(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の段階中に受け取られた電磁放射は、メラトニン生成を抑制することなく前記対象者によるコルチゾール生成が刺激されるように、590nm〜700nmの範囲に及ぶ第2の波長範囲を有する、請求項1に記載のシステム。
前記第2の段階中に受け取られた電磁放射は、前記対象者の概日リズムの段階が修正されるように、500nm〜530nmの範囲に及ぶ第2の波長範囲を有する、請求項1に記載のシステム。
前記光線療法レジームが、前記対象者の前記概日リズムの段階を修正することによって、睡眠相後退症候群(DSPS)を治療するためである、請求項8に記載のシステム。
前記光線療法レジームが、前記対象者の前記概日リズムの段階を修正することによって、睡眠相前進症候群(ASPS)を治療するためである、請求項8に記載のシステム。
前記第2の段階中に放出される電磁放射は、メラトニン生成を抑制することなく前記対象者によるコルチゾール生成が刺激されるように、590nm〜700nmの範囲に及ぶ第2の波長範囲を有する、請求項8に記載のシステム。
前記第2の段階中に放出される電磁放射は、前記対象者の前記概日リズムの段階が修正されるように、500nm〜530nmの範囲に及ぶ第2の波長範囲を有する、請求項8に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用される時、単数詞は、文脈上明確に断りがない限り、複数への言及も含む。本明細書で使用される時、2つ以上の部品又は構成要素が「結合されている」という言明は、連係が生じている限り、部品が直接的に又は間接的に(即ち少なくとも1つ又は複数の中間部品又は構成要素を介して)一体に接合されている、又は一緒に動作することを意味する。本明細書で使用される時、「直接結合されている」は、2つの要素が互いに直接接触していることを意味する。本明細書で使用される時、「固定して結合されている」又は「固定されている」は、2つの構成要素が、互いに対して一定の向きを保ちながら一体として動くように結合されていることを意味する。本明細書で使用される時、用語「単体」は、構成要素が、単一部片又はユニットとして作成されていることを意味する。即ち、個別に作成され、次いでユニットとして一体に結合された部片を含む構成要素は、「単体」構成要素又は物体でない。本明細書で採用される時、2つ以上の部品又は構成要素が互いに「係合」しているという言明は、部品が、直接、又は1つ若しくは複数の中間部品又は構成要素を介して互いに力を及ぼしていることを意味するものとする。本明細書で採用される際、用語「数」は、1、又は1よりも大きい整数(即ち、複数)を意味するものとする。本明細書で使用される時、用語「含む」は、限定はせずに例として、リストの任意の要素及び/又はそのリスト内の要素の任意の組合せを可能な範囲で意味するために、包含的に使用されるものとする。
【0011】
本明細書で使用される方向を表す語句、例えば、限定はしないが、上、下、左、右、上側、下側、前、後、及びそれらの語形変化は、図面に示される要素の向きに関し、特に明記されない限り、特許請求の範囲を限定しない。
【0012】
哺乳類の概日系は、地球上の局所的な位置での動物の生理学的及び行動的機能のタイミングを調整する。概日系は、主に、網膜に入射する24時間の明暗パターンに依存する。ヒトの概日光シグナル伝達を司る光シグナル伝達メカニズムは、十分に良く解明されており、幾つかのデバイスは、この理解を利用して、必要に応じて概日タイミングを調節することができる。
【0013】
概日光シグナル伝達に関する中心的な光感知体は、内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC:intrinsically photosensitive Retinal Ganglion Cells)として知られているニューロンの1クラスである。これらのニューロンは、光シグナル伝達メカニズムの一部である。また、より多くの末梢杆体及び錐体光受容体が、アマクリン細胞及び双極細胞を介してこのプロセスに関与する。これらの末梢光受容体によって発生された光情報は、内因性光感受性網膜神経節細胞に直接は通信されないことがあり、網膜ニューロンの神経叢を介して通信され得る。ヒトの色覚の根底にあるスペクトル対立ニューロンも、概日光シグナル伝達メカニズムの一部である。特に、短波長感受性(S)錐体は、青−黄(b−y)のスペクトル対立双極細胞を介して、内因性光感受性網膜神経節細胞に脱分極入力を提供することができる。概日光シグナル伝達メカニズムの神経生理学により、約510nm(これらのb−y双極細胞による単色光に対する脱分極応答と過分極応答との交点)よりも短い波長に対するb−y双極細胞による応答は、内因性光感受性網膜神経節細胞による光応答に加わることがあるが、約510nmよりも長い波長ではあり得ない。本開示の他の箇所で述べるように、S錐体、M錐体、及び/又はL錐体受容体が感受性を有する波長を有する様々なタイプの電磁放射が、一般に光線療法を提供するため、特に対象者の概日リズムを修正するために複合及び/又は交番され得る。
【0014】
網膜内の末梢光受容体に比べて、内因性光感受性網膜神経節細胞の直接の光刺激は高い閾値を示すことがあり、刺激される時に応答が遅いことがある。刺激されると、内因性光感受性網膜神経節細胞は、光が消滅された十分に後に、光に対する持続的な応答を示すことがある。例えば、b−y双極細胞を介して作用するS錐体は、比較的低い強度であって短いパルスの光に応答することがあり、このような光は、必ずしも、内因性光感受性網膜神経節細胞を刺激しない。S錐体が概日光シグナル伝達に関与するため、短波長の光(<510nm)の短いパルスの列は、直接、及び/又は内因性光感受性網膜神経節細胞の持続的な過渡刺激によって、概日系を活性化及び/又は刺激することが可能であり得る。後者の場合、内因性光感受性網膜神経節細胞による応答の固有の持続性により、S錐体入力からの内因性光感受性網膜神経節細胞の間歇的な刺激が、これらのニューロンによる長期の応答を提供することがある。
【0015】
幾つかの実施形態では、光線療法の幾つかのタイプ及び/又は段階に関して、放出された電磁放射が、内因性光感受性網膜神経節細胞及び/又はS錐体受容体を刺激することがある。内因性光感受性網膜神経節細胞は、網膜内の神経細胞の1タイプである。内因性光感受性網膜神経節細胞は、像形成をしないことがあり得て、及び/又は周囲光強度の安定した表現を提供することができる。その結果、内因性光感受性網膜神経節細胞は、限定はしないが、少なくとも以下の3つの領域に関与することがある:(1)これらの細胞は、昼の長さ、夜の長さ、夜から昼及び昼から夜の移行情報を提供することによって、明暗サイクルに概日リズムを同期させる役割を果たすことがある、(2)これらの細胞は、瞳孔の大きさの調整に寄与することがある、及び(3)これらの細胞は、メラトニンホルモンの解放の光調整及び急激な光抑制に寄与することがある。可視スペクトル内の電磁放射に関する内因性光感受性網膜神経節細胞の感度プロファイルにより、従来の光線療法システム、特に開いた眼のために意図されているシステムは、480nm付近の波長帯域に焦点を当てており、連続的な照明を利用して、(好ましくはピーク感度での)内因性光感受性網膜神経節細胞の直接の刺激を狙いとすることがある。便宜上、本開示では、用語「睡眠サイクル」は、対象者に関する概日リズム、及び/又はメラトニンの生成、抑制、及び/又は解放を表すために使用される。
【0016】
図1〜
図3は、1つ又は複数の実施形態による、対象者106に光線療法を提供するように構成されたシステム10を示す。システム10は、(
図1に示されるような)睡眠マスク12として、対象者106の眼の近く及び/又は眼の中に着用されるように及び/又は対象者106の適切な近位で光源を担持するように構成された器具11として、及び/又は他の方法/デバイスで実装され得る。睡眠マスク12を使用する実装形態は、何ら限定を意図されていない。例えば、追加の実装形態が、
図6A〜Cに関係して説明される。
図1〜
図3に戻ると、
図1〜
図2は、システム10の対象者106とは逆に面する側を示し、一方、
図3は、システム10の対象者106に面する側を示すことに留意されたい。
【0017】
システム10は、季節性情動障害(SAD:Seasonal Affective Disorder)、睡眠相後退症候群(DSPS:Delayed Sleep Phase Syndrome)、睡眠相前進症候群(ASPS:Advanced Sleep Phase Syndrome)、概日睡眠障害、及び/又は、例えばジェットラグ及び/又はシフト勤務に関連付けられる概日リズム障害を含む光不足障害を治療、緩和、及び/又は治癒するために使用され得る。
【0018】
