特許第6559708号(P6559708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559708
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】有機発光素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20190805BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190805BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20190805BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20190805BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20190805BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20190805BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   H05B33/02
   H05B33/14 A
   H05B33/10
   H05B33/26 Z
   H05B33/22 Z
   H01L27/32
   G09F9/30 365
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-567623(P2016-567623)
(86)(22)【出願日】2015年5月4日
(65)【公表番号】特表2017-516271(P2017-516271A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】KR2015004480
(87)【国際公開番号】WO2015174672
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0056776
(32)【優先日】2014年5月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ムーン、ヨウン キュン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ミンスー
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジンボク
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ビョンウ
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0038847(US,A1)
【文献】 特開2001−196191(JP,A)
【文献】 特開2000−164357(JP,A)
【文献】 特表2016−518018(JP,A)
【文献】 特開2012−133967(JP,A)
【文献】 特開2011−118341(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0006697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に備えられ、互いに離隔して備えられた2以上の導電性ユニットおよび前記導電性ユニットに接続された導電性接続部を含む第1電極と、
前記基板上に備えられ、前記導電性ユニットと離隔配置された補助電極と、
前記導電性接続部または前記補助電極上に備えられ、前記導電性接続部または前記補助電極の一領域を露出させるコンタクトホールを1以上含む絶縁層と、
前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極の間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、
前記導電性接続部は、前記コンタクトホールを介して前記補助電極と電気的に接続され、
前記導電性接続部は、電流が流れる方向の長さが、これに垂直方向の幅よりも長い高抵抗領域を2以上含み、前記導電性ユニットは、前記2以上の高抵抗領域のうち抵抗値が最も低い高抵抗領域によって補助電極と電気的に接続され
前記導電性接続部の前記2以上の高抵抗領域は、前記補助電極の輪郭に従うことを特徴とする、有機発光素子。
【請求項2】
前記導電性接続部の少なくとも一部は、前記補助電極が備えられた非発光領域上に備えられたことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項3】
前記高抵抗領域は、前記長さと前記幅の比が10:1以上の領域を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
前記導電性接続部は、前記補助電極と前記導電性ユニットとを電気的に接続することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記導電性接続部は、前記コンタクトホールを介して前記補助電極と物理的に接することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項6】
前記絶縁層は、前記補助電極または前記第1電極が基板と接する面、および前記補助電極または前記第1電極がコンタクトホールと接する領域を除いた表面を絶縁することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項7】
前記導電性接続部と前記有機物層とを絶縁する追加の絶縁層をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記補助電極から前記導電性ユニットまでの抵抗は、1KΩ以上1MΩ以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記それぞれの導電性ユニットの面積は、0.01mm以上25mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記補助電極は、1以上の前記導電性ユニットを取り囲む網構造に備えられることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記補助電極は、三角形、四角形または六角形の繰り返されるパターン部を形成する網構造に備えられることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記補助電極の線幅は、1μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記高抵抗領域の線幅は、0.5μm以上100μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項14】
