(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559610
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】多軸骨固定装置との使用のための機器ならびに機器および多軸骨固定装置のシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
A61B17/70
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-93683(P2016-93683)
(22)【出願日】2016年5月9日
(65)【公開番号】特開2016-209589(P2016-209589A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年4月6日
(31)【優先権主張番号】15167425.6
(32)【優先日】2015年5月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/160,474
(32)【優先日】2015年5月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ビーダーマン
【審査官】
槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0147937(US,A1)
【文献】
特開2010−240425(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0036244(US,A1)
【文献】
特表2016−501690(JP,A)
【文献】
特開2016−209588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸骨固定装置との使用のための機器であって、
前記多軸骨固定装置は、ロッド(100)を受け入れるとともに骨固定要素(1)のヘッド(3)を収容するための受入部分(5)を含み、前記ヘッド(3)は、クランプ要素(7)を介してその上に圧力を加えることによりクランプされることが可能であり、前記圧力は前記機器を使用して調節することが可能であり、
前記機器は、
確実な嵌合の態様で前記受入部分(5)を係合するように構成される第1の係合部分(12a,12b)を有する第1の部材(10,11)と、
前端部(20a)および第2の係合部分(22,22a)を有する第2の部材(20,21)とを含み、前記第2の係合部分(22,22a)は、前記クランプ要素(7)に係合し、かつ、前記クランプ要素にトルクを適用するように構成され、
第1の構成において、前記第2の部材(20,21)は長手方向軸(C)に沿って前記第1の部材(10,11)に対して軸方向にのみ変位可能であり、
第2の構成において、前記第2の部材(20,21)は前記第1の部材(10,11)に対して回転可能である、機器。
【請求項2】
前記第2の構成において、前記第2の部材(20,21)は、前記長手方向軸(C)のまわりを、制限された角度範囲において前記第1の部材(10,11)に対して回転可能である、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記制限された角度範囲は約180°未満である、請求項2に記載の機器。
【請求項4】
前記第1の部材(10,11)および前記第2の部材(20,21)は、前記第1の部材(10,11)に対する前記第2の部材(20,21)の回転運動を防止しつつ互いに対して線形の変位を可能にする協働する第3および第4の係合部分(24,30)を含み、前記第4の係合部分(30)は前記第1の部材(10,11)に設けられ、前記第3の係合部分は前記第2の部材(20,21)に設けられ、またはその逆も同様である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機器。
【請求項5】
前記第3の係合部分は長手方向溝(24)を含み、前記第4の係合部分は、前記長手方向溝(24)に係合する突出部(30)を含む、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記第2の構成において、前記第1の部材(10,11)と前記第2の部材(20,21)との間の回転運動を可能にするために前記第4の係合部分(30)と協働するように構成される第5の係合部分(25)が設けられる、請求項4または5のいずれか1項に記載の機器。
