特許第6559483号(P6559483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559483半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559483
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】半導体モジュールおよび半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/607 20060101AFI20190805BHJP
   H01L 25/04 20140101ALI20190805BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H01L21/607 A
   H01L25/04 Z
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-134255(P2015-134255)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2016-18993(P2016-18993A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2018年6月8日
(31)【優先権主張番号】14175716.1
(32)【優先日】2014年7月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502236817
【氏名又は名称】アーベーベー・シュヴァイツ・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ハートマン
(72)【発明者】
【氏名】ダビド・ギヨン
(72)【発明者】
【氏名】ダビド・ハジャス
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・トゥート
【審査官】 平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−055943(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102010005043(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/607
H01L 25/04
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体モジュール(10)であって、
台板(12)と、
少なくとも一方側に金属被覆部(28)を有し、少なくとも1つの半導体チップ(24)を担持する、前記台板(12)上の基板(14)と、
前記台板(12)に取り付けられ、前記基板(14)を少なくとも部分的に囲い込むハウジング(16)と、
一方の端部が前記ハウジング(16)から突出し、他方の端部に端子足部(36)を有し、前記端子足部(36)が超音波溶接によって前記金属被覆部(28)の端子パッド(38)上に取り付けられる、少なくとも1つの端子(34)とを備え、
前記ハウジング(16)は保護壁(42)を有し、前記保護壁(42)は、前記端子(34)を囲い込み、前記ハウジング(16)の内部空間(22)を非保護領域(46)および保護領域(44)に分割し、前記保護領域(44)は流体を中に入れるための入口開口(52)を有し、
前記保護壁(42)は、前記基板(14)と前記保護壁(42)との間に隙間(48)が形成される態様で形成され、隙間(48)は、前記端子パッド(38)に対する前記端子足部(36)の超音波溶接時において作り出される粒子が前記非保護領域(46)から前記保護領域(44)内へ入り込むことを防止する態様で流体の流れ(60)を担持するように設計される、半導体モジュール(10)。
【請求項2】
前記入口開口(52)は、前記保護領域(44)内へ開き、この入口開口(52)を通って流体が前記保護領域(44)内に吹き込まれ得る、請求項1に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項3】
前記入口開口(52)はハウジング挿入物(54)によって閉じられる、請求項2に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項4】
前記ハウジング(16)は出口開口(40)を有し、前記出口開口(40)は、前記保護壁(42)によって形成されるチャネル(50)によって、前記非保護領域(46)内へ、および/または前記端子足部(36)へ導かれる、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項5】
前記出口開口(40)は、ハウジング挿入物(54)によって閉じられる、請求項4に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項6】
前記端子(34)は前記出口開口(40)から突出する、請求項4または5に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項7】
前記ハウジング(16)は、入口開口(52)から完全に離して前記保護領域(44)を囲い込む、請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項8】
