特許第6559564号(P6559564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559564浴室施工用の型紙、浴室施工キット及び浴室施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559564
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】浴室施工用の型紙、浴室施工キット及び浴室施工方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/20 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   E03C1/20 C
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-255276(P2015-255276)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-115549(P2017-115549A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】安沢 智明
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−167103(JP,A)
【文献】 特開2000−204624(JP,A)
【文献】 特開2008−214927(JP,A)
【文献】 特開2005−060980(JP,A)
【文献】 特開2015−161164(JP,A)
【文献】 特開2011−190609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/298
E04F 15/00
E03D 11/00−11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水トラップと、床材、及び前記床材に接続される脚部を有する床材ユニットと、を設置するために用いられる浴室施工用の型紙であって、
前記型紙の水平方向の設置箇所の指標となる目印表示部と、
前記排水トラップを設置する位置を表示するトラップ位置表示部と、
前記脚部を設置する位置を表示する脚部位置表示部と、を備える浴室施工用の型紙。
【請求項2】
前記脚部位置表示部は、貫通穴である請求項1に記載の浴室施工用の型紙。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の浴室施工用の型紙と、
前記トラップ位置表示部に配置され、前記排水トラップの水平方向の位置を規制するトラップ設置枠体と、を備える浴室施工キット。
【請求項4】
前記トラップ設置枠体は、前記排水トラップの高さの位置を調整可能である請求項3に記載の浴室施工キット。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の浴室施工用の型紙と、
前記目印表示部に配置され、垂直に立ち上がる垂直面を有し、前記型紙の水平方向の位置を決めるために用いられる位置決め部材と、を備える浴室施工キット。
【請求項6】
排水トラップと、床材、及び前記床材に接続される脚部を有する床材ユニットと、を設置するために用いられる浴室施工用の型紙であって、
前記型紙の水平方向の設置箇所の指標となる目印表示部と、
前記排水トラップを設置する位置を表示するトラップ位置表示部と、
前記脚部を設置する位置を表示する脚部位置表示部と、を備える型紙を用いて施工する浴室の施工方法であって、
前記目印表示部に基づいて、前記型紙を浴室に配置する第1工程と、
前記排水トラップを前記型紙の前記トラップ位置表示部に設置する第2工程と、
前記排水トラップに接続される排水管を前記脚部位置表示部を避けるように設置する第3工程と、
前記床材ユニットの前記脚部を前記脚部位置表示部に設置する第4工程と、を備える浴室の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室施工用の型紙、浴室施工キット及び浴室施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の施工において、躯体仕様の違い等により躯体床部の排水口の位置が異なっても対応可能な浴室の床の排水構造を採用している技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、便器を設置する位置を表示した型紙が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−60980号公報
