【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様においては、
−淹出チャンバと、
−淹出チャンバ内に液体を分注するための分注スパウトであって、
分注スパウトが、
(i)液体入口と、
(ii)中心軸線と、少なくとも(a)第1の出口開口部を有する第1の液体出口と、(b)複数の第2の出口開口部を有する第2の液体出口と、を有し、第2の出口開口部が第1の出口開口部よりも中心軸線から遠い距離を有する、本体と、
(iii)液体入口を選択的に第1の出口開口部又は複数の第2の出口開口部に流体的に接続するための液体分配器と、
(iv)本体に対する液体分配器の位置を少なくとも第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間で変更するためのアクチュエータであって、第1の位置では液体入口が第1の出口開口部に流体的に接続され、第2の位置では液体入口が複数の第2の出口開口部に流体的に接続され、第3の位置では液体入口が第1の出口開口部及び複数の第2の出口開口部に流体的に接続される、アクチュエータと、
を含む、分注スパウトと、
を含み、
液体分配器が、本体の内部を少なくとも上部隔室と下部隔室とに分割するセパレータ要素を含み、セパレータ要素が少なくとも1つのフロースルー開口部を含み、少なくとも1つのフロースルー開口部によって、上部隔室が下部隔室に接続される、
飲料マシンが提供される。
【0011】
本発明の第2の態様においては、飲料マシンのための分注スパウトであって、分注スパウトが、
(i)液体入口と、
(ii)中心軸線と、少なくとも(a)第1の出口開口部を有する第1の液体出口と、(b)複数の第2の出口開口部を有する第2の液体出口と、を有し、第2の出口開口部が第1の出口開口部よりも中心軸線から遠い距離を有する、本体と、
(iii)液体入口を選択的に第1の出口開口部又は複数の第2の出口開口部に流体的に接続するための液体分配器と、
(iv)本体に対する液体分配器の位置を少なくとも第1の位置と、第2の位置と、第3の位置との間で変更するためのアクチュエータであって、第1の位置では液体入口が第1の出口開口部に流体的に接続され、第2の位置では液体入口が複数の第2の出口開口部に流体的に接続され、第3の位置では液体入口が第1の出口開口部及び複数の第2の出口開口部に流体的に接続される、アクチュエータと、
を含み、
液体分配器が、本体の内部を少なくとも上部隔室と下部隔室とに分割するセパレータ要素を含み、セパレータ要素が少なくとも1つのフロースルー開口部を含み、少なくとも1つのフロースルー開口部によって、上部隔室が下部隔室に接続される、
分注スパウトが提供される。
【0012】
本発明の好適な実施形態は従属請求項に定義される。本発明の第2の態様による分注スパウトは、請求される飲料マシン及び従属請求項に定義されるものと類似の及び/又は同一の好適な実施形態を有することは理解されよう。
【0013】
示される飲料マシンは、本明細書中では第1の液体出口及び第2の液体出口と示される少なくとも2つの液体出口を有する。これら液体出口のそれぞれは、分注スパウトの下面に配置された1つ以上の出口開口部を含んでもよい。飲料マシンの使用時、分注スパウトの下面は淹出チャンバに面する。液体、例えば、湯は、従って、第1及び/又は第2の液体出口を通じて分注スパウトを出てもよく、その後、淹出チャンバ内に滴ってもよい。
【0014】
淹出チャンバは、通常、フィルター、例えば、コーヒー又は茶フィルターのための実質的に円錐形状の受器を含む。抽出可能な食品製品、例えば、挽いたコーヒー又は茶はフィルターと共にこの受器内に配置されてもよい。分注スパウトを出た液体は抽出可能な食品製品及びフィルター内を流れ、これにより、飲料、例えば、コーヒー又は茶を抽出し、その後、淹出チャンバから消費者の容器、例えば、ポット又はカップへと流れる。
【0015】
示される飲料マシンの核となる特徴の1つは、第1の液体出口又は第2の液体出口の何れかを通じて淹出チャンバ内に液体を分注することを可能にする液体分配器である。分注スパウトにその液体入口にて入る液体が第1の液体出口又は第2の液体出口の何れかを通じて分注スパウトを出るように、液体分配器は分注スパウト内部に液体を分配する。分注スパウトは、また、更なる液体出口、例えば、第3の液体出口を含んでもよいことに留意されたい。これについては以下に更に説明される。
