(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記糸は、前記2本の支柱に対して、支柱間で互いに交差するように巻回されていることにより、前記2本の支柱に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のスライサー清掃器具。
前記2本の支柱には、前記スライサーの刃と前記スペーサーとの間の隙間に挿入するための第1の糸と、前記スライサーの刃と刃の間の隙間に挿入するための第2の糸とが、互いに離間して前記2本の支柱に巻回されており、
前記第1の糸は、前記第2の糸よりも前記基部から離間して巻回されている
ことを特徴とする請求項7に記載のスライサー清掃器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の野菜切り機の場合、そのメンテナンスを行う際には、カバーを取り外して、清掃、給油等を行う旨を記載しているが、この場合、回転刃の構造は複雑かつ微細であるため簡単には清掃ができないという問題がある。そこで、特許文献2に記載のように、装置から刃を取り外して清掃することも考えられるが、分解清掃は、日課の清掃業務とした場合には、手間がかかる上に、再組み立てに熟練を要するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、野菜等の食品をスライスするスライサーを分解することなく、十分に清掃することができるスライサー清掃器具及びスライサー清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るスライサー清掃器具は、複数の円盤状の刃が、積層方向で一定距離以上互いに離間して積層されて成るスライサーの清掃器具であって、刃の直径よりも長い距離だけ、互いに離間して設けられた2本の支柱と、2本の支柱の一端を固定する基部と、2本の支柱の他端側に、2本の支柱を接続し、複数の円盤状の刃のうち、互いに対向する2枚の刃の間に挿入するための糸を備える。
【0007】
また、上記スライサー清掃器具において、糸は、2本の支柱に対して、支柱間で互いに交差するように巻回されていることにより、2本の支柱に固定されていることとしてもよい。
【0008】
また、上記スライサー清掃器具において、糸は、2本の支柱寄りが、結束されていることとしてもよい。
【0009】
また、上記スライサー清掃器具において、2本の支柱は、互いに対向する2枚の刃の間の距離に応じた太さを有することとしてもよい。
【0010】
また、上記スライサー清掃器具において、基部は、ユーザが把持可能に構成されていることとしてもよい。
【0011】
また、上記スライサー清掃器具において、スライサー清掃器具は、基部と糸との間に基部を把持するユーザの手がスライサーの刃に接触しないように保護するための保護具を更に備えることとしてもよい。
【0012】
また、上記スライサー清掃器具において、2本の支柱は、糸の巻回箇所を固定するための溝部を備えることとしてもよい。
【0013】
また、上記スライサー清掃器具において、2本の支柱は、糸の巻回箇所を固定するための突部を備えることとしてもよい。
【0014】
また、上記スライサー清掃器具において、スライサーには、複数の円盤状の刃の刃間の距離を一定に保つためにスペーサーが設けられており、糸は、スライサーの刃とスペーサーとの間の隙間に挿入可能な細さを有することとしてもよい。
【0015】
また、上記スライサー清掃器具において、2本の支柱には、スライサーの刃とスペーサーとの間の隙間に挿入するための第1の糸と、スライサーの刃と、刃の間の隙間に挿入するための第2の糸とが、互いに離間して2本の支柱に巻回されており、第1の糸は、第2の糸よりも基部から離間して巻回されていることとしてもよい。
【0016】
また、上記スライサー清掃器具において、糸は、長繊維糸であることとしてもよい。
【0017】
また、上記スライサー清掃器具において、長繊維糸は、モノフィラメント、あるいは、表面が樹脂で被覆されたマルチフィラメントであることとしてもよい。
【0018】
また、上記スライサー清掃器具において、糸は、ナイロン、アラミド繊維、エンジニアリングプラスチックのうちのいずれかから成ることとしてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るスライサー清掃装置は、上記スライサー清掃器具と、複数の円盤状の刃が、積層方向で一定距離だけ互いに離間して積層されて成るスライサーと、スライサーの刃と刃の間にスライサー清掃器具の糸が位置するように調整する調整装置と、スライサー清掃器具をスライサーの刃と刃の間に挿入する挿入装置とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るスライサー清掃器具によれば、2本の支柱を接続する糸をスライサーの刃間に挿入することにより、野菜等の食品をスライスするスライサーを分解することなく、十分に清掃することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るスライサー清掃器具及びスライサー清掃装置について図面を参照しながら、説明する。
