(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559246
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】非視覚機能の最適な刺激を有する照明機器
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20190805BHJP
A61B 90/30 20160101ALI20190805BHJP
【FI】
H05B37/02 F
H05B37/02 E
A61B90/30
【請求項の数】21
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-541858(P2017-541858)
(86)(22)【出願日】2016年1月27日
(65)【公表番号】特表2018-505534(P2018-505534A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】FR2016050164
(87)【国際公開番号】WO2016124836
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】1550896
(32)【優先日】2015年2月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517273238
【氏名又は名称】マケ・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ
【氏名又は名称原語表記】MAQUET SAS
(73)【特許権者】
【識別番号】591049848
【氏名又は名称】アンセルム
【氏名又は名称原語表記】INSERM
(73)【特許権者】
【識別番号】517273249
【氏名又は名称】ウエヌテペウ
【氏名又は名称原語表記】ENTPE
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・ドゥズーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィド・ル・ベール
(72)【発明者】
【氏名】クロード・グロンフィエ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・デュモルティエ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・アヴアック
(72)【発明者】
【氏名】ハワード・クーパー
【審査官】
野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−527680(JP,A)
【文献】
特開2014−220169(JP,A)
【文献】
特開2002−169493(JP,A)
【文献】
特開2008−276443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整自在の光スペクトルを有する白色光を供給するための、複数の光源(2,3A−3E)を備える照明デバイス(1)と、
反復自在の変調サイクルで、中断することなく、前記光スペクトルを変調するようにして、前記光源を制御する監視制御デバイス(4)と、を含む、手術室のための照明機器であって、
当該サイクルは、前記光スペクトルが赤色で強化される第1の期間(T0−T1)と、前記光スペクトルが赤色から青色へ漸進的に変調される第2の期間(T1−T2)と、前記光スペクトルが青色で強化される第3の期間(T2−T3)と、前記光スペクトルが青色から赤色へ漸進的に変調される第4の期間(T3−T0)と、を含み、
前記照明機器は、
前記監視制御デバイス(4)が、前記照明デバイス(1)の近傍における人間の存在を示す信号の受信を検出するように配置されることと、
検出される前記信号に反応して、前記変調サイクルが前記第1の期間(T0−T1)にあるときは、前記監視制御デバイス(4)は、初期(T0)からの前記変調サイクルを再開することによって前記変調サイクルを再初期化し、或いは、前記変調サイクルが前記初期(T0)からの前記変調サイクルを再開する前の、前記第2の期間(T1−T2)、第3の期間(T2−T3)、又は第4の期間(T3−T0)にあるときは、前記監視制御デバイス(4)は、前記照明デバイス(1)の近傍における前記人間の存在の検出から開始する、前記変調サイクルの前記初期(T0)までの過渡期間中に前記光スペクトルを青色から赤色へ漸進的に変調することによって前記変調サイクルを再初期化することと、
を特徴とする、照明機器。
【請求項2】
前記第1の期間(T0−T1)は、前記第3の期間(T2−T3)よりも短いことを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項3】
