特許第6559706号(P6559706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559706化学蒸着システム用の複合半径を有する保持ポケットを有するウェハキャリア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559706
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】化学蒸着システム用の複合半径を有する保持ポケットを有するウェハキャリア
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20190805BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20190805BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H01L21/205
   C23C16/458
   H01L21/68 N
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-566865(P2016-566865)
(86)(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公表番号】特表2017-510088(P2017-510088A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2015012884
(87)【国際公開番号】WO2015112969
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】61/931,966
(32)【優先日】2014年1月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508301928
【氏名又は名称】ビーコ インストルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン、サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】アーバン、ルーカス
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−501541(JP,A)
【文献】 特開2011−233865(JP,A)
【文献】 特開昭59−220917(JP,A)
【文献】 特開昭63−226025(JP,A)
【文献】 特開平08−078347(JP,A)
【文献】 特開平10−087394(JP,A)
【文献】 特開2006−013020(JP,A)
【文献】 特開2007−294942(JP,A)
【文献】 特開2010−027881(JP,A)
【文献】 特開2011−165697(JP,A)
【文献】 特開2013−222948(JP,A)
【文献】 特開2014−127612(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/196323(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
C23C 16/458
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学蒸着(CVD)により1つまたは2以上のウェハ上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムに使用するためのウェハキャリアであって、
中心軸に対して対称的に形成された本体であって、前記中心軸に対して垂直である略平坦な上面を含む前記本体と、
前記上面から前記本体内に凹設された複数のウェハ保持ポケットとを備え、前記複数のウェハ保持ポケットの各々は、
前記上面と略平行な底面と、
前記底面を囲むとともに、ウェハ保持ポケットの周縁を定義する周壁面とを含み、
各ウェハ保持ポケットは、前記中心軸に対して垂直である対応するウェハキャリアの径方向軸に沿って位置するポケット中心を有し、
各ウェハ保持ポケットについて、第1の曲率半径を有する第1の円弧は、第1の円弧中心の回りに形成されており、第2の曲率半径を有する第2の円弧は、第2の円弧中心の回りに形成されており、
各ウェハ保持ポケットは、前記中心軸に対して近位端と遠位端とを有し、各ウェハ保持ポケットの周縁において、前記第1の円弧は、前記近位端を形成し、前記第2の円弧は前記遠位端を形成し、
各ウェハ保持ポケットの周縁において、前記第1の円弧及び前記第2の円弧は、前記中心軸に対して前記ポケット中心よりも遠位の交差点で交差しており、前記第2の円弧は、
前記第1の曲率半径が、前記第2の曲率半径よりも小さいこと、
前記第1の円弧中心が、前記第2の円弧中心とは異なること
によって前記第1の円弧とは異なる、ウェハキャリア。
【請求項2】
記第1の円弧は、前記第1及び第2の円弧によって形成された周縁を有するウェハ保持ポケットに対応するウェハキャリアの前記径方向軸に関して対称的に位置している、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項3】
