(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封止キャップは、封止材料を包囲した支持リングを更に有し、前記フィルム通路と接触状態にある前記封止キャップの前記開口部のところの前記封止材料は、前記フィルム通路を通って挿入される器械の抗力よりも大きな円周方向圧縮力を及ぼす、請求項1記載の外科用シールシステム。
前記封止キャップは、器械が前記通路を通って挿入された状態において前記フィルム通路の最大内径よりも少なくとも2倍の外径を有する、請求項1乃至3の何れか1項に記載の外科用シールシステム。
前記封止キャップの前記開口部は、あらかじめ形成され又は前記封止キャップを通って挿入されている前記第2の支持体の挿入時に作られる、請求項1乃至4の何れか1項に記載の外科用シールシステム。
前記第1の支持体は、前記封止キャップの外部に配置されるボルスタを備え、前記フィルム通路は、前記ボルスタに連結され、中間区分のルーメン内に戻すことによって形成される逆さまの陥入部分を有する近位端と、前記フィルム通路内の前記フィルム部分と、前記第2の支持体に連結された遠位端とを有する、請求項1に記載の外科用シールシステム。
前記第1の支持体、前記第2の支持体又は前記フィルム通路の互いに対する運動は、前記フィルム通路の前記内径を拡大するには不十分な力をもたらす、請求項1乃至5の何れか1項に記載の外科用シールシステム。
前記第1の支持体、前記第2の支持体又は前記フィルム通路の互いに対する運動は、前記封止キャップの前記開口部を拡張させるには不十分な力をもたらす、請求項1乃至5の何れか1項に記載の外科用シールシステム。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】例示の腹腔鏡下手技で用いられる外科用アクセス器具又はトロカールの断面側面図である。
【
図2】例示の腹腔鏡下手技で用いられる外科用アクセス器具又はトロカールの平面図である。
【
図3】単一部位腹腔鏡下手術手技で用いられる外科用アクセス器具の断面側面図である。
【
図4】単一部位腹腔鏡下手術手技で用いられる外科用アクセス器具の平面図である。
【
図5】種々の実施形態としてのトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具及びアクセスプラットホームの斜視図である。
【
図6】種々の実施形態としてのトロカール外科用シール及びアクセスプラットホームの斜視図である。
【
図7】種々の実施形態としてのトロカール外科用シール及びアクセスプラットホームの断面側面図である。
【
図8】種々の実施形態としての器械が存在していない場合のトロカール外科用シール及びアクセスプラットホームの断面側面図である。
【
図9】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの斜視図である。
【
図10】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの断面側面図である。
【
図11】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの側面図である。
【
図12】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの分解組立て図である。
【
図13】種々の実施形態としての把持器及びトロカール外科用シールを示す図である。
【
図14】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールが配置されている状態を示す図である。
【
図15】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの配置状態を示す図である。
【
図16】種々の実施形態としての配置用又は挿入用ツール及びトロカール外科用シールの斜視図である。
【
図17】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールに用いられる配置用又は挿入用ツールの一部分の斜視図である。
【
図18】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの斜視図である。
【
図19】種々の実施形態としての体壁内のトロカール外科用シール及び挿入状態の器械の断面側面図である。
【
図20】種々の実施形態としての体壁内のトロカール外科用シール及び大径の挿入状態の器械の断面側面図である。
【
図21】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの断面斜視図である。
【
図22】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの平面図である。
【
図23】一実施形態に従って一器械が挿通状態にあるトロカール外科用シールの平面図である。
【
図24】別の実施形態に従って別の器械が挿通状態にあるトロカール外科用シールの平面図である。
【
図25】別の実施形態に従って別の器械が挿通状態にあるトロカール外科用シールの平面図である。
【
図26】別の実施形態に従って別の器械が挿通状態にあるトロカール外科用シールの平面図である。
【
図27】別の実施形態に従って別の器械が挿通状態にあるトロカール外科用シールの平面図である。
【
図28】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の横から見た斜視図である。
【
図29】種々の実施形態としてのトロカール外科用シールの上から見た斜視図である。
【
図30】種々の実施形態としてのトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図31】種々の実施形態による成形端部を備えたトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図32】種々の実施形態に従ってボルスタを備えたトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図33】種々の実施形態としてのボルスタを備えたトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の断面側面図である。
【
図34】種々の実施形態に従ってボルスタ及び陥入部分を備えたトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の断面図である。
【
図35】種々の実施形態に従ってボルスタを備えたトロカール外科用シールの斜視図である。
【
図36】本発明に従ってボルスタを備えたトロカール外科用シールの断面図である。
【
図37】種々の実施形態に従って流体ポートを備えたトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図38】種々の実施形態に従って流体ポートを備えたトロカール外科用シールの断面斜視図である。
【
図39】種々の実施形態に従って流体ポートを備えたトロカール外科用シールの断面側面図である。
【
図40】種々の実施形態としてのトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図41】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図42】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図43】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図44】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図45】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図46】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図47】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図48】種々の実施形態によるトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具の斜視図である。
