(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559211
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】機械可読の制御手段および/または動作手段を作製する方法
(51)【国際特許分類】
B22F 3/16 20060101AFI20190805BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20190805BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20190805BHJP
B29C 64/264 20170101ALI20190805BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
B22F3/16
B29C64/393
B33Y10/00
B29C64/264
B22F3/105
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-228834(P2017-228834)
(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公開番号】特開2019-23339(P2019-23339A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2017年11月29日
(31)【優先権主張番号】17182646.4
(32)【優先日】2017年7月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シューマン
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ハーテル
(72)【発明者】
【氏名】ティーモ・フォイクト
【審査官】
中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/169785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/105
B22F 3/16
B29C 64/268
B29C 64/393
B29C 67/00
B28B 1/30
B33Y 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギービーム(4)によって固化することができる造形材料層(3)を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させる、ソフトウェア製品である機械可読の制御手段および/または動作手段(M)を作製する方法であって、この方法が、
作製すべき前記機械可読の制御手段および/または動作手段(M)が有しているか、または作製すべき前記機械可読の制御手段および/または動作手段(M)が生成するかした、公にアクセス可能なネットワーク資源上に公開される指定のデータ形式を、3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の製造業者によって提供するステップと、
前記指定のデータ形式を有する暫定的な制御手段および/もしくは動作手段(PM)、または前記指定のデータ形式を有するデータを生成することができる暫定的な制御手段および/もしくは動作手段(PM)を、外部のソフトウェア提供業者によって作製するステップと、
前記作製された暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)が少なくとも1つの事前定義された認証基準を満たすかどうかを、装置(1)を実際に制御し、および/または動作させることなく、3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の製造業者によって確認するステップと、
前記暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)が少なくとも1つの認証基準を満たす場合、前記暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)に少なくとも1つの認証キー(K)を、暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)内に追加しまたは埋め込むことができる暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)に対するデータ拡張部として、3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の内部または外部で提供される認証デバイスにより提供することによって、前記機械可読の制御手段および/または動作手段(M)を、3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の製造業者によって作製するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記事前定義された認証基準が、
3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の少なくとも1つの機能を活動化もしくは非活動化する少なくとも1つの動作機能、および/または
3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の少なくとも1つの活動化された機能を制御する少なくとも1つの制御機能、および/または
3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の少なくとも1つの機能の動作中に少なくとも1つの安全方策を活動化、制御、もしくは非活動化する少なくとも1つの安全機能、および/または
