(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記炭酸ガス接触手段は、前記第2養生エリアで水和反応が促進された前記建設汚泥に前記炭酸ガスを直接接触させて前記建設汚泥を中和することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の再生土製造システム。
前記炭酸ガス接触工程において、水和反応が促進された前記建設汚泥に前記炭酸ガスを直接接触させて前記建設汚泥を中和することを特徴とする請求項8〜10の何れか一項に記載の再生土製造方法。
前記炭酸ガス接触工程において、水和反応が促進された前記建設汚泥を回転式のミキサー内に投入し、その中に炭酸ガスを流入または圧入させ、密閉状態で撹拌することを特徴とする請求項11記載の再生土製造方法。
前記炭酸ガス接触工程において、水和反応が促進された前記建設汚泥をピット内に薄く緩詰め状態で敷き、上方から前記炭酸ガスを流入させて養生することを特徴とする請求項11記載の再生土製造方法。
前記炭酸ガス接触工程において、水和反応が促進された前記建設汚泥を前記炭酸ガスが充満された空間の上に投入して養生させることを特徴とする請求項11記載の再生土製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に示される、中性固化材に関する技術については、中性の石膏系固化材を用いる方法やアルカリ性の固化材に酸性硫酸塩(硫酸アルミニウム等)を添加して中性化する方法が示されている。しかしながら、既にアルカリ性を呈する建設汚泥に中性固化材を添加しても、建設汚泥の中性化にはつながらない。また、強い酸性を示す硫酸塩等をさらに添加して、中和する手法も提案されているが、強い酸によって固化に寄与する水和物の生成が阻害され、所定の固化強度が得られないなど、高品質の再生土を製造する上での支障となる。
【0006】
また、特許文献2には、汚泥スラリー中に炭酸ガスを吹き込み、中性化した後に脱水し、さらに200℃以上の高温で乾燥もしくは焼成して再利用する方法が提案されている。この方法では、汚泥をスラリー化にするため一度加水する上、中性化した後に脱水し、さらに高温で乾燥もしくは焼成するなど、処理に要する施設やランニングコストが非常に高価になり、建設汚泥の処理費に見合う経済的な処理方法とは言えない。
【0007】
また、特許文献3には、pHが12.5以上の強アルカリ性建設汚泥に一次処理として塩化物を加え、1〜2日後に二次処理として塩化物またはリン酸化合物を加えることで、強アルカリ性水酸化物の発生を抑制させる方法が示されている。さらに一次処理においてアルミン酸ナトリウムを添加することで、水和反応を促進させ、曝気養生期間を短縮する方法が示されている。この方法では、塩化物を添加する方法が提案されているが、塩化物の添加は塩害の発生を引き起こすなど、アルカリ以上に周辺環境に悪影響を及ぼすことが懸念される。また、アルミン酸ナトリウムによる水和反応の促進方法では、薬剤コストが高くつく。さらに、バックホウによる曝気養生でpHの低減を図る方法では、pHの低減効果が低く、1ヶ月のpH減少が最大でも1.5程度と限定的な効果しかない。したがって、高品質かつ確実性の高い建設汚泥の中性化技術とはいいがたい。また、pHが、12.5以上の高アルカリを呈する建設汚泥を対象としており、本発明の対象とするpHの適用範囲とは異なっている。
【0008】
また、特許文献4には、汚泥等の産業廃棄物と高炉セメント及びフライアッシュとを逆流式高速混合機によって、混練・造粒を行い、空気を抱き込むように細粒化することにより、固化処理物のアルカリ度をより中性に近づける技術が、開示されている。この方法では、特殊な混合機を用いる必要がある上、pHの低減効果は2週間で1弱と限定的なものとなっている。また、pHを8.6以下に確実に下げる具体的な方法は示されていない。
本発明の目的は、アルカリ性の建設汚泥を安価かつ確実に中性化し、高品質な再生土を製造する再生土製造システムおよび再生土製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は下記の事項を包含する。
[1]吸水性改質材が添加されたアルカリ性の建設汚泥を攪拌する攪拌手段と、前記攪拌手段において攪拌された前記建設汚泥を半固体状になるまで養生する第1養生エリアと、前記第1養生エリアで半固体状になった前記建設汚泥をほぐして細粒化させるほぐし造粒手段と、前記ほぐし造粒手段で細粒化された前記建設汚泥をさらに養生して水和反応を促進させる第2養生エリアと、前記第2養生エリアで水和反応が促進された前記建設汚泥に炭酸ガスを接触させて前記建設汚泥を中和させる炭酸ガス接触手段とを備えることを特徴とする再生土製造システム。
