(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パーフルオロニトリル化合物は、パーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリル(perfluorohexane−1,6−dinitrile)である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解質。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、多様な改変を加えることができ、多様な実施形態を有することができるので、特定の実施形態を例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術の範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものとして理解されなければならない。
【0022】
本発明で用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。本発明において「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在もしくは付加の可能性を、予め排除しないものとして理解されなければならない。
【0023】
また、本明細書で用いた用語「これらの組み合わせ」とは、特別な言及がない限り、2つ以上の置換基が単一結合又は連結基で結合されるか、もしくは2つ以上の置換基が縮合して連結されていることを意味する。
【0024】
本発明の一実施形態に係る電解質は、パーフルオロニトリル化合物(perfluoro nitrile compounds)を電解質添加剤として含む。ここで、前記パーフルオロニトリル化合物とは、1つ以上のニトリル基を含み、全体の水素原子がフッ素原子で置換された炭化水素化合物を意味する。さらに、前記炭化水素化合物は、炭素と水素とからなる炭素数1〜15の炭化水素化合物を意味し、脂肪族鎖状又は分枝状炭化水素基及び脂環式炭化水素基を含む。具体的な例として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ビフェニル、及びナフタレンなどを含む。
【0025】
前記パーフルオロニトリル化合物は、前記ニトリル基の個数に従って、パーフルオロモノニトリル化合物、パーフルオロジニトリル化合物、パーフルオロトリニトリル化合物、パーフルオロテトラニトリル化合物、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれか1つであってよい。
【0026】
具体的に、前記パーフルオロモノニトリル化合物は、以下の化学式(1)で表され得る。
【化5】
ここで、前記nは、1〜15である。
【0027】
より具体的に、前記パーフルオロモノニトリル化合物は、NC−CF
3、NC−CF
2CF
3、NC−CFCF
3CF
3、NC−CF
2CF
2CF
3などの直鎖状又は分枝状であってよい。
【0028】
さらに、前記パーフルオロジニトリル化合物は、以下の化学式(2)で表され得る。
【化6】
ここで、前記nは、1〜15である。
【0029】
より具体的に、前記パーフルオロジニトリル化合物は、NC−CF
2−CN、NC−CF
2CF
2−CN、NC−CF
2CF
2CF
2−CN、NC−CF
2CF
2CF
2CF
2−CN、NC−CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2−CN、NC−CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2−CN、NC−CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2−CNなどの直鎖状パーフルオロジニトリル、NC−CF
2CF(CF
3)CF
2−CN、NC−CF
2CF
2CF
2CF(CN)CF
3などの分枝状パーフルオロジニトリル、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれか1つであってよい。
【0030】
さらに、前記パーフルオロトリニトリル化合物は、以下の化学式(3)で表され得る。
【化7】
ここで、前記n
1乃至n
3は、それぞれ独立して1〜15である。
【0031】
より具体的に、前記パーフルオロトリニトリル化合物は、CF−(CF
2−CN)
2(CF
2CF
2−CN)、CF−(CF
2−CN)
2(CF
2CF
2CF
2−CN)、CF−(CF
2−CN)
2(CF
2CF
2CF
2CF
2−CN)、CF−(CF
2−CN)
2(CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2−CN)、又は、CF−(CF
2−CN)
3、CF−(CF
2−CN)
2(CF
2CF
2−CN)、CF−(CF
2−CN)(CF
2CF
2−CN)
2、CF−(CF
2−CN)(CF
2CF
2−CN)(CF
2CF
2CF
2−CN)などの分枝状であってよい。
【0032】
さらに、前記パーフルオロテトラニトリル化合物は、以下の化学式(4)で表され得る。
【化8】
ここで、前記n
1乃至n
4は、それぞれ独立して1〜15である。
【0033】
より具体的に、前記パーフルオロ
テトラニトリル化合物は、C−(CF
2−CN)
3(CF
2CF
2−CN)、C−(CF
2−CN)
3(CF
2CF
2CF
2−CN)、C−(CF
2−CN)
3(CF
2CF
2CF
2CF
2−CN)、C−(CF
2−CN)
3(CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2−CN)、C−(CF
2−CN)
3(CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2−CN)又はC−(CF
2−CN)
4、C−(CF
2−CN)
3(CF
2CF
2−CN)、CF−(CF
