(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のスイッチング機構が前記第1の保存モードに入れられる前に、前記媒体インサートに含まれる前記電気回路の動作を試験する工程、を更に含む、請求項1に記載の方法。
前記電気回路が、前記電気的負荷の第1の部分上で第1のリセット機能を行うことが可能な電子回路の第1のブロックを更に含み、前記第1のブロックが前記電気回路内に含まれ、起動された場合に前記電気的負荷の前記第1の部分を第1の所定のエネルギー印加状態とする、請求項1に記載の方法。
電流フローが動作レベルにまで増大した場合に前記第1のリセット機能を起動する工程、を更に含み、前記電気回路が、前記電気的負荷の前記第1の部分上で前記第1のリセット機能を行うことが可能な電子回路の前記第1のブロックを更に備え、前記第1のブロックが前記電気回路内に含まれ、起動された場合に前記電気的負荷の前記第1の部分を前記第1の所定のエネルギー印加状態とする、請求項5に記載の方法。
前記第1のスイッチング機構を前記第1の保存モードに入れる工程が、前記電気回路内の構成要素を保護するために、前記エネルギー印加された眼用装置内に前記媒体インサートを組み込む前に行われる、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、使用されていない場合に、電流漏れを低減することによりエネルギーを保存することが可能な保存モードを有する、エネルギー印加された眼用装置に関し、また、本発明は更に製造方法及び使用に関する。以下の項では、本発明の各実施形態の詳細な説明を与える。好ましい実施形態及び代替的実施形態の説明はいずれも、あくまで例示的な実施形態に過ぎないものであって、当業者にとって、変形、改変、及び変更が明らかとなりうることは理解される。したがって、これらの例示的な実施形態は、基礎をなす発明の範囲を限定するものではない点は理解されるはずである。
【0018】
組み込まれた電池は、眼用装置の使用時に動作できるだけの充分な電力を維持するための低漏電状態又は保存モードを有しうる。これにより、眼用装置の使用者は、電池及び/又は負荷回路を作動又は復帰させることが可能である。装置の使用前の漏れを最小化するための保存モードを有する電源は、電子分野において既に存在している可能性があるが、エネルギー印加された眼用装置に伴う問題は、現在入手可能なこれらの製品とは異なっている。例えば、玩具において電力を保存するための一般的な技術の1つは、コイン電池を被覆するために使用される紙で製品をパッケージングすることである。タブを引っぱると紙が剥がれ、電池と回路との間に接触が生じる。このような作動の前には、システムは貯蔵寿命の長い低漏電状態にある。こうした方法は、コンタクトレンズ内に封入された電子システムに使用することはできない。
【0019】
眼用装置にエネルギー印加素子を組み込むことにより、漏れに対する解決策が直接的な電気的接触によらないものとなる可能性があるために、電流漏れにおける更なる問題が生じる。したがって、作動の方法を外部からの刺激によるものとすることができる一方で、保存モードから作動モードへの切り替えを行うための機構はエネルギー印加された眼用装置内に内蔵することができる。この概念は、意図的な行為(スティックを折る)により装置が作動されるまでの間、エネルギー(グロースティックの場合では、光を発生する化学反応)が放出されない「グロースティック」の概念と似ている。グロースティックと異なり、封入された媒体インサートを有するエネルギー印加された眼用装置は、複雑な電子構成要素を含みうるものであり、生体適合性材料を含みうるものである。
【0020】
眼用媒体インサート内部の空間が小さいことにより、保存モードに別の制限が加えられうる。スイッチング機構を含むすべての回路構成要素の眼用媒体インサート内における面積は、1.5平方mmである。サイズの制限のため、可能な電力供給量も制限され、回路によって使用される面積分だけ電力供給のために利用可能な面積が少なくなりうる。したがって、エネルギー印加された眼用装置が、貯蔵寿命の後の実際の使用において依然、機能しうるような許容される漏れの範囲は、極めて小さい。本発明は、このようなエネルギー保存の問題を解決するものである。
【0021】
用語
本発明を対象としたこの説明文及び特許請求の範囲においては、以下の定義を適用する様々な用語が用いられうる。
本明細書で使用するところの「封入する」とは、例えば媒体インサートなどの物体を、物体に隣接する環境から分離するためのバリアを形成することを指す。
【0022】
本明細書で使用するところの「エネルギー印加」とは、電流を供給することが可能であるか、又は電気エネルギーを内部に蓄積することが可能である状態を指す。
【0023】
本明細書で使用するところの「エネルギー」とは、ある物理系が仕事をする能力のことを指す。本発明における使用の多くは、仕事を行う際に電気的動作を行うことが可能な前記能力に関連したものでありうる。
【0024】
本明細書で使用するところの「エネルギー源」とは、エネルギーを供給するか、又は論理装置若しくは電気的装置をエネルギー印加状態とすることが可能な装置又は層を指す。
【0025】
本明細書で使用するところの「エネルギーハーベスター」とは、環境からエネルギーを抽出し、これを電気エネルギーに変換することが可能な装置のことを指す。
【0026】
本明細書で使用するところの「機能化」とは、例えばエネルギー印加、作動、又は制御を含む機能を、層又は装置が行うことを可能にすることを指す。
【0027】
本明細書で使用するところの「漏れ」とは、エネルギーの望ましくない損失のことを指す。
【0028】
本明細書で使用するところの「レンズ又は眼用装置」とは、眼内又は眼上に載置されるあらゆる眼用デバイスを指す。これらの装置は、光学的補正を与えるものであってもよく、美容的なものであってもよく、又は目とは無関係の機能性を与えるものであってもよい。例えば、レンズなる用語は、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼用インサート、光学インサート、又は視力を矯正若しくは改変するか、又は、視力を妨げることなく目の生理機能(例えば、虹彩色)を美容的に強調する他の同様の装置のことを指す場合がある。また、レンズは、例えば、血糖値を監視し、活性薬剤を投与するといった、非光学的機能を与えるものであってもよい。幾つかの実施形態では、本発明の好ましいレンズは、例えばシリコーンヒドロゲル、及びフルオロヒドロゲルを含む、シリコーンエラストマー又はヒドロゲルで形成されたソフトコンタクトレンズである。