システム10は、電磁放射が対象者106に投射する、特に対象者106の1つ又は複数の眼及び/又は瞼に投射するように電磁放射を放出することによって光線療法を提供するように構成される。本開示の目的で、用語「瞼」は、対象者の「眼」の一部とみなされ得る。従って、眼に投射する電磁放射は、瞼への投射を含み、及び/又は逆も成り立つ。システム10での電磁放射の放出は、対象者106の一方又は両方の眼が閉じられているという判断、及び/又は対象者106が眠っている若しくは特定の睡眠段階にあるという判断に応答することがある。限定はしないが概日リズムの段階を含めた対象者106の概日リズムの特性を修正するためにシステム10が使用される実施形態では、システム10は、放出される電磁放射が対象者106の1つ又は複数の閉じられた瞼に投射するように構成され得る。概日リズムの修正のための一般的な手法は、対象者が起きている間に光線療法を提供するシステムを含むが、これらの手法は、対象者にとって低レベルの快適さ、容易さ、及び使い易さを含めた様々な実用上の問題がある。
【0019】
システム10は、1つ又は複数の光源30、睡眠マスク12、器具11、シールド13、ストラップ14、第1の照明モジュール16、第2の照明モジュール18、第1のシールド部分20、第2のシールド部分22、接続シールド部分24、クッション層28、不浸透性のベース面26、瞼検出器41(
図1〜
図3には示されておらず、
図4に示される)、及び/又は他の構成要素を含むことができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、システム10は、器具11として実装される。器具11は、対象者の眼の近く及び/又は眼の中に着用されるように構成され得る。本明細書で使用される時、「眼の近く」は、眼から20cm以内にある、眼から3インチ以内にある、眼から1インチ以内にある、眼から1cm〜6cmの範囲内にある、眼の何らかの特定の部分から0.5〜1.0インチの範囲内にある、角膜から0.25インチ以内にある、対象者の眉毛に接触している、及び/又は対象者の眼及び/又は瞼に接触していることを意味する。器具11は、1つ又は複数の光源30、及び/又は1つ又は複数の光源30を含むように構成されたシステム10の1つ又は複数の構成部分を担持するように構成される。例えば、特定の実施形態では、1つ又は複数の照明モジュール(照明モジュール16及び/又は照明モジュール18など)は、それぞれ1つ又は複数の光源30を含むことがある。
図3における1つの照明モジュールにつき4つの光源30の図示は例示に過ぎず、何ら限定を意図されていないことに留意されたい。幾つかの実施形態では、器具11は、コンタクトレンズを含むことがある。幾つかの実施形態では、器具11は、対象者の上方に立つ又は取り付けられるランプ器具を含むことがある。
【0021】
1つ又は複数の光源30は、放出される電磁放射が対象者106の1つ又は複数の眼及び/又は瞼に投射するように電磁放射を放出するように構成される。光源30は、複数の異なるレベルの強度で電磁放射を放出するように構成され得る。それに対応して、電磁放射は、複数の異なるレベルの強度で、対象者106の1つ又は複数の眼及び/又は瞼に投射することがある。特に本明細書で述べられるような投射に関して、光線療法の何らかのタイプ及び/又は段階に関する対象者106に対する露出レベルは、S錐体受容体の刺激、及び/又は対象者106の概日リズムの1つ若しくは複数の特性の修正を決定付けるものであり得る。光源30は、光線療法の様々なタイプ及び/又は段階に関して複数の異なる波長及び/又は他の特性パラメータを有する電磁放射を放出するように構成され得る。
【0022】
例えば、光線療法の何らかのタイプ及び/又は段階に関して、強度レベルは、限定はしないが、少なくとも第1のレベルと第2のレベルを含むことがある。複数の強度レベルは、交番することがあり、及び/又は順に使用され得る。第2の強度レベルは、第1の強度レベルよりも低いことがあり得る。光源30は、電磁放射をパルス化する、例えば第1の強度レベルと第2の強度レベルとの間で電磁放射をパルス化するために複数の強度レベル間で交番するように構成され得る。強度レベルの1つ、例えば第2のレベルは、電磁放射のゼロ又はゼロに近い放出でよい。光線療法の何らかのタイプ及び/又は段階に関する強度レベルの1つは、投射時に対象者の眼のS錐体受容体を刺激するのに十分なものでよい。光源30は、光線療法の何らかのタイプ及び/又は段階に関して、対象者の眼のS錐体受容体を刺激するのに十分な強度と、それとは異なるより低い強度との間で電磁放射をパルス化するように構成され得る。
【0023】
非限定の例として、1分間のうち2秒だけライトマスクによって送達される、約480nmのピーク強度の波長、約24nmの半値幅、及び約111W/m
2の強度レベルを有する電磁放射のパルスに、対象者の閉じられた瞼を通して1時間にわたって露出することは、概日段階を遅延させ、夜間メラトニンを抑制することが示されている。この電磁放射は、480nmで約0.0028の瞼透過率に関して、約0.31W/m
2の平均角膜照射レベルを有する。角膜照射レベルは、計算された概日刺激(CS:circadian stimulus)値に基づくことがある。概日刺激は、2.3mmの固定された瞳孔を通して非フラッシュ光源から網膜(開いた眼)への1時間の露出を行った後の、光誘発される夜間メラトニンの抑制の推定パーセンテージと均等であり得る。この場合、CS値は、0.34である。概日刺激の関数としてのメラトニン抑制は、既知の関数に対応する。夜間メラトニンに基づく狭帯域スペクトルに対するヒトの概日系のスペクトル感度は、既知の関数に対応する。この段落で述べるものとは異なる波長でのピーク強度を有する及び/又はこの段落で述べるものとは異なる半値幅を有する電磁放射に対する対象者の閉じられた瞼、角膜、又は網膜での十分な露出レベルは、スペクトル感度関数(非限定の例として
図5参照)に従ってスケーリングすることによって決定され得る。この例での強度レベルの測定が、ライトマスクの前方約39mmの位置で行われたことに留意されたい。この位置は、対象者の瞼の位置(解剖学的な相違により異なることもある)の推定に対応する。概日系の光刺激を司る網膜メカニズムは、ヒトの概日光シグナル伝達のモデルによって近似され得る。そのようなモデルは、将来の研究に応じて洗練され得る。
【0024】
個々の光源30は、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)、有機LED(OLED:organic LED)、及び/又は他の電磁放射源、特に非平行又は非集束電磁放射源の1つ又は複数を含むことがある。幾つかの実施形態では、対象者の閉じられた瞼及び/又は網膜に対する露出レベルは、約1W/m
2、約10W/m
2、約100W/m
2、約1000W/m
2、及び/又は、例えば投射時に対象者の眼のS錐体受容体を刺激するのに十分な電磁放射に関する別の強度レベルに対応することがある。光線療法の何らかのタイプ及び/又は段階に関して、電磁放射は、約410nm〜約510nmの波長範囲内にあり得る。
【0025】
放出される電磁放射は、狭くないこと、又は例えばレーザのように集束されないこともある。そうではなく、放出される電磁放射は、広角を有する(例えば、約10度、約15度、約20度、及び/又は別の角度よりも大きい)こともある。代替として、及び/又は同時に、放出される電磁放射21は、所定の程度に発散していることもある(例えば、それにより、対象者106の眼の近くに配設された個々の光源から放出される電磁放射の円錐の断面の直径は、対象者106の個々の眼又は瞼から2cm未満の距離で、約0.5cm、約1cm、約2cm、約3cm、約5cm、及び/又は他の直径よりも大きく、及び/又は、同様の程度に発散する電磁放射に対応する、円錐の断面の直径と距離との他の組合せである)。代替として、及び/又は同時に、放出される電磁放射は、拡散してもよく及び/又は他の形態で狭くなくてもよい。光源30は、規則パターン、不規則パターン、又はそれら両方の組合せで配置され得る。例えば、光源30は、
図4に示されるような規則的な格子状に配置され得る。
【0026】
図1〜
図3に戻ると、システム10の光源30は、制御可能な強度レベル(例えば、個々の光源に関する利用可能な最大強度レベルのパーセンテージによって示される)、制御可能な照明方向及び/又は角度、照明スペクトルの制御可能な選択、波長帯域の制御可能な選択、及び/又は他の制御可能な照明特性及び/又は照明パラメータを有するように構成され得る。例えば、光源30の照明パラメータは、光源内部の光学構成要素を調節することによって制御され得て、そのような光学構成要素は、限定はしないが、屈折構成要素、反射構成要素、レンズ、ミラー、フィルタ、偏光子、回折勾配、光ファイバ、及び/又は他の光学構成要素を含む。個々の光源30は、対象者106の一部のみが照明されるように制御され得る。本明細書で使用される時、対象者106の「照明」は、交換可能に、対象者106に対する電磁放射の投射と呼ばれることもある。