【特許文献2】特許第5600974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、躯体仕様の違いのために躯体床部の排水口と浴室の床の排出孔との接続構造を工夫している。一方、特許文献2に記載の技術では、便器を設置する位置を表示した型紙を利用して、便器をトイレルームに設置する場合に、トイレルームの構造に変化を加えることなく、便器をトイレルームの正確な位置に設置できる。しかし、特許文献2には、浴室の施工に用いられる型紙についての記載はない。
【0005】
本発明は、浴室の施工に関して、浴室構造の違いによらず、なんら浴室構造に変化を加えることなく、作業性を向上させることができる浴室施工用の型紙、浴室施工キット及び浴室施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、排水トラップ(例えば、後述の排水トラップ40)と、床材(例えば、後述の床材21)、及び前記床材に接続される脚部(例えば、後述の)を有する床材ユニット(例えば、後述の床材ユニット30)と、を設置するために用いられる浴室施工用の型紙(例えば、後述の型紙60)であって、前記型紙の水平方向の設置箇所の指標となる目印表示部(例えば、後述の目印表示部61)と、前記排水トラップを設置する位置を表示するトラップ位置表示部(例えば、後述のトラップ位置表示部62)と、前記脚部を設置する位置を表示する脚部位置表示部(例えば、後述の脚部設置穴63)と、を備える浴室施工用の型紙に関する。
【0007】
また、前記脚部位置表示部は、貫通穴であることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、浴室施工用の前記型紙と、前記トラップ位置表示部に配置され、前記排水トラップの水平方向の位置を規制するトラップ設置枠体(例えば、後述のトラップ設置枠体70)と、を備える浴室施工キット(例えば、後述の浴室施工キット50)に関する。
【0009】
また、前記トラップ設置枠体は、前記排水トラップの高さの位置を調整可能であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、浴室施工用の前記型紙と、前記目印表示部に配置され、垂直に立ち上がる垂直面(例えば、後述の垂直面82a)を有し、前記型紙の水平方向の位置を決めるために用いられる位置決め部材(例えば、後述の位置決めコーン80)と、を備える浴室施工キットに関する。
【0011】
また、本発明は、排水トラップと、床材、及び前記床材に接続される脚部を有する床材ユニットと、を設置するために用いられる浴室施工用の型紙であって、前記型紙の水平方向の設置箇所の指標となる目印表示部と、前記排水トラップを設置する位置を表示するトラップ位置表示部と、前記脚部を設置する位置を表示する脚部位置表示部と、を備える型紙を用いて施工する浴室の施工方法であって、前記目印表示部に基づいて、前記型紙を浴室に配置する第1工程と、前記排水トラップを前記型紙の前記トラップ位置表示部に設置する第2工程と、前記排水トラップに接続される排水管を前記脚部位置表示部を避けるように設置する第3工程と、前記床材ユニットの前記脚部を前記脚部位置表示部に設置する第4工程と、を備える浴室の施工方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浴室の施工に関して、浴室構造の違いによらず、なんら浴室構造に変化を加えることなく、作業性を向上させることができる浴室施工用の型紙、浴室施工キット及び浴室施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る浴室施工用の浴室施工キットを用いて施工された浴室を示す平面図である。
図2】浴室の床構造の構成を示す斜視図である。
図3】本発明に係る浴室施工キットの型紙を示す平面図である。
図4A】浴室施工キットのトラップ設置枠体を示す斜視図である。
図4B】浴室施工キットの位置決めコーンを示す斜視図である。
図5】浴室施工用の浴室施工キットを用いて床構造を施工する様子を示す図であって、型紙を浴室の所定の設置箇所に配置する様子を示す図である。
図6】浴室施工用の浴室施工キットを用いて床構造を施工する様子を示す図であって、トラップ設置枠体に排水トラップを設置する様子を示す図である。
図7】浴室施工用の浴室施工キットを用いて床構造を施工する様子を示す図であって、トラップ設置枠体に排水トラップを設置した後に、床材ユニットを設置する様子を示す図である。
図8】浴室施工用の浴室施工キットを用いて床構造を施工する様子を示す図であって、排水トラップを床材ユニットに固定する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。図1は、本発明に係る浴室施工用の浴室施工キット50を用いて施工された浴室を示す平面図である。図2は、浴室1の床構造10の構成を示す斜視図である。