前記過渡期間は、前記第2の期間(T1−T2)及び第4の期間(T3−T0)よりも短いことを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項4】
前記第2の期間(T1−T2)及び第4の期間(T3−T0)は、前記第3の期間(T2−T3)よりも短いことを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項5】
前記監視制御デバイス(4)は、白色光の前記光スペクトルの変調の間に、白色光の一定の光束を維持するようにして、前記光源(2,3A−3E)を制御するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項6】
前記第1の期間(T0−T1)中の白色光の前記光スペクトルにおいて、赤色の割合は、青色の割合よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項7】
前記第3の期間(T2−T3)中の白色光の前記光スペクトルにおいて、青色の割合は、赤色の割合よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項8】
前記第1の期間(T0−T1)中及び前記第3の期間(T2−T3)中において、白色光の前記光スペクトルにおける赤色及び青色の割合は、それぞれ一定であることを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項9】
前記第2の期間(T1−T2)中の、白色光の前記光スペクトルにおける青色及び赤色の割合は、前記第1の期間(T0−T1)中の、白色光の前記光スペクトル中に存在する青色及び赤色の割合から、前記第3の期間(T2−T3)中の、白色光の前記光スペクトル中に存在する青色及び赤色の割合へ、漸進的に移行することを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項10】
前記第4の期間(T3−T0)中の、白色光の前記光スペクトルにおける青色及び赤色の割合は、前記第3の期間(T2−T3)中の、白色光の前記光スペクトル中に存在する青色及び赤色の割合から、前記第1の期間(T0−T1)中の、白色光の前記光スペクトル中に存在する青色及び赤色の割合へ、漸進的に移行することを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項11】
前記照明デバイス(1)の近傍における人間の存在を示す前記信号を受信するために、前記監視制御デバイス(4)に接続された存在センサ(7)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項12】
前記存在センサ(7)は、赤外線、ブルートゥース(登録商標)、超音波、無線周波数、又は音声タイプの信号を受信する非接触センサであることを特徴とする、請求項11に記載の照明機器。
【請求項13】
前記存在センサ(7)は、顔認識を有する視覚センサであることを特徴とする、請求項11に記載の照明機器。
【請求項14】
前記存在センサ(7)は、接触センサであることを特徴とする、請求項11に記載の照明機器。
【請求項15】
前記存在センサ(7)は、バイオメトリック署名を認識することを特徴とする、請求項14に記載の照明機器。
【請求項16】
前記存在センサ(7)は、バッジ式又はチップ式のリーダであることを特徴とする、請求項11に記載の照明機器。
【請求項17】
互いに離間する二つの存在センサ(7)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の照明機器。
【請求項18】
前記反復自在の変調サイクルは、1日のうちの所定時間から自動的に開始し及び/又は停止するようにプログラム可能であることを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項19】
前記反復自在の変調サイクルは、ユーザによって手動で活性化可能であることを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項20】
前記反復自在の変調サイクルは、ユーザによって手動で非活性化可能であることを特徴とする、請求項1に記載の照明機器。
【請求項21】
前記光源(2,3A−3E)は、LEDである、請求項1〜20のうちのいずれか一つに記載の照明機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、照明機器、特に、外科手術室で使用される照明機器の分野である。
【0002】
本発明は、より具体的には、特に手術室のための照明機器に関するものであり、当該照明機器は、調整自在の光スペクトルを有する白色光を供給する複数の光源を備える照明デバイスと、反復自在の変調サイクルで、中断することなく光スペクトルを変調するような方法で、光源を制御する監視制御デバイスと、を含み、当該サイクルは、光スペクトルが赤色で強化される第1の期間と、光スペクトルが赤色から青色へ漸進的に変調される第2の期間と、光スペクトルが青色で強化される第3の期間と、光スペクトルが青色から赤色へ漸進的に変調される第4の期間と、を含む。
