特許第6559684号(P6559684)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559684圧力変換器及び送給ポンプの速度制御を伴う膜分離法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559684
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】圧力変換器及び送給ポンプの速度制御を伴う膜分離法
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/12 20060101AFI20190805BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20190805BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20190805BHJP
   B01D 61/06 20060101ALI20190805BHJP
   B01D 61/10 20060101ALI20190805BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20190805BHJP
   F04B 1/22 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   B01D61/12
   B01D61/02 500
   B01D61/08
   B01D61/06
   B01D61/10
   C02F1/44 G
   F04B1/22
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-543409(P2016-543409)
(86)(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公表番号】特表2016-531751(P2016-531751A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(86)【国際出願番号】EP2014069980
(87)【国際公開番号】WO2015040153
(87)【国際公開日】20150326
【審査請求日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】102013218965.6
(32)【優先日】2013年9月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ゴレムビィウスキ,ヴォイチェフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーラント,アンドレアス
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0203987(US,A1)
【文献】 米国特許第07988428(US,B1)
【文献】 独国特許出願公開第102011116864(DE,A1)
【文献】 特開2000−154775(JP,A)
【文献】 特開2000−064950(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0269687(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102010052067(DE,A1)
【文献】 特開2013−199837(JP,A)
【文献】 米国特許第05482441(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/12
B01D 61/02
B01D 61/06
B01D 61/08
B01D 61/10
C02F 1/44
F04B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の供給流れ(1)が、逆浸透膜濾過(RO)を行うように構成された膜装置(2)によって浸透流れ(4)及び残留流れ(5)に分離され、
前記残留流れ(5)の少なくとも一部が、第1の容積式移送装置(8)によって、画定された容積移送量として前記膜装置(2)から排出されるようになっており、
前記供給流れ(1)が、前記残留流れ(5)の圧力エネルギーを前記第1の容積式移送装置(8)と一緒になって前記供給流れ(1)に伝達できるように構成された第2の容積式移送装置(7)によって画定された容積移送量として前記膜装置(2)に送給される一部(6)と、送達ユニット(10)によって前記膜装置(2)に送給される一部(9)とに分割されるようになっており、
