(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の補助吊上装置を備えるクレーンの一実施の形態を示す側面図である。
クローラクレーン(以下、単にクレーンという)100は、下部走行体101と、旋回輪114を介して下部走行体101上に旋回可能に設けられた上部旋回体103とを備えている。上部旋回体103は、旋回フレーム103aを有し、該旋回フレーム103aには、ブーム104の基端部であるブームフート104a(
図9等参照)、およびライブマスト(以下、単にマストという)131の基端部であるマストフート131c(
図2参照)が回動可能に取付けられている。
なお、以下の説明において、前後方向、上下方向、左右方向は図示の通りとする。
【0010】
下部走行体101は上部旋回体103に連結される本体ボディ111(
図7参照)と、本体ボディ111の両側部に着脱自在に取り付けられる一対のクローラとを有している。クローラは、クローラサイドフレーム112と、クローラサイドフレーム112の周囲に巻装されるクローラベルト113とを含んで構成される。
【0011】
ブーム104は、下部ブーム140と上部ブーム141とを有している。下部ブーム140と上部ブーム141とは結合部136で結合され、結合部136を境に分割可能となっている。上部旋回体103には起伏ロープ106aが巻回された起伏ウインチ106が搭載されている。また、下部ブーム140には巻上ロープ105aが巻回された巻上ウインチ105が搭載されている。
【0012】
巻上ロープ105aはブーム104の先端に設けられたシーブ121、122を介してフック110に接続され、巻上ウインチ105の駆動によってフック110が昇降する。ブーム104の先端にはペンダントロープ107の一端が接続され、ペンダントロープ107の他端は上部スプレッダ108に接続されている。上部スプレッダ108には、左右方向に延在された支軸126に、複数のシーブ108aが配列されている。
【0013】
起伏ロープ106aはマスト131頂部の上部スプレッダ108と下部スプレッダ109(
図7等参照)との間に複数回掛け回され、起伏ウインチ106を駆動すると下部スプレッダ109と上部スプレッダ108との間隔が変化し、マスト131が傾動してブーム104が起伏する。
【0014】
上部旋回体103の前方には運転室123が設けられ、作業者は、運転室123内に配される複数の操作部材を操作することで、起伏ウインチ106や巻上ウインチ105、上部旋回体103、下部走行体101を動作させて、吊り荷の昇降などのクレーン作業を行う。
【0015】
マスト131のブーム側の一面には、補助吊上装置50が取付けられている。補助吊上装置50は、クローラサイドフレーム112を本体ボディ111に着脱したり、下部ブーム140を旋回フレーム103aに連結するときなどに用いられる、クレーン100自体に設けられた自立の吊上げ装置である。補助吊上装置50の詳細については後述する。
【0016】
下部ブーム140と旋回フレーム103aとの間にはバックストップ125が懸架されている。バックストップ125は、ブーム104の起伏角度が予め定められた最大起伏角度になるとそれ以上に回動しないように、ブーム104の回動を機械的に規制する。なお、ブーム104が最大起伏角度まで起立すると、図示しない起伏自動停止装置が働き、ブーム104の起立が自動停止する。
【0017】
図2(A)、(B)は、
図1に図示されたマストを示し、
図2(A)は、上方から観た平面図であり、
図2(B)は、
図2(A)の側面図である。なお、
図2(A)は、図示した左右、前後、上下の方向に関して、マスト131が、上下方向に垂直に、換言すれば、地上に対し鉛直に起立した状態として図示されているものとして、以下説明sする。
【0018】
マスト131は、左右方向に離間して設けられ、上下方向に延在された一対のマスト本体131aと、該一対のマスト本体131aの上端部を接続する本体接続部131bと、一対のマスト本体131aの中間部を接続するマスト補強フレーム132とを有し、平面視でほぼU字形状を有する。
マスト131の各マスト本体131aの下端部には、マストフート131cが設けられている。マストフート131cは、上述したように、旋回フレーム103aに回動可能に軸支される。マスト131は、起伏ウインチ106により起伏動作する。