【0027】
少なくとも、光線療法及び/又はデジタル画像処理の実用上の用途に関して、実世界の光源によって放出される電磁放射は、光源の理論モデルとは異なり、その強度及び/又は(ビーム)方向の非決定論的分布を有することがあることに留意されたい。それにも関わらず、電磁放射は、放出される放射の少なくとも約90%、少なくとも約95%、約99%、及び/又は別のパーセンテージが直接投射する場合、特定の表面及び/又は位置又はその付近に「実質的に」直接投射するとみなされ得る。本明細書で使用される時、電磁放射は、放出される電磁放射の少なくとも約50%、約75%、約90%、約95%、約99%、及び/又は別のパーセンテージが特定の波長帯域内の波長を有する場合に、特定の波長帯域内に「実質的に」あるとみなされ得る。スペクトルパワーの約90%超が、450〜510nmの帯域内にあり、10%未満のパワーが510nmを超えていることが好ましいことがある。特定の波長を超えるスペクトルパワーは、S錐体(又は青錐体)の網膜神経節細胞(RGC:Retinal Ganglion Cell)刺激機能を低下するように作用し得る。網膜神経節細胞(RGC)刺激は、ヒトの視覚系内での色対立によって影響を及ぼされ得る。広帯域及び多帯域の光は、選択される狭帯域源と同様に効果的であり得るが、効力がより低い。
【0028】
幾つかの実施形態では、光線療法の何らかのタイプ及び/又は段階に関して、放出される電磁放射は、実質的に、狭い波長帯域内の電磁放射からなる。本明細書で使用される時、狭い波長帯域は、(特定の狭帯域での最高波長と最低波長との間で)約70nm、約60nm、約50nm、約40nm、約30nm、約20nm、約10nm、約5nm、及び/又は他の波長帯域に及ぶものと規定され得る。幾つかの実施形態では、放出される電磁放射は、実質的に青色光からなる。幾つかの実施形態では、放出される電磁放射は、実質的に、特定の波長帯域内の電磁放射からなる。特定の波長帯域は、約410nm〜約510nm、約400nm〜約500nm、約430nm〜約490nm、約450nm〜約500nm、約460nm〜約490nm、約430nm〜約510nm、約460nm〜約510nm、及び/又は他の特定の波長帯域でよい。
【0029】
システム10は、対象者の眼が閉じられているかどうか、睡眠マスク12が取られているかどうか、対象者106が起きているかどうか判断する、及び/又は他の判断を行うように構成された瞼検出器(
図4参照、要素41)を含むことがある。いずれの状況(又はそれらの任意の組合せ)も、使用時に任意の照明モジュールに関する光源30をオフに切り換えるため、及び/又はシステム10の任意の他の動作パラメータを変更するための適切な理由となり得る。非限定の例として、
図4でのどちらの照明モジュールも、それぞれ4つの光源30を備える。
【0030】
システム10は、S錐体の応答曲線外の帯域内では光源30がより小さいスペクトルパワーを有する場合、高い効率で動作し得る。S錐体は、特定のスペクトル帯域内で最大の応答性を有する。幾つかの実施形態では、全てではないにせよスペクトルパワーの大半は、S錐体応答帯域内でよい。例えば、幾つかの実施形態では、光源30は、S錐体応答帯域内の主波長を有する狭帯域の光を使用することがある。幾つかの実施形態では、瞼を閉じた対象者に関して、約450nm〜約490nmの波長範囲内など、S錐体応答帯域内のより長い波長を有する光の送達が好ましいことがある。
【0031】
図1で見られ得るように、シールド13は、第1のシールド部分20と、第2のシールド部分22とを含むことがある。第1のシールド部分20は、対象者の第1の眼を覆うように構成される。第2のシールド部分22は、対象者の第2の眼を覆うように構成される。対象者の第1の眼と第2の眼を快適に覆うために、第1のシールド部分20と第2のシールド部分22は、実質的に、対象者106の眼の眼球開口部よりも大きい。
【0032】
特定の実施形態では、第1のシールド部分20と第2のシールド部分22は、接続シールド部分24によって接合され得る。接続シールド部分24は、対象者が睡眠マスク12を着用している時に、(例えば鼻梁にわたって)対象者の鼻の少なくとも一部の上に位置するように構成され得る。幾つかの例(図示せず)では、接続シールド部分24は、
図1〜
図3に示される実施形態よりも狭い又は厚いこともある。
【0033】
特定の実施形態では、シールド13は、可撓性材料から形成される。シールド13の可撓性は、対象者に対するシールド13の快適性を高めることができる。
図3で見られるシールド13の側は、使用中に対象者に向く。この側に、液体に対して実質的に不浸透性のベース面26が形成され得る。例えば、不浸透性のベース面26は、ポリカーボネート、ポリエステル、及び/又は他の材料など可撓性プラスチック材料によって形成され得る。ベース面26の不浸透性は、シールド13内部に担持される睡眠マスク12の電子構成要素を水分から保護することができる。
【0034】
特定の実施形態では、シールド13は、ベース面26上に配設されたクッション層28を含むことができる。クッション層28は、柔らかい弾性の材料から形成され得る。例えば、クッション層28は、発泡材、布地、布地/発泡材の積層体、及び/又は他の材料から形成され得る。使用中、クッション層28は、対象者に対して最も内側の表面を提供し、対象者の顔に当たる。従って、クッション層28の柔らかさは、対象者の顔に対するクッションを提供し、対象者に対する睡眠マスク12の快適性を高める。
【0035】
以上のこと及び
図1〜
図3から理解されるように、使用中、シールド13は、周囲放射と、対象者106の1つ又は複数の眼との間のバリアを提供することができる。特定の実施形態では、シールド13は不透明であり、(少なくとも可視スペクトル内の)周囲放射を遮断し、それにより、対象者106の眼を周囲放射から遮蔽する。
【0036】
ストラップ14が、対象者に対して所定位置にシールド13を保持するように構成される。
図1〜
図3に示される実施形態では、ストラップ14は、第1のシールド部分20と第2のシールド部分22それぞれに取り付けられ、対象者の頭の周りに巻き付いて、対象者の頭に対して所定位置に睡眠マスク12を保持する。ストラップ14は、(例えば異なる大きさの頭に対応するように)長さを調節可能であり得る。ストラップ14は、ユーザの頭に対応するように伸び、所定位置にシールド13を保持する弾性(例えば伸縮性)材料から形成され得る。
図1〜
図3に示される睡眠マスク12の実施形態でのストラップ14の包含は、限定を意図されていないことを理解されたい。対象者に対して(一方又は両方の眼の上、近く、周り、及び/又は中で)所定位置に器具11、睡眠マスク12、及び/又はシールド13を保持するための他のメカニズムも企図される。例えば、より精巧なヘッドギアが実装され得る(例えば、フルフェースマスク、又は耳に装着される構造);シールド13を所定位置に保持する又は取り付けるために対象者の皮膚に着脱可能に接着する接着面がシールド13に塗布され得る(例えば
図6B参照。
図6Bでは、取付け機構62の接着面が対象者60の皮膚に着脱可能に接着する);剛性又は可撓性フレームが実装され得る(例えば、顔及び/又は耳の側部に同様に載置するアイガラス又はフレーム。例えば
図6C参照。
図6Cでは、対象者60の眼の近くでの放射の放出を可能にする方法で、剛性フレーム61が対象者60によって着用されている);及び/又は、シールド13、照明モジュール16、照明モジュール18、光源30、及び/又は器具11の他の構成要素を所定位置に保持するための他のメカニズムが実装され得る。例えば、
図6Aを参照されたい。そこでは、器具63が、眼の周りで対象者60の頭に接着する又は頭に保持される。
図6Cに示されるような特定の実施形態では、光源を担持するように構成された剛性フレーム61は、対象者の視力を完全には遮断し得ない。
【0037】
図3に示されるように、第1の照明モジュール16と第2の照明モジュール18は、使用中に対象者の顔に向くシールド13の側で、それぞれ第1のシールド部分20と第2のシールド部分22に取り付けられ得る。第1の照明モジュール16と第2の照明モジュール18は、背面照明され得て、電磁放射が対象者106の顔に及び/又は対象者106の眼の周りに投射するように電磁放射を放出、案内、偏向、フィルタ、及び/又は拡散するように構成される。第1の照明モジュール16と第2の照明モジュール18によって放出される電磁放射は、本明細書で述べる所期の動作に従って送達される時、(眠っている)対象者に対する影響を有する1つの波長(複数の波長、波長帯域、又は波長範囲)を有する。幾つかの例では、第1の照明モジュール16及び第2の照明モジュール18によって放出される電磁放射は、対象者によって知覚される時に比較的均一な輝度を有する放射場で、対象者の眼又は瞼に向けられる。例えば、一実施形態では、第1の照明モジュール16及び第2の照明モジュール18によって放出される電磁放射の輝度は、それぞれの放出される場にわたって、眼が開いている状態での使用に関しては約100:1以下の量だけ変化し、眼が閉じられている用途に関しては10000:1未満の量だけ変化する。第1の照明モジュール16又は第2の照明モジュール18によって形成される均一な放射場の大きさは、対象者106の眼の大きさに対応することがある。光源30からの電磁放射は、対象者106に達する前に電磁放射を拡散、(再)指向、(任意選択的に/一時的に)遮断、並びに/又はフィルタする(導波管)層、構成要素、及び/若しくはモジュールを通して案内され得る。