前記第2の容積式移送装置(7)のシャフト機構(16)の回転速度に対する前記送達ユニット(10)のシャフト機構(11)の回転速度の比率を制御することによって、前記供給流れ(1)に対する前記浸透流れ(4)の比率である収率が制御可能になっている、液体処理の方法であって、
前記膜装置(2)から排出される前記容積移送量が、前記送達ユニット(10)及び前記第2の容積式移送装置(7)のそれぞれの回転速度を該回転速度の比率を一定に保ちながら増加及び/又は減少させることによって、変更されるようになっており、
ユニット(19)が、所望の前記収率の設定値に対する実値のズレを決定し、このズレに従って、前記送達ユニット(10)の回転速度及び/又は前記第2の容積式移送装置(7)の回転速度を変動させるようになっている、方法。
【請求項2】
前記膜装置(2)並びに前記第1及び第2の容積式移送装置(8,7)を有する液体処理のシステムにおける複数の運転モードを、処理される液体の生産率を互いに異ならせるように規定することであって、前記システムの制御系が、前記規定される運転モードに応じて前記回転速度の比率を改変させるようになっており、前記送達ユニット(10)のシャフト機構(11)の回転速度が、所望の前記浸透流れ(4)の量によって決定されるようになっていることが行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の容積式移送装置(8,7)のシャフト機構(16)が同一回転速度で運転されるようになっている、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記膜装置(2)に供給される容積移送量が前記膜装置(2)から排出される容積移送量と等しくなっている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
液体の供給流れ(1)を浸透流れ(4)及び残留流れ(5)に分離するように構成され、かつ逆浸透膜濾過(RO)を行うように構成された膜装置(2)と、
前記供給流れ(1)の一部(6)を供給するように構成される第2の容積式移送装置(7)と、
前記残留流れ(5)からエネルギーを回収するように構成される第1の容積式移送装置(8)と
を備える液体処理のシステムであって、
前記第1及び第2の容積式移送装置(8,7)が、一緒になって、前記残留流れ(5)の圧力エネルギーを前記供給流れ(1)に伝達できるように構成され、
前記第2の容積式移送装置(7)が、駆動に用いられる少なくとも1つの第1のシャフト機構(16)を有しており、
送達ユニット(10)が前記第2の容積式移送装置(7)と並列に配置されており、
前記送達ユニット(10)が、駆動に用いられる第2のシャフト機構(11)を有しており、
システムが、前記少なくとも1つのシャフト機構(11,16)の回転速度を変化させるように前記少なくとも1つのシャフト機構(11,16)に接続される装置(12,13,17,18)を有し、
システムが、前記少なくとも1つのシャフト機構(11,16)の回転速度の変化を制御するように構成されたユニット(19)を有しており、
前記供給流れ(1)が、前記第2の容積式移送装置(7)によって画定された容積移送量として前記膜装置(2)に送給される一部(6)と、前記送達ユニット(10)によって前記膜装置(2)に送給される一部(9)とに分割されるようになっており、
前記第2の容積式移送装置(7)のシャフト機構(16)の回転速度に対する前記送達ユニット(10)のシャフト機構(11)の回転速度の比率を制御することによって、前記供給流れ(1)に対する前記浸透流れ(4)の比率である収率が制御可能になっており、
前記ユニット(19)が、所望の前記収率の設定値に対する実値のズレを決定し、このズレに従って、前記送達ユニット(10)の回転速度及び/又は前記第2の容積式移送装置(7)の回転速度を変動させるようになっている、システム。
【請求項6】
前記分割された供給流れ(1)が、前記膜装置(2)に入る前に再び合流するようになっており、
前記システムが、前記分割される前の供給流れ(1)の温度、塩分濃度、圧力、及び流量と、前記再び合流した供給流れ(1)の圧力及び温度と、前記浸透流れ(4)の流量と、前記第1の容積式移送装置(8)に入る前の残留流れ(4)の圧力及び温度と、前記第1の容積式移送装置(8)から出た後の残留流れ(4)の圧力及び温度とを検出するように構成されるセンサを有しており、
該センサが前記ユニット(19)に接続されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの容積式移送装置(7,8)が、シリンダ(21,28)を有するドラム(20,27)を含んでおり、
