特許第6559683号(P6559683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559683
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】飲料マシン
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20190805BHJP
   A47J 31/057 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   A47J31/44 193
   A47J31/44 310
   A47J31/057
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-543114(P2016-543114)
(86)(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公表番号】特表2017-506922(P2017-506922A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2014071095
(87)【国際公開番号】WO2015101428
(87)【国際公開日】20150709
【審査請求日】2017年9月28日
(31)【優先権主張番号】13199881.7
(32)【優先日】2013年12月31日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル ウォーニング マーク ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】フラアイ フレッド
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05477775(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02321179(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00−31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
淹出チャンバと、
前記淹出チャンバ内に液体を分注するための分注スパウトとを含む、飲料マシンであって、
前記分注スパウトが、
(i)液体入口と、
(ii)中心軸線と、少なくとも(a)第1の出口開口部を有する第1の液体出口と、(b)複数の第2の出口開口部を有する第2の液体出口と、複数の第3の出口開口部を有する第3の液体出口とを有し、前記第2の出口開口部が前記第1の出口開口部よりも前記中心軸線から遠い距離を有し、前記第3の出口開口部が前記第2の出口開口部よりも前記中心軸線から遠い距離を有する、本体と、
(iii)前記液体入口を選択的に前記第1の出口開口部前記複数の第2の出口開口部、又は前記複数の第3の出口開口部に流体的に接続するための液体分配器と、
(iv)前記本体に対する前記液体分配器の位置を少なくとも第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間で変更するためのアクチュエータと、
を含み、
前記液体分配器が、前記本体の内部を少なくとも上部隔室と下部隔室とに分割するセパレータ要素を含み、前記セパレータ要素が少なくとも1つのフロースルー開口部を含み、前記少なくとも1つのフロースルー開口部によって、前記上部隔室が前記下部隔室に接続され、
前記第1の位置で、前記液体入口が前記上部隔室を通じて前記第1の出口開口部に流体的に接続され、前記第2の位置で、前記液体入口が前記少なくとも1つのフロースルー開口部から前記下部隔室を通じて前記複数の第2の出口開口部に流体的に接続され、前記第3の位置で、前記液体入口が前記上部隔室及び前記下部隔室のそれぞれを通じて前記第1の出口開口部及び前記複数の第2の出口開口部に流体的に接続され、
前記本体は、中心チャンバと、1つ以上の中間チャンバと、1つ以上の外側チャンバと、を含み、第2の出口開口部は、1つ以上の中間チャンバ内に配置され、第3の出口開口部は1つ以上の外側チャンバ内に配置され、前記中間チャンバ及び前記外側チャンバは、それぞれの開口部を介して前記中心チャンバと接続し、前記液体分配器の前記下部隔室は、複数の開口部及び複数の遮断壁を備える周方向壁を含み、前記液体分配器の回転位置に依存して、前記遮断壁が前記中間チャンバへの開口部を遮断するか、又は前記外側チャンバへの開口部を遮断できる、
飲料マシン。
【請求項2】
前記分注スパウトの前記本体が、蓋と底部部分とを含み、これらで共に前記本体の前記内部の中空を画定し、前記上部隔室が前記蓋と、前記セパレータ要素との間に配置され、前記下部隔室が前記セパレータ要素と、前記底部部分との間に配置されている、請求項1に記載の飲料マシン。
【請求項3】
前記セパレータ要素がディスクを含み、前記少なくとも1つのフロースルー開口部が前記ディスクを貫通している、請求項1に記載の飲料マシン。
【請求項4】
前記ディスクが実質的に環の形状を有し、前記少なくとも1つのフロースルー開口部が環状扇形切抜部の形状を有する、請求項3に記載の飲料マシン。
【請求項5】
前記ディスクが実質的に環の形状を有し、前記ディスクが複数のフロースルー開口部を含む、請求項3に記載の飲料マシン。
【請求項6】
前記アクチュエータが、前記中心軸線の周りにおいて前記液体分配器を回転させるためのハンドル要素を含む、請求項1に記載の飲料マシン。
【請求項7】
前記アクチュエータの少なくとも一部が前記液体分配器と一体形成されている、請求項1に記載の飲料マシン。
【請求項8】
前記ハンドル要素がシャフトを含み、ディスクが、前記シャフトに接続され、前記シャフトに対し横断的に配置されている、請求項6に記載の飲料マシン。
【請求項9】
前記第1の液体出口が、前記シャフトの中空内に配置された出口路を含む、請求項8に記載の飲料マシン。
【請求項10】
