(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2つ又は3つ以上のタイミング基準を平均することが、前記それぞれの基準ECG信号のそれぞれの最大振幅に応じて前記2つ又は3つ以上のタイミング基準の加重平均を算出することを含む、請求項7に記載の方法。
前記プロセッサが、前記等価のECG関数の1次モーメントを計算することによって、前記単一のタイミング基準を導き出すように構成される、請求項13に記載の装置。
前記プロセッサが、前記2つ又は3つ以上のタイミング基準を平均することによって、前記単一のタイミング基準を導き出すように構成される、請求項16に記載の装置。
前記プロセッサが、前記それぞれの基準ECG信号のそれぞれの最大振幅に応じて前記2つ又は3つ以上のタイミング基準の加重平均を算出することによって、前記2つ又は3つ以上のタイミング基準を平均するように構成される、請求項17に記載の装置。
前記プロセッサが、前記基準ECG信号のうちの1つで失われたピークを検知すること、及び前記単一のタイミング基準の計算で前記失われたピークを補完することによって、前記複数の基準ECG信号を処理するように構成される、請求項11に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概論
電気生理学的(EP)心臓マッピング、すなわち心臓電気解剖学的マッピングは、機能不全である心臓組織内の領域を識別するために使用される。体内プローブ、典型的に複数のマッピング電極がカテーテル遠位端の近くでカテーテルの本体に沿って配置されたカテーテル、が心臓の腔に挿入される。時変心電図(ECG)信号が、マッピング電極と心臓組織との間の複数の接触点で記録される。次いで、複数のECG電極が心臓組織との異なる接触位置へ移動し、処理が繰り返される。次いで、心臓の機能に関する基準が局所ECG信号から計算され、信号が、心臓腔の表面にわたって空間的にマッピングされる。マッピングは、医療専門家が心臓の機能不全の領域を識別するのを支援する。
【0013】
洞房(SA)及び房室(AV)結節などの、心臓内の電気供給源は、固有の洞調律で収縮するように心房及び心室の筋組織をトリガする、心臓にわたって伝播する電気的活動波を開始する。活動波面がそれぞれの心臓周期中に複数のマッピング電極に到達するとき、固有のECG波形が複数のマッピング電極で検知される。これらの波形は、心臓腔の表面に沿った異なる空間的場所で組織に接触した、異なる複数の電極における同じ波面の異なる到着時間により、時間ずれする。
【0014】
複数のマッピング電極で検知されるECG波形の到着時間は、心臓を横切る活動波の伝播時間及び/又は速度をマッピングするために使用され得る。活動波のマッピングは、基準注釈時間として本明細書で知られる心臓周期を示す単一の時間基準に対して実行される。
【0015】
基準注釈時間は、身体表面(BS)電極から、又は心腔の表面と接触して配置された追加的なカテーテルの心内(IC)基準電極から獲得されたECG信号を処理することによって、計算され得る。典型的に、医師は、疑わしい病変に応じて、基準注釈時間をBS又はICチャネルのいずれから計算するかを指定する。しかしながら、マッピング処置の間に、割り当てられたECG基準チャネルが(例えば、不十分な基準電極接触、システム雑音、又は他の障害により)機能しない場合には、再マッピングの実行が必要となる。心臓の再マッピングは、時間を要し、患者にとって不快である。
【0016】
本発明の実施形態は、基準注釈時間を推定する改良された方法及びシステムを提供する。開示される実施形態では、ECG解析システムは、基準注釈時間を計算するために、複数のECGチャネルの出力を組み合わせる。一部の実施形態は、身体表面電極から取得される複数の基準ECG信号から基準注釈時間を計算する方法を教示する。他の実施形態は、心臓組織上の複数の固定点、典型的に冠状静脈洞、に接触した心内ECG電極から取得される複数の基準ECG信号から基準注釈時間を計算する方法を説明する。開示される技術は、基準注釈時間を生成するために、単一の電極によらず、複数のECG信号を組み合わせる。したがって、開示される技術は、非常に強力で、安定しており、かつ正確である。
【0017】
基準注釈時間を計算するために使用されるIC基準信号の障害を取り扱う方法も、教示される。例示的な方法は、例えば、心臓脈動中に、動く心内膜との不十分な電極接触の質から生じた、隣接する心臓周期でIC基準電極から受信される失われたECG信号を補完する。他の方法は、基準ECG信号に現れる、心房性及び心室性ECG信号の双方の特性を区別する。
【0018】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、心電図(ECG)解析システム20の概略図である。プローブ24は、システム20のユーザ28によって実行される心臓マッピング処置中に、被験者26の身体内に経皮的に挿入される。本明細書での説明では、ユーザ28は、一例として、医師又は他の医療専門家であると想定される。一部の実施形態では、身体表面電極29は、心臓34の領域内で被験者26の皮膚に取り付けられ得る。処置中、被験者26は、接地電極23に取り付けられると想定される。
【0019】
プローブ24は典型的に、カテーテルを含む。
図1に示される例示的な実施形態では、カテーテル24は、
図1の挿入図に示されるように心臓34の右心室内にナビゲートされる。複数の電極22は、心臓組織に接触するカテーテル24の長さに沿って配置される。
【0020】
簡潔性及び明瞭性のために、以下の説明は、別途記述される場合を除き、カテーテル24に配置された電極22を使用して、心臓34からの電気信号を検出する医療処置を想定する。当業者は、説明を、複数の電極を有する複数のプローブに、並びに心臓以外の器官によって生み出された信号に、適合させることが可能であろう。換言すると、それぞれの電極構成を有する任意の好適な数のカテーテルが、本明細書で説明される機能を実行するために、心臓内にナビゲートされ得る。
【0021】
電極22が心臓組織に接触するとき、システム20は電極から複数の電気信号を受信する。例えば、複数の基準電極を有するカテーテル24が、冠状静脈洞などの心臓の基準領域内に位置決定され、領域から基準ECG信号を検出するために使用され得る。