記第2の円弧は、前記第1及び第2の円弧によって形成された周縁を有するウェハ保持ポケットに対応するウェハキャリアの前記径方向軸に関して対称的に位置している、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項4】
記第1の円弧及び前記第2の円弧は、前記第1及び第2の円弧によって形成された周縁を有するウェハ保持ポケットに対応するウェハキャリアの前記径方向軸に関して各々対称的に位置している、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項5】
記第1の円弧は、前記第1及び第2の円弧によって形成された周縁を有するウェハ保持ポケットに対応するウェハキャリアの前記径方向軸に関して非対称的に位置している、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項6】
記第2の円弧は、前記第1及び第2の円弧によって形成された周縁を有するウェハ保持ポケットに対応するウェハキャリアの前記径方向軸に関して非対称的に位置している、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項7】
記第1の円弧及び前記第2の円弧は、前記第1及び第2の円弧によって形成された周縁を有するウェハ保持ポケットに対応するウェハキャリアの前記径方向軸に関して各々非対称的に位置している、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項8】
第1のウェハ保持ポケット及び第2のウェハ保持ポケットを更に備え、
共通のウェハ保持ポケットの前記第1の円弧の長さと前記第2の円弧の長さとの間の比率は、前記第1のウェハ保持ポケット及び前記第2のウェハ保持ポケットの間で異なる、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項9】
第1のウェハ保持ポケット及び第2のウェハ保持ポケットを更に備え、
共通のウェハ保持ポケットの前記第1の円弧の曲率半径と前記第2の円弧の曲率半径との間の比率は、前記第1のウェハ保持ポケット及び前記第2のウェハ保持ポケットの間で異なる、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項10】
各ウェハ保持ポケットの周縁は、CVD処理中にウェハが前記ウェハ保持ポケット内に位置するときに、ウェハの外縁と前記ウェハ保持ポケットの周縁との間の間隔が、ウェハの周囲の少なくとも50%に亘ってサイズにおいて略均一となるように構成されている、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項11】
各ウェハ保持ポケットの周縁は、CVD処理中にウェハが前記ウェハ保持ポケット内に位置するときに、ウェハの外縁と前記ウェハ保持ポケットの周縁との間の間隔が、ウェハの周囲の少なくとも75%に亘ってサイズにおいて略均一となるように構成されている、請求項1に記載のウェハキャリア。
【請求項12】
化学蒸着(CVD)により1つまたは2以上のウェハ上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムに使用するためのウェハキャリアを構成するための方法であって、
中心軸に対して垂直である略平坦な上面を含むように該中心軸に関して対称的な本体を形成すること、
前記上面から前記本体内に凹設された複数のウェハ保持ポケットを形成することを含み、前記複数のウェハ保持ポケットの各々は、
前記上面と略平行な底面と、
前記底面を囲むとともに、ウェハ保持ポケットの周縁を定義する周壁面とを含み、
各ウェハ保持ポケットは、前記中心軸に対して垂直である対応するウェハキャリアの径方向軸に沿って位置するポケット中心を有し、
各ウェハ保持ポケットについて、第1の曲率半径を有する第1の円弧は、第1の円弧中心の回りに形成されており、第2の曲率半径を有する第2の円弧は、第2の円弧中心の回りに形成されており、
各ウェハ保持ポケットは、前記中心軸に対して近位端と遠位端とを有し、各ウェハ保持ポケットの周縁において、前記第1の円弧は、前記近位端を形成し、前記第2の円弧は前記遠位端を形成し、
各ウェハ保持ポケットの周縁において、前記第1の円弧及び前記第2の円弧は、前記中心軸に対して前記ポケット中心よりも遠位の交差点で交差しており、前記第2の円弧は、
前記第1の曲率半径が、前記第2の曲率半径よりも小さいこと、
前記第1の円弧中心が、前記第2の円弧中心とは異なること
によって前記第1の円弧とは異なる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して半導体製造技術に関し、特に処理中に半導体ウェハ表面の温度むらを低減するための特徴を有する化学蒸着(CVD)処理および関連する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)およびその他の高性能装デバイス、例えばレーザダイオード、光検出器、電界効果トランジスタの製造において、化学蒸着(CVD)プロセスは通常、窒化ガリウムなどの材料を用いてサファイアまたはシリコン基板上に薄膜スタック構造を成長させるのに使用される。CVDツールは、注入ガスを基板(通常はウェハの形)上に堆積させて薄膜層を成長させる封止された環境であるプロセスチャンバーを含む。このような製造機器の現行製品の一例として、ニューヨーク州プレーンビューのビーコインストルメンツ社製のMOCVDシステムであるTurboDisc(登録商標)シリーズがある。
