【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、冒頭部分で述べたパンチリベット取付用金型において、基部の中央領域に環状の半径流抑止装置を形成し、該環状の半径流抑止装置が、該環状の半径流抑止装置の内周領域から流出する半径方向の材料流を制限するようにすることにより達成される。
【0009】
上述の特許文献1においては、用いる手法は、実質的に、材料成形動作中に、中央領域において圧力を解放させるものであるが、本発明は、環状の半径流抑止装置を設けることを提案する。この場合に達成できることは、半径流抑止装置の環状形状により、中央領域に比較的高い圧力が作用する可能性があるにも関わらず、材料の流れ、特に被加工物最下層の材料の流れが、半径方向には制限できることである。
【0010】
これは、安全な残留基部厚さを達成することを可能にするものであり、特に長いパンチリベット、例えば8mmより長いもの、特に10mmより長いパンチリベットの場合においても、安全な残留基部厚さを達成することを可能にするものである。
言い換えると、該環状形状により、かつ、中央領域において比較的高い力をかけることができるという事実により、安全な残留基部厚さが達成される。
安全な残留基部厚さを達成することにより、パンチリベット接合部が、パンチリベットの端部とパンチリベット接合部の底面との間の領域において閉じられた状態に留まること、つまり、特に、ひび割れが発生しないという状態を達成することが可能になる。これは、腐食の問題の防止を可能にするものである。
さらに、好ましいことに、比較的小さい軸方向厚さを有するパンチリベット接合部を形成することが可能になる。
【0011】
使用できるパンチリベットは、6mmより長く、特に7mmより長い軸方向の全長を有するものであることが好ましい。特に、全長は、8乃至14mmの範囲とすることができる。
これにより、目的は完全に達成される。
【0012】
特に好ましい実施形態によれば、半径流抑止装置は、凹部の基部上に環状隆起部を有する。凹部の基部は、平坦であることが好ましいが、環状隆起部内の中央領域に、基部に対してオフセットされたキャビティを有するものとすることもできる。
【0013】
このパンチリベット取付用金型を用いて実施されるパンチリベット取付方法の場合には、パンチの圧力を通して、リベットシャンクの中の材料に高い圧力が印加される。特に成形動作の最終段階において、環状隆起部内の中央領域から出る被加工物最下層の半径方向材料流は、環状隆起部により防止されるか、又は少なくとも抑制される。その結果、高い圧力にも関わらず、残留基部厚さがゼロまで減少するのが防止され、すなわち、この領域におけるひび割れの発生が防止される。
【0014】
中央領域に比較的高い圧力を作用させることができるので、さらに、被加工物最下層の領域において、中空シャンクの安全な拡がりを達成でき、高い強度のパンチリベット接合部を達成することができる。
基部に対する環状隆起部の高さは、凹部の深さに高さ係数0.05乃至0.5を乗じた範囲にあることが特に好ましい。
特に、高さ係数は、0.1乃至0.4の範囲であることが好ましく、0.15乃至0.25の範囲であることが特に好ましい。
かかる高さの環状隆起部は、特に良好なパンチリベット接合部をもたらすことが分かっている。
【0015】
さらに別の好ましい実施形態によれば、環状隆起部は、先端の領域において丸められ、この丸められた部分は、0.1mm乃至1mmの範囲の先端半径を有するものとされる。
この先端半径は、0.15mm乃至0.4mmの範囲であることが特に好ましく、特に0.2mm乃至0.3mmの範囲にあることが好ましい。
このような丸めた形状にすることにより、ノッチにおける応力の増大を防止できる。
【0016】
代替的実施形態によれば、環状隆起部は、先端に向かって鋭角となるように、つまり断面が概ね三角形となるように形成される。
過剰なノッチの応力が先端領域で発生しない状態が保証されるように隆起部を形成する必要があるが、この実施形態の場合には、必要に応じて、半径方向流をより大きい程度まで抑止することができる。
【0017】
好ましい実施形態によれば、環状隆起部は、先端領域で平らにされる。
この変形態様は、必要に応じて安価に作製でき、それにも関わらず半径流抑止装置の機能を達成できる。
先端の領域で平らにされた環状隆起部の場合にも、基部に対する高さは、凹部の深さに0.01乃至0.3の高さ係数を乗じた範囲とすることができる。
【0018】
さらに、環状隆起部の隆起部直径は、パンチリベット取付用金型と共に用いることができる半中空リベットのシャンク内径に隆起部直径係数1.0乃至2.0を乗じた範囲とすることが有利である。
隆起部直径係数は、1.2乃至1.8の範囲、特に1.4乃至1.6の範囲であることが特に好ましい。
【0019】
この手法により達成されることは、パンチリベットの取付工程中に、シャンクの底部端が半径方向に広げられた状態にされた場合であっても、広げられたパンチリベットシャンクの下方に位置する凹部の基部の比較的大きい部分が環状隆起部により囲まれた状態にあり、材料の半径方向流出が防止されることである。
この場合において、隆起部の直径は、凹部の基部の直径の0.5倍より大きく、特に0.55倍より大きくすることができる。
【0020】