【0022】
システム20は、プロセッサ40によって制御され得る。プロセッサ40は典型的にコンソール46内に搭載され、コンソール46は動作制御機器38を含む。制御機器38は典型的に、専門家28がプロセッサと相互作用するために使用する、マウス又はトラックボールなどの、ポインティングデバイス39を含む。プロセッサは、システム20を動作させるために、プローブナビゲーションモジュール30及びECGモジュール36などの、ソフトウェアを使用する。ECGモジュール36は、基準ECGサブモジュール37及びマップECGサブモジュール41を更に含み、これらの機能は以下で説明される。
【0023】
プロセッサ40によって実行された動作の結果は、ディスプレイ48上でユーザ28へ提示され、ディスプレイ48は典型的に、操作者に対するグラフィックユーザインターフェース、後述する心臓マップなどの電極22によって検出されたECG信号の視覚的表現、及び/又は調査されている間の心臓34の画像を提示する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態でプロセッサ40にダウンロードされてもよいし、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供及び/若しくは格納されてもよい。
【0024】
システム20はまた、カテーテル24の電極22からECG信号を受信してプロセッサ40へ信号を中継するように構成されたECG信号インターフェース42を含む。ECGモジュール36は、受信したECG信号を解析するように構成され、ディスプレイ48上に、標準的なECG形式で、典型的には時間と共に変動するグラフィック表現で、解析の結果を提示することができる。
【0025】
プローブナビゲーションモジュール30は、プローブが被験者26内にある間に、プローブ24の各区域を追跡する。ナビゲーションモジュールは典型的に、被験者26の心臓内における、カテーテル24の遠位端の場所及び配向の双方を追跡する。一部の実施形態では、モジュール30は、プローブの他の区域を追跡する。
【0026】
ナビゲーションモジュール30は、当該技術分野において既知の、プローブを追跡する任意の方法を使用することができる。例えば、磁場発信器からの磁場が、追跡されているプローブの各区域内に設置された追跡コイルと相互作用するように、モジュール30は、被験者の近くで磁場発信器を動作させることができる。磁場と相互作用するコイルは、モジュール30に伝送される信号を生成し、モジュールは、コイルの場所及び配向を判定するために信号を解析する。(簡潔性のために、このようなコイル及び磁場発信器は、
図1には示されない)カリフォルニア州ダイアモンドバーのBiosense Websterにより製作されるCarto(登録商標)システムはこのような追跡方法を使用する。
【0027】
代替的に又は追加的に、ナビゲーションモジュール30は、電極23、電極29、及び電極22間のインピーダンス、並びにプローブ上に設置され得る他の電極に対するインピーダンスを測定することによって、プローブ24を追跡することができる。(この場合には、電極22及び/又は電極29は、以下で説明されるように、ECG信号及び追跡信号の双方を提供することができる。)Biosense Websterによって製作される、Carto3(登録商標)システムは、磁場発信器及びインピーダンス測定の双方を、追跡に使用する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態による、心臓腔内で複数の接触点をサンプリングする複数の電極の図である。
図2に示される例示的な実施形態では、心内(IC)カテーテル24Aは、心臓34の冠状静脈洞62内に挿入される。カテーテルは、遠位端65の近くでカテーテル24Aの本体の長さに沿った点に配置された、5つの基準ECG電極60A...60Eを含む。基準ECG電極60A...60Eは、冠状静脈洞の表面上の複数の組織点に接触し、複数の接触点でそれぞれの基準ECG信号を測定するために使用される。
【0029】
同様に、ICカテーテル24Bは、心臓34の右心室内に挿入される。カテーテルは、遠位端75の近くの、カテーテル24Bの本体に沿った点に5つのマッピング電極70を含む。マッピング電極70は、右心室の表面上の複数の組織点に接触し、複数の接触点でそれぞれのマッピングECG信号を測定するために使用される。
【0030】
ECG信号インターフェース42は、身体表面電極29、IC ECG基準電極60A...60E、及びマッピング電極70から信号を受信する。これらの信号は、プロセッサ40のECGモジュール36で処理される。基準ECGサブモジュール37は基準ECG電極からの信号を処理し、マップECGサブモジュール41はマッピング電極70からの信号を処理する。
【0031】
図2に示される5つの基準ECG電極60A...60E及び複数のマッピング電極70は、単に概念の明瞭性のために図示され、本発明の限定の目的で図示されない。代替的実施形態では、任意の好適な数のマッピング及び基準電極構成が使用され得る。例えば、単極性ECG検知のための単一の電極の代わりに、電極は、先に引用された参照文献に説明されるように、双極性ECG検知のために対に配列され得る。任意の好適な数のマッピング及び基準カテーテルが、例えば螺旋型ラッソーカテーテルなどの任意の好適な構成で使用され得る。基準カテーテル24A及びマッピングカテーテル24B、又は任意の数のカテーテルは、本明細書において説明される機能を実行するために、心臓34内の好適な場所にナビゲートされ得る。
【0032】
心臓興奮波の電気解剖学的マッピング
心臓の洞房(SA)結節が、心房の血液を心室内へと押し出す、心房心筋収縮を結果としてもたらす心房組織にわたる脱分極波を開始するときに、心臓脈動の正常洞調律は開始される。同様に、約70ms遅れて、房室(AV)結節で開始する脱分極波が、心室から血液を押し出す心室筋収縮を結果としてもたらす心室心臓組織にわたり、通過する。再分極波が、次の心臓脈動に備えて心房及び心室の双方の心筋組織を「リセット」する。この電気的活動が、ECG身体電極29を使用して検知されるときに、古典的なECG波形形態(例えば、P波、QRS群、T波)をもたらす。
【0033】