前記本体が、前記第2の液体出口よりも前記中心軸線から遠い距離を有する第3の液体出口を更に含み、前記液体分配器が、前記液体入口を選択的に前記第1の液体出口、前記第2の液体出口又は前記第3の液体出口に流体的に接続する、請求項1に記載の飲料マシン。
【請求項11】
前記第3の液体出口が複数の第3の出口開口部を含む、請求項10に記載の飲料マシン。
【請求項12】
前記第2の出口開口部及び前記第3の出口開口部が、前記中心軸線の周りに同心円状に配置されている、請求項11に記載の飲料マシン。
【請求項13】
前記本体が、前記本体の前記内部内に中心チャンバと、1つ以上の中間チャンバと、1つ以上の外側チャンバと、を含み、前記第2の出口開口部が前記1つ以上の中間チャンバ内に配置され、前記第3の出口開口部が前記1つ以上の外側チャンバ内に配置されている、請求項11に記載の飲料マシン。
【請求項14】
前記アクチュエータを作動すると、前記液体分配器の位置が、また、第4の位置へと変更でき、前記第4の位置において、前記液体入口が前記複数の第3の出口開口部に流体的に接続されている、請求項11に記載の飲料マシン。
【請求項15】
前記アクチュエータが、前記液体分配器の前記位置を段階的な手法で変更することを可能にするラッチング機構を含む、請求項6に記載の飲料マシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料マシンに関し、特に、コーヒー、茶、ホットミルク飲料、スープ等のようなホット飲料を分注するための飲料マシンに関する。特に、本発明は、こうした飲料マシンのための分注スパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年で、従来のフィルター式コーヒーマシンは最新の半自動式シングルサーブコーヒーマシン及び完全自動式コーヒーマシンに対して市場シェアを大きく失った。特に、種々の異なる種類のコーヒーレシピを同一のマシンで作成する可能性、コーヒーの濃度を容易に調節する可能性、並びにこうしたシングルサーブ式及び完全自動式コーヒーマシンの簡単な取り扱いにより、多くの消費者が自身の従来のフィルター式コーヒーマシンの代わりにこれら最新のコーヒーマシンタイプを利用することに繋がっている。
【0003】
最新のコーヒーマシンはエスプレッソコーヒー又は一般的なクレマを有するコーヒーを淹出するのに特に好適である一方、多くの消費者は依然としてフィルター式コーヒーマシンによって作成される「レギュラー」コーヒーの味の方を好む。従って、味の理由から、従来のフィルター式コーヒーマシンに戻る傾向にある消費者が益々多くなっている。
【0004】
シングルサーブ式又は完全自動式コーヒーマシンと比較すると、従来のフィルター式コーヒーマシンの殆どではコーヒーの濃度を簡単な手法で調節することができない。できることは、淹出物(brew)を調製する際に加えるコーヒーを多くする又は少なくすることにより水と挽いたコーヒーの比率を変えることである。しかしながら、それでもコーヒーの濃度及び味プロファイルを正確に調節することは困難である。それでも尚、コーヒーの濃度及び味プロファイルのこうした簡単な調節は益々重要になっている。人はコーヒーを飲むことを好むものの、人の数だけ嗜好の違いも増す。同じことはドリップにも当てはまる。濃いコーヒーを好む者もいれば、より薄いコーヒーを好む者もいる。
【0005】
米国特許第6,779,437B2号は、中心フロースルー開口部と、中心フロースルー開口部を囲む複数の更なるフロースルー開口部と、を有する水分配器を含むフィルター式コーヒーマシンを示す。コーヒーの濃度は、開口部の選択に影響される場合がある。この開口部を通じて注入される水が、淹出チャンバ内に配置されたフィルター内に滴る。水分配器の中心に配置されたフロースルー開口部のみを淹出水が流れる場合、フィルター受器内の挽いたコーヒーは強く巻き上げられ、比較的濃いコーヒーの淹出に繋がる。その一方で、中心の外に配置された残りのフロースルー開口部を水が流れる場合、より薄いコーヒーが淹出される。
【0006】
米国特許第6,779,437B2号で説明された手法でコーヒーの濃度を全般的に選択する可能性は有利であることが判明しているが、同明細書中で示されるデバイス内で水が分配される技術的手法については不利であることが判明している。このデバイスの主な欠点の1つは、フロースルー開口部のそれぞれへの水の均一な分配がないことである。
【0007】
このため、依然として向上の余地がある。
【0008】
コーヒーの濃度を選択する可能性を提供するコーヒーマシンの更なる分注スパウトは、独国実用新案第29711421U1号、英国特許出願公開第2321179A号、米国特許第5,477,775A号及び米国特許第4,056,050A号から既知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、飲料の味及び/又は濃度を簡単且つ使用者にとって扱いやすい手法で調節することを可能にし、特に、上述の欠点を克服する飲料マシン、特に、フィルター式又はドリップ式コーヒーマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様においては、
−淹出チャンバと、
−淹出チャンバ内に液体を分注するための分注スパウトであって、
分注スパウトが、
(i)液体入口と、
(ii)中心軸線と、少なくとも(a)第1の出口開口部を有する第1の液体出口と、(b)複数の第2の出口開口部を有する第2の液体出口と、を有し、第2の出口開口部が第1の出口開口部よりも中心軸線から遠い距離を有する、本体と、
(iii)液体入口を選択的に第1の出口開口部又は複数の第2の出口開口部に流体的に接続するための液体分配器と、
(iv)本体に対する液体分配器の位置を少なくとも第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間で変更するためのアクチュエータであって、第1の位置では液体入口が第1の出口開口部に流体的に接続され、第2の位置では液体入口が複数の第2の出口開口部に流体的に接続され、第3の位置では液体入口が第1の出口開口部及び複数の第2の出口開口部に流体的に接続される、アクチュエータと、
を含む、分注スパウトと、