【0016】
液体分配器の主な利点はその固有の液体分配機能であり、この液体分配機能によって、作成される飲料の濃度及び味が調節されてもよい。液体分配器が第1の設定において液体を第1の液体出口に向かって案内する場合、作成される又は淹出される飲料(例えばコーヒー又は茶)は、液体が第2の液体出口を通じて分注スパウトを出たかのように濃度がより高くなる。この差の理由は、米国特許第6,779,437B2号で説明されたものと同じである。第2の液体出口は、第1の液体出口よりも分注スパウトの中心軸線から遠い距離を有する。第2の液体出口は、従って、分注スパウトの中心から更に離れている。第2の液体出口を出る液体は、従って、第1の液体出口を出る液体よりも淹出チャンバの中心から更に離れた距離においてフィルター内を流れる。第1の設定(液体が第1の液体出口を通じて出る)では、このため、液体は、生じる飲料の濃度がより高くなるように、より多くの材料/量の抽出可能な食品製品(例えば、挽いたコーヒー又は茶)に接する。第2の設定(液体が第2の液体出口を通じて出る)では、液体がより少ない材料/量の抽出可能な食品製品に接することで、より濃度の低い飲料ができるように、液体はフィルターの外周部により近い距離、即ち、フィルターの中心から更に離れた距離にて淹出チャンバ内に滴る。一実施形態においては、液体分配器は液体入口を第1の液体出口及び第2の液体出口の両方に流体的に接続することも可能である。
【0017】
消費者は、従って、液体分配器を異なる設定の間で単に切り換えることによってコーヒーの濃度及び味を容易に調節する機会を有する。フィルターに入れられる抽出可能な食品製品の量の正確な調節はもはやそれほど重要ではない。
【0018】
液体分配器のその異なる設定の間での切り換えは、様々な手法で、例えば、電動又は手動で実施されてもよい。消費者は液体分配器及びそれが機能する手法に注意を払うことさえない可能性がある。これにより、使用者にとって非常に使い易く、取り扱いが簡単な飲料マシンとなる。
【0019】
液体分配器は、好ましくは、分注スパウトの本体の内部に配置されている。濃度/味設定の変更は、分注スパウトの本体内の液体分配器の位置を変更することによって行われてもよい。液体分配器の位置はアクチュエータによって変更されてもよい。このアクチュエータは、使用者が、例えば、ボタンを押してもよく、液体分配器がその位置を自動的に変更するような電気式アクチュエータを含んでもよい、又は使用者が液体分配器の位置を手動で変更することを可能にする機械式アクチュエータを含んでもよい、の何れかである。
【0020】
米国特許第6,779,437B2号に示されるマシンと比較した場合における、本明細書中に示される飲料マシンの主な利点は、液体分配器の技術的設計によるものである。本明細書中に示される液体分配器は、液体を分注スパウト内に均等に分配することを可能にする。第2の液体出口の複数の第2の出口開口部を通じて液体が分注スパウトを出る第2の設定では、ほぼ同じ量の液体が複数の第2の出口開口部のそれぞれを通じて出る。これにより、淹出チャンバ内における均等な液体の分配を保証する。
【0021】
液体分配器は、本体の内部を、少なくとも2つの階層、即ち、本明細書中では上部隔室と示される第1の階層と、本明細書中では下部隔室と示される第2の階層とに分割するセパレータ要素を更に含む。好適な実施形態においては、セパレータ要素及びアクチュエータは液体分配器の一体部品である。セパレータ要素は、上部隔室を下部隔室と流体的に接続してもよい少なくとも1つのフロースルー開口部を更に含む。分注スパウトの本体は、蓋と底部部分とを含み、共に基部本体の内部の中空を画定する。上部隔室は、蓋とセパレータ要素との間に配置され、下部隔室は、セパレータ要素と底部部分との間に配置される。本体に対する液体分配器の位置に応じて、少なくとも1つのフロースルー開口部は上部隔室を下部隔室と接続させる。液体は、従って、液体入口を通じて分注スパウトに入ってもよく、その後、上部隔室へと流れる。注入された液体の一部又は全ては、その後、液体が更に液体出口の1つに向かって流れる前に上部隔室内に回収される。これにより、実質的に均一な流れの分配を保証する。