【0010】
[2]前記攪拌手段により、さらにセメント系固化材を前記建設汚泥に添加することを特徴とする[1]記載の再生土製造システム。
【0011】
[3]前記攪拌手段で攪拌される前記建設汚泥の水素イオン濃度指数は、9以上12未満であることを特徴とする[1]または[2]記載の再生土製造システム。
【0012】
[4]前記炭酸ガス接触手段は、前記第2養生エリアで水和反応が促進された前記建設汚泥に前記炭酸ガスを直接接触させて前記建設汚泥を中和することを特徴とする[1]〜[3]の何れか一項に記載の再生土製造システム。
【0013】
[5]前記炭酸ガス接触手段は、前記第2養生エリアで水和反応が促進された前記建設汚泥を投入する回転式のミキサーを備え、前記建設汚泥の中和は、前記ミキサー内に前記炭酸ガスを流入または圧入させ、密閉状態で撹拌することによって行われることを特徴とする[4]記載の再生土製造システム。
【0014】
[6]前記炭酸ガス接触手段は、前記第2養生エリアで水和反応が促進された前記建設汚泥が薄く緩詰め状態で敷かれたピットと、前記ピットの上方から前記ピット内に前記炭酸ガスを流入させる流路とを備え、前記建設汚泥の中和は、前記炭酸ガスが流入した前記ピット内で前記建設汚泥を一定期間養生することにより行われることを特徴とする[4]記載の再生土製造システム。
【0015】
[7]前記炭酸ガス接触手段は、空間と、前記空間に前記炭酸ガスを供給する供給管と、前記空間に前記第2養生エリアで水和反応が促進された前記建設汚泥を投入する投入部とを備え、前記建設汚泥の中和は、前記供給管から供給され前記炭酸ガスで充満された前記空間に前記投入部により前記建設汚泥を投入し、前記建設汚泥を一定期間養生させることによって行われることを特徴とする[4]記載の再生土製造システム。
【0016】
[8]アルカリ性の建設汚泥に吸水性改質材を添加して混合する改質固化工程と、
前記改質固化工程において処理された前記建設汚泥を半固体状になるまで養生する改質固化養生工程と、前記改質固化養生工程において半固体状になった前記建設汚泥をほぐして細粒化させるほぐし造粒工程と、前記ほぐし造粒工程において細粒化された前記建設汚泥をさらに養生して水和反応を促進させる水和反応促進養生工程と、前記水和反応促進養生工程において水和反応が促進された前記建設汚泥に炭酸ガスを接触させて前記建設汚泥を中和させる炭酸ガス接触工程とを備えることを特徴とする再生土製造方法。
【0017】
[9]前記改質固化工程においてさらにセメント系固化材を前記建設汚泥に添加することを特徴とする[8]記載の再生土製造方法。
【0018】
[10]前記改質固化工程で用いられる前記建設汚泥の水素イオン濃度指数は、9以上12未満であることを特徴とする[8]または[9]記載の再生土製造方法。
【0019】
[11]前記炭酸ガス接触工程において、水和反応が促進された前記建設汚泥に前記炭酸ガスを直接接触させて前記建設汚泥を中和することを特徴とする[8]〜[10]の何れか一項に記載の再生土製造方法。
【0020】
[12]前記炭酸ガス接触工程において、水和反応が促進された前記建設汚泥を回転式のミキサー内に投入し、その中に炭酸ガスを流入または圧入させ、密閉状態で撹拌することを特徴とする[11]記載の再生土製造方法。
【0021】
[13]前記炭酸ガス接触工程において、水和反応が促進された前記建設汚泥をピット内に薄く緩詰め状態で敷き、上方から前記炭酸ガスを流入させて養生することを特徴とする[11]記載の再生土製造方法。
【0022】
[14]前記炭酸ガス接触工程において、水和反応が促進された前記建設汚泥を前記炭酸ガスが充満された空間の上に投入して養生させることを特徴とする[11]記載の再生土製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る発明によれば、水素イオン濃度指数(pH)が12未満のアルカリ性建設汚泥を改質するとともに中性化して高品質の再生土を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る再生土製造システムおよび再生土製造方法について説明する。まず、建設現場で排出された建設汚泥が中間処理施設に搬送される。ここで、中間処理施設に搬送される建設汚泥には、セメントや石灰等がすでに含まれ、pH9以上12未満のアルカリ性を呈している。また、この建設汚泥のコーン指数は200kN/m
2未満である。
【0026】
(ステップS1:改質固化工程)
次に、この建設汚泥を貯泥槽に投入した後、貯泥槽中の建設汚泥に20〜150kg/m