前記ハウジング(16)は、前記ハウジング(16)の側壁(18)によって前記台板(12)に対して固定される蓋板(20)を有し、
前記保護壁(42)は、前記蓋板(20)に接続され、前記ハウジング(16)の前記内部空間(22)内へ突出する、請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項9】
出口開口(40)および/または入口開口(52)は、前記蓋板(20)に設けられる、請求項8に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項10】
半導体チップ(24)、および/または金属被覆部(28)のない前記基板(14)の露出領域(30)は、前記保護領域(44)内に配置される、請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項11】
前記隙間(48)は、前記端子足部(36)の0.2倍から4倍の厚さを有する、または、
前記隙間(48)は、前記端子足部(36)の0.4倍から2倍の厚さを有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項12】
2つ以上の端子(34)が前記保護壁(42)によって囲まれる、請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項13】
前記端子(34)は、前記ハウジング(16)から突出する前記端部において離れる方向に角度付けされ、前記ハウジング(16)まわりに到達する、請求項1から12のいずれか1項に記載の半導体モジュール(10)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の半導体モジュール(10)を製造する方法であって、
台板(12)と、前記台板(12)上の基板(14)と、前記台板(12)に取り付けられるハウジング(16)とを有する半導体モジュール(10)を設けるステップと、
前記ハウジング(16)の保護壁(42)によって囲まれる前記基板(14)の端子パッド(38)上に端子(34)の端子足部(36)を配置するステップとを備え、前記保護壁(42)は、前記ハウジング(16)の内部空間(22)を非保護領域(46)および保護領域(44)に分割し、方法はさらに、
前記端子足部(36)上にソノトロード(58)を配置し、前記端子足部(36)を前記基板(14)に対して超音波溶接するステップと、
超音波溶接時に作り出される粒子が前記非保護領域(46)から前記保護領域(44)内へ通過することを防止するように、前記保護壁(42)と前記基板(14)との間の隙間(48)において前記保護領域(44)から前記非保護領域(46)内への流体の流れ(60)を作り出すステップとを備える、方法。
【請求項15】
前記流体の流れ(60)は、流体を前記保護領域(44)内へ吹き込むことによって作り出される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、半導体モジュール、および半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ハウジングに加え、半導体モジュールは、半導体チップが取り付けられる金属化基板(たとえば、セラミックからなる)と、半導体モジュールもしくはそのチップをさらなる構成部品に電気的に接続することが可能な電気端子とを含み得る。通常は銅から製造されるこれらの端子は、たとえば、超音波溶接によって基板の金属層に接続され得る。
【0003】
銅端子を基板に超音波溶接する際において、粒子が作り出され得て、たとえば半導体チップの接触子または絶縁セラミック上など、モジュール内の臨界点にこの粒子が残った場合に問題が生じ得る。
【0004】
これらの粒子は、たとえばポリイミドなどのポリマー材料に付着し続ける傾向があることから、溶接作業の後にモジュールから粒子を取り除くことは困難となり得る。
【0005】
好適なハウジングによって端子の足部まわりの領域に粒子を囲い込むことは可能であるが、このために囲い込み構造を配置することができるようにするには、金属化端子溶接点が非常に大きくなるように設計しなければならない。囲い込み構造が絶縁セラミック上に配置されると、絶縁効果が減少し得る。さらに、動くプラスチック部品によって、周囲のシリコーンゲルが金属およびセラミックから引き剥がされ得て、絶縁が損なわれ得る。
【0006】
国際公開第2014/000975号A1は、たとえば、端子要素を電子部品の基板に対して超音波溶接する方法を開示しており、ここで溶接点は、溶接作業時に作り出され得る粒子による基板の汚れを防止することを意図した構造によって囲い込まれる。
【0007】
また、日本特許出願公開第2010−040615号A2は、超音波溶接時に作り出される粒子による半導体装置の汚れを防止することを意図している。この目的のために、溶接点まわりにプラスチックが加えられる。
【0008】
発泡材内で超音波溶接を行うことも提案されており、これにより、作り出された粒子を発泡材とともに溶接後に洗い流すことが可能である。通常、これは費用のかかる製造方法となる。
【0009】
