(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強用金属線の各金属線と前記樹脂製ネットの各樹脂糸は、いずれもカテーテル本体の軸方向に対して45°〜89°であり、それぞれの角度差が10°以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカテーテル。
【背景技術】
【0002】
コイル体からなるカテーテル本体の遠位端にテーパ状の樹脂製チップが設けられて、高い柔軟性と優れたトルク伝達性が十分に発揮されると共に、カテーテル本体の遠位端部とチップの近位端部との間の境界部分での応力集中の発生が有利に防止され、しかも、かかる境界部分でのトルク伝達性が有利に高められ得るように改良されたカテーテルが提案されている。
【0003】
かかるカテーテルは、外周面と内周面とが外側樹脂層と内側樹脂層とにそれぞれ覆われた中空のコイル体を有するカテーテル本体の遠位端に、少なくとも遠位端側部分がテーパ部とされた樹脂製のチップを設けると共に、それらカテーテル本体とチップとに跨って、軸方向に延びる編組体を、該カテーテル本体と該チップのそれぞれの内部に埋設して構成されている(特許文献1)。
【0004】
かかるカテーテルは、確かに、カテーテル本体の遠位端部とチップの近位端部との間の境界部分での応力集中の発生が有利に防止され、しかもかかる境界部分でのトルク伝達性が有利に高められ得る点で効果的な発明である。
【0005】
しかし、カテーテルにおいては、補強用の金属の網組体を有するカテーテル本体の先端に、柔軟性等を確保するため、異なる材料からなる先端部を取り付けるタイプのカテーテルが多く存在する。このようなカテーテルでは、強化されている網組体との境界で応力が集中して破断したり、ちぎれたりする可能性がある。また、網組体の先端に金属製のマーカー等が取り付けられることが多いが、こうしたカテーテルでは、先端が破断したりするとマーカーが脱落する可能性も拭い切れない。そこで、こうした危険を事前に防止する処置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、先端部とカテーテル本体との境界に応力が集中したとしても、先端部とカテーテル本体との引っ張り強度を確保することができ、破断したり、ちぎれたりすることを防止し、同時に、マーカー等の脱落をも防止することができるカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0009】
本発明のカテーテルは、内側樹脂層と、前記内側樹脂層の外周に配置された補強用金属線と、前記補強用金属線の外周に配置された外側樹脂層と、を有するカテーテル本体と、
前記カテーテル本体の遠位端側であって、前記内側樹脂層と、前記内側樹脂層の外周に配置された補強用金属線と、前記補強用金属線の外周の少なくとも一部に配置された樹脂製ネットと、前記樹脂製ネットの外周に配置された先端部外側樹脂層と、を有する中位部と、
前記中位部の遠位側であって、前記内側樹脂層と、前記内側樹脂層の外周に配置された前記樹脂製ネットと、前記樹脂製ネットの外周に配置された前記先端部外側樹脂層と、を有する先端部と、
備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明のカテーテルによれば、樹脂製ネットが補強用金属線を有する部分と補強用金属線を有しない部分とに跨って配置されているので、カテーテルの使用時にこれらの境界に応力が集中したとしても樹脂製ネットによって引っ張り強度が確保されているので、補強用金属線を有する部分と補強用金属線を有しない部分との境界で破断することを防止することができる。また、樹脂製ネットを外周の一部にのみ設けた場合には、樹脂製ネットが存在する側と存在しない側とで曲げるのに必要な力を異なるものとすることができる。これにより、先端部の曲げる方向によって曲げ剛性が異なるように作製することができる。
【0011】
また、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記樹脂製ネットは筒状に形成されていることを特徴とするものであってもよい。筒状の樹脂製ネットを採用することによって、樹脂製ネットの両端を引っ張って長さを変更すれば、筒の直径を容易に変更することができる。従って、補強用金属線を有する部分と補強用金属線を有しない部分とで直径の大きさが異なっていてもそれぞれの直径に対応するようにフィットさせて取り付けることができる。
【0012】