3の吸水性改質材を添加する。吸水性改質材としては、たとえば、PS(ペーパースラッジ)灰系吸水性改質材を用いる。PS灰系吸水性改質材は、PS灰の多孔質な特性を利用した泥土改質材で、速やかに建設汚泥中の余剰水分を吸水する調湿機能を有している。PS灰系吸水性改質材のpHは10〜11であり、素材自体はアルカリ性を呈するが、時間経過とともにpHが徐々に下降するという性質を有する。
【0027】
次に、吸水性改質材が添加された状態の建設汚泥を攪拌する。攪拌手段としては、たとえば、バックホウによるバケットミキシング、またはバッジ式混錬機や二軸混錬機など機械によるミキシングが挙げられる。
【0028】
撹拌を続けると、建設汚泥中の余分な水分が吸水性改質材に吸収されて建設汚泥の粘性が上昇する。これにより、ステップS3におけるほぐし造粒処理が容易になり、細粒化しやすくなる。また、その後のステップS5における炭酸ガス接触中和処理も容易になる。
【0029】
次に、攪拌中の貯泥槽内にセメント系固化材を少量、具体的には、10〜100kg/m
3添加し、攪拌を継続する。このように吸水性改質材とセメント系固化材を組み合わせて用いることにより、改質固化処理土のpHを12未満に抑制することができる。ここで、セメント系固化材としては、高炉セメントB種がpHの上昇を抑える点で好適である。石灰・セメント複合系の材料は石灰成分を多く含んでいるため、セメント系固化材には適さない。
【0030】
なお、セメント系固化材のみを添加して固化処理を行うことも可能ではあるが、セメント添加量が100〜150kg/m
3と増大化するため、高カルカリ化の懸念が生じる。さらに、セメントのみの添加では、改良ムラが出やすく、細粒固化土の品質がバラつきやすい。すなわち、セメント周囲の水とすぐに反応してしまい、ダマやこぶし大の塊を作ってしまうおそれがある。よって、改質固化工程(ステップS1)において、吸水性改質材とセメント系固化材を組み合わせて用いることにより、建設汚泥の分散性を向上させることができる。
【0031】
また、吸水性改質材のみを添加しても改質処理は可能であるが、改質材の添加量が多くなる(200〜300kg/m
3)ため、材料費が高額になる。このため、セメント系固化材を組み合わせて用いることにより、改質処理に掛かる費用を低減することができる。
【0032】
(ステップS2:改質固化養生工程)
次に、改質固化処理を施した建設汚泥(以下、改質固化処理土という。)をストックヤード(第1養生エリア)に山積みして養生すると、養生中の改質固化処理土の硬化反応が進行し、時間経過とともにヘドロ状から、塑性状、そして半固体状へと性状変化する。半固体に性状変化するまでに要する時間は、改質材や固化材の添加量によって大きく異なるが、概ね数時間から1週間程度である。なお、1週間の養生期間を経ても固化しないものは、後述するほぐし造粒には適さないため、再処理(固化材等の再添加)が必要である。
【0033】
(ステップS3:ほぐし造粒工程)
半固体状となった改質固化処理土は、水和反応が進行中であり、そのまま養生を継続すれば土塊状のまま固結してしまう。したがって、以下に説明するほぐし造粒工程(ステップS3)を経た後、改めて水和反応促進養生工程(ステップS4)で固化を完結させる必要がある。
【0034】
ほぐし造粒の適否の判定は、コーン指数試験方法(JIS A 1228)によって行う。通常、改質固化処理土のコーン指数が100kN/m
2以上ならばほぐし造粒は可能であるが、より細粒化した建設汚泥(以下、ほぐし造粒土という。)をほぐし造粒で製造するには、改質固化処理土のコーン指数が400kN/m
2以上1800kN/m
2未満であることが好ましい。なお、ほぐし造粒処理に用いる機械(ほぐし造粒手段)は、バックホウでもよいが、解砕機能を有する土質改良機(プラント)が好適である。
【0035】
ほぐし造粒を行うことにより、半固体状の土塊となった改質固化処理土は解砕され、細粒化されたほぐし造粒土となる。このため、ほぐし造粒土は、粒子の表面積が増加して空気や炭酸ガスに接触しやすい状態になると共に、再生土として利用しやすい粒度に調整される。
【0036】
ここで、ほぐし造粒土は、表面積が増えた分、乾燥しやすい状態になっている。同時に、空気中の二酸化炭素と反応して、pHが低減しやすい状態にもなっている。
次に、このほぐし造粒土をふるいにかける。これにより、粗粒土をふるいではじくことができる(整粒作用)。また、ふるいにかける際に空気に曝されることで水分の蒸発が促進される(風乾作用)。さらに、空気中の二酸化炭素と接触するため中和反応が進行する(アルカリ中和作用)。
【0037】
(ステップS4:水和反応促進養生工程)