【0019】
マスト131の一面側、
図2においては、前方側に補助吊上装置50が設けられている。補助吊上装置50は、補助用油圧シリンダ(以下単に油圧シリンダという)51、揺動機構部60、油圧シリンダ格納部70、操作部80とを備えている。
油圧シリンダ51は、シリンダチューブ51aと、シリンダロッド51bとを有する。シリンダチューブ51aの一端は、揺動機構部60に揺動可能に連結している。シリンダロッド51bの端部には、補助フック52が接続されている。
【0020】
揺動機構部60は、水平リンク61と上下リンク62とを有する。上下リンク62は、シーブ108aを軸支する支軸126に遊嵌状に取付けられている。水平リンク61は、上下リンク62に設けられた軸ピン62a(
図2(B)参照)に、回動可能に連結されている。油圧シリンダ51のシリンダチューブ51aの一端は、水平リンク61に設けられた軸ピン61aに回動可能に連結されている。従って、油圧シリンダ51は、マスト131が垂直に起立した状態(鉛直姿勢)で、軸ピン61a、62aを中心として、前後方向および左右方向に揺動可能にマスト131に取付けられている。
【0021】
マスト131は、一対のマスト本体131aの上下方向に延在される中間部に、該一対のマスト本体131aを接続するマスト補強フレーム132を有する。マスト補強フレーム132には、油圧シリンダ格納部70が設けられている。
操作部80は、一対のマスト本体131aの一方(本実施例では右側)のマスト本体131aのマストフート131c付近に設けられている。操作部80と油圧シリンダ格納部70とは、プッシュプルケーブル84により接続されている。詳細は後述するが、油圧シリンダ51は、操作部80における操作レバー81(
図3等参照)の操作により、プッシュプルケーブル84を介して油圧シリンダ格納部70のシリンダ固定ピン77(
図6等参照)を作動させることによりマスト131に格納される状態と、マスト131から解放可能な状態とに切り換えられる。油圧シリンダ51には、各マスト本体131aの相互に対向する側面に取付けられた油圧用配管135を介して作動油が給排される。
【0022】
図3(A)〜(C)は、
図2の領域IIIに設けられた操作部の詳細図であり、
図3(A)は正面図であり、
図3(B)は、
図3(A)のIIIB―IIIB線断面図であり、
図3(C)は、
図3(A)における各ピンを取り除いた状態の図である。
操作部80は、操作レバー81と、支持板82と、レバー位置固定ピン83と、取付部材86と、枢支ピン87と、ロック位置決めねじ88aと、アンロック位置決めねじ88bとを有する。プッシュプルケーブル84と、操作部80と、油圧シリンダ格納部70のシリンダ固定ピン77とは、以下に説明する、シリンダ固定ピン77を駆動するピン駆動装置を構成する。
プッシュプルケーブル84および支持板82は、取付部材86に取付けられており、取付部材86は、マスト131の一対のマスト本体131aの一方に固定されている。
なお、操作レバー81の下方側の端部には、グリップ81cが取付けられている。
【0023】
枢支ピン87は、支持板82の一端および操作レバー81の先端に設けられた枢支ピン用貫通孔151に挿通される。操作レバー81は、枢支ピン87を中心として時計方向および反時計方向に回動可能に支持される。
図3(A)において、操作レバー81が時計方向に回動された、実線で図示された位置がロック位置、操作レバー81が反時計方向に回動された、二点鎖線で図示された位置がアンロック位置となっている。操作レバー81の長手方向の中間部には、プッシュプルケーブル84が接続されている。
【0024】
図3(C)に図示されるように、支持板82には、枢支ピン用貫通孔151の下方に、貫通孔152が設けられている。また、支持板82には、ロック位置決めねじ88aとアンロック位置決めねじ88bとが取付けられている。ロック位置決めねじ88aとアンロック位置決めねじ88bは、枢支ピン用貫通孔151と貫通孔152とを結ぶ直線に対して対称な位置に配置されている。操作レバー81の側面には、それぞれ、貫通孔152とロック位置決めねじ88a(またはアンロック位置決めねじ88b)に対応して半円形状の凹部81a、81bが設けられている。