また、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記補強用金属線の各金属線と前記樹脂製ネットの各樹脂糸は、いずれもカテーテル本体の軸方向に対して45°〜89°であり、それぞれの角度差が10°以内であることを特徴とするものであってもよい。補強用金属線の各金属線と樹脂製ネットの各樹脂糸との編み角度(それぞれの各金属線、各樹脂糸が軸方向に対してなす角度)を近くすることで、樹脂製ネットが金属線に引っかかりやすくなり、本体と樹脂製ネットとを強く固着させることができる。また、金属線との重なり部分が少なくなるため、カテーテルの中位部及び先端部が全体として太くなることを防止できる。
【0013】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記樹脂製ネットの外周にさらに前記補強用金属線を備えていることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、樹脂製ネットを金属線の層で挟む形になるため、より強固に樹脂製ネットと補強用金属線を固定させることができ、補強用金属線を有する部分と補強用金属線を有しない部分とでちぎれる虞をさらに防止することができる。
【0014】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記樹脂製ネットは、ネット部分を構成する樹脂糸が接着剤でコーティングしてあることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、内周樹脂層や外側樹脂層とも接着によって強力に固定することができる。特に、加工する前においても粘着性を有する接着剤を使用することによって、樹脂製ネットの長さを一時的に固定することができるので、作製時に樹脂製ネットをカテーテル本体に取り付けやすくすることができる。
【0015】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記先端部は、前記樹脂製ネットの内周側にX線用のマーカーを備えたことを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、マーカーが樹脂製ネットに囲まれているので、もし仮に先端部が破断したとしてもマーカーが脱落することを防止することができる。
【0016】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記先端部は、第2補強用金属線を備えたことを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、先端部の強度をさらに向上させることができる。
【0017】
さらに、本発明にかかるカテーテルにおいて、前記第2補強用金属線は、コイルマーカーであることを特徴とするものであってもよい。これによって、先端部の位置をX線で確認しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるカテーテルによれば、先端部とカテーテル本体との境界に応力が集中したとしても、先端部とカテーテル本体との引っ張り強度を確保することができ、破断したりやちぎれたりすることを防止することができるカテーテルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかるカテーテル100について、図面に沿って詳細に説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかるカテーテル器具110の側面概略図であり、
図2は、
図1のA−A部の拡大側面概略図である。
【0022】
実施形態にかかるカテーテル器具110は、
図1に示すように、カテーテル100と手元操作部200とを備えており、カテーテル100は、カテーテル本体10、このカテーテル本体10の遠位端側に設けられた中位部40及び先端部50とを備えている。
【0023】
カテーテル本体10は、遠位端側の中位部40及び先端部50を除き、
図2に示すように、中空の内側樹脂層11と、内側樹脂層11の外周に配置された補強用金属線12と、この補強用金属線12の外周側に配置される外側樹脂層13とを備えている。
【0024】
内側樹脂層11は、
図2に示すように、最も内側に配置され、中心にコアルーメン19を有するチューブ状の部材である。コアルーメン19は、カテーテル100の使用用途に応じてガイドワイヤ(図示しない。)を通したり、薬液を注入したりするために使用される。内側樹脂層11の素材は特に限定するものではないが、例えば、ガイドワイヤを通すのに使用される場合であれば、ガイドワイヤとの摺動性が高いポリテトラフルオロエチレン等を使用するとよい。また、内側樹脂層11は、必ずしも1層の樹脂層でなくてはならないものではなく、例えば、内周側には薬液や血液等の液体に強い素材を使用し、外周側には周囲に配置される補強用金属線12との密着性や相溶性の高い素材を使用するといったように二層構造に形成してもよい。なお、この内側樹脂層11は、後述するように中位部40及び先端部50の両方にも連続して配置されている。