該シリンダ内にピストン(22,29)が配置されている、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの容積式移送装置(7,8)が斜板(24,31)を有しており、
前記ピストン(22,29)がスライドシュー部材(23,30)に接続されており、
該スライドシュー部材が、斜板(24,31)に面する表面部を有している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記容積式移送装置(7,8)を互いに接続してモジュール式ユニットを形成する分配ブロック(25)が、前記容積式移送装置(7,8)間に配置されている、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の容積式移送装置(7)のシャフト機構(16)に駆動エネルギーを供給するように前記シャフト機構(16)に接続されるモータ(17)が前記モジュール式ユニットの外側に配置されている、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の供給流れを膜装置によって浸透流れ及び残留流れに分離し、残留流れの一部を、容積式移送装置によって、画定された容積移送量として膜装置から排出する液体処理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物質、例えば、塩を溶解させるか又は微細に分布された溶液とすることができる液体を処理することは、多くの製品水の製造にて必要とされており、膜分離法が特に有利とされている。なぜならば、この方法は、加熱を必要とせず、エネルギーに関して一般的に熱分離法よりも好ましいからである。かかる目的のために、液体の供給流れが膜モジュールに送給されて残留流れと浸透流れとに分割されるようになっており、分離プロセスにおいては、残留流れが膜によって保持され、浸透流れは膜を通過することとなる。
【0003】
膜を用いた方法による分離は、とりわけ、食品技術、生体技術、及び薬学において確立されてきており、用いられる膜の種類に依存して、個々の物質の選択的分離又は物質の特定の混合が可能となっている。
【0004】
分離をもたらす駆動力によって膜分離法には違いがある。本発明は、圧力駆動プロセスに関し、その装置においては、供給流れが膜モジュールを通るようになっている。この場合、装置は、半浸透膜の前に圧力を加えるようになっており、残留する物質の大きさは、膜の選択によって設定することができ、残留する分子の大きさに依存して、精密濾過、限外濾過、ナノ濾過、及び逆浸透膜濾過の違いが生まれる。
【0005】
本発明に係る方法及び本発明に係るシステムは、特に海水の淡水化について、逆浸透膜濾過を行なうことに特に有利であることが分かっている。液体に浸透圧を超える圧力を加えると、水分子が膜を通って拡散し、その一方で、溶存塩が残留する。そのため、残留分と呼ばれる塩溶液が片側に濃縮され、その一方で、浸透分と呼ばれる淡水化された飲料水が他の側にて得られることとなる。
【0006】
本発明は、容積式移送装置をエネルギー回収に用いるように構成された液体処理のシステムに関する。このような容積移送式システムにおいては、液体は自己充足式に送達されるようになっている。ここでは、圧力が残留流れから供給流れに伝達される。このような容積式移送装置は、小型から中型の海水淡水化システムに用いられる。なぜならば、これらの装置は、少量の流れであっても高圧を確実にもたらすからである。
【0007】
これらの容積移送式システムにおいて、得られる浸透流れは、一回転当たりの速度及び容積移送量に依存している。このようなシステムにおいて、収率の制御は、高圧部におけるバイパスバルブ又はドレインバルブによってのみ可能となっており、このような制御が、特別なエネルギー消費の増加をもたらすことになる。
【0008】
特許文献1においては、ポンプによって供給流れを膜ユニットに送る液体処理の方法が記載されている。かかる膜ユニットにおいては、供給流れは浸透流れと残留流れとに分離されるようになっている。また、評価ユニットが、プロセスデータから最小の特定エネルギー要件に基づいてシステムを運転する最適収率を計算するようになっている。
【0009】
特許文献2には逆浸透圧システムが記載されている。容積式ポンプが供給流れを膜ユニットに送達して、膜ユニットの処理後に、残留流れが、圧力回収ユニット内に流れるようになっている。圧力回収ユニットはモータに接続されており、該モータは容積式ポンプに接続されている。膜ユニット内に流入する供給流れの上流の圧力及び膜ユニットから流出する残留流れの下流の圧力がセンサによって測定され、容積式ポンプ及び圧力回収ユニットに接続されたモータの速度は、これらの圧力間の差に従って制御されるようになっている。収率の変動はバイパスバルブ又はドレインバルブによってのみ可能になっており、このことがエネルギー損失を生じさせることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011005964号明細書