【0023】
<実施の形態1>
<構成>
図1は、スライサー清掃器具100の構成を示す図である。
図1(a)は、スライサー清掃器具100の正面図であり、
図1(b)は、スライサー清掃器具100の天面図であり、
図1(c)は、スライサー清掃器具100の側面図である。
【0024】
スライサー清掃器具100は、複数の円盤状の刃が、積層方向で一定距離以上互いに離間して積層されて成るスライサーを清掃するためのものである。スライサー清掃器具100は、
図1に示すように、スライサーの積層された刃の直径よりも長い距離D1だけ、互いに離間して設けられた2本の支柱121、122と、支柱121、122の一端を固定する基部110と、支柱121と支柱122とが基部110に固定されている側とは反対側、即ち他端側に2本の支柱121、122を接続し、スライサーを構成する複数の円盤状の刃のうち、互いに対向する2枚の刃の間に挿入するための糸130を備える。ここで距離D1の特性としては、糸130をスライサーの刃間に挿入して清掃できるに足るだけの距離であること、スライサーの周囲の機器に糸130や支柱121、122が干渉しない距離であることが望ましい。概して、距離D1が長すぎると、糸130や支柱121、122が周囲の機器に干渉する可能性が高くなり、その結果として清掃がしにくくなる。一方で、距離D1が短すぎると、支柱121、122がスライサーの刃と接触したりして清掃しにくくなると言える。なお、上述の刃と刃との間の一定距離は、切断対象の大きさや形状、また、切断方法(みじん切り、千切り、細切りなど)に応じて定められる。
【0025】
基部110は、ユーザが把持する箇所であり、2本の支柱121、122を固定している。基部110は、ユーザが把持でき、支柱121、122を固定できれば、どのような素材であってもよい。基部110は、例えば、金属や強化プラスチックなどの変形しにくい素材から作製することとしてよい。
【0026】
支柱121、122は、共に基部110に固定され、糸130を巻き付けるための軸である。支柱121、122は、例えば、金属や強化プラスチックなどの変形しにくい素材から作成することとしてよい。なお、支柱121、122は、
図1においては、円柱としているが、これは、その限りではなく、糸130が切断されないのであれば、その他の形状、例えば、角柱などであってもよい。
【0027】
糸130は、支柱121、122に巻回され、スライサーを構成する刃と刃との間に挿入されることによって、糸130が刃の盤面をこするようにすることで、刃と刃との間を清掃する。なお、ここでいう刃と刃との間を清掃するとは、刃と刃の間を清掃すること、刃の盤面(表面)を清掃すること、刃とスペーサーとの間を清掃すること、スペーサーの表面を清掃することなどを含む。糸130は、十分に清掃できる素材であれば、天然繊維や化学繊維であってもかまわない。また、糸130は、これら天然繊維や化学繊維の加工品であってもよい。化学繊維としては、合成繊維や無機繊維が望ましい。また、合成繊維には、長繊維糸であるフィラメント、短繊維であるステーブルを紡績により糸にしたものなどが含まれる。また、フィラメントは、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれでもよい。なお、マルチフィラメントの場合には、糸の表面強度の観点から、表面を被覆する被覆樹脂を備えることが望ましい。糸130として合成繊維を用いる場合には、合成繊維としては、例えば、ナイロン、アラミド繊維、エンジニアリングプラスチックのいずれかから成るものであることが望ましい。また、糸130として、無機繊維を用いる場合には、例えば、グラスファイバー等のガラス繊維から成るものを用いることが望ましい。
【0028】
糸130は、
図1(b)に示すように、支柱121と、支柱122との周囲を支柱121と支柱122との間で交差するように巻回する、即ち、8の字を描くように巻回して結ばれる。糸130は、複数の糸から構成されていてもよいが、望ましくは1本の糸を支柱121と支柱122の周囲に巻回して、当該1本の糸の一端と他端を結ぶようにして、支柱121と支柱122の固定することが望ましい。糸130を1本の糸で構成した場合には、例え、糸130が清掃の合間に切断されたとしても、支柱121及び/又は支柱122の何れかに接続された状態が維持されているので問題ない。そして、糸130は、支柱121と支柱122との間をぴんと張った(弛みがない)ように渡されていることが望ましい。具体的には、糸130は、支柱121と支柱122との間で適度に張力をかけた状態、即ち、弛みがない状態であり、かつ、糸130が糸130に対してかけられている張力で切断されない状態、即ち、糸130の弾性限界を超えない程度の張力が働いている状態にあることが望ましい。糸130を張り詰めるように支柱121と支柱122との周囲を巻回することで、糸130をスライサー200の刃と刃の間に挿入しやすくすることができる。また、清掃の際にも、糸130を刃の表面は、スペーサーの表面にこすりつけやすくすることができ、清掃の効率を向上させることができる。そして、糸130を一本の糸で構成し、かつ、支柱121と支柱122との間を弛みがない状態となるように構成することで、糸130の張力の影響により、例え、清掃中に糸130が切断されたとしても、支柱121及び/又は支柱122の何れかに接続された状態が維持されているという効果を得ることができる。また、糸130を一本の糸で構成することで、複数個所での切断の発生を抑制することができる。
