(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器を示す分解斜視図である。
図1に示すように、誘導加熱調理器100の上部には、鍋等の被加熱物5が載置される天板4を有している。本実施の形態1に係る誘導加熱調理器100においては、
図3等で後述するように、天板4上に受電装置200も載置される。本実施の形態1に係る誘導加熱調理器100は、受電装置200に電力を伝送する非接触電力装置として機能する。
天板4には、被加熱物5を誘導加熱するための加熱口として、第一の誘導加熱口1及び第二の誘導加熱口2を備えている。第一の誘導加熱口1及び第二の誘導加熱口2は、天板4の手前側において、横方向に並設されている。また、本実施の形態1に係る誘導加熱調理器100は、3口目の加熱口として、第三の誘導加熱口3も備えている。第三の誘導加熱口3は、第一の誘導加熱口1及び第二の誘導加熱口2の奥側であって、天板4の横方向のほぼ中央位置に設けられている。
第一の誘導加熱口1、第二の誘導加熱口2及び第三の誘導加熱口3のそれぞれの下方には、加熱口に載置された被加熱物を加熱する第一の誘導加熱コイル11、第二の誘導加熱コイル12及び第三の誘導加熱コイル13が設けられている。
【0010】
天板4は、全体が耐熱強化ガラス又は結晶化ガラス等の赤外線を透過する材料で構成されている。また、天板4には、第一の誘導加熱コイル11、第二の誘導加熱コイル12、及び第三の誘導加熱コイル13の加熱範囲(加熱口)に対応して、鍋の大まかな載置位置を示す円形の鍋位置表示が、塗料の塗布や印刷等により形成されている。
【0011】
天板4の手前側には、第一の誘導加熱コイル11、第二の誘導加熱コイル12及び第三の誘導加熱コイル13で被加熱物5等を加熱する際の投入火力(投入電力)及び調理メニュー(湯沸しモード、揚げ物モード等)等を設定するための入力装置として、操作部40が設けられている。なお、本実施の形態1では、誘導加熱コイル毎に操作部40を分けて、操作部40a、操作部40b及び操作部40cとしている。
また、操作部40の近傍には、報知手段として、各誘導加熱コイルの動作状態、操作部40からの入力及び操作内容等を表示する表示部41が設けられている。なお、本実施の形態1では、誘導加熱コイル毎に表示部41を分けて、表示部41a、表示部41b及び表示部41cとしている。
【0012】
なお、操作部40及び表示部41は、上述のように誘導加熱コイル毎に設けられている場合、及び、各誘導加熱コイル共通のものとして設ける場合等、特に限定するものではない。ここで、操作部40は、例えばプッシュスイッチ及びタクトスイッチ等の機械的なスイッチ、電極の静電容量の変化により入力操作を検知するタッチスイッチ等により構成されている。また、表示部41は、例えばLCD(Liquid Crystal Device)及びLED等で構成されている。
なお、操作部40と表示部41とは、これらを一体に構成した表示操作部43としても良い。表示操作部43は、例えば、LCDの上面にタッチスイッチを配置したタッチパネル等によって構成される。
【0013】
第一の誘導加熱コイル11、第二の誘導加熱コイル12及び第三の誘導加熱コイル13は、例えば次のように構成されている。なお、第一の誘導加熱コイル11、第二の誘導加熱コイル12及び第三の誘導加熱コイル13は、同様の構成となっている。このため、代表して第一の誘導加熱コイル11の構成を以下に説明する。
【0014】
図2は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の誘導加熱コイルを示す平面図である。
第一の誘導加熱コイル11は、略同心円状に配置された複数のコイルで構成されている。例えば、第一の誘導加熱コイル11は、略同心円状に配置された4重のコイル11−1〜11−4で構成されている。これらコイル11−1〜11−4は、ひと繋ぎに接続されている。また、これらコイル11−1〜11−4は、絶縁皮膜された任意の金属(例えば銅、アルミ等)からなる導電線を巻き付けることにより構成される。
駆動回路50により高周波電力が、第一の誘導加熱コイル11、第二の誘導加熱コイル12及び第三の誘導加熱コイル13に供給されることで、各誘導加熱コイルからは高周波磁界が発生する。なお、駆動回路50の詳細構成については、後述する。
【0015】
また、
図1に示すように、誘導加熱調理器100の内部には、駆動回路50を含め誘導加熱調理器100全体の動作を制御するための制御部45が収納されている。
【0016】
制御部45は、専用のハードウェア、又はメモリ48(
図3参照)に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)で構成される。
制御部45が専用のハードウェアである場合、制御部45は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field−programmable gate array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。制御部45が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現しても良いし、各機能部を一つのハードウェアで実現しても良い。