前記導電性ユニットの面抵抗は、1Ω/□以上1,000Ω/□以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項15】
前記補助電極の面抵抗は、3Ω/□以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項16】
前記有機発光素子は、フレキシブル(flexible)有機発光素子であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機発光素子を含むディスプレイ装置。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機発光素子を含む照明装置。
【請求項19】
基板を用意するステップと、
前記基板上に補助電極を形成するステップと、
前記基板上に互いに離隔して備えられた2以上の導電性ユニットおよび前記導電性ユニットに接続された導電性接続部を含む第1電極を形成するステップと、
前記導電性接続部または前記補助電極上に1以上のコンタクトホールを含む絶縁層を形成するステップと、
前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、
前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、
前記導電性接続部は、前記コンタクトホールを介して前記補助電極と電気的に接続され、
前記導電性接続部は、電流が流れる方向の長さが、これに垂直方向の幅よりも長い高抵抗領域を2以上含み、前記導電ユニットは、前記2以上の高抵抗領域のうち抵抗値が最も低い高抵抗領域によって補助電極と電気的に接続され
前記導電性接続部の前記2以上の高抵抗領域は、前記補助電極の輪郭に従うことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項20】
前記絶縁層を形成するステップは、前記導電性接続部または前記補助電極を覆うように絶縁層を形成した後、前記絶縁層の一領域を除去して前記コンタクトホールを形成することを特徴とする、請求項19に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項21】
前記第1電極を形成するステップは、前記基板上に第1電極物質層を形成し、前記第1電極にパターニングすることを特徴とする、請求項19に記載の有機発光素子の製造方法。
【請求項22】
前記第1電極を形成するステップは、前記絶縁層を形成するステップの後、前記補助電極および絶縁層が形成された基板上に第1電極物質層を形成し、前記第1電極にパターニングすることを特徴とする、請求項19に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2014年5月12日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2014−0056776号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
本明細書は、有機発光素子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光現象とは、有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに転換させる現象をいう。すなわち、アノードとカソードとの間に適切な有機物層を位置させた時、2つの電極の間に電圧をかけると、アノードからは正孔が、カソードからは電子が前記有機物層に注入される。前記注入された正孔と電子が会った時、励起子(exciton)が形成され、この励起子が再び基底状態に落ちる時、光を生成することになる。
【0003】
アノードとカソードとの間隔が小さいため、有機発光素子は短絡欠陥を生じやすい。ピンホール、亀裂、有機発光素子の構造における段(step)およびコーティングの粗さ(roughness)などによって、アノードとカソードとが直接接触したり、または有機層の厚さがこれらの欠陥区域でより薄くなることがある。これらの欠陥区域は、電流が流れるようにする低抵抗経路を提供して、有機発光素子を通して電流がほとんどまたは極端な場合には全然流れないようにする。これによって、有機発光素子の発光出力が減少したり、無くなる。多重画素ディスプレイ装置では、短絡欠陥が光を放出しかったり、または平均光強度未満の光を放出する死んだ画素を生成させて、ディスプレイの品質を低下させることがある。照明または他の低解像度の用途では、短絡欠陥によって当該区域のうちの相当部分が作動しないことがある。短絡欠陥に対する憂慮のため、有機発光素子の製造は典型的に清浄室で行われる。しかし、いくら清浄な環境であっても、短絡欠陥を無くすのに効果的ではない。多くの場合には、2つの電極の間の間隔を増加させて短絡欠陥の数を減少させるために、有機層の厚さを、装置を作動させるのに実際に必要なものよりも多く増加させたりする。この方法は、有機発光素子の製造に費用を追加させることになり、しかも、この方法では短絡欠陥を完全に除去することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10−2006−0130729号(2006年12月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、有機発光素子の一領域に短絡欠陥が発生した場合でも、短絡が発生しない領域が正常作動を行うことができる有機発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書の一実施態様は、基板と、前記基板上に備えられ、互いに離隔して備えられた2以上の導電性ユニットおよび前記導電性ユニットに接続された導電性接続部を含む第1電極と、前記基板上に備えられ、前記導電性ユニットと離隔配置された補助電極と、前記導電性接続部または前記補助電極上に備えられ、前記導電性接続部または前記補助電極の一領域を露出させるコンタクトホールを1以上含む絶縁層と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、
