特許第6559237号(P6559237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タートル ビーチ コーポレーションの特許一覧

特許6559237超音波によるオーディオシステムのエラー訂正
<>
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000014
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000015
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000016
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000017
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000018
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000019
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000020
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000021
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000022
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000023
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000024
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000025
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000026
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000027
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000028
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000029
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000030
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000031
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000032
  • 特許6559237-超音波によるオーディオシステムのエラー訂正 図000033
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559237
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】超音波によるオーディオシステムのエラー訂正
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20190805BHJP
   H04R 3/04 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
   H04R3/04
【請求項の数】15
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-531308(P2017-531308)
(86)(22)【出願日】2015年11月23日
(65)【公表番号】特表2017-537564(P2017-537564A)
(43)【公表日】2017年12月14日
(86)【国際出願番号】US2015062207
(87)【国際公開番号】WO2016094075
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】14/566,592
(32)【優先日】2014年12月10日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515042915
【氏名又は名称】タートル ビーチ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カップス,ブライアン,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ノリス,エルウッド,グラント
【審査官】 柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−537741(JP,A)
【文献】 特開2007−143157(JP,A)
【文献】 特表2003−507982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04R 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波オーディオシステムにおける歪を低減するための方法であって、
第1のオーディオ信号を受信することであって、前記受信される第1のオーディオ信号は、前記超音波オーディオシステムを用いて再生されるべきオーディオコンテンツを表すことを特徴としている、前記第1のオーディオ信号を受信することと、
前記超音波オーディオシステムの第1のエラー関数を計算することであって、前記第1のエラー関数は、H(x+xであり、ここで、xは、前記受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記受信される第1のオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている、前記超音波オーディオシステムの前記第1のエラー関数を計算することと、
前記第1のエラー関数の加法的逆元と前記受信される第1のオーディオ信号とを結合することにより、前記受信される第1のオーディオ信号を第1の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、を含む方法。
【請求項2】
エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、前記結合するステップの前に、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第1のエラー関数または前記第1のエラー関数の前記加法的逆元に適用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
超音波オーディオシステムにおける歪を低減するための方法であって、
第1のオーディオ信号を受信することであって、前記受信される第1のオーディオ信号は、前記超音波オーディオシステムを用いて再生されるべきオーディオコンテンツを表すことを特徴としている、前記第1のオーディオ信号を受信することと、
前記超音波オーディオシステムの第1のエラー関数を計算することであって、前記第1のエラー関数は、H(x−xであり、ここで、xは、前記受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記受信される第1のオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている、前記超音波オーディオシステムの前記第1のエラー関数を計算することと、
前記第1のエラー関数と前記受信される第1のオーディオ信号とを結合することにより、前記受信される第1のオーディオ信号を第1の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、を含む方法。
【請求項4】
エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、前記結合するステップの前に、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第1のエラー関数に適用することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記受信される第1のオーディオ信号に適用することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を、周波数の関数として前記受信される第1のオーディオ信号に適用することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の予め調整されたオーディオ信号を受信することと、
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第1の予め調整されたオーディオ信号に適用して、調整された予め調整されたオーディオ信号を生成することと、
前記超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x−xであり、ここで、xは、前記調整された予め調整されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記調整された予め調整されたオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている前記超音波オーディオシステムの前記第2のエラー関数を計算することと、
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第2のエラー関数に適用して、第3のエラー関数を生成することと、
前記第3のエラー関数と前記調整された予め調整されたオーディオ信号とを結合することにより、前記第1の予め調整されたオーディオ信号を第2の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
追加的なエラー訂正サイクルをさらに含み、前記追加的なエラー訂正サイクルは、
前記追加的なエラー訂正サイクルのための前記第1の予め調整されたオーディオ信号および前記第1のエラー関数を受信することと、
前記超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x+xであり、ここで、xは、前記第1の予め調整されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記第1の予め調整されたオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている前記超音波オーディオシステムの前記第2のエラー関数を計算することと、
第2のエラー関数の前記加法的逆元と前記受信された第1のオーディオ信号とを結合することにより、前記第1の予め調整されたオーディオ信号を第2の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記結合するステップの前に、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第2のエラー関数または前記第2のエラー関数の前記加法的逆元に適用することにより、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
追加的なエラー訂正サイクルをさらに含み、前記追加的なエラー訂正サイクルは、
前記追加的なエラー訂正サイクルのための前記第1の予め調整されたオーディオ信号および前記第1のエラー関数を受信することと、
前記超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x−xであり、ここで、xは、前記第1の予め調整されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記第1の予め調整されたオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている前記超音波オーディオシステムの前記第2のエラー関数を計算することと、
前記第2のエラー関数と前記受信された第1のオーディオ信号とを結合することにより、前記第1の予め調整されたオーディオ信号を第2の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
追加的なエラー訂正サイクルをさらに含み、前記追加的なエラー訂正サイクルは、
変調に先行して、前記追加的なエラー訂正サイクルのための前記第1の予め調整されたオーディオ信号および前記第1のエラー関数を受信することと、
前記超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x−xであり、ここで、xは、前記第1の予め調整されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記第1の予め調整されたオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている前記超音波オーディオシステムの前記第2のエラー関数を計算することと、
前記第1のエラー関数の前記加法的逆元と前記第2のエラー関数とを結合して、第3のエラー関数を生成することと、