【
図49】一実施形態による挿入器具及びトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具を示す図である。
【
図50】別の実施形態による挿入器具及びトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
種々の実施形態によれば、患者の体又はアクセスプラットホームを通って配置され、それにより低侵襲外科的処置のために患者の体内に挿入されるべき外科用器械のための作業チャネルを提供する細長い本体又はフィルム通路を有するトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具が提供される。種々の実施形態によれば、フィルム通路は、全体として管状であり、種々の実施形態では、特定の形状を維持しない。トロカール外科用シール又は外科用アクセス器具は、調節不能であると共に/或いは圧力下で又は体壁、周囲組織又はアクセスプラットホームの材料によって及ぼされる半径方向若しくは円周方向圧縮力を受けて押しつぶれる。任意の形態又は位置におけるトロカール外科用シールは、抵抗をもたらさず或いは体壁、周囲組織又はアクセスプラットホームにより及ぼされる力に反作用しない。トロカール外科用シールは、これを通って挿入される器械の外面に当たるガス密器械シールをもたらす。種々の実施形態では、トロカール外科用シールは又、このトロカール外科用シールを通って挿入される器械が存在していない場合に患者からのガス流出を阻止するガス密ゼロシールを提供する。
【0012】
フィルム通路は、種々の実施形態では、内側支持体と外側支持体との間に存在する。内側支持体は、フィルム通路を患者の体内に固定し、外側支持体は、外部に配置されてフィルム通路を患者の体に固定する。トロカール外科用シールは、カニューレなしであり、シールハウジングを備えておらず(ハウジングレス)又はこれら両方であり、かくして、とりわけ、器具の製造、組み立て、包装、保管及び動作を容易にする。また、カニューレがないことにより、潜在的な組織外傷が軽減されると共に必要な又は用いられる切開創又は開口部のサイズが減少する。また、シールハウジングがないことにより、器具の占める全体的な手術スペースが減少すると共にポートの混雑具合が減少する。
【0013】
今、
図1及び
図2を参照すると、腹腔鏡的構成例が示されており、この場合、複数個のアクセス器具又はトロカール113,114,115が体壁110を通って戦略的に重要な場所で体腔105内に配置されている。大抵の手技の場合、トロカールは、最適な視覚化、標的領域へのアクセスを可能にし、美容的な結果を最善にするよう戦略的に配置される。腹腔鏡器械116,120,121も又示されており、これら器械は、ボアの大きな器械ではない。かつては10mm〜12mmのシャフト直径を必要とした大抵の器械は、5mm以下のシャフト直径を備えている。光学及びディジタルカメラ並びにシステム120も又、例えば5mmフォーマットの状態で提供される。
【0014】
図3及び
図4を参照すると、腹腔鏡下手技、例えば単一部位式腹腔鏡下手術が示されており、この場合、トロカール113,114,115は、互いに密接して配置される。理解できるように、剛性カニューレ及び大きなシール‐ハウジングを備えた剛性トロカールは、これらを互いに近接して用いる場合の懸念をもたらす場合がある。加うるに、器械116,120,121の長さは、例えば標的野106が単一部位入口150に対して斜めである場合があるということに起因して特定長さのトロカールを用いる場合には課題となる場合がある。
【0015】
図5〜
図8を参照すると、本発明の種々の実施形態としての外科用アクセスシステムが提供されている。種々の実施形態では、アクセスプラットホーム152が示されており、このアクセスプラットホームは、穿通可能な自己封止形シール160の周りに位置する支持リング155を備えた封止キャップを有している。種々の実施形態では、支持リング155は、体壁内に又は体外に配置され、種々の実施形態では、引張可能であり且つ細長い管又はメンブレンが支持リング155に取り付けられ又は取り外し可能に結合される。種々の実施形態では、内側支持リング165が管又はメンブレン166に結合されており、この内側支持リングは、患者の体内に配置される。一実施形態では、アクセスプラットホームにより、外科医が単一切開創又は開口部を通って外科的処置を実施することができる。本発明の種々の実施形態としての複数個のトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具200a,200b,200cが穿通可能なシール160を通って配置されるのが良く、それにより体腔105内へのアクセスを可能にしている。アクセスポート又は器具200a,200b,200cの小さな直径及び極めて低いプロフィールにより、挿入状態の器械を自由に操作することができる。また、低プロフィールであること及び嵩張っていたり剛性であったりするシールハウジング及びカニューレがないことにより、器械を体腔内に更に挿入すると共に到達困難な術野中に挿入することができる。
【0016】
種々の実施形態によれば、穿通可能なシール160は、ゲル材料、低ジュロメータのエラストマー、フォーム又はこれらの種々の組み合わせから成り、一実施形態では、トロカール外科用シールは、かかるシールを通って挿入可能である。一実施形態では、穿通可能なシール又はゲル材料は、トリブロック又はジブロックコポリマーを含み、一実施形態では、油を更に含む。一実施形態では、ゲル材料は、支持リングに結合され又は支持リング上に成形される。一実施形態では、封止キャップは、プロテクタ又はレトラクタ(牽引子又は開創器とも呼ばれる)に取り外し可能に結合され、種々の実施形態では、支持リングは、封止キャップをレトラクタの外側部分又はリングに取り外し可能に取り付けるためにキャビティ、コネクタ、レバー、又はこれらの任意の組み合わせを有する。一実施形態では、レトラクタは、調節可能であり、このレトラクタは、支持リングに解放可能に取り付けることができるシースを外側リング周りに巻くよう構成されている。一実施形態では、穿通可能なシール又はゲル材料は、1つ又は2つ以上の器械シール、ゼロシール、又はこれらの組み合わせを含み、一実施形態では、外科用アクセス器具は、これを通って挿入可能である。
【0017】
次に
図9〜
図12を参照すると、本発明の種々の実施形態としてのトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具200、例えばトロカール外科用シール200a,200b,200cが示されており、この外科用シールは、開口した近位端部203、開口した遠位端部202及び細くなったウエスト225を備えた全体として「砂時計形」の細長い本体又はフィルム通路211を有している。本体211は、細い端部が連結された両端漏斗210,240として表されている。本体211の近位端部203及び遠位端部202には、一実施形態では、拡大された可撓性支持リング又は第1の支持体220及び第2の支持体230が取り付けられ、かかるリング又は支持体は、必要に応じて細長い場合がある。近位漏斗部分240は、一実施形態では、剛性又は半剛性の合致する漏斗ライナ又はシールド250を更に含むのが良く又は備えるのが良い。加うるに、種々の実施形態によれば、近位端部203、遠位端部202又はこれら両方の端部は、注入ガス又は流体の逆流を阻止するためにゼロシール235を含むのが良く又は備えるのが良い。一実施形態では、ゼロシール235は、ガスが漏れ出又は逃げ出るのを阻止し、例えば、遠位端部202から流れて近位端部203から流出するのを阻止するように寸法決めされると共に形作られた二重カモノハシ(ダックビル)形エラストマーシールである。
【0018】
