(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記直動型ガイドユニットの前記ガイドレールは、前記曲状の搬送経路の曲率中心から第一距離の位置に設けられ、前記曲動型ガイドユニットの前記ガイドレールは、前記曲率中心から前記第一距離の位置に比べて前記搬送経路の外周側に設けられている、請求項7〜10のいずれか一項記載の搬送システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
1.第一実施形態
本実施形態に係る搬送システム1は、例えば生産設備等において、部品・組立体等の対象物を搬送する。
図1に示すように、搬送システム1は、少なくとも一つのガイドユニット100及びキャリア200を備える。搬送システム1は、複数のガイドユニット100及び複数のキャリア200を備えてもよい。ガイドユニット100は、搬送経路MRを構成する。搬送システム1が複数のガイドユニット100を備える場合、複数のガイドユニット100は互いに連なって一連の搬送経路MRを構成する。キャリア200は、部品や組立体等の対象物を支持し、搬送経路MRに沿って移動する。
【0012】
(ガイドユニット)
図2及び
図3に示すように、ガイドユニット100は、搬送経路MRに沿うように設けられた少なくとも一本のガイドレール110及び固定子130を有する。ガイドユニット100は、後述の車輪210の走行面121を更に有してもよく、ガイドレール110は走行面121を含む平面から突出していてもよい。
【0013】
より具体的な例として、ガイドユニット100は、基台101と、走行面121と、二本のガイドレール110と、固定子130と、二つの側壁102とを有する。基台101は搬送経路MRに沿って延びると共に、水平面内において搬送経路MRに直交する方向に幅を有している。
【0014】
固定子130は、基台101上の中央部において搬送経路MRに沿って延びており、例えばボルト締結などによって基台101に固定されている。ガイドユニット100同士を連結すると、固定子130同士が連結される。
【0015】
走行面121は、基台101上において、二本の走行ラインML上に設けられている。二本の走行ラインMLは、搬送経路MRに直交する方向で固定子130を挟み、それぞれ搬送経路MRに沿う。
【0016】
ガイドユニット100は、走行面121を構成するための二本の支持レール120を更に有してもよい。二本の支持レール120は、基台101上において二本の走行ラインMLにそれぞれ沿い、例えばボルト締結等によって基台101に固定される。走行面121は、支持レール120上に構成される。以下、二本の支持レール120の一方(例えば
図2の左側の支持レール120)を支持レール120Aとし、他方を支持レール120Bとしてこれらを区別する。また、これに対応し、二本の走行ラインMLの一方を走行ラインML1とし、他方を走行ラインML2としてこれらを区別する。ガイドユニット100同士を連結すると、支持レール120A同士が連結され、支持レール120B同士が連結され、走行面121同士が連結される。
【0017】
走行面121同士の連結部J1,J2は、平面視で搬送経路MRに対し傾斜していてもよい。また、走行ラインML1,ML2にそれぞれ形成される二箇所の連結部J1,J2の位置は、搬送経路MRに沿う方向において互いにずれていてもよい。なお、「平面視」は、走行面
121に直交する方向(例えば鉛直上方)から見ることを意味する。以下においても同様である。
【0018】
連結部J1,J2は、例えば次のように構成される。ガイドユニット100の一端側において、支持レール120Aの端面122は、基台101の端面から突出している。支持レール120Bの端面122は、基台101の端面から窪んでいる。いずれの端面122も、平面視で搬送経路MRに対し傾斜している。支持レール120Aの端面122が傾く方向と、支持レール120Bの端面122が傾く方向とは一致していてもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
ガイドユニット100の他端側において、支持レール120Aの端面123は、基台101の端面から窪んでいる。支持レール120Bの端面123は、基台101の端面から突出している。いずれの端面123も、平面視で搬送経路MRに対し傾斜している。支持レール120A,120Bのそれぞれにおいて、端面123が傾く方向は端面122が傾く方向に一致している。
【0020】
ガイドユニット100同士を連結すると、支持レール120A,120Bの両方において、突出した端部が窪んだ端部側に嵌り込み、端面122と端面123とが近接する。これにより、支持レール120A,120B上に上記連結部J1,J2が構成される。端面122,123が搬送経路MRに対し傾斜しているので、連結部J1,J2も搬送経路MRに対して傾斜する。支持レール120A側では端面122が突出すると共に端面123が窪み、支持レール120B側では端面122が窪むと共に端面123が突出するので、連結部J1,J2の位置が互いにずれる。なお、各支持レール120において、突出した端部が窪んだ端部側に嵌り込むことで、ガイドユニット100同士の位置合わせが容易となる。
【0021】
二本のガイドレール110は、基台101上において搬送経路MRに直交する方向に並び、それぞれ搬送経路MRに沿う。二本のガイドレール110は、二本の支持レール120の外側に配置され、基台101に固定される。なお、互いに対向する二部材の「内側」とは、上記二部材により区画される三領域のうち、上記二部材の間の領域側を意味する。上記二部材の「外側」とは、上記三領域のうち、上記二部材の間の領域以外の領域側を意味する。
【0022】
以下、二本のガイドレール110の一方(例えば
図2の左側のガイドレール110)をガイドレール110Aとし、他方をガイドレール110Bとしてこれらを区別する。ガイドユニット100同士を連結すると、ガイドレール110A同士が連結され、ガイドレール110B同士が連結される。
【0023】
二つの側壁102は、基台101上において搬送経路MRに沿うように設けられ、互いに対向する。二つの側壁102は、二本のガイドレール110の外側に配置され、基台101に固定される。以下、二つの側壁102の一方(例えば
図2の左側の側壁102)を側壁102Aとし、他方を側壁102Bとしてこれらを区別する。ガイドユニット100同士を連結すると、側壁102A同士が連結され、側壁102B同士が連結される。
【0024】
ガイドユニット100の構成材料に特に制限はないが、各部材の構成材料の一例として、アルミ系の合金等の比較的軽量な金属材料が挙げられる。
【0025】
(キャリア)
図2及び
図3に示すように、キャリア200は、ガイドレール110に側方から接する少なくとも一つのローラ220と、可動子240とを有する。キャリア200は、走行面121に接する少なくとも一つの車輪210を更に有してもよい。ここで、「接する」とは、厳密な常時接触を意味するものではなく、案内又は支持機能を実質的に損なわない範囲での一時的な遊離を排除するものではない。
【0026】
より具体的な例として、キャリア200は、シャーシ201と、四つの車輪210と、六つのローラ220と、可動子240とを含む。シャーシ201上の中央部には、後述のドライバ回路260等を収容可能な筐体203が形成されている。筐体203の上には、搬送の対象物を支持するためのトレー204を装着可能である。シャーシ201の下には、二組の車軸保持壁202が形成されている。二組の車軸保持壁202は、搬送経路MRに沿って並んでいる。各組の車軸保持壁202は、搬送経路MRに直交する方向において、シャーシ201の中央部を挟んで対向している。
【0027】
可動子240は、平面視にて固定子130に重なるように配置される。例えば可動子240は、シャーシ201において固定子130側に設けられる。より具体的に、可動子240は、車軸保持壁202同士の間において、シャーシ201の下部にボルト締結等によって固定されている。なお、可動子240はシャーシ201の上部に固定されていてもよい。
【0028】
車輪210は、水平な軸線まわりに回転自在となるように、車軸保持壁202に取り付けられている。四つの車輪210は、搬送経路MRに直交する方向で可動子240を挟み、二本の走行ラインML1,ML2に対応するように分散配置される。例えば二つの車輪210は、走行ラインML1に対応する支持レール120Aに接するように配置され、他の二つの車輪210は、走行ラインML2に対応する支持レール120Bに接するように配置される。以下、支持レール120Aに接する二つを車輪210Aとし、支持レール120Bに接する二つを車輪210Bとしてこれらを区別する。
【0029】
二つの車輪210Aは、シャーシ201の下方において搬送経路MRに沿って並び、支持レール120A側の二つの車軸保持壁202にそれぞれ取り付けられている。二つの車輪210Bは、シャーシ201の下方において搬送経路MRに沿って並び、支持レール120B側の二つの車軸保持壁202にそれぞれ取り付けられている。
【0030】
ローラ220は、鉛直な軸線まわりに回転自在となるように、シャーシ201の下部に取り付けられる。六つのローラ220は、二つのローラ220Aと、二つのローラ220Bと、ローラ220Cと、ローラ220Dとを含む。
【0031】
二つのローラ220Aは、ガイドレール110Aの片方の側面に接し、搬送経路MRに沿って並ぶ。二つのローラ220Bは、ガイドレール110Bの両方の側面のうち、上記片方の側面と逆向きの側面に接し、搬送経路MRに沿って並ぶ。ローラ220Cは、搬送経路MRに沿う方向において二つのローラ220Aの間に位置し、ローラ220Aの逆側においてガイドレール110Aの側面に接する。ローラ220Dは、搬送経路MRに沿う方向において二つのローラ220Bの間に位置し、ローラ220Bの逆側においてガイドレール110Bの側面に接する。
【0032】
一例として、ローラ220Aはガイドレール110Aの外側面111(ガイドレール110Bの逆側の側面)に接し、ローラ220Bはガイドレール110Bの外側面111(ガイドレール110Aの逆側の側面)に接する。ローラ220Cはガイドレール110Aの内側面112(ガイドレール110B側の側面)に接し、ローラ220Dはガイドレール110Bの内側面112(ガイドレール110A側の側面)に接する。ローラ220C,Dの少なくとも一方は、車輪210同士の間に位置してもよい。一例として、ローラ220Cは車輪210A同士の間に位置し、ローラ220Dは車輪210B同士の間に位置する。
【0033】
六つのローラ220の高さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。一例として、ガイドレール110A,110Bの間に位置するローラ220C,220Dは、ガイドレール110A,110Bの外側に位置するローラ220A,220Bに比べて低位置に配置されていてもよい。
【0034】
搬送経路MRに沿う方向において、二つのローラ220Aの中間位置CP1、二つのローラ220Bの中間位置CP2、及び可動子240の中心CP3は互いに一致していてもよい。なお、二つのローラ220Aの中間位置CP1とは、平面視において、ローラ220Aの中心同士を結ぶ線分を二等分する位置を意味する。二つのローラ220Bの中間位置CP2とは、平面視において、ローラ220Bの中心同士を結ぶ線分を二等分する位置を意味する。
【0035】
六つのローラ220の少なくともいずれかは、位置調節機構230を介してシャーシ201に取り付けられていてもよい。例えば、二つのローラ220Aが、位置調節機構230を介してシャーシ201に取り付けられていてもよい。
図4に示すように、位置調節機構230は、ローラ保持部231と、少なくとも一つの固定ボルト232とを有する。ローラ保持部231は、下方に延びる軸233と、軸233の上部に設けられたブラケット234とを有する。シャーシ201には、軸233を通すための孔201aが形成されている。孔201aの内径は、軸233の外径よりも大きい。ブラケット234には、固定ボルト232を通すための孔235が設けられている。孔235の内径は、固定ボルト232の外径よりも大きい。
【0036】
ローラ保持部231の軸233は、上方から孔201aに通され、ブラケット234がシャーシ201の上面に突き当たる。この状態で、固定ボルト232は上方から孔235に通され、シャーシ201にねじ込まれる。これにより、ローラ保持部231がシャーシ201に締結される。ローラ220Aは、シャーシ201の下に通された軸233の端部に取り付けられる。孔201aの内径が軸233の外径よりも大きく、孔235の内径が固定ボルト232の外径よりも大きいので、固定ボルト232を緩めるとローラ保持部231の位置をずらすことが可能となる。これにより、ローラ220Aの位置調節が可能となる。このため、例えば製造上の誤差等に応じて、ガイドレール110とローラ220との位置関係を調整できる。
【0037】
なお、孔201a及び孔235は、所定方向における調整代を大きくするように長穴であってもよい。例えば孔201a及び孔235は、搬送経路MRに直交する方向に広がった長穴であってもよい。この場合、搬送経路MRに直交する方向において、ローラ220Aの位置の調整代が大きくなる。
【0038】
キャリア200の構成材料に特に制限はないが、各部材の構成材料として、アルミ系の合金等の比較的軽量な金属材料が挙げられる。また、位置調節機構230は、シャーシ201に比べ、硬度の高い材料で構成されていてもよい。例えば、シャーシ201がアルミ系の合金で構成される場合、ローラ保持部231は高硬度の鉄鋼材料で構成されてもよい。この場合、ブラケット234の下面に凹凸を形成してもよい。凹凸がシャーシ201の表面に食い込むので、調整後の位置ずれをより確実に防止できる。
【0039】
なお、ガイドユニット100の構成材料についても、アルミ系の合金等を挙げたが、ガイドユニット100の支持レール120を車輪210に比較して高硬度な材料で構成してもよい。更に、ガイドユニット100のガイドレール110をローラ220に比較して高硬度な材料で構成してもよい。例えば車輪210及びローラ220がアルミ系の合金で構成される場合には、支持レール120を鉄鋼又はステンレス等で構成してもよいし、ガイドレール110を鉄鋼又はステンレス等で構成してもよい。
【0040】
支持レール120を車輪210に比較して高硬度の材料で構成することで、支持レール120の消耗を抑制することができる。これにより、キャリア200の交換頻度に比較してガイドユニット100の交換頻度を低減できる。ガイドレール110をローラ220に比較して高硬度の材料で構成することで、ガイドレール110の消耗を抑制することもできる。これにより、ガイドユニット100の交換頻度を更に低減できる。キャリア200に比較して交換し難いガイドユニット100の交換頻度を低減することで、搬送設備のメンテナンス性を向上させることができる。本実施形態では、基台101に対して支持レール120及びガイドレール110が別体となっている。このため、支持レール120及びガイドレール110を比較的高硬度の材料(例えば鉄鋼、ステンレス等)で構成しつつ、基台101を比較的軽量な材料(例えばアルミ系の合金)で構成することで、ガイドユニット100全体での重量増加を抑制することもできる。
【0041】
以上に例示した構成によれば、車輪210(転がり部材)が走行面121に接することにより、固定子130が位置する方向へのキャリア200の移動が規制される。また、ローラ220(転がり部材)がガイドレール110に接することにより、固定子130の側方へのキャリア200の移動が規制される。すなわち、車輪210及び走行面121と、ローラ220及びガイドレール110とは、搬送経路MRに直交する少なくとも一方向(三方向)への移動を転がり部材により規制する手段として機能する。
【0042】
(曲動型ガイドユニット及び直動型ガイドユニット)
図1及び
図3に示すように、搬送システム1が複数のガイドユニット100を備える場合において、複数のガイドユニット100は、曲動型ガイドユニット100A及び直動型ガイドユニット100Bを含んでもよい。曲動型ガイドユニット100Aは、平面視で曲がった搬送経路MR1を構成する。直動型ガイドユニット100Bは、平面視で直状の搬送経路MR2を構成する。
【0043】
曲動型ガイドユニット100Aにおいてローラ220A又はローラ220Bが搬送経路MR1の外周側から接する側面は、当該側面に対応する直動型ガイドユニット100Bの側面に連なる円弧に比べて搬送経路MR1の外周側に膨らんでいてもよい。以下、このように膨らんだ状態を「凸状」という。曲動型ガイドユニット100Aにおいてローラ220A又はローラ220Bが搬送経路MR1の内周側から接する側面は、当該側面に対応する直動型ガイドユニット100Bの側面に連なる円弧に比べて搬送経路MR1の外周側に窪んでいてもよい。以下、このように窪んだ状態を「凹状」という。なお、「内周側」とは、搬送経路MR1の曲率中心CC1側を意味し、「外周側」とは、曲率中心CC1の逆側を意味する。
【0044】
図5及び
図6は、曲動型ガイドユニット100Aのガイドレール110Aが搬送経路MR1の外周側に位置する場合を例示している。ローラ220Aは、ガイドレール110Aの上側部分の外側面111bに対し、搬送経路MR1の外周側から接する。ローラ220Bは、ガイドレール110Bの上側部分の外側面111bに対し、搬送経路MR1の内周側から接する。
【0045】
ガイドレール110Aの外側面111bは、直動型ガイドユニット100Bのガイドレール110Aの外側面111に連なる円弧AL1に比べて搬送経路MR1の外周側に膨らんでいる。以下、この外側面111bを「凸状の外側面111b」という。ガイドレール110Bの外側面111bは、直動型ガイドユニット100Bのガイドレール110Bの外側面111に連なる円弧AL2に比べて搬送経路MR1の外周側に窪んでいる。以下、この外側面111bを「凹状の外側面111b」という。なお、ガイドレール110A,110Bの下側部分の外側面111aは、円弧AL1,AL2にそれぞれ一致している。
【0046】
凸状の外側面111bが円弧AL1に比べて膨らむ量(以下、「膨らみ量」という。)と、凹状の外側面111bが円弧AL2に比べて窪む量(以下、「窪み量」という。)とは、例えば次のように設定される。すなわち、膨らみ量は、キャリア200の中心が円弧AL1,AL2から等距離に位置する状態で、二つのローラ220Aに内接する円弧に凸状の外側面111bが一致するように設定される。窪み量は、キャリア200の中心が円弧AL1及び円弧AL2から等距離に位置する状態で、二つのローラ220Bに外接する円弧に凹状の外側面111bが一致するように設定される。なお、「キャリア200の中心」とは、ローラ220A同士の中間位置CP1と、ローラ220B同士の中間位置CP2とを結ぶ線分を二等分する位置を意味する。また、「一致する」とは、実質的な一致を意味し、製造上の誤差範囲でのずれを含む。
【0047】
キャリア200が直状の搬送経路MR2に沿って移動する際に、二つのローラ220Aの軌道は、これらの中間位置CP1の軌道に一致する。二つのローラ220Bの軌道は、これらの中間位置CP2の軌道に一致する。キャリア200が曲がった搬送経路MR1に沿って移動する際には、ローラ220Aの軌道が中間位置CP1の軌道に対して搬送経路MR1の外周側にずれ、ローラ220Bの軌道も中間位置CP2の軌道に対して搬送経路MR1の外周側にずれる。このため、ローラ220C,220Dを有しない構成において、凹状の外側面111b及び凸状の外側面111bを設けない場合には、曲動型ガイドユニット100Aにおけるキャリア200の軌道と、直動型ガイドユニット100Bにおけるキャリア200の軌道とにずれが生じることとなる。
【0048】
これに対し、凹状の外側面111b及び凸状の外側面111bを設けると、曲動型ガイドユニット100Aにおけるキャリア200の軌道と、直動型ガイドユニット100Bにおけるキャリア200の軌道とのずれが小さくなる。このように、凹状の外側面111b及び凸状の外側面111bは、曲動型ガイドユニット100Aにおけるキャリア200の軌道と、直動型ガイドユニット100Bにおけるキャリア200の軌道とのずれを小さくするように、キャリア200の軌道を調整する手段として機能する。「キャリア200の軌道」とは、キャリア200の中心の軌道である。
【0049】
なお、ローラ220C,220Dを有する構成において、凹状の外側面111b及び凸状の外側面111bを設けない場合には、曲動型ガイドユニット100Aにおいてガイドレール110とローラ220とが干渉するので、キャリア200は曲動型ガイドユニット100A上を移動不能となる。
【0050】
直動型ガイドユニット100Bにおいて、ローラ220Aが接する側面及びローラ220Bが接する側面の両端部には、上記凹状の外側面111bに連なる窪み部が形成されていてもよい。例えばローラ220A,220Bが外側面111に接する構成においては、外側面111の両端部に上記窪み部(図示の窪み部111c)が形成される。
【0051】
窪み部111cは、ガイドレール110Bの外側面111と、ガイドレール110Aの凹状の外側面111bとを緩やかに結ぶように形成されていればよい。一例として、窪み部111cは、平面視で円弧状となるように形成されている。
図5においては、直動型ガイドユニット100Bのガイドレール110Bの外側面111と、曲動型ガイドユニット100Aの凹状の外側面111bとが、窪み部111cによって緩やかに接続されている。
【0052】
図7に示すように、直動型ガイドユニット100B同士が接続される場合には、ガイドレール110A,110Bのいずれにおいても窪み部111c同士が連なる。これにより、ガイドレール110A,110Bのいずれにおいても、外側面111同士が緩やかに接続される。
【0053】
曲動型ガイドユニット100Aの凸状の外側面111bの両端部にも、他の曲動型ガイドユニット100Aの凹状の外側面111bに連なる窪み部111cが形成されていてもよい。
図8は、曲動型ガイドユニット100A同士が互いに逆向きに連なる連結部を例示している。図示左側の曲動型ガイドユニット100Aにおいては、ガイドレール110Aが搬送経路MR1の外周側に位置しており、ガイドレール110Aの外側面111bの両端部に窪み部111cが形成されている。この窪み部111cにより、図示左側の凸状の外側面111bと、図示右側の凹状の外側面111bとが緩やかに接続されている。
【0054】
図示右側の曲動型ガイドユニット100Aにおいては、ガイドレール110Bが搬送経路MR1の外周側に位置しており、ガイドレール110Bの外側面111bの両端部に窪み部111cが形成されている。この窪み部111cにより、図示左側の凹状の外側面111bと、図示右側の凸状の外側面111bとが緩やかに接続されている。
【0055】
また、曲動型ガイドユニット100Aの窪み部111c及び直動型ガイドユニット100Bの窪み部111cにより、曲動型ガイドユニット100Aの凸状の外側面111bと、直動型ガイドユニット100Bの外側面111とが緩やかに接続される(
図5参照)。
【0056】
(固定子及び可動子)
ガイドユニット100の固定子130及びキャリア200の可動子240は、互いに協働して搬送経路MRに沿う推力を発生させる。一例として、固定子130は磁性部材を含み、可動子240は、磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、搬送経路MRに沿う推力を発生する複数のコイルを含む。すなわち固定子130及び可動子240は、MC(Moving Coil)型のリニアモータを構成する。