を含み、
液体分配器が、本体の内部を少なくとも上部隔室と下部隔室とに分割するセパレータ要素を含み、セパレータ要素が少なくとも1つのフロースルー開口部を含み、少なくとも1つのフロースルー開口部によって、上部隔室が下部隔室に接続される、
飲料マシンが提供される。
【0011】
本発明の第2の態様においては、飲料マシンのための分注スパウトであって、分注スパウトが、
(i)液体入口と、
(ii)中心軸線と、少なくとも(a)第1の出口開口部を有する第1の液体出口と、(b)複数の第2の出口開口部を有する第2の液体出口と、を有し、第2の出口開口部が第1の出口開口部よりも中心軸線から遠い距離を有する、本体と、
(iii)液体入口を選択的に第1の出口開口部又は複数の第2の出口開口部に流体的に接続するための液体分配器と、
(iv)本体に対する液体分配器の位置を少なくとも第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間で変更するためのアクチュエータであって、第1の位置では液体入口が第1の出口開口部に流体的に接続され、第2の位置では液体入口が複数の第2の出口開口部に流体的に接続され、第3の位置では液体入口が第1の出口開口部及び複数の第2の出口開口部に流体的に接続される、アクチュエータと、
を含み、
液体分配器が、本体の内部を少なくとも上部隔室と下部隔室とに分割するセパレータ要素を含み、セパレータ要素が少なくとも1つのフロースルー開口部を含み、少なくとも1つのフロースルー開口部によって、上部隔室が下部隔室に接続される、
分注スパウトが提供される。
【0012】
本発明の好適な実施形態は従属請求項に定義される。本発明の第2の態様による分注スパウトは、請求される飲料マシン及び従属請求項に定義されるものと類似の及び/又は同一の好適な実施形態を有することは理解されよう。
【0013】
示される飲料マシンは、本明細書中では第1の液体出口及び第2の液体出口と示される少なくとも2つの液体出口を有する。これら液体出口のそれぞれは、分注スパウトの下面に配置された1つ以上の出口開口部を含んでもよい。飲料マシンの使用時、分注スパウトの下面は淹出チャンバに面する。液体、例えば、湯は、従って、第1及び/又は第2の液体出口を通じて分注スパウトを出てもよく、その後、淹出チャンバ内に滴ってもよい。
【0014】
淹出チャンバは、通常、フィルター、例えば、コーヒー又は茶フィルターのための実質的に円錐形状の受器を含む。抽出可能な食品製品、例えば、挽いたコーヒー又は茶はフィルターと共にこの受器内に配置されてもよい。分注スパウトを出た液体は抽出可能な食品製品及びフィルター内を流れ、これにより、飲料、例えば、コーヒー又は茶を抽出し、その後、淹出チャンバから消費者の容器、例えば、ポット又はカップへと流れる。
【0015】
示される飲料マシンの核となる特徴の1つは、第1の液体出口又は第2の液体出口の何れかを通じて淹出チャンバ内に液体を分注することを可能にする液体分配器である。分注スパウトにその液体入口にて入る液体が第1の液体出口又は第2の液体出口の何れかを通じて分注スパウトを出るように、液体分配器は分注スパウト内部に液体を分配する。分注スパウトは、また、更なる液体出口、例えば、第3の液体出口を含んでもよいことに留意されたい。これについては以下に更に説明される。
【0016】
液体分配器の主な利点はその固有の液体分配機能であり、この液体分配機能によって、作成される飲料の濃度及び味が調節されてもよい。液体分配器が第1の設定において液体を第1の液体出口に向かって案内する場合、作成される又は淹出される飲料(例えばコーヒー又は茶)は、液体が第2の液体出口を通じて分注スパウトを出たかのように濃度がより高くなる。この差の理由は、米国特許第6,779,437B2号で説明されたものと同じである。第2の液体出口は、第1の液体出口よりも分注スパウトの中心軸線から遠い距離を有する。第2の液体出口は、従って、分注スパウトの中心から更に離れている。第2の液体出口を出る液体は、従って、第1の液体出口を出る液体よりも淹出チャンバの中心から更に離れた距離においてフィルター内を流れる。第1の設定(液体が第1の液体出口を通じて出る)では、このため、液体は、生じる飲料の濃度がより高くなるように、より多くの材料/量の抽出可能な食品製品(例えば、挽いたコーヒー又は茶)に接する。第2の設定(液体が第2の液体出口を通じて出る)では、液体がより少ない材料/量の抽出可能な食品製品に接することで、より濃度の低い飲料ができるように、液体はフィルターの外周部により近い距離、即ち、フィルターの中心から更に離れた距離にて淹出チャンバ内に滴る。一実施形態においては、液体分配器は液体入口を第1の液体出口及び第2の液体出口の両方に流体的に接続することも可能である。
【0017】
消費者は、従って、液体分配器を異なる設定の間で単に切り換えることによってコーヒーの濃度及び味を容易に調節する機会を有する。フィルターに入れられる抽出可能な食品製品の量の正確な調節はもはやそれほど重要ではない。
【0018】
液体分配器のその異なる設定の間での切り換えは、様々な手法で、例えば、電動又は手動で実施されてもよい。消費者は液体分配器及びそれが機能する手法に注意を払うことさえない可能性がある。これにより、使用者にとって非常に使い易く、取り扱いが簡単な飲料マシンとなる。
【0019】
液体分配器は、好ましくは、分注スパウトの本体の内部に配置されている。濃度/味設定の変更は、分注スパウトの本体内の液体分配器の位置を変更することによって行われてもよい。液体分配器の位置はアクチュエータによって変更されてもよい。このアクチュエータは、使用者が、例えば、ボタンを押してもよく、液体分配器がその位置を自動的に変更するような電気式アクチュエータを含んでもよい、又は使用者が液体分配器の位置を手動で変更することを可能にする機械式アクチュエータを含んでもよい、の何れかである。
【0020】