前記導電性接続部は、前記コンタクトホールを介して前記補助電極と電気的に接続され、前記導電性接続部は、電流が流れる方向の長さが、これに垂直方向の幅よりも長い高抵抗領域を1以上含むものである、有機発光素子を提供する。
【0007】
本明細書の一実施態様は、基板を用意するステップと、前記基板上に補助電極を形成するステップと、前記基板上に互いに離隔して備えられた2以上の導電性ユニットおよび前記導電性ユニットに接続された導電性接続部を含む第1電極を形成するステップと、前記導電性接続部または補助電極上に1以上のコンタクトホールを含む絶縁層を形成するステップと、前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、
前記導電性接続部は、前記コンタクトホールを介して前記補助電極と電気的に接続され、前記導電性接続部は、電流が流れる方向の長さが、これに垂直方向の幅よりも長い高抵抗領域を1以上含む、前記有機発光素子の製造方法を提供する。
本明細書の一実施態様は、前記有機発光素子を含むディスプレイ装置を提供する。
本明細書の一実施態様は、前記有機発光素子を含む照明装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書の一実施態様に係る有機発光素子は、基板の一領域の欠陥による短絡が発生した場合でも、有機発光素子の機能を失わない。
また、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子は、短絡発生地点の面積の大きさが増加しても、リーク電流量が増加せずに安定的な作動が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の主要構成が配置された平面図および断面図を示すものである。
図2】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の断面図を示すものである。
図3】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の第1電極のいずれか1つの導電性ユニットを示すものである。
図4】本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の第1電極のいずれか1つの導電性ユニットを示すものである。
図5】本明細書の導電性接続部の高抵抗領域において、長さと幅の1つの例示を示すものである。
図6】本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、第1電極の形状を示すものである。
図7】本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、第1電極の形状を示すものである。
図8】本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、第1電極の形状を示すものである。
図9】本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、第1電極の形状を示すものである。
図10】本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、第1電極の形状を示すものである。
図11】本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、第1電極の形状を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0011】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0012】
本明細書の一実施態様は、基板と、前記基板上に備えられ、互いに離隔して備えられた2以上の導電性ユニットおよび前記導電性ユニットに接続された導電性接続部を含む第1電極と、前記基板上に備えられ、前記導電性ユニットと離隔配置された補助電極と、前記導電性接続部または前記補助電極上に備えられ、前記補助電極の一領域を露出させるコンタクトホールを1以上含む絶縁層と、前記第1電極に対向して備えられた第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に備えられた1層以上の有機物層とを含み、
前記導電性接続部は、前記コンタクトホールを介して前記補助電極と電気的に接続され、前記導電性接続部は、電流が流れる方向の長さが、これに垂直方向の幅よりも長い高抵抗領域を1以上含むものである、有機発光素子を提供する。
【0013】
前記離隔して備えられたとは、前記導電性ユニットが互いに空間的に分離されたことを意味する。また、前記導電性ユニットが互いに物理的に接していないことを意味する。
本明細書の前記導電性ユニットは、第1電極を形成する構成において導電性接続部を除いた領域を意味する。具体的には、前記導電性ユニットは、有機発光素子の発光領域に備えられる第1電極の領域であってよい。
【0014】
図1は、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の主要構成が配置された平面図および断面図を示すものである。具体的には、図1は、基板、第1電極、補助電極および絶縁層の構成の一例を示すものである。
【0015】
図1の暗い領域は、第1電極201、501が形成されていない領域であって、絶縁層401を示す。図1の断面図は、基板101上に補助電極301が備えられ、補助電極301を絶縁層401がカバーしている。さらに、絶縁層401の一部領域は、コンタクトホール601が形成され、補助電極301と導電性接続部501とが接続可能な通路を提供する。
【0016】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極が基板上に形成された後、前記導電性接続部上に絶縁層が形成され、前記絶縁層上に補助電極が備えられてもよい。
【0017】
図2は、図1の断面図の構成において、導電性ユニット201上に順次に備えられた有機物層801および第2電極901をさらに含む有機発光素子の一例を示すものである。本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、前記図2の構成において、封止層で密封可能である。
図3および図4は、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子の第1電極のいずれか1つの導電性ユニットを示すものである。図3および図4において、導電性ユニット201は、導電性接続部501と接してなり、導電性接続部501は、2つの高抵抗領域511を含み、導電性接続部501は、コンタクトホール601を介して補助電極と電気的に接続可能である。