【背景技術】
【0003】
大多数の照明メーカは、調整自在の光スペクトルを有する照明を提案している。スペクトルの変更は、それぞれが特定の波長を有する複数の光源を組み合わせることによって行われる。そのような光源は、一般に発光ダイオード(LED)であるが、それらは、蛍光管であってもよい。そのような照明は、青色、緑色、赤色、及び時には白色を個々に示す三つ又は四つの異なる光源から概略構成される。そのような照明は、制御盤又はボタンを介して複数のアンビエンスを選択することを概略可能にする。特定のモードでは、時間の経過とともに、スペクトルを変調することが可能になり、色彩は、赤色から紫色へ、その後、青色へ、その後、緑色、などへと移行する。スペクトルの変化は、光源の端子を介する電流又はまたぐ電圧を変調することによって行われる。しかしながら、そのような照明のスペクトルを変調することは、多くの場合、審美的な目的を果たすに過ぎない。
【0004】
夜間に病院で働く外科医は、大多数の夜間労働者と同様に、警戒及び気分に作用する不調や、彼らの夜勤の間の精神運動の低下に悩まされていることが知られている。そのような障害は、夜間活動に関する、スタッフの生物時計の適応(同期)不足に、主に関連し、従来、概日リズム睡眠−覚醒障害などの国際睡眠障害分類(ICSD−3)で記載されている。
【0005】
今日、特に非視覚機能(覚醒、睡眠、気分、及び生物時計)に作用することによって、光が、人間の注意力や認知能力や運動能力を刺激することを可能にすることはよく知られている。米国特許出願公開第2010/0217358号(特許文献1)には、例えば、人工光による人間への覚醒の刺激が記載されている。特開2009−283317号(特許文献2)及び国際公開第2013/11589号(特許文献3)には、ユーザの能力を向上することを可能にする照明システムが記載され、それらのシステムは、青色で強化される光スペクトルから開始して、青色から赤色へ、光を周期的に変調する。
【0006】
ミュア(Mure)等によって「JBR」、1999年(非特許文献1)に、及びチェラパ(Chellapa)等によって「PNAS」、2014年(非特許文献2)に記載されているように、赤色で強化される光の数分の段階から開始する光スペクトルの変調サイクルに曝されているユーザは、青色で強化される光の段階から開始するサイクルに比べて認知能力が向上することも知られている。
【0007】
国際公開第2008/146220号(特許文献4)には、生物学的効果を作り出す可変スペクトルを生成し得る照明デバイスが記載されている。欧州特許出願公開第2051763号(特許文献5)には、被験者の光生物学的状態に影響を及ぼすシステム及び方法が記載されている。
【0008】
外科手術の間に、外科医などの特定のユーザが、光スペクトルの変調サイクルが既に開始されている照明システムを備える手術室に入る場合、及び/又は、照明システムが赤色で強化されていないスペクトルを有する光を放出している場合、光スペクトル変調による外科医の刺激はそれほど効果的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0217358号
【特許文献2】特開2009−283317号
【特許文献3】国際公開第2013/11589号
【特許文献4】国際公開第2008/146220号
【特許文献5】欧州特許出願公開第2051763号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ミュア(Mure)等、「JBR」、1999年
【非特許文献2】チェラパ(Chellapa)等、「PNAS」、2014年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、夜通しで外科手術室内にいる医療スタッフの認知能力及び精神運動能力を強化すること、より具体的には、外科医が手術室に入るとすぐに彼らの能力を強化すること、を可能にする調整自在のスペクトルを有する照明デバイスを備える照明機器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的に向けて、本発明は、
手術室のための照明機器を提供し、
当該照明機器は、
調整自在の光スペクトルを有する白色光を供給するための、複数の光源を備える照明デバイスと、
反復自在の変調サイクルで、中断することなく、前記光スペクトルを変調するような方法で、前記光源を制御する監視制御デバイスと、を含み、
当該サイクルは、前記光スペクトルが赤色で強化される第1の期間と、前記光スペクトルが赤色から青色へ漸進的に変調される第2の期間と、前記光スペクトルが青色で強化される第3の期間と、前記光スペクトルが青色から赤色へ漸進的に変調される第4の期間と、を含み、
前記照明機器は、
前記監視制御デバイスが、前記照明デバイスの近傍における人間の存在を示す信号の受信を検出するように配置されることと、