【0015】
本発明に係る浴室施工用の浴室施工キット50は、図2に示すように、浴室1の床構造10を施工するために用いられる。具体的には、浴室施工用の浴室施工キット50は、排水トラップ40と、床材21、及び床材21に接続される支持脚部23を有する床材ユニット30と、を設置するために用いられる。
【0016】
図1及び図2に示すように、浴室1は、洗い場2と、浴槽3と、シャワー部4と、カウンタ5と、ドア部6と、を有している。浴槽3は、洗い場2に隣接して設けられ、シャワー部4、カウンタ5及びドア部6は、洗い場2の上部に設けられる。
洗い場2は、浴室1の床構造10における床材ユニット30の上面により構成される。浴室1の床構造10は、図2に示すように、床材ユニット30と、排水トラップ40と、排水管としての排水パイプ44と、を備える。
【0017】
床材ユニット30は、図2に示すように、フレーム20と、床材21と、2本の補強バー22,22と、複数の支持脚部(脚部)23と、を有する。
フレーム20は、床材ユニット30の外周を囲む長方形状の枠体で形成される。
2本の補強バー22,22は、フレーム20の下部において、直線状に延びて形成され、フレーム20を補強する。2本の補強バー22,22は、フレーム20の対向する長辺の間において、フレーム20の長辺に平行に延びて配置され、フレーム20の対向する短辺同士を接続する。
【0018】
床材21は、平板状に形成され、フレーム20の内側において、フレーム20に固定されている。床材21の上面は、洗い場2の床の上面を構成する。本実施形態においては、床材21は、例えば、タイル材で構成されている。床材21の長手方向の中央における浴槽3側には、排水口21aが形成されている。
【0019】
複数の支持脚部23は、2本の補強バー22,22を介して、床材21に接続される。複数の支持脚部23は、2本の補強バー22,22の下部から下方に延びる。複数の支持脚部23は、2本の補強バー22,22が延びる方向に沿って並んで配置される。複数の支持脚部23は、それぞれ高さ(長さ)調整機構を備えている。
【0020】
排水トラップ40は、図2に示すように、上面に開口する洗い場用流入口41と、上面に開口する浴槽用流入口42と、浴槽3側とは反対方向に開口する流出口43と、を有する。洗い場用流入口41は、床材21の排水口21aに接続され、浴槽用流入口42は、浴槽3の排水口3a(図1参照)に接続される。流出口43は排水パイプ44に接続される。
【0021】
次に、浴室施工キット50について説明する。図3は、本発明に係る浴室施工キット50の型紙60を示す平面図である。図4Aは、浴室施工キット50のトラップ設置枠体70を示す斜視図である。図4Bは、浴室施工キット50の位置決めコーン80を示す斜視図である。
【0022】
本発明に係る浴室施工キット50は、型紙60(図3参照)と、トラップ設置枠体70(図4A参照)と、位置決め部材としての位置決めコーン80(図4B参照)と、を備える。
【0023】
型紙60は、図3に示すように、紙材により長方形のシート状に形成される。型紙60には、目印表示部61と、トラップ位置表示部62と、複数の脚部位置表示部としての脚部設置穴63と、が表示されている。
【0024】
トラップ位置表示部62は、排水トラップ40を設置する位置を表示する。トラップ位置表示部62には、後述するトラップ設置枠体70を介して、排水トラップ40(図2参照)が配置される。トラップ位置表示部62は、型紙60の長辺方向の中央部において、型紙60の短辺方向の一方側(図3における右側)の端部に、形成される。
【0025】
本実施形態においては、トラップ位置表示部62は、図3に示すように、印刷により形成され、例えば、外形領域印刷線62aと、洗い場用流入口外形印刷線62bと、により表示される。外形領域印刷線62aは、排水トラップ40を配置可能な領域の外形を示す線である。洗い場用流入口外形印刷線62bは、排水トラップ40の洗い場用流入口41の外形を示す線である。なお、トラップ位置表示部62の表示は、適宜変更可能である。例えば、印刷線で表示したものに限られず、位置を表示する点などを印刷したものや、貫通穴や切り欠き穴であってもよい。
【0026】
複数の脚部設置穴63は、支持脚部23(図2参照)を設置する位置を表示する。脚部設置穴63は、複数の支持脚部23を配置可能な領域の外形が、型紙60を貫通する貫通穴により形成される。複数の脚部設置穴63には、床材ユニット30の支持脚部23が配置される。本実施形態においては、脚部設置穴63の貫通穴は、平面視で、方形状に形成される。なお、脚部設置穴63の貫通穴は、方形状に限られず、例えば、円形状や多角形状でもよい。また、脚部設置穴63は、貫通穴に限られず、例えば、印刷により表示してもよい。