SA結節によって生み出され、AV結節を通過する心房及び心室の興奮波は、空間に依存した伝播時間を有する波面として心筋にわたって広がる。心臓組織に沿った点での興奮波の電圧を伴う波伝播時間のマッピングは、局所的な心臓組織の機能不全を検知するために使用され得る。
【0034】
心臓マッピングは、心内膜組織の表面にわたり複数の電極70を移動させて、ECG波形が記録されたときの電極の場所と共にそれぞれの接触点におけるECGを記録することによって、実行される。代替的に、心臓マッピングは、心外膜組織の表面に接触するように、患者の身体内に外部から、例えば胸腔から、基準及び/又はマッピング電極を挿入することを含んでもよい。したがって、用語「表面」は、心内膜又は心外膜を指すことができる。
【0035】
それぞれのマッピング点で記録されるデータはまた、本明細書において、マッピング注釈と称される。しかしながら、興奮波面は、心内膜上の空間的に異なる点の異なる電極へ伝播するので、局所ECG信号は、異なる時間に異なる点に、したがって異なる電極に到達する。
【0036】
所与のECG電極へのECG信号の到着時間の差は、局所的な興奮波面速度を示す。心臓の心周期タイミングを示す単一のタイミング基準に対する、特定の心周期、すなわち心臓脈動、のための特定のマッピング電極に到達するECG信号の被測定時間の差は、局所興奮時間(LAT)として本明細書では知られる。同様に、単一のタイミング基準は、システム20のためのタイミング基準である、基準注釈時間として本明細書では知られる。
【0037】
典型的な心臓マップは、心臓表面上の複数の異なる点でのLATのマッピング、心臓全体にわたる異なる時間での興奮波面を示す伝播マップ、及び同じ所与の点でのECGの固有電圧を含む。次いで、ユーザ28は、心房性又は心室性頻拍などの、心臓の機能不全の領域を検知するために、心臓マップに示される予想活動波面及び/又は電圧からの変化を使用することができる。アブレーション療法が、例えば、機能不全を補正するために使用されてもよい。
【0038】
一部の実施形態では、プロセッサ40は、BS電極29から及び/又はIC基準電極60A...60Eから基準注釈時間を計算する際に、取得基準ECG信号を使用する。マッピング電極が心内膜にわたって移動する際に取得ICマッピングECG信号は取得され、ECGはマッピングデータ点を取得するために記録される。しかしながら、複数のIC基準電極は、心内膜に接触して、医療処置中に移動しない。予測される病変のタイプに応じて、ユーザ28は典型的に、BS電極29又はIC基準電極60A...60Eのいずれから得られたECGにより基準注釈時間を計算するのかを指定する。
【0039】
基準注釈時間は、例えばR波ピークなどの、ECG信号の形態上の特定の位置を識別することによって、又は単一のECG波形チャネルから誘導される取得基準注釈時間のための、先の米国特許出願公開第2013/0123652号に説明される技術を適合させることによって、取得され得る。
【0040】
心臓電気解剖学的マッピングの精度(例えば、LAT精度)は、基準注釈時間の安定性に左右される。心臓が脈動して心臓組織が活動する際に、心内膜と電極60A...60Eの中から選択されるIC基準電極との間の接触が弱められる場合がある。雑音が基準ECGチャネルに発生する場合があり、又は何らかの他の障害が突然発生し、基準注釈時間(例えば、システム20のタイミング基準)のために使用されるそれぞれの心臓脈動中に、基準ECG信号のリアルタイム更新を妨げる場合がある。基準ECGチャネルが失われる場合には、以前の取得マッピングデータが失われる場合があり、新たな再マッピング処置が必要とされる。
【0041】
複数のECG基準チャネルからの基準注釈時間の決定
本発明の実施形態では、プロセッサ40は、それぞれの心臓周期中に、複数のECG基準チャネルから併せて基準注釈時間を決定する。典型的に、カテーテル24A上のIC電極60A...60E、及びBS電極29は、常に複数の信号を検知している。本明細書において教示される方法では、複数のBS ECG基準信号及び/又は複数のIC基準信号が、基準注釈時間を決定するために同時に使用される。したがって、ECG基準チャネルの1つに、前に説明されたように障害がある場合、基準注釈時間は、システム20の再マッピング処置を開始せずに従前通り決定され得る。次いで、それぞれの心臓脈動において計算された、すなわち推定された、基準注釈時間は、以下のフローチャートにおいて以下で説明されるようにLATマップを計算するためにマッピング注釈に適用される。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態による、心臓腔内の局所興奮時間マップを生成する方法を概略的に示すフローチャートである。マッピングカテーテル24Bが、心臓腔内の1つの場所にナビゲートされる。第1の受信工程80で、ECG信号インターフェース42が、複数の接触点で心臓腔の表面に接続されたマッピングカテーテル電極70から複数の心電図(ECG)信号を受信する。用語「表面」は、前述されたように、心内膜又は心外膜を指すことができる。第1の算出工程82で、マップECGサブモジュール41が、複数のマッピング点におけるマッピング注釈を算出する。
【0043】
第2の受信工程84で、ECG信号インターフェース42が、現在の心臓脈動のために身体表面(BS)又は心内(IC)基準電極からの(例えば、BS電極29又はIC電極60A...60Eそれぞれからの)複数の基準チャネルを介して複数のECG信号を受信する。第2の算出工程86で、基準ECGモジュール37が、複数の基準チャネルにおけるECG信号を使用して現在の心臓脈動に対する基準注釈時間を算出する。
【0044】
適用工程88で、プロセッサ40が、現在のマッピングカテーテルの位置におけるLATマップを生成するために、基準注釈時間を複数のマッピング注釈に適用する。決定工程89で、プロセッサ40が、LATマップが完全かどうかを評価する。完全でない場合には、移動工程91で、マッピングカテーテル24Bが心臓腔内の新たな場所へ移動し、マッピング処理が受信工程80で継続する。
【0045】