制御部45がCPUの場合、制御部45が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ48に格納される。CPUは、メモリ48に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御部45の各機能を実現する。ここで、メモリ48は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。
なお、制御部45の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしても良い。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器、及び、該誘導加熱調理器の天板上に載置された受電装置の構成を示すブロック図である。この
図3は、誘導加熱調理器100の天板4の上の第一の誘導加熱口1に受電装置200が載置されている状態を示している。非接触電力伝送装置として機能する誘導加熱調理器100と、受電装置200とにより非接触電力伝送システムを構成する。
【0018】
図3に示すように、受電装置200は、例えば、誘導加熱調理以外の調理を行う調理機器(フライヤー、蒸し器、ロースター、トースター等)である。また例えば、受電装置200は、料理の下準備及び下拵え等を行う調理機器(ブレンダー、ミキサー、ミル、泡だて器、フードプロセッサー等)である。
【0019】
受電装置200は、電磁誘導により電力を受電する受電コイル65と、受電コイル65が受電した電力の整流及び平滑化を行う受電回路81と、受電回路81の出力側に接続された負荷回路82と、受電回路81及び負荷回路82の制御を行う二次制御部83とを備えている。
この受電装置200は、誘導加熱調理器100の天板4の上に載置され、誘導加熱調理器100から非接触で電力を受電する。即ち、誘導加熱調理器100の天板4の下の第一の誘導加熱コイル11に、駆動回路50により高周波電力が供給されることで、第一の誘導加熱コイル11からは高周波磁界が発生する。この高周波磁界を受電装置200の中に設けられた受電コイル65で受け、非接触で受電装置200への給電を行う。
この際、受電装置200の二次制御部83は、負荷回路82がヒータ負荷の場合、受電コイル65で受けた電力を交流のまま負荷回路82に供給するように、受電回路81を制御する。
また例えば、二次制御部83は、負荷回路82がモータ負荷の場合、受電コイル65で受けた電力を整流及び平滑し、インバータ回路等で任意の交流に変換して負荷回路82に供給するように、受電回路81を制御する。つまり、負荷回路82がモータ負荷の場合、負荷回路82を可変速駆動する。なお、ヒータ負荷に整流及び平滑して直流を印加しても良い。また、モータ負荷を一定速で駆動しても良いことは言うまでもない。
【0020】
なお、受電装置200にも、操作部及び表示部を設けることが好ましい。操作部では、例えば、受電装置200への電力供給の開始及び停止等を操作する。表示部では、例えば、受電装置200の受電状態等を表示する。本実施の形態1では、操作部及び表示部を一体に表示操作部84として構成している。
【0021】
また、誘導加熱調理器100に一次側送受信部47を設け、受電装置200に二次側送受信部85を設けても良い。二次側送受信部85は、受電装置200の機器識別信号を一次側送受信部47に出力するものである。一次側送受信部47は、二次側送受信部85が出力した制御信号を受信し、制御部45に送るものである。
【0022】
また、
図3では図示していないが、受電コイル65は、例えば、第一の誘導加熱コイル11と同様の構成となっている。
また、
図3に図示はしていないが、第一の誘導加熱コイル11の下部に磁性体としてフェライトを配置する。フェライトの形状は、例えば平板形状である。第一の誘導加熱コイル11を構成するコイル間に挿入される突起を平板状のフェライト上面に設け、フェライトの縦断面形状を凸型、F型又はE型等にしても良い。また、
図3に図示はしていないが、受電コイル65の上部に磁性体としてフェライトを配置する。フェライトの形状は、例えば平板形状である。受電コイル65を構成するコイル間に挿入される突起を平板状のフェライト下面に設け、フェライトの縦断面形状を凸型、F型又はE型等にしても良い。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の駆動回路と受電装置の回路構成を示す図である。この
図4は、第一の誘導加熱コイル11の駆動回路50と制御部45と制御部45内の負荷判定手段と受電装置200の回路構成を示している。第二の誘導加熱コイル12及び第三の誘導加熱コイル13に接続される駆動回路と制御部及び負荷判定手段も、
図4に示す駆動回路50及び制御部45と同様の構成となっている。
【0024】
駆動回路50は、ハーフブリッジ駆動回路であり、直流電源回路22と、インバータ回路123と、送電側共振コンデンサ24とを備える。
入力電流検出手段23は、例えば電流センサで構成され、交流電源(商用電源)21から直流電源回路22へ入力される電流を検出し、入力電流値に相当する電圧信号を制御部45へ出力する。
【0025】
直流電源回路22は、ダイオードブリッジ22a、リアクタ22b及び平滑コンデンサ22cを備え、交流電源21から入力される交流電圧を直流電圧に変換して、インバータ回路123へ出力する。
【0026】
