置換ラクチド(5')(以下に示す)の合成およびROP、ならびに「標準」FDA-認可(Food Drug Admin, 1975)金属有機触媒Sn(Oct)
2、より反応性である「スズベースの」トリフルオロメタンスルホナートスズ(II)Sn(OTf)
2(Moller et al., 2000; Moller et al., 2001)、および単なる有機触媒4-(ジメチルアミノ)ピリジンDMAP(Nederberg et al., 2001)を用いるそれらの開環重合を提示する。今日受け入れられている環状エステルのROPについての「配位重合」メカニズムは十分に確立されており、これは、Kowalski et al. (1998)、Kricheldorf et al. (2000)および他の研究者らにより、最も一般的に使用されるSn(Oct)
2触媒について記載されている。この反応メカニズムにおいて、Sn(Oct)
2は、その2-エチルヘキサノン酸リガンドの少なくとも1つを、開始剤アルコールと交換して、スズアルコキシド開始剤を形成する。アルコールエステル末端基に導くモノマー開環後、アルコキシド活性中心を通し伝搬が進行する。このメカニズムはまた、それぞれ、Sn(Oct)
2、Sn(OTf)
2、およびDMAPによって触媒されるアルキル置換モノマーの重合のためにここで使用されるROPに応用する。本発明者らは、アルコール開始剤としてベンジルアルコール(BnOH)を使用し、これは、H
2/Pdを用いるベンジル末端基の脱保護による、より後でのさらなるポリマーの官能基化を可能にする。より立体障害があるモノマーがSn(Oct)
2およびSn(OTf)
2を用いて効率的に重合することができない場合、DMAP触媒の使用が首尾よく応用された。大部分の場合において、分子量および狭い多分散性の良好な制御は、新たな官能基化ポリ(ラクチド)に導く新たなモノアルキル置換モノマーのROPのために達成された。
【0084】
材料
α-ヒドロキシイソ酪酸、α-ヒドロキシイソ吉草酸、2-ヒドロキシオクタン酸、D,L-3-フェニル乳酸、2-ブロモプロピオニルブロミドはFluka (Buchs, Switzerland)から購入し、2-ヒドロキシヘキサン酸および2-ブロモプロピオニルクロリドはSigma/ Aldrich (Buchs, Switzerland)から購入した。Purac Biochem (The Netherlands)からのD,L-ラクチドは真空下で送達し、保存のために直接的にグローブボックスに移した。2-エチルヘキサノアートスズ(II)(Sn(Oct)
2)はAldrichから購入し、受領した形で使用した。トリフルオロメタンスルホナートスズ(II)(Sn(OTf)
2、Aldrich)および4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、Fluka)は使用前に80℃、真空下で乾燥した。ベンジルアルコール(Fluka)は、水素化カルシウム上で乾燥し、使用前に蒸留した。
【0085】
溶媒は、標準的な方法によって乾燥し、使用前に蒸留した。無水ピリジン(Fluka)はモレキュラーシーブ上で保存した。
【0086】
モノマー合成
3,6,6-トリメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(2)(ジメチル置換ラクチドと呼ばれる)
5g α-ヒドロキシイソ酪酸(48mmol)および5.15mL 2-ブロモプロピオニルクロリド(50mmol)を窒素下で75℃にて12時間攪拌した。300mLアセトンおよび14mL無水トリエチルアミン(100mmol)をこの混液に加え、溶液を60℃で3時間攪拌した。トリエチルアンモニウムクロリド塩の濾過後、アセトンを蒸留して除き、得られる混液を450mL 酢酸エチル:ヘキサン混液(1:1)に溶解した。シリカゲル上での濾過後、溶媒を蒸留して除き、残りの粗生成物を酢酸エチル:ヘキサン混液(1:10)から再結晶した。
【0087】
3-メチル-6-イソプロピル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(3)(イソプロピル置換ラクチド)
5.1g α-ヒドロキシイソ吉草酸(43mmol)および4.85mL 2-ブロモプロピオニルブロミド(45mmol)を窒素下で75℃にて12時間攪拌した。300mLアセトンおよび12mL無水トリエチルアミン(86mmol)をこの混液に加え、溶液を60℃で3時間攪拌した。トリエチルアンモニウムブロミド塩の濾過後、アセトンを蒸留して除き、得られる混液を500mL 酢酸エチル:ヘキサン混液(1:1)に溶解した。シリカゲル上での濾過後、溶媒を蒸留して除き、残りの粗生成物をヘキサンから再結晶した。
【0088】
3-メチル-6-ブチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(4)(ブチル置換ラクチド)
2.5g 2-ヒドロキシヘキサン酸(18.9mmol)および2.1mL 2-ブロモプロピオニルブロミド(19.7mmol)を窒素下で75℃にて12時間攪拌した。150mLアセトンおよび5.3mL無水トリエチルアミン(38mmol)をこの混液に加え、溶液を60℃で3時間攪拌した。トリエチルアンモニウムブロミド塩の濾過後、アセトンを蒸留して除き、得られる混液を300mL 酢酸エチル:ヘキサン混液(1:2)に溶解した。シリカゲル上での濾過後、溶媒を蒸留して除き、残りの粗生成物をヘキサンから再結晶した。
【0089】
3-メチル-6-へキシル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(5)(へキシル置換ラクチド)
2.5g 2-ヒドロキシオクタン酸(15.6mmol)および1.75mL 2-ブロモプロピオニルブロミド(16.3mmol)を窒素下で80℃にて12時間攪拌した。150mLアセトンおよび4.35mL無水トリエチルアミン(31mmol)をこの混液に加え、溶液を60℃で3時間攪拌した。トリエチルアンモニウムブロミド塩の濾過後、アセトンを蒸留して除き、得られる混液を250mL 酢酸エチル:ヘキサン混液(1:2)に溶解した。シリカゲル上での濾過後、溶媒を蒸留して除き、残りの粗生成物をヘキサンから再結晶した。
【0090】
3,6-ジヘキシル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(5')(対称へキシル置換ラクチド)
200mlトルエン中の2g 2-ヒドロキシオクタン酸(12.5mmol)および0.24g p-トルエンスルホン酸(1.25mmol)を24時間の還流で加熱し、形成する水を、Dean-Stark装置(apparature)を使用することによって連続的に除去した。トルエンを蒸留して除き、得られる混液を200mL 酢酸エチル:ヘキサン混液(1:2)に溶解し、シリカゲル上で濾過した。溶媒の除去後、残渣をジエチルエーテルに溶解した。この溶液を炭酸水素ナトリウム(飽和溶液)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥した。生成物をジエチルエーテルから再結晶した。
【0091】
3-ベンジル-6-メチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(6)(ベンジル置換ラクチド)
2.5g D,L-3-フェニル乳酸(15mmol)および1.75mL 2-ブロモプロピオニルブロミド(16.3mmol)を窒素下で90℃にて12時間攪拌した。150mLアセトンおよび4.2mL無水トリエチルアミン(30mmol)をこの混液に加え、溶液を60℃で3時間攪拌した。塩の濾過後、アセトンを蒸留して除き、得られる混液を250mL 酢酸エチル:ヘキサン混液(1:1)に溶解した。シリカゲル上での濾過後、溶媒を蒸留して除き、残りの粗生成物を1:1酢酸エチル:ヘキサン混液から再結晶した。
【0092】
2-(2-ブロモ-1-オキソプロポキシ)オクタン酸(13)
2.5g 2-ヒドロキシオクタン酸(15.6mmol)および1.75mL 2-ブロモプロピオニルブロミド(16.3mmol)を窒素下で75℃にて12時間攪拌した。得られる2-(2-ブロモ-1-オキソプロポキシ)オクタン酸をカラムクロマトグラフィーによって精製し、NMRによって特徴付けした。
【0093】
触媒ストック溶液の調製
ROPのための触媒はストック溶液から使用した。フラスコを真空下で加熱し、室温まで冷却後、保護ガス下でグローブボックスに配置した。触媒をその中で秤量し、フラスコをセプタムでシールした。その後、乾燥THFおよびトルエンをアルゴン雰囲気下で加えた。Sn(Oct)
2(トルエン/THF 3/2中;0.33g/mL)、Sn(OTf)
2(トルエン/THF 1/1中;0.055g/mL)およびDMAP(THF中;0.1g/mL)のストック溶液を調製した。
【0094】
開環重合のための一般的手順
重合は、典型的には2.3mmolのモノマー(〜0.4g)を用いて実行した。攪拌子を備えた反応フラスコにセプタムを装着し、真空下で炎に当て、そしてモノマーで満たしたグローブボックスに配置した。次いで、アルゴン雰囲気下で適切な溶媒(2mL)および触媒(ストック溶液から、モノマーに対して1.5mol%)を加えた。反応物の可溶化のために適切な温度まで加熱後、開始アルコールとしてのベンジルアルコールを、乾燥THF中の5倍希釈溶液として加え[40μL、0.076mmol、予測された重合度(DP)30]、この混液を所望の重合温度まで加熱した。
【0095】
所望の反応時間において、反応は、2mLのTHFの添加によって停止し、続いて、それぞれヘキサン、ヘキサン/ジエチルエーテル(1/1)および冷エタノール中での沈殿を行う。残渣の触媒を除去するために、ポリマーは、メタノールで最終的に洗浄し、真空下で40℃にて乾燥した。重合転換およびDPは
1H NMR分析によって決定し、分子量および多分散性はゲル浸透クロマトグラフィーによって決定した。
【0096】
測定
1H NMRスペクトルは、Brukerスペクトル分析装置(500MHz)を用いて、重水素化クロロホルムまたはアセトン-d
6のいずれかの中で記録した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、Styragel HR 1-4カラム(Waters)を装着し、かつWaters 410示差屈折計に接続されたWaterクロマトグラファー上で実行した。THFが連続相であり、既知の分子量:500、2630、5970、9100、37900、96400g/mol(Tosoh Corporation)のポリスチレンを較正標準として使用した。ガラス転移速度(T
g)は示差走査熱量計(SSC/5200, Seiko Instruments)を用いて測定した。加熱は5℃/分の流速の窒素下で実施し、温度はインジウム標準を用いて較正した。
【0097】
新規なアルキル置換ラクチド合成
対称ジアルキル置換ラクチドの標準的な調製方法は、一般的には酸性条件下におけるα-ヒドロキシ酸の縮合反応、および反応の間に形成した水の除去である(Yin and Baker, 1999; Deane and Hammond, 1960)。非対称モノアルキル置換ラクチド、ジメチル-2、イソプロピル-3、ブチル-4、へキシル-5、およびベンジル-6置換ラクチドの合成のために、本発明者らは、Schollkopf et al. (1979)によって記載される類似物反応に基づいて、単純な二段階ワンポット合成を選択する。ジアルキル-、および混合置換ラクチドは、同じ方法によって、従って、置換基R
1、R
2、R
3およびR
4を上記に概説するように選択することによって調製することができる。
【0098】
所望のラクチド環の中のアルキル置換基の中で架橋するα-ヒドロキシ酸7は、スキーム1において示されるように、α-ブロモアルカノイルブロミド8との反応(i)下で、中間体エステル9に誘導される。ラクチド10への閉環は、トリエチルアミン(Et
3N)との塩基性反応の反応条件下で第2段階(ii)において得られる。このワンポット合成は、完全に多用途であることが判明し、これは容易に実施され、かつ比較的安価な出発材料に基づく。反応の手順、最初のα-ヒドロキシ酸7の完全な消費に伴う中間体エステル9の定量的な形成は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターすることができる。この方法によって、新規なイソプロピル-3、ブチル-4、およびへキシル-6置換ラクチドが合成された。本発明者らの知見では、これらのラクチドは、これまで文献の中に記載されていなかったが、Baker and Smith (2002) の特許の中で可能な非官能基アルキル置換ラクチドとして言及されている。モノベンジル置換ラクチド6は、Schollkopf et al.によって以前に合成され、そしてBolte et al.はこの化合物の結晶構造を決定したが(Bolte et al., 1994)、両方とも、この潜在的なモノマーを用いるいかなる重合反応も記載していなかった。ジメチル置換ラクチド2の合成およびその重合は、Baker and Smith (2002) およびChisholm et al. (2003) によって報告されている。本発明者らの研究のために、置換ラクチド2と6の両方は、一般的な二段階ワンポット方法によって調製した。より立体障害のあるジメチル置換ラクチド2は、新規な置換ラクチドの重合反応との一般的な比較のために、ならびにSn(Oct)
2、およびより反応性の触媒Sn(OTf)
2およびDMAPをそれぞれ用いるROPの研究のために、「困難な」重合可能モノマーとして本発明において使用した。モノアルキル置換ラクチドの合成のための典型的な例として、本発明者らは、モノヘキシル置換ラクチド5の合成をここでより詳細に説明する。スキーム2に図示されるように、第1の反応段階(i)において、2-ヒドロキシオクタン酸11および2-ブロモプロピオニルブロミド12は、単に混合し、窒素下で75℃にて12時間攪拌し、エステル2-(2-ブロモ-1-オキソプロポキシ)オクタン酸13を形成する。TLC(CH
2Cl