【0057】
可動子240の複数のコイルは、搬送経路MRに沿う推力に加え、固定子130の磁性体に対する吸引力を発生してもよい。この場合、可動子240及び固定子130の間に生じる吸引力により、固定子130の逆側へのキャリア200の移動が規制される。上述したように、搬送経路MRに直交する一方向へのキャリア200の移動を転がり部材により規制する手段を備える構成において、可動子240及び固定子130は、搬送経路MRに直交する他方向へのキャリア200の移動を非接触で規制する手段として機能する。
【0058】
以下、
図9を参照し、固定子130及び可動子240の具体的な構成例を説明する。固定子130は、軟質磁性材料により構成された磁性部材131を有する。軟質磁性材料としては、例えば鉄系の金属材料が挙げられる。磁性部材131は複数の突極132を含む。複数の突極132は、搬送経路MRに沿って並び、それぞれ可動子240側に突出する。
【0059】
磁性部材131は、突極132の突端部と走行面121との高低差が小さくなるように、走行ラインML1,ML2間に埋設されていてもよい。例えば磁性部材131は、支持レール120A,120Bの間に嵌め込まれていてもよい。これにより、突極132の突端部と走行面121との高低差がゼロとなっていてもよい。
【0060】
可動子240は、コア241と、複数のコイル243とを有する。コア241は、搬送経路MRに沿って並ぶティース242を有する。複数のコイル243は、ティース242をそれぞれ囲むように巻かれており、平面視にて磁性部材131に重なる。複数のコイル243には、互いに位相の異なる交流電力がそれぞれ供給される。これにより、可動子240は搬送経路MRに沿った移動磁界を発生する。この移動磁界が磁性部材131の突極132に作用することにより、搬送経路MRに沿う推力及び磁性部材131に対する吸引力が発生する。
【0061】
なお、固定子130及び可動子240の構成はここに例示したものに限られない。固定子130及び可動子240は、電力の供給に応じて搬送経路MRに沿う推力を発生可能であればどのように構成されていてもよい。例えば磁性部材131は永久磁石により構成されていてもよい。可動子240に永久磁石が付加されていてもよい。
【0062】
更に、可動子240が磁性部材131を有し、固定子130がコア241及びコイル243を有していてもよい。すなわち固定子130及び可動子240は、MM(Moving Magnet)型のリニアモータを構成してもよい。
【0063】
(導電線及びブラシ)
固定子130及び可動子240がMC型のリニアモータを構成する場合、キャリア200に対する給電及び通信を行うために、ガイドユニット100は、
図2に示すように少なくとも四本の導電線140を更に有してもよい。キャリア200は、少なくとも四つのブラシ250及び少なくとも一つのドライバ回路260を更に有してもよい。
【0064】
少なくとも四本の導電線140は、二本の給電線及び二本の通信線を含む。二本の給電線は、ドライバ回路260に電力(例えば直流電力)を供給する。二本の通信線は、キャリア200に対する情報通信用の電気信号を伝送する。導電線140は、搬送経路MRに沿うように設けられており、ガイドユニット100同士を連結すると、導電線140同士も連結される。
【0065】
少なくとも四つのブラシ250は、二つの給電ブラシ及び二つの通信ブラシを含む。二つの給電ブラシは、上記二本の給電線にそれぞれ接するように設けられ、キャリア200への電力を中継する。二つの通信ブラシは、上記二本の通信線にそれぞれ接するように設けられ、上記電気信号を中継する。
【0066】
少なくとも四組の導電線140及びブラシ250は、搬送経路MRに直交する方向において、可動子240の両側に均等な数で分散配置されてもよい。
【0067】
図2に例示するように、ガイドユニット100は、四本の給電線140A〜140D及び四本の通信線140E〜140Hを含む八本の導電線140を有してもよい。これに対応し、キャリア200は、四つの給電ブラシ250A〜250D及び四つの通信ブラシ250E〜250Hを有してもよい。この場合、給電線140A,140B及び給電線140C,140Dの二系統での電力供給が可能となり、通信線140E,140F及び通信線140G,140Hの二系統での情報通信が可能となる。
【0068】
各ブラシ250は、保持部251及び接触端子252を有する。保持部251はシャーシ201に固定され、接触端子252を保持する。保持部251は、接触端子252を導電線140に押し付けるための弾性部材を内蔵している。
【0069】
八組の導電線140及びブラシ250は、搬送経路MRに直交する方向において、可動子240の両側に均等な数で分散配置される。例えば給電線140A,140B及び通信線140E,140Fは、一方の側壁102Aの内側面(側壁102B側の側面)に設けられ、給電線140C,140D及び通信線140G,140Hは、他方の側壁102Bの内側面(側壁102A側の側面)に設けられる。側壁102Aにおける給電線140A,140B及び通信線140E,140Fの配置と、側壁102Bにおける給電線140C,140D及び通信線140G,140Hの配置とに制限はないが、給電線140A〜140Dは、通信線140E〜140Hに対して走行面121側に位置していてもよい。
【0070】
給電ブラシ250A,250B及び通信ブラシ250E,250Fは、搬送経路MRに直交する方向において側壁102A及び可動子240の間に配置され、互いに重なった状態でシャーシ201上に固定される。給電ブラシ250A,250B及び通信ブラシ250E,250Fのそれぞれは、接触端子252が側壁102Aに対向するように配置されている。給電ブラシ250A,250B及び通信ブラシ250E,250Fの接触端子252は、保持部251に内蔵された弾性部材により、給電線140A,140B及び通信線140E,140Fにそれぞれ押し付けられる。
【0071】
給電ブラシ250C,250D及び通信ブラシ250G,250Hは、搬送経路MRに直交する方向において側壁102B及び可動子240の間に配置され、互いに重なった状態でシャーシ201上に固定される。給電ブラシ250C,250D及び通信ブラシ250G,250Hのそれぞれは、接触端子252が側壁102Bに対向するように配置されている。給電ブラシ250C,250D及び通信ブラシ250G,250Hの接触端子252は、保持部251に内蔵された弾性部材により、給電線140C,140D及び通信線140G,140Hにそれぞれ押し付けられる。
【0072】
ブラシ250は、上述したように、給電線140A〜140Dからキャリア200への電力、及び通信線140E〜140Hとキャリア200との間の電気信号を中継する手段として機能する。また、ブラシ250は、可動子240の両側に均等な数で分散配置されることにより、搬送経路に沿う軸線まわりのモーメントを打ち消す手段として機能する。
【0073】
ドライバ回路260はブラシ250から供給された電力を駆動用の電力に変換して可動子240に出力する。ドライバ回路260は、ブラシ250同士の間において、可動子240との間にシャーシ201を挟むように設けられている。上述のように可動子240がシャーシ201の下に設けられている場合、ドライバ回路260はシャーシ201の上に設けられる。例えばドライバ回路260は、シャーシ201上の筐体203内に設けられる。
【0074】
図10に示すように、ガイドユニット100は、導電線140及びブラシ250を覆うカバー103を有していてもよい。例えば、カバー103は、側壁102の上端部からブラシ250の上に係るように張り出した上板104と、上板104の縁部から鉛直方向下向きに延び、筐体203及びブラシ250の間に入り込む側板105と、を有する。これにより、導電線140及びブラシ250の接続部をしっかりと保護することができる。
【0075】
導電線140及びブラシ250の数は、適宜変更可能である。例えば、
図11に示すように、ガイドユニット100は、可動子240の両側のそれぞれに、二本の通信線及び一本の給電線を含む三本の導電線140を有していてもよい。例えばガイドユニット100は、側壁102A側に二本の通信線140E,140F及び一本の給電線140Aを有し、側壁102B側に二本の通信線140G,140H及び一本の給電線140Bを有してもよい。
【0076】
これに対応し、キャリア200は、可動子240の両側のそれぞれに、二つの通信ブラシ及び一つの給電ブラシを含む三つのブラシ250を有していてもよい。例えばキャリア200は、側壁102A側に二つの通信ブラシ250E,250F及び一つの給電ブラシ250Aを有し、側壁102B側に二つの通信ブラシ250G,250H及び一つの給電ブラシ250Bを有してもよい。この場合においても、給電線140A,140Bは、通信線140E〜140Hに対して走行面121側に位置していてもよい。
【0077】
また、
図12に示すように、ガイドユニット100は、可動子240の両側のそれぞれに、一本の通信線及び一本の給電線を含む二本の導電線140を有していてもよい。例えばガイドユニット100は、側壁102A側に一本の通信線140E及び一本の給電線140Aを有し、側壁102B側に一本の通信線140F及び一本の給電線140Bを有してもよい。
【0078】
これに対応し、キャリア200は、可動子240の両側のそれぞれに、一つの通信ブラシ及び一つの給電ブラシを含む二つのブラシ250を有していてもよい。例えばキャリア200は、側壁102A側に一つの通信ブラシ250E及び一つの給電ブラシ250Aを有し、側壁102B側に一つの通信ブラシ250F及び一つの給電ブラシ250Bを有してもよい。この場合においても、給電線140A,140Bは、通信線140E,140Fに対して走行面121側に位置していてもよい。
【0079】
導電線140は、必ずしもキャリア200の側方に設けられていなくてよい。例えば
図13に示すように、導電線140はキャリア200の下方に設けられていてもよい。この場合においても、少なくとも四組の導電線140及びブラシ250は、搬送経路MRに直交する方向において、可動子240の両側に分散配置されていてもよい。
【0080】
一例として、
図13においては、給電線140A及び通信線140Eが、ガイドレール110A及び側壁102Aの間において、床面上に上向きに配置されている。給電線140B及び通信線140Fが、ガイドレール110B及び支持レール120Bの間において、床面上に上向きに配置されている。これに対応し、給電ブラシ250A及び通信ブラシ250Eが、側壁102A側においてシャーシ201の下に固定され、給電ブラシ250B及び通信ブラシ250Fが、側壁102B側においてシャーシ201の下に固定されている。給電ブラシ250A,250B及び通信ブラシ250E,250Fのそれぞれは、接触端子252が下に向くように配置されている。給電ブラシ250A,250B及び通信ブラシ250E,250Fの接触端子252は、保持部251に内蔵された弾性部材により、給電線140A,140B及び通信線140E,140Fにそれぞれ押し付けられる。
【0081】
(指標部及び位置センサ)
図2に戻り、ガイドユニット100及びキャリア200は、指標部150と、位置センサ270とをそれぞれ有してもよい。指標部150は、搬送経路MRにおける位置に関する情報を示す。指標部150は、ガイドレール110の外側面111及び内側面112の少なくとも一方に設けられていてもよい。指標部150は、例えばリニアエンコーダ用のスケールであり、搬送経路MRに沿って設けられている。この場合、指標部150は、搬送経路MRに沿って並ぶ読み取り用の目盛パターンを有する。指標部150は、接続前の単体のガイドユニット100に予め設けられてもよいし、複数のガイドユニット100同士を接続した後に設けられてもよい。
【0082】
位置センサ270は情報取得部271を含む。情報取得部271は、指標部150により示される情報を取得する。位置センサ270は、情報取得部271において取得された情報に基づいてキャリア200の位置情報を検出する。位置センサ270は、例えば、指標部150の目盛パターンを読み取り可能な光学式のセンサであり、目盛パターンからの反射光を情報取得部271において受光する。位置センサ270により検出された情報は、例えば上記通信線140E,140F,140G,140Hを介して出力可能である。
【0083】
図3に示すように、情報取得部271は、搬送経路MR1に直交し、搬送経路MR1の曲率中心CC1を通る第一直線SL1上に位置していてもよい(
図5参照)。なお、「第一直線SL1上に位置する」とは、実質的に第一直線SL1上に位置することを意味し、製造上の誤差範囲でのずれを含む。
【0084】
曲動型ガイドユニット100Aにおけるキャリア200の軌道と、直動型ガイドユニット100Bにおけるキャリア200の軌道とにずれがない構成において、情報取得部271が第一直線SL1上に配置される場合、指標部150と位置センサ270との距離が、曲動型ガイドユニット100A及び直動型ガイドユニット100Bで同一となる。ここでの「同一」は実質的な同一を意味し、製造上の誤差範囲による微差を含む。このように、情報取得部271を第一直線SL1上に配置する構成は、位置センサ270と指標部150との位置関係の変動を抑制する手段として機能する。
【0085】
なお、指標部150は、リニアエンコーダのスケールに限られず、搬送経路MRにおける位置に関する情報を示すものであればどのようなものであってもよい。例えば指標部150は、初期位置等の基準位置を示すマーカであってもよい。この場合、位置センサ270は、キャリア200の位置情報として、キャリア200が初期位置又は基準位置にあることを示す情報を取得する。
【0086】
情報取得部271と共に、可動子240の中心CP3が第一直線SL1上に位置していてもよい。キャリア200は、第一直線SL1上に位置し、ガイドレール110の側面に接するローラ(例えばローラ220C,220D)を有してもよい。
【0087】
キャリア200は、搬送経路MRに沿う方向において、第一直線SL1上のローラを挟むように配置され、第一直線SL1上のローラの逆側からガイドレール110の側面に接する二つのローラ(例えば二つのローラ220A及び二つのローラ220B)を更に有してもよい。この場合、指標部150は、当該二つのローラ側に設けられていてもよい。更に、当該二つのローラが曲動型ガイドユニット100Aにおいて接する側面は、指標部150が設けられた側面に対して搬送経路MR1の外周側にずれていてもよい。例えば、
図6に示すように、指標部150はガイドレール110の下側部分の外側面111aに設けられていてもよい。この場合、ローラ220A,220Bが接する外側面111bは、指標部150が設けられた外側面111aに対して搬送経路MR1の外周側にずれた状態となる。
【0088】
(分岐ユニット)
図1に戻り、搬送システム1は、分岐ユニット300A,300Bを更に有してもよい。分岐ユニット300A,300Bは、一つのガイドユニット100(以下、「第一ガイドユニット100」という。)と、二つのガイドユニット100(以下、「第二ガイドユニット100」及び「第三ガイドユニット100」という。)との間に介在する。
【0089】
以下、分岐ユニット300Aについて説明する。分岐ユニット300Bは、分岐ユニット300Aと鏡像対称な構成を備えるため、分岐ユニット300Bについての説明を省略する。
【0090】
分岐ユニット300Aは、第一ガイドユニット100が第二ガイドユニット100に接続される第一状態と、第一ガイドユニット100が第三ガイドユニット100に接続される第二状態とを切り替える。
【0091】
図14は、第二状態における分岐ユニット300Aを示す斜視図である。
図15は、第二状態における分岐ユニット300Aを示す平面図である。
図16は、第一状態における分岐ユニット300Aを示す平面図である。以下では、説明の便宜上、
図14において分岐ユニット300Aの下側に接続されるガイドユニット100を上記第二ガイドユニット100とし、分岐ユニット300Aの左側に接続されるガイドユニット100を上記第三ガイドユニット100とする。
【0092】
分岐ユニット300Aは、第一状態及び第二状態のいずれにおいても、ガイドレール110A及びガイドレール110Bのいずれか一方同士を接続し、他方同士を接続しないように構成されている。例えば、第一状態では、第一ガイドユニット100のガイドレール110Aと第二ガイドユニット100のガイドレール110Aとが接続され、第一ガイドユニット100のガイドレール110Bと第二ガイドユニット100のガイドレール110Bとは接続されない。第二状態では、第一ガイドユニット100のガイドレール110Bと、第三ガイドユニット100のガイドレール110Bとが接続され、第一ガイドユニット100のガイドレール110Aと第三ガイドユニット100のガイドレール110Aとは接続されない。
【0093】
分岐ユニット300Aは、第一状態において搬送経路MR3を構成し、第二状態において搬送経路MR4を構成する。本実施形態では、搬送経路MR4は直状であり、搬送経路MR3は搬送経路MR4から分岐するように曲がっている。
【0094】
分岐ユニット300Aは、可動基台310と、中継ガイドレール320,330と、中継支持レール340A,340B、350A,350Bと、中継固定子361,362と、駆動部370と、を有する。
【0095】
駆動部370は、可動基台310を、搬送経路MR3,MR4に交差する方向にスライドさせる。搬送経路MR3,MR4に交差する方向は、例えば水平面内において搬送経路MR4に垂直な方向である。第一状態では、駆動部370は、可動基台310を第二ガイドユニット100側にスライドさせる。第二状態では、駆動部370は、可動基台310を第三ガイドユニット100側にスライドさせる。駆動部370は、例えば電動式のリニアアクチュエータである。
【0096】
中継ガイドレール320,330は、例えばボルト締結などによって可動基台310に固定される。中継ガイドレール320は、第一状態において、第一ガイドユニット100のガイドレール110Aと、第三ガイドユニット100のガイドレール110Aとの間に介在するように配置されている。中継ガイドレール330は、第二状態において、第一ガイドユニット100のガイドレール110Bと、第二ガイドユニット100のガイドレール110Bとの間に介在するように配置されている。
【0097】
例えば中継ガイドレール320は、曲がった搬送経路MR3の内周側において、搬送経路MR3に沿って延びている。中継ガイドレール320の上側部分の外側面321bは、上記凹状の外側面111bと同様に、搬送経路MR3の外周側に窪んでいる。中継ガイドレール330は、搬送経路MR4に沿って延びている。第一ガイドユニット100側において、中継ガイドレール330の外側面331の端部には、窪み部111cと同様の窪み部331cが設けられている。
【0098】
中継支持レール340A,340B,350A,350Bは、例えばボルト締結などによって可動基台310に固定される。中継支持レール340A,340Bは、支持レール120A,120Bと同様に走行面341を構成する。中継支持レール340A,340Bは、第一状態において、第一ガイドユニット100の走行面121と第二ガイドユニット100の走行面121との間に走行面341が介在するように配置されている。中継支持レール350A,350Bも、支持レール120A,120Bと同様に走行面351を構成する。中継支持レール350A,350Bは、第二状態において、第一ガイドユニット100の走行面121と、第三ガイドユニット100の走行面121との間に走行面351が介在するように配置されている。
【0099】
例えば中継支持レール340A,340B,350A,350Bは、中継ガイドレール320,330の間において、中継ガイドレール320側から順に並んでおり、中継支持レール340A,340Bは搬送経路MR3に沿って延び、中継支持レール350A,350Bは搬送経路MR4に沿って延びている。
【0100】
中継支持レール340Bと中継支持レール350Aとは、第一ガイドユニット100側において合流していてもよい。中継支持レール340Bと中継支持レール350Aとを合流させることにより、可動基台310の幅及び可動基台310のスライド距離を小さくすることができるので、分岐ユニット300Aを小型化できる。
【0101】
なお、上述したように、ガイドユニット100においては、原則として、支持レール120の両端面122,123が基台101の両端面に対して突出し、又は窪んでいる。これに対し、中継支持レール340A,340Bの両端面342,343は、可動基台310のスライドを妨げることがないように、可動基台310の両端面に対して面一となっている。中継支持レール350A,350Bの両端面352,353も、可動基台310の両端面に対して面一となっている。このため、第一ガイドユニット100の分岐ユニット300A側の端部においては、例外的に、支持レール120の端面122が基台101の端面に対して面一となっている。
【0102】
中継固定子361,362は、例えばボルト締結などによって可動基台310に固定されている。中継固定子361は、第一状態において、第一ガイドユニット100の固定子130と第二ガイドユニット100の固定子130との間に介在するように配置されている。中継固定子362は、第二状態において、第一ガイドユニット100の固定子130と第三ガイドユニット100の固定子130との間に介在するように配置されている。
【0103】
例えば中継固定子361は、中継支持レール340A,340Bの間において、搬送経路MR3に沿って延びている。中継固定子362は、中継支持レール350A、350Bの間において、搬送経路MR4に沿って延びている。
【0104】
分岐ユニット300Aは、更に固定基台410と、側壁411と、中継ガイドレール420A,420B,430A,430Bと、中継支持レール440A,440B,450A,450Bと、中継固定子461,462と、複数の導電線470及び複数の導電線480と、を有していてもよい。固定基台410は、可動基台310と、第二ガイドユニット100及び第三ガイドユニット100との間に介在する。
【0105】
中継ガイドレール420A,420B,430A,430Bは、第二ガイドユニット100側から第三ガイドユニット100側に順に並び、例えばボルト締結などによって固定基台410に固定されている。中継ガイドレール420Aは、搬送経路MR3の内周側において搬送経路MR3に沿って延びており、第三ガイドユニット100のガイドレール110Aに連なる。中継ガイドレール420Aの上側部分の外側面421bは、上記凹状の外側面111bと同様に、搬送経路MR3の外周側に窪んでいる。
【0106】
中継ガイドレール420Bは、搬送経路MR3の外周側において搬送経路MR3に沿って延びており、第二ガイドユニット100のガイドレール110Bに連なる。中継ガイドレール420Bの上側部分の外側面421bは、上記凸状の外側面111bと同様に、搬送経路MR3の外周側に膨らんでいる。中継ガイドレール420Bの長さは、搬送経路MR4に沿って走行するキャリア200と中継ガイドレール420Bとが干渉しないように設定される。
【0107】
