(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピストンを前方に繰出すことによって、定量的に美爪料組成物を前方に吐出することができる容器に収容されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の美爪料組成物。
密閉された容器の前方にバルブが配置され、バルブを介して、美爪料組成物が排出することができる容器に収容されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の美爪料組成物。
【背景技術】
【0002】
いわゆる美爪料としては、酢酸エチル等の臭気のきつい溶剤を用いた組成物であって、使用(塗布)後に爪から除去する際に、やはり有機溶剤を含むリムーバーを用いるものが一般的に用いられてきている。
【0003】
このような処方・方法では、塗布後に爪に圧迫感を感じる、塗布あるいは除去の際に臭気がきついのを我慢しなければならない、などの制約が常につきまとっていた。
そこで、塗膜からの圧迫感が無く、リムーバー等を用いず剥離が、たやすい剥離型の美爪料組成物(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、この美爪料組成物は、酢酸ビニル系エマルジョンとアクリル系エマルジョンとの混合エマルジョンを使用し、塗膜の硬さを調整するものである。混合エマルジョンは、分離等の問題が生じるおそれがあり、工程、ユーザーとも管理が煩雑となる課題がある。
また、爪に潤いをあたえるために、ネイルケアオイルなどが市販されているが、皮膜を形成しないため、塗布後に油のべたつきがあり、塗布中に衣服等への油の汚染などの課題があるのが現状である。
また、近年では、お湯で落とせるネイルも発売されているが、お湯で落とす際に、油分も除去してしまう問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、管理も単純で、簡単に塗布することができ、容易に剥離が可能であり、かつ、剥離後に爪に
白化が見られず潤いが得られる美爪料組成物を提供することを目的とする。」
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、少なくとも特定の被膜形成性物質と、油剤と、低級アルコールとを含有することで、簡単に剥離させることができ、剥離後は爪が油剤の潤いを保持する美爪料組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 少なくとも下記A群から選ばれる被膜形成性物質を
固形分換算で14〜35質量%と、下記B群から選ばれる油剤を3〜20質量%と、
下記C群から選ばれる低級アルコールを5〜30質量%と、水とを含有することを特徴とする美爪料組成物。
A群:酢酸ビニ
ル重合体エマルジョン、
ポリウレタンエマルジョン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、
プルラン、デンプン、セルロース、グリコーゲン、デキストラン、グルカン
B群:ホホバ油、スクワラン、アボガド油、アルガン油、オリーブ油
C群:エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン
(2) 乾燥後に油剤が、被膜の周囲にブリードする
ことを特徴とする上記(1)に記載の美爪料組成物。
(3)
前記C群から選ばれる低級アルコールがエタノールとグリセリンの併用であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の美爪料組成物。
(4) ピストンを前方に繰出すことによって、定量的に美爪料組成物を前方に吐出することができる容器に収容されていることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一項に記載の美爪料組成物。
(5) 密閉された容器の前方にバルブが配置され、バルブを介して、美爪料組成物が排出することができる容器に収容されていることを特徴とする上記(1)〜3の何れか一項に記載の美爪料組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管理も単純で、使用者が簡単に爪に塗布することができ、塗布性、乾燥後の造膜性を満足し、日常の使用状態での機械的摩擦に耐え得る付着性及び塗膜強度を有し、しかも、希望するときは簡単に剥離でき、かつ、剥離後にも爪が
白化せず油剤の湿潤を保持することができる湿潤保持性能を有する美爪料組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の美爪料組成物は、少なくとも下記A群から選ばれる被膜形成性物質と、油剤と、低級アルコールとを含有することを特徴とするものである。
