(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559680
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】消耗品の組及び飲料供給器
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20190805BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20190805BHJP
A47J 31/36 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
A47J31/44 510
A47J31/06 320
A47J31/36 120
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-539941(P2016-539941)
(86)(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公表番号】特表2017-503558(P2017-503558A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】EP2014077097
(87)【国際公開番号】WO2015091116
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月8日
(31)【優先権主張番号】13199176.2
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン エイケル カレル ヨハネス アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ハッケンス フランシスカス ヨハネス ゲラルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】スアイバー ヤン フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】デ フレーデ ジャスパー
(72)【発明者】
【氏名】ドブラスキン クリストフ
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−230548(JP,A)
【文献】
特表2013−530798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44
A47J 31/06
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を準備するために飲料供給器において使用するための少なくとも2つの消耗品を有する消耗品の組であって、該消耗品の組における各消耗品は、
− 液体を使用することにより前記飲料が得られる食品材料を収容するための空間を画定する濾過体と、
− 消耗品のタイプを認識するための、前記飲料供給器の複数のノズルに対面する前記濾過体の表面に相当する認識エレメントであって、前記複数のノズルは当該消耗品を介して液体の流れを供給するために設けられ、当該認識エレメントは前記複数のノズルにより当該消耗品を介して前記液体の流れが開始された際の該液体の流れの流れ特性を感知することによりセンサ信号を得ることによって前記飲料供給器により認識可能及び/又は解釈可能である機械的特性を有し、該機械的特性は、前記センサ信号の特性が当該認識エレメントの機械的特性に依存するように前記消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なる認識エレメントと、
を有し、
前記認識エレメントは、各々が前記複数のノズルのうちの所定の数のものに対面する複数の認識副エレメントを有し、少なくとも1つの認識副エレメントの機械的特性が前記消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なり、
前記少なくとも1つの認識副エレメントの機械的特性が、同じ消耗品の他の認識副エレメントに対し異なる、
消耗品の組。
【請求項2】
前記認識エレメントは前記消耗品のカバーであり、前記認識エレメントの前記機械的特性が厚さ、寸法、材料、質量、密度、順応性及び機械的抵抗力のうちの1以上である、請求項1に記載の消耗品の組。
【請求項3】
前記消耗品の前記機械的特性が、前記センサ信号が取得された後に当該消耗品を介しての液体の所望の流量を可能にするものである、請求項1に記載の消耗品の組。
【請求項4】
当該消耗品を介しての前記液体の所望の流量が、液体の流量及び/又は圧力の増加により生ぜられる機械的力により、前記複数のノズルにより付与される機械的圧力により、又は当該消耗品の湿潤により生じる機械的特性の自動的変化により得られる、請求項3に記載の消耗品の組。
【請求項5】
各認識エレメントが単一のノズルに対面する、請求項1に記載の消耗品の組。
【請求項6】
前記少なくとも1つの認識副エレメントが、異なる材料を有し、異なる厚さを有し、及び/又は自身が対面するノズルまで異なる距離を有する、請求項1に記載の消耗品の組。
【請求項7】
前記少なくとも1つの認識副エレメントは、前記液体の流れに所定の期間にわたり耐え、その後に自身を介して該液体の流れを可能にする材料を有し、前記所定の期間が消耗品のタイプ毎に異なる、請求項1に記載の消耗品の組。
【請求項8】
前記材料が、溶解性ゲル、エアゾール材料及び/又はタンパク質を基とする発泡体のうちの少なくとも1つである、請求項7に記載の消耗品の組。
【請求項9】
液体を使用することにより飲料が得られる食品材料を収容した消耗品の使用により飲料を準備するための飲料供給器であって、
− 前記消耗品を収容すると共に該消耗品を介して液体を通過させるためのチェンバと、
− 前記消耗品を介して液体の流れを供給する複数のノズルと、
− 前記複数のノズルにより前記消耗品を介して前記液体の流れが開始された際の該液体の流れの流れ特性を感知することによりセンサ信号を得るセンサであって、前記センサ信号は前記複数のノズルに対面する前記消耗品の濾過体の表面に相当する認識エレメントの機械的特性に依存し、該機械的特性が消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なるセンサと、
