特許第6559637号(P6559637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559637タイヤユニフォミティマシンの特性化システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559637
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】タイヤユニフォミティマシンの特性化システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/08 20060101AFI20190805BHJP
   G01M 17/02 20060101ALI20190805BHJP
   G01M 1/16 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G01M1/08
   G01M17/02
   G01M1/16
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-208473(P2016-208473)
(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公開番号】特開2017-116528(P2017-116528A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】14/922,271
(32)【優先日】2015年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513032448
【氏名又は名称】コマーシャル、タイム、シェアリング、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】COMMERCIAL TIME SHARING INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100108785
【弁理士】
【氏名又は名称】箱崎 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド、イー.シメンス
(72)【発明者】
【氏名】バイロン、アール.スタノセク
【審査官】 萩田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−234980(JP,A)
【文献】 特開2013−164417(JP,A)
【文献】 特開昭57−141532(JP,A)
【文献】 特開2006−105776(JP,A)
【文献】 特開2013−142681(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0205080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/00 − 1/38
G01M 17/02
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤユニフォミティマシンのスピンドル力の特性化方法であって、
上側リムを有する上側スピンドルと、下側リムを有する下側スピンドルとを備え、前記上側リムと前記下側リムとでタイヤを挟んで捕捉する装置に前記タイヤを受け入れ、
ロードホイールを前記タイヤに適用して測定データ波形を収集し、
複数の係合位置の中から係合位置を規定するように前記上側リムに対する前記下側リムの角度ずれを決定し、
前記測定データ波形をタイヤ結果波形として指定し、
前記係合位置に対して少なくとも所定数の測定データ波形になるまで測定データ波形の集合に前記測定データ波形を追加し、
前記係合位置に対して前記所定数の測定データ波形が得られたかを判定し、前記係合位置に対して前記測定データ波形が得られていなければ、前記タイヤ結果波形を前記係合位置のタイヤ試験結果として格納し、前記係合位置に対して前記所定数の測定データ波形が得られていれば、
前記係合位置に対して前記測定データ波形の集合から平均波形を計算し、
前記平均波形ごとに特性波形を生成し、
前記タイヤ結果波形から前記特性波形を減算して最終タイヤ波形を算出し、
前記最終タイヤ波形を前記タイヤ試験結果として格納する方法。
【請求項2】
前記タイヤ試験結果を所定のしきい値と比較することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定データ波形を追加するステップの前に前記タイヤ結果波形を得るようにロードホイール特性波形を前記測定データ波形から減算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記タイヤの回転位置および前記上側リムを有する前記上側スピンドルの回転位置を監視するように前記スピンドルにタイヤエンコーダを対応付け、
前記下側リムにフラグを対応付け、
前記フラグおよび前記下側リムの回転位置を検出するように近接スイッチを位置付けることをさらに含み、
前記係合位置は、前記下側リムの前記回転位置および前記上側リムの前記回転位置から決定される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記タイヤユニフォミティマシンの任意の機械構成部品が交換されたときは前記各係合位置の前記平均波形の値をゼロに再設定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記任意の機械構成部品は、上側スピンドルチャックアセンブリ、下側スピンドルチャックアセンブリ、ノーズコーン、ノーズコーンカップ、脱着可能リム、スピンドル、リムアダプタおよびスピンドルベアリングからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記係合位置に対する測定データ波形の前記所定数を少なくとも2つに設定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記特性波形を生成するために、少なくとも前記平均波形の基本波を計算することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記特性波形として使用するためにすべての係合位置に対して前記特性波形をフィルタリングすることをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記測定データ波形が所定数収集されると、新しい被試験タイヤのそれぞれに対して最も古い被試験タイヤの前記測定データ波形を除くことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記特性波形は、ラテラルフォース特性波形である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ロードホイールのロードホイール特性波形を決定し、