【0038】
睡眠マスク12の1つ又は複数の上記の機能を実装する睡眠マスクの一例は、2008年12月30日出願の「System and Method for Administering Light Therapy」という名称の米国特許出願第61/141,289号で開示されており、その出願の全体を参照により本明細書に援用する。
【0039】
例示として、
図5は、波長に対する(対数スケールでの)ヒトの瞼の透過率のプロット50を提供する。
図5で見ることができるように、瞼を通る透過率は、波長に基づいて変化する。従って、460nmでの電磁放射は、電磁放射を開いた眼に向ける時には、開いた眼のピーク感度を使用して睡眠サイクルをシフトさせることができるが、(例えば
図1〜
図3に示される睡眠マスク12によって行われるように)電磁放射が瞼を通して対象者の眼に提供される時には、460nmでの電磁放射の減衰が、この波長の効率を低下させることがある。
図5に示されるように、約450nm〜550nmの範囲内の光は、光が瞼を通過する時、より長い波長の光(例えば575nmよりも大きい波長)の10倍以上減衰され得る。
【0040】
図5は、約590nmの波長よりも短い放射が、閉じられた瞼を通る際に、600nmを超える波長よりも顕著に低い透過率を示すことを曲線50によって示す。従って、この変化する透過率を補償するために、電磁放射は、必要に応じて、より高いパワーを使用して又は有して放出され得る。特定の実施形態は、可視光の範囲内の波長;(例えば燐光によって)可視光に変換される非可視光の範囲内の波長;430nmよりも長い可視波長で実質的なパワーを有する波長;460nmよりも長い可視波長で実質的なパワーを有する波長;490nmよりも長い可視波長で実質的なパワーを有する波長;460nm〜490nmの可視波長で実質的なパワーを有する波長;450nm〜500nmの可視波長で実質的なパワーを有する波長;複数の比較的単色の光源によって使用される、本明細書に記載される任意の波長及び波長帯域内の波長;対象者を起こすため、睡眠段階を変えるため、及び/又はリラクゼーションを引き起こすために使用される時変放射パターン;及び/又は他の波長を使用することができる。閉じられた眼への光線療法の提供による概日リズムの修正のための一般的な手法は、本明細書の他の箇所で述べられる電力要件及び電力損失の実用上の問題に加えて、瞼での減衰に関する不正確なデータ、及び/又は非可視光への応答に関連するヒトの系の不完全な理解の問題がある。
【0041】
例示として、
図9Aは、グラフ90を示し、このグラフ90は、対象者の3つのカテゴリー(低(90a)、中(90b)、及び高(90c)透過率)に関する、波長に対する一定のメラトニン抑制に必要とされる(単色光の)相対照射を示す。約10:1の対象者のカテゴリー内の範囲は、光線療法が患者特有のものであり得て、効果に関して個別に調整される必要があり得ることを示すことに留意されたい。他の箇所で述べられる好ましい実施形態は、
図9Aに鑑みて効率的とみなされないことがあり、その結果、概日リズムの修正のための一般的な手法で使用されないことがある。
【0042】
例として、
図9Bは、グラフ91を示し、このグラフ91は、赤、緑、及び青錐体受容体(それぞれグラフ91a、91b、及び91c)に関して、波長に対する、L錐体最大値に正規化された(例えば網膜錐体受容体の)相対生理学的応答を示す。網膜錐体受容体の光刺激応答(例えば約10ms)は、内因性光感受性網膜神経節細胞の直接刺激に対する応答(例えば約15分)よりも速い。従って、それぞれのRGC活動が実質的に減衰する時間は、約30〜120分に対応する。幾つかの手法は、開かれた眼に関して約430nm〜約490nmの波長帯域を使用する又はその波長帯域が好ましいことがあるが、閉じられた眼に関する好ましい青錐体受容体応答は、約460nm〜約490nmの波長帯域を含むことがある。
【0043】
放射の放出が開始されると、放射は、組合せ、パターン、及び/又はシーケンスに従うことがあり、それにより、照明モジュール内部の異なる光源が、異なる波長、異なる波長帯域、異なる照明レベル、又はそれらの任意の(一連の)組合せを使用する。例えば、照明レベルは、適切な瞬間に対象者106を優しく起こすように徐々に増加され得る。
【0044】
図4は、システム10、特に第1の照明モジュール16を更に詳細に示す。第1の照明モジュール16は、1つ又は複数の光源30を含むことがある。
図4の右側に示される実施形態は、1つの照明モジュールにつき4つの光源30を含み、
図4の左側での第1の照明モジュール16のより詳細な図示は、約6×4個の光源30の組、アレイ、及び/又はグリッドと、通信コネクタ42とを含み、通信コネクタ42は、システム10の他の構成要素が第1の照明モジュール16と通信する及び/又は第1の照明モジュール16を制御することができるように構成される。
図7を含めた任意の図示は、単に例示に過ぎず、何ら限定を意図されていないことに留意されたい。睡眠マスク12は、無線で、従って睡眠マスク12を例えば処理装置又は電源に接続するワイヤを必要とせずに制御及び/又は給電され得る。
【0045】
図7は、1つ又は複数の実施形態によるシステム10の様々な構成要素を概略的に示す。
図7で見られ得るように、
図1〜
図3に示されて上述された構成要素の1つ又は複数に加えて、システム10は、電源72、1つ又は複数のセンサ142、電子記憶装置74、ユーザインターフェース76、及び処理装置/制御装置78(
図7に関して、及び本明細書の他の箇所で、処理装置78と呼ばれる)、様々なコンピュータプログラムモジュール、及び/又は他の構成要素を含むことがある。コンピュータプログラムモジュールは、光制御モジュール111、療法モジュール112、パラメータ決定モジュール113、及び/又は他のモジュールを含むことがある。幾つかの実施形態では、
図7に示される構成要素の1つ又は複数は、例えば睡眠マスク12のレストから着脱可能に取り付けられる及び/又は接続解除可能であることによって(
図1〜
図3に示される)、睡眠マスク12のシールド13及び/又はストラップ14に担持され得る。これは、それらの構成要素が、所与のシールド13及び/又はストラップ14から取り外され、別のシールド13及び/又はストラップ14に取り付けられることを可能にし、これは、シールド13及び/又はストラップ14が時間と共に及び/又は使用と共に劣化し、交換されなければならない場合に有益となり得る。電源72、電子記憶装置74、ユーザインターフェース76、及び/又は処理装置78は、以下に論じられるように、第1の照明モジュール16及び/又は第2の照明モジュール18と関連付けられる1つ又は複数の光源30の動作を制御することができる。
図7における1つの照明モジュールにつき8つの光源30の図示は例示に過ぎず、何ら限定を意図されていないことに留意されたい。
【0046】
電源72は、システム10の1つ又は複数の構成要素を動作させるための電力を提供し、そのような構成要素は、限定はしないが、第1の照明モジュール16及び第2の照明モジュール18に関連付けられる光源30、電子記憶装置74、ユーザインターフェース76、及び/又は処理装置78を含む。電源72は、ポータブル電源(例えばバッテリ、燃料電池など)、及び/又は非ポータブル電源(例えば壁ソケット、大型発電機など)を含むことがある。一実施形態では、電源72は、充電式のポータブル電源を含む。一実施形態では、電源72は、ポータブル電源と非ポータブル電源の両方を含み、対象者は、システム10に電力を提供するためにどちらの電源が使用されるべきかを選択することが可能である。システム10を動作させるのに必要とされる電力のレベルは、一部は、光源30に関して使用される照明レベルに依存する。より低い必要な電力レベルは、より小さい及び/又はより安価なバッテリに対応し得る。光源30によって照明モジュールで使用される波長又は波長帯域を注意深く選択することによって、開いた眼に関しては、特定のタイプのLEDを使用した約50mWに対応し得る例えば20〜30ルクスなど低い照明レベル及び従って電力(及び/又は対応する照射量)が、本明細書で述べる目的に適切であり得る。
【0047】