第3のエラー関数の前記加法的逆元と前記第1の予め調整されたオーディオ信号とを結合することにより、前記第1の予め調整されたオーディオ信号を第2の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
追加的なエラー訂正サイクルをさらに含み、前記追加的なエラー訂正サイクルは、
前記追加的なエラー訂正サイクルのための前記第1の予め調整されたオーディオ信号および前記第1のエラー関数を受信することと、
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記予め調整されたオーディオ信号に適用して、調整された予め調整されたオーディオ信号を生成することと、
前記超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x+xであり、ここで、xは、前記調整された予め調整されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記調整された予め調整されたオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている前記超音波オーディオシステムの前記第2のエラー関数を計算することと、
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第2のエラー関数に適用して、第3のエラー関数を生成することと、
前記第3のエラー関数の前記加法的逆元と前記受信された第1のオーディオ信号とを結合することにより、前記第1の予め調整されたオーディオ信号を第2の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
追加的なエラー訂正サイクルをさらに含み、前記追加的なエラー訂正サイクルは、
前記追加的なエラー訂正サイクルのための前記第1の予め調整されたオーディオ信号および前記第1のエラー関数を受信することと、
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記予め調整されたオーディオ信号に適用して、調整された予め調整されたオーディオ信号を生成することと、
前記超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x+xであり、ここで、xは、調整された予め調整されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記調整された予め調整されたオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている前記超音波オーディオシステムの前記第2のエラー関数を計算することと、
前記第1のエラー関数の前記加法的逆元と前記第2のエラー関数とを結合して第3のエラー関数を生成することと、
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第3のエラー関数に適用して、第4のエラー関数を生成することと、
前記第4のエラー関数の前記加法的逆元を計算することと、
前記第4のエラー関数の前記加法的逆元と前記第1の予め調整されたオーディオ信号とを結合することにより、前記第1の予め調整されたオーディオ信号を第2の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の予め調整されたオーディオ信号を受信することと、
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第2の予め調整されたオーディオ信号に適用して、調整された第2の予め調整されたオーディオ信号を生成することと、
前記超音波オーディオシステムの第4のエラー関数を計算することであって、前記第4のエラー関数は、H(x−xであり、ここで、xは、前記調整された第2の予め調整されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記調整された第2の予め調整されたオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている前記超音波オーディオシステムの前記第4のエラー関数を計算することと、
位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として前記第4のエラー関数に適用して、第5のエラー関数を生成することと、
前記第5のエラー関数と前記第2の予め調整されたオーディオ信号とを結合することにより、前記第2の予め調整されたオーディオ信号を第3の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の予め調整されたオーディオ信号を受信することと、
前記超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x−xであり、ここで、xは、前記受信された予め調整されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、前記予め調整されたオーディオ信号のヒルベルト変換であることを特徴としている前記超音波オーディオシステムの前記第2のエラー関数を計算することと、
前記第2のエラー関数と前記第1の予め調整されたオーディオ信号とを結合することにより、前記第1の予め調整されたオーディオ信号を第2の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、概して、超音波オーディオシステムに関し、より具体的には、幾つかの実施形態は、超音波によるオーディオシステムのエラーを訂正するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非線形変換は、十分な強度の音声変調超音波信号を気柱へ導入することによって生じる。気柱に沿って自己復調またはダウンコンバージョン(down−conversion)が起こり、結果として可聴音響信号が生成される。このプロセスは、周波数の異なる2つの音波が同じ媒体内で同時に放射されると、2つの音波の非線形(パラメトリック)相互作用によって2つの周波数の和および差を含む変調波形が生成される、という既知の物理的原理によって生じる。元の2つの音波が超音波であり、それらの差が可聴周波数に選択される場合、パラメトリック相互作用によって可聴音を生成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パラメトリックオーディオ再生システムは、空気等の媒体内で生じる非線形プロセスにおいて、2つの音響信号のヘテロダインにより音を生成する。音響信号は、典型的には、超音波周波数範囲内にある。媒体が非線形性である結果、媒体により生成される音響信号は、音響信号の和および差となる。したがって、周波数が別々である2つの超音波信号は、20Hzから20,000Hzまでの人の聴覚範囲内の差音(differencetone、差トーン)を生じさせる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
実施形態の概要
ある実施形態によれば、開示する技術は、超音波オーディオシステムにおけるエラーを訂正するためのシステムおよび方法を含む。幾つかの実施形態において、超音波オーディオシステムにおける歪を除去または低減するための方法は、第1のオーディオ信号(音声信号)を受信することであって、前記第1のオーディオ信号は、超音波オーディオシステムを用いて再生されるべきオーディオコンテンツを表す、受信することと、超音波オーディオシステムの第1のエラー関数を計算することであって、前記第1のエラー関数は、超音波オーディオシステムによるオーディオコンテンツの再生により導入される歪の推定値を含む、計算することと、第1のエラー関数と第1のオーディオ信号とを結合することによって第1のオーディオ信号を第1の予め調整されたオーディオ信号に変換することと、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することとを含む。
【0005】
この実施形態および他の実施形態において、エラーを訂正するためのシステムにより受信される第1のオーディオ信号は、超音波オーディオシステムによって再生されるために配信されるオーディオコンテンツの電子表現であってもよい。これは、未処理である元々のオーディオコンテンツであっても、1つまたは複数の様々な技術により処理されている、予め処理されたオーディオコンテンツであってもよい。この前処理は、例えば、圧縮、等化(equalization、音質補正)、フィルタリング、および様々なエラー訂正技術を用いるエラー訂正処理を含んでもよい。したがって、エラー訂正技術は直接適用されても、同一の、類似する、または他のエラー訂正技術によって再帰的に(前後を問わない)適用されてもよい。
【0006】
様々な実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)+xであってもよく、ここで、xは受信される第1のオーディオ信号、H(x)はヒルベルト変換(Hilbert transform)であり、かつこのエラー関数の逆数は、結合される。様々な実施形態において、H(x)+xの逆数は、H(x)+xの加法的逆元(additive inverse)であり、第1のエラー関数の逆数を第1のオーディオ信号と結合させることは、第1のエラー関数を第1のオーディオ信号に加算することを含んでもよい。他の実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)−xを含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、H(x)は、ヒルベルト変換である。
【0007】
様々な実施形態において、このオペレーションは、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、前記結合するステップの前に、位相シフト(phase shift)または振幅調整(amplitude adjustment)、またはこれらの双方を周波数の関数として第1のエラー関数に適用することをさらに含んでもよい。
【0008】
様々な実施形態において、1、このオペレーションは、さらに、第1の予め調整されたオーディオ信号(pre−conditioned audio signal)を受信することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、超音波オーディオシステムによるオーディオコンテンツ(audio content)の再生によって導入される歪の第2の推定値を含む計算することと、第2のエラー関数を予め調整されたオーディオ信号に結合することによって、予め調整されたオーディオ信号を第2の予め調整されたオーディオ信号に変換することとを含み、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。第1のエラー関数および第2のエラー関数のうちの一方は、H(x)+xの加法的逆元を含んでもよく、かつ第1のエラー関数および第2のエラー関数のうちのもう一方は、H(x)−xを含み、ここで、xは、受信されるオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換である。
【0009】
幾つかの実施形態において、このオペレーションは、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として第1および第2のエラー関数の一方または双方に適用することをさらに含んでもよい。
【0010】
様々な実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)−xを含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、付加的なエラー訂正サイクルを含んでもよく、前記付加的なサイクルは、変調に先立って付加的なエラー訂正サイクルのための変換されたオーディオ信号および第1のエラー関数を受信することと、第1のエラー関数の加法的逆元を計算することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x−xを含み、ここで、xは、受信される変換されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、変換されたオーディオ信号のヒルベルト変換である計算することと、第2のエラー関数を第1のエラー関数の加法的逆元に結合して第3のエラー関数を生成することと、第3のエラー関数を変換されたオーディオ信号に結合することによって第1の予め調整されたオーディオ信号を変換することと、を含んでもよく、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調する前記ステップは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。第1のエラー関数は、H(x)+xの加法的逆元を含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、付加的なエラー訂正サイクルを含んでもよく、かつ前記付加的なサイクルは、変調に先立って付加的なエラー訂正サイクルのための変換されたオーディオ信号および第1のエラー関数を受信することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x+xを含み、ここで、xは、受信される変換されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、変換されたオーディオ信号のヒルベルト変換である計算することと、第2のエラー関数を第1のエラー関数の加法的逆元に結合して第3のエラー関数を生成することと、第3のエラー関数の加法的逆元を計算することと、第3のエラー関数の加法的逆元を変換されたオーディオ信号に結合することによって第1の予め調整されたオーディオ信号を変換することと、を含んでもよく、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調する前記ステップは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。