【0029】
また、ここで、8の字を描くように巻回するとは、支柱121と支柱122とのうち一方の支柱に対しては、右回りで糸130を巻回し、他方の支柱に対しては左回りで糸130を巻回し、支柱121と支柱122との間で糸130が交差するように巻回することをいう。
図1(b)に示す巻回方法であれば、支柱121と支柱122との間で糸130に交差点を形成することができ、これにより、スライサー200の刃と刃の間への糸130の挿入を容易にすることができる。なお、糸130は、支柱121と支柱122とを結ぶように渡されていればどのような手法で巻回されていてもよい。また、ここで結ぶとは、糸130が支柱121と支柱122とに固定されることを意味し、糸130が清掃の際に支柱121と支柱122上をなるべく滑動しないように構成されていればどのような態様で結ばれていてもよい。主として、この糸130の交差点を起点として、その周辺をスライサーの刃に接触させてこすることで、スライサーを清掃する。糸130は、最低1重巻であればよいものの、清掃の効率並びに清掃における糸130の耐久性を鑑みて複数回巻きになっていることが望ましい。また、糸130は、支柱121と支柱122とが基部110と接触する端部とは逆側の端部寄りの位置に支柱121と支柱122とに巻回すると、糸130を刃230間に挿入しやすくなってよい。なお、ここで、端部寄りとは、支柱121と支柱122との中央よりも、基部110から遠い位置であればよい。
【0030】
スライサー清掃器具100は、
図1に示すように、基部を把持するユーザの手がスライサー200の刃230に接触しないように保護するための保護具140を備えてもよい。保護具140は、支柱121と支柱122とを接続するように、基部110と、糸130との間に設けられる。保護具140は、例えば、金属や強化プラスチックなどの強固な素材から作成する。保護具140は、基部110を把持するユーザの手が、スライサーの刃に接触することを防ぎ、清掃時に、ユーザの手がスライサーの刃に接触することで傷害を負う危険性を低減することができる。なお、
図1では、保護具140を湾曲させているが、基部110を把持するユーザの手をスライサーの刃から保護できれば、保護具140の形状はどのような形状であってもよい。
【0031】
図2は、清掃対象のスライサー200の構成を示す図である。
図2(a)は、スライサー200の外観を示す外観図である。
図2(c)は、スライサー200の二つの刃230間を平面視したときの天面図である。
図2(b)は、
図2(c)におけるA−A線でスライサー200を切断した場合の断面図である。
【0032】
図2(a)、(b)に示すように、スライサー200は、複数の円盤状の刃230が積層されて成る。各刃230の間には、スペーサー220が設けられており、各刃230間を、一定距離に保つことができる。
【0033】
スライサー200は、他のスライサー200と、それぞれの刃230を互い違いに噛合わせるようにして、回転させることで、野菜の千切りを実現することができる。スライサー200は、例えば、ネギを千切りにして、白髪ねぎを生成するのに用いることができる。
【0034】
スペーサー220は、各刃230間を一定距離に保つための部材である。スペーサー220は、取付部240を有する。取付部240は、スライサー200を野菜の細断装置等に取り付けるために用いる。スライサー200において、各刃230は、中心に開口を有し、当該開口部に軸210を挿入して、刃230を軸210に取り付ける。したがって、軸210が回転することに伴って、刃230も回転し、刃部分に接触した野菜を切断する。
【0035】
図2(b)に示すように、刃230間には、隙間があり、野菜を切断することによって、その切断屑などのゴミが付着物250として刃間に残る。スライサー清掃器具100は、このような付着物250を除去し、清掃するために用いられる。また、刃230と、スペーサー220との間にもわずかな隙間が存在し、当該隙間も清掃することができる。
【0036】
スライサー200は、
図2(c)に示すように、その刃230と、他のスライサーの刃230bとを互い違いに組み合わせて回転させることで、両スライサーの間に挿入された野菜を切断する。
【0037】
スライサー200の刃230は、
図2(c)に示す矢印270の方向に回転させて、用いられる。スペーサー220には、防止部260を有し、防止部260は、刃230により切断された野菜が矢印280に示す方向に飛ぶことを防止する。なお、
