特許第6559506号(P6559506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559506
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】便座及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/00 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   A47K13/00
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-168306(P2015-168306)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-42445(P2017-42445A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2017年11月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】濱島 彰高
(72)【発明者】
【氏名】森川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】香川 元輝
(72)【発明者】
【氏名】池田 利明
(72)【発明者】
【氏名】横井 龍一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 恒太
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 了介
【審査官】 中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−099275(JP,A)
【文献】 特開2011−025612(JP,A)
【文献】 特開2002−000509(JP,A)
【文献】 特開昭63−105724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座表部材と座裏部材とを接合して形成する便座の製造方法であって、
前記座表部材と前記座裏部材との接合部の処理面の形状が、前記接合部が延びる方向に直交する断面において、前記座表部材と前記座裏部材とに亘って連続して外側に凸となる曲線状に形成されるように、前記座表部材と前記座裏部材との接合部を、曲線状切削刃部分を有する切削工具で、前記曲線状切削刃部分が前記座表部材と前記座裏部材とに跨った状態で、前記座表部材及び前記座裏部材を切削することで前記処理面を形成する切削工程を備える便座の製造方法。
【請求項2】
前記座裏部材は、前記便座の裏面を構成する該座裏部材の座裏部から突出する凸部を有し、
前記曲線状切削刃部分は、前記切削工程時に、該曲線状切削刃部分の前記凸部側の端部が、前記凸部の前記処理面側の端部から10mm以上離間して配置されるように、形成される請求項1に記載の便座の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座表部材と座裏部材とを接合して形成する便座の製造方法において、座表部材と座裏部材とを溶着して接合部を形成した後に、接合部を切削し、ペーパー等で研磨して、処理面を形成する便座の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−99275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の便座の製造方法においては、接合部を切削する切削工程と切削部分を研磨する研磨工程との2つの工程で、座表部材と座裏部材との接合部を処理して処理面を形成するため、処理面を形成する作業工数が多くなりがちである。
また、特許文献1に記載の便座においては、座表部材と座裏部材との接合部の処理面は、使用者の手が接触する機会も多いため、滑らかな形状であることが望まれる。
よって、座表部材と座裏部材との接合部を処理する作業工数を低減できると共に、座表部材と座裏部材との接合部において滑らかな形状を有する便座及びその製造方法が望まれる。
【0005】
本発明は、座表部材と座裏部材との接合部を処理する作業工数を低減できると共に、座表部材と座裏部材との接合部において滑らかな形状を有する便座及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、座表部材と座裏部材とを接合して形成する便座の製造方法であって、前記座表部材と前記座裏部材との接合部の処理面の形状が、前記接合部が延びる方向に直交する断面において、前記座裏部材側が外側に凸となる曲線状に形成されるように、前記座表部材と前記座裏部材との接合部を、曲線状切削刃部分を有する切削工具で切削することで前記処理面を形成する切削工程を備える便座の製造方法に関する。
【0007】