【0025】
補強用金属線12は、内側樹脂層11の外周側に配置されて、カテーテル100に強度を付与したり、トルク伝達性を向上させたりするために設けられるものである。補強用金属線12の構造としては、金属線を内側樹脂層11の外周に螺旋状に巻回した形態、メッシュ状に編んだ形態、メッシュ状に織った形態等がある。この補強用金属線12の太さは、特に限定するものではないが、好適には10μm〜100μm程度のものを使用するとよい。また、補強用金属線12は、断面が円形のものに限定するものではなく、平線を使用したものであってもよい。
【0026】
補強用金属線12を構成する金属材料の種類は、特に限定するものではない。好適には、例えばタングステン、プラチナ、チタン又はステンレス等が用いられる。タングステンは、X線による視認性が高く、かつ安価であるので、より好適に使用することができる。
【0027】
外側樹脂層13は、カテーテル本体10の最外層を構成する。カテーテル本体10の内部を保護し、補強用金属線12が外部に露出することを防止するとともに、成形時に溶融して補強用金属線12と一体化してこれらの位置を固定する機能を有する。外側樹脂層13の樹脂材料は、特に限定されるものではない。適度な柔軟性を有し、外部を保護可能な樹脂であればよい。好適には、ポリアミド等を使用することができる。
【0028】
中位部40は、カテーテル本体10の遠位側に設けられており、中空の内側樹脂層11と、内側樹脂層11の外周に配置された補強用金属線12と、この補強用金属線12の外周側に配置される樹脂製ネット30と、この樹脂製ネット30の外周に配置される先端部外側樹脂層51とを備えている。
【0029】
内側樹脂層11は、カテーテル本体10の内側樹脂層11と同一であるので説明を省略する。また、補強用金属線12もカテーテル本体10の補強用金属線12と同様であるので、説明を省略する。
【0030】
樹脂製ネット30は、1μm〜100μm程度の糸状の樹脂を網組によってネット状に形成されている。樹脂製ネット30の材料としては、先端部外側樹脂層51の素材よりも融点の高い樹脂を使用することが望ましい。これは、外側樹脂層13を高温で成形する際に、樹脂製ネット30が溶解してしまうとネットとして機能しなくなってしまうからである。例えば、ポリエステル樹脂やPET樹脂等が好適に使用することができる。
【0031】
先端部外側樹脂層51は、カテーテル100の遠位端側の最外層を構成する樹脂層であり、成形時に溶融して補強用金属線12及び樹脂製ネット30と一体化してこれらの位置を固定する機能及び中位部40の外周を保護する機能を有する。また、先端部外側樹脂層51にカテーテル本体10の外側樹脂層13よりも柔軟な材料を使用したり、逆に硬い樹脂を使用したりすることで、カテーテル本体10と異なる柔軟性を有する中位部40及び先端部50とすることができる。
【0032】
先端部50は、内側樹脂層11と、内側樹脂層11の外周側に配置される樹脂製ネット30と、樹脂製ネット30の外周に配置される先端部外側樹脂層51と、を備えている。
【0033】
内側樹脂層11はカテーテル本体10の内側樹脂層11と共通であり、連続した一体成形物である。また、樹脂製ネット30及び先端部外側樹脂層51は中位部40の樹脂製ネット30及び先端部外側樹脂層51と共通であり連続した一体成形物である。なお、樹脂製ネット30は、先端部50全体に設けられていても良いし、遠位端に設けられていない部分を設けても良い。すなわち、中位部40と先端部50の境界に設けられてさえいればよい。
【0034】
先端部外側樹脂層51は、補強用金属線12や後述する樹脂製ネット30が外部に露出することを防止するとともに、成形時に溶融してこれらと一体化してこれらの位置を固定する機能を有する。
【0035】
本発明にかかるカテーテル100は、補強用金属線12が配置されている中位部40と補強用金属線12が配置されていない先端部50とを跨ぐように、樹脂製ネット30が配置されている。すなわち、中位部40では、補強用金属線12の外周側であって先端部外側樹脂層51の内周側に樹脂製ネット30が配置されており、先端部50では、内側樹脂層11と先端部外側樹脂層51の間に樹脂製ネット30が配置されることになる。こうした構造を採用することで、中位部40と先端部50との境界、すなわち、補強用金属線12がある部位とない部位との境界における引っ張り強度及びねじれ強度を強くすることができる。また、樹脂製ネット30が補強用金属線12の外周側に配置されていることから、中位部40と先端部50との間に応力が集中することを低減することができ、境界部で先端部外側樹脂層51の外周側が破断することを防止することができる。