LATマップが決定工程89で完全である場合には、LATマップは改良工程90で改良される。LATマッピングデータが、マッピング電極がデータを取得した心臓壁に沿った位置に対して平滑化される。この平滑化が、等時線などの基準が計算される前に、LATマップデータセットのLATを調整する。LATマップを改良する例示的な方法は、2012年12月26日に出願された米国特許出願第13/726,719号に説明され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。最後に、出力工程92で、LATマップが、ユーザ28に出力される。
【0046】
算出工程86で複数のチャネルから基準注釈時間を計算することは典型的に、使用されるECG基準電極のタイプ、BS又はIC、に左右され、以下のように説明される。最初に、強力、すなわち「良好」なECG信号を有するECGチャネルが識別される。活動指標(AI)関数が、複数の「良好」なチャネルからのECGデータを1つの等価のECG関数に組み合わせ、等価のECG関数が、「良好」なECG信号の時変波形から計算される。活動指標から、時間セグメントが、活動セグメント時間、すなわち活動セグメント、典型的に活動指標パルスの幅として本明細書で知られる、心臓周期で心臓活動が発生する場合のインジケータとして決定される。基準注釈時間が活動セグメントによって定められ、BS又はICのいずれの基準電極が使用されるかに基づいて、本明細書において後述される多数の方法により計算される。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態による、基準注釈時間を算出するための方法を概略的に示すフローチャートである。識別工程93で、プロセッサ40内の基準サブモジュール37が、後述する信号品質判定基準を適用することによって、現在の心臓脈動に対する基準ECG信号の中から複数の好ましい(「良好」すなわち強力な)ECG信号を選択する。計算工程94で、ECGモジュール36が、活動セグメント時間を取得するために(同様に以下の実施形態で説明される)選択された好ましいECG信号から活動指標を計算する。
【0048】
探索工程96で、ECGモジュール36が、活動セグメント時間によって現在の心臓脈動に対する心臓活動を検索する。活動セグメント時間は、後述するような適応閾値で得られた活動指標の有効幅である時間間隔に定められる。適応閾値は、以前の心臓周期(心臓脈動)から決定された活動セグメント時間から、活動指標の雑音レベルに左右される値として推定され得る。ECGモジュール36は、活動時間セグメント内における現在の心臓脈動に対する心臓活動のマッピング及び/又は基準ECG信号を評価する。推定工程98で、ECGモジュール36が、活動時間セグメント内の共通(グループ)基準注釈時間を推定、すなわち計算する。
【0049】
図3及び
図4のフローチャートで説明される実施形態は、LATマッピングのために使用される複数のECG基準チャネルからの基準注釈時間の計算について述べる。本明細書において説明される実施形態の限定を目的としないが、ユーザ28(例えば医者28)が、疑わしい心臓の病変を評価して、心室又は心房をマッピングするかどうかを判断するとき、異なるECG基準信号が使用され得ることに留意すべきである。
【0050】
例えば、心室マッピングが実行されるときに、カテーテル24Bは、工程80でマッピングECG信号を受信するために、(カテーテル24Bが右心室にある
図2に示されるように)心室内に配置され得る。BS電極29が、工程88で心室のLATマップを計算するための基準注釈信号を計算するために、工程84及び86で使用される。
【0051】
同様に、心房マッピングが実行されるときに、カテーテル24Bは工程80で心房に配置され得る(
図2には示されない)。しかしながら、冠状静脈洞62内の心内カテーテル24Aが、IC電極60A...60Eから基準ECG信号を取得するために使用され、IC電極60A...60Eが、工程88で心房のLATマップを計算するための基準注釈信号を計算するために、工程84及び86で使用される。BS又はIC基準電極が選択される場合を考慮して、工程86で基準注釈時間を計算する異なる方法が、ここで説明される。
【0052】
身体表面ECG基準信号から決定される基準注釈時間
図5は、本発明の一実施形態による、基準注釈時間を決定する際に使用される基準ECG信号を示す略図である。トレース100、110、120、及び130は、
図1に示される6つの電極の中から選択された、4つのそれぞれの身体表面電極29から測定されるECG信号を示す。トレース100、110、120、及び130はまた、それぞれ、ECGチャネルCH1...CH4と称される。
図5のECG信号は、単に概念の明瞭性のために示され、本発明の実施形態の限定の目的で示されない。
【0053】
前に説明されたように、特定の心臓周期、すなわち心臓脈動、と関連したECG信号の部分が、
図5に示される場合のように、BS電極に対し同時に検知される。この特徴は、すべて約53.5秒に発生する、CH1 ECGピーク105、CH2 ECGピーク115、CH3 ECGピーク125、及びCH4 ECGピーク135を比較する際に確認され得る。ピーク105、115、及び125は識別可能なRピークを有するが、ピーク135は有しないことが、
図5に示される4つのピークの形態から明らかである。したがって、ピーク105、115、及び125を検知したECGチャネルは、基準ECGサブモジュール37によって、好ましい、強力すなわち「良好」なECG基準チャネルとしてフラグを立てられ、ピーク135(例えば、CH4)は「不良」なチャネルとしてフラグを立てられる。
【0054】
基準ECGサブモジュール37は、信号品質判定基準をECG信号に適用することによって工程93で「良好」なECGと「不良」なECGチャネルを区別するように構成される。信号品質判定基準は、信号対雑音比(SNR)、
図5に示されるような所与の心臓脈動のためのECG信号の、プロセッサ40による既定の時間スライス内における信号の均一性、何らかのシステム障害に起因する雑音及びパルス干渉、又は任意の他の好適な判定基準を含むことができる。モジュール37は、基準注釈時間の更なる信号処理のために「良好」なECG基準チャネルにフラグを立てる。これらの判定基準は、IC及びBS基準ECG信号の双方に適用され得る。
【0055】
一部の実施形態では、プロセッサ40は、工程96で強力すなわち「良好」なECG基準チャネルから活動セグメント時間を導き出すように定められた基準として、活動指標関数(AI)を定め、使用する。以下に続く説明では、iは好ましい(強力、「良好」な)チャネルの指数を表し、N