一実施形態では、電子記憶装置74は、情報を電子的に記憶する電子記憶媒体を備える。電子記憶装置74の電子記憶媒体は、システム10と一体に(即ち実質的に着脱不可能に)提供されるシステム記憶装置、及び/又は例えばポート(例えばUSBポート、FireWireポートなど)若しくはドライブ(例えばドライブディスクなど)を介してシステム10に着脱可能に接続可能なリムーバブル記憶装置の一方又は両方を含むことができる。電子記憶装置74は、光学的に読み出し可能な記憶媒体(例えば光ディスクなど)、磁気的に読み出し可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクなど)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EPROM、EEPROM、RAMなど)、ソリッドステート記憶媒体(例えば、フラッシュドライブなど)、及び/又は他の電子的に読み出し可能な記憶媒体を含むことがある。電子記憶装置74は、ソフトウェアアルゴリズム、処理装置78によって決定される情報、ユーザインターフェース76を介して受信される情報、及び/又はシステム10が適切に機能できるようにする他の情報を記憶することができる。例えば、電子記憶装置74は、1つ又は複数の照明パラメータ(本明細書の他の箇所で論じられる)、及び/又は他の情報を記録又は記憶することができる。電子記憶装置74は、システム10内部の独立した構成要素でよく、又は電子記憶装置74は、システム10の1つ若しくは複数の他の構成要素(例えば処理装置78)と一体に提供され得る。
【0048】
ユーザインターフェース76は、システム10とユーザ(又は医療専門家、他のデバイス、若しくは他のシステム)との間のインターフェースを提供するように構成され、ユーザインターフェース76を介して、ユーザは、情報を提供及び/又は受信することができる。これは、データ、結果、及び/又は命令、並びに任意の他の通信可能な要素(総称して「情報」と呼ばれる)がユーザとシステム10との間で通信されることを可能にする。対象者に伝達され得る情報の一例は、現在の時間、又はスケジュールされた起床時間である。伝達され得る情報の他の例は、段階及び/又は強度などの概日リズム関連情報、又はスケジュールされた身体的若しくは精神的パフォーマンスイベントなどのユーザパフォーマンス関連情報である。ユーザインターフェース76への包含に適したインターフェースデバイスの例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示画面、タッチ画面、スピーカ、マイクロフォン、インジケータライト、可聴アラーム、及びプリンタを含む。情報は、ユーザインターフェース76によって、聴覚信号、視覚信号、触覚信号、及び/又は他の感覚信号の形態で対象者に提供され得る。
【0049】
非限定の例として、ユーザインターフェース76は、光を放出することが可能な光源を含むことができる。光源は、例えば、少なくとも1つのLED、少なくとも1つの電球、表示画面、及び/又は他の光源を含むことができる。ユーザインターフェース76は、光源を制御して、システム10の動作に関係付けられる情報を対象者に伝達する方法で光を放出することができる。対象者106とシステム10のユーザは同一の人でよいことに留意されたい。
【0050】
他のハードワイヤード又はワイヤレス通信技法も本明細書においてユーザインターフェース76として企図されることを理解されたい。例えば、一実施形態では、ユーザインターフェース76は、電子記憶装置74によって提供されるリムーバブル記憶インターフェースと一体化され得る。この例では、情報は、リムーバブル記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスクなど)からシステム10にロードされ、これは、ユーザがシステム10の実装をカスタマイズすることを可能にする。ユーザインターフェース76としてシステム10と共に使用するのに適合された他の例示的な入力デバイス及び技法は、限定はしないが、RS−232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル、イーサネット(登録商標)、インターネットなど)を含む。簡潔に言うと、システム10と情報を通信するための任意の技法がユーザインターフェース76として企図される。
【0051】
図7でのシステム10の1つ又は複数のセンサ142は、対象者106に関係付けられる生理学的、環境的、及び/又は患者特有の(医学的)パラメータに関係付けられる情報、及び/又は他の情報を伝達する出力信号を発生するように構成され得る。システム10は、対象者106を監視するために、発生された出力信号の任意のものを使用することができる。幾つかの実施形態では、伝達される情報は、対象者106の状態及び/又は体調、対象者106の呼吸、対象者106によって呼吸される気体、対象者106の心拍数、対象者106の呼吸数、対象者106のバイタルサイン(1つ又は複数の温度、(末梢又は中枢)動脈の血中酸素飽和度(SpO
2)を含む)に関連付けられるパラメータ、及び/又は他のパラメータに関係付けられ得る。
【0052】
非限定の例として、1つ又は複数のセンサ142は、例えば立体視によって対象者106の位置に関係付けられる情報を伝達する1つ又は複数の出力信号を発生することができる。位置は、対象者106の3次元位置、対象者106の2次元位置、対象者106の特定の身体部位の位置(例えば、対象者106の眼、腕、脚、顔、頭、額、及び/又は他の解剖学的部位)の位置、対象者106の姿勢、対象者106の向き又は対象者106の1つ若しくは複数の解剖学的部位の向き、及び/又は他の位置でよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のセンサ142は、対象者106の眼が開かれているか閉じられているか、及び/又は対象者106の眼がどの方向を向いているかに関係付けられる情報を伝達する出力信号を発生するように構成され得る。光線療法中、光源30から放出された電磁放射は、対象者106の開いた眼に実質的に直接投射しないことが好ましいことがある。センサ142は、温度センサ、1つ又は複数の圧力/重量センサ、1つ又は複数の光センサ、1つ又は複数の電磁(EM:electromagnetic)センサ、1つ又は複数の赤外(IR:infra-red)センサ、1つ又は複数の静止画カメラ、1つ又は複数のビデオカメラ、及び/又は他のセンサの1つ又は複数、並びにそれらの組合せを含むことができる。
【0053】
図7での1つの部材を含むセンサ142の例示は、限定を意図されていない。システム10は、1つ又は複数のセンサを含むことができる。
図1でのセンサ142に関する特定の記号又はアイコンの例示は、例示的であり、何ら限定を意図されていない。1つ又は複数のセンサ142からの得られた信号又は情報は、処理装置78、ユーザインターフェース76、電子記憶装置74、及び/又はシステム10の他の構成要素に伝送され得る。この伝送は、有線及び/又は無線でよい。
【0054】
処理装置78は、システム10での情報処理及び/又はシステム制御機能を提供するように構成される。従って、処理装置78は、デジタル処理装置、アナログ処理装置、情報を処理するために設計されたデジタル回路、情報を処理するために設計されたアナログ回路、及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズムの1つ又は複数を含むことがある。本明細書における処理装置78に属する機能を提供するために、処理装置78は、1つ又は複数のモジュールを実行することができる。1つ又は複数のモジュールは、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの何らかの組合せ;及び/又は他の方法で実装され得る。処理装置78は
図7では単一の実体として示されているが、これは、例示の目的に過ぎない。幾つかの実装形態では、処理装置78は、複数の処理ユニットを含むことができる。これらの処理ユニットは、同じデバイス(例えば睡眠マスク)内部に物理的に位置され得て、又は処理装置78は、協働する複数のデバイスの処理機能を表すこともある。
【0055】
図7に示されるように、処理装置78は、1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールを実行するように構成される。1つ又は複数のコンピュータプログラムモジュールは、光制御モジュール111、療法モジュール112、パラメータ決定モジュール113、及び/又は他のモジュールの1つ又は複数を含む。処理装置78は、モジュール111〜113をソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの何らかの組合せ;及び/又は処理装置78での処理機能を構成するための他のメカニズムによって実行するように構成され得る。
【0056】