【特許文献2】欧州特許第1986766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、容積移送式システムを用いながら柔軟かつエネルギー効率のよい運転を確実なものとする液体処理の方法を提供することにある。同時に、本発明の方法によれば、エネルギー損失及び流体損失を可能な限り小さく最適な運転点に設定することができる。本発明に係る方法は、種々の運転モード、例えば、コスト効率運転、エネルギー節約運転、又は膜保存運転を可能にすることを意図しており、これは、例えば、膜、エネルギー、及び化学薬品等による水の前処理の効率的な使用を含むものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、その目的は、供給流れが、容積式移送装置によって、画定された容積移送量として膜装置に送給される一部と、送達ユニットによって膜装置に送給される一部とに分割されるようになっており、容積式移送装置の速度に対する送達ユニットの速度の比率を変化させることによって、収率が変更されるようになっているという事実によって、達成されることになる。これらのシャフトの速度は、互いに独立して変動させることが可能になっている。
【0013】
本発明に係るシステムにおいては、容積式ポンプ及び送達ユニットは、いずれも駆動のための専用シャフトを有している。そのため、本発明に係るシステムにおいては、2つの回転機が供給流れを供給するように並列に並んで用いられることとなる。送達ユニットは、好ましくは、高圧ポンプ、好ましくは、遠心ポンプであるとよい。容積式移送装置は、容積式ポンプ、好ましくは、アキシャルピストンポンプであるとよい。
【0014】
また、システムの種々の運転モードによって、処理される液体の生産率を異ならせることも可能である。同一の膜面積を維持しながら、システムの圧力を増加させることによって浸透流れの量を増やすことを可能とする当該目的のために、例えば、システムの圧力の上昇に従って増加する流れを供給可能な可変容積式又は遠心ポンプが、送達ユニットとして用いられるとよい。同様に、送達ユニットの速度を低減させることによって、浸透流れの量を減らすことが可能となる。
【0015】
システムのエネルギー効率の高い運転モードによって、例えば、利用可能であれば、太陽エネルギー又は風力エネルギーを動力として用いることも可能である。
【0016】
送達ユニットは、容積式ポンプと平行に配置され、これによって、供給流れを、容積式ポンプを貫流する部分と送達ユニットを貫流する部分とに分割することが可能である。
【0017】
少なくとも1つのシャフトが、速度を変化させるように構成される装置に接続されている。この装置は、好ましくは、周波数変換機を有する電動モータであるとよい。システムは、速度変化をもたらすように構成されたユニットを有しており、これは、評価及び/又は開ループ及び/又は閉ループ制御ユニットとすることができる。
【0018】
可変送達ユニットを容積式ポンプと平行に配置することによって、2つの部分流の比率を選択的に分割することが可能になる。センサによって検出されたプロセスデータに基づき、システムの実状態を決定し、ユニットによって最適運転点に対して調整することができる。
【0019】
これによって、エネルギー損失及び流体損失の低い最適な運転点を設定することができる。液体処理システムを運転する本発明に係る方法によれば、種々の運転モード、例えば、エネルギー節約モード又は膜保存モードが可能である。
【0020】
本発明の有利な実施形態では、液体処理システムの収率は、容積式ポンプと平行に接続された送達ユニットの速度に対する容積式ポンプの速度の比率を変化させることによって、変更されるようになっている。送達ユニットと平行に接続された容積式移送装置の速度に対する送達ユニットの速度の比率によって、比較的大きなエネルギー損失を生じさせることなく、最適な収率を設定することができる。
【0021】
一旦最適な収率が達成されたのであれば、所望の排出量を設定することができる。このプロセスにおいては、互いに平行に接続された容積式移送装置と送達ユニットとの速度の比率は一定に保持され、全体の速度が増加又は低減されるようになっている。
【0022】
本発明の特に有利な実施形態においては、供給流れを供給するように構成される容積式移送装置、及び残留流れからのエネルギー回収を行なうように構成される容積式移送装置は、同一速度で運転されるようになっている。容積式移送装置のいずれも、好ましくは、共通のシャフト機構によって駆動されるようになっているとよい。シャフト機構は電動モータに接続され、その速度は変更可能になっている。