検出されている前記信号に反応して、前記変調サイクルが前記第1の期間にあるときは、前記監視制御デバイスは、
前記初期からの前記変調サイクルを再開することによって前記変調サイクルを再初期化し、或いは、前記変調サイクルが
前記初期からの前記変調サイクルを再開する前の、前記第2の
期間、第3の
期間、又は第4の期間にあるときは、前記監視制御デバイスは、
前記照明デバイスの近傍における前記人間の存在の検出から開始する、前記変調サイクルの前記初期までの過渡期間中に光スペクトルを青色から赤色へ漸進的に変調すること
によって前記変調サイクルを再初期化することと、を特徴とする。
【0013】
本発明の照明機器は、以下の特徴を有してもよい。
・前記第1の期間は、前記第3の期間よりも短い。
・前記過渡期間は、前記第2の
期間及び第4の期間よりも短い。
・前記第2の
期間及び第4の期間は、前記第3の期間よりも短い。
・前記監視制御デバイスは、白色光の前記光スペクトルの変化の間に、白色光の一定の
光束を維持するような方法で、光源を制御するように配置される。
・前記第1の期間中の白色光の前記光スペクトルにおいて、赤色の割合は、青色の割合よりも大きい。
・前記第3の期間中の白色光の前記光スペクトルにおいて、青色の割合は、赤色の割合よりも大きい。
・前記第1の期間中及び前記第3の期間中において、白色光の前記光スペクトルにおける赤色及び青色の割合は、それぞれ一定である。
・前記第2の期間中の、白色光の前記光スペクトルにおける青色及び赤色の割合は、前記第1の期間中の、白色光の前記光スペクトル中に存在する青色及び赤色の割合から、前記第3の期間中の、白色光の前記光スペクトル中に存在する青色及び赤色の割合へ、漸進的に移行する。
・前記第4の期間中の、白色光の前記光スペクトルにおける青色及び赤色の割合は、前記第3の期間中の、白色光の前記光スペクトル中に存在する青色及び赤色の割合から、第1の期間中の、白色光の前記光スペクトル中に存在する青色及び赤色の割合へ、漸進的に移行する。
・前記照明デバイスの近傍における人間の存在を示す前記信号を受信するために、監視制御デバイスに接続された少なくとも一つの存在センサをさらに含む。
・前記存在センサは、赤外線、ブルートゥース(登録商標)、超音波、無線周波数、又は音声タイプの信号を受信する非接触センサである。
・前記存在センサは、顔認識を有する視覚センサである。
・前記存在センサは、接触センサである。
・前記存在センサは、バイオメトリック署名を認識する。
・前記存在センサは、バッジ式又はチップ式のリーダである。
・前記照明機器は、互いに離間した二つの存在センサを含む。
・前記反復自在の変調サイクルは、1日のうちの所定の時間から自動的に開始し及び/又は停止するようにプログラム可能である。
・前記反復自在の変調サイクルは、ユーザによって手動で活性化可能である。
・前記反復自在の変調サイクルは、ユーザによって手動で非活性化可能である。
・前記光源は、LEDである。
【0014】
本発明の基本的な考え方は、光の生理学的効果を最大にし、そのことによって、夜通しで医療スタッフの警戒、注意、並びに認知及び精神運動能力を刺激するように、光スペクトルの反復自在のサイクルの変調を有する抗疲労照明を提案することである。非視覚機能に関する光の効果は、メラノプシンを含む網膜神経節細胞を活性化することを主として引き起こし、当該細胞は、青色の感度ピーク(lambda max=480nm)を有するものである。したがって、メラノプシンを含む神経節細胞の感度のため、青色で強化される光は青色に乏しい光よりも効果的である。
【0015】
光に曝される間、メラノプシンを含む細胞の光色素は、光子を吸収し、そのことによって、生理学的反応(警戒、及び認知に関与する脳中枢の活性化)をもたらす。同時に、そのプロセスは、光色素を鈍感にし、当該光色素を他の光子に対して不活性にする。長い再生プロセスを要求する錐体視細胞及び桿体視細胞内の光色素とは異なり、メラノプシンは、スペクトルの赤色領域において、第2の光子を吸収することによって、その感度を再生することができる。「双安定性」として周知のこの可逆性は、メラノプシンが、二つの状態をスイッチすること、このようにして、「青色」の光によって活性化されて「赤色」の光によって再活性化されること、を可能にする。
【0016】
したがって、赤色で強化される光の第1の期間から開始する、赤色で強化される光及び青色で強化される光の交代は、それに続く青色で強化される光の刺激効果を最大化する。
【0017】
