特許第6559399号(P6559399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559399
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ダンパー装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20190805BHJP
   F16F 1/12 20060101ALI20190805BHJP
   F16F 3/04 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   F16F15/134 A
   F16F15/134 B
   F16F15/134 D
   F16F1/12 Z
   F16F3/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-37396(P2014-37396)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2015-161371(P2015-161371A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年8月23日
【審判番号】不服2018-1033(P2018-1033/J1)
【審判請求日】2018年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】上原 宏
(72)【発明者】
【氏名】吉村 佳也
(72)【発明者】
【氏名】瀬上 健
【合議体】
【審判長】 平田 信勝
【審判官】 大町 真義
【審判官】 内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−213204(JP,A)
【文献】 特開2012−211669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力が入力される第1回転部材と、
前記第1回転部材に対して回転可能に配置された第2回転部材と、
前記第1回転部材及び前記第2回転部材の間で圧縮される第1コイルスプリングと、
前記第1回転部材及び前記第2回転部材の間で圧縮され、前記第1コイルスプリングより剛性が高い第2コイルスプリングと、
前記第1コイルスプリングと前記第2コイルスプリングとに係合し、前記第1コイルスプリングと前記第2コイルスプリングとを直列に連結する中間部材と、
前記第1回転部材が前記第2回転部材に対して正側へ回転する場合、前記中間部材と前記第2回転部材とを当接させることによって、前記第1コイルスプリングの作動を停止し、前記第1回転部材が前記第2回転部材に対して負側へ回転する場合、前記第1回転部材と前記中間部材とを当接させることによって、前記第1コイルスプリングの作動を停止する第1ストッパ機構と、
前記第1コイルスプリングの内部に移動自在に配置され、前記第1コイルスプリングの作動中に前記第1ストッパ機構における前記当接を緩和可能な第1当接緩和部材と、
を備えるダンパー装置。
【請求項2】
前記第1コイルスプリング及び前記第2コイルスプリングの圧縮によって、1段目の捩り特性が形成され、
前記第1コイルスプリング及び前記第1当接緩和部材と、前記第2コイルスプリングとの圧縮によって、2段目の捩り特性が形成され、
前記第1ストッパ機構の作動後に前記第2コイルスプリングの圧縮によって、3段目の捩り特性が形成される、
請求項1に記載のダンパー装置。
【請求項3】
前記第1当接緩和部材は、弾性部材であり、
前記第1回転部材に対する前記第2回転部材の回転角度が、前記第1ストッパ機構が作動する回転角度未満である場合に、前記第1当接緩和部材は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のいずれかと、前記中間部材との間で、圧縮可能である、
請求項1又は2に記載のダンパー装置。
【請求項4】
前記第1当接緩和部材は、樹脂製の弾性部材である、
請求項3に記載のダンパー装置。
【請求項5】
前記第1回転部材が前記第2回転部材に対して正側に回転する場合、前記第1回転部材と前記中間部材とを当接させることによって、前記第2コイルスプリングの作動を停止し、前記第1回転部材が前記第2回転部材に対して負側へ回転する場合、前記中間部材と前記第2回転部材とを当接させることによって、前記第2コイルスプリングの作動を停止する第2ストッパ機構と、
前記第2コイルスプリングの内部に移動自在に配置され、前記第2コイルスプリングの作動中に前記第2ストッパ機構における前記当接を緩和可能な第2当接緩和部材と、
をさらに備える請求項1から4のいずれか1項に記載のダンパー装置。
【請求項6】
前記第2当接緩和部材は、弾性部材であり、
前記第1回転部材に対する前記第2回転部材の回転角度が、前記第2ストッパ機構が作動する回転角度未満である場合に、前記第2当接緩和部材は、前記第1回転部材及び前記第2回転部材のいずれかと、前記中間部材との間で、圧縮可能である、
請求項5に記載のダンパー装置。
【請求項7】
前記第2当接緩和部材は、樹脂製の弾性部材である、
請求項6に記載のダンパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンで発生した動力をトランスミッションに伝達するために、車両の駆動系には様々な装置が搭載されている。この種の装置としては、例えばダンパー装置やフライホイール組立体が考えられる。これらの装置には、回転振動の減衰を目的として、ダンパー機構が用いられている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−159111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したダンパー装置は、主に、入力側の回転部材(第1サイドプレート及び第2サイドプレート)と、出力側の回転部材(センタープレート)と、第1サイドプレートとセンタープレートとの間で圧縮される複数のコイルスプリングと、複数のコイルスプリングを連結する中間プレートとを、有している。