2:MeOH:CH
3COOH 10:0.1:0.1溶離混液、R
f:0.45)による管理は、残存している最初のヒドロキシ酸反応物(R
f:0.15)を示さなかった。第2の反応段階(ii)、所望のラクチドへの閉環は、同じポットの中で直接的に行うことができる。より良好な溶解性のためにアセトンを加え、トリエチルアミン(Et
3N)を用いる塩基性反応条件下で、60℃で3時間攪拌しながら、3-メチル-6-へキシル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン5を形成する。濾過による塩の精製、および酢酸エチル:ヘキサン混液からの再結晶は、最終的なラクチド生成物5を生じ、これは、乾燥後に、開環重合のために準備ができている。さらなる対照実験において、エステル13を同じ第1の反応段階によって調製し、同じ時間の後に反応を停止し、そして精製後に、エステル2-(2-ブロモ-1-オキソプロポキシ)オクタン酸13をNMRによって特徴付けし、その構造および定量的形成を検証した。異なるアルキル置換ラクチドについて得られた収率は約40〜50%であり、この合成方法のための律速段階は、ラクチド環の形成であることを示した。提示されたワンポット合成の第2の反応段階(ii)のさらなる最適化は、任意の溶解技術を適用することによって達成することができる。ラクチド環の2つの不斉α-炭素および非立体選択的反応条件にも関わらず、ラクチド3は1つの主要なジアステレオマーとして得られたのに対して、アルキル置換ラクチド4および5は、再結晶による単一の精製工程後にジアステレオマーの2:1混合物として得られ、ベンジル置換ラクチド6はジアステレオマーの8.5:1.5混合物として得られた。これらの新規なラクチドの開環重合の最初の研究のために、すべてのモノマーを、記載されたジアステレオマー混合物中で使用した。モノアルキル置換ラクチドのTLC試験およびへキシル置換ラクチド5のカラムクロマトグラフィーによる検査は、ラクチドジアステレオマーの分離が可能であることを示した。立体化学はポリ(ラクチド)特性に対して多大な影響を有することが知られているので、このことは興味深い。従って、このことはまた、新規なポリ(アルキル置換ラクチド)の物質特性、およびすべての立体化学的な組み合わせにおけるそれらの可能なコポリマーの全体的な仕立てのために応用される。
【0099】
スキーム1
モノアルキル置換ラクチドについて:R
1=アルキル、R
2およびR
3=H、R
4=CH
3
【0100】
スキーム2
【0101】
開環重合
金属触媒の存在下でのD,L-ラクチドの制御されたROPは、非常によく知られた反応である。とりわけ、Sn(Oct)
2は、その良好な重合特性のためのみならず、そのFDA認可のためにまた、ラクチドのROPのための優れた触媒であり、これは、医学的適用のためのポリ(ラクチド)の合成のための大きな利点を有する(Kricheldorf et al., 1995; Hyon et al., 1997; Schwach et al., 1997; Degee et al., 1999)。古典的な方法は、アルコール開始剤を伴うかまたは伴わない、比較的高温(>120℃)における、バルクのラクチドのSn(Oct)
2触媒重合である。これらの反応条件に起因して、副反応、例えば、トランスエステル化が、分子量および多分散性の制御を減少させる。一般的なポリ(ラクチド)の制御された合成のため、およびまた、生物医学的適用のための本発明者らの新規なポリ(アルキル置換ラクチド)のために、本発明者らは、ポリマー特性の最高の制御を達成するために、より低い温度(<110℃)で重合することを意図した。以下の異なる理由のために、ベンジルアルコールを開始アルコールとして選択した:a)100℃周辺における標準的反応のためのその低い揮発性、b)ベンジルの7.4ppmにおける
1H NMRシグナルにより、転換および重合度(DP)の決定が、すべての研究するアルキル置換モノマーおよびポリマーについて可能である、ならびにc)生じるベンジルエステル末端基のH
2/Pd還元が、ポリマーのさらなる官能基化のために適切である反応性カルボン酸末端基を与えている。初期の研究および異なる新規なモノマーの比較のために、
1H NMRによる末端基分析を介する容易な特徴付けもまた可能にする、DP=30の重合度のために、すべての重合を標的とした。Sn(Oct)
2触媒は合理的な重合速度(モノマーに関して1.5mol%)に有利に働くために、比較的大量に使用したが、過剰の開始アルコール([BnOH]/[Sn(Oct)
2]〜2、[M]/[BnOH]〜30)の存在下で維持した。なぜなら、[ROH]/[Sn(Oct)
2]>2であるならば、重合速度は触媒濃度にのみ依存することが判明したからである(Kowalski et al., 1998; Kricheldorf et al., 2000)。
【0102】
Sn(Oct)
2を用いるモノヘキシル置換ラクチド5のROP
ジメチル2、イソプロピル3、ブチル4、へキシル5および5'、ならびにベンジル6-置換ラクチドの合成に続き、これらのモノマーのROPを行った。異なるアルキル鎖長の置換基は、得られたポリマーの疎水性/親水性および分解性に影響を与え、従って、ポリ(ラクチド)特性を調節することが可能であることが予想される。最初の実行可能性研究のために、へキシル置換ラクチド5は、D,L-ラクチド1と比較して、Sn(Oct)
2を用いる標準的な反応条件下で重合した。これらの結果を表1に提示する。へキシル置換ラクチド5の重合は、溶媒を含まない穏やかな反応条件で最初に60℃で実行し、このモノマーの低い融点を利用する。転換は、
図2A-Bに示されるように、
1H NMRによって、粗反応混合物に対して、ポリマー14とモノマー5の両方のメチンプロトンピーク積分を使用して決定した。転換は、1時間後に13%、5時間後に25%のみであったので、次いで、より高温(100℃)において重合を実行した。これにより、1時間後に83%の転換に達した。4時間の反応時間後、転換は90%まで増加し、分子量分布はなお狭かった(M
w/M
n=1.13)。しかし、反応時間の延長(24時間)は、トランスエステル化副反応に起因するより広い分布をもたらした(M
w/M
n=1.44)。別のヘキシル置換基(対称ヘキシル置換基ラクチド5')によるこのモノマーのメチル基の置き換えは、重合速度に有意な影響を与えなかった。なぜなら、81%の同様の転換(5についての83%の代わりに)を1時間後に見い出したからである。同様の条件(60℃においてトルエン中、100/110℃においてトルエン/バルク中)におけるD,L-ラクチド1を用いる重合は対照として実行した。転換は、
1H NMR分析によって、粗反応混合物に対して、ポリマーとモノマーの両方のメチンピーク積分(アセトン-d
6中で、モノマーについて5.4ppm、ポリマーについて5.2ppmにおけるメチンプロトン)を使用することによって決定した。転換は、ヘキシル置換モノマー5について、特に、低温について得られたものよりも高かった。これらの結果は、ヘキシル基の立体障害が重合速度に直接的な影響を有することを証明する。MW分布は、ヘキシルモノマーについては(M
w/M
n=1.13)、D,L-ラクチド溶融重合(1.26)よりも狭いことが注目されなければならない。このことは、可能性がある重合制御の損失がほぼ完全な転換の近くで起こる、D,L-ラクチド重合と比較して、ROPの間およびその最後においてまだ観察されるヘキシル置換ラクチド反応混合物中での低い粘性に起因する可能性がある。得られたポリマーは、モノマー対開始剤比率から予測されたものに近接したDP値(転換値と相関する)を示し、これは、活発な重合工程と一貫している。
【0103】
(表1)
a粗ポリマー混合物に対する
1H NMRによる決定後の修正DP標的。
b沈殿生成物に対する
1H NMRによって決定。
【0104】
1H NMRは、MeOH中での沈殿後に得られたポリ(ヘキシル置換ラクチド)14の構造を確認するために使用した。ベンジルエステルと-C
H-OH末端基の両方を同定することができ、ベンジルアルコールによる開始を確認する。ベンジルアルコールのメチレンプロトンは、5-5.25ppmにおけるポリマー鎖のメチンプロトンによって重複される。スペクトルは、アルコール末端基が2つの型:a (q) CH3-C
H-OH、45%およびb (dd) ヘキシル-C
H-OH、55%(積分値から計算)であることを明確に示した。この結果は、より立体障害が少ない方へのわずかな優先度を伴って、置換ラクチド環の中の両方の種類のカルボニル原子に対して、ほぼ等しい割合で、伝搬が「アルコレート」攻撃によって進行することを示す。この結果はまた、対称ヘキシル置換ラクチド5'を与える、別のヘキシル基による、5の残りのメチル基の第2の置換が、同じ反応条件下で、転換の有意な減少を誘導しなかった(1時間後、5'および5について、それぞれ81%および83%)という事実と一貫している。
【0105】
実証されるように、モノヘキシル置換ラクチド5は、Sn(Oct)
2を用いて、便利な反応条件下で(100℃、1時間)比較的高収率で首尾よく重合することができた。ガラス転移温度(T
g)は、比較し得る分子量(4000〜5500g/mol)および分子量分布(M
w/M
n〜1.10)を有する、D,L-ラクチド1、モノヘキシル置換ラクチド5および対称ジヘキシル置換ラクチド5'について決定した。興味深いことに、ガラス転移温度は、標準的なポリ(D,L-ラクチド)についてのT
g=41℃から、ポリ(モノヘキシル置換ラクチド)14についてのT
g=-17℃、およびポリ(ジヘキシル置換ラクチド)についてのT
g=-47℃まで減少し、ポリマーの物理的特性が、制御された量の疎水性部分の導入によって調節することができることを示した。ポリ(D,L-ラクチド)およびポリ(ジヘキシル置換ラクチド)について測定したT
g値は、文献の中で以前に報告されたものと良好に一致した:Jamshidi et al. (1988) は、3470g/molのポリ(D,L-ラクチド)についてT
g約37℃を得、そしてYin and Baker (1999) は、彼らのポリ(ジヘキシル置換ラクチド)についてT
g約37℃を報告した。後者の値については、分子量は、本発明者らの研究において試験した値(5600g/mol)よりもはるかに高かった(43000g/mol)ことが指摘される。
【0106】
モノアルキル置換ラクチド2、3、4および6のROP
モノヘキシル置換ラクチド5に関する以前の結果に関して、他のジメチル-2、イソプロピル-3、ブチル-4、およびベンジル-6置換ラクチドのSn(Oct)
2触媒重合は、100℃で1時間調べられ、得られた結果を表2に提示する。転換は、
1H NMR分析によって上記のように決定した。すべてのモノマーは、ジメチル置換モノマー2(18時間後においてさえ22%)を除いて、合理的な転換(62〜87%)で重合可能であった。すべてのアルキル置換ポリマーは、比較的狭いMW分布を示した(M
w/M
n<1.2)。興味深いことに、これらのMW分布は、D,L-ラクチド1について得られたものよりもさらに狭かった。GPCによって得られかつ決定された分子量は、
1H NMRによって決定されたDPと良好に一致した。さらに、得られたDPは、ポリマーについて目的とした値(転換*M/I)と比較的良好な相関があった。
【0107】
(表2)
a粗ポリマー混合物に対する
1H NMRによる決定後の修正DP標的。
b沈殿生成物に対する
1H NMRによって決定。
c重複するシグナルのために、ベンジル末端基から
1H NMRによって決定不可能。
【0108】
見い出された転換は、モノマーのアルキル置換基の鎖長と相関した。転換は、メチル-1、ブチル-4およびヘキシル-5置換基の鎖長において、それぞれ、90%から87%および83%まで減少した。分枝アルキル置換モノマーは、重合可能性がより悪かった。イソプロピル誘導体3の転換は、同じ反応条件下で62%まで減少し、そして18時間の反応時間の延長後でさえ、二重メチル置換ラクチド2については22%のみまで劇的に減少した。ベンジル誘導体6は、1時間以内に79%の良好な転換で重合可能であった。6の融点(mp>100℃)に起因して、ROPはトルエン中で実行した。モノマー上のベンジル基またはイソプロピル基による立体障害は、Sn(Oct)
2触媒を用いる重合可能性を損なうことはなかった。対照的に、2つのメチル基によるモノマーのα炭素の二置換(ジメチル置換ラクチド2)は、重合速度に対して劇的な負の効果を有した。Baker and Smith (2002)は、Sn(Oct)
2を用いてこのモノマーを重合することの困難さを報告した。彼らは、24時間後に適正な転換(75%)を得るために、非常に高い重合温度(180℃)を使用しなくてはならなかった。二置換モノマー2のこの特定の場合を除いては、Sn(Oct)
2は、短い反応時間の中で、立体障害が異なるモノマーを重合する際に(65〜85%の転換)比較的効率的であることが判明した。それにも関わらず、一方では、ジメチル2およびイソプロピル3のモノマーのようなより立体障害があるモノマーについて、より高い転換速度に有利に働くために、そして他方では、穏やかな重合条件において他の新規なモノマーについてさらに高い収率を達成するために、およびまた、反応の潜在的なスケールアップの目的で、より反応性の触媒を調べた。
【0109】
Sn(OTf)
2およびDMAP触媒を用いるROP
Sn(OTf)
2は、Moller et al. (2000); Moller et al., 2001によって、Sn(Oct)
2または2-エチルヘキサンノン酸ジブチルスズ(II) Bu
2Sn(Oct)
2のような他のスズベースの触媒と比較して、種々のラクチドおよびラクトンのROPのための非常に効率的かつ多用途の触媒として以前に報告された。重合は、Sn(Oct)
2重合のために使用された条件と同じ条件下で(モノマーに対して1.5mol%の触媒、100℃)、より立体障害があるジメチル置換ラクチド2のために、Sn(OTf)
2触媒を用いて実行した。対照として、D,L-ラクチド1を用いる重合を実施した。結果を表3に示す。トリフレート触媒は、Sn(Oct)