中継ガイドレール430Aは搬送経路MR4に沿って延びており、第三ガイドユニット100のガイドレール110Aに連なる。第三ガイドユニット100側において、中継ガイドレール430Aの外側面431(中継ガイドレール430Bの逆側の側面)の端部には、窪み部111cと同様の窪み部431cが設けられている。中継ガイドレール430Aの長さは、搬送経路MR3に沿って走行するキャリア200と中継ガイドレール430Aとが干渉しないように設定される。
【0108】
中継ガイドレール430Bは、搬送経路MR4に沿って延びており、第三ガイドユニット100のガイドレール110Bに連なる。第三ガイドユニット100側において、中継ガイドレール430Bの外側面431(中継ガイドレール430Aの逆側の側面)の端部には、窪み部111cと同様の窪み部431cが設けられている。
【0109】
中継支持レール440A,440B,450A,450Bは、例えばボルト締結などによって固定基台410に固定されている。中継支持レール440A,440Bは、第二ガイドユニット100の支持レール120A,120Bにそれぞれ連なり、走行面121に連なる走行面441を構成する。中継支持レール440A,440Bは、中継ガイドレール420A,420Bの間において、中継ガイドレール420A側から順に並び、それぞれ搬送経路MR3に沿って延びている。
【0110】
中継支持レール450A,450Bは、第三ガイドユニット100の支持レール120A,120Bにそれぞれ連なり、走行面121に連なる走行面441を構成する。中継支持レール450A,450Bは、中継ガイドレール430A,430Bの間において、中継ガイドレール430A側から順に並び、それぞれ搬送経路MR4に沿って延びている。なお、可動基台310と固定基台410との境界部は、中継支持レール440Bと中継支持レール450Aとが合流する位置に設定されていてもよい。これにより、可動基台310を更に小型化できる。
【0111】
中継支持レール440Aの第二ガイドユニット100側の端面442は、第二ガイドユニット100のガイドレール110Aの端面123に適合するように、固定基台410の端面から突出し、平面視で搬送経路MR3に対して傾斜している。中継支持レール440Bの第二ガイドユニット100側の端面442は、第二ガイドユニット100のガイドレール110Bの端面123に適合するように、固定基台410の端面から窪み、平面視で搬送経路MR3に対して傾斜している。
【0112】
中継支持レール450Aの第三ガイドユニット100側の端面452は、第三ガイドユニット100のガイドレール110Aの端面123に適合するように、固定基台410の端面から突出し、平面視で搬送経路MR4に対して傾斜している。中継支持レール450Bの第三ガイドユニット100側の端面452は、第三ガイドユニット100のガイドレール110Bの端面123に適合するように、固定基台410の端面から窪み、平面視で搬送経路MR3に対して傾斜している。
【0113】
中継支持レール440A,440Bの可動基台310側の端面443、及び中継支持レール450A,450Bの可動基台310側の端面453は、可動基台310のスライドを妨げることがないように、固定基台410の端面に対して面一となっている。
【0114】
中継固定子461,462は、例えばボルト締結などによって固定基台410に固定されている。中継固定子461は、第二ガイドユニット100の固定子130に連なる。中継固定子462は、第三ガイドユニット100の固定子130に連なる。中継固定子461は、中継支持レール440A,440Bの間において、搬送経路MR3に沿って延びている。中継固定子462は、中継支持レール450A,450Bの間において、搬送経路MR4に沿っている。
【0115】
このように、固定基台410を有する場合、可動基台310の中継ガイドレール320は、第一状態において、第一ガイドユニット100のガイドレール110Aと中継ガイドレール420Aとの間に介在するように配置される。中継ガイドレール330は、第二状態において、第一ガイドユニット100のガイドレール110Bと中継ガイドレール430Bとの間に介在するように配置される。
【0116】
可動基台310の中継支持レール340A,340Bは、第一状態において、第一ガイドユニット100の走行面121と走行面441との間に走行面341が介在するように配置される。可動基台310の中継支持レール350A、350Bは、第二状態において、第一ガイドユニット100の走行面121と走行面451との間に走行面351が介在するように配置される。
【0117】
可動基台310の中継固定子361は、第一状態において、ガイドユニット100の固定子130と中継固定子461との間に介在するように配置される。可動基台310の中継固定子362は、第二状態において、ガイドユニット100の固定子130と中継固定子462との間に介在するように配置される。
【0118】
以上に例示した構成により、分岐ユニット300Aは、第一ガイドユニット100が第二ガイドユニット100に接続される第一状態と、第一ガイドユニット100が第三ガイドユニット100に接続される第二状態のいずれにおいても、ガイドレール110A及びガイドレール110Bのいずれか一方のガイドレールのみを接続する手段として機能する。
【0119】
分岐ユニット300Aは、更に、二つの側壁411を有していてもよい。二つの側壁411は、中継ガイドレール420A,430Bの更に外側に配置され、例えばボルト締結などによって固定基台410に固定される。以下、二つの側壁411の一方(例えば第二ガイドユニット100側の側壁411)を側壁411Aとし、他方を側壁411Bとしてこれらを区別する。側壁411Aは搬送経路MR3に沿って延びており、第二ガイドユニット100の側壁102Aに連なる。側壁411Bは搬送経路MR4に沿って延びており、第三ガイドユニット100の側壁102Bに連なる。
【0120】
側壁411A,411Bは、固定基台410の端面から第一ガイドユニット100側に延びた延出部分411aを有する。側壁411Aの延出部分411aは搬送経路MR3に沿って延び、可動基台310を経て第一ガイドユニット100の側壁102Aに連なる。側壁411Bの延出部分411aは搬送経路MR4に沿って延び、可動基台310を経て第一ガイドユニット100の側壁102Bに連なる。なお、双方の延出部分411aの下側は、可動基台310のスライドを妨げないように切り欠かれている。
【0121】
図17に示されるように、複数の導電線470及び複数の導電線480は、側壁411の内側面(側壁411同士の互いに対向する側面)に配置される。複数の導電線470は、二本の給電線470A,470Bと、二本の通信線470E,470Fとを含む。複数の導電線480は、二本の給電線480C,480Dと、二本の通信線480G,480Hとを含む。
図17では、給電線470A,470Bと通信線470E,470Fとが、側壁411Aの内側面(側壁411B側の側面)に配置されている。給電線480C,480Dと通信線480G,480Hとが、側壁411Bの内側面(側壁411A側の側面)に配置されている。給電線470A,470B及び通信線470E,470Fは、第一ガイドユニット100の給電線140A,140B及び通信線140E,140F(
図2参照)と、第二ガイドユニット100の給電線140A,140B及び通信線140E,140Fとの間にそれぞれ介在する。給電線480C,480D及び通信線480G,480Hは、第一ガイドユニット100の給電線140C,140D及び通信線140G,140H(
図2参照)と、第三ガイドユニット100の給電線140C,140D及び通信線140G,140Hとの間にそれぞれ介在する。
【0122】
分岐ユニット300Aが第一状態にあり、キャリア200が分岐ユニット300Aを走行する場合、キャリア200の給電ブラシ250A,250B及び通信ブラシ250E,250F(
図2参照)は、給電線470A,470B及び通信線470E,470Fにそれぞれ接触する。キャリア200の給電ブラシ250C,250D及び通信ブラシ250G,250Hは、給電線及び通信線に接触しない。一方、分岐ユニット300Aが第二状態にあり、キャリア200が分岐ユニット300Aを走行する場合、キャリア200の給電ブラシ250C,250D及び通信ブラシ250G,250Hは、給電線480C,480D及び通信線480G,480Hにそれぞれ接触する。キャリア200の給電ブラシ250A,250B及び通信ブラシ250E,250Fは、給電線及び通信線に接触しない。
【0123】
すなわち、キャリア200が分岐ユニット300Aを走行している間、側壁411A側又は側壁411B側のいずれか一方のブラシ250のみが導電線470,480に接触し、他方のブラシ250は導電線470,480に接触しない。これに対し、
図2に例示したように、キャリア200がその両側にそれぞれ一対ずつ給電線及び通信線を備えていることにより、キャリア200が分岐ユニット300Aを走行している間も、キャリア200に対する電力供給及び情報通信を継続することが可能となる。
【0124】
なお、
図11に示すように、キャリア200が一対の給電ブラシ250A,250Bのみを有する構成においては、キャリア200が分岐ユニット300Aを走行している間は、キャリア200に対する電力供給が途切れる。このような場合も、キャリア200が惰性走行により分岐ユニット300Aを通過可能であれば、搬送の継続が可能である。ドライバ回路260において蓄電し、その電力により分岐ユニット300Aにおける動力を補ってもよい。また、
図12及び
図13に示すように、キャリア200が一対の通信ブラシ250E,250Fのみを有する構成においては、キャリア200が分岐ユニット300Aを走行している間は、キャリア200に対する情報通信が途切れる。この場合、分岐ユニット300Aの通過前後において情報通信を行うことで、分岐ユニット300Aの通過中の情報を補ってもよい。
【0125】
なお、分岐ユニット300Aの構成材料に特に制限はないが、各部材の構成材料の一例として、アルミ系の合金等の比較的軽量な金属材料が挙げられる。
【0126】
分岐ユニット300Aの構成は、以上に例示したものに限られない。一例として
図18に示す分岐ユニット500は、中継固定子361,362に代えて中継固定子363を有する。中継固定子363は、第一ガイドユニット100側において、第一ガイドユニット100の固定子130に接続される。中継固定子363は、第二及び第三ガイドユニット100側において、搬送経路MR3に沿う枝部364と、搬送経路MR4に沿う枝部365とに分岐している。枝部364は中継固定子461に接続され、枝部365は中継固定子462に接続される。中継固定子363は中継固定子461及び中継固定子462と一体化しており、可動基台310には固定されていない。
【0127】
分岐ユニット500は、上記中継支持レール340A,340B,350A,350Bのうち、中継支持レール340A,350Bのみを有する。中継支持レール340Aは中継支持レール440Aと一体化し、可動基台310には固定されていない。中継支持レール350Aは中継支持レール450Aと一体化し、可動基台310には固定されていない。第一状態及び第二状態のいずれにおいても、中継支持レール340A,440Aは、第一ガイドユニット100のガイドレール110Aと第二ガイドユニット100のガイドレール110Aとの間に介在する。中継支持レール350B,450Bは、第一ガイドユニット100のガイドレール110Bと第三ガイドユニット100のガイドレール110Bとの間に介在する。
【0128】
中継支持レール340Aの第一ガイドユニット100側の端面343は、ガイドユニット100のガイドレール110Aの端面122に適合するように、可動基台310の端面から窪み、平面視で搬送経路MR3に対して傾斜している。中継支持レール350Bの第一ガイドユニット100側の端面353は、ガイドユニット100のガイドレール110Bの端面122に適合するように、可動基台310の端面から突出し、平面視で搬送経路MR3に対して傾斜している。これに対応し、分岐ユニット500に接続される第一ガイドユニット100の端面122は、基台101の端面に対して面一でなくてよく、他のガイドユニット100と同様に構成されていてよい。
【0129】
分岐ユニット500においては、可動基台310がスライドしても中継固定子363及び中継支持レール340A,350Bはスライドせず、中継ガイドレール320,330のみがスライドする。このため、第一状態においてキャリア200が分岐ユニット500を通過する場合、キャリア200の車輪210が枝部365を横切る。第二状態においてキャリア200が分岐ユニット500を通過する場合、キャリア200の車輪210が枝部364を横切る。このため、中継固定子363の上面の高さは、走行するキャリア200の車輪210と干渉しないように設定される。具体的に、中継固定子363の上面の高さは、走行面341と同等以下とされる。
【0130】
図18に例示した構成によれば、中継固定子363をスライドさせる必要がなくなり、分岐ユニット500を小型化・軽量化することができる。
【0131】
中継ガイドレール320,330をスライドさせる構成に代えて、これらを固定基台410上に出没させてもよい。例えば、
図18に示した構成において、可動基台310を固定基台410に一体化し、中継ガイドレール320,330を固定基台410上に出没させることで、第一状態及び第二状態を切り替えてもよい。なお、「出没」とは、固定基台410上の基準面(例えば走行面341)に比べて突出した状態と、当該基準面に比べて突出していない状態とを切り替えることを意味する。
【0132】
このように構成することにより、分岐ユニット500を水平面内でスライドさせる必要がなくなり、分岐ユニット500の占有面積を削減できる。
【0133】
2.第二実施形態
〔搬送システム〕
図19に示すように、第二実施形態に係る搬送システム1Aは、ガイド600と、少なくとも一つのキャリア700とを備える。
図19に例示する搬送システム1Aは、複数のキャリア700
を備えている。ガイド600は、搬送経路(移動経路)MRを構成する。搬送経路MRは、直状の搬送経路MR11及び曲状の搬送経路MR12を含んでいてもよい。キャリア700は、部品又は組立体等の搬送対象物を支持し、搬送経路MRに沿って移動する。
【0134】
(1)ガイド
図20及び
図21に示すように、ガイド600は、搬送経路MRに沿うように設けられたガイドレール610を有する。以下、ガイド600の具体的な構成例を示す。
【0135】
ガイド600は、基台601と、ガイドレール610と、支持レール620とを有する。基台601は搬送経路MRに沿って延びると共に、搬送経路MRに直交する方向に幅を有している。
【0136】
ガイドレール610及び支持レール620は、基台601の幅方向に並んでおり、それぞれ搬送経路MRに沿うライン上で基台601から隆起している。ガイドレール610及び支持レール620は、基台601と一体的に形成されていてもよいし、基台601とは別部材として形成され、例えばボルト締結等によって基台601に固定されていてもよい。ガイドレール610の上面611、及び支持レール620の上面621は車輪の走行面TSとして利用される。
【0137】
基台601、ガイドレール610及び支持レール620の構成材料に特に制限はないが、一例としてアルミ系合金等の比較的軽量な金属材料が挙げられる。
【0138】
ガイド600は、固定子630を更に有してもよい。固定子630は、ガイドレール610及び支持レール620の間において搬送経路MRに沿って延びており、例えばボルト締結等によって基台601に固定されている。
【0139】
(2)キャリア
図20及び
図21に示すように、キャリア700は、二つのキャスタ710(第一キャスタ)と、キャスタ730とを有する。二つのキャスタ710は、搬送経路MRに沿って並び、それぞれガイドレール610に沿って移動するように構成されている。
【0140】
キャスタ730は、搬送経路MRに沿う方向において二つのキャスタ710の間に位置し、搬送経路MRに直交する方向においてキャスタ710から離れている。
【0141】
以下、キャリア700の具体的構成例を示す。当該具体的構成例の説明における「上下」は、キャリア700が水平方向に移動可能となるように設置された場合の上下を意味する。
【0142】
キャリア700は、シャーシ701を有し、二つのキャスタ710とキャスタ730とはシャーシ701の下部に設けられている。
【0143】
キャスタ710は、二つのガイドローラ711,712(ローラ)と、車輪713(第一車輪)と、ベース714(第一ベース)とを有する。二つのガイドローラ711,712はガイドレール610を挟む。例えばガイドローラ711,712は、基台601の幅方向においてガイドレール610を挟む。換言すると、ガイドローラ711,712は、基台601の幅方向において、互いに逆側からガイドレール610に接する。ここで、「接する」とは、厳密な常時接触を意味するものではなく、案内又は支持機能を実質的に損なわない範囲での一時的な遊離を排除するものではない。車輪713は、ガイドレール610の上面611(走行面TS)に接し、キャリア700の移動に応じて転動する。ベース714は、車輪713及び二つのガイドローラ711,712を保持し、車輪713の向きを変えるように旋回可能である。
【0144】
より具体的に、ベース714は、鉛直な旋回中心(中心軸線)CL1まわりに旋回可能となるようにシャーシ701の下部に取り付けられている。ベース714は、下方に突出する二つの軸受柱715,716を有する。車輪713は、軸受柱715,716の間に配置されており、軸受柱715,716を通る水平な回転中心(中心軸線)CL2まわりに回転自在となるように、軸受柱715,716によって支持されている。ガイドローラ711は、鉛直な回転中心CL3まわりに回転自在となるように、軸受柱715の端部に取り付けられている。ガイドローラ712は、鉛直な回転中心CL4まわりに回転自在となるように、軸受柱716の端部に取り付けられている。
【0145】
車輪713の回転中心CL2と、ガイドローラ711の回転中心CL3と、ガイドローラ712の回転中心CL4とは、同一平面PL1内に位置してもよい。例えば回転中心CL2は、回転中心CL3及び回転中心CL4の両方と交わっていてもよい。更に、ベース714の旋回中心CL1も当該同一平面PL1内に位置してもよい。例えば回転中心CL2は、旋回中心CL1、回転中心CL3及び回転中心CL4の全てと交わっていてもよい。この場合、旋回中心CL1は、回転中心CL3,CL4の間を二等分する位置を通っていてもよい。
【0146】
ガイドローラ711,712がガイドレール610を挟むので、ベース714はガイドレール610の延伸方向に応じて旋回する(
図21及び
図22参照)。これにより、ガイドレール610の延伸方向に車輪713の向き(転動によって進む方向)が合わせられる。このように、ベース714は、車輪713及び二つのガイドローラ711,712を一体的に保持し、車輪713の向きを変更可能にする手段として機能する。
【0147】
二つのガイドローラ711,712に対して回転中心の異なる他のガイドローラをキャスタ710が有する必要はない。
【0148】
キャスタ730は車輪731(第三車輪)を有する。車輪731は、支持レール620の上面621(走行面TS)に接し、キャリア700の移動に応じて転動する。
【0149】
より具体的に、キャスタ730は、シャーシ701の下面から下方に突出する二つの軸受柱732,733を有する。車輪731は、軸受柱732,733の間に配置されており、軸受柱732,733を通る水平な回転中心CL9まわりに回転自在となるように、軸受柱732,733によって支持されている。軸受柱732,733は、搬送経路MRに交差する方向に並んでおり、回転中心CL9は搬送経路MRに交差している。一例として、回転中心CL9は、
二つのベース714の旋回中心CL1
同士の間を二等分する位置を通っており、搬送経路MRに直交している。これにより、車輪731の向き(転動によって進む方向)は、直動型ガイドユニット600B及び曲動型ガイドユニット600Cのいずれにおいても搬送経路MRに沿う。
【0150】
シャーシ701及びキャスタ710,730の構成材料に特に制限はないが、一例としてアルミ系合金等の比較的軽量な金属材料が挙げられる。キャスタ710,730の構成材料は、車輪713,731の表面硬度が、ガイドローラ711,712の表面硬度に比べ高くなるように選定されてもよい。例えば、車輪713,731が金属材料で構成され、ガイドローラ711,712が樹脂材料で構成されてもよい。
【0151】
なお、車輪713,731を支持するガイドレール610及び支持レール620の構成材料としてもアルミ系合金を例示したが、ガイドレール610及び支持レール620を車輪713,731に比較して高硬度な材料で構成してもよい。例えば、車輪713,731をアルミ系合金で構成する場合には、ガイドレール610及び支持レール620を鉄鋼又はステンレス等で構成してもよい。
【0152】
ガイドレール610及び支持レール620を高硬度の材料で構成することで、ガイドレール610及び支持レール620の消耗を抑制することができる。これにより、キャリア700の交換頻度に比較してガイド600の交換頻度を低減できる。キャリア700に比較して交換し難いガイド600の交換頻度を低減することで、搬送設備のメンテナンス性を向上させることができる。
【0153】
キャリア700は、可動子740を更に有してもよい。可動子740は、固定子630と協働して搬送経路MRに沿う推力を発生する。一例として、可動子740は、キャスタ710,730の間に配置され、ボルト締結等によってシャーシ701の下部に固定される。可動子740は、車輪713がガイドレール610の上面611に接地し、車輪731が支持レール620の上面621に接地した状態で、上方から固定子630に対向する。
【0154】
キャリア700は、シャーシ701の上部に設けられた筐体702と、筐体702の上に設けられたトレー703とを更に有してもよい。筐体702は、後述のキャリアコントローラ920等を収容する。トレー703は、搬送の対象物を支持する。
【0155】
(3)ガイドレール及び支持レールの詳細
上述したように、搬送経路MRは、直状の搬送経路MR11及び曲状の搬送経路MR12を含んでいてもよい。これに応じ、ガイドレール610は、直状の搬送経路MR11に沿う直状部610aと、曲状の搬送経路MR12に沿う曲状部610bとを含んでいてもよい。直状部610aの幅と、曲状部610bの幅とは等しくてもよい。以下、これを前提として、ガイドレール610の配置について説明する。
【0156】
直状部610aは、曲状部610bの曲率中心CC11から第一距離D1の位置に設けられ、曲状部610bは、曲率中心CC11から第一距離D1の位置に比べて搬送経路MR12の外周側に設けられていてもよい。
【0157】
なお、ガイドレール610(直状部610a又は曲状部610b)までの距離とは、ガイドレール610の中心までの距離を意味する。搬送経路MR12の「外周側」とは曲率中心CC11の逆側を意味し、搬送経路MR12の「内周側」とは曲率中心CC11側を意味する。
【0158】
曲率中心CC11から曲状部610bまでの距離(以下、「第二距離D2」という。)は、直状の搬送経路MR11におけるキャスタ730(車輪731)の軌道TR31と、曲状の搬送経路MR12におけるキャスタ730(車輪731)の軌道TR32とが滑らかに繋がるように設定されていてもよい。
【0159】
