(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559516
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 2/332 20060101AFI20190805BHJP
F04C 2/336 20060101ALI20190805BHJP
F04C 15/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
F04C2/332
F04C2/336
F04C15/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-181415(P2015-181415)
(22)【出願日】2015年9月15日
(65)【公開番号】特開2017-57744(P2017-57744A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151209
【氏名又は名称】株式会社マーレ フィルターシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】堀松 俊宣
(72)【発明者】
【氏名】岩野 治雄
(72)【発明者】
【氏名】増倉 智史
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−067735(JP,A)
【文献】
特開2014−037793(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/052240(WO,A2)
【文献】
特開2011−074843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/332− 2/336
F04C 18/332−18/336
F04C 2/356
F04C 2/46
F04C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入ポートおよび吐出ポートを有するとともに、円環状のステータを備えたハウジングと、
上記ステータの内周側に回転可能に配置されるとともに、上記ステータと協働してモータ部を構成するように外周面に複数個の永久磁石を備え、かつ、軸方向に延びるプレート保持溝が内周面に複数個形成された円筒状のアウタロータと、
上記アウタロータの内周側において該アウタロータに対して偏心した位置に配置され、該アウタロータとの間に上記吸入ポートおよび上記吐出ポートと連通する空間を構成するとともに、外周面に複数個のスロットが放射状に形成されたインナロータと、
断面略円形の頭部が上記プレート保持溝に揺動可能に嵌合するとともに、内周側の端部が上記スロットに摺動可能に嵌合し、上記空間を複数個のチャンバに区画する複数個の連結プレートと、
を備え、
上記プレート保持溝が、周方向の位置として、上記永久磁石の投影面内に位置している、ことを特徴とする電動ポンプ。
【請求項2】
上記連結プレートの個数と上記永久磁石の個数とが、互いに等しい、ことを特徴とする請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
上記永久磁石の個数が、上記連結プレートの個数の整数倍である、ことを特徴とする請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
上記プレート保持溝が上記永久磁石の投影面の周方向中央に位置している、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オイルポンプ等として用いられる液体用の電動ポンプに関し、特に、ポンプ部の構成要素であるアウタロータがモータ部のロータとして直接に回転駆動される形式の電動ポンプの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一般にペンデュラム型ポンプ等と呼ばれる回転型容積ポンプの原理を利用した電動ポンプが開示されている。ペンデュラム型ポンプは、特許文献2にも開示されているように、互いに偏心して位置するインナロータとアウタロータとを備え、放射状に配置された複数の連結プレートによって、両者が一体に回転するように連結されたものである。複数の連結プレートは、同時に、インナロータとアウタロータとの間に画成された三日月形の空間を複数のチャンバに区画している。従って、両者が回転することにより、ベーンポンプに類似したポンプ作用が得られる。
【0003】
そして、特許文献1の電動ポンプでは、アウタロータの外周面に永久磁石が設けられており、アウタロータの外周側に配置されたステータコイルとの協働によって、電動モータとして機能する構成となっている。つまり、ポンプ部の構成要素であるアウタロータがステータコイルとの協働によって直接に回転駆動される。
【0004】
ここで、特許文献1においては、連結プレートの一端を揺動可能に支持するためにアウタロータの内周面に設けられるプレート保持溝と、アウタロータの外周面に配置される永久磁石と、の位置関係として、周方向に見て、隣接する一対のプレート保持溝の間にそれぞれ永久磁石が配置された構成となっている。換言すれば、プレート保持溝と永久磁石とが重なり合わない配置となっており、個々の永久磁石の両側にそれぞれ連結プレートが位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−67735号公報