【0029】
本明細書で使用するところの「レンズ形成混合物、又は反応性混合物若しくは反応性モノマー混合物(RMM)」とは、硬化してから架橋するか、又は架橋することにより眼用装置を形成することができるモノマー材料又はプレポリマー材料のことを指す。様々な実施形態は、レンズ形成混合物を、例えばUV遮断剤、染料、光開始剤、又は触媒などの1つ以上の添加剤、及びコンタクトレンズ若しくは眼内レンズなどの眼用装置において望ましい他の添加剤とともに含みうる。
【0030】
本明細書で使用するところの「レンズ形成面」とは、レンズを成型するために使用される面のことを指す。幾つか実施形態では、このような表面はいずれも、成型表面に接触するレンズ形成材料の重合によって形成されるレンズ表面が光学的に許容可能なものとなるように充分に滑らかに形成されていることを示す光学品質の表面仕上げを有しうる。更に、幾つかの実施形態では、レンズ形成表面は、レンズ表面に、球面、非球面、及び円筒屈折力、波面収差補正、角膜トポグラフィ補正など、並びにこれらの任意の組み合わせを含む(ただしこれらに限定されない)所望の光学特性を付与するうえで必要とされる幾何学形状を有することができる。
【0031】
本明細書で使用するところの「リチウムイオンセル」とは、リチウムイオンがセルを通じて移動することにより電気的エネルギーを発生する電気化学セルのことを指す。一般的に電池と呼ばれるこの電気化学セルは、その通常の形態では、再エネルギー印加又は再充電することができる。
【0032】
本明細書で使用するところの「媒体インサート」とは、エネルギー印加された眼用装置に組み込まれる封入されたインサートのことを指す。エネルギー印加素子及び回路を、媒体インサートに組み込むことができる。媒体インサートは、エネルギー印加された眼用装置の主目的を与えるものである。例えば、エネルギー印加された眼用装置が、使用者に屈折力を調整することを可能とするような実施形態では、媒体インサートは、オプティカルゾーンの液体メニスカス部分を制御するエネルギー印加素子を含みうる。また、媒体インサートは、光学ゾーンに材料が存在しない環状のものであってもよい。このような実施形態では、エネルギー印加によるレンズの機能は、光学的性質のものではなく、例えば血糖値の監視、又は活性薬剤の投与でありうる。
【0033】
本明細書で使用するところの「成形型」とは、未硬化配合物からレンズを形成するために使用することが可能な剛性又は半剛性の物体のことを指す。幾つかの好ましい成形型は、前側湾曲部成形型部分及び後側湾曲部成形型部分を形成する2つの成形型部分を含む。
【0034】
本明細書で使用するところの「動作モード」とは、回路上の電流が、その主たるエネルギー印加による機能を装置が行うことを可能とするような高電流引き込み状態のことを指す。
【0035】
本明細書で使用するところの「光学ゾーン」とは、眼用装置の装用者がそこを通じて見る眼用装置の領域のことを指す。
【0036】
本明細書において使用するところの「電力」とは、単位時間当たりに行われる仕事又は移送されるエネルギーのことを指す。
【0037】
本明細書で使用するところの「再エネルギー印加可能又は再充電可能な」とは、仕事をするより高い能力の状態に回復させることが可能な能力のことを指す。本発明においては多くの場合、特定の率で、特定の再度回復された時間の間、電流を流すことができるように、装置を復元することに関連して使用され得る。
【0038】
本明細書で使用するところの「再エネルギー印加又は再充電」とは、仕事をするより高い能力の状態に復元させることを指す。本発明内の多くの使用は、特定の率で、かつ特定の再度回復された時間の間、電流を流すことができるように装置を復元することに関連して使用され得る。
【0039】
本明細書で使用するところの「基準回路」とは、他の回路での使用に適した一定かつ安定した電圧又は電流出力を生じる回路のことを指す。基準回路は、バンドギャップから誘導することが可能で、温度、供給、プロセスの変動について補償することが可能であり、特定用途向け集積回路(ASIC)に合わせて特に調整することができる。
【0040】
本明細書で使用するところの「成形型から離型された」とは、成形型から完全に分離されているか、又は軽く揺動することによって取り外すか若しくは綿棒によって押し出すことができるようにごく緩く付着しているレンズのことを意味する。
【0041】
本明細書で使用するところの「リセット機能」とは、例えば論理状態又はエネルギー印加状態を含む特定の予め決められた状態に回路を設定するための自己誘発アルゴリズム機構のことを指す。リセット機能は、例えば、電源への最初の接続時及び保存モードからの起動時の両方に際してチップの適正な機能を確実に行うためにスイッチング機構と組み合わせて動作することが可能なパワーオンリセット回路を含みうる。
【0042】
本明細書で使用するところの「スリープモード又は待機モード」とは、動作モードが必要とされない場合にエネルギー保存を可能とする、スイッチング機構が閉じられた後のエネルギー印加された装置の低引き込み電流状態のことを指す。
【0043】
本明細書において使用するところの「積層された」とは、少なくとも2層の構成層を、層のうちの1つの一方の面の少なくとも一部が、第2の層の第1の面と接触するように、互いに近接して配置することを意味する。幾つか実施形態では、接着又は他の機能を行うためのフィルムを、フィルムを介して互いに接触する2つの層の間に配置することができる。
【0044】
本明細書において使用するところの「スタック一体型構成要素デバイス」(SIC−デバイス)とは、電気的及び電気機械的デバイスを含んでもよい基材の薄層を、各層の少なくとも一部分を互いの上部に積み重ねる手段により、動作可能な一体型デバイスへと組み立て得るパッケージング技術の産物を指す。各層は、様々な種類、材料、形状及びサイズの構成要素デバイスを含みうる。更に、各層は、様々な外形に適合してその外形となるように様々なデバイス製造技術により製造することができる。
【0045】
本明細書において使用するところの「保存モード」とは、電源が最小設計負荷電流を供給しているか又は供給することが求められる、電子構成要素を含むシステムの状態のことを指す。この用語は、待機モードと互換可能ではない。
【0046】