なお、軌道TR31,TR32が滑らかに繋がるとは、軌道TR31,TR32の接続部において、軌道TR31が軌道TR32の接線に沿うことを意味する。換言すると、曲状部610bは、直状の搬送経路MR11における軌道TR31と、曲状の搬送経路MR12における軌道TR32とにずれが生じないように配置されていてもよい。軌道TR31,TR32にずれが生じないとは、曲率中心CC11から軌道TR31までの距離(以下、「第三距離D3」という。)と、曲率中心CC11から軌道TR32までの距離(以下、「第四距離D4」という。)とが互いに一致することを意味する。軌道TR31,TR32までの距離とは、軌道TR31,TR32の中心までの距離を意味する。
【0160】
図21に示すように、曲状部610bが軌道TR31よりも曲状の搬送経路MR12の外周側に位置する場合、第一距離D1及び第二距離D2は次式により算出される。
第一距離D1=第三距離D3+第一軌道間隔W1
第二距離D2=第四距離D4+第二軌道間隔W2
第一軌道間隔W1 : 直状の搬送経路MR11におけるキャスタ710の軌道TR11と、直状の搬送経路MR11におけるキャスタ730の軌道TR31との間隔(軌道TR11の中心と軌道TR31の中心との間隔)
第二軌道間隔W2 : 曲状の搬送経路MR12におけるキャスタ710の軌道TR12と、曲状の搬送経路MR12におけるキャスタ730の軌道TR32との間隔(軌道TR12の中心と軌道TR32の中心との間隔)
【0161】
一方、曲状部610bが軌道TR31よりも曲状の搬送経路MR12の内周側に位置する場合には、第一距離D1及び第二距離D2は次式により算出される。
第一距離D1=第三距離D3−第一軌道間隔W1
第二距離D2=第四距離D4−第二軌道間隔W2
【0162】
第一軌道間隔W1及び第二軌道間隔W2は、車輪713,731の配置に応じて幾何学的に導出可能である。曲状の搬送経路MR12において、曲状部610bがキャスタ730の軌道TR32に比べ外周側に位置する場合、第二軌道間隔W2は第一軌道間隔W1よりも大きくなる。曲状の搬送経路MR12において、曲状部610bがキャスタ730の軌道TR32に比べ内周側に位置する場合、第二軌道間隔W2は第一軌道間隔W1よりも小さくなる。
【0163】
このように、ガイドレール610は、直状の搬送経路MR11における車輪731の軌道TR31と、曲状の搬送経路MR12における車輪731の軌道TR32とのずれを小さくする手段を含んでいてもよい。
【0164】
ガイド600は、搬送経路MRに沿って連なる複数のガイドユニット600Aに分割可能であってもよい。この場合、複数のガイドユニット600Aのそれぞれが、基台601と、ガイドレール610と、支持レール620と、固定子630とを有する。ガイドユニット600A同士を連結すると、搬送経路MRに沿ってガイドレール610同士が連なり、支持レール620同士が連なり、固定子630同士が連なる。
【0165】
なお、「連なる」とは、同一の線に沿って並ぶことを意味し、相互に間隔をなして並ぶ場合も含む。以下においても同様である。
【0166】
搬送システム1Aは、少なくとも一つのガイドユニット600Aと、少なくとも一つのキャリア700とを備えるものであってもよい。このような搬送システム1Aによれば、任意のガイドユニット600Aの組み合わせ(例えば複数の直動型ガイドユニット600Bと複数の
曲動型ガイドユニット
600Cとの組み合わせ)により、所望の搬送経路MRを有する搬送設備を構築できる。
【0167】
複数のガイドユニット600Aは、直状の搬送経路MR11を構成する直動型ガイドユニット600Bと、曲状の搬送経路MR12を構成する曲動型ガイドユニット600Cとを含んでいてもよい。この場合、直動型ガイドユニット600Bのガイドレール610は直状部610aを含む。曲動型ガイドユニット600Cのガイドレール610は曲状部610bを含む。
【0168】
曲動型ガイドユニット600Cのガイドレール610は、曲状部610bと直動型ガイドユニット600Bのガイドレール610(直状部610a)との間に介在する移行部610cを更に含んでもよい。移行部610cの曲率は、曲状部610bの曲率に比べ小さい。換言すると、移行部610cの曲率半径は、曲状部610bの曲率半径に比べ大きい。移行部610cは、直動型ガイドユニット600Bのガイドレール610に沿うように直状であってもよい。移行部610cの幅は、直状部610aの幅及び曲状部610bの幅に等しくてもよい。
【0169】
図23に示すように、曲動型ガイドユニット600Cのガイドレール610は、曲状部610bと移行部610cとの間に介在する補間部610dを更に含んでいてもよい。補間部610dは、曲状部610bと移行部610cを角なく滑らかに接続する。補間部610dの幅は、曲状部610bの幅及び移行部610cの幅に等しくてもよい。
【0170】
図24に示すように、ガイドユニット600Aのガイドレール610は、レールベース612と表層板613とを有してもよい。レールベース612は、搬送経路MRに沿うライン上で基台601から隆起する。表層板613は、レールベース612上に貼り合わされてガイドレール610の上面611を構成する。レールベース612及び表層板613は、ガイドユニット600A同士を連結した際に、レールベース612同士の連結位置と、表層板613同士の連結位置とが搬送経路MRに沿う方向において互いに異なるように構成されていてもよい。例えば、ガイドレール610の一端部においては表層板613がレールベース612よりも突出し、ガイドレール610の他端部においてはレールベース612が表層板613よりも突出していてもよい。
【0171】
この構成によれば、ガイドユニット600A同士の接続部において、ガイドレール610の上面611に生じる段差が表層板613の厚さのバラつきレベルに抑えられる。一般に、薄板材の厚さのバラつきは小さいので、上面611に生じる段差を抑制し、車輪713の走行の円滑性が高められる。
【0172】
図25に示すように、支持レール620も、ガイドレール610と同様に、レールベース622及び表層板623を有してもよい。レールベース622及び表層板623は、ガイドユニット600A同士を連結した際に、レールベース622同士の連結位置と、表層板623同士の連結位置とが搬送経路MRに沿う方向において互いに異なるように構成されていてもよい。この場合も、上面621に生じる段差を抑制し、車輪731の走行の円滑性が高められる。
【0173】
(4)固定子及び可動子
ガイド600の固定子630及びキャリア700の可動子740は、互いに協働して搬送経路MRに沿う推力を発生させる。一例として、固定子630は磁性部材を含み、可動子740は、磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、搬送経路MRに沿う推力を発生する複数のコイルを含む。すなわち固定子630及び可動子740は、MC(Moving Coil)型のリニアモータLMを構成する。この構成において、可動子740は、電力の供給に応じて推力を発生する動力源PSとして機能する。
【0174】
可動子740の複数のコイルは、搬送経路MRに沿う推力に加え、固定子630の磁性体に対する吸引力を発生してもよい。この場合、可動子740及び固定子630の間に生じる吸引力により、固定子630の逆側へのキャリア700の移動が規制される。
【0175】
以下、
図26を参照し、固定子630及び可動子740の具体的な構成例を説明する。固定子630は、軟質磁性材料により構成された磁性部材631を有する。軟質磁性材料としては、例えば鉄系の金属材料が挙げられる。磁性部材631は複数の突極632を含む。複数の突極632は、搬送経路MRに沿って並び、それぞれ可動子740側に突出する。
【0176】
可動子740は、コア741と、複数のコイル743と、複数の永久磁石744とを有する。コア741は、搬送経路MRに沿って並ぶ複数のティース742を有する。複数のコイル743は、複数のティース742をそれぞれ囲むように巻かれている。複数の永久磁石744は、複数のティース742にそれぞれ埋設されている。
【0177】
複数のコイル743には、互いに位相の異なる交流電力がそれぞれ供給される。これに応じて複数のコイル743が生じる磁界と、複数の永久磁石744が生じる磁界とが重なって、搬送経路MRに沿った移動磁界が形成される。この移動磁界が磁性部材631の突極632に作用することにより、搬送経路MRに沿う推力及び磁性部材631に対する吸引力が発生する。
【0178】
なお、固定子630及び可動子740の構成はここに例示したものに限られない。固定子630及び可動子740は、電力の供給に応じて搬送経路MRに沿う推力を発生可能であればどのように構成されていてもよい。例えば磁性部材631は永久磁石により構成されていてもよい。可動子740は複数の永久磁石744を有していなくてもよい。
【0179】
可動子740が磁性部材631を有し、固定子630がコア741及びコイル743を有していてもよい。すなわちリニアモータLMは、MM(Moving Magnet)型であってもよい。
【0180】
更に、キャリア700の推力を発生するための構成は、固定子630及び可動子740を有するリニアモータLMに限られない。少なくとも、電力の供給に応じて推力を発生する動力源PSをガイド600及びキャリア700の少なくとも一方が有していればよい。例えば、可動子740は、車輪713,731のいずれか一つを駆動するための回転式モータを有していてもよい。
【0181】
(5)導電レール及びブラシ
ガイド600は、搬送経路MRに沿う第一導電レール640(導電線)を有してもよい。キャリア700は、複数の第一導電レール640にそれぞれ接するブラシ761を有してもよい。第一導電レール640の数は一つであってもよいし、複数であってもよい。
【0182】
キャリア700は、キャリアコントローラ920(後述)を更に有してもよい。固定子630及び可動子740が上記MC型のリニアモータLMを構成する場合、キャリアコントローラ920は、移動磁界を形成するための交流電力を生成し、可動子740に供給する。この場合、複数のブラシ761は、キャリアコントローラ920に対して電気的に接続されていてもよい。
【0183】
第一導電レール640及びブラシ761により構成される複数の通電系統は、例えばキャリアコントローラ920に電力(例えば直流電力)を供給するための通電系統と、キャリアコントローラ920との通信を行うための通電系統とを含んでいてもよい。例えば、いずれかの第一導電レール640は電源(例えば直流電源)に接続されていてもよく、他の第一導電レール640はコントローラの入出力ポートに接続されていてもよい。
【0184】
以下、
図20及び
図21を参照し、第一導電レール640及びブラシ761の具体的な構成例を説明する。本例において、ガイド600は複数(例えば4本)の第一導電レール640を有する。これに対応し、キャリア700は、複数の第一導電レール640にそれぞれ接する複数(例えば4個)のブラシ761を有する。
【0185】
ガイド600は、搬送経路MRに沿うライン上で基台601に対して起立した側壁602を有し、複数の第一導電レール640は側壁602の側面に取り付けられている。複数の第一導電レール640は、上下方向に並び、それぞれ搬送経路MRに沿っている。
【0186】
上述のように、ガイド600が複数のガイドユニット600Aに分割可能である場合、複数のガイドユニット600Aのそれぞれが側壁602及び複数の第一導電レール640を有する。ガイドユニット600A同士を連結すると、側壁602同士が連なり、第一導電レール640同士が連なる。ガイドユニット600A同士の連結部において、第一導電レール640同士は電気的に接続される。
【0187】
側壁602及び複数の第一導電レール640(全ての第一導電レール640)は、固定子630(磁性部材631)を基準にして片側に配置されていてもよい。例えば側壁602及び複数の第一導電レール640は、固定子630を基準にしてガイドレール610側に配置されていてもよい。
図20及び
図21に例示するガイド600では、側壁602はガイドレール610よりも外側(固定子630の逆側)に配置されており、第一導電レール640は側壁602の固定子630側の側面に取り付けられている。
【0188】
可動子740は、複数のブラシ761を含む通電部760をシャーシ701上に有する。複数のブラシ761は通電部760において上下方向に並び、それぞれ側壁602側に突出している。通電部760は、筐体702と側壁602との間に配置されている。通電部760は、複数の
ブラシ761をそれぞれ側壁602側に押し出す複数の弾性部材を内蔵している。これにより、複数のブラシ761は、複数の第一導電レール640にそれぞれ押し付けられる。
【0189】
ガイド600は、第一導電レール640及びブラシ761を覆うカバー603を更に有してもよい。例えば、カバー603は、側壁602から通電部760の上にかかるように側方に延び、更に、筐体702及び通電部760の間を仕切るように下方に延びている。これにより、第一導電レール640とブラシ761との接続部を異物等からしっかりと保護することができる。
【0190】
上述のように、ガイド600が複数のガイドユニット600Aに分割可能である場合、複数のガイドユニット600Aのそれぞれがカバー603を有し、ガイドユニット600A同士を連結するとカバー603同士が連なる。
【0191】
なお、側壁602及び複数の第一導電レール640は、固定子630を基準にしてガイドレール610の逆側(支持レール620側)に配置されていてもよい。例えば
図27に例示するガイド600では、側壁602は支持レール620よりも外側(固定子630の逆側)に配置されており、第一導電レール640は側壁602の固定子630側の側面に取り付けられている。
【0192】
複数の第一導電レール640は、固定子630を基準にして両側に分散配置されていてもよい。更に、複数の第一導電レール640は、ガイド600の上面に設けられていてもよく、これに応じて複数のブラシ761は下方に突出していてもよい。
【0193】
(6)スイッチユニット
図19に戻り、搬送システム1Aは、ガイドユニット600A同士の間に介在してキャリア700の進路を変更するスイッチユニット800(分岐ユニット)を更に備えてもよい。スイッチユニット800は、可動基台と、可動基台に設けられた複数の第二導電レールと、アクチュエータとを有する。アクチュエータは、ガイドユニット600Aの第一導電レール640と同一線上に位置する第二導電レールを変更するように可動基台をスライドさせる。
【0194】
以下、
図28及び
図29を参照し、スイッチユニット800の具体的な構成例を説明する。スイッチユニット800は、一つのガイドユニット600A(以下、「第一ガイドユニット600A」という。)と、二つのガイドユニット600A(以下、「第二ガイドユニット600A」及び「第三ガイドユニット600A」という。)との間に介在する。スイッチユニット800は、第一ガイドユニット600Aが第二ガイドユニット600Aに接続される第一状態と、第一ガイドユニット600Aが第三ガイドユニット600Aに接続される第二状態とを切り替える。
【0195】
以下では、
図28及び
図29においてスイッチユニット800の左側に接続されるガイドユニット600Aを上記第一ガイドユニット600Aとし、右側に接続されるガイドユニット600Aを上記第二ガイドユニット600Aとし、スイッチユニット800の上側に接続されるガイドユニット600Aを上記第三ガイドユニット600Aとする。
図28は上記第一状態におけるスイッチユニット800を示し、
図29は上記第二状態におけるスイッチユニット800を示している。
【0196】
スイッチユニット800は、可動基台801と、第一ガイド部802と、第二ガイド部803と、アクチュエータ804とを有する。アクチュエータ804は、第一ガイドユニット600Aの搬送経路MRに交差する方向に可動基台801をスライドさせる。アクチュエータ804は、例えば電動式のリニアアクチュエータである。
【0197】
第一ガイド部802及び第二ガイド部803は、可動基台801上に設けられており、可動基台801のスライド方向に並んでいる。
【0198】
第一ガイド部802は、第一状態において、第一ガイドユニット600A及び第二ガイドユニット600Aの間に介在し、第一ガイドユニット600Aの搬送経路MRに連なる搬送経路MR13を構成する。
【0199】
第一ガイド部802は、中継固定子811と、中継支持レール812と、中継ガイドレール813と、側壁814と、複数の第二導電レール815とを有する。
【0200】
中継ガイドレール813及び中継支持レール812は、ガイドレール610及び支持レール620と同様に構成されており、第一状態において、第一ガイドユニット600Aのガイドレール610及び支持レール620にそれぞれ連なる。具体的に、中継ガイドレール813及び中継支持レール812は、搬送経路MR13に直交する方向に並んでおり、それぞれ搬送経路MR13に沿うライン上で可動基台801から隆起している。
【0201】
中継固定子811は、固定子630と同様に構成されており、第一状態において、第一ガイドユニット600Aの固定子630に連なる。具体的に、中継固定子811は、中継支持レール812及び中継ガイドレール813の間において搬送経路MR13に沿って延びており、例えばボルト締結等によって可動基台801に固定されている。
【0202】
側壁814は、側壁602と同様に構成されており、第一状態において、第一ガイドユニット600Aの側壁602に連なる。具体的に、側壁814は、搬送経路MR13に沿うライン上で可動基台801に対して起立している。
【0203】
複数の第二導電レール815は、複数の第一導電レール640と同様に構成されており、第一状態において、第一ガイドユニット600Aの複数の第一導電レール640と同一線上にそれぞれ位置する。具体的に、複数の第二導電レール815は、側壁814の側面において上下方向に並び、それぞれ搬送経路MR13に沿っている。
【0204】
第二ガイド部803は、第二状態において、第一ガイドユニット600A及び第三ガイドユニット600Aの間に介在し、第一ガイドユニット600Aの搬送経路MRに連なる搬送経路MR14を構成する。
【0205】
第二ガイド部803は、中継固定子821と、中継支持レール822と、中継ガイドレール823と、側壁824と、複数の第二導電レール825とを有する。
【0206】
中継ガイドレール823及び中継支持レール822は、ガイドレール610及び支持レール620と同様に構成されており、第二状態において、第一ガイドユニット600Aのガイドレール610及び支持レール620にそれぞれ連なる。具体的に、中継ガイドレール823及び中継支持レール822は、搬送経路MR14に直交する方向に並んでおり、それぞれ搬送経路MR14に沿うライン上で可動基台801から隆起している。
【0207】
中継固定子821は、固定子630と同様に構成されており、第二状態において、第一ガイドユニット600Aの固定子630に連なる。具体的に、中継固定子821は、中継支持レール822及び中継ガイドレール823の間において搬送経路MR14に沿って延びており、例えばボルト締結等によって可動基台801に固定されている。
【0208】
側壁824は、側壁602と同様に構成されており、第二状態において、第一ガイドユニット600Aの側壁602に連なる。具体的に、側壁824は、搬送経路MR14に沿うライン上で可動基台801に対して起立している。
【0209】
複数の第二導電レール825は、複数の第一導電レール640と同様に構成されており、第二状態において、第一ガイドユニット600Aの複数の第一導電レール640と同一線上にそれぞれ位置する。具体的に、複数の第二導電レール825は、側壁824の側面において上下方向に並び、それぞれ搬送経路MR14に沿っている。
【0210】
スイッチユニット800は、固定基台805と、第三ガイド部806と、第四ガイド部807とを更に有してもよい。固定基台805は、可動基台801と、第二ガイドユニット600A及び第三ガイドユニット600Aとの間に介在する。
【0211】
第三ガイド部806及び第四ガイド部807は、固定基台805上に設けられており、可動基台801のスライド方向に並んでいる。
【0212】
第三ガイド部806は、第二ガイドユニット600Aに接続され、第二ガイドユニット600Aの搬送経路MRに連なる搬送経路MR15を構成する。第一状態において、第三ガイド部806は第一ガイド部802及び第二ガイドユニット600Aの間に介在し、搬送経路MR15は搬送経路MR13に連なる。
【0213】
第三ガイド部806は、中継固定子831と、中継支持レール832と、中継ガイドレール833と、側壁834と、複数の第三導電レール835とを有する。
【0214】
中継ガイドレール833及び中継支持レール832は、ガイドレール610及び支持レール620と同様に構成されている。第一状態において、中継ガイドレール833は、第二ガイドユニット600Aのガイドレール610と第一ガイド部802の中継ガイドレール813との間に介在し、中継支持レール832は、第二ガイドユニット600Aの支持レール620と第一ガイド部802の中継支持レール812との間に介在する。具体的に、中継ガイドレール833及び中継支持レール832は、搬送経路MR15に直交する方向に並んでおり、それぞれ搬送経路MR15に沿うライン上で固定基台805から隆起している。
【0215】
中継固定子831は、固定子630と同様に構成されている。第一状態において、中継固定子831は、第二ガイドユニット600Aの固定子630と第一ガイド部802の中継固定子811との間に介在する。具体的に、中継固定子831は、中継支持レール832及び中継ガイドレール833の間において搬送経路MR15に沿って延びており、例えばボルト締結等によって固定基台805に固定されている。
【0216】
側壁834は、側壁602と同様に構成されている。第一状態において、側壁834は、第二ガイドユニット600Aの側壁602と第一ガイド部802の側壁814との間に介在する。具体的に、側壁834は、搬送経路MR15に沿うライン上で固定基台805に対して起立している。
【0217】
複数の第三導電レール835は、複数の第一導電レール640と同様に構成されている。第一状態において、複数の第三導電レール835は、第二ガイドユニット600Aの複数の第一導電レール640と、第一ガイド部802の複数の第二導電レール815との間にそれぞれ介在する。具体的に、複数の第三導電レール835は、側壁834の側面において上下方向に並び、それぞれ搬送経路MR15に沿っている。第三ガイド部806と第二ガイドユニット600Aとの連結部において、第三導電レール835と第一導電レール640とは電気的に接続される。
【0218】
第四ガイド部807は、第三ガイドユニット600Aに接続され、第三ガイドユニット600Aの搬送経路MRに連なる搬送経路MR16を構成する。第二状態において、第四ガイド部807は第二ガイド部803及び第三ガイドユニット600Aの間に介在し、搬送経路MR16は搬送経路MR14に連なる。
【0219】
第四ガイド部807は、中継固定子841と、中継支持レール842と、中継ガイドレール843と、側壁844と、複数の第三導電レール845とを有する。
【0220】
