特許第6559570号(P6559570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559570
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】波面歪みの少ない光学マウント
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/00 20060101AFI20190805BHJP
   G02B 7/182 20060101ALI20190805BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G02B7/00 F
   G02B7/182
   G02B7/02 A
   G02B7/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-550774(P2015-550774)
(86)(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公表番号】特表2016-505895(P2016-505895A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】US2013077848
(87)【国際公開番号】WO2014105975
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2016年12月20日
(31)【優先権主張番号】61/745,932
(32)【優先日】2012年12月26日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515002791
【氏名又は名称】ソルラブス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(72)【発明者】
【氏名】ダレッシオ ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ケーブル、アレックス、エズラ
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−243438(JP,A)
【文献】 実開昭62−143916(JP,U)
【文献】 実開昭59−035905(JP,U)
【文献】 国際公開第2011/053929(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0225255(US,A1)
【文献】 特開2005−091768(JP,A)
【文献】 特開2002−141270(JP,A)
【文献】 特開2000−066075(JP,A)
【文献】 特開2000−131583(JP,A)
【文献】 米国特許第03642353(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0132934(US,A1)
【文献】 特開2011−033886(JP,A)
【文献】 特開2009−210693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00 − 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品の周囲に隣接し、その周囲で前記光学部品の第1表面に接触するように構成された少なくとも1つの個別の接触点を有する、前記光学部品用の少なくとも1つの拘束要素と、
前記光学部品の周囲に隣接し、その周囲で前記光学部品の前記第1表面とは反対側の第2表面に接触するように構成された少なくとも1つの個別の接触点を有する、少なくとも1つの力要素と、を備える光学マウントであって、
前記光学部品の前記第1表面に接触する個別の各接触点には、同じ半径方向位置で前記光学部品の第2表面に接触する対応する個別の接触点があり、
前記光学部品の周囲の半分以上が露出しており、
前記力要素は、筐体内のねじ穴内にあり、保持リングによって前記光学部品に対して圧縮されており、
前記力要素によって前記光学部品に加えられる力は、前記保持リングを回転させることによって調整される
光学マウント。
【請求項2】
前記少なくとも1つの力要素が波形ばねである
請求項1に記載の光学マウント。
【請求項3】
前記波形ばねが複数の位置で前記光学部品の前記第2表面に対して接触し、各接触点が拘束要素に対応している
請求項2に記載の光学マウント。
【請求項4】
前記光学マウントが、
前記少なくとも1つの拘束要素および前記波形ばねを含む筐体と、
少なくとも1つのばね受けの切り欠き部と、をさらに備え、
前記ばね受けの切り欠き部が、前記第1表面に垂直な軸を中心とした前記ばねの回転方向を制御する
請求項3に記載の光学マウント。
