特許第6559436号(P6559436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559436ホッパ並びにそれを搭載した組合せ計量装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559436
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ホッパ並びにそれを搭載した組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   G01G19/387 E
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-29716(P2015-29716)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-151511(P2016-151511A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2018年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】岸川 樹
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−175135(JP,U)
【文献】 特開平09−159517(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/057353(WO,A1)
【文献】 特開平06−271084(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0228384(US,A1)
【文献】 実開昭60−065643(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387−393,
B65D 88/26−88/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下が開口した中空状の本体と、該本体の下部開口面を下方から開閉するゲートと、該ゲートを、前記本体の対向する両側面に開閉自在に取り付けてなる支持軸と、前記ゲートと前記支持軸とを接続する補強板を備え、前記補強板は、前記ゲートが閉じている場合、前記本体の側壁のうち前記支持軸の延びる方向と平行に平面が存在しかつ、前記支持軸に近い側壁から前記支持軸に向かう方向に対し、前記支持軸の延びる方向から見た平面視において前記側壁から張り出している、ホッパ。
【請求項2】
前記支持軸から前記下部開口面に至るまでの距離が、前記支持軸から前記側壁に至るまでの距離よりも長く設定される請求項1に記載のホッパ
【請求項3】
前記本体の下部開口面は、単一の前記ゲートによって、片開きに開閉される請求項1に記載のホッパ。
【請求項4】
装置本体の上部に供給された被計量物を放射状に複数の経路に分散させた後、各経路の先端下部に配置された複数のホッパで計量し、得られた各被計量物の計量値を組合せて最適な組合せを選択して排出する組合せ計量装置であって、前記ホッパを請求項1乃至3に記載のホッパで構成したことを特徴とする組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方から被計量物を受け取って下方へ排出するホッパと、それを搭載した組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ計量装置は、単体質量の異なる物品を一定質量に自動計量する装置として食品分野等で広く使用されている。この装置に使用されるホッパには、種々のタイプのものがある。それをゲート開閉軸の取り付け位置で分ければ、ホッパ本体の外方に開閉軸を配置したタイプ(特許文献1、2参照)と、内方に配置したタイプ(特許文献3参照)とに分けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−84526号公報
【特許文献2】特公昭62−18434号公報
【特許文献3】特許第3623570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前者のタイプは、図6に示すように、ゲートGを開閉させる開閉軸PがホッパH本体の側方に取り付けられたブラケットBに配置されている。そのため、ホッパH全体が相対的に大きくなるデメリットはあるが、図6の一点鎖線で示すように、ゲートGが開放されると、ゲートGの上端部GUがホッパHの側壁から離れていくため、ホッパHを清掃するときは、ゲートGの表裏を隅々まで洗浄できるメリットがある。
【0005】
これに対し、後者のタイプは、図7に示すように、ゲートGの開閉軸PがホッパHの側面に配置されているため、ホッパHを小さく設計することはできるが、ホッパHの清掃時には、開放されるゲートGの上端部GUがホッパHの側壁に接近するため、ゲート上端部GUと側壁との間に隘路Sが形成され、そこが不衛生になる問題がある。こうしたホッパが食品分野で使用されることは、衛生上の観点から好ましくない。