中継ガイドレール843及び中継支持レール842は、ガイドレール610及び支持レール620と同様に構成されている。第二状態において、中継ガイドレール843は、第三ガイドユニット600Aのガイドレール610と第二ガイド部803の中継ガイドレール823との間に介在し、中継支持レール832は、第三ガイドユニット600Aの支持レール620と第二ガイド部803の中継支持レール822との間に介在する。具体的に、中継ガイドレール843及び中継支持レール842は、搬送経路MR16に直交する方向に並んでおり、それぞれ搬送経路MR16に沿うライン上で固定基台805から隆起している。
【0221】
中継固定子841は、固定子630と同様に構成されている。第二状態において、中継固定子841は、第三ガイドユニット600Aの固定子630と第二ガイド部803の中継固定子821との間に介在する。具体的に、中継固定子841は、中継支持レール842及び中継ガイドレール843の間において搬送経路MR16に沿って延びており、例えばボルト締結等によって固定基台805に固定されている。
【0222】
側壁844は、側壁602と同様に構成されている。第二状態において、側壁844は、第三ガイドユニット600Aの側壁602と第二ガイド部803の側壁824との間に介在する。具体的に、側壁844は、搬送経路MR16に沿うライン上で固定基台805に対して起立している。
【0223】
複数の第三導電レール845は、複数の第一導電レール640と同様に構成されている。第二状態において、複数の第三導電レール845は、第三ガイドユニット600Aの複数の第一導電レール640と、第二ガイド部803の複数の第二導電レール825との間にそれぞれ介在する。具体的に、複数の第三導電レール845は、側壁844の側面において上下方向に並び、それぞれ搬送経路MR16に沿っている。第四ガイド部807と第三ガイドユニット600Aとの連結部において、第三導電レール845と第一導電レール640とは電気的に接続される。
【0224】
スイッチユニット800は、複数の導通ライン851と、複数の導通ライン852と、複数の導通ライン853と、複数の導通ライン854とを更に有してもよい。複数の導通ライン851は、第一ガイドユニット600Aの複数の第一導電レール640と、第一ガイド部802の複数の第二導電レール815とをそれぞれ電気的に接続する。複数の導通ライン852は、第一ガイドユニット600Aの複数の第一導電レール640と、第二ガイド部803の複数の第二導電レール825とをそれぞれ電気的に接続する。複数の導通ライン853は、第一ガイド部802の複数の第二導電レール815と、第三ガイド部806の複数の第三導電レール835とをそれぞれ電気的に接続する。複数の導通ライン854は、第二ガイド部803の複数の第二導電レール825と、第四ガイド部807の複数の第三導電レール845とをそれぞれ電気的に接続する。
【0225】
導通ライン851,852は、可動基台801のスライド中においても、第一導電レール640と第二導電レール815,825との電気的な接続を維持するように構成されている。
【0226】
一例として、導通ライン851は、第一導電レール640及び第二導電レール815を接続するケーブル851aと、ケーブル851aに設けられたコネクタ851bとを有してもよい。例えば、ケーブル851aの一端部は、側壁814の外側(中継固定子811の逆側)から第二導電レール815に電気的に接続され、コネクタ851bはケーブル851aの他端部に設けられる。コネクタ851bは、側壁602の外側(固定子630の逆側)から第一導電レール640に着脱自在に接続される。この場合、第一導電レール640は、コネクタ851bの接続用のターミナルを有してもよい。ケーブル851aの長さは、可動基台801のスライドに追従可能となるように設定される。
【0227】
導通ライン852は、第一導電レール640及び第二導電レール825を接続するケーブル852aと、ケーブル852aに設けられたコネクタ852bとを有してもよい。例えば、ケーブル852aの一端部は、側壁824の外側(中継固定子821の逆側)から第二導電レール825に電気的に接続され、コネクタ852bはケーブル852aの他端部に設けられる。コネクタ852bは、側壁602の外側(固定子630の逆側)から第一導電レール640に着脱自在に接続される。この場合、第一導電レール640は、コネクタ852bの接続用のターミナルを更に有してもよい。ケーブル852aの長さは、可動基台801のスライドに追従可能となるように設定される。
【0228】
導通ライン851,852は、可動基台801のスライド中においても、第二導電レール815,825と第三導電レール835,845との電気的な接続を維持するように構成されている。
【0229】
導通ライン853は、第二導電レール815及び第三導電レール835を接続するケーブル853aを有してもよい。例えば、ケーブル853aの一端部は、側壁814の外側(中継固定子811の逆側)から第二導電レール815に電気的に接続され、ケーブル853aの他端部は、側壁834の外側(中継固定子831の逆側)から第三導電レール835に電気的に接続される。ケーブル853aの長さは、可動基台801のスライドに追従可能となるように設定される。
【0230】
導通ライン854は、第二導電レール825及び第三導電レール845を接続するケーブル854aを有してもよい。例えば、ケーブル854aの一端部は、側壁824の外側(中継固定子821の逆側)から第二導電レール825に電気的に接続され、ケーブル854aの他端部は、側壁844の外側(中継固定子841の逆側)から第三導電レール845に電気的に接続される。ケーブル854aの長さは、可動基台801のスライドに追従可能となるように設定される。
【0231】
導通ライン851,852を有する場合、第二導電レール815,825は、第一導電レール640と同一線上に位置する状態において当該第一導電レール640との間に間隔G1をなすように構成されていてもよい(
図30参照)。当該間隔G1は、搬送経路MRに沿う方向でのブラシ761の通電部分761a(第一導電レール640又は第二導電レール815,825に対して接触する部分)の長さL1に比べ大きくてもよい。
【0232】
導通ライン853,854を有する場合、第二導電レール815,825は、第三導電レール835,845と同一線上に位置する状態において当該第三導電レール835,845との間に間隔G2をなすように構成されていてもよい(
図31参照)。当該間隔G2も、搬送経路MRに沿う方向でのブラシ761の通電部分761aの長さL1に比べ大きくてもよい。
【0233】
このように、スイッチユニット800は、第一導電レール640と第二導電レール815,825とを電気的に接続し、可動基台801のスライド中においても、第一導電レール640と第二導電レール815,825との電気的な接続を維持する第一手段と、上記第一手段を介さずに第一導電レール640と第二導電レール815,825とが接触することを防止する第二手段と、を備えてもよい。
【0234】
更に、スイッチユニット800は、第二導電レール815,825と第三導電レール835,845とを電気的に接続し、可動基台801のスライド中においても、第二導電レール815,825と第三導電レール835,845との電気的な接続を維持する第三手段と、上記第三手段を介さずに第二導電レール815,825と第三導電レール835,845とが接触することを防止する第四手段と、を備えてもよい。
【0235】
(7)キャリアの位置を検出するための構成
図20に示すように、キャリア700の初期位置を検出するための構成として、ガイド600は、複数のマーカ652を更に有してもよい。複数のマーカ652は、搬送経路MRに沿って並ぶようにガイド600に設けられ(
図32参照)、それぞれ初期位置情報を保有する。初期位置情報は、例えばマーカ652自体の識別情報である。この場合、いずれのマーカ652を検出したのかに基づいて、キャリア700の初期位置を求めることができる。
【0236】
マーカ652は、例えば、光学式センサによって読み取り可能な光学的パターン、又は磁気センサによって読み取り可能な磁気データとして初期位置情報を保有する。マーカ652の数に制限はなく、適宜設定可能である。
【0237】
ガイド600が、複数のガイドユニット600Aに分割可能である場合に、一つのガイドユニット600Aに搭載可能なキャリア700の数と、一つのガイドユニット600Aに設けられたマーカ652の数とが等しくてもよい(
図32参照)。この場合、一つのガイドユニット600Aにおけるマーカ652同士の位置の差異は、キャリア700の全長に比較して大きくてもよい。ここで、二つの物体同士の位置の差異とは、二つの物体の同じ部位同士の間の距離(例えば、一方の物体の中心と、他方の物体の中心との間の距離)に相当する。以下においても同様である。なお、一つのガイドユニット600Aに搭載可能なキャリア700の数は、例えばガイドユニット600Aの全長をキャリア700の全長で除算し、小数点以下を切り捨てることで求めることができる。
【0238】
キャリア700は、マーカ652が保有する初期位置情報を取得する初期位置センサ772を更に有してもよい。初期位置センサ772の具体例としては、光学式センサ又は磁気センサ等が挙げられる。
【0239】
上記初期位置を基準としたキャリア700の相対位置を検出するための構成として、キャリア700は、
図20に示すように磁気センサ771を更に有してもよい。磁気センサ771は、キャリア700の移動に伴って変動する磁気を検出する。具体的に、磁気センサ771は、シャーシ701の下部に設けられている。
【0240】
図26に示すように、磁気センサ771は、上下方向に沿う磁束を発生するバイアス磁石771aと、当該磁束を検出するホール素子771bとを有する。磁気センサ771の下に固定子630の突極632が位置する場合、磁気センサ771の下に突極632が位置しない場合に比べ、突極632の作用によってホール素子771bを通る磁束が増える。このため、ホール素子771bを通る磁束は、キャリア700の移動に伴って変動する。従って、ホール素子771bの出力を検出することにより、キャリア700の移動に伴って変動する磁気を検出可能となる。
【0241】
図20に示すように、ガイド600は、位置情報を保有するスケール651を更に有してもよく、キャリア700は、スケール651が保有する位置情報を検出する位置センサ773を更に有してもよい。スケール651は、例えば、光学式センサによって読み取り可能なパターン、又は磁気センサによって読み取り可能な磁気データとして位置情報を保有する。スケール651は、搬送経路MRの全域に亘って設けられる必要はない。例えばスケール651は、位置決め精度が求められる領域に限定的に設けられていてもよい。位置センサ773の具体例としては、光学式センサ又は磁気センサ等が挙げられる。
【0242】
(8)コントローラ
図33に示すように、搬送システム1Aは、コントローラ900を更に備えてもよい。コントローラ900は、キャリア700の移動に関する各種制御を行う。
【0243】
コントローラ900は、キャリア700における推力の上昇に基づいてキャリア700同士の衝突を検出することを実行するように構成されていてもよい。
【0244】
コントローラ900は、キャリア700を移動させることと、初期位置センサ772がマーカ652を検出した際に、当該初期位置センサ772を有するキャリア700の初期位置情報を取得することと、を更に実行するように構成されていてもよい。
【0245】
コントローラ900は、コイル743のインダクタンス変動に基づいてキャリア700の位置を検出する第一方式の位置検出と、磁気センサ771の出力に基づいてキャリア700の位置を検出する第二方式の位置検出とを実行するように構成されていてもよい。
【0246】
コントローラ900は、スケール651が設けられた位置を位置センサ773が通過する際には、位置センサ773の出力に基づいてキャリア700の位置を求める第三方式の位置検出を更に実行するように構成されていてもよい。
【0247】
例えばコントローラ900は、システムコントローラ910と、複数のキャリアコントローラ920とを有する。一例として、システムコントローラ910は搬送経路MR外に配置され、搬送システム1Aにおける全キャリア700の位置を管理する。システムコントローラ910は、搬送システム1Aを含む生産設備の工程に応じて、キャリア700ごとに移動又は停止の指令を出力する。
【0248】
複数のキャリアコントローラ920は複数のキャリア700にそれぞれ設けられる。例えばキャリアコントローラ920は、筐体702内に配置される。キャリアコントローラ920は、システムコントローラ910からの指令に応じてキャリア700を制御する。キャリアコントローラ920は、推力指令生成部921と、推力制御部922と、位置情報記憶部931と、位置情報更新部932と、第一位置情報処理部933と、第二位置情報処理部934と、第三位置情報処理部935と、追突検出部941とを有する。
【0249】
推力指令生成部921は、システムコントローラ910からの指令に基づいて、推力の指令値(例えば、キャリア700の可動子740に発生させる推力の目標値)を生成する。例えば推力指令生成部921は、キャリア700の移動速度の目標値をシステムコントローラ910から取得し、位置情報記憶部931に記憶されたキャリア700の現在位置情報からキャリア700の移動速度を算出し、キャリア700の移動速度を目標値に近付けるように推力の指令値を生成する。
【0250】
第一位置情報処理部933は、上記第一方式の位置検出を実行する。具体的に、第一位置情報処理部933は、コイル743のインダクタンス変動に基づいてキャリア700の相対的な移動量を求める処理を実行する。コイル743のインダクタンスは、ティース742と突極632との位置関係に応じて変化する。このため、コイル743のインダクタンスはキャリア700の移動に伴って変動する。従って、コイル743のインダクタンス変動に基づいてキャリア700の相対的な移動量を求めることが可能となる。
【0251】
例えば第一位置情報処理部933は、コイル743に印加される駆動用の交流電圧に、当該交流電圧に比べ高周波の検出用電圧を印加する指令を推力制御部922に出力し、検出用電圧に応じてコイル743に流れた電流に関する情報(以下、「電流情報」という。)を推力制御部922から取得する。第一位置情報処理部933は、上記電流情報に基づいて、公知の手法(例えば特開2010−172080号公報参照)によりキャリア700の相対的な移動量を算出する。検出用電圧に応じてコイル743に流れる電流は、コイル743のインダクタンスに相関する。すなわち、上記電流情報に基づいてキャリア700の相対的な移動量を算出することは、コイル743のインダクタンス変動に基づいてキャリア700の相対的な移動量を求めることに相当する。
【0252】
第二位置情報処理部934は、上記第二方式の位置検出を実行する。具体的に、第二位置情報処理部934は、磁気センサ771の出力に基づいてキャリア700の相対的な移動量を求める処理を実行する。例えば第二位置情報処理部934は、突極632との位置関係に応じた磁気センサ771の出力の変動に基づいてキャリア700の相対的な移動量を求める。
【0253】
第三位置情報処理部935は、上記第三方式の位置検出を実行する。具体的に第三位置情報処理部935は、スケール651が設けられた位置を位置センサ773が通過する際に、位置センサ773の出力に基づいてキャリア700の相対的な移動量を求める処理を実行する。
【0254】
位置情報記憶部931は、キャリア700の現在位置を示す情報(以下、「現在位置情報」という。)を記憶する。位置情報更新部932は、第一位置情報処理部933、第二位置情報処理部934及び第三位置情報処理部935のいずれかにより取得された情報を用いて現在位置情報を更新する。また、位置情報更新部932は、初期位置の検出の際に、初期位置センサ772により検出されたマーカ652に含まれる情報を用いて現在位置情報を更新する(以下、これを「初期位置の登録」という。)。
【0255】
上述したように、第一位置情報処理部933は、ティース742と突極632との位置変化に応じたコイル743のインダクタンスの変動に基づいてキャリア700の相対的な移動量を求める。このため、第一方式の位置検出では、突極632に起因する信号変動に基づいてキャリア700の位置が求められる。第二位置情報処理部934は、突極632との位置関係に応じた磁気センサ771の出力の変動に基づいてキャリア700の相対的な移動量を求める。このため、第二方式の位置検出でも、突極632に起因する信号変動に基づいてキャリア700の位置が求められる。このように、コントローラ900は、第一方式及び第二方式のいずれにおいても、突極632に起因する信号変動に基づいてキャリア700の位置を求めるように構成されていてもよい。
【0256】
追突検出部941は、キャリア700における推力の上昇に基づいてキャリア700同士の衝突を検出する。例えば追突検出部941は、キャリア700における推力が所定の閾値を超えた場合に、当該キャリア700が他のキャリア700に衝突したものと推定する。上記閾値は、予備実験又はシミュレーション等に基づいて適宜設定可能である。なお、ここでの「推力」は、キャリア700に対し、搬送経路MRに沿う一方向に作用する力を意味し、必ずしもキャリア700の移動を伴わない。例えば、外力に抗してキャリア700を停止状態に保つための力も「推力」に含まれる。
【0257】
推力の上昇に基づいてキャリア700同士の衝突を検出することは、当該推力に相関する値の上昇に基づいてキャリア700同士の衝突を検出することを含む。例えば追突検出部941は、キャリア700における推力に相関する情報として、推力指令生成部921が出力する推力の指令値を取得し、当該指令値の上昇に基づいてキャリア700同士の衝突を検出してもよい。また、追突検出部941は、キャリア700における推力に相関する情報として、可動子740のコイル743に流れる電流値を取得し、当該電流値の上昇に基づいてキャリア700同士の衝突を検出してもよい。
【0258】
なお、以上に示した構成は一例に過ぎず、様々な変更が可能である。例えば、キャリアコントローラ920の構成の一部がシステムコントローラ910に設けられていてもよい。例えば追突検出部941をシステムコントローラ910に設けてもよい。
【0259】
図34に示すように、システムコントローラ910は、ハードウェア上の構成として、例えば回路950を有する。回路950は、プロセッサ951と、メモリ952と、ストレージ953と、通信ポート954とを有する。通信ポート954は、例えば第一導電レール640を介し、キャリアコントローラ920との通信を行う。プロセッサ951は、メモリ952及びストレージ953の少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、通信ポート954を介した通信を行うことで、全キャリア700の位置を管理する。
【0260】
システムコントローラ910は、キャリアコントローラ920との通信を実行できない場合に当該通信のリトライを行うように構成されていてもよく、このリトライを行う最大期間は、上記間隔G1に起因してブラシ761と第一導電レール640又は第二導電レール815,825との接触が途切れる期間以上に設定されていてもよい。同様に、上記リトライを行う期間は、上記間隔G2に起因してブラシ761と第二導電レール815,825又は第三導電レール835,845との接触が途切れる期間以上に設定されていてもよい。なお、「通信のリトライを行う最大期間」とは、その期間を超えて通信が回復しない場合に、通信異常が生じたものと判定する期間である。以下においても同様である。
【0261】
キャリアコントローラ920は、ハードウェア上の構成として、例えば回路960を有する。回路960は、プロセッサ961と、メモリ962と、通信ポート963と、入出力ポート964と、ドライバ回路965と、電流センサ966とを有する。通信ポート963は、例えば第一導電レール640を介し、システムコントローラ910との通信を行う。入出力ポート964は磁気センサ771、初期位置センサ772及び位置センサ773との間でデータの入出力を行う。
【0262】
電流センサ966は、可動子740のコイル743に流れる電流値を取得する。ドライバ回路965は、上記推力の指令値に応じた電力を可動子740のコイル743に出力する。例えばドライバ回路965は、上記推力の指令値と、電流センサ966により取得された電流値との偏差に応じた電力をコイル743に出力する。
【0263】
プロセッサ961は、メモリ962と協働してプログラムを実行し、通信ポート963、入出力ポート964、ドライバ回路965及び電流センサ966に対する入出力を行うことで、上述した機能モジュールを構成する。
【0264】
キャリアコントローラ920は、システムコントローラ910との通信を実行できない場合に当該通信のリトライを行うように構成されていてもよく、このリトライを行う最大期間は、上記間隔G1に起因してブラシ761と第一導電レール640又は第二導電レール815,825との接触が途切れる期間以上に設定されていてもよい。同様に、上記リトライを行う期間は、上記間隔G2に起因してブラシ761と第二導電レール815,825又は第三導電レール835,845との接触が途切れる期間以上に設定されていてもよい。
【0265】
なお、コントローラ900のハードウェア上の構成は、必ずしもプログラムの実行により機能モジュールを構成するものに限られない。例えばコントローラ900は、専用の論理回路により、又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能モジュールを構成するものであってもよい。
【0266】
〔搬送システムの制御方法〕
続いて、搬送システムの制御方法の一例として、搬送システム1Aを用いた初期位置検出手順、初期位置検出前におけるキャリア700の制御手順、初期位置検出後におけるキャリア700の制御手順を説明する。
【0267】
(1)初期位置検出手順
図35に示すように、コントローラ900は、まずステップS01を実行する。ステップS01では、システムコントローラ910が、全てのキャリア700において初期位置探索制御を開始するように、全てのキャリア700のキャリアコントローラ920に指令を出力する。この後、各キャリアコントローラ920は、搬送経路MRに沿う一方向にキャリア700を移動させるように可動子740を制御することと、初期位置センサ772がマーカ652を検出するのに応じてキャリア700を停止させ、マーカ652の位置をキャリア700の初期位置として登録することと、初期位置の登録が完了したことをシステムコントローラ910に通知することとを実行する。キャリアコントローラ920による詳細な処理内容については後述する。
【0268】
次に、コントローラ900はステップS02を実行する。ステップS02では、システムコントローラ910が、いずれかのキャリア700において衝突が検出されているか否かを確認する。例えばシステムコントローラ910は、各キャリアコントローラ920の追突検出部941から衝突の有無を示す情報が出力されたか否かを確認する。
【0269】
なお、キャリア700の衝突は、例えばマーカ652の初期位置情報を取得して停止したキャリア700と、マーカ652の初期位置情報を未取得で移動を継続しているキャリア700との間で生じ得る。システムコントローラ910は、初期位置情報を未取得のキャリア700において衝突が検出された場合に、当該キャリア700が先行するキャリア700に追突したものと推定し、停止又は減速したキャリア700において衝突が検出された場合に、当該キャリア700が後続のキャリア700に追突されたものと推定してもよい。