インバータ回路123は、スイッチング素子としてのIGBT123a,123bが直流電源回路22の出力に直列に接続されたハーフブリッジ型のインバータである。インバータ回路123は、フライホイールダイオードとしてダイオード123c,123dがそれぞれIGBT123a,123bと並列に接続されている。IGBT123aとIGBT123bは、制御部45から出力される駆動信号によりオンオフ駆動される。制御部45は、IGBT123aをオンさせている間はIGBT123bをオフ状態にし、IGBT123aをオフさせている間はIGBT123bをオン状態にし、交互にオンオフする駆動信号を出力する。これにより、インバータ回路123は、直流電源回路22から出力される直流電力を規定周波数の交流電力に変換して、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24からなる共振回路に電力を供給する。なお、規定周波数の交流電力とは、例えば、20kHz〜100kHz程度の高周波の交流電力である。
【0027】
送電側共振コンデンサ24は、第一の誘導加熱コイル11に直列接続されており、この共振回路は第一の誘導加熱コイル11のインダクタンス及び送電側共振コンデンサ24の容量等に応じた共振周波数を有する。
【0028】
このように駆動回路50を構成することで、第一の誘導加熱コイル11には高周波電流が流れ、流れる高周波電流により発生する高周波磁束によって第一の誘導加熱コイル11の直上の天板4上に載置された受電装置200の受電コイル65に非接触で電力伝送することができる。
【0029】
なお、スイッチング素子であるIGBT123a,123bは、例えばシリコン系からなる半導体で構成されているが、炭化珪素、あるいは窒化ガリウム系材料等のワイドバンドギャップ半導体でスイッチング素子を形成しても良い。スイッチング素子にワイドバンドギャップ半導体を用いることで、スイッチング素子の損失を減らすことができ、またスイッチング周波数(駆動周波数)を高周波(高速)にしても駆動回路50の放熱が良好であるため、駆動回路50の放熱フィンを小型にすることができ、駆動回路50の小型化および低コスト化を実現することができ、更に高周波で駆動してもスイッチング損失が少なく、効率良く非接触給電をすることが可能となる。
【0030】
コイル電流検出手段25は、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24とからなる共振回路に接続されている。コイル電流検出手段25は、例えば、電流センサで構成され、第一の誘導加熱コイル11に流れる電流を検出し、コイル電流値に相当する電圧信号を制御部45に出力する。
【0031】
なお、
図4では、ハーフブリッジ駆動回路を示したが、4つのIGBTと4つのダイオードから構成されるフルブリッジ駆動回路でも良いことは言うまでもない。
【0032】
受電装置200には、受電コイル65と共に共振回路を形成する受電側共振コンデンサ62が設けられている。
受電側共振コンデンサ62は、受電コイル65に並列接続されており、この共振回路は受電コイル65のインダクタンス及び受電側共振コンデンサ62の容量等に応じた共振周波数を有する。なお、受電コイル65のインダクタンスは第一の誘導加熱コイル11が磁気結合した際の共振回路で共振周波数が定まる。
【0033】
なお、
図4では、受電側共振コンデンサ62が受電コイル65に並列接続された共振回路を示したが、受電側共振コンデンサ62が受電コイル65に直列並列接続された共振回路であっても良い。
【0034】
また、制御部45には、負荷判定部46を備えている。負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を変化させた際の、インバータ回路123の出力側のインピーダンス特性が共振特性を有するか否かにより、天板4上に載置された負荷が受電装置200であるか否かを判定する。
【0035】
なお、第一の誘導加熱コイル11、第二の誘導加熱コイル12、第三の誘導加熱コイル13は、本発明の「コイル」に相当する。
また、天板4は、本発明の「支持体」に相当する。
また、制御部45は、本発明の「制御装置」に相当する。
また、負荷判定部46は、本発明の「制御装置」に含まれる。
また、表示部41は、本発明の「報知手段」に相当する。
また、メモリ48は、本発明の「記憶手段」に相当する。
【0036】
(インピーダンス特性)
ここで、共振回路を有する受電装置200と、鍋などの被加熱物5のインピーダンス特性について説明する。
【0037】
図5は受電装置と被加熱物とのインピーダンス特性の一例を示す図である。
図5においては、横軸がインバータ回路123の駆動周波数を示し、縦軸がインバータ回路123の出力側のインピーダンス(送電側から見たインピーダンス)を示す。
図5に示すように、共振回路を有する受電装置200が負荷である場合、共振回路の共振周波数にてインピーダンスが最大となり、共振周波数より低い周波数及び共振周波数より高い周波数にてインピーダンスが減少する。
即ち、共振周波数よりも高い範囲において、負荷が受電装置200である場合のインピーダンスは、駆動周波数の減少に伴いインピーダンスが増加する共振特性を有する。
また、共振周波数よりも低い範囲において、負荷が受電装置200である場合のインピーダンスは、駆動周波数の増加に伴いインピーダンスが増加する共振特性を有する。
更に、共振周波数を含む周波数範囲において、負荷が受電装置200である場合のインピーダンスは、駆動周波数の変化に伴いインピーダンスの増加と減少とを含む共振特性を有する。
【0038】
一方、共振回路を有しない鍋などの被加熱物5が負荷である場合、駆動周波数の減少に伴いインピーダンスが単調に減少する。即ち、負荷が被加熱物5である場合のインピーダンスは、駆動周波数の減少に伴いインピーダンスが単調に減少する特性を有する。また、負荷が被加熱物5である場合のインピーダンスは、駆動周波数の増加に伴いインピーダンスが単調に増加する特性を有する。