【0018】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性ユニットは、前記有機発光素子の発光領域に含まれてもよい。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記発光領域は、有機発光素子の各ピクセル領域を含むことができ、前記それぞれの導電性ユニットの少なくとも一領域は、前記有機発光素子の発光領域に位置することができる。より具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記導電性ユニットをなす領域上に形成された発光層を含む有機物層で発光現象が起こり、前記導電性ユニットを通して光が放出可能である。
【0019】
本明細書における発光領域は、有機物層の発光層で発光する光が第1電極および/または第2電極を通して放出される領域を意味する。例えば、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子において、前記発光領域は、基板上に第1電極が形成された領域のうち、補助電極が形成されていない第1電極の領域の少なくとも一部に形成されてもよい。また、本明細書における非発光領域は、前記発光領域を除いた残りの領域を意味することができる。本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子の非発光領域は、補助電極が形成された領域を意味することができる。
【0020】
短絡欠陥は、有機発光素子の第2電極が直接第1電極に接触する場合に発生し得る。あるいは、第1電極と第2電極との間に位置する有機物層の厚さの減少または変性などによって有機物層の機能を失って第1電極と第2電極とが接触する場合にも発生し得る。短絡欠陥が発生する場合、有機発光素子の電流に低い経路を提供して、有機発光素子が正常に作動できないようにすることができる。短絡欠陥によって第1電極から第2電極に直接電流が流れるリーク電流によって、有機発光素子の電流は無欠陥区域を避けて流れることがある。これは、有機発光素子の発光出力を減少させかねず、多くの場合に有機発光素子が作動しないことがある。また、広い面積の有機物に分散して流れていた電流が短絡発生地点に集中して流れると、局所的に高い熱が発生して、素子が割れたり、火事が発生する危険がある。
【0021】
しかし、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子において、前記導電性ユニットのうちのいずれか1つ以上に短絡欠陥が発生しても、前記導電性接続部によってすべての作動電流が短絡欠陥部位に流れるのを防止することができる。すなわち、前記導電性接続部は、高抵抗領域を含んでいるため、短絡が発生した領域にリーク電流の量が無限に増加しないように制御する役割を果たすことができる。したがって、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子は、一部の導電性ユニットに短絡欠陥が発生しても、短絡欠陥がない残りの導電性ユニットは正常に作動できる。
【0022】
具体的には、前記導電性接続部は、高い抵抗値を有する高抵抗領域によって、短絡欠陥の発生時に適正な抵抗を付加して、電流が短絡欠陥部位を通して抜けるのを阻止する役割を果たす。このために、前記高抵抗領域の抵抗値は、短絡欠陥によるリーク電流の制御および短絡欠陥がない場合の高抵抗領域によって発生する駆動電圧の上昇を考慮して決定可能である。
【0023】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性ユニットは、互いに電気的に並列接続されたものであってよい。
【0024】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性接続部は、前記補助電極と前記導電性ユニットとを電気的に接続することができる。
【0025】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性接続部は、前記導電性ユニットを互いに物理的に接続するものであってよい。
【0026】
具体的には、前記有機発光素子は、前記高抵抗領域を含む導電性接続部を通して前記補助電極から導電性ユニットに電流が流れてもよい。より具体的には、前記有機発光素子が外部電源を通して電圧が印加される場合、いずれか1つの導電性ユニットの電流の流れは、補助電極→導電性接続部→導電性ユニット→有機物層→第2電極の方向、またはその逆の方向であってよい。
【0027】
本明細書の前記それぞれの導電性ユニットは互いに離隔してあり、それぞれの導電性ユニットは、前記導電性接続部を通して補助電極から電流を受けることができる。これは、いずれか1つの導電性ユニットに短絡が発生する場合、短絡が発生しない他の導電性ユニットに流れるべき電流が短絡の発生した導電性ユニットに流れて、有機発光素子全体が作動しないことを防止するためである。
【0028】
前記いずれか1つ以上の導電性ユニットは、前記有機発光素子の1つのピクセルに含まれてもよい。具体的には、前記導電性ユニットは、それぞれのピクセルの透明電極の役割を果たすことができる。
【0029】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性接続部は、1以上、または2以上の高抵抗領域を含むことができる。
【0030】
幅が狭い高抵抗領域を形成する場合、工程上、断線が発生する可能性がある。高抵抗領域が断線する場合、短絡が発生しない導電性ユニットに電気が通じなくなって、断線した高抵抗領域に接続された導電性ユニットが作動しない場合が発生し得る。
【0031】
そのため、本明細書の一実施態様に係る有機発光素子において、それぞれの前記導電性接続部は、2以上の高抵抗領域を有することができるため、各導電性ユニットに接続された導電性接続部のいずれか1つの高抵抗領域に断線が発生しても、残りの高抵抗領域によって前記導電性ユニットが正常作動できるという利点がある。
【0032】
本明細書の一実施態様によれば、前記それぞれの導電性ユニットは、断線が発生しない2以上の高抵抗領域のうち、抵抗値が最も低い高抵抗領域によって補助電極と電気的に接続可能である。
【0033】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性接続部の少なくとも一部は、前記補助電極が備えられた非発光領域上に備えられてもよい。具体的には、前記高抵抗領域は、前記補助電極が備えられた非発光領域上に備えられてもよい。そのため、前記有機発光素子の平面図上で、補助電極が形成された領域上に前記高抵抗領域が位置し、前記高抵抗領域による開口率の減少を最小化することができる。