− 前記センサ信号に基づいて消耗品のタイプを認識するための信号プロセッサと、
− 前記認識エレメントに対し力又は圧力を機械的に生じさせることにより、飲料を準備するために前記消耗品を介して液体の所望の流れを供給するように前記複数のノズルを制御するノズルコントローラと、
− 認識された消耗品のタイプに従って、当該飲料供給器の1以上のパラメータを制御する飲料コントローラと、
を有する、飲料供給器。
【請求項10】
前記センサが、前記液体の流れ、前記液体の圧力、並びに/又は、時間にわたる前記液体の流れ及び/若しくは前記液体の圧力の変化を感知する、請求項9に記載の飲料供給器。
【請求項11】
前記センサはノズル当たりの液体の流れの流れ特性を感知することによりノズル毎にセンサ信号を取得し、
前記信号プロセッサは消耗品のタイプを各ノズルに関する情報と組み合わされた前記センサ信号に基づいて認識する、
請求項9に記載の飲料供給器。
【請求項12】
前記ノズルを前記消耗品の前記認識エレメントに対して実質的に垂直な方向に移動させるアクチュエータを更に有し、前記ノズルコントローラが該アクチュエータの動作を制御する、請求項9に記載の飲料供給器。
【請求項13】
飲料を準備するための飲料準備システムであって、
− 請求項9に記載の飲料供給器と、
− 前記飲料供給器のチェンバ内に配置される消耗品の組からの消耗品であって、前記消耗品の組は飲料を準備するために飲料供給器において使用するための少なくとも2つの消耗品を有し、
前記消耗品の組における各消耗品は、
− 液体を使用することにより前記飲料が得られる食品材料を収容するための空間を画定する濾過体と、
− 消耗品のタイプを認識するための、前記飲料供給器の複数のノズルに対面する前記濾過体の表面に相当する認識エレメントであって、前記複数のノズルは当該消耗品を介して液体の流れを供給するために設けられ、当該認識エレメントは前記複数のノズルにより当該消耗品を介して前記液体の流れが開始された際の該液体の流れの流れ特性を感知することによりセンサ信号を得ることによって前記飲料供給器により認識可能及び/又は解釈可能である機械的特性を有し、該機械的特性は、前記センサ信号の特性が当該認識エレメントの機械的特性に依存するように前記消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なる認識エレメントと、
を有する、飲料準備システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を準備するために飲料供給器で使用するための少なくとも2つの消耗品を有する消耗品の組に関する。本発明は、更に、液体を使用することにより飲料が得られる食品材料を収容した消耗品の使用により飲料を準備するための飲料供給器(飲料ディスペンサ)、及び飲料を準備するための飲料準備システムにも関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、圧力下の熱湯又は冷水等の抽出用流体の通過による食品材料の抽出を介して飲料を準備する(作る)機器(ここでは、広く飲料供給器と称する)の分野に関するものである。コーヒー又は紅茶等の食品材料は、これらの機器に挿入される消耗品に収容される。この場合、飲料は一般的にコーヒー、紅茶、スープ、ホット又はコールドチョコレート、牛乳又はベビーフードであり得る。このような飲料製造装置は、例えば、国際特許出願公開第WO2005/053485号公報に開示されている。該飲料製造装置は、当該飲料が抽出されるべき材料を収容した1以上のパッドを囲む抽出室(以下、“チェンバ”とも称する)、該抽出室に水を供給する手段、及び抽出された飲料を該抽出室から導出する手段を有する。
【0003】
これら飲料の益々多くのタイプ及び風味のものが導入されており、このことは新たな革新の機会を生じさせている。飲料又は材料のタイプが認識された場合、当該機器は該機器に供給された消耗品に対して時間、温度、圧力、流量及びカップ容積の1以上を含む抽出パラメータを自動的に最適化することができる。飲料を作るための斯様なシステムは、例えば、国際特許出願公開第WO2013/046149号公報に開示されており、該システムは飲料供給器及び当該飲料の液体(時には、抽出用液体とも称される)を通過させるために該飲料供給器に挿入されるべきポッドを有している。該ポッドは、当該飲料が得られる食品材料を収容するための空間を画定する濾過体(材料収容体とも称する)を含む。該濾過体は外側にフランジを有している。該濾過体に関連付けられた認識エレメントが存在し、該認識エレメントは当該飲料供給器の認識装置により認識及び/又は解釈することができる。
【0004】
現在使用されている消耗品(1回使用ユニットとも称される)は、基本的に、2つのタイプのものである。1つのタイプの消耗品は、通常、“カプセル”と呼ばれ、基本的に食品物質を収容する剛性の壁を備えると共に抽出用の水が通過する2つのベースを有するユニットである。斯かるカプセルは2つの主体により画定されるチェンバ内に配置され、これら主体の一方は当該カプセルの殆どの部分を収容するように整形され、他方は上記チェンバを厳重に密閉する閉鎖主体である。水は該チェンバ内に導入され、次いで当該カプセルを通過する。カプセルの剛性形状により、チェンバの流体的密閉は水が基本的に、抽出された物質がチェンバを介して再循環することなく当該カプセルを通過することを可能にする。
【0005】
平らな形状の第2のタイプの消耗品は、通常、“ポッド”(又は“パッド”)と呼ばれ、食品物質が配置される空洞を画定するために薄くて軟らかく、穿孔され、対にされた材料から形成された2つの部分からなっている。該材料は、例えば、濾過特性を備える紙、布又は不織布とすることができる。上記2つの部分は概ね円形であり、外縁に沿って結合されて、外側の環状フランジを定めている。ポッドを使用するマシン(装置)は、ポッドが配置されるチェンバを画定するために密閉される2つの半殻体を有している。即ち、ポッドの上記環状フランジは、密閉のために、上記半殻体の対向する面の間で圧迫される。