図2において、全ての刃、スペーサーに対して符号を付与しておらず、一部にのみ付与している。
【0038】
図3は、スライサー清掃器具100の使用形態を示す図である。
図3に示すように、ユーザは、スライサー清掃器具100の基部110を把持し、
図3に示す矢印の方向に、糸130をスライサー200の刃230に接触させてこすることで、スライサー200を清掃する。
図3に示す清掃を実現するために、
図1(a)に示す支柱121と支柱122との間の距離D1は、刃230の直径よりも大きい必要がある。
【0039】
以上に示したように、スライサー清掃器具100は、スライサー200の刃間や、刃とスペーサーとの間を安全に、かつ、スライサー200を分解することなく清掃することができる。したがって、スライサー清掃器具100により、スライサー200を清潔に保つができるとともに、分解、組み立ての手間を要することなく、スライサー200を清掃することができる。
【0040】
<糸の巻回例>
スライサー200を清掃するにあたり、支柱121と、支柱122とを繋ぐ糸130の巻回方法は、清掃効率を高めるために様々な態様を採ることができる。ここでは、そのような巻回方法について、いくつかの例を示す。
【0041】
図4(a1)は、スライサー清掃器具100の平面図であり、
図4(a2)は、その天面図である。
図4(a1)、
図4(a2)に示すように、糸130は、支柱121、122寄りの位置を、結線131で束ねる構成としてもよい。このような構成にすると、糸130の
図4(a2)における上下方向の広がりを抑えることによって、糸130をスライサー200の刃230間に挿入しやすくすることができるとともに、糸130を束ねることによって清掃の効率も向上させることができる。
【0042】
また、
図1においては、糸130を互いに交差させて8の字に巻回することとしているが、これは、
図4(b)に示す様に、単純に、支柱121と支柱122の周囲を巻回するだけでもよい。また、
図4(b)に示す態様においても、
図4(a1)、
図4(a2)に示す様に、糸130の支柱よりを結線することで、糸130をスライサー200の刃と刃との間に挿入しやすくすることができるとともに、糸130を束ねることで、清掃の効率を向上させることができる。
【0043】
また、
図4(c)に示すように、スライサー清掃器具100は、支柱121と支柱122に、刃230とスペーサー220との間の隙間を清掃するための糸130aと、刃230間の隙間を清掃するための糸130bとを備えることとしてもよい。このとき、糸130aと、糸130bとの間の距離dは、
図2(b)、
図2(c)に示すスペーサー220の幅D2と同程度であることが望ましい。また、このとき、糸130aには、糸130bよりも細い径の糸を使用することとしてもよい。ここで糸の径とは、糸の太さのことであり糸130aの径を、糸130bの径よりも細くすることで、糸130aを、刃230とスペーサー220との間に挿入しやすくすることができるとともに、糸130bを太くすることで刃230間の清掃の効率を向上させることができる。
【0044】
また、支柱121及び支柱122の径(直径)D5(
図1、
図4(a2)、
図4(b)、
図4(d)参照)は、スライサー200の刃230と刃230との間の距離D4(
図2参照)に応じた径(直径)を有することとしてよい。したがって、
図4(d)に示すように、支柱121及び支柱122の直径D5を、
図1や
図4(a2)、
図4(b)に示すよりも短く(細く)してもよいし、逆に長く(太く)してもよい。即ち、刃230間の距離D4が長くなれば、支柱121と支柱122の径も長くし、刃230間の距離D4が短くなれば、支柱121と支柱122の径も短くすればよい。なお、距離D4と径D5の間に望ましい、大小関係については特に規定しないが、径D5が距離D4よりも短ければ、糸130を、刃230間に挿入しやすくすることができ、径D5が距離D4よりも長ければ、糸130を刃230に接触させやすくすることができるので、清掃の効率を向上させることができる。なお、支柱121、支柱122の径を
図4(d)に示すように短く(細く)すれば、
図4(a1)、
図4(a2)に示す様に、糸130を結束させずとも、刃230間に挿入しやすくすることができる。また、ここでは、糸130を支柱121と支柱122とに巻回することとしているが、支柱121と支柱122とに糸130を通すための穴を開通させて、当該穴に糸130を通し、糸130の両端部をくくることで当該穴から糸130が抜け落ちないようにして、糸130を支柱121と支柱122とに固定するようにしてもよい。
【0045】
<支柱の構成例>
ここで、支柱121、支柱122に取り付けられている糸130が、清掃する際に、
図1(a)の上下方向にずれることを防止する構造について説明する。単純に糸130を支柱121、支柱122に強固に巻回するだけでも清掃器具としての用を成すが、ただ、巻回しただけの場合、糸130がスライサーへの挿入方向にずれることが考えられ、清掃の効率が低下する可能性がある。
【0046】
そこで、支柱121、122には、