【請求項7】
前記第5の係合部分(25)は、前記長手方向軸(C)に実質的に垂直に延在する水平凹部である、請求項6に記載の機器。
【請求項8】
前記第5の係合部分は、前記第3の係合部分(24)に接続する、請求項7に記載の機器。
【請求項9】
前記第3および第4の係合部分(24,30)は、前記第3の係合部分(24)が前記第4の係合部分(30)に係合する際に前記第2の部材(20,21)が前記第1の部材(10,11)に対して配される場合にのみ搭載が可能であるように、周方向において前記長手方向軸(C)のまわりに前記第1の部材(10,11)に対する前記第2の部材(20,21)の搭載位置を規定する、請求項4〜8のいずれか1項に記載の機器。
【請求項10】
前記第1の部材(10,11)は、前記受入部分(5)に対して前記第1の部材の軸方向の移動を制限するための停止部(14)を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の機器。
【請求項11】
前記第1の部材(10)は第1の管状部分(11)を含み、前記第2の部材(20,21)は前記第1の管状部分(11)へ挿入可能である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の機器。
【請求項12】
前記第2の部材は、前記第2の係合部分(22,22a)を含む前端部(20a)を有する第2の管状部分(21)を含む、請求項11に記載の機器。
【請求項13】
機器および多軸骨固定装置のシステムであって、前記多軸骨固定装置は、ロッド(100)を受け入れるとともに骨固定要素のヘッド(3)を収容するための受入部分(5)を含み、前記ヘッド(3)は、クランプ要素(7)を介してその上に圧力を加えることによりクランプされることが可能であり、前記圧力は前記機器を使用して調節することが可能であり、前記機器は、請求項1〜12のいずれか1項に記載の機器である、システム。
【請求項14】
前記受入部分(5)は、第1の端部(5a)と、第2の端部(5b)と、前記第1の端部(5a)および前記第2の端部(5b)を通って延在するとともに前記機器の長手方向軸と一致する中心軸(C)と、ロッドを受け入れるためのチャンネル(52)とを有し、前記受入部分(5)はさらに、骨固定要素(1)のヘッド(3)を収容するための収容空間(55)を規定し、前記収容空間は前記ヘッドを挿入するための開口部(56)を有しており、
前記収容空間(55)に少なくとも部分的に配される圧力要素(6)が設けられ、前記圧力要素(6)は挿入されたヘッドをクランプするようフレキシブル部分(63)を含み、
少なくとも部分的に前記フレキシブル部分(63)のまわりを延在するクランプ要素(7)が設けられ、前記クランプ要素(7)は、第1の位置から、前記圧力要素(6)にクランプ力を加える第2の位置へ移動するように構成され、前記移動は、前記機器を使用して前記中心軸(C)のまわりに前記クランプ要素を回転させることを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記受入部分(5)および前記クランプ要素(7)は、前記機器を使用して前記クランプ要素が前記中心軸(C)の周りを回転する際に前記クランプ要素(7)の軸方向の進行を可能にするように構成される進行構造(73,9a,9b)を含み、前記第2の部材(20,21)の前記第2の係合部分(22,22a)は前記クランプ要素(7)を係合し、前記機器は前記第1の構成にある、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記クランプ要素(7)は、前記機器の前記第2の部材(20,21)の前記第2の係合部分(22,22a)との係合のための係合部分(75)を含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記受入部分(5)は、前記受入部分に対する前記第1の部材(10,11)の回転を防止するよう前記機器の前記第1の部材(10,11)の前記第1の係合部分(12a,12b)と協働する外面部分(58a,58b)を含む、請求項13〜16のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸骨固定装置との使用のための機器と、当該機器および多軸骨固定装置を含むシステムとに関する。そのような多軸骨固定装置は、ロッドを受け入れるとともに骨固定要素のヘッドを収容するための受入部分を含む。当該ヘッドは、クランプ要素を介してその上に圧力を加えることによりクランプされ得る。上記機器は、第1の部材と、第1の部材に対して変位可能な第2の部材とを含む。第1の部材は、確実な嵌合の態様で受入部分に係合するように構成され、第2の部材は、ヘッド上へのクランプ力を調節するためにクランプ要素に係合するように構成される。