【0003】
所望の結晶成長を達成するために、温度、圧力、ガス流速などのいくつかのプロセスパラメータが制御される。異なる材料およびプロセスパラメータを使用して種々の層を成長させる。たとえば、III−V半導体などの化合物半導体から形成される素子は通常、有機金属化学蒸着(MOCVD)によって化合物半導体の連続する層を成長させることで形成される。このプロセスにおいてウェハは、高温で維持されつつ、通常、III族金属源としての金属有機化合物、およびウェハ表面を流れるV族元素源などのガスの組み合わせに晒される。一般的に、金属有機化合物とV族元素源を、窒素などの反応に感知できるほど参加しないキャリアガスと組み合わせる。III−V半導体の一例が窒化ガリウムであり、たとえばサファイアウェハなどの適切な結晶格子間隔を有する基板上で有機ガリウム化合物とアンモニアを反応させることによって形成することができる。ウェハは、窒化ガリウムと関連化合物の蒸着中、約1000〜1100℃の高温下に通常保たれる。
【0004】
結晶成長が基板表面での化学反応によって発生するMOCVDプロセスでは、所要の条件下での化学反応の進行を確保するために、プロセスパラメータを特に注意して制御しなければならない。プロセス条件のわずかな変動でも、デバイス品質と生産量に悪影響を及ぼす可能性がある。たとえば、窒化ガリウム・インジウム層が蒸着される場合、ウェハ表面の温度変動によって蒸着層の組成とバンドギャップに変動が生じる。インジウムの蒸着圧力は比較的高いため、表面温度が高いウェハ領域において、蒸着層は、インジウムの割合が低くなり、バンドギャップが大きくなる。蒸着層がLED構造のアクティブな発光層である場合、ウェハから形成されるLEDの発光波長が許容不能なほど変動する。
【0005】
MOCVDプロセスチャンバーにおいて、薄膜層が成長する半導体ウェハは、ウェハキャリアと称される高速回転カルーセル上に置かれ、半導体材料を蒸着させるべくウェハ表面が反応チャンバー内の雰囲気に均一にさらされる。回転速度は約1000RPMのオーダーである。通常、ウェハキャリアはグラファイトなどの高伝熱材料から機械加工され、炭化ケイ素などの材料の保護層で被覆されることが多い。各ウェハキャリアは1セットの円形の窪みまたはポケットを上面に有し、そこに個々のウェハが置かれる。普通、ウェハは各ポケットの底面に間隔をおいて支持されて、ウェハエッジの周囲にガスが流される。関連技術のいくつかの例が米国特許出願公開第2012/0040097号(特許文献1)、米国特許第8,092,599号(特許文献2)、米国特許第8,021,487号(特許文献3)、米国特許出願公開第2007/0186853号(特許文献4)、米国特許第6,902,623号(特許文献5)、米国特許第6,506,252号(特許文献6)、米国特許第6,492,625号(特許文献7)に示されており、それらの開示は引用により本願に組み込む。
【0006】
ウェハキャリアは、ウェハの露出面を有するウェハキャリアの上面が上方のガス配給装置に向くようにして、反応チャンバー内のスピンドルに支持される。スピンドルが回転すると、ガスが下方のウェハキャリアの上面に向けられて、ウェハキャリアの外周に向かって上面を流れる。使用済みガスは、ウェハキャリアの下方に位置するポートを通じて反応チャンバーから排出される。ウェハキャリアは、ウェハキャリアの底面の下方に位置する、通常は電気抵抗加熱素子である加熱素子によって所望の高温下に保たれる。これらの加熱素子はウェハ表面の所望の温度を超える温度を維持するが、ガス配給装置は通常、ガスの早期の反応を防ぐべく所望の反応温度を下回る温度を維持する。したがって、熱は加熱素子からウェハキャリアの底面へと移行して、上方へ流れてウェハキャリアを通り個々のウェハに至る。
【0007】
ウェハ上のガスの流れは、各ウェハの半径方向の位置に応じて変化し、最外部に配置されたウェハは、回転中の速度がより速いことにより、より高い流速に晒される。さらに、各個々のウェハは、キャリア上の他のウェハに対する幾何学的位置に応じて温度むら、即ち、コールドスポットおよびホットスポットを有することとなる。温度むらの形成に影響を与える変数のうちの1つに、ウェハキャリア内のポケットの形状がある。通常、ポケットの形状は、円形であり、単一の曲率半径を有する。ウェハキャリアが回転するにつれて、ウェハの最外側端部(即ち、回転軸からの最遠端)において実質的な求心力を受け、ウェハキャリアの個々のポケットの内壁に対してウェハが押圧されることとなる。このような状況下では、ウェハの外縁のあたりにはガスが流れず、ウェハの最外部の熱状態が上昇し、温度むらがより顕著となって、上記した問題がさらに悪化する。端部が平坦なウェハ(即ち、フラットウェハ)を設計することを含んで、ウェハの端部とポケットの内壁との間の間隔を増加することにより、温度むらを最小化するための取り組みがなされている。このウェハの平坦な部部分は、ガスが流れる間隔を形成し、ポケットの内壁と接触するポイントが減少して、温度むらを軽減することとなる。
【0008】