3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)のユーザインターフェースの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)が、3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させるために使用することができない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)が、3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させることをシミュレートするために使用することができる、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)が、3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)によって機械で読み取ることができない、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記認証キーが、3次元の物体(2)を付加製造する装置(1)の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させることをシミュレートするために、前記暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)を使用できることを可能にする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記認証デバイスが、前記暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)の以前のバージョンと比較して、前記暫定的な制御手段および/または動作手段(PM)の変化を確認および検出する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記ソフトウェア製品が制御ソフトウェア製品である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
エネルギービーム(4)によって固化することができる造形材料(3)の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体(2)を付加製造するための装置(1)を動作させる方法であって、前記装置(1)が、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法によって作製される機械可読の制御手段(M)に基づいて、少なくとも部分的に制御および/または動作されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギービームによって固化することができる造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造する装置の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させる機械可読の制御手段および/または動作手段を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギービームによって固化することができる造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって、たとえば選択的レーザ焼結プロセスまたは選択的レーザ融解プロセスによって、3次元の物体を付加製造する装置および方法が、広く知られている。また、これらの装置および方法の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させるための制御手段および/または動作手段が使用されることも知られている。
【0003】
多くの場合、これらの制御手段および/または動作手段は、3次元の物体を付加製造するそれぞれの装置および方法の製造業者ではなく、外部のサービス供給業者、たとえばソフトウェア開発供給業者によって作製される。それぞれの装置および方法の動作に関する種々の態様、たとえばそれぞれの装置および方法の安全性、信頼性、生産性などに関する態様を考慮すると、外部のサービス供給業者によって提供される制御手段および/または動作手段が指定要件を満たすことを、製造業者が確認および承認できることが重要である。
【0004】
従来、外部のサービス供給業者によって提供される制御手段および/または動作手段は、3次元の物体を付加製造する装置の機能を制御し、動作させるためにすぐに使用することができる。したがって、3次元の物体を付加製造する装置は、概して、外部のサービス供給業者によって提供されるそれぞれの制御手段および/または動作手段に基づいて、製造業者によって承認されることなく動作させ、および/または制御することができる。
【0005】
したがって、3次元の物体を付加製造するための装置または方法を実際に制御し、および/または動作させる前に、外部のサービス供給業者によって提供される制御手段および/または動作手段がすべての指定要件を満たすことを、製造業者が確認および承認することを可能にする確実かつ実用的な方策が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、3次元の物体を付加製造するための装置または方法を制御し、および/または動作させる前に、外部のサービス供給業者によって提供される制御手段および/または動作手段がすべての指定要件を満たすことを、製造業者が確認および承認することを可能にする確実かつ実用的な方策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1に記載の機械可読の制御手段および/または動作手段を作製する方法によって実現される。請求項1に従属する請求項は、請求項1に記載の方法の可能な実施形態に関する。
【0008】
本明細書に記載する方法は、エネルギービームによって固化することができる典型的には粉末状の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体を付加製造する装置(以下、「装置」)の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させる機械可読の制御手段および/または動作手段(以下、「手段」)を作製することに関する。それぞれの装置は、たとえば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ融解装置、または選択的電子ビーム融解装置とすることができる。装置の機能は、この装置によって実施することができる付加製造プロセスに関連して、装置の任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施される機能要素の任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施される機能とすることができる。