【0006】
殆どの機器の場合、抽出パラメータは固定であり、従って各飲料に対して同一である。他の機器は、手動の設定を有することができるが、これらは各タイプの飲料に対してユーザにより調整されねばならない。消耗品(特に、該消耗品のタイプ、即ち何のタイプの食品材料が当該消耗品内に保持されているか、例えば、それがコーヒー、カフェイン抜きコーヒー、粉の細かさ、焙煎、ブレンド又は風味等により区別されるコーヒーであるか)が当該機器により自動的に認識されたなら、設定は自動的に調整することができる。このことは、ユーザにとっての便利さを増加させる。更に、抽出過程(処理)は、最適な飲料が生成されるように各消耗品のタイプに対して正しく調整される。
【0007】
国際特許出願公開第WO2013/080073号公報は、飲料を準備するためのパッケージ(ここでは、消耗品とも称する)を開示している。このパッケージは、該パッケージに水が侵入する入口側及び該パッケージから飲料が流出する出口側を有している。該パッケージの出口側は少なくとも部分的に透液性の壁により形成され、該パッケージの出口側には有孔膜が取外し可能に被着されている。
【0008】
センサは、パッケージのタブの有無を検出することができ、従って上記有孔膜が除去されたか又はポッド(即ち、パッケージ)上に維持されているかの状況を区別することができる。有孔膜が維持されている場合、タブ上に設けられた情報の種類に及び使用されるセンサの種類に依存して、当該装置はポッドの種類及び性質に関する更なる情報を集めることができる。
【0009】
上記情報は、当該装置のポンプを制御するために使用することができる。ポンプは、例えば、有孔膜が存在する場合に一層高い圧力及び一層小さな流速を、有孔膜が除去されている場合は低減された圧力で一層高い流速を供給するように設定することができる。幾つかの実施態様において、ポンプ19は自動調整することができる。即ち、このポンプは、該ポンプから飲料供給注ぎ口へと延びる流路に沿って発生される逆圧に依存して一層高い又は一層低い圧力で水を供給する。上記有孔膜の存在は当該流路に沿う損失水頭を劇的に増加させる、即ち上記逆圧を増加させる。従って、有孔膜が存在する場合、ポンプは一層高い圧力で、低下された水の流速をもたらす。当該飲料は、より高い圧力、且つ、低減された流速で抽出される。有孔膜が除去されている場合、ポンプは特徴水頭/流速曲線の異なる点で動作するように自動調整し、単位時間当たり一層大きな水量を一層低い圧力で供給する。
【0010】
米国特許出願公開第2005/183578号公報は、同一のコーヒー抽出装置内で、ショートコーヒー抽出液及びロングコーヒー抽出液を選択的に供給するための飲料システムを開示している。該飲料システムは:挽いたコーヒーを収容したカートリッジ;一度に1つのカートリッジを収容する収容装置及び上記カートリッジに圧力下の水を注入するポンプ手段;圧力下の液体をカートリッジ内に保持する保持手段及び該保持手段に係合してカートリッジを開口すると共にコーヒー抽出液を供給する係合手段を有するカートリッジを開口する手段を有する。該システムは、ショートコーヒー抽出液を供給するように適合化された少なくとも第1カートリッジを有する一方、該第1カートリッジと同一の収容装置に収容することができるように第1カートリッジと実質的に同一の構造及び形状を有する少なくとも第2カートリッジを有する。該第2カートリッジは、自身を介して一層大量の水が流れるようにしてロングコーヒー抽出液を供給するように構成され、該ロングコーヒー抽出液のための第2カートリッジは抽出の間において水が自身を介して第1カートリッジよりも高い比率で流れるように構成される。
【0011】
文献DE202006014317U1は、熱湯流入口に接続されると共に挽きコーヒー粉の抽出処理の間に挽きコーヒー粉を収容する抽出室を備えた抽出ユニットを有するコーヒーメーカを開示している。クレマ弁はコーヒー吐出ラインにおいて作動される。ポンプは熱湯を放出し、該熱湯は抽出ユニットに供給される。ポンプの出力はエスプレッソコーヒーを準備するために供給される。流速測定装置は、抽出室内に存在するコーヒー粉による、該抽出室に供給される熱湯を妨害する逆圧を測定する。
【0012】
国際特許出願公開第WO2005/053485号公報は、当該飲料が抽出されるべき材料を収容した1以上のパッドを囲む抽出室、該抽出室に水を供給する手段、及び抽出された飲料を該抽出室から導出する手段を有する飲料製造装置を開示している。更に、抽出処理が完了した後であって、当該パッドを除去するために上記抽出室が開放される前に該パッドを圧搾する手段も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、飲料を準備(調製)するために飲料供給器(飲料ディスペンサ)において使用するための少なくとも2つの消耗品を有する消耗品の組であって、これら消耗品が対応する飲料供給器により消耗品のタイプを簡単、確実且つ容易に実施可能な方法で認識することを可能にするような消耗品の組を提供することである。本発明の他の目的は、対応する飲料供給器、及び飲料を準備するための対応する飲料準備システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1態様においては消耗品の組が提供され、該消耗品の組は、飲料を準備するために飲料供給器(飲料ディスペンサ)において使用するための少なくとも2つの消耗品を有し、各消耗品は、
− 液体を使用することにより前記飲料が得られる食品材料を収容するための空間を画定する濾過体と、
− 消耗品のタイプを認識するための、前記飲料供給器の複数のノズルに対面する前記濾過体の表面に相当する認識エレメントであって、前記複数のノズルは当該消耗品を介して液体の流れを供給するために設けられ、当該認識エレメントは前記複数のノズルにより当該消耗品を介して前記液体の流れが開始された際の該液体の流れの流れ(流量)特性を感知することによりセンサ信号を得ることによって前記飲料供給器により認識可能及び/又は解釈可能である機械的特性を有し、該機械的特性が、前記センサ信号の特性が当該認識エレメントの機械的特性に依存するように前記消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なる認識エレメントと、