2−CN)
2(CF
2CF
2−CN)
2などの分枝状であってよい。
【0034】
電池内で充電が行われると、正極で脱リチウム(delithiation)が起こり、これによって正極はバランスが崩れて性能の劣化が生じる。従来では、正極被膜添加剤としてスクシノニトリル(succino nitrile、SN)を添加してバランスを整えていた。しかし、高電圧下ではさらに多くの脱リチウムが起こるようになり、前記SNではチャージバランス(charge balance)を整え難くなる。本発明では、前記化学式(1)〜(4)で表される化合物からなる群より選択された1種以上の電解質添加剤を含むリチウム電池用電解質を用い、前記問題を解決することができる。
【0035】
リチウム電池では、高電圧充電の際に正極から多くのリチウムイオンが放出され、これにより正極で電荷数の均衡が崩れる。そこで、前記化学式(1)〜(4)で表される化合物のうち、ニトリル基(−CN)は正極への被膜の形成を助け、電子が豊富なフルオロ(F)は不足した電子を満たして、正極のバランスを整える。
【0036】
前記化学式(1)〜(4)において、前記電解質添加剤の使用による電池特性の改善効果の程度を考慮すると、炭素数1〜15のアルキレン基がより好ましく、なかでも炭素数4〜10のアルキレン基がさらに好ましい。
【0037】
具体的に、前記化学式(1)で表されるパーフルオロ
モノニトリル系化合物は、パーフルオロペンタンニトリル(perfluoropentanenitrile)であってよい。前記化学式(2)で表されるパーフルオロジニトリル系化合物は、パーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリル(perfluorohexane−1,6−dinitrile)であってよい。前記化学式(3)で表されるパーフルオロトリニトリル系化合物は、3−シアノジフルオロメチル−2,2,3,4,4−ペンタフルオロペンタンジニトリル(3−(cyano difluoro methyl)−2,2,3,4,4−penta fluoro pentane dinitrile)であってよい。前記化学式(4)で表されるパーフルオロテトラニトリル系化合物は、3,3−ビスシアノジフルオロメチル−2,2,4,4−テトラフルオロペンタンジニトリル(3,3−bis(cyano difluoromethyl)−2,2,4,4−tetra fluoro pentane dinitrile)であってよい。
【0038】
特に、前記パーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリルは、ヘキサン−1,6−ジニトリル(hexane−1,6−dinitrile)と共に用いられてよい。前記パーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリルと前記ヘキサン−1,6−ジニトリルとを共に用いる場合、リチウム二次電池の電池特性、特に高電圧寿命特性及び貯蔵特性をさらに向上させることができるだけでなく、回復容量及びスウェリング特性をさらに向上させる相乗効果を得ることができる。
【0039】
このとき、前記ヘキサン−1,6−ジニトリルは、前記パーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリル100重量部に対して1重量部〜80重量部の量で含まれてよく、具体的に5重量部〜70重量部の量で含まれてよく、より具体的に8重量部〜50重量部の量で含まれてよい。前記ヘキサン−1,6−ジニトリルの含有量が、前記パーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリル100重量部に対して1重量部未満であると、放電の際に正極に充分な電子が供給できないために前記相乗効果が発現しないことがあり、80重量部を超過すると、正極に厚い被膜が形成されて大きな抵抗が発生することがある。
【0040】
前記化学式(1)〜(4)で表されるパーフルオロニトリル化合物を含む電解質添加剤は、電解質の総重量に対して0.1重量%〜10重量%の量で含まれてよく、好ましくは0.2重量%〜7重量%の量で含まれてよく、より好ましくは0.5重量%〜5重量%の量で含まれてよい。
【0041】
前記電解質添加剤が0.1重量%未満であると、放電の際に正極に充分な電子が供給できないために効果が発現されないことがあり、10重量%を超過すると、正極に厚い被膜が形成されて大きな抵抗が発生することがある。
【0042】
前記パーフルオロニトリル化合物は、電解質添加剤として用いた際に、リチウム二次電池の電池特性、特に寿命特性及び低抵抗特性を向上させることができる。
【0043】
前記電解質は、前記電解質添加剤以外に有機溶媒及びリチウム塩をさらに含むことができる。
【0044】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に携わるイオン等が移動可能な媒質の役割ができるものであれば、特別な制限なく用いることができる。具体的に、前記有機溶媒としては、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アルコキシアルカン系溶媒、カーボネート系溶媒などが挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0045】
前記エステル系溶媒の具体例としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、n−プロピルアセテート(n−propyl acetate)、ジメチルアセテート(dimethyl acetate)、メチルプロピオネート(methyl propionate)、エチルプロピオネート(ethyl propionate)、γ−ブチロラクトン(γ−butyrolactone)、デカノリド(decanolide)、γ−バレロラクトン(γ−valerolactone)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、γ−カプロラクトン(γ−caprolactone)、δ−バレロラクトン(δ−valerolactone)、又はε−カプロラクトン(ε−caprolactone)などを挙げることができる。