前記タイヤのバネレートを算出し、
前記測定データ波形から前記ロードホイール特性波形を減算し、前記タイヤ結果波形として格納し、
前記タイヤの前記バネレートに基づいて前記タイヤ結果波形を正規化し、正規化波形として格納し、
前記係合位置に対して少なくとも所定数の正規化波形になるまで正規化波形の集合に前記正規化波形を追加し、
前記係合位置に対して前記所定数の正規化波形が得られなければ、前記タイヤ結果波形を前記タイヤ試験結果として格納することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記最終タイヤ波形の算出前に、前記係合位置のそれぞれに対する前記平均波形から得られた記特性波形のすべての点と前記バネレートとを乗算することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
記特性波形を生成するために前記平均波形の少なくとも基本波を計算することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
記特性波形として使用するためにすべての係合位置に対して前記特性波形をフィルタリングすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
記特性波形は、ラジアルフォース特性波形である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にタイヤ試験機器に関する。特に、本発明は、タイヤユニフォミティマシンの構成部品の特性化に関する。具体的には、本発明は、通常の試験進行中にタイヤを評価するためのタイヤユニフォミティマシンの特性を利用することに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは真円であることが望ましく、タイヤの内部剛性、寸法、重量分布その他の特徴は、タイヤの周囲にわたって均一であるべきである。しかしながら、一般的なタイヤ構造および製造プロセスではこのような理想的なタイヤを大量生産することは困難である。すなわち、製造されたタイヤには、剛性、寸法、重量分布その他の特徴に一定量の不均一性が生じる。その結果、自動車の走行中、望ましくない加振力がタイヤに発生する。このような加振力により発生する振動が自動車のシャーシに伝わることで、さまざまな車両振動やノイズが生じ、例えば、揺れ、フラッタ振動、タイヤの振動音等となって車内へと伝わることになる。
【0003】
タイヤの不均一性の評価には工業規格を利用できる。1つの方法として、路面の代わりとして機能する回転ドラムが、所定の押圧力(数百キログラム)で回転可能に保持されたタイヤに押圧されるか、またはタイヤが所定の押圧力で回転ドラムに対して押圧される。タイヤおよび回転ドラムは、いずれか一方が回転すると他方も回転するようにそれぞれの回転軸周りで回転可能である。
【0004】
この状況において、タイヤまたは回転ドラムは、タイヤが毎分60回転で回転するように回転可能に駆動される。タイヤが回転すると、タイヤの不均一性により加振力が生じる。このような加振力は1つ以上の力測定装置(ロードセルなど)によって測定され、該力測定装置は、タイヤまたは回転ドラムを回転可能に支持するベアリングに取り付けられるか、または該ベアリングに取り付けられた部材に設けられる。測定された値から、タイヤの不均一性の評価に有用な指標が計算される。このような測定のことを均一性測定と呼ぶ。
【0005】
測定が行われるタイヤは、指標から得られた不均一性が許容範囲内にあるものと、許容範囲外にあるものとに分類される。可能な範囲内で、不均一性が許容範囲外のタイヤに対して、不均一性を軽減するための処理が施される。そして、処理が施されたタイヤに再び均一性測定を行い、不均一性が許容範囲内にあるものと、許容範囲外にあるものとに分ける。
【0006】
上述した手順を経て、「許容範囲内の不均一性」があると判定されたタイヤのみが選択され、顧客に向けて出荷される(またはタイヤ評価手順における次の工程に送られる)。
【0007】
現行のタイヤユニフォミティマシンにも有効性は認められるが、さらなる改良も可能であると考えられる。現行のタイヤユニフォミティマシンにより得られる試験結果には、一貫性がない場合がある。ユニフォミティマシンの信頼性の有無を判定するさい、ユニフォミティマシンがタイヤの不均一性を一貫して検出し測定するように、同じタイヤに対して試験を5回行う。また、タイヤの追加サンプリングには同一の均一性試験が行われる。このような試験結果の集合から、実際の結果をフィルタリングするためにさまざまなフィルタが生成され、製造タイヤに適用される。なお、当業者であれば分かるように、試験結果のフィルタリングは試験手順にさらなる時間を要してしまい望ましくない。また、フィルタリングに係る問題として、許容可能なタイヤを排除するようなフィルタ設定がなされている場合や、さらなる問題として、許容可能ではないタイヤが試験を合格する可能性がある場合が挙げられる。
【0008】
1つの改良は、試験中のタイヤの本来の均一性に悪影響を及ぼすタイヤユニフォミティマシンの構成部品の特性プロットを生成することである。ユニフォミティマシンの構成部品によりかけられる力が、マシンごとに異なる固有の特性をそれぞれ有することが分かっている。例えば、あるユニフォミティマシンの回転ドラムは、別のマシンの別の回転ドラムと異なる特性を有する。タイヤの表面に接触する各回転ドラム、およびタイヤのビード部と係合する各上下スピンドルチャックアセンブリは固有の力特性を有しているため、それらの固有の力特性は、マシンによって検出される均一性測定値にエラーが生じる起因になると考えられている。また、スピンドルの十分な特性化は従来の試みでは不十分であると考えられている。特に、従来の方法では、上下スピンドルチャックアセンブリの角度位置合わせまたは回転位置の差が十分に考慮されていない。その結果、上下スピンドルチャックアセンブリの角度位置合わせが異なると、タイヤ均一性測定値への力寄与が生じて十分なフィルタリングが得られず、またはフィルタリングされた測定値に歪みを生じさせタイヤの均一性測定値が正確に示されなくなる。タイヤの下側と係合する下側スピンドルのノーズコーンと、タイヤの上側と係合する上側スピンドルのノーズコーンとに位置ずれがあると、さらなる力寄与が生じうる。このような位置ずれにより、タイヤリムの振れ(ランアウト)に寄与する軌道効果が生じる。なお、上側スピンドルを下側スピンドルに位置合わせすることでリムの振れが実際に減ることもあれば、そのような位置合わせでリムの振れが増すこともある。