を有し、
前記認識エレメントは、各々が前記複数のノズルのうちの所定の数のものに対面する複数の認識副エレメントを有し、
少なくとも1つの認識副エレメントの機械的特性は前記消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なる。
【0015】
本発明の他の態様においては飲料供給器が提供され、該飲料供給器は、
− 前記消耗品を収容すると共に該消耗品を介して液体を通過させるためのチェンバと、
− 前記消耗品を介して液体の流れを供給する複数のノズルと、
− 前記複数のノズルにより前記消耗品を介して前記液体の流れが開始された際の該液体の流れの流れ特性を感知することによりセンサ信号を得るセンサであって、前記センサ信号は前記複数のノズルに対面する前記消耗品の濾過体の表面に相当する認識エレメントの機械的特性に依存し、該機械的特性が消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なるセンサと、
− 前記センサ信号に基づいて消耗品のタイプを認識するための信号プロセッサと、
− 前記認識エレメントに対し力又は圧力を機械的に生じさせることにより、飲料を準備するために前記消耗品を介して液体の所望の流れを供給するように前記複数のノズルを制御するノズルコントローラと、
− 認識された消耗品のタイプに従って、当該飲料供給器の1以上のパラメータを制御する飲料コントローラと、
を有する。
【0016】
本発明の更に他の態様では飲料準備システムが提供され、該飲料準備システムは、
− 本明細書に開示される飲料供給器と、
− 前記飲料供給器のチェンバ内に配置される本明細書に開示される消耗品の組の中からの消耗品と、
を有する。
【0017】
本発明の好ましい実施態様は、従属請求項に記載されている。上記飲料供給器及び飲料準備システムは、請求項に記載された消耗品の組であって、従属請求項に記載されたものと同様及び/又は同一の好ましい実施態様を有するものと理解されたい。
【0018】
本発明は、消耗品が液体の流れを阻止する(部分的に又は完全に、一時的に又は永久的に)一方、斯かる流れの阻止は、そのまま、当該飲料供給器により感知され、この情報が次いで飲料準備過程を調整するために使用されるというアイデアに基づいている。この測定は、好ましくは、圧力測定を介して、流量測定を介して、及び/又は時間的な流量及び/又は圧力の変化を介して実施することができ、これらは全て前記流れ特性の測定と理解することができる。測定は、チャンネル毎に(即ち、ノズル毎に)実施することができるが、全チャンネルに対して一緒に実施することもできる。
【0019】
通常、当該流体の流れはノズルを介して可能にされる。本発明は、消耗品の認識に関して、消耗品上のノズル閉塞因子の使用による(もっと一般的には機械的特性による)幾つかの実施態様を提供するもので、上記機械的特性は当該飲料供給器により(例えば、該飲料供給器の消耗品認識システムにより)認識及び/又は解釈可能である。飲料の抽出過程が開始する時点において、当該流体(例えば、熱湯)は消耗品の上部にポンプ送りされる。該飲料供給器は消耗品に液体を供給する幾つかのノズルを有している。最初の抽出段階(予湿段階とも呼ばれる)の間においては、少量の液体が消耗品にポンプ供給される。該水が消耗品に到達した時点において、その流れは1以上のノズルにおいて停止され得る。このことは、液体圧が上昇するので、例えば前記センサにより測定することができる。他の可能性は、全体としての若しくはノズルチャンネル毎の水の流れが測定される、及び/又は、この流れの変化を時間的な圧力及び/又は流量の変化により測定することができるというものである。一般的に、上記液体の流れの流れ(流量)特性が感知される。部分的に又は完全に阻止(閉塞)されるノズルの数は、流量の差のレベルを示す。種々のノズルは形状が相違し得るので、水の吐出量はノズルの各々に関して必ずしも同一ではない。流量又は圧力の変化の測定値は特定の消耗品タイプを示し、このことは、異なるタイプを含む消耗品の組の中から当該消耗品を区別/認識することを可能にさせる。
【0020】
この前後関係において、消耗品のタイプを区別するということは、該消耗品がカプセルであるか又はパッド(若しくはポッド)であるかを区別することを意味するのみならず、主には収容された食品材料のタイプ(例えば、コーヒー、カフェイン抜きコーヒー、挽きの細かさ、焙煎、ブレンド、風味等により区別されるコーヒーであるか)及び/又は材料の量を区別することも意味する。認識されたタイプに基づいて、当該飲料供給器は、恐らくはユーザにより選択されるコマンドとの組み合わせで、例えば水の温度、使用されるべき水の品質、水の供給の圧力及び/又は速度、抽出(煎じ)時間等の正しい処理パラメータを設定する。例えば、消耗品のタイプが認識された場合、(好ましくは)準備(調製)されるべき飲料の種類を、ユーザ選択のためにユーザに対して表示することができる。
【0021】
消耗品の認識エレメントを介して取得される情報は、例えば統計のため等のように、当該飲料の調製(準備)に結びつかない他の側面に関するものとすることもできる。例えば、当該飲料供給器は、使用された消耗品の異なるタイプの数、又は実際の消費に基づく新たな消耗品の注文若しくは装置の保守を管理するのに有用であり得る他のデータを記憶することができる。
【0022】
国際特許出願公開第WO2013/080073号公報に開示された消耗品及び飲料供給器とは対照的に、本発明により提供される消耗品のタイプは、該文献WO2013/080073により必要とされるユーザの相互作用(これによれば、ユーザは当該装置が特徴水頭/流速曲線の異なる点で動作することを積極的に欲する場合、有孔フィルムを除去しなければならない)なしで全て相違する。対照的に、本発明によれば、消耗品のタイプは自身より区別し、消耗品を区別可能にさせると共に飲料準備過程の何らかのパラメータを自動的に調整するために何のユーザ行動も必要とされない。
【0023】