本明細書において使用するところの「基板インサート」とは、眼用装置内部のエネルギー源を支持することが可能な、成形可能又は剛性の基板のことを指す。幾つかの実施形態では、基板インサートは、1つ又は2つ以上の構成要素も更に支持する。
【0047】
本明細書において使用するところの「スイッチング機構」とは、眼用装置とは独立した、外部刺激に対して反応することが可能な様々なレベルの抵抗を与える回路と一体化された構成要素のことを指す。
【0048】
エネルギー印加された眼用装置
図1に進むと、エネルギー印加された眼用装置及び対応するエネルギー印加された眼用装置150の媒体インサート100の例示的な一実施形態が示されている。媒体インサート100は、視力矯正を与えるための機能を有してもよく又は有さずともよい光学ゾーン120を含みうる。眼用装置のエネルギー印加による機能が視力に関連したものでない場合、媒体インサート100の光学ゾーン120には材料が存在せずともよい。幾つか実施形態では、媒体インサート100は、エネルギー印加素子110及び電子構成要素105が組み込まれた基板115を含む光学ゾーン120内にはない部分を含みうる。
【0049】
幾つか実施形態では、例えば電池であってよい電源110及び例えば半導体ダイであってよい負荷105を基板115に取り付けることができる。導電性トレース125及び130により、電子構成要素105とエネルギー印加素子110とを電気的に相互接続することができる。媒体インサート100は、エネルギー印加素子110、トレース125及び130、並びに電子構成要素105を保護し、封じ込めるために完全に封入することができる。幾つかの実施形態では、封入材料は、例えば、水などの特定の物質が媒体インサート100に浸入することを防止し、周囲の気体又はエネルギー印加素子内部の反応の副生成物などの特定の物質が媒体インサート100に浸透するか又は媒体インサート100から逃げることを可能とするように半透性のものとすることができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、媒体インサート100は、ポリマー生体適合性物質を含みうる眼用装置150に組み込むことができる。眼用装置150は、剛性の中心、軟質のスカート設計を含んでよく、中心の剛性の光学素子が媒体インサート100を含む。幾つかの具体的な実施形態では、媒体インサート100は、大気及び角膜表面とそれぞれ前面及び後面において直接接触してもよく、あるいは、媒体インサート100は眼用装置150内に封入されてもよい。眼用装置150の外周部155は、例えばヒドロゲル材料を含む軟質のスカート材料であってよい。
【0051】
図2に進むと、エネルギー印加された眼用装置を含みうるエネルギー印加された装置において電力を保存することとの関連において重要な回路設計の側面の一般的なモデルが示されている。装置が動作モードにある場合、電源210は、他の経路に電流をいっさい損失することなく負荷220に全電流を供給できることが理想的である。しかしながら、現実的な状況では、例えば、電源自体の内部における漏れ、又は電源210と負荷構成要素220との間の相互接続に沿った漏れなどの、並列した漏れ経路が装置内で一般的に生じうる。これらの漏れ電流の経路は、シャント抵抗器215として示される並列の「シャント抵抗」としてモデル化することができる。装置内の漏れ経路は可能なかぎり最小に抑えられるが、これは、「シャント抵抗」の値が最大となるモデルに相当する。したがって、漏れの低い好ましい実施形態は、シャント抵抗器225が例えば10
9Ωの極めて高い抵抗を有するようなモデルで表すことができる。
【0052】
シャント抵抗が極めて高い(及び以下の考察では、シャント抵抗器が回路図に含まれていない場合、無限大と仮定される)実施形態においてもなお、電源は負荷自体からエネルギーが失われうる。幾つかの実施形態では、スイッチング機構205が変化する抵抗を有するモデルにより表される場合に保存モードが生じるようにモデル化することができる。理想的な場合では、回路225が動作モードにある場合にはスイッチング機構205にわたった抵抗がゼロとなり、回路225が保存モードにある場合には無限大となりうる。幾つかの代表的な実施形態では、スイッチング機構は、スイッチング機構205が閉じられている場合には例えば10Ω未満のような最小の抵抗を加え、スイッチング機構205が開かれている場合には例えば10
9Ωのような極めて高い抵抗を与える。幾つかの実施形態では、この仕様を満たすため、保存モードでは回路を停止させておくことができる。例えば、幾つかの実施形態では、負荷が例えば基準回路、振動回路、デジタル論理回路、又は幾つかの実施形態ではレンズ駆動回路を含みうる場合に負荷から電池を遮断することが可能な高遮断スイッチを含みうる。
【0053】
エネルギー印加された眼用装置では、負荷220により、例えば光学的能力の調節、又は活性薬剤の投与といった装置の特定の機能を制御することができる。幾つかの好ましい実施形態では、負荷抵抗は公称値である。電流、電力、及び抵抗について上記に述べた例は、幾つかの例示的な実施形態に適用される公称動作境界値内とすることができる。例えば、幾つかの好ましい実施形態では、漏れ電流として分類することができる、エネルギー印加された眼用装置が保存モードにある場合の引き込み電流は、400pA未満でありうる。
【0054】
この漏れ電流は、望ましい保存モードの電流消費の仕様を満足させるうるものであり、したがって、エネルギー印加された眼用装置の長期の貯蔵寿命を可能としうるものである。幾つかの実施形態では、例えば眼用装置が保存モードにある間の漏れのレベルは、目標レベルとなりえるため、回路の構成要素の消耗を制限するという更なる利点を与えうるものである。
【0055】
幾つかの好ましい実施形態では、エネルギー印加された眼用装置が動作モードにある場合、電流は平均で3μA以下でありうるが、10mA以上のピークを含みうる。I
動作モードを、エネルギー印加された眼用装置が保存状態から起動された後の電流とし、I
保存モードを、装置が保存モードにある間の非動作時の漏れ電流としてよく、装置がそのI
動作モードで動作することが可能な潜在的時間に直接影響を及ぼしうる。
【0056】
保存モードを有さないエネルギー印加された眼用装置では、何年もの保存後ではエネルギー印加素子からの利用可能な電力は着実に低下し、利用可能な電力がゼロとなるエネルギー印加されていない状態にまで低下する可能性がある。構成要素又は装置設計に保存モード態様を加えることにより、得られる装置を、時間の経過に伴う電流損失を低減することが可能な、高いR
