特許第6559249号(P6559249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6559249加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウ上にバスバーを析出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559249
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウ上にバスバーを析出する方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/86 20060101AFI20190805BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20190805BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20190805BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20190805BHJP
   B05D 3/04 20060101ALI20190805BHJP
   C23C 4/134 20160101ALI20190805BHJP
   C23C 4/06 20160101ALI20190805BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20190805BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H05B3/86
   B05D7/02
   B05D1/36 Z
   B05D3/10 E
   B05D3/04 C
   C23C4/134
   C23C4/06
   H05B3/20 344
   B60S1/02 B
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-549226(P2017-549226)
(86)(22)【出願日】2016年3月21日
(65)【公表番号】特表2018-517227(P2018-517227A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】EP2016056182
(87)【国際公開番号】WO2016146856
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】15159882.8
(32)【優先日】2015年3月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512212885
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
【氏名又は名称原語表記】Saint−Gobain Glass France
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ヴァイセンベアガー
(72)【発明者】
【氏名】マークス グルダン
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン シュミット
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/091964(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0080421(US,A1)
【文献】 特開平05−144552(JP,A)
【文献】 特表2014−521835(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/067745(WO,A1)
【文献】 特開2010−103041(JP,A)
【文献】 特開平06−089775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02−3/86
B60S 1/02
C23C 4/06
C23C 4/134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウ(FKS)を製造する方法であって、
少なくとも、
1成分または2成分の半透明ポリマーウィンドウ基体(1)と、
少なくとも1つの単層のハードコート(6)またはベースコート(5)を有する2層のハードコート(6)と、
少なくとも1つの第1のバスバーおよび逆の電荷を有する少なくとも1つの第2のバスバー(4)であって、実質的にまたは厳密に相互に平行にかつ相互に所定の間隔をおいて配置されているバスバー(4)と、
を含み、当該バスバー(4)は、
電熱線(3)としての少なくとも2つの導体線路を用いて相互に電気的に接続され、それにより電圧の印加の際に、加熱電流が、前記少なくとも1つの第1のバスバーから前記少なくとも1つの第2のバスバー(4)に流れ、
前記各バスバー(4)上でおよび/または前記各バスバー(4)内で、前記少なくとも1つの第1のバスバーおよび前記少なくとも1つの第2のバスバー(4)を、電圧源の各極と電気的に接続する少なくとも1つの接続要素(7)を含み、
以下の方法ステップ、すなわち、
(A) 前記1成分または2成分の半透明ポリマーウィンドウ基体(1)を準備するステップと、
(B) 前記ウィンドウ基体(1)を、前記少なくとも1つの単層のハードコート(6)で、または、前記ベースコート(5)を有する2層のハードコート(6)でコーティングするステップと、
(C) 前記電熱線(3)を、前記バスバー(4)と直接電気的に接触接続できるように埋め込むステップと、
(D) 前記少なくとも1つの第1のバスバーおよび前記少なくとも1つの第2のバスバー(4)を、前記電熱線(3)と直接電気的に接触接続するように析出するステップと、
(E) 前記少なくとも1つの接続要素(7)を、前記少なくとも1つの第1のバスバーおよび前記少なくとも1つの第2のバスバー(4)上におよび/または当該バスバー(4)内に取り付けるステップと、
がこの順序で用いられ、または、代替的に(A),(C),(D),(E),(B)の順序で用いられ、その際、前記接続要素(7)は、露出したままにする、方法において、
前記方法ステップ(D)を、大気圧のもとでファインパウダーコーティング(FPC)プラズマ法を用いて実施する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