【0025】
レバー位置固定ピン83は、操作レバー81を
図3(A)の実線で示すように、枢支ピン87を中心として時計方向に回動し、凹部81aをロック位置決めねじ88aに当接した状態で支持板82の貫通孔152に挿通可能となっている。また、レバー位置固定ピン83は、操作レバー81を
図3(A)の二点鎖線で示すように、枢支ピン87を中心として反時計方向に回動し、凹部81bをアンロック位置決めねじ88bに当接した状態で支持板82の貫通孔152に挿通可能となっている。
【0026】
つまり、操作レバー81を時計方向に回動し、凹部81aをロック位置決めねじ88aに当接した状態では、操作レバー81は、ロック位置決めねじ88aとレバー位置固定ピン83に挟まれてロック位置にロックされる。また、操作レバー81を反時計方向に回動し、凹部81bをアンロック位置決めねじ88bに当接した状態では、操作レバー81は、アンロック位置決めねじ88bとレバー位置固定ピン83に挟まれてアンロック位置にロックされる。
ロック位置またはアンロック位置にロックされた操作レバー81は、レバー位置固定ピン83を取外さない限り操作することができない。
操作レバー81をロック位置側に回動すると、プッシュプルケーブル84のインナケーブルが前方に押し出される。操作レバー81をアンロック位置側に回動すると、プッシュプルケーブル84のインナケーブルが後方に引き込まれる。
【0027】
本一実施の形態では、マスト131の長手方向の中間部に設けた油圧シリンダ格納部70と、マスト131のマストフート131c付近に設けた操作部80とをプッシュプルケーブル84で連結する構造とした。これにより、マスト131が起立している状態でも、油圧シリンダ格納部70による油圧シリンダ51の格納および解放の操作を、マスト131の低位置に設けた操作部80での遠隔操作により容易に切り換えることができる。
【0028】
図4は、
図2の領域IVに設けられた油圧シリンダ格納部を示し、
図2のX方向から観た正面図である。
図5(A)は、
図4に図示された油圧シリンダ格納部の斜視図であり、
図5(B)は、
図5(A)を前方から観た側面図である。
図6(A)〜(D)は、
図4に図示された油圧シリンダ格納部の動作を説明するための断面図であり、
図6(A)はロック状態、
図6(B)はアンロック状態、
図6(C)は、段付きピンによるロック状態を示す図、
図6(D)は(C)の部分拡大図である。
油圧シリンダ格納部70は、マスト側の固定機構構造と、油圧シリンダ側の固定機構構造とにより構成される。油圧シリンダ側の固定機構構造は、油圧シリンダのチューブ他端に設けられ、固定プレート72が一体化されている固定部材71を有する。マスト側の固定機構構造は、マスト補強フレーム132に設けられ、一対の案内板73、一対の支持板78および軸受79を有する保持部材74と、プッシュプルケーブル84の他端に連結されたシリンダ固定ピン77とを有する。
【0029】
図5(A)を参照すると、固定部材71には、後方に突出する固定プレート72が設けられている。固定部材71は、油圧シリンダ51のシリンダチューブ51aの下端部に取付けられている。固定プレート72は、油圧シリンダ51のシリンダチューブ51aの軸線に沿った板材を後側に突出してなる。固定プレート72には、厚さ方向(左右方向)に貫通するロック用ピン孔72a(
図6等参照)が設けられている。ロック用ピン孔72aは、後述する固定ピン77が挿入されるピン挿入孔である。
図6(D)を参照すると、保持部材74には、左右方向に離間して一対のピン支持板78が設けられている。各ピン支持板78にはピン支持孔78aが形成されている。一対のピン支持板78の一方、すなわち、
図6(D)の右側のピン支持板78の外側面には軸受79が設けられている。
【0030】
各案内板73には、相互に対向する側面に、先端側から離間部の距離を小さくする方向に傾斜する傾斜面73aが形成されている。油圧シリンダ51が格納される際、油圧シリンダ51が左右方向にずれている場合であっても、固定プレート72は、各案内板73の傾斜面73aに案内されて一対の案内板73と一対の支持板78の離間部内に挿通される。なお、
図5(A)には、油圧シリンダ51の揺動方向Yが図示されている。