スイッチ開放を有するスイッチング機構205を有するものとしてモデル化することができる。能動回路が、あるI
動作モードで動作することが可能な時間は、R
スイッチ開放が高いほど、エネルギー印加素子上の漏れ引き込み電流が低減され、これにより装置がそのI
動作モードで動作することが可能な時間がより長くなりうる点で、モデルスイッチング機構205のR
スイッチ開放と直接関連しうる。別の意味では、装置が動作している場合、モデル化されたスイッチング機構を通じて流れる電流はその機構自体の内部に影響を及ぼさないことが重要となる場合があり、このため、幾つかの実施形態では、スイッチング機構205は、閉鎖された際に長時間の動作にわたって最大でI
動作モード(これを含む)の電流に耐えうる材料で形成することができる。
【0057】
特定の用途で使用されるエネルギー印加セルの種類、寸法、及び量に関連した様々な設計上のパラメータが考えられる。幾つかの実施形態では、例えば、電源210は、それぞれが0.8〜1.65Vのセル電圧を有する直列に接続された2個の電池セルからなることにより、1.6〜3.3Vの電圧を与えることができる。この種類の電池をこの電圧範囲に構成するという要請は、電池がこの電位周辺の窓で動作しうることから、電子回路に用いられる技術と関連したものとなりうる。例えば、陽極及び陰極に関与する化学反応が異なる場合のように異なる種類の電池が使用される場合、公称セル電圧は変化しうる。
【0058】
特定の電池の種類の範囲内では、使用される電池のサイズは、本明細書において考察した電流現象と関連しうる。例えば、特定の用途は、特定の動作電流における目標動作寿命を有しうる。この目標値のみに基づき、セルのサイズ要求条件を、セルの固有のエネルギー密度及び動作寿命に必要とされるエネルギーから単純に推定することができる。しかしながら、本明細書において述べたように、貯蔵寿命に必要とされるエネルギーは、セルのサイズ要求条件も考慮したものとなりうるため、状況は一般的により複雑になりうる。貯蔵寿命に必要とされるエネルギーは、I
保存モードの重要な関数である。したがって、I
保存モードの最小化がなぜ望ましいかは、それによりある用途で必要とされる電池化学物質の量が低減されるか、又はその一方である用途での電池の所定の利用可能な空間のサイズについての作動寿命パラメータが増大することから、明らかとなりうる。
【0059】
保存モードは、回路を通じた漏れを低減し、エネルギーの流れを制限することにより、エネルギー印加された回路により生じる反応から生じうる副生成物を最小限に抑えることもできる。これは、眼用装置が、生成物のわずかな蓄積でさえも眼用装置の完全性を損ないかねない、例えばブリスターのような小型の密封されたパッケージで出荷されるような実施形態において特に重要となりうる。
【0060】
眼用装置が保存モードにない場合においても更にエネルギーを保存するため、スリープモードを保存モード機能と組み合わせることができる。保存モードが、高い抵抗を負荷への電源の導電経路に導入する、スイッチング機構が関わる低エネルギー消費状態のことを一般的に指しうるのに対して、スリープモードは、回路が低い抵抗の経路を介して電源に接続されている場合の電子回路の低エネルギー消費状態のことを指しうる。このようなスリープモードは、接続された電子回路が例えば、所定の速度でセンサーサンプリングを行うことを待機することによってエネルギーを節約するためにその回路の大部分を基本的に「オフ」するようにそれ自体を制御する場合に生じうる。
【0061】
図3に進むと、保存モードを有する装置の回路設計の例示的な一実施形態が示されている。回路325は、眼用装置の特定の機能を制御することが可能な電源310及び負荷320を含みうる。上記に述べたように、電源310自体及び電源310と負荷320との間の接続の寄生漏れが極めて小さくなるように設計及び製造することが可能であり、そのため例えば「シャント抵抗」は示されていない。幾つかの実施形態では、保存モードを促進するため、スイッチング機構を電源310及び負荷320と直列に配置することができる。
【0062】
スイッチング機構315は、その発生源において回路325と直接接触していない外部刺激330に反応することができる。スイッチング機構315は、外部刺激330に対する感度かつ反応性を有する装置として一般的に示されている。このため、スイッチング機構315は、様々な種類のセンサー部分からなるものであってもよい。例えば、これらのセンサーは、刺激として高周波放射を受信して反応するアンテナとしてもよく、又は光子に基づく外部刺激に反応する光電池とすることもできる。外部刺激に対する感度を有するスイッチに固有の多くの種類のセンサーが存在しうる。他の実施形態では、外部刺激の検出は、スイッチ内の素子の何らかの物理的変化を伴い得る。例えば、スイッチ内の素子をレンズ外部からの熱刺激に曝露することで、スイッチ内部の構成要素の抵抗率を物理的に変化させ、他の述べられるセンサー素子によるものと同程度の反応を生じさせることができる。幾つかの実施形態は、音声に対する感度を有してもよい。
【0063】
幾つかの実施形態では、例えば、スイッチング機構315の制御に、電子的手段、機械的手段、又は磁気的手段を用いることができる。例えば、電子的手段ではスイッチングにトランジスター回路を用いることができ、機械的手段ではスイッチングに金属接点を用いることができ、磁気的手段ではリードリレーを用いることができる。オフモードにある場合には高い抵抗を有し、オンモードでは低い抵抗を有する多くのスイッチが存在しうる。
【0064】
幾つかの実施形態は、保存モードと動作モードとに繰り返し入れることができるスイッチング機構315を有してもよく、これにより、例えば製造時の検査又は眼用装置の繰り返しの使用が可能となりうる。幾つかのこのような実施形態では、負荷320によってスイッチング機構315を制御することも可能であり、負荷320によりスイッチング機構315を保存モードに戻すことができる。負荷320は、例えば使用者からのコマンド又は他の何らかの受動的外部刺激を受信することが可能な赤外線リンクなどの更なるセンサーを含みうる。負荷320は、シャットダウンコマンドを受信するとスイッチング機構を起動することができる。
【0065】