【0034】
本明細書の前記導電性接続部は、前記導電性ユニットの端部であってよいし、その形態や位置は特に限定されない。また、前記導電性接続部は、四角形を含めた多角形の導電性ユニットの一頂点、一角または一辺の中間部分から突出した形態を有することができる。
【0035】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性接続部は、電流が流れる方向の長さが、これに垂直方向の幅よりも長い高抵抗領域を含むことができる。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記高抵抗領域は、前記長さと前記幅の比が10:1以上の領域を含むことができる。
【0036】
本明細書の前記導電性接続部は、前記導電性ユニットに比べて相対的に高い抵抗を有することができる。さらに、本明細書の前記導電性接続部は、前記有機発光素子において短絡防止機能を行うことができる。すなわち、本明細書の前記導電性接続部は、有機発光素子の短絡欠陥が発生する場合、短絡欠陥にもかかわらず、素子の作動を可能にする役割を果たす。
【0037】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性接続部の材料は、前記導電性ユニットの材料と同一であってよい。具体的には、前記導電性接続部および前記導電性ユニットは、前記第1電極に含まれるものであって、同一の材料で形成されてもよい。
【0038】
本明細書の前記長さと幅は相対的な概念であって、前記長さは、上部からみて、前記導電性接続部の一端から他端までの空間的距離を意味することができる。すなわち、前記導電性接続部が直線の組み合わせであったり、曲線を含むとしても、一直線と仮定して長さを測定した値を意味することができる。本明細書における前記幅は、上部からみて、前記導電性接続部の長手方向の中心から垂直方向の両端までの距離を意味することができる。前記長さと幅の1つの例示を、図5に示した。
【0039】
本明細書の前記長さは、電流が流れる方向の寸法を意味することができる。また、本明細書の前記幅は、電流が流れる方向と垂直方向の寸法を意味することができる。
また、本明細書の前記長さは、前記補助電極から前記導電性ユニットに至るまでの、電流が移動する距離を意味することができ、前記幅は、前記長手方向に垂直な距離を意味することができる。
【0040】
図5において、前記長さはaとbとの和であってよく、前記幅はcであってよい。
【0041】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性接続部は、前記コンタクトホールを介して前記補助電極と物理的に接することができる。具体的には、図3および図4において、コンタクトホール601領域は、導電性接続部501で満たされ、下部の補助電極および導電性接続部501と接することになる。
【0042】
本明細書の一実施態様によれば、前記絶縁層は、前記補助電極または前記第1電極が基板と接する面、および前記補助電極または前記第1電極がコンタクトホールと接する領域を除いた表面を絶縁することができる。
【0043】
具体的には、前記絶縁層は、基板上に備えられた前記導電性接続部または前記補助電極の露出した表面をカバー(cover)して備え、前記絶縁層の少なくとも1領域を除去して、前記導電性接続部および前記補助電極が外部に露出するコンタクトホールを備えることができる。前記コンタクトホールは、前記導電性接続部と前記補助電極とが電気的に接続可能な通路になってもよい。具体的には、前記コンタクトホールは、前記補助電極が物理的に前記第1電極と接続可能にする領域であってよい。
【0044】
本明細書の前記コンタクトホールは、前記導電性接続部による有機発光素子の開口率の減少を防止するための手段になってもよく、前記コンタクトホールは、前記補助電極の上面または下面に備えられてもよい。具体的には、前記コンタクトホールは、補助電極が形成される非発光領域に位置することができる。さらに、前記コンタクトホールによって有機発光素子の開口率が減少するのを防止するために、前記コンタクトホールの最大直径は、前記補助電極の線幅を超えなくてよい。
【0045】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、前記導電性接続部と前記有機物層とを絶縁する追加の絶縁層をさらに備えることができる。具体的には、前記補助電極および前記第1電極が形成された後、前記導電性ユニットが備えられた領域を除いた第1電極および/または補助電極上に追加の絶縁層が備えられてもよい。これは、第1電極および/または補助電極上に備えられる有機物層と導電性接続部とを絶縁するためである。
【0046】
本明細書の一実施態様によれば、前記絶縁層および前記追加の絶縁層は、それぞれ有機絶縁層または無機絶縁層であってよい。前記絶縁層および追加の絶縁層の材料は、当業界で一般的に使用されるものであれば制限なく使用可能である。
【0047】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極から前記導電性ユニットまでの抵抗は、1KΩ以上1MΩ以下であってよい。
【0048】
前記いずれか1つの前記導電性ユニットと隣接した他の1つの導電性ユニットとは、いずれか1つの導電性ユニットと物理的に最も近い他の導電性ユニットを意味することができる。
【0049】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極は、互いに離隔した1,000個以上の前記導電性ユニットを含むことができる。具体的には、前記第1電極は、互いに離隔した1,000以上1,000,000以下の前記導電性ユニットを含むことができる。
【0050】
また、本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極は、2以上の前記導電性ユニットのパターンに形成されたものであってよい。具体的には、前記導電性ユニットは、導電性接続部を除いた領域が互いに離隔したパターンに形成されたものであってよい。
【0051】
本明細書の前記パターンは、閉鎖図形の形態を有することができる。具体的には、前記パターンは、三角形、四角形、六角形などの多角形になってもよく、無定形の形態であってもよい。
【0052】