A群:酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタンエマルジョン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、多糖類
【0012】
本発明に用いる被膜形成性物質としては、塗布性、乾燥後の造膜性を満足し、日常の使用状態での機械的摩擦に耐え得る付着性及び塗膜強度を有し、しかも、希望するときは容易に剥がし得る物質が挙げられ、例えば、酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタンエマルジョン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、多糖類、並びに、これらの誘導体等を挙げることができる。
酢酸ビニル系エマルジョンとしては、酢酸ビニル樹脂エマルジョン等を挙げることができる。
多糖類としては、プルラン、デンプン、セルロース、グリコーゲン、デキストリン、グルカン等を挙げることができる。
これらの誘導体としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)では、アミン変性PVA、エチレン変性PVA等が挙げられ、多糖類では、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルキチン/キトサン等が挙げられる。また、多糖類では、上記多糖類に官能基が導入された誘導体が挙げられ、多糖類に導入される官能基としては、例えば、置換されていてもよいアルキル(例えば、メチル、エチル、ブチルなど);アルコール(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなど);エステル(例えば、酢酸、酪酸、リン酸、硫酸など);イオン交換基(アミノエチル、ジエチルアミノエチル、4級アンモニュウム、カルボキシメチル、スルホン)などが挙げられる。
これらは単独で又は2種以上を混合して(以下、「少なくとも1種」という)用いることができる。また、市販品があれば、これらを用いることができる。
これらの被膜形成性物質の中でも、成膜性、剥離性等の観点から、酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタンエマルジョン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、多糖類が望ましく、特に酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタンエマルジョンが望ましい。
【0013】
これらの被膜形成性物質の含有量は、組成物全量に対して、固形分換算で10〜35質量%(以下、単に「%」と示す)、より好ましくは、15〜35%、特に、18〜30%含有することが好ましい。
この被膜形成性物質の含有量を10%以上とすることにより、塗布性、乾燥後の造膜性、塗膜強度、剥離性を高度に維持でき、一方、35%以下とすることにより、保存安定性、塗膜均一性を発揮せしめることができる。
【0014】
本発明に用いる油剤としては、塗布性、造膜性、塗膜強度に悪影響を与えずに、塗布後、並びに剥離後に爪が潤い感を保持できるもの(湿潤保持性能を有するもの)が好ましく、例えば、ホホバ油、スクワラン、アボガド油、アルガン油、オリーブ油等を挙げることができる。これらは少なくとも1種用いることができる。
これらの油剤の中でも、酸化劣化等の観点から、特に、ホホバ油、スクワランが最も望ましい。
また、これら水に不溶である油を、水性化粧料に配合する際、乳化剤等を配合する場合が多い。しかし、乳化剤により乳化された油は、被膜乾燥時にブリードされる場合も乳化剤を含んでしまい、好ましくない。そのため、本発明では、乳化剤を配合せず、油と被膜樹脂との親和性などにより、乳化安定性を維持するものである。
【0015】
これらの油剤の含有量は、組成物全量に対して、3〜20%、特に、5〜15%含有することが好ましい。
この油剤の含有量を3%以上とすることにより、爪に程よく潤いを付与することができ、一方、20%以下とすることにより、化粧料が経時で分離しづらくすることができる。
【0016】
本発明に用いる低級アルコールとしては、エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)、ブチルアルコールなどの一価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの二価アルコール、グリセリンなどの三価アルコール等を挙げることができる。これらは少なくとも1種用いることができる。
これらの低級アルコール中でも、被膜乾燥性等の観点から、一価アルコールの配合が好ましく、また、剥離性、水分揮発抑制等の観点から、二価アルコール、三価アルコールとの混合が望ましい。さらには、三価アルコールとの混合が望ましく、特に、エタノールとグリセリンの併用が望ましい。これらの混合物の質量比は、1:5〜5:1が望ましい。