米国特許第6,779,437B2号に示されるマシンと比較した場合における、本明細書中に示される飲料マシンの主な利点は、液体分配器の技術的設計によるものである。本明細書中に示される液体分配器は、液体を分注スパウト内に均等に分配することを可能にする。第2の液体出口の複数の第2の出口開口部を通じて液体が分注スパウトを出る第2の設定では、ほぼ同じ量の液体が複数の第2の出口開口部のそれぞれを通じて出る。これにより、淹出チャンバ内における均等な液体の分配を保証する。
【0021】
液体分配器は、本体の内部を、少なくとも2つの階層、即ち、本明細書中では上部隔室と示される第1の階層と、本明細書中では下部隔室と示される第2の階層とに分割するセパレータ要素を更に含む。好適な実施形態においては、セパレータ要素及びアクチュエータは液体分配器の一体部品である。セパレータ要素は、上部隔室を下部隔室と流体的に接続してもよい少なくとも1つのフロースルー開口部を更に含む。分注スパウトの本体は、蓋と底部部分とを含み、共に基部本体の内部の中空を画定する。上部隔室は、蓋とセパレータ要素との間に配置され、下部隔室は、セパレータ要素と底部部分との間に配置される。本体に対する液体分配器の位置に応じて、少なくとも1つのフロースルー開口部は上部隔室を下部隔室と接続させる。液体は、従って、液体入口を通じて分注スパウトに入ってもよく、その後、上部隔室へと流れる。注入された液体の一部又は全ては、その後、液体が更に液体出口の1つに向かって流れる前に上部隔室内に回収される。これにより、実質的に均一な流れの分配を保証する。
【0022】
液体分配器の第1の設定では、液体は上部隔室から出口路を通じて第1の液体出口へと流れる。この出口路は、分注スパウトの中心軸線の近傍に又は中心軸線に沿って配置されることが好ましく、液体分配器の内部に組み込まれることが好ましい。これについては更に以下により詳述される。液体分配器の第2の設定では、液体は上部隔室から少なくとも1つのフロースルー開口部を通じて下部隔室へと流れる。そこから、液体は下部隔室内で均一に分配され、最終的に、第2の液体出口の複数の第2の開口部を通じて分注スパウトを出る。少なくとも1つのフロースルー開口部には、従って、(第1の設定ではなく)第2の設定において注入された液体のみがアクセス可能である。
【0023】
液体分配器の位置もまた第3の位置に変更されてもよい。第3の位置においては、液体入口は同時に第1の液体出口と第2の液体出口とに流体的に接続される。分注スパウトが第3の液体出口も含む場合、液体入口はまた、液体分配器のこの第3の位置において、第3の液体出口にも接続される。換言すると、液体入口は、従って、液体分配器の第3の位置において、同時に第1の液体出口と、第2の液体出口と、第3の液体出口とに流体的に接続される。
【0024】
この場合、液体は全ての出口を通じて分注スパウトを同時に出る。このモードは分注スパウトの洗浄及び脱灰において特に有利である。なぜなら、液体は、その後、分注スパウト内部の全ての部分及びチャンバに分配されるからである。これにより非常に簡単な洗浄が可能になる。分注スパウトの洗浄を更に容易にするために、液体分配器は、分注スパウトから取り外し可能となるように設計されることが好ましい。閉塞した場合、使用者は、従って、分注スパウトの全ての部品が別個に洗浄され得るように、分注スパウトの蓋を簡便に開き、液体分配器を取り出してもよい。
【0025】
一実施形態によれば、セパレータ要素はディスクを含み、このディスクを少なくとも1つのフロースルー開口部が貫通する。
【0026】
このディスクは、分注スパウトの本体の中心軸線に対し垂直に配置されることが好ましい。幾つかの直立壁がディスクの周縁部を囲んでもよい。これら直立壁は、好ましくは、ディスクの上面に対し垂直に配置される、即ち、分注スパウトの本体の中心軸線に対し平行に配置される。
【0027】
第1の代替形態においては、ディスクは実質的に環の形状を有し、少なくとも1つのフロースルー開口部は環状扇形切抜部の形状(annulus sector cut−out)を有する。第2の代替形態においては、実質的に環形状のディスクは、複数のフロースルー開口部、例えば、ディスク内に突出する複数の円形穴を含む。
【0028】
更なる改良形態(refinement)においては、アクチュエータは、中心軸線の周りにおいて液体分配器を回転させるためのハンドル要素を含む。
【0029】
ハンドル要素は、好ましくは、中心軸線の周りにおいて液体分配器を回転させるために、液体分配器の位置を手動で変更するためのグリップを含んでもよい。液体分配器を回転させることによる異なる濃度及び/又は味設定間で切り換えが機械的に簡単な手法で保証されてもよい。第1に、これは使用者にとって取り扱いが簡単である。第2に、それに加えて複雑な機構は必要ないため、製造コストが節約され得る。ハンドル要素は、しかしながら、また、電気的に回転させてもよい。
【0030】
更なる改良形態においては、アクチュエータの少なくとも一部が液体分配器と一体形成されている。
【0031】
この改良形態は、可能な限り少ない部品を備える安定的且つ機械的に剛性のある構造を保証する。液体分配器はアクチュエータのハンドル又はハンドルの部品と一体形成されてもよい。液体分配器は分注スパウトの本体内に固定的に配置されないことが好ましい。
【0032】
更なる改良形態においては、ハンドル要素はシャフトを含み、ディスクはシャフトに接続され、シャフトに対し横断的に、好ましくは垂直に配置されている。
【0033】
ディスクは、従って、ハンドル要素の少なくとも一部を形成するシャフトと直に接続されている。ハンドル要素及びディスクは、また、一体部品を形成してもよい。ハンドル要素とディスクとの間のこうした直接接続により、ディスクを中心軸線の周りにおいて手動で容易に回転させて、液体分配器の少なくとも2つの設定の間で切り換えることが可能になる。
【0034】
更なる改良形態においては、第1の液体出口は、シャフトの中空内に配置された出口路を含む。
【0035】
換言すると、シャフトは中空シャフトである。液体分配器の第1の設定においては、液体は、従って、液体入口から上部隔室に、及び上部隔室から中空シャフトを通り第1の出口開口部に流れてもよい。これにより、分注スパウトの本体の中心軸線の近接に第1の出口開口部を配置することが可能になる。更には、第1の出口開口部を分注スパウトの本体の中心に直接配置することが可能である。これによりまた、最大濃度の淹出飲料ができる。第1の液体出口は、また、分注スパウトの本体の中心軸線の近傍に配置された複数の第1の出口開口部を含んでもよいことは理解されよう。