米国特許第4,970,618号は、超音波溶接されたハウジングを有するコンピュータディスクを開示している。このハウジングは、超音波溶接時に作り出される粒子がディスクに到達できないよう防止するために、磁気ディスクの回転時に気流を制御する部分を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、フェールセーフであり、信頼性が高く、低コストな半導体モジュールを提供することにある。
【0011】
この目的は、独立請求項の主題によって実現される。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項および以下の記載によって提供される。
【0012】
本発明の一局面は、半導体モジュールに関する。半導体モジュールは、たとえば、複数のトランス、ダイオード、および/またはサイリスタを含むブリッジ回路を担持し得る。これらは、1つ以上の半導体チップ上に設けられる。特に、半導体モジュールは、10Aおよび/または1000Vを超える電流および電圧を扱うように設計された高出力半導体を含み得る。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、半導体モジュールは、台板(たとえば、銅またはAlSiからなる)と、少なくとも一方側に金属被覆部(たとえば、銅からなる)を有し、少なくとも1つの半導体チップを担持する、台板上の基板と、台板に取り付けられ、基板を少なくとも部分的に囲い込むハウジング(たとえば、プラスチックからなる)と、一方の端部がハウジングから突出し、他方の端部に端子足部を有し、端子足部が超音波溶接によって金属被覆部の端子パッド上に取り付けられる、少なくとも1つの端子(たとえば、銅からなる)とを含む。
【0014】
ハウジングは保護壁を有し、保護壁は、端子足部まわりで端子を囲み、ハウジングの内部空間を非保護領域および保護領域に分割する。保護壁は、基板と保護壁との間に隙間が形成される態様で形成され、隙間は、端子パッドに対する端子足部の超音波溶接時に作り出される粒子が非保護領域から保護領域内へ入り込むことを防止する態様で流体の流れ(たとえば、気流)を担持するよう設計される。
【0015】
半導体モジュールのハウジングは、結果として、超音波溶接時にモジュールの保護領域と非保護領域との間に連続的な気流を作り出すことができる態様で構成される。この方法により、粒子は保護領域に到達することができない。さらに、粒子は、気流によって半導体モジュールから吹き出され得る。ハウジング内に粒子が残らないことから、半導体モジュールの故障率は低い。
【0016】
要するに、ハウジングの保護壁は、ハウジングの内部空間において保護領域および非保護領域を分離し、保護壁は基板上に取り付けられないが明瞭な隙間もしくはスリットを残している。この方法により、保護壁は気流とともに、溶接時に作り出される粒子から保護領域を保護している。隙間により、保護壁は基板に取り付けなくてもよく、潜在的な金属被覆部の弱まりまたは絶縁の減少に関する問題が引き起こされない。保護壁は、溶接後にモジュール内に残り得る。
【0017】
なお、モジュールは、1つのみの保護領域または複数の保護領域を有し得ることを理解すべきである。同様に、モジュールは、1つのみの非保護領域または複数の非保護領域を有し得る。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、ハウジングは入口開口を有する。入口開口は、保護領域内へ開き、この入口開口を通って流体が保護領域内に吹き込まれ得る。保護領域は、流体を中に入れるための開口を有する。空気または他の気体(窒素、不活性ガス)を入口開口内へ吹き込ませるブロワ―の出口は、たとえば、超音波溶接時においてこの開口の上に配置され得る。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、入口開口はハウジング挿入物によって閉じられる。ハウジングは、プラスチックから一体に作られ、溶接の前に台板に接続され得る。溶接の後、入口開口は挿入物(プラグ)によって閉じられ得る。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、ハウジングは出口開口を有し、出口開口は、保護壁によって形成されるチャネルによって、非保護領域内へ、および/または端子足部へ導かれる。たとえば、出口開口における吸引によって流体の流れを作り出すことができる。非保護領域は、結果として、粒子を吹き出すための開口を有する。この開口は、端子が端子パッドに配置される開口、または端子がソノトロードを介して端子足部に配置される開口であってもよい。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、出口開口は、ハウジング挿入物によって閉じられる。両方の開口(出口開口および入口開口)は、追加のハウジング挿入物によって閉じられ得る。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、端子は出口開口から突出する。たとえば、端子は、ハウジングの外で電気的に結合され得る金属片から形成され得る。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、ハウジングは、入口開口から完全に離して保護領域を覆う、または入口開口から完全に離してこの領域を囲う。