ほぐし造粒を行った直後のほぐし造粒土は湿潤状態にある。このため、ほぐし造粒処理の直後に炭酸ガスに曝して中和すると、ほぐし造粒土は再び軟弱化してしまう(実験で確認済)。これは、下式に示すように中和反応に伴って水が生成されるためである。
【0038】
[炭酸ガスによるアルカリ石灰の中和反応式]
Ca(OH)
2 + CO
2 = CaCO
3 + H
2O
この中和反応式が示すように、改質固化処理土に含まれるCa(OH)
2成分(すなわちアルカリ石灰成分)が多くなるほど、pHが上昇し、中和反応に伴う水分生成量が多くなる。後述する実施例にも示されるように、生石灰の中和に伴う軟弱化現象が他の固化材よりも著しいことが実験で確認されている。したがって、改質固化工程(ステップS1)で生石灰を用いることは、炭酸ガス接触時の軟弱化現象の発生防止の観点からも好ましくない。
【0039】
一方、セメントの水和反応は、数時間から数か月にわたって続くことが知られている。コンクリートの強度を材齢28日で規定するのもそのためである。セメントの水和反応は、セメント中の成分(カルシウム、ケイ素等の成分を含有するクリンカー化合物)が水と反応して、ケイ酸カルシウム水和物等を生成する反応である。なお、水和物は水が結晶化した固体である。
【0040】
この水和反応促進養生工程(ステップS4)においては、水和反応が進行するにともなって自由水(液体)が水和結晶物として固化体に取り込まれるセメントの水和反応の特性を利用して水分を固定化する。具体的には、湿潤状態で細粒化したほぐし造粒土を再び養生ストックヤード(第2養生エリア)で養生して水和反応を促進させ、余剰水を結晶水として固定する。このようにほぐし造粒工程(ステップS3)後に再度養生期間を設けることでしっとりしていた土がサラサラの状態になる。すなわち、建設汚泥は、ほぐし造粒土から、ほぐし造粒土の固化が完結した細粒固化土になる。
【0041】
この水和反応促進養生工程(ステップS4)を設けることで次の炭酸ガス接触工程(ステップS5)において、炭酸ガス接触時の軟弱化現象を防止することができる。なお、この水和反応促進養生工程(ステップS4)における養生は、改質固化工程(ステップS1)でセメント系固化材を添加してから2週間以上経過するまで行うことが望ましい。なお、ストックヤード(第1養生エリア)と養生ストックヤード(第2養生エリア)は、同一の場所であってもよく、異なる場所であってもよい。
【0042】
(ステップS5:炭酸ガス接触工程)
次に、サラサラの状態の細粒固化土に炭酸ガスを直接曝す。具体的な方法としては、以下に説明する、イ)急速接触法、ロ)流下接触法、ハ)プール接触法の3つの方法が考えられる。これらの方法を単独、または組み合わせることで再生土のpHを8.6以下まで中和することができる。
【0043】
(イ)急速接触法
急速接触法では、ミキサーを用いて再生土を製造する。ここで、
図1(a)は、急速接触法で用いる回転式のミキサーを示す斜視図であり、
図1(b)は、これを上方から視た図、
図1(c)は、この断面図である。この急速接触法では、まず、回転式のミキサー2内に細粒固化土を投入し、細粒固化土が投入されたミキサー2の中に炭酸ガスを流入させる。次に、ミキサー2を密閉状態にし5〜30分撹拌する。これにより、pHが11未満に低下していた細粒固化土のpHを8.6以下まで低下させることができる。ただし、水分の多い状態の細粒固化土では、中和に伴う水分の発生で細粒固化土が軟弱化することがあるので注意を要する。また、pHが11以上の細粒固化土では、リバウンド現象によりpHが8.6以下にならないこともある。その場合には、細粒固化土が投入されたミキサー内に炭酸ガスを充満させ、加圧状態で細粒固化土に炭酸ガスを接触させると、より短時間にpHを低減させることができる。
【0044】
(ロ)流下接触法
流下接触法においては、まず、
図2に示すような、蓋18による密閉型のピット12を用意し、ピット12に細粒固化土14を薄く緩詰め状態で敷く。細粒固化土14は、70cm以下に敷くのが好ましい。次に、ピット12の上方に位置する流路16から、ピット12内に炭酸ガスを流入させ、そのままの状態で6時間以上放置させる。この流下接触法によれば、空気よりも重い炭酸ガスが細粒固化土14の表面から下方に向けて、細粒固化土14の空隙を縫うように徐々に浸みこんで中性化した再生土が製造される。細粒固化土14が密詰め状態になると表層から15cm程度までしか中和しないので、注意を要するが、接触時間を長くすることで、より深いところまで中性化した再生土を製造することができる。
なお、流下接触法で用いるピット12は、密閉できる空間であれば足り、たとえばダンプの箱をピットとして用いてもよい。
