【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、気流からゴミ粒子を取り除くための分離器を提供しており、この分離器は、羽根車を有する第1分離段と、並列に配列された1以上のサイクロン本体を有する第2分離段と、を備え、第1分離段は、第2分離段の上流側にあり、羽根車は、分離器を通る気流を発生させ、かつ、第1分離段において気流内に渦流を発生させ、渦流は、ゴミ粒子を径方向外側に押しやり、外側汚染気流部分と内側清浄気流部分とを生じさせ、汚染気流部分は、第2分離段を通過し、清浄気流部分は、第2分離段を迂回する。
【0006】
その結果、第2分離段を通過させる必要がある空気容積をより小さくする。第2分離段を通過する気流は、分離器を通過する全空気容積全体の小部分である。このように、所望の分離性能を実現するために第2分離段に必要なサイクロン本体をより少なくする。このように、分離器の全体サイズをできるだけ小さいままとすることができ、これは、任意の真空掃除機にとって望ましいが、分離器を手持ち型真空掃除機またはロボット型真空掃除機で使用する場合に重要である。さらに、空気がより数の少ない小型のサイクロン本体を通過するので、数の大きい小型のサイクロン本体を収容する真空掃除機と比較して第2分離段に必要なエネルギーが小さくなる。したがって、分離器を収容する機械のエネルギー効率を増大させることができ、バッテリー式の機械の場合において、バッテリー寿命を延長できる。
【0007】
第1分離段は、第1出口及び第2出口を備えてもよい。汚染気流部分は、第1出口を通って第1分離段から外に出てもよく、清浄気流部分は、第2出口を通って第1分離段から外に出てもよい。その結果、各空気部分が第1分離段を出るように各空気部分を異なって取り扱うことができ得る。
【0008】
清浄気流部分には、分離器に入るゴミ粒子全てのうちの少なくとも95%がないことがある。その結果、清浄空気部分は、追加の分離段を通過させる必要なく分離器から排出され得る。
【0009】
汚染気流部分は、分離器に入る全気流のうちの5%から25%の間であってもよく、清浄気流部分は、分離器に入る全気流のうち75%から95%の間であってもよい。その結果、全気流全体のうちの比較的小さい割合のみは、第2分離段を通過させられ、そのため、第2分離段で必要なエネルギーを小さくする。さらに、第2分離段に設けるサイクロン本体の数を低減し得る。
【0010】
分離器は、第1分離段の上流側に初期分離段を備えてもよく、初期分離段は、気流から大型のゴミ粒子及び屑を取り除く。その結果、第1及び第2分離段を塞ぐまたは詰まらせることがある比較的大型のゴミ粒子及び屑は、これらゴミ粒子及び屑が第1分離段に入る前に、気流から取り除かれ得る。初期分離段は、気流が第1分離段に進む前に通過するサイクロンチャンバを備えてもよい。
【0011】
第1分離段は、羽根車を駆動させるためのモータを備えてもよい。モータを第1分離段に組み込むことによって、分離段の全体サイズを低減し得る。モータは、同様に、分離器を通して気流を発生させる羽根車と共に第1分離段内に位置することによって、冷却を改善させるという利益を受け得る。
【0012】
モータは、60krpm以上の速度で羽根車を回転させ得る。高速で羽根車を回転させることによって、羽根車のサイズを小さいままとしておくことが可能となる一方、所望レベルの気流を依然としてもたらす。また、羽根車を回転させることによって、結果として、ゴミ粒子を気流のより小さい部分に凝縮させ得る。したがって、汚染気流部分は、容積で低減され、第2分離段にかかる気流負荷は、低減される。
【0013】
本発明は、気流からゴミ粒子を取り除く方法をさらに提供しており、この方法は、第1分離段において、羽根車を用いて気流と気流内にある渦流とを発生させるステップであって、渦流がゴミ粒子を径方向外側に押しやって外側汚染気流部分と内側清浄気流部分とを生じさせる、ステップと、汚染気流部分が並列に配列された1以上のサイクロン本体を有する第2分離段を通過させられるステップと、清浄部分が第2分離段を迂回するステップと、を備える。
【0014】
その結果、気流からゴミ粒子を取り除くよりエネルギー効率の良い方法を実現できる。特に、気流を発生させるのに使用される羽根車は、同様に、第1分離段で使用され、気流部分からゴミ粒子を取り除いており、羽根車に提供されるより多くのエネルギーを利用する。さらに、第2分離段は、全気流のうち比較的小さい割合からゴミ粒子を分離する必要があるのみであり、そのため、第2分離段では、必要なエネルギーが小さく、システム全体をよりエネルギー効率の良いものとする。
【0015】
方法は、羽根車の下流側にある第1分離段で汚染気流部分を清浄気流部分から分けるステップをさらに備えてもよい。清浄気流部分は、タービンセクションを通過させられ、清浄気流部分からエネルギーを取り戻してもよい。したがって、清浄空気部分内に含まれるエネルギーを無駄にせず、使用する全体エネルギーを低減し、このため、気流からゴミ粒子を取り除くよりエネルギー効率の良い方法を実現する。