【請求項5】
前記少なくとも1つの力要素が、筐体内に維持された複数の圧縮ばねである
請求項1に記載の光学マウント。
【請求項6】
前記少なくとも1つの力要素が、筐体内に維持された複数の磁石である
請求項1に記載の光学マウント。
【請求項7】
前記少なくとも1つの拘束要素が、筐体から延びている少なくとも1つのタブである
請求項1に記載の光学マウント。
【請求項8】
前記少なくとも1つの拘束要素が、筐体から延びている3つのタブである
請求項7に記載の光学マウント。
【請求項9】
第1タブが、前記光学部品の周面に対する少なくとも1つの接触点を有する押圧要素を有し、第2タブおよび第3タブに対して前記光学部品を固定する
請求項8に記載の光学マウント。
【請求項10】
前記少なくとも1つの拘束要素が、前記第1表面に垂直な軸に沿って筐体から延び、前記光学部品用の受け台を形成している
請求項1に記載の光学マウント。
【請求項11】
筐体に取り付けられたパッドをさらに備える
請求項1に記載の光学マウント。
【請求項12】
前記保持リングがボスをさらに備える
請求項に記載の光学マウント。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2012年12月26日に出願された米国仮特許出願第61/745932号に基づく優先権を主張し、当該出願に記載された内容を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に光学マウントに関し、より具体的には、使用時に光学部品の歪みを低減するように構成された光学マウントに関する。
【背景技術】
【0003】
光学マウントは、光学要素の仕様が意図せずに損なわれないことを確実にするように、光学要素を支持する光学機械装置である。研究者や製品開発者が光科学の境界をプッシュし、支持する高性能な光学要素の仕様をより完全に維持する光学機械アセンブリの必要性が高まってきた。現代の多くの光学マウントは、取り付けられた光学部品の仕様を大幅に損なう。
【0004】
レーザ品質の光学要素は、典型的には非常に高い耐性に仕上がっている。例えば、レーザ品質のミラーは、通常、0.063マイクロメートル〜0.032マイクロメートル、またはHeNeレーザから出射される赤色光の波長の約1/10〜1/20の範囲まで平坦に研磨されることになる。現行の利用可能な光学マウントは、実質的にその光学性能を低下させる力を精密光学部品に及ぼすことが見出されており、したがって、これらが使用されている光学システムの性能を低下させる。例えば、光学部品の端部に駆動されるナイロンチップ付き止めねじで固定することによって、レーザミラーの平坦性が低下する。光照射野の偏光を制御するために使用される半波長板の位相差である別の例は、従来のマウントに取り付けられた際に、その偏光特性が損なわれている。
【0005】
多くの既存のデバイスは、例えば、光学部品を締め付けるために個別のばね式フィンガ部を含み、それぞれが個別の調整を必要とし、異なる大きさと方向の不平衡力を引き起こす。設計は、多くの部品を有し、予想外の力および応力を引き起こさずに調整することは困難である。例えば、ばね力を簡単に調整できないため、既存のデバイスを、多くの場合、異なる大きさの光学部品に適応することができない。
【0006】
取り付けられた光学部品の仕様を維持することに加えて、可能な限り多くの光学部品の表面および周辺部に接近性を維持することが有利である。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、光学部品が非常に低レベルでの光学的歪みと優れた安定性で所定の位置に保持されることを確実にする、光学マウントが提供されている。歪みの少ない取り付け機構は、定量化されかつ調整可能な設定の力を提供し、さらなる利点として、この力を、環境条件の範囲にわたって比較的一定にすることができる。高性能な光学システムの必要性を満たすのに十分な締め付け力を提供しながら、光学部品にかかる歪み力を最小にするように、取り付け力の位置が制御される。
【0008】
この記載された設計を、光照射野を反射、送信、または処理する広範囲の光学デバイスに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示による、光学マウントの一実施形態の斜視図である。
【0010】
図2図2は、ブラケットに設置された図1の光学マウントの斜視図であり、光学マウントを半透明に示している。
【0011】
図3図3は、図1の光学マウントの内部要素の側面図である。
【0012】
図4図4は、半透明に示す筐体内に設置された、図3に示す図1の光学マウントの内部要素の側面図である。
【0013】
図5図5は、図1の光学マウントに使用するための保持要素の一実施形態を示す図である。
【0014】