砂時計形本体211は、一実施形態ではエラストマー材料、例えばシリコーン、ポリウレタン又は種々のゴムで作られている。細いウエスト部分225は、アクセス器具を通って挿入される腹腔鏡器械類周りを封止するよう寸法決めされると共に形作られている。エラストマー材料又はフィルム通路の材料は、トロカール外科用シール200の作業チャネル360内の挿入状態の器械と最小限の表面接触状態にあるシールを提供するよう構成されている。砂時計形シール本体211の周りの組織又は物体は、作業チャネル360内の器械シールを完全にするのを助けるよう圧縮作用256,257を及ぼす。圧縮作用256,257は、ゼロシールを提供することができ、かくして、アクセス器具200の作業チャネル360内に器具が存在しない場合にガス流を阻止するのに必要なゼロシール235が存在しなくても良い。種々の実施形態によれば、剛性又は半剛性シールド250又はゼロシール235なしで本体又はフィルム通路が用いられる。したがって、種々の実施形態によれば、細長い本体211と剛性又は半剛性シールド250とゼロシール235の組立体は、任意の組み合わせ状態で使用できるよう分離可能である。加うるに、一実施形態では、特定の又は操作上の使用、例えば体腔内からの組織又は検体の取り出しのために取り外し可能である。種々の実施形態によれば、フィルム通路211は、ゼロシール230及びシールド250とは異なる材料で作られると共に/或いは一実施形態では、シールドは、フィルム通路211及びゼロシール235とは異なる材料で作られる。
【0019】
剛性又は半剛性シールド250は、種々の実施形態では、特別に選択された材料で構成されるのが良い。挿入状態の器械に加わる摩擦を減少させ又は最小限に抑えるべき場合、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はナイロンを使用のために選択することができる。遠位開口部252は、種々の実施形態では、細長い本体又はフィルム通路材料の器械の接触を最小限に抑えると共に作業チャネル360内における器械に加わる摩擦抵抗を最小限に抑えるよう寸法決めされると共に形作られるのが良い。遠位開口部252は、鋭利な又は先の尖った器械が細長い本体211を穴あけし又は引き裂く潜在的な場合を減らすよう寸法決めされると共に形作られている。寸法決めされた遠位開口部252は、挿入状態の器械の運動と共に細長い本体のオリフィス又はウエスト部分を動かして器械が作業チャネル360内で劇的に軸外し状態で又は斜めに動かされる場合にオリフィスが細長くならないようにするのにも役立つ。種々の実施形態によれば、外科医が器械が作業チャネル360内で極端に斜めの位置に挿入され又は配置されることを必要とする場合、ゼロシール235及びシールド250を挿入状態の器械のシャフトに沿って細長い本体211内から取り出し、次に、所望ならば器械の運動が完了した後に元に戻しても良い。
【0020】
図13〜
図16は、本発明の種々の実施形態によれば、体壁110を通って体腔105内に又はアクセスプラットホーム152を通ってトロカール外科用シール又は外科用アクセス器具200,300,380を配置する方法を示している。腹腔鏡把持器116をトロカール外科用シール200の近位端部203中に挿入して把持器116のジョー170,172がアクセス器具の遠位支持リング220をクランプすることができる箇所まで前進させるのが良い。遠位支持リング220と近位支持リング230との間に張力を加えるのが良く、それにより遠位支持リング220を細長くする。次に、切開創又は意図的な欠陥部/開口部107を通って細長くなった支持リングを挿入する。
【0021】
図16では、種々の実施形態によれば、挿入方法が示されており、この挿入方法は、近位端部372、遠位端部373及び細長い本体371を備えた栓子又は栓子挿入器具370の使用を含むのが良い。近位端部372は、外科医が押圧力を栓子370に及ぼすことができるよう寸法決めされると共に形作られたハンドル(図示せず)を有する。細長い本体371は、押圧力を栓子370の遠位端部373に伝える。栓子370の遠位端部373は、種々の実施形態によれば、尖っており又は組織若しくはプラットホーム材料の穿通を可能にするよう構成された先端部273を有するのが良い。一実施形態では、栓子370の遠位端部373は、アクセス器具200の遠位リング220に係合する少なくとも1つの第1のホルダ374を有するのが良い。栓子370は、種々の実施形態によれば、第2の又は近位ホルダ375を有し、この第2の又は近位ホルダは、本体271をホルダ374,375相互間で引っ張って体壁又はアクセスプラットホームを通る挿入を可能にするよう遠位リング220のプロフィールを減少させるようアクセス器具200の近位リング230に係合するよう寸法決めされると共に形作られている。
【0022】
図17を参照すると、挿入器具370の遠位部分373は、本発明の種々の実施形態に従ってトロカール外科用シール380と関連した遠位保持リング220又は遠位端部を保持するよう寸法決めされると共に形作られた少なくとも1つの係合特徴部又はフック374を有するものとして示されている。図示のように、遠位保持リング220は、リング220を引っ張ってフック又は遠位リテーナ374に押し付けることによって低挿入プロフィールまで引き伸ばされるのが良い。挿入後、張力を除く能力、そして遠位リング220を遠位リテーナ374から解放するのが良い。種々の実施形態によれば、第2の近位リテーナ376が挿入器具370に設けられている。アクセス器具380の遠位保持リング220は、体壁を通るアクセス器具の挿入を可能にするために遠位リテーナ374と近位リテーナ376との間で張力が加えられるのが良い。挿入器具は、一実施形態では、組織外傷を生じさせないで又は最小限に抑えた状態で体壁を通る挿入器具の挿入を容易にするための突端又は先端部273と共にハンドル及び細長いシャフト371を有する。一実施形態では、先端部273は、組織を分離するよう構成され、種々の実施形態では、ブレードレス(刃がない)又は先端部には鋭利な又は切断エッジ又は表面がない。種々の実施形態では、先端部は、透明であり又は例えば腹腔鏡による先端部を通る視覚的アクセスのみ可能にするよう構成され、種々の実施形態では、先端部は、透明であり又はガス注入又は排気アクセスと一緒に先端部を通る視覚的アクセスを可能にするよう構成されている。種々の実施形態では、シャフトの先端部又は複数の部分は、ベント、孔を有し又はガス注入又は排気アクセスだけを可能にするよう構成されている。透明なブレードレスの且つ/或いはガス注入用の先端部は、種々の実施形態によれば、トロカール外科用シールをガス注入されておらず又は気腹圧力下にはない体腔内に挿入するのを助ける。一実施形態では、遠位リテーナ374、近位リテーナ376又はこれら両方を離脱させ又は滑らして開き、それにより体壁又はアクセスプラットホームを通る挿入後に遠位支持体220を解放する。
【0023】
図18〜
図27を参照すると、トロカール外科用シール又はアクセス器具200,300,380が提供されると共に器械が存在せず又はトロカール外科用シール200内に挿入された種々の状態、条件又は段階で示されている。図示のように、トロカール外科用シールは、体壁及び挿入状態の器械と直接的接触状態にある。トロカール外科用シールは、一定の高さを有し、このトロカール外科用シールは、後退することはなく又は器械がトロカール外科用シールを通って挿入されることによって提供される場合以外、半径方向力を体壁に及ぼすことはなく或いは体壁によって提供される半径方向又は円周方向力に反作用する半径方向力をもたらすことはない。図示のように、トロカール外科用シールは、種々のサイズ及び形状の器械を受け入れて器械シールを提供することができる。
【0024】
図28及び
図29を参照すると、トロカール外科用シール300が本発明の種々の実施形態に従って提供されている。トロカール外科用シール又はアクセス器具は、管状織成又は編組スリーブ310で構成された砂時計の形を有している。織成又は編組スリーブは、砂時計の形状をもたらすよう熱硬化されるのが良い。可撓性遠位支持リング330が織成又は編組スリーブの遠位端部305と関連するのが良く、剛性又は可撓性近位支持リング306が織成又は編組スリーブの反対側の近位端部307と関連するのが良い。織成又は編組砂時計形スリーブは、一実施形態では、実質的にガス密アクセス器具を形成するようエラストマー材料で被覆され又はかかる織成又は編組砂時計スリーブにエラストマー材料を含浸されるのが良い。一実施形態では、剛性又は半剛性円錐形シールド350がアクセス器具300の作業チャネル360内の先の尖った又は鋭利な挿入状態の器械からの保護を提供するよう織成又は編組スリーブの近位砂時計形部分345内に配置されるのが良い。器械が作業チャネル360内に位置していない場合に完全な閉鎖のために必要ならば、ゼロシールが編組又は織成アクセス器具300の開口近位端部307、遠位端部305又はこれら両端部と関連するのが良い。
