(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0013】
〔第1の実施形態〕
先ず、
図1から
図9を用いて第1の実施形態を説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るロケット結合リング100は、宇宙機本体200(
図5)に装着されるとともに宇宙機本体200をロケット500(
図8(b))に結合させるものである。
このロケット結合リング100は、環状のリング本体10と、リング本体10の上端からそれぞれ上方に突出して設けられた複数の突出部21と、複数の突出部21の各々の上端部に設けられ宇宙機本体200を支持する複数の支持部22と、を備えている。すなわち、支持部22は、対応する突出部21の上端部に設けられている。複数の突出部21は、リング本体10の周方向において間欠的に配置され、且つ、それぞれリング本体10の径方向に弾性変形可能である。
以下、詳細に説明する。
【0014】
本明細書では、ロケット結合リング100において、宇宙機本体200(
図5)に固定される側を上方(上側)、ロケット500(
図8(b))のPAF(Payload Attach Fitting)400(
図8(b))に固定される側を下方(下側)とそれぞれ称する。したがって、リング本体10の上に突出部21及び支持部22が配置されている。
また、リング本体10の軸心方向、リング本体10の周方向、リング本体10の径方向を、それぞれ単に、軸心方向、周方向、径方向と称する。なお、軸心方向とは、リング本体10の下端面(ロケット500側の端面)に対する法線方向を意味する。
リング本体10は、環状(短筒状)に形成されており、その中央には、リング本体10を上下に貫通する開口10aが形成されている。
【0015】
突出部21は、支持部22よりも、径方向に弾性変形容易に形成されている。突出部21は、平板状に形成されていることが好ましい。
【0016】
突出部21は、リング本体10の上端部を基端として上方に突出し、リング本体10の上端よりも上方に突出している。突出部21の基端となるリング本体10の上端部は、例えば、リング本体10の端面であることが挙げられる。ただし、リング本体10の内周面又は外周面を基端として、突出部21が形成されていても良い。
複数の突出部21の各々が突出する方向は、リング本体10の軸心方向における一方(一方向)であり、且つ、上方(宇宙機本体200側)である。突出部21が突出する方向は、軸心方向に対して平行な方向であることが好ましい。ただし、突出部21が突出する方向は、軸心方向に対して平行な方向に限らず、軸心方向に対して若干(例えば10度以内)の傾斜角度で傾斜した方向であっても良い。
【0017】
突出部21の数は、複数であれば特に限定されないが、3個以上であることが好ましく、例えば、10個以上とすることができる。
複数の突出部21の突出高さは、互いに等しいことが好ましい。ただし、複数の突出部21の中には、他の突出部21とは突出高さが異なる突出部21が含まれていても良い。
複数の突出部21の配置間隔は、等間隔(一定間隔)であることが好ましい。ただし、等間隔以外の所定間隔で、複数の突出部21が間欠的に配置されていても良い。
【0018】
より具体的には、複数の突出部21の各々は、宇宙機本体200から支持部22を介して下方に作用して当該突出部21を圧縮させる荷重を受けるものであり、且つ、リング本体10の軸心方向(上下方向)よりもリング本体10の径方向に変形容易にそれぞれ形成されている。
【0019】
突出部21が軸心方向よりも径方向に変形容易であるとは、リング本体10が固定(例えばリング本体10の下端部が固定)された状態で、突出部21に対し、ある大きさの荷重が軸心方向に作用した場合よりも、当該大きさの荷重が径方向に作用した場合の方が、突出部21の変形量が大きくなることを意味する。
より具体的には、例えば、各突出部21は、軸心方向に沿った板状部であることにより、軸心方向よりも径方向に変形容易となっている。
特に、各突出部21が、軸心方向における圧縮剛性が強化された構造となっていることによって、より好適に、各突出部21が軸心方向よりも径方向に変形容易にすることができる。
【0020】
なお、突出部21は、周方向よりも径方向に変形容易であることが好ましい。突出部21が軸心方向よりも径方向に変形容易であるとは、リング本体10が固定(例えばリング本体10の下端部が固定)された状態で、突出部21に対し、ある大きさの荷重が周方向に作用した場合よりも、当該大きさの荷重が径方向に作用した場合の方が、突出部21の変形量が大きくなることを意味する。