図6A図6Aは、図1の光学マウントを較正する際の図5の保持要素の実施形態の使用を示す図である。
図6B図6Bは、図1の光学マウントを較正する際の図5の保持要素の実施形態の使用を示す別の図である。
【0015】
図7図7は、図1の光学マウントの特定の特殊な特徴を使用した光学装置の一実施形態の図である。
【0016】
図8A図8Aは、従来の側部マウントに取り付けられた光学部品に適用された有限要素解析と比較した、図1の光学マウントに取り付けられた光学部品の圧力を示す有限要素解析の一実施形態を示す図である。
図8B図8Bは、従来の側部マウントに取り付けられた光学部品に適用された有限要素解析と比較した、図1の光学マウントに取り付けられた光学部品の圧力を示す有限要素解析の一実施形態を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の原理による例示的な実施形態の説明は、明細書全体の一部とみなされる添付の図面に関連して読まれることが意図されている。本明細書に開示された本発明の実施形態の説明においては、方向または向きのいかなる参照も、単に説明の便宜のためのものであり、本発明の範囲を限定することを全く意図していない。「下の(lower)」、「上の(upper)」、「水平な(horizontal)」、「垂直な(vertical)」、「上に(above)」、「下に(below)」、「上へ(up)」、「下へ(down)」、「上部(top)」、および「底部(bottom)」のような相対的な用語ならびにその派生形(例えば、「水平に(horizontally)」、「下方に(downwardly)」、「上方に(upwardly)」など)は、検討中の図で説明されまたは示されるようにその向きを参照して解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、単に説明の便宜のためのものであり、明示的に示されない限り、器具が特定の向きに構成または操作されることを必要としない。「取り付けられる(attached)」、「取り付けられる(affixed)」、「接続される(connected)」、「接続される(coupled)」、「相互に接続される(interconnected)」のような用語、および同様の用語は、構造が固定される、すなわち介在構造を介して互いに直接または非直接に取り付けられる関係を参照し、同様に、特に明示的に記載されない限り、双方が可動または剛性の付属品あるいは関係である。また、本発明の特徴および利点は、例示の実施形態を参照することによって示される。したがって、本発明は、単独で存在することができる特徴のいくつかの可能な非限定的な組み合わせあるいは他の特徴の組み合わせを示す、このような例示的な実施形態に明確に限定されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されている。
【0018】
本開示は、最良の形態、すなわち目下考えられるような本発明を実施する形態について説明する。この説明は、限定的な意味で理解されるべきではなく、本発明の利点および構造を当業者に助言するために、添付の図面を参照して例示目的のためだけに提示される本発明の例を提供するものである。図面の種々の図において、同様の参照符号が同様または類似の部分を指定している。
【0019】
開示された実施形態は、本明細書の革新的な教示の多くの有利な使用例にすぎないことに留意することが重要である。一般に、本願明細書の記述は、さまざまな特許請求される発明のいずれかを必ずしも限定するものではない。また、一部の記述は、発明の特徴の一部に適用され、他には適用されない場合がある。特に指示されない限り、一般的に、単数形の要素が複数である場合があり、一般性を損なうことなく、逆の場合にも同じである。
【0020】
図1は、本開示による、光学マウントのフロントプレート100を示している。光学マウントのフロントプレート100は、光学部品110への力を最小にして制御し、そして光学部品110の第1表面160と周辺部180の半分以上への接近性を維持しながら、筐体120内に少なくとも1つの光学部品110を正確に配置し維持するための構成要素を含む。光学部品110は、記載された実施形態において円盤として示されているが、他の幾何学的形状または構成を用いてもよいことが理解されよう。一般に、光学部品110は、少なくとも1つの拘束要素130と少なくとも1つの力印加要素140との間で光学マウント100に固定されている。この光学部品は、光学部品110の第1表面160に対する少なくとも1つの接触点を有する拘束要素130と、この拘束要素130の第1表面160に対する接触点に対応する光学部品110の第2表面170に対する少なくとも1つの接触点を有する力印加要素140との間に保持され、この2つの要素は、光学部品110の一部に締め付け力を及ぼすために組み合わさっている。力印加要素140は、保持要素150によって所定の位置に順番に保持され、この保持要素150は、力印加要素140によって光学部品110に印加される力を調整するために使用され得る。