【0025】
図30を参照すると、トロカール外科用シール380が本発明の種々の実施形態に従って提供されている。トロカール外科用シール又はアクセス器具380は、近位端部381及び遠位端部382を備えた細長い管又はフィルム通路385を有している。遠位端部382は、一実施形態では、体壁又はアクセスプラットホームを通る位置決めを可能にするよう変形可能な可撓性支持リング383を有するのが良い。管385の近位端部381は、一実施形態では、剛性又は可撓性支持リング384を備えるのが良く、種々の実施形態では、体壁又はシールプラットホームの外側に位置したままであろう。管385は、リング383,384相互間に延び、この管は、管を挿通させる組織又はアクセスプラットホーム材料によって圧縮されるのが良い。一実施形態では、剛性又は半剛性円錐形シールドがアクセス器具300の作業チャネル360内の先の尖った又は鋭利な挿入状態の器械からの保護を可能にするようフィルム通路385内に配置されるのが良い。器械が作業チャネル360内に位置していない場合に完全な閉鎖のために必要ならば、ゼロシールがフィルム通路の近位端部381、遠位端部382又はこれら両端部と関連するのが良い。
【0026】
種々の実施形態に従って、トロカール外科用シールは、編組物(ブレード)、織物若しくは織成スリーブ310又はフィルム通路211,385中に組み込まれたその一部分を有し、かかるスリーブとフィルム通路の両方は、体壁又はアクセスプラットホームを貫通して延びるよう構成されている。編組物は、低摩擦の拡張可能な引っ込み部を提供する。編組物は、組織が編組物の隙間空間を通ってはみ出るときにフィルムが存在しない場合に起こることがある体壁と挿入状態の器械との直接的な接触を阻止するのに役立つ。体壁又は組織と挿入状態の器械との直接的な接触を阻止することによって、器械の前進及び引っ込みと関連した摩擦力が減少する。種々の実施形態によれば、フィルム通路は、体壁と編組物との直接的な接触を阻止すると共に外科用器械の挿入中、前進中、及び引っ込み中における体壁の開口部の一体性又は保護を維持するのに役立つ。
【0027】
一実施形態では、外科用器械がトロカール外科用シール又はアクセス器具内に挿入されているとき、編組物は、挿入状態の器械のサイズ、例えば幅又は直径まで拡張し、そしてこの器械をトロカール外科用シール中に差し向ける。フィルム通路211,385は、比較的伸張性の又は比較的非伸張性のフィルム材料で形成でき、かかる材料としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、及びポリエステルが挙げられる。器械が編組物中に挿入されているとき、編組物は、拡張し、他方、体壁又はその周りの体組織は、拡張に抵抗する。したがって、体壁又はその周りの体組織は、圧縮半径方向又は円周方向荷重又は力を外科用シールに及ぼし又は加えて挿入状態の器械と組織との直接的な摩擦接触状態をなくした状態でこの外科用シールを挿入状態の器械の外周部に密封的に係合させる。
【0028】
種々の実施形態によれば、フィルム通路211,385は、0.0005インチ(0.0127mm)から0.002インチ(0.0508mm)までの範囲にある厚さを備えた薄い材料で作られるのが良い。編組物は、種々の実施形態によれば、拡張可能であり、直径が3.5mmから16mmまでの範囲にあるのが良い広範な器械サイズに対応することができる。外科用シール200,300,380の編組物及びフィルム通路は、器械が外科用アクセス器具又は人体開口部の長手方向軸線に対して中心からずれた状態で又は軸外し状態で挿入された場合、器械がトロカール外科用シールを引き裂き又は引っかかる恐れをなくし又は減少させる。
【0029】
一実施形態では、二叉の器械は、特にこれらが中心からずれた状態で又は軸外し状態で挿入され又は取り外される場合、トロカール外科用シールを損傷させる場合がある。編組物とフィルム通路の組み合わせは、器械を外科用シールの孔中に差し向けるのに役立つ。編組物とフィルム通路は、器械の挿入に応答してトロカール外科用シールの孔を拡張させるよう働く。編組物及びフィルム通路のこの拡張作用により、外科用シール孔の直径を最小限に抑えることができる。トロカール外科用シールの孔の直径を最小限に抑えることにより、外科用シールは、広範な挿入状態の器械に密封的に係合することができる。他のアクセス器具では、器械シールの孔の直径を最小限に抑え、更に二叉の器械、例えばクリップ取り付け具の挿入に応答して穴あけを回避することは、課題となる場合がある。
【0030】
トロカール外科用シールの編組物及びフィルム通路211,385は又、外科用シールを通って器械を挿入して前進させるのに力を減少させるのにも役立つ。金属又はポリマー器械シャフトに対する編組物/フィルムの動摩擦係数(f)は、金属又はポリマー器械シャフトに対するエラストマーシールの動摩擦係数よりも著しく小さい。動摩擦係数の値は、鋼に対するポリマー、例えばポリエステルについては0.15から0.5までの範囲にあり、これに対し、鋼に対するエラストマーの動摩擦係数の値は、1.6から10までの範囲にある。編組物は、フィルム通路と組み合わさった状態で、挿入状態の器械のシャフトと組織との直接的な接触をなくし、したがってトロカール外科用シールを通って器械を挿入して前進させるに必要な摩擦力を最小限に抑える。
【0031】
フィルム通路211,385は、一実施形態では、0.0005インチ(0.0127mm)ポリオレフィンフィルムである。一実施形態では、0.001インチ(0.0254mm)直径のポリエステルモノフィラメントから織成された編組物は、フィルム通路に隣接して位置決めされ、或いはフィルム通路に結合され又は埋め込まれる。編組物は、一実施形態では、その近位端部、遠位端部又は両端部のところがラッパ状に広げられ、それにより器械の挿入及び引っ込みを容易にすることができる。一実施形態では、リング、例えばポリエチレンリングが器械引っ込み中の反転又は移動を阻止するよう編組物及び/又はフィルム通路の遠位端部に結合される。種々の実施形態によれば、器械は、腹腔鏡器械、内視鏡器械、プローブ、スコープ、トロカール、カニューレ及び他の外科用アクセス器具又は器械を含む。
【0032】
編組物は、種々の実施形態によれば、天然又は剛性モノフィラメント糸材料で作られている。例えば、編組物は、ポリエステル、ケブラー(Kevlar)(登録商標)、炭素繊維、ゴアテックス(Gore-Tex)(登録商標)(発泡PTFE)、ノーメックス(Nomex)(登録商標)、ナイロン、ガラス繊維、綿、ポリプロピレン、及びセラミックで作られるのが良い。編組物、フィルム通路又はこれら両方は、種々の実施形態によれば、吸湿性又は超吸水性ポリマーモノフィラメント材料で作られている。したがって、編組物、フィルム通路又はこれら両方は、挿入状態又は引っ込み状態の器械から移った流体を吸収することができ、それにより流体が次にアクセス器具から挿入状態の器械、例えば腹腔鏡に移るのを阻止することができ、それにより腹腔鏡を介する視覚化の低下を阻止することができる。
【0033】
編組物は、種々の実施形態によれば、挿入状態又は引っ込み状態の器械と編組物との間の摩擦を減少させるよう永続的に被覆され又は処理されている。例えば、編組物の被覆(被膜)又は処理としては、親水性ポリマー被膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)被膜、シアノアクリレート被膜、パリレン被膜、プラズマ表面処理、及び塩素化処理が挙げられる。編組物及びフィルム通路は、種々の実施形態によれば、追加のリングを設けることによって定位置に機械的にロックされ、かかるリングは、リング相互間に編組物及びフィルム通路の近位端部を捕捉する。
【0034】