【0046】
前記エーテル系溶媒の具体例としては、ジブチルエーテル(dibutyl ether)、テトラグライム(tetraglyme)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−methyltetrahydrofuran)、又はテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などを挙げることができる。
【0047】
前記ケトン系溶媒の具体例としては、シクロヘキサノン(cyclohexanone)などを挙げることができる。前記芳香族炭化水素系溶媒の具体例としては、ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)、クロロベンゼン(chlorobenzene)、ヨードベンゼン(iodobenzene)、トルエン(toluene)、フルオロトルエン(fluorotoluene)、又はキシレン(xylene)などを挙げることができる。前記アルコキシアルカン系溶媒の具体例としては、ジメトキシエタン(dimethoxy ethane)又はジエトキシエタン(diethoxy ethane)などを挙げることができる。
【0048】
前記カーボネート系溶媒の具体例としては、ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、ジプロピルカーボネート(dipropylcarbonate、DPC)、メチルプロピルカーボネート(methylpropylcarbonate、MPC)、エチルプロピルカーボネート(ethylpropylcarbonate、EPC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)、ブチレンカーボネート(butylenes carbonate、BC)、又はフルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate、FEC)などを挙げることができる。
【0049】
なかでも、前記有機溶媒としてカーボネート系溶媒を用いることが好ましく、前記カーボネート系溶媒のなかでも、より好ましくは、電池の充放電性能を高めることができる高イオン伝導度を有する高誘電率のカーボネート系有機溶媒と、該高誘電率の有機溶媒の粘度を適宜調節することができる低粘度のカーボネート系有機溶媒とを混合して用いることが好ましい。具体的に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びこれらの混合物からなる群より選択された高誘電率の有機溶媒と、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びこれらの混合物からなる群より選択された低粘度の有機溶媒とを混合して用いることができる。さらには、前記高誘電率の有機溶媒と低粘度の有機溶媒とを2:8〜8:2の体積比で混合して用いることが好ましい。より具体的に、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートとを、5:1:1〜2:5:3の体積比で混合して用いることができ、好ましくは3:5:2の体積比で混合して用いることができる。
【0050】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で用いられるリチウムイオンを提供することができる化合物であれば、特別な制限なく用いることができる。具体的に、前記リチウム塩としては、LiPF
6、LiClO
4、LiAsF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAlO
4、LiAlCl
4、LiCF
3SO
3、LiC
4F
9SO
3、LiN(C
2F
5SO
3)
2、LiN(C
2F
5SO
2)
2、LiN(CF
3SO
2)
2、LiN(C
aF
2a+1SO
2)(C
bF
2b+1SO
2)(ただし、a及びbは自然数、好ましくは1≦a≦20であり、1≦b≦20である)、LiCl、LiI、LiB(C
2O
4)
2、及びこれらの混合物からなる群より選択されたものを用いることができ、なかでもリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF
6)を用いることが好ましい。
【0051】
前記リチウム塩を電解質に溶解させると、前記リチウム塩はリチウム二次電池内でリチウムイオンの供給源として働き、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進することができる。これに伴い、前記リチウム塩は、前記電解質内に概ね0.6M〜2Mの濃度で含まれることが好ましい。前記リチウム塩の濃度が0.6M未満の場合、電解質の伝導度が低くなって電解質性能が低下することがあり、2Mを超過する場合、電解質の粘度が上昇してリチウムイオンの移動性が低くなることがある。このような電解質の伝導度及びリチウムイオンの移動性を考慮すれば、前記リチウム塩は、前記電解質内で概ね0.7M〜1.6Mに調節されることがより好ましい。
【0052】
前記電解質は、前記電解質の構成成分等以外にも、電池の寿命特性の向上、電池容量の減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的に、一般に電解質に用いられ得る添加剤(以下、その他の添加剤という)をさらに含むことができる。
【0053】
前記その他の添加剤の具体例としては、ビニレンカーボネート(vinylenecarbonate、VC)、メタルフルオリド(metal fluoride、例えば、LiF、RbF、TiF、AgF、AgF
2、BaF
2、CaF
2、CdF
2、FeF
2、HgF
2、Hg
2F
2、MnF
2、NiF
2、PbF