2と比較して(18時間後に22%の転換、表2)、バルク中またはピリジン中のいずれかでの反応において、ジメチル置換ラクチド2の重合速度のわずかな増加を示した(18時間後、それぞれ30%および27%)。ピリジンは、Sn(OTf)
2がこの溶媒中でROPのために非常に効率的な触媒であることが示されたために使用した。確かに、D,L-ラクチド対照反応については、転換は、触媒としてSn(Oct)
2を用いて1.5時間後に約30%のみであるのに対して、これはSn(OTf)
2を用いると70%である(表3)。しかし、バルクまたはトルエン条件は、スズ-トリフレート触媒についてはここでは好ましくない。なぜなら、1時間後に両方の条件においてSn(Oct)
2を用いた90%の転換と比較して(表1)、77%および10%のみの転換が、1.5時間の反応時間後に得られるからである。このことは、溶融混合物中またはトルエン中のSn(OTf)
2触媒の乏しい溶解性に起因する可能性があり、従って、本発明者らが重合のために使用した典型的な条件、バルクまたはトルエン中、100℃は、この触媒がその効率を示すために真に適切ではない。それゆえに、触媒は、Sn(OTf)
2から、最近Nederberg et al. (2001)によってラクチド重合のための効率的な触媒として報告された4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)に変更した。Sn(Oct)
2のために以前に使用したのと同じバルク重合条件を適用した。Sn(Oct)
2およびSn(OTf)
2と同じ濃度で使用すると(1.5%/モノマー、すなわち、BnOH/DMAP=2)、DMAP触媒はより反応性であることが見い出された(表4)。ジメチル置換ラクチド2についての転換は、5時間のみの重合後にすでに30%であったのに対し、18時間の反応時間後では、Sn(Oct)
2を用いて22%(表2)、Sn(OTf)
2を用いて30%(表3)であった。24時間後、転換は65%に達し、分子量および分布の良好な制御を示した(M
w/M
n=1.26)。比較として、D,L-ラクチド1の転換は0.6時間後のみですでに78%である。重合速度を増強するために、さらなる重合を、より大量のDMAP(2当量のDMAP/BnOH)を、典型的には以前の研究、Nederberg et al. (2001)において使用された触媒濃度を用いて実行した。結果として、2についての転換は、1時間後のみで35%であった。また、直鎖状型ヘキシル置換ラクチド5と、非直鎖状型イソプロピル-置換ラクチド3およびベンジル-6の両方の他のアルキル置換ラクチドを、DMAPのためのこのより高い触媒濃度で重合した。この転換は、1時間のみの反応時間後に、3、5、および6について、ここで、優秀な80%、97%、および95%に達した。より高いDPのポリマーを得ることができたが(例えば、ヘキシル置換ラクチド5、DP=41)、しかし、良好な転換のためにはより長い反応時間を必要とした(59%および90%転換のためにはそれぞれ2時間および5時間)。これは、60%より上の転換において観察される反応混合物のより高い粘度によって説明することができる。DMAPはまた、より低い重合温度において効率的である。60%転換は、THF中で60℃において重合を実行することによって、ベンジル置換ラクチド6について、18時間以内に得ることができた。これは興味深い結果である。なぜなら、この溶媒は、一般的には、スズベースの触媒を用いるラクチドのROPのために好ましくないと報告されていたからである(Simmons and Baker, 2001)。
【0110】
(表3)
a粗ポリマー混合物に対する
1H NMRによる決定後の修正DP標的。
b沈殿生成物に対する
1H NMRによって決定。
c1.5時間反応時間後に決定不可能、重合は継続した。
【0111】
(表4)
a粗ポリマー混合物に対する
1H NMRによる決定後の修正DP標的。
b沈殿生成物に対する
1H NMRによって決定。
c1.5時間反応時間後に決定不可能、重合は継続した。
d重複するシグナルのために、ベンジル末端基から
1H NMRによって決定不可能。
【0112】
再度、分子量分布は、D,L-ラクチド(1.48)よりも置換ラクチドについてはるかにより狭かった(M
w/M
n=1.10〜1.20)。D,L-ラクチドはより反応性のモノマーであるので、おそらくより多くのトランスエステル化副反応が高い転換における重合の最後に起こる。しかし、これらの望ましくない副反応は、低い温度(35℃)におけるDMAP触媒を用いる重合の時間の延長後においてさえ起こらない(多分散性が増加しない)ことが報告された(Nederberg et al., 2001)。従って、DMAP重合は、最適な収率を得るためにより穏やかな反応条件下で完了するまで実行することができた。新規な置換ラクチドについて得られたDPおよびM
nは、理論から予測されたものに近接しており、良好な重合対照と一致した。増加濃度のDMAP(BnOHに対して4当量)は、重合速度のさらなる増強を可能にした。ここで、75%の転換が、5時間以内のみでジメチル置換モノマー2について得ることができた。しかし、この最後の場合において、分子量は所望のものよりも低く、多分散性は、1.26から1.35まで増加する。アルキル置換ラクチドのこれらのDMAP触媒ROPの最適化に関するさらなる研究が実行される予定である。最後に、DMAP触媒は、MeOH中での沈殿の間に、ポリマーから効率的に除去され、
1H NMRポリマースペクトル上ではDMAPの痕跡が観察されなかったことが指摘される。それゆえに、この有機触媒は、穏やかな温度において重合を可能にすること、および従って、狭い分散を有する新規なポリ(アルキル置換ラクチド)の合成に有利に働くことによって、立体障害があり、かつ置換されたラクチドのROPのための有望な多用途触媒であるようである。
【0113】
本発明者らは、ここで、新規なモノアルキル置換ラクチドモノマーの合成および重合のための多用途アプローチを報告する。この新規なモノマーは、二段階ワンポット合成によって容易に得ることができ、触媒としてSn(Oct)
2、Sn(OTf)
2およびDMAPを用いて、ROPによって重合することができる。アルキル置換基の導入によって、モノマーの重合可能性は、予測されたように、それらの立体障害に従った。それにも関わらず、Sn(Oct)
2は、100℃において異なる置換ラクチドのROPのために首尾よく適用され、そしてすべてのポリマーは1時間以内に、狭い分子量分布(M
w/M
n=1.1〜1.2)および65〜85%の転換を示す。ジメチル置換ラクチド2のみが、反応時間の延長後においてさえ、ほとんど重合可能ではなかった(18時間後に22%重合)。アルキル置換ラクチドの重合速度は、ROP触媒として、Sn(OTf)
2またはDMAPのいずれかを使用することによって増加することができた。特に後者の例では、ジメチル置換ラクチド2について、約70%の転換が、24時間の適切な重合時間内に到達することができ、1時間以内に約90%の転換が、他の新規な置換ラクチドについて得られた。ROPのためのこの触媒の効力は、2つの基本的出発化合物7および8におけるアルキル置換基R
1、R
2、R
3およびR
4それぞれの可能なバリエーションに関して、大きなバリエーションがある新規な官能基化ラクチドの潜在的な設計に門戸を開く(スキーム1)。これらの新規なラクチドベースのモノマーおよび反応性ROP触媒は、例えば、医学分野における状況に応じた材料の制御合成およびその適用のための有望なアプローチである。ラクチドモノマー上の置換基などの異なるパラメーターを調整することによって、ポリマー分子量、または確立されたポリ(ラクチド)およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)とのコポリマー中の組み合わせおよび取り込み、ポリマーの親水性/疎水性および生物分解性のような重要な特性が、特定の応用に適合させることができる。
【0114】
実施例2
薬学的適用のための新規なポリ(ヘキシル置換ラクチド)の合成および特性
生体適合性および生物分解性ポリラクチド/グリコリド(PLA/PLGA)は、縫合糸、移植片、コロイド状薬物送達系として、生物医学分野において最近30年間にわたって(Penning et al., 1993; Uhrich et al., 1999)、より最近では、組織修復および操作(Liu and Ma, 2004; Stock and Mayer, 2001)ならびに抗癌薬物送達(Mu and Feng, 2003; Jiang et al., 2005)においてもまた大きな注目を受けてきた。医学分野の次に、これらはまた、包装分野において広範に使用されている。生物分解可能な「緑のポリマー」として、これらは、現在使用されている商品ポリマーよりも好ましい(Drumright et al., 2000; Vink et al., 2003)。異なる応用のためのすべての要件に適合する進歩した特性を有する十分に規定されたポリラクチドベースの物質の決定的な必要性が存在する。例えば、十分に確立された開環重合(ROP)プロセス(Dechy-Cabaret et al., 2004; Kricheldorf et al., 1995; Schwach et al., 1997; Degee et al., 1999; Ryner et al., 2001)によって合成されたPLA/PLGAホモポリマーおよびコポリマーは、ポリマーの分子量および化学組成とは独立した、40〜60℃のみの範囲に限定されたガラス転移温度(T
g)を有する(Jamshidi et al., 1988; Vert et al., 1984)。このことは、興味深い機械的特性と合わせて、これらのポリマーを、生物分解性移植片、骨折固定デバイス、生細胞のための足場のような医学的応用において適切にする。しかし、薬物送達目的のためには、これらは、有機溶媒とともに製剤化され、かつ溶液またはナノ粒子およびマイクロ粒子の型で投与される必要があり、これらはそれ自体で注射することはできない。状況に応じた特性を有する新規なPLAについてのこのストラテジーは、他のアルキル置換基によるラクチドモノマー上のメチルリガンドの置換に基づく(Trimaille et al., 2004)。アルキル側鎖基の導入は、T
gおよび粘度などの物質特性に強い影響を与えることが予想される。薬学的適用のために、分解速度およびプロフィールまたは薬物カプセル化および放出などのさらなる重要な特性が修飾される。
【0115】
エマルジョン、リポソームまたはミクロスフェアの薬物送達系に対する有望な代替としての注射用ポリマーに対して、最近注目が増加している(Amsden et al., 2004; Hatefi and Amsden, 2002; Merkli et al., 1994)。他のアルキル置換ラクチドの次に、本発明者らは、新規なポリ(モノヘキシル置換ラクチド)(PmHLA)の合成および特徴付けを報告し、これは、類似の分子量(4500g/mol)を有する標準的なPLA(Tg=41℃)と比較して、低いガラス転移温度(T
g=-17℃)を有することが示した(Trimaille et al., 2004)。これらの初期の結果に基づいて、この疎水性ヘキシル置換ポリラクチドは、報告されている半固体疎水性ポリ(オルトエステル)と比較し得る、注射用PLA薬物送達系としての応用のために好ましくかつ興味深いものであり得る(Schwach-Abdellaoui et al., 2001)。その活発な性質および末端官能基を用いる、使用した開環重合技術は、確立されているPLA/PLGA系と組み合わせた、種々の新規なPLAベースのコポリマーを合成するための機会を与える。これにより、生物医学適用のための状況に応じた物質特性を有する異なる官能基のPLAを容易に得ることができる。
【0116】
本発明者らは、これらの新規なヘキシル置換ポリラクチドの合成および制御ROP、ならびにT
gおよびレオロジー的挙動ならびに分解の反応速度論およびメカニズムに関するそれらの物理化学的特性についての詳細な研究をここで提示する。
【0117】
材料
ここでのすべての材料は実施例1に記載されるように調製した。
【0118】
モノマー合成
すべての合成したモノマーは実施例1に記載されるように調製した。
【0119】
ポリマーの合成および特徴付け
すべての合成したポリマーは実施例1に記載されるように調製および特徴付けした。
【0120】
熱分析
ガラス転移温度(T
g)は、示差走査熱量計(SSC/5200, Seiko Instruments)を用いて測定した。加熱は5℃/分の流速で実施し、温度はインジウム標準を用いて較正した。
【0121】
粘度決定
粘度は、パラレルプレートPU 20デバイスを備えたBohlin制御ストレスレオメーターを使用して決定した(Bohlin Rheology GmbH, Muhlacker, Germany)。ストレス粘度試験(回転)は、静止下部プレート上に配置した試料に対して適用した。温度は、試験の間、Bohlin Extended Temperature Option (ETO)を用いて、25℃または37℃に固定した。0.1〜400s
-1の範囲の剪断速度を決定のために使用した。すべての試料について、20sの積分時間時間および20sの遅延時間を使用した。
【0122】
分解研究
40mgのポリマーをフラスコに配置し、ポリマーのT
gよりも上まで穏やかに加熱した。次いで、5mLの0.1M リン酸緩衝液pH 7.4を加え、適切な温度でフラスコをゆっくりと攪拌した。所定の時間にポリマーを収集し、ミリQ水ですすぎ、定常的な重量まで乾燥し、その後、質量の損失および平均分子量の決定を行った。
【0123】
質量の損失(ML%)は、重量分析によって評価し、以下から計算した:
ここで、W
0およびW
1は、最初の重量、および時間tにおける乾燥ポリマーの残渣の重量である。
【0124】
分子量は、上記のように、THF中にポリマーを溶解することによって、GPCによって決定した。
【0125】
モノマー合成およびROPの制御