goodは良好なECGチャネルの数である。本質的に、AIは、活動セグメント時間が計算される1つの関数に「良好」なECG波形すべてのエネルギー情報を組み合わせる等価のECG関数を含む。活動セグメント時間は、プロセッサ40がセグメント内でシステム基準注釈の位置を計算するのを基本的に支援する。
【0056】
BS ECG基準電極に対して、活動指標AI
BSは、例えば、以下のように計算され得る:
【数1】
式中、ECG
iはi番目の「良好」なECG波形であり、ABS[]はECG波形に適用される絶対値であり、SMOOTH[]は個々の波形に適用される平滑化関数である。SMOOTHは、例えば、矩形窓関数、ガウス窓関数、バートレット窓関数、又は任意の好適な窓関数を含むことができる。
【0057】
図6は、本発明の一実施形態による、ECG信号から計算された活動指標のトレース200を示す略図である。「良好」なECGトレース(例えば、
図5のトレース100、トレース110、及びトレース120)が、ここで示される。活動指標AI
BSトレース200は、(プロセッサ40により好ましいECG信号として選択された)トレース100、110、及び120から工程94で計算される。ECGピーク105、115、及び125に対応するAIピーク205が、
図6に確認され得る。挿入
図210は、AIピーク205の引き伸ばしを示す。活動セグメント時間220は、開始時間t
sから終了時間t
fまで挿入
図210の時間軸に沿って示される。
【0058】
パルス活動セグメント220の幅は、例えば、活動セグメント外の雑音レベルに従って、パルス波形205に(水平な破線として示される)適応閾値を設定又は適用することによって、典型的に設定される。適応閾値は、適応閾値を決定するためにいくらかの心臓周期にわたり時間間隔を監視することによって決定される。
【0059】
しかしながら、活動セグメントを定めるセグメントの端点は典型的に、適応閾値の幅より広い。例えば、適応閾値は、活動セグメント外のECG信号の振幅上に一定の余裕で設定され得る。活動セグメント幅は、一定の余裕を有することができる閾値とECG信号との交点の間にあるように設定されてもよい。
【0060】
一部の実施形態では、BS電極29から取得される基準ECG信号は同じ時間間隔内に含まれるので、工程98におけるプロセッサ40は、個々の「良好」なECGチャネルの最大ECGピークから又はECG信号の形態上の任意の他の好適な標識から、基準注釈時間を導き出すことができる。
【0061】
他の実施態様では、グループの基準注釈時間(RA
group)はまた、活動指標関数(例えば、式(1))の正規化された1次モーメントを計算することによって工程98で誘導され得る:
【数2】
式中、t
s及びt
fは時間セグメント220のそれぞれ開始及び終了極値である。代替的に、プロセッサ40は、任意の他の好適な手法で活動指標関数から基準注釈時間を誘導してもよい。一度、基準注釈時間が先に教示された方法により誘導されると、基準注釈時間は、工程88で興奮マップのための局所興奮時間(LAT)を獲得するために、マッピングデータに適用され得る。
【0062】
心内ECG基準信号から決定される基準注釈時間
典型的に、心内基準電極60A...60Eは、身体表面電極と比較して広い時間拡散を伴うECG信号を受信する。広い時間拡散は、例えば、異なるIC基準電極におけるECG信号の異なる到着時間に起因する。結果として、プロセッサ40は、工程94で心内ECG基準データから活動セグメント時間を計算するために、異なる活動指標関数を典型的に使用する。
【0063】
IC ECG基準チャネルに対し、N
good「良好」なチャネルが、前に説明された方法により、工程93で選択される。一部の実施形態では、IC活動指標AI
IC関数は、以下のように表される:
【数3】
【0064】
数式(3)のグループ活動指標は、(
図6のBSセグメント時間220と同じ様に)活動セグメント時間を獲得するために、工程94において使用される。
【0065】
複数の基準電極のそれぞれにおける受信されたECG基準信号の所与の心臓脈動に対する時間差を考慮して、一実施形態では、ECGモジュール36は、心臓の活動がそれぞれの個々のチャネルに存在する時間間隔を識別するために、工程96でICグループ活動セグメントを使用する。グループ、すなわちシステム、基準注釈時間は、個々の「良好」なチャネルの個々の基準注釈時間から工程98で計算される。
【0066】
プロセッサ40は、多数の方法でN
goodチャネルの中からi番目の「良好」なIC ECGチャネル(例えば、[ECG(t)]
i)の個々の基準注釈時間RA
iを計算することができる。最初に、基準サブモジュール37が、先の参照文献に引用されるように心内ECG信号の形態上の信号特性を識別するように構成されてもよい。[ECG
i(t)]の基準割当時間を定めるために使用される典型的な信号特性は、ECG信号の絶対値のピーク最大値が発生する時間、ECG信号の導関数の最小値が発生する時間、完全なECG信号のエネルギーの中心が発生する時間、ECG信号の最初の徴候が発生する時間、又は任意の好適な[ECG
i(t)]の形態上の点を含むことができる。
【0067】
一部の実施形態では、基準サブモジュール37は、RA
iを獲得するために、SMOOTH[ABS[ECG
i]]の形態に沿った点を使用することができる。他の実施形態では、基準サブモジュール37は、RA
iを獲得するために、SMOOTH[ABS[ECG
i]]の正規化された1次モーメントを使用することができる。
【0068】
工程88で(例えば、マッピング電極70からの)マッピングデータからLATを最終的に計算するために工程98でグループ、すなわちシステム、基準注釈時間(RA
group)を算出するべく、基準サブモジュール37は、一部の実施形態では以下の数式を使用して、個々のチャネル基準時間RA
iの平均を計算する。
【数4】
【0069】
他の実施態様では、基準注釈時間(RA
group)は、加重平均から工程98で計算され得る:
【数5】
式中、重み係数w
iは以下のように表され:
【数6】
MAX[ABS[]]演算子は、ECG
iの絶対信号振幅の最大値を計算する。
【0070】