【0005】
このタイプのダンパー装置において捩り特性を多段に設定する場合、コイルスプリングを線間密着させることによって、捩り特性における屈曲点及び捩り角度の上限等が、設定されることが多い。この場合、コイルスプリングにおける線間密着の繰り返しによって、コイルスプリングが破損してしまうおそれがある。
【0006】
一方で、この問題を解決するために、入力側の回転部材及び出力側の回転部材を用いてコイルスプリングの作動を機械的に停止する技術が、開発されている。この技術、例えばストッパ機構では、入力側の回転部材と出力側の回転部材とを当接させることによって、コイルスプリングの作動が停止される。この場合、入力側の回転部材と出力側の回転部材とが当接する際に、衝突音が生じる。
【0007】
例えば、入力側の回転部材と出力側の回転部材との捩り角度が小さい状態(トルクが小さい状態)で、入力側の回転部材に急に大きなトルクが入力されると、上記のストッパ機構が作動する。すると、上述したように衝突音が生じるので、この衝突音を低減するための技術の確立が、期待されている。
【0008】
本発明の目的は、ダンパー装置の作動音を、低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係るダンパー装置は、第1回転部材と、第2回転部材と、第1コイルスプリングと、第2コイルスプリングと、中間部材と、第1ストッパ機構と、第1当接緩和部材とを、備える。第1回転部材には、エンジンの動力が入力される。第2回転部材は、第1回転部材に対して回転可能に配置される。第1コイルスプリングは、第1回転部材及び第2回転部材の間で圧縮される。第2コイルスプリングは、第1コイルスプリングより剛性が高く、第1回転部材及び第2回転部材の間で圧縮される。
【0010】
中間部材は、第1コイルスプリングと第2コイルスプリングとに、係合する。中間部材は、第1コイルスプリングと第2コイルスプリングとを、直列に連結する。第1ストッパ機構は、第1回転部材及び第2回転部材のいずれか一方と、中間部材とを当接させることによって、第1コイルスプリングの作動を停止する。第1当接緩和部材は、第1コイルスプリングの内部に移動自在に配置され、第1コイルスプリングの作動中に第1ストッパ機構における当接を緩和可能である。
【0011】
本ダンパー装置では、エンジンの動力が第1回転部材に入力されると、この動力は、第1回転部材、中間部材、第2回転部材の順に伝達される。この動力の伝達経路において、第1コイルスプリング及び第2コイルスプリングが、中間部材を介して、第1回転部材と第2回転部材との間で圧縮される。
【0012】
ここで、第1コイルスプリング及び第2コイルスプリングは直列に連結され、第1コイルスプリングの剛性は第2コイルスプリングの剛性より小さいので、第1コイルスプリングは、第2コイルスプリングより縮む。このため、第1回転部材に急に大きなトルクが入力されると、第1コイルスプリングを圧縮する2つの部材(第1回転部材及び第2回転部材のいずれか一方、及び中間部材)が、互いに当接するおそれがある。すなわち、第1ストッパ機構が作動するおそれがある。
【0013】
しかしながら、本ダンパー装置では、第1コイルスプリングの内部には、第1当接緩和部材が配置されているので、この第1当接緩和部材によって第1ストッパ機構が作動しづらい。また、第1ストッパ機構が作動したとしても、第1当接緩和部材によって、第1ストッパ機構の作動音を低減することができる。すなわち、本ダンパー装置では、装置作動時の作動音を、低減することができる。
【0014】
請求項2に係るダンパー装置では、請求項1に記載のダンパー装置において、第1コイルスプリング及び第2コイルスプリングの圧縮によって、1段目の捩り特性が形成される。第1コイルスプリング及び第1当接緩和部材と、第2コイルスプリングとの圧縮によって、2段目の捩り特性が形成される。第1ストッパ機構の作動後に第2コイルスプリングの圧縮によって、3段目の捩り特性が形成される。
請求項に係るダンパー装置では、請求項1又は2に記載のダンパー装置において、第1当接緩和部材は、弾性部材である。第1回転部材に対する第2回転部材の回転角度が、第1ストッパ機構が作動する回転角度未満である場合に、第1当接緩和部材は、第1回転部材及び第2回転部材のいずれか一方と、中間部材との間で、圧縮可能である。
【0015】
この場合、第1回転部材に対する第2回転部材の回転角度が、上記の回転角度未満である場合に、第1当接緩和部材が、第1回転部材及び第2回転部材のいずれか一方と、中間部材との間で、圧縮される。このように、第1ストッパ機構が作動する前に、第1当接緩和部材が圧縮されるので、装置作動時の作動音を低減することができる。なお、「回転角度」は実数であるため、正確には「回転角度の絶対値」と解釈される。
【0016】
請求項に係るダンパー装置では、請求項に記載のダンパー装置において、第1当接緩和部材が、樹脂製の弾性部材である。
【0017】
この場合、第1当接緩和部材が樹脂製であるので、第1当接緩和部材の圧縮時に第1当接緩和部材そのもののが、作動音を生じることがない。このため、装置作動時の作動音を確実に低減することができる。
【0018】
請求項に係るダンパー装置は、請求項1からのいずれか1項に記載のダンパー装置において、第2ストッパ機構と、第2当接緩和部材とを、さらに備える。第2ストッパ機構は、第1回転部材及び第2回転部材のいずれか他方と、中間部材とを当接させることによって、第2コイルスプリングの作動を停止する。第2当接緩和部材は、第2コイルスプリングの内部に移動自在に配置され、第2コイルスプリングの作動中に第2ストッパ機構における当接を緩和可能である。
【0019】
この場合、第1回転部材に急に大きなトルクが入力されると、第2コイルスプリングを圧縮する2つの部材(第1回転部材及び第2回転部材のいずれか他方、及び中間部材)が、互いに当接するおそれがある。すなわち、第2ストッパ機構が作動するおそれがある。