2、SnF
2、SrF
2、XeF
2、ZnF
2、AlF
3、BF
3、BiF
3、CeF
3、CrF
3、DyF
3、EuF
3、GaF
3、GdF
3、FeF
3、HoF
3、InF
3、LaF
3、LuF
3、MnF
3、NdF
3、PrF
3、SbF
3、ScF
3、SmF
3、TbF
3、TiF
3、TmF
3、YF
3、YbF
3、TIF
3、CeF
4、GeF
4、HfF
4、SiF
4、SnF
4、TiF
4、VF
4、ZrF4
4、NbF
5、SbF
5、TaF
5、BiF
5、MoF
6、ReF
6、SF
6、WF
6、CoF
2、CoF
3、CrF
2、CsF、ErF
3、PF
3、PbF
3、PbF
4、ThF
4、TaF
5、SeF
6など)、グルタロニトリル(glutaronitrile、GN)、スクシノニトリル(succinonitrile、SN)、アジポニトリル(adiponitrile、AN)、4−トルニトリル(4−tolunitrile)、1,3,6−ヘキサントリカルボニトリル(1,3,6−hexanetricarbonitrile)、プロピレンスルフィド(propylene sulfide、PS)、3,3’−チオジプロピオニトリル(3,3’−thiodipropionitrile、TPN)、ビニルエチレンカーボネート(vinylethylene carbonate、VEC)、フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate、FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(difluoroethylenecarbonate)、フルオロジメチルカーボネート(fluorodimethylcarbonate)、フルオロエチルメチルカーボネート(fluoroethylmethylcarbonate)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(lithium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide、LiTFSI)、リチウムテトラフルオロボレート(lithium tetrafluoroborate、LiBF
4)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(lithium bis(oxalato)borate、LiBOB)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(lithium difluoro(oxalato)borate、LiDFOB)、リチウム(マロナトオキサラト)ボレート(lithium (malonato oxalato) borate、LiMOB)、リチウムジフルオロホスフェート(lithium difluorophosphate、LiPO
2F
2)、LiPF
2C
4O
8、LiSO
3CF
3、LiPF
4(C
2O
4)、LiP(C
2O
4)
3、LiC(SO
2CF
3)
3、LiBF
3(CF
3CF
2)、LiPF
3(CF
3CF
2)
3、Li
2B
12F
12、1,3−プロパンスルトン(1,3−propane sultone)、1,3−プロペンスルトン(1,3−propene sultone)、ビフェニル(biphenayl)、シクロヘキシルベンゼン(cyclohexyl benzene)、4−フルオロトルエン(4−fluorotoluene)、無水コハク酸(succinic anhydride)、無水エチレンスルファート(ethylene sulfate anhydride)、トリス(トリメチルシリル)ボレート(tris(methylsilyl)borate)などを挙げることができ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を混合して含むことができる。
【0054】
前記その他の添加剤は、電解質の総重量に対して0.1重量%〜20重量%の量で含まれてよく、0.2重量%〜5重量%の量で含まれることが好ましい。
【0055】
本発明の他の一実施形態によれば、前記電解質を含むリチウム二次電池が提供される。本発明の実施形態に係るリチウム二次電池は、用いるセパレーターと電解質の種類とによって、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、及びリチウムポリマー電池に分類が可能であり、形態によって、円筒状、角形、コイン型、パウチ型などに分類が可能であり、サイズによって、バルクタイプと薄膜タイプとに分類することができる。本発明の実施形態に係る電解質は、このなかでもリチウムイオン電池、アルミニウム
パウチ型リチウム電池、及びリチウムポリマー電池への適用に特に優れる。
【0056】
詳しくは、前記リチウム二次電池は、互いに対向して配置される正極活物質を含む正極及び負極活物質を含む負極、並びに該正極と該負極との間に介在される前記電解質を含む。
【0057】
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池1の分解斜視図である。
図1に示す通り、本発明の一実施形態に係る、また他の一実施形態に係るリチウム二次電池1は、負極3、正極5、負極3と正極5との間にセパレーター7を配置して電極組立体9を製造し、これをケース15に位置させて非水電解質を注入し、負極3、正極5、及びセパレーター7が電解質に含浸されるようにして製造することができる。
【0058】
負極3及び正極5には、電池の作用時に発生する電流を集電するための導電性リード部材10、13がそれぞれ付着されており、リード部材10、13は、それぞれ
負極3及び
正極5から発生した電流を
負極端子及び
正極端子に誘導することができる。
【0059】
前記正極5は、正極活物質、導電材、及びバインダーを混合して正極活物質層形成用組成物を製造した後、該正極活物質層形成用組成物をアルミニウムホイルなどの正極電流集電体に塗布し、圧延して製造することができる。