処理中の温度変動を最小化するためのシステム設計上の特徴に多くの努力が投じられてきた。しかしながら、多くの課題を提示する問題が今も残っている。実質的な求心力に晒されることを含んで、化学蒸着中にウェハが極度の状態に晒される場合、温度むらをより低減する改善された技術が引き続き必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0040097号
【特許文献2】米国特許第8,092,599号
【特許文献3】米国特許第8,021,487号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0186853号
【特許文献5】米国特許第6,902,623号
【特許文献6】米国特許第6,506,252号
【特許文献7】米国特許第6,492,625号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの局面は、化学蒸着(CVD)により1つまたは2以上のウェハ上にエピタキシャル層を成長させるためのシステムに使用するためのウェハキャリアに向けられている。ウェハキャリアは、中心軸に対して対称的に形成されるとともに、中心軸に対して垂直である略平坦な上面を含む本体を含む。複数のウェハ保持ポケットが、本体内に上面から凹設されており、各ウェハ保持ポケットは、上面と略平行な底面と、底面を囲むとともに、ウェハ保持ポケットの周縁を定義する周壁面とを含む。各ウェハ保持ポケットは、中心軸に対して垂直である対応するウェハキャリアの径方向軸に沿って位置するポケット中心を有する。各ウェハ保持ポケットは、少なくとも第1の円弧中心の回りに位置する、第1の曲率半径を有する第1の円弧と、第2の円弧中心の回りに位置する、第2の曲率を有する第2の円弧とにより形成される形状を有する周縁を有する。第2の円弧は、第1の曲率半径が、第2の曲率半径と異なること、第1の円弧中心が、第2の円弧中心とは異なることのうちの少なくとも1つによって第1の円弧とは異なる。
【0011】
有利には、異なる曲率半径を有する複合半径から形成されたウェハ保持ポケットの使用により、CVD処理中のウェハの表面上の熱分布において改善された均一性を提供することができる。多くの他の利点は、以下の詳細な説明により明らかとなる。
【0012】
本発明は、添付図面を参照し、以下の本発明の各種の実施形態の詳細な説明に鑑み、より深く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る化学蒸着装置を示す図。
図2】本発明の一実施形態に係るCVDシステムで使用されるウェハキャリアを示す斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係るCVDシステムで使用されるウェハの詳細を示す3−3線に沿った断面図。
図4】本発明の一実施形態に係る従来のポケット内に位置しているウェハの図。
図5】本発明の一実施形態に係る2つの交差する円弧の複合半径から形成されたポケット内に位置しているウェハの図。
図6】本発明の一実施形態に係る2つの非交差の円弧の複合半径から形成されたポケット内に位置しているウェハの図。
図7】A−Dは、本発明の一実施形態に係る2つの円弧の複合半径から形成されたポケット内に位置しているウェハの図。
図8】A−Dは、本発明の一実施形態に係る2つの円弧の複合半径から形成されたポケット内に位置しているウェハの図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は様々な変更および置換形態を受け入れることができるが、具体例を図面で例示し、詳細に説明する。しかしながら、その意図は本発明を説明した特定の実施形態に限定することではないと理解すべきである。それとは逆に、添付の請求項によって定義される本発明の精神と範囲に属するすべての変更、均等物、代替物を対象とすることを目的とする。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る化学蒸着装置を示す。反応チャンバー5はプロセス環境空間を定める。ガス配給装置10はチャンバーの一端に配置される。ガス配給装置10を有するその端部は、本明細書では反応チャンバー5の「上端」と称する。このチャンバーの端部は通常、必須ではないが、標準重力基準系におけるチャンバーの最上部に配置される。よって、いずれの方向が重力による上方向と下方向を指すかにかかわらず、本明細書で使用される下方向はガス配給装置10から離れる方向を指し、上方向はチャンバー内でガス配給装置10に向かう方向を指す。同様に、素子の「上」面と「下」面は、反応チャンバー5およびガス配給装置10の基準系を参照して記載する。
【0016】
ガス配給装置10は、有機金属化合物とV族金属源など、キャリアガスと反応ガスなどのウェハ処理プロセスで使用されるプロセスガスを供給する源15,20,25に接続される。ガス配給装置10は、各種ガスを収容し、プロセスガス流を略下方向に向けるように構成される。ガス配給装置10は望ましくは、動作中にガス配給装置の温度を所望温度に維持するように、液体をガス配給装置を通って循環させる冷却材システム30にも接続される。反応チャンバー5の壁を冷却するため、同様の冷却材構成(図示せず)を設けることができる。反応チャンバー5は、ガス配給装置からガスを連続して下方向に流すように、チャンバーの底部またはその近傍の口(図示せず)を通じてチャンバーの内部から使用済みガスを除去する排出システム35も備える。
【0017】