【0022】
液体分配器の第1の設定では、液体は上部隔室から出口路を通じて第1の液体出口へと流れる。この出口路は、分注スパウトの中心軸線の近傍に又は中心軸線に沿って配置されることが好ましく、液体分配器の内部に組み込まれることが好ましい。これについては更に以下により詳述される。液体分配器の第2の設定では、液体は上部隔室から少なくとも1つのフロースルー開口部を通じて下部隔室へと流れる。そこから、液体は下部隔室内で均一に分配され、最終的に、第2の液体出口の複数の第2の開口部を通じて分注スパウトを出る。少なくとも1つのフロースルー開口部には、従って、(第1の設定ではなく)第2の設定において注入された液体のみがアクセス可能である。
【0023】
液体分配器の位置もまた第3の位置に変更されてもよい。第3の位置においては、液体入口は同時に第1の液体出口と第2の液体出口とに流体的に接続される。分注スパウトが第3の液体出口も含む場合、液体入口はまた、液体分配器のこの第3の位置において、第3の液体出口にも接続される。換言すると、液体入口は、従って、液体分配器の第3の位置において、同時に第1の液体出口と、第2の液体出口と、第3の液体出口とに流体的に接続される。
【0024】
この場合、液体は全ての出口を通じて分注スパウトを同時に出る。このモードは分注スパウトの洗浄及び脱灰において特に有利である。なぜなら、液体は、その後、分注スパウト内部の全ての部分及びチャンバに分配されるからである。これにより非常に簡単な洗浄が可能になる。分注スパウトの洗浄を更に容易にするために、液体分配器は、分注スパウトから取り外し可能となるように設計されることが好ましい。閉塞した場合、使用者は、従って、分注スパウトの全ての部品が別個に洗浄され得るように、分注スパウトの蓋を簡便に開き、液体分配器を取り出してもよい。
【0025】
一実施形態によれば、セパレータ要素はディスクを含み、このディスクを少なくとも1つのフロースルー開口部が貫通する。
【0026】
このディスクは、分注スパウトの本体の中心軸線に対し垂直に配置されることが好ましい。幾つかの直立壁がディスクの周縁部を囲んでもよい。これら直立壁は、好ましくは、ディスクの上面に対し垂直に配置される、即ち、分注スパウトの本体の中心軸線に対し平行に配置される。
【0027】
第1の代替形態においては、ディスクは実質的に環の形状を有し、少なくとも1つのフロースルー開口部は環状扇形切抜部の形状(annulus sector cut−out)を有する。第2の代替形態においては、実質的に環形状のディスクは、複数のフロースルー開口部、例えば、ディスク内に突出する複数の円形穴を含む。
【0028】
更なる改良形態(refinement)においては、アクチュエータは、中心軸線の周りにおいて液体分配器を回転させるためのハンドル要素を含む。
【0029】
ハンドル要素は、好ましくは、中心軸線の周りにおいて液体分配器を回転させるために、液体分配器の位置を手動で変更するためのグリップを含んでもよい。液体分配器を回転させることによる異なる濃度及び/又は味設定間で切り換えが機械的に簡単な手法で保証されてもよい。第1に、これは使用者にとって取り扱いが簡単である。第2に、それに加えて複雑な機構は必要ないため、製造コストが節約され得る。ハンドル要素は、しかしながら、また、電気的に回転させてもよい。
【0030】
更なる改良形態においては、アクチュエータの少なくとも一部が液体分配器と一体形成されている。
【0031】
この改良形態は、可能な限り少ない部品を備える安定的且つ機械的に剛性のある構造を保証する。液体分配器はアクチュエータのハンドル又はハンドルの部品と一体形成されてもよい。液体分配器は分注スパウトの本体内に固定的に配置されないことが好ましい。
【0032】
更なる改良形態においては、ハンドル要素はシャフトを含み、ディスクはシャフトに接続され、シャフトに対し横断的に、好ましくは垂直に配置されている。
【0033】