(F) 前記半透明ポリマーウィンドウ基体(1)が、少なくとも前記バスバー(4)の領域において、当該バスバー(4)が少なくとも前記車両用プラスチックウィンドウ(FKS)の外側方向で光学的に覆われるように、不透明コーティング(2)を備えるものとするステップ
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法ステップ(F)は、前記方法ステップ(A)の後でかつ前記方法ステップ(B)の前に実施され、または、代替的に前記方法ステップ(C)の前に実施される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記電熱線(3)を埋め込むステップ(C)は、前記方法ステップ(D)の前に実施される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記電熱線(3)を埋め込むステップ(C)は、各当該電熱線(3)の少なくとも1つの区間が前記半透明ポリマーウィンドウ基体(1)内に埋め込まれるように実施される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記電熱線(3)は、少なくとも前記バスバー(4)の領域において、部分的に露出し、それによって、当該電熱線(3)は、前記バスバー(4)と直接電気的に接触接続する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記電熱線(3)を埋め込むステップ(C)は、超音波埋め込み法を用いて行われる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングするステップ(B)は、フローコーティング法を用いて実施される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の前記バスバー(4)が被着されるポリマー表面および/またはコーティング表面は、前記析出するステップ(D)の前の方法ステップ(G)において活性化される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記活性化するステップ(G)は、化学的活性化剤および/またはシラン系接着促進剤を用いて行われる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記活性化するステップ(G)は、プラズマ活性化を用いて行われる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記FPC法を用いて析出するステップ(D)の際に、大気圧プラズマ内に金属粉末を導入し、プラズマジェット内で溶融させ、前記電熱線(3)、前記不透明コーティング(2)、前記ウィンドウ基体(1)および/またはハードコート(6)を含む、コーティングすべき基板上に導き、その結果として、当該基板上に金属層を析出する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記金属粉末は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛およびアルミニウムの粉末、ならびに、これらの混合物、ならびに、これらの金属の少なくとも2つの合金からなるグループから選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウ(FKS)の製造のための大気圧でのファインパウダーコーティング(FPC)プラズマ法の使用。
【請求項15】
前記車両用プラスチックウィンドウ(FKS)を、陸上、空中および/または水上での移動手段のウィンドウとして、装飾要素として、および/または、建築要素として用いる、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファインパウダーコーティング(FPC)プラズマ法を用いて、加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウ上に電気的なバスバーを析出する方法に関する。その他に本発明は、当該方法によって製造された、加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウに関する。特に、本発明は、本発明に係る車両用プラスチックウィンドウの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車からの二酸化炭素排出に対する規制がますます厳しくなってきている中で、車両の重量を減らし、それによって車両の燃料消費を減らすための努力が強まっている。プラスチック分野における絶え間のない開発により、金属車体の大部分をポリマー材料からなるより軽量な対応要素によって置き換えることが可能になる。特に、一部のまたは全体の窓領域を、ポリマー材料からなる要素によって置き換えることが可能である。これらは、多くの場合、著しく低減される車重のもとで、ガラスからなる車体窓と同等の硬度、安定性および負荷耐性を示す。付加的に、軽量化に基づいて車両の重心がさらに下方に移り、このことは走行特性にプラスの影響を与える。さらにポリマー材料は、ガラスよりも著しく低い温度で製造、加工および成形することができる。これにより、エネルギー需要および材料の製造コストが低減される。この場合、ポリマー材料からなる成形部品は、実質的にあらゆる所望の形態および幾何学形状で製造することができる。アラミドのような特殊な高性能プラスチック、例えばケブラー(登録商標)は、非常に高い強度と安定性を有する。
【0003】
車両照明器具の有効性は、特に冬場の低い周辺温度においても損なわれる可能性がある。雪、氷、または、凝縮した大気の湿気が車両照明器具のカバーの外側に蓄積することがある。大気の湿気は、照明器具カバーの内側で凝縮して凍結することもある。これにより、照明器具カバーの透明性が低下し、照明の機能性が低下する。道路交通の安全性は、不都合な影響を受ける。車両用ヘッドライトは、以前は主にハロゲンランプまたはキセノンランプを装備していた。これらのランプは、動作中に著しい熱を発生する。これらの熱は照明器具カバーに伝達され、照明器具カバーの除霜および/または乾燥をもたらす。今日では、車両用ヘッドライトは、ますます発光ダイオード(LED)を装備し、この発光ダイオードは、動作中に著しく僅かな熱しか発生しない。そのため湿気や氷の除去には、照明器具カバーを能動的に加熱する必要がある。
【0004】