前記切削工程は、前記座表部材と前記座裏部材との接合部の処理面の形状が、前記接合部が延びる方向に直交する断面において、前記座表部材側が直線状に形成されるように、前記座表部材と前記座裏部材との接合部を、直線状切削刃部分を有する切削工具で切削することで前記処理面を形成することが好ましい。
【0008】
また、前記座裏部材は、前記便座の裏面を構成する該座裏部材の座裏部から突出する凸部を有し、前記曲線状切削刃部分は、前記切削工程時に、該曲線状切削刃部分の前記凸部側の端部が、前記凸部の前記処理面側の端部から10mm以上離間して配置されるように、形成されることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、座表部材と、座裏部材と、前記座表部材と前記座裏部材との接合部と、を備える便座であって、前記座表部材と前記座裏部材との前記接合部の処理面の形状は、前記接合部が延びる方向に直交する断面において、前記座裏部材側が外側に凸となる曲線状に形成され、前記座表部材側が直線状に形成される便座に関する。
【0010】
また、前記座裏部材は、前記便座の裏面を構成する該座裏部材の座裏部から突出する凸部を有し、前記処理面の前記座裏部材側の端部と前記凸部の前記処理面側の端部とは、10mm以上離間することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、座表部材と座裏部材との接合部を処理する作業工数を低減できると共に、座表部材と座裏部材との接合部において滑らかな形状を有する便座及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る便座1を含む便座装置100を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る便座1を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る便座1を座裏部22側から視た図である。
図4】本発明の一実施形態に係る便座1を示す側面図である。
図5】本実施形態の便座1の座表部材5と座裏部材6とが組み合わされる前の状態を示す斜視図である。
図6】座表部材5と座裏部材6とが接合された接合部30を切削する切削工具70を説明する図である。
図7】便座1の切削工程を示す図であり、接合部30が延びる方向に直交する方向の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の便座1を含む便座装置100の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態においては、便座装置100を正面から視た場合(便座装置100に対面した場合)における左右の向きを左右方向といい、便座装置100を正面から視た場合(便座装置100に対面した場合)における前後の向きを前後方向という。また、本実施形態においては、便座1について、便器3の上部に水平に配置された場合において、一対のヒンジ部12側を後方ともいい、一対のヒンジ部12と反対側を前方ともいう。
【0014】
本実施形態の便座装置100は、図1に示すように、便座1と、便蓋2と、便器3と、機能部4と、を備える。便座1及び便蓋2は、便器3の上部に、便器3に対して開閉可能に取り付けられる。本実施形態においては、便座1及び便蓋2は、それぞれ、電動モータ(図示せず)の回動軸部材(図示せず)に取り付けられ、電動モータ(図示せず)を駆動することで回動可能に構成される。
【0015】
機能部4は、便器3の後部の上部に配置される。機能部4は、洗浄タンク(図示せず)やホース(図示せず)や電動モータ(図示せず)等の機能部材(図示せず)と、機能部材を覆うカバー部材41と、を有する。
【0016】
便座1は、便器3の上部に配置される。便座1は、図1図4に示すように、便座本体11と、一対のヒンジ部12と、一対の第1脚部13(凸部)と、一対の第2脚部14(凸部)と、を備える。
便座本体11は、中央部に開口111が形成された長円形状に形成される。便座本体11の後方側の両端部からは、一対のヒンジ部12が後方に延びている。便座本体11は、図2に示すように、座表部21と、座裏部22と、を有する。座表部21は、便座1の上面(表面)側を構成する。座裏部22は、便座1の下面(裏面)側を構成する。
【0017】
一対のヒンジ部12は、図2図4に示すように、便座1の後方の端部側に配置され、便座本体11の後方側の両端部から、便座1の後方に延びるように形成される。一対のヒンジ部12は、カバー部材41に回動可能に取り付けられる。
ヒンジ部12は、図4に示すように、側面視において、上部直線状部121と、下部線状部122と、を有する。
【0018】
上部直線状部121は、便座装置100を側方から視た場合において、ヒンジ部12の上部において、便座本体11の後方側の端部から、便座本体11の上部とのなす角度が鈍角となるように上り傾斜の傾斜角度で、直線状に延びる。
【0019】
下部線状部122は、便座装置100を側方から視た場合において、ヒンジ部12の下部において、便座本体11の後方側の端部から、便座本体11の底部とのなす角度が鈍角となるように上り傾斜して延び、かつ、上方側に窪むように湾曲する部分を有する。