【0027】
目印表示部61は、型紙60の水平方向の設置箇所の指標となる表示部である。目印表示部61は、型紙60の短辺方向の他方側(図3における左側)に表示される。目印表示部61は、図3に示すように、脚部設置穴63の一部により構成される。具体的には、目印表示部61は、型紙60の短辺方向の他方側(図3における左側)の脚部設置穴63において、目印表示部61の貫通穴の一辺63aにより構成される。例えば、段差の側壁面101(図5参照)などの壁面から目印表示部61を構成する一辺63aまでの距離を所定の距離となるように位置合わせを行うことで、型紙60を浴室1の所定の設置箇所に位置させることができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、目印表示部61を脚部設置穴63の貫通穴の一部により構成したが、これに限定されない。目印表示部61を、脚部設置穴63とは別に設けてもよく、例えば、印刷された目印線などで構成することができる。この場合には、印刷された目印線などに基づいて、型紙60を所定の設置箇所に配置できる。また、目印表示部61を表示する位置は、型紙60の短辺方向の他方側(図3における左側)に限定されない。また、例えば、目印表示部61は、本実施形態のように型紙60を矩形状に形成した場合に、型紙60のコーナ部分であってもよい。
【0029】
トラップ設置枠体70は、型紙60のトラップ位置表示部62に配置される。トラップ設置枠体70には、排水トラップ40(図2参照)が設置される。トラップ設置枠体70は、排水トラップ40の水平方向の位置を規制する。トラップ設置枠体70は、図4Aに示すように、台紙71と、3つの箱部材72と、を備える。
【0030】
台紙71は、紙材により形成され、図4Aに示すように、シート状に形成される。台紙71は、型紙60のトラップ位置表示部62(図3参照)の外形の形状と略同じ形状に形成され、一方側において、長方形の一対の角部が切り欠かれた段差形状に形成される。台紙71の上面には、トラップ位置を表示するトラップ表示部71aが表示されている。
【0031】
3つの箱部材72は、図4Aに示すように、台紙71の上面に固定されている。3つの箱部材72は、それぞれ、直方体形状に形成され、紙材を組み立てることにより形成されている。3つの箱部材72は、排水トラップ40が載置される立体載置台となるように適宜組み合わされて配置される。
【0032】
具体的には、3つの箱部材72は、排水トラップ40の形状に合わせて、排水トラップ40を下方から支持するように配置される。本実施形態では、図2に示すように、排水トラップ40の幅方向の両側には、箱部材72が配置されており、排水トラップ40の長手方向の一方側には、排水トラップ40の流出口43への配管が配置されるため箱部材72は配置されておらず、長手方向の他方側には、浴槽用流入口42への配管が一部に配置されるため一部を開放した状態で箱部材72が配置されている。
【0033】
なお、トラップ設置枠体70を3つの箱部材72で構成したが、これに限定されない。トラップ設置枠体70を、1つの立体的な箱部材で構成したり、2つ又は4つ以上の箱部材で構成してもよい。また、トラップ設置枠体70を、紙材で構成しなくてもよく、例えば、樹脂材料や木材や金属や粘土などの部材で構成してもよい。また、トラップ設置枠体70を、箱体で構成しなくてもよく、排水トラップ40を位置決めすることができれば、例えば、板状体であってもよい。
【0034】
また、トラップ設置枠体70は、図6に示すように、スペーサ部材90を備える。
スペーサ部材90は、図6に示すように、トラップ設置枠体70に設置される排水トラップの下方に配置され、排水トラップ40の高さの位置を調整可能である。スペーサ部材90には、紙材により構成される。スペーサ部材90においては、排水トラップ40を所定の高さに調整するために、紙材の枚数を調整可能である。
【0035】
位置決めコーン80は、型紙60の水平方向の位置を決めるために用いられる。位置決めコーン80は、型紙60の水平方向の位置を決める場合に、型紙60の目印表示部61に配置される。
【0036】
位置決めコーン80は、図4Bに示すように、上方が尖った三角錐の一方側が開放した形状に形成される。位置決めコーン80は、L字形状の底板81と、2つの直角三角形状の垂直板82と、を有する。2つの垂直板82は、底板81における直角を挟む外側の2辺から、それぞれ、立ち上がるように形成される。2つの垂直板82は、2つの垂直板82が直角に配置されるように、直角の部分の長辺同士が、接続されている。垂直板82の外側の面は、垂直に立ち上がる垂直面82aを構成する。
【0037】