プラスチックからなる多くの材料部品は、様々な要求および機能を満たさなければならない。この場合の重要なパラメータは、安定性、破断特性、耐傷性、衝撃強さまたはシャルピー衝撃強さである。個々の材料相の重量および強度などの技術的な側面の他に、形態、幾何学形状および外観はますます重要な役割を担っている。特に、自動車産業では、機械的特性の他に、設計および美学的分野の特徴も非常に重要である。様々な特徴をポリマー材料に統合するために、これらは様々に成形され、様々に調達される基材から構成されている。これらの材料を製造する確立された方法は、2成分または多成分射出成形法を含む。このようにして、例えば耐候性、表面光沢性および破断耐性、または、ねじり安定性などのような特徴を相互に統合することが可能となる。さらに非常に高価な材料の割合を低減させることができる。
【0005】
照明器具カバーを含み、能動的加熱機能を備え、かつ、実質的にプラスチックからなる車両用ウィンドウは公知である。
【0006】
それにより、国際公開第2014/067745号(WO2014/067745A1)からは、外側、すなわち周辺環境に面する側と、内側、すなわち車両内部に面する側とを有している、プラスチックからなるポリマー製車両用ガラスが公知である。外側には、車両用ガラスは半透明ポリマー材料相を有し、その内側には不透明ポリマー材料相を有する。不透明ポリマー材料相は、半透明ポリマー材料相の少なくとも一部区間において多成分射出成形により射出成形される。
【0007】
国際公開第2014/060338号(WO2014/060338A1)からは、内側の不透明ポリマー材料相と外側の半透明ポリマー材料相とを有し、それらが相互に面状に結合されている、ポリマー製車両用ウィンドウが公知である。内側の不透明ポリマー材料相は、少なくとも部分的に貫通する少なくとも1つの切欠きを有する。この切欠き内には、少なくとも1つのLED、プリント回路基板(PCB)および電気的なコンタクト部を含むLEDアセンブリが配置されている。このLEDアセンブリは、LEDが外側の透明なアセンブリの方向に位置決めされるように位置決めされている。
【0008】
国際公開第2013/092253号(WO2013/092253A1)からは、少なくとも1つのポリマーウィンドウ基体と、第1のバスバー(母線)と、第2のバスバーと、ポリマーウィンドウ基体の内側に配置された少なくとも2つの導体線路とを有する加熱可能な照明器具カバーが公知である。各導体線路は、第1のバスバーと第2のバスバーとに電気的に接続されている。
【0009】
国際公開第2013/087290号(WO2013/087290A1)からは、少なくとも1つの上側主面と、1つの下側主面と、1つの射出成形工具分離面と、1つの流入縁部面とを含むポリマーワークピースが公知である。この場合、流入縁部面は、射出成形工具分離面と下側主面との間の領域において、射出成形工具分離面に対して20°〜70°の角度αを有する平坦面として成形され、および/または、当該平坦面から0.0mm〜0.5mmの値aだけずれている。このポリマーワークピースは、陸上、空中または水上での交通用の移動手段のウィンドウとして、ウィンドウの構成部品として、または、プラスチックカバーとして、特に乗用車、貨物自動車、バス、路面電車、地下鉄、列車およびオートバイのリアウィンドウ、フロントウィンドウ、サイドウィンドウ、ルーフウィンドウとして、ならびに、照明器具カバー、トリムとして、および/または、車両屋根として使用される。
【0010】
国際公開第2008/137946号(WO2008/137946A1)からは、透明ポリマーパネルと導電性グリッドとを含むポリマーパネルシステムが公知である。このパネルシステムは、基板を含み、この場合、導電性グリッドは、基板上に載置されるように配置されている。グリッドは、少なくとも1つの導電性ホルダを含む。さらに、プラスチック部品と導電性部品とを含む電気的接続部が、プラスチック部品の超音波溶接によってポリマーパネルへ固定されている。この電気的接続とパネルとの張りの再調整の結果として、パネルの導電性部分は、グリッドの電気的接続部と電気的に接触接続する。ここでの欠点は、装置全体が比較的複雑で製造コストが高いことである。
【0011】
国際公開第2007/076502号(WO2007/076502A1)からは、自動車に使用する除氷用装置が公知である。この装置は、透明パネルと、除氷グリッドとを備え、この除氷グリッドは、透明パネルと共に自動噴霧機を用いて成形される。この除氷グリッドは、第1および第2のバスバーと、当該第1および第2のバスバーの間に延在する複数の導体線路とを含む。
【0012】
国際公開第2006/091955号(WO2006/091955A1)からは、ポリマープラスチックウィンドウの製造方法が公知である。この方法では、まず、透明ポリマーパネルが製造され、さらに、この透明ポリマーパネルは、保護層で覆われる。続いて導電性インクが、複数の導体線路を備えた加熱グリッドの形態で少なくとも2つのバスバーの間に塗布される。その後で、この導電性インクは硬化され、それによって、各バスバーに対する電気的接続部が形成される。最終的に加熱グリッドの抵抗は、サージ電流の使用によって低減される。
【0013】
国際公開第2006/063064号(WO2006/063064A1)からも同様に、導電性導体線路からなるグリッドを含む除氷装置を備えたプラスチックウィンドウが公知であり、このグリッドは、透明なプラスチックウィンドウに導電性インクを印刷することによって製造される。この導電性インクは、スクエア@25.4μm当たり(注:この単位名称は、当該特許出願で採用されている)8mΩ未満の面抵抗率を有している。
【0014】
既知のプラスチックウィンドウのうちのいくつかには、バスバーと一部の導体線路とが導電性インクによって製造されるという共通点がある。このインクは、プラスチックからなるウィンドウの熱感受性のため、ガラス窓の場合のように摂氏300度を超える温度では硬化できず、摂氏300度未満の温度でのみ硬化する。このことは、プラスチックウィンドウ上の硬化されたバスバーおよび導体線路が、ガラス上のバスバーおよび導体線路のような導電性にたやすく達するというのではなく、これを達成するためには何らかの特別なインクの使用および/または高エネルギーな電流パルスを用いた処理などの付加的な手段を講じなければならないという結果をもたらす。
【0015】
さらに、欧州特許出願公開第2794366号明細書(EP2794366A1)または独国特許出願公開第000010147537号明細書(DE000010147537A1)には、はんだ付けまたはクランプされた金属ストリップを備えたプラスチックウィンドウが記載されている。
【0016】