【0036】
次に、以上のように構成されるカテーテル100の作製方法について説明する。まず、
図3Aに示すように、内側樹脂層11、補強用金属線12及び外側樹脂層13を有するカテーテル用チューブ130を用意する。そして、先端部50及び中位部40を構成する部分の外側樹脂層13を溶剤によって溶解し、次に、先端部50を構成する部分の補強用金属線12を溶剤によって溶解して除去する(
図3B参照)。なお、除去する方法は溶解に限定するものではなく、物理的に除去しても構わない。次に、
図4Aに示すように、樹脂製ネット30を中位部40及び先端部50の両方に跨るように被せる。
図4Bに示すように、一枚の樹脂製ネット30を巻き付けながら端部を合わせるか、若しくは重ね合わせた状態で、
図5に示すように、先端部50に先端部外側樹脂層51を形成するための樹脂製チューブ51aを取り付ける。この状態で熱加工により成形することによって、先端部外側樹脂層51は溶融し、先端部外側樹脂層51より高い融点を有する樹脂で作製された樹脂製ネット30は溶解されることなく、先端部外側樹脂層51内に樹脂製ネット30が入り込んだ状態で樹脂が硬化し、先端部外側樹脂層51内に樹脂製ネット30が固定され、カテーテル100が完成する(
図2参照)。
【0037】
こうして作製されたカテーテル100は、樹脂製ネット30の間に先端部外側樹脂層51の樹脂が入り込んでいるため、これらが確実に固着し、外れにくくされている。さらに中位部40と先端部50に跨って樹脂製ネット30が設けられているため、それぞれの接続部の強度が向上し、かつ引張強度を向上させることができる。そのため、補強用金属線12の先端において応力が集中したとしても破断することを防止することができる。また、先端部50には、補強用金属線12が設けられていないうえ、樹脂製ネット30は合成樹脂製であるので、先端部50の柔軟性を確保することができる。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態にかかるカテーテル100が、
図6に示されている。第2実施形態にかかるカテーテル100は、樹脂製ネット30が中位部40及び先端部50の周囲全周ではなく、隙間を有するように一部設けられてない側面を有する点が異なる。それ以外の点は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0039】
第2実施形態にかかるカテーテル100のように樹脂製ネット30を設けることによって、樹脂製ネット30を有する部分と有しない部分とで曲げる方向によって曲げ剛性に差を設けることができる。すなわち、曲がりづらい方向(
図6中の奥側)と曲がりやすい方向(
図6中の手前側)を設けることができる。
【0040】
(第3実施形態)
第3実施形態にかかるカテーテル100が
図7に示されている。第3実施形態にかかるカテーテル100は、第1実施形態にかかるカテーテル100に対し、
図7Bに示すように、樹脂製ネット30がはじめから円筒形に形成されている点が異なる。それ以外の点は、第1実施形態と同様である。
【0041】
円筒形の樹脂製ネット30を使用した場合には、
図8Aに示すように、樹脂製ネット30を遠位端側から中位部40及び先端部50の両方に跨るように被せる。そして、この状態から
図8Bに示すように、樹脂製ネット30の端部を樹脂製ネット30の全長が長くなるように引っ張る。これにより樹脂製ネット30の内径が短くなり、中位部40の外径及び先端部50の外径と同様の長さの内径に樹脂製ネット30を調整することができ、樹脂製ネット30を中位部40及び先端部50の外周にぴったりと被せることができる。この際に、カテーテル本体10と先端部50の直径がそれぞれ異なっていても、樹脂製ネット30のそれぞれの部位の引っ張り具合を調整することによって、樹脂製ネット30の直径は部位によって太さを変更することができるので、いずれの部位にもぴったりと被せることができる。
【0042】
かかる第3実施形態にかかるカテーテルによれば、筒状に形成された樹脂製ネット30を使用することによって、捻られたり、引っ張られたりすると円筒形をしている樹脂製ネット30の直径が小さくなるように締まるため、使用時の捻りや引っ張りによって、さらに内側樹脂層11又は補強用金属線12を締め込むことになる。そのため、使用時の捻りや引っ張りによって接合部の強度が高まるようにすることができる。
【0043】
