特許第6559396号(P6559396)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559396離脱式金属バルーン送達デバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559396
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】離脱式金属バルーン送達デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20190805BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   A61B17/12
   A61B17/00
【請求項の数】31
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-549617(P2013-549617)
(86)(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公表番号】特表2014-508574(P2014-508574A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】US2012021620
(87)【国際公開番号】WO2012099909
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2015年1月16日
【審判番号】不服2017-15598(P2017-15598/J1)
【審判請求日】2017年10月20日
(31)【優先権主張番号】61/433,305
(32)【優先日】2011年1月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515254725
【氏名又は名称】メタクティブ・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Metactive Medical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】エフ・ニコラス・フラナノ
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・ステフェンソン
【合議体】
【審判長】 高木 彰
【審判官】 長屋 陽二郎
【審判官】 沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−520881(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0288083(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/028310(WO,A2)
【文献】 米国特許第4638803(US,A)
【文献】 特表2004−536672(JP,A)
【文献】 実開平4−13155(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/10 - 25/12
A61M 29/00 - 29/04
A61F 2/82 - 2/945
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内腔を画定する近位端および遠位端を有する第1の円筒状部材と第2の内腔を画定する近位端および遠位端を有する第2の円筒状部材とを含むカテーテルと、
金の連続層を含む圧縮状態のバルーンであって、前記バルーンは単一のローブを含み、前記単一のローブは壁を有し、前記壁は、中央空隙を画定する内部表面と外部表面とを有し、前記壁の開口部により、前記第1の内腔から前記中央空隙内への流体移動が可能になる、バルーンと
を備え、
前記バルーンの前記中央空隙と前記カテーテルの前記第1の内腔とは流体接続されており、
前記カテーテルと前記バルーンが離脱可能に係合されており、
前記カテーテルは、前記近位端の流体源からの流体を前記第1の内腔を通して前記遠位端のバルーンの中央空隙に送達するように寸法決定されており、
前記カテーテルは、前記第2の内腔を通して誘導部材またはガイドワイヤの通過を可能にするように寸法決定され、前記第2の内腔は、バルーンを全体的に通過し、
流体が前記カテーテルから圧縮状態のバルーンの前記中央空隙内へと移動することにより、前記バルーンが拡張し、
前記拡張されたバルーンおよび前記カテーテルを分離することができるように医療用デバイスを構成し、
前記拡張されたバルーンは、動脈、静脈、動脈瘤または他の血管構造内に配置した場合、拡張および前記カテーテルからの離脱の後、前記拡張されたバルーンの内部および外部の圧力が同等である場合においても、または前記拡張されたバルーンの中央空隙内に剛性材料を用いることなく、インビボで拡張状態のままであるのに十分な剛性を有する、
動脈、静脈または血管構造を閉塞するための医療用デバイス。
【請求項2】
前記バルーンは、拡張状態において、概して球形形状を取る、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
前記バルーンが、2mm〜100mmの範囲の拡張された直径を有する、請求項2に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
前記バルーンは、拡張状態において、概して円筒形状を取る、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
拡張状態の円筒形状の前記バルーンは、円形の端部を有する、請求項4に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
前記バルーンが、2mm〜100mmの範囲の拡張された直径および2mm〜120mmの範囲の拡張された長さを有する、請求項4または5に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記バルーンが、ポリマー層またはポリマーコーティングを更に含む、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
前記バルーンの金の部分の少なくとも一部分が1つの層内に形成され、前記ポリマー層またはポリマーコーティングが前記金の層の内部にある、請求項7に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
前記金の層および前記ポリマーが共に接着されている、請求項8に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
前記バルーンの金の部分の少なくとも一部分が1つの層内に形成され、前記ポリマー層またはポリマーコーティングが前記金の層の外部にある、請求項7に記載の医療用デバイス。
【請求項11】
前記ポリマー層またはポリマーコーティングが、拡張時に前記バルーンからの流体の漏れを低減するように構成されている、請求項7〜8のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
前記ポリマー層またはポリマーコーティングが連続層である、請求項7〜8および11のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
前記ポリマー層またはポリマーコーティングの厚さが0.5〜59μmである、請求項7〜8および11〜12のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項14】
前記バルーンの壁の合計の厚さが3〜60μmである、請求項1および8〜13のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項15】
前記バルーンの前記外部表面は、微小突起を含む、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項16】
前記突起の長さが0.01〜57μmの範囲である、請求項15に記載の医療用デバイス。
【請求項17】
前記カテーテルの壁が、ポリウレタン、シリコーン−ポリカーボネートコポリマー、ポリエチレンエチル−ビニル−アセテートコポリマー、織りポリエステル繊維、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項18】
前記カテーテルの直径が、2/3〜5/3mm(2〜5Fr)である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項19】
前記カテーテルの長さが、5〜300cmである、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項20】
前記バルーンの中央空隙に加圧した水または生理食塩水を注入することによって、前記圧縮状態のバルーンを拡張することができる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項21】
前記バルーンが、近位首部および遠位首部の一方または両方を含む、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項22】
前記バルーンが、バルーン本体から突出する近位首部を含む、請求項21に記載の医療用デバイス。
【請求項23】
前記バルーンおよび前記カテーテルが、接着剤、接着結合、糊、はんだまたは溶接なしに摩擦によって連結され、更に前記拡張されたバルーンは保持するが、前記カテーテルを引くことによって、前記拡張されたバルーンおよび前記カテーテルを引き離すことができる、請求項1または22に記載の医療用デバイス。
【請求項24】
前記バルーン本体から突出する近位首部が、前記カテーテルの遠位端の周囲に嵌合されるように構成されており、
弾性スリーブもしくはラップが前記バルーンの近位首部の少なくとも一部の周囲に拡張して、前記カテーテルの遠位端に対して、前記バルーンの近位首部を保持する、請求項23に記載の医療用デバイス。
【請求項25】
前記バルーンの近位首部および遠位首部の少なくとも一方が、前記カテーテルから分離した後、封止を形成するように構成されている、請求項21に記載の医療用デバイス。
【請求項26】
前記バルーンの遠位首部が、前記カテーテルから分離した後、封止されるように構成されている、請求項21に記載の医療用デバイス。
【請求項27】
前記バルーンが、接着剤、接着結合、糊、はんだまたは溶接によって、前記カテーテルに取り付けられる、請求項21および22のいずれか1項に記載の医療用デバイス。
【請求項28】
電流を伝導するための少なくとも1つの絶縁された伝導性ワイヤが、前記カテーテルの長手方向に沿って、前記カテーテルの少なくとも1つの近位端から前記カテーテルの少なくとも1つの遠位端へ延びており、前記バルーンが患者内にある時、伝導性ワイヤを通る電気の通過により電解によって前記バルーンの近位首部の一部を溶解し、拡張したバルーンおよび前記カテーテルの分離を可能にするように構成されている、請求項27に記載の医療用デバイス。