【0020】
しかしながら、本ダンパー装置では、第2コイルスプリングの内部には、第2当接緩和部材が配置されているので、この第2当接緩和部材によって、第2ストッパ機構が作動しづらい。また、第2ストッパ機構が作動したとしても、第2当接緩和部材によって、第2ストッパ機構の作動音を低減することができる。すなわち、本ダンパー装置では、装置作動時の作動音を、低減することができる。
【0021】
請求項に係るダンパー装置は、請求項に記載のダンパー装置において、第2当接緩和部材が、弾性部材である。第1回転部材に対する第2回転部材の回転角度が、第2ストッパ機構が作動する回転角度未満である場合に、第2当接緩和部材は、第1回転部材及び第2回転部材のいずれか他方と、中間部材との間で、圧縮可能である。
【0022】
この場合、第1回転部材に対する第2回転部材の回転角度が、上記の回転角度未満である場合に、第2当接緩和部材が、第1回転部材及び第2回転部材のいずれか他方と、中間部材との間で、圧縮される。このように、第2ストッパ機構が作動する前に、第2当接緩和部材が圧縮されるので、装置作動時の作動音を低減することができる。
【0023】
請求項に係るダンパー装置では、請求項に記載のダンパー装置において、第2当接緩和部材が、樹脂製の弾性部材である。
【0024】
この場合、第2当接緩和部材が樹脂製であるので、第2当接緩和部材の圧縮時に第2当接緩和部材そのもののが、作動音を生じることがない。このため、装置作動時の作動音を確実に低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ダンパー装置の作動音を、低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係るフライホイール組立体の側面図
図2図1のII−II断面図
図3】フライホイール組立体の捩り特性を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
<全体構成>
図1及び図2を用いて、フライホイール組立体1(ダンパー装置の一例)の説明を行う。フライホイール組立体1は、エンジンで発生した動力を、トランスミッションに伝達するための装置である。
【0028】
フライホイール組立体1は、入力プレート2(第1回転部材の一例)と、出力プレート3(第2回転部材の一例)と、低剛性スプリング51(第1コイルスプリングの一例)と、高剛性スプリング61(第2コイルスプリングの一例)と、サポートプレート4(中間部材の一例)と、第1ストッパ機構81と、第2ストッパ機構85と、第1緩衝部材71(第1当接緩和部材の一例)と、第2緩衝部材75(第2当接緩和部材の一例)とを、備える。入力プレート2、サポートプレート4、及び出力プレート3は、内周側において、エンジンからトランスミッションに向かう軸方向に、入力プレート2、サポートプレート4、出力プレート3の順に、配置されている。
【0029】
<入力プレート>
入力プレート2には、エンジンの動力が入力される。入力プレート2には、エンジンで発生した動力が入力される。入力プレート2は、エンジン側に配置される。入力プレート2は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)に固定される。
【0030】
入力プレート2は、第1プレート21と、第2プレート22と、連結部材23とを、有している。第1プレート21は、エンジン側に配置される。第1プレート21の内周部には、第1プレート21をエンジンに連結するための連結部21aが、形成されている。
【0031】
連結部21aには、連結部21aを補強するための補強部材24が、設けられている。連結部21aは、例えば孔部であり、補強部材24は、例えばスペーサである。孔部21aには、固定部材、例えば固定ボルト(図示しない)又はリベットが、挿通される。詳細には、孔部21aと固定ボルト又はリベットの頭部との間にスペーサ24が配置された状態で、固定ボルト又はリベットが、孔部21aに挿通される。このように、第1プレート21は、エンジンのクランクシャフトに固定される。
【0032】
第1プレート21の外周部には、一対のリング部材25が、固定部材例えばリベット26によって、固定されている。一方のリング部材25の外周部には、入力プレート2(第1プレート21)を初動させるための歯部21bが、形成されている。なお、歯部21bは、第1プレート21の外周部に一体に形成されていてもよい。
【0033】
第1プレート21には、複数の窓部21c(図2を参照)が形成されている。詳細には、第1プレート21には、複数の窓部21c例えば3個の窓部が、円周方向に所定の間隔を隔てて、形成されている。各窓部21cには、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61が配置される。各窓部21cにおける円周方向の一端部には、スプリングシートを介して、低剛性スプリング51の端部が当接する。また、各窓部21cにおける円周方向の他端部には、スプリングシートを介して、高剛性スプリング61の端部が当接する。
【0034】
第2プレート22は、トランスミッション側において、第1プレート21に対向して配置される。詳細には、第2プレート22は、第1プレート21と軸方向に所定の間隔を隔てて、配置される。第2プレート22の外周部は、連結部材23によって、第1プレート21に固定されている。これにより、第2プレート22は、第1プレート21とともに一体的に回転可能である。
【0035】
第2プレート22には、複数の窓部22aが形成されている。詳細には、第2プレート22には、複数の窓部22a例えば3個の窓部が、円周方向に所定の間隔を隔てて、形成されている。第2プレート22の各窓部22aは、第1プレート21の各窓部21cと、軸方向に対向して配置される。各窓部22aには、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61が配置される。各窓部22aにおける円周方向の一端部には、スプリングシートを介して、低剛性スプリング51の端部が当接する。また、各窓部22aにおける円周方向の他端部には、スプリングシートを介して、高剛性スプリング61の端部が当接する。