【0011】
第1のエラー関数は、H(x)+xの加法的逆元を含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、付加的なエラー訂正サイクルを含んでもよく、前記付加的なサイクルは、変調に先立って付加的なエラー訂正サイクルのための変換されたオーディオ信号および第1のエラー関数を受信することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x1+x1の加法的逆元を含み、ここで、x1は、受信される変換されたオーディオ信号であり、かつH(x1)は、変換されたオーディオ信号のヒルベルト変換である計算することと、第2のエラー関数を変換されたオーディオ信号に結合することによって第1の予め調整されたオーディオ信号を変換することと、を含んでもよく、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調する前記ステップは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。
【0012】
幾つかの実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)−xを含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、付加的なエラー訂正サイクルを含んでもよく、前記付加的なサイクルは、変調に先立って付加的なエラー訂正サイクルのための変換されたオーディオ信号および第1のエラー関数を受信することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x−xを含み、ここで、xは、受信される変換されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、変換されたオーディオ信号のヒルベルト変換である計算することと、第2のエラー関数を変換されたオーディオ信号に結合することによって第1の予め調整されたオーディオ信号を変換することと、を含んでもよく、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調する前記ステップは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。
【0013】
第1のエラー関数は、H(x)+xの加法的逆元を含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)はヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として、受信される第1のオーディオ信号に適用することを含んでもよい。このオペレーションは、さらに、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、前記結合するステップの前に、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として第1のエラー関数に適用するステップを含んでもよい。
【0014】
幾つかの実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)−xを含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)はヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として、受信される第1のオーディオ信号に適用することを含んでもよい。このオペレーションは、さらに、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、前記結合するステップの前に、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として第1のエラー関数に適用するステップを含んでもよい。
【0015】
さらなる実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)+xの加法的逆元を含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、付加的なエラー訂正サイクルを含んでもよく、前記付加的なサイクルは、変調に先立って付加的なエラー訂正サイクルのための変換されたオーディオ信号および第1のエラー関数を受信することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x1+x1の加法的逆元を含み、ここで、x1は、受信される変換されたオーディオ信号であり、かつH(x1)は、変換されたオーディオ信号のヒルベルト変換である、計算することと、第2のエラー関数を受信される第1のオーディオ信号に結合することによって第1の予め調整されたオーディオ信号を変換することと、を含み、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調する前記ステップは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。
【0016】
他の実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)−xを含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、付加的なエラー訂正サイクルを含んでもよく、前記付加的なサイクルは、変調に先立って付加的なエラー訂正サイクルのための変換されたオーディオ信号および第1のエラー関数を受信することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x−xを含み、ここで、xは、受信される変換されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、変換されたオーディオ信号のヒルベルト変換である、計算することと、第2のエラー関数を第1のオーディオ信号に結合することによって第1の予め調整されたオーディオ信号を変換することと、を含み、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調する前記ステップは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。
【0017】
様々な実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)−xを含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、付加的なエラー訂正サイクルを含んでもよく、前記付加的なサイクルは、変調に先立って付加的なエラー訂正サイクルのための変換されたオーディオ信号および第1のエラー関数を受信することと、第1のエラー関数の加法的逆元を計算することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x−xを含み、ここで、xは、受信される変換されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、変換されたオーディオ信号のヒルベルト変換である、計算することと、第2のエラー関数を第1のエラー関数の加法的逆元に結合して第3のエラー関数を生成することと、第3のエラー関数を変換されたオーディオ信号に結合することによって第1の予め調整されたオーディオ信号を変換することと、を含んでもよく、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調する前記ステップは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。また、このオペレーションは、さらに、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として、受信される第1のオーディオ信号に適用することを含んでもよい。
【0018】
他の幾つかの実施形態において、第1のエラー関数は、H(x)+xの加法的逆元を含んでもよく、ここで、xは、受信される第1のオーディオ信号であり、かつH(x)は、ヒルベルト変換であり、かつこのオペレーションは、さらに、付加的なエラー訂正サイクルを含んでもよく、前記付加的なサイクルは、変調に先立って付加的なエラー訂正サイクルのための変換されたオーディオ信号および第1のエラー関数を受信することと、超音波オーディオシステムの第2のエラー関数を計算することであって、前記第2のエラー関数は、H(x+xを含み、ここで、xは、受信される変換されたオーディオ信号であり、かつH(x)は、変換されたオーディオ信号のヒルベルト変換である、計算することと、第2のエラー関数を第1のエラー関数の加法的逆元に結合して第3のエラー関数を生成することと、第3のエラー関数の加法的逆元を計算することと、第3のエラー関数の加法的逆元を変換されたオーディオ信号に結合することによって第1の予め調整されたオーディオ信号を変換することと、を含んでもよく、変換されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調する前記ステップは、変換された、予め調整されたオーディオ信号を超音波キャリア上に変調することを含んでもよい。このオペレーションは、さらに、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、位相シフトまたは振幅調整、またはこれらの双方を周波数の関数として、受信される第1のオーディオ信号に適用することを含んでもよい。
【0019】
さらなる実施形態において、超音波オーディオシステムにおける歪を除去または低減するためのシステムは、受信機と、受信機へ通信可能に結合され、(i)超音波オーディオシステムを用いて再生されるべきオーディオコンテンツを表現する第1のオーディオ信号を受け入れ、かつ(ii)超音波オーディオシステムの第1のエラー関数を計算するように構成されるエラー訂正モジュールであって、前記第1のエラー関数は、超音波オーディオシステムによるオーディオコンテンツの再生により導入される歪の推定値を含む、エラー訂正モジュールと、第1のエラー関数を第1のオーディオ信号に結合することによって第1のオーディオ信号を第1の予め調整されたオーディオ信号に変換するように構成される加算モジュールと、を含んでもよい。また、エラー訂正が実行される前または後のいずれかに信号を超音波キャリア上に変調するための変調器も設けることができる。本システムは、先に述べたような方法を実行するように構成されることが可能である。
【0020】
開示する技術の他の特徴および態様は、開示する技術の実施形態による特徴を例として示す添付の図面に関連して行う以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。要約は、本明細書に記載する如何なる発明の範囲をも限定するためのものではなく、本明細書に記載する発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
1つまたは複数の様々な実施形態による、本明細書に開示する技術を、以下の図を参照して詳細に説明する。図面は、単に例示を目的として提供され、よって、開示する技術の典型的な、または例示的な実施形態を描いたものでしかない。これらの図面は、開示する技術に対する読者の理解を容易にするために提供されるものであり、その広がり、範囲または適用性を限定するものと見なされるべきではない。説明を明瞭かつ分かりやすくするために、これらの図面が必ずしも一定の縮尺で描かれていない点は、留意されるべきである。
【0022】
図1図1は、本明細書に記載するエミッタ技術による使用に適する超音波サウンドシステムを示す図である。
図2図2は、本明細書に記述するエミッタ技術による使用に適する信号処理システムの別の例を示す図である。
図3図3は、訂正されていない2トーン入力の一例を示す図である。
図4図4は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、エラー訂正信号(式3)の1回の適用の効果を示す図である。
図5図5は、式3の再帰的適用を表す。
図6図6は、式4の適用例を示す図である。
図7図7は、式4の2回目の適用例を示す図である。
図8図8は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、相互変調エラー訂正の1回の適用の信号経路の例を示す図である。