【0036】
更なる改良形態においては、本体は、第2の液体出口よりも中心軸線から遠い距離を有する第3の液体出口を更に含み、液体分配器は、液体入口を選択的に第1の液体出口、第2の液体出口又は第3の液体出口に流体的に接続するように構成される。
【0037】
この改良形態は、更に、合計3つの異なる濃度及び味レベルが実現されてもよいように、液体分配器の第3の設定を可能にする。
【0038】
第2の液体出口は、好ましくは、複数の第2の出口開口部を含み、第3の液体出口は、好ましくは、また、複数の第3の出口開口部を含む。一実施形態においては、第2の出口開口部及び第3の出口開口部は、分注スパウトの本体の中心軸線の周りに同心円状に配置されている。これにより、液体分配器の第2の設定及び第3の設定において、淹出チャンバ内における均等な液体の分配を保証する。
【0039】
更なる改良形態においては、本体は、本体の内部内に、中心チャンバと、1つ以上の中間チャンバと、1つ以上の外側チャンバと、を含み、第2の出口開口部は、1つ以上の中間チャンバ内に配置され、第3の出口開口部は1つ以上の外側チャンバ内に配置される。
【0040】
全てのチャンバは、分注スパウトの底部部分に組み込まれることが好ましい。チャンバは、分注スパウトの下面に対し好ましくは垂直に延びる分離壁によって互いに分離されることが好ましい。一実施形態においては、上述の液体分配器は中心チャンバ内に配置されている。この場合、セパレータ要素は中心チャンバを上部隔室と下部隔室とに分割する。セパレータ要素を中心軸線の周りにおいて回転させることによって、中心チャンバは中間チャンバ(第2の出口開口部が配置される)又は外側チャンバ(第3の出口開口部が配置される)の何れかに流体的に接続可能である。このようにして、分注スパウトの液体入口はセパレータ要素のフロースルー開口部を通じて中間チャンバの第2の出口開口部又は外側チャンバの第3の出口開口部の何れかに流体的に接続される。液体分配器の第1の設定においては、上で説明したように、分注スパウトの液体入口は中間チャンバにも外側チャンバにも接続されず、ハンドル要素の中空シャフト内に配置された第1の液体出口のみに接続される。
【0041】
更なる改良形態においては、アクチュエータは、液体分配器の位置を段階的な手法で変えることを可能にするラッチング機構を含むことが好ましい。
【0042】
液体分配器は、従って、2つ、3つ又は4つの上述の位置の間で段階的に回転させてもよい。ラッチング機構はハンドル要素に接続され得る、又はハンドル要素の一部であってもよい。しかしながら、ラッチング機構は、また、それがアクチュエータに機能的に又は機械的に接続される限りは飲料マシン内の別の場所に配置されてもよい。ラッチング機構は、アクチュエータが選択された位置の1つに留められると即座に固有のフィードバックを使用者に与える。これにより、使用者が異なる位置の間で切り換える際に取り扱いが容易になる。
【0043】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになると共に、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】飲料マシンの概略図を示す。
図2】本発明の第1の実施形態による飲料マシンの分注スパウトの側面図を示す。
図3】下から見た分注スパウトの第1の実施形態を示す。
図4】分注スパウトの第1の実施形態の分解図を示す。
図5】分注スパウトの第1の実施形態の断面図を示す。
図6】第1の実施形態による分注スパウトの底部部分の斜視図を示す。
図7】第1の実施形態による、分注スパウトの第1の設定における底部部分及び液体分配器を斜視図(図7A)及び平面図(図7B)で示す。
図8】第1の実施形態による、分注スパウトの第2の設定における底部部分及び液体分配器を斜視図(図8A)及び平面図(図8B)で示す。
図9】第1の実施形態による、分注スパウトの第3の設定における底部部分及び液体分配器を斜視図(図9A)及び平面図(図9B)で示す。
図10】第1の実施形態による、分注スパウトの第4の設定における底部部分及び液体分配器を斜視図(図10A)及び平面図(図10B)で示す。
図11】下から見た本発明による飲料マシンの分注スパウトの第2の実施形態を示す。
図12】分注スパウトの第2の実施形態の断面図を示す。
図13】分注スパウトの第2の実施形態の分解図を示す。
図14】第2の実施形態による分注スパウトの底部部分の平面図を示す。
図15】第1の設定(図15A)、第2の設定(図15B)及び第3の設定(図15C)における第2の実施形態による底部部分及び分注スパウトの液体分配器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、本発明の基礎を成す飲料マシンの概略図を示す。この図面において、飲料マシンはその全体が参照符号10で示される。こうした飲料マシン10は例えばコーヒー又は茶などの様々な種類のホット飲料を淹出するために使用されてもよい。飲料マシン10は、いわゆるフィルター式又はドリップ式コーヒーマシンとして特に構成されてもよい。
【0046】
飲料マシン10は、1つ以上の液体タンク12と、1つ以上の加熱要素14と、1つ以上のポンプ16と、分注スパウト18と、淹出チャンバ20と、を含んでもよい。こうしたフィルター式コーヒーマシンの一般機能の原理は明らかである。液体タンク12内に貯蔵された液体が液体タンク12からポンプ16によって押し出される。この液体は加熱要素14によって加熱される。この加熱要素14は静的加熱要素又はフロースルーヒータの何れかであってもよい。加熱要素14はポンプ16の前又は後の何れかに配置されてもよい。押し出され、加熱された液体は、その後、分注スパウト18に向かって流れる。液体が複数の液体出口42、44、46を通じて分注スパウト18を出る前に、液体は分注スパウト18内の内部で分配される。これについては以下に更により詳細に説明される。分注された液体は、その後、淹出チャンバ20に入り、抽出可能な食品製品、例えば、挽いたコーヒーに接触する。淹出チャンバ20は、好ましくは、フィルター24を受けるための実質的に円錐形状の受器22を含む。淹出チャンバ20に注入された液体は、従って、フィルター24内に挿入された抽出可能な食品製品内に滴り、最終的に、分注出口26を通じて飲料マシン10を出て、容器28、例えば、コーヒー/ティーポット又はコーヒー/ティーカップに入る。淹出プロセス中に容器28を加熱するための更なる静的加熱要素30も設けられてもよい。