【0039】
(負荷判定動作)
次に、上述したインピーダンス特性を用いて負荷判定を行う負荷判定動作について説明する。
【0040】
制御部45内に設けられた負荷判定部46は、操作部40からの動作開始信号に基づいて、負荷判定動作を開始する。
負荷判定動作において、制御部45は、負荷判定用の特定の駆動信号でインバータ回路123を駆動する。負荷判定部46は、コイル電流検出手段25の電流検知信号からコイル電流を検出する。
次に、制御部45は、インバータ回路123の駆動周波数を、高い周波数から低い周波数へ減少させる。負荷判定部46は、コイル電流検出手段25の電流検知信号からコイル電流を逐次検出する。
【0041】
ここで、直流電源回路22の直流出力電圧が、インバータ回路123のスイッチング動作により、インバータ回路123の出力電圧として矩形波で出力される。このインバータ回路123の出力電圧の変化が少ないとみなすと、第一の誘導加熱コイル11に流れるコイル電流の変化が、負荷のインピーダンスの変化と略等価となる。つまり、インピーダンスが増加するとコイル電流が減少し、インピーダンスが減少するとコイル電流が増加する関係となる。
このため、本実施の形態1における負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を変化させた際の、コイル電流が共振特性を有するか否かにより負荷判定を行う。
【0042】
すなわち、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数の減少に伴い、コイル電流検出手段25の電流検知信号が減少(インピーダンスが増加)する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
一方、インバータ回路123の駆動周波数の減少に伴い、コイル電流検出手段25の電流検知信号が増加(インピーダンスが減少)する場合、天板4上の負荷が被加熱物5であると判定する。
【0043】
なお、負荷判定動作で変化させる駆動周波数は、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24との共振周波数より大きい周波数とする。
例えば、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24との共振周波数が18kHzである場合、負荷判定動作で変化させる駆動周波数を20kHz以上とする。
これにより、インバータ回路123に進相電流が流れて、インバータ回路123が破壊するのを防ぐことができる。
【0044】
なお、負荷判定動作においてインバータ回路123の駆動周波数を変化させる範囲は、20kHz以上100kHz未満の範囲に含まれる任意の周波数範囲に設定しても良い。
例えば、繰り返しによる学習機能(後述)により、受電装置200の共振回路の共振周波数が28kHz程度であると想定されている場合には、負荷判定動作において、インバータ回路123の駆動周波数を50kHzから20kHzまで減少させても良い。これにより、負荷判定動作の時間を短くすることができる。
【0045】
以上の負荷判定動作を行った後、制御部45は、負荷判定結果に基づいた制御動作を行う。
【0046】
(電力伝送動作)
負荷判定部46の判定結果が受電装置200である場合、制御部45は、受電装置200に電力を伝送する電力伝送動作を行う。
すなわち、制御部45は、受電コイル65へ送電する電力に応じて駆動回路50を制御して、第一の誘導加熱コイル11に高周波電力を供給する。これにより、第一の誘導加熱コイル11から供給された高周波電力は、受電装置200に配置された受電コイル65により受電される。受電された電力は、受電回路81から負荷回路82へ供給され、負荷回路82が駆動する。
【0047】
(加熱動作)
負荷判定部46の判定結果が被加熱物5である場合、制御部45は、被加熱物5を誘導加熱する加熱動作を行う。
すなわち、制御部45は、誘導加熱させる火力に応じて駆動回路50を制御して、第一の誘導加熱コイル11に高周波電力を供給する加熱動作を行う。これにより、天板4上に配置された被加熱物5が誘導加熱される。
【0048】
以上のように本実施の形態1においては、制御部45は、インバータ回路123の駆動周波数を変化させた際の、インバータ回路123の出力側のインピーダンスが共振特性を有する場合、受電装置200に電力を伝送する電力伝送動作を行う。
このため、受電装置200へ適切な電力を供給することができる。また、インピーダンスの共振特性を利用して、負荷が誘導加熱すべき被加熱物5か、非接触給電すべき受電装置200か否か容易にかつ確実に判定することができる。
【0049】
また、本実施の形態1においては、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数の減少に伴いインピーダンスが増加する共振特性を有する場合、負荷が受電装置200であると判定する。つまり、鍋などの被加熱物5には無い共振特性の有無によって負荷判定を行うので、負荷判定の精度を向上させることができる。
【0050】
また、本実施の形態1においては、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を変化させた際の、コイル電流が共振特性を有する場合、負荷が受電装置200であると判定する。このため、負荷判定に必要な構成を簡易な構成とすることができる。
【0051】
実施の形態2.