【0060】
前記正極活物質には、リチウムの可逆的なインターカレーション及びジインターカレーションが可能な化合物(リチウム化インターカレーション化合物)を用いることができる。具体的には、以下の化学式(5)で表されるオリビン型リチウム金属化合物を用いることができる。
Li
xM
yM’
zXO
4−wY
w (5)
前記化学式(5)中、M及びM’は、それぞれ独立してFe、Ni、Co、Mn、Cr、Zr、Nb、Cu、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、及びこれらの組み合わせからなる群より選択された元素であり、Xは、P、As、Bi、Sb、Mo、及びこれらの組み合わせからなる群より選択された元素であり、Yは、F、S、及びこれらの組み合わせからなる群より選択された元素であり、0<x≦1、0<y≦1、0<z≦1、0<x+y+z≦2、0≦w≦0.5である。
【0061】
前記化合物のなかでも、電池の容量特性及び安定性を高めることができるという点で、LiCoO
2、LiMnO
2、LiMn
2O
4、LiNiO
2、LiNi
xMn
(1−x)O
2(ただし、0<x<1)、LiM
lxM
2yO
2(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1、M
1及びM
2は、それぞれ独立してAl、Sr、Mg、及びLaからなる群より選択されたいずれか1つである)、並びにこれらの混合物からなる群より選択されたものを用いることが好ましい。
【0062】
前記負極3は、前記正極5と同様に負極活物質、バインダー、及び選択的に導電材を混合して負極活物質層形成用組成物を製造した後、これを銅ホイルなどの負極電流集電体に塗布して製造することができる。
【0063】
前記負極活物質には、リチウムの可逆的なインターカレーション及びジインターカレーションが可能な化合物を用いることができる。前記負極活物質の具体例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料を挙げることができる。また、前記炭素質材料以外に、リチウムとの合金化が可能な金属質化合物、又は金属質化合物と炭素質材料とを含む複合物も負極活物質として用いることができる。
【0064】
前記リチウムとの合金化が可能な金属として、Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金、及びAl合金のうち少なくともいずれか1つが用いられてよい。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜を用いることもできる。
【0065】
前記負極活物質には、安定性が高いという点で、結晶質炭素、非結晶質炭素、炭素複合体、リチウム金属、リチウムを含む合金、及びこれらの混合物からなる群より選択されたいずれか1つを用いることができる。
【0066】
一方、前記電解質は、先の電解質に関する部分の記載と同一なので、その記載を省略する。前記リチウム二次電池は通常の方法によって製造が可能なので、本明細書では詳細な説明を省略する。本実施例では、パウチ型リチウム二次電池を例に挙げて説明したが、本発明の技術がパウチ型リチウム二次電池に限定されるものではなく、電池として作動することができれば、いかなる形状であっても可能である。
【0067】
前記のとおり、本発明の実施形態に係る電解質を含むリチウム二次電池は、低いDC−IR特性、高い高温貯蔵特性、そして向上された出力特性を発揮することができる。したがって、該リチウム二次電池は、高い充電速度が求められる携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ、カムコーダーなどの携帯用機器や、ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(plug−in HEV、PHEV)などの電気自動車の分野、さらには中大型エネルギー貯蔵システムに有用である。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は多様な異なる形態に実現されてよく、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0069】
[製造例:電解液及びリチウム二次電池の製造]
以下において、正極には、正極活物質としてLiCoO
2、導電材としてカーボンブラック(carbon black)、バインダーとしてポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride、PVDF)、溶媒としてn−メチル−2−ピロリドン(n−methyl−2−pyrrolidone、NMP)を混合して製造したスラリーを、アルミニウム(Al)基材にコーティングして製造したものを用いた。また、負極には、人造黒鉛であるMCMB(mesocarbon microbead)とカーボンブラック(carbon black)、バインダーとしてPVDF、溶媒としてNMPを混合して製造したスラリーを、銅(Cu)基材にコーティングして製造したものを用いた。
【0070】
(実施例1)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤としてパーフルオロペンタンニトリル(perfluoropentanenitrile)を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0071】
(実施例2)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤としてパーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリル(perfluorohexane−1,6−dinitrile)を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0072】