【0045】
(ハ)プール接触法
まず、
図3に示すように、水泳用プールのような空間20を作成し、空間20の上方に炭酸ガスを供給する供給管22とベルトコンベア24を配置する。また、空間20を密閉するための蓋26を用意する。
【0046】
次に、空間20の上部開口を蓋26で覆い、空間20を密閉する。ここで、空間20の上部開口は、完全に塞がず、後に細粒固化土28を空間20に供給できる程度の隙間21を残しておく。次に、供給管22により炭酸ガスを空間20に供給し、空間20内を炭酸ガスで充満させる。次に、ベルトコンベア24を駆動して炭酸ガスで充満された空間20に徐々に細粒固化土28を投入し、投入された細粒固化土28をそのまま6時間以上放置させる。これにより、細粒固化土28と炭酸ガスが万遍なく接触するため、効率的に細粒固化土を中和させ、pHが8.6以下の再生土を製造することができる。
【0047】
なお、細粒固化土28を空間20に供給する手段は、かかる機能を有していれば必ずしもベルトコンベア24でなくてもよい。
また、プール接触法において、隙間21の下方に振動ふるいを設置してもよい。これにより、中和反応の効率を向上させることができる。
【0048】
本実施の形態の再生土製造システム、再生土製造方法によれば、アルカリ性の建設汚泥を安価かつ確実に中性化し、高品質な再生土を製造する再生土製造システムおよび再生土製造方法を提供することができる。
また、本実施の形態の再生土製造システム、再生土製造方法によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0049】
(1)建設汚泥の再生利用に大きく寄与する
従来、建設汚泥を原料とした再生土はアルカリを呈するため利用用途が限定されていたが、上述のようにpHを8.6以下に中性化することによって、再生土の利用範囲が大きく広がる。
【0050】
(2)安価に再生土を製造することができる
既存の施設(中間処理場や再生土の製造ヤード)や機械(バックホウや土質改良機、あるいは泥土混練機)をそのまま利用でき、かつ比較的安価で汎用性の高い材料(吸水性改質材、セメント系固化材および炭酸ガス)のみを用いているので、再生土の製造コストを安価に抑えることができる。
【0051】
(3)汎用性が高い
pHが12未満の建設汚泥であれば、確実に中性化された再生土を製造することができる。
【0052】
(4)一定面積のヤードを確保すれば大量処理が可能である
建設汚泥を改質固化する施設、ほぐし造粒する施設、そして炭酸ガス接触を施す施設とそれぞれの土を養生するヤードが確保できれば、大量の再生土を短期間で製造することができる。
【0053】
(5)再生土は中性かつ高品質である
この実施の形態の再生土製造システム、再生土製造方法で製造される再生土は、pH=5.8〜8.6の中性域を示し、コーン指数は800kN/m
2以上を確保する良質な再生土である。さらに、セメントによる水和反応を利用した固化処理を施しているので、加水や浸水しても再泥化しない。
【0054】
(6)環境負荷が少ない
この実施の形態の再生土製造システム、再生土製造方法で製造される再生土は、pHが中性域の再生土なので、環境にやさしい材料である。
【0055】
(7)炭酸ガス排出削減効果が期待できる
炭酸ガスを土壌中のアルカリ(水酸化カルシウム)と反応させて炭酸カルシウムとして固定する技術なので、炭酸ガスの排出削減効果が期待できる。
【0056】
なお、上述の実施の形態の改質固化工程(ステップS1)において、吸水性改質材とセメント系固化材を同時に添加して混合処理を行ってもよい。ただし、上述の実施の形態のように吸水性改質材を先行させてからセメント系固化材を添加して混合処理を行った方が大きな強度発現効果が得られる。また、吸水性改質材とセメント系固化材をワンパックにしてフレコンに詰めたものを添加して混合処理を行ってもよい。
【0057】
また、上述の実施の形態においては、セメント系固化材として高炉セメントB種を用いる場合を主な例として挙げているが、養生期間を短くしたい場合には、早強セメントや地盤改良用特殊セメントを用いてもよい。
【0058】
また、上述の実施の形態の改質固化工程(ステップS1)において、セメント系固化材の添加量は、原泥のpHによって異なる。具体的には、原泥のpHが高いほど、建設汚泥に含まれている固化成分が多くなるため、原泥のpHが高い場合には中間処理場で添加するセメント系固化材の量を少なくすることができる(25〜50kg/m
3)。一方、原泥のpHが高くなく、建設汚泥が中性に近い場合には、セメント系固化材を多めに添加する(50〜100kg/m