本発明の種々の実施形態によれば、トロカール外科用シール又はアクセス器具200,300,380は、既定の形状を備えておらず、これらに挿入された細長い外科用器械を受け入れる。アクセス器具は、近位端部又は遠位端部から保持された場合アクセス器具に作用する重量により全体として管状であるのが良い。アクセス器具200,300,380の形状は、例えば体壁によってアクセス器具に及ぼされる圧縮力によって定められる。アクセス器具は、体腔の外部から又はその近くで体腔の内部に向かって遠位側に延びている。アクセス器具の形状は又、アクセス器具の作業チャネル内に挿入された器械によって定められる。したがって、種々の実施形態によれば、他のトロカール又は外科用アクセス器具とは異なり、アクセス器具200,300,380は、つぶれることができ、或いは、体壁又は患者の体に設けられた開口部に半径方向又は拡張力を及ぼすことはない。それ故、アクセス器具は、開口部に力を加えることはなく、或いは、既定の開口部又はカニューレ又はレトラクタの形状、例えば管状形状を維持しようとする。かくして、アクセス器具は、潜在的な組織外傷を最小限に抑えると共に切開創又は開口部のサイズを減少させる。または、本発明の種々の実施形態によれば、アクセス器具200,300,380は、開口すると共に塞がれていない近位及び遠位端部を有する。したがって、シールハウジングは、存在せず、用いられず又はアクセス器具の近位端部又は遠位端部に取り付け可能であり、それによりアクセス器具の占める手術スペースが最小限に抑えられると共にポートの混雑が阻止される。したがって、種々の実施形態では、トロカール外科用シール200,300,380には、シールハウジング、カニューレ及び/又はレトラクタがなく、或いは、トロカール外科用シール200,300,380は、シールハウジング、カニューレ及び/又はレトラクタなしで用いられ、かかるトロカール外科用シールは、患者の体壁若しくは患者の体に設けられた開口部又はアクセスプラットホームと直接的な接触状態にある。
【0035】
本発明の種々の実施形態によれば、全体として管状、砂時計形又は種々の他の形状を有するトロカール外科用シール又はアクセス器具200,300,380は、これらに挿入された細長い外科用器械を受け入れるように寸法決めされると共に形作られている。種々の実施形態では、アクセス器具の本体又はフィルム通路211,385は、第1の開口端部を有する。種々の実施形態では、第1の開口端部は、第1の支持体を有し、種々の実施形態では、第1の支持体は、柔軟性リング、近位又は外部ボルスタ若しくはカラー及び一方向のガスの流れを阻止するよう寸法決めされると共に形作られたシールを有する。アクセス器具の本体は、種々の実施形態によれば、第2の開口端部のところに柔軟性リングを有する。アクセス器具の本体又はフィルム通路211,385は、種々の実施形態では、極めて薄い耐久性のあるエラストマー材料又は極めて薄い非エラストマー材料で作られ、かかる材料は、アクセス器具を挿通させる体壁の組織により容易に圧縮される。エラストマー材料としては、シリコーン、ポリウレタン、ラテックス、ポリイソプレン等が挙げられる。非エラストマー材料としては、例えば、ポレオレフィン、ポリエステル、ポリエチレン等の材料が挙げられる。
【0036】
本発明の種々の実施形態によれば、トロカール外科用シール又はアクセス器具200,300,380は、体壁を通り、代表的なアクセス器具又はトロカールの必要とする切開創よりもかなり小さい切開創又は開口部を通って体腔中に導入されるのが良い。例えば、5mm器械を受け入れるトロカールは、7mmカニューレ又は管を受け入れる切開創を必要とする。カニューレ又は管の外径は、これよりも大きな切開創サイズを担っている。アクセス器具200,300,380は、例えば、壁厚が0.003インチ(0.0762mm)〜0.005インチ(0.127mm)のフィルム材料で構成された本体を有する。この壁厚は、ほぼ無視できるほどなので、切開創サイズは、伝統的なトロカールの必要とする切開創サイズよりも実質的に小さいものであって良い。本発明の種々の実施形態によれば、切開創サイズは、使用に適応した器械の指定されたサイズよりも小さくて良い。例えば、用いられるべき5mm器械を挿通させる切開部を約3mmまで減少させることができる。挿入状態の器械は、組織欠陥部を一時的に拡張し又は拡大し、体壁とフィルム通路と器械との間にガス密シールを構成する。小さな切開創又は開口部サイズは、小さな切開創が挿入状態の器械に円周方向封止圧縮荷重を及ぼすので、有用であり、その結果、患者の組織の瘢痕化が少なくなり、一般に、ステッチ又はステープルのような機械的クロージャを必要とせず、しかも大きな切開創よりもヘルニア部位になる可能性が低い。
【0037】
種々の実施形態によれば、フィルム通路211,385は、例えばポリオレフィンのような材料で作られると共に/或いは長手方向に延びることができず又はこの材料を長手方向に引き伸ばす伸張作用又は力に抵抗する例えば0.0005インチ(0.0127mm)〜0.002インチ(0.0508mm)の厚さを有する。種々の実施形態によれば、フィルム通路211,385は、伸張することができず又はフィルム通路がフィルム通路内の挿入状態の器械の影響を受けて広がるようになっているときを除き、この材料を水平方向又は長手方向に対して横の方向に引き伸ばす伸張作用又は力に抵抗する材料で作られると共に/或いは厚さを有する。
【0038】
本発明の種々の実施形態によれば、アクセス器具200,300,380の本体又はフィルム通路は、薄いシートフィルムを管中に溶接することによって構成されても良く、或いは、吹き込み成形されても良く若しくは違ったやり方で全体として管状の形状に形成されても良い。一実施形態では、熱を管状部材の全ての部分又は一部分に加えることによって所望の形状又は状態に二次成形できる照射済みの超薄壁架橋ポリオレフィン管が用いられる。この製造プロセスは又、接着剤を用いないで近位及び遠位支持体リングへの管状構造体の取り付けを容易にすることができる。種々の実施形態では、フィルム211,385は、挿入状態の器械に加わる抗力を減少させるために種々のスリップ剤、例えばワックス、石鹸、珪藻土、シリコーン油、及びフルオロポリマーを含む。
【0039】
図31〜
図36を参照すると、本発明の種々の実施形態によれば、トロカール外科用シール又はアクセス器具380が提供されている。アクセス器具380は、遠位端部298、近位端部299及び遠位端部298と近位端部299との間に延びる細長い本体又はフィルム通路385を有している。フィルム通路385は、細長い中間区分386を有する。細長い中間区分386の遠位端部は、一実施形態では、「リング形」リテーナ又は支持体383を支持し又は有している。種々の実施形態によれば、細長い中間区分386の構成材料は、周辺部分401に沿って伸張すると共に湾曲してスリット405のところで出会いそれによりゼロシール400を形成するテーパ、折り目又は湾曲面402,403の状態になる。
【0040】
種々の実施形態では、細長い中間区分386の近位端部は、ボルスタ又はリング420を支持し又は有している。種々の実施形態によれば、細長い中間区分386の材料は、ボルスタ420を通って近位側の方向に延び、次に周辺部分401に向かって遠位側に延び、ゼロシール400を形成するようスリット405のところで出会う湾曲面402,403に至っている。ボルスタ420は、シールと中間区分を互いに対し且つ患者の体又はアクセスプラットホームに対して安定させる。ボルスタ420は、一実施形態では、近位部分421及び遠位部分422を有し、この近位部分と遠位部分との間の高さ又は距離は、シールを中間区分、患者の体、アクセスプラットホーム又はこの中に挿入された器械に対して安定化するのを助けるよう中間区分の高さの約1/3である。ボルスタは又、一実施形態では、シールを形成し若しくは取り付け又はガス注入圧力下でゼロシールを維持する安定した構造体を提供する。したがって、一実施形態では、シール400及び作業チャネル360に隣接して位置する領域又はキャビティ406は、挿入状態の器械が存在しない場合に封止状態のままである。
【0041】
種々の実施形態によれば、細長い中間区分386の材料は、ボルスタ420を通って近位側に延び、次に、遠位側に陥入して細長い中間区分386の遠位端部と細長い中間区分386の近位端部との間で又はシールの内面又は一部分に沿ってキャビティ406及びルーメン又は作業チャネル360内に圧力勾配が存在している場合に自己閉鎖性又はゼロシール400を形成する。自己閉鎖性シール400は、近位側に延びる中間区分の部分を細長い中間区分386のルーメン360内に戻すことによって形成される逆さまの陥入部分402,403を有する。陥入部分は、「ダックビル」形シールに似た実質的に平面状の断面を呈するよう構成されている。一実施形態では、人工気腹圧力は、更に、挿入状態の器械が存在していない場合にフィルム部分402,403を封止状態に保つのを助ける。種々の実施形態によれば、シール400は、同様に、遠位端部298に加えて又は遠位端部298のところにのみ形成される。種々の実施形態によれば、ボルスタ420は、厚く広く且つ背丈があり且つ/或いは第1の支持体、第2の支持体、フィルム通路又はこれらの任意の組み合わせよりも剛性であり、厚く又はこれら両方の性質を持つ材料で作られる。種々の実施形態では、ボルスタは、第1の支持体、第2の支持体、フィルム通路又はこれらの任意の組み合わせとは異なる材料で作られる。