独国特許出願公開第102009048397号明細書(DE102009048397A1)からは、表面改質粒子およびコーティングを製造するための大気圧プラズマ法および対応する装置が公知である。この方法では、プロセスガス中の電極間の放電によってプラズマが発生する。これらの電極のうちの少なくとも1つは、放電によって粒子がスパッタリングされるスパッタリング電極である。この方法を用いることにより、表面改質粒子をマトリックスに組み込む複合材料が製造できる。その他にも、内部に分散された粒子を有するコーティングが製造でき、ここでもマイクロ粒子およびナノ粒子のもとで凝集問題が十分に回避できる。
【0017】
独国特許出願公開第102008058783号明細書(DE102008058783A1)からは、ワークピースのナノ表面上に1つの層を被着する方法が公知である。この方法では、大気圧プラズマジェットが、プロセスガス中の電気的な放電によって生成され、前駆体材料は、プロセスガスから空間的に分離されて直接プラズマビームに供給される。被着された層は、ワークピースのナノ表面に対応するナノ表面を有する。
【0018】
独国特許出願公開第102008029681号明細書(DE102008029681A1)からも同様に、自浄層、特に自浄作用および/または抗菌作用のある光触媒層を表面に被着させる大気圧プラズマ法が公知である。この方法でも同様に、大気圧プラズマジェットが、プロセスガス中の電荷によって生成され、前駆体材料は、プロセスガスから分離されてエアロゾルとして直接プラズマジェット内にもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2014/067745号
【特許文献2】国際公開第2014/060338号
【特許文献3】国際公開第2013/092253号
【特許文献4】国際公開第2013/087290号
【特許文献5】国際公開第2008/137946号
【特許文献6】国際公開第2007/076502号
【特許文献7】国際公開第2006/091955号
【特許文献8】国際公開第2006/063064号
【特許文献9】欧州特許出願公開第2794366号明細書
【特許文献10】独国特許出願公開第000010147537号明細書
【特許文献11】独国特許出願公開第102009048397号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第102008058783号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第102008029681号明細書
【特許文献14】米国特許第6,023,837号明細書
【特許文献15】独国特許出願公開第102009048297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の課題は、従来技術の欠点をもはや伴わない、加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウ上にバスバーを析出する方法を見出すことにある。特にこの方法は、簡単でかつ完全に自動化されるべきであり、手作業が不要でかつサイクルタイムも短くて済み、溶媒蒸気またはその他の有害物質を放出せず、さらに問題なく製造工程に統合可能でなければならない。
【0021】
公知の大気圧プラズマ法、公知の大気圧プラズマコーティング(ファインパウダーコーティング法、FPC)、および、そのために使用される装置が、加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウのためのバスバーの製造に適しているのかどうか、ならびに、もしそうであるならば、どの程度まで適しているのかは、前述の特許出願からは明らかにされていない。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の前記課題は、本発明により、独立請求項1に係る方法によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【0023】
従来技術に関しては、本発明の課題が本発明に係る方法によって解決できたことは驚くべきことであり、当業者には予測できないことであった。特に、加熱機能を備えた車両用プラスチックウィンドウ上にバスバーを析出する本発明に係る方法がもはや従来技術の欠点を有さなかったことは驚くべきことであった。そのため、この方法は、簡単でかつ完全に自動化されて実施することができ、手作業が不要でかつサイクルタイムも短くて済む。また溶剤蒸気またはその他の有害物質は放出されず、本発明に係る方法は問題なく製造工程に統合することができた。
【0024】
本発明に係る方法を用いて製造された車両用プラスチックウィンドウは、優れた適用技術特性と、非常に長い耐用年数とを有している。
【0025】
本発明に係る方法を用いて製造された車両用プラスチックウィンドウは、好ましくはこの順序で相前後する構成を含む。すなわち、
1成分または2成分の半透明ポリマーウィンドウ基体と、
単層または2層のハードコートと、
少なくとも1つの特に第1のおよび少なくとも1つの特に第2のバスバーまたは逆の電荷を有するバスバーであって、実質的にまたは厳密に相互に平行にかつ相互に(所定の)間隔をおいて、特にウィンドウ基体の相互に対向する2つの縁部の近傍にて当該2つの縁部に沿って配置されているバスバーと、
を含み、この場合、これらのバスバーは、
電熱線としての少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つ、特に少なくとも5つの導体線路を介して相互に電気的に接続され、それにより、電圧の印加の際に、加熱電流が、少なくとも1つの第1のバスバーから少なくとも1つの第2のバスバーに流れ、
バスバー上でおよび/または各バスバー内で、少なくとも1つの第1のバスバーおよび少なくとも1つの第2のバスバーを電圧源のそれぞれ1つの極と電気的に接続する少なくとも1つの接続要素、特に1つの接続要素を含んでいる。
【0026】
少なくとも1つの第1のバスバーおよび少なくとも1つの第2のバスバーは、逆の電荷を有すべきである。すなわち逆極性の電気端子と接続されることが想定されている。
【0027】
本発明に従って製造される車両用プラスチックウィンドウの好ましい実施形態は、少なくとも1つのハードコート、少なくとも2つの電熱線、少なくとも1つの第1のバスバーおよび少なくとも1つの第2のバスバーを含む装置が、組み込まれた状態でウィンドウ基体の内側に形成されている。特に好ましい実施形態では、各電熱線が第1および第2のバスバーと電気的に接続され、残りの導体線路に依存することなく電圧を供給され、それによって、1つの電熱線の損傷が、車両用プラスチックウィンドウ全体の加熱故障につながらないようにしている。
【0028】