【0270】
ステップS02において、キャリア700同士の衝突があると判定された場合、コントローラ900はステップS03を実行する。ステップS03では、システムコントローラ910が、後続のキャリア700に衝突されたものと推定されたキャリア700(以下、「追突されたキャリア700」という。)を後続のキャリア700の逆側に移動させるように、追突されたキャリア700のキャリアコントローラ920に指令を出力する。例えば初期位置探索制御部912は、追突されたキャリア700を一つ先(当該キャリア700の移動方向における一つ先)のマーカ652まで移動させる。
【0271】
ステップS02において、キャリア700同士の衝突はないと判定された場合、コントローラ900はステップS03を実行することなく処理を次のステップに進める。
【0272】
次に、コントローラ900はステップS04を実行する。ステップS04では、全てのキャリア700において初期位置の登録が完了した否かをシステムコントローラ910が確認する。ステップS04において初期位置の登録が完了していないキャリア700が残っていると判定された場合、コントローラ900は処理をステップS02に戻す。処理がステップS02に戻ることにより、キャリア700同士の衝突による停滞を解消しながら、各キャリア700の初期位置検出を継続することが可能となる。
【0273】
ステップS04において全てのキャリア700の初期位置情報が初期位置記憶部914に記録されていると判定された場合、コントローラ900は初期位置の検出処理を終了する。
【0274】
処理の終了に先立って、コントローラ900は、ステップS05を実行してもよい。ステップS05では、システムコントローラ910が、キャリア700同士の相対位置の管理を開始する。例えばシステムコントローラ910は、移行の処理において、移動中のキャリア700の位置と、その前後のキャリア700の位置との差異が、搬送経路MRに沿って隣り合うマーカ652同士の位置の差異よりも大きくなるように、キャリア700同士の相対位置を管理する(例えばキャリアコントローラ920への指令内容を調整する)。すなわちコントローラ900は、搬送経路MRに沿って隣り合うキャリア700同士の位置の差異が、搬送経路MRに沿って隣り合うマーカ652同士の位置の差異よりも大きくなるようにキャリア700を移動させることを実行するように構成されていてもよい。
【0275】
(2)初期位置検出前におけるキャリア700の制御手順
図36に示すように、コントローラ900は、まずステップS11を実行する。ステップS11では、推力指令生成部921が、システムコントローラ910からの指令を待機する。
【0276】
次に、コントローラ900はステップS12を実行する。ステップS12では、システムコントローラ910からの移動指令に応じて推力指令生成部921が推力の指令値を生成し、当該推力の指令値に応じた電力を推力制御部922が可動子740に出力する。これにより、キャリア700の移動が開始される。この際に、位置情報更新部932は、位置情報記憶部931に記憶された現在位置を仮の初期位置にする。
【0277】
次に、コントローラ900はステップS13,S14を実行する。ステップS13では、第二位置情報処理部934が第二方式の位置検出を実行する。すなわち第二位置情報処理部934は、磁気センサ771の出力の変動に基づいてキャリア700の移動量X1(最新の現在位置からの移動量)を求める。
【0278】
ステップS14では、第一位置情報処理部933が第一方式の位置検出を実行する。すなわち第二位置情報処理部934は、コイル743のインダクタンス変動に基づいてキャリア700の移動量X2(最新の現在位置からの移動量)を求める。なお、ステップS13,S14の実行手順は逆転していてもよい。
【0279】
次に、コントローラ900はステップS15を実行する。ステップS15では、位置情報更新部932が、移動量X1,X2の差異を算出し、当該差異が許容範囲内であるか否かを確認する。
【0280】
移動量X1,X2の差異が許容範囲内であると判定された場合、コントローラ900はステップS16を実行し、移動量X1,X2の差異が許容範囲外であると判定された場合、コントローラ900はステップS17を実行する。ステップS16では、位置情報更新部932が現在位置を移動量X2で更新する。例えば位置情報更新部932は、位置情報記憶部931に記憶された現在位置に移動量X2を加算する。現在位置の更新が完了すると、位置情報更新部932は、移動量X1,X2の両方をゼロにする。
【0281】
ステップS17では、位置情報更新部932が現在位置を移動量X1で更新する。例えば位置情報更新部932は、位置情報記憶部931に記憶された現在位置に移動量X1を加算する。現在位置の更新が完了すると、位置情報更新部932は、移動量X1,X2の両方をゼロにする。なお、ステップS16,S17での「加算」は、ベクトル量としての加算を意味し、スカラー量としての減算を含む。以下においても同様である。
【0282】
ステップS13〜S17で例示したように、コントローラ900は、複数のコイル743に電力が供給されているときには、第一方式及び第二方式の両方の位置検出を実行し、第一方式の位置検出結果及び第二方式の位置検出結果の差異を算出することと、当該差異が許容範囲内である場合には、第一方式の位置検出結果を採用することと、当該差異が許容範囲外である場合には、第二方式の位置検出結果を採用することと、を実行するように構成されていてもよい。
【0283】
但し、このような比較を実行することは必須ではない。コントローラ900は、コイル743に電力が供給されているときには第一方式の位置検出を実行し、第二方式の位置検出は実行しないように構成されていてもよい。
【0284】
次に、コントローラ900はステップS18を実行する。ステップS18では、位置情報更新部932が、初期位置センサ772においてマーカ652が検出されているか否かを確認する。ステップS18においてマーカ652は検出されていないと判定された場合、コントローラ900は処理をステップS13に戻す。これにより、マーカ652が検出されるまでは、第一方式及び第二方式の少なくとも一方による位置検出が継続される。
【0285】
ステップS18においてマーカ652が検出されていると判定された場合、コントローラ900はステップS19を実行する。ステップS19では、位置情報更新部932が、マーカ652に含まれる初期位置情報に基づいて、キャリア700の現在位置を更新する。例えば位置情報更新部932は、位置情報記憶部931に記憶された現在位置を、マーカ652自体の位置に置換する。その後位置情報更新部932は、初期位置の登録が完了したことをシステムコントローラ910に通知する。
【0286】
次に、コントローラ900はステップS20を実行する。ステップS20では、マーカ652を検出した位置にてキャリア700を停止させるように推力指令生成部921が推力の指令値を生成し、当該推力の指令値に応じた電力を推力制御部922が可動子740に出力する。これにより、キャリア700が停止する。以上で、初期位置検出前におけるキャリア700の制御手順が完了する。
【0287】
(3)初期位置検出後における各キャリア700の制御手順
図37に示すように、コントローラ900は、まずステップS31を実行する。ステップS31では、推力指令生成部921が、システムコントローラ910からの搬送指令の有無を確認する。
【0288】
ステップS31において、システムコントローラ910からの搬送指令はないと判定された場合、コントローラ900はステップS32を実行する。ステップS32では、位置情報更新部932が、推力制御部922からキャリア700に制御用の電力が供給されているか否かを確認する。
【0289】
以下、キャリア700に制御用の電力が供給されている状態を「制御オン状態」といい、キャリア700に制御用の電力が供給されていない状態を「制御オフ状態」という。キャリア700に制御用の電力が供給されていない状態とは、キャリア700を実質的に駆動できる電力が供給されていない状態を意味し、ノイズのように微弱な電力が供給されている状態を排除するものではない。
【0290】
ステップS32において、キャリア700が制御オン状態にあると判定された場合、コントローラ900はステップS33,S34を実行する。ステップS33では、ステップS13と同様に、第二位置情報処理部934が第二方式の位置検出を実行する。すなわち第二位置情報処理部934は、磁気センサ771の出力の変動に基づいてキャリア700の移動量X1(最新の現在位置からの移動量)を求める。
【0291】
ステップS34では、ステップS14と同様に、第一位置情報処理部933が第一方式の位置検出を実行する。すなわち第二位置情報処理部934は、コイル743のインダクタンス変動に基づいてキャリア700の移動量X2(最新の現在位置からの移動量)を求める。なお、ステップS33,S34の実行手順は逆転していてもよい。
【0292】
次に、コントローラ900はステップS35を実行する。ステップS35では、ステップS15と同様に、位置情報更新部932が移動量X1,X2の差異を算出し、当該差異が許容範囲内であるか否かを確認する。
【0293】
移動量X1,X2の差異が許容範囲内であると判定された場合、コントローラ900はステップS36を実行し、移動量X1,X2の差異が許容範囲外であると判定された場合、コントローラ900はステップS37を実行する。ステップS36では、ステップS16と同様に、位置情報更新部932が現在位置を移動量X2で更新する。現在位置の更新が完了すると、位置情報更新部932は、移動量X1,X2の両方をゼロにする。
【0294】
ステップS37では、ステップS17と同様に、位置情報更新部932が現在位置を移動量X1で更新する。現在位置の更新が完了すると、位置情報更新部932は、移動量X1,X2の両方をゼロにする。
【0295】
ステップS33〜S37で例示したように、コントローラ900は、複数のコイル743に電力が供給されているときには、第一方式及び第二方式の両方の位置検出を実行し、第一方式の位置検出結果及び第二方式の位置検出結果の差異を算出することと、当該差異が許容範囲内である場合には、第一方式の位置検出結果を採用することと、当該差異が許容範囲外である場合には、第二方式の位置検出結果を採用することと、を実行するように構成されていてもよい。
【0296】
但し、このような比較を実行することは必須ではない。コントローラ900は、コイル743に電力が供給されているときには第一方式の位置検出を実行し、第二方式の位置検出は実行しないように構成されていてもよい。
【0297】
ステップS32において、キャリア700が制御オフ状態にあると判定された場合、コントローラ900は、ステップS33〜S37に代えてステップS38を実行する。ステップS38では、第二位置情報処理部934が第二方式の位置検出を実行し、これにより求まった移動量を用いて位置情報更新部932が現在位置を更新する。例えば第二位置情報処理部934は、ステップS33と同様に移動量X1を求め、位置情報更新部932は、ステップS37と同様に現在位置を移動量X1で更新する。
【0298】
以上の処理が完了した後、電源が遮断されていなければ、コントローラ900は処理をステップS31に戻す(ステップS39)。これにより、ステップS31において搬送指令が取得されるまではキャリア700の現在位置の更新が継続される。
【0299】
ステップS31においてシステムコントローラ910からの搬送指令が確認されると、コントローラ900は、ステップS31〜S38に代えてステップS40を実行する。ステップS40では、キャリアコントローラ920が、システムコントローラ910により指定された目標位置までキャリア700を移動させる。以下、ステップS40の内容を詳述する。
【0300】
図38に示すように、コントローラ900は、まずステップS51を実行する。ステップS51では、システムコントローラ910からの搬送指令に応じて推力指令生成部921が推力の指令値を生成し、当該推力の指令値に応じた電力を推力制御部922が可動子740に出力する。これにより、目標位置へのキャリア700の移動が開始される。
【0301】
次に、コントローラ900はステップS52を実行する。ステップS52では、現在位置にスケール651が存在するか否かを位置情報更新部932が確認する。スケール651が存在するか否かは、例えば位置センサ773の出力に基づいて判定可能である。スケール651の配置情報を予めシステムコントローラ910に記録しておき、当該配置情報に基づいてスケール651の有無を判定してもよい。
【0302】
ステップS52において、現在位置にスケール651は存在しないと判定された場合、コントローラ900はステップS53,S54を実行する。ステップS53では、ステップS13と同様に、第二位置情報処理部934が第二方式の位置検出を実行する。すなわち第二位置情報処理部934は、磁気センサ771の出力の変動に基づいてキャリア700の移動量X1(最新の現在位置からの移動量)を求める。
【0303】
ステップS54では、ステップS14と同様に、第一位置情報処理部933が第一方式の位置検出を実行する。すなわち第二位置情報処理部934は、コイル743のインダクタンス変動に基づいてキャリア700の移動量X2(最新の現在位置からの移動量)を求める。なお、ステップS53,S54の実行手順は逆転していてもよい。
【0304】
次に、コントローラ900はステップS55を実行する。ステップS55では、ステップS15と同様に、位置情報更新部932が移動量X1,X2の差異を算出し、当該差異が許容範囲内であるか否かを確認する。
【0305】
移動量X1,X2の差異が許容範囲内であると判定された場合、コントローラ900はステップS56を実行し、移動量X1,X2の差異が許容範囲外であると判定された場合、コントローラ900はステップS57を実行する。ステップS56では、ステップS16と同様に、位置情報更新部932が現在位置を移動量X2で更新する。現在位置の更新が完了すると、位置情報更新部932は、移動量X1,X2の両方をゼロにする。
【0306】
ステップS57では、ステップS17と同様に、位置情報更新部932が現在位置を移動量X1で更新する。現在位置の更新が完了すると、位置情報更新部932は、移動量X1,X2の両方をゼロにする。
【0307】
ステップS53〜S57で例示したように、コントローラ900は、複数のコイル743に電力が供給されているときには、第一方式及び第二方式の両方の位置検出を実行し、第一方式の位置検出結果及び第二方式の位置検出結果の差異を算出することと、当該差異が許容範囲内である場合には、第一方式の位置検出結果を採用することと、当該差異が許容範囲外である場合には、第二方式の位置検出結果を採用することと、を実行するように構成されていてもよい。
【0308】
但し、このような比較を実行することは必須ではない。コントローラ900は、コイル743に電力が供給されているときには第一方式の位置検出を実行し、第二方式の位置検出は実行しないように構成されていてもよい。
【0309】
ステップS52において、現在位置にスケール651が存在すると判定された場合、コントローラ900は、ステップS53〜S57に代えてステップS58を実行する。ステップS58では、第三位置情報処理部935が第三方式の位置検出を実行し、これにより求まった移動量を用いて位置情報更新部932が現在位置を更新する。すなわち第三位置情報処理部935は、位置センサ773の出力に基づいてキャリア700の移動量を求める。位置情報更新部932は、当該移動量で現在位置を更新する。例えば位置情報更新部932は、当該移動量を位置情報記憶部931に記憶された現在位置に加算する。現在位置の更新が完了すると、位置情報更新部932は、当該移動量をゼロにする。
【0310】
次に、コントローラ900はステップS59を実行する。ステップS59では、キャリア700の現在位置が目標位置に一致しているか否かを推力指令生成部921が確認する。「一致」とは、実質的な到達を意味し、誤差レベルの差異を排除するものではない。ステップS59において、キャリア700の現在位置が目標位置に一致していないと判定された場合、コントローラ900は処理をステップS52に戻す。これにより、キャリア700が目標位置に到達するまでは、キャリア700の移動と現在位置の更新とが繰り返される。
【0311】
ステップS59において、キャリア700の現在位置が目標位置に一致していると判定された場合、コントローラ900はステップS60を実行する。ステップS60では、目標位置にてキャリア700を停止させるように推力指令生成部921が推力の指令値を生成し、当該推力の指令値に応じた電力を推力制御部922が可動子740に出力する。これにより、キャリア700が停止する。以上で、上記ステップS40が完了する。
【0312】
図37に戻り、ステップS40の完了後に電源が遮断されていなければ、コントローラ900は処理をステップS31に戻す(ステップS39)。これにより、搬送制御の完了後も現在位置の更新が継続される。
【0313】
3.第三実施形態
第三実施形態に係る搬送システム1Bは、第二実施形態におけるキャリア700の構成を変更したものである。そこで、第三実施形態については、主としてキャリア700Aの構成を説明する。
【0314】
(1)キャリア
第三実施形態のキャリア700Aは、第二実施形態のキャリア700におけるキャスタ710,730の構成を変更したものである。
図39及び
図40に示すように、キャリア700Aは、少なくとも一つのキャスタ710(第一キャスタ)と、少なくとも一つのキャスタ720(第二キャスタ)とを有する。キャスタ710はガイドレール610に沿って移動するように構成されている。
【0315】
キャスタ720は、車輪721(第二車輪)と、ベース722(第二ベース)とを有する。ベース722は、車輪721を保持し、車輪721の向きを変えるように旋回可能である。ベース722の旋回中心(中心軸線)CL11に沿う方向から見て、当該旋回中心CL11と車輪721の回転中心(中心軸線)CL12とは互いに離れている。
【0316】
以下、キャリア700Aの具体的構成例を示す。当該具体的構成例の説明における「上下」は、キャリア700Aが水平方向に移動可能となるように設置された場合の上下を意味する。
【0317】
キャリア700Aは、シャーシ701を有し、二つのキャスタ710及び二つのキャスタ720をシャーシ701の下部に有する。二つのキャスタ710は搬送経路MRに沿って並び、二つのキャスタ720も搬送経路MRに沿って並んでいる。
【0318】
キャスタ710は、二つのガイドローラ711,712と、車輪713(第一車輪)と、ベース714(第一ベース)とを有する。二つのガイドローラ711,712はガイドレール610を挟む。例えばガイドローラ711,712は、基台601の幅方向においてガイドレール610を挟む。換言すると、ガイドローラ711,712は、基台601の幅方向において、互いに逆側からガイドレール610に接する。ここで、「接する」とは、厳密な常時接触を意味するものではなく、案内又は支持機能を実質的に損なわない範囲での一時的な遊離を排除するものではない。車輪713は、ガイドレール610の上面611(走行面TS)に接し、キャリア700Aの移動に応じて転動する。ベース714は、車輪713及び二つのガイドローラ711,712を保持し、車輪713の向きを変えるように旋回可能である。
【0319】
より具体的に、ベース714は、鉛直な旋回中心CL1まわりに旋回可能となるようにシャーシ701の下部に取り付けられている。ベース714は、下方に突出する二つの軸受柱715,716を有する。車輪713は、軸受柱715,716の間に配置されており、軸受柱715,716を通る水平な回転中心CL2まわりに回転自在となるように、軸受柱715,716によって支持されている。ガイドローラ711は、鉛直な回転中心CL3(回転の中心軸線)まわりに回転自在となるように、軸受柱715の端部に取り付けられている。ガイドローラ712は、鉛直な回転中心CL4(回転の中心軸線)まわりに回転自在となるように、軸受柱716の端部に取り付けられている。
【0320】
車輪713の回転中心CL2と、ガイドローラ711の回転中心CL3と、ガイドローラ712の回転中心CL4とは、同一平面PL1内に位置してもよい。例えば回転中心CL2は、回転中心CL3及び回転中心CL4の両方と交わっていてもよい。更に、ベース714の旋回中心CL1も当該同一平面PL1内に位置してもよい。例えば回転中心CL2は、旋回中心CL1、回転中心CL3及び回転中心CL4の全てと交わっていてもよい。この場合、旋回中心CL1は、回転中心CL3,CL4の間を二等分する位置を通っていてもよい。
【0321】
ガイドローラ711,712がガイドレール610を挟むので、ベース714はガイドレール610の延伸方向に応じて旋回する(
図40及び
図41参照)。これにより、ガイドレール610の延伸方向に車輪713の向き(転動によって進む方向)が合わせられる。このように、ベース714は、車輪713及び二つのガイドローラ711,712を一体的に保持し、車輪713の向きを変更可能にする手段として機能する。
【0322】
二つのガイドローラ711,712に対して回転中心の異なる他のガイドローラをキャスタ710が有する必要はない。
【0323】
キャスタ720は、車輪721と、ベース722とを有する。車輪721は、支持レール620の上面621(走行面TS)に接し、キャリア700Aの移動に応じて転動する。ベース722は、車輪721を保持し、車輪721の向き(転動によって進む方向)を変えるように旋回可能である。
【0324】
より具体的に、ベース722は、鉛直な旋回中心CL11まわりに旋回可能となるようにシャーシ701の下部に取り付けられている。ベース722は、下方に突出する二つの軸受壁723,724を有する。車輪721は、軸受壁723,724の間に配置されており、軸受壁723,724を通る水平な回転中心CL12まわりに回転自在となるように、軸受壁723,724によって支持されている。
【0325】
旋回中心CL11に沿う方向から見て、当該旋回中心CL11と回転中心CL12とは互いに離れている。これに応じ、軸受壁723,724は、ベース722から回転中心CL12側に突出している。
【0326】
二つのベース722の旋回中心CL11同士の間隔D11は、二つのベース714の旋回中心CL1同士の間隔D12に比べて小さくてもよい。ベース722の旋回中心CL11と、当該ベース722に保持される車輪721の回転中心CL12との間隔D13は、間隔D11の半分未満であってもよい。
【0327】
図42に示すように、二つのベース722の旋回中心CL11同士の間隔D11は、二つのベース714の旋回中心CL1同士の間隔D12に比べて大きくてもよい。この場合も、上記間隔D13は間隔D11の半分未満であってもよい。
【0328】
キャリア700Aは、少なくとも一つのキャスタ710と、少なくとも一つのキャスタ720とを有し、キャスタ710はガイドレール610に沿って移動するように構成されており、キャスタ720は車輪721とベース722とを有し、ベース722の旋回中心CL11に沿う方向から見て、当該旋回中心CL11と車輪721の回転中心CL12とが互いに離れているという条件を満たす限りにおいて、様々な変形が可能である。例えば
図43に示すように、キャスタ710は車輪713を有していなくてもよい。この場合に、キャリア700Aは、三つ以上のキャスタ720を有してもよい。例えば