【0042】
次に、
図37〜
図39を参照すると、トロカール外科用シール又はアクセス器具380は、種々の実施形態によれば、管状本体がそれ自体逆さまにされて管状本体の第1の端部331が管状本体の第2の端部332に隣接して位置する二重壁同心構造体から成るフィルム通路211,385を有する。リング形支持体393が一実施形態では壁392,394相互間の空間391中に挿入されるのが良く、そして成形された遠位ポケット390内に押し込まれるのが良く、フィルムは、このポケット内で折り畳まれる。次に、2つの隣り合う端部331,332を種々の実施形態としてのボルスタ420に取り付ける。
【0043】
種々の実施形態では、逆さまの状態のスリーブ本体の遠位端部の近くで、1つ又は2つ以上の穴又は開口部475が外壁394に形成されるのが良い。1つ又は2つ以上の穴は、フィルム通路を通る作業チャネル360又はルーメンよりも直径が小さい。流体コネクタ450が一実施形態では、外側ボルスタ420に連結されるのが良く、外側ボルスタ420は、逆さまのスリーブ本体の壁392,394相互間の空間又はチャネル388又はボルスタ420と壁392,394との間の開口部又はチャネル411を介してアクセス器具380の外壁394の遠位開口部475と連通している。かくして、例えばガス供給源500をボルスタ420の流体コネクタ450に連結し、ガスが壁392,394相互間を流れ、そしてアクセス器具380の外壁394の遠位開口部475を通って流れることができるようにすることによってアクセス器具を通ってガス又は流体を導入し又は除去することができる。一実施形態では、ボルスタ又はフィルム通路を直接通って作業チャネル中に、例えばゼロシールとフィルム通路との間への流体コネクタ450へのガス又は流体通路及び/又はこの流体コネクタ450からのガス又は流体通路が設けられる。トロカール外科用シール内且つ同軸壁相互間のガス圧力は、穿通された組織とアクセス器具380の作業チャネル360内の挿入状態の器械との間でトロカール外科用シール380に追加の封止能力を提供することができる。トロカール外科用シールは又、非収納状態であり且つ体壁と直接的な接触状態のままである。
【0044】
図40〜
図48を参照すると、第1及び第2の支持体の種々の実施形態が示されている。理解されるべきこととして、図示の実施形態は、互いに且つ本明細書全体を通じて説明する他の実施形態と交換可能であり又は組み合わせ可能である。種々の実施形態によれば、第1の支持体220,330,383は、第2の支持体230,306,384の高さよりも高い高さを有する。高さが高いと、ゼロシール、シールド又はこれら両方を連結するのが助けられる。一実施形態では、高さが高いと、第1の支持体をフィルムに固定するのが助けられ又は挿入状態の器械を安定状態に保つのが助けられる。第1の支持体220,330,383は、一実施形態では、第1の支持体の周囲に沿って延びていて第1の支持体をフィルム通路211,385、第2の支持体230,306,384及び体壁又はアクセスプラットホームの外部に対して安定させるのを助ける外面又はフランジ493を備えた隆起部分、リング又はボルスタ491を有している。第1の支持体220,330,383は、一実施形態では、ボルスタ491の周囲に沿って延びていてこのフランジ及び体壁の外部又はアクセスプラットホームから見て遠くに位置する頂部フランジ492を有している。頂部フランジ492は、挿入状態の器械を支持すると共に器械を挿入するために器具又は開口部の存在場所を識別し又は目立たせるのを助ける。
【0045】
一実施形態では、第1の支持体220,330,383は、テーパ付きの外面及びテーパ付きの内面を備えていて挿入状態の器械を安定した状態に保つのを助け又は軸外し又は傾斜位置での挿入状態の器械の運動を容易にするボルスタ485を有している。一実施形態では、第1の支持体220,330,383は、軸外し又は傾斜した位置での挿入状態の器械の運動を容易にする回旋部又は波形部を備えたボルスタ480を有している。一実施形態では、第1の支持体220,330,383は、特定の外科用器械のための特定のアクセス器具を目立たせるよう外科用アクセス器具を識別し又はその存在場所を突き止めるのを助けるよう正方形、長方形、三角形、円形等として形作られた外面又はフランジ503,505を有している。一実施形態では、第1の支持体220,330,383は、第2の支持体230の高さ又は厚さよりも小さい高さ又は厚さを備えていてポートの混雑を減少させるのを助けるボルスタ507を有している。一実施形態では、第1の支持体220,330,383のボルスタ495の幅又は外径は、外科用アクセス器具を識別するのを助け又は第1の支持体を体壁の外側に固定するのを助けるよう第2の支持体230,306,384の幅よりも大きい。
【0046】
一実施形態では、第1の支持体220,330,383は、フィルム通路、第2の支持体又はこれら両方と比較して剛性である。一実施形態では、第1の支持体220,330,383のフランジは、第1の支持体の他の部分と比較して剛性である。一実施形態では、ボルスタは、可撓性である。一実施形態では、フランジは、可撓性であり、ボルスタは、剛性である。フランジが剛性であることとボルスタが可撓性であること又はこれらの逆の関係は、支持体を体壁又はアクセスプラットホームに固定するのを助けると共に体壁又はアクセスプラットホームに対する潜在的な外傷を軽減し又は阻止するのを助ける。
【0047】
種々の実施形態によれば、第2の支持体230,306,384は、第2の支持体を患者の体内又はアクセスプラットホームの内部に固定するのを助けるよう第1の支持体220,330,383の幅又は外径よりも大きな幅又は外径を備えた隆起部分、リング又はボルスタ501を有している。種々の実施形態によれば、第2の支持体230,306,384は、実質的に扁平であって第2の支持体を患者の体内又はアクセスプラットホームの内部に固定するのを助けてキャビティ内部又は患者の体内で支持体の占める領域を減少させるボルスタ481を有している。また、種々の実施形態によれば、第2の支持体、フィルム通路又はこれら両方と比較して第1の支持体220,330,383の高さ、幅又は周長が大きいことにより、第1の支持体のそれ自体の巻回又はフィルム通路及び第2の支持体に対するねじりに対する抵抗が得られ、それにより体壁又はアクセスプラットホームの引っ込みに対する抵抗又は防止が得られる。
【0048】
図49及び
図50では、種々の実施形態としての挿入器具が示されている。挿入器具は、栓子12を有し、一実施形態では、この挿入器具は、患者の体内又はアクセスプラットホーム内へのトロカール外科用シールの適正な配置を保証するための光学観察チャネル14を有している。アクセス器具の支持体又は遠位部分は、トロカール外科用シールを管から突き出して患者の体内に入れるために可動配備スライダ16を備えた状態で挿入管18の遠位端部の近くに設けられた状態で示されている。
図50は、本発明の種々の実施形態に従ってトロカール外科用シールを挿入する例示のステップ又は段階を更に示しており、かかるステップ又は段階は、トロカール外科用シールが患者の体外に且つ挿入又は配備器具内に位置した状態で始まり、そして、トロカール外科用シールが配備されると共に患者の体を貫通して設けられた状態で終わる。
【0049】