ピン孔78aは固定プレート72のロック用固定ピン77のピン挿入孔72aと同径である。また、ピン孔78aの中心軸と、軸受79の中心軸と、固定プレート72のロック用ピン孔72aの中心軸とは、固定プレート72の先端面(位置決め面)72bが保持部材74の当接面74aに当接している
図6(B)の状態で同軸となる位置に設定されている。
【0031】
プッシュプルケーブル84のインナケーブルの他端にはシリンダ固定ピン77が接続されている。シリンダ固定ピン77の先端は、軸受79で支持されている。
【0032】
固定プレート72の先端が保持部材74が位置決め面74aに当接しているとき、固定プレート72のロック用ピン孔72aの中心軸が一対のピン支持板78のピン支持孔78aと同軸上に位置している状態で、操作部80の操作レバー81をロック位置にすると、プッシュプルケーブル84のインナケーブルが前方に押し出され、
図6(A)に図示されるように、シリンダ固定ピン77が固定プレート72のロック用ピン孔72aを貫通する。この状態では、固定プレート72は、前後方向の移動をシリンダ固定ピン77に規制される。つまり、油圧シリンダ51は、格納状態にロックされる。
操作部80の操作レバー81をアンロック位置にすると、プッシュプルケーブル84のインナケーブルが右方に移動し、
図6(B)に図示されるように、シリンダ固定ピン77が、固定プレート72のロック用ピン孔72aから引き抜かれる。この状態では、固定プレート72は、前後方向に移動可能となる。つまり、油圧シリンダ51は、格納位置から解放可能なアンロック状態となる。
【0033】
シリンダ固定ピン77は、軸方向の中間部77aが根元側および先端側より径小とされた段付き構造を有する。ロック状態では、この中間部77aが、固定プレート72のロック用ピン孔72aに対向する位置に配置される。ロック状態においても、油圧シリンダ51は、揺動機構部60に連結された軸ピン61a、62aを中心として揺動可能な状態となっている。
マスト131が傾斜状態(非鉛直姿勢)では、油圧シリンダ51は、下方側に向かって揺動し、
図6(C)に図示されるように、固定プレート72のロック用ピン孔72aの内周面がシリンダ固定ピン77の中間部(小径部)77aの外周面に当接する状態となる。この状態では、シリンダ固定ピン77の左右両側面の段部(両端の大径部と中央の小径部との段差)は、それぞれ、固定プレート72の各側面に当接している。
このため、操作部80の操作レバー81を、ロック位置からアンロック位置に移動することができない。つまり、レバー位置固定ピン83を抜いて操作レバー81をロック位置からアンロック位置へ操作しようとしても、シリンダ固定ピン77は段付き構造とされていて、固定プレート72の移動が規制される。このため、マスト131が鉛直にない姿勢で油圧シリンダ51のロックを解除操作されたときの不所望な揺動が防止される。
【0034】
上述したように、本一実施の形態では、操作レバー81のロック位置決めねじ88aおよびアンロック位置決めねじ88bとの当接部に半円形状の凹部81a、81bを設けた構造としている。このため、操作レバー81の操作を中途半端は位置でなく、ロック位置決めねじ88aまたはアンロック位置決めねじ88bに当接する位置までの移動の操作を確実にすることができる。これにより、シリンダ固定ピン77を、確実に、中間部77aが固定プレート72に対応する位置に移動することができる。また、シリンダ固定ピン77を、確実に、固定プレート72を解放可能な位置まで移動することができる。
【0035】
図7〜
図11を参照して、クレーン100を組付ける方法を説明する。
図7は、クローラサイドフレームを本体ボディに組付ける工程を示す側面図である。
図7に図示されるように、クローラサイドフレーム112を取付ける前では、本体ボディ111と、旋回フレーム103aとが旋回輪114を介して連結されている。旋回フレーム103aには、運転室123が取付けられている。また、旋回フレーム103aには、マスト131が、そのマストフート131cを旋回フレーム103aの取付部に回動可能に取付けられている。旋回フレーム103aには、起伏ウインチ106、上部スプレッダ108、下部スプレッダ109、起伏ロープ106aおよび起伏用油圧シリンダ(図示せず)が搭載されている。また、マスト131には、油圧シリンダ51および補助フック52を含む補助吊上装置50が搭載されている。