【特許文献2】特開2015−117695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような連結プレートと永久磁石との配置では、連結プレートおよびインナロータが鋼等の磁性体で構成されている場合に、個々の永久磁石と、その周方向の両端部に近接した一対の連結プレートと、これら一対の連結プレートに挟まれたインナロータ外周部と、によって閉磁路が構成される。従って、永久磁石による磁束の一部が外周側のステータとの間で有効に作用せず、回転駆動の効率が低下する。また、インナロータと連結プレートとが磁力によって引き寄せられるため、回転に伴って両者の接触部で生じる摺動抵抗が大きくなり、やはり効率低下の要因となる。さらに、この摺動抵抗の増加は、回転時のトルク変動の増加をもたらすことともなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電動ポンプは、
吸入ポートおよび吐出ポートを有するとともに、円環状のステータを備えたハウジングと、
上記ステータの内周側に回転可能に配置されるとともに、上記ステータと協働してモータ部を構成するように外周面に複数個の永久磁石を備え、かつ、軸方向に延びるプレート保持溝が内周面に複数個形成された円筒状のアウタロータと、
上記アウタロータの内周側において該アウタロータに対して偏心した位置に配置され、該アウタロータとの間に上記吸入ポートおよび上記吐出ポートと連通する空間を構成するとともに、外周面に複数個のスロットが放射状に形成されたインナロータと、
断面略円形の頭部が上記プレート保持溝に揺動可能に嵌合するとともに、内周側の端部が上記スロットに摺動可能に嵌合し、上記空間を複数個のチャンバに区画する複数個の連結プレートと、
を備え、
上記プレート保持溝が、周方向の位置として、上記永久磁石の投影面内に位置している、ことを特徴としている。
【0008】
このような構成では、各永久磁石の磁束は、主に周方向の端部から隣接する永久磁石の端部へと向かう形となり、連結プレートを通してインナロータへと向かう磁束は少なくなる。従って、ステータとの間でのトルク発生に寄与しない磁束が少なくなるとともに、磁力による連結プレートとインナロータとの間での摺動抵抗の増加が抑制され、回転の効率が向上する。なお、「永久磁石の投影面」とは、アウタロータが円筒状をなすので、外周面に位置する永久磁石の外形を径方向に沿ってアウタロータの内周面に投影したときの輪郭を意味する。
【0009】
本発明の望ましい一つの態様では、プレート保持溝が上記永久磁石の投影面の周方向中央に位置している。このようにすれば、連結プレートが永久磁石の周方向の中央に位置することとなり、連結プレートを通る磁束が最小となる。
【0010】
また、本発明の一つの態様では、上記連結プレートの個数と上記永久磁石の個数とが、互いに等しい。あるいは、上記永久磁石の個数が、上記連結プレートの個数の整数倍である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、連結プレートやインナロータを磁性体から構成した場合であっても、連結プレートからインナロータへと流れる磁束が少なくなり、回転駆動の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明に係るオイルポンプをカバーを取り外した状態で示す平面図。
【
図2】
図1のA−A線に沿ったオイルポンプ全体の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜
図3は、この発明を例えば自動変速機用のオイルポンプとして適用した一実施例を示している。このオイルポンプは、
図3に示すように、自動変速機もしくは内燃機関の適宜位置に取り付けられる中空円盤状のハウジング1と、このハウジング1に収容された円環状のステータ2と、このステータ2の内周側に配置される円筒状のアウタロータ3と、このアウタロータ3の内周側に該アウタロータ3に対して偏心した位置に配置されるインナロータ4と、アウタロータ3とインナロータ4とを連結する複数個(例えば6個)の連結プレート5と、を主体として構成されている。
【0014】
上記ハウジング1は、ステータ収容室13が凹部として形成された本体11と、この本体11に組み合わされてステータ収容室13の開口面を閉蓋するカバー12と、に分割して構成されており、これらの本体11とカバー12とが複数本のボルト14でもって互いに締結されている。ステータ収容室13の中央部には、サイドプレート部15が円形の凸部として形成されており、このサイドプレート部15の端面に、吸入ポート16および吐出ポート17がそれぞれ三日月形に形成されている。また、
図2に示すように、カバー12の中央部にもサイドプレート部18が円形の凸部として形成されている。なお、カバー12側のサイドプレート部18にも吸入ポートおよび吐出ポートを設けるようにしてもよい。つまり、吸入ポートは、2つのサイドプレート部15,18の少なくとも一方にあればよく、吐出ポートは、同じく2つのサイドプレート部15,18の少なくとも一方にあればよい。また吸入ポートもしくは吐出ポートを有するサイドプレートを、ハウジング1自体とは別体のプレート部材にて構成することもできる。
【0015】