【0006】
本発明は、こうした問題に鑑みて開発したもので、ホッパをコンパクトにできる後者のメリットを活かしながら、前者のように、ゲートを隅々まで洗浄することのできる新たなホッパと、そのホッパを搭載した組合せ計量装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るホッパは、上下が開口した中空状の本体と、該本体の下部開口面を下方から開閉するゲートと、該ゲートを、前記本体の対向する両側面に開閉自在に取り付けてなる支持軸とを備え、前記ゲートが開放されるときに該ゲートと略平行になる側壁と、該ゲートの上端部との間に形成される間隔が清掃可能な間隔となるように、前記支持軸の取り付け位置を、前記側壁には可及的に接近させ、前記下部開口面からは遠ざけたことを特徴とする。
【0008】
図1は、本発明の解決原理を説明するためのホッパ側面図を示す。この図において、ホッパ100は、上下が開口した中空状の本体10と、該本体10の下部開口面を開閉するゲート20と、該ゲート20を本体10の両側面に揺動自在に取り付けてなる支持軸30とを備える。
【0009】
支持軸30は、ゲート20が開放されるときに、該ゲート20と略平行になる側壁11に接近させており、ゲート20が当接する下部開口面からは、所定距離L1遠ざける位置に配置している。そして、その距離L1が支持軸30から側壁11に至るまでの距離L2よりも可及的に長くなるようにすれば、ゲート20が開放されたときには、一点鎖線で示すように、ゲート20の上端部21は、側壁11から離れていくから、開放されたゲート20の上端部21と側壁11との間には、清掃可能な十分な間隔Xが形成される。
【0010】
支持軸30の取り付け位置は、側壁11に近づける程良いから、支持軸30を側壁11に密着させても良い。その場合でも、支持軸30から本体10の下部開口面に至るまでの距離L1を十分長くとれば、開放されたゲート上端部21と側壁11との間に、少なくとも清掃作業者の指先が入るだけの十分な間隔Xを形成することができる。
【0011】
本発明に係る組合せ計量装置は、装置上部に供給された被計量物を放射状に複数の経路に分散させた後、各経路の先端下部に配置された複数のホッパで計量し、得られた各被計量物の計量値を組合せて最適な組合せを選択して排出する組合せ計量装置であって、前記ホッパを本発明に係るホッパで構成したことを特徴とする。
【0012】
これにより、ホッパをコンパクトに設計することができるから、それを搭載する組合せ計量装置もコンパクトなものにすることができる。しかも、ホッパがコンパクトになることから、ゲート開閉時に発生する風の影響も抑えることができ、それによって計量精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のホッパによれば、ゲートを開閉させる支持軸をホッパの側面に取り付けても、開放されたゲート上端部とそれが接近する側壁との間に、清掃用具や作業者の指先等が入るだけの十分な間隔を形成することができるから、ゲートの隅々までの清掃や洗浄が可能となる。したがって、食品分野に有用なホッパを提供することができる。
【0014】
また、本発明に係る組合せ計量装置によれば、ホッパの開閉ゲートを隅々まで洗浄することができるから、食品分野に適する組合せ計量装置を提供することができる。また、ホッパが小さく設計できることから、ゲート開閉時に発生する風の影響を抑えて、計量精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の解決原理を説明するためのホッパ側面図。
図2】本発明に係るホッパの一実施形態の外観斜視図。
図3】上記実施形態のホッパの側面図。
図4】上記実施形態のホッパゲートを開放した状態の側面図。
図5】本発明に係る組合せ計量装置の構成概略図。
図6】従来の、特にゲート開度の大きいホッパの一例を示したホッパ側面図。
図7】従来の、特にゲート開度の小さいホッパの一例を示したホッパ側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明に係るホッパの一実施形態について説明する。また、各図において、図1と同じ構成要素には、同じ符号を用いているが、以下の実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
図2図4に示すホッパ100は、ステンレス材で形成され、上下が開口した中空状の本体10と、本体10の下部開口面F(図4参照)を開閉するゲート20と、ゲート20を本体10の両側面に揺動自在に取り付けてなる支持軸30と、ゲート20を支持軸30回りに上方に跳ね上げるレバー40とを備えている。
【0018】
本体10は、角筒状に形成され、その四隅は円弧状に形成されている。本体10の紙面と直交する方向の両側面12の上縁には、被計量物を本体10内に案内する傾斜板13が取り付けられている。また、下部開口面Fは、側壁11の下端部から斜め下方に伸びる傾斜面に形成されている。また、側壁11には、ハンガー用のブラケット14が取り付けられ、その側壁11と対向する斜め側壁15の下端部は、下部開口面Fより僅かに下方に飛び出している。