図7では、モジュール111〜113は単一の処理ユニット内部に共に位置されているものとして示されているが、処理装置78が複数の処理ユニットを含む実装形態では、モジュール111〜113の1つ又は複数が他のモジュールから遠隔に位置されてもよいことを理解すべきである。以下に述べる様々なモジュール111〜113によって提供される機能の説明は、例示の目的のものであり、限定を意図されていない。モジュール111〜113の任意のものが、説明されるものよりも多い又は少ない機能を提供し得る。例えば、モジュール111〜113の1つ又は複数が除外されてよく、その機能の幾つか又は全てが、モジュール111〜113の他のものによって提供され得る。処理装置78が、1つ又は複数の追加のモジュールを実行するように構成され得て、それらのモジュールが、以下でモジュール111〜113の1つに属する機能の幾つか又は全てを行うことができることに留意されたい。
【0057】
図7に示されるシステム10のパラメータ決定モジュール113は、ステータスパラメータ、医学的パラメータ、及び/又は1つ又は複数のセンサ142によって発生される出力信号からの他のパラメータを決定するように構成され得る。パラメータは、対象者の生理学的、環境的、及び/又は患者特有のパラメータに関係付けられるものでよい。1つ又は複数のステータスパラメータは、対象者106の1つ又は複数の眼が開いているか閉じられているかに関係付けられ得る。例えば、そのようなステータスパラメータは、(
図4に示される)瞼検出器41の1つ又は複数の出力信号に基づいて決定され得る。1つ又は複数の医学的パラメータは、監視される対象者106のバイタルサイン、及び/又は対象者106の他の医学的パラメータに関係付けられ得る。例えば、1つ又は複数の医学的パラメータは、対象者106が起きているか眠っているか、又は特に対象者106の現在の睡眠段階に関係付けられ得る。他のパラメータは、システム10付近の環境に関係付けられ得て、例えば、空気温度、周囲雑音レベル、周囲光レベル、及び/又は他の環境的パラメータなどである。1つ又は複数の生理学的パラメータは、EEG測定、EMG測定、呼吸測定、心臓血管測定、HRV測定、ANS測定、及び/又は他の測定に関係付けられ得る、及び/又はそれらの測定から導出され得る。この機能の幾つか又は全てが、処理装置78の他のコンピュータプログラムモジュールに組み込まれて得る、又は一体化され得る。
【0058】
図7でのシステム10の光制御モジュール111は、1つ又は複数の光源30の放出を制御するように構成される。対象者106への電磁放射の投射を制御することによって、システム10は、対象者106に光線療法を提供する。投射の制御は、1つ又は複数の決定された(動作)パラメータに基づいて1つ又は複数の光源30を制御することを含むことがある。光制御モジュール111による制御は、個々の光源30、光源30の1つ又は複数の部分集合、光源30の1つ又は複数のグループ、光源30の1つ又は複数の行及び/又は列、及び/又はそれらの任意の組合せに基づくことがある。光制御モジュール111による制御は、制御可能な強度レベル、制御可能な照明方向及び/又は角度、照明スペクトルの制御可能な選択、及び/又は1つ又は複数の光源30の他の制御可能な照明特性及び/又は照明パラメータの制御を含むことがある。光制御モジュール111の制御は、パラメータ決定モジュール113からの情報に基づくことがある。
【0059】
対象者106の概日リズムの1つ又は複数の特性、特に段階を修正するのに十分な強度レベルでの電磁放射の実質的に連続的な放出は、(限定はしないが約530nmを含む適切な波長でipRGCを刺激するのに効果的であるものの)一般に電力要件及び電力損失の実用上の問題がある。電力要件は、ポータブル電源の限度を上回ることも下回ることもある。関連の電力損失は、対象者106への伝熱を生じることがあり、これは不快であることがあり、非常に不快なことさえある。本明細書で使用される時、「電磁放射の実質的に連続的な放出」は、迅速な応答及びより遅い減衰によって提供される受容体の集積特性により、対象者(対象者の眼及び視覚系を含む。特に、様々な視覚受容体及び非視覚受容体の応答時間)に対する効果が連続的な放出と同一又は同様であるほど高速でパルスする放出を含む。
【0060】
狭い波長帯域内の実質的に連続的な電磁放射を、フィルタなしで角膜に直接投射させて使用する光線療法のための幾つかの手法は、一般に、波長帯域での感度プロファイルに依拠して、約450nm〜約475nmの波長帯域に焦点を当てている。そのような手法が、(現在の一般的な技術を使用しても克服できないように思われるが)上述した実用上の問題を何らかの方法で克服することが可能であった場合でさえ、そのような放出は、メラトニン生成レベルの実質的な抑制を引き起こし、従って、場合によっては適切でない時間に、対象者が眠る及び/又は眠り続けるのを難しくする。幾つかのそのような手法は、内因性光感受性網膜神経節細胞の連続的な光活性化のための帯域として、約500nm〜約530nmの波長帯域に焦点を当てている。メラトニン生成レベルの実質的な抑制が様々な理由により望ましくないことがあることに留意されたい。
【0061】
電磁放射のパルスを使用する光線療法のための幾つかの手法は、一般に、白色光の使用に焦点を当てている。一般に、そのような手法は、2ms程の短いパルス期間を使用する。そのような手法が、(現在の一般的な技術を使用しても克服できないように思われるが)上述した実用上の問題を何らかの方法で克服し、それと同時に対象者の概日リズムをシフトさせることが可能であった場合でさえ、そのような光線療法は、メラトニン生成レベルの実質的な抑制を引き起こし、それにより、場合によっては適切でない時間に対象者を起こし、及び/又は対象者が眠る及び/又は眠り続けるのを難しくする。光線療法のための幾つかの手法は、赤色光への露出を使用し、これは、警戒応答を引き起こすことがある。そのような結果は、赤色光の投射に応答するコルチゾールの解放によって引き起こされ得ると仮説を立てられる。赤色光(約600nmよりも長い波長)は、感情的に、メラトニン生成レベルの抑制を引き起こさず、対象者の概日リズムのシフトも引き起こさないことに留意されたい。
【0062】
幾つかの実施形態では、光制御モジュール111は、1つ又は複数の光源30の放出を制御するように構成され得て、それにより、光線療法の何らかのタイプ及び/又は段階に関して、実質的に青色の光が特定のパルスで放出されて、光線療法を提供し、及び/又は対象者106の概日リズムの1つ又は複数の特性を修正する。青色光の特定の波長帯域は、約430nm〜約490nm、約450nm〜約500nm、約460nm〜約490nm、約430nm〜約510nm、約460nm〜約510nm、及び/又は他の特定の波長帯域でよい。青色光のパルスは、特定のパルス持続時間、特定のパルス間隔、特定の波長(帯域)、特定の強度レベル若しくはパワーレベル、及び/又は他の特性を含めた、特定の特性を有することがある。特定のパルス持続時間は、約1ms、約10ms、約100ms、約0.5秒〜約1分の間、約30秒〜約2分の間、約1分、約10分、及び/又は他のパルス持続時間になるように制御され得る。特定のパルス間隔は、約1ms、約10ms、約100ms、約0.5秒〜約1分の間、約30秒〜約2分の間、約1分、約10分、及び/又は他のパルス間隔になるように制御され得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の光源30は、光線療法の提供中、1分間につき約2秒だけ、S錐体受容体を刺激するのに十分な強度で青色光を放出する。特に本明細書の他の箇所で述べられる所定の狭い波長帯域内での本明細書で述べられるパルス電磁放射の使用は、実質的に連続的な電磁放射と同様の度合いだけ概日リズムの段階をシフトさせるが、上述した実用上の問題を回避、低減、及び/又は最小化する方法でそれを行う。
【0063】
パルスの波形(又は形状)は、正弦波形、方形波形、三角波形、鋸歯波形、及び/若しくは他の波形、並びに/又はそれらの組合せでよい。幾つかの実施形態では、方形波形及び/又は完全ではない方形波形が好ましいことがある。完全ではない方形波形は、擬似方形波形と呼ばれることもある。実用上の制限が、理想的な方形波形を妨げることがある。波形に関する立ち上がり時間及び立ち下がり時間は、信号がターゲットレベルの10%から90%に、又はその逆に移行する時間として規定され得る。通常、ターゲットレベルは、信号が達する最高レベルである。幾つかの場合、ターゲットレベルは、期間の特定の段階中の平均及び/又は総計レベルでよい。本明細書で使用される時、光線療法の何らかのタイプ及び/又は段階に関して、ターゲットレベルは、S錐体受容体を刺激するのに十分な強度(又は大きさ)でよい。幾つかの実施形態では、パルスの波形は、約0.01ms、約0.1ms、約1ms、約10ms、約100ms、約1秒の立ち上がり及び/若しくは立ち下がり時間、並びに/又は他の立ち上がり及び立ち下がり時間を有する方形波形又は擬似方形波形でよい。幾つかの実施形態では、パルスの波形は、パルス持続時間の約0.01%、パルス持続時間の約0.1%、パルス持続時間の約1%、パルス持続時間の約10%、並びに/又はパルス持続時間の別のパーセンテージの立ち上がり及び/若しくは立ち下がり時間を有する方形波形又は擬似方形波形でよい。幾つかの実施形態では、立ち上がり時間と立ち下がり時間は異なっていてもよい。例えば、立ち上がり時間が立ち下がり時間よりも短いことがある。