幾つかの実施形態では、例えば、回路は、独立して起動して1回使用することができる複数のスイッチング機構(図示されず)からなるものでよく、これにより特定の回数の使用が可能となる。このような実施形態では、非使用時の漏れを最小限に抑えて眼用装置を再び起動することができるように、1回の使用の後、負荷などの構成要素によって、スイッチング機構の1つを保存モードに入れることができる。回路が複数の1回使用スイッチング機構を含む場合、最初の使用後、構成要素が第2のスイッチング機構を保存モードに入れるようにしてもよく、これにより第2のスイッチング機構が外部刺激に反応することが可能となる。このような実施形態では、使用はスイッチング機構の数によって制限されうる。1日1回使用される装置における場合などの幾つかの代替的な実施形態では、スイッチング機構を1回だけ保存モードに入れ、動作モードに起動することができる。
【0066】
保存モードにより、眼用装置を既知のオフ状態に維持できることから、信頼性の高い出荷方法が可能となる。幾つかの実施形態では、出荷用の安定状態を確立するうえで保存モードのみで充分でありうる。他の代替的な実施形態では、パッケージングの前の検査プロセスの間、又は各構成要素の装置内への最初の組み付け時に、リセット機能を作動させることができる。例えば、リセット機能は、装置が指定された時間後に保存モードに入れられる場合に回路の最適な休止状態を確立することができる。幾つかの実施形態では、この指定された時間は、検査後において、使用者による起動後よりも短いため、1つは出荷のため、1つは使用のための2つのリセット機能が可能である。幾つかの実施形態では、電子回路のブロックによってリセット機能を行い、負荷320の少なくとも一部を所定のエネルギー印加状態とすることが可能である。電子回路のブロックは、例えば負荷320の内部を含む回路内部に組み込むことができる。
【0067】
図4に進むと、保存モードを有するエネルギー印加された装置の回路設計の代替的な実施形態が示されており、このような回路を眼用装置に組み込むことができる。回路設計400の幾つかの実施形態では、スイッチング機構410を電源405内に統合し、この電源405を負荷415と直列に回路420内に配置することができる。回路設計450の幾つかの代替的な実施形態では、スイッチング機構460を負荷465内に統合することができる。この負荷465を電源455と直列に回路470内に配置することができる。これらの実施形態400及び450では、スイッチング機構410は外部刺激425及び475に対して反応することができる。
【0068】
図5に進むと、主スイッチング機構550が別個の回路であるような実施形態が示されている。主スイッチング機構550は、エネルギー印加された眼用装置を動作させることが可能な制御負荷530とは別の負荷540からなるものでよい。幾つかの実施形態では、主スイッチング機構550は、極めて低電力で動作して外部刺激580を常にサンプリングすることができる。電源510からの電力を利用することにより、主スイッチング機構550は、例えば、外部刺激に対してより高い感度又は選択性を有するといった、受動的スイッチング機構と比較して利点を与えることができる。
【0069】
外部刺激580によって起動されると、スイッチング負荷540は、制御負荷530及び電源510と主回路570内で直列に接続することができるスイッチ520を制御することができる。幾つかの実施形態では、主スイッチ520が起動されると、主回路570は、例えば平均3μA、ピーク10mAのような高い電力で動作することができる。幾つかの実施形態では、主スイッチ520は、スイッチ520を保存モードに戻すことが可能な負荷540によって更に制御することができる。
【0070】
主スイッチング機構550は幾つかの実施形態では、更なるスイッチング機構560を有してもよい。この更なるスイッチング機構560は、例えば更に漏れ電流を低減し、また、電力構成要素を保護するなどの多くの機能を与えることができる。幾つかの実施形態では、更なるスイッチング機構560は、媒体インサートがエネルギー印加された眼用装置に組み込まれ、装置がパッケージングされる準備が整った後でのみ起動することができる。これにより、例えばヒドロゲルを硬化させるために用いられる硬化光などの後の製造手順によってもたらされるダメージから回路を保護することができる。幾つかの実施形態では、更なるスイッチング機構560及び主スイッチング機構550は、異なる種類の外部刺激580に対して反応することもできる。
【0071】
例えば、幾つかの実施形態では、更なるスイッチング機構560は温度に反応するものとし、主スイッチング機構550は、周辺光に反応するものとすることができる。このような実施形態は、エネルギー印加された眼用装置を、保存モードの最も保存的な段階にある間、冷たい又は低温下で保存することを可能とする。エネルギー印加された眼用装置がより高い温度に曝露されると、更なるスイッチング機構560は、主回路570を保存モードに依然維持したまま、主スイッチング機構550に低電力で周辺光のサンプリングを開始させることができる。周辺光に曝露されると、主スイッチング機構550は主スイッチ520を閉じ、動作モードを作動させる。
【0072】
このような温度と光との組み合わせは、あくまで例示を目的としたものに過ぎず、当業者にはスイッチングシステムの他の組み合わせも実用的である点は明らかとなりうる。主スイッチング機構と更なるスイッチング機構との組み合わせは、例えば、電気的、機械的、又は磁気的システムを含みうるものであり、例えば、電磁放射、音波、温度、又は光などの刺激に依存したものでありうる。
【0073】
プロセス
図6に進むと、保存モードを有するエネルギー印加された眼用装置を製造するために使用することができる代表的な工程がフローチャートに示されている。605において、眼用装置に組み入れられる媒体インサートに電源を組み込むことができる。610において、エネルギー印加された眼用装置内で動作することが可能な負荷を、電源とともに回路内の媒体インサートに組み込むことができる。615において、スイッチング機構を、媒体インサート上に組み込まれた回路に統合することができる。幾つかの実施形態では、620において、必要に応じてリセット機能を回路に統合することができる。
【0074】
電池の組み立ての前に負荷を媒体インサートに組み込むことができる実施形態では、リセットの設計は、電池がダイの取り付け前に完成される場合とは異なりうる。例えば、ダイの取り付け前に電池が完成される場合では、リセット機能は、例えば、硬化の際に抵抗が変化しうる導電性エポキシを用いた場合のように、電池との「ノイジー」な接続に対処する必要が生じうる。
【0075】
