(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559589
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】LED表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/32 20160101AFI20190805BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20190805BHJP
G09G 3/14 20060101ALI20190805BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20190805BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20190805BHJP
H05B 37/02 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/34 J
G09G3/14 K
G09G3/20 660J
G09G3/20 642Z
H01L33/00 J
H05B37/02 L
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-19165(P2016-19165)
(22)【出願日】2016年2月3日
(65)【公開番号】特開2017-138475(P2017-138475A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 優文
【審査官】
橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−197176(JP,A)
【文献】
特開2014−063138(JP,A)
【文献】
特開2006−054280(JP,A)
【文献】
特開2013−157098(JP,A)
【文献】
特開2011−198669(JP,A)
【文献】
特開2012−186071(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/019945(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0072759(US,A1)
【文献】
特開2016−126868(JP,A)
【文献】
特開平04−211295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/32
G09G 3/14
G09G 3/20
G09G 3/34
H01L 33/00
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各別の表示を行う複数のLEDと、各LEDの点灯動作時に、所定周期のパルスのデューティ比を次第に増大させることによりフェードインさせるLED制御部とを備えるLED表示装置において、
前記LED制御部は、現在フェードイン中のLEDを先行点灯LEDとし、先行点灯LEDのフェードイン中に点灯動作を開始するLEDを後続点灯LEDとしたとき、後続点灯LEDの点灯動作を、該後続点灯LEDの点灯動作開始時点の先行点灯LEDのデューティ比と同じ値のデューティ比から開始させることにより、後続点灯LEDの点灯動作開始後における先行点灯LEDと後続点灯LEDとのフェードインを同期させることを特徴とするLED表示装置。
【請求項2】
各別の表示を行う複数のLEDと、各LEDの消灯動作時に、所定周期のパルスのデューティ比を次第に減少させることによりフェードアウトさせるLED制御部とを備えるLED表示装置において、
前記LED制御部は、現在フェードアウト中のLEDを先行消灯LEDとし、先行消灯LEDのフェードアウト中に消灯動作を開始したLEDを後続消灯LEDとしたとき、後続消灯LEDの消灯動作を、該後続消灯LEDの消灯動作開始時点の先行消灯LEDのデューティ比と同じ値のデューティ比から開始させることにより、後続消灯LEDの消灯動作開始後における先行消灯LEDと後続消灯LEDとのフェードアウトを同期させさせることを特徴とするLED表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLEDによる表示がフェードイン又はフェードアウトするLED表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源としてLED(発光ダイオード)を使用した表示装置においては、消灯状態から次第に輝度が増加して点灯するフェードインや、点灯状態から次第に輝度が減少して消灯するするフェードアウトするものが知られている。このようなLED表示装置のフェードインやフェードアウトは、PWM制御回路によって各LEDに印加されるパルス電圧のデューティ比を調整することで行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−54280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、家庭電化製品等の電気機器の操作部に採用して操作に応じてスイッチを光らせる表示部の光源としてLEDを用いたとき、各スイッチの操作タイミングが異なることによって、各表示部のLED毎に各別にフェードインやフェードアウトが開始されると、各表示部の表示動作タイミングが合わないことにより、使用者に対して統一感のない印象を与える不都合がある。
【0005】