明細書全体を通じて説明した種々の実施形態によれば、トロカール外科用シール200,300,380は、不規則な形状の器械又は物体を収容することができ、種々の実施形態では、ほぼ摩擦なしの自己密封性であり、小さな切開創又は開口部を利用すると共に低プロフィールを有するが、フルサイズの腹腔鏡器械の使用を可能にする。種々の実施形態によれば、トロカール外科用シール200,300,380が提供され、種々の実施形態では、本体又はフィルム通路を有し、この本体又はフィルム通路は、これを貫通して延びる開口且つ塞がれていないルーメン及び塞がれていない開口した端部を備えている。フィルム通路211,385は、種々の実施形態では、体壁又はその周りの身体組織によって及ぼされる半径方向又は円周方向力を受けて半径方向に押しつぶし可能であり又は圧縮可能であり、かくして、特定の形状、例えば管の形状を維持しない。一実施形態では、フィルム通路211,385は、アクセス器具の包装又は保管を助けるよう平べったくされるのが良く又は長手方向且つ/或いは半径方向に圧縮可能若しくは押しつぶし可能であるのが良い。第1の支持体及び第2の支持体が種々の実施形態に従ってフィルム通路のそれぞれの各端部に設けられている。種々の実施形態によれば、第1若しくは第2の支持体又はフィルム通路の互いに対する運動によって生じる力は、フィルム通路の内径を広げ又は患者の体又はアクセスプラットホームの開口部を拡張するには不十分である。体壁開口部が拡張すると、器械又はゼロシールが生じるのが阻止され又はシールが漏れを生じる。
【0050】
第2の支持体は、患者の体に対して内部に配置されるようになっており、かかる第2の支持体は、この支持体が体壁又はアクセスプラットホームを通って挿入可能に変形できるよう可撓性材料で構成されるのが良い。第2の支持体は、低プロフィール挿入形状をもたらすための引張又は挿入器具によって形作られ又は圧縮されるのが良い。第2の支持体は、種々の実施形態では、円形であり、使用の際、円形の形状を保つよう構造的安定性を有する。種々の実施形態では、第2の支持体は、フィルム通路の第2の開口端部に連結される。一実施形態では、第1及び第2の支持体は、同一の内径及び/外径を有すると共に/或いは同種の材料で作られる。
【0051】
フィルム通路211,385は、種々の実施形態では、薄い壁厚を有する耐久性があるが可撓性の材料で構成された管として形成される。種々の実施形態では、フィルム通路211,385は、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン等で作られる。フィルム通路211,385は、種々の実施形態では、薄膜又は織布で構成されるのが良く又は薄膜又は織布を含むのが良い。フィルム通路211,385は、種々の実施形態では、反対側の第1の開口端部のところで、患者の体に対して外部に配置されるべき第1の支持体に連結される。種々の実施形態では、第1の支持体220,330,383は、形状が全体として円形であり、種々の実施形態では、第2の支持体、フィルム通路又はこれら両方の材料よりも剛性の材料で構成されるのが良い。したがって、一実施形態では、第1の支持体220,330,383は、第1の通路、第2の支持体又はこれら両方とは異なる材料で作られる。種々の実施形態によれば、第1の支持体220,330,383は、第1の支持体の回転又はフィルム通路のねじりを阻止するよう形作られ又は寸法決めされている。一実施形態では、第1の支持体220,330,383は、それ自体の回りの巻回運動又は回転運動を可能にしないよう形作られている。種々の実施形態によれば、第1の支持体220,330,383、第2の支持体230,306,384、フィルム通路211,385又はこれら任意の組み合わせは、インフレート可能ではなく、或いは、インフレート可能又は充填可能なブラダを有する。したがって、トロカール外科用シールのプロフィールは、低プロフィールのままであり且つ体壁に近接して位置したままであるのが良く、それによりポートの混雑又はかち合いを減少させ又は阻止し、そして器械を軸外しで動かし又は傾斜させる能力を高めることができる。加うるに、外科用シールは、漏れ経路を生じさせ又は意図した器械シールを弱体化させる場合のある体壁又はアクセスプラットホームの開口部の拡張に抵抗し又はこれを阻止することができる。
【0052】
種々の実施形態によれば、フィルム通路211,385は、第1の支持体周りのフィルム通路の巻回を阻止すると共にフィルム通路が患者の体に設けられた開口部を拡張させるのを阻止する材料、例えばポリオレフィンで作られ又は例えば0.0005インチ(0.0127mm)〜0.002インチ(0.0508mm)の厚さを有する。一実施形態では、フィルム通路211,385は、非拘束状態では種々の形状を取る。一実施形態では、フィルム通路211,385は、耐穴あけ性であり且つ/或いは低摩擦性である材料で作られる。作業又はアクセスチャネル360の幅又はフィルム通路211,385の内径は、一実施形態では、器械の挿入、運動、及び引っ込みと関連した抗力又は摩擦力を最小限に抑えるよう定められる。
【0053】
種々の実施形態では、弁が第1の支持体220,330,383に挿入状態で設けられ又は連結されるのが良く、この弁は、圧力差が存在する場合それ自体圧力駆動式シールを有する。種々の実施形態では、アクセス器具200,300,380は、ガス又は流体の逆流を阻止するためにゼロシール、例えばダックビル形又は二重ダックビル形シールを有するのが良い。種々の実施形態によれば、ゼロシールが第1の支持体220,330,383又はフィルム通路211,385に連結される。種々の実施形態によれば、ゼロシールが第2の支持体230,306,384に連結される。ゼロシールは、種々の実施形態では、エラストマー材料から成り、例えば、少なくとも1種類のポリマー樹脂、ゴム、合性ゴム、ポリイソプレン、シリコーン並びにこれらの配合物、混合物、コポリマー又は複合材から成る。一実施形態では、ゼロシールは、シールド、フィルム通路、第1の支持体、第2の支持体又はこれら任意の組み合わせの材料とは異なる材料で作られる。
【0054】
種々の実施形態によれば、患者の体又はアクセスプラットホームと接触状態にあるフィルム通路211,385の外側表面積は、挿入状態の器械と接触状態にあるフィルム通路の内側表面積よりも大きい。種々の実施形態によれば、第1の通路は、横から見たときに既定の形状、例えば砂時計形を示すよう構成されている。フィルム通路の経路に沿うのど部又は最も細い箇所は、アクセス器具それ自体の器械サイズ範囲を表すよう寸法決めされると共に形作られている。例えば、5.5mmののど部サイズは、5mm器械を受け入れることになる。この専用プロフィール及びのど部サイズは、一次器械シールを不要にすることができる。と言うのは、フィルム通路を挿入状態で通す組織又は壁からフィルム通路に加わる締め付け圧力がフィルム通路の材料を挿入状態の器械のシャフトの外面に押し付けるからである。
【0055】
種々の実施形態によれば、フィルム通路211,385は、1.5インチ(3.81cm)から4.5インチ(11.43cm)までのサイズ範囲の長さを有する。一実施形態では、フィルム通路211,385は、患者の腹壁の種々の厚さに対応する長さを有し、一実施形態では、様々なサイズ、例えば、小サイズ(1.5インチ(3.81cm)〜2.5インチ(6.35cm))、中サイズ(2.5インチ(6.35cm)〜3.5インチ(8.89cm))、大サイズ(3.5インチ(8.89cm)〜4.5インチ(11.43cm))が提供される。一実施形態では、フィルム通路211,385は、17mmという最大外径、17mmを超える外径又はこれら両方を有する。一実施形態では、7mm以下の器械を支持するために、フィルム通路211,385が約5〜7mmの内径及び7mmを超える外径を有すると共に第1の支持体が約10〜12mmの直径を有する。一実施形態では、約13mm以下の器械を支持するために、フィルム通路211,385が約5〜13mmの内径及び約13mm以上の外径を有すると共に/及び第1及び第2の支持体が約15〜17mmの内径を有する。一実施形態では、17mm以下の器械を支持するために、フィルム通路211,385が約5〜17mmの内径及び約17mmを超える外径を有すると共に/或いは第1及び第2の支持体が約20〜24mmの内径を有する。一実施形態では、フィルム通路211,385には抗菌薬又は抗微生物薬、被膜、粒子、積層体又は他の組成物、例えばヨウ素、抗生物質、銀、トリクロサン(triclosan)、殺虫剤又はこれらの組み合わせを含浸させ又は違ったやり方で混入する。
【0056】