工程605〜620の順序はあくまで例示を目的としたものに過ぎず、他の順序及び組み合わせは本明細書に述べられる技術の範囲内である。例えば、
図4の実施形態400に示されるような、スイッチング機構が電源と統合されている実施形態では、工程605と615を組み合わせることができる。幾つかの実施形態では、各回路構成要素を媒体インサートに同時に組み込むことができる。
【0076】
623において、回路が組み込まれた媒体インサートを、眼用装置に組み入れることができる。必要に応じて、媒体インサート又は眼用装置を封入することができる。幾つかの実施形態では、工程623は工程605〜620の前に行われ、インサートが眼用装置内に封入された後、回路構成要素を媒体インサート上に射出成形することができる。
【0077】
625において、エネルギー印加された媒体インサートを保存モードに入れることができる。各工程の順序は、幾つかの実施形態における全体の製造プロセスによって決まりうる。例えば、幾つかの実施形態では、後の工程の前に回路を保存モードに入れることで、例えば、ヒドロゲルを硬化させるために用いられる硬化光などの後の製造手順によってもたらされうるダメージから回路を保護することができる。前記実施形態では、例えば工程625は工程623の前に行うことができる。
【0078】
630〜645において、幾つかの実施形態は、必要に応じてアセンブリ検査プロセスを含みうる。アセンブリ検査モードにより、インサート及び眼用装置の組み立て後に電子回路及びエネルギー印加された眼用装置の検査を行うことが可能となる。630において、エネルギー印加された眼用装置は、外部刺激によってスリープモードから起動されうる。この外部刺激は、眼用装置を使用者用に動作モードに入れることが可能な外部刺激と同じか又は異なっていてよい。幾つかの実施形態では、使用における保存モードの電流の要求条件を満たしながら保存モードから出て、動作モードに入ることを可能とするため、回路にエネルギーが供給されて、保存モードから出させる必要が生じうる。
【0079】
例えば、幾つかの実施形態では、光起電力装置を使用することが可能であり、例えば懐中電灯又は赤外線光ファイバー束からの明るい光を光検出器に照射することができる。光への曝露により、スイッチング機構を閉じるのに充分な電位が生じうる。スイッチング機構が閉じられると、635において、負荷と直列に接続された抵抗がなくなり、眼用装置が動作モードに入ることが可能となる。リセット機能を有する実施形態では、640において、保存モードから出ることで、例えば電源オンのリセットが作動され、眼用装置を既知のエネルギー印加状態とすることができる。
【0080】
645において、幾つかの実施形態では、デジタルブロックを初期化し、バンドギャップ、調整回路及び振動回路を安定化させる所定のスタートアップ時間の後、システムはシステムのサンプリングを開始することができる。幾つかの実施形態における起動のシステムに応じて、このサンプリングにより例えば、周辺光レベルの履歴を構築するか、瞬きを検出するか、又は赤外線制御光ファイバー束の存在を検出することができる。650において、眼用装置は、使用者による後の起動まで保存モードに復帰することができる。幾つかの実施形態では、アセンブリ検査モードは、検査モードを終了させて保存モードに移る能力を有する通常の動作モードとすることができる。装置及び特定の製造方法の実施形態に応じて、眼用装置は例えば本来の手段、外部刺激の逆転、又は新たな手段により、保存モードに復帰させることができる。
【0081】
655において、使用者による起動の前に保存モードからの眼用装置の意図せざる起動を防止することが可能な密封パッケージに眼用装置を入れることができる。保存モードが周辺光に対する感度を有しうる特定の実施形態では、使用者がパッケージを開封する前に外部刺激が保存モードから眼用装置を起動させることを防止することが可能な物理的特性を有するように一般的なブリスターパッケージの設計を改変する必要が生じうる。例えば、保存モードが周辺光に対する感度を有しうる場合、パッケージを作動性の光に対して不透過なものとすることができる。また、保存モードが、特定の温度範囲内に装置が維持されていることに頼ったものである場合、より効果的に低温を維持する材料でブリスターを形成することもできる。これらのブリスターの改変はあくまで例示を目的としたものに過ぎず、パッケージの他の改変も実用性を有しうるものであり、本明細書に述べられる技術の範囲内であることは当業者にとって明らかでありうる。
【0082】
図7に進むと、保存モードを有するエネルギー印加された眼用装置を使用するための代表的な工程がフローチャートに示されている。幾つかの実施形態では、705において、保存モードを有するエネルギー印加された眼用装置が入れられたブリスターなどの密封パッケージを使用者が開封することができる。710において、外部刺激がスイッチング機構を作動させることにより保存モードから装置を起動することができる。幾つかの具体的な実施形態では、使用者は例えば機械的システム内などのスイッチング機構を直接作動させてもよく、外部刺激はスイッチング機構に作用する圧力であってよく、使用者が装置を圧し潰すか又は挟みつぶすことが求められる。また、密封パッケージを開封することが、使用者による更なる動作を必要とすることなく、スイッチング機構を作動させてもよい。例えば外部刺激は周辺光であってもよい。
【0083】
スイッチング機構550が更なるスイッチ560を有しうる
図5におけるような幾つかの実施形態では、エネルギー印加された眼用装置は多段階の保存モードを有しうる。このような実施形態では、使用者は、多段階の起動を作動させるか、あるいは代替的な実施形態において、エネルギー印加された眼用装置を保存モードに入れる最後の起動工程を作動させることができる。使用者が多段階の起動を作動させる場合、
図7のプロセスは、更なるスイッチ560が外部刺激として温度に反応しうるものである場合には、例えば密封パッケージを冷却状態から取り出すことなどの工程を、工程705の前に含むことができる。
【0084】
幾つかの実施形態では、715において、エネルギー印加された眼用装置を保存モードから起動することでスイッチング機構の抵抗を最小化することができ、これにより回路に電流が流れて作動レベルにまで増大する。デジタルブロックを初期化し、基準回路、調整回路、及び振動回路を安定化させるための所定のスタートアップ時間の後、動作モードに達することができる。リセット機能を有する実施形態では、720において、動作モードがリセット機能を促し、これにより、エネルギー印加された眼用装置が既知のエネルギー印加状態とされる。725において、使用者は、起動されたエネルギー印加された眼用装置を目に入れることができる。