【0009】
また、スピンドルを特性化する従来の方法において、複数の等間隔および/または無作為の角度位置でリムに向けられた単一のタイヤを試験することが知られている。被試験タイヤの角度位置および荷重値は、測定された波形の加算処理から特性波形を生成するために用いられる。そして、特性波形は、マシン効果を残すようにタイヤ効果を排除するために用いられて、タイヤ製造試験プロセス中にフィルタリング除去されうる。しかしながら、このようなプロセスは、試験中のタイヤに対する上下リムの異なる角度係合位置を考慮も認識もしていない。そして、異なる係合位置は、リムおよび/またはスピンドルの振れよりも非常に大きな影響を有すると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、ノーズコーンおよびノーズコーンカップを含む上下スピンドルチャックアセンブリを正確に特性化したものを生成する技術が必要とされているとともに、試験中のタイヤに一貫して特性化が適用されるように上下チャックアセンブリを互いに位置合わせすることを考慮に入れた技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のことから、本発明の第1の態様は、タイヤユニフォミティマシンの特性化システムおよび方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる態様は、タイヤユニフォミティマシンのスピンドル力の特性化方法であって、上側リムを有する上側スピンドルと、下側リムを有する下側スピンドルとを備え、上側リムと下側リムとでタイヤを挟んで捕捉する装置にタイヤを受け入れ、ロードホイールをタイヤに適用して測定データ波形を収集し、複数の係合位置の中から1つの係合位置を規定するように上側リムに対する下側リムの角度ずれを決定し、測定データ波形をタイヤ結果波形として指定し、複数のタイヤから係合位置に対して少なくとも所定数の測定データ波形になるまで測定データ波形の集合に測定データ波形を追加し、係合位置に対して所定数の測定データ波形が得られたかを判定し、所定数の測定データ波形が得られていなければ、タイヤ結果波形を係合位置のタイヤ試験結果として格納し、係合位置に対して所定数の測定データ波形が得られていれば、係合位置の平均波形を計算し、平均波形ごとに特性波形を生成し、タイヤ結果波形から特性波形を減算して最終タイヤ波形を算出し最終タイヤ波形をタイヤ試験結果として格納する方法を提供することである。
【0013】
本発明の上記および他の特徴および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲および添付の図面からさらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の概念によるタイヤユニフォミティマシンの概略図である。
図2】本発明の概念によるタイヤユニフォミティマシンの部分正面図である。
図3A】本発明の概念によるラジアルフォーススピンドル特性化プロセスを示すフローチャートである。
図3B】本発明の概念によるラジアルフォーススピンドル特性化プロセスを示すフローチャートである。
図4A】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4B】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4C】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4D】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4E】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4F】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4G】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4H】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4I】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図4J】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラジアルフォーススピンドル特性波形である。
図5A】本発明の概念によるラテラルフォーススピンドル特性化を示すフローチャートである。
図5B】本発明の概念によるラテラルフォーススピンドル特性化を示すフローチャートである。
図6A】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6B】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6C】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6D】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6E】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6F】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6G】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6H】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6I】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図6J】タイヤユニフォミティマシンにより試験されるタイヤの分析に使用される例示的なラテラルフォーススピンドル特性波形である。