本発明の枠内で「内側」とは、車両用プラスチックウィンドウの、特に車両の内部空間に面している側、および/または、特に車両の光源に面している側を意味する。対照的に本発明の枠内で「外側」とは、車両用プラスチックウィンドウの周辺環境に面している側を意味する。
【0029】
本発明に従って製造される車両用プラスチックウィンドウのさらに好ましい実施形態では、半透明ポリマーウィンドウ基体は、バスバーが少なくとも車両用プラスチックウィンドウの外側の方向で覆われるような不透明コーティングを備えている。
【0030】
さらに別の好ましい実施形態では、電熱線は、該当する表面内に埋め込まれるように一部は不透明コーティング上に被着され、一部は透明ポリマーウィンドウ基体上に被着されている。
【0031】
さらに別の好ましい実施形態では、単層および/または2層のハードコートが、車両用プラスチックウィンドウの外側および/またはその内側に、不透明コーティングおよび透明ポリマーウィンドウ基体の直接表面上に、バスバーの下方および/またはその内側に、透明ポリマーウィンドウ基体の表面に、および、バスバーの表面に塗布される。
【0032】
その場合、2層のハードコートは、さらに、ハードコートによって覆われたベースコートを有する。
【0033】
上述の車両用プラスチックウィンドウは、本発明に係る方法を用いて製造される。
【0034】
本発明に係る方法の第1の方法ステップでは、透明ポリマー基体が提供される。これは、自動車用プラスチックウィンドウのそれぞれの用途に適した形態、典型的には湾曲した形態を有している。それゆえ透明ポリマー基体を車両用プラスチックウィンドウの他のコンポーネントと接続される前に再成形する必要はない。しかしながら、本発明に係る方法の枠内では、ウィンドウ基体の曲率の変化を伴わない処理工程、例えば縁部領域における穿孔、切削加工、トリミングは可能である。
【0035】
透明ポリマーウィンドウ基体は、本発明によれば電熱線が被着される前に提供される。それゆえ、電熱線は、ウィンドウ基体の変形中に負荷されない。特別な利点は、電熱線および/またはその電気的接触接続部の損傷の回避にある。さらに第1および第2のバスバーによって、個々の各電熱線の安定した電気的接触接続が提供される。
【0036】
透明ポリマーウィンドウ基体は、当業者に公知の全ての適切なプラスチック加工法、例えば熱成形によって製造することができる。本発明に係る方法の好ましい実施形態では、透明ポリマーウィンドウ基体は、射出成形によって、または、回転テーブル技術による2成分射出圧縮成形法によって製造される。これらの方法は、より多くの適切な形態の生成を可能にする。さらに透明ポリマーウィンドウ基体は、後からのワークピースのトリミングが不要なので、ほぼ無駄なく製造することができる。同様に、複雑な表面構造を直接生成することができる。
【0037】
透明ポリマーウィンドウ基体は、好ましくは少なくともポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリアミド(PA)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、スチレンアクリロニトリル共重合体(SAN)、アクリルエステルスチレンアクリロニトリル共重合体(ASA)、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリカーボネート混合物(ABS/PC)、および/または、それらの共重合体、共縮合体および/またはそれらの混合物を含む。
【0038】
特に好ましくは、透明ポリマーウィンドウ基体は、ポリカーボネート(PC)および/またはポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むかまたはこれらの重合体からなる。これらは、透明性、加工性、強度、耐候性および耐薬品性に関して特に有利であることが判明している。
【0039】
半透明ポリマーウィンドウ基体は、好ましくは、2mm〜6mmの厚さを有する。これは特に、ポリマーウィンドウ基体の強度と加工の点で有利である。半透明ポリマーウィンドウ基体のサイズは、広範囲に可変であり、本発明に係る用途に合わせることが可能である。
【0040】
半透明ポリマーウィンドウ基体は、本発明によれば少なくとも領域毎に透明である。ポリマーウィンドウ基体は、無色、着色もしくは有色であってもよい。ポリマーウィンドウ基体は、透明かもしくは濁っていてもよいが、特に透明であり得る。
【0041】
電熱線は、好ましくは、第1および第2のバスバーの間で直線状に延びているが、しかしながら、この電熱線は、例えば第1および第2のバスバーの間で波状、蛇行状、または、ジグザグパターンの形態で延びていてもよい。隣接する2つの電熱線の間の間隔は、好ましくは、導体線路の全長にわたって一定であるが、しかしながら、隣接する2つの電熱線の間の間隔は、第1および第2のバスバーの間の経過において変化していてもよい。
【0042】
電熱線は、任意の方向に延在可能であるが、好ましくは水平方向または垂直方向に延在可能である。
【0043】
電熱線は、好ましくは超音波埋め込み法を用いて、半透明ポリマーウィンドウ基体上に被着され、存在する場合には不透明コーティング上に被着される。その際、ソノトロードは、好ましくは多軸ロボットを用いて、半透明ポリマーウィンドウ基体の三次元幾何学形状に適合するロボットプログラムを介して、半透明ポリマーウィンドウ基体の内側に誘導される。ソノトロードは、超音波発生器によって生成された高周波な機械的振動(超音波)を、半透明ポリマーウィンドウ基体上に伝達し、存在する場合には不透明コーティング上に伝達する。その際には、熱が発生し、半透明ポリマーウィンドウ基体の内部の表面層が溶融する。電熱線は、溶融された表面層内に導入される。この目的のために、ソノトロードは、その先端に電熱線を誘導する。その際、電熱線は、ソノトロード近傍のワイヤロールを介して連続的に補給される。ソノトロードとして適した工具は、例えば米国特許第6,023,837号明細書(US6,023,837A)から公知である。
【0044】
半透明ポリマーウィンドウ基体内ならびに場合によっては不透明コーティング内への電熱線の浸透深さは、好ましくは電熱線の厚さの50%〜90%、特に好ましくは60%〜75%である。超音波埋め込み法を用いた電熱線の複雑でない被着は、電熱線と半透明ポリマーウィンドウ基体との間ならびに場合によっては不透明コーティングとの間の安定した接続に関して特に有利である。
【0045】
隣接する2つの電熱線の間の間隔は、好ましくは1mm〜25mm、特に好ましくは3mm〜15mmである。これは、車両用プラスチックウィンドウの透明性と、電熱線を介して導入される加熱出力の分散に関して特に有利である。電熱線の長さは広範囲に可変であり、そのため個別のケースにおける要求に容易に適合化することができる。電熱線は、例えば5cm〜50cmの長さを有する。