【0021】
図示の実施形態では、光学部品110は、第1表面160と、第1表面160の反対側の第2表面170と、厚さを有する周辺部180および円盤の第1表面に垂直な中心軸190とを含む円盤である。拘束要素130と力印加要素140との間の圧力により、中心軸190に沿って一次元で光学部品110が正確に配置され維持されている。
【0022】
拘束要素130と力印加要素140は、光学部品110の表面160,170上の別々の位置で、光学部品110と接触している。周辺部180に隣接する光学部品110の表面160,170の周囲でこの要素が光学部品110と接触することが好ましい。拘束要素130は、光学部品110の第1表面160上で別々の位置に接触し、力印加要素140は、光学部品110の第2表面170上で別々の位置に接触し、ここで、第1表面160および第2表面170上の別々の位置は、互いに対向しかつ実質的に同じ半径方向位置で周辺部180に隣接している。したがって、拘束要素130および力印加要素140は、軸190に沿って光学部品110の位置を維持する締め付け部を形成するために組み合わさっている。
【0023】
これらが光学部品110の表面160,170上で互いに直接対向する別々の接触位置を維持することを確実にするために、拘束要素130および力印加要素140は、筐体120に対して配置されている。図示の実施形態では、拘束要素130は筐体120の延伸部であるため、筐体120に対する位置がわかる。力印加要素140を、締め付け力を印加するための拘束要素130に対して一貫して配置するために、力印加要素140は筐体120の切り欠き部200に連動している。
【0024】
要素(図示せず)に定位置を提供することによって、横面に光学部品110を固定するために必要な力を提供することができるため、光学部品110を第1表面160の横面にさらに正確に配置することができる。いくつかの用途において、この力は、範囲以上に調整可能であり、光学部品を用いたデバイスの光学的歪みに既知の影響を与えるように較正される。いくつかの実施形態では、光学部品110の横面の耐性は、軸190に沿った耐性に比べてそれほど重要ではない。このような実施形態では、光学部品110は、横面に沿って従来の手段によって拘束されてもよい。ナイロンチップ付き止めねじを、力要素として使用することができ、二重穴の取り付け特徴を、明確に画定された拘束具として使用することができる。
【0025】
図示した実施形態では、拘束要素130は、3つのタブ132(図2)のセットまたは筐体120から延びるフィンガ部であり、光学部品110を受け台に載せている。図示した実施形態では、光学部品110用の受け台を形成するために、拘束要素130は、回る前に軸190に沿って筐体120から延びている。この延伸により、光学部品110の第1表面160および周辺部180の大部分への接近が可能となる。周辺部180は広く露出しているため、拘束要素130は、タブすなわちフィンガ部132間の空間でレーザビームが光学部品110の端部の近くを通過することができるように、さらに構成され得る。拘束要素130は、第1表面160の面内に光学部品110を配置するための要素をさらに含むことができる。この要素(図示せず)の非限定的な一例は、少なくとも1つの拘束要素130に横力生成要素を含むことができ、この横力生成要素は、光学部品110が残りの拘束要素130に維持された動的接触点に載るように、横力を印加する。このような実施形態では、光学部品110を動的拘束具内に駆動する力は、適切な範囲内で、または一定の計算された力の印加によって、調整可能である。また、拘束要素130は、光学マウント100の本体120に組み込まれた別々の着地点のセットを含むことができる。このような着地点を、例えば、筐体120の外周リップに対して隆起させることができる。別の実施形態では、拘束要素130は、光学部品110の第1表面160上の別々の位置で光学部品110との接触を維持する任意の他の種類の拘束具であってもよい。例えば、要素130と光学部品110との間にほぼ完全な接触点を提供するように作用する、個別の精密な接地用玉軸受けによって、これが達成されてもよい。
【0026】
図示した実施形態では、力印加要素140は、光学部品110に接触している3点を有する波形ばねである。波形ばねと光学部品110との間の接触点の数が、拘束要素130と光学部品110との間の接触点の数と一致し、各接触点が拘束要素に対応している限り、使用される波形ばねは、さまざまな形状、大きさ、変位、およびばね定数を有することができる。切り欠き部200は、軸190を中心としたばねの回転方向を制御することができる。
【0027】