【0017】
これらの低級アルコールの合計含有量は、組成物全量に対して、5〜30%、特に、5〜20%含有することが好ましい。
この低級アルコールの含有量を5%以上とすることにより、速乾性、水との高親和性、水分揮発抑制、剥離性向上ができ、一方、30%以下とすることにより、経時安定性を向上させることができる。
【0018】
本発明の美爪料組成物には、上記各成分の他、好みのカラー美爪料等として無機顔料や有機顔料、染料などの色材を含有することができる。
用いることができる色材としては、赤色201号、202号、220号、青色404号、黄色4号ALレーキ、コンジョウ、ベンガラ、酸化チタンなどの顔料や、パール顔料、その他光輝性顔料などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。
【0019】
また、本発明の美爪料組成物は、残部として水(精製水、イオン交換水、純水など)で調製され、上記色材以外にも、防菌剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。
【0020】
用いることができる防菌剤としては、パラベン類、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノールなどが挙げられる。なお、本発明の防菌剤には防腐剤を含むものであり、防腐剤であるパラベン類としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル等を適宜量用いることができる。
また、用いることができる酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0021】
本発明の美爪料組成物は、上述した各成分を混合分散機、例えば、ビーズミル、ホモミキサー、ディスパー、アトライター、ボールミル、サンドグラインダー等で混合分散することで調製される。
【0022】
このように構成される本発明の美爪料組成物は、1)本発明の美爪料組成物を収容したボトル(容器)とキャップに付いた塗布体となるハケとから構成される美爪料塗布具、2)少なくとも、美爪料組成物を収容する液体収容空間と、繊維を樹脂等で固めた、または、繊維同士を融着した、いわゆるペン芯タイプの塗布体とを備え、毛細管力によって前記液体収容空間から前記塗布体へ液体が輸送される塗布具の前記液体収容空間に本発明の美爪料組成物が収容される美爪料塗布具、3)液押圧機構となるピストンを前方に繰出すことによって、定量的に本発明の美爪料組成物を前方に吐出することができる容器に収容される美爪料塗布具、4)密閉された容器の前方にバルブが配置され、バルブを介して、本発明の美爪料組成物が排出することができる容器に収容される美爪料塗布具などを用いて好適に使用することができる。
【0023】
図1は、本発明の美爪料組成物を収容した美爪料塗布具の一例を示す図面、具体的には、ピストンを前方に繰出すことによって、定量的に美爪料組成物を前方に吐出することができる容器に収容される美爪料塗布具の一例を示す部分縦断面図である。
このピストンを前方に繰出すことによる回転式繰出タイプの美爪料塗布具Aは、
図1に示すように、液押圧機構となるピストン10により、ピストン10の前方に内蔵された美爪料組成物を吐出させる貯留部となる美爪料内蔵容器11の前方に具備された、筆穂(筆ペン)で形成した塗布部30を有するものである。
液押圧機構となるピストン10は、軸本体12後端部に配設された繰り出し部材13を軸本体12に対して周方向に相対回転させることにより容器(貯留部)11内の美爪料組成物を繰り出すことにより塗布部30に供給される構成となっている。
【0024】
この美爪料塗布具Aのピストン10は、軸本体12の後端に回転可能に嵌合された繰り出し部材13と、使用者による繰り出し部材13の回転の力をネジ棒14に伝える駆動筒15と、軸本体12に固定してネジ棒14が螺合するネジ体16と、先端にピストン体17が回転可能に係合したネジ棒14と、軸本体12の貯留部11内を摺動するピストン体17とを有する。前記駆動筒15を介して繰り出し部材13の回転をネジ棒14に伝え、該ネジ棒14の回転によってナット状のネジ体16の雌ネジを介して該ネジ棒14及びピストン体17が前進して貯留部11内から前記美爪料組成物を塗布部30へ繰出す構造になっている。
【0025】
繰り出し部材13は、
図1に示すように、後端に天冠13aが嵌入することによって閉じられた筒状を呈する操作部が軸本体12後端部に回動可能に嵌め込まれかつ露出しているものである。駆動筒15が繰り出し部材13内に嵌入して回転方向に固定されており、この駆動筒15内に回転方向固定かつ軸方向への相対移動可能にネジ体16が装着されている。13bは、スプリング部材であり、回転体となる繰り出し部材13を後方側に付勢するものである。