さらに別の好ましい実施形態は、請求項1の前提部分と組み合わせることにより明確に区別される発明を構成するものであるが、この実施形態によれば、半径流抑止装置が凹部の基部にキャビティを有し、該キャビティが、該キャビティから出る半径方向の材料流を制限する。この場合における基部のキャビティは、このキャビティがパンチリベット取付工程中にパンチリベットのシャンク内の圧力を大きくは低下させず、かつ長いパンチリベット及び/又は2つより多い被加工物を用いるパンチリベット接合部の場合であっても、シャンクの安全な拡がりを可能にするように設けられることが好ましい。しかし、このキャビティの縁部により、キャビティの領域から出る材料の半径方向流が制限され、それにより、なお安全な残留基部厚さを達成することができる。
【0021】
一般的に、キャビティは、均一の深さ、つまりキャビティの基部が平坦なものすることができる。その結果、安全な残留基部厚さを達成することができる。
代替的な好ましい実施形態によれば、キャビティは環状のキャビティである。
環状のキャビティの場合には、該環状キャビティの内側領域は、パンチリベット取付の接合動作中に、リベットシャンクの内側領域に比較的高い圧力を維持することができる。
この環状キャビティの内側領域は、凹部の基部と少なくとも部分的に同一平面内にあるように位置決めすることができる。
しかし、環状キャビティの内側領域は、凹部の基部に対してオフセットされることが特に好ましい。
【0022】
これにより、パンチの軸方向の圧力によって材料がキャビティ内に流入させられたとき、半径方向流を環状キャビティの外径部分により制限することを保証できる。
一般的に、環状キャビティの内側領域は、凸状、つまり突起の形態で設けることができる。特に、環状キャビティは、断面がW形状を有するように形成することができる。
一般的に、キャビティの型式に関わらず、該キャビティは、凹部の深さに0.05乃至0.5の深さ係数を乗じた範囲の深さを有するものとすることが好ましい。
【0023】
深さが比較的小さいので、パンチリベット取付工程中に、パンチリベットシャンクの内側に、特にパンチリベットシャンクの端部の領域に、比較的高い圧力を作用させて多くの被加工物を接合する場合、及び/又はパンチリベットの軸長が長い場合であっても、安全な拡がりを達成することができる。
【0024】
深さ係数は、0.1乃至0.4の範囲、特に0.15乃至0.25の範囲にあることが好ましい。
さらに別の好ましい実施形態によれば、キャビティの直径は、パンチリベット取付用金型と共に用いることができる半中空リベットのシャンク内径に0.1乃至1.0のキャビティ直径係数を乗じた範囲にされる。
この実施形態においては、半径方向流は中央領域に制限され、その結果、該半径方向流は、中空パンチリベットシャンクの広げられた端部よりも小さくなる。
【0025】
残留基部厚さが許容できないほど減少する危険性があり、特に中央領域においてそのような危険性があるが、該中央領域における半径方向流のこのような制限は、パンチリベット接合部の所望の品質を達成するのに十分であるようにするものであることが分かった。
【0026】
キャビティ直径係数は、0.5乃至1.0の範囲、特に0.8乃至1.0の範囲にあることが特に好ましい。
一般的に、最終的に半径方向流を制限するものとなるキャビティの環状外壁からキャビティ基部まで、すなわち凹部基部までの遷移部分を、傾斜させて設けることが考えられる。
しかし、遷移部は半径部とされることが好ましい。
【0027】
特に好ましい実施形態によると、キャビティの環状外壁からキャビティ基部までの遷移部は、丸みを付された形状とし、その丸みを付された部分は、0.1mm乃至1mmの範囲、好ましくは0.3mm乃至0.7mmの範囲、特に好ましくは0.4mm乃至0.6mmの範囲のキャビティ基部半径を有するものとする。
特に、上述のキャビティの深さとの組み合わせにより、この実施形態の場合には、一方では、最下部被加工物の材料の半径方向流の十分な制限を達成し、同時に、許容できない応力、又は縁部の剥がれを防止することができる。
【0028】
同様の理由により、キャビティの環状外壁から凹部の基部までの遷移部は、丸みを付されており、この丸みを付された部分は、0.1mm乃至2mmの範囲、特に0.1mm乃至1mmの範囲、特に好ましくは0.1mm乃至0.6mmの範囲、好ましくは0.2mm乃至0.4mmの範囲のキャビティ遷移部半径を有するものとすることができる。
さらに、上記の目的は、パンチリベット取付用パンチを備えるパンチリベット取付用ヘッドがパンチング方向に可動であるように取り付けられ、かつパンチリベット取付用金型が固定されたフレームを備える、パンチリベット取付用工具により達成される。
【0029】
最後に、上記の目的は、本発明による型式のパンチリベット取付用金型の上面に配置された、少なくとも2つ、好ましくは3つの被加工物のパンチリベット接合部を形成するための方法であって、半中空パンチリベットを最上部の被加工物に打ち込み、半中空パンチリベットの中空シャンクを最下部被加工物に貫入させ、そこで半径方向に広がらせ、パンチリベット取付用金型によりパンチリベット接合部の底部が形成されるようにするステップを含む方法により達成される。
【0030】
上述の特徴及び以下にこれから説明する特徴は、それぞれ特定される組み合わせのみでなく、本発明の範囲から逸脱することなく、他の組み合わせ又は単独でも適用できることを理解されたい。
本発明の例示的実施形態は、図面に示され、以下により完全に説明される。