【0047】
図1は、本発明の範囲を限定することなくこうした飲料マシン10の基本特徴を単に概略的に示すものであると理解される。本発明による飲料マシン10は、当然、更に詳細な特徴を含んでもよい。本発明の核は、特に、分注スパウト18の技術的な設計、及びそれにより実現される技術的な機能に関する。これについては以下に詳細に説明される。
【0048】
図2乃至図10は、本発明による分注スパウト18の第1の実施形態を示す。分注スパウト18は液体入口32を含み、液体タンク12から押し出された液体が、液体入口32を通じて分注スパウト18に入る。この液体入口32は分注スパウト18の内部において分注スパウト18の本体34に流体的に接続される。本体34は、この場合、実質的に円形となるように示される。しかしながら、本体14は、また、例えば、矩形又は方形などの他の形状を有してもよいことに留意されたい。本体34は、蓋36及び底部部分38を含む。蓋36及び底部部分38は、共に本体34の内部に中空を画定する。分注スパウト18は、本明細書中においては全般的に「液体分配器」と示される液体分配要素40(例えば図4を参照)を更に含む。
【0049】
液体分配器40は、液体開口部32を通じて注入された液体を選択的に異なる液体出口に分配することを可能にする一種の分配弁として機能する。図2乃至図10に示される実施形態においては、分注スパウト18は、3つの異なる液体出口、即ち、第1の液体出口42と、第2の液体出口44と、第3の液体出口46と、を含む(例えば図3を参照)。これら液体出口42、44、46のそれぞれは、分注スパウト18の下面48に配置された1つ以上の出口開口部を含む。第1の液体出口42は、分注スパウト18の本体34の中心軸線52に近接して配置された第1の出口開口部50を含む。この第1の出口開口部50は更には中心軸線52と軸方向に整列されてもよい。第2の液体出口44及び第3の液体出口46のそれぞれは、好ましくは、本明細書中では第2の出口開口部54及び第3の出口開口部56として示される複数の出口開口部を含む。第2の出口開口部54及び第3の出口開口部56は、好ましくは、第1の出口開口部50及び中心軸線52を同心円状に囲む。
【0050】
例えば、図3に示され得るように、第2の出口開口部54は第1の出口開口部50よりも中心軸線52から遠い距離を有する。第3の出口開口部56は、本体34の中心軸線52から、第2の出口開口部54よりも更に遠い距離を有する。分注スパウト18の本体34の内部内に配置された液体分配器40は、液体入口32を、選択的に、第1の出口開口部50、第2の出口開口部54及び/又は第3の出口開口部56に流体的に接続することを可能にする。これについては図7乃至図10を参照して以下で更に詳細に説明される。
【0051】
飲料マシン10内で淹出される飲料の濃度及び味は、液体が第1の出口開口部50又は第2の出口開口部54又は第3の出口開口部56の何れかを通じて淹出チャンバ20内に注入されるように、分注スパウト18内の液体を、選択的に、液体出口42、44、46の何れか1つに導くことによって調節されてもよい。飲料の濃度及び味は中心軸線52からの出口開口部50、54、56の距離によって変化する。なぜなら、これにより、淹出チャンバ20内の液体の流体力学的挙動が変化するからである。分注スパウト18の本体34の中心に配置された第1の出口開口部50を通じて液体が淹出チャンバ20内に注入された場合に最も濃度の高い飲料ができる。分注スパウト18の本体34の中心軸線52から最大距離を有する第3の出口開口部56を通じて淹出チャンバ20内に液体が注入された場合に最も低い濃度の飲料が受容される。分注スパウト18内における液体の内部分配は、液体分配器40及び本体34の底部部分38の特別な技術的設計によって実施される。
【0052】
図2乃至図10に示される分注スパウト18の第1の実施形態によれば、液体分配器40は、分注スパウト18の内部を、2つの隔室、即ち、上部隔室60と下部隔室62とに(例えば図5を参照)分割するセパレータ要素58(例えば図4を参照)を含む。分注スパウト18の第1の実施形態によれば、セパレータ要素58はディスク64を含む。このディスク64は、ディスク64から2つの環状扇形が切り抜かれた実質的に環の形状を有する。これら環状扇形切抜部は第1のフロースルー開口部66及び第2のフロースルー開口部68を構成する。ディスク64は、換言すると、3つの異なる部分、即ち、プレート型部分70と、第1のフロースルー開口部66と、第2のフロースルー開口部68とに分割される(例えば図4を参照)。プレート型部分70、フロースルー開口部66及びフロースルー開口部68のそれぞれは環状扇形の形状を有する。ディスク64、特に、ディスク64のプレート型部分70は、好ましくは、中心軸線52に対し垂直に配置される。プレート型部分70と、第1のフロースルー開口部66と、第2のフロースルー開口部68とは、幾つかの分割壁72a−72cによって互いに分離される。ディスク64は、少なくとも部分的に周方向壁74によって囲まれる。この周方向壁74は、好ましくは、ディスク64に対し垂直に、即ち、中心軸線52に対し平行に配置される。周方向壁74は複数の開口部76a−76dを含み、この機能については、以下で更に明らかとなろう。更に、液体分配器40は、液体分配器40の下部分に配置された複数の遮断壁78を含む(例えば図4を参照)。これら遮断壁78の機能についても以下で更に明らかとなろう。
【0053】