スピンドル40は、スピンドル40の中心軸45が上方向と下方向に延びるようにチャンバー内に配置される。スピンドル40は、軸受けと封止(図示せず)が組み込まれた従来の回転通過装置50によってチャンバーに取り付けられており、スピンドル40と反応チャンバー5の壁間の封止を保ちつつ、中心軸45を中心に回転することができる。スピンドルは上端、すなわちガス配給装置10に最も近いスピンドルの端部に継手55を有する。後述するように、継手55は、ウェハキャリアに脱着可能に係合するウェハキャリア保持機構の一例である。図示する特定の実施形態では、継手55は、スピンドルの上端に向かって先細になり、平坦な上面を終端とする略錐台状の素子である。錐台状素子は、錐台の形状を有する素子である。スピンドル40は、中心軸45を中心にスピンドルを回転させる電気モータ駆動装置などの回転駆動機構60に接続される。
【0018】
加熱素子65はチャンバー内に取り付けられており、継手55の下方でスピンドル40を囲んでいる。反応チャンバー5は、副チャンバー75につながる入口開口70と、入口開口を開閉するドア80とをさらに備える。ドア80は図1に概略的にのみ示され、ドア80が反応チャンバー5の内部と副チャンバー75を隔離する実線で示す閉鎖位置と、80’として破線で示す開放位置間を移動可能である。ドア80は、開放位置と閉鎖位置間でドアを移動させる適切な制御始動機構を備える。実質上、ドアは、引用により開示を本願に組み込む米国特許第7,276,124号に開示されるように、上方向と下方向に移動可能なシャッタを含むことができる。図1に示す装置は、ウェハキャリアを副チャンバー75からチャンバー内へ移動させ、動作状態でウェハキャリアとスピンドル40を係合させ、ウェハキャリアをスピンドル40から副チャンバー75へも移動させることができる供給機構(図示せず)もさらに備えることができる。
【0019】
該装置は複数のウェハキャリアも含む。図1に示す動作状態では、第1のウェハキャリア85が動作位置で反応チャンバー5内に配置され、第2のウェハキャリア90が副チャンバー75内に配置される。各ウェハキャリアは、中心軸を有する略円形ディスク状の本体95(図2参照)を含む。本体95は中心軸の周りに対称に形成される。動作位置では、ウェハキャリア本体の中心軸はスピンドルの中心軸45と一致する。本体95は単独片または複数片の複合物として形成することができる。たとえば、引用により開示を本願に組み込む米国特許出願公開第2009/0155028号に開示されるように、ウェハキャリア本体は中心軸を囲む本体の小領域を画定するハブと、ディスク状本体の残りを画定する大領域とを含むことができる。本体95は望ましくは、プロセスを汚染することなく、プロセスにおいて受ける温度に耐え得る材料から形成される。たとえば、ディスクの大部分は、グラファイト、炭化ケイ素、またはその他の耐火材料などの材料からほぼまたは完全に形成することができる。本体95は、相互に略平行に延びており、ディスクの中心軸に略垂直である略平坦な上面100と底面110とを有する。本体95は、複数のウェハを保持する1つまたは複数のウェハ保持フィーチャも有する。
【0020】
動作時、サファイア、炭化ケイ素、またはその他の結晶基板から形成されるディスク状ウェハなどのウェハ115は、各ウェハキャリアの各ポケット120内に配置される。通常、ウェハ115は、主面の寸法よりも小さい厚みを有する。たとえば、径が約2インチ(50mm)の円形ウェハの厚みは約430μm以下とすることができる。図1に示すように、ウェハ115は上面を上方に向けて配置されるため、上面がウェハキャリアの上部で露出される。なお、各種実施形態では、ウェハキャリア85は異なる量のウェハを担持する。たとえば、例示の一実施形態では、ウェハキャリア85は6つのウェハを保持するように構成される。別の例示の実施形態では、図2に示すように、ウェハキャリアは12個のウェハを保持する。
【0021】
典型的なMOCVDプロセスにおいて、ウェハが取り付けられたウェハキャリア85は、副チャンバー75から反応チャンバー5内へ送られて、図1に示す動作位置に配置される。この状態で、ウェハの上面はガス配給装置10に向かって上向きとされる。加熱素子65が始動すると、回転駆動機構60が動作して軸45を中心にスピンドル40、ひいてはウェハキャリア85を回転させる。通常、スピンドル40は約50〜1500毎分回転数の回転速度で回転する。プロセスガス供給部15,20,25が始動されてガス配給装置10を介してガスを供給する。ガスはウェハキャリア85に向かって下方に流れ、ウェハキャリアの上面100とウェハ115、さらに下方のウェハキャリアの周囲を渡って出口と排出システム50に至る。よって、ウェハキャリアの上面とウェハ115の上面は、様々なプロセスガス供給部によって供給される各種ガスの混合物を含むプロセスガスに晒される。最も典型的には、上面でのプロセスガスは主に、キャリアガス供給部20から供給されるキャリアガスからなる。典型的な化学蒸着プロセスでは、キャリアガスは窒素とすることができるため、ウェハキャリアの上面でのプロセスガスは主にいくらかの量の反応ガス成分を伴う窒素からなる。
【0022】