図7】本発明の概念によるプロセスを用いて得られたラジアル方向の特性波形の三次元グラフである。
図8】本発明の概念によるプロセスを用いて得られたフィルタリング後のラジアル方向の特性波形の三次元グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面、特に図1および図2を参照すると、タイヤユニフォミティマシンが参照番号10で概して示されているのが分かる。タイヤユニフォミティマシンは、水平方向の下部フレーム部材14および水平方向の上部フレーム部材16によってそれぞれ端部で接続されたサイドフレーム部材12を含む。サイドフレーム部材12およびフレーム部材14および16は、箱状の構造を形成し、箱状の構造内に、大文字Tで概して示すタイヤが受け入れられ、試験され、取り出される。
【0016】
コンベヤ18は複数のローラとともに構成され、複数のローラの間には開口があり、コンベヤ18上をマシン10までタイヤTが搬送される。各タイヤTは、実質的に平行な側壁26に隣接するトレッド24を含み、側壁26はタイヤの内径を形成するビード部28を有する。
【0017】
マシン10は、タイヤを受け入れ回転させる装置を含み、特に、下側スピンドルチャックアセンブリ32および上側スピンドルチャックアセンブリ34を含む。上下スピンドルチャックアセンブリの両方は、脱着可能リム30および48をそれぞれ装備し、試験対象のタイヤのビード直径に適合するのに必要とされるさまざまなサイズのものでありうる。下側スピンドルノーズコーン33を含む下側スピンドルチャックアセンブリ32は、フレーム部材12および14によって保持および支持され、コンベヤ18によって支持されるとタイヤと係合するように位置付けられる。特に、下側スピンドルチャックアセンブリ32は、シャフト40を提供しシリンダ44内に収容されたピストン42を維持する油圧ユニット38を含む。適時に、油圧ユニットはノーズコーン33およびリム30を加圧して、試験位置にタイヤを移動させるようにコンベヤ18の開口を通して、タイヤ、特に、下側ビード28と係合させる。
【0018】
上側スピンドルチャックアセンブリ34は、ノーズコーンカップ49が延伸するリム48にタイヤTの他方側を受け入れ、ノーズコーンカップ49は、下側スピンドルチャックアセンブリが、リム30上のタイヤのビード28で対向する側壁26と係合するとき、ノーズコーン33と噛み合う。スピンドルチャックアセンブリ34は、スピンドル50によって回転されるリム48を含み、アセンブリ34は、スピンドルベアリングと、リムアダプタと、上側スピンドルノーズコーンカップと、他の関連する構成部品とを含んでもよい。スピンドル50は、モータ52と、スピンドル50をモータに接続する相互接続ベルトドライブ54とによって駆動される。当業者であれば分かるように、ノーズコーン33およびノーズコーンカップ49は、互いに実質的に軸方向に位置合わせされるが、マシンの各位置合わせはわずかに歪むか、または無視してよい程度にずれる。そして、上下スピンドルは、一般的に軸方向に揃えられているが、ある程度の位置ずれは呈する。このような位置ずれにより、タイヤの回転に伴い軌道効果が生じ、ラジアル方向およびラテラル方向の測定面の両方に振れが生じる。さらに、上側スピンドルまたは下側スピンドルのいずれかに歪みがあれば、均一性測定中に検出される望ましくない力の発生に寄与することにもなりうる。歪みや位置ずれは、各タイヤが均一性試験を受けると、試験データに望ましくないラテラル方向および/またはラジアル方向の歪みに寄与する。ラテラル方向およびラジアル方向の歪みは、上下スピンドルアセンブリの間に異なる角度位置合わせによってさらに悪化することもある。
【0019】
簡潔に言えば、動作中、タイヤはコンベヤ18に沿って搬送され、下側スピンドルチャックアセンブリが、タイヤTの下側の対向する側と係合しうるように適切な位置で停止される。そして、下側リムは、タイヤを移動させて上側リムと係合させると、タイヤは膨らませられた後、試験プロセスを開始するように回転される。
【0020】
回転中にリム48およびタイヤTの回転位置を監視するために、上側スピンドル50によってタイヤエンコーダ56が保持される。エンコーダ56は、タイヤの周囲を等分に分ける信号Aと、任意の時点での周囲での単一固定位置を示す信号Bとを発生させる。信号Bは、0区分と呼ばれることもある。このようにして、モータの動作はエンコーダ56によって監視されてもよい。
【0021】
フラグ58または他の同様の印が、リム30の下方に位置しリム30とともに回転する下側アダプタプレート59に取り付けられてもよい。リム30が特定の向きの方へまたはその向きを越えて回転するとき、フラグ58を検出するように、下側チャックスピンドルアセンブリ32に近位のフレーム部材12に近接スイッチ60が取り付けられてもよい。近接スイッチ60は、コントローラ90が受ける出力信号Fを発生する。したがって、信号Fが、フラグ58が近接スイッチ60のそばを通り近接スイッチ60によって検出されると、アダプタ59、ひいては、接続された下側スピンドルチャックアセンブリの正確な角度方向が得られる。言い換えれば、上側リムおよび下側リムの両方が回転中タイヤに対して角度が固定されるため、上側スピンドルの現在のエンコーダ値は、近接スイッチ60がフラグ58の通過を検出した時点で下側スピンドルの割り出し点(index point)として記録されてもよい。あるいは、下側スピンドルの角度位置は、近接スイッチ60がフラグ58の通過を検出した時点で、上側スピンドルのエンコーダの現行値および上側スピンドルエンコーダの値の差を求めることによって任意の時点で算出されてもよい。上側スピンドルのタイヤエンコーダ56によって規定される区分に対する下側リムの位置によって上側リムに対する下側リムの位置を決定する信号Fは、タイヤが回転されると発生されてもよい。言い換えれば、フラグ信号Fは、タイヤデータの上述した区分(信号Bで規定)のうちどの区分が、フラグ58が近接スイッチ60を通過した時点でフラグ58の位置と一致するかを決定する。上下スピンドル間の角度ずれは、角度係合位置と呼ばれることもある。