【0023】
本発明の有利な変更形態においては、少なくとも1つの容積式移送装置は、シリンダを有するドラムを含んでおり、該シリンダ内にピストンが配置されており、これは、アキシャルピストンポンプ及び/又はアキシャルピストンモータとすることができる。この実施形態においては、容積式移送装置が斜板を備えている。ピストンは、スライドシュー部材に接続されており、かつ斜板に面する表面部を有している。斜板は、固定されており、ピストンがドラムの回転運動中に種々の位置を取ることを確実なものにする。本発明の特に有利な実施形態においては、膜装置に供給される容積移送量が膜装置から排出される容積移送量に対応している。
【0024】
もしも、容積式移送装置の両方がモジュール式ユニット内に配置されたのであれば、それが有利であることが分かっている。好ましくは、分配ブロックがこれらの容積式移送装置間に配置されるようになっている。この分配ブロックは、液体流れを分配する中心構成要素を形成する。この目的のために、分配ブロックは、好ましくは、供給流れの入口及び出口と、残留流れの入口及び出口とを有するとよい。この構成においては、容積式移送装置を駆動する電動モータが、2つの容積式移送装置から成るモジュール式ユニット及びそれらの間の中心に配置された分配ブロックの外側に配置される。
【0025】
本発明のさらなる特徴及び利点は、図面に基づく例示的な実施形態の記載及び図面自体から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】海水淡水化に用いられるシステムの工程系統図である。
図2】容積式移送装置を備えるユニットの軸方向断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、海水淡水化用システムの工程系統図を示している。海水は、供給流れ1として膜装置2に送給されるようになっている。膜装置2は、供給流れ1を浸透流れ4と残留流れ5とに分離する半浸透性膜3を有している。図示されている実施形態では、浸透流れ4は飲料水となっており、残留流れ5は濃縮された海水となっている。
【0028】
膜装置2においては、逆浸透膜濾過(RO)が行われるようになっている。膜装置内の半浸透性膜3の前の圧力は浸透圧よりも高くなっている。
【0029】
供給流れ1の一部6は、容積式移送装置7によって、画定された容積移送量として膜装置2に送給されるようになっている。残留流れ5は、容積式移送装置8によって、画定された容積移送量として膜装置2から排出されるようになっている。
【0030】
本発明によれば、供給流れ1は分割され、供給流れ1の一部9が送達ユニット10によって膜装置2に送給され、一部6はまた容積式移送装置7を介して流れるようになっている。図示されている実施形態においては、送達ユニット10は、高圧ポンプとなっており、かつシャフト機構11を介してモータ12によって駆動されるようになっている。モータ12は周波数変換器13に接続されている。図示されている実施形態においては、容積式移送装置7はアキシャルピストンポンプとなっている。
【0031】
供給流れ1は、最初に、補助ポンプ14を介して流れ、次いで、部分流6と部分流9とに分割される。補助ポンプ14はモータ15によって駆動されるようになっている。
【0032】
図示されている実施形態においては、容積式移送装置7及び容積式移送装置8は、シャフト機構16によって接続されている。シャフト機構16の一端部に接続されているものは、周波数変換器18に接続された電動モータ17である。本発明によれば、送達ユニット10の速度及び/又は容積式移送装置7,8の速度は、種々の運転状態を設定するために変更されるようになっている。
【0033】
収率は、容積式移送装置7の速度に対する送達ユニット10の速度の比率を変化させることによって、変更されるようになっている。収率は、供給流れ1に対する浸透流れ4の比率である。
【0034】
図示されている実施形態においては、容積式移送装置7,8は、共通シャフト機構16によって同一速度で運転され、部分流6として供給される容積移送量は、残留流れ5として排出される容積移送量と等しくなっている。従って、浸透流れ4は、送達ユニット10によって供給される部分流9に正確に対応している。これによって、送達ユニット10の速度を変化させることによって、浸透流れ4、従って、収率を選択的に変更させることが可能である。もしも、この速度が増加したのであれば、浸透流れ4の量が増加し、収率が上昇することになる。もしも、送達ユニット10の速度が低下したのであれば。浸透流れ4の量が低下し、収率が減少することになる。