別の実施形態では、力印加要素140は、例えば、圧縮ばね、拡張ばね、ばねクリップ、永久磁石、電磁石、または力を印加するのに用いられる他の機構であってもよい。力印加要素140は、光学部品110の表面上の別々の位置で光学部品110に力を印加するための任意のデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、力印加要素140は、プッシャリングおよび圧縮ばねアセンブリであってもよい。このようなアセンブリでは、プッシャリングは、別々の位置で光学部品110の第2表面170に接触するための3つの接触点を有してもよい。また、3つの接触点が示されているが、他の数の接触点でもよいことが理解されよう。さらに、いくつかの特殊な用途では、接触点の位置と数が存在しない場合、および/または直接対応しない場合が考えられる。例えば、その用途が、弛緩した形状を変更するように光学部品に印加される特定な設定の力を必要とする場合、これは望ましい可能性がある。
【0028】
光学マウントのフロントプレート100は、既存の用途への統合を容易にするための特徴をさらに含んでいる。光学マウントのフロントプレート100は、例えば、くぼみ210(図1)を含み、このくぼみ210は、光学マウントのバックプレート300に対して光学マウントのフロントプレート100を配置するためのパッド220を備えている。光学マウントのフロントプレート100は、光学マウントのバックプレート300に光学マウントのフロントプレート100を取り付けるための4つのばね穴230をさらに含む。
【0029】
図2は、光学マウントのバックプレート300に設置された図1の光学マウントのフロントプレート100の斜視図の一実施形態を示しており、光学マウントのフロントプレート100を半透明に示している。光学マウントのバックプレート300は、光学マウントのフロントプレート100のくぼみ210およびパッド220と噛み合う微調整ねじ310を含んでいる。より大きな光学装置内に光学マウントのフロントプレート100を固定するために、取り付けねじ穴320が設けられている。微調整ねじ310は、光学マウントのフロントプレート100と光学マウントのバックプレート300との間の距離を3か所で制御するために、ブラケット300内で調整可能である。さまざまな光学および光学機械用途で使用するために、光学マウントのバックプレート300を、より大きな構造に順に取り付けることができる。フロントプレート100は、4つのばね330により与えられる力によって、3つの微調整ねじ310に止まるように、運動学的に拘束されている。
【0030】
図3および図4は、図1の光学マウントのフロントプレート100の内部要素の一実施形態の側面図を示しており、ここで、図3は、内部要素のみを示し、図4は、例示の目的のために半透明に示す筐体120に設置された内部要素を示している。図3および図4には、光学部品110、力印加要素140、および保持要素150が示されている。力印加要素140は、光学部品110の第2表面170に力を印加し、光学部品110と保持要素150との間に位置している。図示した実施形態では、内部要素は、筐体120内の円筒穴400に配置されている。
【0031】
光学部品110を光学マウントのフロントプレート100に設置する場合、穴400の端部から延びている拘束要素130に光学部品110の第1表面160が載るように、ユーザは、最初に光学部品110を筐体120の穴400に挿入する。光学部品110が拘束要素130に載っている場合、第1表面160のほぼ全体に加えて、光学部品110の周辺部180の大部分が露出している。
【0032】
その後、ユーザは、光学部品110の第2表面170に載っているように、力印加要素140を挿入する。図示した実施形態では、力印加要素140は波形ばねであり、この波形ばねは、拘束要素130が第1表面160に接触する際に光学部品110の周辺部180に沿った点に隣接して、光学部品110の外周に沿って光学部品110の第2表面170と接触するように連動している。
【0033】
力印加要素140の挿入に続いて、保持要素150が挿入されかつ調整されて、組み立てを完了する。力印加要素140により光学部品110に印加される力の大きさは、保持要素150によって決定される。穴400はねじ切り部410を有することができ、保持要素150を、穴400に装着されたねじ込み保持リングとすることができる。
【0034】