【0022】
タイヤインフレーションシステム64は、タイヤの空気圧を監視する空気圧トランスデューサ65と、タイヤ圧力を所望の圧力に調整する空気圧レギュレータ66とを含む。前述したように、チャックアセンブリがタイヤと係合した後、タイヤは、タイヤの試験前にインフレーションシステムによって所望の圧力まで膨らませる。空気圧トランスデューサ65は、圧力信号Cを発生する。
【0023】
ロードホイール70が、水平方向に移動してタイヤTと接触および非接触してタイヤに荷重をかけ、タイヤの均一性を試験する。なお、ロードホイールは、少なくとも2つの実質的に平行に離間したプレートで構成されてもよいが、単一のプレートまたは複数のプレートが使用されてもよい。プレートの外径は、図1に示すようなタイヤトレッドと係合するラジアル方向の表面82を支持する。当業者であれば分かるように、材料、溶接、機械加工等を含むロードホイールの全体構造が、ロードホイール70、ひいては、マシン10の特性および動作に影響する。また、同じ構造は、タイヤと接触および係合するマシン10の他の構成部品、例えば、上側スピンドルチャックアセンブリ34、上側リム48、下側スピンドルチャックアセンブリ32、下側リム30およびタイヤインフレーションシステム64にも適用可能である。これらの構成部品はすべて、影響の大小にかかわらず、試験プロセス中のタイヤから収集した試験データに影響を及ぼす。
【0024】
ロードホイール70は、フレーム部材によって維持されるキャリッジ88内に取り付けられ、同様にフレーム部材12によって保持されるモータギアアセンブリ76によってタイヤと係合する位置に近づいたり離れたりすることが分かる。少なくとも1つのロードセル84がロードホイール70に対応付けられ、回転運動中にタイヤがホイールにかける力を検出する。各ロードセルはロードセル信号DおよびD’をそれぞれ発生する。なお、単一のロードセルが使用されてもよいが、さらなるロードセル84が、第1のロードセル信号の読取値の確認、ロードの力の共有、タイヤ構造のわずかなバリエーションの検出を行うために設けられてもよい。
【0025】
ロードホイールエンコーダ86は、ロードホイールの回転位置または角度位置を監視するようにキャリッジ88によって保持される。エンコーダ86は、エンコーダ信号Eを発生する。
【0026】
コンピュータ92は、コントローラ90を介して、タイヤユニフォミティマシンの特定の構成部品の特性化および/またはタイヤ試験プロセス中に発生した他の検出測定値の獲得を行うように信号A〜Fを受信する。このように、これらの信号は、試験中にタイヤに力をかけるタイヤユニフォミティマシンの構成部品を分析するためのものであって、試験中のタイヤにかかる可変力を表す。また、コントローラ90は、タイヤTをマシン内に移動させ、試験に備えるようにするために必要なモータ、弁、サーボおよびコンベヤを動作させる信号を発生するためにも使用される。コントローラ90は、コンピュータ92に接続され、コンピュータ92は、データを表示し収集するとともに、信号A〜Fにより表された収集データおよび他の任意の収集データ信号を操作し分析しうる。当業者であれば分かるように、コントローラ90およびコンピュータ92は、マシン10の構成部品の制御を協働して(tandem)または別々に行ってもよく、収集データを処理し、製造人員に使用可能なフォーマットで提示してもよい。また、コンピュータおよびコントローラは共に、マシン10の動作の実施および実行や、記載される特性化プロセスに要する必要なハードウェア、ソフトウェアおよびメモリを備える。
【0027】
一般に、タイヤユニフォミティマシンの特定の構成部品のモニタリングは、マシンの機械的な挙動を特性化するために行われ、特性化されるとすぐに、コンピュータは、製造タイヤの試験中にマシンの機械的条件によって生じる望ましくない影響を排除する。マシンの特性化の利用は、検出測定値が有効な試験結果としての使用に適しているかを判定し、さらに、マシンの機械的特性化に基づいた分析を用いて、マシンの機械部品、測定装置等に起因する望ましくない波形特性を排除することができる。現在ではこれらの望ましくない波形の特性は、コンピュータおよびソフトウェアプロセスによって具体的に特定されうる。このように、測定値の精度および以前の測定値との適合性(再現性)の両方を低下させる波形の望ましくない部分を調整することができる。
【0028】
タイヤの試験時にスピンドルアセンブリの力寄与を正確に求めるために、最初にロードホイールから力寄与を除くことが望ましい場合もある。本明細書に参照により援用されたものとする米国特許第8,701,479号明細書には、ロードホイールの力を特性化し、これらの力を測定された力から除くプロセスが提示されている。簡潔に言えば、上記’479特許のプロセスでは、ロードホイールに関するデータを記録および測定するために、既知の低バネレートのタイヤが利用されている。同じステップが、既知の高バネレートのタイヤにもとられている。そして、収集された波形を用いて、ロードホイール特性波形を生成し、この波形は、ロードホイール特性化を除いて被試験タイヤの正確な表示を与えるために、試験中のタイヤの波形から除かれたものであってもよい。
【0029】
背景技術において述べたように、上下スピンドルおよび関連する構成部品は、望ましくないラジアルフォースおよびラテラルフォースを試験中のタイヤにかけていると考えられる。ラテラルフォースは、主に、ロードホイールによってかけられる力に対するスピンドルアセンブリの構成部品の反応に起因する。ラジアルフォースは、試験中のタイヤと係合するときのノーズコーンカップに対するリムおよびノーズコーンの位置ずれに起因する。このように、上側スピンドルアセンブリおよび/または下側スピンドルアセンブリの構成部品に何らかの変化があると、それらの特性波形も同様に変化すると考えられる。このように、異なるサイズのタイヤを試験にかけようとするときはいつでも、タイヤと係合する下側リムおよび上側リムにも変更を加えることが必要となり、開示された特性化手順をやり直す必要がある。
【0030】