3)ことで確実な水和反応による固化が期待できる。なお、これまでの実績では、セメント添加量を100kg/m
3までに抑えておけば、改質固化処理土のpHが12以下になることが実験的に判明している。
【0059】
また、上述の実施の形態において、養生中に乾燥を促進させることは、pHの低減促進や炭酸ガス接触時の軟弱化防止の観点からも有効である。その方策として、以下の方法を併用することも可能である(もちろん、必須の条件ではない)。
(A) ほぐし造粒土をフルイではじく(整粒作用)。
(B) ふるいにかける際に空気に曝し、水分の蒸発を促進させる(風乾作用)。
(C) 空気中の二酸化炭素と接触させて中和反応を進行させる(アルカリ中和作用)。
(D) できるだけ薄く広く、土を敷いて、空気接触を促進させる。
(E) 送風機や温風機を用いて、土壌を積極的に乾かす。
(F) 屋根付きの施設で雨水の侵入を防ぐ。
【0060】
上記(A)〜(F)のような処理を積極的に行うことにより、水和反応促進養生工程(ステップS4)の期間を短縮化することもできる。そして、この段階で、細粒固化土のpHを11以下に低下させるのが理想的である。
【0061】
また、上述の実施の形態のステップS1〜5の処理の間に、さらに乾燥工程を設けてもよい。ステップS1〜5の処理と養生を経て建設汚泥が性状変化する間に、空気(大気)中に含まれる炭酸ガスと接触反応して、pHは若干低下する。空気接触の程度や養生方法にもよるが、通常pHが初期状態よりも0.5〜1程度低下する(pHは11.5以下になる)。より積極的に乾燥工程を組み込むことで、pHをさらに0.5から1程度下げることができる(実験で確認済)。
【0062】
また、本発明の再生土製造システム・再生土製造方法は、産業廃棄物である建設汚泥を中間処理施設で脱水したり固化する等の処理を施した処理物、または建設発生土(建設残土)にも利用することができる。
次に、実施の形態に係る再生土製造方法を用いて行った実験の実施例について説明する。
【0063】
[実施例1]
pHの異なる3種類の建設汚泥A、B、Cについて、PS灰系吸水性改質材とセメント系固化材(ここでは高炉セメントB種を用いた。)、または生石灰を添加し、配合前後のpHを測定した。なお、pHの測定は地盤工学会の「土懸濁液のpH試験方法(JGS 0211)」に準拠した。
【0064】
図4に示すテーブルは、実施例1におけるpHの測定結果を示している。
図4のテーブルに示すように、生石灰を添加した場合、すべてのケースにおいてpHが12を上回る。一方、吸水性改質材とセメント系固化材を添加した場合においては、pHは12未満に収まるケースがみられる。たとえば、原泥のpHが比較的低い建設汚泥Aでは、吸水性改質材を150kg/m
3、セメント系固化材を100kg/m
3添加しても、pHは12未満に収まっている。原泥のpHが比較的高い建設汚泥Cでも、セメント系固化材を75kg/m
3添加したケースでpHは12を下回っている。このように、生石灰と比較して、吸水性改質材とセメント系固化材を添加したケースの方が、pHの上昇を大きく抑えることができる。
【0065】
[実施例2]
図5は、本実施の形態で説明した再生土製造方法に基づいて実際の建設汚泥を処理した場合のテスト結果を示すテーブルである。なお、本実施の形態の再生土製造方法は本実施例に限定されるものではない。
【0066】
使用した建設汚泥(原泥)は、pH=10.7、コーン指数qc=45kN/m
2の特性を有するものである。この建設汚泥に本発明の実施の形態に示すステップS1〜5の処理または養生を加えて再生土を製造し、ステップS6でその結果を評価した。具体的な方法と手順を以下に示す。
【0067】
ステップS1(改質固化処理):各ケース(No.1〜17)につき5kgの試料を分取し、
図5に示す配合条件でPS灰系吸水性改質材と固化材を試料に添加・混合した。混合はソイルミキサーを用いて10分間入念に行った。
【0068】
ステップS2(改質固化養生):改質固化養生においては、試料をバットに広げ、上からビニールシートをかぶせ、密封状態を保った。
ステップS3(ほぐし造粒処理):ステップS3で所定の養生期間を経た試料を用いてコーン試験を実施した。試験は、締固めた土のコーン指数試験方法(JIS A1228)に準拠した。以下に記載されるコーン指数も同じ方法で求めた。
【0069】
次に、その試料をソイルミキサーに投入し、1分間高速で撹拌してほぐし作業を行った。造粒の可否の判定は、目視で行い、土塊が細粒化されたケースを「〇」、それ以外を「×」とした。
【0070】
ステップS4(水和反応促進養生):水和反応促進養生もステップS2の改質固化養生と同じ方法で試料を密封状態にした。