この美爪料塗布具Aにおいて、軸本体12の前端部12aには、シール部18、継手部材19、先軸20、塗布部30が嵌入により取り付けられる。軸本体12の貯留部11には、美爪料組成物が収容され、その貯留部11から繰出された美爪料組成物は継手部材19内の流路を通り塗布部30に吐出されて塗布可能になる。また、使用後にキャップ40を塗布部30及び先軸20を覆うように先軸20に装着できるよう形成されている。
【0026】
また、
図1において、図示符号21は、貯留部11内の美爪料組成物を往復動によって攪拌する攪拌ボール、22はシールボールである。また、41はキャップ40内のインナーキャップ、42はインナーキャップ後方付勢用のスプリングである。なお、攪拌ボール21は省略してもよい。
更に、図示符号23は、未使用時における塗布部30に向かう液体化粧料の流通路を閉鎖する位置にシール部18、継手部材19、先軸20、塗布部30を位置させるため、前記先軸20後端と軸本体12前端部12aの段状箇所前面との間にリング状部が装着されたストッパーである。このストッパー23は、リング状部の一部が切り離され、その切り離された箇所の反対側に摘み片が一体形成され、摘み片を引くことによって、リング状部が切り離し箇所から拡径して前記先軸20後端と軸本体12の前端部12aとの間から取り外せるものになっている。
【0027】
図1に示すように、未使用時ではシールボール22がシールボール受け部となるシール部18の内径部に嵌入して密封しており塗布部30側に美爪料組成物が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、ユーザーが美爪料塗布具Aのストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部がシールボール22に突き当たってシールボール22がシール部18の内径部から外されて前記貯留部11内に入り込み、当該貯留部11内の美爪料組成物が継手部材19の内径部から塗布部30の液流路内に流入して、塗布部30にその内部から供給されて、対象部に各指の爪に本発明の美爪料組成物が塗布可能となる。
【0028】
図2〜
図4は、本発明の美爪料組成物を収容した美爪料塗布具の他例を示す図面、具体的には、密閉された容器の前方にバルブが配置され、バルブを介して、本発明の美爪料組成物が排出することができる容器に収容される美爪料塗布具の一例を示すものであり、
図2はその部分縦断面面図、
図3は、
図2の美爪料塗布具に用いる塗布体の全体側面図、
図4は、
図2のI−I線に沿う塗布体の横断面図である。
【0029】
この美爪料塗布具Bは、
図2に示すように、上記構成の水性美爪料組成物を内部に収容する有底筒状の本体50の開口端51の内壁面側51aに弁機構となるバルブ52を設けものであって、前記バルブ52を覆うように本体50の開口端51の外壁面側51bとホルダー53がそれぞれに形成された雄ネジと雌ネジで互いにネジ嵌合となっている。それと共に、前記ホルダー53の内部には、ペン芯タイプの塗布体55を円筒状の弾性樹脂製多孔体56で外挿して保持し、かつ、塗布体55が摺動自在に設けられたものである。この場合、塗布体55の先端部となる塗布部55aを押圧することで塗布体55を移動させ、この塗布体55の移動で塗布体後端部55bにより弁棒64を押圧してバルブ52(弁棒60の斜面60bが弁座52aに離脱・当接して開・閉する)を開放し、水性美爪料組成物を塗布部55aに誘導する構造を有している。
【0030】
詳細には、ホルダー53内において、塗布体55は弁棒60の先端60aに当接させており、
図4に示すような、断面放射状の内部溝の美爪料通路61を軸線方向に連続形成して有するポリアセタール樹脂からなる塗布体55を配している。そして、この塗布体55は、
図3に示すように、先端部となる塗布部55aがジェットコーン形状を呈した全体が概略砲弾形状に切削形成されており、さらに、本発明の美爪料組成物を塗布体内の美爪料通路61に導入する孔61a,61bを塗布体後端部55bと塗布体側面部55cとに形成するものである。ここで、ポリアセタール樹脂からなる塗布体55の構造は、水性美爪料組成物を塗布体内美爪料通路61に導入するひとつの美爪料導入孔61bは、塗布体55の後端面から1mm以上離した間隔を持って塗布体側面部55cに、その側面全周(一部でもよい)を断面台形形状で取り巻くように形成されている。また、前記塗布体側面部55cに形成する美爪料導入孔61bの形状が、美爪料導入孔61bの先端側面62aは軸線70との後方向きの開き角度αを鈍角とし、後端側面62bは軸線70との前方向きの開き角度βを直角もしくは鋭角としている。また、ポリアセタール樹脂からなる塗布体55の外径寸法が、2mm以上4mm以下である。また、弁棒60は、ホルダー53内で先方にスプリング65により付勢されて、常時に塗布体55に当接して塗布体55を押圧している。また、本体50内には本発明の水性美爪料組成物を撹拌する撹拌ボール66を収容している。
【0031】