(実施例3)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤として3−シアノジフルオロメチル−2,2,3,4,4−ペンタフルオロペンタンジニトリル(3−(cyanodifluoromethyl)−2,2,3,4,4−pentafluoropentanedinitrile)を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0073】
(実施例4)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤として3,3−ビスシアノジフルオロメチル−2,2,4,4−テトラフルオロペンタンジニトリル(3,3−bis(cyanodifluoromethyl)−2,2,4,4−tetrafluoropentanedinitrile)を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0074】
(実施例5)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤としてパーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリル(perfluorohexane−1,6−dinitrile)を0.8重量%の量で、ヘキサン−1,6−ジニトリル(hexane−1,6−dinitrile)を0.2重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0075】
(比較例1)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤として、前記化学式(1)で表される化合物において一部のみフッ素で置換された化合物を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態のリチウム二次電池を製造した。
【0076】
(比較例2)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤として、前記化学式(2)で表される化合物において一部のみフッ素で置換された化合物を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0077】
(比較例3)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤として、前記化学式(3)で表される化合物において一部のみフッ素で置換された化合物を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0078】
(比較例4)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤として、前記化学式(4)で表される化合物において一部のみフッ素で置換された化合物を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0079】
(比較例5)
エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、及びジメチルカーボネート(DEC)の混合溶液(体積比:EC/EMC/DEC=3/5/2)に、LiPF
6を1.15Mとなるように添加した後、収得された混合溶液の総重量に対し、電解液添加剤としてヘキサン−1,6−ジニトリル(hexane−1,6−dinitrile)を1重量%の量で添加して電解液を製造した。製造された電解液と、予め製造しておいた正極及び負極とを利用して、アルミニウムパウチ形態(Al−pouch type)のリチウム二次電池を製造した。
【0080】
[実験例1:リチウム二次電池の容量の評価]
前記比較例1〜比較例5及び実施例1〜実施例5で製造された電池を、それぞれ1.0C−CCCV−4.45V、0.04Cで充電し、10分間休止後、1.0C−CC−3.0Vになるまで放電させ、10分間休止した。前記サイクルを300回繰り返しながら効率を測定した。その結果を表1に示す。また、実施例2、比較例2、及び比較例5のデータを
図2に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
前記表1及び
図2に示すとおり、高電圧で充放電した際に、比較例の効率は半分以上減少したが、本発明に係る電解質を用いた実施例は、比較例より2倍も高い効率を示した。
【0083】
その結果、本発明は、リチウム二次電池の電池特性、特に高電圧での正極被膜形成特性及び電池内抵抗特性を向上させることができることが確認された。
【0084】
[実験例2:リチウム二次電池の貯蔵の評価]
前記実施例2、実施例5、及び比較例2で製造された電池を4.45Vで充電した後、60℃で4週間貯蔵しながら電池に残留している放電溶液を測定し、回復容量を求めた。また、電池の膨張の有無を測定し、スウェリング(swelling)特性求めた。これらの結果を、それぞれ表2及び表3に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
前記表2及び表3に示すとおり、比較例5で用いられたヘキサン−1,6−ジニトリルは、実施例2で用いられたパーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリルに比べて回復容量及びスウェリング特性の向上効果が良好でない。しかし、前記ヘキサン−1,6−ジニトリルとパーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリルとを混合して用いた実施例5の場合、パーフルオロヘキサン−1,6−ジニトリルのみを単独で用いた実施例2に比べて、電解液添加剤の全体含有量が同一であるにもかかわらず、回復容量及びスウェリング特性がさらに向上する相乗効果が得られることが確認された。
【0088】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形及び改良の形態もまた本発明の権利範囲に属するのである。