図6図11は、本明細書の一実施形態に係る有機発光素子において、第1電極の形状を示すものである。具体的には、図6および図7は、前記導電性ユニット201が三角形のパターンを形成する場合を示すものである。図8および図9は、前記導電性ユニット201が四角形のパターンを形成する場合を示すものである。図10および図11は、前記導電性ユニット201が六角形のパターンを形成する場合を示すものである。図6図11において、円または楕円形で表示されたものは、コンタクトホール601が備えられたものを意味し、矢印で表示されたものは、導電性接続部501を示したものであり、矢印の方向は、導電性接続部501を通して導電性ユニット201に電流が流れる方向を示したものである。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子の第1電極の形状は、前記図6図11にのみ限定されるものではなく、多様な形状に備えられてもよい。また、本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子のコンタクトホールの個数および導電性接続部の配置などは、前記図6図11にのみ限定されるものではなく、多様な形状に備えられてもよい。
【0054】
本明細書の前記導電性ユニットの数が1,000個以上の場合、前記有機発光素子が正常作動時に電圧の上昇幅を最小化しながら、短絡発生時のリーク電流量を最小化する効果を有することができる。また、本明細書の前記導電性ユニットの数が1,000,000個以下まで増加するほど開口率を維持し、前記効果を維持することができる。すなわち、前記導電性ユニットの数が1,000,000個を超える場合、補助電極の個数の増加による開口率の低下が発生し得る。
【0055】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性ユニットが前記有機発光素子に占める面積は、前記全体有機発光素子の平面図を基準として50%以上90%以下であってよい。具体的には、前記導電性ユニットは、発光領域に含まれるものであって、全体有機発光素子が光を放出する面を基準として、前記導電性ユニットの占める面積は、有機発光素子の開口率と同一または類似していてもよい。
【0056】
本明細書の前記第1電極は、それぞれの導電性ユニットが前記導電性接続部によって電気的に接続されるため、素子の駆動電圧が上昇する。そのため、本明細書の一実施態様によれば、前記導電性接続部による駆動電圧の上昇を補うために、前記第1電極は1,000個以上の前記導電性ユニットを含むことにより、素子の駆動電圧を低下させると同時に、前記導電性接続部による短絡防止機能を持たせることができる。
【0057】
本明細書の一実施態様によれば、前記それぞれの導電性ユニットの面積は、0.01mm以上25mm以下であってよい。
【0058】
前記それぞれの導電性ユニットの面積を小さくする場合、短絡防止のために導入された導電性接続部による作動電圧の上昇率および作動電流対比のリーク電流の値を同時に低下させることができるという利点がある。また、短絡が発生して発光をしない導電性ユニットが発生する場合、非発光領域を最小化して、製品品質の低下を最小化することができるという利点がある。ただし、導電性ユニットの面積を過度に小さくする場合、素子全体領域において発光領域の割合が大きく減少して、開口率の減少による有機発光素子の効率が低下する問題がある。そのため、前記導電性ユニットの面積で有機発光素子を製造する場合、前述した欠点を最小化すると同時に、前記言及した利点を最大限に発揮することができる。
【0059】
本明細書の一実施態様に係る前記有機発光素子において、前記導電性接続部と前記導電性ユニットおよび発光層を含む有機物層は、互いに電気的に直列接続可能である。本明細書の前記発光層は、前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、2以上の発光層は、それぞれ電気的に並列接続可能である。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、前記発光層は、前記導電性ユニットと第2電極との間に位置し、それぞれの発光層は、互いに電気的に並列接続可能である。すなわち、本明細書の前記発光層は、前記導電性ユニットに相当する領域に対応して位置することができる。
本明細書の前記発光層が同一の電流密度で作動する場合、抵抗値は、発光層の面積が小くなるほど増加する。本明細書の一実施態様によれば、前記それぞれの導電性ユニットの面積が小くなり、数が増加する場合、前記それぞれの発光層の面積も小くなる。この場合、前記有機発光素子の作動時、発光層を含む有機物層に印加される電圧に比べて、前記有機物層に直列接続された前記導電性接続部の電圧の割合は減少する。
【0061】
本明細書の前記有機発光素子に短絡が発生した場合、リーク電流量は、導電性ユニットの数とは関係なく、補助電極から導電性ユニットまでの抵抗値と作動電圧によって決定可能である。そのため、前記導電性ユニットの数を増加させると、正常作動時の導電性接続部による電圧上昇現象を最小化することができ、同時に、短絡発生時のリーク電流量も最小化することができる。
【0062】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極の面抵抗は、3Ω/□以下であってよい。具体的には、前記面抵抗は1Ω/□以下であってよい。
【0063】
広い面積の第1電極および第2電極のうちのいずれか1つの面抵抗が必要レベル以上に高い場合、電極の位置ごとに電圧が異なっていてもよい。これによって、有機物層を挟む第1電極と第2電極との電位差が位置に応じて異なると、有機発光素子の輝度の均一性が低下することがある。そのため、必要レベル以上に高い面抵抗を有する第1電極または第2電極の面抵抗を低下させるために、補助電極を用いることができる。本明細書の前記補助電極の面抵抗は、3Ω/□以下、具体的には1Ω/□以下であってよく、前記範囲で前記有機発光素子の輝度の均一性は高く維持できる。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極は、透明電極で形成されてもよい。この場合、前記第1電極の面抵抗は、前記有機発光素子を駆動するために要求される面抵抗値より高くてよい。そのため、前記第1電極の面抵抗値を低下させるために、前記補助電極を前記第1電極と電気的に接続して、前記第1電極の面抵抗を前記補助電極の面抵抗レベルまで低下させることができる。
【0065】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極は、互いに電気的に接続された導電性ラインからなってもよい。具体的には、前記導電性ラインは、導電性パターンからなってもよい。具体的には、本明細書の前記補助電極の少なくとも一部位に電圧を印加して、全体補助電極を駆動することができる。