本発明者らの以前の研究において、本発明者らは、新規な、状況に応じたポリラクチド材料の設計のための新規なアルキル置換ラクチドモノマーの合成および開環重合を報告した(Trimaille et al., 2004)。ここで、本発明者らは、スキーム3において提示される合成経路によって得られたポリ(モノヘキシル置換ラクチド)(PmHLA5)に焦点を当てる。新規なモノヘキシル置換ラクチド(mHLA 4)の合成は、ヘプタナール1から大スケールで容易に合成される2-ヒドロキシオクタン酸2の、中間体エステル3に導く2-ブロモプロピオニルブロミドとの「二段階ワンポット反応」に基づき、この中間体は、トリエチルアミンを用いる塩基性反応条件への交換後閉環を受ける。この後者の分子内環状化は、閉環に有利に働くための非常に薄い塩基性溶液への中間体3の滴下による添加にも関わらず、45%の収率を有するプロセスの律速段階であることが見い出される。再結晶後、mHLAは2つのジアステレオマーの混合物(比率2/1)として得られ、これはゲルクロマトグラフィーによって容易に分離することができる。これは、ポリマー材料の物理化学的特性に対する立体化学の大きな影響を考慮する、ROPによってジアステレオマー的に純粋なモノマーから得られたヘキシル置換ポリラクチドの特性についての興味深い展望を提供する(Tsuji et al., 1991)。本研究において、本発明者は、アモルファスポリ(D,L-ラクチド)の特性との、得られたポリマー特性の比較のために、モノマーのジアステレオマー混合物を調べた。
【0126】
スキーム3
【0127】
mHLAのROPは、開始剤としてベンジルアルコールの存在下で、2種の触媒、Sn(Oct)
2およびDMAP(それぞれ、開始剤に対して1および2当量)を用いて、100℃にて便利なバルク条件において実行した。ベンジルアルコールは、H
2/Pdを用いて切断されるその適合性、および可能なさらなる官能基化のためにPLAポリマー鎖上の反応性カルボン酸末端基を自由に設定することのために選択した。[モノマー]/[BnOH]の比率を調整することによって制御可能な重合度(DP)は、約8000gのポリマー/mol分子量を生じる45を標的とした。予測可能な分子量および狭い多分散性を両方の触媒について得た(表5)。4時間の同じ重合時間で、Sn(Oct)
2触媒について得られた転換(95%)は、DMAP(82%)について観察されたものよりもわずかに高かった。これは、後者が開始剤に対して2当量まで大量に使用されたときでさえもそうであった。従って、古典的なSn(Oct)
2触媒をPmHLA合成のために選択し、これは、すでにFDA認可されているというさらなる利点を有する(Food Drug Admin. Food, 1975)。この触媒を用いるmHLAのROP反応速度論に対する研究は、転換に対する分子量に関して実施した(
図1)。標的とした45のDPについて、一次関数が得られ、これは、重合が十分に制御され、かつ「活発な性質」であることを示す。メタノール中での沈殿による精製後のPmHLAの典型的な
1H NMRスペクトルは、
図3に提示され、ベンジルエステルとC
HOH末端基の両方のシグナルの存在を伴うROPのこの「活発な性質」と一致しており、アルコレート活性種によるROPの開始を確証する。同じ研究をDMAP触媒を用いて実施し、これは同じ「活発な」挙動を示した。120の高いDPのために、制御の損失は、50%より高い転換のために起こり始める(
図1)。これはおそらく、バルク反応混合物の粘度の増加、活性ポリマー末端基を介するポリマー鎖成長以外のトランスエステル化副反応の増加に起因する。
【0128】
(表5)バルク中100℃におけるSn(Oct)
2およびDMAPを用いるmHLAのROP
aベンジルエステル末端基のベンジルプロトンのシグナルを使用して、沈殿したポリマー上の
1H NMRによって決定した。
【0129】
図2A-Bにおいて、異なる標的DPについての実際のおよび予想の分子量を報告する。
【0130】
得られた分子量は、DP=60までの理論的に予想された値に一致する。より高い分子量については、D,L-ラクチド(b)の重合と比較したmHLA(a)の重合の制御の損失が現れる。ここで、より良好な制御は、反応条件を変化させることによって達成することができる。しかし、所望の薬学的適用の目的のために、2500〜10000g/molの制御ポリマー分子量のこの範囲(例えば、DP=10〜50)が完全に満足できるものである。なぜなら、むしろ低い粘度および合理的な分解時間が、注射系としての潜在的な使用のために必要とされるからである。次いで、さらなる研究では、適度なDPを標的とすること、および重合時間を調節することによって、バルク条件で100℃において、非常に良好な制御および全く狭い多分散性(M
w/M
n〜1.19-1.35)を有する、60までの異なるDP(2800〜9100g/molのM
n)のPmHLAを調製した(表6)。2800g/molの最低のM
nのPmHLAについては、最高の多分散性が観察された(M
w/M
n=1.35)。確かに、転換は、この低い標的DPについて迅速に完了し、次いで、トランスエステル化副反応が起こり始めた。ここで、重合時間は、分子量分布を改善するために短縮することができる。約7500g/molの標準PLAは、対照として比較し得る反応条件下で調製した。1.5時間の重合時間は、約90%の転換を得るために十分であったのに対して、より長い時間、例えば、7500g/molの類似物PmHLAのための2時間が、ヘキシル側鎖の立体障害に起因して、ヘキシル置換ラクチドのROPのために必要であった。
【0131】
(表6)異なる分子量のPmHLAの合成(100℃におけるROP)およびそれらの物質特性
aベンジルエステル末端基のベンジルプロトンのシグナルを使用して、沈殿したポリマー上の
1H NMRによって決定した。
【0132】
ポリマー物理特性
ポリマー物質特性は、物質の「注射可能性」の評価のための2つの重要なパラメーターである、ガラス転移温度(T
g)および溶融粘度に関して特に調べた。T
gは、調べた分子量の範囲内では、-22.5〜-10℃で変化した(表6)。M
nの関数としてのT
gの展開は、M
nの逆数の関数としてのT
gのプロットによって
図3に示されるように、Fox-Flory式に全く完全にフィットする。約7500の同じM
nについて、PmHLAおよびPLAは、PmHLAについては-12℃、PLAについては40℃の根本的に異なるT
g値を提示する。標準的なPLAと比較して、ガラス転移温度および他の物理的特性に対する、柔軟性のあるヘキシル基の影響は明白である。それらの低いT
gに起因して、ポリ(ヘキシル置換ラクチド)は室温においてゴム状粘性状態である。注射による想定される医学的適用のために、これらのポリマーについての粘性は、適切な分子量を選択することによって制御することができる。表6において、25℃におけるゼロ剪断粘度値(例えば、ニュートンドメインにおいて)が提示される。ここで、すべての分子量について、PmHLAは、典型的には、一定の粘度を伴って、0.1〜10s
-1の範囲の剪断速度についてはニュートン流体のように挙動する。剪断減粘性挙動は、多くのポリマーについてそれが知られているようなこの値よりも上で観察された。ゼロ剪断粘度は、分子量M
nを2800g/molから9100g/molまで増加させることによって、25℃において140 Pa.sから4850 Pa.sまで、および37℃において45 Pa.sから720 Pa.sまで変化した。
図4に示されるように、M
wに伴うPmHLAゼロ剪断粘度の変動(ログ-ログスケール)は、使用した温度とは独立して、係数傾きα約3.2を伴って、Fox and Loshaek (1955)の理論に従い、M
w=3700g/molよりの下のポリマーのエンタングルメント点M
c、およびPmPLA鎖の相互貫入を示唆する(Porter and Johnson, 1966)。結論として、ヘキシル置換ポリラクチドの物理的特性または「注射可能性」は、これらのポリペプチドの分子量を変化させることによって、調節および微調整することができる。さらに、これらは、すでに十分に確立された計算モデルから非常に良好に予測することができる。
【0133】
分解研究
注射用薬物送達系の目的のために、新規なポリ(ヘキシル置換ラクチド)の分解性を調べた。ヘキシル側鎖に起因して、この新規なポリラクチドは、比較し得る標準的なPLAよりもはるかにより疎水性であり、PLAの分解に対して違いを生じる。比較し得る分子量のPmHLAおよびPLAの分解メカニズムは、リン酸緩衝液pH 7.4中で37℃において、時間の関数としての分子量および重量の減少に関して調べた。7500g/molの比較し得る分子量のPmHLAおよびPLAについて、結果を
図6Bに示す。PmHLAについての分子量減少プロフィールは、標準的なPLAのそれと同様であった。PmHLA上のヘキシル基は、それらのより高い立体障害、および水に対する可能な疎水性保護、およびそのヒドロキルイオンのために、エステル結合の加水分解の速度を減少することが予測できた。しかし、実際には、分解速度は、PmHLAについてわずかに高かった。これは、37℃におけるポリマーの物理状態によって説明することができる。ここで、PLAは、ガラス状の強固なポリマー(T
g=40℃)であるのに対して、PmHLAはゴム状粘性状態である(T
g=-12℃)。後者の状態は、ポリマーマトリックスへの水の侵入に有利に働き、より高い加水分解速度に導き、これは、Ye et al. (1997)によってもまた報告されたものである。分解プロフィールに対するポリマーの物理的状態の影響は、両方のポリマーのT
gよりも上の温度である、60℃において実施したさらなる分解研究によって確証した。予測されたように、分解速度は強力に増加したが、ここでは、PmHLAはPLAよりもゆっくりと分解した。60℃においては、PmHLAおよびPLAは、両方ともゴム状状態であり、従って、PmHLAについてのより遅い分解は、ポリマー上の疎水性ヘキシル基の存在および影響のみが原因であり得る。
【0134】
7週間の全体の期間にわたって分解を追跡すると、分解プロセスは2つの相に分けることができる。分解の最初の数週間において、重量の減少は観察されず、分子量の減少が最も顕著であった。第2の相において、分子量のゆっくりとした減少と一緒に、重量減少の発生が起こった。これは、水吸収に起因するエステル結合のランダムな切断を伴って内部ポリマーマトリックス中で最初に加水分解が起こり、続いて、ポリマーバルクから形成した小さなオリゴマーの拡散が起こる「バルク浸食」メカニズムに典型的である。これは、水吸収に起因する分解の最初の相において膨張した、ポリマーの視覚的局面によって確証された。「バルク浸食」メカニズムはポリ(D,L-ラクチド)については周知であるが(Hakkarainen et al., 1996)、このメカニズムは疎水性PmHLAについては全く驚くべきことであった。ポリマーバックボーンに沿ったヘキシル側鎖基の強力な疎水性効果に起因して、疎水性ポリ(オルトエステル)について公知であるような「表面浸食」メカニズムを予測することができる。実際、研究したPmHLAについては、ポリラクチドバックボーン上のモノ置換パターンおよび存在する数のヘキシル側鎖基は、水を反発させ、かつ加水分解に対して内部ポリマーマトリックスを保護する、十分に強力な疎水的効果を有していない。最後に、両方のポリマーは、分子量減少に関する類似の分解プロフィールを有したにも関わらず、PLAの重量減少はPmHLAのそれよりも速く起こったことが指摘される。この効果は、PmHLAからのより水溶性が低いヘキシル置換分解残基に起因する可能性が最も高く、これは内部のポリマーマトリックスから外部の水相に良好に拡散しない。
【0135】
本発明者らが実証したように、この新規なモノヘキシル置換PLAの粘度は、制御された薬物放出のための良好な分解性プロフィールを同時に示す注射用ポリマーを得るために仕立てることが可能である。異なる組み込まれる薬物を用いる研究が進行中であり、近い将来に提示される。
【0136】
本発明者らは、本実施例において、新規なポリ(モノヘキシル置換ラクチド)(PmHLA)の合成の制御および特性を提示した。60までの標的DPについてのmHLAモノマーのROPは、分子量対転換研究および
1H NMRによって示されるように、活発な性質を伴って良好に制御された。PLA-ポリマーバックボーンに沿ったヘキシル側鎖基は、ガラス転移温度(T
g)および粘度に関する物理的特性に対して強い影響を有した。これらの値は、FoxおよびFloryの法則に一致して、ポリマーの分子量を調整することによって容易に仕立てることができる。ポリ(モノヘキシル置換ラクチド)(PmHLA)は低い粘度を示し、注射用薬物送達系のために適切である。これらの新規な疎水性ポリラクチドベースのポリマーは開環重合(ROP)によって合成されるので、このパラメーターの微調整は、得られるコポリマーについてのモノヘキシルラクチド-およびD,L-ラクチドモノマーの適切な比率を選択して、ヘキシル側鎖の数を調整することによって、おそらく達成することができる。さらに、これらの新規なポリマーの末端官能基は、最適化された薬物送達系のために必要とされるさらなる官能基を有する進歩した分子構造を加えかつ構築するために使用することができる。
【0137】
生理学的条件下で、PmHLAの分解メカニズムは、「バルク浸食」として説明することが可能であり、分解速度は標準的なPLAのそれと同様である。種々の組成物および高分子構造中の確立したPLA/PLGAポリマーとのコポリマーの組み合わせでもある、異なるポリ(アルキル置換ラクチド)に関するさらなる研究もまた想定される。
【0138】
実施例3
新規なポリ(ヘキシル置換ラクチド)を使用する制御薬物放出