【0036】
連結部材23は、第1プレート21と第2プレート22とを連結する部材である。具体的には、第1プレート21と第2プレート22とが軸方向に所定の間隔を隔てて配置された状態において、連結部材23例えばリベットは、第1プレート21と第2プレート22とを連結する。
【0037】
また、連結部材23は、第1プレート21と第2プレート22との間において、サポートプレート4に当接可能である。これにより、サポートプレート4の回転が規制される。具体的には、サポートプレート4に当接可能な連結部材23は、円周方向において、サポートプレート4(後述する回転規制部44)の両側に配置された連結部材23である。なお、図1及び図2では、サポートプレート4に当接可能な連結部材23にのみ、符号を付している。
【0038】
上述したように、低剛性スプリング51の端部は、スプリングシートを介して、第1プレート21及び第2プレート22の各窓部21c,22aの一端部に当接する。また、高剛性スプリング61の端部は、スプリングシートを介して、第1プレート21及び第2プレート22の各窓部21c,22aの他端部に当接する。以下では、低剛性スプリング51が当接する各窓部21c,22aの一端部を、「第1押圧部27」と記し、高剛性スプリング61が当接する各窓部21c,22aの他端部を、「第2押圧部28」と記す。
【0039】
<出力プレート>
出力プレート3は、エンジンの動力をトランスミッションへと出力する。出力プレート3は、入力プレート2に対して回転可能に配置される。出力プレート3は、トランスミッションに連結される出力軸(図示しない)に、固定される。
【0040】
出力プレート3は、円筒部31と、円環部32と、第1当接部33と、第3押圧部34とを、有している。円筒部31は、トランスミッションに連結される出力軸(図示しない)に、固定される。円環部32は、円筒部31の外周に一体に形成される。第1当接部33は、円環部32の外周部に設けられる。第1当接部33は、サポートプレート4(後述する第2当接部42)に当接可能である。
【0041】
第3押圧部34は、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61の少なくともいずれか一方を、押圧する。第3押圧部34は、円環部32から径方向外方に延びる部分であり、円環部32に一体に形成されている。また、第3押圧部34の外周部には、円周方向に延びる第1延長部35が、形成されている。第1延長部35は、低剛性スプリング51の及び高剛性スプリング61の外周側に、配置される。具体的には、第1延長部35は、スプリングシートを介して、低剛性スプリング51の端部外周側及び高剛性スプリング61の端部外周側に、配置される。これにより、第1延長部35は、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61の外周側への移動を、規制している。
【0042】
<サポートプレート>
サポートプレート4は、低剛性スプリング51と高剛性スプリング61とに、係合する。サポートプレート4は、低剛性スプリング51と高剛性スプリング61とを、直列に連結する。
【0043】
サポートプレート4は、円環状の本体部41(図2を参照)と、第2当接部42と、係合部43と、回転規制部44とを、有している。本体部41は、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61より内周側に、配置されている。第2当接部42は、本体部41の外周部に設けられる。第2当接部42は、出力プレート3に当接可能である。詳細には、第2当接部42は、円周方向において、出力プレート3の第1当接部33に対向して、配置される。第2当接部42は、出力プレート3の第1当接部33に当接可能である。
【0044】
係合部43は、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61の間に配置される。係合部43は、低剛性スプリング51の端部と高剛性スプリング61の端部に係合する。詳細には、係合部43は、スプリングシートを介して、低剛性スプリング51の端部と高剛性スプリング61の端部に係合する。係合部43は、本体部41から径方向外方に延びる部分であり、本体部41に一体に形成されている。係合部43と出力プレート3の第3押圧部34とは、円周方向に並べて配置される。
【0045】
また、係合部43の外周部には、円周方向に延びる第2延長部45が、形成されている。第2延長部45は、低剛性スプリング51の及び高剛性スプリング61の外周側に、配置される。具体的には、第2延長部45は、スプリングシートを介して、低剛性スプリング51の端部外周側及び高剛性スプリング61の端部外周側に、配置される。これにより、第2延長部45は、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61の外周側への移動を、規制している。
【0046】
回転規制部44は、サポートプレート4の回転を規制する部分である。回転規制部44は、係合部43に設けられる。詳細には、回転規制部44は、係合部43から径方向外方に突出して、係合部43に一体に形成されている。回転規制部44は、入力プレート2の連結部材23に当接可能である。回転規制部44は、入力プレート2の連結部材23に当接することによって、サポートプレート4の回転を規制する。
【0047】
<低剛性スプリング>