より具体的には、例えば、ロケット結合リング100において、複数の突出部21と複数の支持部22とリング本体10とを含む部分は、炭素繊維強化樹脂複合材により一体成形されており、且つ、当該部分は、薄肉の筒形状に形成されている。
そして、各突出部21は、径方向よりも周方向に幅広に形成されている。これにより、各突出部21は、周方向よりも径方向に変形容易となっている。
【0021】
なお、各突出部21の厚み方向は、リング本体10の径方向である。
例えば、各突出部21は、径方向における幅(突出部21の厚み)と比べて、周方向における幅が、5倍以上となっていることが好ましく、10倍以上となっていることが更に好ましい。
【0022】
なお、互いに隣接する突出部21どうしの間隙30には、ロケット結合リング100よりも柔軟な充填材が充填されていても良いし、ロケット結合リング100よりも柔軟な膜が張設されていても良い。このような構成とした場合にも、突出部21が径方向において変形容易とすることができる。
【0023】
図2から
図4に示すように、複数の突出部21の各々は、軸心方向に対して平行に配置されている。
一方、複数の支持部22の各々は、対応する突出部21の上端部に連接されているとともに、突出部21に対して直交して配置されている。
すなわち、支持部22の各々は、各支持部22が設けられている突出部21に対して直交している。
なお、支持部22は、軸心方向に対して直交して配置されていることが好ましい。
各支持部22は、互いに同一平面上に配置され、且つ、リング本体10の軸心を中心とする同一円周上に配置されていることが好ましい。
支持部22は、例えば、突出部21の先端から、径方向外方に突出している。
支持部22には、例えば、支持部22に対して宇宙機本体200を固定するための固定孔23が、当該支持部22を上下に貫通して形成されている。一例として、
図4(b)に示すように、支持部22の中央部に単数(1つ)の固定孔23が形成されている。ただし、支持部22には複数の固定孔23が形成されていても良い。
固定孔23を用いて、後述する圧力容器210の被支持部211を支持部22に固定できるようになっている。
【0024】
ここで、リング本体10の上端から上方への突出部21の突出長は、例えば、突出部21の板厚よりも長く、突出部21の上端から径方向外方への支持部22の突出長よりも長いことが好ましい。
【0025】
また、
図2(a)、
図2(b)、
図3(b)及び
図4(a)に示すように、複数の突出部21の各々における突出方向先端部(先端部21a)よりも、複数の突出部21の各々における基端部21bの方が、リング本体10の周方向に幅広に形成されている。
これにより、各突出部21の変形性を十分に確保しつつも、各突出部21の基端部の構造的強度を十分に確保することができる。
【0026】
また、基端部21bは、リング本体10側、すなわち基端側に向けて徐々に幅広となっていることが好ましい。これにより、突出部21とリング本体10との境界部の構造的強度を十分に確保できるため、当該境界部におけるロケット結合リング100の破損を抑制することができる。
【0027】
上記においても説明したように、リング本体10と複数の突出部21とは炭素繊維強化樹脂複合材により一体成形されている。
この場合に、軸心方向における複数の突出部21の各々の圧縮剛性が、軸心方向におけるリング本体10の圧縮剛性よりも大きくなるように、リング本体10と複数の突出部21とにおける炭素繊維の配向性がそれぞれ設定されていることが好ましい。
このようにすることにより、軸心方向における突出部21の圧縮強度を十分なものとし、軸心方向における突出部21の耐荷重性を十分に確保することができ、突出部21の座屈変形も抑制できる。
ここで、圧縮剛性とは、単位断面積あたりの、圧縮方向への変形しにくさである。
【0028】
リング本体10と、複数の突出部21の各々とは、炭素繊維が軸心方向に配向している軸心方向配向層をそれぞれ有している。
一例として、リング本体10及び複数の突出部21を構成する炭素繊維強化樹脂複合材は、
図4(a)に示される0°方向(軸心方向)に配向している第1炭素繊維41を含む第1層(軸心方向配向層)と、0°方向に対して+45°の方向(
図4(a)に示される+45°方向)に配向している第2炭素繊維42を含む第2層と、0°方向に対して−45°の方向(