【0066】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、OLED照明に含まれて使用可能である。前記OLED照明の場合、全体発光領域、すなわち、すべての前記有機発光素子で均一な明るさの発光をすることが重要である。具体的には、前記OLED照明において均一な明るさを実現するためには、前記OLED照明に含まれたすべての有機発光素子の第1電極および第2電極の間に形成される電圧が同一に維持されることが好ましい。
【0067】
本明細書の一実施態様に係る有機発光素子において、前記第1電極が透明電極、前記第2電極が金属電極の場合、各有機発光素子の第2電極は、十分に面抵抗が低くて各有機発光素子の第2電極の電圧差がほとんどないが、第1電極の場合、各有機発光素子の電圧差が存在し得る。本明細書の一実施態様によれば、前記各有機発光素子の第1電極の電圧差を補うために、前記補助電極、具体的には金属補助電極を用いることができる。
【0068】
本明細書の一実施態様によれば、前記金属補助電極は、互いに電気的に接続された導電性ラインからなるものであってよい。具体的には、前記補助電極が導電性ラインを形成して、各有機発光素子の第1電極の電圧差をほとんど無くすことができる。
【0069】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性ユニットの面抵抗は、1Ω/□以上、または3Ω/□以上であってよく、具体的には10Ω/□以上であってよい。また、前記導電性ユニットの面抵抗は、1,000Ω/□以下、または500Ω/□以下であってよい。すなわち、本明細書の一実施態様によれば、前記導電性ユニットの面抵抗は、1Ω/□以上1,000Ω/□以下、または10Ω/□以上500Ω/□以下であってよい。
【0070】
本明細書の一実施態様によれば、前記導電性ユニットに要求される面抵抗レベルは、発光面積に相当する導電性ユニットの面積に反比例するように制御することができる。例えば、前記導電性ユニットが100cmの面積の発光面積を有する場合、前記導電性ユニットに要求される面抵抗は、1Ω/□前後であってよい。さらに、それぞれの前記導電性ユニットの面積を小さく形成する場合、前記導電性ユニットに要求される面抵抗は、1Ω/□以上であってよい。
【0071】
本明細書の一実施態様によれば、第1電極をITOのような透明電極で形成する場合、前記導電性ユニットの面抵抗を1Ω/□以上に満足させるために、補助電極を用いることができる。具体的には、前記補助電極は、金属補助電極であってよい。
【0072】
本明細書の前記導電性ユニットの面抵抗は、導電性ユニットを形成する材料によって決定可能であり、また、補助電極と電気的に接続され、補助電極の面抵抗レベルまで低下させることもできる。そのため、本明細書の前記有機発光素子で要求される導電性ユニットの面抵抗値は、前記補助電極と前記導電性ユニットの材料によって調整が可能である。
【0073】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極は、ストライプ構造または網構造に形成されてもよい。前記補助電極が網構造に形成される場合、網の空き空間に前記導電性ユニットが備えられてもよい。
【0074】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極の線幅は、1μm以上100μm以下であってよい。
【0075】
前記補助電極の線幅は、前記補助電極が備えられた基板面の平行断面を基準として、補助電極の線厚を意味することができる。また、前記補助電極の線幅は、前記補助電極が備えられた基板面の平行断面を基準として、補助電極の最も厚い線厚を意味することができる。
【0076】
前記範囲の線幅で補助電極を形成する場合、開口率が確保され、有機発光素子の効率を増加させることができる。
【0077】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極は、1以上の前記導電性ユニットを取り囲む網構造に備えられてもよい。
【0078】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極は、三角形、四角形または六角形の繰り返されるパターン部を形成する網構造に備えられてもよい。具体的には、前記網構造は、三角形、四角形または六角形などの繰り返される形状の開口領域を形成することができる。
【0079】
前記パターン部は、前記補助電極によって形成される繰り返される閉鎖領域を意味することができる。
【0080】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極の開口率は、60%以上であってよい。具体的には、前記補助電極の開口率は、70%、または80%以上であってよい。
【0081】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子の開口率は、発光面を基準として60%以上であってよい。
【0082】
本明細書の一実施態様によれば、前記高抵抗領域の線幅は、0.5μm以上100μm以下であってよい。前述のように、前記有機発光素子は、開口率を確保するために、前記高抵抗領域を補助電極が備えられた領域上に位置させることができる。そのため、前記高抵抗領域は、前記補助電極の線幅と等しいか小さくてよい。
【0083】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極は、透明電極であってよい。
【0084】
前記第1電極が透明電極の場合、前記第1電極は、酸化スズインジウム(ITO)または酸化亜鉛インジウム(IZO)などのような導電性酸化物であってよい。さらに、前記第1電極は、半透明電極であってもよい。前記第1電極が半透明電極の場合、Ag、Au、Mg、Ca、またはこれらの合金のような半透明金属で製造できる。半透明金属が第1電極に使用される場合、前記有機発光素子は、微細空洞構造を有することができる。
【0085】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極は、金属材質からなってもよい。すなわち、前記補助電極は、金属電極であってよい。
【0086】
前記補助電極は、一般的に、すべての金属を使用することができる。具体的には、伝導度が良いアルミニウム、銅、および/または銀を含むことができる。前記補助電極は、透明電極との付着力およびフォト工程での安定性のためにアルミニウムを使用する場合、モリブデン/アルミニウム/モリブデン層を使用してもよい。