【請求項29】
前記伝導性ワイヤが直流電流を通す、請求項28に記載の医療用デバイス。
【請求項30】
溶解された前記バルーンの近位首部の一部が、露出した導電材料のストリップを含む、請求項28に記載の医療用デバイス。
【請求項31】
前記第1の円筒状部材と前記第2の円筒状部材は、第3の円筒状部材内に収容されている、請求項1に記載の医療用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Detachable Metal Balloon Delivery Device and Method」と題する、2011年1月17日に出願された米国特許仮出願第61/433,305号の優先権を主張し、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、送達デバイスを利用して、体内の所望の位置に送達することができる、拡張型の離脱式金属バルーンの種々の形態に関する。本発明はさらに、バルーンをカテーテル送達デバイスに取り付ける方法、バルーンを圧縮する方法、圧縮されたバルーンを血管もしくは動脈瘤の選択されたセグメントの内腔内に位置付ける方法、バルーンを膨張させ、拡張させる方法、および、次いで、バルーンが拡張状態で定位置のままで、一方カテーテルが取り外されるように、バルーンをカテーテルから分離する方法に関する。さらに、本発明は、バルーンを所望の位置に位置付け、かつ膨張もしくは拡張させるためのカテーテルを含む、種々の送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
スウェーデンの血管造影における先駆者のSven−Ivar Seldingerは、血管内の前進中にカテーテルを支持する手段として、血管内への挿入のために可撓性ワイヤを適用した。その後、バルーンを含むカテーテルが開発され、血管を閉塞するために使用されている。ある特定の例において、これらのカテーテルのバルーン部分は、しばしば、血管を永久的に閉塞する目的で、カテーテル部分から分離または「離脱され」、カテーテル部分は取り外される一方、体内に残すことができる。従来の離脱式バルーンは、流体または気体を用いて伸張することによって膨張し、拡張することができる、シリコーン等の適合性非多孔性材料から形成され、カテーテルからのバルーンの離脱後に、バルーン圧力を維持するための弁を含む。
【0004】
時が経て、適合性離脱式シリコーンバルーンが、主な欠点を有したことが発見された。第1に、バルーンの平滑表面および材料特性は、閉塞された血管壁からの組織の組み込みを促進しなかった。したがって、離脱したバルーンは、遊動する傾向があり、血管系内の非標的位置に移動し、したがって、非標的血管の閉塞をもたらした。第2に、これらのバルーン上の弁は、しばしば、漏出し、適合性バルーンは、次いで、収縮され、バルーン移動のリスクを増大し、許容されない血管再開通率をもたらす。最後に、膨張されたとき、これらのバルーンは、弾性であり、膨張および離脱後の再形成に対して抵抗性がある。最後に、これらのバルーンの表面は、薬剤または他の薬理活性分子を送達するのに、特に好適ではない。
【0005】
より近年では、コイル状金属ワイヤ(コイル)の短いセグメントは、血管および血管動脈瘤を閉塞するための医療用デバイスとして支持されてきた。コイルを用いて血管もしくは動脈瘤を治療するために、手術者は、カテーテルを血管系の内腔内に挿入し、カテーテル先端を所望の位置に操作する。定位置にあるカテーテル先端を用いて、手術者は、小さいコイルを、カテーテルを通して血管の内腔もしくは動脈瘤の空洞内に通過させる。多くのコイルが、しばしば、血管もしくは動脈瘤を完全に閉塞するために必要であり、高い費用および長期の治療時間をもたらす。また、コイルは、処置中に、不注意に治療位置から離れて移動し、非標的血管を閉塞し得、それによって、手術者は、やむを得ず非標的位置からコイルを回収する。
【0006】
動脈瘤を治療するために金属バルーンを利用する、他の先行デバイスは、膨張、次いで、収縮が効果的であることを必要とする。例えば、Hinesによる米国特許公開第2007/0288083号は、バルーンの一方のローブ(lobe)が、動脈瘤内に挿入され、他方のローブが、親血管内のままであり、各ローブが、血管と動脈瘤との間の開口部の1つの側面を被覆する扁平なディスクを形成するように、両方のローブが、膨張され、次いで、収縮される、二重ローブ(bi−lobed)金属バルーンを説明する。この医療用デバイスは、いくつかの欠点を有する。例えば、空隙は、動脈瘤の内腔内のままであり、不完全な動脈瘤血栓症または再開通をもたらすことができる。加えて、崩壊したデバイスの一部分は、隣接する親血管の内腔内に突出し、ある程度の血管狭窄および不規則性をもたらし、治療された血管の血栓形成、内膜過形成、および狭窄のリスクを増大させる。
【0007】
したがって、空隙を充填するために膨張させ、弁の必要性なく、膨張されたまま送達デバイスから離脱させることができ、かつその後、所望の空隙に嵌合するように成形することができる、離脱式金属バルーンを有する医療用デバイスに対する必要性が存在する。その上、局所的薬物送達を提供するデバイスを有することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、種々のデバイスを利用して所望の位置に送達することができ、かつ剛性もしくは半剛性の拡張された形態に拡張することができる材料からなる、バルーンに関する。本発明はさらに、圧縮されたバルーンを、血管もしくは動脈瘤の内腔内に定置する方法、バルーンを膨張させ、拡張する方法、および、次いで、バルーンを拡張もしくは膨張状態で定位置に残したまま、バルーンを送達デバイスから離脱させる方法に関する。さらに、本発明は、バルーンを所望の位置に位置付け、かつ膨張させ、拡張させるためのカテーテル等の種々の送達デバイスに関する。カテーテルおよび変性注入ワイヤは、かかる送達デバイスの例である。したがって、本発明は、例えば、拡張された金属バルーンを動脈瘤内に残すことによって、動脈瘤を治療するために使用することができる。さらに、金属バルーンの表面は、組織内成長を促進し、薬物、薬理活性分子、または薬理組成物を放出するように構成することができる。
【0009】
本発明は、血管もしくは動脈瘤、または他の血管異常を治療する際に使用するための、金属等の剛性もしくは半剛性材料を備えるバルーンに関する。一実施形態において、バルーンは、内部表面、外部表面、および約3μm〜60μmの範囲の厚さを有する壁を有する、単一ローブ(single−lobed)金属バルーンである。バルーンはまた、流体の通過を可能にする開口部を有する。バルーンの壁は、約0.1mm〜約20mmの範囲の直径を有する開口部を画定する。一実施形態において、バルーンは、壁の外部表面上に位置する外部層を有する。外部層は、多孔性構成を有し、例えば、スポンジ状金属、または、薬物、薬理活性分子、薬理組成物を含む流体もしくは固体材料を保持することができる、任意の他の多孔性材料から作製される。血栓症または組織増殖を促進する、任意の組成物を使用することができる。バルーンは、約2mm〜約100mmの範囲の拡張された直径、約0.004cc〜約100ccの範囲の拡張された容積、および約2mm〜約120mmの拡張された長さを有し得る。
【0010】
バルーンは、任意に、開口したままであるか、または離脱時に封止することができる開口部を画定する、首部または茎部を有する。バルーンの壁は、金、白金、銀、チタン、バナジウム、アルミニウム、ニッケル、タンタル、ジルコニウム、クロム、シリコン、マグネシウム、ニオブ、スカンジウム、コバルト、パラジウム、マンガン、モリブデン、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属から作製され得る。他の剛性材料、または材料の組み合わせは、それらが、圧縮状態から拡張状態に拡張することができ、通常の条件下で、それらの形状を維持しながら、体内で拡張されたままであるかぎり、使用することができる。外部層は、金、白金、銀、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、金属から作製され得る。
【0011】
別の実施形態において、外部層は、約0.05μm〜約100μmの範囲の直径の複数の孔を有する。外部層はまた、トロンビン、エチオドール(Ethiodol)(登録商標)、ソトラデコル(Sotradecol)(登録商標)、血小板由来成長因子、およびそれらの組み合わせ等の血栓症を促進するもの、または、細胞および組織成長を促進するものを含む、薬物、薬理活性分子、または薬理組成物の懸濁液も含む。
【0012】
別の実施形態において、2つ以上の医療用デバイスのバルーンは、空隙を充填するために組み合わせて使用し得る。加えて、第2、第3、またはそれ以上のバルーンが、第1のバルーンによって充填されない残りの空隙を充填するために必要であり得る。これらのデバイスのバルーンは、典型的には、バルーン壁の外部表面上に外部層を有する。これらの金属バルーンの外部層は、バルーンの壁内への組織の成長を可能にする多孔性で作製することができるか、または薬物、薬理活性分子、または薬理組成物を放出するように構成することができる。
【0013】
本発明はまた、離脱式金属バルーンを用いて、動脈瘤を治療する方法、血管を閉塞する方法、または他の血管異常を治療する方法にも関する。本方法は、送達デバイスを使用して、バルーンを所望の位置に位置付けるステップと、流体を用いて、バルーンを膨張させ、拡張させるステップと、バルーンを所望の位置で拡張状態に残したまま、送達デバイスをバルーンから離脱させるステップとを含む。一実施形態において、バルーンは、延性材料から作製される。
【0014】
別の実施形態において、本方法はまた、針を用いて血管にアクセスするステップと、針を介してガイドワイヤを挿入するステップと、針を取り外すステップと、任意に、血管シースを血管内に挿入するステップと、を含む。本方法はまた、ガイドワイヤを所望の位置に位置付けるステップと、カテーテル送達デバイスを挿入するステップと、カテーテル送達デバイスをガイドワイヤの上を前進させるステップと、それを所望の位置に位置付けるステップと、を含む。本方法はまた、バルーンを膨張させ、拡張させるステップと、バルーンをカテーテル送達デバイスから離脱させるステップと、カテーテル送達デバイスを取り外すステップと、ワイヤを取り外すステップと、シースを取り外すステップと、を含む。バルーンは、バルーン外部表面の少なくとも50%〜少なくとも90%が空隙の表面に接触するように、膨張される。バルーン外部表面は、任意に、約0.05μm〜約100μmの範囲の直径を有する孔を有する、多孔性外部層を含む。
【0015】