スピンドル特性化という用語は、本明細書において用いる場合、上下スピンドル全体、スピンドルベアリング、リムアダプタ(本願では上側チャックとも呼ばれる)およびリムの特性化をさす。スピンドル特性化の基本概念は、スピンドルがロードホイールと同様に振れ、結果的に得られるラジアルフォースの試験波形で観察される振れ量は、ロードホイールと同様にタイヤのバネレートに直接相関する。しかしながら、スピンドル特性化は、タイヤがスピンドル「に」取り付けられているため、ロードホイールのものとは異なる。このように、タイヤ位置とスピンドル位置との比は常に1:1である。このように比が異なるのは、ロードホイール特性化が、600回タイヤをスピンさせ、ロードホイールのさまざまな場所でタイヤが載る場所を測定することによって得るからである。その結果、異なる方法は、スピンドル特性化を具体的に測定するために開発されてきた。
【0031】
なお、以下に記載するラジアルフォース特性化プロセスとラテラルフォース特性化プロセスの両方において、任意の所与のマシン10の特性化に関する十分なデータを収集するために、多数のタイヤを試験する必要があることがわかるであろう。時間の経過とともにデータが収集されるにつれ、マシンの特性化の真の表示が得られうる。このような方法では、マシン10の機械構成部品の交換、例えば、新しいリムアダプタ、上側または下側スピンドルチャックアセンブリ、脱着可能リム、リムアダプタ、スピンドルベアリング、スピンドル、ノーズコーン、ノーズコーンカップまたはリム等の構成部品の交換、またはタイヤユニフォミティマシンに対して構造上の変更がなされると、十分なデータを再収集する必要がある。すなわち、少なくとも収集された正規化波形および以下に記載する平均波形のセットは、タイヤユニフォミティマシンの構成部品が交換されるときはいつも空値に再設定される。なお、マシンの特性は、摩耗、サービスおよび他の環境的変化により継時的に変化する。これらの変化により、記載されるラジアル方向およびラテラル方向の特性化に徐々に変化を生じうる。したがって、タイヤの履歴や個体数が試験され、それらの試験データが収集されると、最も古い試験タイヤデータは、特性化プロセスから除かれてもよい。
【0032】
本明細書に開示されたラジアルフォース特性化プロセスについて、ロードホイールがタイヤ内にスピンドルの方へ移動するインチ当たりの、ロードホイールによって見られるラジアルフォースの重量ポンドで規定されたバネレートをタイヤが有する場合を考慮する。試験中、ロードホイール位置が適所に固定されると、非真円のスピンドルおよび/またはリムは、タイヤの1回転に等しい周波数で繰り返しロードホイールに近づく方向または離れる方向にタイヤを押す。スピンドルの軌道が一定でないことと、タイヤを保持する上側リムおよび下側リムの両方の振れとにより、試験中にタイヤの各試験波形に加えられたラジアルフォース波形が生じることで、タイヤの均一性の波形が不正確になる。以下の手順は、スピンドル特性波形におけるラジアルフォースの特性化方法を表す。ラジアルフォースが特性化されると、特性波形は、試験データから数学的に減算されることにより、試験データの精度が増す。
【0033】
以下、図3Aおよび図3Bを参照すると、ラジアルフォーススピンドル特性化を決定する方法が、参照符号100で概して示されている。このプロセスにおいて、ステップ102では、試験対象のタイヤがマシン10に挿入され、膨らまされ、そして下側スピンドルチャックアセンブリ32および上側スピンドルチャックアセンブリ34によって回転される。所望の回転速度が得られると、マシンは、ロードホイール特性化を決定するためにロードホイール70を適用する。ロードホイール特性化が他の方法によってすでに把握されている場合、上述したように、ロードホイール特性化ステップは不要な場合がある。いずれにせよ、ステップ104において、試験中のタイヤのバネレートが、センサ84およびコントローラ90から算出される。次に、ステップ106において、上側リムに対する下側リムの角度ずれが決定され、記載される「係合位置」を決定するための算出がなされる。すでに記載したように、上側角度位置は、タイヤエンコーダ56によって決定され、下側角度位置は、フラグ58および近接スイッチ60によって決定される。その結果得られる信号A、BおよびFは、試験中のタイヤの係合位置を決定するコントローラ90によって受信される。
【0034】
ステップ108において、力センサによって発生される信号DおよびEが測定される。これにより、試験中のタイヤに関連する一連のデータが得られる。このデータは、測定データ波形と呼ばれることもあり、この測定データ波形は、試験中の特定のタイヤに対応付けられ、スピンドル特性化の力を決定するさい同様に被試験タイヤと統合されうる。ステップ110において、すでに決定されたロードホイール特性化が、測定データ波形から減算され格納される。格納された波形は、「タイヤ結果波形」と呼ばれることもある。理想的には、ロードホイール特性化は、ロードホイールがスピンドル特性化の精度を低下させる測定誤差を導入すると、測定データ波形から除かれるできである。しかしながら、ロードホイール特性化が利用可能でなければ、最適な結果より低くなろうが、スピンドル特性化を進めてもよい。次に、ステップ112において、タイヤ結果波形は、正規化波形を生成するように、ステップ104において算出されたタイヤの算出バネレートに基づいて正規化される。
【0035】
ステップ114において、正規化波形は、N個の係合位置のうちの適切な1つに収集され、ここで、Nは10に等しいものであってもよい。しかしながら、少なくとも2つまたは任意の数の他の係合位置が採用されてもよい。言い換えれば、スピンドルの周囲は10区分以上または10区分未満の実質的に等しい大きさの部分に分けられてもよく、このように分けることで、各角度係合位置、例えば、上側リムに対する下側リムの位置が決定され、該部分のそれぞれに対応付けられるようにされてもよい。例えば、係合位置が10個ある場合、各係合位置は、上下スピンドル間での角度ずれ位置の360°の範囲のうちの約36°部分である。言い換えれば、第1の係合位置は、上下スピンドル間の角度ずれ位置が0〜36°にあるときに発生した場合のタイヤ測定データを収集し、第2の係合位置は、角度ずれが36°〜72°にあるときに発生した場合のものであり、以下同様である。他の角度間隔が使用されてもよい。タイヤが試験されるたびに、タイヤ結果データ(正規化波形)は、特定の係合位置に対応付けられすでに収集されたデータセットに追加される。
【0036】