本実施の形態2においては、インバータ回路123の駆動周波数を、低い周波数から高い周波数へ増加させる負荷判定動作について説明する。
以下、本実施の形態2における負荷判定動作を、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0052】
(負荷判定動作)
制御部45内に設けられた負荷判定部46は、操作部40からの動作開始信号に基づいて、負荷判定動作を開始する。
負荷判定動作において、制御部45は、負荷判定用の特定の駆動信号でインバータ回路123を駆動する。負荷判定部46は、コイル電流検出手段25の電流検知信号からコイル電流を検出する。
次に、制御部45は、インバータ回路123の駆動周波数を、低い周波数から高い周波数へ増加させる。負荷判定部46は、コイル電流検出手段25の電流検知信号からコイル電流を逐次検出する。
【0053】
ここで、負荷が受電装置200である場合、駆動周波数を低い周波数から増加させると、ある周波数からインピーダンスが減少(電流が増加)する。この共振特性の有無により、被加熱物5か、受電装置200を判定することができる。
すなわち、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数の増加に伴い、コイル電流検出手段25の電流検知信号が増加(インピーダンスが減少)する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
一方、インバータ回路123の駆動周波数の増加に伴い、コイル電流検出手段25の電流検知信号が減少(インピーダンスが増加)する場合、天板4上の負荷が被加熱物5であると判定する。
【0054】
なお、負荷判定動作で変化させる駆動周波数は、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24との共振周波数より大きい周波数とする。
例えば、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24との共振周波数が18kHzである場合、負荷判定動作で変化させる駆動周波数を20kHz以上とする。
これにより、インバータ回路123に進相電流が流れて、インバータ回路123が破壊するのを防ぐことができる。
【0055】
以上のように本実施の形態2においては、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数の増加に伴いインピーダンスが減少する共振特性を有する場合、負荷が受電装置200であると判定する。つまり、鍋などの被加熱物5には無い共振特性の有無によって負荷判定を行うので、負荷判定の精度を向上させることができる。
したがって、受電装置200へ適切な電力を供給することができる。また、インピーダンスの共振特性を利用して、負荷が誘導加熱すべき被加熱物5か、非接触給電すべき受電装置200か否かを容易にかつ確実に判定することができる。
【0056】
(変形例)
上記実施の形態1では、駆動周波数を減少させた際のインピーダンスの増加の有無により負荷判定を行い、本実施の形態2では駆動周波数を増加させた際のインピーダンスの減少の有無により負荷判定を行ったが、本発明はこれに限定されない。
例えば、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で変化させた際、インピーダンスの増加と減少とを含む共振特性を有する場合、負荷が受電装置200であると判定してもよい。
例えば、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で増加又は減少させた際、コイル電流が減少から増加に転じた場合(インピーダンスが増加から減少)、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
このような動作においても、鍋などの被加熱物5には無い共振特性の有無によって負荷判定を行うことができ、負荷判定の精度を向上させることができる。
【0057】
実施の形態3.
本実施の形態3においては、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で変化させた際、インピーダンスの変化量によって負荷を判定する負荷判定動作について説明する。
以下、本実施の形態3における負荷判定動作を、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0058】
(負荷判定動作)
制御部45内に設けられた負荷判定部46は、操作部40からの動作開始信号に基づいて、負荷判定動作を開始する。
負荷判定動作において、制御部45は、負荷判定用の特定の駆動信号でインバータ回路123を駆動する。負荷判定部46は、コイル電流検出手段25の電流検知信号からコイル電流を検出する。
次に、制御部45は、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で変化させる。この範囲は、例えば、20kHz以上100kHz未満の範囲に含まれる任意の周波数範囲に設定して良い。
負荷判定部46は、コイル電流検出手段25の電流検知信号からコイル電流を逐次検出する。
【0059】
ここで、負荷が受電装置200である場合と鍋などの被加熱物5である場合とは、インピーダンスの変化量が異なる。
例えば、
図5に示した例においては、インバータ回路123の駆動周波数を50kHzから30kHzまで変化させると、鍋などの被加熱物5の場合はインピーダンスが約30%減少するが、受電装置200の場合はインピーダンスが約400%増加し、変化量に明らかに違いがある。
本実施の形態3における負荷判定部46は、このインピーダンスの変化量(コイル電流の変化量)を利用して負荷判定する。
すなわち、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で変化させた際、コイル電流検出手段25の電流検知信号が予め設定された変化量以上変化する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
一方、コイル電流検出手段25の電流検知信号が予め設定された変化量以上変化しない場合、天板4上の負荷が被加熱物5であると判定する。
【0060】
なお、負荷判定動作で変化させる駆動周波数は、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24との共振周波数より大きい周波数とする。
例えば、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24との共振周波数が18kHzである場合、負荷判定動作で変化させる駆動周波数を20kHz以上とする。
これにより、インバータ回路123に進相電流が流れて、インバータ回路123が破壊するのを防ぐことができる。
【0061】
以上のように本実施の形態3においては、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で変化させた際、インピーダンスが予め設定された変化量以上変化する共振特性を有する場合、負荷が受電装置200であると判定する。つまり、鍋などの被加熱物5には無い共振特性の有無によって負荷判定を行うので、負荷判定の精度を向上させることができる。
したがって、受電装置200へ適切な電力を供給することができる。また、インピーダンスの共振特性を利用して、負荷が誘導加熱すべき被加熱物5か、非接触給電すべき受電装置200か否かを容易にかつ確実に判定することができる。
【0062】
実施の形態4.