基準注釈時間を計算するために使用される心内ECG信号の障害を取り扱う方法
工程84における複数の基準ECG波形(例えば、ECG
i)の取得、及び工程86におけるグループ基準注釈時間RA
groupの続く計算において、[ECG]
i取得の際に多数の信号障害が発生する場合がある。例えば、心臓脈動の際に、動く組織に接触している基準カテーテル電極60A...60Eが、電気的接触を失う場合がある。ある心臓周期では、特定のECGチャネルが「良好」なチャネルであり得る。しかしながら、次の心臓周期では、電極組織接触の損失のため又は任意の他の障害メカニズムにより、同じECGチャネルにECG信号が存在しない場合がある。
【0071】
図7Aは、本発明の一実施形態による、基準ECG信号の損失を取り扱う方法を示す略図である。
図7Aは、時変ECG信号波形の5つのトレース:心内基準電極60A...60Eから受信される信号にそれぞれ対応する、ECGチャネル1(CH1)からのトレース400、ECGチャネル2(CH2)からのトレース410、ECGチャネル3(CH3)からのトレース420、ECGチャネル4(CH4)からのトレース430、及びECGチャネル5(CH5)からのトレース440を示す。
【0072】
図7Aに示される例示的な実施形態では、5つの心臓周期すなわち心臓脈動が、EVENT t
1〜EVENT t
5(例えば、心臓脈動1〜5)を表した時間軸に沿って示される。第1の心臓周期EVENT t
1では、同じ心臓脈動に対して測定された信号405、信号415、信号425、信号435、及び信号445にそれぞれ確認されるように、時間オフセットが、ECG基準電極60A...60Eに対するECG信号の異なる到着時間により、5つのチャネルの5つの「良好」なECG信号間に存在する。
【0073】
これらの信号は、GROUPを表したトレース450上にマッピングされる。1,2,3,4、及び5を表したハッシュマークは、EVENT t
1の信号405、415、425、435、及び445の時間位置にそれぞれ対応する。これらのハッシュマークは、個々のチャネルのそれぞれに対する個々の基準注釈時間(RA
i)の位置を示す。
図7Aに示される信号及び時間遅延は、単に概念の明瞭性のためのものであり、本発明の実施形態の限定を目的としない。
【0074】
EVENT t
2における次の心臓脈動では、(CH4及びCH5にそれぞれ対応する)ECG電極60D及び電極60Eが、心臓組織との不十分な接触を有する。結果として、CH4には刻時点437で、CH5には刻時点447で受信されるECG信号が存在しない。EVENT t
3では、CH1に対応する電極60Aが心臓組織と接触しない。結果として、CH1には刻時点407で受信されるECG信号が存在しない。
【0075】
同様に、EVENT t
4では、CH2に対応する電極60Bが心臓組織と接触しない。結果として、CH1には刻時点417で受信されるECG信号が存在しない。最後に、EVENT t
5では、すべての電極が心臓組織に接触し、基準ECG信号がチャネル1〜5において検知される。
【0076】
5つのチャネルのEVENT t
1〜t
5による、検知された信号のすべてが、GROUPトレース450上にプロットされるトレース450に示されるように、基準ECGサブモジュール37は、EVENT t
1〜t
5の間、すべての5つのチャネルからECG信号を受信した。しかしながら、基準ECGサブモジュール37は、EVENT t
2、t
3、及びt
4の間、5つのECGチャネルの一部のみからの信号を処理する。また、それぞれの心臓EVENT t
1〜t
5の時間間隔内のトレース450に沿った1〜5を表したハッシュマークは、特定の心臓事象すなわち心臓脈動中のそれぞれのチャネルに対する時間軸上のおよその基準注釈時間(例えば、RA
i)を表す。
【0077】
信号は存在したが検知されなかった場合でも、EVENT t
2、t
3、及びt
4の失われた信号は、隣接した心臓事象間に歪められたグループ基準注釈時間をもたらすため、数式(4)又は(5)を使用してEVENT t
2、t
3、及びt
4の間のグループ基準注釈時間(RA
group)を算出することは問題がある。
【0078】
一部の実施形態では、基準ECGサブモジュール37は、
図7Aの典型的な例に示される失われたECG信号(例えば、信号407、417、437、及び447)の時間間隔を推定するように構成される。換言すると、サブモジュール37は、適切な時間間隔で、失われたECG信号の代わりに「仮想ECG信号」を有効に配置する。次いで、RA
groupが、以下で説明されるアルゴリズムにより失われたECG信号のために補正される。
【0079】
最初に、信号1〜5がEVENT t
1中に存在するが、EVENT t
2中には信号1〜3のみが存在する。Δ
1、Δ
2及びΔ
3は、
図7Aの点線領域452内に示されるEVENT t
1のCH1 ECG信号と隣接したEVENT t
2のCH1 ECG信号との間の時間間隔である。同様に、信号1〜3がEVENT t
2中に存在するが、EVENT t
3中には信号2〜5のみが存在する。Δ
2及びΔ
3は、点線領域454に示されるEVENT t
2のCH1 ECG信号と隣接したEVENT t
3のCH1 ECG信号との間の時間間隔であり、点線領域456におけるEVENT t
3からEVENT t
4の時間間隔Δ
3、Δ
4、及びΔ
5に対しても、点線領域458におけるEVENT t
4からEVENT t
5の時間間隔Δ
1、Δ
3、Δ
4、及びΔ
5に対しても同様である。
【0080】
本明細書において提示される実施形態では、時間間隔Δ
1、Δ
2、Δ
3、Δ
4、及びΔ
5が隣接する心臓事象すなわち心臓脈動間で等しい、例えば、Δ
1=Δ
2=Δ
3=Δ
4=Δ
5であると仮定される。換言すると、Δ
iは、心臓事象t
n−1からt
nまで同じであり、このとき、nは心臓事象の指数である。このため、特定のチャネルの信号が失われた場合でも、この仮定が、隣接する事象中の先に説明されたような1つ以上の失われたECG基準信号のためにそれぞれの事象中の計算されたRA
groupを補完するように失われた信号の代わりに仮想ECG信号を配置すべく使用され得る。
【0081】
事象t
1及びt
2に関する演算子CROSSは、2つの隣接した事象に存在するECG信号の重複チャネル指数と定められる。例えば、信号1〜5(例えば、CH1〜CH5)がEVENT t