【背景技術】
【0002】
多軸骨固定器との使用のためのさまざまなツールが公知である。たとえば、US2011/0004222A1は、骨固定器の受入部分と係合するように構成される管状の対向保持部分と、対向保持部分を通って延在する被駆動シャフトとを含むツールを記載しており、当該被駆動シャフトはたとえば止めねじのような骨固定器のロック要素と係合するように構成される。被駆動シャフトにより、ロック要素が締められる一方、受入部分が対向保持部分により保持される。
【0003】
US8,926,671は、ロッドを骨固定要素に結合するためのロッドを受け入れるための受入部分を記載しており、受入部分は、骨固定要素のヘッドを収容するための受入部分本体と、挿入されたヘッドをクランプするようフレキシブル部分を有する圧力要素とを含む。圧力要素は、受入部分本体の長手方向軸に沿って、ヘッドを挿入する挿入位置からプレロッキング位置へ移動可能である。ヘッドは、受入部分において、圧力要素が加えるプレストレスによってロック位置へクランプされ、これにより、受入部分においてヘッドがロックされる。圧力要素によって加えられるプレストレスによって、骨固定要素のヘッドが最終的にロックされる前に、摩擦により受入部分に対して骨固定要素の所望の角度位置が維持されることが可能になる。
【0004】
骨または脊椎に既に挿入されている骨固定要素上への受入部分のその場配置(in-situ placement)の場合には、圧力要素による骨固定器のヘッド上への受入部分の搭載を低い力で行うことができれば有利である。しかしながら挿入力が低い場合、ロッドを挿入するために受入部分を整列させるさらに別の処置については、骨固定要素のヘッド上に加えられるプレストレスが低くなりすぎ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2011/0004222A1
【特許文献2】US8,926,671
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、多軸骨固定装置との使用のための機器、ならびに、手術の間の取り扱いを容易にする、機器と向上した多軸骨固定装置とのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の機器と、請求項11に記載の機器および多軸骨固定装置のシステムとによって達成される。さらなる発展例が従属項において与えられる。
【0008】
上記機器は、手術の間に骨固定要素のヘッドに加えられる摩擦力を容易な態様で調節することを可能にする。特に、多軸骨固定装置に関連する機器は、一方の手で機器の第2の部材を作動させつつ他方の手で第1の部材が保持された状態で受入部分を保持することによって、ヘッド上への摩擦力を手動で調節することを可能にする。第1の部材による骨固定器に対する受入部分の旋回は、ヘッドに作用する摩擦力の即時のフィードバックを外科医に与える。これにより、外科医の手が摩擦力を感知することに基づいて所望の摩擦力の正確な調節が可能になる。
【0009】
上記機器は、骨固定要素のヘッドが受入部分内へ底部端部から挿入される底部装荷タイプの多軸骨固定要素に特に有用であり得る。受入部分は、骨固定要素のヘッド上にその場(in-situ)で配置され得る。シャンクは骨へ既に挿入されている。従って、ヘッドに作用する摩擦力が患者においてその場で調節され得る、その場タイプの底部装荷骨固定要素との使用のための機器が提供される。
【0010】
機器の第1の部材は、確実な嵌合の態様で受入部分に接続され得、受入部分の表面は、第1の部材と受入部分との間の回転を防止するよう第1の部材の表面と協働する。
【0011】
第2の部材は、第1の部材に対して特定の位置においてのみ第1の部材に接続可能である。この位置において、第2の部材の係合部分は、クランプ要素が容易に係合され得るように、多軸骨固定装置のクランプ要素の係合部分と実質的に整列される。したがって、機器を用いてクランプ要素を発見する処置が容易になり、クランプ要素の作動が早く実行され得る。クランプ要素によると、一方向にクランプ要素を回転させることによって固定要素のヘッドに対する摩擦力が増加され得、反対方向にクランプ要素を回転させることにより再び減少され得る。最終的なロックの前のヘッドの摩擦クランプの手動調節によって、ロッドを挿入するための複数の受入部分を整列させる処置がかなり簡素化される。