生体適合性および生物分解性ポリラクチド/グリコリド(PLA/PLGA)は、縫合糸、移植片、コロイド状薬物送達系として、生物医学分野において最近30年間にわたって(Penning et al., 1993; Uhrich et al., 1999)、組織修復および操作(Liu and Ma, 2004; Stock and Mayer,Jr., 2001)ならびに抗癌薬物送達(Mu and Feng, 2003; Jiang et al., 2005)においてもまた大きな注目を受けてきた。医学分野の次に、これらは、多くの他の応用において、例えば、包装分野において、現在使用されている商品ポリマーと比較して環境に優しい材料として(Drumright et al., 2000; Vink et al., 2003)、使用されかつ高い関心を集めている。PLA由来の生成物の廃棄物のコンポストは、分解によって、非毒性の天然の乳酸に戻され、これは、一方ではこれらのポリマーの出発物質であり、他方ではコーンスターチなどの再生可能な資源から有利に得られる。開環重合(ROP)による、ラクチド/グリコリドモノマーからの制御された分子量および化学組成のPLAおよびそのコポリマーを製造する可能性にも関わらず(Dechy-Cabaret et al., 2004; Kricheldorf et al., 1995; Schwach et al., 1997; Degee et al., 1999; Ryner et al., 2001)、これらの材料は、すべての所望の応用のために適切なまたは最適な特性を常に示すわけではない。例えば、PLA/PLGAポリマーは、通常、40〜60℃周辺のガラス転移温度を有し(Jamshidi et al., 1988; Vert et al., 1984)、それゆえに、注射用薬物送達系のためにそれら自体に適用可能ではない。注射用ポリマーそれ自体は、エマルジョン、リポソームまたはミクロスフェアの注射用薬物送達系に対する有望な代替として、注目を受けることが増加している(Amsden et al., 2004; Hatefi and Amsden, 2002)。
【0139】
本発明らは、以前の論文において、新規な制御され状況に応じたポリマー性PLAベースの材料を設計するという観点で、新規なモノアルキル置換ラクチドの合成および開環重合(ROP)を報告した(Trimaille et al., 2004)。他の置換基によるラクチドモノマーのメチルリガンドの置換のストラテジー、およびROPによる新規な官能基化ポリラクチドベースの材料の合成は、新規な反応性触媒、例えば、トリフルオロメタンスルホナートスズ(II)および4-ジメチルアミノピリジンを使用して達成することができる(Trimaille et al., 2004; Moller et al., 2001; Nederberg et al., 2001)。これらの触媒は、分子量および分子量分布の良好な制御を有する非常に立体障害性のモノマーのROPを容易にする。他のアルキル置換ラクチドの次に、本発明者らは、モノヘキシル置換ラクチドおよびジヘキシル置換ラクチド[ポリ(モノヘキシル置換ラクチド)およびポリ(ジヘキシル置換ラクチド)]から得られた新規なポリラクチドの合成および特徴付けを説明し、これは、類似の分子量を有する標準的なPLAと比較して、低いガラス転移温度(T
g<-15℃)を有することが示された(Trimaille et al., 2004)。これらの初期の結果に基づいて、この疎水性置換ポリラクチドは、報告されている疎水性ポリ(オルトエステル)と比較し得る、薬物送達のための注射用半固体材料としての適用のために好ましくかつ興味深いものであり得る(Merkli et al., 1994; Schwach-Abdellaoui et al., 2001)。さらに、これらのPLAポリマーの疎水性の増加は、例えば、疎水性薬物のカプセル化効力および放出に関する、コロイド系におけるさらなる興味深い特性をもたらし得る。本発明者らの初期の研究は、ナノ粒子が、ナノ沈殿技術によってこれらの新規なポリマーから得ることが可能であることを示した。その活発な特徴および末端官能基を用いる、使用した開環重合技術もまた、確立されているPLA-PLGA系と組み合わせた、種々の新規なPLAベースのコポリマーを合成するための機会を与える。これにより、生物医学適用のための、状況に応じた物質特性を有する異なる官能基PLAの拡大されたライブラリーを容易に得ることができる。
【0140】
本発明らは、本実施例において、これらの新規なヘキシル置換ポリラクチド、これらの物理化学的特性、分解の反応速度論およびメカニズム、分解生成物の同定、およびモデル薬物としてのテトラサイクリンの放出に関する詳細な研究を、すべて類似物である標準PLAと比較して提示する。
【0141】
材料:ここでのすべての材料は実施例1に記載されるように調製した。
【0142】
モノマー合成:すべての合成したモノマーは実施例1に記載されるように調製した。
【0143】
ポリマーの合成および特徴付け:すべての合成したポリマーは実施例1および実施例2にそれぞれ記載されるように調製および特徴付けした。
【0144】
分解研究
40mgのポリマーをフラスコに配置し、ポリマーのT
gよりも上まで穏やかに加熱した。次いで、5mLの0.1M リン酸緩衝液pH 7.4を加え、適切な温度でフラスコをゆっくりと攪拌した。所定の時間にポリマーを収集し、ミリQ水ですすぎ、定常的な重量まで乾燥し、その後、質量の損失および平均分子量の決定を行った。
【0145】
質量の損失(ML%)は、重量分析によって評価し、以下によって計算した:
W
0およびW
1は、最初の重量、および時間tにおける乾燥ポリマーの残渣の重量である。
【0146】
分子量は、上記のように、GPCによって決定した。
【0147】
エレクトロスプレーイオン化/質量分析
分解生成物は、ESI/MS分析によって同定し、これはFinnigan MAT SSQ7000四極子質量分析装置上で実施した。水性分解媒体中に存在する残渣を真空中で乾燥させ、CH
2Cl
2/MeOH 9/1混液中に溶解し、150μL/分をESI部分に注入した。4500Vの電圧を、各生成物の多重プロトン化イオンを形成するために、ESI/MS電極上で維持した。質量を50〜1500質量/電荷単位でスキャンし、質量スペクトルを得るために1分間に20スキャンを平均した。
【0148】
テトラサイクリン放出研究
200mgポリマーおよび20mgテトラサイクリン塩酸塩(TH)を1.7mL THFおよび1mLメタノールに溶解し、十分に混合した。この混液を、真空中で、35℃にて72時間乾燥した。ここから、30mgのテトラサイクリン封入ポリマー試料を、10mLリン酸緩衝液0.1M pH=7.4と37℃でインキュベートした。放出媒体を、新鮮な緩衝溶液と毎日交換し、分析前に4℃で保存した。放出した薬物の量は、ポンプ(Waters 600Eコントローラー)、オートインジェクター(Waters 717 plusオートサンプラー)、UV検出器(Waters 2487)、およびインテグレーター(Millenium software, Waters)を備えたHPLCシステムを使用することによって決定した。使用したカラムは、5μm粒子サイズ、250mm長および4mm内径を有するNucleosil 100-5 C18(Macherey-Nagel(登録商標) Gmbh & Co., Duren, Germany)であった。移動相は、0.03M EDTA、0.011M KNO
3およびpH3を与えるための酢酸を含む、ミリQ水およびアセトニトリル(81.5/18.5 v/v)の混液であった。0.7mL/分の流速を使用した。この溶液は、使用前にヘリウムを用いて脱気した。リン酸緩衝液0.1M pH=7.4中で5〜50μg/mLの範囲の濃度のTHの標準溶液を較正のために調製した。THの典型的な保持時間は、353nmにおいてモニターされる15.7分であった。
【0149】
ポリマーの合成および特性
完全に多用途な合成方法に基づいて、新規なアルキル置換ラクチドモノマーを、さらなる開環重合のために合成した。ここで研究したポリ(モノヘキシル-(PmHLA6)およびジヘキシル-(PdiHLA7)置換ラクチド)の合成工程はスキーム4に提示する。新規なモノヘキシル置換ラクチド(mHLA)4の合成は、2-ヒドロキシオクタン酸2の、中間体エステル3に導く2-ブロモプロピオニルブロミドとの「二段階ワンポット反応」に基づき、この中間体は、トリエチルアミンを用いる塩基性反応条件への交換後閉環を受ける。ジヘキシル置換ラクチド(diHLA)5は、p-トルエンスルホン酸との2-ヒドロキシオクタン酸2の単純な縮合反応によって合成した。2-ヒドロキシオクタン酸2は、ヘプタナール1から大スケールで容易に合成した(Shiosaki and Rapoport, 1985)。
【0150】
スキーム4
【0151】
mHLA、diHLAおよびD,L-ラクチドの開環重合は、FDA認可された(Food Drug Admin. (1975))Sn(Oct)
2触媒および開始剤としてベンジルアルコールを用いて実施した。ベンジルアルコールは、H
2/Pdを用いて切断されるその適合性、および可能なさらなる官能基化のためにPLAポリマー鎖上の反応性カルボン酸末端基を自由に設定することのために選択した。分子量および重合度(DP)は、[モノマー]/[BnOH]の比率を調整することによって制御可能である。ヘキシル置換ラクチドの重合は、それらの低い融点に起因して、100℃の比較的穏やかな温度において溶媒を含まない条件で実施することができた。対照的に、D,L-ラクチド重合のためには、この温度においては溶媒が必要であり、理想的にはトルエンを使用した。
【0152】
注射用薬物送達系としての潜在的な使用のために、ある程度低い粘度、合理的な分解時間、および薬物放出速度を有するポリ(ヘキシル置換ラクチド)が所望された。好ましい粘度は、2000〜10000g/molの分子量または重合度DP=10〜50を有するこれらのポリマーについて与えられる。これらのポリマーは、バルク条件における開環重合による非常に良好な制御および狭い多分散性を伴って調製することができる。
図6A-Bにおいて示されるように、得られた分子量は、DP=60までの理論的に予想された値に一致する。より高い分子量については、D,L-ラクチド(b)の重合と比較したmHLA(a)の重合の制御の損失が現れる。これは、モノマーの反応性の損失に導く、バルク反応混合物の粘度の増加に起因する。ここで、より良好な制御は、反応条件を変化させることによって達成することができる。本発明者らの研究のために選択したポリマーおよびそれらの物質の特性は表7に要約され、以下で議論される。約4500、7500および9000g/molの同じ分子量のPmHLAおよびPLAは、適切なDPを標的とすること、および重合時間を調整することによって、全く狭い多分散性を伴って調製した。4500g/molのPdiHLAは、PLAバックボーンに沿ったより多くの数のヘキシル置換基の影響を研究するためのさらなる比較として合成した。1.5時間の重合時間は、約90%のD,L-ラクチドROP転換を得るために十分であったのに対して、ヘキシル側鎖基の立体障害に起因する置換ラクチドのROPのためにより長い時間が必要であった(DPおよびモノマーの性質に依存して1.5〜4時間)。ガラス転移温度(T
g)は、ポリマー分子量を4500〜9100g/molで変化させることによって、PmHLAについて-17〜-10℃、標準的なPLAについては38〜41℃の範囲であった。標準的なPLAと比較して、ガラス転移温度および他の物理的特性に対する柔軟性のヘキシル基の影響は明白である。類似物モノヘキシル置換ラクチドについてよりも25℃低い-42℃のT
gを有する4500g/molのPdiHLAについて示されるように、T
gは、ポリマー上のヘキシル基の数を増加することによってさらに減少することができる。それらの低いT
gに起因して、ポリ(ヘキシル置換ラクチド)は室温においてゴム状粘稠性状態である。注射による想定される医学的適用のために、これらのポリマーについての粘度は、
図5において示されるように、適切な分子量を選択することによって制御することができる。また、例えば、PLAとのランダムコポリマー中で、ポリマーバックボーンに沿ったヘキシル側鎖基の数を仕立てることが可能である。PmHLAは、典型的には、0.1〜10s
-1の範囲の剪断速度についてはニュートン流体のように挙動し、剪断減粘性挙動は、多くのポリマーについてそれが知られているようなこの値よりも上で観察された。ニュートンドメインを観察すると、粘度(η
0)は、分子量M
nを2800g/molから9100g/molまで増加させることによって、25℃において140Pa.sから4850Pa.sまで、および37℃において45Pa.sから720Pa.sまで変化した。PdiHLAは剪断速度よりも下ではPmHLAと同じ挙動を示したが、40Pa.sのニュートン粘度は、約4500g/molのM
nについて25℃において715Pa.sでPmHLAについて観察されたものよりも有意に低かった(表7を参照されたい)。これは、疎水性かつより多い数のヘキシル側鎖基によって付与される全体のポリマーの柔軟性の増加によって説明することができる。結論として、ヘキシル置換ポリラクチドの物理的特性または「注射可能性」は、分子量またはこれらのポリラクチド上のヘキシル基の数を変化させることによって、調節または微調整することができる。
【0153】
(表7)PLA、PmHLAおよびPdiHLAの反応条件(100℃)および特性
【0154】
分解研究
注射用薬物送達系の目的のために、新規なポリ(ヘキシル置換ラクチド)の分解性を調べた。ヘキシル側鎖基に起因して、これらの新規なポリラクチドは、比較し得る標準的なPLAよりもはるかに疎水性であり、PLAの分解に対する違いを引き起こす。さらに、分解速度および分解メカニズムは、薬物放出プロフィールに対して重要な影響を有する。以下において、本発明者らは、生理学的条件におけるPmHLAおよびPLAの分解研究の結果を提示する。
【0155】
比較し得る分子量のPmHLAおよびPLAの分解メカニズムは、リン酸緩衝液pH 7.4中、37℃において、時間の関数として、分子量および重量の減少に関して調べた。結果を
図6A-Cに示す。ポリマーの選択した最初の分子量とは独立して、PmHLAについての分子量減少プロフィールは、標準的なPLAのそれと同様であった。PmHLA上のヘキシル基は、それらのより高い立体障害、ならびに水およびそのヒドロキシルイオンに対する可能な疎水的保護のために、エステル結合の加水分解の速度を減少することが予想することができる。しかし、実際は、分解速度は、PmHLAについてわずかに高かった。これは、37℃におけるポリマーの物理的状態によって説明できる。ここでは、PLAは、ガラス状の強固なポリマー(T