図43のキャリア700Aは、支持レール620に沿う二つのキャスタ720に加え、二つのキャスタ710の間にもキャスタ720を有している。
【0329】
シャーシ701及びキャスタ710,720の構成材料に特に制限はないが、一例としてアルミ系合金等の比較的軽量な金属材料が挙げられる。キャスタ710,720の構成材料は、車輪713,721の表面硬度が、ガイドローラ711,712の表面硬度に比べ高くなるように選定されてもよい。例えば、車輪713,721が金属材料で構成され、ガイドローラ711,712が樹脂材料で構成されてもよい。
【0330】
なお、車輪713,721を支持するガイドレール610及び支持レール620の構成材料としてもアルミ系合金を例示したが、ガイドレール610及び支持レール620を車輪713,721に比較して高硬度な材料で構成してもよい。例えば、車輪713,721をアルミ系合金で構成する場合には、ガイドレール610及び支持レール620を鉄鋼又はステンレス等で構成してもよい。
【0331】
ガイドレール610及び支持レール620を高硬度の材料で構成することで、ガイドレール610及び支持レール620の消耗を抑制することができる。これにより、キャリア700Aの交換頻度に比較してガイド600の交換頻度を低減できる。キャリア700Aに比較して交換し難いガイド600の交換頻度を低減することで、搬送設備のメンテナンス性を向上させることができる。
【0332】
(2)ガイドレール及び支持レールの詳細
第三実施形態においても、ガイドレール610は、直状の搬送経路MR11に沿う直状部610aと、曲状の搬送経路MR12に沿う曲状部610bとを含んでいてもよい。直状部610aの幅と、曲状部610bの幅とは等しくてもよい。以下、これを前提として、ガイドレール610の配置について説明する。
【0333】
直状部610aは、曲状部610bの曲率中心CC11から第一距離D21の位置に設けられ、曲状部610bは、曲率中心CC11から第一距離D21の位置に比べて搬送経路MR12の外周側に設けられていてもよい。
【0334】
なお、ガイドレール610(直状部610a又は曲状部610b)までの距離とは、ガイドレール610の中心までの距離を意味する。搬送経路MR12の「外周側」とは曲率中心CC11の逆側を意味し、搬送経路MR12の「内周側」とは曲率中心CC11側を意味する。
【0335】
曲率中心CC11から曲状部610bまでの距離(以下、「第二距離D22」という。)は、直状の搬送経路MR11における可動子740の中心の軌道TR41と、曲状の搬送経路MR12における可動子740の中心の軌道TR42とが滑らかに繋がるように設定されていてもよい。
【0336】
なお、軌道TR41,TR42が滑らかに繋がるとは、軌道TR41,TR42の接続部において、軌道TR41が軌道TR42の接線に沿うことを意味する。換言すると、曲状部610bは、直状の搬送経路MR11における軌道TR41と、曲状の搬送経路MR12における軌道TR42とにずれが生じないように配置されていてもよい。軌道TR41,TR42にずれが生じないとは、曲率中心CC11から軌道TR41までの距離(以下、「第三距離D23」という。)と、曲率中心CC11から軌道TR42までの距離(以下、「第四距離D24」という。)とが互いに一致することを意味する。軌道TR41,TR42までの距離とは、軌道TR41,TR42の中心までの距離を意味する。
【0337】
図40に示すように、曲状部610bが軌道TR41よりも曲状の搬送経路MR12の外周側に位置する場合、第一距離D21及び第二距離D22は次式により算出される。
第一距離D21=第三距離D23+第一軌道間隔W11
第二距離D22=第四距離D24+第二軌道間隔W12
第一軌道間隔W11 : 直状の搬送経路MR11におけるキャスタ710の軌道TR11と、直状の搬送経路MR11における可動子740の中心の軌道TR41との間隔(軌道TR11の中心と軌道TR41の中心との間隔)
第二軌道間隔W12 : 曲状の搬送経路MR12におけるキャスタ710の軌道TR12と、曲状の搬送経路MR12における可動子740の中心の軌道TR42との間隔(軌道TR12の中心と軌道TR42の中心との間隔)
【0338】
一方、曲状部610bが軌道TR41よりも曲状の搬送経路MR12の内周側に位置する場合には、第一距離D21及び第二距離D22は次式により算出される。
第一距離D21=第三距離D23−第一軌道間隔W11
第二距離D22=第四距離D24−第二軌道間隔W12
【0339】
第一軌道間隔W11及び第二軌道間隔W12は、二つの車輪713,713と、可動子740の中心との配置に応じて幾何学的に導出可能である。曲状の搬送経路MR12において、曲状部610bが軌道TR42に比べ外周側に位置する場合、第二軌道間隔W12は第一軌道間隔W11よりも大きくなる。曲状の搬送経路MR12において、曲状部610bが軌道TR42に比べ内周側に位置する場合、第二軌道間隔W12は第一軌道間隔W11よりも小さくなる。
【0340】
このように、ガイドレール610は、直状の搬送経路MR11における可動子740の中心の軌道TR41と、曲状の搬送経路MR12における可動子740の中心の軌道TR42とのずれを小さくする手段を含んでいてもよい。
【0341】
なお、第三実施形態においても、側壁602及び複数の第一導電レール640は、固定子630を基準にしてガイドレール610の逆側(支持レール620側)に配置されていてもよい。例えば
図44に例示するガイド600では、側壁602は支持レール620よりも外側(固定子630の逆側)に配置されており、第一導電レール640は側壁602の固定子630側の側面に取り付けられている。
【0342】
複数の第一導電レール640は、固定子630を基準にして両側に分散配置されていてもよい。更に、複数の第一導電レール640は、ガイド600の上面に設けられていてもよく、これに応じて複数のブラシ761は下方に突出していてもよい。
【0343】
4.実施形態の効果
以上に説明したように、搬送システム1は、搬送経路MRを構成する少なくとも一つのガイドユニット100と、搬送経路MRに沿って移動するキャリア200と、を備える。ガイドユニット100は、走行面121と、搬送経路MRに沿うように設けられた少なくとも一本のガイドレール110と、軟質磁性材料により構成され、搬送経路MRに沿って並ぶ複数の突極132を含む磁性部材131と、を有する。キャリア200は、ガイドレール110に側方から接する少なくとも一つのローラ220と、走行面121に接する少なくとも一つの車輪210と、平面視にて磁性部材131に重なるように設けられ、磁性部材131に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、搬送経路MRに沿う推力及び磁性部材131に対する吸引力を発生する複数のコイル243と、を有する。
【0344】
この構成によれば、磁性部材131への電力供給が不要であるため、ガイドユニット100同士を容易に接続できる。また、永久磁石の使用量を増やすことなく搬送経路MRを自在に延長できるので、搬送経路MRの延長に伴うコストの増加が抑制される。各ガイドユニット100においては、ガイドレール110に対するローラ220の接触、走行面121に対する車輪210の接触、及びコイル243が磁性部材131に対して発生する吸引力により、搬送経路MRに直交する方向へのキャリア200の移動が規制される。これにより、磁性部材131に対するコイル243の位置が安定するので、安定したキャリア200の推力が得られる。また、搬送経路MRに直交する方向へのキャリア200の移動は、転がり部材の接触による拘束と、非接触での拘束のいずれかにより規制されるので、キャリア200は搬送経路MRに沿ってスムーズに案内される。これらの作用により、キャリア200を安定して移動させることができる。従って、ガイドユニット100を選定し繋ぎ合わせることで、設置環境に適応した搬送設備を容易に構築できる。
【0345】
走行面121は、搬送経路MRに直交する方向で磁性部材131を挟み、それぞれ搬送経路MRに沿う二本の走行ラインML上に設けられており、キャリア200は、搬送経路MRに直交する方向でコイル243を挟み、二本の走行ラインMLに対応するように分散配置される複数の車輪210を有してもよい。磁性部材131の両側において車輪210が走行面121に接触することで、コイル243と磁性部材131との間隔が更に安定する。これにより、キャリア200をより安定して移動させることができる。従って、設置環境に適応した搬送設備をより確実に構築できる。
【0346】
ガイドレール110は二本の走行ラインMLの外側に設けられていてもよい。この場合、車輪210と走行面121との接触部を磁性部材131の近くに配置することで、コイル243と磁性部材131との間隔を更に安定させることが可能となる。これにより、キャリア200をより安定して移動させることができる。従って、設置環境に適応した搬送設備をより確実に構築できる。
【0347】
磁性部材131は、突極132の突端部と走行面121との高低差が小さくなるように、二本の走行ラインML間に埋設されていてもよい。この場合、上記高低差が小さくなるに伴ってキャリア200のガイドユニット100側の構造を単純化できる。
【0348】
搬送経路MRに沿って連なる複数のガイドユニット100を備え、ガイドユニット100の走行面121同士の連結部J1,J2は、平面視で搬送経路MRに対し傾斜していてもよい。この場合、連結部J1,J2を車輪210が通過する際のキャリア200の揺れが抑制されるので、コイル243と磁性部材131との間隔が更に安定する。これにより、キャリア200をより安定して移動させることができる。従って、設置環境に適応した搬送設備をより確実に構築できる。
【0349】
二本の走行ラインMLにそれぞれ形成される二カ所の連結部J1,J2の位置は、搬送経路MRに沿う方向において互いにずれていてもよい。この場合、連結部J1,J2を車輪210が通過する際のキャリア200の揺れが更に抑制されるので、コイル243と磁性部材131との間隔が更に安定する。これにより、キャリア200をより安定して移動させることができる。従って、設置環境に適応した搬送設備をより確実に構築できる。
【0350】
ガイドユニット600Aとして、直状の搬送経路MR11を構成する直動型ガイドユニット600B及び曲状の搬送経路MR12を構成する曲動型ガイドユニット600Cを備えてもよく、キャリア700は、搬送経路MRに沿って並ぶ二つのキャスタ710を有してもよく、キャスタ710は、車輪713と、ガイドレール610を挟む二つのガイドローラ711,712と、車輪713及び二つのガイドローラ711,712を保持し、車輪713の向きを変えるように旋回可能なベース714とを有してもよい。
【0351】
この場合、二つのガイドローラ711,712がガイドレール610を挟むことにより、ベース714の旋回角度がガイドレール610に対して拘束される。これにより、ベース714はガイドレール610の向きに応じて旋回するので、車輪713の向きが直状の搬送経路MR1及び曲状の搬送経路MR2のいずれにも沿い易くなる。これにより、車輪713の向きと搬送経路MRとの不一致に起因する滑りが低減されるので、車輪713の滑りに起因する摩擦抵抗が低減される。従って、よりエネルギー効率の高い搬送設備を構築できる。
【0352】
キャリア700Aはキャスタ720を更に有してもよく、キャスタ720は、車輪721と、車輪721を保持し、車輪721の向きを変えるように旋回可能なベース722とを有してもよく、ベース722の旋回中心CL11に沿う方向から見て、当該旋回中心CL11と車輪721の回転中心CL12とは互いに離れていてもよい。
【0353】
キャスタ710がガイドレール610に沿うことで、キャスタ720の旋回中心CL11の軌道は拘束される(以下、これを「第一軌道」という。)。キャスタ720において、ベース722の旋回中心CL11と車輪721の回転中心CL12とは上述のように互いに離れている。このため、車輪721の向きが、第一軌道に沿い易い。より具体的に、回転中心CL12は、キャリア700Aの進行方向において旋回中心CL11よりも後側に位置する。車輪721の向き(転動によって進む方向)は常に旋回中心CL11側に向かうので、旋回中心CL11の軌道に沿い易い。これにより、キャスタ720において生じる摩擦が低減される。従って、よりエネルギー効率の高い搬送設備を構築できる。
【0354】
キャリア700Aは、搬送経路MRに沿って並ぶ二つのキャスタ720を有してもよい。この場合、キャリア700Aの姿勢を更に安定化することができる。
【0355】
キャリア700は、搬送経路MRに沿う方向において二つのキャスタ710の間に位置し、搬送経路MRに直交する方向において車輪713から離れて位置する車輪731を更に有してもよい。この場合、車輪731の存在により、キャリア700の姿勢が安定する。車輪731は二つの車輪713の間にあるので、車輪731を旋回させる機能を設けなくても、車輪731の向きと搬送経路MRとのずれは小さくなる。従って、単純な構造にて、姿勢の安定化及び摩擦の低減の両立を図ることができる。
【0356】
直動型ガイドユニット600Bのガイドレール610は、曲状の搬送経路MR12の曲率中心CC11から第一距離D1の位置に設けられ、曲動型ガイドユニット600Cのガイドレール610は、曲率中心CC11から第一距離D1の位置に比べて搬送経路MRの外周側に設けられていてもよい。この場合、直状の搬送経路MR11におけるキャリア700の中心の軌道と、曲状の搬送経路MR12におけるキャリア700の中心の軌道とのずれが小さくなる。これにより、移動中のキャリア700の姿勢を更に安定化できることが期待される。
【0357】
ガイドユニット600Aは、搬送経路MRに沿う複数の第一導電レール640を有し、キャリア700は、複数の第一導電レール640にそれぞれ接する複数のブラシ761を有し、複数の第一導電レール640は、磁性部材631を基準にして片側に配置されていてもよい。この場合、複数の第一導電レール640同士を近付けることで、第一導電レール640に起因するノイズを低減できる。複数の第一導電レール640が磁性部材631の片側に配置されていると、キャリア700にはブラシ761の反力に起因するモーメントが生じる。これに対し、キャリア700とガイドユニット600Aとの間には吸引力が作用するので、モーメントに起因するキャリア700の浮上が防止される。従って、単純な構造にて、姿勢の安定化及びノイズ低減の両立を図ることができる。
【0358】
搬送システム1を用いれば、概ね次の手順で搬送設備を構築可能である。まず、設置環境に応じて複数のガイドユニット100を選択する。次に、設置環境に応じて複数のガイドユニット100同士を接続する。次に、ローラ220がガイドレール110に接し、車輪210が走行面121に接し、コイル243が磁性部材131に対向するようにキャリア200を配置する。
【0359】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0360】
なお、上述の実施形態において例示されるように、本開示は他の側面において以下の構成を含む。
〔A1〕
平面視で曲がった搬送経路を構成する曲動型ガイドユニットと、平面視で直状の搬送経路を構成する直動型ガイドユニットとを含む複数のガイドユニットと、前記搬送経路に沿って移動するキャリアと、を備え、
前記ガイドユニットは、
前記搬送経路に直交する方向に並び、それぞれ前記搬送経路に沿う第一ガイドレール及び第二ガイドレールと、
前記搬送経路に沿う固定子と、を有し、
前記キャリアは、
前記第一ガイドレールの片方の側面に接し、前記搬送経路に沿って並ぶ二つの第一ローラと、
前記第二ガイドレールの両方の側面のうち、前記第一ガイドレールの前記片方の側面と逆向きの側面に接し、前記搬送経路に沿って並ぶ二つの第二ローラと、
前記固定子と協働して前記搬送経路に沿う推力を発生する可動子と、を有し、
前記曲動型ガイドユニットにおいて前記第一ローラ又は前記第二ローラが前記搬送経路の外周側から接する前記側面は、当該側面に対応する前記直動型ガイドユニットの前記側面に連なる円弧に比べて前記搬送経路の外周側に膨らんでおり、
前記曲動型ガイドユニットにおいて前記第一ローラ又は前記第二ローラが前記搬送経路の内周側から接する前記側面は、当該側面に対応する前記直動型ガイドユニットの前記側面に連なる円弧に比べて前記搬送経路の外周側に窪んでいる、搬送システム。
〔A2〕
前記直動型ガイドユニットにおいて、前記第一ローラが接する前記側面及び前記第二ローラが接する前記側面の両端部には、前記曲動型ガイドユニットにおいて前記搬送経路の外周側に窪んだ前記側面に連なる窪み部が形成されている、上記A1記載の搬送システム。
〔A3〕
前記複数のガイドユニットは複数の前記曲動型ガイドユニットを含み、
前記曲動型ガイドユニットにおいて、前記搬送経路の外周側に膨らんだ前記側面の両端部には、他の前記曲動型ガイドユニットにおいて前記搬送経路の外周側に窪んだ前記側面に連なる窪み部が形成されている、上記A1又はA2記載の搬送システム。
〔A4〕
前記キャリアは、
前記搬送経路に沿う方向において二つの前記第一ローラの間に位置し、前記第一ローラの逆側において前記第一ガイドレールの側面に接する第三ローラと、
前記搬送経路に沿う方向において二つの前記第二ローラの間に位置し、前記第二ローラの逆側において前記第二ガイドレールの側面に接する第四ローラと、を更に有する、上記A2又はA3記載の搬送システム。
〔A5〕
前記ガイドユニットは走行面を更に有し、
前記キャリアは、前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールの間において前記走行面に接地する複数の車輪を更に有し、
前記第一ローラ及び前記第二ローラは前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールの外側に設けられ、
前記第三ローラ及び前記第四ローラの少なくとも一方は前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールの内側に設けられ、前記車輪同士の間に位置している、上記A4記載の搬送システム。
〔A6〕
前記搬送経路に沿う方向において、二つの前記第一ローラの中間位置、二つの前記第二ローラの中間位置、及び前記可動子の中心は互いに一致している、上記A1〜A5のいずれか一項記載の搬送システム。
〔A7〕
前記固定子は磁性部材を含み、
前記可動子は、前記磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、前記搬送経路に沿う推力を発生する複数のコイルを含む、上記A1〜A6のいずれか一項記載の搬送システム。
〔A8〕
前記磁性部材は、軟質磁性材料により構成され、前記搬送経路に沿って並ぶ複数の突極を含む、上記A7記載の搬送システム。
〔A9〕
上記A1〜A8のいずれか一項記載の搬送システムを用い、
設置環境に応じて前記複数のガイドユニットを選択すること、
設置環境に応じて前記複数のガイドユニット同士を接続すること、
前記二つの第一ローラが前記第一ガイドレールの前記側面に接し、前記二つの第二ローラが前記第二ガイドレールの前記側面に接し、前記可動子が前記固定子に対向するように前記キャリアを配置すること、を含む搬送設備構築方法。
【0361】
本開示は更に他の側面において以下の構成を含む。
〔B1〕
第一ガイドユニット、第二ガイドユニット及び第三ガイドユニットを含み、搬送経路を構成する複数のガイドユニットと、
前記搬送経路に沿って移動する少なくとも一つのキャリアと、
前記第一ガイドユニットと、前記第二ガイドユニット及び前記第三ガイドユニットとの間に介在し、前記第一ガイドユニットが前記第二ガイドユニットに接続される第一状態と、前記第一ガイドユニットが前記第三ガイドユニットに接続される第二状態とを切り替える分岐ユニットと、を備え、
それぞれの前記ガイドユニットは、
前記搬送経路に直交する方向で互いに対向し、それぞれ前記搬送経路に沿うように設けられた第一ガイドレール及び第二ガイドレールと、
前記搬送経路に沿う固定子と、を有し、
前記キャリアは、
前記第一ガイドレールの外側面に接触する少なくとも一つの第一ローラと、
前記第一ローラに対向し、前記第二ガイドレールの外側面に接触する少なくとも一つの第二ローラと、
前記固定子と協働して前記搬送経路に沿う推力を発生する可動子と、を有し、
前記分岐ユニットは、前記第一状態及び前記第二状態のいずれにおいても、前記第一ガイドレール及び前記第二ガイドレールのいずれか一方のガイドレール同士を接続し、他方のガイドレール同士を接続しないように構成されている、搬送システム。
〔B2〕
前記分岐ユニットは、可動基台と、前記可動基台に固定された第一中継レール及び第二中継レールと、前記第一状態において前記可動基台を一方側にスライドさせ、前記第二状態において前記可動基台を他方側にスライドさせる駆動部と、を有し、
前記第一中継レールは、前記駆動部が前記可動基台を前記一方側へスライドさせたときに、前記第一ガイドユニット及び前記第二ガイドユニットの前記第一ガイドレール同士の間に介在するように配置され、
前記第二中継レールは、前記駆動部が前記可動基台を前記他方側へスライドさせたときに、前記第一ガイドユニット及び前記第三ガイドユニットの前記第二ガイドレール同士の間に介在するように配置されている、上記B1記載の搬送システム。
〔B3〕
前記分岐ユニットは、前記可動基台に固定された第一中継固定子及び第二中継固定子を有し、
前記第一中継固定子は、前記駆動部が前記可動基台を前記一方側へスライドさせたときに、前記第一ガイドユニット及び前記第二ガイドユニットの前記固定子同士の間に介在するように配置され、
前記第二中継固定子は、前記駆動部が前記可動基台を前記他方側へスライドさせたときに、前記第一ガイドユニット及び前記第三ガイドユニットの前記固定子同士の間に介在するように配置されている、上記B2記載の搬送システム。
〔B4〕
前記分岐ユニットは、中継固定子を有し、
前記中継固定子は、一端側において前記第一ガイドユニットの前記固定子に接続され、他端側において分岐し、前記第二ガイドユニット及び前記第三ガイドユニットの前記固定子にそれぞれ接続される、上記B2記載の搬送システム。
〔B5〕
前記分岐ユニットは、
前記可動基台と、前記第二ガイドユニット及び前記第三ガイドユニットとの間に介在する固定基台と、
前記固定基台に固定され、前記第二ガイドユニットの前記第一ガイドレールに連なる第三中継レールと、
前記固定基台に固定され、前記第三ガイドユニットの前記第二ガイドレールに連なる第四中継レールと、を更に有し、
前記第一中継レールは、前記駆動部が前記可動基台を前記一方側へスライドさせたときに、前記第一ガイドユニットの前記第一ガイドレールと前記第三中継レールとの間に介在するように配置され、
前記第二中継レールは、前記駆動部が前記可動基台を前記他方側へスライドさせたときに、前記第一ガイドユニットの前記第二ガイドレールと前記第四中継レールとの間に介在するように配置されている、上記B2〜B4のいずれか一項に記載の搬送システム。
〔B6〕
前記分岐ユニットは、基台と、前記第一ガイドユニット及び前記第二ガイドユニットの前記第一ガイドレール同士の間に介在する第一中継レールと、前記第一ガイドユニット及び前記第三ガイドユニットの第二ガイドレール同士の間に介在する第二中継レールと、前記第一中継レール及び前記第二中継レールを前記基台上に出没させる駆動部と、を有する、上記B1記載の搬送システム。
〔B7〕