【0020】
下部線状部122は、第1下部直線状部122aと、下部湾曲部122bと、第2下部直線状部122cと、を有する。第1下部直線状部122a、下部湾曲部122b及び第2下部直線状部122cは、ヒンジ部12の下部における便座本体11側の端部から便座本体11とは反対側の端部までの間において、第1下部直線状部122a、下部湾曲部122b、第2下部直線状部122cの順に配置される。
【0021】
第1下部直線状部122aは、ヒンジ部12の下部において、便座本体11側の端部側において直線状に形成される。第1下部直線状部122aは、ヒンジ部12における便座本体11とは反対側の端部側に上るように傾斜する。第1下部直線状部122aは、便座本体11の後方側の端部から、便座本体11の底部とのなす角度が鈍角となる上り傾斜の傾斜角度で、直線状に延びる。
下部湾曲部122bは、便座装置100を側方から視た場合において、ヒンジ部12の下部において上方側に窪むように湾曲する。下部湾曲部122bは、第1下部直線状部122aの後方側の端部から、ヒンジ部12の下部において上方側に窪むように湾曲して延びる。
第2下部直線状部122cは、便座装置100を側方から視た場合において、便座本体11とは反対側の端部側において、直線状に形成される。第2下部直線状部122cは、ヒンジ部12における便座本体11とは反対側の端部側に上るように傾斜する。第2下部直線状部122cは、下部湾曲部122bの後方側の端部から、便座本体11の底部とのなす角度が第1下部直線状部122aの角度よりも小さい鈍角となる上り傾斜の傾斜角度で、直線状に延びる。
【0022】
一対の第1脚部13及び一対の第2脚部14は、図2図4に示すように、座裏部22に配置される。一対の第1脚部13及び一対の第2脚部14は、便座1が便器3の上部に配置された場合(図1参照)に、便器3に当接する脚部を構成する。
【0023】
第1脚部13は、座裏部22におけるヒンジ部12側に配置される。第1脚部13は、座裏部22から突出して形成される。第1脚部13は、座裏部22におけるヒンジ部12側に、座裏部22と一体的に形成される。第1脚部13は、所定の厚みで便座装置100の左右方向に所定長さ延びる。
【0024】
第1脚部13は、図3に示すように、便座1の端部から離間して配置される。
ここで、便座1は、図5に示すように、座表部材5と座裏部材6とを溶着により接合して形成される。便座1は、図2に示すように、座表部材5の縁部及び座裏部材6の縁部を溶着により接合して形成された接合部30を切削して処理した切削面80(処理面)を形成することで製造される。そのため、図3に示すように、切削面80の座裏部材6側の端部と、第1脚部13の切削面80側の端部とは、接合部30を切削する際に切削工具70(後述)に接触しないように、所定距離以上離間していることが好ましい。
【0025】
本実施形態においては、図3に示すように、第1脚部13については、便座1の外周縁側において、第1脚部13の切削面80側の端部は、切削面80の座裏部材6側の端部から第1距離L1離間して配置され、便座1の内周縁側において、第1脚部13の切削面80側の端部は、切削面80の座裏部材6側の端部から第2距離L2離間して配置される。第1距離L1及び第2距離L2は、接合部30を切削する際に切削工具70(後述)に接触しないように、それぞれ、例えば、10mm以上であることが好ましい。
【0026】
第2脚部14は、座裏部22におけるヒンジ部12と反対側に配置される。第2脚部14は、座裏部22から突出して形成される。第2脚部14は、台座部141(図2参照)と、ゴム足部142(図3参照)と、を有する。第2脚部14は、台座部141にゴム足部142が取り付けられることで構成される。第2脚部14は、台座部141にゴム足部142が取り付けられた状態において、座裏部22における前方側(ヒンジ部12と反対側)において、図3に示すように、所定の厚みで便座1の湾曲形状に沿って所定長さ延びる。
【0027】
本実施形態においては、図3に示すように、便座1の外周縁側において、第2脚部14においては、第2脚部14の切削面80側の端部は、切削面80の座裏部材6側の端部から第3距離L3離間して配置され、便座1の内周縁側において、第2脚部14の切削面80側の端部は、切削面80の座裏部材6側の端部から第4距離L4離間して配置される。第3距離L3及び第4距離L4は、接合部30を切削する際に切削工具70(後述)に接触しないように、前述の第1脚部13と同様に、それぞれ、例えば、10mm以上であることが好ましい。
【0028】
台座部141は、図2に示すように、座裏部22における前方側(ヒンジ部12と反対側)に、座裏部22と一体的に形成される。台座部141は、ゴム足部142の台座を構成し、ゴム足部142を取り付け可能である。台座部141は、便座1の湾曲形状に沿って、所定長さ延びる枠状に形成される。ゴム足部142は、台座部141に取り付け可能に、所定の厚みで所定長さ延びて形成される。
【0029】