別の実施形態において、本方法はまた、針を用いて血管にアクセスするステップと、針を介してガイドワイヤを挿入するステップと、針を取り外すステップと、任意に血管シースを血管内に挿入するステップと、を含む。本方法はまた、カテーテルをガイドワイヤの上で前進させることによって、カテーテルを所望の位置に前進させるステップと、ガイドワイヤを取り外すステップと、カテーテルの内腔を通してワイヤ送達デバイスを挿入するステップと、それを所望の位置に位置付けるステップと、を含む。本方法はまた、バルーンを膨張させ、拡張させるステップと、バルーンをワイヤ送達デバイスから離脱させるステップと、ワイヤ送達デバイスを取り外すステップと、カテーテルを取り外すステップと、シースを取り外すステップと、を含む。バルーンは、バルーン外部表面の少なくとも50%〜少なくとも90%が空隙の表面と接触するように、膨張される。バルーン外部表面は、任意に、約0.05μm〜約10μmの範囲の直径の孔を有する多孔性外部層を含む。
【0016】
他の実施形態において、本方法はさらに、薬学的薬剤、または薬理活性分子の溶液もしくは懸濁液を、バルーン外部表面の外部層内に定置するステップと、拡張されたバルーンを所望の位置に位置付け、バルーンを定位置に残すことによって、薬学的薬剤もしくは薬理活性分子を所望の位置に送達するステップとを含み、分子の少なくともいくつかは、バルーンを出て囲繞する組織内に拡散する。本方法は、バルーンの開口部を送達デバイスに溶接すること、もしくははんだ付けすることと、バルーンをバルーンと送達デバイスとの間の溶接もしくははんだを溶解するための電解によって送達デバイスから離脱させることと、を含む。本方法はまた、バルーンを送達デバイスに糊付けすることと、膨張され、拡張されたバルーンを、機械的手段によって、またはバルーン自体の金属部分の電解によって、送達デバイスから離脱させることと、を含み得る。追加のステップは、送達デバイスからの離脱後に、拡張され、離脱したバルーンの開口部に外部力を印加して、バルーンを封止することと、を含み得る。
【0017】
本発明はまた、金属バルーンを位置付け、膨張させるための送達デバイスに関する。本デバイスは、上述のバルーンと同様の離脱式単一ローブ金属バルーンを含む。本デバイスはまた、流体源を有するか、そこに接続することができるカテーテルと、カテーテルを所望の位置に前進させるための誘導部材と、カテーテルをバルーンから離脱させるための離脱部材とを含む。カテーテルの代わりに、変性注入ワイヤを使用することができ、それによって、注入ワイヤが、ワイヤコアの周囲に巻き付けられたコイル部材からなる。実際には、位置付けられると、ワイヤコアは、取り外され、新たに作成された内腔を使用して、ワイヤハブからバルーンに流体を送達して、膨張による拡張をもたらす。
【0018】
したがって、誘導部材は、医療用デバイスを所望の位置に位置付けるための任意のデバイスもしくはシステムであってもよい。典型的には、誘導部材は、可撓性ガイドワイヤである。可撓性ガイドワイヤは、柔軟な丸みを帯びた先端もしくはJ形状の先端を有し得る。
【0019】
離脱部材は、バルーンをカテーテルから離脱させるための任意のデバイスもしくはシステムであってもよい。例示的な離脱部材は、細長い電解ワイヤである。電解ワイヤは、電流を運んで、カテーテルとバルーンとの間の溶接部もしくははんだを溶解し、それによって、カテーテルをバルーンから離脱または分離する、絶縁された伝導性ワイヤであり得る。あるいは、電解ワイヤは、電流を運んで、バルーン自体の金属部分を溶解し、それによって、カテーテルをバルーンから離脱または分離する、絶縁された伝導性ワイヤであり得る。別の実施形態において、バルーンの開口部は、送達デバイスに溶接され、バルーンは、溶接を溶解する電解によって送達デバイスから離脱される。あるいは、機械的離脱が、カテーテルがバルーンから物理的に分離される場合に生じてもよい。
【0020】
カテーテルは、1つ以上の内腔を画定する、1つ以上の中空の円筒状部材を含む。典型的には、カテーテルは、単一内腔カテーテル、または二重内腔カテーテルであり、第1の円筒状部材は、バルーンが定位置にあるとき、流体源からバルーンに流体を送達するように寸法決定され、第2の円筒状部材は、誘導部材の上を通過するように寸法決定される。単一円筒状部材が使用される場合、流体は、単一円筒状部材を介して流体源からバルーンに送達され、デバイスは、デバイスを誘導するように機能する別個のカテーテルの内腔を介して定位置に前進させられる。
【0021】
バルーンは、カテーテルの外側に取り付けられ得る。一実施形態において、バルーンは、バルーンをカテーテルの外側に取り付ける前、または取り付けた後に、1つ以上の襞を形成するように折り畳まれ、襞は、不適合な血管形成バルーンの折り畳みと同様に、圧延され、圧縮される。種々の他の実施形態において、襞バルーンは、可撓性ガイドワイヤの端部上に嵌合し、別個のカテーテルの中空の円筒状部材内を移動するように折り畳まれ、圧縮される。折り畳まれ、圧縮されたバルーンは、カテーテルの内腔を通って移動し、所望の位置で出現する。所望の位置および誘導のために使用されるカテーテルの外側になると、バルーンは、膨張され、拡張され、送達デバイスから分離される。
【0022】
特定の実施形態において、カテーテルは、内腔を画定する、中空の円筒状部材を有する。円筒状部材は、流体源に取り付けられるか、または取り付けることができる、近位端を有する。円筒状部材は、ポリマーブレンドで作製され、約0.05mm〜約0.5mmの範囲の壁厚を有する。画定された内腔は、約0.15mm〜約2.2mmの範囲の直径を有する。カテーテルはまた、ガイドワイヤを受容するための第2の円筒状部材を含み得る。種々の他の実施形態において、離脱部材は、円筒状部材の外側表面上に位置し、流体源は、円筒状部材を介して、バルーンに気体、液体、またはそれらの組み合わせを送達する。他の実施形態において、バルーンは、挿入前にカテーテルに取り付けられる。取り付けは、金属溶接、糊付け、または圧着を介して行われ得る。
【0023】
したがって、バルーンを送達して、動脈もしくは静脈等の生物学的導管、または動脈瘤等の生物学的導管異常を閉塞するために利用することができる、バルーンおよび送達デバイスが提供される、
【0024】
別の実施形態において、バルーンを膨張させ、拡張させるために使用される流体は、血栓形成を促進する薬物または薬理活性分子を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1A〜Eは、離脱式金属バルーン医療用デバイスの金属バルーンの実施形態を図示する。
図2図2A〜Cは、離脱式金属バルーン医療用デバイスの金属バルーンの実施形態を図示する。
図3図3Aは、離脱式金属バルーン医療用デバイスのカテーテル部分の一実施形態の長手方向図を図示する。図3B〜Cは、離脱式金属バルーン医療用デバイスの一実施形態の長手方向図を図示する。
図4図4Aは、離脱式金属バルーン医療用デバイスのカテーテル部分の一実施形態の長手方向図を図示する。図4B〜Cは、離脱式金属バルーン医療用デバイスの一実施形態の長手方向図を図示する。
図5】バルーンが膨張している、離脱式金属バルーン医療用デバイスの一実施形態の長手方向図を図示する。
図6】バルーンが膨張している、離脱式金属バルーン医療用デバイスの一実施形態の長手方向図を図示する。
図7図7A〜Eは、離脱式金属バルーン医療用デバイスの一実施形態を用いる、バルーンの位置付け、拡張、および離脱の順を図示する。
図8図8A〜Eは、離脱式金属バルーン医療用デバイスの一実施形態を用いる、バルーンの位置付け、拡張、および離脱の順を図示する。
図9図9A〜Eは、離脱式バルーン送達デバイスの実施形態の軸方向断面図を図示する。
図10図10A〜Cは、離脱式バルーン送達デバイスの実施形態の軸方向断面図を図示する。
図11図11A〜Cは、離脱式金属バルーン医療用デバイスのカテーテル部分として使用し得る、取り外し可能なコアワイヤの実施形態を図示する。
図12】1つ以上のコイルまたは支持構造で充填された離脱式金属バルーンの一実施形態を図示する。
図13図13A〜Bは、金属バルーンを送達デバイスに取り付けるための手段を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1A〜Eに示される、本発明の離脱式金属バルーン100は、位置付けられると、膨張され、拡張され、かつ拡張された状態のまま、血管を閉塞し、動脈瘤を含む多くの血管状態もしくは異常を治療する、バルーンである。カテーテル300等の送達デバイスを使用して、バルーン100を所望の位置に送達する。図3〜6に示される、カテーテル、および取り付けられたバルーンを含む、医療用デバイス500は、血管を閉塞するか、または動脈瘤等の血管状態もしくは異常を治療するための方法の一部として使用することができる。
【0027】
離脱式金属バルーン100は、図1Eに示されるように、単一の連続層もしくは壁102からなり得る。あるいは、バルーン100は、図2A〜Cに示されるように、単一の連続壁102、および1つ以上の多孔性層104を含む追加の層を含み得る。バルーン100は、流体を用いて膨張され、拡張されたとき、空間もしくは空隙108を画定する内部表面106を有する。バルーン100は、拡張されたとき、血管もしくは血管構造の内部壁と接触する、外部表面110を有する。流体は、それらの相対位置を容易に移動し、変化する、粒子を有する物質である。バルーン100を膨張もしくは拡張させるために使用することができる流体には、液体、気体、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
外部層104は、薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物を含み得る多くの孔200を有することができる。有利に、バルーン100は、所望の位置に送達され、膨張され、拡張され、次いで、拡張状態でカテーテル300等の送達デバイスから離脱させることができる。拡張されたバルーン100は、典型的には、それが定置される空洞の形状と一致するが、隣接の拡張された血管形成バルーンによって印加される物理的力等の外部力を用いて成形することもできる。加えて、複数の離脱された金属バルーン100を利用して、所望の空隙を充填することができる。最後に、本発明は、具体的に、拡張状態で、血管もしくは動脈瘤の内腔もしくは空隙内に残る離脱式金属バルーンに関する。
【0029】
金属バルーン100は、カテーテル300等の送達デバイスに取り付けられ、所望の位置に送達される。血管内腔を通してバルーン100を送達し、バルーンを膨張または拡張させ、そこから分離することができる、任意の送達デバイス部材は、一般に、許容される。本明細書に使用されるとき、バルーンの膨張または拡張は、流体、固体、またはそれらの組み合わせを使用する、バルーン100の部分的もしくは完全な膨張を指す。種々の実施形態において、バルーン100は、血管を閉塞するために完全に膨張させる必要がない。例えば、バルーン100は、流体を使用して部分的もしくは完全に膨張され得る。別の例において、バルーン100は、固体材料のみを使用して、または流体膨張と組み合わせて、部分的もしくは完全に拡張され得る。すべての実施形態において、バルーンは、送達デバイスからの離脱後に、拡張状態のままである。拡張状態は、最大バルーン容積の少なくとも10%、20%、または50%等のバルーン100の少なくとも部分的な膨張を指す。