前記キャリアは、前記第一ガイドレールの内側面に接する第三ローラと、前記第二ガイドレールの内側面に接する第四ローラとを更に有する、上記B1〜B6のいずれか一項記載の搬送システム。
〔B8〕
前記固定子は磁性部材を含み、
前記可動子は、前記磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、前記搬送経路に沿う推力を発生する複数のコイルを含む、上記B1〜B7のいずれか一項記載の搬送システム。
〔B9〕
前記磁性部材は、軟質磁性材料により構成され、前記搬送経路に沿って並ぶ複数の突極を含む、上記B8記載の搬送システム。
〔B10〕
前記可動子は、移動磁界を発生させる複数のコイルを含み、
前記固定子、前記第一中継固定子及び前記第二中継固定子は、軟質磁性材料により構成され、前記搬送経路に沿って並ぶ複数の突極を含み、前記移動磁界の作用に応じて前記可動子に推力を発生させる、上記B3記載の搬送システム。
〔B11〕
上記B1〜B10のいずれか一項に記載の搬送システムを用い、
設置環境に応じて前記複数のガイドユニット及び前記分岐ユニットを選択すること、
設置環境に応じて前記複数のガイドユニット及び前記分岐ユニットを互いに接続すること、
前記第一ローラが前記第一ガイドレールの前記外側面に接し、前記第二ローラが前記第二ガイドレールの前記外側面に接し、前記可動子が前記固定子に対向するように前記キャリアを配置すること、を含む搬送設備構築方法。
【0362】
本開示は更に他の側面において以下の構成を含む。
〔C1〕
平面視で曲がった搬送経路を構成する曲動型ガイドユニットと、平面視で直状の搬送経路を構成する直動型ガイドユニットとを含む複数のガイドユニットと、前記搬送経路に沿って移動するキャリアと、を備え、
前記ガイドユニットは、
前記搬送経路に沿う固定子と、
前記搬送経路における位置に関する情報を示す指標部とを有し、
前記キャリアは、
前記固定子と協働して前記搬送経路に沿う推力を発生する可動子と、
前記指標部により示される情報に基づいて前記キャリアの位置情報を検出する位置センサとを有し、
前記位置センサにおいて、前記指標部により示される情報を取得する部分は、前記搬送経路に直交し、前記曲がった搬送経路の曲率中心を通る第一直線上に位置している、搬送システム。
〔C2〕
前記可動子の中心も前記第一直線上に位置している、上記C1記載の搬送システム。
〔C3〕
前記ガイドユニットは、
前記搬送経路に沿う少なくとも一つのガイドレールを更に有し、
前記キャリアは、
前記第一直線上に位置し、前記ガイドレールの側面に接する第一ローラを更に有する、上記C1又はC2記載の搬送システム。
〔C4〕
前記指標部は、前記ガイドレールの側面に設けられている、上記C3記載の搬送システム。
〔C5〕
前記キャリアは、前記搬送経路に沿う方向において前記第一ローラを挟むように配置され、前記第一ローラの逆側から前記ガイドレールの側面に接する二つの第二ローラを更に有し、
前記指標部は、前記第二ローラ側に設けられており、
前記曲動型ガイドユニットにおいて前記第二ローラが接する前記側面は、前記指標部が設けられた前記側面に対して前記搬送経路の外周側にずれている、上記C4記載の搬送システム。
〔C6〕
前記固定子は磁性部材を含み、
前記可動子は、前記磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、前記搬送経路に沿う推力を発生する複数のコイルを含む、上記C1〜C5のいずれか一項記載の搬送システム。
〔C7〕
前記磁性部材は、軟質磁性材料により構成され、前記搬送経路に沿って並ぶ複数の突極を含む、上記C6記載の搬送システム。
〔C8〕
上記C1〜C7のいずれか一項記載の搬送システムを用い、
設置環境に応じて前記複数のガイドユニットを選択すること、
設置環境に応じて前記複数のガイドユニット同士を接続すること、
前記位置センサにおいて、前記指標部により示される情報を取得する部分が前記指標部に対向し、前記可動子が前記固定子に対向するように前記キャリアを配置すること、を含む搬送設備構築方法。
【0363】
本開示は更に他の側面において以下の構成を含む。
〔D1〕
搬送経路を構成する少なくとも一つのガイドユニットと、前記搬送経路に沿って移動するキャリアと、を備え、
前記ガイドユニットは、
前記搬送経路に沿うようにそれぞれ設けられ、二本の給電線、及び二本の通信線を含む少なくとも四本の導電線と、
磁性部材を含み、前記搬送経路に沿う固定子と、を有し、
前記キャリアは、
前記磁性部材に作用する移動磁界を前記給電線からの電力供給に応じて発生することで、前記搬送経路に沿う推力を発生する可動子と、
少なくとも四つのブラシと、を有し、
前記少なくとも四つのブラシは、前記二本の給電線にそれぞれ接するように設けられ、前記キャリアへの電力を中継する二つの給電ブラシと、前記二本の通信線にそれぞれ接するように設けられ、電気信号を中継する二つの通信ブラシと、を含み、
少なくとも四組の前記導電線及び前記ブラシは、前記搬送経路に直交する方向において前記可動子の両側に均等な数で分散配置されている、搬送システム。
〔D2〕
前記ガイドユニットは、前記搬送経路に沿うように設けられ、互いに対向する二つの側壁を有し、
前記少なくとも四本の導電線は、前記側壁の内面に設けられている、上記D1記載の搬送システム。
〔D3〕
前記ガイドユニットは、走行面を有し、
前記キャリアは、前記走行面に接する車輪を有し、
前記給電線は、前記通信線に対して前記走行面側に位置する、上記D2記載の搬送システム。
〔D4〕
前記ガイドユニットは、前記可動子の両側のそれぞれに、二本の前記通信線と、一本の前記給電線とを有し、
前記キャリアは、前記可動子の両側のそれぞれに、二つの前記通信ブラシと、一つの前記給電ブラシと、を有する、上記D1〜D3のいずれか一項記載の搬送システム。
〔D5〕
前記ガイドユニットは、前記可動子の両側のそれぞれに、二本の前記通信線と、二本の前記給電線とを有し、
前記キャリアは、前記可動子の両側のそれぞれに、二つの前記給電ブラシと、二つの前記通信ブラシと、を有する、上記D1〜D3のいずれか一項記載の搬送システム。
〔D6〕
前記ガイドユニットは、前記可動子の両側のそれぞれに、一本の前記通信線と、一本の前記給電線とを有し、
前記キャリアは、前記可動子の両側のそれぞれに、一つの前記給電ブラシと、一つの前記通信ブラシとを有する、上記D1〜D3のいずれか一項記載の搬送システム。
〔D7〕
前記磁性部材は、軟質磁性材料により構成され、前記搬送経路に沿って並ぶ複数の突極を含む、上記D1〜D6のいずれか一項記載の搬送システム。
〔D8〕
前記キャリアは、シャーシと、
前記給電ブラシに供給された電力を駆動用の電力に変換して前記可動子に出力するドライバ回路と、を有し、
前記少なくとも四つのブラシは、前記搬送経路に直交する方向において前記シャーシの両側に均等な数で分散配置され、
前記可動子は前記シャーシにおいて前記固定子側に設けられ、
前記ドライバ回路は前記ブラシ同士の間において、前記可動子との間に前記シャーシを挟むように設けられている、上記D1〜D7のいずれか一項記載の搬送システム。
〔D9〕
上記D1〜D8のいずれか一項記載の搬送システムを用い、
設置環境に応じて前記ガイドユニットを選択すること、
設置環境に応じて前記ガイドユニット同士を接続すること、
前記可動子が前記固定子に対向するように前記キャリアを配置すること、を含む搬送設備構築方法。
【0364】
本開示は更に他の側面において以下の構成を含む。
〔E1〕
搬送経路を構成するガイドと、
前記搬送経路に沿って移動するキャリアとを備え、
前記ガイドは、
前記搬送経路に沿うように設けられたガイドレールを有し、
前記キャリアは、
前記搬送経路に沿って並び、それぞれ前記ガイドレールに沿って移動するように構成された第一キャスタ及び第二キャスタと、
前記搬送経路に沿う方向において前記第一キャスタ及び前記第二キャスタの間に位置する第三キャスタとを有し、
前記ガイドレールは、直状の前記搬送経路に沿う直状部と、曲状の前記搬送経路に沿う曲状部とを含み、前記直状部は、前記曲状部の曲率中心から第一距離の位置に設けられ、前記曲状部は、前記曲率中心から前記第一距離の位置に比べて前記搬送経路の外周側に設けられている、搬送システム。
〔E2〕
前記ガイドは、複数のガイドユニットに分割可能であり、
前記複数のガイドユニットは、前記直状の搬送経路を構成する直動型ガイドユニットと、前記曲状の搬送経路を構成する曲動型ガイドユニットとを含む、上記E1記載の搬送システム。
〔E3〕
前記曲動型ガイドユニットの前記ガイドレールは、
前記曲状部と、
前記曲状部と前記直動型ガイドユニットの前記ガイドレールとの間に介在し、前記曲状部に比べ曲率が小さい移行部とを含む、上記E2記載の搬送システム。
〔E4〕
前記第一キャスタは、
第一車輪と、
前記ガイドレールを挟む二つの第一ガイドローラと、
前記第一車輪及び前記二つの第一ガイドローラを保持し、前記第一車輪の向きを変えるように旋回可能な第一ベースとを有し、
前記第二キャスタは、
第二車輪と、
前記ガイドレールを挟む二つの第二ガイドローラと、
前記第二車輪及び前記二つの第二ガイドローラを保持し、前記第二車輪の向きを変えるように旋回可能な第二ベースとを有し、
前記第三キャスタは第三車輪を有する、上記E1〜E3のいずれか一項記載の搬送システム。
〔E5〕
前記第一車輪の回転中心と、前記二つの第一ガイドローラの回転中心とは同一平面内に位置し、
前記第二車輪の回転中心と、前記二つの第二ガイドローラの回転中心とは同一平面内に位置する、上記E4記載の搬送システム。
〔E6〕
前記第一キャスタは、前記二つの第一ガイドローラに対して回転中心の異なる前記第一ガイドローラを有しておらず、
前記第二キャスタは、前記二つの第二ガイドローラに対して回転中心の異なる前記第二ガイドローラを有していない、上記E4又はE5記載の搬送システム。
〔E7〕
前記第一車輪、前記第二車輪及び前記第三車輪の表面硬度は、前記第一ガイドローラ及び前記第二ガイドローラの表面硬度に比べ高い、上記E4〜E6のいずれか一項記載の搬送システム。
〔E8〕
前記ガイドは、前記搬送経路に沿う固定子を更に有し、
前記キャリアは、前記固定子と協働して前記搬送経路に沿う推力を発生する可動子を更に有する、上記E1〜E7のいずれか一項記載の搬送システム。
〔E9〕
前記固定子は、前記搬送経路に沿って並ぶ複数の突極を有する磁性部材を有し、
前記可動子は、前記磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、前記搬送経路に沿う推力及び前記ガイドに対する吸引力を発生する複数のコイルを有する、上記E8記載の搬送システム。
〔E10〕
前記ガイドは、前記搬送経路に沿う複数の導電レールを有し、
前記キャリアは、前記複数の導電レールにそれぞれ接する複数のブラシを有し、
前記複数の導電レールは、前記固定子を基準にして前記ガイドレール側に配置されている、上記E8又はE9記載の搬送システム。
〔E11〕
前記ガイドは、前記搬送経路に沿う複数の導電レールを有し、
前記キャリアは、前記複数の導電レールにそれぞれ接する複数のブラシを有し、
前記複数の導電レールは、前記固定子を基準にして前記ガイドレールの逆側に配置されている、上記E8又はE9記載の搬送システム。
【0365】
本開示は更に他の側面において以下の構成を含む。
〔F1〕
第一導電レールを有し、前記第一導電レールに沿う搬送経路を構成する複数のガイドユニットと、
電力の供給に応じて推力を発生する動力源と、前記第一導電レールに接する通電用のブラシとを有し、前記搬送経路に沿って移動するキャリアと、
可動基台と、前記可動基台に設けられた複数の第二導電レールと、前記第一導電レールと同一線上に位置する前記第二導電レールを変更するように前記可動基台をスライドさせるアクチュエータとを有し、前記ガイドユニット同士の間に介在して前記キャリアの進路を変更するスイッチユニットと、
前記第一導電レールと前記第二導電レールとを電気的に接続し、前記可動基台のスライド中においても、前記第一導電レールと前記第二導電レールとの電気的な接続を維持するように構成された導通ラインと、を備え、
前記第二導電レールは、前記第一導電レールと同一線上に位置する状態において当該第一導電レールとの間に間隔をなすように構成されており、当該間隔は、前記搬送経路に沿う方向での前記ブラシの通電部分の長さに比べ大きい、搬送システム。
〔F2〕
前記導通ラインは、前記第一導電レール及び前記第二導電レールを接続するケーブルと、前記ケーブルに設けられたコネクタとを有する、上記F1記載の搬送システム。
〔F3〕
前記ガイドユニットは、前記搬送経路に沿う固定子を有し、
前記動力源は、電力の供給に応じて、前記固定子と協働して前記搬送経路に沿う推力を発生する可動子を含む、上記F1又はF2記載の搬送システム。
〔F4〕
前記キャリアに搭載されたキャリアコントローラと、
前記第一導電レール及び前記第二導電レールの少なくとも一方を介し、前記キャリアコントローラとの間で通信を行うシステムコントローラと、を更に備え、
前記システムコントローラ及び前記キャリアコントローラの少なくとも一方は、前記通信を実行できない場合に当該通信のリトライを行うように構成されており、前記リトライを行う最大期間は、前記ブラシと前記第一導電レール又は前記第二導電レールとの接触が途切れる期間以上に設定されている、上記F1〜F3のいずれか一項記載の搬送システム。
【0366】
本開示は更に他の側面において以下の構成を含む。
〔G1〕
搬送経路を構成するガイドと、
前記搬送経路に沿って移動するキャリアと、
前記搬送経路に沿うように、前記ガイド及び前記キャリアのいずれか一方に設けられた磁性部材と、
前記ガイド及び前記キャリアの他方に設けられ、前記磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、前記搬送経路に沿う推力を発生する複数のコイルと、
前記キャリアの移動に伴って変動する磁気を検出する磁気センサと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記コイルのインダクタンス変動に基づいて前記キャリアの位置を求める第一方式の位置検出と、
前記磁気センサの出力に基づいて前記キャリアの位置を求める第二方式の位置検出とを実行するように構成されている、搬送システム。
〔G2〕
前記磁性部材は前記ガイドに設けられ、
前記複数のコイル及び前記磁気センサは前記キャリアに設けられている、上記G1記載の搬送システム。
〔G3〕
前記磁性部材は、軟磁性材料により構成され、前記搬送経路に沿う方向に並ぶ複数の突極を有し、
前記コントローラは、
前記第一方式及び前記第二方式のいずれにおいても、前記突極に起因する信号変動に基づいて前記キャリアの位置を求める、上記G2記載の搬送システム。
〔G4〕
前記コントローラは、
前記複数のコイルに電力が供給されているときには前記第一方式の位置検出を実行し、
前記複数のコイルに電力が供給されていないときには前記第二方式の位置検出を実行するように構成されている、上記G1〜G3のいずれか一項記載の搬送システム。
〔G5〕
前記コントローラは、
前記複数のコイルに電力が供給されているときには、前記第一方式及び前記第二方式の両方の位置検出を実行し、
前記第一方式の位置検出結果及び前記第二方式の位置検出結果の差異を算出することと、
前記差異が許容範囲内である場合には、前記第一方式の位置検出結果を採用することと、
前記差異が許容範囲外である場合には、前記第二方式の位置検出結果を採用することと、を更に実行するように構成されている、上記G1〜G4のいずれか一項記載の搬送システム。
〔G6〕
前記ガイドは、位置情報を保有するスケールを更に有し、
前記キャリアは、前記スケールが保有する位置情報を検出する位置センサを更に有し、
前記コントローラは、前記スケールが設けられた位置を前記位置センサが通過する際には、前記位置センサの出力に基づいて前記キャリアの位置を求める第三方式の位置検出を更に実行するように構成されている、上記G1〜G5のいずれか一項記載の搬送システム。
〔G7〕
前記ガイドは、複数のガイドユニットに分割可能である、上記G1〜G6のいずれか一項記載の搬送システム。
〔G8〕
搬送経路を構成するガイドと、前記搬送経路に沿って移動するキャリアと、前記搬送経路に沿うように、前記ガイド及び前記キャリアのいずれか一方に設けられた磁性部材と、前記ガイド及び前記キャリアの他方に設けられ、前記磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、前記搬送経路に沿う推力を発生する複数のコイルと、前記キャリアの移動に伴って変動する磁気を検出する磁気センサと、を備える搬送システムを用い、
前記コイルのインダクタンス変動に基づいて前記キャリアの位置を求めることと、
前記磁気センサの出力に基づいて前記キャリアの位置を求めることと、を含む搬送システムの制御方法。
〔G9〕
線状の移動経路に沿うように設けられた固定子と、
前記移動経路に沿って移動する可動子と、
前記移動経路に沿うように、前記固定子及び前記可動子のいずれか一方に設けられた磁性部材と、
前記固定子及び前記可動子の他方に設けられ、前記磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、前記移動経路に沿う推力を発生する複数のコイルと、
前記可動子の移動に伴って変動する磁気を検出する磁気センサと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記コイルのインダクタンス変動に基づいて前記可動子の位置を求める第一方式の位置検出と、
前記磁気センサの出力に基づいて前記可動子の位置を求める第二方式の位置検出とを実行するように構成されている、リニアモータ。
【0367】
本開示は更に他の側面において以下の構成を含む。
〔H1〕
電力の供給に応じて推力を発生する動力源を有し、搬送経路に沿って移動する複数のキャリアと、
前記キャリアにおける前記推力の上昇に基づいて前記キャリア同士の衝突を検出することを実行するように構成されたコントローラと、を備える搬送システム。
〔H2〕
前記搬送経路を構成するガイドと、
前記搬送経路に沿って並ぶように前記ガイドに設けられ、それぞれ初期位置情報を保有する複数のマーカと、を更に備え、
前記キャリアは、
前記マーカが保有する前記初期位置情報を取得する初期位置センサを更に有し、
前記コントローラは、
前記キャリアを移動させることと、
前記初期位置センサが前記マーカを検出した際に、当該初期位置センサを有する前記キャリアの前記初期位置情報を取得することと、を更に実行するように構成されている、上記H1記載の搬送システム。
〔H3〕
前記キャリアにおける前記推力の上昇に基づいて前記キャリア同士の衝突を検出することは、
前記初期位置情報を未取得の前記キャリアにおいて前記推力が上昇した場合に、当該キャリアが先行する前記キャリアに追突したものと推定することと、
停止又は減速させた前記キャリアにおいて前記推力が上昇した場合に、当該キャリアが後続の前記キャリアに追突されたものと推定することとを含む、上記H2記載の搬送システム。
〔H4〕
前記コントローラは、
前記後続のキャリアに衝突されたものと推定された前記キャリアを前記後続のキャリアの逆側に移動させることを更に実行するように構成されている、上記H3記載の搬送システム。
〔H5〕
前記ガイドは、複数のガイドユニットに分割可能であり、
一つの前記ガイドユニットに搭載可能なキャリアの数と、
一つの前記ガイドユニットに設けられたマーカの数とが等しい、上記H2〜H4のいずれか一項記載の搬送システム。
〔H6〕
前記コントローラは、
前記搬送経路に沿って隣り合う前記キャリア同士の位置の差異が、前記搬送経路に沿って隣り合う前記マーカ同士の位置の差異よりも大きくなるように前記キャリアを移動させること、を更に実行するように構成されている、上記H2〜H5のいずれか一項記載の搬送システム。
〔H7〕
電力の供給に応じて推力を発生する動力源を有する複数のキャリアを備える搬送システムの制御方法であって、
搬送経路に沿って移動するように複数のキャリアを制御することと、
前記キャリアにおける前記推力の上昇に基づいて前記キャリア同士の衝突を検出することと、を含む搬送システムの制御方法。
【0368】
本開示は更に他の側面において以下の構成を含む。
〔I1〕
搬送経路を構成するガイドと、
前記搬送経路に沿って移動するキャリアとを備え、
前記ガイドは、
前記搬送経路に沿うように設けられたガイドレールを有し、
前記キャリアは第一キャスタ及び第二キャスタを有し、
前記第二キャスタは前記ガイドレールに沿って移動するように構成され、
前記第一キャスタは、
第一車輪と、
前記第一車輪を保持し、前記第一車輪の向きを変えるように旋回可能な第一ベースとを有し、
前記第一ベースの旋回中心に沿う方向から見て、当該旋回中心と前記第一車輪の回転中心とは互いに離れている、搬送システム。
〔I2〕
前記第二キャスタは、
前記ガイドレールを挟む二つのガイドローラと、
第二車輪と、
前記第二車輪及び前記二つのガイドローラを保持し、前記第二車輪の向きを変えるように旋回可能な第二ベースとを更に有し、
前記二つのガイドローラの回転中心と、前記第二ベースの旋回中心と、前記第二車輪の回転中心とは同一平面内に位置している、上記I1記載の搬送システム。
〔I3〕
前記キャリアは、
前記搬送経路に沿って並ぶ二つの前記第一キャスタと、
前記搬送経路に沿って並ぶ二つの前記第二キャスタと、を有する、上記I2記載の搬送システム。
〔I4〕
二つの前記第一ベースの旋回中心同士の間隔は、二つの前記第二ベースの旋回中心同士の間隔に比べ小さい、上記I3記載の搬送システム。
〔I5〕
二つの前記第一ベースの旋回中心同士の間隔は、二つの前記第二ベースの旋回中心同士の間隔に比べ大きい、上記I3記載の搬送システム。
〔I6〕
前記第一ベースの旋回中心に沿う方向から見て、
前記第一ベースの旋回中心と、当該第一ベースに保持される前記第一車輪の回転中心との間隔は、
二つの前記第一ベースの旋回中心同士の間隔の半分未満である、上記I3〜I5のいずれか一項記載の搬送システム。
〔I7〕
前記ガイドは、前記搬送経路に沿う固定子を更に有し、
前記キャリアは、前記固定子と協働して前記搬送経路に沿う推力を発生する可動子を更に有する、上記I1〜I6のいずれか一項記載の搬送システム。
〔I8〕
前記固定子は、前記搬送経路に沿って並ぶ複数の突極を有する磁性部材を有し、
前記可動子は、前記磁性部材に作用する移動磁界を電力の供給に応じて発生することで、前記搬送経路に沿う推力及び前記ガイドに対する吸引力を発生する複数のコイルを有する、上記I7記載の搬送システム。
〔I9〕
前記ガイドは、前記搬送経路に沿う複数の導電レールを更に有し、
前記キャリアは、前記複数の導電レールにそれぞれ接する複数のブラシを更に有し、
前記複数の導電レールは、前記固定子を基準にして前記ガイドレール側に配置されている、上記I7又はI8記載の搬送システム。
〔I10〕
前記ガイドは、前記搬送経路に沿う複数の導電レールを更に有し、
前記キャリアは、前記複数の導電レールにそれぞれ接する複数のブラシを更に有し、
前記複数の導電レールは、前記固定子を基準にして前記ガイドレールの逆側に配置されている、上記I7又はI8記載の搬送システム。
〔I11〕
前記ガイドは、前記搬送経路に沿って連なる複数のガイドユニットに分割可能であり、
前記複数のガイドユニットは、直状の搬送経路を構成する直動型ガイドユニットと、曲状の搬送経路を構成する曲動型ガイドユニットとを含む、上記I1〜I10のいずれか一項記載の搬送システム。