【0009】
この装置の第1の例示的な機能群は、造形平面内に造形材料を連続して層ごとに塗布し、造形平面内のそれぞれの造形材料層をエネルギービームで選択的に照射することに関連する機能を指すことができる。したがって、この装置の機能は、造形平面内に造形材料層を塗布する装置の1つ、2つ以上、またはすべての機能を含む造形材料塗布機能、少なくとも1つのエネルギービームによって造形平面内の造形材料層を選択的に照射する装置の1つ、2つ以上、またはすべての機能を含むエネルギービーム照射機能、などとすることができる。
【0010】
この装置のさらに例示的な機能群は、データ準備および/またはデータ処理に関連する機能を指すことができる。したがって、この装置の機能は、付加製造すべき物体のデータを準備および/または処理し、たとえば付加製造すべき物体の幾何特性、特に形状を含むデータから付加製造すべき物体のスライスを含むデータを生成する装置の1つ、2つ以上、またはすべての機能を含む物体関連データ準備および/またはデータ処理機能、プロセス監視デバイス(カメラ、センサなど)から出力されたデータ、たとえば装置のプロセスチャンバ、造形平面内の融解プール領域などからの化学的および/または物理的データ、を処理するこの装置の1つ、2つ以上、またはすべての機能を含むプロセス監視関連データ処理機能、とすることができる。
【0011】
この方法の第1のステップとして、作製すべき手段が有しまたはこの手段が生成する指定のデータ形式が提供される。作製すべき手段が有しまたは生成する指定のデータ形式の提供は通常、装置の製造業者によって行われる。したがって、指定のデータ形式は、典型的には、3次元の物体を付加製造する装置の製造業者によって提供される。データ形式は、特別な製造業者の装置のみによって読み取ることができる特別なデータ形式とすることができる。
【0012】
作製すべき手段の指定のデータ形式は、公にアクセス可能なプラットホーム上で公開することができる。言い換えれば、指定のデータ形式は、公にアクセス可能なネットワーク資源、たとえばインターネット上に公開することができ、そのネットワーク資源からダウンロードすることができる。これは、装置の製造業者が複数の外部のサービス提供業者に接触する非常に容易なやり方である。
【0013】
第1のステップに続くこの方法の第2のステップとして、指定のデータ形式を有する暫定的な制御手段および/または動作手段(以下、「暫定的な手段」)、または指定のデータ形式を有するデータを生成することができる暫定的な手段が作製される。暫定的な手段の作製は通常、外部のサービス供給業者、たとえば外部のソフトウェア提供業者によって行われる。したがって、暫定的な手段は典型的には、外部のソフトウェア提供業者によって作製される。「外部」という用語は、サービス供給業者またはソフトウェア提供業者がそれぞれ、この装置の製造業者に経済的に関係しない独立した経済的実体、たとえば個人、会社などであり、またはそれに属すことを意味する。
【0014】
暫定的な手段は、装置の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させるように構成されていない。言い換えれば、暫定的な手段は、装置の少なくとも1つの機能を実際上制御し、および/または動作させるために使用することはできない。暫定的な手段は、装置によって機械可読でないように、すなわち装置によって機械で読み取ることができないように構成することができる。しかし、暫定的な手段は、シミュレーションの目的で、すなわち特に装置の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させることをシミュレートするために使用することができる。
【0015】
第2のステップに続くこの方法の第3のステップとして、作製された暫定的な手段が少なくとも1つの事前定義された認証基準を満たすかどうかが確認される。暫定的な手段が少なくとも1つの事前定義された認証基準を満たすかどうかの確認は通常、装置を実際に制御し、および/または動作させることなく暫定的な手段の機能を確認することを含む。暫定的な手段が少なくとも1つの事前定義された認証基準を満たすかどうかの確認は通常、装置の製造業者によって行われる。したがって、事前定義された基準もまた、通常、装置の製造業者によって事前定義される。この確認は、暫定的な手段が少なくとも1つの事前定義された基準を満たす場合、装置の製造業者がこの暫定的な手段を承認することができる承認ステップを含むことができる。
【0016】
事前定義された認証基準は、暫定的な手段に認証キーを提供する前に確認および承認する必要がある暫定的な手段の少なくとも1つの機能に関することができる。事前定義された認証基準は、装置または装置の機能構成要素、たとえば造形材料塗布ユニット、照射ユニット、データ処理ユニットなどの少なくとも1つの機能を活動化または非活動化する少なくとも1つの動作機能に関することができる。また、事前定義された認証基準は、装置または装置の機能構成要素、たとえば造形材料塗布ユニット、照射ユニット、データ処理ユニットなどの少なくとも1つの活動化された機能を制御する少なくとも1つの制御機能に関することができる。また、事前定義された認証基準は、装置の少なくとも1つの機能の動作中に、少なくとも1つの安全方策、たとえば装置の少なくとも1つの機能構成要素の安全中断または停止を活動化、制御、または非活動化する少なくとも1つの安全機能に関することができる。また、事前定義された認証基準は、装置のユーザインターフェース、たとえばグラフィカル・ユーザインターフェースの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関することができる。
【0017】