【0030】
カテーテルは、流体の注入もしくは抜脱を可能にするための管、血管、経路、または体腔内への挿入のための管状医療用デバイスである。血管の内腔内への挿入用に設計されたカテーテルは、典型的には、可撓性であり、しばしば、プラスチックもしくは金属からなる。ある特定の状況において、カテーテルは、カテーテルの管状部分によって画定される内腔を占領するワイヤもしくはトロカールを用いて、体内に定置される。定置されると、ワイヤもしくはトロカールは、流体の注入もしくは抜脱を可能にするために、取り外すことができる。
【0031】
ワイヤは、通常、非常に可撓性の糸もしくは細長いロッドの形態の金属である。基本的な血管造影ガイドワイヤは、金属バネコイルによって被覆された、固定された固体金属コアからなる。注入ワイヤは、変性ガイドワイヤであり、組織プラスミノーゲン活性因子の溶液、血栓の崩壊を触媒するタンパク質等の流体の注入もしくは抜脱するために使用することができる内腔を残したまま、固体金属コアを取り外すことができる。このようにして、取り外し可能なコアワイヤを有する注入ワイヤは、カテーテルとして使用することができる。図11A〜Cは、金属バネコイルワイヤ1100および取り外し可能なコアワイヤ1102を有する注入ワイヤの種々の例を図示する。図11Cは、コアワイヤ1102が取り外された変性ガイドワイヤ1100の部分的断面を図示する。
【0032】
好ましくは、送達デバイスは、図3A〜Cに示される、バルーン100を所望の部位に運ぶことができる、カテーテル300である。カテーテル300はまた、バルーンを膨張させ、拡張させるために使用される流体の通過も可能にしなければならない。カテーテル300は、内腔を画定する、少なくとも1つの中空の円筒状部材として画定され、カテーテルは、それが体内に挿入され、バルーン100を所望の位置に送達し、バルーンを膨張もしくは拡張させ、そこから分離することができるように設計され、寸法決定される。カテーテル300は、少なくとも1つの中空の円筒状部材、どちらかといえば、2つの中空の円筒状部材を含む可能性が高い。カテーテルが、2つの円筒状部材を含むとき、1つの円筒状部材は、ガイドワイヤ302等の誘導部材とともに動作して、デバイスを所望の位置に誘導することができる。離脱部材もまた、カテーテルとともに利用することができ、それによって、離脱部材は、円筒状部材のうちの1つの外側表面上に、もしくは壁内に運ばれるか、または円筒状部材のうちの1つの内腔を通過する。第2の円筒状部材は、流体を送達して、バルーン100を膨張もしくは拡張させ、バルーン100は、円筒状部材の外側壁上に位置することができる。代替物は、流体が円筒状部材を通過して、バルーンを膨張させ、拡張させる、単一の円筒状部材を含み、医療用デバイスは、それを膨張させ、拡張させ、離脱させることができる所望の位置に誘導する目的のために、別個のカテーテルを通して前進させられる。
【0033】
本発明の方法は、バルーン100を所望の位置に送達し、次いで、それを拡張状態に膨張させ、拡張させることを含む。拡張されると、送達デバイス(典型的には、カテーテル300)は、拡張されたままのバルーン100から分離される。離脱は、送達カテーテルの先端からバルーンをせん断するためにカテーテルを囲繞する別の円筒状部材を使用する等、機械的分離を介して、または電解方法によって、達成することができる。拡張されたバルーン100は、血管もしくは動脈瘤の内腔の少なくとも一部分を充填し、それによって、その後の血管もしくは動脈瘤からの出血のリスクを低減する。任意に、拡張されたバルーン100の外部層104は、薬物もしくは薬理活性分子を放出して、バルーン100の外部表面110上、および動脈瘤の空洞内の血栓形成を増大させる。任意に、多孔性外部層104は、金属表面内への隣接組織の成長を可能にする。方法の一部として、送達デバイスは、治療面積付近に定置されているガイドワイヤ302を使用して位置付けることができる。この実施形態において、送達デバイスは、定位置に、ガイドワイヤの上を前進させられ、次いで、ガイドワイヤ302は、取り外される。あるいは、方法の一部として、バルーン100は、ガイドカテーテル800を使用して位置付けることができ、図8A〜Eに示されるように、バルーンに取り付けられた送達デバイスは、ガイドカテーテルの内腔を通って動脈瘤の空洞内701に通過し、膨張もしくは拡張され、次いで、送達デバイスから分離される。
【0034】
バルーン
図1A〜Eに説明され、例証されるように、バルーン100は、壁102によって、または1つ以上の首部116および118によって画定される、1つ以上の開口部112および114を有する。流体は、開口部112に進入し、内部表面106によって画定される、空間もしくは空隙108を拡張することができる。内部表面106および外部表面110は、バルーン壁厚120を画定する。バルーン100は、拡張され、送達デバイスからの分離後に拡張されたままになるように構成される。
【0035】
種々の実施形態において、首部116および118のうちの1つもしくは両方は、壁102から離れて突起することができるか、または内部空間もしくは空隙108内に突起する。首部116および118は、バルーンを送達デバイスに取り付けるために使用することができ、バルーン100を送達デバイスから分離する上での役割を果たし得る。
【0036】
離脱式バルーン100は、拡張後に種々の形状を取ることもできる金属から形成される。許容される形状には、球形、円筒形または楕円、ならびに動脈瘤の内腔空隙によって画定される形状が挙げられる。バルーン100が、一般に、管形状を有する一実施形態を使用して、血管の紡錘状動脈瘤拡大を治療することができる。この実施形態を使用して、血管もしくはそれらの分岐からの出血の治療を含む、種々の目的のために、正常な直径の血管を閉塞することもできる。
【0037】
種々の実施形態において、バルーン100の寸法は、治療される状態によって選択される。1つの好ましい実施形態において、バルーン100の膨張した直径は、約2mm〜約100mmの範囲である。同様に、バルーンの好ましい膨張した容積は、約0.005cc〜約65ccの範囲である。一実施形態において、バルーン100は、好ましくは、約2mm〜約120mmの膨張した長さを有する。好ましくは、バルーン壁120は、約3μm〜60μmの範囲であり、開口部112は、約0.1mm〜約20mmの範囲の直径を有する。
【0038】
バルーン100は、1つ以上の生体適合性で、延性の金属から作製される。制限ではなく例として、金属は、金、白金、銀、チタン、バナジウム、アルミニウム、ニッケル、タンタル、ジルコニウム、クロム、シリコン、マグネシウム、ニオブ、スカンジウム、コバルト、パラジウム、マンガン、モリブデン、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。好ましい実施形態において、バルーン100の壁102は、連続的であり、バルーン100の外部層104は、金からなる多孔性金属から作製される。別の実施形態において、壁102および外部層104のうちの1つもしくは両方は、1つ以上の生体適合性で延性の金属から作製される。一実施形態において、壁102および/または外部層104は、電鋳または電気めっきによって形成される。他の実施形態において、壁102および/または外部層104は、ゴム、プラスチック、ポリマー、織りもしくは編み繊維材料、他の半剛性材料、またはそれらの組み合わせからなり得、バルーン100が、バルーンの内側および外側の圧力が同一もしくは同様である場合においても、拡張および離脱後に拡張状態のままであるように構成され得る。1つの特定の実施形態において、外部層は、パリレン(Parylene)(商標)からなる。
【0039】
種々の実施形態において、図2Aおよび2Bに示されるように、壁102は、固体であり、外部層104は、多孔性である。外部層104の多孔性もしくはスポンジ性質は、孔200内に薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物を含むように構成することができる。したがって、薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物は、治療部位に送達することができる。薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物は、バルーン100を所望の位置に位置付ける前に、外部層104の孔200内に組み込まれる。薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物は、毛細管またはウィッキング作用を介して、孔200内に送達され得る。孔200は、約0.05μm〜約100μmの範囲の直径である。各バルーンのための孔の直径は、特定の薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物を特定の速度で送達するように選択され得る。制限ではなく例として、バルーン100は、多孔性外部層104を有し得、孔の直径は、平均すると、約0.05μm〜約5μm、約5μm〜約25μm、または約25μm〜約100μmである。
【0040】
薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物は、外部層104の孔内に直接組み込まれ得るか、溶液および/または懸濁液として組み込まれ得る。制限ではなく例として、医薬品には、トロンビン、エチオドール(Ethiodol)(登録商標)、およびソトラデコル(Sotradecol)(登録商標)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。血栓症および凝固を促進するか、またはバルーン100の多孔性外部壁への隣接組織の成長を刺激する、他の薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物もまた、使用し得る。かかる薬物もしくは薬理活性分子は、バルーン100が、治療位置の組織に物理的に取り付けられるように、細胞もしくは組織成長を促進するための分子を含み得る。薬物または薬理活性分子が外部層104内に組み込まれる用量および方法は、実施される治療に拠って選択することができる。
【0041】
種々の実施形態において、壁102および外部層104は、異なる生体適合性金属からなる。他の実施形態において、壁102および外部層104は、同一の金属からなる。長期にわたり、バルーン100は拡張されたままであり、バルーンが最終的に、囲繞組織に付着するようになる。別の実施形態において、図12に示されるように、バルーン100は、金属性もしくはポリマー性コイル、金属性もしくはポリマー性拡張型構造、ビーズ、ボール、微小球、またはそれらの組み合わせ等の固体部材1200を用いて充填することができる。他の好適な生体適合性固体材料もまた、使用し得る。
【0042】