【0064】
幾つかの実施形態では、光制御モジュール111は、電磁放射の放出されるパルスが、対象者106の概日リズムの1つ若しくは複数の特性を修正及び/又はシフトすることによって光線療法を提供するように構成される。非限定の例として、提供される光線療法は、対象者106の概日リズムの段階をシフトさせることがある。特に、概日リズムの段階は、対象者106によるメラトニン生成レベルが実質的に抑制されないようにシフトされ得る。本明細書で使用される時、メラトニン生成レベルを「実質的に抑制しない」は、実質的に連続的な青色光の1/5〜1/3だけメラトニン生成を抑制するか、対象者106を起こす可能性がないか、及び/又は対象者106を起こすには不十分な量だけメラトニン生成を抑制することを意味する。メラトニン生成の抑制は、一般に、睡眠サイクルの終了時点又はその近くで、対象者106を起こすように作用する。概日リズムの段階の修正又はシフトは、メラトニン抑制の修正に対応することがある。例えば、30分だけ概日リズムの段階をシフトさせることは、やはり約30分だけメラトニン抑制の開始(従って関連の起床時間)をシフトさせることがある。
【0065】
幾つかの実施形態では、光制御モジュール111による投射の制御は、電磁放射を遮断する又は一部遮断するために、修正可能な身体的/機械的構造、例えば開口部を調節することを含むことがある。代替として、及び/又は同時に、1つ又は複数の光源30と対象者106の1つ又は複数の眼との間に配置された構造又は物体が同じ機能を達成し得る。例えば、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)に含まれ得るような液晶のアレイは、(例えば1つ又は複数の光源30から対象者106への方向に)通過する電磁放射の量を調節するように選択的に制御され得る。
【0066】
幾つかの実施形態では、光制御モジュール111は、対象者の顔に向けて、対象者の眼又はその周りに第1の照明モジュール16及び第2の照明モジュール18によって放出される電磁放射のタイミングパラメータを制御及び/又は指示するように構成され得る。タイミングパラメータは、放出された電磁放射の特定のパルス持続時間、パルス間隔、及び/又は他のタイミング関連の特性に基づくことがある。例えば、3秒のパルス持続時間及び97秒のパルス間隔を使用して、光制御モジュール111は、開始時点で1つ又は複数の光源30をオンに切り替え、3秒の経過に応答して1つ又は複数の光源30をオフに切り替え、1つ又は複数の光源がオフに切り換えられた状態で97秒待機し、このサイクルを、推奨される光線療法の所定の期間にわたって繰り返すように構成され得る。幾つかの実施形態では、システム10の動作の1つ又は複数の態様は、各対象者毎に調節又はカスタマイズされ得る。調節及び/又はカスタマイズは、ユーザインターフェース76を介してシステム10に入力され得る。一実施形態では、電子記憶装置74は、電磁放射の放出の複数の異なるパターンを記憶し、対象者106(及び/又は介護者)は、ユーザインターフェース76を介して、対象者106に適したパターンを選択する。幾つかの実装形態では、電磁放射の1つ又は複数の特定の放出を含むパターンは、24時間にわたることがあり、及び/又は毎日繰り返され得る。幾つかの実装形態では、パターンは、1日又は数日に及んでもよい。例えば、シフト勤務者は、勤務日中に第1のタイプの電磁放射及び/又は治療を受け、週末には第2のタイプの治療を受けることができる。代替として、及び/又は同時に、シフト勤務者は、第1のタイプと第2のタイプの間の移行を補助するために移行型の治療を使用することもできる。
【0067】
特定の実施形態では、光線療法レジームは、システム10による対象者106への電磁放射の投与のタイミングを指示することができる。そのような実施形態では、システム10は、クロック及び/又はタイマー(本明細書では「クロック」と呼ばれる)を含むことがある。光制御モジュール111は、クロックに関連して及び/又はクロックに基づいて動作することができる。クロックは、所与のイベントからの経過時間を監視すること及び/又は時刻を監視することが可能であり得る。対象者106(及び/又は介護者)は、例えばユーザインターフェース76を介して、クロックによって発生される時刻を修正することを可能にされ得る。放出される電磁放射は、例えばクロックに基づいて、時間と共に照明レベル(又は放射強度)を徐々に増分することを含むことがある。例えば、照明レベルは、例えば対象者が起きるまで1分毎に増加され得る(最大照明レベルによって上限を設定される)。放出される電磁放射は、同様に、例えばクロックに基づいて、時間と共に放射の波長を変えることもある。更に、複数のタイプ又は種類の放出される電磁放射が、何らかのシーケンスで組み合わされ得る。
【0068】
療法モジュール112は、対象者106のための光線療法レジームを決定及び/又は取得するように構成される。例えば、医師などの医療専門家が、光線療法レジームを提供することができる。療法モジュール112は、例えばパラメータ決定モジュール113によって決定されるパラメータなど1つ又は複数のパラメータに基づいて、対象者106のための(推奨される)光線療法レジームを決定するように構成され得る。光線療法レジームは、光線療法の1つ又は複数の段階を規定することができる。個々の段階は、1日又は複数日中の個々の期間に関連付けられ得る。例えば、特定の光線療法に関する特定の期間は、対象者が起きる必要がある時点の前の1時間でよい。幾つかの実装形態では、特定の光線療法レジームのための光線療法の複数の段階が、相互に排他的な期間に関連付けられ得る。幾つかの実装形態では、複数の段階が(例えば一部)重畳し得る。
【0069】
幾つかの実装形態では、特定の光線療法レジームのための光線療法の複数の段階は、様々な波長、波長範囲、パルス若しくは連続、パルス期間、デューティサイクル、治療の継続時間、及び/又は放射の放出の他の様々な特性を使用し得る。例えば、第1のタイプの光線療法は、開いた又は閉じられた眼に関して適切な照明レベルで、実質的に連続的な青色又は緑色光(例えば約430nm〜約550nmの間)を使用することがある。そのような療法は、メラトニンを抑制し、概日リズムの段階のゼロ点をシフトさせ、及び/又はより多くのコルチゾールの生成を促すことがある。第2のタイプの光線療法は、開いた又は閉じられた眼に適した照明レベルで、実質的に連続的なシアン/緑色光(例えば約500nm〜約530nmの間)を使用することがある。そのような療法は、メラトニンを抑制し、概日リズムの段階のゼロ点をシフトさせ、及び/又はより多くのコルチゾールの生成を促すことがある。第3のタイプの光線療法は、開いた又は閉じられた眼に関して適切な照明レベルで、実質的に連続的な赤色光(例えば約590nm〜約700nmの間)を使用することがある。そのような療法は、メラトニンを抑制せず、概日リズムの段階のゼロ点をシフトさせないが、より多くのコルチゾールの生成を促すことがある。
【0070】
第4のタイプの光線療法は、開いた又は閉じられた眼に適した照明レベルで、パルス青色光(例えば約460nm〜約490nmの間)を使用することがある。そのような療法は、連続的な青色/緑色光の1/5〜1/3だけメラトニンを抑制し、概日リズムの段階のゼロ点をシフトさせ、連続的な青色/緑色光程ではないが、より多くのコルチゾールの生成を促すことができる。第5のタイプの光線療法は、開いた又は閉じられた眼に適した照明レベルで、パルスシアン/緑色光を使用することがある。そのような療法は、メラトニンを抑制し、概日リズムの段階のゼロ点をシフトさせ、及び/又はより多くのコルチゾールの生成を促すことがある。第6のタイプの光線療法は、開いた又は閉じられた眼に適した照明レベルで、パルス赤色光を使用することがある。そのような療法は、メラトニンを抑制せず、概日リズムの段階のゼロ点をシフトさせないが、より多くのコルチゾールの生成を促すことがある。
【0071】
光線療法レジームは、対象者106の大きさ/体積/重量に関係付けられる情報、対象者106の現在の睡眠習慣に関係付けられる情報、対象者106の現在の概日リズムに関係付けられる情報、対象者106の年齢に関係付けられる情報、対象者106に以前に投与された光線療法に関係付けられる情報、対象者106のステータスに関する医学的パラメータに関係付けられる情報、ユーザ108、対象者106、介護者、臨床医の入力、ガイドライン、チャートからの記載及び/又は提供された情報、及び/又は他の情報の1つ又は複数に基づくことがある。例えば、推奨される光線療法は、実行中の光線療法の約30分、約1時間、約90分、約2時間、及び/又は他の期間にわたる青色光のパルスの放出を含むことがある。推奨される光線療法は、対象者106の睡眠期間の様々な時点又は段階でスケジュールされ得る。例えば、光線療法は、睡眠の開始の1時間後、概日リズムの段階の(予想される)ゼロ点の1時間前、概日リズムの段階の(予想される)ゼロ点の1時間後、(予想される)起床時点の1時間前、及び/又は他の決定された時点及び/又は期間に提供され得る。1時間のサンプルオフセットは例示に過ぎず、何ら限定を意図されていないことに留意されたい。