低剛性スプリング51は、入力プレート2及び出力プレート3の間で円周方向に圧縮される。詳細には、低剛性スプリング51は、第1プレート21及び第2プレート22の第1押圧部27と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮される。より詳細には、低剛性スプリング51は、第1プレート21及び第2プレート22の第1押圧部27と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮される。また、低剛性スプリング51は、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮される。
【0048】
低剛性スプリング51は、高剛性スプリング61と直列に配置されている。詳細には、低剛性スプリング51は、サポートプレート4を介して、高剛性スプリング61と直列に配置されている。低剛性スプリング51の剛性は、高剛性スプリング61の剛性より小さい。ここで、低剛性スプリング51は高剛性スプリング61と直列に配置され、且つ低剛性スプリング51の剛性が高剛性スプリング61の剛性より小さいので、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61が圧縮されると、低剛性スプリング51は高剛性スプリング61より縮み量が大きい。
【0049】
<高剛性スプリング>
高剛性スプリング61は、入力プレート2及び出力プレート3の間で円周方向に圧縮される。詳細には、高剛性スプリング61は、第1プレート21及び第2プレート22の第2押圧部28と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮される。より詳細には、高剛性スプリング61は、第1プレート21及び第2プレート22の第2押圧部28と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮される。また、高剛性スプリング61は、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮される。
【0050】
高剛性スプリング61は、低剛性スプリング51と直列に配置されている。詳細には、高剛性スプリング61は、サポートプレート4を介して、低剛性スプリング51と直列に配置されている。高剛性スプリング61は、低剛性スプリング51より剛性が高い。ここで、高剛性スプリング61は低剛性スプリング51と直列に配置され、且つ高剛性スプリング61の剛性が低剛性スプリング51の剛性より大きいので、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61が圧縮されると、高剛性スプリング61は低剛性スプリング51より縮み量が小さい。
【0051】
<第1ストッパ機構>
第1ストッパ機構81は、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方と、サポートプレート4とを当接させることによって、低剛性スプリング51の作動を停止する。
【0052】
詳細には、入力プレート2が第1方向(図1のR1方向)に回転した場合、第1ストッパ機構81は、サポートプレート4と出力プレート3とを当接させることによって、低剛性スプリング51の作動を停止する。一方で、入力プレート2が第2方向(図1のR2方向)に回転した場合、第1ストッパ機構81は、入力プレート2とサポートプレート4とを当接させることによって、低剛性スプリング51の作動を停止する。
【0053】
より詳細には、第1ストッパ機構81は、出力プレート3の第1当接部33と、サポートプレート4の第2当接部42とから、構成されている。この場合、入力プレート2が第1方向(図1のR1方向)に回転し、サポートプレート4の第2当接部42(図1の42a)が出力プレート3の第1当接部33(図1の33a)に当接すると、低剛性スプリング51の作動が停止する。
【0054】
また、第1ストッパ機構81は、入力プレート2の連結部材23と、サポートプレート4の回転規制部44とから、構成されている。この場合、入力プレート2が第2方向(図1のR2方向)に回転し、入力プレート2の連結部材23(図1の23a)がサポートプレート4の回転規制部44に当接すると、低剛性スプリング51の作動が停止する。
【0055】
<第2ストッパ機構>
第2ストッパ機構85は、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか他方と、サポートプレート4とを当接させることによって、高剛性スプリング61の作動を停止する。
【0056】
詳細には、入力プレート2が第1方向(図1のR1方向)に回転した場合、第2ストッパ機構85は、入力プレート2とサポートプレート4とを当接させることによって、高剛性スプリング61の作動を停止する。一方で、入力プレート2が第2方向(図1のR2方向)に回転した場合、第2ストッパ機構85は、サポートプレート4と出力プレート3とを当接させることによって、高剛性スプリング61の作動を停止する。
【0057】
より詳細には、第2ストッパ機構85は、入力プレート2の連結部材23と、サポートプレート4の回転規制部44とから、構成されている。この場合、入力プレート2が第1方向(図1のR1方向)に回転し、入力プレート2の連結部材23(図1の23b)がサポートプレート4の回転規制部44に当接すると、高剛性スプリング61の作動が停止する。
【0058】
また、第2ストッパ機構85は、出力プレート3の第1当接部33と、サポートプレート4の第2当接部42とを、有している。この場合、入力プレート2が第2方向(図1のR2方向)に回転し、サポートプレート4の第2当接部42(図1の42b)が出力プレート3の第1当接部33(図1の33b)に当接すると、高剛性スプリング61の作動が停止する。
【0059】
<第1緩衝部材>
第1緩衝部材71は、低剛性スプリング51の作動中に第1ストッパ機構81の作動を緩和可能である。第1緩衝部材71は、弾性部材である。具体的には、第1緩衝部材71は、樹脂製の弾性部材である。なお、以下では、「捩り角度」という文言は、「捩り角度の絶対値」という意味で用いられることがある。
【0060】