あるいは、バルーン100は、図2Cに示されるように、壁102の内部表面上に追加のライナーもしくは層1400を備え得る。バルーン100の壁の内部表面上の追加のライナーもしくは層は、ポリマー、プラスチック、ラテックス、またはゴム、織りもしくは編み繊維材料、金属、他の材料、またはそれらの組み合わせからなり得る。好ましくは、内部層1400は、壁102の内部表面106に接着された、エラストマーコーティングである。内部層1400は、様々な厚さ、好ましくは、約0.5μm〜約59μmの範囲であってもよい。外部層、内部層、および壁の合計の厚さは、壁もしくは壁および2つの層が使用される場合にかかわらず、約3μm〜約60μmである。好ましい実施形態において、内部層1400は、パリレン(Parylene)(商標)であるが、ラテクッス、または他のエラストマーを使用し得る。内部層1400は、壁102に機械的特性(強度等)を追加する。さらに、内部層1400は、任意に、壁の金属部分が欠陥を含む場合に、バルーン100からの流体の漏れを防止する封止を形成することができる。バルーン壁102および任意の追加の層は、流体、液体、気体、または固体を用いてバルーンが拡張されるとき、内部空間もしくは空隙108が画定されるように、内部表面106もしくは126を画定する。
【0043】
別の実施形態において、バルーン首部116もしくはバルーンの外部および/または内部は、パリレン(Parylene)(商標)等のポリマー等の絶縁基板を用いてコーティングされ得、バルーンもしくはバルーン首部の一部は、コーティングされていないままである。コーティングされていない部分は、コーティングプロセス中に意図的にコーティングされずに残され得るか、または、レーザーアブレーションもしくは他の好適なプロセスによってコーティング後に暴露され得る。拡張後、バルーンもしくはバルーン首部のコーティングされていない部分は、電気を伝導するための電解ワイヤ320もしくは他の絶縁された伝導性ワイヤを用いて電気的に連結され得、電流は、電源からバルーンもしくはバルーン首部のコーティングされていない部分まで通過して、電解を実施し、コーティングされていない部分の少なくとも一部分を溶解し、それによって、拡張されたバルーン100を送達カテーテルから分離することができる。
【0044】
送達デバイス
送達デバイスは、図4A〜Cに示されるように単一の内腔、または図3A〜Cに示されるように多内腔カテーテルであり得る。例えば、1つの潜在的なカテーテル300は、二重内腔カテーテルを形成するように、内腔を画定する2つの中空の円筒状部材もしくは管を備える。1つの内腔は、ガイドワイヤ302等の誘導部材の通路用であり、第2の内腔は、バルーン100を膨張させ、拡張させるための、バルーンへの流体もしくは気体の通過用である。一般に、金属バルーンに球形形状を用いる、この実施形態は、血管の限局性、偏心性、球形、および嚢状動脈瘤拡大または動脈瘤を治療するために使用することができる。カテーテル300は、圧縮形態のバルーン100等を用いて、血管系を通過するように構成することができる。カテーテル300は、バルーンからカテーテルを分離し、それによって、拡張されたバルーン100を定位置にしたまま、カテーテルが身体から取り外されることを可能にするための、図3Cに示される電解ワイヤ320等の離脱部材を含む。
【0045】
一実施形態において、中空の円筒状部材は、約0.05mm〜約0.5mmの範囲の壁厚を有する。好ましくは、円筒状壁厚は、約0.05mm〜約0.15mmの範囲である。円筒状部材によって画定された内腔は、約0.15mm〜約2.2mmの範囲の直径を有する。好ましい実施形態において、内腔の直径は、約0.7mm〜約1.57mmの範囲である。一実施形態において、カテーテル300は、収縮形状、圧縮形状、および/または襞形状でカテーテルの外部表面に取り付けられたバルーン100とともに構成される。カテーテル300は、圧縮されたバルーン100が所望の位置になるまで、ガイドワイヤ302の上を前進させ、そこで、バルーンは、拡張され、カテーテルから分離される。別の実施形態において、バルーン100は、収縮形状、圧縮形状、および/または襞形状でカテーテル300に取り付けられる。カテーテル300は、圧縮されたバルーン100が所望の位置になるまで、より大きい誘導カテーテルの内腔を完全に通過するように構成され、そこで、バルーンは、拡張され、カテーテルから分離される。
【0046】
カテーテル300は、生体適合性材料からなる。制限ではなく例として、カテーテル300およびその種々の構成要素は、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、コポリエステルポリマー、熱可塑性ゴム、シリコーン−ポリカーボネートコポリマー、ポリエチレンエチル−ビニル−アセテートコポリマー、織りポリエステル繊維、またはそれらの組み合わせからなり得る。一実施形態において、中空の円筒状部材の壁は、使用中にカテーテル300の制御を強化し、そのねじれを低減するために、編組ステンレス鋼またはニチノール等の金属を用いて強化され得る。
【0047】
制限ではなく例として、誘導部材は、図3、5、および7に図示されるように、別個の可撓性ガイドワイヤ302であり得る。ガイドワイヤ302は、好ましくは、ガイドワイヤの遠位端を用いて、所望の位置に到達するのに十分な長さの、直線で柔軟な先端の血管造影ワイヤであり、近位端は、血管系内への進入地点から外側に、かつそこから離れて延在する。一実施形態において、ガイドワイヤ302は、典型的には、任意の印加された圧力が除去された後に、先端をJ形状に戻す、記憶合金または編組金属から構成される、湾曲したJ形状の遠位先端を有する。
【0048】
図3Aは、離脱式金属バルーン医療用デバイスのカテーテル部分の一実施形態の長手方向図を図示する。図3B〜Cは、離脱式金属バルーン医療用デバイス500の一実施形態の長手方向図を図示する。カテーテル300は、ガイドワイヤ302の上を移動して、バルーン100を送達し、流体を送達して、バルーンを膨張させ、拡張させ、次いで、そこから分離される。カテーテル400は、1つの内腔を画定する(図4、6、および8に見られるような)、単一の中空の円筒状部材もしくは管を含むことができるか、またはカテーテル300は、多くの内腔を画定する(図3、5、および7に見られるような)、複数の中空の円筒状部材を含むことができる。示されるように、カテーテル300の一実施形態に好適な構成は、互いに隣接し、平行する、第1の中空の円筒状部材304および中空の円筒状部材306を含む。中空の円筒状部材304および306は、2つの内腔を画定する。1つの内腔326、流体もしくは気体送達内腔は、流体もしくは気体を提供して、バルーンを膨張させ、拡張させる。他の内腔324、誘導部材内腔は、バルーン100を定位置に位置付けるのを補助するために使用されるガイドワイヤ302を許容する。一実施形態において、中空の円筒状部材304および306は、第3の中空の円筒状部材(図示せず)内に収容され得る。他の実施形態において、第1の中空の円筒状部材304は、第2の中空の円筒状部材306内に位置し得るか、または中空の円筒状部材は、同軸であり得る。
【0049】
第1の中空の円筒状部材306の近位端は、バルーン膨張もしくは拡張ポート308を含む。バルーン膨張もしくは拡張ポート308は、中空の円筒状部材306が、例えば、水、生理食塩水、または放射線不透過性溶液を含有するシリンジ314もしくはポンプ(図示せず)等の加圧流体もしくは気体源と通じることを可能にする。
【0050】
加圧流体源によって提供される潜在的な流体には、液体、気体、またはそれらの組み合わせが挙げられる。制限ではなく例として、流体は、水、生理食塩溶液、放射線不透過性対照溶液、またはこれら3つの混合物もしくはいずれかであり得る。一実施形態において、流体は、バルーン膨張部位において、組織成長および/または血栓症を誘発するために、薬物もしくは薬理的活性分子の溶液もしくは懸濁液をさらに含み得る。別の実施形態において、流体は、バルーン100の膨張もしくは拡張、および拡張された形状の維持に役立つ、ワイヤ、コイル、支持構造、またはアクリルゼラチン微小球等の多くの固体を懸濁する。
【0051】
中空の円筒状部材304の近位端は、ガイドワイヤポート310を含む。ガイドワイヤポート310は、中空の円筒状部材304内へのガイドワイヤ302の挿入を促進する。ガイドワイヤ302は、中空の円筒状部材304を介して供給され、カテーテル300の遠位端から外に延在する。この実施形態において、カテーテル300は、ガイドワイヤ302の上を前進し、血管の選択されたセグメント内、または血管動脈瘤の内腔内に位置付けられる。カテーテル300が所望の位置にあると、取り外し可能なワイヤ404は、送達デバイスから抜脱され、バルーン100は、バルーン膨張ポート308に接続されたシリンジ314によって中空の円筒状部材306に提供された流体によって、膨張もしくは拡張される。ガイドワイヤ302が取り外されると、ガイドワイヤポート310および中空の円筒状部材304は、生理食塩水、放射性不透過性対照剤、またはトロンビン等の薬物溶液等の流体を注入するために使用することができるか、または、流体もしくは血液を吸引するために使用することができる。
【0052】
カテーテル300の直径は、それが使用される特定の血管もしくは空洞の寸法に依って設計を選択することができる。例えば、医療用デバイス500を使用して、脳内のような、小血管もしくは生物学的管を閉塞し得、膨張もしくは拡張前のデバイスの直径は、約2/3〜5/3mm(約2〜5Fr)であり得る。別の例において、医療用デバイス500を使用して、静脈瘤等のより大きい血管を閉塞し得る。この例において、カテーテルの直径は、約2/3〜10/3mm(約2〜10Fr)であり得る。種々の実施形態において、カテーテル300は、非血管生物学的管、または腸皮膚瘻等の生物学的空間との間の異常交通を閉塞するように寸法決定され得る。カテーテル300の長さもまた、体内の進入地と治療される位置との間の距離に依って設計を選択することができる。制限ではなく例として、カテーテルの長さは、約5cm〜約300cmの範囲であってもよい。
【0053】
一実施形態において、バルーン100は、中空の円筒状部材306の遠位端に取り付けられる、開口部112等の1つ以上の開口部を有する。あるいは、バルーン100は、2つの開口部を有し得、第1の開口部112は、中空の円筒状部材306および304の遠位端に取り付けられ、第2の開口部114は、中空の円筒状部材304の遠位端に取り付けられる。この実施形態において、中空の円筒状部材304は、バルーン100の内部を通って延在する。バルーン100は、図3Bに示されるように、カテーテル300の遠位端の外部の周囲に折り畳まれる、圧縮される、および/または巻き付けられる。
【0054】
カテーテル300のこの実施形態もまた、送達デバイスの長さに沿って延在する、電解ワイヤ320もしくは絶縁された伝導性ワイヤ等の離脱部材を含む。離脱部材を使用して、カテーテル300からバルーン100を分離する。一実施形態において、電解ワイヤ320は、図3C、5、および9Bに示されるように、中空の円筒状部材304の外部表面に沿って横たわる。
【0055】