保護領域は、吹き出された粒子が落下して半導体モジュール内に再び戻ることを防止するためにハウジングによって実質的に覆われる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、ハウジングは、ハウジングの側壁によって台板に取り付けられる蓋板を有する。ハウジングは、結果として、箱の態様で基板を覆い得る。保護壁は、蓋板に接続され、ハウジングの内部空間内へ突出し得る。結果として、保護壁は、蓋板から端子パッドへ延在するチャネルを形成し得る。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、出口開口および/または入口開口は、蓋板に設けられる。これらの開口は、すべてモジュールの生産時において一方側から(上方から)アクセス可能である。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、半導体チップのすべて、および/または金属被覆部のない基板の露出領域のすべては、保護領域内に配置される。言い換えると、端子パッドのみが非保護領域内に配置され得る。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、隙間は、端子足部の0.2倍から4倍の厚さを有する。たとえば、隙間は、端子足部の0.4倍から2倍の厚さを有する。端子足部は、たとえば1mmから1.5mmの厚さを有し得る。この方法により、超音波溶接時に10m/sの速度に到達し得る粒子が隙間を通って入り込むことができないことを確実にする速度に隙間内の流体が達することを実現することができる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、2つ以上の端子が保護壁によって囲まれる。保護壁は、たとえば、長形の断面を有するチャネルを形成し得る。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、端子は、ハウジングから突出する端部において離れる方向に角度付けされ、ハウジングまわりに到達する。たとえば、端子足部および/または突出端部を形成するために、端子は、すでに溶接前に離れる方向への角度付けが一度以上なされた金属片から作られ得る。これにより、端子が既に最終形態にある状態で端子をモジュールに溶接することができる。
【0030】
本発明のさらなる局面は、上記および下記のような半導体モジュールの製造方法に関する。なお、上記および下記のような方法の特徴は、半導体モジュールの特徴でもあり得て、その逆もまた同じであることを理解すべきである。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、方法は、台板と、台板上の基板と、台板に取り付けられるハウジングとを有する半導体モジュールを設けるステップと、ハウジングの保護壁によって囲まれる基板の端子パッド上に端子の端子足部を配置するステップとを含み、ハウジングは端子足部まわりで端子を囲み、保護壁は、ハウジングの内部空間を非保護領域および保護領域に分割し、方法はさらに、端子足部上にソノトロードを配置し、端子足部を基板に対して超音波溶接するステップと、超音波溶接時に作り出される粒子が非保護領域から保護領域内へ通過することを防止するように、保護壁と基板との間の隙間において保護領域から非保護領域への流体の流れを作り出すステップとを含む。
【0032】
要するに、超音波溶接時において、隙間を通って流体の流れが作り出され、流体の流れは(保護壁とともに)、粒子が保護領域内に入り込むことを防止する。この方法により、ハウジングの残りの部分とともに保護壁を同時に作ることができ、溶接後に保護壁がモジュール内に残ることができるため、半導体モジュールの製造方法が相対的に安価となる。溶接時において、流体の流れの源を設けるだけでよい。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、流体の流れは、たとえばハウジングの入口開口を通るブロワ―を用いて、保護領域内へ流体を吹き込むことによって作り出され、非保護領域への隙間によって均等化された保護領域における高い圧力が作り出される。
【0034】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して以下に詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る半導体モジュールを示す概略断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る半導体モジュールを示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る半導体モジュールの製造方法を説明するために図1の断面図に流体の流れを付した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図面において使用される符号およびそれらの意味は、符号の一覧において要約して示される。原則的に、同一または同様の部品には、同じ符号が付される。
【0037】
例示的な実施形態の詳細な説明
図1は、台板12と、基板14と、台板12の側部に取り付けられるハウジング16とを有する半導体モジュール10を示す。ハウジング16は、ハウジング16を台板12に取り付ける側壁18と、側壁18および台板12とともに内部空間22を形成する蓋板20とを含み、基板14および基板14に取り付けられる半導体チップ24が内部空間22内に取り付けられる。