【0012】
さらなる特徴および利点は、添付の図面により実施形態の記載から明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】脊柱の部分と、挿入された多軸骨固定装置とともに、機器の実施形態の斜視図を示す図である。
【
図3】実施形態に従った多軸骨固定装置の分解斜視図を示す図である。
【
図4】断面がロッド軸に垂直な平面で取られる、
図3の多軸骨固定装置の断面図を示す図である。
【
図5】上から見た機器の外側管状部材の上からの斜視図を示す図である。
【
図6】
図5に示される外側管状部材を底部から見た斜視図を示す図である。
【
図7】
図5および
図6の外側管状部材の上面図を示す図である。
【
図8a】
図7における線A−Aに沿った
図5および
図6の外側管状部材の断面図を示す図である。
【
図8b】
図8aに示される外側管状部材の前端部の拡大部分の断面図を示す図である。
【
図9】機器の内側部材を上から見た斜視図を示す図である。
【
図10a】
図9の内側部材を底部から見た斜視図を示す図である。
【
図11a】骨固定要素が骨に既に挿入された状態で多軸骨固定装置に機器を搭載するステップの、断面がロッド軸を含む面で取られた断面図を示す図である。
【
図11b】骨固定要素が骨に既に挿入された状態で多軸骨固定装置に機器を搭載するステップの、断面がロッド軸を含む面で取られた断面図を示す図である。
【
図11c】骨固定要素が骨に既に挿入された状態で多軸骨固定装置に機器を搭載するステップの、断面がロッド軸を含む面で取られた断面図を示す図である。
【
図12a】多軸骨固定装置に機器を搭載するステップの部分断面図を示す図である。
【
図12b】多軸骨固定装置に機器を搭載するステップの部分断面図を示す図である。
【
図12c】多軸骨固定装置に機器を搭載するステップの部分断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図2bを参照して、実施形態に従った機器は、第1の部材10と、第1の部材10に挿入可能である第2の部材20とを含む。第1の部材10は、多軸骨固定装置の受入部分5に係合するように構成される。
図1において、脊椎500の椎弓根に既に挿入されている骨固定要素に受入部分5が回動可能に接続される。第2の部材20の部分は、受入部分5に設けられるクランプ要素7と係合し、かつ、クランプ要素7を回転するように構成される。
【0015】
次に、
図3および
図4を参照して、多軸骨固定装置の実施形態を記載する。多軸骨固定装置はたとえば、ねじ山付きシャフト2と、球台形ヘッドであり得るヘッド3とを有する骨ねじの形態にある骨固定要素1を含む。骨固定装置はさらに、骨固定要素1にロッド100を接続するようロッド100を受け入れるための受入部分5を含む。さらに、圧力要素6が、受入部分5においてヘッド3をクランプし最終的にロックするよう、骨固定要素の挿入されたヘッド3に圧力を加えるために提供される。さらに、クランプ要素7は、受入部分5において圧力要素6の部分のまわりに配される。クランプ要素は、挿入されたヘッド3への圧力を増加するよう、圧力要素6上に圧迫力を加えるために適合される。骨固定装置はさらに、受入部分5においてロッド100を固定するとともに受入部分5にヘッド3をロックするよう力を加えるためのロック要素8を含む。ロック要素8はたとえば、止めねじであり得る。
【0016】
受入部分5は、第1の端部5aと、第1の端部と反対の第2の端部5bと、第1の端部5aおよび第2の端部5bを通過する対称軸Cとを含む。第1の端部5aから第2の端部5bに延在し対称軸Cに対して実質的に回転対称である通路51が提供される。第1の端部5aに隣接する第1の領域において、受入部分5は、軸Cに対して対称である実質的にU字型の凹部52を含み、凹部52は、第2の端部5bに向かうように方向付けられる底部を有する。ロック要素8と協働する雌ねじ54が、第1の端部5aに隣接または第1の端部5aの近傍に形成される。実質的にU字型の凹部52によって形成されるチャンネルは、ロッド100を内部に受け入れるようにサイズ決めされる。ロッドは複数の固定装置を接続するように構成される。
【0017】