種々の実施形態において、電解ワイヤ320もしくは絶縁された伝導性ワイヤは、電流を伝導することができ、円筒状部材の内腔内、円筒状部材の壁内に位置するか、または円筒状部材の外側に取り付けることができる、細長いワイヤである。
【0056】
電解ワイヤ320は、バルーン100と送達デバイスとの間の溶接部もしくははんだ接合316との電気通信にある。この実施形態において、直流電流もしくは電荷(DC電流)は、バルーン100が膨張された後に、電解ワイヤ320に印加される。DC電流は、溶接部もしくははんだ接合316の少なくとも一部分を溶解し、拡張されたバルーンおよび送達デバイスの分離をもたらし、バルーン100を所望の位置で拡張させたまま、送達デバイスが取り外される。別の実施形態において、電解ワイヤ320は、バルーン100自体との電気通信にあり、バルーン100は、接着剤もしくは他の取り付け方法によって、送達デバイスに取り付けられる。この実施形態において、直接電流もしくは電荷(DC電流)は、バルーン100が膨張された後に、バルーン100に印加される。DC電流は、バルーン100の少なくとも一部分を溶解し、拡張されたバルーンの残り、および送達デバイスの分離をもたらし、バルーン100を所望の位置で拡張させたまま、送達デバイスが取り外される。
【0057】
一実施形態において、膨張されたバルーン100の開口部は、カテーテル300からの離脱後に、開口したままである。他の実施形態において、膨張されたバルーン100の開口部は、カテーテル300からの離脱前、離脱中、または離脱後に閉口される。制限ではなく例として、開口部は、隣接血管形成もしくは成形バルーン等を用いて、外部力を印加することによって封止され得る。すべての実施形態において、バルーン100は、離脱後にその拡張された形状を保持し、圧縮に対して抵抗性がある。バルーン100は、バルーンの壁の剛性が原因で、拡張されたバルーンの内部および外部の圧力が同等または同様である場合においても、拡張されたままである。別の例において、バルーン拡張の維持は、剛性もしくは半剛性材料をバルーン100内に注入することによって補助される。
【0058】
さらに他の実施形態において、バルーン100は、カテーテル300に溶接されないが、圧着等によって、カテーテルに一時的に装着される。これらの実施形態において、バルーン100は、摩擦、および/またはカテーテルを介して、もしくは周囲に挿入された種々の工具によって、カテーテル300から離脱される。
【0059】
他の実施形態において、バルーン100は、カテーテル300に溶接されないが、接着剤を用いてカテーテルに装着される。これらの実施形態において、バルーン100は、摩擦、電解、および/またはカテーテルを介して、もしくは周囲に挿入された種々の工具によってカテーテル300から離脱される。
【0060】
図4Aは、離脱式金属バルーン医療用デバイスのカテーテル部分の一実施形態の長手方向図を図示する。図4B〜Cは、離脱式金属バルーン医療用デバイス500の一実施形態の長手方向図を図示する。この実施形態は、取り外し可能なワイヤ404を受容するための単一の中空の円筒状部材306を有する、単一の内腔カテーテル400を含む。カテーテルの壁は、先述のように、プラスチックもしくはポリマー材料からなってもよい。別の実施形態において、カテーテルの壁は、巻き金属コイルからなる。この実施形態において、中空の円筒状部材306および取り外し可能なワイヤ404は、組み合わせて、既存の注入ワイヤと同様である。中空の円筒状部材306は、近位端において接続ポート308を含み、溶接、接着剤、または圧着等を用いて、遠位端のバルーン100に取り付けられる。図4Bに示されるように、バルーン100は、中空の円筒状部材306の外部に沿って巻き付けられる、圧縮される、およびまたは折り畳められ得る。
【0061】
一実施形態において、圧縮されたバルーン100を有するカテーテル400は、図8A〜Eに示されるように、より大きいガイドカテーテルの内腔を通って、所望の位置まで前進させられる。圧縮されたバルーン100は、より大きいガイドカテーテルの遠位端を越えて、所望の位置に前進させられる。カテーテル400が所望の位置に定置されると、ワイヤ404は、中空の円筒状部材306から取り外され、シリンジ314等の流体源が、接続ポート308に接続され、バルーン100を膨張もしくは拡張させる。取り外し可能なワイヤ404は、ワイヤ挿入および取り外しを促進するハンドル408もしくは他のデバイスを含み得る。図4Cに示されるように、バルーン100が拡張されると、カテーテル400およびバルーン100は、拡張されたバルーン100を所望の位置に残したままに、カテーテル400を取り外すことができるように、分離することができる。一実施形態において、バルーン100が膨張もしくは拡張された後に、DC電流は、電解ワイヤ320に印加され、バルーンおよびカテーテル400との間の溶接部もしくははんだを溶解する。溶接部が溶解されると、拡張されたバルーン100が定位置のまま、カテーテル400は、取り外される。別の実施形態において、DC電流は、電解ワイヤ320に印加され、バルーンの一部分を溶解する。バルーン部分が溶解されると、カテーテル400は取り外され、拡張されたバルーン100の残りが定位置に留まる。
【0062】
図5および6は、バルーン100の収縮構成に取り付けられた離脱式バルーン送達デバイスの追加の実施形態を図示する。一実施形態において、バルーン100は、襞に折畳され、次いで、折り畳まれたバルーンの襞は、カテーテル300の周囲に巻き付けられ、バルーンは、カテーテル300に対して圧縮される。別の実施形態において、バルーン100は、襞に折り畳まれ、次いで、折り畳まれたバルーンの襞は、取り外し可能なワイヤ404の周囲に巻き付けられ、次いで、バルーンは、取り外し可能なワイヤ404に対して圧縮される。
【0063】
種々の実施形態において、バルーン100は、カテーテル300、400に取り付けられ、次いで、襞502が形成され、次いで、襞は、カテーテルもしくは取り外し可能なワイヤ404に巻き付けられ、その上で圧縮される。別の実施形態において、バルーン100は折り畳まれ、襞502を形成し、次いで、カテーテル300、400に取り付けられ、次いで、カテーテル300、400、もしくは取り外し可能なワイヤ404の外側表面上で折り畳まれるか、または圧縮される。
【0064】
方法
本発明の方法は、バルーン100を所望の位置に送達し、バルーン100を膨張させ、拡張させ、かつバルーンおよび送達デバイスを分離するための多くのステップを含む。一実施形態において、本方法は、針を使用して動脈にアクセスし、次いで、針を通してガイドワイヤ302等のガイドワイヤを前進させるステップを含む。次に、針が取り外され、任意に、血管シースが挿入される。次いで、ガイドワイヤ302は、所望の位置までさらに前進させられる。任意に、標準的血管造影カテーテルを、ガイドワイヤ302とともに使用して、ガイドワイヤを所望の位置に前進させる。ガイドワイヤ302が適切に定置された後、標準的血管造影カテーテルは、身体から取り外される。次いで、遠位端において圧縮されたバルーン100を有するカテーテル300は、カテーテルが所望の位置に位置付けられるまで、ガイドワイヤ302の上を前進させられる。任意に、ガイドワイヤ302は、次いで、抜脱され、バルーン100は、加圧流体を用いて膨張され、拡張される。拡張されたバルーン100は、カテーテル300から分離され、カテーテルは、ガイドワイヤ302とともに取り外される。上述のように、本方法はまた、電流を電解ワイヤ320に提供して、バルーン100をカテーテルに取り付ける溶接部もしくははんだ316を溶解するか、またはバルーン自体の一部分を溶解するステップを含み得る。一実施形態において、本方法は、拡張されたバルーン100を成形するステップをさらに含む。バルーン100の成形は、隣接する血管形成バルーンもしくは閉塞型バルーン等を用いる、外部力および/または内部力の印加によって達成され得る。
【0065】
図7A〜Eおよび8A〜Eは、血管の動脈瘤の空洞内のバルーン100の位置付け、拡張、および離脱の順序を図示する。図7A〜Eにおいて、血管702内の動脈瘤703は、バルーン100を用いて充填される。バルーン100は、加圧液体、気体、もしくはそれらの組み合わせを用いて膨張される。一実施形態において、流体は、コイル、ビーズの懸濁液、および/または薬物、薬理的活性分子、または薬学的組成物の溶液もしくは懸濁液を含有する。
【0066】
バルーン100の拡張された形状は、治療される異常に基づく。一例において、バルーン100は、動脈瘤内腔もしくは空隙の形状によって、また、任意に、外部力の印加によって、の両方によって成形される。外部力は、血管702の内腔内で別個の隣接するバルーン(図示せず)を膨張させ、それによって、バルーン100の壁を動脈瘤に向かって押し出すことによって印加され得る。他の実施形態において、バルーン100は、特定の動脈瘤703の空洞の輪郭と一致するように非球形配向に製造される。他の形状および配向を使用し得る。バルーン100の外部表面110は、動脈瘤703の内部表面700の大部分と接触する。一実施形態において、バルーン100の外部表面110は、動脈瘤703の内部表面700の少なくとも50%と接触する。他の実施形態において、外部表面110は、内部表面700の90%以上と接触する。拡張されたバルーンは、動脈瘤の内腔701の大部分を充填する。一実施形態において、拡張されたバルーンは、動脈瘤の内腔701の少なくとも50%を充填する。
【0067】
図7Eにおいて、カテーテル300およびガイドワイヤ302は、抜脱されており、バルーン100の開口部112は、開口したままである。他の実施形態において、バルーンの開口部112は、閉口し得る。すべての実施形態において、バルーン100は、拡張されたままである。
【0068】
図8A〜Eに示される、別の実施形態において、誘導カテーテル800を使用して、動脈瘤703の内腔701にアクセスする。カテーテル400等の単一の内腔カテーテルは、次いで、ガイドカテーテル800を通って前進させられる。カテーテル400は、バルーン100の開口部112と連通している。加圧流体は、拡張されたバルーン100の形状が、動脈瘤800の輪郭と厳密に一致するように、カテーテル400を介して、バルーンの内部空間もしくは空隙108内に移動させられる。一実施形態において、バルーン100は、カテーテル400への取り付け前に、特定の形状に製造される。
【0069】
すべての実施形態において、バルーン100の拡張された形状は、4つの要因によって決定される:1)バルーン100の製造された形状、2)膨張もしくは拡張の程度、3)動脈瘤703の寸法および形状、4)膨張もしくは拡張後の任意の印加された外部力の影響。限定でなく例として、バルーン100の製造された寸法および形状は、動脈瘤703の測定を行うことによって決定され得る。測定は、医学的画像および標準的距離指示マーカーを使用することによって行うことができる。動脈瘤を測定する他の方法も使用し得る。
【0070】