加熱素子65は、主に放射熱伝達による熱をウェハキャリア85の底面110に伝達する。ウェハキャリア85の底面に加えられる熱は、ウェハキャリアの本体95を通って上方に流れてウェハキャリアの上面100に到達する。本体を上方に移動する熱は、間隙を上方に通過して各ウェハの底面へ、およびウェハを通って上方にウェハ115の上面へも到達する。熱はウェハキャリア85の上面100とウェハの上面からプロセスチャンバーの低温要素、たとえばプロセスチャンバーの壁とガス配給装置10に放射される。さらに、熱はウェハキャリア85の上面100とウェハの上面から、これらの面上を通過するプロセスガスへと伝達される。
【0023】
図示する実施形態では、該システムは、各ウェハ115の面の加熱均一性を決定するように設計されるいくつかの特徴を含む。本実施形態では、温度プロファイリングシステム125は、温度モニタ130から温度と温度監視位置情報とを含むことができる温度情報を受信する。また、温度プロファイリングシステム125は、一実施形態では回転駆動機構60から得られるウェハキャリア位置情報を受信する。この情報を用いて、温度プロファイリングシステム125はウェハキャリア85上のウェハ120の温度特性を組み立てる。温度特性は各ウェハ面の熱分布を表す。
【0024】
図2及び図3は、サセプタとも呼ばれるウェハキャリア200をより詳細に示す。各ウェハの保持箇所は、上面215から本体210内へ下方に延びる略円形の凹部すなわちポケット205の形状を有する。図3は、(図2において水平線及び2つの角度付けされた矢印で区切られた)ポケット205の断面図である。略円形形状は、ウェハ240の形状に一致するように作製される。各ウェアキャリア200は、中心軸220を有する実質的に円板の形状である本体210を含む。本体210は、中心軸220を中心に対称的に形成されている。動作位置において、ウェハキャリア本体210の中心軸220は、スピンドルの軸と一致する(図3参照)。本体210は、単一部品として、また複数部品の複合品として形成されてもよい。各ポケット205は、上面215の周囲部分の下方に配置される底面225を有する。各ポケット205は、底面225を囲んでポケットの周縁を画定する周壁面230をも有する。周壁面230は本体210の上面215から底面225に向けて下方に延びる。各種実施形態では、特に図3に示されるように、周壁面230は、壁が内方、すなわちポケットの中心に向けて、周縁の少なくとも一部にわたって傾斜するように下部が切り取られる。よって、周壁面230は、底面225に対して鋭角をなす。例示の一実施形態では、周壁面230と底面225間の角度は80度である。
【0025】
関連のある実施形態(図示せず)において、周壁面230の部分は、傾斜角度が変化する。例えば、そのような実施形態において、ウェハキャリアの中心軸220から最遠端の部分は、より鋭角である。別の関連のある実施形態において、図3に示すように、底面225は、各ポケット205の周縁に沿ったある位置に配置されたタブ(tabs)235等のスタンドオフ機構(standoff features)を含む。タブ235は、ウェハ240を底面225から持ち上げて、いくらかのガスがウェハ240の端部の回り及び底面の下を流れることができるようにする。他の実施形態では、ウェハ240は、ポケット205の内側、周壁面230の丁度下部に適合するリングを用いてポケット底面225から持ち上げられる。リングは、タブ235の位置を占有して(即ち、タブの代わりとなって)、ウェハ240の外周がリングの上に載置されることになる。
【0026】
図4は、ポケット405内に位置しているウェハ400の部分的な平面図であり、ウェハキャリアは、図示する回転方向に回転している。ウェハキャリアが回転するとき、ポケット405の周壁面の最外側部によりウェハに付与される求心力に応じて対応するウェハキャリアの径方向軸410に沿って外方を向く反遠心力が、対応するウェハポケット405内の各ウェハ400に生じる。反遠心力は、中心軸415からウェハキャリアの径方向軸410に沿って外方を指示するfで印された矢印で示されている。この結果、内側にサイズが増大した間隔420が形成され、ウェハ400の外側部分がポケット405の内壁を押圧する。この状態により、温度むらが生じ、ほとんどの場合、外側部分が、局所的に温度が上昇した状態、即ち、ホットスポットに晒される。
【0027】
一般的に、図4において上記したように、ウェハポケットの形状は円形であり、ウェハポケットは、ポケットの中心軸に対して単一の半径を有する。しかしながら、ウェハとウェハポケットの周壁との間の間隔をより均一に維持して、CVDプロセス中にガスの分布がより均一となるようにする取り組みにおいて、最終的に温度むらを低減するために、ウェハポケットは異なる形状となっている。各種実施形態において、ウェハポケットは、半径が異なる2つまたは3つ以上の円弧からなり、ポケットの形状は、楕円形または長円形とすることができる。
【0028】
図5に示すように、ウェハ500は、一実施形態による2つの交差する円弧の複合半径によって形成されるポケット内に位置している。第1の円弧515の半径510は、第2の円弧525の半径520よりも小さい。共にポケットの外縁を形成する第1の円弧515と第2の円弧525とが実線で示されている。図示を目的として、これらの円弧は、延長されて閉鎖した円を形成しており、これらの部分は、破線で示されるが、ウェハのポケットの外縁のどの部分も構成していない。第1の円弧515は、第2の円弧525と交差点530で交差している。図示された実施形態において、ウェハキャリアの各ウェハポケットは、2つの交差する円弧の複合半径により形成されている。関連のある実施形態において、半径が異なる2つまたは3つ以上の円弧によりポケットの外縁の形状を形成するようにしてもよい。