【0036】
補助吊上装置50は、操作部80の操作レバー81がロック位置に移動され、レバー位置固定ピン83によりアンロック位置への移動を規制された状態とされている。この状態から、旋回フレーム103aを90度旋回する。マスト131を鉛直姿勢にし、操作部80のレバー位置固定ピン83を支持板82の貫通孔152から引き抜き、操作レバー81をロック位置からアンロック位置に移動する。そして、レバー位置固定ピン83を支持板82の貫通孔152に挿入して、ロック位置への移動が規制された状態にする。これにより、
図7に図示されるように、油圧シリンダ51は、マスト131から解放され、軸ピン61a、62aにおいてマスト131に揺動可能に連結された状態とされる。
【0037】
クローラサイドフレーム112に吊りロープ161を掛け、各吊りロープ161の先端を補助フック52に玉掛けする。そして、油圧シリンダ51を収縮してクローラサイドフレーム112を持ち上げる。この状態で、マスト131を起立すると、クローラサイドフレーム112が、本体ボディ111側に近接してくる。クローラサイドフレーム112を所定の位置に引き寄せて、不図示のピンやボルト等を用いて、クローラサイドフレーム112を本体ボディ111に連結する。次に、旋回フレーム103aを180度旋回して、もう1つのクローラサイドフレーム112を本体ボディ111に連結する。
本一実施の形態では、本体ボディ111に下部ブーム140を取付ける前に、補助吊上装置50を用いてクローラサイドフレーム112を本体ボディ111に組付けることができる。本体ボディ111に下部ブーム140を組付けるには、下部ブーム140を持ち上げるための他のクレーンが必要となり、広い面積の組付け用地が必要となる。これに対し、本一実施の形態によれば、作業現場の用地が狭くても組付けが可能となる。
【0038】
次に、本体ボディ111にクローラが組付けられたクレーンに下部ブーム140を取付ける。
図8図示されるように、マスト131を前方に傾斜して、シャックル等の吊り具および吊りロープ162(
図9参照)を取付ける。なお、
図8には、クレーンの大きさを示すために、クレーンの大きさと対比して作業員を図示している。
そして、
図9に図示するように、下部ブーム140を搭載した不図示の高床トレーラをクレーン100に接近させる。下部ブーム140には、バックストップ125の一端が連結されている。各吊りロープ162の他端を下部ブーム140に引っ掛けて、油圧シリンダ51を収縮して、下部ブーム140を高床トレーラから浮かせる。マスト131の起伏、旋回動作および油圧シリンダ51の起伏動作により下部ブーム140のブームフート104aの位置を調整して、旋回フレーム103aの取付部に位置合わする。そして、下部ブーム140のブームフート104aと旋回フレーム103aそれぞれの連結用孔に連結用ピンを挿入して、下部ブーム140を旋回フレーム103aに起伏可能に連結する。
【0039】
図示はしないが、この後、高床トレーラを移動する。そして、油圧シリンダ51を伸長して、下部ブーム140における上部ブーム141との結合部136側を接地し、補助フック52から、吊り具および吊りロープ162を外す。
【0040】
この後、
図10に図示されるように、マスト131を、ほぼ鉛直となる程度に起立させる。鉛直よりも少し反時計方向に回動してもよい。
この状態では、
図5等に図示されるように、油圧シリンダ51が時計方向に回動し、固定プレート72が一対の案内板73と一対の支持板78の離間部に挿入され、位置決め面72bが保持部材74の当接面74aに当接する。このとき、各案内板73には、傾斜面73aが形成されている。また、油圧シリンダ51の一端は、マスト131に前後方向および左右方向に揺動可能に取付けられている。このため、油圧シリンダ51のシリンダロッド51b側が左右方向にずれていても、固定プレート72は、案内板73の傾斜面73aに案内されて、一対の案内板73と一対の支持板78の離間部に挿入される。つまり、クレーン100が左右方向に傾斜されるような作業現場で作業する場合でも、油圧シリンダ51を確実に格納することができる。
【0041】
固定プレート72が一対の支持板78の離間部に挿入され保持部材74に当接すると、