【0035】
本発明によれば、システムは、速度変化をもたらすように構成されたユニット19を有している。ユニット19は、信号を検出し、かつ信号を発する開ループ制御/閉ループ制御/評価ユニットとなっている。ユニット19は、周波数変換器13及び周波数変換器18に接続されている。センサが、システムの黒丸として示されている箇所に配置されている。これらのセンサによって、プロセスデータが、検出され、かつユニット19に伝達されるようになっている。プロセスデータは、システムの種々の箇所における温度及び/又は塩分濃度及び/又は圧力及び/又は流量となっている。従って、例えば、供給流れ1が2つの部分流9,6に分割される前に、供給流れ1の温度、塩分濃度、圧力、及び/又は流量が検出されることとなる。部分流9,6が膜装置2に入る前に再び合流した後、供給流れ1の圧力及び温度がさらに検出される。浸透流れ4の流量もまた測定される。残留流れ4が容積式移送装置8に入る前及び容積式移送装置8から出た後に、残留流れ5の圧力及び温度も測定される。これらのプロセスデータの全てが、電気信号としてユニット19に伝達されるようになっている。
【0036】
ユニット19は、プロセスデータから現在収率及び最適収率を計算する。アルゴリズムによって、ユニット19は、システムを最小エネルギー要件によって運転することができる設定値として、最適収率をさらに決定する。設定値に対する実値のズレが制御差をもたらすことになる。この制御差に依存して、ユニット19は、送達ユニット10の速度及び/又は容積式移送装置7,8の速度を変化させる。これによって、収率を選択的に変更し、該収率をその最適な運転点に適合させることができる。本発明に係るシステムにおいては、これは、それほど大きいエネルギー損失をもたらすことなく、達成することができる。なぜならば、従来の容積移送式方法と対照的に、収率を設定するためにバイパスバルブ又はドレインバルブが用いられないからである。
【0037】
2つの容積式移送装置7,8は、モジュール式ユニット内にて一体化されている。このユニットの軸方向断面が図2に示されている。モジュール式ユニットの中心構成要素は、2つの容積式移送装置7,8間に位置する分配ブロック25である。2つの容積式移送装置7,8及び分配ブロック25から成る小形モジュール式ユニットは、棒状要素を用いて一緒に保持されている。図示されている実施形態においては、棒状要素は、円形断面のバーとして実施されている。棒状要素は、少なくとも一端部に固定手段を有している。図示されている実施形態においては、固定手段は、雌ネジ山付きナットとして実施されている。ナットの雌ネジ山は、棒状要素の雄ネジ山にねじ込まれ、これによって、容積式移送装置7,8及び分配ブロック25を一緒に締め付け、ユニットを形成することになる。
【0038】
本発明によれば、図1に示されている電動モータ17は小形モジュール式ユニットの外側のシャフト端部に接続されている。また、電動モータ17は周波数変換機13に接続されている。
【0039】
分配ブロック25は、好ましくは、一体的に構成された分配ブロック25は、供給流れ1の一部6用の入口開口及び残留流れ用の入口開口を有している。分配ブロック25は、立方体状に構成されている。図示されていない供給流れ1の一部6用の出口開口は、供給流れ用の入口開口の反対側に位置している。残留流れ5用の出口開口は入口開口の反対側に位置している。
【0040】
図2は、残留流れ5からエネルギー回収を行なうために、容積式移送装置8を円周に沿って配置した複数(多数)のシリンダ21を備えるドラム20を有することを示している。ピストン22はシリンダ21内に配置されている。各ピストン22はスライドシュー部材23に接続されている。各スライドシュー部材23は斜板24に面する表面部を有している。これらの表面部はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成されている。この材料によって、残留流れ5内の一部の媒体によって斜板24とスライドシュー部材23との間の潤滑が可能になる。
【0041】
斜板24は、隣接する構成要素に固定して配置されている。この隣接する構成要素は、立方状輪郭を有し、その中心に円柱状構成要素が挿入される孔を有している。隣接する構成要素は孔を有しており、該孔内を通って棒状要素が突出している。入口開口を通って、残留流れ5がドラム20のシリンダ21内に流れる。これによって、ピストン22が軸方向に移動する。その結果、ドラム20の回転運動が生じることとなる。ドラム20は、シャフト機構16と共回転可能に接続されている。図示されている実施形態においては、シャフト機構16が複数の要素からなっている。
【0042】