ステップS5(炭酸ガス接触処理):ステップS4の養生期間を経た試料から、2L(リットル)を分取してポリ袋に入れ、空気を十分にポリ袋から排出した上で、炭酸ガスを10L(分取された試料の体積の5倍)ポリ袋に充填した。ポリ袋の開口部を縛り、密封状態にしてそのままの状態で炭酸ガスとの接触を所定時間保つようにした。また、同じ試料を100mL分取し、別の小さなポリ袋に詰めて、同様に炭酸ガスを体積の5倍充填し、30分間ポリ袋を密封状態にして手で振とうさせ、試料が軟弱化するかどうか目視判定した。軟弱化していないケースを「〇」とし、水分発生により軟弱化したケースを×とした。
【0071】
ステップS6(評価):ステップS5の工程を経た直後に実施したコーン試験でコーン指数が800kN/m
2以上であった場合の判定を「〇」、それ未満であった場合の判定を「×」とした。また、ステップS5の工程を経た試料を別のポリ袋に移し替え、さらに1週間そのまま密封養生した後にpHを測定(リバウンド現象を考慮)し、pHが8.6以下となった場合の判定を「〇」、それ以外の場合の判定を「×」とした。
以下、
図5のテーブルに示す結果より得られた知見を示す。
【0072】
まず、ステップS1の改質固化処理で生石灰のみを添加したケース(No.9〜11)と高炉Bセメントのみを添加したケース(No.12〜14)を見ると、No.12を除いて固化材添加直後のpHが12を上回っている。また、ステップS6の評価はいずれのケースもpHかqcの値のいずれか(あるいは2つとも)「×」となっており、目標を満たしていない。したがって、生石灰やセメント系固化材のみによる固化処理では、良好な結果が得られないことがわかる。
【0073】
次にNo.15〜17のケースに着目する。これらのケースは、吸水性改質材のみを添加したケースであるが、No.17のみステップS6の評価を満足している。しかし、吸水性改質材の添加量が300kg/m
3と大量に添加しないと満足しないため、経済的とは言えない。
【0074】
そして、吸水性改質材と高炉Bセメントを添加したNo.1〜8ではすべてのケースで[1]の処理後のpHが12未満を満足している。ただし、ステップS2の養生期間を設けないNo.1では、ほぐし造粒が「×」となり、その状態でステップS5の炭酸ガス接触・養生処理を行ったため、ステップS6のpHが「×」(pH9.9)となった。すなわち、ほぐし造粒処理で試料を細粒化しないとpHが効率的に低下しないことがこのケースからわかる。
【0075】
次に、ほぐし造粒の結果が良好だったNo.2〜8のケースに着目する。ステップS4の養生期間をそれぞれ0日、3日、7日としたNo.2、3、4では、ステップS6のコーン指数が「×」となった。これはステップS4の水和反応促進養生時間が短すぎるためである。No.5〜8では、ステップS6のコーン指数は「〇」であり、ステップS5において軟弱化現象も起きていない。したがって、ステップS4の養生期間としては、14日間(2週間)以上とするのが、適切であることがわかる。
【0076】
そして、ステップS5の炭酸ガスの接触時間がそれぞれ異なるNo.5〜8において、2、4時間の接触時間では、ステップS6のpHが「×」となり、接触時間を6時間以上としたケースでは「〇」となっている。このことから、炭酸ガスの接触時間は6時間以上とするのが好ましいことがわかる。
【0077】
[実施例3]
実施例3では、アルカリ性土壌を急速接触法で中和処理した事例を示す。
建設汚泥を本発明の実施形態に示す処理方法で製造したpH=11.1の細粒固化土20L(リットル)を容量140Lのドラムミキサーに投入し、ドラムミキサー内に炭酸ガスを25L/分の流量で6分間充填した。そのミキサーに蓋をして10分間ミキサーを回転させ、細粒固化土を撹拌して炭酸ガス接触を試みた。その結果、3日後の土壌のpHは8.5となった。また、この中性再生土のコーン貫入試験を実施したところ、コーン指数は2350kN/m
2であった。以上のように、急速接触法により、pHが8.6以下でかつ、コーン指数が800kN/m
2以上の高品質中性再生土を製造することができることを確認した。
【0078】
これに対して、生石灰を主材とした固化材を用いて、改質固化処理したpH=11.4の細粒固化土20Lを同じドラムミキサーに投入し、ドラムミキサー内に炭酸ガスを25L/分の流量で6分間充填した。そのミキサーに蓋をして30分間ミキサーを回転させ、細粒固化土を撹拌して炭酸ガス接触を試みた。その結果、3日後の土壌のpHは10.5となり、8.6以下を達成できなかった。さらにこの再生土は軟弱化しており、コーン貫入試験を実施したところコーン指数は656kN/m