【0019】
ハンガー用ブラケット14は、紙面と直交する方向に離間して設けられ、それらは対向する両側面12に沿って平行に設けられている。すなわち、各ブラケット14、14の先端部は、側壁11から垂直かつ下方に伸びており、その先端部に上下に離間させた一対のシャフト141、141が水平に取り付けられている。また、各ブラケット14、14のベース部分142、142は、直交する側壁11と側面12とに密着するように円弧状に曲げられて溶着されている。なお、上下のシャフト141、141は、図5の組合せ計量装置Wの図示しないフックに引っ掛けられる。
【0020】
ゲート20は、本体10の下部開口面Fを下方から被う形状に形成されている。すなわち、ゲート20は、下部開口面Fを被う平坦部と、その両サイドから立ち上がって、対向する両側面12、12に沿う折り曲げ部22、22とを備えている。また、平坦部の下側先端部23は反り返っており、ゲート20が下部開口面Fを閉鎖したときに、下り傾斜の側壁15の先端部と密着するように形成されている。また、ゲート20上端部21には、コの字状の補強板41が溶着され、その補強板41から上方に伸びる上端部が支持軸30に回動自在に支持され、そこから下方に向けてレバー40が一体的に設けられている。
【0021】
支持軸30は、側壁11に近接させており、下部開口面Fからは、ゲート20を開放したときに、ゲート20の上端部21と側壁11との間に十分な間隔が形成されるように遠ざけている。この支持軸30は、ボルトで構成され、その先端部が、ベース部分142に溶着された図示しないボスに捻じ込まれて固定されている。また、この支持軸30には、図示しないカラーとその外側で回転する樹脂製ブッシュとが挿入され、そのブッシュが補強板41と一体となって支持軸30の回りに回転するように構成されている。なお、図示はしていないが、この支持軸30は、反対側の側壁12にも同様に取り付けられている。
【0022】
レバー40の先端部には、コロ42が回転自在に取り付けられ、このコロ42が組合せ計量装置Wの図示しない開閉レバーと噛みあって上方に跳ね上げられ、それに伴ってゲート20が支持軸30を中心として開閉するようになっている。
なお、レバー40とコロ42は、それらが跳ね上がったときに、ブラケット14と干渉しないように配置されている。
【0023】
図4は、ゲート20を開放させたときの側面図を示す。この図において、上方に跳ね上がったゲート20の上端部21と側壁11との間には、清掃用具や少なくとも作業者の指先を挿入して清掃できるような十分な間隔が形成されている。したがって、ホッパ100を計量装置Wから外すと、ゲート20は、自重で開放されるから、ゲート20と側壁11との間に清掃用具や指先を入れて清掃することができる。勿論、高圧洗浄水で洗浄することもできる。
【0024】
図5は、前述のホッパ100を計量ホッパWHとして組み込んだ組合せ計量装置Wの一例を示す。
この組合せ計量装置Wは、上段中央に配置される分散フィーダDFと、その周囲に放射状に配列される複数の放射フィーダRFと、その下段に配置される駆動部Dと、駆動部Dの周囲に等間隔に配列される複数のプールホッパPHと、各プールホッパPHから排出される被計量物を受け取って計量する同数の計量ホッパWHと、その下段に配置されて、各計量ホッパWHから排出された被計量物を収集する集合シュートCと、駆動部Dを支持する4本の支持脚Lと、支持脚Lを支持する本体BBとを備えている。この本体BBは、図示しない架台上に設置され、その架台の下には、図示しない包装機が設置される。
【0025】
こうした構成は周知であるから、ここでは、それらの詳細な説明は省略するが、中央の駆動部Dの周囲には、各ホッパPH,WHを支持するハンガーやフックが設けられ、そこに前述のシャフト141、141が引っ掛けられている。また、駆動部Dには、各ホッパPH,WHのゲート20に対応させて開閉レバーが設けられ、その開閉レバーと計量ホッパWHのコロ42とを噛み合せれば、ゲート20が開閉されるようになっている。勿論、プールホッパPHも同様な構成である。
【0026】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、その他の構成も採用可能である。例えば、図5では、本発明のホッパ100を計量ホッパWHとして搭載したが、プールホッパPHにも適用できることは明らかである。また、ホッパ本体の中央から両サイドに開く両開き式ホッパのゲートにも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、ゲートの清掃、洗浄が容易にできるから、食品分野において広く利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 本体
11 側壁
12 両側面
20 ゲート
21 ゲートの上端部
30 支持軸
100 ホッパ
L1 支持軸から下部開口面に至るまでの距離
L2 支持軸から側壁に至るまでの距離
F 下部開口面
X 間隔
W 組合せ計量装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7