本発明の照明機器は、周期的に、かつ、中断することなく反復される方法で、赤系色光から青系色光へ、光スペクトルを変調するように設計される。夜間において、又は高睡眠圧力条件下にて、例えば、長時間の仕事の後において、手術を行う外科医の注意及び能力は、特に刺激されなければならない。したがって、外科医が手術室に入るとすぐに、彼らが第3の期間中に曝されることになる青色で強化される光の非視覚的効果を増幅するために、赤色で強化される光へ曝される第1の期間が課されなければならない。したがって、照明デバイスの近傍で外科医の存在が検出されるとすぐに、照明機器が赤色で強化される光を放出している場合には、そのような検出に反応して変調サイクルが再初期化され、照明機器が青色で強化される光又は青色で強化される光と赤色で強化される光との混合光を放出している場合には、そのような検出に反応して変調サイクルが中断されて、赤色で強化される光に漸進的に戻って、変調サイクルを再び開始する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、以下の説明を読むと、及び以下の添付の図面を検討すると、より良く理解することができ、他の利点が明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明の照明セットの実施形態を示す。
【
図2】
図2は、光スペクトルを変調する二つの連続する変調サイクルを示す。
【
図3】
図3は、三つのグラフを示し、当該グラフのうちのそれぞれは、本発明の照明セットによって作り出される光スペクトルを変調する、変調サイクルの間の光スペクトルを示し、
図3のそれぞれのグラフにおいて、波長が横軸に沿ってプロットされ、100で正規化された光の放射パワーが縦軸の上にプロットされている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1において、本発明の光スペクトル変調の照明セットは、この例ではLED2,3A〜3Eである複数の光源を備える照明デバイス1を含む。照明デバイス1は、電子監視制御デバイス4によって制御され得る。
【0020】
照明デバイス1などの複数の照明デバイスは、手術室などの部屋の天井に埋め込まれた照明セットに実装されてもよく、又は、例えば連結式サスペンションアームを介して、つり下げられてもよい。
【0021】
照明デバイス1において、LED2は、任意の色温度及び演色評価数(CRI)の白色光を生成し、LED3Aは、440ナノメートル(nm)から520nmまでの範囲にある放射ピークを有する青色で強化される光を生成し、LED3Bは、570nmから660nmまでの範囲にある放射ピークを有する赤色で強化される光を生成する。
【0022】
例えば、LED2は、4400ケルビン(K)の領域の色温度にて白色光を拡散する。本発明によれば、この白色光は、これらのLEDに供給される電流を個別に制御する監視制御デバイス4の監視の下で、LED3A及び3Bによって生成される光と混合される。
【0023】
監視制御デバイス4は、特に、ボタン又はキーパッド(図示せず)を介して照明セットのユーザによって制御されるマイクロプロセッサタイプの制御ユニット5と、プログラムメモリ6とを含む。
【0024】
光のアンビエンスの種類がユーザにより選択されると、制御ユニット5は、照明デバイス1によって生成される白色光の異なる光スペクトルに対応する、複数の光のアンビエンスを作り出すような方法でLED3A及び3Bを制御する、メモリ6に記録されたプログラムを実行する。
【0025】
特に、本発明によれば、制御ユニット5は、中断することなく反復自在である変調可能なサイクルに、白色光スペクトルを追従させる。変調サイクルは、光スペクトルが赤色で強化される期間及び光スペクトルが青色で強化される期間を含み、それらの期間の合間に、赤色から青色への又は青色から赤色への光スペクトルの緩やかな変調を有する。
【0026】
ユーザの疲労を軽減するために、青系色光の刺激効果が夜通しで用いられる。光が赤系色である期間によって区切られた青系色光は、メラノプシンを含む神経節細胞を再生することを可能にする。したがって、青系色と赤系色との間で光スペクトルを周期的に変調できることが好ましい。さらに、青色で強化される光へ曝される前に、赤色で強化される光へ予め曝されることにより、ユーザの非視覚機能における、青色で強化される光の効果を増大することが可能になる。したがって、本発明によれば、照明セットがスイッチオンされるとすぐに、光スペクトルの変調サイクルは、赤色で強化される光へ曝される期間と共に開始する。
【0027】
図2は、光スペクトルの青色及び赤色成分を変調する二つの連続する変調サイクルを示し、実線は青色に対する赤色の比率を表し、破線は赤色に対する青色の比率を表している。サイクルの初期T0において、光スペクトルは、赤色で強化され、例えば、2分から10分までの範囲内で継続し得る第1の期間T0−T1、赤色で強化されたままである。
【0028】
光スペクトルが赤色から青色へ漸進的に移行する第2の期間T1−T2は、第1の期間T0−T1の後に続く。ユーザの視覚上の快適性を妨げることを避けるために、第2の期間T1−T2は、例えば、5分間継続してもよい。
【0029】
第2の期間T1−T2の終わりにおいて、光スペクトルは青色で強化される。それは、例えば、10分から20分までの範囲であってもよい第3の期間T2−T3、青色で強化されたままである。
【0030】