図9図9は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、高調波歪エラー訂正の適用例を示す図である。
図10図10は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、複数回のエラー訂正を再帰的に適用する例を示す図である。
図11図11は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、基本的な相互変調エラー訂正のブロック例を示す図である。
図12図12は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、基本的な高調波歪エラー訂正のブロック例を示す図である。
図13図13は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、相互変調エラー訂正および高調波エラー訂正の再帰的な適用例を示す図である。
図14図14は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、再帰プロセスへの入力として元のオーディオ入力を利用する相互変調歪訂正の例を示す図である。
図15図15は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、再帰プロセスへの入力として元のオーディオ入力を利用する高調波歪エラー訂正の例を示す図である。
図16図16は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、元のオーディオ入力を用いる再帰的処理(即ち、非フィードフォワード)の例を示す図である。
図17図17は、本明細書に記載する技術の一実施形態による、フィードフォワード処理による相互変調エラー訂正の例を示す図である。
図18図18は、本明細書に開示する技術の一実施形態による、フィードフォワード処理による高調波歪エラー訂正の例を示す図である。
図19図19は、本明細書に開示するシステムおよび方法の別の実施形態による、フォワード式再帰処理の例を示す図である。
図20図20は、開示する技術の実施形態の様々な特徴の実装に使用され得るコンピューティングモジュールの例を示す。
【0023】
図面は、網羅的であることを意図するものではなく、本発明を開示する正確な形態に限定するものでもない。本発明が変更および改変して実施され得ること、および開示する技術が特許請求の範囲およびその等価物によってのみ限定され得ることは、理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に記述するシステムおよび方法の実施形態は、様々な異なるアプリケーションのためのハイパーサウンド(Hyper Sound)オーディオシステムまたは他のパラメトリックまたは超音波オーディオシステムを提供する。所定の実施形態は、オーディオ変調された超音波信号を放出するために超音波エミッタを使用し、かつ高調波歪(harmonic distortion)、相互変調歪(intermodulation distortion)、またはこれらの双方を補償するためにエラー訂正システムを組み込むオーディオ再生システムを提供する。
【0025】
様々な実施形態によるエラー訂正の基礎を提供するためには、歪について論じることが有用である。歪は、所望されるものとは異なる出力上の信号または音と考えることができる。非線形歪は、入力には存在しなかったトーンまたは周波数を生み出すことを伴う。多くの超音波オーディオ配信システムは、既に、非線形歪を活用して超音波からオーディオを生成している。その結果、これらのシステムは、望ましくない非線形歪の影響を受けやすい場合がある。本明細書に開示する技術の様々な実施形態は、入力されるオーディオを、それが最終的に大気中で復調されるときに、元の入力が実際的に、または可能な限り忠実に再生されるように修正することによって、この歪を補償すべく動作するように実装されることが可能である。
【0026】
非線形歪自体は、相互変調歪、および高調波歪の2つの形態で現れる。相互変調歪は、差周波数の生成である。例えば、2kHzおよび3kHzで相互変調歪が生じれば、結果的な周波数は3kHz−2kHz=1kHzになる。高調波歪は、二倍および和を生成する。上記のように、2kHzおよび3kHzの信号を所与とすると、高調波歪は、3つの異なる周波数、2*2=4kHz、2*3=6kHz、および2+3=5kHzを生成する。これらの2つのタイプの歪は、典型的な超音波オーディオアプリケーションに存在するが、大きさおよび位相が異なる。
【0027】
図1は、本明細書に記述するシステムおよび方法に関連して使用することに適する超音波サウンドシステムを示す図である。この例示的な超音波オーディオシステム1では、例えばマイクロホン、メモリ、データ記憶デバイス、ストリーミングメディアソース、MP3、CD、DVD、セットトップボックスまたは他のオーディオソース等のオーディオソース2からのオーディオコンテンツが受信される。オーディオコンテンツは、復号され、かつソースに依存してデジタル形式からアナログ形式へ変換されてもよい。超音波オーディオシステム1により受信されるオーディオコンテンツは、変調器を用いて、周波数f1の超音波キャリア上に変調される。変調器は、典型的には、超音波キャリア信号を発生するための局部発振器3と、オーディオ信号をキャリア信号上に変調するための変調器4とを含む。結果的に生じる信号は、周波数f1におけるキャリアと1つまたは複数のサイドローブとを有する両側波帯信号または単側波帯信号である。幾つかの実施形態において、信号は、パラメトリック超音波またはHSS信号である。ほとんどの場合、使用される変調スキームは、振幅変調即ちAMであるが、他の変調スキームも用いることができる。振幅変調は、超音波キャリアに、この場合はオーディオ信号である情報伝送信号を乗算することによって達成することができる。変調された信号のスペクトルは、キャリア周波数に対して対称的な2つの側波帯、即ち上側および下側の側波帯と、キャリア自体とを有することが可能である。
【0028】
変調された超音波信号は、超音波トランスデューサまたはエミッタ6に供給され、エミッタ6は、超音波信号を、超音波7を生成する大気へと発射する。十分に高い音圧レベルでトランスデューサにより再生される場合、その「再生」または伝送の媒体である空気の非線形挙動に起因して、信号内のキャリアは、側波帯と混合して信号を復調しかつオーディオコンテンツを再生する。これは、自己復調と称されることがある。したがって、単側波帯の実装であっても、キャリアに発射される信号が含まれるので、自己復調を行える。
【0029】
図1に示すシステムは、単一のトランスデューサを用いて単一チャネルのオーディオコンテンツを発射しているが、この説明を読んだ後の当業者には、超音波キャリアを用いて複数のオーディオチャネルを伝送すべく複数のミキサ、増幅器およびトランスデューサを用いる方法が理解されるであろう。超音波トランスデューサは、アプリケーションに応じて、所望される任意の位置に取り付けることができる。
【0030】
図2には、本明細書に記述する技術での使用に適する信号処理システムの一例10が略示されている。この実施形態では、様々な処理回路またはコンポーネントが、ある実装に従って配列された(信号の処理経路に対する)順序で示されている。処理回路のコンポーネントが、入力信号が各回路またはコンポーネントによって処理される順序と同様に変わり得ることは、理解されるべきである。また、実施形態に依存して、処理システム10は、図示されているものより多い、または少ないコンポーネントまたは回路を含んでもよい。
【0031】
また、図1に示す例は、2つの入出力チャネル(例えば、「ステレオ」信号)の処理に使用するために最適化され、様々なコンポーネントまたは回路は、各信号チャネル用の略一致するコンポーネントを含んでいる。この説明を読んだ後、当業者には、このオーディオシステムが、単一のチャネル(例えば、「モノラル」または「モノ」信号)、(図2に示されるような)2つのチャネルまたはさらに多くの数のチャネルを用いて実装可能であることが理解されるであろう。
【0032】
次に、図2を参照すると、例示的な信号処理システム10は、オーディオ入力信号の左チャネル12aおよび右チャネル12bに対応し得るオーディオ入力を含むことができる。オーディオ入力は、例えば、オーディオ入力を受信する受信機を含んでもよい。受信機は、例えば、入力ライン、回路(例えば、オペアンプまたは他の信号受信機を形成する回路)、または従来から利用可能である、または従来使用されている幾つかのライン入力受信機のいずれかを含んでもよい。DSPまたは他の同様の環境では、受信されるオーディオ入力をデジタル処理のためにデジタル化することができる。等化ネットワーク14a、14bは、信号の等化を提供するために含まれることが可能である。等化ネットワークは、例えば、予め決められた周波数または周波数範囲を高めて、または抑制して、パラメトリック エミッタ アッセンブリ(parametric emitter assembly)のエミッタ/インダクタの組合せによって自然に提供される利点を増大させることができる。
【0033】
オーディオ信号が等化された後、入力信号のダイナミックレンジを圧縮して入力信号の所定の部分の振幅を効果的に上げ、かつ入力信号の他の所定の部分の振幅を下げるために、コンプレッサ回路16a、16bを含むことができる。より具体的には、オーディオの振幅範囲を狭めるために、圧縮回路16a、16bを含むことができる。ある態様において、コンプレッサは、入力信号のピークツーピーク振幅を約2:1以上の比で減少させる。入力信号をより狭い振幅範囲に調整することは、このクラスの変調システムの限られたダイナミックレンジに特徴的である歪を最小限に抑えるために行うことができる。他の実施形態では、圧縮後の信号を等化するために、等化ネットワーク14a、14bをコンプレッサ16a、16bの後に設けてもよい。
【0034】
ローパスフィルタ回路18a、18bは、信号の高い部分のカットオフを提供し、かつハイパスフィルタ回路20a、20bは、オーディオ信号の低い部分のカットオフを提供する。ある例示的な実施形態において、ローパスフィルタ18a、18bは、約15〜20kHzより高い信号をカットするために使用され、かつハイパスフィルタ20a、20bは、約20〜200Hzより低い信号をカットするために使用される。
【0035】
ローパスフィルタ18a、18bは、変調後に望ましくない可聴音の生成を招く可能性もあるより高い周波数を排除するように構成されることが可能である。例として、ローパスフィルタが15kHzを超える周波数をカットし、かつキャリア周波数が約44kHzであれば、差信号は、約29kHzより低くならないが、これでも人の可聴範囲外である。しかしながら、25kHzという高い周波数がフィルタ回路の通過を許された場合、生成される差信号は、人の聴力範囲内にある19kHzの範囲に存在する可能性もある。
【0036】
例示的な信号処理システム10では、ローパスフィルタおよびハイパスフィルタを通過した後、オーディオ信号は、変調器22a、22bによって変調される。変調器22a、22bは、オーディオ信号を発振器23により生成されるキャリア信号と混合または結合する。例えば、幾つかの実施形態では、1つの発振器(ある実施形態では、40kHzから150kHzまでの選択された周波数で駆動され、前記周波数範囲は、発振器で使用できる容易に入手可能な結晶に対応する)が、変調器22a、22bの双方を駆動するために使用される。複数の変調器に単一の発振器を利用することにより、24a、24bにおいて変調器から出力される複数のチャネルに同一のキャリア周波数が提供される。各チャネルに同じキャリア周波数を用いることにより、可聴ビート周波数が発生し得る危険性が少なくなる。
【0037】
ハイパスフィルタ27a、27bは、変調段階の後に含まれてもよい。ハイパスフィルタ27a、27bは、変調された超音波キャリア信号を通過させ、かつ出力24a、24bを介してオーディオ周波数が増幅器に入らないことを保証するために使用されてもよい。したがって、実施形態によっては、ハイパスフィルタ27a、27bは、約25kHz未満の信号をフィルタリングして除くように構成されてもよい。
【0038】
先に述べたように、変調されたキャリアがトランスデューサにより十分に高い音圧レベルで伝送されると、信号内のキャリアは、側波帯と混合して信号を復調し、かつオーディオコンテンツを再生する。これは、自己復調と称されることがある。空気は、主に線形媒体であるが、激しく駆動されると非線形成分を有する。これは、入力−出力モデル、数式(1)、
【数1】

によって表すことができる。ここで、Air(x)は、所与の入力xに対する空気中の出力圧力波を表す。A’は、線形係数であり、Gは、非線形係数である。通常の温度および圧力では、G<<A’であるが、これは、通常のオーディオが通常の聴取レベルで歪なく長距離を進む理由を説明している。
【0039】
パラメトリックオーディオは、x^2の周波数混合効果を用いることにより、第2項を利用する。この効果を説明するために、ある入力、
【数2】


について考察する。
【0040】
式1を用いれば、空気中の出力は、
【数3】


となる。
【0041】
下記の三角関数恒等式、
【数4】


を用いれば、これをより分かりやすい形に書き換えることができる。
【0042】
式2は、(DCを除去して)、
【数5】


のように書き直すことができる。
【0043】