即ち、フェードイン中のLEDに対して、他のLEDが遅れてフェードインを開始すると、両LEDの間で点灯状態となるタイミングにずれが生じる。同じように、フェードアウト中のLEDに対して、他のLEDが遅れてフェードアウトを開始すると、両LEDの間で消灯状態となるタイミングにずれが生じる。このようなフェードインやフェードアウトのずれが生じることにより、使用者に視覚的に不揃いな印象を与えてしまう。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、各別の表示を行う複数のLEDがフェードインやフェードアウトを行うときのタイミングを合わせることにより、視覚的に不揃いな印象を防止することができるLED表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、各別の表示を行う複数のLEDと、各LEDの点灯動作時に、所定周期のパルスのデューティ比を次第に増大させることによりフェードインさせるLED制御部とを備えるLED表示装置において、前記LED制御部は、現在フェードイン中のLEDを先行点灯LEDとし、先行点灯LEDのフェードイン中に点灯動作を開始するLEDを後続点灯LEDとしたとき、後続点灯LEDの点灯動作を、該後続点灯LEDの点灯動作開始時点の先行点灯LEDのデューティ比と同じ値のデューティ比から開始させることにより、後続点灯LEDの点灯動作開始後における先行点灯LEDと後続点灯LEDとのフェードインを同期させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、例えば、フェードイン中の先行点灯LEDのデューティ比が50%のときに後続点灯LEDの点灯動作が開始される場合、LED制御部は、後続点灯LEDのデューティ比を50%として後続点灯LEDのフェードインを開始する。これにより、先行点灯LEDと後続点灯LEDとでデューティ比の増大が同期して行われ、両者の点灯タイミングを揃えることができる。よって、各別の表示を行う複数のLEDの間の点灯動作で、使用者に対して視覚的な不揃い感を与えることを防止できる。
【0009】
また、本発明は、各別の表示を行う複数のLEDと、各LEDの消灯動作時に、所定周期のパルスのデューティ比を次第に減少させることによりフェードアウトさせるLED制御部とを備えるLED表示装置において、前記LED制御部は、現在フェードアウト中のLEDを先行消灯LEDとし、先行消灯LEDのフェードアウト中に消灯動作を開始したLEDを後続消灯LEDとしたとき、後続消灯LEDの消灯動作を、該後続消灯LEDの消灯動作開始時点の先行消灯LEDのデューティ比と同じ値のデューティ比から開始させることにより、後続消灯LEDの消灯動作開始後における先行消灯LEDと後続消灯LEDとのフェードアウトを同期させることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、例えば、フェードアウト中の先行消灯LEDのデューティ比が50%のときに後続消灯LEDの消灯動作が開始される場合、LED制御部は、後続消灯LEDのデューティ比を50%として後続消灯LEDのフェードアウトを開始する。これにより、先行消灯LEDと後続消灯LEDとでデューティ比の減少が同期して行われ、両者の消灯タイミングを揃えることができる。よって、各別の表示を行う複数のLEDの間の消灯動作で、使用者に対して視覚的な不揃い感を与えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態のLED表示装置の構成を模式的に示す図。
【
図2】本実施形態におけるLED制御部のフェードイン処理を示すフローチャート。
【
図3】本実施形態におけるフェードイン時のデューティ比を示すグラフ。
【
図4】本実施形態におけるLED制御部のフェードアウト処理を示すフローチャート。
【
図5】本実施形態におけるフェードアウト時のデューティ比を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態のLED表示装置は、
図1に示すように、2つのLED(第1LED1、第2LED2)と、各LED1,2を制御するLED制御部3とを備えている。本実施形態のLED表示装置におけるLED1,2は、図示しないが、家庭電化製品等の電気機器の操作部に設けられるスイッチ操作に応じて点灯・消灯が行われる操作ランプの光源として設けられる。
【0013】
LED制御部3は、第1LED1を接続した第1PWM制御回路4と、第2LED2を接続した第2PWM制御回路5と、両PWM制御回路4,5を制御するマイコン6とにより構成されている。
【0014】
第1PWM制御回路4は、第1LED1に入力するパルス幅を変化させることにより第1LED1のデューティ比(輝度)を調整する。第2PWM制御回路5は、第2LED2に入力するパルス幅を変化させることにより第2LED2のデューティ比(輝度)を調整する。
【0015】
即ち、第1PWM制御回路4は、マイコン6から第1LED1の点灯指示を受信すると、第1LED1に入力するパルスのデューティ比を次第に増大させて第1LED1をフェードインさせ、第1LED1の消灯指示を受信すると、第1LED1に入力するパルスのデューティ比を次第に減少させて第1LED1をフェードアウトさせる。第2PWM制御回路5も同様にして第2LED2を制御する。
【0016】
更に、第1PWM制御回路4には第1デューティ比採取部7が接続されており、第2PWM制御回路5には第2デューティ比採取部8が接続されている。第1デューティ比採取部7は、第1LED1を制御している第1PWM制御回路4から現在のデューティ比を採取してマイコン6に送信する。同じように、第2デューティ比採取部8は、第2LED2を制御している第2PWM制御回路5から現在のデューティ比を採取してマイコン6に送信する。
【0017】
マイコン6は、PWM制御回路4,5への指示により、各LED1,2の状態(点灯状態、消灯状態、フェードイン中、フェードアウト中)を把握する。更にマイコン6は、デューティ比採取部7,8から得られる情報に基づいてPWM制御回路4,5を制御する。
【0018】
ここで、上記構成によるLED制御部3の作動を詳説する。先ず、
図2及び
図3を参照してフェードインにかかる制御を説明する。
図2は、第1LED1を光源とするランプを備える図示しない操作部のスイッチが操作されて、第1LED1をフェードインさせる処理の流れを示している。
【0019】