第4の期間T3−T0は変調サイクルの最後の段階であり、その段階において、光スペクトルが、例えば、約5分で青色から赤色へ漸進的に移行する。1サイクルが終了すると、第2のサイクルが自動的に開始可能となり、さらに続く。
【0031】
光スペクトルが赤色から青色へ又は青色から赤色へ移行するとき、当該変化がユーザによって知覚されないように及びユーザの快適性を損なわないように、制御ユニット5は、青色から赤色への及び赤色から青色への、スペクトルの漸進的な推移を作り出してもよい。したがって、制御ユニット5は、
図3に示すように、青色で強化されるスペクトルと赤色で強化されるスペクトルとの間の、及び、その逆の間の、多数の中間スペクトルを作り出す。各中間スペクトルは、それに隣接する二つのスペクトルに近接して、ユーザの目に対して最小の観察時間に亘って作り出される。
【0032】
本発明によれば、上述のサイクルは、10分から数時間までの範囲で継続し得、最適継続時間は、22分から40分までの範囲にある。好ましくは、第1の期間T0−T1は、第3の期間T2−T3よりも短い。第2及び第4の期間T1−T2及びT3−T0は、第3の期間よりも短い。
【0033】
図3のグラフA)は、変調サイクルのうちの第1の期間中に作り出された赤色スペクトルを示す。
図3のグラフB)は、変調が漸進的である第2の期間中に作り出された赤色と青色との間の中間スペクトルを示す。
図3のグラフC)は、変調サイクルのうちの第3の期間中に作り出された青色スペクトルを示す。
【0034】
変調サイクルのうちの第2の期間T1−T2中において、制御ユニット5は、赤色の割合を漸進的に減少させ、一方で、また、青色の割合を漸進的に増大させることが理解されるべきである。変調サイクルのうちの第4の期間T3−T0中において、制御ユニット5は、赤色の割合を漸進的に増大させ、青色の割合を漸進的に減少させる。
【0035】
外科手術の間、外科医は、とりわけ注意深く行動し、良好に動作しなければならない。したがって、前記外科医が手術室内に到着するとすぐに、本発明の照明セットによって示される視覚刺激が、外科医にとって最適でなければならない。よって、照明セットが青色で強化される光又は青色で強化される光と赤色で強化される光との混合光を放出している間に、外科医が手術室に入る場合、青色光に対する非視覚的な反応の増幅の効果は、外科医にとってより小さいであろう。それ故、外科医が手術室に入るとすぐに最適な視覚刺激を受けるように、外科医を特定して彼らの存在を検出することができることが重要である。
【0036】
この目的のために、本発明によれば、照明機器は、監視制御デバイス4に接続された存在センサ7を含む。前記存在センサ7は、特定の個人、すなわちこの例における外科医、の存在などの、人間の存在を示す信号を受信するのに適している。存在センサ7は、赤外線、ブルートゥース、超音波、若しくは無線周波数によって信号を受信する非接触センサ、又は外科医が押圧する機械式ボタンなどの接触センサ、又は、実際には、指紋などのバイオメトリック署名を認識するセンサであってもよい。
【0037】
センサは、顔認識のための視覚センサであってもよいが、音声認識のためのセンサであってもよい。
【0038】
センサは、カード式リーダ又はチップ式リーダであってもよい。
【0039】
例えば、無線自動識別(RFID)チップを設置することが用いられる場合、存在センサは、手術室の、ドアの又はエアロックの敷居にて、床に配置され得る。外科医が通過する方向を判別するために、二つのセンサが手術室内に一つ及び廊下に一つ位置付けられてもよい。この場合、外科医の識別部は、外科医の靴に、例えば、靴底に位置付けられ得る。本発明の範囲を限定することなく、外科医が通過する方向の判別を向上させるために、他のセンサが追加されても良い。
【0040】
別の実施形態において、手術台は、その作用範囲以内の外科医の存在を検出するRFIDセンサを備えてもよい。
【0041】
本発明によれば、外科医が手術室に入っていることを示す信号が検出されるとすぐに、照明機器が赤色で強化される光を放出している場合、監視制御デバイス4の制御ユニット5は、変調サイクルを再初期化し、照明機器が青色で強化される光又は青色で強化される光と赤色で強化される光との混合光を放出している場合、変調サイクルは中断されて、過渡期間に亘って赤色で強化される光へ漸進的に戻って、通常の変調サイクルを再開する。過渡期間の間、制御ユニット5は、赤色の割合を漸進的に増大させて、青色の割合を漸進的に減少させることが理解できる。しかしながら、外科医が赤色で強化されていない初期スペクトルに曝されないように、前記過渡期間は短くなければならない。
【0042】
外科医が手術室を離れる必要がある場合、照明デバイスの近傍の外科医の存在を示す信号はもはや検出されないが、変調サイクルは通常継続する。外科医が手術室内へ戻った場合、監視制御デバイス4が、再度、外科医が存在することを示す信号を検出し、上述の手順が再生される。
【0043】