第1緩衝部材71は、低剛性スプリング51の内部に移動自在に配置される。入力プレート2に対する出力プレート3の捩り角度θ(回転角度の一例)が、所定の第1角度θ1(図3を参照)以上になった場合に、第1緩衝部材71は、低剛性スプリング51の内部で圧縮可能になる。この所定の第1角度θ1は、第1ストッパ機構81が作動する捩り角度θ2(図3を参照)未満である。
【0061】
詳細には、入力プレート2に対する出力プレート3の捩り角度θが、所定の第1角度θ1以上、且つ第1ストッパ機構81が作動する捩り角度θ2未満である場合に、第1緩衝部材71は、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方と、サポートプレート4との間で、圧縮可能になる。例えば、第1緩衝部材71は、第1プレート21及び第2プレート22の第1押圧部27と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮可能である。また、第1緩衝部材71は、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮可能である。なお、所定の第1角度θ1は、第1ストッパ機構81が作動する捩り角度θ2より、小さい角度である。
【0062】
上記の状態において、入力プレート2に急に大きなトルクが入力されても、第1緩衝部材71によって、第1ストッパ機構81が作動しづらい。また、第1ストッパ機構81の作動時にも、第1緩衝部材71によって、第1ストッパ機構81の作動音が低減される。
【0063】
<第2緩衝部材>
第2緩衝部材75は、高剛性スプリング61の作動中に第2ストッパ機構85の作動を緩和可能である。第2緩衝部材75が、弾性部材である。具体的には、第2緩衝部材75は、樹脂製の弾性部材である。なお、以下では、「捩り角度」という文言は、「捩り角度の絶対値」という意味で用いられることがある。
【0064】
第2緩衝部材75は、高剛性スプリング61の内部に移動自在に配置される。入力プレート2に対する出力プレート3の捩り角度θが、所定の第2角度θ3(図3を参照)以上になった場合に、第2緩衝部材75は、高剛性スプリング61の内部で圧縮可能になる。この所定の第2角度θ3は、第2ストッパ機構85が作動する捩り角度θ4未満である。
【0065】
詳細には、入力プレート2に対する出力プレート3の捩り角度θが、所定の第2角度θ3以上、且つ第2ストッパ機構85が作動する捩り角度θ4未満である場合に、第2緩衝部材75は、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方と、サポートプレート4との間で、圧縮可能になる。例えば、第2緩衝部材75は、第1プレート21及び第2プレート22の第2押圧部28と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮可能である。また、第2緩衝部材75は、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮可能である。なお、所定の第2角度θ3は、第2ストッパ機構85が作動する捩り角度θ4より、小さい角度である。
【0066】
上記の状態において、入力プレート2に急に大きなトルクが入力されても、第2緩衝部材75によって、第2ストッパ機構85が作動しづらい。また、第2ストッパ機構85の作動時にも、第2緩衝部材75によって、第2ストッパ機構85の作動音が低減される。
【0067】
<フライホイール組立体の動作>
図3を用いて、フライホイール組立体1の動作(捩り特性)について説明する。図3の横軸は捩り角度θであり、図3の縦軸はトルクである。なお、本実施形態のフライホイール組立体1は、3組のスプリング群、すなわち低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61が直列配置された3組のスプリング群を、有している。1組のスプリング群は、低剛性スプリング51と、高剛性スプリング61とから構成されている。ここでは、説明を容易にするために、1組のスプリング群51,61に注目して説明を行う。
【0068】
・正側の捩り特性
まず、エンジンの動力がフライホイール組立体1に入力され、入力プレート2が、出力プレート3に対して第1方向(図1のR1方向)に回転し始める。すると、入力プレート2と出力プレート3との間で、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61の圧縮が、開始される。
【0069】
すると、高剛性スプリング61及び低剛性スプリング51が、サポートプレート4を介して、入力プレート2と出力プレート3との間で、圧縮される。詳細には、高剛性スプリング61が、スプリングシートを介して、入力プレート2の第2押圧部28と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮される。また、低剛性スプリング51が、スプリングシートを介して、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮される。これにより、図3における1段目の捩り剛性K1が形成される。
【0070】
続いて、捩り角度θが大きくなると、低剛性スプリング51の内部の第1緩衝部材71が、スプリングシートに当接可能になる。このときの捩り角度θがθ1である。この場合、第1緩衝部材71が、スプリングシートを介して、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮可能になる。すなわち、この場合、低剛性スプリング51及び第1緩衝部材71が圧縮される。これにより、図3における2段目の捩り剛性K2が形成される。
【0071】
この状態において、捩り角度θがさらに大きくなりθ2に到達すると、第1ストッパ機構81が作動する。詳細には、サポートプレート4の第2当接部42が、出力プレート3の第1当接部33に当接する。これにより、低剛性スプリング51が作動不能になる。
【0072】