【0016】
方法は、モータを用いて60krpm以上で羽根車を駆動するステップを備えてもよい。その結果、所望の気流速度及びゴミ粒子の凝縮を実現できる。
【0017】
方法は、第1分離段の上流側にある初期分離段を気流が通過し、気流から大型のゴミ粒子及び屑を取り除くステップをさらに備えてもよい。これは、第1及び第2分離段を塞ぐまたは詰まらせることがある大型のゴミ及び屑が第1分離段に入る前に、これら大型のゴミ及び屑を取り除く。
【0018】
本発明は、上述のいずれかで説明したような分離器を備える真空掃除機をさらに提供する。
【0019】
本発明は、真空掃除機をさらに提供しており、この真空掃除機は、真空掃除機を通る気流を発生させるための羽根車と、羽根車の下流側にあるサイクロン式分離段と、を備え、サイクロン式分離器は、気流からゴミ粒子を分離するために並列に配列された1以上のサイクロン本体を有し、羽根車は、気流中に渦流を発生させ、渦流は、気流中に取り込まれているゴミ粒子を径方向外側へ押しやり、外側汚染気流部分と内側清浄気流部分とを生じさせ、汚染気流部分のみをサイクロン式分離段を通過させ、それにより、全気流のうちの5%から25%の間は、全気流から全ゴミ粒子を取り除くためにサイクロン式分離段を通過する。
【0020】
同様に、本明細書では、気流から粒子を分離するための装置を説明しており、この装置は、内壁部を備えるハウジングと、ハウジング内に位置しかつハウジングから間隔をあけた本体であって、それにより、本体と内壁部との間に環状流動経路を画成している、本体と、を備え、ハウジングは、回転方向で静止しており、本体は、回転軸回りにハウジングに対して回転可能であり、本体は、ハウジングの内壁部に向けて本体から環状流動経路内へ延在する第1組のブレードを有する羽根車セクションであって、装置を通る気流を発生させるために及び気流内に渦流を発生させるために回転可能である、羽根車セクションと、羽根車セクションの下流側に位置するタービンセクションであって、気流から回転エネルギーを取り戻すための第2組のブレードを有する、タービンセクションと、を備える。
【0021】
その結果、エネルギーは、羽根車の下流側においてタービンによって気流から取り戻され得る。これにより、よりエネルギー効率のよい分離器をもたらし得る。同様に、これにより、気流から粒子を分離するための装置を含むバッテリー式デバイスのバッテリー寿命を改善する。
【0022】
ハウジングの内壁部は、本体の形状を補完するように形付けられてもよい。このように、空気は、制御された経路に沿って向けられ、気圧は、経路の長さに沿って維持される。
【0023】
羽根車セクションは、環状流動経路の直径が本体の羽根車セクションの長さに沿うにしたがって径方向に拡大するように形付けられてもよい。これは、気流中のゴミ粒子に作用する遠心力の影響を最大化することを補助する。遠心力の影響は、遠心力を大きくすること、並びに、乱流を低減すること、及び、圧力損失を低減させること、によって最大化され得る。
【0024】
本体の羽根車セクションは、装置の汚染空気部分内に位置してもよく、タービンセクションは、装置の清浄空気部分内に位置してもよい。このように、空気内のゴミ粒子を凝縮させてゴミ粒子を含む空気量を低減するために、羽根車は、装置の汚染空気部分内のシステムのエネルギーを増大させることができる。これは、清浄した空気からエネルギーを回収するために、タービンを通過される清浄な空気のセクションを提供し、装置の効率を増大させる。
【0025】
装置は、羽根車セクションとタービンセクションとの間に位置するスプリッタを備えており、増大したゴミ濃度を含む汚染気流部分をゴミ濃度を低減した清浄気流部分から分けてもよい。スプリッタは、清浄及び汚染気流部分を下流側でより容易に異なって取り扱うことを可能とする。本体のタービンセクションは、スプリッタの下流側に位置してもよい。ゴミ粒子を依然として含む空気からエネルギーを取り戻す場合、装置は、ゴミ分離の観点から効率が良くない。したがって、タービンセクションをスプリッタの下流側に位置することによって、清浄空気部分からのエネルギーを取り戻せるので、より効率のよい装置を実現できる。
【0026】
本体は、本体を回転させるモータに接続されてもよい。モータは、80krpmから120krpmの間で、より特には90krpmから100krpmの間で、本体を駆動してもよい。高速で回転するモータを用いて本体を回転することにより、より大きな遠心力が引き起こされる。これにより、全空気のうち気流の清浄空気部分となり得る割合をさらに最大化でき、装置の効率をさらに増大させる。
【0027】