以上の便座1は、ヒンジ部12に挿通される電動モータの回動軸部材(図示せず)等を介して機能部4に連結される。これにより、便座1は、機能部4に対して回動可能に取り付けられる。
【0030】
本実施形態では、便座1は、図5に示すように、座表部材5と座裏部材6とを溶着により接合して形成される。便座1は、図2に示すように、座表部材5の縁部及び座裏部材6の縁部を溶着により接合して形成された接合部30を切削することで製造される。本実施形態では、接合部30は、図2に示すように、便座1の内周縁に形成される内周縁接合部31と、便座1の外周縁に形成される外周縁接合部32と、ヒンジ部12の下部線状部122(図4参照)となるヒンジ下部接合部33と、である。本実施形態においては、図6に示すように、座表部材5及び座裏部材6は、略直交する角度で組み合わされ、座表部材5の縁部及び座裏部材6の縁部は、溶着により接合される。
【0031】
座表部材5は、図5に示すように、中央部に開口111が形成された長円形状に形成される。座表部材5は、前述の座表部21と、一対の座表側ヒンジ構成部51と、を有する。
座表部21は、開口111側にわずかに下り傾斜となった平面部211と、この平面部211の外縁から裏面側に湾曲又は屈曲して下方に延びる側面部212と、を備える。
【0032】
一対の座表側ヒンジ構成部51は、図5に示すように、座表部21の左右方向の両端部において、座表部21から座表部21の後方に延びるように形成される。座表側ヒンジ構成部51は、座表部材5の下部において、座表側ヒンジ下端部511が形成される。座表側ヒンジ下端部511は、座表部材5と座裏部材6とが接合した状態において、ヒンジ部12の前述の下部線状部122(図4参照)となる。
【0033】
座表側ヒンジ下端部511は、図5に示すように、座表側第1下部直線状部511aと、座表側下部湾曲部511bと、座表側第2下部直線状部511cと、を有する。座表側第1下部直線状部511a、座表側下部湾曲部511b及び座表側第2下部直線状部511cは、座表部21側からこの順に形成される。座表側第1下部直線状部511a、座表側下部湾曲部511b及び座表側第2下部直線状部511cは、座表部材5と座裏部材6とが接合した状態において、それぞれ、側面視において、前述の第1下部直線状部122a、前述の下部湾曲部122b及び前述の第2下部直線状部122c(図4参照)となる。
【0034】
座裏部材6は、図5に示すように、中央部に開口111が形成された長円形状に形成される。この座裏部材6は、前述の座裏部22と、一対の座裏側ヒンジ構成部61と、前述の一対の第1脚部13を構成する一対の第1脚部構成部62と、前述の一対の第2脚部14の台座部141を構成する一対の第2脚部台座構成部63と、を有する。
【0035】
座裏部22は、平面部221と、傾斜部222と、を有する。平面部211は、前方側において、平面状に形成される。傾斜部222は、座裏部22の後方(ヒンジ部12)側において、平面部221の縁部から、座裏部22とのなす角度が鈍角となるように上り傾斜し、かつ、上方に凸となるように湾曲して延びる。
【0036】
一対の座裏側ヒンジ構成部61は、図5に示すように、座裏部22の左右方向の両端部において、座裏部22から座裏部22の後方に延びるように形成される。座裏側ヒンジ構成部61は、座裏部材6の側縁部において、座裏側ヒンジ側縁端部611が形成される。座裏側ヒンジ側縁端部611は、座表部材5と座裏部材6とが接合した状態において、ヒンジ部12の前述の下部線状部122(図4参照)となる。
【0037】
座裏側ヒンジ側縁端部611は、座裏側第1下部直線状部611aと、座裏側下部湾曲部611bと、座裏側第2下部直線状部611cと、を有する。座裏側ヒンジ側縁端部611は、座裏側第1下部直線状部611a、座裏側下部湾曲部611b及び座裏側第2下部直線状部611cは、座裏部22側からこの順に形成される。座裏側第1下部直線状部611a、座裏側下部湾曲部611b及び座裏側第2下部直線状部611cは、座表部材5と座裏部材6とが接合した状態において、それぞれ、側面視において、前述の第1下部直線状部122a、前述の下部湾曲部122b及び前述の第2下部直線状部122c(図4参照)となる。
【0038】
以上の座表部材5及び座裏部材6は、ポリプロピレン等の合成樹脂材料を、金型を用いて射出成形することにより形成される。
本実施形態では、便座1は、座表部材5の縁部と座裏部材6の縁部とを当接させて溶着して接合部30を形成し、その後、座表部材5と座裏部材6とが溶着されて形成された接合部30の一部を切削して処理面としての切削面80(図6参照)を形成することで構成される。
【0039】
座表部材5と座裏部材6との接合部の切削面80の形状は、図6に示すように、接合部30が延びる方向に直交する断面において、座裏部材6側が外側に凸となる曲線状に形成され、座表部材5側が直線状に形成される。接合部30が延びる方向とは、座表部材5の縁部と座裏部材6の縁部とが接合された状態において、座表部材5の縁部と座裏部材6の縁部に沿った方向である。
【0040】