別の実施形態において、バルーン100は、動脈瘤703内で操作され、インビボまたはインサイツでも構成し得る。この実施形態において、バルーン100を挿入する前に動脈瘤703の正確な輪郭を決定する必要はない。バルーン100は、内部力および/または外部力の印加によって成形される。例えば、外部力は、外部血管形成バルーンの使用によって、またはカテーテル400を通って、もしくはその周囲に挿入された工具によって印加され得る。他の実施形態において、バルーン100は、バルーンをカテーテル400から離脱させる前のステップ、またはその後のステップおいて成形され得る。
【0071】
他の実施形態において、バルーン100と同様の2つ以上のバルーンは、血管の特定のセグメントの内腔、動脈瘤内腔もしくは空隙、または他の体腔の一部分もしくはすべてを充填するように位置付けられ、膨張され得る。これらの実施形態において、事前に成形されたバルーン、未成形バルーン、可鍛性バルーン、またはそれらの組み合わせを使用し得る。すべての実施形態において、バルーンは、それらの拡張された形状を維持し、意図的ではない圧縮もしくは変形に抵抗するように位置付けられる。
【0072】
図9Aは、二重内腔カテーテル300の軸方向断面図を図示する。中空の円筒状部材304は、外側壁900および内側壁902を有し、中空の円筒状部材306は、外側壁904および内側壁906を有する。円筒状部材304および306は、互いに平行し、隣接し、電解ワイヤ320は、中空の円筒状部材306の外側壁904に沿って走行する。図9Bは、図9Aのデバイスの代替であり、図9Bは、代替的二重内腔カテーテル300の軸方向断面図を図示する。一実施形態において、中空の円筒状部材304は、第2の中空の円筒状部材306の内腔内に位置する。この実施形態において、電解ワイヤ320は、中空の円筒状部材306の外側壁904に沿って走行する。
【0073】
図9Cに示される、別の実施形態において、電解ワイヤ320は、バルーンを膨張もしくは拡張するために使用される内腔326内に延在する。図9Dに示される、別の実施形態において、電解ワイヤ320は、カテーテル300の壁内に位置される。
【0074】
図9Eは、バルーン100に取り付けられた二重内腔カテーテル300の軸方向断面図を図示する。バルーン100は、326との流体連通にあり、カテーテル300の壁を通って延在する電解ワイヤ320によって離脱される。
【0075】
図10Aは、単一内腔カテーテル400の軸方向断面図である。示されるように、電解ワイヤ320は、中空の円筒状部材306の外側壁1000に沿って走行する。図10Bに示される、別の実施形態において、電解ワイヤ320は、円筒状部材306の壁内を走行する。図10Cは、バルーン100に取り付けられた単一内腔カテーテル400の軸方向断面図を図示する。バルーン100は、まず、中空の円筒状部材306の外側壁1000に溶接、はんだ付け、または糊付けされ、外側壁に沿って延在する電解ワイヤ320によって離脱される。
【0076】
バルーン100はまた、摩擦係合を介して送達デバイスに係合し得、バルーンの開口部もしくは首部、および送達デバイスの遠位端は、互いに嵌合するように一致するが、バルーンと送達デバイスとの間の接合(接着剤もしくははんだ等を用いる)はない。むしろ、膨張されたバルーン100および送達デバイスは、簡単に引き離される。バルーン100は、バルーンから送達カテーテルを引き離すことによって、または送達カテーテルからバルーンを押し離すことによって、送達カテーテルから離脱され得る。図13A〜Bは、医療用デバイス500の実施形態を図示し、摩擦嵌合を使用してバルーン100および送達デバイスを取り付ける。図13Aに示されるように、バルーン100の首部1714は、円筒状部材306の遠位端1712の外側上に摩擦的に係合される。この例では、バルーンが圧縮された状態で、医療用デバイス500を、ガイドカテーテル800を通過させ、次いで、送達デバイスから取り外し可能なワイヤを抜脱し、バルーン100を膨張させた。この例において、ガイドカテーテル800は、次いで、膨張されたバルーン100の壁まで前進することができ、次いで、送達デバイスを引き戻すか、またはガイドカテーテル800を前方に押し出して、膨張されたバルーンを離脱させることができる。図13Bに示されるように、弾性スリーブもしくはラップ1724は、円筒状部材306に接合することができ、次いで、バルーン100の首部1714の外側を摩擦的に係合することができ、一方、送達デバイスの遠位端1712は、バルーン100の首部1714の内部表面を同時に摩擦的に係合する。
【0077】
バルーンの外部表面が、ニチノールもしくは繊維から作製される、線形もしくは分岐である複数の突起部を含むバルーン。
【0078】
突起部が0.01μm〜約57μmの範囲の長さであるバルーン。
【0079】
本発明のデバイスおよび方法が、種々の実施形態の形態(そのいくつかのみが上記に例
証され、説明される)に組み込むことが可能であることを理解されたい。本発明は、その
精神または本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態において具体化され得る。説明される実施形態は、すべての点で、制限ではなく例証としてみなされるものであり、本発明の範囲は、したがって、先述の説明よりはむしろ、付属の請求項によって示され
る。請求項の等価の意味および範囲内に入るすべての変更は、それらの範囲内に受け入れられるものとする。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
内部表面と、外部表面と、バルーン内への気体もしくは流体の通過を可能にする、壁内
の開口部と、を有する壁を有する、圧縮された単一ローブ拡張型金属バルーンと、
前記バルーンに取り付けられたカテーテルであって、前記カテーテルは、内腔を画定する円筒状部材を有し、前記円筒状部材が、近位端および遠位端を有し、前記カテーテルが、前記近位端の流体源からの流体を、前記遠位端の前記バルーンに送達するように寸法決
定される、カテーテルと、
を備える、医療用デバイス。
(態様2)
前記内部表面が、前記バルーン内の空隙を画定する、態様1に記載の医療用デバイス。
(態様3)
前記カテーテルが、誘導部材の通過を可能にするように寸法決定される第2の内腔を画定する、第2の円筒状部材を備える、態様1に記載の医療用デバイス。
(態様4)
前記第2の内腔が、可撓性ガイドワイヤの通過を可能にするように寸法決定される、態
様1に記載の医療用デバイス。
(態様5)
前記カテーテルが、誘導部材の通過を可能にするように寸法決定される内腔を画定する
円筒状部材を備えない、態様1に記載の医療用デバイス。
(態様6)
前記カテーテルが、約0.7mm〜約2.3mmの範囲の直径を有する、態様1に記載
の医療用デバイス。
(態様7)
前記カテーテルが、約0.05mm〜約0.5mmの範囲の壁厚を有する、態様1に記
載の医療用デバイス。
(態様8)
前記カテーテルが、約0.15mm〜約2.2mmの範囲の直径を有する、少なくとも
1つの内腔を有する、態様1に記載の医療用デバイス。
(態様9)
前記カテーテルが、約5cm〜約300cmの範囲の長さを有する、態様1に記載の医
療用デバイス。
(態様10)
前記カテーテルの前記壁が、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、またはポリテトラフルオロエチレン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料からな
る、態様1に記載の医療用デバイス。
(態様11)
前記バルーンが、約0.65mm〜約2.25mmの範囲の圧縮された直径を有する、
態様1に記載の医療用デバイス。
(態様12)
前記バルーンが、約2mm〜約100mmの範囲の拡張された直径を有する、態様1に
記載の医療用デバイス。
(態様13)
前記バルーンが、約2mm〜約120mmの範囲の拡張された長さを有する、態様1に
記載の医療用デバイス。
(態様14)
前記バルーンの前記壁が、金、白金、銀、それらの合金、およびそれらの組み合わせか
らなる群から選択される金属から作製される、態様1に記載の医療用デバイス。
(態様15)
前記バルーンが、3μm〜60μmの範囲の壁厚を有する、態様1に記載の医療用デバ
イス。
(態様16)
前記バルーンが、圧縮前に1つ以上の襞を形成するように折り畳まれる、態様1に記載
の医療用デバイス。
(態様17)
前記バルーンが、溶接部もしくははんだによって前記カテーテルに取り付けられる、態
様1に記載の医療用デバイス。
(態様18)
前記溶接部もしくははんだの少なくとも一部分が、前記カテーテルの前記近位端から前
記溶接部もしくははんだに電流を伝導することができる、絶縁された伝導性ワイヤに電気
的に連結される、態様17に記載の医療用デバイス。
(態様19)
前記絶縁された伝導性ワイヤが、前記カテーテルの少なくとも前記近位端から、前記カ
テーテルの少なくとも遠位端まで延在する、電解ワイヤを有する、態様18に記載の医療
用デバイス。
(態様20)
前記バルーンの外部表面が、絶縁物質でコーティングされる、態様18に記載の医療用
デバイス。
(態様21)
前記バルーンの内部表面および外部表面が、絶縁物質でコーティングされる、態様18
に記載の医療用デバイス。
(態様22)
前記溶接部もしくははんだの少なくとも一部分が、コーティングまたは絶縁されない、
態様20または21に記載の医療用デバイス。
(態様23)
前記コーティングまたは絶縁物質が、パリレン(商標)を含む、態様20または21に
記載の医療用デバイス。
(態様24)
前記バルーンが、接着物質によって、前記カテーテルに取り付けられる、態様1に記載
の医療用デバイス。
(態様25)
前記バルーンの少なくとも一部分が、前記カテーテルの前記近位端から前記バルーンの
前記部分に電流を伝導することができる、絶縁された伝導性ワイヤに電気的に連結される、態様24に記載の医療用デバイス。
(態様26)
前記絶縁された導管が、前記カテーテルの少なくとも前記近位端から、前記カテーテル
の少なくとも遠位端まで延在する、電解ワイヤである、態様25に記載の医療用デバイス。
(態様27)
前記バルーンの外部表面が、絶縁物質でコーティングされる、態様24に記載の医療用
デバイス。
(態様28)
前記バルーンの内部表面および外部表面が、絶縁物質でコーティングされる、態様24
に記載の医療用デバイス。
(態様29)
前記バルーンの少なくとも一部分が、コーティングまたは絶縁されていない、態様27
または28に記載の医療用デバイス。
(態様30)
前記コーティングまたは絶縁物質が、パリレン(商標)を含む、態様27または28に
記載の医療用デバイス。
(態様31)
前記電解ワイヤが、前記カテーテルの前記壁内に位置する、態様19または26に記載
の医療用デバイス。
(態様32)
前記バルーンが、開口部を画定する首部を有する、態様1に記載の医療用デバイス。
(態様33)
前記首部が、約3μm〜約60μmの範囲の壁厚を有する、態様32に記載の医療用デ
バイス。
(態様34)
前記首部が、0.5mm〜60mmの長さを有する、態様32に記載の医療用デバイス。