インナロータ4を回転自在に支持する回転軸6は、本体11側のサイドプレート部15とカバー12側のサイドプレート部18とによって両端部が支持されている。この回転軸6の中心は、円形をなすサイドプレート部15,18の中心から偏心した位置にある。なお、本明細書における「軸方向」の語は、回転軸6の中心軸線に沿った方向を意味する。
【0016】
ステータ2は、アウタロータ3とともにモータ部を構成する構成要素であって、複数個例えば9個のポール21aと円環状のヨーク21bとを含む積層鉄心からなる9スロットのステータコア21と、ポール21aの各々に巻回されたコイル22と、から構成されている。このステータ2は、ハウジング1のステータ収容室13内において、サイドプレート部15,18を同心状に囲むように配置されている。
【0017】
アウタロータ3は、インナロータ4とともにポンプ部を構成すると同時に、モータ部のロータに相当する構成要素であって、金属材料例えば磁性体である鉄系材料を用いて円筒状に構成され、かつ外周面に、円弧形に湾曲した板状をなす複数個例えば6個の永久磁石24が等間隔に取り付けられている。これらの永久磁石24は、上記ステータ2と協働してモータ部を構成するように、N極とS極が交互の配置となっており、ステータ2のポール21aの内周面に僅かなエアギャップを介して対向している。また、円筒状のアウタロータ3は、一端部に設けられた僅かに大径となった軸受部3a(
図2参照)が上記本体11のサイドプレート部15外周に回転可能に嵌合しており、これによってハウジング1に回転可能に支持されている。なお、図示例では、鉄系材料からなる円筒状のアウタロータ3の外周面に永久磁石24が貼着されているが、アウタロータ3を硬質合成樹脂から成形し、その内部に永久磁石24を埋め込むようにしてもよい。
【0018】
アウタロータ3の内周面3bには、断面円形ないし断面C字形に窪んだプレート保持溝26が等間隔に複数箇所例えば6箇所に形成されている。各々のプレート保持溝26は、アウタロータ3の軸方向に延びており、両端がそれぞれアウタロータ3の端面に開口している。
【0019】
ここで、アウタロータ3の内周面3bにおけるプレート保持溝26は、周方向の位置として、アウタロータ3の外周面の永久磁石24を半径方向に投影したときの投影面の内にあり、特に、永久磁石24の投影面の周方向中央に位置している。
【0020】
アウタロータ3の内周側に配置されたインナロータ4は、金属材料例えば磁性体である鉄系材料を用いて略円盤状に形成されたものであって、中心の取付孔28が、アウタロータ3に対し偏心して位置する回転軸6に回転可能に嵌合しており、これにより、外周面4aの周方向の一部がアウタロータ3の内周面3bに近接するようにアウタロータ3に対し偏心している。なお、回転軸6をインナロータ4に固定し、該回転軸6をハウジング1に回転自在に支持するようにしてもよい。
【0021】
インナロータ4の外周面4aには、プレート保持溝26に対応した数つまり6個の矩形のスロット32が等間隔に放射状に形成されている。各スロット32はインナロータ4の軸方向に延びており、両端がそれぞれインナロータ4の端面に開口している。
【0022】
上記のようにインナロータ4がアウタロータ3の内周面3bに対し偏心している結果、両者間には、
図1に示すように三日月形の空間が形成される。そして、この三日月形の空間は、さらに、それぞれ6個の連結プレート5によって、6個のチャンバ34に区画されている。上記連結プレート5は、略三角形に近似したいわゆるペンデュラム型の断面形状を有する板状をなし、外周端の断面円形をなす頭部5aが上記アウタロータ3のプレート保持溝26に揺動可能に嵌合しているとともに、内周側における周方向に膨らんだ膨出部5bがインナロータ4のスロット32内に摺動可能に挿入されている。この連結プレート5は、強度ならびに耐摩耗性を考慮して、やはり金属材料例えば磁性体である鉄系材料を用いて形成されている。
【0023】
図1から容易に理解できるように、互いに偏心したアウタロータ3およびインナロータ4の回転位置に応じて、アウタロータ3内周面3bとインナロータ4外周面4aとの間の距離が変化し、連結プレート5によって区画された各チャンバ34の容積が増減変化する。従って、アウタロータ3およびインナロータ4が
図1の時計回り方向に回転することにより、サイドプレート部15,18に設けられた吸入ポート16から吐出ポート17へオイルを圧送するポンプ作用が得られる。
【0024】
そして、上記オイルポンプにおいては、永久磁石24を備えたアウタロータ3とステータ2とから構成されるモータ部によってアウタロータ3が回転駆動され、連結プレート5を介してインナロータ4が従動して回転する。具体的には、上記実施例では、9個のポール21aと6個の永久磁石24とによって三相6極9スロットのモータ部が構成されており、インバータを含む適宜なモータ駆動回路を介してコイル22を駆動することにより、ステータ2内でアウタロータ3を任意の速度で回転させることができる。従って、例えばハイブリッド車両における自動変速機用の電動オイルポンプとして好適なものとなる。
【0025】