制御ディスク26は分配ブロック25とドラム20との間に配置されている。制御ディスク26は円弧状開口を有している。ドラム20はシリンダ21と一緒に回転するようになっている。制御ディスク26内の円弧状開口に接続されたシリンダ21は、残留流れ5によって満たされ、該残留流れ5は開口を通って流れるようになっている。
【0043】
残留流れ5は、制御ディスク26の円弧状出口に接続されたシリンダ21から流出する。ドラム5は、この残留流れ5によって駆動されることになる。
【0044】
ドラム20の回転運動は、他の構成要素、例えば、電動モータを介設することなく、シャフト機構16によってドラム27に直接伝達される。
【0045】
ドラム27は、シャフト機構16に共同して回転可能となるように接続されている。ドラム27は、円周に沿って配置されたシリンダ28を有している。ピストン29は、シリンダ28内にて軸方向移動可能に取り付けられている。
【0046】
両ドラム20,27のシリンダ21,28の開口は、分配ブロック25の方に向けられている。
【0047】
分配ブロック25は、好ましくは、互いに空間的に分離された4つのチャンバを有しているとよい。残留流れ5を流入させるように構成されるチャンバ、残留流れ5を流出させるように構成されるチャンバ、供給流れ1の一部6を流入させるように構成されるチャンバ、及び供給流れ1の一部6を流出させるように構成されるチャンバが設けられている。
【0048】
これらのチャンバは互いに空間的に分離され、これによって、流れが混合されないことが確実になる。各チャンバがそれぞれの流れのための入口開口及び出口開口を有し、チャンバの2つが1つのドラム20のシリンダ21に面する開口を有し、かつ2つのチャンバが他のドラム27のシリンダ28に面する開口を有している場合に、このことが有利になることが分かっている。
【0049】
本発明の好ましい実施形態においては、分配ブロック25は、中心に配置された開口を有しており、該開口をシャフト機構16が貫通している。分配ブロック25の空間的に閉鎖されたチャンバが、この中心開口の周りに配置されている。
【0050】
各ピストン29はスライドシュー部材30に接続されている。スライドシュー部材30は、斜板31に面する表面部を有している。これらの表面部は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成されている。この材料によって、供給流れ内の媒体により静止部と可動部との間の潤滑が可能になる。
【0051】
斜板31は、隣接する構成要素に固定して接続されている。隣接する構成要素は、ディスク状輪郭を有しており、その中心に開口を有し、該開口を通って、円筒状構成要素が挿入されている。シャフト機構16は、この円筒状構成要素内に延在している。シャフト機構126の端部は電動モータ17用の接続部を有している。
【0052】
ドラム20は、残留流れ5によって移動可能に配置されている。回転運動は、シャフト機構16によってドラム27に伝達される。ドラム27の回転運動によって、ピストン29は、ドラム27のシリンダ28内において移動し、供給流れ1の一部6を送達する。供給流れ1の一部6は、開口を通って分配ブロック25に入るようになっている。制御ディスク32が、分配ブロック25とドラム27との間に配置されている。制御ディスク32は、円弧状入口開口及び円弧状出口開口を有している。制御ディスク32の入口開口及び出口開口は、制御ディスク26の入口開口及び出口開口に対して90°位置ずれしている。供給流れ1の一部6は、制御ディスク32の入口開口を通ってドラム27のシリンダ28内に流れるようになっている。この過程において、供給流れ2の一部6は、ピストン29の開口運動によって引き出される。シリンダ28を有するドラム27は継続して回転する。シリンダ28が制御ディスク32の出口開口に接続されているので、供給流れ1の一部6は、ピストン29によってシリンダ28から強制的に流出することになる。
【0053】
残留流れ5は、高圧でモジュール式ユニットに流入し、かつ低圧でモジュール式ユニットから流出する。供給流れ1の一部6は、低圧でモジュール式ユニットに流入し、高圧でモジュール式ユニットから流出する。このモジュール式ユニットにおいて、圧力が残留流れ5から供給流れ1の一部6に伝達されることになる。
【0054】
電動モータ17は、シャフト機構16を介してエネルギーを供給し、このエネルギーは、膜装置2内の圧力損失のために失われることになる。
【0055】
装置は通路を有しており、これらの通路のいくつかは孔の形態となっており、該孔を通って、残留流れ5の一部及び供給流れ1の一部が、それぞれ、静止構成要素と可動構成要素との間の隙間、例えば、静止斜板24,31とスライドシュー部材23,30の表面部との間の間隙に運ばれるようになっている。
図1
図2