図5(a)に示すように、糸130aを巻回する箇所を固定するための溝部501aや、糸130bを巻回する箇所を固定するための溝部502aを設けてもよい。こうすることで、糸130a、糸130bが、図面上下方向、即ち、スライサー清掃器具100をスライサー200に挿入する方向にずれることを防止することができ、清掃効率の低下を抑止することができる。なお、
図5においては、
図4(c)に示した態様で糸を巻回した場合の例を示している。
【0047】
糸130a、糸130bのずれを防止する手法としては、溝部501a、溝部502aを設ける以外にも、
図5(b)に示す様に、糸130aの上端及び下端にそれぞれ突部511a、突部512aを設け、糸130bの上端及び下端にそれぞれ突部513a、突部514aを設けることよっても同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、
図5(c)に示すように、溝部501a内や溝部502a内に突部521aや突部522aを設けることとしてよい。このとき、突部は、突部521aのように溝部502aと同様の高さを有してもよいし、突部522aのように少しだけ突出した態様をとってもよい。
【0049】
このようにして、糸130(130a、130b)が、支柱121、支柱122に沿ってずれることを防止し、清掃効率の低下を抑止することができる。
【0050】
<実施の形態2>
実施の形態1においては、ユーザがその手に把持して、スライサー200を清掃するスライサー清掃器具100の例を示したが、スライサー200の清掃方法はこれに限るものではない。本実施の形態2においては、ユーザの手に依らずに清掃する手法について説明する。
【0051】
<構成>
図6は、本実施の形態2に係るスライサー清掃システムの概要を示す外観図である。
図6に示すように、スライサー清掃システム700は、スライサー200を自動清掃するロボットである。スライサー清掃システム700においては、ロボットアーム600の先端にスライサー清掃器具100を取り付け、スライサー200の各刃の位置を検出して、ロボットアーム600を駆動して、スライサー清掃器具100の糸130をスライサー200の刃230間に挿入して、清掃する。
【0052】
図7は、スライサー清掃システム700の構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、スライサー清掃システム700は、スライサー清掃器具100と、検知部720と、制御部730と、駆動部740と、記憶部750とを備える。
【0053】
スライサー清掃器具100は、上記実施の形態1に示したものと同様の構成の器具である。
【0054】
検知部720は、スライサー200の位置を検知し、スライサー200の各刃230の位置を検知する機能を有する。検知部720は、例えば、カメラによる撮像により、スライサー200の位置の検知を実現することとしてもよいし、超音波センサなどの距離センサを用いて、スライサー200の刃230やスペーサー220などと検知部720が設置されている場所との間の距離により、位置を検知する構成としてもよい。なお、検知部720の構成例はこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。検知部720を構成する各種センサは、ロボットアームや、スライサー清掃器具100の支柱121や支柱122の先端部分に設けるとよい。
【0055】
制御部730は、スライサー清掃システム700を構成する各機能部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部730は、具体的には、例えば、駆動部740を駆動して、スライサー清掃器具100を駆動し、スライサー200の刃230間に、スライサー清掃器具100の糸130を挿入して、清掃するように動作させる。
【0056】
駆動部740は、制御部730からの指示にしたがって、ロボットアーム600や、ロボットアーム600に取り付けているスライサー清掃器具100を移動(駆動)する機能を有する。
【0057】
記憶部750は、スライサー清掃システム700が動作上必要とする各種プログラム、データ、パラメータ等を記憶する機能を有する。記憶部430は、具体的には、例えば、ROM及びRAMで構成される主記憶装置、不揮発性メモリ等で構成される補助記憶装置、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等各種の記録媒体によって構成される。
【0058】
以上がスライサー清掃システム700の構成である。
【0059】
なお、ここでは、スライサー200を固定し、スライサー清掃器具100を移動させて、スライサー200を清掃することとしているが、これは、スライサー清掃器具100を固定し、スライサー200を移動させてスライサー200を清掃する構成としてもよいし、双方とも駆動する構成としてもよい。
【0060】
<動作>
図8は、スライサー清掃システム700の動作を示すフローチャートである。
【0061】