【0029】
これらの実施形態により、ウェハポケットは、上記したような、ウェハとウェハが押圧するウェハポケットの内側との間の接触箇所(矢印fで示されるようなウェハキャリアの回転中の求心力または反遠心力が作用するところ)を減少することができる。更に、図5に示されたような形状のウェハポケットを使用することにより、ウェハポケットの内壁とウェハの外縁端との間の間隔535を増大させることができるとともに、単一の曲率を有するウェハポケットと比較して、より均一な間隔535とすることができる。有利には、この構成により、ガスの流れが良好となり、CVD処理中にウェハに影響を与える温度むらを確実に低減することができる。
【0030】
一実施形態において、ウェハポケットは、処理中にポケットにウェハが位置しているときに、間隔535がポケットの周囲の大半に亘ってほぼ均一のサイズを有するように形成されている。これに関して、間隔のほぼ均一なサイズは、間隔のサイズが+/−10%の許容値を有するものとして定義される。関連のある実施形態において、間隔535は、ウェハ保持ポケットの周囲の少なくとも66%に亘ってほぼ均一である。別の関連のある実施形態において、間隔535は、ウェハ保持ポケットの周囲の少なくとも75%に亘ってほぼ均一である。更なる実施形態において、半径は、間隔535がウェハ保持ポケットの周囲の少なくとも85%に亘って均一となるように定義される。
【0031】
他の実施形態において、ウェハポケットは、複合半径から形成することができるが、それらの半径に対応する円弧が相互に交差しないようになっている(即ち、交差点が存在しない)。図6に示すように、ウェハ600は、一実施形態により2つの非交差の円弧の複合半径により形成されたポケット内に位置している。第1の円弧615の半径610は、第2の円弧625の半径620よりも小さい。しかしながら、(破線で示される)閉鎖した円を形成するために延長する場合、第1の円弧615は、第2の円弧625内にあり得、交差しないこととなる。いくつかの実施形態において、ウェハポケットは、2つまたは2つ以上の非交差の円弧の複合半径により形成することができる。関連のある実施形態において、2つの非交差の円弧の複合半径により形成されるウェハポケットは、接続部640を含み、接続部640は、ウェハポケットの中心軸415の各側に、かつ上記したような、ウェハがウェハポケットを押圧する遠位端(矢印で示される遠心力が作用するところ)の近傍に対称的に配置されている。この接続部640によりウェハポケットの周壁が完成して、第1の円弧615が第2の円弧625と接続される。
【0032】
図6に示すように、第1の円弧615および第2の円弧625により、各半径に対応する円弧が交差しない複合半径を有するウェハポケット(実線で示される)が形成される。図6に示すような形状を有するウェハポケットを含むそのようなウェハポケットにより、ウェハと上記したようにウェハがウェハポケットを押圧する内側部分との間の接触箇所(遠心力fが生じるところ)を低減することができる。更に、図6に示されるような形状のウェハポケットを使用することにより、ウェハポケットの内側部分とウェハの外縁端との間の間隔635を増大することができるとともに、間隔635をより均一にして、最終的にガスの流れを良好にし、温度むらの発生の可能性を低減することができる。
【0033】
一実施形態において、ウェハポケットは、処理中にウェハがポケット内に位置しているときに、間隔635がポケットの周囲の大半に亘ってほぼ均一なサイズであるような形状に形成されている。これに関して、間隔のほぼ均一なサイズは、間隔のサイズが+/−10%の許容値を有するものとして定義される。関連のある実施形態において、間隔635は、ウェハ保持ポケットの周囲の少なくとも66%に亘ってほぼ均一である。別の関連のある実施形態において、間隔635は、ウェハ保持ポケットの周囲の少なくとも75%に亘ってほぼ均一である。更なる実施形態において、半径は、間隔635がウェハ保持ポケットの周囲の少なくとも85%に亘って均一となるように定義される。
【0034】
上記の実施形態は説明のためであり、限定されるものではない。本願の特許請求の範囲に含まれる他の変形例が想定される。例えば、関連のある実施形態において、任意のウェハキャリア上で、異なるウェハ保持ポケットは、ポケットを形成する複合半径が異なる構成とすることができる。例えば、一実施形態において、第1の円弧に対する第2の円弧の長さの比は、ウェハキャリアの中心に近接するか、または遠方に位置しているウェハ保持パケット間で異なるようにすることができる。例えば、一実施形態において、ウェハキャリアの中心に近接しているポケットに関して、第1の円弧615の長さは、第2の円弧625の長さに対して割合が小さくなるようにすることができる。ある他の実施形態において、中心に近接するポケットに関して、反対の構成も想定することができる(即ち、第1の円弧615の割合が大きい)。図5に示される実施形態の円弧515及び525に関して同様の配置をとることができる。
【0035】
別の種類の変形例において、第1及び第2の円弧の曲率半径は、同じウェハキャリアの1つのウェハ保持ポケットから別のウェハ保持ポケットに変化させることができる。