次に、捩り角度θがさらに大きくなると、高剛性スプリング61のみが、入力プレート2と出力プレート3との間で、圧縮される。詳細には、高剛性スプリング61が、スプリングシートを介して、入力プレート2の第2押圧部28と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮される。これにより、図3における3段目の捩り剛性K3が形成される。
【0073】
続いて、捩り角度θが大きくなると、高剛性スプリング61の内部の第2緩衝部材75が、スプリングシートに当接可能になる。このときの捩り角度θがθ3である。この場合、第2緩衝部材75が、スプリングシートを介して、入力プレート2の第2押圧部28と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮可能になる。すなわち、この場合、高剛性スプリング61及び第2緩衝部材75が圧縮される。これにより、図3における4段目の捩り剛性K4が形成される。
【0074】
この状態において、捩り角度θがさらに大きくなると、第2ストッパ機構85が作動する。詳細には、入力プレート2の連結部材23が、サポートプレート4の回転規制部44に当接する。これにより、高剛性スプリング61が作動不能になる。この状態は、捩り角度θが最大捩り角度θ4に到達した状態である。
【0075】
・負側の捩り特性
負側の捩り特性は、実質的に、正側の捩り特性と同様であるので、ここでは図3を用いて説明する。すなわち、図3の捩り角度θを絶対値と考えると、図3が負側の捩り特性を示す図となる。
【0076】
まず、エンジンの動力がフライホイール組立体1に入力され、入力プレート2が、出力プレート3に対して第2方向(図1のR2方向)に回転し始める。すると、入力プレート2と出力プレート3との間で、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61の圧縮が、開始される。
【0077】
すると、高剛性スプリング61及び低剛性スプリング51が、サポートプレート4を介して、入力プレート2と出力プレート3との間で、圧縮される。詳細には、低剛性スプリング51が、スプリングシートを介して、入力プレート2の第1押圧部27と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮される。また、高剛性スプリング61が、スプリングシートを介して、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮される。これにより、図3における1段目の捩り剛性K1が形成される。
【0078】
続いて、捩り角度θが大きくなると、低剛性スプリング51の内部の第1緩衝部材71が、スプリングシートに当接可能になる。このときの捩り角度θがθ1である。この場合、第1緩衝部材71が、スプリングシートを介して、入力プレート2の第1押圧部27と、サポートプレート4の係合部43との間で、圧縮可能になる。すなわち、この場合、低剛性スプリング51及び第1緩衝部材71が圧縮される。これにより、図3における2段目の捩り剛性K2が形成される。
【0079】
この状態において、捩り角度θがさらに大きくなりθ2に到達すると、第1ストッパ機構81が作動する。詳細には、入力プレート2の連結部材23が、サポートプレート4の回転規制部44に当接する。これにより、低剛性スプリング51が作動不能になる。
【0080】
次に、捩り角度θがさらに大きくなると、高剛性スプリング61のみが、入力プレート2と出力プレート3との間で、圧縮される。詳細には、高剛性スプリング61が、スプリングシートを介して、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮される。これにより、図3における3段目の捩り剛性K3が形成される。
【0081】
続いて、捩り角度θが大きくなると、高剛性スプリング61の内部の第2緩衝部材75が、スプリングシートに当接可能になる。このときの捩り角度θがθ3である。この場合、第2緩衝部材75が、スプリングシートを介して、サポートプレート4の係合部43と、出力プレート3の第3押圧部34との間で、圧縮可能になる。すなわち、この場合、高剛性スプリング61及び第2緩衝部材75が圧縮される。これにより、図3における4段目の捩り剛性K4が形成される。
【0082】
この状態において、捩り角度θがさらに大きくなると、第2ストッパ機構85が作動する。詳細には、サポートプレート4の第2当接部42が、出力プレート3の第1当接部33に当接する。これにより、高剛性スプリング61が作動不能になる。この状態は、捩り角度θが最大捩り角度θ4に到達した状態である。
【0083】
<特徴>
(1)本ダンパー装置は、入力プレート2と、出力プレート3と、低剛性スプリング51と、高剛性スプリング61と、サポートプレート4と、第1ストッパ機構81と、第1緩衝部材71とを、備える。入力プレート2には、エンジンの動力が入力される。出力プレート3は、入力プレート2に対して回転可能に配置される。低剛性スプリング51は、入力プレート2及び出力プレート3の間で圧縮される。高剛性スプリング61は、低剛性スプリング51より剛性が高く、入力プレート2及び出力プレート3の間で圧縮される。
【0084】
サポートプレート4は、低剛性スプリング51と高剛性スプリング61とに、係合する。サポートプレート4は、低剛性スプリング51と高剛性スプリング61とを、直列に連結する。第1ストッパ機構81は、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方と、サポートプレート4とを当接させることによって、低剛性スプリング51の作動を停止する。第1緩衝部材71は、低剛性スプリング51の内部に移動自在に配置され、低剛性スプリング51の作動中に第1ストッパ機構81における当接を緩和可能である。
【0085】