図5は、図1の光学マウントのフロントプレート100に使用するための保持要素150を示しており、図6は、図1の光学マウントのフロントプレート100を較正する際の図5の保持要素150の使用について示している。光学部品110の設置中に、ボス500を含むねじ込み保持要素150を挿入して、ボス500が光学部品110に接触するまでねじ切り部410で回転することができる。ボス500は、例えば波形ばねの中心を通って延びることによって、力印加要素140を越えて延びることができる。図6Aに示すように光学部品110とボス500との間で接触が起こる場合、力印加要素140は既知の状態にある。いくつかの実施形態では、特定の保持要素150が使用され、この保持要素150は、指定された圧縮で保持要素150をロックするために光学部品110の第2表面170に接触する圧縮停止機能を有する。次に、ユーザは、例えばスパナレンチを使用して、指定された量だけ、初期挿入の反対方向に保持要素150を回転させることができる。いくつかの実施形態では、光学マウントのフロントプレート100でマーキングと強調して機能する角度マーキングでスパナレンチにマーキングすることにより、再現性を高めることができるため、ユーザは、既知量だけ印加される力を低減するために、既知量だけ保持要素150を回転させることができる。例えば完全な一回転である適切な回転となるように、保持要素150を同調することができる。既知量だけ保持要素150を緩める際に、図6Bに示すように、好適な量の空間が、ボス500と第2表面170との間に残されてもよく、これにより力印加要素140が好適な量を曲げることを可能にする。
【0035】
別の実施形態では、保持要素は、光学部品110に対して力印加要素140を完全に圧縮するために平坦な接触領域を有する段付き保持リング(図示せず)であってもよい。1/2〜2度刻みの連続した目盛りを、光学マウントのフロントプレート100またはこの保持要素と嵌合するスパナレンチに利用可能とすることができる。明確な開始点を画定するために使用され得るように、目盛り尺を固定または回転可能にすることができる。力印加要素140を圧縮した後、この保持要素は完全な圧縮から戻る。次いで、このような保持要素の設定のための1度の分解能を提供するために、この目盛り尺を、例えばバーニヤ目盛りと組み合わせて使用することができる。
【0036】
ユーザがボスなしで保持要素を設置する場合、トルク計を用いて、この保持要素を所望の予圧に締め付けることができる。光学部品を保持する圧縮力の大きさの設定をさらに強めるために、保持要素150と光学マウント110は、非常に微細なねじ部を伴って供給され得る。
【0037】
光学マウントは、一般に、大きさの点で、特定の範囲の光学要素を保持するように設計されている。例えば、光学マウントは、どこでも4〜10ミリメートルの厚さである、25.4ミリメートルの直径のミラーを支持するように設計され得る。いくつかの実施形態では、付属部品のセットが、したがって、さまざまな光学部品を装着するための光学マウントのフロントプレート100のために設けられている。所定の光学部品に所望される所定のレベルの性能を達成するように、部品を交換することができる。このような付属部品の組み合わせは、光学部品110の特定の範囲にわたって有用であり、例えば、そうしなければ光学マウントのフロントプレート100に適さない光学部品110用にカスタマイズして装着することができる。このような付属部品は、光学マウントのフロントプレート100と比較して安価であり、特定の光学部品110のための光学マウントのフロントプレート100または光学部品の範囲を構成するために、交換され得る。光学マウントのフロントプレート100は、指定された設定の大きさで利用することができ、この設定での大きさ間で光学部品と共に使用する光学マウントのフロントプレート100を修正するために、付属部品を使用することができる。例えば、力印加要素140により印加される力の大きさを修正するように付属部品を構成することによって、使用される光学部品110の種類、形状、および厚さに対し可能な限り最高の性能を提供することができる。
【0038】
付属部品は、光学マウントのフロントプレート100の他の特徴を修正することができる。例えば、より少ない波面歪みのために環境の振動力からのイミュニティを交換するなどして、異なる結果を生成するために付属部品を交換することができる。このように、印加された力の作用としての波面歪みのプロットが、所定の光学要素のための付属部品の選択を導くことができる。さらに、保持要素150は、一部の同調を可能にし得る。このような同調に必要なデータを、例えば、プロットまたはルックアップデータテーブルによって利用可能にすることができる。例えば、薄い、歪み感度の高い偏光光学部品、または取り付けのための歪みによって損なわれてはならない耐性を必要とするように仕上げられているより厚い光学部品を取り付ける際に、このような同調は重要であり得る。また、光学部品の長期安定性を確保するために、より高い締め付け力と引き換えに一部の歪みを許容することができる場合、このような同調も重要であり得る。いくつかの実施形態では、保持要素150は、同調のために使用される。他の実施形態では、同調は、手動、電気、空気圧によるものであり、または用途の時間的に変化する要求に対応するために動的であり得る。
【0039】