これは、式1で与えられるモデルを用いることにより、空気は、入力周波数ならびに入力の倍数、和および差を再現することを示している。入力が超音波であれば、可聴である可能性を有する唯一の項が差音(太字)である。他はすべて、必然的に入力より高い周波数であり、よって聴き取れない。
【0044】
超音波オーディオシステムおよび方法の実施形態は、通常のオーディオ入力ストリームを受け入れ、かつその上に単側波帯(SSB)変調を実行するように構成されることが可能である。これは、効果的には、入力オーディオの周波数をキャリアの基準周波数に加算する。一例として、ベースバンドオーディオが1kHzのトーンであり、選択されるキャリア周波数が90kHzであれば、変調出力は、90kHz+1kHz=91kHzである。これが同じように音の大きなキャリア(90kHz)と共に再生されれば、差音(91kHz−90kHz)は、まさに1kHzとなり、この入力が大気内で再生される。
【0045】
SSB変調およびこれに続く大気内での復調は、複数のトーンで解析される場合には遙かに複雑になる。上述の例のような2トーンの入力であるが、超音波周波数ではなく、ここではオーディオ帯域にあるものを例に取る。SSB変調を適用し、かつキャリアトーンを加算すると、
【数6】


になる。ここで、ωcはキャリア周波数、かつA+B=.5であり、よって、最大出力は+/−1になる。
【0046】
好ましいアプローチは、このモデルが適用される場合(オーディオ帯域外のすべてのトーンを無視する)でも、空気の非線形性(式1)に2つのトーン、即ちω1およびω2のみを再生させることであり、
【数7】

これは、第3のトーンが入力トーンの差周波数で生成されることを示す。これは、相互変調歪であって、HSS SSB法の基本的な帰結である。
【0047】
様々な実施形態によるシステムおよび方法は、この「エラー」を予測しかつ予測された180度位相外れのエラートーンを含むべく入力オーディオを予め歪めるように実装される。逆(180°の位相外れ、または加法的逆元)のエラー信号を含むことにより、空気内の実際のエラーが打ち消され、2つの所望されるトーンのみが残る。これは、本明細書に記述している「エラー訂正」の基礎である。
【0048】
入力係数の積に比例する差音は、以下のフィルタ、
【数8】


を用いて任意の入力から生成されてもよく、ここで、H(x)は、入力信号のヒルベルト変換である。
【0049】
これをxinに当てはめると、その結果が示される。
【数9】

【0050】
ハイパスフィルタを適用してDC(最初の2項)を除去すると、所望されるIM歪信号(相互変調歪信号、intermodulation distortion signal)の振幅の正確な周波数および推定値が得られる。レベルおよび位相を(例えば、経験的測定値を用いて)調整した後、これを入力信号から減算すると、望ましくない信号が打ち消される。しかしながら、この減算の後、入力に新しい周波数が加算され、この新しい入力に関連する新しい相互変調歪周波数が現れ始める。したがって、様々な実施形態は、これを少なくとも部分的に補償するために、「再帰的な」エラー訂正技術を用いる。式3のエラーフィルタを既に1次でエラー訂正された信号に適用すると、初回により生成された望ましくないトーン(音、特に一定周波数の音)が打ち消され始める。係数ABが<1である限り、後続の各回は、全体的な歪特性を改善し続ける。
【0051】
これが、IM歪の背後にある理論である。実際のシステムの複雑さを理解するために、次に、図3を参照する。図3は、訂正されていない2トーン入力の一例を示す図である。図3の例には、2つの入力、即ちf1=1kHzおよびf2=5.5kHz、が存在する。これらが同一レベルであるために、A=.95およびB=.05にして、空気の12dB/ディケード(decade)のハイパスフィルタ特性を補償する。図3において、各周波数の下には、入力トーンに対する各トーンの実験的に決定された位相が記述されている。これは、約75%の全高調波歪を表す。
【0052】
この図が示すように、予測されたf2−f1以外にも、望ましくないトーンが幾つか存在する。これらは、より高次の歪生成物によって発生される。例えば、2f1は、xinの4乗を取ることによって発生される可能性がある。関連する項は、
【数10】


である。
【0053】
図4は、本明細書に記載の技術の一実施形態による、エラー訂正信号(式3)の1回の適用の効果を示す図である。この図から分かるように、目標周波数f2−f1は、曲線の破線部分が示すように大幅に減少される(約10dB)。信号に加算される新しい周波数は、予期される通りにf2−2f1を増加させる。
【0054】
図5は、式3の再帰的適用を表す。これは、f2−2f1を低下させるという所望される効果を有するが、f2−f1も低下させている。これは、より高次の歪が存在するという事実に起因する。加算される位相外れのトーン(f2−2f1)は、f2−f1への高次の寄与を低下させる。
【0055】
IM歪生成物は、大幅に低下されるものの、オーディオ品質はまだ完全ではない。出力に歪を与えるものに、高調波歪生成物(倍数および和)がある。これらは、相互変調生成物と同様にして打ち消されてもよい。使用するエラーフィルタは、
【数11】


によって与えられる。
【0056】
このフィルタは、式3が差周波数を生成するのとほぼ同じ方法で、二倍および和を生成する。このエラー項で打ち消されるべき歪生成物は、IM歪生成物に対して180度位相外れであることに留意されたい。式4により生成されるエラー項は、入力と同相であることから、望ましくない項を打ち消すためには、減算ではなく信号に加算される必要がある。式4を加算する1回の出力を、図6に示す。具体的には、図6は、式4の適用例を示す図である。
【0057】
図から分かるように、式4の適用は、破線が示す通り、歪生成物を劇的に減少させる。これは、一次(倍数および和)を大幅に減らすだけでなく、結果的に生じるこれらの訂正により、高次の生成物も低減する。
【0058】
図7は、式4の2回目の適用例を示す図であり、本例において、これは、すべての歪生成物を打ち消している。具体的には、破線が示すように、2f1、3f1、4f1およびf1+f2生成物が除去されている。他の配置では、さらなる改善が必要とされる場合があるが、これは、エラー訂正の位相特性を精緻化することによって可能である。
【0059】
実験的には、電子的または機械的要因に起因して、先に例示したエラー訂正を4回適用した後に歪トーンが残るシステムを求めることが可能である。これらのトーンは各々、特定の振幅および位相での直接的な適用によってさらに低減されてもよい。このとき、位相は、絶対に180度または0度ではない。これは、エミッタまたはそれ以前であっても、システムの位相シフトが、望ましくないトーンの完全な打ち消しを防げることを含意する。
【0060】
以上、エラー訂正の実際的効果の一例について述べたが、次に、エラー訂正の例示的な実施形態について説明する。本明細書に開示する技術の実施形態は、これらの2タイプの非線形歪を分離しかつこれらを個別に訂正することにより、超音波オーディオシステムのエラー訂正を新規方法で実装するように構成されることが可能である。
【0061】
従来の解決方法(solution)は、エラー信号を生成するために、パラメトリック復調歪モデルを用いてきた。しかしながら、従来の解決方法は、相互変調歪生成物および高調波歪生成物の双方を混合する傾向がある。超音波オーディオシステムの測定値は、相互変調歪生成物および高調波歪生成物が必ずしも同位相でなく、実際のところ、典型的には180度の位相外れであり得ることを明らかにしている。したがって、従来の解決方法は、幾つかの副産物を減少させ得るものの、他の副産物を増加させることがある。
【0062】
困難なことに、略すべての非線形関数(Abs、Log、多項式、他)は、これと同じ問題点を抱えている。非線形要素間で比は変わり得るが、歪生成物の系統的減少は、今もなお捉えにくい。入力が予期されかつ知られていれば、システムは、適切な訂正を行うべく事前に位相をシフトするように実装される可能性もある。しかしながら、エラー訂正の重要な目的は、任意かつ未知の入力を訂正することにある。
【0063】
様々な実施形態によれば、2つの非線形関数が発明者らによって開発されていて、この課題に対処すべく様々な実施形態において使用可能である。
【数12】

【0064】
ここで、H(x)は、周知の信号処理関数であるヒルベルト変換であり、xはオーディオ入力信号である。IntermodErrorは、非線形関数であり、相互変調生成物のみ生成し、HarmonicErrorは非線形関数であり、高調波歪生成物のみ生成する。これらの関数は、従来のアプローチを凌いで歪訂正を改善するという予期せぬ結果を提供するために、本明細書に記述されているような様々な実施形態において、単独または併せて実装されてもよい。したがって、パラメトリックオーディオシステムにおける高調波歪および相互変調歪の双方を訂正できるようにする実施形態が実装されてもよい。これらの2タイプの歪を2つの別個の関数に分離することにより、2つの別個のエラー信号としてこれらにアプローチする実施形態が実装されてもよい。訂正は、双方のエラーソースに対して実装されてもよく、典型的には、より良い結果が得られる。
【0065】
様々な実施形態において、システムの最適化は、経験的に行われてもよい。テストトーンは、マイクロホンが所望される距離(例えば、聴取位置)で所定の位置に配置された状態で、システムに印加されてもよい。これは、例えば、最低2トーンであってもよいが、理論的には、これらの和および差が一意の周波数であってバックグラウンドから分離され得る限り、最大値は存在しない。広範な周波数範囲にわたってシステムを最適化するために、複数のトーンシリーズを用いることができる。
【0066】
図8は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、相互変調エラー訂正の1回の適用の信号経路の例を示す図である。この例は、IMErrorモジュール325(相互変調エラーモジュール325)と、反転(*−1)モジュール327と、Phase+EQモジュール329(位相+等価モジュール329)と、加算モジュール331と、Scalingモジュール333とを含む。
【0067】
図8の例は、相互変調(IM、intermodulation)エラー訂正のアプリケーションを示す。相互変調エラー訂正モジュール322は、超音波オーディオシステムを用いて再生されるべきオーディオコンテンツを表すオーディオ信号を受信する。受信されるオーディオ入力信号は、超音波オーディオシステム上で再生されるべきオーディオコンテンツを表すアナログ信号であってもよい。例えばDSPを用いるデジタル実装では、受信されるオーディオ入力信号はデジタル信号であってもよく、またはデジタル処理のために(例えば、アナログ−デジタル変換器を用いて)変換されてもよい。
【0068】
相互変調エラー訂正モジュール322は、先に述べたIntermodError(x)関数、H(x)+xを、入力されるオーディオ信号に適用する。相互変調エラー訂正モジュール322の出力は、直に変調器へと進んでエミッタへ出力されても、追加されるエラー訂正のさらなる回へと進んでもよい。
【0069】
本例における相互変調エラー訂正モジュール322の第1のブロックは、IMErrorモジュール325であり、これは相互変調歪に起因するエラーの推定値を生成する。これは、エラー信号またはエラー関数と称することができる。推定されたこのエラー信号326は、反転モジュール327によって反転され、反転推定されたエラー信号328が生成される。幾つかの実施形態において、反転モジュール327は、推定されたエラー信号326を推定されたエラー信号の加法的逆元に変換するように構成される。これは、効果的には、推定されたエラー信号326の符号を変える。これは、例えば、エラー信号に負数(例えば、*−1)を乗じてその符号を変えることにより達成されてもよい。
【0070】
Phase+EQモジュール329は、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、位相シフトまたは振幅調整、またはその双方を反転されたエラー信号328へ周波数の関数として適用するように構成されることが可能である。また、Phase+EQモジュール329は、DCブロッキングフィルタとしても機能することができる。調整は、図示されているように、(IMエラー推定が計算された後に)反転推定されたエラー信号328へ適用されてもよい。これは、線形フィルタ、および係数表(例えば、DSPにおけるもの等)の調整により行われる適用を用いて適用することができる。係数は、得られた結果に基づいて調整することができる。例えば、歪の測定を行うことができ、かつ得られた結果に基づいて調整を行うことができる。
【0071】
さらなる例として、マイクロホンは、エミッタ(不図示)により放出される信号から生じるオーディオをピックアップするために出力に配置されることが可能であり、歪の測定およびPhase+Eq調整も適宜実行可能である。例えば、これは、一連のトーンをオーディオ入力として使用し、かつ歪を、エミッタによるこれらのトーンの再生に基づいて測定することにより達成することができる。幾つかの実施形態において、フィードバックおよび調整は、オーディオシステムの動作中に調整を持続的に最適化すべくリアルタイムで(例えば、常時)実行するように構成されることが可能である。例えば、オーディオ信号にはフーリエ変換を適用することができ、かつそこから周波数成分を決定し、かつこれらの周波数成分を分析することによって歪を決定することができる。様々な実施形態において、Phase+EQは、一連の有限インパルス応答(FIR)フィルタ、無限インパルス応答(IIR)フィルタ、または例えばDSPまたは他のデジタル技術を用いて実装可能な他の何らかのデジタルフィルタとして実装されることが可能である。別の実施形態において、Phase+EQは、DSP外部のアナログ回路によって実装される可能性もある。