2となった。このように、生石灰を主材とした固化材で改質処理した土壌では急速接触法により、pHとコーン指数の両方で目標値を達成することができなかった。
【0079】
[実施例4]
実施例4では、建設汚泥を本発明の実施形態に示す処理方法で製造したpH=11.4の細粒固化土を流下接触法で中和処理した事例を示す。実施例4の試験の手順としては、まず、
図6に示すように、φ100mm×125mmのアクリル製カラム31aを8個繋いで作成した高さ1mのシリンダー31を3本用意し、それぞれのシリンダー31の中に対象となる細粒固化土33を投入した。ここで、各シリンダー31の中に投入された細粒固化土33の体積は以下の通りである。
細粒固化土33の体積=5cm×5cm×3.14×100cm
=7,850cm
3(mL)≒8L
【0080】
次に、40Lの炭酸ガスを充填した45L用のポリ袋35を用意し、
図7に示すように、ポリ袋35を各シリンダー31の上端に被せた。これにより、ポリ袋35内の炭酸ガスが細粒固化土33に流下接触される。ここで、流下接触は、炭酸ガスが40Lであるのに対して、シリンダー31内の細粒固化土33は8Lであるため、5倍の割合で行われることになる。
【0081】
本実施例4の試験では、流下接触から30分後に、シリンダー31の上の方が水分で白っぽくなるのが確認された。一晩そのまま静置し、流下接触から18時間後にまず、No.1のシリンダー31を個々のカラム31aに解体した。この時点でポリ袋35内の炭酸ガスはほとんど消費されていた。
【0082】
次に、No.1のシリンダー31を構成していた8個のカラム31a内の細粒固化土33をポリ袋35に入れ、各カラム31a内の細粒固化土33のpHを流下接触の1日後、3日後に測定した。
【0083】
また、流下接触の3日後には、No.2のシリンダー31を解体し、各カラム31a内の細粒固化土33のpHを測定した。
さらに流下接触の3日後にNo.3のシリンダー31に40Lの炭酸ガスを再充填した。すなわち、No.3のシリンダー31には合計80Lの炭酸ガスを充填したことになる。流下接触の4日後にNo.3のシリンダー31を解体すると、ポリ袋35内の炭酸ガスはまだ若干残っていた。また、流下接触の4日後には、No.3のシリンダー31を構成していた各カラム31a内の細粒固化土33のpHの測定も行った。
【0084】
図8は、実施例4の試験結果を示すグラフである。
図8のグラフに示すように、実施例4で説明した手順で流下接触法を行った場合、1mのシリンダー31の深さ50〜70cmまでの細粒固化土33を中性化することがわかる。また、流下接触の1日後でも中性化の効果が表れる。さらに、流下接触から3日経過してもリバウンドが小さいことや、炭酸ガスの追加充填によって、pHの低減範深度が増大することも確認できた。
【0085】
[実施例5]
実施例5では、建設汚泥を本発明の実施形態に示す処理方法で製造したpH=11.1の細粒固化土を実規模レベルの流下接触法で中和処理した事例を示す。実施例5の試験の手順としては、まず、pH=11.1の細粒固化土3.3m
3を容量8.4m
3のダンプカー(水密式ベッセル車)のタンクに投入した。タンクに投入された細粒固化土の平均層厚は30cmである。表1にタンクの諸元を示す。
【0087】
このタンク内に炭酸ガスを5.1m
3注入し、その後密封した状態でそのまま3日間養生して再生土を製造した。その後ダンプアップした再生土から、ランダムに5地点のサンプル(試料1〜5)を抽出し、pHを測定した。その結果を表2に示す。
【0089】
表2によれば、すべての地点でpHが8.6を下回り、平均でpH=8.3という結果が得られた。また、この再生土について、コーン試験を実施した結果、コーン指数918kN/m
2なる結果を得た。
【0090】
[実施例6]
実施例6では、プール接触法で中和処理した場合の事例について説明する。実施例6では、実施例5で用いたダンプカーのタンク(容量8.4m
3)に、まず炭酸ガスを8m
3充填し、その炭酸ガスの充満しているタンクに本発明の実施形態で説明した処理方法で製造したpH=11.3の細粒固化土3.3m
3を4時間かけて静かに投入した。また、投入中1時間毎に4m
3の炭酸ガスを4回に分けて補充した。細粒固化土の投入と炭酸ガス充填完了後、蓋をしてそのまま一晩養生して再生土を製造した。その後ダンプアップした再生土から、ランダムに5地点のサンプル(試料1〜5)を抽出し、pHを測定した。その結果を表3に示す。
【0092】
表3によれば、すべての地点でpHは8.6を下回り、平均でpH=8.0という結果が得られた。また、この再生土について、コーン試験を実施した結果、コーン指数1370kN/m
2なる結果を得た。