【0072】
幾つかの実装形態では、本明細書で開示される複数の光線療法が、光線療法レジームとして組み合わされ得る。幾つかの実装形態では、光線療法レジームは、対象者の概日リズムの段階を修正することによって、睡眠相後退症候群(DSPS)を治療するために設計され得る。幾つかの実装形態では、光線療法レジームは、対象者の概日リズムの段階を修正することによって、睡眠相前進症候群(ASPS)を治療するために設計され得る。幾つかの実装形態では、光線療法レジームは、眠るのが早過ぎる及び/又は起きるのが早過ぎるという障害を有しているティーンエージャーを治療するために設計され得る。幾つかの実装形態では、光線療法レジームは、週末と勤務日との異なるスケジュール間での人々の移行を助けるために設計され得る。幾つかの実装形態では、光線療法レジームは、ジェットラグのある旅行者を助けるために設計され得る。幾つかの実装形態では、光線療法レジームは、ブルーマンデー症候群の人々を助けるように設計され得る。
【0073】
例えば、DSPSであるが、概日リズムの段階(のゼロ点)が分かっていないティーンエージャーの治療は、以下の段階を含むことがある。まず、起床を支援するために(上述された)第3のタイプの光線療法を提供する。治療は、夜に眠る前及び/又は青色遮断サングラスをかける前に更にメラトニンを摂取することによって強化され得る。数日後、第4の光線療法(上述)を、適切な起床時間の約1時間前に提供する。
【0074】
例えば、第3直で働くシフト勤務者は、以下の段階を使用して治療され得る。まず、勤務日には、仕事前の昼寝中に第2のタイプの光線療法(上述)が提供され得て、概日リズムの段階のゼロ点を、朝のより遅い時間にシフトさせる。勤務日が始まる前には、就寝時間前に、概日リズムの段階のゼロ点まで第2のタイプの光線療法が提供され得る。(特定の勤務日に関して)シフト勤務の最後の1夜又は2夜には、帰宅時に昼前に第4のタイプの光線療法(上述)が使用され得る。週末には(前の例と同様)、睡眠セッションの終了時又は終了付近に、第3のタイプの光線療法(上述)が使用され得て、概日リズムの段階を変えずに、コルチゾールの増加によってパフォーマンスを改善する。本開示の範囲内で、様々な組合せ、順列、変形、順序、及び/又は代替シナリオが考慮される。実装形態は、上記の6つの光線療法からの選択に限定されることは意図されず、特定の光線療法レジームでの2タイプのみの光線療法の組合せにも限定されることは意図されない。
【0075】
幾つかの実装形態では、療法モジュール112は、測定、及び/又はユーザ又は介護者、医療専門家、及び/又は医師からの入力に基づいて光線療法レジームを修正するように構成され得る。幾つかの実装形態では、療法モジュール112は、上記の目標及び/又は目的に基づいて光線療法レジームを自動的及び/又は自律式に調節することができる。例えば、患者が特定の睡眠スケジュールに到達する及び/又はそれを維持するまで、調節が行われ得る。
【0076】
光線療法のスケジュール設定は、1つ又は複数のセンサ142の1つ又は複数の出力信号、パラメータ決定モジュール113によって決定される1つ又は複数のパラメータ、療法モジュール112によって/を介して取得される情報、概日リズムの段階の予想/測定されるゼロ点と概日リズムの段階の所望の/推奨されるゼロ点と間の差、及び/又はそれらの任意の組合せに基づくことがある。推奨される光線療法レジームは、更に、光制御モジュール111による動作及び/又は調節のための基礎として使用され得る。処理装置78は、推奨される光線療法に従って、第1の照明モジュール16と第2の照明モジュール18を制御することができる。
【0077】
図8は、対象者106に光線療法を提供するための方法800を示す。以下に表される方法800の操作は、例示として意図される。幾つかの実施形態では、方法800は、説明されていない1つ又は複数の追加の操作を伴って、及び/又は論じられる操作の1つ又は複数を伴わずに達成され得る。更に、方法800の操作が
図8に示されて以下に述べられる順序は、限定を意図されていない。
【0078】
幾つかの実施形態では、方法800は、1つ又は複数の処理デバイス(例えば、デジタル処理装置、アナログ処理装置、情報を処理するために設計されたデジタル回路、情報を処理するために設計されたアナログ回路、及び/又は情報を電子的に処理するための他のメカニズム)で実装され得る。1つ又は複数の処理デバイスは、電子記憶媒体に電子的に記憶されている命令に応答して、方法800の操作の幾つか又は全てを実行する1つ又は複数のデバイスを含むことができる。1つ又は複数の処理デバイスは、方法800の操作の1つ又は複数を実行するように特に設計されるように、ハードウェア、ファームウェア、及び/若しくはソフトウェアによって構成された1つ又は複数のデバイスを含むことがある。
【0079】
操作802で、光線療法レジームが対象者のために取得される。光線療法レジームは、第1の段階及び第2の段階を含む段階を規定する。第1の段階は、1日又は複数日中の第1の期間に関連付けられる。第2の段階は、第1の期間とは異なる1日又は複数日中の第2の期間に関連付けられる。光線療法レジームは、対象者のための光線療法を提供するために、電磁放射が対象者の閉じられた瞼に投射することを含む。幾つかの実施形態では、操作802は、療法モジュール112(
図7に示され、本明細書で述べられる)と同一又は同様の療法モジュールによって行われる。
【0080】
操作804で、第1の段階中、パルス電磁放射が放出され、これは、投射時に対象者のS錐体受容体を刺激するのに十分な第1の強度での、約410nm〜約510nmの第1の波長範囲を有する電磁放射を含む。第1の期間中に放出されるパルス電磁放射は、約10分までのパルス持続時間と、約0.1秒〜約10分のパルス間隔とを有する。幾つかの実施形態では、操作804は、光源30及び光制御モジュール111(
図7に示され、本明細書で述べられる)と同一又は同様の光源及び/又は光制御モジュールによって行われる。
【0081】
操作806で、第2の段階中、電磁放射が放出され、ここで、放出される電磁放射の1つ又は複数のパラメータは、第1の段階中のパルス電磁放射から変更され、従って、第1の段階中に提供される光線療法は、第2の段階中に提供される光線療法とは異なる。幾つかの実施形態では、操作806は、光源30及び光制御モジュール111(
図7に示され、本明細書で述べられる)と同一又は同様の光源及び/又は光制御モジュールによって行われる。
【0082】
特許請求の範囲において、括弧で括られた任意の参照符号は、特許請求の範囲を限定するものとは解釈されないものとする。用語「備える」又は「含む」は、特許請求の範囲に列挙されるもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。幾つかの手段を列挙するデバイスクレームにおいて、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの同一の要素によって具現化され得る。ある要素に先立つ語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、複数のそのような要素の存在を除外しない。幾つかの手段を列挙する任意のデバイスクレームにおいて、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの同一の要素によって具現化され得る。特定の要素が互いに異なる従属請求項に記載されていることだけでは、これらの要素が組み合わせて使用され得ないことを示さない。
【0083】
最も実用的であり好ましいと現在考えられているものに基づいて例示の目的で実施形態を詳細に述べてきたが、そのような詳細は、単に例示の目的に過ぎず、本開示は、開示される実施形態に限定されず、逆に、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲に入る修正形態及び均等な構成を網羅することが意図されることを理解されたい。例えば、本開示は、可能な範囲で、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が任意の他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わされ得ることを企図されることを理解されたい。