【0046】
電熱線は、少なくとも1つの金属、好ましくはタングステン、銅、ニッケル、マンガン、アルミニウム、銀、クロムおよび/または鉄を含み、さらにこれらの混合物および/または合金を含む。電熱線は、特に好ましくはタングステンおよび/または銅を含む。これにより、特に良好な加熱効果が達成される。電熱線の太さは、好ましくは15μm〜200μm、特に好ましくは25μm〜90μmである。これは、車両用プラスチックウィンドウの透明性と導入される加熱出力ならびに短絡回避に関して特に有利である。
【0047】
タングステンを含み、かつ好ましくは15μm〜100μm、特に好ましくは25μm〜50μmの厚さを有する電熱線により、特に良好な結果が達成されることが示された。この特に良好な結果は、銅を含み、かつ、好ましくは25μm〜200μm、特に好ましくは60μm〜90μmの厚さを有する電熱線によっても同様に達成される。
【0048】
隣接する電熱線は、第1のバスバーの、第2のバスバーとは反対側で、または、第2のバスバーの、第1のバスバーとは反対側で、相互に接続されていてもよい。それによって、電熱線は、単一の電熱線の形態で半透明ポリマーウィンドウ基体上に、ならびに、場合によっては不透明コーティング上に被着させることができる。その場合、電熱線は、被着後は、導体線路として設けられループ状に相互接続された2つ以上の区間を含む。電熱線の導体線路として設けられた各区間は、一方の端部領域では第1のバスバーに接続され、他方の端部領域では第2のバスバーに接続される。これらのバスバーの領域およびこれらのバスバーの間の電熱線の各区間は、1つの導体線路を形成する。
【0049】
代替的に、隣接する電熱線は、第1のバスバーの、第2のバスバーとは反対側で、および、第2のバスバーの、第1のバスバーとは反対側で、相互に接続されていなくてもよい。それによって、これらの導体線路は、複数の電熱線の形態で、半透明ポリマーウィンドウ基体上に、ならびに、場合によっては不透明コーティング上に被着され、各電熱線は、一方の端部領域では第1のバスバーに接続され、他方の端部領域では第2のバスバーに接続される。各電熱線は、これらのバスバーの領域およびこれらのバスバーの間の導体線路を含む。
【0050】
各電熱線の少なくとも1つの区間は、半透明ポリマーウィンドウ基体内に、場合によっては不透明コーティング内に埋め込まれている。これらの電熱線は、それらの全長に沿って半透明ポリマーウィンドウ基体内に埋め込まれてもよい。これは、半透明ポリマーウィンドウ基体と電熱線との間の安定した接続に関して特に有利である。第1および第2のバスバーとの電気的接触接続は、電熱線の、半透明ポリマーウィンドウ基体とは反対側で、ならびに、場合によっては不透明コーティングとは反対側で行われる。
【0051】
本発明の有利な構成では、バスバーとの電気的接触接続のために設けられた領域は、電熱線の端部において、半透明ポリマーウィンドウ基体内に、ならびに、場合によっては不透明コーティング内に埋め込まれず、そこから剥離することができる。特別な利点は、バスバーとの簡単でかつ安定した電気的接触接続の可能性にある。特別な利点は、電熱線の効果的でかつ非常に安定した電気的接触接続にある。車両用プラスチックウィンドウの加熱のために、導入された状態で下方もしくは左方の第1のバスバーと、導入された状態で上方もしくは右方の第2のバスバーとに電位が印加される。
【0052】
本発明によれば、第1および第2のバスバーは、FPC法によって被着される。この目的のために、金属粉末が大気圧プラズマ内に導入され、プラズマジェット内で溶融され、さらに、電熱線ならびにウィンドウ基体、および/または、場合によっては不透明コーティング、および/または、場合によってはハードコートを含んだコーティングすべき基板上に誘導され、その結果、当該の基板上に金属層が析出される。
【0053】
好ましくはこの金属粉末は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛およびアルミニウムの粉末、これらの混合物、および、これらの金属のうちの少なくとも2つの合金からなるグループから選択される。好ましくは、タングステン、銅、ニッケル、マンガン、アルミニウム、銀、クロムおよび/または鉄、ならびに、それらの混合物および/または合金が使用される。特に好ましくは、銅またはアルミニウムが使用される。
【0054】
ファインパウダーコーティング(FPC)法または大気圧プラズマコーティングは、通常の公知の方法であり、通常の公知の装置のために使用される。好適な方法および装置の例は、独国特許出願公開第102009048297号明細書(DE102009048297A1、図1図3と共に段落[0017]〜[0070]参照)、独国特許出願公開第102008058783号明細書(DE102008058783A1、図1図2cと共に段落[0001]〜[0044]参照)、および、独国特許出願公開第102008029681号明細書(DE102008029681A1、図1図4と共に段落[0010]〜[0045]参照)から明らかとなる。
【0055】
バスバーは、好ましくは10μm〜200μm、特に好ましくは50μm〜100μmの厚さを有する。バスバーがそれに沿って電熱線と接続されるバスバーの幅は、好ましくは2mm〜100mm、特に好ましくは5mm〜20mmである。バスバーの長さは、広範囲に可変であり、そのために、個別のケースの要求に極めて良好に適合化することができる。バスバーの最小長さは、電熱線の数と、隣接する電熱線からの間隔とからもたらされる。バスバーの長さは、例えば5cm〜20cmである。バスバーは、外部の電圧供給源に接続され、そのために、第1および第2のバスバーの間の電位差を印加することができる。
【0056】
審美的な理由から、バスバーを用いた電熱線の電気的接触接続部が外部から不可視であることが望ましい場合もある。この目的のために、例えば半透明ポリマーウィンドウ基体を、バスバーの領域において着色するかまたは黒くすることができる。半透明ポリマーウィンドウ基体は、例えば多成分射出成形によって製造することができ、この場合、半透明ポリマーウィンドウ基体は、その上にバスバーが配置されるべき領域に、不透明コーティングを含んでいる。この不透明コーティングは、半透明ポリマーウィンドウ基体を貫通する電気的接触接続部への視界を隠す。
【0057】