更に、本発明によれば消耗品の認識エレメントは当該飲料供給器のノズルに面するが、該文献WO2013/080073によれば有孔フィルムは消耗品におけるノズルから遠い側に面する底側の層上に設けられる。更に、該有孔フィルムを除去すること又は除去しないことは2つの異なる状態を区別することを可能にするだけであるが、本発明は複数の消耗品を区別することを可能にする。
【0024】
前記認識エレメントは、各々が前記複数のノズルのうちの所定の数のものに対面する(特には、各々が単一のノズルに対面する)複数の認識副エレメントを有し、少なくとも1つの認識副エレメントの機械的特性は前記消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なる。このようにして、前記液体の流れに対する初期抵抗力は、初期の流れに耐えることができる(即ち、より厚い及び/又は余り液体許容性でない材料の使用により、初期段階において自身を介して液体が流れることを防止することができる)副エレメントの数、及び初期の流れに耐えることができない(即ち、より薄い及び/又は液体許容性材料の使用により、初期段階において自身を介して液体が流れることを防止することができない)副エレメントの数を選択することにより容易に制御することができる。初期の流れに抗する副エレメントの数が多いほど、測定し、異なるタイプの消耗品を区別するために使用することができる全初期流量は少なくなる。
【0025】
当該消耗品の組の好ましい実施態様において、前記認識エレメントは前記消耗品のカバーであり、前記認識エレメントの前記機械的特性は厚さ、寸法(サイズ)、材料、質量、密度、順応性、抵抗力、透過率及び反射率のうちの1以上である。これらのオプションは、消耗品を区別可能にする容易で安価な方法を提供する。
【0026】
当該消耗品の組の他の実施態様において、前記消耗品の前記機械的特性は、前記センサ信号が取得された後に当該消耗品を介しての液体の所望の流量を可能にするように設定される。従って、或る時間の間及び/又は特定の圧力(前記液体又はノズルの)までは、所望の流れ(飲料を準備するための)は発揮されない。特に、他の実施態様により提案されるように、当該消耗品を介しての前記液体の所望の流量は、液体の流量及び/又は圧力の増加により生ぜられる機械的力により、前記複数のノズルにより付与される機械的圧力により、又は当該消耗品の湿潤により生じる機械的特性の自動的変化により得られる。
【0027】
例えば、一実施態様において、前記少なくとも1つの認識副エレメントは、異なる材料を有し、異なる厚さを有し、及び/又は自身が対面するノズルまで異なる距離を有する。これら全てのオプションは、液体の初期の流れに対する抵抗力に影響を及ぼし、容易且つ安価に実施することができる。
【0028】
他の実施態様において、前記少なくとも1つの認識副エレメントは、所定の期間にわたり前記液体の流れに耐え、その後に自身を介して該液体の流れを可能にする材料を有し、前記所定の期間は消耗品のタイプ毎に相違する。このような材料は、溶解性ゲル、エアゾール材料及び/又はタンパク質を基とする発泡体のうちの少なくとも1つとすることができる。このように、幾らかの時間の後に、前記1以上の認識副エレメントは、例えば当該認識副エレメントの材料の当該液体との化学反応により、液体の流れに対する自身の抵抗力を自動的に失い、かくして、以降は当該飲料供給器及び飲料の準備の“通常の”動作が、当該認識副エレメントを介しての流れの通過を増加させるための前記ノズルコントローラによる更なる制御を伴って自動的に開始する。
【0029】
消耗品のタイプを認識するために、前記センサ信号は処理され、評価される。通常、該センサ信号の少なくとも1つの特性は当該消耗品の機械的特性に依存し、該機械的特性により異なるタイプの消耗品を区別すると共に上記少なくとも1つの特性を評価することによって異なるタイプを区別することを可能にする。上記センサ信号(例えば、電流又は電圧信号)又は該センサ信号から導出される電気信号の上記特性は、該センサ/電気信号の振幅及び/又は位相(潜在的に、周波数の関数としての)であり得る。従って、一実施態様においては、該センサ信号の特定の(所定の)周波数における振幅が、異なるタイプの消耗品を区別するために評価される。
【0030】
当該飲料供給器の好ましい実施態様において、前記センサは、前記液体の流れ(流量)、前記液体の圧力、及び/又は時間にわたる前記液体の流れ及び/又は前記液体の圧力の変化を感知するように構成される。これらのものは、前述したように消耗品のタイプに関する指示情報を与える。
【0031】
更に、一実施態様において、前記センサはノズル当たりの液体の流れの流れ特性を感知することによりノズル毎にセンサ信号を取得するように構成され、前記信号プロセッサは消耗品のタイプを各ノズルに関する情報との組み合わせで前記センサ信号に基づいて認識するように構成される。このようにして、全流量又は圧力を測定することができるのみならず、何のノズルが初期流れに抗し、何のノズルが初期流れに抗しないかを感知することも可能であり、かくして、初期流れに抗する各ノズルの位置を更に消耗品のタイプの(追加の又は唯一の)指示情報として用いることができる。しかしながら、この実施態様は、当該消耗品を飲料供給器の対応するチェンバ内に単一の所定の位置及び向きのみで挿入することができることを必要とする。
【0032】
好ましくは、当該飲料供給器は前記ノズルを前記消耗品の前記認識エレメントに対して実質的に垂直な方向に移動させるアクチュエータを更に有し、前記ノズルコントローラは該アクチュエータの動作を制御するように構成される。このようにして、上記ノズルは当該消耗品に(特に、ノズルに面するカバーに)接触させることができ、該カバーを穿孔し、消耗品のタイプが認識された後に当該飲料を準備すべく該消耗品を介して液体の所望の流れを可能とするようにする。
【0033】
本発明の上記及び他の態様は、後述する実施態様から明らかとなり該実施態様を参照して解説されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】