ディスクは、従って、ハンドル要素の少なくとも一部を形成するシャフトと直に接続されている。ハンドル要素及びディスクは、また、一体部品を形成してもよい。ハンドル要素とディスクとの間のこうした直接接続により、ディスクを中心軸線の周りにおいて手動で容易に回転させて、液体分配器の少なくとも2つの設定の間で切り換えることが可能になる。
【0034】
更なる改良形態においては、第1の液体出口は、シャフトの中空内に配置された出口路を含む。
【0035】
換言すると、シャフトは中空シャフトである。液体分配器の第1の設定においては、液体は、従って、液体入口から上部隔室に、及び上部隔室から中空シャフトを通り第1の出口開口部に流れてもよい。これにより、分注スパウトの本体の中心軸線の近接に第1の出口開口部を配置することが可能になる。更には、第1の出口開口部を分注スパウトの本体の中心に直接配置することが可能である。これによりまた、最大濃度の淹出飲料ができる。第1の液体出口は、また、分注スパウトの本体の中心軸線の近傍に配置された複数の第1の出口開口部を含んでもよいことは理解されよう。
【0036】
更なる改良形態においては、本体は、第2の液体出口よりも中心軸線から遠い距離を有する第3の液体出口を更に含み、液体分配器は、液体入口を選択的に第1の液体出口、第2の液体出口又は第3の液体出口に流体的に接続するように構成される。
【0037】
この改良形態は、更に、合計3つの異なる濃度及び味レベルが実現されてもよいように、液体分配器の第3の設定を可能にする。
【0038】
第2の液体出口は、好ましくは、複数の第2の出口開口部を含み、第3の液体出口は、好ましくは、また、複数の第3の出口開口部を含む。一実施形態においては、第2の出口開口部及び第3の出口開口部は、分注スパウトの本体の中心軸線の周りに同心円状に配置されている。これにより、液体分配器の第2の設定及び第3の設定において、淹出チャンバ内における均等な液体の分配を保証する。
【0039】
更なる改良形態においては、本体は、本体の内部内に、中心チャンバと、1つ以上の中間チャンバと、1つ以上の外側チャンバと、を含み、第2の出口開口部は、1つ以上の中間チャンバ内に配置され、第3の出口開口部は1つ以上の外側チャンバ内に配置される。
【0040】
全てのチャンバは、分注スパウトの底部部分に組み込まれることが好ましい。チャンバは、分注スパウトの下面に対し好ましくは垂直に延びる分離壁によって互いに分離されることが好ましい。一実施形態においては、上述の液体分配器は中心チャンバ内に配置されている。この場合、セパレータ要素は中心チャンバを上部隔室と下部隔室とに分割する。セパレータ要素を中心軸線の周りにおいて回転させることによって、中心チャンバは中間チャンバ(第2の出口開口部が配置される)又は外側チャンバ(第3の出口開口部が配置される)の何れかに流体的に接続可能である。このようにして、分注スパウトの液体入口はセパレータ要素のフロースルー開口部を通じて中間チャンバの第2の出口開口部又は外側チャンバの第3の出口開口部の何れかに流体的に接続される。液体分配器の第1の設定においては、上で説明したように、分注スパウトの液体入口は中間チャンバにも外側チャンバにも接続されず、ハンドル要素の中空シャフト内に配置された第1の液体出口のみに接続される。
【0041】
更なる改良形態においては、アクチュエータは、液体分配器の位置を段階的な手法で変えることを可能にするラッチング機構を含むことが好ましい。
【0042】
液体分配器は、従って、2つ、3つ又は4つの上述の位置の間で段階的に回転させてもよい。ラッチング機構はハンドル要素に接続され得る、又はハンドル要素の一部であってもよい。しかしながら、ラッチング機構は、また、それがアクチュエータに機能的に又は機械的に接続される限りは飲料マシン内の別の場所に配置されてもよい。ラッチング機構は、アクチュエータが選択された位置の1つに留められると即座に固有のフィードバックを使用者に与える。これにより、使用者が異なる位置の間で切り換える際に取り扱いが容易になる。
【0043】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになると共に、それらを参照して説明される。