図4(a)に示される−45°方向に配向している第3炭素繊維43を含む第3層と、0°方向に対して90°の方向(
図4(a)に示される90°方向に配向している第4炭素繊44を含む第4層と、をそれぞれ1層以上有している。
この場合に、少なくとも第1層は、リング本体10と複数の突出部21とに亘って連続して設けられていることが好ましい。
しかも、リング本体10よりも複数の突出部21の方が、軸心方向配向層(第1層)の比率が大きいことが好ましい。
このようにすることにより、容易に、軸心方向における複数の突出部21の各々の圧縮剛性を、軸心方向におけるリング本体10の圧縮剛性よりも大きくすることができ、突出部21の座屈変形を抑制することができる。
【0029】
また、例えば、リング本体10が、第1層、第2層、第3層及び第4層を均等に備えている一方で、各突出部21が、第1層、第2層及び第3層を均等に備えている構成としても良い。すなわち、リング本体10が備える層のうち、1/4ずつが、第1層、第2層、第3層及び第4層である一方で、各突出部21が備える層のうち、1/3ずつが、第1層、第2層及び第3層であっても良い。このようにすることにより、リング本体10よりも複数の突出部21の方が、第1層の比率が大きい構造を実現することができる。
このように、各突出部21は、第4層(90°方向に配向している第4炭素繊44を含む層)を備えていなくても良い。
【0030】
ここで、突出部21における炭素繊維強化樹脂複合材の層数は、リング本体10における炭素繊維強化樹脂複合材の層数よりも少なくても良いし、リング本体10における炭素繊維強化樹脂複合材の層数と同数であっても良い。
後者の場合、突出部21における第1層の層数が、リング本体10における第1層の層数よりも多いことにより、リング本体10よりも複数の突出部21の方が、第1層の比率が大きくなる。
ただし、前者の場合、突出部21における第1層の層数が、リング本体10における第1層の層数よりも少ない場合でも、リング本体10よりも複数の突出部21の方が、第1層の比率が大きい構造を実現し得る。
【0031】
図2(a)、
図2(b)及び
図3(a)に示すように、リング本体10は、ロケット500(
図8(b))側に配置される第1環状部11と、第1環状部11と複数の突出部21の各々とを相互に連結している第2環状部12と、を備えている。
そして、第2環状部12は、複数の突出部21側に向けて縮径している。
例えば、第1環状部11及び第2環状部12は、それぞれ環状(筒状)に形成されており、このうち第2環状部12は、上方に向けてテーパー状に縮径している。
これにより、リング本体10の下端部(ロケット500側の端部)の径が大きい場合に、複数の支持部22を小径の円周上に配置することが可能となる。よって、ロケット500に比べて小さい宇宙機300を、複数の支持部22によって好適に支持することが可能となる。
ただし、第2環状部12は、テーパー状に形成されていなくても良く、軸心方向において径が一定の筒状に形成されていても良い。
【0032】
ここで、第1環状部11は、第2環状部12と一体成形された第1部分11aと、第1部分11aの外周側に固定された第2部分11bと、を備えている。
第1部分11a及び第2部分11bは、それぞれ環状(筒状)に形成されている。
第2環状部12は、上方に向けてテーパー状に縮径しているのに対し、第1部分11aは、例えば、軸心方向における位置にかかわらず一定径の円筒形状に形成されている。
第2部分11bは、例えば、第1部分11aの外周面に沿って設けられた円筒部14と、円筒部14の下側に連接され下方に向けて拡径しているテーパー部15と、テーパー部15の下側に連接された外フランジ部16及び内フランジ部17と、を備えている。
外フランジ部16は、テーパー部15の下端から外方(径方向外方)に突出した環状の部分であり、内フランジ部17は、テーパー部15の下端から内方(径方向内方)に突出した環状の部分である。外フランジ部16の下端面と内フランジ部17の下端面とは、例えば、互いに面一となっている。
【0033】
ロケット結合リング100は、例えば、その全体が一体成形されている。すなわち、例えば、複数の突出部21、複数の支持部22、第2環状部12、円筒部14、テーパー部15、外フランジ部16及び内フランジ部17が、炭素繊維強化樹脂複合材により一体成形されている。