また、第3実施形態のように、あらかじめ筒状に作製された樹脂製ネット30を使用することで、接続対象の径、材質、形状、表面状態等にかかわらず、取り付けることができる。例えば、中位部40と先端部50の直径が異なっていたり、材質が別部材等であったりしても問題なく作製することができる。また、樹脂製ネット30は、固定する際に長手方向の引っ張り具合を調整することによって、カテーテル先端の曲げ剛性を調整することができる。すなわち、筒状のネット状の樹脂製ネット30は、より引っ張った状態(長く、直径が短い状態)で取り付けることによって曲げ剛性の強い、つまり曲がりづらい先端部50とすることができ、あまり引っ張らない状態で取り付けることによって曲げ剛性の弱い、つまり曲がり易い先端部50とすることができる。
【0044】
(第4実施形態)
第4実施形態にかかるカテーテル100が
図9に示されている。第4実施形態にかかるカテーテル100は、前記補強用金属線の各金属線と前記樹脂製ネットの各樹脂糸の編み状態をほぼ同様に形成されているものである。その他の点は第1実施形態と同様である。
前記補強用金属線の各金属線と前記樹脂製ネットの各樹脂糸は、いずれもカテーテル本体の軸方向に対して45°〜89°であり、それぞれの角度差が10°以内に形成することが好ましい。かかる構成を採用することによって、樹脂製ネット30が金属線にひっ借りやすく、樹脂製ネット30を中位部40又は先端部50に強く固着することができる。また、金属線との重なり部分が少なくなるため、樹脂製ネット30を被覆した場合であっても、中位部40及び先端部50が太くなることを低減させることができる。
【0045】
なお、本発明は上述した各実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲
に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0046】
上述した実施形態では、カテーテル100の先端部50は、カテーテル本体10と同じ直径で同じ太さのものを使用したが、これに限定するものではなく、
図10Aに示すように、先端が細くなっているものであってもよい。この際に、遠位端に向かうに従って先端部外側樹脂層51の厚さを薄くなるように形成すれば、先端にいくほど柔軟になる先端部50とすることができる。
【0047】
また、上述した実施形態においては、先端部50には、内側樹脂層11、樹脂製ネット30、先端部外側樹脂層51を有するものとしたが、
図10Bに示すように、X線透視下で視認可能なマーカー80を樹脂製ネット30の内周側に設けても良い。樹脂製ネット30の内周に設けることによって、もし仮に先端部50のいずれかで破損等が発生したとしてもマーカー80は樹脂製ネット30に固定されているので、マーカー80が脱落することを防止することができる。
【0048】
また、上述した実施形態においては、先端部50には、補強用金属線12は配置していないが、
図11Aに示すように、第2補強用金属線12aを設けても良い。第2補強用金属線12aは柔軟性の観点からコイル状に巻回することが好ましい。なお、この際に第2補強用金属線12a自体をコイルマーカーとして機能させてもよい。また、
図11Bに示すように、樹脂製ネット30が補強用金属線に挟まれるように配置したものであってもよい。かかる構成を採用することによって、樹脂を被覆しただけの状態より強力に固着することができる。
【0049】
また、上述した実施形態においては、樹脂製ネット30は、1μm〜100μm程度の糸状の樹脂を網組によって円筒形のネット状に形成されているものを使用したが、網状に成形された樹脂製ネット30を使用してもよいし、網組されたものを接着剤でコーティングしたり、熱で溶着したりしたものを使用してもよい。接着剤でコーティングした樹脂製ネット30を使用することで、より先端部外側樹脂層51との接着性が高くなり、より強固に樹脂製ネット30をカテーテル100に固定することができる。また、熱で溶着することによって、あらかじめ樹脂製ネット30の長手方向の引っ張り具合等を調整することができるため、先端部50の柔軟性等を調整することができるようになる。
【0050】
(実施例)
本発明にかかるカテーテルとして、20μmの合成樹脂糸からなる樹脂製ネットを有するカテーテル(実施例)と、樹脂製ネットを有しないカテーテル(比較例)を用意し、先端を把持して、試験速度100mm/min、つかみ具間距離10mmで引張試験を行った。
試験結果を
図12に示す。
図12は縦軸が引張強さ、横軸がストロークを示す。この結果によると、樹脂製ネットなしの場合、先端部の引張強さは1.75N、最大変位長が3.05mmであり、樹脂製ネットありの場合、先端部の引張強さは2.75N、最大変位長が3.14mmであった。なお、樹脂製ネットありの場合は、つかみ部で破断してしまったものであり、樹脂製ネット自体の破断はみられなかった。