【0085】
媒体インサートが眼用装置内に封入されない実施形態では、使用者が眼用装置を目に直接入れることができない可能性がある。このような実施形態では、目に眼用装置を使用するために図には示されていない更なる工程が必要となりうる。例えば、幾つかの実施形態では、使用者は、ヒドロゲルレンズなどのソフトレンズを目に入れてから、エネルギー印加された眼用装置をソフトレンズの上に置くことができる。また、使用者は、眼用装置とソフトレンズを目に入れる前に組み合わせることもできる。
【0086】
幾つかの実施形態では、725におけるこの工程は、装置が例えば快適性及び安全性を与えるように設定することができる既知の状態となるように、装置が保存モードから起動された後、所定の時間後に行うことができる。動作モードに入った後、幾つかの実施形態では、基準回路、調整回路、コア振動回路、及び特定のデジタル回路を連続的に作動させることができる。例えば、幾つかの実施形態では、増幅器及び更なるデジタル回路を含む光検出システムを、平均消費電流を制限するために反復したバースト動作で作動させることができる。システムの入力に応じてレンズ駆動装置も起動されうる。
【0087】
使用後、730において、使用者はエネルギー印加された眼用装置を目から取り出すことができる。1日装用レンズを使用する場合などの幾つかの実施形態では、プロセスは、エネルギー印加された眼用装置を目から取り出すことで終了しうる。眼用装置が複数回にわたって使用されうる他の実施形態では、更なる工程が必要となる場合がある。このような実施形態では、各使用間の保存期間の間に電流漏れを一定に保つことにより、電力供給寿命を延ばすことができる。725において、使用者は、眼用装置を保存モードに復帰させることができる。
図6のアセンブリ検査モードにおけるのと同様、保存モードは、例えば、起動性の刺激の逆転、又は保存モードの作動に固有の独立した外部刺激を含む異なる外部刺激により再開させることができる。
【0088】
740において、使用者は、眼用装置を、殺菌溶液の入った気密性の容器中で保存することができる。保存の間、743において、必要に応じて眼用装置を再充電することができる。工程735〜743の順序はあくまで例示を目的としたものに過ぎず、他の順序も実用性を有しうる。例えば、幾つかの実施形態では、工程735と740とを組み合わせ、容器に装置を入れることで保存モードを開始させることができる。更なる実施形態では、工程735〜743を組み合わせることができ、これにより容器に装置を入れることで保存モードが開始し、装置が再充電される。特定の実施形態に応じて、殺菌溶液もまた、外部刺激、再充電液、又はその両方として機能しうる。幾つかの実施形態では、容器が、外部刺激を与えるか、電源を再充電するか、又はその両方を行うことができる。
【0089】
繰り返しの使用が可能な実施形態では、745において、使用者は、保存容器から眼用装置を取り出すことができる。750において、外部刺激が装置を保存モードから起動することができ、755において、スイッチング機構上の抵抗が低下し、回路に電流が流れて動作モードにまで増大しうる。幾つかの実施形態では、760において、動作モードがリセット機能を作動させ、リセット機能が装置を既知のエネルギー印加状態とすることができる。次いで、765において、使用者は、エネルギー印加された眼用装置を目に入れることができる。使用後、770において、使用者は装置を目から取り出すことができる。幾つかの実施形態では、工程745〜765を、最初の工程705〜725の繰り返しとしてもよく、他の実施形態では、最初の工程705〜725が再起動に必要とされる工程745〜765と異なってもよい。
【0090】
好ましい実施形態及び代替的な実施形態のいずれの説明も、あくまで例示を目的としたものに過ぎず、当業者には、変形、改変、並びに変更が明らかでありうる点は理解される。したがって、例示的な実施形態が、特許請求の範囲によって定義される基礎となる発明の態様の広さを限定しない点は理解されなければならない。
【0091】
〔実施の態様〕
(1) 電気的保存モードを有するエネルギー印加された眼用装置の製造方法であって、
前記エネルギー印加された眼用装置内に媒体インサートを組み込む工程であって、前記媒体インサートは電気回路を備え、該電気回路は、電源、電気的負荷、及び第1のスイッチング機構を備え、該第1のスイッチング機構が複数のモードを含み、前記複数のモードが、前記眼用装置を所定の低エネルギー消費状態に入れる第1の保存モードであって、前記第1のスイッチング機構が、前記第1の保存モードにある間、前記電気的負荷を通る電流フローを制限するために抵抗を増大させる、第1の保存モードと、動作モードであって、前記第1のスイッチング機構が、前記動作モードにある間、前記電気的負荷を通る電流フローの増大を可能とする、動作モードと、を含む、媒体インサートを組み込む工程と、
前記第1のスイッチング機構を前記第1の保存モードに入れる工程と、を含む方法。
(2) 前記眼用装置及び前記媒体インサートを封入する工程、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記第1のスイッチング機構が、前記エネルギー印加された眼用装置の外部に起因する第1の刺激に対して敏感である、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記第1のスイッチング機構が前記第1の保存モードに入れられる前に、前記媒体インサートに含まれる前記電気回路の動作を試験する工程、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記眼用装置の外部に起因する第1の刺激により前記第1のスイッチング機構の第1のモード変化を引き起こす工程であって、前記第1の変化が、前記第1のスイッチング機構を前記動作モードに入れる、工程と、
電流フローを動作レベルで安定化させる工程と、
前記第1のスイッチング機構が前記動作モードにある間、前記媒体インサートに含まれる前記電気回路の動作を試験する工程と、
前記第1のスイッチング機構を前記第1の保存モードに復帰させる工程と、を更に含む、実施態様3に記載の方法。
【0092】