図1Aは、本発明による飲料供給器の一実施態様の正面図を示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明による飲料供給器の一実施態様の断面図を示す。
【
図1C】
図1Cは、本発明による飲料供給器の一実施態様の他の断面図を示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明による消耗品の第1実施態様の上面図を示す。
【
図2B】
図2Bは、対応する飲料供給器の一部の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、本発明による消耗品の第2実施態様の断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明による消耗品の第3実施態様の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、コーヒーメーカの形態の飲料供給器(飲料ディスペンサ)25の一実施態様の種々の図を示し、該飲料供給器は一般的に消耗品4と一緒に飲料準備システムを形成する。該コーヒーメーカ(即ち、飲料供給器25)は、消耗品として軟性パッドを使用するが、本発明はパッドの使用に限定されるものではなく、コーヒーメーカに限定されるものでもないことに注意されたい。他の実施態様において、当該飲料供給器は、例えば紅茶、ホット又はコールドミルク、スープ、ベビーフード等のコーヒー以外の飲料を作るために使用されるように構成される。更に、ポッド又はカプセルを消耗品として使用することができ、斯かる消耗品は、一般的に、飲料供給器の使用により対応する飲料を準備するための対応する食品材料を収容している。
【0036】
当該コーヒーメーカは、静止部1及び回動部(蓋とも呼ばれる)2を有している。静止部1は抽出室19の下側壁部8,9を有する一方、回動部2は該抽出室19の上側壁部3を含んでいる。静止部1は、更に、水格納容器及び該水(もっと一般的には、抽出用液体)を加熱すると共に該加熱された水の所定の量を抽出室19にポンプ送りする手段を有し、当該装置における斯かる部分はパッド4を介して抽出用液体を通過させるための液体処理ユニット20として概念的にのみ示されている。
【0037】
図1Aは、当該コーヒーメーカの最上部の正面図であり、該装置の静止部1及び回動部(又は蓋)2を示している。蓋2は、開位置で、即ち、例えばパッド4を交換するために抽出室19がアクセス可能である位置で示されている。この場合、抽出室の上側壁部3は実質的に垂直な位置にある。
【0038】
図1B及び
図1Cは、蓋2が開位置(
図1B)で及び閉位置(
図1C)で、各々、示された断面図である。蓋2は軸5の回りに蝶番動作し、従って該蓋は回転運動を行うことができる。抽出室の上側壁部3は中央部に球状凸部6を、即ち壁部3にドームを備えている。可撓性封止リング7が、回動する蓋2の上側壁部3の周辺に取り付けられている。
【0039】
抽出室の下側壁部を形成する第1の取外し可能部は、中央の流出口10を持つプラスチックエレメント9が取り付けられた金属部8からなっている。プラスチックエレメント9は、該エレメントの上面に多数の突起を備え、これら突起はパッド4を支持すると共に、これら突起の間に抽出された飲料を導くための空間を形成する。該第1の取外し可能部8,9は、1つのパッド4を収容するように設計されている。該取外し可能部は、2つのパッド4を収容するように設計された別の取外し可能部により置換することができ、その場合、該取外し可能部は一層大きな空間を取り囲む。
【0040】
第1取外し可能部8,9には、当該装置の静止部1からの取外しを容易にするために取手11が設けられている。第1取外し可能部8,9は、交換又は清掃のために取り外すことができる。第1取外し可能部8,9の下には第2の取外し可能部12が存在し、該第2取外し可能部は飲料収集室13を取り囲むと共に、当該装置の静止部1の外部へと延びる飲料流出管14を備えている。収集室13において収集される抽出された飲料は、流出管14を介して当該装置から流出し、カップ内等に捕らえることができる。
【0041】
蓋2が閉じられた場合、封止リング7は上側壁部3に当接すると共に第1取外し可能部8,9のうちの部分8に当接し、かくして、抽出室19は、上側壁部3における加熱された水を該抽出室に供給するためのノズル15及び流出口10を除き閉じられる。この場合、抽出室19は、
図1Cに示されるように、パッド4を包囲することができる。加熱された水は、上側壁部3のノズル15を介して供給され、コーヒーを抽出するためにパッド4を通過する。抽出されたコーヒーは流出口10を介して抽出室から流出する。次いで、該抽出されたコーヒーは飲料収集室13で収集され、その後流出チューブ14を介して当該装置から流出する。
【0042】
図1Cに示されるように、蓋2は回動ラッチ16が当該装置における静止部1の下方に延びるエッジ17に係合することにより閉じられた状態に維持される。ラッチ16は蓋2が下方に移動されることによってのみ釈放することができる。抽出室の上側壁部3は下側の部分8,9に向かって移動され、これにより、ドーム6はパッド4に押し込まれる。この運動はパッド4を圧搾し、従って余分な残留液はパッド4から流れ出て、流出口10を介して当該抽出室から流出する。
【0043】
パッド4のタイプを認識するために、飲料供給器25は、消耗品を介しての液体の流れが複数のノズル15により開始された際の該液体の流れの流量特性を感知することによりセンサ信号を得る(概念的に図示された)センサ21を更に有している。得られたセンサ信号は、パッド4の認識エレメント42の機械的特性に依存する。該認識エレメント42は、通常、パッド4の濾過体(材料収容体とも称する)41における上記複数のノズル15に対面する表面に相当する。
【0044】
消耗品(この実施態様では、パッド4)は一般的に濾過体41を有し、該濾過体は飲料が得られる食品材料を収容するための空間を画定する硬質被覆された(カプセルの場合)又は軟質の殻体であり得る。更に、消耗品は一般的に或る機械的特性を有する認識エレメント(識別エレメントとも称する)42を有し、該機械的特性は飲料供給器25により、当該消耗品を介しての液体の流れが複数のノズル15により開始された際に該液体の流れの流量特性を感知することにより得られるセンサ信号から認識及び/又は解釈可能である。異なるタイプの消耗品を区別するために、認識エレメント42は消耗品の組における消耗品のタイプ毎に異なる機械的特性を有し、かくして、上記センサ信号は当該消耗品の機械的特性に依存する。