図4において特に分かり得るように、受入部分の下部部分において、受入部分5の上部セクションにおける通路51の内径より大きな内径を有する収容空間55が設けられる。収容空間55は、狭まり部分55aにおいて第2の端部5bに向かって狭くなる。収容空間55のサイズは、骨固定要素1のヘッド3および圧力要素6の下部部分が収容され得るようなサイズである。収容空間は、受入部分の底部端部5bに開口部56を有する。開口部56の直径は、ヘッド3が底部端部5bに存在する開口部56を通って受入部分5へ挿入可能であるように、ヘッド3の最大直径より大きい。U字型の凹部52の両側上の受入部分5上における平坦な外面部分58a,58b(
図3,
図11a)は、機器の平面と協働するように構成され、これにより、受入部分5と機器との間に確実な嵌合接続が提供される。さらに、チャンネルの各側上において、チャンネル軸に対して約90°の位置で、受入部分5の壁を貫通して延在する穴59a,59bがそれぞれ、ピン9a,9bを受け入れるために提供される。
【0018】
図3および
図4をさらに参照して、圧力要素6は第1の端部6aとその反対の第2の端部6bとを有する。第1の端部6aに隣接して、圧力要素は、実質的に円筒状であり、かつ、通路51の内径より小さい外径を有する第1の部分61を有する。第1の端部6aには、ロッド支持表面62が設けられる。
【0019】
円筒状の第1の部分61と第2の端部6bとの間に、ヘッド3を受け入れるように適合される形状を有する中空内部を有する第2のキャップ状部分63が存在する。特に、中空内部は、軸方向において、最大直径e(
図4を参照)を有するヘッド3を収容することができる長さを有する球形状を有する。圧力要素6の第2の部分63はさらに、第2の端部6bに対して開口しているとともに、第2の部分をフレキシブルにするようほぼ第1の部分61まで第2の部分63を貫通して延在する少なくとも1つの垂直スリット67、好ましくは複数のスリット67を含む。さらに、圧力要素6は、スクリュードライバによるスクリューヘッド3へのアクセスを提供するための同軸孔69を含む。圧力要素6の第2の部分63は、挿入されたヘッド3に圧力を加え、かつ、中空内部の内面とヘッド3の外面との間に摩擦力によってヘッド3を保持するよう適合される。言いかえれば、フレキシブル部分63は、ヘッド3上に堅く嵌合する。第2の部分63はフレキシブルな壁を有するので、スクリューヘッド3が挿入されると第2の部分63は収容空間55内で拡張し得る。圧力要素6が受入部分5の狭まり部分55aに入るように下方に押圧されると、ヘッド3は下側開口部60を通って取り除かれ得ず、ヘッド3上に作用する圧力要素6のプレストレスによってヘッドは受入部分5に対してある角度位置で維持される。
【0020】
クランプ要素7は、第1の端部7aおよび反対の第2の端部7bを有するとともに実質的に円筒状の外形を有するリング形状部分である。
図4に示されるように、クランプ要素7は、第2の端部7bに向かって広がり、かつ、円錐形であり得る内面72を含む。内面72のサイズは、クランプ要素7が搭載される際に表面72が圧力要素6のフレキシブルな第2の部分63の上部領域を包含するようなサイズである。クランプ要素7の下方向への移動によって、内面72は、圧力がフレキシブル部分上に加えられてヘッド3の圧迫が増加するようにフレキシブル部分63の外面と接触する。これにより、ヘッド3と圧力要素6との間の摩擦力が増加される。
【0021】
2つの対向する螺旋溝73(その1つは
図3に示される)を含む進行構造がクランプ要素7の外面上に設けられる。螺旋溝73は、第1の端部7aに向かって開口しており、第2の端部7bに向かう閉端部を有する。サイズは、ピン9a,9bが溝に係合し得るようなサイズである。溝73およびピン9a,9bは、受入部分5においてクランプ要素7を対称軸Cのまわりを回転させることによってクランプ要素7を進ませることを可能にする。圧力要素6およびクランプ要素7が受入部分5へ挿入されると、溝73の閉端部は、クランプ要素7が上端部5aを通って外れるのを防止する。進行構造は、中心軸Cに沿ったクランプ要素7の段階的でない進行を可能にする。螺旋溝73のサイズならびにピン9a,9bおよび/または溝のピッチは、トルクが適用されない場合にクランプ要素がある位置にとどまるように選択され得る。
【0022】
さらに
図3および
図4に示されるように、クランプ要素7は、第1の端部7aの表面において複数の係合凹部75を含んでおり、当該複数の係合凹部75は、機器によりクランプ要素7上にトルクが適用され得るように機器と係合されるよう構成される。より具体的には、当該実施形態において、係合凹部は中心軸Cに対して対向する側上にペアで配されており、好ましくは溝73の上部開口上端部から90°オフセットされる。