g=40℃)であるのに対して、PmHLAはゴム状粘稠性状態である(T
g約-15℃)。後者の状態は、ポリマーマトリックスへの水の侵入に有利に働き、より高い加水分解速度に導き、これは、Ye et al. (1997)によってもまた報告されたものである。
【0156】
開示剤としてのベンジルアルコールの存在下でのROPに起因して、合成したポリラクチドは、ベンジルエステル末端基を有している。分解速度に対するこれらの酸基の影響を調べるために、カルボキシル末端基を有する類似物ポリラクチドを得るために、開始剤として水を用いて、PmHLAを代替的に合成した。
図6Aにおいて示されるように、ベンジルエステル末端を有するPmHLAおよびカルボキシル末端基を有するPmHLAの分解プロフィールについて、違いは観察されなかった。
【0157】
7週間の全体の期間にわたって分解を追跡すると、分解プロセスは2つの相に分けることができる。分解の最初の数週間において、重量の減少は観察されず、分子量の減少は開始分子量とは独立して速かった。第2の相において、分子量のゆっくりとした減少と一緒に、重量減少の発生が起こった。これは、水吸収に起因するエステル結合のランダムな切断を伴って内部ポリマーマトリックス中で最初に加水分解が起こり、続いて、ポリマーバルクから形成した小さなオリゴマーの拡散が起こる「バルク浸食」メカニズムに典型的である。これは、水吸収に起因する分解の最初の相において膨張した、ポリマーの視覚的局面によって確証された。「バルク浸食」メカニズムはポリ(D,L-ラクチド)については周知である(Hakkarainen et al., 1996; Grizzi et al., 1995)。ポリマーバックボーンに沿ったヘキシル側鎖基の可能性のある強力な疎水性効果に起因して、疎水性ポリ(オルトエステル)について公知であるような「表面浸食」メカニズムもまた考慮することができる(Gurny et al., 1999)。結論として、研究したPmHLAについては、ポリラクチドバックボーン上のモノ置換パターンおよび存在する数のヘキシル側鎖基は、水を反発させ、かつ加水分解に対して内部ポリマーマトリックスを保護する、十分に強力な疎水的効果を有していない。
【0158】
この分解研究は、より高い分子量では、ポリマーが重量減少のより遅い発生を有することをさらに示した(
図6A-C)。両方のポリマーが分子量の減少に関して類似の分解プロフィールを有したにも関わらず、PLAの重量減少はPmHLAのそれよりもより初期に起こった。この効果は、PmHLAからのより水溶性が低いヘキシル置換分解残基に起因する可能性が最も高く、これは内部のポリマーマトリックスから外部の水相に良好に拡散しない。
【0159】
さらなる分解研究は、両方のポリマーのT
gより上の温度である60℃において実施した(
図7)。予測されたように、分解速度は強力に増加したが、しかし、ここでは、PmHLAはPLAよりもゆっくりと分解した。この結果は、上記に議論した、分解プロフィールに対するポリマーの物理的状態の影響を確証する。60℃においては、PmHLAおよびPLAは、両方ともゴム状状態であり、PmHLAについてのより遅い分解は、ポリマー上の疎水性ヘキシル基の存在および影響に起因し得る。これは、
図6Aに示されるように、PmHLAの分解を、約4500g/molの同じM
nの2倍の数のヘキシル置換PdiHLAと比較したときにさらにより明白になる。両方のポリマーは、ゴム状状態にあり、分子量の減少は、PmHLAについての45%のプラトーと比較して、遅い開始の時間および最初のM
nの75%における分子量のプラトーを有するPdiHLAについて、はるかに遅かった。PdiHLAは、より高温においてもほとんど分解性を示さなかった。
【0160】
分解産物の同定は、ヒト身体中の注射用薬物送達系としてのこれらのヘキシル置換ポリラクチドの潜在的な使用のための、毒性の問題に対する展望において決定的である。水相に存在する分解化合物は、エレクトロスプレーイオン化/質量スペクトル分析(EIS/MS)によって分析した。85℃における48時間の分解後のPmHLA残渣のスペクトルを決定した。より高い温度を、分解を加速するために選択した。すべての分子量ピークを、PmHLAのエステル結合の加水分解から生じる異なるサイズのオリゴ-エステルであるとして同定した(表8)。60時間の分解時間後に得られたスペクトルは、2-ヒドロキシオクタン酸2(M=159)および乳酸(M=89)の分子量ピークの存在のみを明らかにした。両方の化合物は、これらのポリマーの合成のために最初に使用されるが、乳酸はヒト身体中に存在する天然の化合物として非毒性であり、2-ヒドロキシオクタン酸は局所的適用のためにFDAによって認可されている(Hall and Hill, 1986)。
【0161】
(表8)PmHLAの分解産物についての構造および分子量の割り当て
a実際の分子量はピーク分子量プラス1個のプロトンの原子量である(負の分極)。
【0162】
テトラサイクリン放出
テトラサイクリン塩酸塩(TH)およびテトラサイクリン遊離塩基(TB)は、ヘキシル置換ポリラクチドからの放出研究のためのモデル薬物として試験した。この広いスペクトルの抗生物質は、ヒト医薬において広く使用されてきた。最近、Heller and Gurnyは、歯周病の治療のための注射用薬物送達系のための疎水性半固体ポリ(オルトエステル)(POE)の中にこれを首尾よく適用した(Schwach-Abdellaoui et al.,, 2001a; Schwach-Abdellaoui et al., 2001b)。ここで、テトラサイクリン塩酸塩(TH)を用いる研究は、これらの2つの種類の疎水性ポリマーについての類似性および違いに関するPOE研究および確認から、本発明者らの以前のデータとの容易な比較を促進するはずである。
【0163】
TH封入PmHLA(10% w/w)は、THF/メタノール中でのポリマーおよび薬物の溶解、続いて真空下での乾燥により、簡単に調製した。その低い粘度および注射用薬物送達系としての潜在的な用途のために、M
n=4500g/molの分子量を有するPmHLAを選択した。同じ分子量のテトラサイクリン封入PLAを対照として調製した。GPC分析は、薬物封入ポリマーの最初の安定性を確認するために、テトラサイクリンの取り込み後に実施した。分子量は37℃において一定のままであり、THの酸性性質によっておそらく誘導されるポリマーの分解は観察できなかった。PmHLAとPLAの両方からのテトラサイクリンの放出プロフィールは
図8に示す。THの放出は、PLAからよりもPmHLAからで高く、そして最初の6日間において、その後の数日間よりも両方のポリマーの場合においてはるかに高かった。興味深いことに、放出されたTHの総量は、標準的なPLAから(23%)よりもPmHLA(最初に封入したTHの45%)からでより高かったが、ポリマーは、同じ分解速度を有した(
図6A)。本発明者らは、このことが、37℃における強固なPLAと比較してPmHLAのゴム状粘稠性状態を理由とする、PmHLAバルクマトリックスから、外部相におよび水性分解媒体までの、THの容易な拡散によるものと考える。比較し得る放出研究はまた、テトラサイクリン遊離塩基(TB)を用いて実施した。放出されたTBの量は、再度、PLAからよりもPmHLAからで高かった。両方のポリマーについて、放出されたTBの量は、THの場合においてよりもはるかに低かった。テトラサイクリン遊離塩基(TB)は、対応する塩酸塩(TH)よりもはるかに水溶性が低く、従って、内部ポリマーマトリックスから外部相への水を伴う拡散がより遅い。ポリマー中の最初に封入したTHの総量は、放出後に完全に回収されなかった。実際に、THが、より活性が低いエピマー4-エピテトラサイクリンに部分的に分解されたことを示すことができた。放出媒体のすべてのHPLC分析において、この副産物のシグナルが、活性THに加えて見い出された。THは酸性条件において急速に分解し、約50%のエピマー型に導かれることが以前に報告された(Schwach-Abdellaoui et al., 2001)。それゆえに、ここでもまた、ポリマー分解が起こる一方、THが、酸性環境を有するポリマーマトリックス内部で分解されるという可能性がある。4-エピテトラサイクリンと比較して、医学的に活性であるTHの放出比率は、標準的なPLAよりもPmHLAについて系統的に高かった。
【0164】
結論として、そのより高い速度および活性THのより多い総量を伴うPmHLAからのTH薬物放出は、PLAよりも好ましい。興味深いことに、PmHLAからのTH放出プロフィールは、25%THを封入され、14日間以内に約30%の活性THを放出する市販のActisite繊維について報告されたものよりも45%良好である(Schwach-Abdellaoui et al., 2001)。
【0165】
本実施例において、本発明者らは、新規なポリ(ヘキシル置換ラクチド)(PHLA)の合成の制御および特性を提示する。PLA-ポリマーバックボーンに沿ったヘキシル側鎖基は、ガラス転移温度(T
g)および粘度に関する物理的特性に対して強い影響を有した。これらの値は、ポリマーの分子量を調整することによって容易に仕立てることができる。提供したポリ(モノヘキシル置換ラクチド)(PmHLA)は低い粘度を示し、注射用薬物送達系のために適切である。これらの新規な疎水性ポリラクチドベースのポリマーは開環重合(ROP)によって合成されるので、このパラメーターの微調整は、得られるコポリマーについてのモノヘキシルラクチドおよびD,L-ラクチドモノマーの適切な比率を選択して、ヘキシル側鎖基の数を調整することによって、おそらく達成することができる。さらに、これらの新規なポリマーの末端官能基は、最適化された薬物送達系のために必要とされるさらなる官能基を有する進歩した分子構造を加えかつ構築するために使用することができる。
【0166】
生理学的条件下で、PmHLAの分解メカニズムは、「バルク浸食」として説明することが可能であり、分解速度は標準的なPLAのそれと同様である。モデル薬物としてのテトラサイクリン塩酸塩(TH)およびテトラサイクリン遊離塩基(TB)の初期の放出研究は、類似物PLAよりも、PmHLAからの活性型テトラサイクリンのさらに良好な放出を示した。
【0167】
種々の組成物および高分子構造中の確立したPLA/PLGAポリマーとのコポリマーの組み合わせでもある、異なるポリ(アルキル置換ラクチド)に関するさらなる研究が現在進行中である。異なる医学的適用のためのこれらの疎水性置換ポリラクチドベースポリマーの開発および最適化が近い将来に提示される予定である。
【0168】
実施例4
疎水性薬物キャリアとしての新規な両親媒性メトキシポリ(エチレングリコール)-ポリ(ヘキシル置換ラクチド)ブロックコポリマー
本実施例は、バルクで、100℃において、触媒としての2-エチルヘキサン酸スズ(II)(Sn(Oct)
2)、および開始剤としてのメトキシポリ(エチレングリコール)(MPEG)の存在下で、モノおよびジヘキシル-置換ラクチド(mHLAおよびdiHLA)の開環重合(ROP)によって合成された、新規な両親媒性メトキシポリ(エチレングリコール)-ポリ(ヘキシル置換ラクチド)ブロックコポリマーを提示する。
1H NMRおよびGPCによって示されるように、予測可能な分子量および狭い多分散性のMPEG-PmHLAおよびMPEG-PdiHLAコポリマーが得られた。DSC実験は、MPEG-PHLAブロックコポリマーが、PHLAドメインから分離したMPEGドメインを含むバルク微小構造を提示することを示した。ミセルがこれらのブロックコポリマーから首尾よく調製され、サイズは30〜80nmの範囲であった。予想されたように、同じ組成および分子量のコポリマーについては、臨界ミセル濃度(CMC)は、ポリエステルブロック上のヘキシル基の数の増加に伴って減少することが見い出され(MPEG-PLA>MPEG-PmHLA>MPEG-PdiHLA)、希釈条件における薬物キャリアとしてこれらのミセルを想定することを可能にした。PLA鎖上のより多い数のヘキシル基によるミセルコアの疎水性の増加は、より大量の色素がミセル中に取り込まれるナイルレッド吸収実験によって証明された。これらのミセル状態の新規な両親媒性コポリマーは、これがグリセオフルビンモデル薬物を用いて示されたので、最適化された疎水性薬物封入のために大きな関心が持たれる。
【0169】
それらの安全性特性および生物分解性特性に起因して、両親媒性PEG-PLAまたはPEG-PLGAブロックコポリマーは、薬物キャリアとして、過去数十年間にわたって広範に(Kataoka et al., 2001; Yasugi et al., 1999; Riley et al., 2001; Lin et al., 2003)、特に最近では抗癌薬物の送達のために(Yoo and Park, 2001; Zhang et al., 2005)研究されてきた。このようなジ-ブロックコポリマーは、水性媒体中で自己集合し、疎水性ポリラクチドセグメントによって形成されるコア、および親水性PEG鎖からなる周囲の殻を有する球状ミセル(〜50nm)を形成することができる。後者の殻は、水系中での表面を安定化し、および生物学的成分との相互作用の減少に起因して、血液区画中での長い半減期を保証する(Gref et al., 1995)。多くの潜在的な疎水性薬物は、これらのミセルのコアに容易に包括可能であるが、薬物封入はしばしば低く、医学的適用のために効率的であるためには改善される必要がある。本発明者らは、最近、薬物放出、分解性、および注射可能性に関する標準的なPLAに対する代替としての新規なポリ(ヘキシル置換ラクチド)PHLAの潜在能力を記載した(Trimaille et al., 2004; 上記の実施例もまた参照されたい)。PEGを伴うこれらの疎水性アルキル置換PLAの使用は、それらのミセルサイズ、薬物封入、および分解性に起因して、薬物送達のために興味深いものであり得る。ここで、本発明者らは、これらの新規な両親媒性ブロックコポリマーの合成および特徴付け、ならびに疎水性薬物(グリセオフルビン)のカプセル化能力に関するミセルの調製および特性を説明する。結果は、同じ分子量および組成の、標準的なPLA-PEGジ-ブロックコポリマーとともに、議論および比較する。