第3のステップに続くこの方法の第4のステップとして、暫定的な手段が少なくとも1つの認証基準を満たす場合、暫定的な手段に少なくとも1つの認証キーを提供することによって、機械可読の手段、すなわち最終製品が作製される。第4のステップは、暫定的な手段が装置の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させるように構成されていないため、手段を作製する決定的ステップである。認証キーは、暫定的な手段内に追加しまたは埋め込むことができる暫定的な手段に対するデータ拡張部とすることができ、装置の少なくとも1つの機能を実際上制御し、および/または動作させるために暫定的な手段を使用できることを可能にする。したがって、この手段は、暫定的な手段に少なくとも1つの認証キーを提供することによって実際に生成される。暫定的な手段に認証キーを提供する結果、装置の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させるように(次いで)構成される手段が得られる。暫定的な手段への認証キーの提供は通常、装置の製造業者によって行われる。
【0018】
この方法は、3次元の物体を付加製造するための装置または方法を実際に制御し、および/または動作させる前に、外部のサービス供給業者によって提供される制御手段および/または動作手段がすべての指定要件を満たすことを、装置の製造業者が確認および承認することを可能にする確実かつ実用的な方策を提供する。
【0019】
認証キーは、装置の内部または外部で提供される、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施される認証デバイスによって提供することができる。認証デバイスは典型的には、装置の製造業者の制御下にある。
【0020】
認証デバイスは、暫定的な手段の以前のバージョンと比較して暫定的な手段の変化を確認および検出するように構成することができる。したがって、認証デバイスは、暫定的な手段の変化を判定するために使用することができる。これに関して、認証デバイスは、暫定的な手段の以前のバージョンと比較して検出された暫定的な手段の変化を示すメッセージを出力するように構成することができる。
【0021】
認証キーは、時間に依存する有効期限を有することができる。したがって、認証キーの有効期限は、特定の期間、たとえば特定の日数、月数、年数後に切れることができる。認証キーの有効期限が切れた後は、認証キーの更新を必要とすることができる。
【0022】
典型的には、この手段は、ソフトウェア製品、特に制御または動作のソフトウェア製品である。したがって、典型的には、ソフトウェア製品がこの手段として作製される。特に、付加製造すべき物体のデータを準備および/または処理し、たとえば付加製造すべき物体の幾何特性、特に形状を含むデータから付加製造すべき物体のスライスを含むデータを生成するソフトウェア製品を、手段として作製することができる。そのようなソフトウェア製品を、スライシングソフトウェア製品と呼ぶことができる。
【0023】
本発明はさらに、エネルギービーム、たとえばレーザまたは電子ビームによって固化することができる造形材料の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射し、それに付随して固化することによって3次元の物体を付加製造するための装置を動作させる方法に関する。この方法は、この装置が、上述した方法によって作製される機械可読の制御手段に基づいて部分的に動作および/または制御されることを特徴とする。したがって、手段を作製する方法に関するすべての注釈・記載が同様に当てはまる。
【0024】
本発明の例示的な実施形態について、図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一実施形態による機械可読の制御手段および/または動作手段を作製する方法の流れ図である。
【
図2】3次元の物体を付加製造する装置の主要な図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、一実施形態による機械可読の制御手段および/または動作手段Mを作製する方法の流れ図を示す。
【0027】
この方法は、エネルギービーム4によって固化することができる造形材料層3を連続して層ごとに選択的に照射および固化することによって3次元の物体2を付加製造する装置1の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させる機械可読の制御手段および/または動作手段Mを作製することに関する。
【0028】
装置1の機能は、装置1によって実施することができる付加製造プロセスに関連して、装置1の任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施される機能要素の任意のハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施される機能とすることができる。
【0029】
作製すべき手段Mは、典型的には、ソフトウェア製品、特に制御または動作のソフトウェア製品である。このソフトウェア製品は、付加製造すべき物体2のデータを準備および/または処理し、たとえば付加製造すべき物体2の幾何特性、特に形状を含むデータから付加製造すべき物体2のスライスを含むデータを生成する、ソフトウェア製品とすることができる。そのようなソフトウェア製品を、スライシングソフトウェア製品と呼ぶことができる。
【0030】
第1のステップS1として、作製すべき手段Mが有するかまたは作製すべき手段Mが生成するかした指定のデータ形式が提供される。手段Mが有しまたは生成する指定のデータ形式の提供は通常、装置の製造業者によって行われる。データ形式は、特別な製造業者の装置1のみによって読み取ることができる特別なデータ形式とすることができる。
【0031】
作製すべき手段Mの指定のデータ形式は、公にアクセス可能なプラットホーム上に、すなわち公に利用可能なネットワーク資源、たとえばインターネット上に公開することができ、そのネットワーク資源からダウンロードすることができる。
【0032】
第2のステップS2として、指定のデータ形式を有する暫定的な制御手段および/または動作手段PMが作製されるか、または指定のデータ形式を有するデータを生成することができる暫定的な制御手段および/または動作手段PMが作製される。暫定的な手段PMの作製は通常、外部のサービス供給業者、たとえば外部のソフトウェア提供業者によって行われる。したがって、暫定的な手段PMは典型的には、外部のソフトウェア提供業者によって作製される。