1中に存在するが、EVENT t
2中には信号1〜3(例えば、CH1〜CH3)のみが存在する。したがって、CROSS(t
1,t
2)=1、2、3で、この場合Ncross=3である。前に定められたようなΔ
iに基づく平均時間間隔Δ
avは、以下のように表される:
【数7】
このとき、合算が、CROSS演算子によって定められた間隔にわたり実行される。
【0082】
本発明の実施形態では、プロセッサ40によって数式(4)及び(5)を使用して計算されたグループ注釈時間は、それぞれの心臓周期中のt
n−1事象からt
n事象で、失われたECGチャネルのために補正される。補正されたグループ基準注釈時間RA
group[t
n]は、以下のように表される:
【数8】
このとき、n=2、3、...で、RA
group[t
1]は個々の基準チャネル注釈の加重平均として算出され得る。工程86で基準注釈時間を補正するために本明細書において教示される方法は、工程88で活動及び伝播マップを計算する際の正確なLAT計算を確実にする。
【0083】
基準カテーテル24Aが
図2に示されるように冠状静脈洞62内に配置されるときに、第2の考えられる障害が生じる。冠状静脈洞の狭さは、電極60A...60Eと心臓組織との良好な接触の維持に役立つように一カ所に固定された基準カテーテルを保持することが知られている。(これは前に説明された失われたECG信号についての第1の障害の発生を低減させる。)しかしながら、冠状静脈洞は、およそ心房と心室との境界間に位置する。結果として、心房及び心室の双方の電気的活動が、電極によって同時に受信される場合がある。
【0084】
図7Bは、本発明の一実施形態による、ECG基準電極によって受信された心房性及び心室性心電図(ECG)信号の図である。この例示的な実施形態では、冠状静脈洞内に配置されるときにカテーテル24AのIC基準電極60A、60B、及び60Cによって受信される信号であるCH1〜CH3を表す3つのECGチャネルが、ここで検討される。IC基準電極60A、60B、及び60Cによって受信される時変ECG波形は、トレース460、470、及び480にそれぞれ示される。
【0085】
この場合、受信されたECG波形は、心房性(A)ECG成分及び心室性(V)ECG成分の双方の特性を含むことができる。しかしながら、(例えば、典型的に、前に説明されたような心房マッピングのために)、カテーテル24Aが冠状静脈洞62に配置されるときに獲得される基準ECG波形を使用する際に、プロセッサ40は、A及びV成分の双方を区別すること及び心房マッピング処置のために必要とされないV成分を工程86で除去することが可能である必要がある。
【0086】
心房の電気的波面は、SA結節からスタートし、心房組織を下へ伝播し、ECG基準電極と相互作用する。心室の波面は、心房の波面の開始と比較して(≒70ms)遅れて、AV結節のトリガによりスタートする。しかしながら、電気的活動は、AV結節から心臓の中央(中隔より上)に沿って心臓の底部へと広がり、心室を包み込んで上向きに伝播する。心室の電気的波面は、心房の電気的波面とは別の方向にIC基準ECG電極と相互作用する。
【0087】
したがって、CH1の心房性ECG波形がCH2の先となる場合には、CH1の心室性ECG波形はCH2に遅れることになる。また、これらの時間的変動は本来的に、前に説明されたように、空間的に分離されたプローブへの活動波面の異なる到着時間に起因する。
【0088】
これらの影響は、EVENT t
1に対するチャネルCH1、CH2、及びCH3の信号465、475、及び485をそれぞれ比較する際に、A及びV波形挙動に確認され得る。マーカ495で1、2、及び3を表したハッシュマークは、EVENT t
1の信号465、475、及び485の時間位置にそれぞれ対応する。A及びV成分は、前に説明されたようなECG波形挙動においてA及びV波面を対向して伝播する影響を明確に示して描出される。これらのハッシュマークは、個々のチャネルのそれぞれに対するA及びV基準注釈時間をおよそ表す。
【0089】
A及びV特性は、ステップ86で2つの方法により区別される。一部の実施形態では、基準ECGサブモジュール37は、A及びV成分波形の形態を解析することによって、A特性とV特性とを区別する。
【0090】
他の実施形態では、基準ECGサブモジュール37は、身体表面(BS)ECG波形(トレース490)を同じ心臓事象におけるIC波形(トレース460、470、及び480)と比較することによって、A及びV成分を識別する。BS波形は常に、A成分の後でV成分の前に発生する。この挙動は、信号465、475、及び485に対する信号505の位置を評価する際に確認される。
図7Bに示されるA及びV ECG信号は、単に概念の明瞭性のためのものであり、本発明の実施形態の限定を目的としない。
【0091】
基準ECGサブモジュール37は、A及びV特性を区別し、前に説明された方法すべてを使用してステップ86で適切な基準注釈時間を計算する。次いで、マップECGサブモジュール41が、ステップ88でLATマップを生成するために基準注釈時間をECGマッピングデータに適用する。
【0092】
本明細書において説明される実施形態は主に心臓の活動のマッピングを扱っているが、本明細書において説明される方法及びシステムはまた、胃腸病学などの、電気生理学的活動が同様に存在する、他の用途において使用され得る。
【0093】
したがって、上述の実施形態は一例として引用したものであり、また本発明は上記に具体的に図示及び記載したものに限定されないことは認識されるであろう。むしろ本発明の範囲には、上記に述べた様々な特徴の組み合わせ及び下位の組み合わせ、並びに上記の説明を読むことによって当業者には想到されるであろう、従来技術において開示されていない変形例及び改変例も含まれるものである。参照により本特許出願に組み込まれた文書は、これらの組み込まれた文書内のどんな用語でも、本明細書で明示的又は暗黙的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが検討されるべきである。
【0094】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