別の実施形態において、複数の外科医が特定されてもよく、各々は、彼らが照明デバイスの近傍に存在することを示す信号を送信するだろう。
【0044】
図4は、どのように制御ユニット5が動作するかを示している。それは、10にて、例えば、キーパッドの作動によって開始される。制御ユニット5は、照明セットが作動されるときに、制御ユニット自体を赤系色スペクトルに設定するようにプログラムされ、ステップ20において、外科医の存在を示す信号が、制御ユニット5に接続された存在センサ7を介して受信されたか否かにかかわらず、第1の変調サイクルを作り出す。それは、例えば、外科手術の継続期間を通して、又は夜通しで、ループの方式で前記変調サイクルを繰り返し、例えば、動作を停止するための又は動作モードを変更するためのコマンドを受信すれば、処理を停止する。
【0045】
ステップ30にて、監視制御デバイス4が、照明デバイス1の近傍における外科医の存在を示す信号の受信を検出する場合、本発明によれば、
・ステップ40にて、光スペクトルが赤色で強化されている場合、ステップ50において、制御ユニット5は、光スペクトルを修正することなく変調サイクルを再初期化してステップ20に戻り、
・ステップ60にて、光スペクトルが青色で強化される光又は青色光と赤色光との混合光である場合、ステップ70において、制御ユニット5は、放出される光スペクトルを赤色で強化される光スペクトルに向かって漸進的に推移させ、ステップ80において、光スペクトルを変調するための変調サイクルを再初期化させて、ステップ20に戻る。
【0046】
ステップ90は、存在センサがもはや信号を受信しない時点に対応しており、変調サイクルは、照明機器がスイッチオフされるまで、又は場合によってはプログラムが不活性化されるまで継続する。
【0047】
上述の過渡期間に対応するステップ70において、漸進的な変調の、すなわち、平穏な変調サイクル中の、通常速度に対して推移の速度を増加させてもよい。この過渡期間中の速度の当該増加は、手術室に既に存在する医療スタッフの仕事及び快適性を妨害するものではなく、また、外科医の、初期の非赤色スペクトルへ曝される時間を減少することも可能にする。この過渡期間は、第2及び第3の期間T1−T2及びT3−T0よりも通常短い。
【0048】
手動の又はプログラムされた動作モードは、例えば、放出される光に関して、特定の色を選択することを可能にする別の動作モードのために、手動で不活性化されてもよいことに留意すべきである。
【0049】
動作モードが、特に夜勤者を意図しているときは、日中の間、例えば、午前7時から午後7時まで不活性化されるように、及び特定の時間、例えば、午後7時から自動的に活性化されるように、プログラムされてもよい。しかしながら、ユーザが日中の間、この動作モードを活性化させたい場合、ユーザはその動作モードを活性化させてもよい。
【0050】
本発明によれば、様々な光スペクトルは、LED2,3A,3Bにおける電流を制御する制御ユニット5によって使用可能な形式でプログラムメモリ6に記録されてもよい。
【0051】
LED3A及び3Bによって生成される青色光及び赤色光に加えて、例えば、
図1に示す他のLED3C,3D,3Eによって生成される、黄色光、緑色光、及びシアン光と白色光を混合することも可能である。これらのLED3C〜3Eも制御ユニット5によって制御され、例えば、演色評価数を向上させるのに役立つ。
【0052】
例えば、
図3のグラフA)において、強化色は赤色である。青色と赤色との間の放射パワーの比率は、20%であることがわかる。同様に、緑色と赤色との間の放射パワーの比率は、20%である。
【0053】
図3のグラフC)において、緑色の放射パワーは、この例において強化色である100%の青色の放射パワーの、20%を表すことが、縦軸上でわかる。グラフC)において、赤色の放射パワーは、青色の放射パワーの20%を表すこともわかる。
【0054】
グラフB)は、赤系色スペクトルから青系色スペクトルまで続く推移を示すが、強化光成分の波長と、白色光スペクトル中の他の色成分の各波長との間で少なくとも20%の放射パワーを維持している。
【0055】
良好な演色評価数を維持するために、LED3C,3D,3Eによって生成される光は、サイクル中の赤色成分又は青色成分の増加に追従するように漸進的に変調することが理解されるべきである。
【0056】
制御ユニット5は、例えば、照明デバイス1内に配置される
光束センサ(図示せず)であって、LED内の電流をサーボ制御するための
光束の測定値を送り返す
光束センサを用いて、照明セットによって放出される光を変調するための変調サイクルから独立して一定の照明パワーを維持するように配置されることに留意すべきである。したがって、監視制御デバイス(4)は、白色光の光スペクトルの変調の間に白色光の一定の
光束を維持するような方法で、光源(2、3A−3E)を制御する。
【0057】
当然のことながら、本発明は、本発明の範囲を逸脱することなく変更を行うことができる実施形態のうちの一つである上記説明に、決して限定されるものではない。