塗布体55の製造は、例えば、ポリアセタール樹脂を溶融連続押出成形して、外径3.0mmで内部に美爪料流通溝のある長尺成形体を得て、その長尺体を500mmの長さに切断した後、さらに所望の長さに切断し、その後、塗布体先端部、後端部、側面の美爪料流出孔を研磨形成して所定の塗布体とした(
図3参照)。
この美爪料塗布具Bによれば、塗布体55の先端部となる塗布部55aを押圧することで塗布体55を後方側へ移動させ、この塗布体55の移動で塗布体55の後端部55bにより弁棒60を押圧してバルブ52(弁棒60の斜面60bが弁座52aに離脱・当接して開・閉する)が開放され、本発明の水性の美爪料組成物が塗布部55aに誘導され、塗布に供されることとなる。この塗布体55で好適な量が誘導された美爪料組成物を爪の上に塗布したところ、目的の剥離型の美爪料組成物を簡単に塗布することができた。
【0032】
このように構成される本発明の美爪料組成物では、管理も単純で、
下記の効果全てが現れる。即ち、使用者が簡単に爪に塗布することができ、塗布性、乾燥後の造膜性を満足し、日常の使用状態での機械的摩擦に耐え得る付着性及び塗膜強度を有し、しかも、希望するときは簡単に剥離でき、かつ、剥離後にも爪が油剤の湿潤を保持することができる湿潤保持性能を有
し、爪表面を白化させない効果を有する美爪料組成物が得られるものとなる。
特に、本発明の美爪料組成物は、爪に塗布した後、乾燥すると、被膜中に含まれる油剤が、被膜の周囲にブリードすることとなり、具体的には、油剤が被膜形成性物質と親和して保持されていた状態のバランスが、乾燥・造膜とともに崩れ、油剤が爪−塗膜界面を含む塗膜表面に塗膜強度を損なわない程度にうっすらと滲出することとなるので、塗膜剥離後でも爪表面に油剤が薄く残ることとなり、
目視では油剤が存在しないように見えても、優れた湿潤保持性能を有
し、爪表面を白化させない効果を有するものである。
【実施例】
【0033】
次に、実施例及び比較例により、本発明を更に詳述するが、本発明は下記実施例等により制限されるものではない。
【0034】
〔実施例1〜7及び比較例1〜4〕
下記表1に示す配合処方で、ホモミキサーあるいはディスパーで混合分散して、各美爪料組成物を調製した。
上記で得られた実施例1〜7及び比較例1〜4の各美爪料組成物について、下記方法により、爪への塗布性、乾燥後の造膜性、膜の剥離性及び剥離後の爪の湿潤性について評価した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0035】
(爪への塗布性の評価方法、乾燥後の造膜性の評価方法)
図1に準拠する美爪料塗布具に得られた実施例1〜7及び比較例1〜4の各美爪料組成物を収容し、専門パネルの両手の各指の爪に塗布し、下記評価基準で爪への塗布性を評価した。次いで、塗布後、自然乾燥し、塗布後30分経過した後、下記評価基準で乾燥後の造膜性を評価した。
爪への塗布性の評価基準:
◎:1回の塗布で均一に塗布できた
○:3回以内の塗布で均一に塗布できた
△:10回以内の塗布で均一に塗布できた
×:10回塗布しても均一に塗布できなかった
【0036】
乾燥後の造膜性の評価基準:
◎:乾燥後きれいな均一の塗膜が必ず形成された
○:乾燥後塗布部を覆う塗膜が必ず形成された
△:乾燥後塗布部の一部を覆う塗膜が形成された
×:乾燥後塗膜は形成されなかった
【0037】
(膜の剥離性の評価方法、剥離後の爪の湿潤性の評価方法)
上記評価方法による評価後、具体的には、塗布後1時間経過した後、美爪料の塗布膜を手指等を用いて剥離して下記評価基準でその膜の剥離性を評価した。次いで、剥離後の爪の湿潤性について、下記評価基準で評価した。
膜の剥離性の評価基準:
◎:手指で簡単に塗膜を除去できた
○:爪等を使用し簡単に塗膜を除去できた
△:金属のへら等を使用しないと除去できなかった
×:お湯等を使用しないと除去できなかった
【0038】
剥離後の爪の湿潤性の評価基準:
◎:剥離後の爪は十分均一に湿潤していた
○:剥離後の爪は均一ではないが湿潤していた
△:剥離後の爪は湿潤していなかった。
×:剥離後の爪は白化していた。
【0039】
【表1】
【0040】
上記表1の結果から明らかなように、本発明となる実施例1〜7の美爪料組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べ、爪への塗布性、乾燥後の造膜性、膜の剥離性及び剥離後の爪の湿潤性に優れた美爪料組成物であることが判明した。
本発明となる実施例1〜7の美爪料組成物は、
図1、
図2〜
図4等の各美爪料塗布具に収容すれば、管理も単純で、使用者が簡単に爪に塗布することができ、塗布性、乾燥後の造膜性を満足し、日常の使用状態での機械的摩擦に耐え得る付着性及び塗膜強度を有し、しかも、乾燥後に油剤が、被膜の周囲にブリードするものとなり、また、希望するときは簡単に剥離でき、かつ、剥離後にも爪が油剤の湿潤を保持することができる湿潤保持性能を有する美爪料組成物となることが確認できた。