座表部材5及び座裏部材6の接合部30を切削する場合には、切削工具70を使用する。切削工具70は、図6に示すように、回転軸Jを中心に回転する切削回転軸部材71と、切削回転軸部材の一端に固定された回転刃部72と、を有する。
【0041】
回転刃部72は、複数の切削刃73を有し、回転軸Jを中心に回転可能に構成される。複数の切削刃73は、回転刃部72における回転方向に沿って所定角度ずつ離間して並んで配置される。複数の切削刃73は、それぞれ、同じ形状に構成される。
【0042】
切削刃73は、図6に示すように、曲線状切削刃部分731と、直線状切削刃部分732と、を有する。曲線状切削刃部分731及び直線状切削刃部分732は、連続して形成される。
曲線状切削刃部分531は、円弧状に窪んで形成される。円弧状の部分の曲率半径R(アール)は、例えば、3〜7mm(3R〜7R、半径が3〜7mmの円弧)であることが好ましく、5mm(5R、半径が5mmの円弧)であることがより好ましい。
【0043】
曲線状切削刃部分731の円弧状の中心角度は、所定の中心角度以下であることが好ましい。所定の中心角度は、曲線状切削刃部分731の円弧状の端部が、切削工具70で切削しない部分には接触しない中心角度である。例えば、座表部材5及び座裏部材6が略直交する角度で組み合わされる場合には、曲線状切削刃部分731の円弧状の中心角度が90度以下であることが好ましい。
【0044】
曲線状切削刃部分731は、切削工程時に、曲線状切削刃部分731の第1脚部13及び第2脚部14側の端部が、第1脚部13及びは第2脚部14の切削面80側の端部から第1距離L1、第2距離L2、第3距離L3、又は、第4距離L4以上(例えば、10mm以上)離間して配置されるように、形成される。
【0045】
曲線状切削刃部分731は、座裏部材6側に配置された状態で、接合部30、座裏部材6及び座表部材5を切削する。曲線状切削刃部分731により切削された切削面は、処理面としての湾曲切削面81となる。湾曲切削面81は、座裏部材6側が外側に凸となる円弧の曲線状に延びて形成される。
【0046】
直線状切削刃部分732は、曲線状切削刃部分731の端部から、曲線状切削刃部分731から離れるにしたがって回転軸Jに近づく所定の傾斜角度で、直線状に延びる。
【0047】
直線状切削刃部分732は、座表部材5側に配置された状態で、接合部30よりも座表部材5側において、座表部材5を切削する。直線状切削刃部分732により切削された切削面は、処理面としての直線切削面82となる。直線切削面82は、湾曲切削面81に滑らかに連続して形成され、座表部材5側が直線状に形成される。直線切削面82は、座裏部材6から離れるにしたがって座表部材5の表面に近づく傾斜角度で、直線状に延びて形成される。
【0048】
ここで、本実施形態の便座1の製造方法における切削工程について、図7を参照しながら説明する。
便座1を製造する場合、図7に示すように、まず、座裏部材6と座表部材5とを溶着機(図示せず)により溶着して接合部30を形成した後、切削工程を実行する。本実施形態では、座表部材5及び座裏部材6は、略直交する角度で組み合わされ、座表部材5の縁部及び座裏部材6の縁部は、溶着により接合される。
【0049】
切削工程では、接合部30の一部を、座表部材5及び座裏部材6と共に切削する。本実施形態では、切削工具70(図6参照)を用いて、曲線状切削刃部分731及び直線状切削刃部分732を有する切削刃73を回転させて、図7に示すように、座裏部材6側を円弧状に落とすように切削すると共に、座表部材5側を傾斜した直線状に落とすように切削することで、接合部30を、座表部材5及び座裏部材6と共に切削する。これにより、図6に示すように、接合部30において、切削面80として、座裏部側において湾曲切削面81が形成され、座表部側において直線切削面82が形成される。
【0050】
そして、この状態で、接合部30が延びる方向に沿って、切削工具70を移動させる。
便座本体11については、図2及び図4に示すように、便座本体11の内周縁接合部31及び外周縁接合部32それぞれにおいて、切削工具70を、周方向に沿って水平に移動させる。つまり、便座本体11における内周縁接合部31及び外周縁接合部32においては、切削工具70を、側面視において、直線方向に移動させる。
【0051】
また、ヒンジ部12のヒンジ下部接合部33においては、図2及び図4に示すように、切削工具70を、第1下部直線状部122a、下部湾曲部122b、第2下部直線状部122cの順に移動させる。つまり、ヒンジ部12の下部においては、切削工具70を、側面視において、第1下部直線状部122aにおける直線方向、下部湾曲部122bにおける曲線方向、第2下部直線状部122cにおける直線方向の順に移動させる。なお、本実施形態では、第1下部直線状部122a、下部湾曲部122b、第2下部直線状部122cの順に切削工具70を移動させて切削を行ったが、これに限定されず、第2下部直線状部122c、下部湾曲部122b、第1下部直線状部122aの順に切削工具70を移動させて切削を行ってもよい。
【0052】