【0023】
骨固定装置の部分は、たとえばステンレス鋼、チタン、ニチノールのようなNiTi合金、マグネシウムもしくはマグネシウム合金といった生体適合性金属もしくは生体適合性金属合金のような生体適合性材料から構成され得るか、または、たとえばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはポリ−L−乳酸(PLLA)といった生体適合性プラスチック材料から構成され得る。これらの部分は、同じ材料または異なる材料から構成され得る。
【0024】
まず
図1〜
図3および
図5〜
図8bを参照して、機器をより詳細に説明する。第1の部材10は、機器の外側管状部材を形成する管状部分11を含む。管状部分11は前端部11aおよび反対の後端部11bを含む。管状部分の前端部11aの近傍には、受入部分5の対応する平面58a,58bと協働するように構成される2つの対向する平面12a,12bが設けられる。管状部分11はさらに、前端部11aの近傍に、平面12a,12bの間の距離より大きな内径を有する部分13を有する。部分13は、受入部分5の上への管状部分11の配置を促進するために前端部11aに向かって広がり得る。前端部11aからある距離にて、管状部分11の内壁にて周方向に延在し得るとともに受入部分5の第1の端部5aのための停止部として機能する突出部14が形成され得る。なお、突出部14は、完全な環状突出部を形成し得るか、または、内周の部分に沿ってのみ延在し得る。前端部11aからの突出部14の距離は、管状部分11が受入部分5上に配置され、かつ、受入部分5の第1の端部5aが突出部14に対して当接する際に、平面12a,12bが受入部分の対応する平面58a,58bに係合し得るような距離である。
【0025】
平面部分12aおよび12bから実質的に90°オフセットされて、2つの三角窓部15a,15bが管状部分11の壁に形成される。三角窓部15a,15bの方位は、最大直径が前端部11aに向かっているような方位である。窓部15a,15bは、機器の配置の点検を可能にし、機器のクリーニングを容易にし得る。窓部15a,15bのほぼ端部までの、前端部11aに隣接する領域における管状部分11の壁厚は、受入部分5を係合する機器の部分の強度を増加させるように増加され得る。平面12a,12bの位置に対応する位置にて、実質的な平面部分16a,16bが管状部分11の外壁に形成される。これらの平面部分16a,16bによって、ロッド軸に垂直な方向に管状部分の外径が低減される。これにより、隣接する骨固定器の受入部分がともに非常に接近して位置決めされる場合でも、当該機器が使用することが可能になる。
【0026】
後端部11bに隣接して、管状部分の部分17の外側輪郭は正方形状であり得る。後端部11bから離れるように向く正方形状部分17の端部には、以下に記載されるように、管状部分11上にてハンドル部分の軸方向位置を制限するために停止部18が設けられる。停止部18は環状の突出部であり得る。後端部11bからある距離にて、ピン30を受け入れるための横断穴19が、正方形状部分17の壁を通って延在するよう提供される。ピン30の長さは、ピン30が管状部分11の内部へ突出し得るような長さである。横断穴19の方位は、穴19が周方向において一方の側上の平面部分12aの中心と実質的に整列するような方位である(
図8a)。
【0027】
図1〜
図2bを再び参照して、ハンドル部分101は管状部分11に搭載される。ハンドル部分101は、管状であり正方形状部分17の外側輪郭に対応する内側輪郭を有する搭載部分102を含んでいるので、ハンドル部分101は確実な嵌合接続を介して管状部分11に接続される。搭載部分102は、停止部18によって前端部11aに向かって動くことを防止される。ハンドル部分101は、管状部分11に実質的に垂直に延在する。搭載部分102において、ハンドル部分101から180°オフセットされた位置に横断穴103が設けられる。搭載された状態において、搭載部分102における穴103と管状部分11における穴19とが整列するので、ピン30が両方の穴を通って延在することが可能である。
【0028】
第2の部材20が
図9〜
図10bにより詳細に示される。第2の部材20は前端部20aおよび後端部20bを含む。前端部20aに隣接する部分21aは管状である。管状部分21は、管状部分21が第1の端部5aからの受入部分5へ挿入され得るように受入部分5における通路51の内径より小さい外径を有する。より詳細には、管状部分21の外径は、たとえば