分注スパウト18の底部部分38は図6に示される。この底部部分38は、幾つかのチャンバ、即ち、中心チャンバ80、複数の中間チャンバ82及び外側チャンバ84を含む。液体分配器40は中心チャンバ80内に配置される。第2の出口開口部54は中間チャンバ82内に配置されている。第3の出口開口部56は外側チャンバ84内に配置されている。中間チャンバ82及び外側チャンバ84のそれぞれは、開口部86、88を通じて中心チャンバ80に接続されている。開口部86は中心チャンバ80を中間チャンバ82に接続する。開口部88は中心チャンバ80を外側チャンバ84に接続する。
【0054】
ここで、液体分配器40の機能が図7乃至図10を参照して説明される。図7乃至図10は、分注スパウト18の4つの異なる設定、特に、液体分配器40の4つの異なる設定を示す。これら設定は、分注スパウト18の本体34に対する液体分配器40の位置において互いに異なる。これら設定のそれぞれにおいては、液体は分注スパウト18内を異なる状態で流れる。分注スパウト18は、液体分配器40が中心軸線52の周りにおいて回転することを可能にするアクチュエータ90を含む。分注スパウト18の第1の実施形態によれば、このアクチュエータ90は手動アクチュエータとして実施される。アクチュエータ90はハンドル要素92を含み、ハンドル要素92によって、液体分配器40は手動で回転されてもよい。ハンドル要素92は、第1の実施形態によれば、液体分配器40と一体的に形成される。ハンドル要素92は、シャフト94を含み(図5を参照)、このシャフト94に、液体分配器40のディスク64が直に接続されている。このシャフト94はハンドル要素92の下部分を構成する。シャフト94は中空シャフトとして実現され、出口路96(図5を参照)を含む。出口路96は、第1の液体出口42の一部であり、第1の出口開口部50内で終端する。示される実施形態によれば、セパレータ要素58及びアクチュエータ90は液体分配器40の一体部品であることに留意すべきである。
【0055】
図7は、分注スパウト18の第1の設定を斜視図(図7A)及び平面図(図7B)で示す。この第1の設定においては、液体は第1の液体出口42を通じて淹出チャンバ20内に分注される。図7に示される液体分配器40の位置は、本明細書中では、「第1の位置」として示される。この第1の位置においては、分注スパウト18の液体入口32は液体分配器40によって第1の液体出口42に以下の手法で流体的に接続される。即ち、液体はまず液体入口32を通じて分注スパウト18に入る。液体は、その後、開口部76aを通じて本体34の上部隔室60に入る。上部隔室60から、液体は、ディスク64の上を、出口路96の中心に配置された入口98に向かって流れる。液体は、その後、出口路96内を流れ、最終的に、第1の出口開口部50を通じて分注スパウト18を出る。既に上で述べたように、これにより最も濃い味の淹出飲料ができる。
【0056】
図8は、分注スパウト18の第2の設定を斜視図(図8A)及び平面図(図8B)で示す。この第2の設定においては、液体分配器40はその第2の位置に配置されている。液体分配器40のこの第2の位置においては、液体は、第2の液体出口44を通じて、即ち、複数の第2の出口開口部54を通じて淹出チャンバ20内に分注される。分注スパウト18の液体入口32は、それに加えて、第2の液体出口44に以下の手法で流体的に接続される。即ち、液体は液体入口32を通じて分注スパウト18に入る。その後、液体は、開口部76bを通じて本体34の上部隔室60に入る。上部隔室60から、液体は、第1のフロースルー開口部66内を流れることによって本体34の下部隔室62へと直接下方に流れる。図8Aに見られるように、液体分配器40の遮断壁78は液体分配器40の第2の位置において開口部88を遮断する。これに対し、液体分配器40のこの位置において開口部86は遮断されない。中心チャンバ80は、従って、中間チャンバ82に流体的に接続される一方で、中心チャンバ80から外側チャンバ84への流路は遮断壁78によって遮断される。本体34の下部隔室62に入る流体は、従って、開口部86を通じて中間チャンバ82内に流れ、その後、第2の出口開口部54を通じて分注スパウト18を出る。上に説明したように、これにより、中間レベルの濃度の淹出飲料ができる。
【0057】
図9は、分注スパウト18の第3の設定を斜視図(図9A)及び平面図(図9B)で示す。分注スパウト18のこの第3の設定においては、液体分配器40はその第4の位置に配置されている。液体分配器40のこの第4の位置においては、液体入口32は液体分配器40によって第3の液体出口46に以下の手法で流体的に接続される。即ち、液体は液体入口32を通じて分注スパウト18に入る。その後、液体は開口部76bを通じて(図8に示される液体分配器40の第2の位置と同じ開口部76bを通じて)本体34の上部隔室60に入る。しかしながら、図8図9を比較すると、図9では液体分配器40が図8よりも更に僅かに回転しているのを見ることができる。開口部76bに入る液体は、液体分配器40の第4の位置において、再度、フロースルー開口部66を通じて本体34の下部隔室62へと下方に直接流れる。しかしながら、この場合、遮断壁78は開口部88を遮断せず、開口部86を遮断する。液体分配器40の第4の位置においては、中心チャンバ80は、従って、外側チャンバ84に流体的に接続される一方で、中間チャンバ82への流路は遮断される。液体は、従って、液体が最終的に第3の出口開口部56を通じて分注スパウト18を出るように、中心チャンバ80の下部隔室62から外側チャンバ84内に流れる。上に説明したように、これにより、最も低い濃度の淹出飲料ができる。
【0058】