以下、本実施の形態4における誘導加熱調理器100の構成及び動作を、上記実施の形態1〜3との相違点を中心に説明する。
【0063】
図6は、本発明の実施の形態4に係る誘導加熱調理器の駆動回路と受電装置の回路構成を示す図である。
図6に示すように、本実施の形態4における駆動回路50は、インバータ回路123の出力電圧を検出する出力電圧検出手段27を備える。出力電圧検出手段27は、例えば電圧センサで構成され、インバータ回路123の出力電圧を検出し、出力電圧値に相当する電圧信号を制御部45へ出力する。
【0064】
(負荷判定動作)
負荷判定動作において、負荷判定部46は、コイル電流検出手段25の電流検知信号からコイル電流を検出し、出力電圧検出手段27の電圧検知信号から出力電圧を検出する。負荷判定部46は、コイル電流と出力電圧とに基づき負荷のインピーダンスを算出する。
そして、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を変化させた際の、インピーダンスが共振特性を有するか否かにより負荷判定を行う。
【0065】
以降の負荷判定動作については、上述した実施の形態1〜3の負荷判定動作の何れかの動作と同様である。
例えば、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数の減少に伴い、算出したインピーダンスが増加する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
また例えば、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数の増加に伴い、算出したインピーダンスが減少する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
また例えば、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で変化させた際、算出したインピーダンスが予め設定された変化量以上変化する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
【0066】
以上のように本実施の形態4においては、負荷判定部46は、コイル電流と出力電圧とに基づきインピーダンスを算出し、インバータ回路123の駆動周波数を変化させた際の、インピーダンスが共振特性を有する場合、負荷が受電装置200であると判定する。つまり、鍋などの被加熱物5には無い共振特性の有無によって負荷判定を行うので、負荷判定の精度を向上させることができる。したがって、受電装置200へ適切な電力を供給することができる。また、インピーダンスの共振特性を利用して、負荷が誘導加熱すべき被加熱物5か、非接触給電すべき受電装置200か否かを容易にかつ確実に判定することができる。
さらに、コイル電流と出力電圧とに基づきインピーダンスを算出するので、例えば交流電源21の電圧変動が生じてインバータ回路123の出力電圧が変動した場合であっても、負荷のインピーダンスの変化を精度良く検知することが可能となる。よって、より正確な判定をすることができる。
【0067】
実施の形態5.
以下、本実施の形態5における誘導加熱調理器100の構成及び動作を、上記実施の形態1〜3との相違点を中心に説明する。
【0068】
図7は、本発明の実施の形態5に係る誘導加熱調理器の駆動回路と受電装置の回路構成を示す図である。
図7に示すように、本実施の形態5における駆動回路50は、第一の誘導加熱コイル11に印加されるコイル電圧を検出するコイル電圧検出手段26を備える。コイル電圧検出手段26は、例えば電圧センサで構成され、第一の誘導加熱コイル11に印加される電圧を検出し、コイル電圧値に相当する電圧信号を制御部45へ出力する。
【0069】
(負荷判定動作)
負荷判定動作において、負荷判定部46は、コイル電流検出手段25の電流検知信号からコイル電流を検出し、コイル電圧検出手段26の電圧検知信号からコイル電圧を検出する。負荷判定部46は、コイル電流とコイル電圧とに基づき負荷のインピーダンスを算出する。
そして、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を変化させた際の、インピーダンスが共振特性を有するか否かにより負荷判定を行う。
【0070】
以降の負荷判定動作については、上述した実施の形態1〜4の負荷判定動作の何れかの動作と同様である。
例えば、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数の減少に伴い、算出したインピーダンスが増加する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
また例えば、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数の増加に伴い、算出したインピーダンスが減少する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
また例えば、負荷判定部46は、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で変化させた際、算出したインピーダンスが予め設定された変化量以上変化する場合、天板4上の負荷が受電装置200であると判定する。
【0071】
以上のように本実施の形態5においては、負荷判定部46は、コイル電流とコイル電圧とに基づきインピーダンスを算出し、インバータ回路123の駆動周波数を変化させた際の、インピーダンスが共振特性を有する場合、負荷が受電装置200であると判定する。つまり、鍋などの被加熱物5には無い共振特性の有無によって負荷判定を行うので、負荷判定の精度を向上させることができる。したがって、受電装置200へ適切な電力を供給することができる。また、インピーダンスの共振特性を利用して、負荷が誘導加熱すべき被加熱物5か、非接触給電すべき受電装置200か否かを容易にかつ確実に判定することができる。
また、コイル電流とコイル電圧とに基づきインピーダンスを算出するので、例えば交流電源21の電圧変動が生じてインバータ回路123の出力電圧が変動した場合であっても、負荷のインピーダンスの変化を精度良く検知することが可能となる。よって、より正確な判定をすることができる。
さらに、受電装置200の受電コイル65と受電側共振コンデンサ62の共振特性が、第一の誘導加熱コイル11と送電側共振コンデンサ24の共振特性の影響を受けずに直接検知できるため、更に正確な判定をすることができる。
【0072】
実施の形態6.