次に、ステップ116において、特性化プロセスは、指定された係合位置のそれぞれに対して収集されたデータが十分にあるかを判定する。本実施形態において、指定された係合位置のそれぞれに対してスピンドル特性化を得るには、最低でも25個の波形が必要であるとしている。しかしながら、ステップ110においてロードホイール特性化が利用されない場合、当業者であれば分かるように、係合位置ごとに25個を超える波形が必要になる場合もあることを理解するであろう。所定数のタイヤが試験され、その試験データが指定数の係合位置のそれぞれに対応付けられると、以下に記載するように、完全なまたは高信頼性の特性化を得ることができる。しかしながら、指定された係合位置に対して十分なデータ(少なくとも25個の波形)がないと判定されれば、プロセスはステップ118に進み、ステップ118において、ステップ110からのタイヤ結果波形がタイヤ試験結果として格納される。特性化プロセスにおいてこの時点での収集データ量が不十分であることを考慮すると、完全な特性化は得られない。このように、フィルタリングされていない結果しか得られない。必要に応じて、特性化プロセスが完了した後に、そのタイヤの再試験をしてもよい。
【0037】
プロセス100を再度参照すると、ステップ116において、特定の係合位置のデータが十分であれば、プロセスはステップ120に進み、ステップ120において、コントローラは、指定された係合位置の平均波形を計算する。この平均波形は、指定された係合位置について、全ラジアルフォース測定値において明らかである上下スピンドルのフォースバリエーションを組み合わせたものを含む。当業者であれば分かるように、時間の経過とともに平均波形結果は、スピンドルおよびその関連構成部品の動作の増分変化に対応するものである。次に、ステップ122において、コントローラは、特性波形を生成するために、平均波形の少なくとも基本波(第1高調波、first harmonic waveform)の波形を計算する。具体的には、ラジアルフォース特性波形が生成される。基本波の計算値は、スピンドルの係合により生じた一次軌道点および力成分を表す。計算に基本波だけを使用することで、タイヤ試験波形に導入されるノイズを最小限に抑えながら、このような非中心の軌道点の補正が与えられる。個々のリムおよびノーズコーンおよび/またはノーズコーンカップにおける欠陥(高エリアまたは低エリア)など、局所的なリムの振れにより誇張された力をさらに特性化するために、特性波形を計算するように基本波より高次のさらなる高調波が使用されてもよい。実際、基本波は、組み合わされたリム振れよりも1回転1回(または円周の1横断1回)効果をより良好に規定し、ノーズコーンのノーズコーンカップの位置ずれへの影響は測定結果に及ぼされることがある。対照的に、データを点ごとに蓄積すると、外部ノイズが含まれたり、分析にあまり有用ではない波形が得られたりすることもある。図7に、特性波形の図が示され、以下において詳細に説明される。
【0038】
特性波形にはさらなるフィルタリングがかけられてもよい。ステップ123において、プロセスは、すべての係合位置(1〜10)に所定数の波形があるかを判定する。本実施形態において、少なくとも25個の波形が最小限必要とされているが、他の最小数の個数が使用されてもよいと考えられる。すべての係合位置に波形がすべて割り当てられていれば、ステップ123Aにおいて、すべての特性波形にフィルタがかけられ、その後、特性波形として使用されてもよい。図8に、フィルタリングされた特性波形の図が示されており、以下において詳細に説明される。
【0039】
ステップ124において、特性波形のすべてのポイントは、その係合位置について、タイヤのバネレートで乗算される(ステップ104)。次に、ステップ126において、特性波形(バネレートで修正)をステップ112で得られたタイヤ結果波形から減算して、最終タイヤ波形が算出される。最後に、ステップ128において、コントローラは、試験中のタイヤが所望の寸法パラメータおよび/または動作パラメータ内にあるかを判定するために、所定のしきい値と比較されたタイヤ試験結果として最終タイヤ波形を格納する。すべての係合位置が所定数の波形で満たされると、最も古いデータが平均値から除かれてもよい。あるいは、他の比較的多くのタイヤ試験回数、例えば、2500回の試験が得られると、次の被試験タイヤが、算出から除かれる最も古い試験タイヤデータになる。
【0040】
以下、図4Aから図4Jを参照すると、指定された係合位置がラジアルフォーススピンドル特性化に及ぼす影響を示す一連の極座標プロットが提示されている。各プロットは、波形の測定点に使用される100区分を表し、中心−2から外周+2までの範囲にある円は、スピンドルの係合のみによる測定値(振れおよび軌道−ラジアルフォース)に対して加算または減算される望ましくないフォースバリエーションの重量ポンドを表す。当業者であれば分かるように、「区分」という用語は、上側リムの点に相当するタイヤ周りの100個の測定点の任意の点をさす。言い換えれば、1回転につき測定されるラジアルフォースデータ点の区分は100個あるということである。下側リムは上側リムと効果的に係合し、下側リムのフラグは、このようにして係合位置を決定する。フラグが上側リム上の区分0〜9に相当するエリアにあれば、フラグは係合位置1にある。フラグが区分10〜19に相当するエリアにあれば、フラグは係合位置2にあり、以下同様である。プロットにおいて、実線は、ステップ120において示されるようにすべての波形を平均化することによって決定した実際の望ましくない力(特性化)を表す。プロットの破線は、望ましくない力の特性化に適用された基本波および第2高調波(second harmonic waveform)を表す。これらの波形の両方は、現在測定されているタイヤの実際のバネレートに正規化される。そして、破線で表される値は、タイヤ結果波形における100個の対応する区分のそれぞれからの特性波形の減算において使用される。破線は、ステップ124において算出され、ステップ126においてさらに利用される特性波形を表す。
【0041】
図4Aから分かるように、特性化力の低スポットは第1の係合位置において区分25辺りに存在する。そして、この低スポットが、係合位置が1から10へ回転するにつれ(図4A図4J)、区分軸(円)周りを反時計回りに進む。なお、区分75辺りにある特性化の力の高スポットも、低スポットとほぼ同様に反時計回りの方向に移動する。特性波形に基本波および第2高調波のみを使用することで、滑らかな特性曲線が得られるため、特性波形をタイヤ結果波形から減算するとき加わる「ノイズ」がほとんどない。
【0042】