半透明ポリマーウィンドウ基体の不透明コーティングは、好ましくは少なくともポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリルエステルスチレンアクリロニトリル(ASA)、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリカーボネート(ABS/PC)および/またはそれらの共重合体および共縮合体または混合物、特に好ましくはポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む。
【0058】
半透明ポリマーウィンドウ基体の不透明コーティングは、好ましくは、少なくとも1つの着色剤を含む。この着色剤によって、コーティングの不透明性が達成される。この着色剤は、無機および/または有機染料および/または顔料を含み得る。この着色剤は、有彩色または無彩色であってもよい。好適な着色剤は、当業者には公知であり、例えば、英国染料染色学会および米国繊維化学染色協会のカラーインデックスにおいて調べることができる。好ましくは黒色顔料、例えば顔料煤(カーボンブラック)、アニリンブラック、骨炭、酸化鉄ブラック、スピネルブラック、および/または、グラファイトが着色剤として使用される。これにより、黒色の不透明コーティングが達成される。
【0059】
不透明コーティングは、さらに、無機または有機充填剤、特に好ましくはS、Al、T、粘土鉱物、ケイ酸塩、ゼオライト、ガラス繊維、炭素繊維、ガラス球、有機繊維、および/または、これらの混合物を含み得る。充填剤は、不透明コーティングの安定性をさらに高めることができる。さらに充填剤は、ポリマー材料の割合を低減させることができ、そのため、車両用プラスチックウィンドウの製造コストを低減することができる。
【0060】
代替的に、バスバーと半透明ポリマーウィンドウ基体との間に、着色または黒色要素が配置可能である。代替的に、マスキングスクリーン印刷を、半透明ポリマーウィンドウ基体の表面に被着させることも可能である。
【0061】
さらに本発明に係る方法では、本発明に従って製造される車両用プラスチックウィンドウを、周辺環境の影響から保護するために、単層または2層のハードコートが保護コーティングとして半透明ポリマーウィンドウ基体の外側に被着される。好ましくは、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートおよび/またはポリウレタンをベースとする熱硬化またはUV硬化コーティングシステムが使用される。ハードコートは、好ましくは1μm〜50μm、特に好ましくは2μm〜25μmの層厚さを有する。特別な利点は、保護コーティングによる半透明ポリマーウィンドウ基体の高められた耐傷性および耐候性にある。
【0062】
本発明の枠内では、「2層のハードコート」とは、少なくとも1つの、特に1つのハードコートと、少なくとも1つの、特に1つの、ハードコートによって覆われた以下で詳細に説明するベースコートとの組み合わせを意味する。
【0063】
さらに、単層または2層のハードコートは、本発明に従って製造される車両用プラスチックウィンドウの内側に塗布することもできる。この場合は、半透明ポリマーウィンドウ基体および不透明コーティングの表面に直接被着することができ、それによって電熱線もハードコート内に埋め込まれ、バスバーはハードコートを覆う。
【0064】
付加的な単層または2層のハードコートは、バスバーを覆うように塗布することもできる。
【0065】
ハードコートは、着色性の化合物および顔料の他に、UVブロッカー、防腐剤、耐傷性を高める成分、例えばナノ粒子を含むことができる。
【0066】
ハードコートは、例えば浸漬、浸水または噴霧法によって、半透明ポリマーウィンドウ基体の外側および/または内側に被着させることができる。ハードコートは、被着後に好ましくは温度および/またはUV光の入射によって硬化する。射出成形によるポリマーウィンドウ基体の製造の場合、ハードコートはインモールドコーティング法によってもポリマーウィンドウ基体の外側に被着させることができる。
【0067】
保護コーティングまたはハードコートとして適した製品には、例えば“Momentive Performance Materials”社から提供されるAS4000,AS4700,PHC587またはUVHC3000が挙げられる。
【0068】
ハードコートは、複数の層も、好ましくはベースコートも含むことができる。このベースコートは、半透明ポリマーウィンドウ基体上の接着促進層またはプライマーとしても機能する。ベースコートは、例えばアクリレートを含むことができ、0.4μm〜5μmの層厚さを有することができる。ハードコートは、例えばポリシロキサンを含むことができ、典型的には3μm〜15μmの層厚さを有する。その他にもハードコートは付加的に、プラズマCVD層、例えば“Exatec900(登録商標)”によって覆われていてもよい。
【0069】
保護コーティング、すなわち、ハードコートならびに場合によってはベースコートは、電熱線およびバスバーの取り付けの前または後に被着させることができる。保護コーティングは、電熱線をバスバーに接続する前または後に被着させることができる。
【0070】
好ましい実施形態では、バスバーがFPC法によって被着される表面は、金属層のより良好な付着を保証するために、被着前にさらに活性化させてもよい。この目的のために、化学的活性化剤またはシラン系接着促進剤を使用することができ、あるいは表面をプラズマ活性化を用いて活性化させることができる。このプラズマ活性化は、析出過程の直前であってもよいし、大気圧プラズマコーティングのための装置のロボットアームにおける付加的なプラズマノズルによって実現されていてもよい。
【0071】
加熱可能な車両用プラスチックウィンドウは、好ましくは陸上、空中および/または水上での移動手段用のウィンドウとしての、特に乗用車、貨物自動車、バス、路面電車、地下鉄、列車、バイク、船舶および航空機用のウィンドウとしての、ならびに、装飾要素および/または建築要素としての使用が可能である。
【0072】
その他にも、加熱可能な車両用プラスチックウィンドウは、有利には、陸上、空中または水上での交通用の移動手段の照明器具用のカバーとしての、特に、乗用車、貨物自動車、バス、路面電車、地下鉄、列車、バイク、船舶および航空機のヘッドライト、リアマーカー、サイドマーカーおよび/またはクリアランスライト用のカバーとしての使用が可能である。
【0073】
以下では、本発明を図面および例示的な実施形態に基づいて、より詳細に説明する。これらの図面は概略図であり、正しい縮尺ではない。図面は、決して本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】本発明に従って製造された車両用プラスチックウィンドウFKSの第1の実施形態からの一部の断面図。