【0072】
調整された信号330(例えば、等化が適用された逆エラー関数)は、オーディオ入力324と結合され、逆エラー関数とオーディオ信号との結合によりオーディオ信号が予め調整されたオーディオ信号に変換される。逆エラー信号328が推定エラー信号326の加法的逆元である実施形態では、この結合は、逆エラー信号328(例えば、Phase+EQモジュール329により調整されたもの)を元のオーディオ信号に加算して信号からノイズ推定値を効果的に減算することにより実行される。これは、加算モジュール331によって達成することができる。したがって、出力信号は、オーディオ信号から推定エラーを差し引いて、後述のような何らかのスケーリング(scaling、拡大縮小)を行ったものである。実際のエラーが導入されるとしても、エラーのない(または、推定およびPhase+EQ調整の品質に依存して僅かにエラーのある)元のオーディオ信号が生じる。
【0073】
予め調整されたオーディオ信号は、予め訂正されたオーディオ信号と称することもできる。様々な実施形態において、エラー関数またはエラー信号は、再生されるオーディオに導入されるエラー、この場合は相互変調エラー、の推定と考えることができる。したがって、オーディオ信号をこの推定されたエラーの加法的逆元と結合することにより、実際のエラー(この場合もやはり、相互変調歪)に曝されても、この実際のエラーをある程度効果的に「打ち消す」予め調整された信号が生成される。本明細書の他の部分に記されているように、エラーをさらに減らす、またはエラーをなくすためにも、複数の再帰を実行することができる。これは、高調波歪にも同様に当てはまり、信号は、高調波歪に起因する推定または予測されたエラーに対して予め調整される。
【0074】
幾つかの実施形態において、(例えば、効果的に減算された)合計出力は、スケーリングモジュール333へ提供される。スケーリングモジュールは、結合された信号332に定数を乗算するように構成されることが可能である。これは、エラー訂正により出力が入力を超過する可能性があるので、出力を既知の最大出力に調整するように構成されてもよい。また、スケーリングモジュールは、フルスケールの超過を回避しながら、出力信号を調整すべくリアルタイムで反応するように構成されることも可能である。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、出力を、入力信号の平均(例えば、RMS)に一致し、同時にフルスケールの超過を回避するように調整することができる。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、出力を、定義により絶対にフルスケールを超過しない入力信号の最大値に一致するように調整することができる。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、より少量の入力にゲインを加えるが、フルスケールに近いコンテンツには加えないダイナミックレンジのコンプレッサ(compressor)として作用することができる。
【0075】
マイクロホンが、入力される所定のテストトーンから望ましくない相互変調トーンを区別するように設定された状態で、Phase+EQ設定値は、Phase+EQモジュール329を用いて出力における望ましくないトーンを低減または最小限に抑えるように調整されてもよい。これには、システムに存在するDC成分を除去することが含まれ得る。その結果、出力における歪を低減することができる。相互変調歪が最適に補償された後、この関数の出力は、図9に示す高調波歪アルゴリズムへ供給されることが可能である。
【0076】
図9は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、高調波歪エラー訂正の適用例を示す図である。本例において、高調波エラー訂正モジュール370は、HErrorモジュール373(Hエラーモジュール)と、Phase+EQモジュール375と、加算モジュール377と、スケーリングモジュール379とを含む。高調波エラー訂正モジュール370の出力は、直に変調器へと進んでエミッタへ出力されても、エラー訂正のさらなる回へと進んでもよい。
【0077】
高調波エラー訂正モジュール370は、超音波オーディオシステムを用いて再生されるべきオーディオコンテンツを表すオーディオ信号を受信する。受信されるオーディオ入力信号は、超音波オーディオシステム上で再生されるべきオーディオコンテンツを表すアナログ信号であってもよい。例えばDSPを用いるデジタル実装では、受信されるオーディオ入力信号はデジタル信号であってもよく、またはデジタル処理のために(例えば、アナログ−デジタル変換器を用いて)変換されてもよい。
【0078】
HErrorモジュール373は、オーディオシステムにより導入される高調波歪エラー374の推定値を生成すべくHarmonicError(x)関数、H(x)−x、を適用するように構成されることが可能である。Phase+EQモジュール375は、エミッタ応答またはフィルタ応答用に調整するために、位相シフトまたは振幅調整、またはその双方を周波数の関数として適用するように構成されることが可能である。また、Phase+EQモジュール375は、DCブロッキングフィルタとしても機能することができる。調整は、図示されているように、(高調波歪エラー訂正が適用された後の)訂正された信号へ適用されてもよい。これは、線形フィルタ、および係数表(例えば、DSPにおけるもの等)の調整により行われる適用を用いて適用することができる。係数は、得られた結果に基づいて調整することができる。例えば、歪の測定値をとることができ、かつ得られた結果に基づいて調整を行うことができる。さらなる例として、マイクロホンは、エミッタ(不図示)により放出される信号から生じるオーディオをピックアップするために出力に配置されることが可能であり、歪の測定およびPhase+Eq調整も適宜実行可能である。例えば、これは、一連のトーンをオーディオ入力として使用し、かつ歪を、エミッタによるこれらのトーンの再生に基づいて測定することにより達成することができる。幾つかの実施形態において、フィードバックおよび調整は、オーディオシステムの動作中に調整を持続的に最適化すべくリアルタイムで(例えば、常時)実行するように構成されることが可能である。例えば、オーディオ信号にはフーリエ変換を適用することができ、かつそこから周波数成分を決定し、かつこれらの周波数成分を分析することによって歪を決定することができる。
【0079】
調整された信号376は、加算モジュール377においてオーディオ入力372と合計される。合計された出力は、スケーリングモジュール379へ供給される。スケーリングモジュールは、結合された信号378に定数を乗算するように構成されることが可能である。これは、エラー訂正により出力が入力を超過する可能性があるので、出力を既知の最大出力に調整するように構成されてもよい。また、スケーリングモジュールは、フルスケールの超過を回避しながら、出力信号を調整すべくリアルタイムで反応するように構成されることも可能である。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、出力を、入力信号の平均(例えば、RMS)に一致し、同時にフルスケールの超過を回避するように調整することができる。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、出力を、定義により絶対にフルスケールを超過しない入力信号の最大値に一致するように調整することができる。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、より少量の入力にゲインを加えるが、フルスケールに近いコンテンツには加えないダイナミックレンジのコンプレッサとして作用することができる。
【0080】
この場合も、この段階のPhase+EQは、望ましくないトーンを低減または最小限に抑えるために、マイクロホンからのデータを用いて調整されることが可能である。このブロックは、相互変調エラー訂正における同等のステップとは異なってもよい。相互変調歪は、主として空気により生成されるが、高調波歪は、主として電気コンポーネントおよびエミッタ内で発生される。その結果、これらの2つの訂正に最適なパフォーマンスに必要なPhase+EQは、実質的に異なる可能性がある。例えば、高調波歪を訂正するために必要な訂正の規模は、相互変調歪を訂正するために必要な訂正の規模より遙かに小さい場合もある。別の例において、増幅器内のアナログフィルタの位相は、この段階で訂正されてもよいが、相互変調の訂正においては、必ずしもこの段階でなくてもよい。
【0081】
先に述べたように、実施形態によっては、高調波歪および相互変調歪の双方の訂正が適用されてもよい。訂正は、エラー訂正アルゴリズムの追加アプリケーションを再帰的に追加することによって、さらに改善されてもよい。ItermodError(x)またはHarmonicError(x)の適用は、信号をアクティブに追加することから、これにより、少量の歪自体を追加する可能性がある。この歪は、アルゴリズムの2回目の適用によって低減される。典型的には、追加される歪は、エラー訂正の再帰的適用毎に次第に少なくなる。
【0082】
図10は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、複数回のエラー訂正を再帰的に適用する例を示す図である。複数回の適用は、最適な出力の達成を促進することができる。各回は、すべてが経験的な測定値によって順次設定され得る異なる値のPhase+EQおよびScalingを有してもよい。
【0083】
相互変調歪および高調波歪のエラー訂正モジュールは、共に、選定された任意の数で用いられてもよい。幾つかの実施形態において、回数数は、計算機能力によってのみ制限される。本例においては、まず相互変調エラーが訂正され(相互変調エラー訂正モジュール322)、高調波歪エラー訂正(高調波エラー訂正モジュール370)がこれに続く。別の実施形態では、高調波歪エラー訂正がまず行われ、相互変調歪エラー訂正がこれに続く可能性もある。また、これらは、例えば、相互変調エラー訂正の1つまたは複数の適用およびこれに続く高調波歪エラー訂正の1つまたは複数の適用を適用し、続いて相互変調エラー訂正の第2の適用を適用する、等々によってインタリーブされてもよい(または、反対の順序でインタリーブされてもよい)。様々な実施形態において、各エラー訂正モジュール322、370は、例えば、各々図8および図9に示すモジュールを用いて実装されることが可能である。
【0084】
図11は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、基本的な相互変調エラー訂正のブロック例を示す図である。本例において、相互変調エラー訂正モジュール720は、先に図8に示した相互変調エラー訂正モジュール322と同様に動作するが、2つのPhase+EQモジュール725、731を有するものとして示されている。本例において、Phase+EQモジュール725、731は、周波数依存振幅および/または位相変更の適用を表している。これらは、例えば、図8を参照して先に論じたように実装されることが可能である。Phase+EQモジュール725、731のいずれか、または双方は、必要でない場合、効果が生じない(信号を修正なしで通過させる)ように調整されることが可能である。これは、例えば、計算コストを節約するために行われてもよい。
【0085】
IMErrorモジュール727は、図8を参照して先に述べたように適用することが可能な相互変調エラー関数を適用する。やはり図8を参照して先に述べたように、反転モジュール729は、推定されたエラー信号の加法的逆元を提供するように実装されることが可能であり、かつ加算モジュールは、オーディオ信号からの反転された信号を加算する(例えば、推定されたエラー信号を減算する)ために提供されることが可能である。
【0086】
スケールモジュール735は、エラー訂正の結果としてのオーバスケール出力を訂正するために適用されることが可能な乗法定数を表す。また、スケールモジュール735は、図8を参照して先に述べたように実装される場合もある。
【0087】
図12は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、基本的な高調波歪エラー訂正のブロック例を示す図である。本例において、高調波エラー訂正モジュール770は、先に図9に示した高調波エラー訂正モジュール370と同様に動作するが、2つのPhase+EQモジュール771、775を有するものとして示されている。Phase+EQモジュール771、775は、周波数依存振幅および/または位相変更の適用を表している。これらは、例えば、図9を参照して先に論じたように実装されることが可能である。Phase+EQモジュール771、775のいずれか、または双方は、必要でない場合、効果が生じない(信号を修正なしで通過させる)ように調整されることが可能である。これは、例えば、計算コストを節約するために行われてもよい。
【0088】