例えば、ロケット結合リング100の内周形状を画定する図示しない型枠(内型)の周囲に、複数の突出部21、複数の支持部22、第2環状部12及び第1部分11aを構成する炭素繊維プリプレグを複数層積層して配置し、更に、第1部分11aを構成する炭素繊維プリプレグの外周面を含む範囲に円筒部14を構成する炭素繊維プリプレグを複数層積層して配置するとともに、テーパー部15、外フランジ部16及び内フランジ部17を構成する炭素繊維プリプレグを複数層積層して配置する。
その状態で、炭素繊維プリプレグを加熱加圧することにより、ロケット結合リング100の全体を一体成形することができる。
ロケット結合リング100の外周形状は、図示しない熱収縮性チューブにより圧縮されることによって形成されても良いし、図示しない外型により画定されても良い。
円筒部14とテーパー部15との境界の内周には、環状の段差面18が形成されており、当該段差面18に対し、第1部分11aの下端面が接している。
【0034】
なお、第2部分11bは、第1部分11aとは別体に形成された後、第1部分11aと嵌合することにより第1部分11aに固定されていても良い。
この場合、第2部分11bには、上方に向けて開口した嵌入孔が形成されており、当該嵌入孔に対し、第1部分11aが嵌入されることにより、第1部分11aと第2部分11bとが相互に嵌合する。この場合、第1部分11aと嵌入孔とは、例えば、相互に接着固定したり、ボルト等の止着部材によっても相互に固定したりすることができる。
【0035】
図3(a)に示すように、リング本体10の径方向において、複数の支持部22の各々が、外フランジ部16の外周部よりも中心側に位置している(外フランジ部16の外周部よりも径方向内側に収まっている)ことが好ましく、第1部分11aの外周面13よりも中心側に位置している(外周面13よりも径方向内側に収まっている)ことが更に好ましい。
このようにすることにより、リング本体10の下端部(ロケット500側の端部)の径が大きい場合に、複数の支持部22を小径の円周上に配置することが可能となる。よって、ロケット500に比べて小さい宇宙機300を、複数の支持部22によって好適に支持することが可能となる。
【0036】
次に、本実施形態に係る宇宙機300について説明する。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、本実施形態に係る宇宙機300は、上述したロケット結合リング100と、当該ロケット結合リング100が装着された宇宙機本体200と、を備えている。
宇宙機300は、例えば、人工衛星であることが挙げられる。ただし、宇宙機300は、探査機等の、人工衛星以外の宇宙空間を航行する航行体であっても良い。
【0037】
宇宙機本体200は、例えば、圧力容器210と、構体220と、を備えている。
構体220には、制御機器などの各種の機器が搭載されている。
宇宙機本体200は、他に、スラスタ、アンテナ、太陽電池及びバッテリ等を備えている。
【0038】
図6(a)及び
図6(b)は、宇宙機300の構成要素のうち、構体220の図示を省略して示す図であり、このうち
図6(a)は斜視図、
図6(b)は平面図である。
【0039】
圧力容器210には、燃料と酸化剤とを含む推進剤が充填されている。圧力容器210の形状は特に限定されないが、外周面の全体が滑らかな曲面で構成された球状体であることが好ましい。そのような球状体としては、
図5(a)及び
図5(b)に示されるような長円回転体の他、長楕円体などが挙げられる。
【0040】
圧力容器210は、当該圧力容器210の外周面210aから外方に突出している被支持部211を備えている。この被支持部211に対し、ロケット結合リング100の複数の支持部22の各々が固定されている。
これにより、ロケット結合リング100によって、圧力容器210、ひいては宇宙機本体200の全体を支持できるようになっている。
【0041】
より具体的には、例えば、圧力容器210は、複数の被支持部211を備え、これら複数の被支持部211は、環状に並んで配置されている。そして、これら複数の被支持部211が、ロケット結合リング100の複数の支持部22にそれぞれ固定されている。すなわち、例えば、圧力容器210には、ロケット結合リング100の支持部22と同数の被支持部211が、複数の支持部22の配置間隔と同じ配置間隔で形成されており、各支持部22に対しが、1つずつの被支持部211が固定されている。
【0042】
なお、被支持部211は、圧力容器210の下部に配置されている。
図7に示すように、被支持部211は、例えば、平板状の突出片として形成されており、支持部22上に重ねて配置されて、支持部22によって支持される。すなわち、ロケット結合リング100は、例えば、突出部21の突出方向における先端部に設けられた支持部22にて被支持部211、ひいては圧力容器210を支持する。