患者の心臓の表面に接続されたそれぞれのマッピング電極から複数のマッピング心電図(ECG)信号を受信することと、
前記患者に接続されたそれぞれの基準電極から複数の基準ECG信号を受信することと、
前記心臓の心臓周期タイミングを示す単一のタイミング基準を作り出すように、前記複数の基準ECG信号を併せて処理することと、
前記単一のタイミング基準を前記マッピングECG信号に適用することと、を含む方法。
(2) 前記基準ECG信号を併せて処理することが、前記基準ECG信号の中から信号品質判定基準を満たす2つ又は3つ以上の好ましいECG信号を選択すること、及び前記選択された好ましいECG信号から前記単一のタイミング基準を導き出すこと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記ECG基準信号を処理することが、等価のECG関数を作り出すために前記基準ECG信号のうちの2つ又は3つ以上を組み合わせること、及び前記等価のECG関数から前記単一のタイミング基準を導き出すこと、を含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記単一のタイミング基準を導き出すことが、適応閾値を前記等価のECG関数に適用することを含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記単一のタイミング基準を導き出すことが、前記等価のECG関数の1次モーメントを計算すること、を含む、実施態様3に記載の方法。
【0095】
(6) 前記ECG基準信号を処理することが、前記基準ECG信号のうちの2つ又は3つ以上に対して2つ又は3つ以上のタイミング基準をそれぞれ計算すること、及び前記2つ又は3つ以上のタイミング基準から前記単一のタイミング基準を導き出すことを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記単一のタイミング基準を導き出すことが、前記2つ又は3つ以上のタイミング基準を平均することを含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記2つ又は3つ以上のタイミング基準を平均することが、前記それぞれの基準ECG信号のそれぞれの最大振幅に応じて前記2つ又は3つ以上のタイミング基準の加重平均を算出することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記基準ECG信号を併せて処理することが、前記基準ECG信号のうちの1つで失われたピーク(missing peak)を検知すること、及び前記単一のタイミング基準の計算で前記失われたピークを補完すること、を含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記基準ECG信号を併せて処理することが、前記基準ECG信号の心房性ECG特性と心室性ECG特性とを区別することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0096】
(11) 装置であって、
インターフェースであり、患者の心臓の表面に接続されたそれぞれのマッピング電極から複数のマッピング心電図(ECG)信号を受信するように、及び前記患者に接続されたそれぞれの基準電極から複数の基準ECG信号を受信するように構成される、インターフェースと、
プロセッサであり、前記心臓の心臓周期タイミングを示す単一のタイミング基準を作り出すために前記複数の基準ECG信号を併せて処理するように、及び前記単一のタイミング基準を前記マッピングECG信号に適用するように構成される、プロセッサと、を備える装置。
(12) 前記プロセッサが、前記基準ECG信号の中から信号品質判定基準を満たす2つ又は3つ以上の好ましいECG信号を選択すること、及び前記選択された好ましいECG信号から前記単一のタイミング基準を導き出すことによって、前記基準ECG信号を併せて処理するように構成される、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記プロセッサが、等価のECG関数を作り出すために前記基準ECG信号のうちの2つ又は3つ以上を組み合わせること、及び前記等価のECG関数から前記単一のタイミング基準を導き出すことによって、前記基準ECG信号を併せて処理するように構成される、実施態様11に記載の装置。
(14) 前記プロセッサが、適応閾値を前記等価のECG関数に適用することによって、前記単一のタイミング基準を導き出すように構成される、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記プロセッサが、前記等価のECG関数の1次モーメントを計算することによって、前記単一のタイミング基準を導き出すように構成される、実施態様13に記載の装置。
【0097】
(16) 前記プロセッサが、前記基準ECG信号のうちの2つ又は3つ以上に対して2つ又は3つ以上のタイミング基準をそれぞれ計算すること、及び前記2つ又は3つ以上のタイミング基準から前記単一のタイミング基準を導き出すことによって、前記基準ECG信号を併せて処理するように構成される、実施態様11に記載の装置。
(17) 前記プロセッサが、前記2つ又は3つ以上のタイミング基準を平均することによって、前記単一のタイミング基準を導き出すように構成される、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記プロセッサが、前記それぞれの基準ECG信号のそれぞれの最大振幅に応じて前記2つ又は3つ以上のタイミング基準の加重平均を算出することによって、前記2つ又は3つ以上のタイミング基準を平均するように構成される、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記プロセッサが、前記基準ECG信号のうちの1つで失われたピークを検知すること、及び前記単一のタイミング基準の計算で前記失われたピークを補完することによって、前記基準ECG信号を併せて処理するように構成される、実施態様11に記載の装置。
(20) 前記プロセッサが、前記基準ECG信号の心房性ECG特性と心室性ECG特性とを区別することによって、前記基準ECG信号を併せて処理するように構成される、実施態様11に記載の装置。