【0045】
飲料供給器25は、更に、上記センサ信号に基づいて消耗品のタイプを認識するための信号プロセッサ22を有している。該信号プロセッサ22は、上記センサ信号における消耗品の機械的特性に依存する少なくとも1つの特性を評価する。例えば、該センサ信号の、潜在的に周波数の関数としての振幅及び/又は位相(並びに/又は、該センサ信号から導出される電気信号の振幅及び/又は位相)を好ましくは所定の周波数範囲内で評価することができる。
【0046】
ノズルコントローラ23は、消耗品のタイプが認識された後に認識エレメント42上に力又は圧力を機械的に生じさせることにより、当該飲料の準備のために消耗品を介して所望の流量の液体を供給すべく複数のノズル15を制御するために設けられている。
【0047】
消耗品のタイプが認識されたなら、飲料供給器25の1以上のパラメータが、好ましくは前記液体処理ユニット20の一部として設けられる飲料コントローラ24により消耗品の認識されたタイプに従って制御される。例えば、簡単な例を示すものとして、当該消耗品が細かく挽かれたコーヒー(好ましくはエスプレッソを作るために使用される)を含むと認識された場合、上記液体は当該ポッドを介して、消耗品が普通に挽かれたコーヒー(好ましくは、コーヒーを作るために使用される)を含む場合におけるよりも高い圧力で押圧される。一般的に制御することができるパラメータは、水の温度、使用されるべき水の質、水供給の圧力及び/又は速度、抽出時間、流量並びにカップ容積等のうちの1以上であり得る。
【0048】
消耗品のタイプの認識及び認識された消耗品のタイプに基づく飲料供給器の1以上のパラメータの制御という当該全般的概念は、例えば消耗品としてカプセルを用いる他のタイプの飲料供給器においても用いることができる。このような飲料供給器は広く知られており用いられている。このような飲料供給器の一例は、例えば、国際特許出願公開第WO2012/123440号公報に記載されており、該飲料供給器は飲料の準備を自動化するためにカプセルの挿入及び/又はカプセルの存在に関するイベント並びにカプセルのタイプを検出するための感知装置も含んでいる。
【0049】
従って、以下に説明する消耗品及び消耗品のタイプの認識方法の種々の実施態様が特定のタイプの消耗品、従って特定のタイプの飲料供給器を参照しているとしても、各実施態様は、このタイプの消耗品及び/又はこのタイプの飲料供給器のみに限定されるものと理解されるべきではない。
【0050】
次に、本発明による消耗品の幾つかの実施態様及び消耗品のタイプを認識する対応する態様を説明する。消耗品に関しては、異なるタイプを含む消耗品の組における異なるタイプの消耗品を如何にして区別することができるか、及び、それに応じて飲料供給器がどの様に構成されるかを説明する。
【0051】
図2は、本発明による消耗品の第1実施態様40の上面図(
図2A)及び該消耗品40が挿入された対応する飲料供給器250の一部の斜視図(
図2B)を示している。飲料供給器250の蓋2には、ノズル15a〜15e(この例では、5つのノズル)がドットとして示されている。消耗品40の表面(蓋)42上の対応する位置43a〜43eもドットとして示され、これら位置は、各々、対応する副エレメント44a〜44eの一部である。飲料供給器250の蓋2が閉じられた場合、ノズル15は、これらの認識副エレメント44a〜44eに当該消耗品40上の位置43a〜43eにおいて接触する。
【0052】
図2Aに示されるように、5つの認識副エレメントのうちの2つ44a,44cは、他の3つの認識副エレメント44b,44d,44eとは異なっている。例えば、消耗品の挿入の後において液体の流れが開始された場合、認識副エレメント44a,44cは対応するノズル15a,15cを閉塞して液体が該消耗品を介して流れ得ないように構成することができる一方、他の認識副エレメント44b,44d,44eは対応するノズル15b,15d,15eを閉塞せず、液体が消耗品を介して流れ得るように構成することができる。この結果、特定の(全)液体流量及び特定の圧力上昇が得られ、これらの何れか又は両方はセンサ(例えば、圧力センサ又は流量計)により測定することができる。該測定値は消耗品のタイプを示す。何故なら、他のタイプの消耗品は、他の認識副エレメントとは相違した、より少ない又は多い認識副エレメントを有するからである。
【0053】
図2には、5つの同等のノズル15が図示されている。しかしながら、この数及びこれらノズルは寸法が等しいという事実は、定まったものではない。また、消耗品40上には、5つの位置43a〜43e及び5つの認識副エレメント44a〜44eが示されている。これらの認識副エレメントは小さな円形又は三角形とすることができるが、
図2Aに示されるように扇形(セグメント)とすることもできる。扇形が用いられる場合、消耗品40の位置決めは任意のものとなり得る。5つの等しい寸法のノズル15の場合、このことは、異なる消耗品の合計数は8に限定されることを意味する。消耗品40が特定の向きで位置決めされる場合、識別することができる異なる消耗品の合計数は52に増加する。識別されるべき消耗品の合計数を増加させる他の方法は、1つの飲料供給器において種々の寸法のノズルを使用すること、又は幾つか若しくは全ての認識副エレメントが2つの異なる状態(即ち、完全に開放又は完全に閉塞)を有するのみならず、3以上の状態(例えば、完全に開放、半分開放又は完全に閉塞)を有するようにすることである。
【0054】
飲料供給器250の蓋2を閉じることにより、ノズル15は予湿フェーズのために位置決めされる。この短期間の間に、消耗品40のタイプを示す前記圧力上昇が測定される。その直ぐ後に、ノズル15は、例えば対応するアクチュエータ251により、更に僅かに押し下げられる。この動作の間において、今までは閉塞されていたノズル15は実際の抽出フェーズのために開かれる。
【0055】