高調波歪エラーモジュール773は、図9を参照して先に述べたように適用することが可能な高調波歪エラー関数を適用する。スケーリングモジュール779は、エラー訂正の結果としてのオーバスケール出力を訂正するために適用されることが可能な乗法定数を表す。スケーリングモジュール779は、信号に定数を乗算するように構成されることが可能である。これは、エラー訂正により出力が入力を超過する可能性があるので、出力を既知の最大出力に調整するように構成されてもよい。また、スケーリングモジュールは、フルスケールの超過を回避しながら、出力信号を調整すべくリアルタイムで反応するように構成されることも可能である。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、出力を、入力信号の平均(RMS)に一致し、同時にフルスケールの超過を回避するように調整することができる。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、出力を、定義により絶対にフルスケールを超過しない入力信号の最大値に一致するように調整することができる。別の実施形態において、スケーリングモジュールは、より少量の入力にゲインを加えるが、フルスケールに近いコンテンツには加えないダイナミックレンジのコンプレッサとして作用することができる。
【0089】
図8および図9を参照して先に述べた実施形態の場合と同様に、かつ図10に示すような実施形態と同様に、図11および図12に示すフィルタは、歪をさらに低減するために連続して再帰的に適用されることが可能である。図13は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、相互変調エラー訂正および高調波エラー訂正の再帰的な適用例を示す図である。このアプリケーションでは、まず相互変調訂正がN回適用され、続いて高調波訂正がN回適用される。各訂正の適用回数は、同じである必要はなく、順序も図13に示されているような順序に従う必要はない。言い換えれば、まずは、高調波歪エラー訂正を適用し、続いて相互変調エラー訂正を適用することができる。また、これらは、相互変調エラー訂正の1つまたは複数の適用およびこれに続く高調波歪エラー訂正の1つまたは複数の適用、続く相互変調エラー訂正の第2の適用、等々によってインタリーブされてもよい。この、および他の再帰的実施形態において、各回は、すべてが経験的な測定値によって順次設定され得る異なる値のPhase+EQおよびScalingを有してもよい。
【0090】
図14図15および図16は、本明細書に開示する技術の一実施形態による、相互変調エラー訂正の例を示す図である。具体的には、これらの例は、訂正プロセスへの元のオーディオの入力に当てはまる。
【0091】
図14は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、再帰プロセスへの入力として元のオーディオ入力を利用する相互変調歪訂正モジュール722の例を示す図である。これが再帰における第1のブロックであれば、「オーディオ入力」と「元のオーディオ入力」は、同じ信号である。後続の再帰の場合、「オーディオ入力」は、先行する相互変調エラー訂正ブロックの出力737を表す。他のブロックは、図11を参照して先に述べたように、同一または類似のモジュール725、727、729、731、733、735を用いて、様々な実施形態において実装されることが可能である。
【0092】
図15は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、再帰プロセスへの入力として元のオーディオ入力を利用する高調波歪エラー訂正モジュール772の例を示す図である。
【0093】
これが再帰における第1のブロックであれば、「オーディオ入力」と「元のオーディオ入力」は、同じ信号である。後続の再帰の場合、「オーディオ入力」は、先行する相互変調エラー訂正ブロックの出力780を表す。他のブロックは、図12を参照して先に述べたように、同じモジュール771、773、775、777および779を用いて、様々な実施形態において実装されることが可能である。
【0094】
図16は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、元のオーディオ入力を用いる再帰的処理の例を示す図である。高調波エラー訂正の「元のオーディオ入力」790は、純然たる元のオーディオ入力718ではなく、高調波再帰連鎖の開始に対する入力790であることに留意されたい。先の再帰的エラー訂正の実施形態の場合と同様に、相互変調および高調波エラー訂正の適用順序は、第2の訂正スキームへの入力がその訂正スキームの「元のオーディオ入力」として機能する状態で逆転されることが可能である。これらの訂正をインタリーブすることも実装可能であるが、これはペア(例えば、1対の相互変調エラー訂正モジュール722に続く1対の高調波エラー訂正モジュール772、等々、またはその逆)で実装されるべきであり、他の点では、図15と大きな違いはない。この場合も、この、および他の再帰的実施形態において、各回は、すべてが経験的な測定値によって順次設定され得る異なる値のPhase+EQおよびScalingを有してもよい。
【0095】
次に、フィードフォワードエラーを伴う別の実施形態例について説明する。これは、高調波歪エラー訂正に関する先行文書において詳述されている。図17図18および図19には、高調波および相互変調エラー訂正の双方の例を示すフィードフォワードブロック図が示されている。
【0096】
図17は、本明細書に記述する技術の一実施形態による、フィードフォワード処理を用いる相互変調エラー訂正の例を示す図である。図17に見られるように、この例は、2つのPhase+EQモジュール841、853と、IMエラー訂正モジュール843と、2つの加算モジュール845、847と、2つの反転モジュール849、851と、スケーリングモジュール854とを含む。反転モジュール849、851は、これらの個々の入力信号の加法的逆元を生成する(例えば、*−1の演算を実行する)ように実装されることが可能である。Phase+EQモジュール841、853、IMエラー訂正モジュール843、加算モジュール847、反転モジュール851およびスケーリングモジュール854は、図14における対応するブロックに関して先に述べたものと同じ特徴および機能を用いて実装されることが可能である。
【0097】
フィードフォワードを用いる本例において、先行サイクルからの相互変調エラーがもしあれば、これは、反転モジュール849に供給され、その逆数が加算モジュール845によってIMエラー訂正モジュール843の出力と結合(例えば、加法的逆元がこれと合計)される。現行サイクルが再帰における第1のサイクルであれば、IMエラー訂正モジュール843の出力に0(即ち、何もない)が加算される。加算モジュール845からの予め歪められた出力は、現行サイクルが最後のサイクルでない限り、再帰における次のサイクルで利用可能にされる。
【0098】
図18は、本明細書に開示する技術の一実施形態による、フィードフォワード処理を用いる高調波歪エラー訂正モジュール870の例を示す図である。具体的には、この例は、複数回の高調波歪エラー訂正を用いる実施形態において、エラー訂正を改善するために、先行する計算からの情報を現行の計算に使用可能であることを示している。本例は、先に図17において示したものに類似しているが、相互変調エラー訂正ではなく高調波歪エラー訂正を示している。本例は、2つのPhase+EQモジュール871、881と、高調波歪エラー推定モジュール873と、2つの加算モジュール875、877と、位相反転モジュール879と、スケーリングモジュール884とを含む。2つのPhase+EQモジュール871、881があるが、高調波歪エラー訂正モジュール870は、1つのPhase+EQモジュールで実装されてもよい。例えば、Phase+EQモジュール871または881のいずれかは、省略されても、信号に合わせた調整をしないように構成されてもよい。Phase+EQモジュール871、881、HError推定モジュール873、加算モジュール883およびスケーリングモジュール884は、図15における対応するモジュールに関して先に述べたものと同じ特徴および機能を用いて実装されることが可能である。
【0099】
図18におけるような高調波歪エラー訂正の場合、先行するサイクルからの高調波歪エラー信号がもしあれば、これは、位相反転モジュール879へ供給される。先行サイクルからのそのエラー信号の逆数(例えば、加法的逆元)は、加算モジュール875によって高調波歪エラー推定モジュール873の出力と合計される。現行サイクルが再帰における第1のサイクルであれば、このステップにおいて合計されるものはない。加算モジュール875からの予め歪められた出力は、現行サイクルが最後のサイクルでない限り、再帰における次のサイクルで利用可能にされる。
【0100】
図19は、本明細書に開示するシステムおよび方法の別の実施形態による、フィードフォワード式再帰処理の例を示す図である。この例は、相互変調エラー訂正および高調波歪エラー訂正の双方の複数回のフィードフォワードエラー訂正を示している。またこれは、所定の回からのエラー信号(フィードフォワードエラー信号)が前送りされ、かつ次回の訂正において使用されることが可能な例を示す。
【0101】
先に論じた再帰的処理の様々な実施形態の場合と同様に、エラー訂正の順序は、逆にされることが可能である。同様に、各回は、すべてが経験的な測定値によって順次設定され得る異なる値のPhase+EQおよびScalingを有してもよい。また、本例では、異なるタイプに対する訂正がインタリーブされてもよいが、このようなインタリーブは、フィードフォワードエラー信号が同じタイプのエラー訂正によるものでなければならないので、ペアで行われるべきである。最後に、異なるタイプのエラー訂正の間で非フィードフォワード処理とフィードフォワード処理とを混在させることができる。これは、例えば相互変調訂正に対しては、非フィードフォワード処理を使用し、かつこれに続いて高調波エラー訂正にフィードフォワード処理を用いること、またはその逆の可能性もあることを意味する。このようなハイブリッド手法を実装するための選択は、例えば、使用されるエミッタのタイプおよびプロセスに利用可能な処理能力の量に依存してもよい。
【0102】
先に述べた実施形態では、アナログまたはデジタル形式の様々なオーディオ入力信号(または、処理されたオーディオ入力信号)を受信するために、受信回路を含むことができる。受信されるオーディオ入力信号は、超音波オーディオシステム上で再生されるべきオーディオコンテンツを表すアナログ信号であってもよく、多段実施形態の後続ステージでは、先行ステージにより処理されるような前処理されたオーディオ信号であってもよい。例えばDSPを用いるデジタル実装では、受信されるオーディオ入力信号はデジタル信号であってもよく、またはデジタル処理のために(例えば、アナログ−デジタル変換器を用いて)変換されてもよい。したがって、受信機は、例えば、入力ライン、(例えば、オペアンプまたは他の信号受信機を形成する)回路、または幾つかの従来から利用可能な、または従来的に使用されているオーディオ入力受信機のうちのいずれをも含むことができる。DSPまたは他の同様のデジタルアプリケーションの場合、受信されたオーディオ入力は、訂正モジュールにおいて受信される前または受信された後に、デジタル処理用にデジタル化されることが可能である。
【0103】
図2を参照して述べた、等化、圧縮およびフィルタリング等の処理動作のうちの1つまたは複数は、元のオーディオ入力信号が訂正モジュールによって受信される前に行われても、1つまたは複数の訂正段階が適用された後に適用されてもよい。先に述べた様々な実施形態において、エラー訂正は、超音波キャリア上への変調前にオーディオ信号へ適用されるものとして記述されているが、本明細書に記述するシステムおよび方法の実施形態は、エラー訂正がオーディオ信号の超音波キャリア上への変調の前または後のどちらでも実行されるように実装されてもよい。
【0104】
本明細書で使用しているモジュールという用語は、本明細書に開示する技術の1つまたは複数の実施形態に従って実行され得る所定の機能ユニットを指す場合もある。本明細書で使用している、IMErrorモジュール、HErrorモジュール、加算モジュール、位相反転器、スケーリングモジュール、等を含むモジュールは、任意の形式のハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組合せを利用して実装されることが可能である。例えば、1つまたは複数のプロセッサ、コントローラ、ASIC、PLA、PAL、CPLD、FPGA、論理コンポーネント、ソフトウェアルーチンまたは他のメカニズムが、モジュールを構成するために実装される場合もある。例えば、デジタル式実施形態では、1つまたは複数のDSPおよび関連コンポーネント(例えば、メモリ、I/O ADC、DAC、等)を用いて様々な実施形態を実装することができる。エラー訂正において使用される、加算モジュール(例えば、コンバイナ)および位相反転器、スケーラおよび位相および等化モジュール等の様々なコンポーネントは、当業者には周知であり、従来技術を用いて実装されてもよい。
【0105】