ここで、上記アウタロータ3の外周面に配置される永久磁石24は、前述したように、内周側の連結プレート5と重なる周方向位置にある。つまり、アウタロータ3の内周面3bにおけるプレート保持溝26が、周方向の位置として、アウタロータ3の外周面の永久磁石24を半径方向に投影したときの投影面の内にあり、特に、永久磁石24の投影面の周方向中央に位置している。このような配置としたことで、連結プレート5を通した永久磁石24の磁束の漏洩が少なくなる。しかも、連結プレート5の磁化が抑制されるため、連結プレート5とプレート保持溝26との接触部ならびに連結プレート5とスロット32との接触部における磁力による摺動抵抗の増加が抑制される。これにより、モータ部ひいてはオイルポンプとしての効率が向上する。
【0026】
これを具体的に説明すると、
図4は、コイル22を励磁していない状態において、ステータ2内を流れる永久磁石24の磁束の流れを示している。個々の永久磁石24は、外周面がN極で内周面がS極、あるいは、その逆に、外周面がS極で内周面がN極、となるように構成される。そして、6個の永久磁石24は、N極とS極が交互となるように配置されている。従って、ある第1の永久磁石24の内周面がN極であるとすると、このN極からの磁束は、主に、当該永久磁石24の周方向の端部内周面からアウタロータ3内部を通して隣接する第2の永久磁石24の端部内周面(S極)へと向かう形となり、さらに、第2の永久磁石24の外周面(N極)の周方向の端部からこれに近接したポール21aおよびヨーク21bを通して、第1の永久磁石24の端部外周面(S極)に近接したポール21aへと流れ、第1の永久磁石24へ戻る。換言すれば、互いに隣接する2つの永久磁石24(第1の永久磁石24および第2の永久磁石24)とこれらに近接して位置している2つのポール21aおよび当該ポール21a間のヨーク21bによって閉磁路が構成され、磁束の多くがこの閉磁路内を流れる。
【0027】
このように個々の永久磁石24の周方向の端部を始点もしくは終点として個々に閉磁路が構成される中で、アウタロータ3内周側のプレート保持溝26(換言すれば連結プレート5の端部)は永久磁石24の投影面の周方向中央に位置しているため、
図4から容易に理解できるように、プレート保持溝26から連結プレート5へと向かう磁束は非常に少なくなる。つまり、隣接した2つのプレート保持溝26に取り付けられる2つの連結プレート5とインナロータ4とによって、磁性体からなる連続した磁路が構成されるものの、磁束は殆ど流れない。
【0028】
従って、永久磁石24の磁束の漏洩による効率低下が少なく、かつ連結プレート5が磁化されることによる摺動抵抗の増加が抑制される。
【0029】
上記実施例の構成に対して、比較例として、
図5に示すように、プレート保持溝26(つまり連結プレート5の端部)が周方向位置として一対の永久磁石24の間(換言すれば永久磁石24の投影面の外)に位置している構成を想定すると、個々の永久磁石24と、その周方向の両端部に近接した磁性体からなる一対の連結プレート5と、これら一対の連結プレート5に挟まれた同じく磁性体からなるインナロータ3の外周部と、によって閉磁路が構成されるため、永久磁石24の磁束の一部が、この閉磁路へと漏洩する。従って、電動モータとしての効率が低下する。さらに、連結プレート5が磁化される結果、プレート保持溝26やスロット32との摺動部における摺動抵抗が増加し、ポンプとしての効率低下ならびに回転時のトルク変動の増加を招来する。
【0030】
なお、上記実施例では、プレート保持溝26が永久磁石24の投影面の周方向中央に位置しているが、周方向中央から多少片寄った位置であっても、永久磁石24の投影面の中にあれば、連結プレート5を介して漏洩する磁束は少ない。プレート保持溝26つまり連結プレート5の端部が永久磁石24の投影面の外にあると、漏洩する磁束が急激に増加する。
【0031】
また、上記実施例では、永久磁石24の側縁はアウタロータ3の中心軸線と平行であり、つまりスキュー角が0であるが、本発明は、永久磁石24が適宜なスキュー角を有する場合にも同様に適用できる。この場合にも、やはり、スキューしている永久磁石24の投影面の中にプレート保持溝26があればよい。
【0032】
また、本発明は、上記実施例の三相6極9スロットの構成に限定されるものではなく、永久磁石24の極数やスロット数を適宜に設定することができる。
【0033】
また、連結プレート5の個数(換言すればプレート保持溝26の数)も任意である。上記実施例では、連結プレート5の数と永久磁石24の数とが等しく設定されているが、本発明においては、プレート保持溝26を永久磁石24の投影面の中に配置できる限りは、両者は等しい個数に限定されない。
【0034】
最も典型的な組み合わせとしては、永久磁石24の個数が連結プレート5(プレート保持溝26)の個数の整数倍となる。このような関係にあれば、全てのプレート保持溝26を永久磁石24の投影面の中に配置することが可能である。
【0035】
図6は、一例として、6個の連結プレート5に対し12個の永久磁石24を備えた実施例を示している。なお、ステータ2は、前述した実施例と同じく9スロットの構成である。この
図6の構成では、永久磁石24の1個置きにプレート保持溝26が配置されることとなるが、プレート保持溝26の各々は、やはり永久磁石24の投影面内に位置している。特に、永久磁石24の投影面の周方向中央に位置している。従って、前述した実施例と同様に、連結プレート5へと漏洩する磁束が少ない。
【符号の説明】
【0036】
1…ハウジング
2…ステータ
3…アウタロータ
4…インナロータ
5…連結プレート
21…ステータコア
22…コイル
24…永久磁石
26…プレート保持溝