【0170】
材料:ここでのすべての材料は実施例1に記載されるように調製した。
【0171】
モノマー合成:すべての合成したモノマーは実施例1に記載されるように調製した。
【0172】
ポリマーの合成および特徴付け:すべての合成したポリマーは上記の実施例に記載されるように調製および特徴付けした。
【0173】
ミセルの調製および特徴付け
20mgの精製コポリマーおよび異なる量のGFを2mLアセトンに溶解した。次いで、この溶液を、攪拌下で、4mLミリQ水に滴下して加えた(1滴/3秒)。アセトンおよび一部の水を減圧下で除去し、5.2mg/mLの典型的なミセル濃度に達した。
【0174】
ミセルの平均サイズは、25℃において90℃の散乱角度を用いて、He-Neレーザー(633nm)を備えたMalvern Zetasizer 3000HS(UK)を使用して、準弾性光散乱(QELS)によって決定した。
【0175】
ブランクミセル(GFなし)に対するナイルレッド吸収実験:20μLのナイルレッドのストック溶液(0.97mg/mLのTHF/アセトン 1/2)を、所定の濃度(2.1mg/mL)の各コポリマー(同じM
nおよび組成のMPEG -PLA、-PmHLA、-PdiHLA)からの1.5mLのミセル溶液に加えた。PEG溶液(2.1mg/mL水)、および純水(ミセル溶液の代わり)もまた、参照としてナイルレッドとインキュベートした。溶液は、暗所で一晩平衡化して、THFおよびアセトンを除去した。各溶液のUV-可視光スペクトルは450〜650nmで記録し、ナイルレッドなしで調製した対応するブランクで補正した。
【0176】
臨界ミセル濃度(CMC)の決定(ブランクミセル):蛍光測定を、ナイルレッドとともに実施し、CMCを決定した。5mg/mLのミセルのストック溶液から、異なる希釈液を調製して、0.0001〜1mg/mLの範囲の濃度の試料を得た。次いで、アセトン中の2μLのナイルレッドストック溶液(0.97mg/mL)を200μLの各試料に加え、アセトンをエバポレートした。蛍光測定を、Safire(Tecan)マイクロプレートリーダーを使用して、96ウェルプレートで実施した。発光スペクトルは、λ
exc=550nmを使用して、560〜750nmで記録した。CMCは、以前にCoutinho et al. (2002)によって記載されたように、コポリマー濃度の関数として、最大発光波長を表すプロット上の変曲点において決定した。
【0177】
HPLCによるGFレベルの測定
ミセル溶液は、6000gで7分間遠心分離し、包括されていないGFを除去した。次いで、100μLを900μLアセトニトリル中に溶解して、ミセルを破壊し、かつ包括されたGFをアッセイした。HPLCシステムは、ポンプ(Waters 600Eコントローラー)、オートインジェクター(Waters 717 plusオートサンプラー)、UV検出器(Waters 2487)、およびインテグレーター(Millenium software, Waters)からなった。使用したカラムは、5μm粒子サイズ、250mm長および4mm内径を有するNucleosil 100-5 C18(Macherey-Nagel(登録商標) Gmbh & Co., Duren, Germany)であった。移動相は、45mMリン酸二水素カリウム溶液(ミリQ水中)およびアセトニトリル(45v%)の混液であった。pH3にするためにピロリン酸を使用した。1mL/分の流速を使用した。この溶液は、使用前にヘリウムを用いて脱気した。2〜18μg/mLの範囲の濃度の水/アセトニトリル(1/9)中のGFの標準溶液を較正のために調製した。GFの典型的な保持時間は、293nmにおいてモニターされる9.5分であった。PEG-P(H)LAコポリマーがこの波長において干渉を起こしていないことを確認した。
【0178】
両親媒性PEG-PHLAの合成および特徴付け
本発明者らの以前の研究において、本発明者らは、官能基化ポリラクチド材料の設計のための新規なアルキル置換ラクチドモノマーの合成および開環重合を報告した(Trimaille et al., 2004)。本発明者らは、特に、開環重合後に、標準的なPLA/PLGAと比較して興味深い物理的特性を有する新規な生物分解性ポリマーに導いた、モノおよびジヘキシル置換ラクチド(それぞれmHLAおよびdiHLA)に焦点を当てた。ここで、新規な両親媒性ブロックコポリマーとして、PEGと組み合わせたこれらの疎水性ポリラクチドの潜在能力に関する研究を提示する。mHLA合成は、ヘプタナール1から大スケールで容易に合成される2-ヒドロキシオクタン酸2の、中間体エステル3に導く2-ブロモプロピオニルブロミドとの「二段階ワンポット」反応に基づき、この中間体は、トリエチルアミンを用いる塩基性反応条件への交換後閉環を受ける(スキーム5)。diHLA5は、Dean- Stark装置中で、p-トルエンスルホン酸との2-ヒドロキシオクタン酸の単純な縮合反応によって合成した。ジ-ブロックMPEG-PmHLA6およびMPEG-PdiHLA7コポリマーは、スキーム5に記載されるように、バルク中で、100℃で、開始剤としてメトキシ-PEG-OH 2000g/mol(DP〜45、MPEG2と呼ばれる)、およびFDA-認可触媒Sn(Oct)
2(モル比Sn(Oct)
2/MPEG=0.5)を使用して、mHLAおよびdiHLAのそれぞれ開環重合によって合成した。開始剤と触媒の両方は、THF中のストック溶液として使用し、溶媒は、重合の最初に反応フラスコから除去した。D,L-ラクチドは、参照として、同じ条件下で重合した。
【0179】
スキーム5
【0180】
異なるラクチドのROPの結果を表9に提示する。最初に、ROPを、mHLAとD,L-ラクチドの両方についての15の標的DPを用いて実施した。1時間の重合時間が、D,L-ラクチドのほぼ完全な転換(95%)に達するために十分であると思われる。同じ重合時間後のmHLAについて得られた転換は、ヘキシル側鎖基によってもたらされる立体障害に起因して、わずかに低かった(84%、データ示さず)。それゆえに、mHLAのROPは1.5時間の間実施し、転換はほぼ完全であった(94%)。1.5時間の重合時間はまた、30の標的DPについてmHLAの許容される転換に達するために十分であった(90%)。4時間の時間の延長が、さらに多くの立体障害を有するdiHLAについて、良好な転換(>90%)を得るために必要とされた。以下において、コポリマーは、それぞれ、MPEG2-PLA3、MPEG2-PHLA3およびMPEG2-PHLA5と称する(MPEGx-P(H)LAy、ここで、xおよびyは、それぞれ、MPEGおよびP(H)LAブロックのM
nをkg/molで表す)。
【0181】
(表9)開始剤としてMPEG 2000g/molを用いる異なるラクチドのROPによって得られるコポリマーの特徴(バルク、100℃)
【0182】
すべてのコポリマーの分子量は予想値と近く、狭い多分散性を有し(M
w/M
n〜1.15)、重合が十分に制御されたことを示した。MPEGに対して比較した、MPEG-PmHLAについてのGPC分析によって観察された保持時間のシフトは、MPEGの「マクロ-アルコール」が重合を十分に開始したことを示した。ポリマー特徴付けの1つの例として、
1H-NMRスペクトル(300MHz、CDCl
3)は、ヘキサン中での沈殿による精製後のMPEG-PHLAコポリマーについて決定した。MPEGとラクチドの両方のプロトンピークは明確に同定することができ、コポリマーの組成は、PEGのCH
2プロトンおよびヘキシルラクチドのメチンプロトンのピーク積分から誘導することができた。MPEG2-PmHLA3の
1H-NMRスペクトルもまた決定した。組成は予測したものに近く(表9)、ROPが十分に制御されたことを確認した。
【0183】
DSCによるコポリマー微小構造の分析
DSC実験は、コポリマー微小構造を解明するためにMPEG-PHLAコポリマーに対して実施し、結果はMPEG-PmHLAコポリマーの場合について
図9に示す。参照として、PmHLA5とMPEG2の両方のホモポリマーを分析した。PmHLA5は、低いTg=-16℃を示すアモルファスポリマーであるのに対して、MPEG2は高度に結晶性であり、融解ピークT
m=56℃を示す。MPEG-PHLAブロックコポリマーのDSCスペクトルは、両方のホモポリマーの特徴的な特性を示し、コポリマーがPmHLAドメインから分離したMPEGドメインを含むバルク微小構造を提示することを実証した。しかし、ホモポリマーと比較した、融点とガラス転移温度の両方のシフトは、両方のポリマー鎖の間に相互作用が存在することを示す。これらは、MPEG鎖ならびにPmHLA鎖の移動性を制限する、それらの共有結合のせいである可能性がある。ブロックコポリマー中のPmHLAの鎖長を増加させるとき、融解温度は、ピーク強度の減少と一緒に、低い値にシフトした(56℃から36℃まで)。このことは、MPEGホモポリマーと比較して、ブロックコポリマー中での結晶性がより顕著ではないことを実証する。コポリマーのT
g(-12.5℃および-13℃)は、PmHLAホモポリマーのT
g(-16.2℃)と比較して、わずかに増加した。これはまた、前に議論したように、コポリマー中に取り込まれたときの、PmHLAセグメントの移動性の減少におそらく起因する。
【0184】
MPEG2-PdiHLA3コポリマーについてのDSC分析は、典型的には、MPEG-PmHLAと同じプロフィールを示し、38℃のT
mおよび-42℃のT
gを有した(以前に報告されたように、M
n=5600g/molのPdiHLAホモポリマーのT
gは-47℃である(Trimaille et al., 2004))。
【0185】
ミセルの調製および特徴付け
疎水性P(H)LAおよび親水性PEGセグメントからなるジブロックコポリマーの両親媒性性質は、PLAコアおよびPEG殻を有する水中のミセルを形成する機会を提供する。同じ分子量(〜5000g/mol)および組成(PEG/PLA〜40/60、wt%)を有するMPEG2-PLA3、MPEG2-PLA3、MPEG2-PLA3コポリマーを、ミセル調製のために使用した。ポリマーミセルは、アセトンを使用する直接的沈殿法によって調製した(Yoo and Park, 2001)。後者は、ミセル調製後に減圧下で除去した。ミセルの平均サイズは、90℃においてQELS測定によって決定し、結果は表10に提示する(カラム0mg/g)。最も小さいミセルは、MPEG2-PdiHLA3コポリマーについて観察され、類似物MPEG2-PLA3およびMPEG2-PmHLA3についての約70nmと比較される、30nm平均直径を有した。このことは、鎖に沿ってヘキシル基の数を増加させたときのポリラクチドブロックのより高い疎水性によって説明することができ、ミセル調製の間に、非溶媒としての水の添加の際に、より強力な収縮に有利に働く。QELSによって与えられる多分散性指標はむしろ高かった(>0.2)ことが指摘される。実際、多モード分析は、多分散性の増加に寄与するいくつかの凝集(400〜700nm)の存在を示した。これらの凝集は、濾過によって容易に除去することができた。
【0186】
(表10)異なるコポリマーから調製したブランクおよびGF-封入ミセルの平均サイズ(準弾性光散乱測定によって決定、3連)
a準弾性光散乱測定によって提供された多分散性(μ
2/Γ
2)
aGFの導入量、ミセル調製のためのコポリマーのグラムあたりのミリグラム
【0187】
標準的なMPEG-PLAから調製したものと比較した、これらの新規なPHLAベースの両親媒性コポリマーから形成したミセルの特性をさらに特徴付けするために、ナイルレッドプローブ取り込み実験を実施した。この色素の最大吸収波長は、Davis et al. (1966)によってすでに報告されているように、その疎水的環境によって強く影響を受ける。各ミセル溶液中のナイルレッド溶液(2.1mg/mL)および混合物を、24時間ゆっくりと攪拌した。ミセルのコアへのナイルレッドの拡散の結果として、ミセル溶液はすぐに赤みがかった色に変わるのに対して、純粋なPEGを有する対照溶液および純水は着色しないままであった。UV-可視光スペクトルを、MPEG2-PLA3、MPEG2-PmHLA3およびMPEG2-PdiHLA3について記録した。最大波長吸収は、それぞれ545nmから540nmおよび535nmにシフトしており、PLA鎖上のヘキシル基の密度の増加の結果として、ミセルの極性が減少していることを明確に示す。さらに、ナイルレッド吸収は、ポリエステル上のヘキシル基の数の増加に伴ってより高かった。このことは、より多くの量のナイルレッド疎水性分子がミセルコアに取り込まれたことを示す。純粋なPEGから作られた試料について観察された外見上の吸収の非存在は、ナイルレッドが親水性PEGブロックについての親和性を有さないこと、およびミセルのコアに濃縮されている疎水性P(H)LAブロックと合わせて観察されるのみであることを確認した。
【0188】
臨界ミセル濃度(CMC)は、蛍光プローブとしてナイルレッドを使用して決定した。この分子が外見上水に不溶性であり、ミセルの疎水性領域にのみそれ自体可溶化するという事実に基づいて、
図10Bに示されるように、ミセルが形成するとすぐに、強烈な蛍光を観察することができる。ここで、最大蛍光強度は、ポリマー濃度の関数として提示される。CMCは、ポリマー濃度の関数として最大発光波長のプロットの変曲点において正確に決定することができ(
図19A)、これは、Coutinho et al. (2002)によって開発された方法である。予想されるように、MPEG2-PmHLA3およびMPEG2-PdiHLA3について決定されたCMCは、P(m/di)HLA3セグメントの疎水性の増加に起因して、10mg/Lを有する類似物MPEG2-PLA3と比較して、わずかに低く、それぞれ、8.5および8mg/mLであった。これらの低いCMC値は、非常に希釈された条件における薬物キャリアとして、これらの新規なミセルの使用を想定することを可能にする。
【0189】