マイコン6が第1LED1の点灯指示を受けると、STEP1−1で第2LED2の状態を取得してSTEP1−2へ進む。マイコン6は、STEP1−2へ進むと、第2LED2がフェードイン中であるか否かの判断を行う。
【0020】
STEP1−2において、現在の第2LED2がフェードイン中であるか否かを確認する方法としては、マイコン6が第2PWM制御回路5の制御状態に基づいて判断することが挙げられる。
【0021】
第2LED2がフェードイン中である場合に、第2LED2が本発明における先行点灯LEDに相当し、第1LED1が後続点灯LEDに相当するものとなる。
【0022】
マイコン6は、第2LED2がフェードイン中であると判断したとき、STEP1−3で第2デューティ比採取部8を介して第2LED2の現在のデューティ比を取得する。
【0023】
続いて、マイコン6は、STEP1−4で第1PWM制御回路4の点灯駆動開始のデューティ比として、STEP1−3で得た第2LED2の現在のデューティ比を設定し、STEP1−5へ進んで第1PWM制御回路4の点灯駆動による第1LED1のフェードインを開始させる。
【0024】
具体的には、
図3に示すように、先に点灯を開始した第2LED2(先行点灯LED)のデューティ比が例えば50%のとき、第1LED1(後続点灯LED)が点灯を開始した場合には、第1LED1(後続点灯LED)のフェードインを50%のデューティ比(先行点灯LEDの現在のデューティ比)から開始する。これにより、デューティ比が例えば50%から100%になるまで、第2LED2(先行点灯LED)と第1LED1(後続点灯LED)とが同じデューティ比で増大して、両LED1,2のフェードインが同期する。
【0025】
以上の説明においては、第2LED2が先行点灯LEDであり、第1LED1が後続点灯LEDとなった場合について説明したが、第1LED1が先行点灯LEDで、第2LED2が後続点灯LEDとなった場合も、マイコン6は、上記と同じ手順で両LED1,2のフェードインを同期させる。
【0026】
また、
図2に示すように、STEP1−2において、第2LED2がフェードイン中でないと判断された場合には、マイコン6はSTEP1−5へ進んで第1PWM制御回路4の駆動による第1LED1のフェードインを開始させる。
【0027】
以上のように、両LED1,2の点灯開始時期が異なっても、両LED1,2のフェードインを同期させることができるので、フェードイン中の両LED1,2の明るさが視覚的に不揃いとなることを防止することができる。また、使用者に違和感を与えて装置が異常であると勘違いされることもない。
【0028】
次に、
図4及び
図5を参照してフェードアウトにかかる制御を説明する。
図4は、第1LED1を光源とするランプを備える図示しない操作部のスイッチが操作されて、第1LED1をフェードアウトさせる処理の流れを示している。
【0029】
マイコン6が第1LED1の消灯指示を受けると、STEP2−1で第2LED2の状態を取得してSTEP2−2へ進む。マイコン6は、STEP2−2へ進むと、第2LED2がフェードアウト中であるか否かの判断を行う。
【0030】
STEP2−2において、現在の第2LED2がフェードアウト中であるか否かを確認する場合にも、現在の第2LED2がフェードイン中であるか否かを確認する場合と同様の方法を用いればよい。
【0031】
第2LED2がフェードアウト中である場合に、第2LED2が本発明における先行消灯LEDに相当し、第1LED1が後続消灯LEDに相当するものとなる。
【0032】
マイコン6は、第2LED2がフェードアウト中であると判断したとき、STEP2−3で第2デューティ比採取部8を介して第2LED2の現在のデューティ比を取得する。
【0033】
続いて、マイコン6は、STEP2−4で第1PWM制御回路4の消灯駆動開始のデューティ比として、STEP2−3で得た第2LED2の現在のデューティ比を設定し、STEP2−5へ進んで第1PWM制御回路4の消灯駆動による第1LED1のフェードアウトを開始させる。
【0034】
具体的には、
図5に示すように、先に消灯を開始した第2LED2(先行消灯LED)のデューティ比が例えば50%のとき、第1LED1(後続消灯LED)が消灯を開始した場合には、第1LED1(後続消灯LED)のフェードアウトを50%のデューティ比(先行消灯LEDの現在のデューティ比)から開始する。これにより、デューティ比が例えば50%から0%になるまで、第2LED2(先行消灯LED)と第1LED1(後続消灯LED)とが同じデューティ比で減少して、両LED1,2のフェードアウトが同期する。
【0035】
以上の説明においては、第2LED2が先行消灯LEDであり、第1LED1が後続消灯LEDとなった場合について説明したが、第1LED1が先行消灯LEDで、第2LED2が後続消灯LEDとなった場合も、マイコン6は、上記と同じ手順で両LED1,2のフェードアウトを同期させる。
【0036】
また、
図4に示すように、STEP2−2において、第2LED2がフェードアウト中でないと判断された場合には、マイコン6はSTEP2−5へ進んで第1PWM制御回路4の消灯駆動による第1LED1のフェードアウトを開始させる。
【0037】
以上のように、両LED1,2の消灯開始時期が異なっても、両LED1,2のフェードアウトを同期させることができるので、フェードアウト中の両LED1,2の明るさが視覚的に不揃いとなることを防止することができる。
【0038】
なお、本実施形態においては、説明の便宜上2つのLED1,2を備えるものを示しているが、これに限るものではなくLEDを3つ以上設けることも可能である。この場合、図示しないが、3つ以上設けた各LEDの夫々を駆動するためのPWM制御回路を設け、更に、各LEDのデューティ比を採取するデューティ比採取部を設けて、マイコンによる上記の制御を行えばよい。このように、LEDを3つ以上設けた場合であっても、先行して点灯、消灯を開始しているLEDに後続のLEDを同期させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1…第1LED(LED)、2…第2LED(LED)、3…LED制御部。