図6(B)に図示されるように、ピン支持板78のピン孔78aと、固定プレート72のロック用ピン孔72aとの中心軸が同軸となる。ここで、操作部80のレバー位置固定ピン83を支持板82の貫通孔152から引き抜いて、操作レバー81をアンロック位置からロック位置に移動する。この操作により、シリンダ固定ピン77が固定プレート72のロック用ピン孔72aを貫通する。このため、油圧シリンダ51は、ロック用ピン孔72aにより左右方向および前後方向の移動が規制される。操作レバー81をアンロック位置からロック位置に移動したら、操作部80のレバー位置固定ピン83を支持板82の貫通孔152に挿入する。これにより、操作レバー81のロック位置からアンロック位置への操作が規制される。
【0042】
次に、
図11に図示されるようにマスト131を時計方向に回動する。そして、起伏ロープ106aの先端をペンダントロープ107に連結する。
このとき、マスト131は前方に傾斜しているため、油圧シリンダ51には、自重によりシリンダロッド51b側が反時計方向に回動する力が作用する。このため、
図6(C)に図示されるように、固定プレート72は、ロック用ピン孔72aの内周面が、シリンダ固定ピン77の中間部77aの外周に当接する状態となる。この状態では、シリンダ固定ピン77の左右の段部が、それぞれ、固定プレート72の各側面に当接しており、前後方向への移動が規制されている。このため、仮に、操作部80のレバー位置固定ピン83を支持板82の貫通孔152に挿入し忘れた場合であっても、操作部80の操作レバー81をロック位置からアンロック位置に移動することはできない。その結果、油圧シリンダ51がマスト131から解放されてしまうのを防止することができる。
【0043】
なお、この作業を行う際、油圧シリンダ51をマスト131に格納する構造を有していない場合、点線で示すように、油圧シリンダ51が、マスト131に取付けられた一端を中心に反時計方向に回動する。このため、油圧シリンダ51が下部ブーム140と干渉する状態となってしまう。本一実施の形態のように、油圧シリンダ51をマスト131に格納可能な構造とすることにより、このような状態を回避することが可能となる。
【0044】
この後は、図示はしないが、下記の作業を行う。
(1)シーブ121、122等が取付けられた上部ブーム141を搬送して、下部ブーム140と上部ブーム141とを結合部136で連結する。
(2)巻上ウインチ105を駆動して巻上ロープ105aを繰り出し、シーブ121、122およびフック110に捲回する。そして、巻上ロープ105aを巻上げてフック110を引きあげる。
(3)起伏ウインチ106を駆動して起伏ロープ106aを巻上げ、ブーム104を起立させる。
これにより、
図1に図示されるように、クレーン100を組立てることができる。
クレーン100を分解するには、組立とは逆の手順で行えばよい。
【0045】
本発明の一実施の形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)補助吊上装置50は、ピン駆動装置により挿抜され、固定プレート72のロック用ピン孔72aに挿入されると補助吊上装置50をマスト131に固定し、ロック用ピン孔72aから抜かれると補助吊上装置50をマスト131から解放可能な状態とする段付きのシリンダ固定ピン77を備えている。このため、マスト131が、前方に傾斜している場合であっても、油圧シリンダ51に固定された固定プレート72は、ロック用ピン孔72aの内周面が、シリンダ固定ピン77の段部に当接する状態となる。これにより、操作部80の操作レバー81の移動がロックされていない状態であっても、油圧シリンダ51がマスト131から解放されてしまうのを防止することができる。
【0046】
(2)ピン駆動装置は、プッシュプルケーブル84と、プッシュプルケーブル84を操作する操作部80とを有し、操作部80は、ロック位置と、アンロック位置に操作される操作レバー81と、操作レバー81が移動するロック位置とアンロック間の経路上に設けられ、操作レバー81の移動を阻止する阻止部材であるレバー位置固定ピン83とを有する。このため、レバー位置固定ピン83が取付けられた状態では、操作レバー81のロック位置とアンロック位置との切り換えを行うことはできない。このため、油圧シリンダ51を格納状態に確保する信頼性を向上することができる。