図10は、液体分注スパウト18の第4の設定を斜視図(図10A)及び平面図(図10B)で示す。この第4の設定においては、液体分配器40はその第3の位置に配置されている。液体分配器40のこの第3の位置は分注スパウト18の洗浄又は脱灰において特に有利である。なぜなら、この場合、液体は全ての3つの液体出口42、44、46を通じて、即ち、全ての出口開口部50、54、56を通じて分注されるからである。換言すると、この場合、液体入口32は、液体分配器40によって第1の液体出口42、第2の液体出口44及び第3の液体出口46に以下の手法で流体的に接続される。即ち、液体は液体入口32を通じて分注スパウト18に入り、その後、本体34の上部隔室60に向かって流れる。液体は開口部76c及び開口部76dを通じて上部隔室60に入る。開口部76cに入る液体は第2のフロースルー開口部68を通じて本体34の下部隔室62へと下方に直接流れ、その後、中間チャンバ82及び外側チャンバ84へと流れる。図10Aに見られるように、両開口部86、88は、それに加え、少なくとも部分的に開いている。開口部76cに入る液体は、従って、最終的に、第2の出口開口部54及び第3の出口開口部56を通じて分注スパウト18を出る。最終的に、残りの液体が第1の出口開口部50を通じて分注スパウト18を出てもよいように、残りの液体は開口部76dを通じて本体34の上部隔室60に入り、その後、図7を参照して説明したのと類似の手法で第1の出口開口部50に向かって流れる。即ち、ディスク64上を出口路96の入口98へと流れる。
【0059】
図11乃至図15は、分注スパウト18の第2の実施形態を示す。第2の実施形態による分注スパウトは参照符号18’によって示される。第2の実施形態による分注スパウト18’の技術的原理は第1の実施形態による分注スパウト18に類似する。従って、この2つの実施形態の間の違いのみが詳述される。第2の実施形態による分注スパウト18’は、主に、液体分配器40’の技術的設計及び分注スパウト18’の本体34’の底部部分38’の技術的設計において第1の実施形態による分注スパウト18と異なる。
【0060】
液体分配器40’は、ここでも、セパレータ要素58’に直接接続されたハンドル要素92’を含む。このセパレータ要素58’はディスク64’を含む。ディスク64’は実質的に環の形状を有する。第1の実施形態によるディスク64とは対照的に、第2の実施形態によるディスク64’は、複数の環状扇形切抜部を含まず、その代わりに、示される例では円の形状を有する(例えば図13を参照)3つのフロースルー開口部100を含む。ディスク64’は、ここでも、分注スパウト18’の本体34’の内部を上部隔室と下部隔室とに分割する。
【0061】
分注スパウト18’の底部部分38’は、また、中心チャンバ80’と、複数の中間チャンバ82’と、複数の外側チャンバ84’と、を含む。例えば図14に見られるように、これらチャンバ80’、82’、84’の形状は分注スパウト18の第1の実施形態に示されるチャンバ80、82、84とは異なる。チャンバ80’、82’、84’は幾つかの分割壁102a、102b、102cによって互いに分離される。何れのチャンバ80’、82’、84’も他のチャンバの1つに流体的に接続されていない。中心チャンバ80’は分割壁102aによって複数の中間チャンバ82’から隔てられている。複数の中間チャンバ82’は分割壁102b及び分割壁102cによって外側チャンバ84’から隔てられている。
【0062】
液体分配器40’を中心軸線52の周りにおいて回転させることによって、分注スパウト18’に入る液体を第1の液体出口42’、第2の液体出口44’又は第3の液体出口46’の何れかに選択的に分配することが依然として可能である。分注スパウト18’の第2の実施形態においては、第2の液体出口44’は、依然として、複数の第2の出口開口部54’を含み、第3の液体出口46’は複数の第3の出口開口部56’を含む(例えば図11を参照)。
【0063】
図15A乃至図15Cは、分注スパウト18’の3つの異なる設定を示す。
【0064】
図15Aに示される第1の設定においては、液体は第1の液体出口42’の第1の出口開口部50’を通じて淹出チャンバ20内に分注される。この場合、液体は液体入口32’を通じて分注スパウト18’に入り、ディスク64’に向かって流れ、フロースルー開口部100を通じて中心チャンバ80’に入り、最終的に、第1の出口開口部50を通じて分注スパウト18’を出る。
【0065】
図15Bは、分注スパウト18’の第2の設定を示す。この第2の設定においては、液体が第2の出口開口部54’を通じて淹出チャンバ20に注入されるように、液体入口32’は第2の液体出口44’に流体的に接続されている。この場合、液体は液体入口32’を通じて分注スパウト18’に入り、ディスク64’に向かって流れ、フロースルー開口部100を通じて複数の中間チャンバ82’に入り、最終的に、第2の出口開口部54’を通じて分注スパウト18’を出る。
【0066】
図15Cは、分注スパウト18’の第3の設定を示す。この第3の設定においては、液体は第3の液体出口46’を通じて淹出チャンバ20内に分注される。分注スパウト18’の液体入口32’に入る液体は、この場合、ディスク64’に向かって流れ、フロースルー開口部100を通じて外側チャンバ84’に入り、最終的に、第3の出口開口部56’を通じて分注スパウト18’を出る。液体分配器40’の第3の位置(分注スパウト18の第1の実施形態によるような)は分注スパウト18’の第2の実施形態によれば存在しない。
【0067】
本発明は図面及び前述の記載で詳細に図示され且つ記載されてきたが、こうした図示及び記載は説明的又は例示的であると考えられ、限定ではない。即ち、本発明は開示される実施形態に限定されない。当業者には、請求される発明の実施において、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示される実施形態以外の変形形態が理解及び実施され得る。
【0068】
特許請求の範囲では、「含む(comprising)」という語は他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除しない。単一の要素又は他のユニットが特許請求の範囲に列挙される幾つかの物品の機能を満足してもよい。特定の施策が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実はこれら施策の組み合わせが効果的に使用され得ないことを示すものではない。
【0069】
特許請求の範囲の任意の参照符号は範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C