(6) 前記第1のスイッチング機構を前記第1の保存モードに復帰させる工程が、前記電気回路の第1の構成要素によって制御される、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記電気回路が、前記電気的負荷の第1の部分上で第1のリセット機能を行うことが可能な電子回路の第1のブロックを更に含み、前記第1のブロックが前記電気回路内に含まれ、起動された場合に前記電気的負荷の前記部分を第1の所定のエネルギー印加状態とする、実施態様1に記載の方法。
(8) 電流フローが前記動作レベルにまで増大した場合に前記第1のリセット機能を起動する工程、を更に含み、前記電気回路が、前記電気的負荷の前記部分上で前記第1のリセット機能を行うことが可能な電子回路の前記第1のブロックを更に備え、前記ブロックが前記電気回路内に含まれ、起動された場合に前記電気的負荷の前記第1の部分を前記第1の所定のエネルギー印加状態とする、実施態様5に記載の方法。
(9) 前記第1のスイッチング機構を前記第1の保存モードに入れる工程が、前記電気回路内の構成要素を保護するために、前記エネルギー印加された眼用装置内に前記媒体インサートを組み込む前に行われる、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記エネルギー印加された眼用装置を密封容器中にパッケージングする工程、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0093】
(11) 前記密封容器が、前記第1の保存モードを維持する物理的特性を有する、実施態様9に記載の方法。
(12) 第1の保存モードを有するエネルギー印加された眼用装置を使用する方法であって、
密封容器を開封する工程であって、前記密封容器が前記第1の保存モードを有する前記エネルギー印加された眼用装置を少なくとも収容する、工程と、
前記眼用装置の外部に起因する第2の刺激により第1のスイッチング機構の第2のモード変化を引き起こす工程であって、前記第2のモード変化が前記第1のスイッチング機構の抵抗を低下させる、工程と、を含む方法。
(13) 前記エネルギー印加された眼用装置を目の上に定置する工程、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 電気回路を通る電流フローが前記保存モードレベルよりも高い特定のレベルにまで増大した場合に第2のリセット機能を行うために回路の第2のブロックを起動する工程、を更に含み、前記第2のリセット機能により、前記眼用装置が第2の所定のエネルギー印加状態となる、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記第2の所定のエネルギー印加状態が、前記眼用装置の最初の使用及び前記目の上に定置することについて最適化されている、実施態様14に記載の方法。
【0094】
(16) 前記エネルギー印加された眼用装置を前記目から取り出す工程と、
前記第1のスイッチング機構の第3のモード変化を引き起こす工程であって、前記第3のモード変化が、前記第1のスイッチング機構の抵抗を増大させることにより前記眼用装置を前記第1の保存モードに復帰させる、工程と、
前記エネルギー印加された眼用装置を少なくとも滅菌手段を備えた密封可能な容器中に保存する工程と、
前記エネルギー印加された眼用装置を前記密封可能な容器から取り出す工程と、
前記眼用装置の外部に起因する第3の刺激により前記第1のスイッチング機構の第3のモード変化を引き起こす工程であって、前記第3のモード変化が前記第1のスイッチング機構の抵抗を低下させる、工程と、
前記エネルギー印加された眼用装置を前記目の上に定置する工程と、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記第1のスイッチング機構を前記保存モードに復帰させる工程が、前記電気回路の第2の構成要素によって制御される、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記第2の構成要素が、前記エネルギー印加された眼用装置の外部に起因する第4の刺激に対して敏感であるセンサーを更に含む、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記第1のスイッチング機構が、第1の1回使用スイッチング機構であり、前記方法が、
前記エネルギー印加された眼用装置を前記目から取り出す工程と、
第2の1回使用スイッチング機構の第1のモード変化を引き起こす工程であって、前記第2の1回使用スイッチング機構の前記第1のモード変化が、前記第2の1回使用スイッチング機構の抵抗を増大させることにより、前記眼用装置を前記第1の保存モードに復帰させる、工程と、
前記エネルギー印加された眼用装置を少なくとも前記滅菌手段を備える前記密封可能な容器中に保存する工程と、
前記エネルギー印加された眼用装置を前記密封可能な容器から取り出す工程と、
前記眼用装置の外部に起因する第4の刺激により、前記第2の1回使用スイッチング機構の第2のモード変化を引き起こす工程であって、前記第2の1回使用スイッチング機構の前記第2のモード変化が、前記第2の1回使用スイッチング機構の抵抗を低下させる、工程と、
前記エネルギー印加された眼用装置を前記目の上に定置する工程と、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(20) 前記電気回路が、第2のスイッチング機構を更に含み、前記方法が、
前記密封容器を、前記眼用装置の外部に起因する第5の刺激に曝露する工程を更に含み、前記曝露が、前記第2のスイッチング機構のモード変化を引き起こし、前記眼用装置を第2の保存モードに入れる、実施態様12に記載の方法。
【0095】
(21) 前記第2の保存モードが低エネルギー消費状態であり、前記第1のスイッチング機構に前記第2の刺激のサンプリングを開始させる、実施態様20に記載の方法。
(22) 第1の保存モードを有するエネルギー印加された眼用装置を使用する方法であって、
前記第1の保存モードを有する前記エネルギー印加された眼用装置を少なくとも収容した密封容器を開封する工程と、
前記眼用装置の外部に起因する第2の刺激により第1のスイッチング機構の第2のモード変化を引き起こす工程であって、前記第2のモード変化が前記第1のスイッチング機構の抵抗を低下させる、工程と、
ソフト眼用レンズを目の上に定置する工程と、
前記エネルギー印加された眼用装置を前記ソフト眼用レンズに隣接して配置する工程と、を含む方法。