モータによって本体を回転させることにより、羽根車セクションは、15l/sから25l/sの間で、より特には約20l/sの流量で、装置内に空気を引き込ませてもよい。この大きさの流量は、気流からゴミを取り除くための装置に対して良好なレベルの分離性能をもたらす。
【0028】
装置内において、気流の100%は、本体の羽根車セクションに沿って位置する環状流動経路を通過してもよく、気流の75%から95%の間は、本体のタービンセクションに沿って位置する環状流動経路を通過してもよい。これにより、全気流の75%から95%の間からエネルギーを取り戻すことが可能となり、このため、装置に関する効率の増大をもたらす。
【0029】
気流の残りの5%から25%は、本体のタービンセクションよりも前で装置から出てもよく、第2分離装置に向けられてもよい。したがって、ゴミ粒子を含む汚染気流部分は、当初の全気流容積と比較して低減した気流容積からゴミ粒子を取り除くための別の装置に向けられてもよい。第2分離装置が取り扱う必要がある容積を低減しているので、第2分離装置を小型に作成できる。
【0030】
さらに、真空掃除機は、上述のいずれかで説明したような気流から粒子を分離する装置を備えてもよい。
【0031】
同様に、本明細書では、気流からゴミを取り除くための装置を説明しており、この装置は、空気入口と、装置を通る気流を発生させるための、及び、気流中に渦流を発生させるための、羽根車であって、渦流が、ゴミを径方向外側に押しやり、羽根車の下流側で外側汚染気流部分及び内側清浄気流部分を生じさせる、羽根車と、気流を分岐させ、羽根車の下流側にある1以上のスプリッタであって、外側汚染部分を内側清浄部分から分離させる、1以上のスプリッタと、を備える。
【0032】
その結果、装置は、2つの分離した気流部分を発生させ、これら気流部分は、分離性能及びエネルギー効率を最大化するために、さらに適切に処理され得る。汚染気流部分は、全体気流に元々は含まれていたゴミ粒子全てを含んでおり、そのため、元の気流の一部のみは、気流からゴミを完全に取り除くために、その後の分離段に送られる必要がある。装置によって発生された清浄気流部分は、追加の分離段を通過させられる必要がなく、そのため、装置のエネルギー効率を改善するために、エネルギーは、この部分から取り戻され得る。
【0033】
装置は、1以上のスプリッタの下流側に第1及び第2空気出口をさらに備えてもよい。分離された汚染気流部分は、第1空気出口を通過し得、分離した清浄気流部分は、第2空気出口を通過し得る。これにより、分離した各気流部分を必要に応じてより容易に異なって取り扱うことを可能とする。
【0034】
第1空気出口は、汚染気流を下流側の分離段に向け得る。下流側の分離段は、並列に配列された1以上のサイクロン本体を備えてもよい。第1空気出口を下流側の分離段に向けることによって、ゴミ粒子を空気部分から取り除き得るために、汚染空気部分は、下流側の分離段を通過させられる。並列に配列された1以上のサイクロン本体を有する下流側の分離段を設けることによって、高レベルの分離性能を実現できる。
【0035】
分離した清浄気流部分は、タービンを通過されてもよい。タービンは、羽根車に接続されてもよい。その結果、清浄気流部分内に含まれるエネルギーをタービンによって取り戻し得る。これにより、装置のエネルギー効率を増大させる。
【0036】
分離された汚染気流部分は、空気入口を通って装置に入る全気流のうちの5%から25%の間であり得る。汚染気流部分をできるだけ小さいままとすることによって、エネルギーを取り戻し得る清浄気流部分における空気量を最大化できる。同様に、追加の下流側の分離段を通過させる必要がある空気の容積を低減し得る。これにより、下流側の分離段で必要とされるエネルギー量を低減し、同様に、下流側の分離段のサイズを低減でき得る。
【0037】
装置は、羽根車を回転させるためのモータをさらに備えてもよい。モータは、60krpm以上で、好ましくは80krpmから120krpmの間で、より好ましくは90krpmから100krpmの間で、羽根車を駆動し得る。このような高速で回転するモータを用いて羽根車を回転させることによって、結果として、より大きな遠心力を引き起こす。これにより、結果として得られる清浄気流部分の容積をさらに最大化し、装置の効率をさらに増大させる。
【0038】
空気入口での流量は、15l/sから25l/sの間であってもよい。汚染気流部分の流速は、0.75l/sから6.25l/sの間であってもよく、清浄気流部分の流速は、8.75l/sから23.75l/sの間であってもよい。
【0039】
空気入口での流量がほぼ20l/sである場合、汚染気流部分の流量は、ほぼ2l/sであり得、清浄気流部分の流量は、ほぼ18l/sであり得る。
【0040】
同様に、本明細書には、上述のいずれかで説明したような気流からゴミを分離するための装置を備える真空掃除機をさらに提供する。
【0041】
本発明をより迅速に理解するため、以下の添付の図面を参照しながら、例として、本発明の実施形態を説明する。