(態様35)
前記首部が、前記バルーンの前記空隙内に延在する、態様32に記載の医療用デバイス。
(態様36)
前記バルーンが、前記外部表面上に第2の多孔性層をさらに備える、態様1に記載の医
療用デバイス。
(態様37)
前記バルーンの前記外部多孔性層が、金、白金、銀、それらの合金、およびそれらの組
み合わせからなる群から選択される金属から作製される、態様36に記載の医療用デバイ
ス。
(態様38)
前記外部多孔性層が、約0.05μm〜約100μmの範囲の直径の複数の孔を有する、態様36に記載の医療用デバイス。
(態様39)
前記外部多孔性層の前記孔が、薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物を含有する、
態様36に記載の医療用デバイス。
(態様40)
前記薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物が、トロンビン、エチオドール(登録商
標)、ソトラデコル(登録商標)、血小板由来成長因子、およびそれらの組み合わせから
なる群から選択される、態様39に記載の医療用デバイス。
(態様41)
前記バルーンの前記壁が、前記内部表面上に位置する内部層を備える、態様1に記載の
医療用デバイス。
(態様42)
前記内部層に使用される材料が、ポリマー、ラテックス、エラストマー、およびそれら
の組み合わせからなる群から選択される、態様41に記載の医療用デバイス。
(態様43)
前記内部層が、パリレン(商標)からなる、前記態様41に記載の医療用デバイス。
(態様44)
前記バルーンが、摩擦係合によって、前記カテーテルの前記遠位部分に接合される、態
様1に記載の医療用デバイス。
(態様45)
弾性スリーブまたはラップが、摩擦嵌合によって、前記バルーンを前記カテーテルに対
して保持する、態様44に記載の医療用デバイス。
(態様46)
前記バルーンが、固体で少なくとも部分的に充填される、態様1に記載の医療用デバイ
ス。
(態様47)
前記固体が、支持構造を含む、態様46に記載の医療用デバイス。
(態様48)
前記支持構造が、金属性もしくはポリマー性コイルもしくはワイヤ、金属性もしくはポ
リマー性拡張型構造、ビーズ、ボール、微小球、またはそれらの組み合わせからなる群か
ら選択される、態様47に記載の医療用デバイス。
(態様49)
金属バルーンを用いて、血管の内腔、動脈瘤、または別の血管異常の一部分を充填する
方法であって、
取り付けられたカテーテルを使用して、圧縮された金属バルーンを所望の位置に位
置付けるステップと、
流体を用いて、前記圧縮されたバルーンを膨張させ、拡張するステップと、
前記拡張されたバルーンを前記カテーテルから分離するステップと、
前記バルーンを前記所望の位置で拡張したまま、前記カテーテルを取り外すステッ
プと、
を含む、方法。
(態様50)
前記バルーンが、バルーンの外部表面の少なくとも50%が前記空隙の前記表面と接触
するように、膨張され、拡張される、態様49に記載の方法。
(態様51)
前記バルーンが、バルーンの外部表面の少なくとも75%が前記空隙の前記表面と接触
するように、膨張され、拡張される、態様49に記載の方法。
(態様52)
前記バルーンが、バルーンの外部表面の少なくとも90%が前記空隙の前記表面と接触
するように、膨張され、拡張される、態様48に記載の方法。
(態様53)
前記バルーンが、動脈瘤の前記内腔の少なくとも50%を充填するように、前記動脈瘤
内で膨張され、拡張される、態様49に記載の方法。
(態様54)
前記バルーンが、動脈瘤の前記内腔の少なくとも75%を充填するように、前記動脈瘤
内で膨張され、拡張される、態様49に記載の方法。
(態様55)
前記バルーンが、動脈瘤の前記内腔の少なくとも90%を充填するように、前記動脈瘤
内で膨張され、拡張される、態様49に記載の方法。
(態様56)
前記バルーンの外部表面が、約0.05μm〜約100μmの範囲の直径の孔を有する
多孔性外部層を備え、前記方法が、
薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物が、前記バルーンを前記所望の位置に位
置付ける前に、前記バルーン壁の前記外部表面の前記多孔性外側層内に移動するように、
前記バルーンの少なくとも一部分を、薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物の溶液も
しくは懸濁液内に定置するステップをさらに含む、態様49に記載の方法。
(態様57)
前記バルーンを、電解によって前記送達デバイスから分離するステップをさらに含み、
電流が前記バルーンと前記送達システムとの間の溶接部もしくははんだを溶解する、態様
49に記載の方法。
(態様58)
前記バルーンを、電解によって前記送達デバイスから分離するステップをさらに含み、
電流が前記バルーンの前記壁の一部分を溶解する、態様49に記載の方法。
(態様59)
前記バルーンを、物理的力によって前記送達デバイスから分離するステップをさらに含
む、態様49に記載の方法。
(態様60)
前記バルーンの開口部に力を印加して、前記バルーンを封止するステップをさらに含む、態様49に記載の方法。
(態様61)
前記拡張された金属バルーンの形状を、外部力を印加することによって変更するステッ
プをさらに含む、態様49に記載の方法。
(態様62)
延性金属バルーンを用いて、血管を閉塞するか、または血管異常を治療する方法であっ
て、
圧縮されたバルーンを、カテーテルを使用して血管系の所望の位置に位置付けるス
テップと、
流体を用いて、前記バルーンを膨張させ、拡張させるステップと、
前記バルーンを前記所望の位置で拡張させたまま、前記カテーテルを前記バルーン
から離脱させるステップと、
を含む、方法。
(態様63)
前記バルーンが、バルーンの外部表面の少なくとも50%が前記空隙の前記表面と接触
するように、拡張される、態様62に記載の方法。
(態様64)
前記バルーンが、バルーンの外部表面の少なくとも75%が前記空隙の前記表面と接触
するように、拡張される、態様62に記載の方法。
(態様65)
前記バルーンが、バルーンの外部表面の少なくとも90%が前記空隙の前記表面と接触
するように、拡張される、態様62に記載の方法。
(態様66)
前記バルーンが、前記動脈瘤の前記内腔の少なくとも50%を充填するように、前記動
脈瘤内で膨張され、拡張される、態様62に記載の方法。
(態様67)
前記バルーンが、前記動脈瘤の前記内腔の少なくとも75%を充填するように、前記動
脈瘤内で膨張され、拡張される、態様62に記載の方法。
(態様68)
前記バルーンが、前記動脈瘤の前記内腔の少なくとも90%を充填するように、前記動
脈瘤内で膨張され、拡張される、態様62に記載の方法。
(態様69)
バルーン外部表面が、約0.05μm〜約100μmの範囲の直径の孔を有する多孔性
外側層を備え、前記方法が、
前記圧縮されたバルーンを、カテーテルを使用して前記血管系内の所望の位置に位
置付ける前に、薬物または薬理活性分子の溶液もしくは懸濁液を前記バルーンの外部表面
の前記多孔性外側層と接触させて定置するステップと、
前記薬物または薬理活性分子を前記所望の位置に送達するステップと、をさらに含
む、態様62に記載の方法。
(態様70)
前記バルーンを、電解により前記送達デバイスから離脱させるステップをさらに含み、
電流が前記バルーンと前記送達システムとの間の溶接部もしくははんだを溶解する、態様
62に記載の方法。
(態様71)
前記バルーンを、電解により前記送達デバイスから離脱させるステップをさらに含み、
電流が前記バルーンの前記壁の一部分を溶解する、態様62に記載の方法。
(態様72)
前記バルーンの開口部に力を印加して、前記バルーンを封止するステップをさらに含む、態様62に記載の方法。
(態様73)
前記拡張したバルーンを、外部力を印加することによって成形するステップをさらに含
む、態様62に記載の方法。
(態様74)
血管の前記内腔、動脈瘤、または他の血管異常内に位置する、拡張された単一ローブ金
属バルーンであって、内部表面および外部表面を有する壁を備える、バルーン。
(態様75)
前記バルーンが、約2mm〜約100mmの範囲の直径を有する、態様74に記載のバ
ルーン。
(態様76)
前記バルーンが、約2mm〜約120mmの範囲の長さを有する、態様74に記載のバ
ルーン。
(態様77)
前記バルーンの前記壁が、金、白金、銀、それらの合金、およびそれらの組み合わせか
らなる群から選択される金属からなる、態様74に記載のバルーン。
(態様78)
前記バルーンの前記壁の厚さが、3μm〜60μmの範囲である、態様74に記載のバ
ルーン。
(態様79)
第2の外部多孔性層が、前記外部表面上に位置する、態様74に記載のバルーン。
(態様80)
前記バルーンの前記外部多孔性層が、金、白金、銀、それらの合金、およびそれらの組
み合わせからなる群から選択される金属からなる、態様79に記載のバルーン。
(態様81)
前記バルーンの前記外部多孔性層が、約0.05μm〜約100μmの範囲の直径の複
数の孔を有する、態様79に記載のバルーン。
(態様82)
前記バルーンの前記外部多孔性層の前記孔が、薬物、薬理活性分子、または薬学的組成
物を含有する、態様79に記載のバルーン。
(態様83)
前記薬物、薬理活性分子、または薬学的組成物が、トロンビン、エチオドール(登録商
標)、ソトラデコル(登録商標)、血小板由来成長因子、およびそれらの組み合わせの群
から選択されるメンバーを含む、態様79に記載のバルーン。
(態様84)
前記第1のバルーンに隣接して位置する第2の膨張されたバルーンをさらに備え、前記
第2のバルーンが空隙の残りを占領する、態様74に記載のバルーン。
(態様85)
前記第1および第2のバルーンに隣接して位置する第3の膨張されたバルーンをさらに
備え、それによって、前記第3のバルーンが前記空隙の残りを占領する、態様84に記載
のバルーン。
(態様86)
前記バルーンの前記外部表面が、ニチノールもしくは繊維から作製される、線状もしく
は分岐のいずれかである、複数の突出部を備える、態様74に記載のバルーン。
(態様87)
前記突起部が、0.01μm〜約57μmの範囲の長さである、態様86に記載のバルーン。
(態様88)
延性金属バルーンを用いて、血管を閉塞するか、または動脈瘤もしくは他の血管異常を
治療する方法であって、
針を用いて血管にアクセスするステップと、
前記針を介してガイドワイヤを挿入するステップと、
前記針を取り外すステップと、
前記ガイドワイヤを前記血管系内の所望の位置に位置付けるステップと、
圧縮されたバルーンをカテーテルを使用して前記血管系内の所望の位置に位置付け
るステップと、
前記ガイドワイヤを取り外すステップと、
流体を用いて、前記バルーンを膨張させ、拡張させるステップと、
前記バルーンを前記所望の位置で拡張させたまま、前記カテーテルを前記バルーン
から離脱させるステップと、
前記カテーテルを取り外すステップと、
を含む、方法。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B