例えば、図5に示すように、床材ユニット30が設置される床スラブ100と脱衣所102との間に高低差があって段差となっている場合において、位置決めコーン80の垂直面82aから段差の側壁面101までの水平方向の距離が所定距離Lとなるように、型紙60を移動させる。これにより、型紙60を浴室1の所定の設置箇所に配置することができる。
【0038】
次に、図5図8を参照して、浴室施工用の型紙を用いて浴室1の床構造10を施工する方法について説明する。
まず、図5に示すように、型紙60の目印表示部61に位置決めコーン80を接着部材などで接着して設置する。作業者は、目印表示部61に設置された位置決めコーン80を用いて、型紙60を浴室1の所定の設置箇所に配置する(第1工程)。
具体的には、例えば、床材ユニット30が設置される床スラブ100と脱衣所102との間に高低差があって段差となっている場合において、位置決めコーン80の垂直面82aから段差の側壁面101までの水平方向の距離が所定距離Lとなるように、型紙60を移動させる。これにより、型紙60を浴室1の所定の設置箇所に配置することができる。型紙60を浴室1の所定の設置箇所に配置した後に、位置決めコーン80を取り外す。
【0039】
次に、図6に示すように、型紙60のトラップ位置表示部62にトラップ設置枠体70を配置する。続けて、排水トラップ40を、トラップ設置枠体70に設置する。これにより、排水トラップ40を、型紙60のトラップ位置表示部62に設置する(第2工程)。
【0040】
その後、図7に示すように、排水トラップ40の流出口43に排水パイプ44を接続する。そして、排水パイプ44を、脚部設置穴63を避けるように配管して設置する(第3工程)。
【0041】
続けて、床材ユニット30を設置する。床材ユニット30を設置する際には、床材ユニット30の支持脚部23を脚部設置穴63(脚部位置表示部)に設置する(第4工程)。ここで、排水パイプ44を、脚部設置穴63を避けるように設置している。そのため、床材ユニット30が設置された場合において、排水パイプ44は、床材ユニット30の支持脚部23が配置される位置を避けた位置に配置されている。これにより、排水パイプ44を避けて、支持脚部23を設置できる。
【0042】
この状態で、型紙60、トラップ設置枠体70及びスペーサ部材90を、床材ユニット30を少し上方に持ち上げて、取り外すことができる。なお、浴室1の床構造10の施工後において、型紙60、トラップ設置枠体70及びスペーサ部材90を取り外さずに、そのままの状態で配置していても、浴室1の床構造10としては問題はない。本実施形態では、型紙60、トラップ設置枠体70及びスペーサ部材90を、そのままの状態で配置している。
【0043】
次に、図8に示すように、排水トラップ40を床材ユニット30に固定する。具体的には、まず、床材ユニット30の排水口21aの内面のねじ溝に、外周面にねじ溝が形成された環状のパッキン93を螺合させる。この状態で、パッキン93の上方側にワッシャ92を配置し、排水トラップ40と床材ユニット30とを固定部材91により固定する。固定部材91は、上下方向に延び且つ外面にねじ溝が形成される筒状部91bと、筒状部91bの上部において径方向に円環状に突出するフランジ部91aと、を有する。固定部材91の筒状部91bをワッシャ92及びパッキン93に挿入して、固定部材91のフランジ部91aがワッシャ92を介してパッキン93を押圧した状態で、筒状部91bのねじ溝の先端を排水トラップ40の洗い場用流入口41の内周のねじ溝に螺合させる。これにより、排水トラップ40を床材ユニット30に固定することができる。
【0044】
以上のように、浴室施工用の浴室施工キット50を用いて、浴室1の床構造10を施工できる。
【0045】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態の型紙60は、排水トラップ40と、床材21及び床材21に接続される支持脚部23を有する床材ユニット30と、を設置するために用いられる浴室施工用の型紙60であって、型紙60の水平方向の設置箇所の指標となる目印表示部61と、排水トラップ40を設置する位置を表示するトラップ位置表示部62と、支持脚部23を設置する位置を表示する脚部設置穴63と、を備える。
そのため、型紙60を所定の設置箇所に配置して、排水トラップ40をトラップ位置表示部62に設置し、支持脚部23を脚部設置穴63に設置することで、排水トラップ40を所定の配置位置に設置した状態で、床材ユニット30を設置できる。よって、排水トラップ40を所定の配置位置に設置できるため、浴室1の床構造10を施工する際の作業性を向上できる。従って、浴室構造の違いによらず、なんら浴室構造に変化を加えることなく、排水トラップ40及び床材ユニット30を設置する際の浴室1の施工に関して作業性を向上できる。
また、脚部設置穴63を避けるように、排水トラップ40に接続する排水パイプ44を設置できるため、支持脚部23を有する床材ユニット30を設置する際の作業性を向上できる。