開示された光学マウントの実施形態は、過酷な環境に置かれた長寿命機器が理想的とする温度の範囲で信頼性の高い性能を提供する。力印加要素140として波形ばねを使用する実施形態では、光学部品110上の力は、ばねが熱膨張によって発生するひずみを吸収することができるため、温度変化に対して比較的不変である。ビーム照準の安定性と少ない光学的歪みにより、サービス間隔が長い密閉器具での使用が理想的となる。歪みの許容レベルは長期間にわたって維持される。光学マウントのフロントプレート100は、光学的歪みと光学部品を固定するために使用される拘束力の大きさとの間での、視野選択可能な交換をさらに提供する。光学マウントのフロントプレート100は、さらに、フェイスマウント用締め付け具と完全なリング型の光学フレームを伴って、ビームが光学部品110の端部近くを通過することを可能にする。
【0040】
図7は、図1の光学マウント100の特徴を使用した光学装置の一実施形態を示している。光学部品610,620を有する2つの光学マウントのフロントプレート100は、ビーム600が両方の光学部品を反射し、制御された方向に続くように、構成されている。光学マウントのフロントプレート100は、ビーム600が、第2光学部品620から反射した後、第1光学部品610の周辺部180近くを通過することを可能にする。拘束要素130は、ビーム600が周辺部180近くを通過することを可能にするように構成されている。
【0041】
光学マウントのフロントプレート100を、光照射野を反射、送信、または処理する広範囲の光学デバイスに適用することができる。例えば、平鏡、多次波長板、または平凸レンズを取り付けるために使用することができる。光学マウントのフロントプレート100が適用され得る光学デバイスの範囲を、上述した設計の特徴により拡張することができる。光学マウントのフロントプレート100は、光学部品110の周辺部の周りに別々の締め付け点のみを必要とするため、設計により、光学部品の端部に拡張された接近性を提供することができ、例えば、光学部品110の周りの余分な材料を除去することを可能にする。別々の締め付け点が最小限であるため、設計により、光学部品110が互いに近接して取り付けられることを可能にし得る。また、設計を光学デバイスに実装することができ、この光学デバイスは、例えば、ピッチ運動やヨー運動を含むミラーマウント、固定された光学部品ホルダ、および光学部品の回転軸以外の全自由度で位置を固定するために使用される回転マウントである。さらに、好ましい実施形態において、光学マウントのフロントプレート100は対称であり、同じ機能を提供しながら、左右両方向で動作するように90度反転された取り付けを可能にする。
【0042】
図8Aおよび図8Bは、図1の光学マウントのフロントプレート100に取り付けられた光学部品110上の圧力を示す有限要素解析(FEA)の一実施形態を示し、従来技術の典型的な側部マウントに取り付けられた光学部品110上でのこれらへの圧力を比較している。図8Aの有限要素解析は、光学マウントのフロントプレート100に取り付けられた際の、光学部品110の前面の光学的歪みおよびひずみを示している。ただし、非常に小さな光学的歪みは光学部品110上に現れ、存在するはずのひずみは光学部品110の周辺部180でのみ現れ、拘束要素130と力印加要素140が光学部品110に接触する3つの接触点で主に現れる。
【0043】
図8Bは従来の側部マウントに取り付けられた光学部品110に適用されたFEAを示しており、これにより光学部品110の表面にわたる圧力勾配がわかる。
【0044】
本発明は、いくつかの説明した実施形態に関連して、かなりの長さで、いくつかの特性を用いて説明されてきたが、いずれかのこのような特性や、実施形態またはいずれかの特定の実施形態に限定されるべきことを意図するものではなく、従来技術の点でこのような特許請求の範囲の最も広い可能な解釈を提供するように、添付の特許請求の範囲を参照して解釈されるべきであり、したがって、効果的に本発明の意図する範囲を包含することになる。
【0045】
本明細書に記載されたすべての例および条件付き言語は、本発明の原理および技術を進めるために発明者が寄与した概念を理解するうえで読み手を助けるための教育学的な目的を意図されており、このような具体的に記載された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその具体例を記載している本明細書のすべての記述は、その構造的および機能的両方の均等物を包含することが意図されている。さらに、このような均等物は、将来開発される均等物と現在既知の均等物の両方を含むことが意図され、すなわち、構造に関わらず、同じ機能を実行するように開発された任意の要素である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B