【0033】
暫定的な手段PMは、装置1の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させるように構成されておらず、したがって装置1の少なくとも1つの機能を実際上制御し、および/または動作させるために使用することはできない。これは、暫定的な手段PMが装置1によって機械可読でなく、すなわち装置1によって機械で読み取ることができないことで実現することができる。しかし、暫定的な手段PMは、シミュレーションの目的で、すなわち特に装置1の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させることをシミュレートするために使用することができる。
【0034】
第3のステップS3として、作製された暫定的な手段PMが少なくとも1つの事前定義された認証基準を満たすかどうかが確認される。暫定的な手段PMが少なくとも1つの事前定義された認証基準を満たすかどうかの確認は、通常、装置1を実際に制御し、および/または動作させることなく暫定的な手段PMの機能を確認することを含む。暫定的な手段PMが少なくとも1つの事前定義された認証基準を満たすかどうかの確認は、通常、それぞれの装置1の製造業者によって行われる。この確認は、暫定的な手段PMが少なくとも1つの事前定義された基準を満たす場合、製造業者がこの暫定的な手段PMを承認することができる承認ステップを含むことができる。
【0035】
事前定義された認証基準は、暫定的な手段PMに認証キーKを提供する前に確認および承認する必要がある暫定的な手段PMの少なくとも1つの機能に関することができる。事前定義された認証基準は、装置1または装置1の機能構成要素、たとえば造形材料塗布ユニット、照射ユニット、データ処理ユニットなどの少なくとも1つの機能を活動化または非活動化する少なくとも1つの動作機能に関することができる。また、事前定義された認証基準は、装置1または装置1のそれぞれの機能構成要素の少なくとも1つの活動化された機能を制御する少なくとも1つの制御機能に関することができる。また、事前定義された認証基準は、装置1の少なくとも1つの機能の動作中に、少なくとも1つの安全方策、たとえば装置1の少なくとも1つの機能構成要素の安全中断または停止を活動化、制御、または非活動化する少なくとも1つの安全機能に関することができる。また、事前定義された認証基準は、装置1のユーザインターフェース、たとえばグラフィカル・ユーザインターフェースの少なくとも1つのユーザインターフェース機能に関することができる。
【0036】
第4のステップS4として、暫定的な手段PMが少なくとも1つの認証基準を満たす場合、暫定的な手段PMに少なくとも1つの認証キーKを提供することによって、機械可読の手段M、すなわち最終製品が作製される。第4のステップは、暫定的な手段PMが装置1の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させるように構成されていないため、手段Mを作製する決定的ステップである。認証キーは、暫定的な手段PMに対するデータ拡張部とすることができ、装置の少なくとも1つの機能を実際上制御し、および/または動作させるために暫定的な手段PMを使用できることを可能にする。暫定的な手段PMに認証キーKを提供する結果、装置1の少なくとも1つの機能を制御し、および/または動作させるように(次いで)構成される手段Mが得られる。暫定的な手段PMへの認証キーKの準備・提供は通常、装置1の製造業者によって行われる。
【0037】
認証キーKは、装置1の内部または外部で提供される、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施される認証デバイス(図示せず)によって提供することができる。認証デバイスは典型的には、装置1の製造業者の制御下にある。
【0038】
認証デバイスは、暫定的な手段PMの以前のバージョンと比較して暫定的な手段PMの変化を確認および検出するように構成することができる。認証デバイスは、暫定的な手段PMの以前のバージョンと比較して検出された暫定的な手段PMの変化を示すメッセージを出力するように構成することができる。
【0039】
認証キーKは、時間に依存する有効期限を有することができる。したがって、認証キーKの有効期限は、特定の期間、たとえば特定の日数、月数、年数後に切れることができる。したがって、認証キーKの有効期限が切れた後は、認証キーKの更新を必要とすることができる。
【0040】
手段Mは、エネルギービーム、たとえばレーザまたは電子ビームによって固化することができる粉末状の造形材料の造形材料層を連続して層ごとに選択的に照射し、それに付随して固化することによって3次元の物体2を付加製造する装置1を動作させる方法において使用することができる。装置1の動作は、手段Mに基づいて少なくとも部分的に制御される。
【0041】
図2は、エネルギービーム4によって固化することができる粉末状の造形材料3、たとえば金属粉末の層を連続して層ごとに選択的に照射し、それに付随して固化して3次元の物体2、たとえば技術的な構成要素、を付加製造する装置1の主要な図を示す。
【0042】
選択的レーザ融解装置として実施することができる装置1の本質的な機能構成要素のみ、すなわち造形材料塗布ユニット5、照射ユニット8、制御ユニット6、およびデータ処理ユニット7のみを
図2に示し、以下で説明する。被覆デバイスを備えることができる造形材料塗布ユニット5は、装置1の造形平面9内において造形材料層を塗布するように構成される。エネルギービーム生成デバイスおよびエネルギービーム偏向デバイスを備えることができる照射ユニット8は、造形材料層9を少なくとも1つのエネルギービーム4で選択的に照射するように構成される。制御ユニット6は、制御データまたは動作データに基づいて、装置1の機能構成要素、たとえば造形材料塗布ユニット5および照射ユニット8、の動作を制御するように構成される。データ処理ユニット7は、それぞれの制御データまたは動作データを生成するように構成される。手段Mは、データ処理ユニット7内で実施することができるし、またはデータ処理ユニット7自体となる(で代表される)ことができる。