種々の認識副エレメントの前述した機械的特性は、好ましくは、異なる認識副エレメントに対して異なる材料を用いることにより実現されるが、他の実施態様では、より厚い被覆(カバー)材料、より圧縮された食品材料(例えば、飲料挽き粉)、サイズ、材料、質量、密度、順応性及び/又は抵抗力を用いて実現される。既知の消耗品に対して現在既に使用されているものと同一の材料を用いることにより、消耗品は以前と同様に生物分解性のままとなる。
【0056】
閉塞されたノズルを開くことに関する他の可能性は、前記予湿フェーズの間における液体の流れの力が、最終的な流れと比較して大幅に低いことである。予湿の間において、ノズルの幾つかは閉塞され、かくして、消耗品のタイプを示す。その後、最終的な流れにより生成される大幅に高い圧力は全てのノズルを開く。
【0057】
図3は、本発明による消耗品の第2実施態様50の断面図を示し、実質的に該消耗品50のカバー51が示されている。この実施態様によれば、固有の材料タイプに加えて、認識エレメント(ノズル閉塞要素とも称される)は、特定のセグメント(即ち、認識副エレメント)において上昇された(高くされた)カバー51(薄い/軟性のフィルタ材料とすることができる)により設けられる。
図3に示されるように、認識副エレメント52aは、対応するノズル15bまで一層大きな距離を持つ認識副エレメント52bよりも上昇されている(即ち、対応するノズル15aまで一層小さな距離を有している)。
図3に示されたノズルの初期位置(予湿フェーズとも呼ばれる)において、ノズル15aは認識副エレメント52aに接触して、該エレメントを開口し(破壊し)、かくして液体は該エレメントを介して流れることができる。対照的に、ノズル15bは認識副エレメント52bからは依然として離隔されており、従って該(未破壊の)認識副エレメント52bは該エレメントを介しての流体の流れを阻止する。後続の飲料準備フェーズにおいて、ノズル15は下方に(即ち、消耗品50の方向に)移動されるので、認識副エレメント52bを含む全ての認識副エレメントは開口され、流体が全ての認識副エレメントを介して流れることを可能にする。
【0058】
ノズルの閉塞は、例えば熱湯等の抽出液の圧力に非常に短期間だけ耐える材料によっても実施することができる。例えば、熱湯に溶ける又は熱湯の存在により剛性を失う材料を使用することができる。熱湯に溶ける材料を、飲料挽き粉を内部に有する網目の形態にすることも可能であり得る。これが、本発明による消耗品の第3実施態様60の斜視図を示す
図4に示されており、該図には実質的に消耗品60のカバー61が示されている。図示されたように、異なるセグメント62,63,64,65,66,67の間においてカバー61は一種の溝70のように薄くされて、そこでは当該材料を弱くし、かくして、認識副エレメント63,64,66,67は初期の流体の流れに応答して破断される一方、溝により分割されていない他の認識副エレメント62,65,68,69は初期の流体の流れを阻止し、より高い圧力又は機械的力によってのみ破壊若しくは破断することができる。
【0059】
他の材料に加えて、異なる認識副エレメントの異なる機械的特性は、飲料挽き粉が当該フィルタ材料内で(即ち、カバー内に)圧縮され、従ってノズルを幾らかの時間閉塞する一方、他の認識副エレメントにおいては挽き粉がフィルタ材料内に(即ち、カバー内に)圧縮されていないことにより実現することもできる。
【0060】
ノズルの閉塞は、液体の圧力に非常に短い期間だけ耐える材料により実施することもできる。例えば、熱湯と化学的に反応して、液体又は水溶性材料となる材料を、他の実施態様における幾つかの認識副エレメントに使用することができる。
【0061】
このことは、使用される材料が飲料の一部となることを意味する。これは、認識副エレメントの小さなエッジのみを使用することにより非常に僅かな量に維持することができ得る。使用される材料のタイプ及び量に依存して、当該消耗品は依然として生物分解性に留まり得る。この実施態様では、熱湯溶解性ゲル、エアゾール材料又はタンパク質を基とする発泡材料が好ましくは使用される。
【0062】
要約すると、本発明によれば、複数の異なるタイプの消耗品を簡単な方法で正確且つ高い信頼度で区別することができる。液体の流れに対する初期抵抗力、即ち認識が即座に行われるべき時点である当該液体の流れが開始される際を容易に制御し、認識することができる。このことは、例えば一層厚い及び/又は余り液体許容性でない材料の使用により初期流れに抗し得る(即ち、初期段階において自身を介して液体が流れるのを防止することができる)副エレメントの数、並びに例えば一層薄い及び/又は液体許容性の材料の使用により初期流れに抗し得ない(即ち、初期段階において自身を介して液体が流れるのを防止することができない)副エレメントの数を選択することにより実現することができる。初期流れに抗する副エレメントの数が多いほど、測定されて、異なるタイプの消耗品を区別するために使用することができる全初期流量が少なくなる。更に、複数のノズルの使用により、各ノズルにおいて別個の信号を感知することができ(所望なら)、このことは精度及び信頼性を更に向上させる。
【0063】
以上、本発明を図面及び上記記載において詳細に図示及び説明したが、斯かる図示及び説明は解説的又は例示的なものであり、限定するものではないと見なされるべきである。即ち、本発明は開示された実施態様に限定されるものではない。当業者によれば、開示された実施態様に対する他の変形例は、請求項に記載された本発明を実施するに際して図面、本開示及び添付請求項の精査から理解し、実施することができるものである。
【0064】
尚、請求項において、“有する”なる文言は他の構成要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。また、単一の要素又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの項目の機能を満たすことができる。また、特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。
【0065】
また、請求項における如何なる符号も、当該範囲を限定するものと見なしてはならない。