実装において、本明細書に記述する様々なモジュールは、離散モジュールとして実装される場合もあり、または、記述している機能および特徴は、1つまたは複数のモジュール間で部分的に、または全体的に共有されることが可能である。言い換えれば、本明細書を読めば当業者には明らかとなるように、本明細書に記述している様々な特徴および機能は、任意のあらゆる所定のアプリケーションにおいて実装されてもよく、かつ1つまたは複数の、別々のまたは共有されるモジュールにおいて様々な組合せおよび順列で実装されることが可能である。様々な特徴または機能エレメントが個々に別々のモジュールとして記述またはクレームされ得る場合でも、当業者には、これらの特徴および機能を1つまたは複数の共通のソフトウェアおよびハードウェアエレメント間で共有できること、かつこのような記述が、別々のハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントがこのような特徴または機能を実装するために使用されることを必要とする、または暗示するものではないことが理解されるであろう。別段の指摘のない限り、モジュールと他のモジュールまたは他のコンポーネントとの通信可能結合は、直接的または間接的な結合を指すことがある。言い換えれば、信号またはデータがモジュールと他のコンポーネントとの間で通り抜ける中間コンポーネントが存在し得る場合でも、モジュールは、別のコンポーネントへ通信可能に結合されてもよい。
【0106】
この技術のコンポーネントまたはモジュールが全体的または部分的にソフトウェアを用いて実装される場合、ある実施形態において、これらのソフトウェア要素は、関連して記述されている機能を実行することができるコンピューティングまたは処理モジュールを用いて動作するように実装されることが可能である。このような例示的なコンピューティングモジュールの1つを、図20に示す。以下、この例示的なコンピューティングモジュール900に関して様々な実施形態について説明する。この説明を読めば、当業者には、他のコンピューティングモジュールまたはアーキテクチャを用いてこの技術を実装する方法が明らかとなるであろう。
【0107】
次に、図20を参照すると、コンピューティングモジュール900は、例えば、デスクトップ、ラップトップおよびノートブックコンピュータにおいて見出される計算または処理能力、即ち、手持ち式コンピューティングデバイス(PDA、スマートフォン、携帯電話、パームトップ、他)、メインフレーム、スーパーコンピュータ、ワークステーションまたはサーバ、または所定のアプリケーションまたは環境にとって望ましい、または適切であり得る他の任意タイプの専用または汎用コンピューティングデバイスを表してもよい。また、コンピューティングモジュール900は、所定のデバイス内に埋め込まれるか、そうでなければ所定のデバイスが利用できる計算能力を表す場合もある。例えば、コンピューティングモジュールは、例えばデジタルカメラ、ナビゲーションシステム、携帯電話、携帯型コンピューティングデバイス、モデム、ルータ、WAP、端末、および何らかの形式の処理能力を含む場合もある他の電子デバイス等の他の電子デバイスにおいて見出される場合もある。
【0108】
コンピューティングモジュール900は、例えば、プロセッサ904等の1つまたは複数のプロセッサ、コントローラ、制御モジュールまたは他の処理デバイスを含む場合もある。プロセッサ904は、例えばマイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサまたは他の制御論理回路等の汎用または専用処理エンジンを用いて実装される場合もある。図示されている例では、プロセッサ904がバス902に接続されているが、コンピューティングモジュール900の他のコンポーネントとの相互作用を促進する、または外部と通信するためのあらゆる通信媒体の使用が可能である。
【0109】
また、コンピューティングモジュール900は、本明細書では単にメインメモリ908と称する1つまたは複数のメモリモジュールを含む場合もある。例えば、好ましくは、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他のダイナミックメモリが、情報およびプロセッサ904により実行されるべき命令を記憶するために使用される場合もある。また、メインメモリ908は、プロセッサ904によって実行されるべき命令の実行中に、一時変数または他の中間情報を記憶するために使用される場合もある。コンピューティングモジュール900は、同様に、プロセッサ904の静的情報および命令を記憶するための、バス902に連結された読出し専用メモリ(「ROM」)または他の静的記憶装置を含む場合もある。
【0110】
また、コンピューティングモジュール900は、例えば媒体ドライブ912および記憶ユニットインタフェース920を含む場合もある1つまたは複数の様々な形式の情報記憶機構910を含む場合もある。媒体ドライブ912は、固定式または取り外し可能な記憶媒体914をサポートするためのドライブまたは他の機構を含む場合もある。例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、CDまたはDVDドライブ(RまたはRW)または他の取り外し可能な、または固定式の媒体ドライブが提供される場合もある。したがって、記憶媒体914には、例えばハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、カートリッジ、光ディスク、CDまたはDVD、または媒体ドライブ912によって読み取られ、書き込まれ、またはアクセスされる他の固定式または取り外し可能な媒体が含まれる場合もある。これらの例が示すように、記憶媒体914は、コンピュータソフトウェアまたはデータを記憶しているコンピュータ使用可能記憶媒体を含んでもよい。
【0111】
代替実施形態において、情報記憶機構910は、コンピュータプログラムまたは他の命令またはデータをコンピューティングモジュール900にロードできるようにするための他の類似手段を含む場合もある。このような手段は、例えば、固定式または取り外し可能な記憶ユニット922およびインタフェース920を含む場合もある。このような記憶ユニット922およびインタフェース920の例には、プログラムカートリッジおよびカートリッジインタフェース、取り外し可能メモリ(例えば、フラッシュメモリまたは他の取り外し可能なメモリモジュール)およびメモリスロット、PCMCIAスロットおよびカード、および他の固定式または取り外し可能な記憶ユニット922、およびソフトウェアおよびデータを記憶ユニット922からコンピューティングモジュール900へ転送できるようにするインタフェース920、が含まれてもよい。
【0112】
また、コンピューティングモジュール900は、通信インタフェース924を含む場合もある。通信インタフェース924は、ソフトウェアおよびデータをコンピューティングモジュール900と外部デバイスとの間で転送できるようにするために使用される場合もある。通信インタフェース924の例には、モデムまたはソフトモデム、ネットワークインタフェース(イーサネット(登録商標)、ネットワークインタフェースカード、WiMedia、IEEE802.XXまたは他のインタフェース等)、通信ポート(例えば、USBポート、IRポート、RS232ポートBluetooth(登録商標)インタフェースまたは他のポート)、または他の通信インタフェースが含まれる場合もある。通信インタフェース924を介して転送されるソフトウェアおよびデータは、典型的には、電子的、電磁的(光学的を含む)または所定の通信インタフェース924によって交換されることが可能な他の信号であり得る信号上で伝送される場合もある。これらの信号は、チャネル928を介して通信インタフェース924へ供給される場合もある。このチャネル928は、信号を伝送する場合もあり、かつ有線または無線式の通信媒体を用いて実装される場合もある。チャネルとしての幾つかの例には、電話回線、セルラリンク、RFリンク、光リンク、ネットワークインタフェース、ローカルまたはワイドエリアネットワーク、および他の有線または無線式通信チャネルが含まれる場合もある。
【0113】
本明細書における「コンピュータプログラム媒体」および「コンピュータ使用可能媒体」という用語は、概して、例えばメモリ908、記憶ユニット922、媒体914およびチャネル928等の媒体を指して使用される。これらの形式および他の様々な形式のコンピュータプログラム媒体またはコンピュータ使用可能媒体は、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行用処理デバイスへ伝送することに関与されてもよい。媒体上に具現されるこのような命令は、概して、(コンピュータプログラム形式または他のグルーピング形式でグループ化され得る)「コンピュータプログラムコード」または「コンピュータプログラムプロダクト」と称される。実行されると、このような命令は、コンピューティングモジュール900が本明細書で論じているような開示技術の特徴または機能を実行することを可能にする場合もある。
【0114】
以上、開示技術の様々な実施形態について説明したが、それが、限定ではなく、単に例示を目的として提示されたものであることは、理解されるべきである。同様に、様々な図は、開示技術のアーキテクチャ的または他の構成を例として描いたものであり、開示技術に含まれ得る特徴および機能の理解を助けるためのものである。開示した技術は、示されたアーキテクチャまたは構成の例に限定されるものではなく、所望される特徴は、様々な代替的アーキテクチャおよび構成を用いて実装されることが可能である。実際に、当業者には、本明細書に開示された技術の所望される特徴を実装するために、如何にして代替の機能的、論理的または物理的なパーティショニングおよび構成を実装できるかが明らかとなるであろう。また、本明細書に示したもの以外の多くの異なる構成モジュール名も、様々なパーティションに適用することができる。さらに、フロー図、動作説明および方法クレームに関して、本明細書に提示されているステップの順序は、コンテキストによる別段の指摘のない限り、記載された機能を実行するために様々な実施形態が同じ順序で実装されることを求めるものではない。
【0115】
開示した技術の上述の説明は、様々な例示的実施形態および実装に関連して行っているが、1つまたは複数の個々の実施形態において説明した様々な特徴、態様および機能の適用性が、説明されている具体的な実施形態に限定されるものではなく、むしろ、そうした実施形態が記述されているものであるか否かに関わらず、かつそうした特徴が記述されている実施形態の一部として提示されているか否かに関わらず、開示された技術の他の実施形態のうちの1つまたは複数に、単独または様々な組合せで適用され得ることは、理解されるべきである。したがって、本明細書に開示した技術の広さおよび範囲は、これまでに述べた如何なる例示的実施形態によっても限定されるべきではない。
【0116】
本明細書において使用されている用語および言い回し、およびその変形は、別段の明示的指摘のない限り、限定ではなく、制限のないものと解釈されるべきである。前述の例として、「を含む」という用語は、「を限定なしに含む」またはこれに類似する意味に読み取られるべきであり、「例」という用語は、論じているアイテムの例を、その網羅的または限定的リストとしてではなく例示的に提供するために使用され、不定冠詞としての「a」または「an」は、「少なくとも1つの」、「1つまたは複数の」またはこれに類似する意味に読み取られるべきべきであり、かつ「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準的な」、「既知の」および類似の意味を持つ用語等の形容詞は、記述されるアイテムを所定の時間期間または所定の時点で利用可能であるアイテムに限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ現在または将来における任意の時点で利用可能であり得る、または既知であり得る従来の技術、伝統的な技術、通常の技術または標準的な技術を包含するように読み取られるべきである。同様に、本明細書が当業者には明らかである、または知られていると思われる技術に言及する場合、このような技術は、現在または将来における任意の時点で熟練者に明らかであるか知られているはずの技術を包含する。
【0117】
一部の例における、「1つまたは複数の」、「少なくとも」、「但しこれに限定されない」等の広がりのある語または言い回しの存在は、このような広がりのある言い回しが存在しない例ではより狭い事例が意図または要求されるという意味に読み取られないものとする。「モジュール」という用語の使用は、モジュールの一部として記述またはクレームされるコンポーネントまたは機能がすべて共通パッケージ内に構成されることを含意しない。実際に、あるモジュールの様々なコンポーネントのうちのいずれか、またはすべては、制御論理回路であるか他のコンポーネントであるかに関わらず、単一のパッケージに組み合わされても、別々に保全されてもよく、かつさらには、複数のグルーピングまたはパッケージ内に、または複数のロケーションにわたって分散されてもよい。
【0118】
さらに、本明細書に記載の様々な実施形態は、例示的なブロック図、フローチャートおよび他の図解に関連して記述されている。本明細書を読めば当業者には明らかとなるように、例示された実施形態およびその様々な代替物は、例示された実施例に限定されることなく実装が可能である。例えば、ブロック図およびそれに付随する説明は、特定のアーキテクチャまたは構成を求めるものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20