【0047】
(3)操作部80は、マスト131のマストフート131c側に設けられ、シリンダ固定ピン77は、マスト131の長手方向の中間部に設けられている。このため、マスト131の低い位置に設けられた操作部80により、油圧シリンダ51のロック状態とアンロック状態との切り換えを遠隔操作することができる。
【0048】
(4)固定プレート72をロック位置に案内する一対の案内板73をさらに備え、案内板73は固定プレート72が挿通される離間部が形成されるように配置され、各案内板73の固定プレート72に対向する側面は、固定プレート72のロック位置への移動を案内するための傾斜面とされている。このため、油圧シリンダ51のシリンダロッド51b側が左右方向にずれていても、固定プレート72は、案内板73の傾斜面73aに案内されて一対の支持板78の離間部に挿入される。これにより、鉛直姿勢のマスト131がクレーン100が左右方向に傾斜するような作業現場で作業する場合でも、油圧シリンダ51を確実に格納することができる。
【0049】
以上説明した実施形態の補助吊上装置は以下のように構成されていると説明することもできる。
(5)油圧シリンダを有する補助吊上装置50は、シリンダチューブ51aの一端がマスト131に揺動自在に連結され、シリンダロッド51bの先端にフック52が装着されている。この補助吊上装置50は、シリンダチューブ51aの他端側に設けられて固定ピン77が挿入されるピン挿入孔72aを有する固定板72と、マスト131に設けられて固定ピン77の両端77bを支持するピン支持孔78aを有する一対のピン支持部78とを備える。固定ピン77は、ピン挿入孔72aとピン支持孔78aに挿入されて補助吊上装置50をマスト131に固定する。固定ピン77は、その両端に設けた、一対の支持部78に支持される大径部77bと、固定ピン77の中央に設けた、大径部77bよりも径の細い小径部77aとを有する。
マスト131が非鉛直姿勢のとき補助吊上装置50はわずかに揺動して鉛直姿勢になろうとする。このとき、固定板72が小径部77aで支持される。したがって、この状態で固定ピン77を抜こうとしても、ピン小径部77aと大径部77bの段差面が固定板72の側面に係止して、固定ピン77は抜きがたい。
なお、固定ピン77の両端を支持する一対の支持板78に代えて、それぞれにピン支持孔78aを有し、対向して設けられた一対の支持壁を有する一体構造の支持部を用いてもよい。また、ピン挿入孔72aを有する固定板72に代えて、ピン挿入孔72aを有する種々の形態の固定部を用いることができる。
【0050】
(6)上記(5)に記載した補助吊上装置50において、固定板72は位置決め面72b(
図4)を有する。補助吊上装置50は、マスト131側に設けられた保持部材74を有する。保持部材74は、油圧シリンダ51が固定ピン77によりマスト131に固定されるきに、固定板72の位置決め面72bが当接する当接面74aを有する。マスト131を鉛直姿勢にすると、油圧シリンダ51もほぼ鉛直姿勢となる。この状態において、固定板72の位置決め面72bが保持部材74の当接面74aに当接するとき、固定板72のピン挿入孔72aと、一対のピン支持部78のピン支持孔78aとが同軸に配置される。したがって、固定ピン77の挿抜が容易である。
【0051】
以上説明した実施形態の補助吊上装置を備えるクレーンは、作業機械本体と、作業機械本体に設けられたマスト131の傾動によりブーム104の起伏角度を調節する起伏ウインチ106と、マスト131のブーム側に揺動可能に連結された、上記(5)〜(8)に記載した補助吊上装置50とを備える。
補助吊上装置50をマスト131のブーム側の面に設けたので、下ブーム140の分解・組立作業に補助吊上装置50を使用することができる。
【0052】
なお、上記一実施の形態では、補助吊上装置を、クレーン100に搭載した場合で説明した。しかし、本発明の補助吊上げ装置は、クレーンのみでなく、起伏するマストを備えた土木、建築用の各種の基礎機械や建設機械に搭載することが可能である。
【0053】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。