図11bにおいて分かり得るように、第1の端部7aでのクランプ要素7の外径と実質的に同じであり得る。管状部分21の内径は、
図11cに示されるように管状部分21が圧力要素の第1の部分61の上で摺動し得るように、圧力要素6の第1の部分61の外径より大きい。複数の係合突出部22が前端部20aに設けられる。係合突出部22は、クランプ要素7の第1の端部7aに設けられる凹部75に係合するようサイズ決めおよび形状決めされる。示される例において、4つの係合凹部22が、中心軸Cに対して対向する側に位置する2つのペアで配される。1つのペアの2つの係合凹部22同士の間の周方向の距離は、上記ペア同士の間の距離よりも小さい。突出部の1つのペアの突出部22同士の間の壁部分22aは、管状部分21の前端部20aよりも遠くに突出する。したがって、突出部22がクランプ要素7の凹部75に係合する場合、第1の端部7aと管状部分21の前端部20aとの間にギャップが存在する(
図11b)。これにより、管状部分21とクランプ要素7との間の摩擦接触が回避され得る。
【0029】
第2の部材20は、管状部分21に隣接して円筒部23を含む。円筒部23は中実であり得る、すなわち、管状である必要はない。円筒部23は、円筒部23が第1の部材10の管状部分11内において摺動し得るように、管状部分21の外径より大きいが第1の部材10の管状部分11の内径より小さな外径を有する。長手方向溝24が、管状部分21に隣接する円筒部23の端部から、中心軸Cと実質的に平行である円筒部23の反対端からある距離まで延在する。溝24の幅は、ピン30の前端部がガイドされ得るような幅である。周方向において、溝24は、2ペアの突出部22間の中間に実質的に位置する。後端部20bに面する長手方向溝24の端部において、長手方向溝24がその中に開口する水平凹部25が提供される。水平凹部25は軸方向において、長手方向溝24の幅より広い。特に、軸方向における水平凹部25の幅は、ピン30が軸方向において水平凹部25内で若干移動し得るようにピン30の直径より大きい。水平凹部25は、円筒部23の周縁部の約1/4から1/2未満に沿って周方向に延在する。側面図において、長手方向溝24および水平凹部25は一緒に実質的に逆L字形状を形成する。
【0030】
長手方向溝24は、前端部20aでの突出部22の位置がクランプ要素7の凹部75の位置と整列するように第1の部材10の管状部分11内への第2の部材20の挿入をガイドするように構成されるガイド構造を形成する。水平凹部25は、水平凹部25の水平端部に対するピン30の当接によって制限される、第1の部材10に対する第2の部材20の回転を可能にする。軸方向における凹部25の幅によって、クランプ要素7にて凹部75を発見して突出部22をそこに挿入するために、ピンが軸方向において凹部25内で若干動くことが可能になる。
【0031】
管状部分21と反対である円筒部23の端部には、ハンドル201との確実な嵌合接続として機能する柱26が設けられる。ハンドル201は、周方向において長手方向溝24の位置を示すノブ202を含む。さらにノブ202は、ハンドル部分201において柱26を内側方向に固定し得る。
【0032】
また、当該機器は身体適合性材料で構成される。そのような材料の例は、骨固定装置について記載されるのと同じであり得る。
【0033】
機器は以下のように組み立てられる。第1の部材のハンドル部分101が、穴19,103が重なるように第1の部材の正方形状部分16上に搭載される。次に、第2の部材10が、長手方向溝24が穴19,103と整列するように第1の部材10の管状部分11へ挿入される。最後に、
図2bに示されるように、ピン30が長手方向溝24内へ突出するまで穴19,103へ挿入される。ノブ202は、長手方向溝24の位置を示す。
【0034】
図11a〜
図11cおよび
図12a〜
図12cを参照して機器の使用を説明する。第1の代替例において、骨固定装置はその場で組み立てられる。骨固定要素は骨に既に挿入されており、その後、圧力要素6およびクランプ要素7を有する受入部分5がヘッド3上に搭載される。第2の代替例において、骨固定装置は人体の外部で組み立てられ、ヘッド3が下側開口部56を通って受入部分5へ手動で挿入される。
【0035】
第1の部材10の管状部分11は、内側平面部分12a,12bがU字型凹部52の外側で平面部分58a,58bに係合するような態様で、
図11aおよび