【0046】
従来、浴室1の床構造10に関して、フレーム20と床材21(例えばタイル材)とが床材ユニット30として一体化して形成される場合に、排水トラップ40を設置した後に、フレーム20と床材21とが一体化された床材ユニット30を排水トラップ40の上方に設置していた。そのため、フレーム20と床材21とが別体で形成され、フレーム20を先に設置して排水トラップ40を後に設置する場合と比べて、フレーム20との位置関係で排水トラップ40を設置する位置を決定することができず、排水トラップ40を所定の配置位置に設置することが難しかった。これに対して、本発明によれば、フレーム20と床材21とが床材ユニット30として一体化して形成される場合であっても、床材ユニット30を設置する前に、排水トラップ40を、型紙60のトラップ位置表示部62に設置することで所定の配置位置に設置できる。そのため、浴室1の床構造10を施工する際の作業性をより向上できる。
【0047】
また、本実施形態の型紙60においては、脚部設置穴63は、貫通穴である。そのため、支持脚部23を脚部設置穴63に配置しても、支持脚部23は、型紙60には接触しない。これにより、型紙60の位置ずれに起因する排水トラップ40が移動することを抑制できる。
【0048】
また、本実施形態の浴室施工キット50は、浴室施工用の型紙60と、トラップ位置表示部62に配置され、排水トラップ40の水平方向の位置を規制するトラップ設置枠体70と、を備える。そのため、トラップ設置枠体70に排水トラップ40を設置するだけで、排水トラップ40を水平方向において設置位置に配置できる。これにより、浴室1の床構造10を施工する際の作業性をより向上できる。
【0049】
また、本実施形態の浴室施工キット50は、トラップ設置枠体70は、排水トラップ40の高さの位置を調整可能である。そのため、排水トラップ40の上下方向の位置を調整して、排水トラップ40を床材ユニット30に取り付けることができる。これにより、浴室1の床構造10を施工する際の作業性をより向上できる。
【0050】
また、本実施形態の浴室施工キット50は、浴室施工用の型紙60と、目印表示部61に配置され、垂直に立ち上がる垂直面82aを有し、型紙60の水平方向の位置を決めるために用いられる位置決めコーン80と、を備える。
そのため、型紙60の上方において、型紙60の水平方向の位置を決めることができる。特に、段差がある場合の側壁面101との水平方向の距離Lを調整する場合に、位置決めコーン80の垂直面82aから側壁面101までの水平方向の距離Lを調整して、型紙60の水平方向の位置決めを容易に行うことができる。これにより、浴室1の床構造10を施工する際の作業性をより向上できる。
【0051】
また、本実施形態の浴室の施工方法では、目印表示部61に基づいて、型紙60を浴室1の所定の設置箇所に配置する第1工程と、排水トラップ40を型紙60のトラップ位置表示部62に設置する第2工程と、排水トラップ40に接続される排水パイプ44を、脚部設置穴63を避けるように設置する第3工程と、床材ユニット30の支持脚部23を脚部設置穴63に設置する第4工程と、を備える。
そのため、従って、浴室構造の違いによらず、なんら浴室構造に変化を加えることなく、浴室1の床構造10を施工する際の作業性を向上できる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、型紙60を紙材で形成した。この場合に、防水加工を施した紙材などの防水シートを使用してもよい。型紙60として防水シートを使用する場合には、紙材シートの外周縁を上部に折り返すと共に、脚部設置穴63の周縁を上部に折り返すことで、型紙60の上部に水を溜める構成として、防水効果を得ることができる。
【0053】
上記実施形態では、浴室施工キット50は、トラップ設置枠体70を備える構成としたが、これに限定されない。浴室施工キット50は、トラップ設置枠体70を備えていなくてもよく、型紙60のみの構成であってもよい。トラップ設置枠体70を備えていない場合には、型紙60のトラップ位置表示部62に、排水トラップ40を直接設置してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…浴室
20…フレーム
21…床材
23…支持脚部(脚部)
30…床材ユニット
40…排水トラップ
44…排水パイプ(排水管)
50…浴室施工キット
60…型紙
61…目印表示部
62…トラップ位置表示部
63…脚部設置穴(脚部位置表示部)
70…トラップ設置枠体
80…位置決めコーン(位置決め部材)
82a…垂直面
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8