以下、本実施の形態6における誘導加熱調理器100の構成及び動作を、上記実施の形態1〜5との相違点を中心に説明する。
【0073】
図8は、本発明の実施の形態6に係る誘導加熱調理器の誘導加熱コイルを示す図である。
図8において、第一の誘導加熱コイル11は、中央に配置された内周コイル11aと、内周コイル11aの周囲に配置された外周コイル11e、11dとで構成されている。第一の誘導加熱コイル11の外周は、第一の誘導加熱口1に対応した略円形状である。
【0074】
内周コイル11aは、略同心円状に配置された内周内コイル111aと内周外コイル112aとから構成されている。内周内コイル111a及び内周外コイル112aは、円形の平面形状を有し、絶縁被膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線が円周方向に巻回されることにより構成されている。内周内コイル111a及び内周外コイル112aは、直列に接続されて一つの駆動回路50aにより駆動制御される。なお、内周内コイル111a及び内周外コイル112aを並列接続しても良く、また、それぞれ独立した駆動回路(インバータ回路)を用いて駆動しても良い。
【0075】
外周コイル11dは、外周上コイル111dと外周下コイル112dとから構成されている。外周コイル11eは、外周左コイル111eと外周右コイル112eとから構成されている。外周上コイル111d、及び外周下コイル112dは、直列に接続されて一つの駆動回路50dにより駆動制御される。外周左コイル111e、及び外周右コイル112eは、直列に接続されて一つの駆動回路50eにより駆動制御される。
【0076】
外周上コイル111d、外周下コイル112d、外周左コイル111e、外周右コイル112e(以下「各外周コイル」とも言う)は、内周コイル11aの円形の外形にほぼ沿うようにして、内周コイル11aの周辺に配置されている。
4つの各外周コイルは、略1/4円弧状(バナナ状または胡瓜状)の平面形状を有しており、絶縁皮膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線を各外周コイルの1/4円弧状の形状に沿って巻きつけることで構成される。すなわち、各外周コイルは、内周コイル11aに隣接する1/4円弧状領域において、内周コイル11aの円形の平面形状に実質的に沿って延びるように構成されている。なお、各外周コイルの数は4つに限定されるものではない。また、各外周コイルの形状もこれに限るものではなく、例えば円形の外周コイルを複数用いた構成でも良い。なお、各外周コイルはそれぞれ並列接続しても良い。また、外周上コイル111dと外周下コイル112dを一つの駆動回路(インバータ回路)を用いて駆動しても良い。
なお、駆動回路50a、50d、50eは、上記実施の形態1の駆動回路50と同じ構成である。
【0077】
本実施の形態6における制御部45は、駆動回路50a、50d、50eのそれぞれについて、上方に載置されている負荷の負荷判定を行う。なお、負荷判定動作は上記実施の形態1〜5の何れかと同様である。
【0078】
(動作)
第一の誘導加熱口1上に、被加熱物5と受電装置200とが載置された場合の動作を説明する。
制御部45の負荷判定部46は、駆動回路50a、50d、50eのそれぞれについて、インバータ回路123の駆動周波数を変化させ、それぞれのインバータ回路123の出力側のインピーダンス特性を用いて、上方に載置されている負荷の負荷判定を行う。
【0079】
制御部45は、駆動回路50a、50d、50eのうち、負荷判定部46の判定結果が被加熱物5である駆動回路を、誘導加熱させる火力に応じて制御して、被加熱物5を誘導加熱させる加熱動作を行う。これにより、天板4上に配置された被加熱物5が誘導加熱される。
一方、制御部45は、駆動回路50a、50d、50eのうち、負荷判定部46の判定結果が受電装置200である駆動回路を、受電コイル65へ送電する電力に応じて制御して、受電コイル65へ電力を供給する電力伝送動作を行う。
なお、負荷判定部46により、負荷の有無を判定するようにしても良い。この場合、制御部45は、無負荷であると判定した駆動回路の動作を停止させる。
【0080】
なお、制御部45は、被加熱物5を誘導加熱させる電力と、受電コイル65へ送電する電力との合計値が、予め定められた電力(定格電力)以下となるように、各駆動回路を制御する。例えば3kW以下に制御する。
例えば、内周コイル11a、及び外周コイル11eの上方に、加熱プレートなどの磁性体である被加熱物5が載置され、外周コイル11dの上方に受電装置200が載置された場合、外周コイル11dには最大1.5kWの電力が投入可能で、加熱プレートなどの被加熱物5には残りの電力を最大として電力の投入が可能である。
【0081】
以上のように本実施の形態6においては、複数のインバータ回路123のうち、共振特性を有するインバータ回路123を、電力伝送動作させ、複数のインバータ回路123のうち、共振特性を有しないインバータ回路123を、加熱動作させる。
このため、1つの加熱口で、誘導加熱による加熱と非接触電力伝送による加熱とを同時に行うことができ、利便性を向上することができる。また、誘導加熱による加熱と非接触電力伝送による加熱とを個別に制御することができる。
【0082】
実施の形態7.