ここで、ヒンジ部12のヒンジ下部接合部33においては、図4に示すように、第1下部直線状部122a、下部湾曲部122b、第2下部直線状部122cの順に配置して形成した。
従来から、接合部30に沿って切削工具70を移動させて湾曲部を切削する場合には、湾曲部が含まれる場合には、湾曲部から削り始めると、処理面に処理跡が残ってしまい、処理面をきれいに形成できなかった。そのため、湾曲部を形成せずに、直線状の処理面としていた。そこで、本実施形態においては、直線状部から切削を開始して直線状部で切削を終了するように、処理面を、第1下部直線状部122a、下部湾曲部122b、第2下部直線状部122cの順に配置して形成した。つまり、ヒンジ部12のヒンジ下部接合部33においては、切削工具70の移動方向を、側面視において、直線方向(第1下部直線状部122a)、曲線方向(下部湾曲部122b)、直線方向(第2下部直線状部122c)の順とした。
【0053】
以上の工程を経ることで、座表部材5と座裏部材6とが溶着された接合部30について、切削工程を実行して、便座1を製造できる。これにより、接合部30の切削面80の形状を、接合部30において滑らかな形状とすることができる。
【0054】
以上説明した本実施形態の便座1及び便座1の製造方法によれば、以下のような効果を奏する。
【0055】
本実施形態の便座1においては、座表部材5と座裏部材6との接合部30の切削面80の形状は、接合部30が延びる方向に直交する断面において、座裏部材6側が外側に凸となる曲線状に形成され、座表部材5側が直線状に形成される。
【0056】
そのため、座裏部材6側において、座裏部材6側が外側に凸となる曲線状に形成されることで、接合部30の切削面80の形状を、接合部30において滑らかな形状とすることができる。これにより、使用者が切削面80に手で触れても、手が引っ掛かるなどがなく、品位を向上することができる。特に、使用者は、便座1の座裏部材6側に触れる機会が多い。そのため、座裏部材6側において接合部30を滑らかな切削面80に形成できる本発明の効果は大きい。
【0057】
また、滑らかな切削面80を形成できるため、切削面80を形成した後にペーパー等で研磨しなくてよい。そのため、切削後に研磨する場合に比べて、便座の接合部30の厚みを確保することができる。これにより、接合部30の強度を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態における便座1の製造方法においては、座表部材5と座裏部材6との接合部30の切削面80の形状が、接合部30が延びる方向に直交する断面において、座裏部材6側が外側に凸となる曲線状に形成されるように、座表部材5と座裏部材6との接合部30を、曲線状切削刃部分731を有する切削工具70で切削することで切削面80を形成する切削工程を備える。これにより、滑らかな切削面80を形成できるため、切削面80を形成した後にペーパー等で研磨しなくてよい。従って、便座1を製造する際の作業工数を低減することができる。よって、便座1の生産性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態における便座1の製造方法においては、座裏部材6は、便座1の裏面を構成する該座裏部材6の座裏部22から突出する第1脚部13及び/又は第2脚部14を有し、曲線状切削刃部分731は、切削工程時に、曲線状切削刃部分731の第1脚部13及び/又は第2脚部14側の端部が、第1脚部13及び/又は第2脚部14の切削面80側の端部から10mm以上離間して配置されるように、形成される。
これにより、接合部30を切削する際に、切削工具70が第1脚部13又は第2脚部14に接触しない状態で、接合部30を切削することができる。また、第1脚部13又は第2脚部14を切削工具70で切削することを抑制できる。よって、第1脚部13又は第2脚部14を形成した座裏部材6を使用した場合において、第1脚部13又は第2脚部14が邪魔になることがなく、便座1の生産性を向上させることができる。
【0060】
以上、本発明の便座の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態では、座表部材5と座裏部材6との接合部30の切削面80の形状を、座裏部材6側が外側に凸となる曲線状に形成した。座裏部材6側が外側に凸となる曲線状は、例えば、真円状の円弧で形成してもよいし、楕円状の円弧で形成してもよいし、その他の滑らかな曲線で形成してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、接合部を、溶着により接合したが、これに限らない。例えば、接合部を、接着により接合してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 便座
5 座表部材
6 座裏部材
13 第1脚部(凸部)
14 第2脚部(凸部)
22 座裏部
30 接合部
70 切削工具
80 切削面(処理面)
731 曲線状切削刃部分
732 直線状切削刃部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7