図2】本発明に従って製造された車両用プラスチックウィンドウFKSの第2の実施形態からの一部の断面図。
図3】本発明に従って製造された車両用プラスチックウィンドウFKSの第3の実施形態からの一部の断面図。
図4】本発明に従って製造された車両用プラスチックウィンドウFKSの第4の実施形態からの一部の断面図。
図5】本発明に従って製造された車両用プラスチックウィンドウFKSの第5の実施形態からの一部の断面図。
図6】本発明に従って製造された車両用プラスチックウィンドウFKSの第1の実施形態からの一部の平面図。
図7】本発明に係る方法の一実施形態のフローチャート。
図8】本発明に係る方法のさらなる実施形態のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0075】
実施例の詳細な説明
図7は、本発明に係る方法の好ましい実施形態のフローチャートを示す。方法ステップAは、自家用車のリアウィンドウに使用されるような車両用プラスチックウィンドウFKSを製造するために、ポリカーボネートPCからなる2つの半透明ポリマーウィンドウ基体1の提供を含んでいる。このウィンドウ基体1は、1m×0.5m×0.004mの寸法を有している。
【0076】
後続の方法ステップFでは、各ウィンドウ基体1の縁部領域において、スクリーン印刷を用いて、0.05m幅で10μm厚の環状の不透明カーボンブラック顔料を含んだポリウレタンPU系コーティング2が施される。
【0077】
続いて方法ステップBでは、一方のウィンドウ基体1の外側IIが、フローコーティング法により、市販の単層ハードコート6(Momentive Performance Materials社のPHC587C)でコーティングされる。
【0078】
方法ステップBの変化例では、まず平均3μmの厚さを有する通常の公知のベースコート5(Momentive Performance Materials社のSHP470)が、フローコーティング法によって他方のウィンドウ基体1の外側IIに塗布される。このベースコート5が硬化した後で、ハードコート6(Momentive Performance Materials社のAS4700)が塗布され、同じ様に乾燥させられる。
【0079】
その後、方法ステップCでは、1710mmの長さと60μmの厚さのタングステンワイヤが、超音波埋め込み法を用いて、38個のループの形状で内側Iに被着される。これらのループは、相互に平行に延在し直線状に延びるワイヤ区間の領域の相互間隔が約25mmである(図6の構成参照)。電熱線の浸透深さは、その厚さの65%である。
【0080】
続いて、方法ステップDでは、相互に平行に位置する2つの長手方向縁部から50mmの間隔をおいて、それぞれ980mmの長さのバスバー4が(この長さに沿ってバスバー4は電熱線3に接続される)、FPC法を用いて、幅15mm、厚さ75μmで被着される。バスバー4と電熱線3との間の電気的接触接続は優れており、実際上、無損失であることが示されている。
【0081】
最後に方法ステップEでは、バスバー4上にそれぞれ接続要素7が、電流源の各1つの極との接触接続のために被着されている。
【0082】
図8は、本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態のフローチャートを示しており、この実施形態は、第1の実施形態と次の点で異なっている。すなわち、単層のハードコート6による、または、ベースコート5を有する2層のハードコート6によるコーティングBが、方法ステップA,F,C,D,Eの後で、フローコーティング法によって内側Iにも外側IIにも被着される点である。そこでは接続要素7が露出したままであることに注意が払われ、それによって電圧源の極と電気的に接続することができる。
【0083】
さらに好ましい実施形態は、本発明に従って製造される車両用プラスチックウィンドウの所望の構造からもたらされるので、容易に示すことができる。
【0084】
図1から図5は、本発明に従って製造することができる車両用プラスチックウィンドウFKSの各部からの断面図を示している。本発明に係る方法のそれぞれの実施形態は、車両用プラスチックウィンドウFKSのそれぞれの所望の構造から簡単な方法でもたらされている。図1図5の各部は、図6の構成を平面図で示している。
【0085】
たとえば、図1は、内部Iから外部IIへの方向で見て、ループ状の電熱線3との接点を覆うバスバー4を示している。電熱線3は、不透明コーティング2に埋め込まれている。この不透明コーティング2は、半透明ポリマーウィンドウ基体1に載置されている。外側IIはハードコート6で覆われている。
【0086】
図2は、内部Iから外部IIへの方向で見て、ループ状の電熱線3との接点を覆うバスバー4を示している。電熱線3自体は、ハードコート6とその下にある不透明コーティング2とに埋め込まれている。この不透明コーティング2も、半透明ポリマーウィンドウ基体1に載置されている。外側IIも同様にハードコート6で覆われている。
【0087】
図3は、内部Iから外部IIへの方向で見て、ループ状の電熱線3との接点を覆うバスバー4を示している。電熱線3自体は、ハードコート6とその下にあるベースコート5に埋め込まれており、このベースコート5は、不透明コーティング2に載置されている。この不透明コーティング2も、半透明ポリマーウィンドウ基体1に載置されている。外側IIも同様にベースコート5とハードコート6とで覆われている。
【0088】
図4は、内部Iから外部IIへの方向で見て、ループ状の電熱線3との接点を覆うバスバー4上のハードコート6を示している。電熱線3自体は、不透明コーティング2に埋め込まれている。この不透明コーティング2も、半透明ポリマーウィンドウ基体1に載置されている。外側IIも同様にハードコート6で覆われている。
【0089】
図5は、内部Iから外部IIへの方向で見て、バスバー4を覆うベースコート5上のハードコート6を示している。このバスバー4も、ループ状の電熱線3との接点を覆っている。電熱線3自体は、不透明コーティング2に埋め込まれている。この不透明コーティング2も、半透明ポリマーウィンドウ基体1に載置されている。外側IIも同様にベースコート5とハードコート6とで覆われている。
【0090】
図面において、参照番号は以下の意味を有する。
【符号の説明】
【0091】
1 半透明ポリマーウィンドウ基体
2 不透明コーティング
3 電熱線
4 バスバー
5 ベースコート
6 ハードコート
7 接続要素
I 内側
II 外側
FKS 車両用プラスチックウィンドウ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8