被支持部211には、当該被支持部211を上下に貫通する固定孔211aが形成されている。
図9(a)に示すように、ボルト等の止着部材50によって、支持部22と被支持部211とが相互に固定されている。なお、
図7においては、止着部材50の図示を省略している。
【0043】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、圧力容器210の外周面210aにおいて、被支持部211が形成されている部分よりも上側の部分には、外周面210aからそれぞれ外方に突出しているとともに、環状に並んで配置された複数の構体支持部212が形成されている。
これら構体支持部212は、例えば、被支持部211と同様の形状のものである。
構体220は、これら構体支持部212に固定されている。
これにより、圧力容器210は、構体支持部212によって構体220を支持している(
図8(a)、
図8(b)参照)。
【0044】
図8(b)は
図8(a)のD−D線に沿った側断面図である。
図8(b)に示すように、宇宙機300は、当該宇宙機300のロケット結合リング100の下端部が、ロケット500のPAF400に結合されることによって、ロケット500により支持される。
PAF400は、例えば、環状に形成されており、ロケット500の先端部に固定されている。
【0045】
図9(b)に示すように、PAF400の先端には、例えば、外フランジ部401が形成されている。
外フランジ部401とロケット結合リング100の下端部の外フランジ部16とが相互に連結されることにより、宇宙機本体200がロケット結合リング100を介してPAF400に結合されるようになっている。
外フランジ部401と外フランジ部16との連結は、例えば、マルマンクランプバンドなどの連結部材600を用いて行うことができる。
【0046】
なお、
図8(b)に示すように、圧力容器210は、例えば、ロケット結合リング100の下端よりも下方に突出した突出部210bを備えている。この場合、ロケット500に宇宙機300が結合された状態で、突出部210bは、PAF400内に入り込むようになっている。
【0047】
ここで、圧力容器210は、ロードパス(荷重の通り道)を構成している。また、圧力容器210を支える複数の突出部21も、ロードパスを構成している。
【0048】
以上のような第1の実施形態に係るロケット結合リング100は、リング本体10の上端からそれぞれ上方に突出して設けられた複数の突出部21と、複数の突出部21の各々の上端部に設けられて宇宙機本体200を支持する複数の支持部22と、を備え、複数の突出部21は、リング本体の周方向において間欠的に配置され、且つ、それぞれリング本体10の径方向に弾性変形可能である。このため、打ち上げ時にロケット500から宇宙機本体200に対して加わる荷重の向きや大きさに応じて、周方向において間欠的に配置された複数の突出部21が個別に変形することによって、宇宙機本体200に加わる荷重を吸収することができる。
よって、打ち上げ時に宇宙機本体に加わる予期せぬ応力集中を緩和し、宇宙機本体に加わる機械的な負荷を軽減することができる。
【0049】
より具体的には、例えば、複数の突出部21のうちの特定の突出部21が径方向に変形して荷重を吸収している際にも、他の3つ以上の突出部21が宇宙機本体200を支持していることによって、ロケット結合リング100により宇宙機本体200を継続的に支持しつつ、宇宙機本体200に加わる応力を緩和することができる。このため、突出部21の数は、4つ以上であることが好ましいと言える。
【0050】
また、打ち上げ時に宇宙機本体200に対して瞬間的に加わる荷重を、突出部21が径方向において均一に変形することによっても吸収することができ、このことからも、打ち上げ時に宇宙機本体200に加わる負担を抑制することができる。
【0051】
ここで、本実施形態では、圧力容器210がロードパスを構成していて、打ち上げ時には、大きな荷重が圧力容器210に作用する。
これに対し、本実施形態では、宇宙機300とロケット500との間のロードパス(荷重の通り道)に、ストレスリリーフ構造である突出部21が配置された構造となっているため、圧力容器210に加わる予期せぬ応力集中を緩和することができ、圧力容器210の負担を抑制することができる。
【0052】
〔第2の実施形態〕
次に、
図10(a)、(b)及び