ラテラルフォーススピンドル特性化について、当業者であれば分かるように、ラテラルフォースを決定するために、通常のタイヤ試験中にかけられるラジアルフォースを考慮する必要がない。ラテラルフォース特性化の決定方法が、図5Aおよび図5Bに示す参照符号100’で概して示されている。この方法は、タイヤのバネレートの決定および使用(ステップ104、112および124)に関するステップが不要である点以外、図3Aおよび図3Bに示した上述した方法と類似している。その他の点に関しては、古い試験データを除くステップを含む他のすべてのステップは、プライム符号が付与されている(例えば、102’)以外、ほぼ同じであり、本方法にも組み込まれる。特記すべき例外として、ステップ114’において、タイヤ結果波形が、正規化波形の集合の代わりに、波形の集合に追加されている点が挙げられる。その結果、ステップ122’において、ラテラルフォース特性波形が生成される。いずれにせよ、ラジアルフォーススピンドル特性化ステップと同時に決定されてもよい試験の特定の態様の間、この方法により、上下スピンドルチャックアセンブリ間にタイヤが捕捉されるときのノーズコーンおよび/またはノーズコーンカップならびに関連するリム接続部に関係するあらゆるラテラルフォースが検出される。ラジアルフォースの決定と同様に、タイヤユニフォミティマシン10のラテラル成分によって加えられる力は、タイヤ試験波形の測定中、望ましくない変動に寄与する。
【0043】
以下、図6Aから図6Jを参照すると、指定された係合位置がラテラルフォーススピンドル特性化に及ぼす影響を示す一連の極座標プロットが提示されている。これらのプロットは、図5Aおよび図5Bに関して上述したように、ラテラルフォースが提示されている点以外は、図4Aから図4Jに提示されているものに類似している。
【0044】
前述したように、図7は特性波形を示す。図示した波形はラジアルフォースの測定値からのものであるが、ラテラルフォースの測定値からの波形も概して同様の外観のものである。いずれにせよ、タイヤ結果の収集に使用する異なる係合位置の数が10個だけであるため、リムの実際の角度ずれが係合位置の中心から離れるにつれ、エラーの程度が大きくなる。例えば、2°の角度ずれの補正波形は、35°のものに等しくなる。なぜなら、両方のずれは、両方の角度ずれに間隔があるとしても、同じ係合位置内にあるためである。さらに、35°の補正波形は、37°の波形と比較して大きく変動しうる。なぜなら、両方のずれは、リムの角度ずれがほぼ同一であっても、異なる係合位置内にあるためである。その結果、図7は、Y軸に沿って全10個の係合位置から生成された、X軸に沿って100区分をそれぞれ含む特性波形のサンプルセットを示す。
【0045】
上述したエラーを補正するために、ステップ123/123’および123A/123A’において示すようなフィルタが、特性波形にかけられてもよい。角度ずれのすべての異なる組み合わせに対して十分な数のデータ点が収集されると、フィルタの使用によりすべてのデータ点を平滑化することができる。データ点が収集されると、ガウスフィルタなどのフィルタにより、収集されたデータが平滑化されることで、スピンドルのラジアルフォースをより均一に特性化することができる場合がある。言うまでもないが、他のタイプのフィルタが適用されてもよい。そして、ラテラルスピンドル力にもフィルタリングが適用されてもよい。係合位置にわたって特性波形の解像度を高めるために、ガウスフィルタが使用されてもよい。その結果を図8に示す。図から分かるように、フィルタにより、係合位置間の波形が平滑化されている。例えば、図7および図8から分かるように、図示されている係合位置は10個であり、100個の可能なリムずれ位置が示され、各ずれ位置は、約3.6°の範囲を示す。その結果、リムずれ位置が35(およそ122.4°〜126°の角度ずれを表す)であれば、プロセスは、図7に示す波形200を選択する。この波形は、スピンドル力の特性化に有用であるが、当業者であれば分かるように、波形200の両側にある波形が与えられ、また、明らかに異なる値を与えるものである場合もある。これは、すぐに隣接したずれ位置が異なる係合位置に対応付けられたものである場合に問題となりうる。例えば、図7および結果的に得られる図8に示すグラフに示すようなすべての波形にフィルタを適用することで、図8の参照符号210で示すリム位置35の特性波形をより正確に表すことができるようになる。これにより、若干歪みがあったり、他の波形により望ましくないバイアスがかかったりすることもあるものの代わりに、より高い精度の波形を選択することができるようになる。その結果、フィルタにより、現在測定されているタイヤの下側リムに対する上側リムの特定の角度ずれを考慮すれば、特性波形として使用するための最良の補正波形を算出することができる。
【0046】
以上のことから、本発明の利点は容易に明らかである。マシンの構成部品を特性化することによって、タイヤを試験しているマシンの特性を正確に決定するようにラジアル方向およびラテラル方向のスピンドルのバリエーションを正確に調節するために、これらの特性化が使用されうる。開示されたプロセスでは、上側スピンドルおよび下側スピンドルは、試験プロセス中、完全に軸方向に互いに位置合わせされたものではなく、さらに、任意の数の角度および力の組み合わせが実現されてもよいが、スピンドル力の特性化が誤ったものになり、理想的なタイヤユニフォミティ試験よりレベルが落ちる可能性はある。開示された方法では、検出される測定値が正確なものとなるように、ロードホイール、スピンドルの構成部品または他のマシンの交換部品の寿命期間の間に特性が更新されてもよい。これにより、非真円の度合いやマシンに係る他の問題をなくすように、ロードホイールの不完全性やマシンの他の構成部品に基づいて試験パラメータを調節することができる。マシン特性波形を利用するタイヤの不均一性を正確に決定することによって、タイヤ試験結果の信頼性が増大される。
【0047】
このように、上記に提示した構造および方法により、本発明の目的が満たされることが分かる。特許法令に従い、ベストモードおよび好ましい実施形態のみが提示され、詳細に説明してきたが、本発明はこれらに、またはこれらによって限定されるものではないことを理解されたい。したがって、本発明の真の範囲を理解するためには、以下の特許請求の範囲を参照されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図7
図8