更に別の種類の変形例において、第1及び第2の円弧515及び525又は615及び625の各々は、ウェハキャリアの径方向軸410に対して対称的に配置される。別の実施形態において、円弧を非対称的に配置して、ウェハをいくらか中心からずれて配置して、ある構成において熱むらを軽減することに役立つようにしてもよい。例えば、図7A図7Dに示すように、第1及び第2の円弧の各々の中心は、両方の中心が同じウェハキャリアの径方向軸410上に存在するように配置することができる。説明のために、円弧が延長されて閉鎖された円を形成しており、破線で示されたこれら延長部分は、ウェハポケットの周縁のどの部分も構成していない。いくつかの例において、第1の円弧715及び第2の円弧725は、同じウェハキャリアの径方向軸410に関して対称的とすることができ、第1の円弧715の半径710は、第2の円弧725の半径720よりも小さい(図7A図4−6も参照)。他の例では、第1の円弧715は、ウェハキャリアの径方向軸410に関して対称的とし、第2の円弧725は、ウェハキャリアの径方向軸410に関して非対称的とすることができ、第1の円弧715の半径710は、第2の円弧725の半径720よりも小さい(図7B)。他の例では、第1の円弧715は、ウェハキャリアの径方向軸410に関して非対称的とし、第2の円弧725は、ウェハキャリアの径方向軸410に関して対称的とすることができ、第1の円弧715の半径710は、第2の円弧725の半径720よりも小さい(図7C)。更に別の例において、第1の円弧715及び第2の円弧725は、ウェハキャリアの径方向軸410に関して非対称的とすることができ、第1の円弧715の半径710は、第2の円弧725の半径720よりも小さい(図7D)。
【0036】
更に、図8A図8Dに示すように、第1及び第2の円弧の各々の中心は、それら中心が同じウェハキャリアの径方向軸上に存在しないように配置することができる。説明のために、円弧が延長されて閉鎖された円を形成しており、破線で示されたこれら延長部分は、ウェハポケットの周縁のどの部分も構成していない。いくつかの例において、第1の円弧815及び第2の円弧825は、別個のウェハキャリアの径方向軸に関して対称的とすることができ、例えば、(半径810を有する)第1の円弧815は、ウェハキャリアの径方向軸410上に位置していない中心を有し、(半径820を有する)第2の円弧825は、ウェハキャリアの径方向軸410上に位置している中心を有する(図8A)。別の例では、(半径810を有する)第1の円弧は、ウェハキャリアの径方向軸410に関して対称的であり、かつウェハキャリアの径方向軸410上に位置する中心を有し、(半径820を有する)第2の円弧825は、ウェハキャリアの径方向軸410に関して非対称的であり、かつウェハキャリアの径方向軸410上に位置していない中心を有する(図8B)。別の例では、(半径810を有する)第1の円弧は、ウェハキャリアの径方向軸410に関して非対称的であるが、ウェハキャリアの径方向軸410上に位置する中心を有し、(半径820を有する)第2の円弧825は、別個のウェハキャリアの軸(即ち、ウェハキャリアの径方向軸410ではない)に関して対称的であり、かつウェハキャリアの径方向軸410上に位置していない中心を有する(図8C)。更に他の例では、(半径810を有する)第1の円弧及び(半径820を有する)第2の円弧825の両方は、別個のウェハキャリアの軸(例えば、ウェハキャリアの径方向軸410および別のウェハキャリアの径方向軸)に関して非対称的であり、かつ別個の径方向軸(例えば、ウェハキャリアの径方向軸410および別個のウェハキャリアの径方向軸)上に位置する中心を有する(図8D)。これら及び他の変形例が、ウェハ800上で発生する温度むらをさらに軽減するために役立ち得る。
【0037】
また、本発明の側面を特定の実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、請求項に定義される発明の範囲を逸脱せずに形式や細部に変更を加えることができると認識するであろう。当業者であれば、本発明が上述の個々の実施形態で例示される特徴よりも少ない特徴を備えることができると認識するであろう。本文書に記載の実施形態は、本発明の様々な特徴を組み合わせることができる方法を網羅的に提示することを目的としていない。したがって、実施形態は特徴の組み合わせを相互に排除するものではない。当業者によって理解されるように、本発明は異なる個々の実施形態から選択される様々な個々の特徴の組み合わせを備えることができる。
【0038】
上記文献の引用による組込みは、本文書に明示する開示に反する主題が組み込まれないように制限される。さらに、上記文献の引用による組込みは、上記文献に含まれる請求項が引用により本願の請求項に組み込まれないように制限される。しかしながら、上記文献の請求項は、特段排除されない限り、本願の開示の一部として組み込まれる。さらに、上記文献の引用による組込みは、文献内の定義が、特段明示されない限り引用により組み込まれないように制限される。
【0039】
本発明の請求項を解釈する目的で、「手段」または「ステップ」という特定の用語が請求項において記載されない限り、米国特許法第112条6項を引用すべきではないことを明示しておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8