以下、本実施の形態7における誘導加熱調理器100の構成及び動作を、上記実施の形態1〜6との相違点を中心に説明する。
【0083】
(負荷判定動作)
負荷判定部46は、上記実施の形態1〜5の何れかと同様に、負荷判定動作を行う。
制御部45は、負荷判定部46による負荷判定の結果を、表示部41に表示させる。
これにより、使用者が、負荷判定部46の負荷判定の結果を確認することが可能となる。
【0084】
なお、操作部40からの操作により、負荷判定部46の判定結果の修正ができるようにしても良い。例えば、制御部45は、表示部41に判定結果を表示させたあと、操作部40からの入力操作により、判定結果を修正する操作が入力されると、修正された判定結果に応じて誘導加熱動作又は電力伝送動作を実施する。
これにより、使用者からの操作により判定結果を修正することが可能となる。よって、負荷判定部46の負荷判定の結果と、実際に天板4上に載置した負荷とが一致していない場合に、受電装置200に対して加熱動作させたり、被加熱物5に対して電力伝送動作をさせることがなくなる。
【0085】
実施の形態8.
以下、本実施の形態8における誘導加熱調理器100の構成及び動作を、上記実施の形態1〜7との相違点を中心に説明する。
【0086】
本実施の形態8における制御部45は、負荷判定部46によって負荷判定が行われた際、インバータ回路123の出力側のインピーダンスに関する情報(学習データ)をメモリ48に記憶させる。そして、次回の負荷判定動作において、負荷判定部46は、メモリ48に記憶した情報に基づき、インバータ回路123の駆動周波数の変化量を設定する。
【0087】
例えば、負荷判定動作において、受電装置200の共振特性(周波数とインピーダンスとの関係)を、メモリ48に記憶させる。そして、次回以降の負荷判定動作においては、メモリ48に記憶された情報(学習データ)に基づき、駆動周波数を変化させる。例えば、
図5に示した共振特性である場合において、駆動周波数を高い周波数から低い周波数へ変化させる場合、50kHz、30kHzの2点のみでインピーダンス(コイル電流)を検知し、受電装置200で有るか否かの判定を行う。これにより、負荷判定動作の高速化を図ることができる。
【0088】
例えば、負荷判定動作において、予め設定した周波数間隔に(例えば5kHz毎)にインピーダンス値又はコイル電流値をメモリ48に記憶させる。そして、次回以降の負荷判定動作において、インバータ回路123の駆動周波数を変化させる際、前回のインピーダンス値又はコイル電流値の変化量が少ない周波数範囲帯をスキップする。
また例えば、負荷判定動作において、インピーダンス(コイル電流)の変化量がピークとなる周波数をメモリ48に記憶させる。そして、次回以降の負荷判定動作において、インバータ回路123の駆動周波数を変化させる際、前回の負荷判定動作において、変化量がピークとなった周波数を含む所定の周波数範囲のみ、インバータ回路123の駆動周波数を変化させる。
【0089】
このように、メモリ48に記憶されたに基づき、インバータ回路123の駆動周波数の変化量を設定するので、負荷判定を高速化し、使用者が使用する受電装置200の共振特性を学習することにより、より正確な負荷判定をすることができる。
【0090】
なお、前回の負荷判定動作で記憶した受電装置200の共振特性(学習データ)と、次回以降の負荷判定動作において判定する受電装置200の共振特性が大きく異なる場合には、インバータ回路123の駆動周波数を予め設定した範囲で汎化させる通常の負荷判定動作を行うようにしても良い。
【0091】
実施の形態9.
上記実施の形態1〜8においては、受電装置200への電力の伝送と被加熱物5の加熱とを行う誘導加熱調理器100について説明した。本実施の形態9では、被加熱物5の加熱を行う機能を省略し、受電装置200への電力の伝送のみを行う非接触電力伝送装置300について説明する。
【0092】
図9は、本発明の実施の形態9に係る非接触電力伝送装置と受電装置の構成を示すブロック図である。
図9において、非接触電力伝送装置300と、受電装置200とにより非接触電力伝送システムを構成している。
【0093】
図9に示すように、非接触電力伝送装置300は、給電コイル14から発生する高周波磁界(電磁場)内に、受電装置200を支持するように構成された支持体301を備える。
受電装置200の構成は、上記実施の形態1〜8と同様である。
非接触電力伝送装置300の給電コイル14は、受電装置200の受電コイル65に対応した例えば円形の平面形状を有し、絶縁被膜された任意の金属(例えば銅、アルミなど)からなる導電線が円周方向に巻回されることにより構成されている。非接触電力伝送装置300のその他の構成は、上記実施の形態1〜8と同様である。
本実施の形態9における制御部45の負荷判定部46は、上述した負荷判定動作を行う。また、本実施の形態9における制御部45は、上述した電力伝送動作を行う。
【0094】
このように、非接触電力伝送装置300の支持体301は、受電装置200を非接触電力伝送装置300の下方に支持するように構成しても良い。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、受電装置200を非接触電力伝送装置300に対して任意の位置に支持しても良い。
【0095】
また、非接触電力伝送装置300は、加熱動作を行わない構成でも良い。このような構成においても、受電装置200へ適切な電力を供給することができる。
また、受電装置200のインピーダンスの共振特性を利用して、負荷判定を行うので受電装置200か否かを容易にかつ確実に判定することができる。よって、受電装置200へ適切な電力を供給することができる。したがって、信頼性の高い非接触電力伝送システムを得ることができる。