検知部720は、スライサー200の洗浄対象の2つの刃230の位置を検知する(ステップS801)。検知部720は特定した清掃対象の2つの刃230の位置を制御部730に伝達する。
【0062】
清掃対象の刃230の位置を伝達された制御部730は、スライサー清掃器具100の糸130が、検知した2つの刃230の間に位置するように、駆動部740を制御する(ステップS802)。駆動部740は、制御部730からの指示にしたがって、糸130の位置を調整する。
【0063】
制御部730は、スライサー清掃器具100の糸130をスライサー200の刃230間に挿入し、上下させて、糸130を刃230に接触させてこすることによりスライサー200の刃230間を清掃する(ステップS803)。
【0064】
制御部730は、スライサー200を構成する全ての刃230間の清掃が終了したか否かを判定する。全ての刃間の清掃が終了している場合には(ステップS804のYES)、処理を終了し、終了していない場合には(ステップS804のNO)、スライサー清掃システム700は、ステップS801の処理に戻る。
【0065】
これにより、スライサー清掃システム700は、自動で、スライサー200を清掃することができる。したがって、ユーザの手間や、ユーザが清掃により傷害を負うことを防止することができる。
【0066】
なお、本実施の形態2において、スライサー清掃システム700は、糸130が切断された場合にその検知を行う構成を備えてもよい。当該検知は、検知部720が行うとしてもよいし、検知部720とは別の切断検知部を備えることにより実現することとしてもよい。糸の切断の検知方法としては、例えば、糸130を逐次カメラ等で撮影し、既知の画像認識技術により、糸130の切断を検知することとしてもよい。このとき、糸130を色付けしておくことにより、切断の検知がしやすくなるように構成してもよい。あるいは、支柱121、122の少なくとも一方の糸130と接触する部分に、センサ(例えば、圧電素子や圧力素子、張力センサなど)を配し、当該センサの出力値の変化量を検出することで糸130の切断を検出することもできる。すなわち、糸130が支柱間に張られている通常時のセンシング値を記憶しておき、逐次センシングしている値が記憶している値から所定以上(予め定められた閾値以上)離れた場合に糸130が切断された(異常が発生した)と検知することができる。また、あるいは、支柱121と支柱122とにそれぞれ互いから遠ざかる方向に倒れるように力を加えて、糸130に張力をかけ、糸130が切断された場合に、支柱が倒れたことを検知することで、糸130の切断を検知することとしてもよい。また、糸130の切断の検出には、その他の公知の検知方法を利用することとしてもよい。
【0067】
そして、スライサー清掃システム700は、糸130の切断が検知された場合に、オペレータにその旨を報知する報知部を備えてもよい。当該報知部は、例えば、ブザーやスピーカ等によるアラーム音やエラーメッセージを音声により報知することで実現してもよいし、スライサー清掃システム700をオペレートするオペレーティング画面において、エラーメッセージを表示したり、画面を明滅させたりすることにより報知することで実現してもよい。
【0068】
なお、本実施の形態2において、スライサー清掃システム700の各機能部は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを用いてソフトウェアによって実現してもよい。また、各機能部は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。なお、ここで「回路」は、コンピュータによるデジタル処理、すなわち、ソフトウェアによる機能的処理としての意味合いを含んでもよい。また、当該回路は、再構築可能な回路(例えば、FPGA:Field Programmable Gate Array)により実現されてもよい。
【0069】
スライサー清掃システム700の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、スライサー清掃システム700は、各機能を実現するソフトウェアである清掃プログラムの命令を実行するCPU、上記清掃プログラム及び各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記清掃プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(又はCPU)が上記清掃プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記清掃プログラムは、当該清掃プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記清掃プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0070】
なお、上記清掃プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。