本ダンパー装置では、エンジンの動力が入力プレート2に入力されると、この動力は、入力プレート2、サポートプレート4、出力プレート3の順に伝達される。この動力の伝達経路において、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61が、サポートプレート4を介して、入力プレート2と出力プレート3との間で圧縮される。
【0086】
ここで、低剛性スプリング51及び高剛性スプリング61は直列に連結され、低剛性スプリング51の剛性は高剛性スプリング61の剛性より小さいので、低剛性スプリング51は、高剛性スプリング61より縮む。このため、入力プレート2に急に大きなトルクが入力されると、低剛性スプリング51を圧縮する2つの部材(入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方、及びサポートプレート4)が、互いに当接するおそれがある。すなわち、第1ストッパ機構81が作動するおそれがある。
【0087】
しかしながら、本ダンパー装置では、低剛性スプリング51の内部には、第1緩衝部材71が配置されているので、この第1緩衝部材71によって第1ストッパ機構81が作動しづらい。また、第1ストッパ機構81が作動したとしても、第1緩衝部材71によって、第1ストッパ機構81の作動音を低減することができる。すなわち、本ダンパー装置では、装置作動時の作動音を、低減することができる。
【0088】
(2)本ダンパー装置では、第1緩衝部材71は、弾性部材である。入力プレート2に対する出力プレート3の捩り角度θが、第1ストッパ機構81が作動する捩り角度θ2未満である場合に、第1緩衝部材71は、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方と、サポートプレート4との間で、圧縮可能である。
【0089】
この場合、入力プレート2に対する出力プレート3の捩り角度θが、上記の捩り角度θ2未満である場合に、第1緩衝部材71が、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方と、サポートプレート4との間で、圧縮される。このように、第1ストッパ機構81が作動する前に、第1緩衝部材71が圧縮されるので、装置作動時の作動音を低減することができる。
【0090】
(3)本ダンパー装置では、第1緩衝部材71が、樹脂製の弾性部材である。
【0091】
この場合、第1緩衝部材71が樹脂製であるので、第1緩衝部材71の圧縮時に第1緩衝部材71そのもののが、作動音を生じることがない。このため、装置作動時の作動音を確実に低減することができる。
【0092】
(4)本ダンパー装置は、第2ストッパ機構85と、第2緩衝部材75とを、さらに備える。第2ストッパ機構85は、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方と、サポートプレート4とを当接させることによって、高剛性スプリング61の作動を停止する。第2緩衝部材75は、高剛性スプリング61の内部に移動自在に配置され、高剛性スプリング61の作動中に第2ストッパ機構85における当接を緩和可能である。
【0093】
この場合、入力プレート2に急に大きなトルクが入力されると、高剛性スプリング61を圧縮する2つの部材(入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方、及びサポートプレート4)が、互いに当接するおそれがある。すなわち、第2ストッパ機構85が作動するおそれがある。
【0094】
しかしながら、本ダンパー装置では、高剛性スプリング61の内部には、第2緩衝部材75が配置されているので、この第2緩衝部材75によって、第2ストッパ機構85が作動しづらい。また、第2ストッパ機構85が作動したとしても、第2緩衝部材75によって、第2ストッパ機構85の作動音を低減することができる。すなわち、本ダンパー装置では、装置作動時の作動音を、低減することができる。
【0095】
(5)本ダンパー装置は、第2緩衝部材75が、弾性部材である。入力プレート2に対する出力プレート3の捩り角度θが、第2ストッパ機構85が作動する捩り角度θ4未満である場合に、第2緩衝部材75は、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか一方と、サポートプレート4との間で、圧縮可能である。
【0096】
この場合、入力プレート2に対する出力プレート3の捩り角度θが、上記の捩り角度θ4未満である場合に、第2緩衝部材75が、入力プレート2及び出力プレート3のいずれか他方と、サポートプレート4との間で、圧縮される。このように、第2ストッパ機構85が作動する前に、第2緩衝部材75が圧縮されるので、装置作動時の作動音を低減することができる。
【0097】
(6)本ダンパー装置では、第2緩衝部材75が、樹脂製の弾性部材である。
【0098】
この場合、第2緩衝部材75が樹脂製であるので、第2緩衝部材75の圧縮時に第2緩衝部材75そのもののが、作動音を生じることがない。このため、装置作動時の作動音を確実に低減することができる。
【0099】
<他の実施形態>
本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形及び修正が可能である。
【0100】
(A)前記実施形態では、第1緩衝部材71が低剛性スプリング51の内部に配置され、第2緩衝部材75が高剛性スプリング61の内部に配置される場合の例を示した。これに代えて、第1緩衝部材71だけが、低剛性スプリング51の内部に配置されるようにしてもよい。このように構成しても、本発明の効果を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、ダンパー装置に対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 フライホイール組立体
2 入力プレート
3 出力プレート
4 サポートプレート
51 低剛性スプリング
61 高剛性スプリング
71 第1緩衝部材
75 第2緩衝部材
81 第1ストッパ機構
85 第2ストッパ機構
図1
図2
図3