種々の実施形態によれば、第1の外側支持体230,306,384は、開口又は近位端部と関連した一体形支持体又はリングを備えた成形エラストマー二重ダックビル形弁を有するのが良い。二重ダックビル形弁は、鋭利な又は先の尖った器械からの保護を可能にする。鋭利な又は尖った先端部がアクセス器具の側壁に向かって不注意に差し向けられた場合、先端部は、弁によってそらされて側壁から遠ざけられてフィルム通路の中心又はのど部の方へ向けられることになる。
【0057】
二重ダックビル形弁は、種々の実施形態では、これを横から見たときに全体的として実質的に円錐形の形状を有する。開口した近位端部から見て、近位端部の円形の形状は、2つの互いに交差する平坦な封止部分に分けられる。弁の内面に対するよりも弁の外面に加わる力の方が大きい場合、弁は、閉じるよう強いられる。器械が弁中に挿入されるとき、弁は、器械に抵抗せず又は器械の運動時に過度の摩擦をもたらすことはない。種々の実施形態では、二重ダックビル形弁は、弁の内部形状に合致する1つ又は2つ以上のガード部材を有するのが良い。この実施形態は、鋭利な又は先の尖った器械の挿入中、シースのための追加の保護を提供する。
【0058】
種々の実施形態によれば、シース又はフィルム通路の細い部分の開きを助ける拡張器がトロカール外科用シール200,300,380の開口近位端部と関連するのが良い。種々の実施形態では、1つ又は2つ以上の拡張器又はこれらの部分は、接近中の器械先端部の軸外し挿入によって前方に押され、それにより到来する器械のための邪魔のない正確な経路を提供する。1つ又は2つ以上の拡張器又はこれらの部分は、次に、器械が定位置に位置すると、引き込む。フィルム通路のチャネル、例えば砂時計形チャネル内に位置した状態で1つ又は2つ以上の拡張器又はその部分に加わる圧縮力により、1つ又は2つ以上の拡張器又はその部分は、近位側に押されてチャネルから押し出される。
【0059】
種々の実施形態によれば、フィルム通路211,385は、患者の体内への挿入に先立って押しつぶれ、そしてこのフィルム通路は、器械がフィルム通路内に存在していない場合、動作状態で押しつぶされたままの状態にある。種々の実施形態によれば、挿入又は配置器具が提供され、この器具は、外科医によって保持されるべきハンドル、細長いシャフト及びトロカール外科用シールの第1の内側支持体に係合して支持体に体壁を通って体腔内に挿入可能な形状及びプロフィールを提供し又はこの支持体を拘束するよう寸法決めされると共に形作られた遠位部分を有する。種々の実施形態では、挿入器具は、第1の支持体220,330,383に係合して支持体を長円形又は細長い形状に引き伸ばす1つ又は2つ以上のリテーナ、例えば2つの遠位側の対向したリテーナを有するのが良い。リテーナは、種々の実施形態では、対向したフックを有するのが良く、種々の実施形態では、フックのうちの1つ又は2つ以上は、交互に互いに向かって動かされ又は互いに離されるのがよい。
【0060】
種々の実施形態によれば、フィルム通路211,385と接触状態にあるアクセスプラットホームの開口部は、フィルム通路を通って挿入される器械の抗力よりも大きな半径方向又は円周方向圧縮力を及ぼす。種々の実施形態によれば、アクセスプラットホームは、器械がフィルム通路を通って挿入された状態で、フィルム通路の最大内径の少なくとも2倍の外径を有する。種々の実施形態によれば、アクセスプラットホームの開口部は、あらかじめ形成され又はアクセスプラットホームを通って第2の支持体が挿入されているときに作られ、種々の実施形態によれば、アクセスプラットホームは、キャップ又は支持体に結合されたゲル材料を含む。種々の実施形態によれば、トロカール外科用シール200,300,380にはシールハウジング、カニューレ又はレトラクタがない。
【0061】
種々の実施形態に示されているように、トロカール外科用シール200,300,380が外科的処置、特に低侵襲手技の際に用いられるよう提供される。トロカール外科用シールは、外科用アクセス器具により提供される作業チャネルを封止しそれにより外科的処置に先立って又は外科的処置中、注入ガスの逃げ出しを阻止し又は注入ガスの供給を容易にする。トロカール外科用シールは、器械がシールを通って設けられている状態で、種々の実施形態では、かかる器具が存在しない状態で、作業チャネルを封止することができる。作業チャネルは、患者の体腔中への経路又はアクセスを提供する。トロカール外科用シールは、種々の実施形態によれば、外科用アクセス器具の作業チャネルを封止するようシールの封止特性の発揮を容易にし又は封止特性を高めるために互いに異なる特性を備えた多数の層又はコンポーネントを有する。
【0062】
トロカール外科用シール200,300,380は、人工気腹のなくなるのを阻止し又は腹腔鏡下手技の際のかかる器械の使用中に二酸化炭素又は他の外科用ガスが失われるのを阻止するために種々の直径の外科用器械に密封的に係合する。トロカール外科用シールは又、体壁及び外科用シールの本体又は壁から遠ざかって差し向け、そして外科用シールと挿入状態の器械との間に生じる摩擦を最小限に抑えることによって、腹腔鏡器械の挿入及び操作を容易にする。トロカール外科用シールは、腹腔鏡下外科的処置中、人工気腹状態がなくなるのを阻止するようトロカール外科用シールを通って挿入された器械に対して積極的な又は確実なシールを提供する。種々の実施形態では、挿入状態の器械が存在しない場合、代表的には6.5mm〜17mmHgの範囲にあるガス注入された腹圧又は腹膜圧力は、フィルム通路が器械チャネルを密封的に閉じて人工気腹状態がなくならないよう又は人工気腹の漏れを阻止するようにするようにし又はそのようにするのを助ける。人工気腹圧力は又、種々の実施形態によればさらに、フィルム通路が挿入状態の器械のシャフトの周りに生じて二酸化炭素又は他の注入ガスが過度に失われないようにし又はそのようにするのを助ける。種々の実施形態によれば、アクセス器具200,300,380をガス注入されておらず又は人工気腹圧力下にはない体腔内に挿入することができる。幾つかの実施形態では、患者の骨構造、例えば肋骨又は他のかかる体内構造は、トロカール外科用シール200,300,380のフィルム通路を押しつぶす半径方向又は円周方向圧縮力を提供する。
【0063】
種々の実施形態によれば、トロカール外科用シール又は外科用アクセス器具200,300,380は、器械アクセス及びニューモ・シーリング(pneumo-sealing)を達成するために用いられるコンポーネントの数を劇的に減少させることができる。大抵の場合、トロカール及びトロカールシールは、複雑であり、患者から外されたときの直径と高さの両方において大きなプロフィールを有し、更に固定され硬直した直径のものである。種々の実施形態では、トロカール外科用シールは又、組織と同形になり、それにより、外傷性が低い。トロカール外科用シール又は接近器具の低プロフィールにより、「ポート混雑」も又減少する。栓子又は導入器は、種々の実施形態では、アクセス器具の配置を容易にする。栓子又は導入器には、種々の実施形態では、互いに背後で展開され、長手方向に且つ/或いは半径方向に、導入器のシャフト沿いに下方に軸方向に押しつぶされ、そして多数のアクセス部位について1つずつ配備される多数のアクセス器具を装填することができる。種々の実施形態では、アクセス器具200,300,380は、サイズが固定され又は剛性のカニューレとは対照的に、種々の器械サイズにも対応することができる。種々の実施形態によれば、トロカール外科用シール200,300,380は、シールハウジング、カニューレ及び他の外科用接近器具若しくはプラットホームを含む典型的なトロカールの代替物であり又は他の外科用アクセス器具又はアクセスプラットホームの使用又は動作を容易にする。
【0064】
本願は、或る特定の実施形態及び実施例を開示しているが、当業者であれば理解されるように、本発明は、具体的に開示した実施例を越えて他の変形実施形態及び/又は本発明の使用並びにその明らかな改造例及び均等例に及ぶ。さらに、本発明の種々の特徴を単独で又は上記において明示的に説明した特徴以外の本発明の他の特徴と組み合わせて利用できる。したがって、実施形態の特定の組み合わせ及び種々の実施形態の特徴又は観点を明示的に説明していない場合があるが、かかる組み合わせが想定され、かかる組み合わせは、本発明の範囲に含まれることは理解されるべきである。かくして、本明細書に開示した本明細書の範囲は、上述の特定の開示した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲の公平な読みによってのみ定められるものである。