図11を用いて第2の実施形態に係るロケット結合リング100を説明する。
上記の第1の実施形態では、突出部21と支持部22とが炭素繊維強化樹脂複合材により一体成形されている例を説明した。これに対し、本実施形態の場合、突出部21と支持部22とが互いに別部材により構成されている。
【0053】
ここで、ロケット結合リング100は、リング本体10の第2環状部12の上端の上側に連接されている筒状の起立部71を備えており、起立部71は、軸心方向に起立している。
起立部71において、各突出部21と対応する部分は、部分的に上方に向けて山型に突出した基端側突出部71aとなっており、基端側突出部71aは、突出部21の基端部を構成している。
【0054】
すなわち、突出部21は、基端側突出部71aと、基端側突出部71aから上方に向けて突出している薄板部72を備えて構成されている。薄板部72は、基端側突出部71aよりも薄い板状に形成されている。
なお、本実施形態の場合、0°方向(軸心方向)に配向している第1炭素繊維を含む第1層(軸心方向配向層)は、薄板部72と起立部71とに亘って連続して設けられていることが好ましく、起立部71と第2環状部12とに亘って連続して設けられていることが好ましい。
【0055】
一方、支持部22は、薄板部72の上端部の外面に沿って配置されている支持構造体26と、薄板部72の上端部の内面に沿って配置されている固定板27と、を備えて構成されている。すなわち、支持構造体26と固定板27とは、薄板部72の上端部を間に挟んで、径方向における外側と内側とにそれぞれ配置されている。
【0056】
支持構造体26は、薄板部72の上端部の外面に沿って配置される外面側板状部26fと、外面側板状部26fの上端から径方向外方に向けて突出している上側板状部26eと、これら外面側板状部26fと上側板状部26eとの間の部分に形成されている複数のリブ26g(
図11参照)と、を含んで構成されている。
上側板状部26eの上面は、支持構造体26が薄板部72に固定された状態で水平となるようになっている。
【0057】
更に、支持構造体26の上側板状部26eには、当該上側板状部26eを上下に貫通する固定孔26bが形成されている。
この固定孔26bは、上記の第1の実施形態における固定孔23に相当するものであり、固定孔26bを用いて、圧力容器210の被支持部211を支持構造体26に対して固定できるようになっている。
【0058】
上側板状部26eにおいて、固定孔26bが形成されている部位は、局部的に、周囲と比べて厚肉に形成されている。すなわち、上側板状部26eは、部分的に厚肉の厚肉部26dを備えている。これにより、圧力容器210の被支持部211を上側板状部26eに対して強固に固定することができる。
【0059】
支持構造体26の外面側板状部26fには、当該外面側板状部26fを表裏に貫通する固定孔26c(
図11)が形成されている。固定板27には、当該固定板27を表裏に貫通する固定孔27a(
図10(b))が、固定孔26cと対応する位置に形成されている。更に、薄板部72の上端部には、固定孔27a及び26cと対応する位置に、当該薄板部72を表裏に貫通する固定孔(不図示)が形成されている。これら固定孔を通して図示しないボルト等の止着部材を止着することによって、薄板部72の上端部に対して、支持構造体26及び固定板27が固定されている。ここで、薄板部72に対する支持構造体26及び固定板27の固定は、ボルト等の止着部材と接着剤とを併用して行うことが好ましい。
なお、支持構造体26の内面側上部には、下向きの段差面26aが形成されており、段差面26aが薄板部72の上端面及び固定板27の上端面に接している。
【0060】
ここで、支持部22を構成する支持構造体26及び固定板27は、例えば、金属材料により構成されている。
一方、リング本体10及び突出部21(基端側突出部71a及び薄板部72)は、炭素繊維強化樹脂複合材により一体成形されている。
【0061】
すなわち、支持部22は、突出部21(基端側突出部71a及び薄板部72)とは別部材の固定板27及び支持構造体26を備えて構成されているため、支持部22を十分な構造的強度のものとして作製することが容易となる。
【0062】
〔第3の実施形態〕
次に、
図12を用いて第3の実施形態に係るロケット結合リング100を説明する。
上記の第1及び第2の実施形態では、突出部21がリング本体10と一体成形されている例を説明したが、本実施形態の場合、突出部21は、リング本体10とは別体に成形された後、リング本体10に固定されている。