標準的なPLAと比較して、ヘキシル置換PLAのミセルコアの強化された疎水的性質は、最適化された疎水性薬物封入のためにとりわけ関心を集め得る。この目的のために、これらの新規なミセル中のグリセオフルビン(GF)の取り込みを調べた。GF封入ミセルを調製するための手順は、GFが水相への添加の前にアセトン中でコポリマーとともに溶解されたことを除いて、ブランクのものと同じであった。アセトンの除去後、包括されていないGFは水に不溶性であり、遠心分離によって容易に除去された。どのような量のGFが使用されても、平均サイズは常に30〜80nmの範囲内に含まれた。異なるミセルに包括されたGFの量は、アセトニトリル中でのコポリマーの可溶化によるミセルの破壊後、HPLCによって評価した。
図11に示されるように、封入したGFのレベルは、導入されたGFの量がどれだけ であっても、より疎水性のコアを有するミセル中でより高かった。PLAベースのミセルと、PmHLAおよびPdiHLAベースのミセルの間で有意な違いが観察された。後者の2つについては、包括されたGFのレベルは比較的類似していた。
【0190】
本実施例は、開始剤としてメトキシ-末端PEGを使用し、触媒としてSn(Oct)
2の存在下でのモノヘキシル置換ラクチドのROPによる、新規な両親媒性MPEG-PHLAジ-ブロックコポリマーの合成および特徴付けを提供する。予想分子量および狭い分布が達成された。コポリマーの物理的特性はDSCによって決定し、これは、両方のホモポリマーから生じるアモルファスドメインおよび結晶性ドメインの存在を示した。ミセル(〜40-90nm)は、これらの新規なコポリマーから首尾よく調製された。ナイルレッドを用いるUV-可視光実験は、ポリエステル鎖上のヘキシル基の密度を増加させるときに、ミセルコアの強化された疎水性を示し、最大吸収波長のシフトの観察、およびより多量のナイルレッドの取り込みを伴った。CMCは、標準的なPLAベースのものについて得られた値(10mg/mL)よりも、モノおよびジヘキシル置換ポリラクチドベースのミセルについて、非常に低かった(8〜8.5mg/L)。このことは、極度の希釈条件における薬物キャリアとしてのこれらのミセルの使用を想定することを可能にする。内部ミセルコアのこの強化された疎水性は、グリセオフルビンモデル薬物について示されたように、高い疎水性薬物封入に導いた。最後に、コポリマー組成および分子量は、その物質について必要とされる最終的な特性に依存して、ROPの柔軟性のおかげで容易に調整可能であることが指摘される。
【0191】
実施例5
半固体生物分解性ネットワークの獲得のための新規なアクリル化星状ポリ(ヘキシル置換ラクチド)の合成および特徴付け
生物分解性PLAベースネットワークは、組織操作および薬物送達の鍵となる組織における材料としてのそれらの可能な応用のために、最近大きな注目を受けてきた(Barakat et al., 1996; Kelly et al., 2003)。現在では、生物分解性ネットワークの大部分が、さらなる架橋を有するアクリル化星状PLAに基づいている(Robson et al., 1993; Helminen et al., 2001)。本発明者らは、ここで、すでに報告されたような(Trimaille et al., 2004)、新規なアルキル置換ラクチドの合成および開環重合の本発明者らのアプローチに基づいて、このようなネットワークの特性を仕立てる可能性を説明する。特に、本発明者らは、ここで、半固体低ガラス転移温度ネットワークに導くアクリル化星状ポリ(モノヘキシル置換ラクチド)の合成および特徴付けを提示する。
【0192】
その合成が記載されているモノヘキシル置換ラクチド(mHLA)(Trimaille et al., 2005)は、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン(TE)および多官能性アルコール開始剤としてのペンタエリスリトール(PE)の存在下で重合し、それぞれ、3アームおよび4アームの星状構造を達成した。FDA認可Sn(Oct)
2を、触媒として、0.25の触媒対開始剤モル比で使用し、ROPを便利なバルク条件にて100℃で実施した。結果を表11に提示する。mHLA重合の最初のシリーズは、TE(エントリー2)およびPE(エントリー3)を用いて、30のDPを標的として実施した。転換は、両方の開始剤について3時間の反応後にほぼ完了し(95%)、予想分子量および狭い多分散性が得られた(Mw/Mn<1.20)。参照として、標準的なD,L-ラクチドを、TEを用いて同じ条件で重合し(例外としてトルエンを溶媒として使用した)、転換は全体であった(エントリー1)。mHLAの多分散性(1.16)と比較して得られたわずかに高い多分散性(Mw/Mn=1.26)は、完全な転換(100%、表11)におけるトランスエステル化副反応の開始に起因する可能性がある。
【0193】
(表11)星状ポリ(モノヘキシル置換ラクチド)の特徴付け
a溶媒としてトルエンを使用
b1H NMRによる
c重複に起因して決定せず
【0194】
1H NMRを使用して、3-アームおよび4-アームのDP30の星状PmHLAの構造を、以下に示すように確認した(CDCl
3、300MHz)。
【0195】
TEおよびPEを用いて開始した、標的DP30のPmHLAの
1H NMRスペクトルは、それぞれ、
図23A-Bに提示する。すべてのピークを同定し、特に、TE開始剤およびPE開始剤からのC
HOH末端基およびCH
2シングレットは、後者が重合を開始する際に有効であったことを示し、ポリマーの星状構造を実証した。それにも関わらず、PE開始重合については、これらのピークの重複が、DPの計算(CH
2およびメチンプロトンの積分から)を許容しなかった。TEによって開始される重合については、計算は可能であり、実験的に得られたDPは予測値と実際に近接していた(表11)。この開始剤からのCH
3シングレット(約1ppm)もまた明確に同定した。
【0196】
次いで、TEおよびPEを用いるmHLAの重合の制御は、60および120のより高いDPを標的とすることによって、5時間の重合時間を用いてさらに調べた(表11、エントリー4-7)。予測されたものよりも低いMWおよびDP、ならびにより高い多分散性によって証明されるように、重合制御の損失を観察した。TEおよびPEによって開始されるポリマーのGPCクロマトグラムをさらに詳細に調べると、適度に狭くかつ対称なピークを30の標的DPについて観察したのに対して、わずかにショルダーを有するピークをより高い標的DPについて観察し、予測したよりも高い多分散性および低いMWを説明した。しかし、この現象は、PEを用いて開始したものよりも、TEを用いて開始した重合について顕著ではなく、「ショルダー」効果は、最大の標的DP120についてのみ観察した(PEについては、これはDP60と120の両方について観察した)。このことは、TEアルコールが重合の間にモノマーを融解する際に良好な溶解性であったのに対して、PEは溶解物またはトルエンおよびTHFのような溶媒のいずれかに不溶性であったという事実によるものである可能性がある。従って、後者のアルコールを用いる開始はより効率が悪く、結果として、すべての鎖が、「活発な」重合プロセスのために必要とされるようなように、同時に開始および伝搬することができない。
【0197】
PmHLAから生物分解性ネットワークを得るための観点で、次いで、ポリマーのアルコール末端基を塩化アクリロイルの使用を通して、スキーム6に記載されるようにアクリル化した。星状PLAもまた、参照として試験した。アクリル化収率は、精製(MeOH中での沈殿による)後に、
1H NMRによって、開示剤から生じるCH
2のものと、ビニルプロトンのピーク積分を比較することによって計算した。
1H NMRは、大過剰の塩化アクリロイル(ポリマーのアルコール末端基あたり〜75当量)の存在下で、アクリル化の前後で精製星状PHmLAについて得た。アクリル化収率は非常に良好であり(>95%)、分子量および多分散性の値は、アクリル化前に得た値と同様であった(
図12)。
【0198】
スキーム6:3-アーム星状PmHLAのアクリル化反応
【0199】
(表12)アクリル化星状(3アーム)PmHLAおよびPLAポリマーの特徴
【0200】
次いで、従来的なAIBN開始剤(ポリマーの二重結合あたり10mol%)を使用して、得られるポリマーの架橋を実施した。THF中で70℃における1時間の反応後、THF中で不溶性であり、かつこの溶媒によって膨張した固形混合物から見られるような、ネットワークが形成した。得られたネットワークのガラス転移温度(-20.5℃)は、アクリル化の前後でのst-PmHLAの値(-13.7℃および-14.2℃)とは有意に異なっており、星状ポリマーと比較して、得られたネットワークの新規な特性を実証した。本研究は、生物分解性半固体ネットワークを容易に得る可能性を示す。
【0201】
モノヘキシル置換ラクチドは、以前に記載されたように(Trimaille et al., 2005)合成し、Purac Biochem (The Netherlands) からのD,L-ラクチドは真空下で送達し、保存のために直接的にグローブボックスに移した。2-エチルヘキサン酸スズ(II)(Sn(Oct)
2)、ペンタエリスリトール(PE)および1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン(TE)はAldrich (Buchs, Switzerland) から購入し、塩化アクリロイルおよびα,α'-アゾイソブチロニトリル(AIBN)はFluka (Buchs, Switzerland) から購入した。PEおよびTEは、使用前に真空下で注意深く乾燥した。溶媒は標準的な方法によって乾燥し、使用前に蒸留した。
【0202】
星状P(mH)LA合成
重合は、典型的には、バルク中で(モノヘキシル置換ラクチド)、またはトルエン中で(D,L-ラクチド)、触媒としてのSn(Oct)
2、および多官能性開始剤としてのPEまたはTEの存在下で(モル比Sn(Oct)
2/開始剤=0.25)、1gのモノマーを用いて実行した。攪拌子を備えた反応フラスコにセプタムを装着し、真空下で炎に当て、そしてモノマーで満たしたグローブボックスに配置した。典型的な手順において(30の標的重合度[DP]について)、1.0gモノヘキシル置換ラクチド(9.34mmol)を、27.7mg TEとともに融解のために加熱し、120μL Sn(Oct)
2ストック溶液(THF中0.20g/μL)をアルゴン雰囲気下で加え、この混合物を100℃まで加熱した。所望の反応時間において、〜100mgの混合物を取り出し、反応を非乾燥THFを加えることによってクエンチし、続いて冷MeOH中での沈殿および真空下で40℃での乾燥を行った。
【0203】
アクリル化星状P(mH)LA
反応混合物の残りは、乾燥THF中のポリマー(3mL)のアルコール末端基に関して大過剰の塩化アクリロイルを加えることによってクエンチした。この溶液を室温で16時間攪拌し、1mLの水を加えて、残りの塩化アクリロイルを加水分解した。ポリマーはメタノール中で沈殿させた。
【0204】
アクリル化星状P(mH)LAの架橋
アクリル化ポリマーは、AIBN(二重結合あたり10mol%)とともにTHF中に溶解した。この溶液をアルゴンで30分間脱気し、次いで70℃まで加熱した。ネットワークは、1時間〜1時間30分後に形成した(THF中で不溶性)。
【0205】
ポリマーの特徴付け
重合転換およびDPは、
1H NMR分析、ならびにゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による分子量および多分散性によって決定した。
1H NMRスペクトルは、重水素化クロロホルム中で、Brukerスペクトル分析装置(300 MHz)を用いて記録した。GPCは、Styragel HR 1-4カラム(Waters)を装着し、かつWaters 410示差屈折計に接続されたWatersクロマトグラファー上で実行した。THFが連続相であり、既知の分子量:500、2630、5970、9100、37900、96400g/mol(Tosoh Corporation)のポリスチレンを較正標準として使用した。
【0206】
ポリマーの熱分析は、示差走査熱量計(SSC/5200, Seiko Instruments)を用いて実施した。加熱は10℃/分の流速にて窒素下で実施し、温度はインジウム標準を用いて較正した。
【0207】
本明細書に開示されかつ特許請求されるすべての組成物および/または方法は、本開示に鑑みて、過度の実験を伴うことなく、作製および実行することができる。本発明の組成物および方法は好ましい態様に関して記載されてきたが、本発明の概念、技術思想、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される組成物および/または方法、ならびに方法の工程または工程の順番にバリエーションが適用可能であることは当業者には明らかである。より具体的には、化学的と生理学的の両方で関連する特定の薬剤が、同じまたは類似の結果が達成されながら、本明細書に記載される薬剤の代わりに置換可能であることは明らかである。当業者には明白であるこのようなすべての類似の置換および修飾は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の技術思想、範囲、および概念の範囲内にあると見なされる。
【0208】
参考文献
以下の参考文献は、これらが例示的な手順または本明細書に示される手順に対して補充的である他の詳細を提供する程度まで、参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
米国特許第5,792,451号
米国特許第5,399,363号
米国特許第5,466,468号
米国特許第5,466,468号
米国特許第5,543,158号
米国特許第5,580,579号
米国特許第5,629,001号
米国特許第5,641,515号
米国特許第5,641,515号
米国特許第5,725,871号
米国特許第5,756,353号
米国特許第5,780,045号
米国特許第5,804,212号
米国特許第6,126,919号
米国特許第6,469,133号
米国特許第6,613,308号
米国特許第6,753,514号