図12aに示されるように受入部分5上に配置される。受入部分5の第1の端部5aは、管状部分11における停止部14に対して当接する。これにより、受入部分は、第1の部材10によって堅く保持される。クランプ要素7は、表面72が圧力要素6のフレキシブル部分63を押圧しないような態様で、圧力要素6の第1の部分61のまわりに配される。凹部75はロッド軸に垂直な位置に位置決めされる。
【0036】
その後、第2の部材20が、ピン30が長手方向溝24に係合し得る位置に挿入される。第2の部材20の管状部分21が下方に移動される(
図11aにおける矢印)。その後、
図11bおよび
図12bに示されるように、第2の部材20は、管状部分21が受入部分5へ入り得るようにさらに下方へ移動される。これにより、長手方向溝24とのピン30の協働によって第2の部材20が軸方向にガイドされる。突出部22は凹部75と整列される。第2の部材20は、突出部22が凹部75に入るまで、進められる。第1の部材10に対する第2の部材20のこの相対的な軸方向位置において、ピン30は水平凹部25に入っている。最終的に、
図11cおよび
図12cに示されるように、第2の部材20は、クランプ要素7にトルクを適用するよう第1の部材10に対して回転される。クランプ要素7の螺旋溝73は、クランプ要素7が下方へ進むように、ピン9a,9bのためのガイダンスを提供する。クランプ要素7が下方に進む間、クランプ要素の表面72は、圧力要素6のフレキシブル部分63の外面と接触し、フレキシブル部分63を圧迫する。これにより、ヘッド3に加えられる圧力が増加する。水平凹部25の端部にてピン30のために提供される停止部によって、クランプ要素が進みすぎることが防止される。圧力を減少させるために、第2の部材20は反対方向に回転され得る。第1の部材10は、処置の間に、対向保持部材として作用する。
【0037】
上記の処置によって、受入部分5におけるヘッド3の摩擦嵌合は、第1の部材に対して第2の部材を回転させることによって、容易かつ安全に増加され得る。好適な摩擦推力が調節された後、まず第2の部材20が引っ込められ、その後、第1の部材10が受入部分5から分離される。受入部分は整列され得、これにより、骨固定要素に対する受入部分の角度位置が摩擦嵌合により維持される。その後、ロッドが挿入され、ロック要素を挿入し締めることにより全体の構造が固定される。
【0038】
上記の実施形態の修正例が考えられる。受入部分に対する第1の部材の回転を防止する、第1の係合部材および受入部分上の協働表面は、確実な嵌合接続を達成するために他の態様で形状決めおよび配置され得る。受入部分上の1つの面および第1の部材の1つの面だけで十分であり得る。第2の部材およびクランプ要素の係合部分は別の形状および/または別の配置を有し得る。たとえば、1つの突出部および対応する凹部のみで十分であり得る。第2の部材は、第1の部材のまわりに配置され、受入部分の外部からクランプ要素を係合し得る。長手方向溝および水平凹部は第1の部材に設けられ得、また、対応する突出部が第2の部材に設けられ得る。
【0039】
多軸骨固定装置に関し、別のクランピング機構が提供され得る。たとえば、クランプ要素は、受入部分とクランプ要素との間のねじ接続によって進められ得る。底部装荷多軸骨固定装置が示されているが、機器は、固定要素が第1の端部から受入部分へ挿入される上部装荷多軸骨固定装置と共に使用され得る。骨固定要素のヘッドは、それに適合される圧力要素を有する骨固定要素が単一の面においてのみ旋回されることを可能にする設計を有し得る。たとえばヘッドは、シャンク軸と実質的に平行に延在する少なくとも1つの平面部分を有し得、また、圧力要素は、単一の面に対する旋回を制限するよう協働部分を有し得る。拡大された旋回角度を提供するための任意の設計がさらに使用されてもよい。ロック要素については、2つのロック要素、外側ロックナットなどにより独立してロッドおよびヘッドをクランプすることを可能にする2部分ロック装置であるバイオネットタイプのロック装置のようなすべての種類のロック装置が使用され得る。
【0040】
骨固定要素について、ねじ、とげ部分を有するまたは有さない釘、カニューレが設けられた骨固定器、ヘッドおよびシャンクが組み立てられ得る別部分である2部分骨固定器、ならびに、他の骨固定要素といったすべての種類の骨固定器が使用され得る。
【符号の説明】
【0041】
1 骨固定要素、2 シャフト、3 ヘッド、5 受入部分、7 クランプ要素、10 第1の部材、11 管状部分、12a,12b 平面部分、20 第2の部材、20a 前端部、21 管状部分、30 ピン、100 ロッド。