【0038】
基板14は、金属被覆部28を用いて両側にコーティングされるセラミック26のコアを有する。基板14は、金属被覆部28によって台板12に接続される。金属被覆部28は、反対側に構築され、セラミック26の領域が露出される。この側において、チップ24が金属被覆部28に接続される。チップ24は、たとえば結合線32によって金属被覆部28の他の領域に接続され得る。
【0039】
半導体モジュール10は、さらなる端子34を含む。端子34は、それぞれ足部36によって金属皮膜部28上の端子パッド38に対して溶接される。端子34は、ハウジング16から突出し、さらに蓋板20の開口40から突出し、たとえば、離れる方向に角度が付けられた銅片から作られ得る。
【0040】
開口40を囲い、ハウジングは、保護壁42を含む。保護壁42は、蓋板20から内部空間22内へ突出し、ほぼ端子パッド38まで到達する。保護壁42は、内部空間22または基板14の表面を保護領域44および非保護領域46に分割する。保護壁42と基板14との間には隙間48がある。隙間48は、保護領域44と非保護領域46との間での流体の交換を可能とする。
【0041】
各保護壁42は、内部空間22内にチャネル50を形成する。チャネル50は、隙間48によって内部空間22の残りの部分に接続されるのみである。非保護領域46は、実質的にチャネル50によって形成される。保護領域44は、内部空間22の残りの部分を囲い込み、チップ24、結合線32、および基板14の露出領域30を受ける。
【0042】
開口40は、半導体モジュール10の生産時において出口開口40として使用され、超音波溶接時に作り出された粒子がここから吹き出される。
【0043】
流体を吹き込むために、ハウジング16は、保護領域44に対して開いた入口開口52を蓋板20に有する。ひとたび端子34が基板14に対して溶接されると、開口40および/または開口52は、挿入物または閉止部54を用いて閉じられ得る。
【0044】
図2は、上記からの半導体モジュール10(たとえば、図1からのモジュール)を示す。複数の端子34を受けるために開口40およびチャネル50が長形の断面を有していることが分かる。
【0045】
図3は、溶接時における半導体モジュール10を示し、製造方法のこの段階を例示している。入口開口52の上には、ブロワ―56がある。ソノトロード58は、開口40の一方および関連するチャネル50へ下げられ、端子34の足部36上に配置される。
【0046】
方法の第1のステップにおいて、端子34のない半導体モジュールが設けられ、台板12、台板12上の基板14、および台板12に既に取り付けられたハウジング16を有している。
【0047】
その後、端子34は開口40を通ってチャネル50内に挿入され、端子足部36が基板14のそれぞれの端子パッド38上に配置される。
【0048】
ソノトロード58は、端子足部上に配置され、端子足部36は、基板14またはそれぞれの端子パッド38に対して溶接される。
【0049】
超音波溶接時において、1mmまでのサイズの銅粒子が作り出される。これらは、約10m/sの速度で飛び出す。
【0050】
同時に、流体の流れ60がブロワ―56によって作り出され、流体は開口52を通って保護領域44内へ吹き込まれる。正圧が作り出される結果、保護領域44から非保護領域46への隙間を通って圧力の均等化が起こり、超音波溶接時に作り出された粒子は、非保護領域46から保護領域44へ通過することが防止される。
【0051】
試験および理論上の研究では、数mm内の気流を伴う粒子を減速させるには粒子の速度の30倍に至る気流が必要であることが分かった。対応する気流速度は、気流を制限するために隙間48を使用することによって端子パッド38まわりで局所的に実現され得る。重力に対して半導体モジュール10から粒子を運び出すことを可能とするためには、約15m/sの気流速度が必要となり得る。
【0052】
流体の流れ60は、隙間48を通って高速で保護領域と非保護領域との間を流れる。溶接処理時に作り出される粒子は、流体の流れ60に対して隙間を通って保護領域44に到達することはできない。さらに、粒子は出口開口40を通って流体の流れ60によって外へ吹き出される。開口40,52は、閉止物または挿入物54によって端部において閉じられる。
【0053】
なお、「備える/含む(comprising)」は他の要素またはステップを排除するものではなく、「1つの(one)」または「不定冠詞(a(n))」は、2つ以上を排除するものではないことを加えて注記する。さらに、上記の例示的な実施形態の一つを参照して記載された特徴またはステップは、上記の他の例示的な実施形態の他の特徴またはステップと組み合わせて使用され得ることを注記する。請求項における符号は、限定とみなすべきではない。
【符号の説明】
【0054】
符号の一覧
10 半導体モジュール、12 台板、14 基板、16 ハウジング、18 側壁、20 蓋板、22 内部空間、24 半導体チップ、26 セラミック、28 金属被覆部、30 露出領域、32 結合線、34 端子、36 端子足部、38 端子パッド、40 出口開口、42 保護壁、44 保護領域、46 非保護領域、48 隙間、50 チャネル、52 入口開口、54 挿入物、56 ブロワー、58 ソノトロード、60 流体の流れ。
図1
図2
図3