一例として、リング本体10は、第1及び第2の実施形態と同様に、炭素繊維強化樹脂複合材により形成されている。
一方、突出部21及び支持部22は、例えば、金属材料により一体形成されている。
【0063】
例えば、リング本体10の第2環状部12の上端部は、軸心方向に対して平行な筒状の支持壁部12aとなっている。
そして、突出部21の下部は、支持壁部12aを挟持できるように二股に分岐した構造の挟持部25となっている。すなわち、挟持部25は、径方向において支持壁部12aの内側に配置される板状部251と、径方向において支持壁部12aの外側に配置される板状部252と、を備え、板状部251と板状部252とによって支持壁部12aを挟持できるように構成されている。
支持壁部12a、板状部251及び板状部252には、各々を径方向に貫通する固定孔19、固定孔251a及び固定孔252aがそれぞれ形成されている。
例えば、ボルト等の止着部材60によって、挟持部25と支持壁部12aとが相互に固定されている。
【0064】
第3の実施形態によれば、靱性に優れる金属材料により構成された突出部21及び支持部22によって宇宙機300を支持することができるため、ロケット結合リング100の耐久性及び信頼性を十分に確保することができる。
【0065】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0066】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)宇宙機本体に装着されるとともに前記宇宙機本体をロケットに結合させるロケット結合リングであって、環状のリング本体と、前記リング本体の上端からそれぞれ上方に突出して設けられた複数の突出部と、前記複数の突出部の各々の上端部に設けられ、前記宇宙機本体を支持する複数の支持部と、を備え、前記複数の突出部は、前記リング本体の周方向において間欠的に配置され、且つ、それぞれ前記リング本体の径方向に弾性変形可能であるロケット結合リング。
(2)前記複数の突出部の各々は、前記宇宙機本体から支持部を介して下方に作用して当該突出部を圧縮させる荷重を受けるものであり、且つ、リング本体の軸心方向よりも前記リング本体の径方向に変形容易にそれぞれ形成されている(1)に記載のロケット結合リング。
(3)前記リング本体と前記複数の突出部とが炭素繊維強化樹脂複合材により一体成形され、前記軸心方向における前記複数の突出部の各々の圧縮剛性が、前記軸心方向における前記リング本体の圧縮剛性よりも大きくなるように、前記リング本体と前記複数の突出部とにおける炭素繊維の配向性がそれぞれ設定されている(2)に記載のロケット結合リング。
(4)前記リング本体と、前記複数の突出部の各々とは、前記炭素繊維が前記軸心方向に配向している軸心方向配向層をそれぞれ有しており、少なくとも一層の前記軸心方向配向層は、前記リング本体と前記複数の突出部とに亘って連続して設けられており、前記リング本体よりも前記複数の突出部の方が、前記軸心方向配向層の比率が大きい(3)に記載のロケット結合リング。
(5)前記複数の突出部の各々における突出方向先端部よりも、前記複数の突出部の各々における基端部の方が、前記リング本体の周方向に幅広に形成されている(1)から(4)のいずれか一項に記載のロケット結合リング。
(6)前記支持部の各々は、各支持部が設けられている突出部に対して直交している(1)から(5)のいずれか一項に記載のロケット結合リング。
(7)前記リング本体は、前記ロケット側に配置される第1環状部と、前記第1環状部と前記複数の突出部の各々とを相互に連結している第2環状部と、を備え、前記第2環状部は前記複数の突出部側に向けて縮径している(1)から(6)のいずれか一項に記載のロケット結合リング。
(8)前記第1環状部は、前記第2環状部と一体成形された第1部分と、前記第1部分の外周側に固定された第2部分と、を備える(7)に記載のロケット結合リング。
(9)前記リング本体の径方向において、前記複数の支持部の各々が、前記第1部分の外周面よりも中心側に位置している(8)に記載のロケット結合リング。
(10)(1)から(9)のいずれか一項に記載のロケット結合リングと、前記ロケット結合リングが装着された宇宙機本体と、を備える宇宙機。
(11)前記宇宙機本体は、圧力容器を備え、
前記圧力容器は、当該圧力容器の外周面から外方に突出している被支持部を備え、前記被支持部に対し、前記ロケット結合リングの前記複数の支持部の各々が固定されている(10)に記載の宇宙機。