【0087】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機物層は、少なくとも1層以上の発光層を含み、正孔注入層;正孔輸送層;正孔阻止層;電荷発生層;電子阻止層;電子輸送層;および電子注入層からなる群より選択される1種または2種以上をさらに含むことができる。
【0088】
前記電荷発生層(Charge Generating layer)は、電圧をかけると、正孔と電子が発生する層をいう。
【0089】
前記基板は、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性および防水性に優れた基板を用いることができる。具体的には、ガラス基板、薄膜ガラス基板または透明プラスチック基板を用いることができる。前記プラスチック基板は、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(Polyethylene naphthalate)、PEEK(Polyether ether ketone)、およびPI(Polyimide)などのフィルムが単層または複層の形態で含まれてもよい。また、前記基板は、基板自体に光散乱機能が含まれているものであってよい。ただし、前記基板はこれに限定されず、有機発光素子に通常使用される基板を用いることができる。
【0090】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極はアノードであり、前記第2電極はカソードであってよい。また、前記第1電極はカソードであり、前記第2電極はアノードであってよい。
【0091】
前記アノードとしては、通常、有機物層に正孔注入が円滑となるように仕事関数の大きい物質が好ましい。本発明で使用可能なアノード物質の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属、またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物との組み合わせ;ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ[3,4−(エチレン−1,2−ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような導電性高分子などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0092】
前記アノード材料は、アノードにのみ限定されるものではなく、カソードの材料として使用されてもよい。
【0093】
前記カソードとしては、通常、有機物層に電子注入が容易となるように仕事関数の小さい物質であることが好ましい。カソード物質の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズ、および鉛のような金属、またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造の物質などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0094】
前記カソードの材料は、カソードにのみ限定されるものではなく、アノードの材料として使用されてもよい。
【0095】
本明細書に係る前記正孔輸送層物質としては、アノードや正孔注入層から正孔が輸送されて発光層に移すことができる物質で、正孔に対する移動性の大きい物質が好適である。具体例としては、アリールアミン系の有機物、導電性高分子、および共役部分と非共役部分がともにあるブロック共重合体などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0096】
本明細書に係る前記発光層物質としては、正孔輸送層と電子輸送層から正孔と電子がそれぞれ輸送されて結合させることにより、可視光線領域の光を発することができる物質であって、蛍光や燐光に対する量子効率の良い物質が好ましい。具体例としては、8−ヒドロキシ−キノリンアルミニウム錯体(Alq);カルバゾール系化合物;二量体化スチリル(dimerized styryl)化合物;BAlq;10−ヒドロキシベンゾキノリン−金属化合物;ベンゾキサゾール、ベンズチアゾール、およびベンズイミダゾール系の化合物;ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)系の高分子;スピロ(spiro)化合物;ポリフルオレン;ルブレンなどがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0097】
本明細書に係る前記電子輸送層物質としては、カソードから電子がよく注入されて発光層に移すことができる物質であって、電子に対する移動性の大きい物質が好適である。具体例としては、8−ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alqを含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン−金属錯体などがあるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0098】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極は、前記有機発光素子の非発光領域に位置することができる。
【0099】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、封止層で密閉されていてもよい。
【0100】
前記封止層は、透明な樹脂層で形成されてもよい。前記封止層は、前記有機発光素子を酸素および汚染物質から保護する役割を果たし、前記有機発光素子の発光を阻害しないように透明な材質であってよい。前記透明とは、60%以上の光を透過することを意味することができる。具体的には75%以上の光を透過することを意味することができる。
【0101】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、色温度2,000K以上12,000K以下の白色光を発光することができる。
【0102】
本明細書の一実施態様によれば、前記基板と前記第1電極との間に備えられた光散乱層をさらに含むことができる。
【0103】
具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極の有機物層が備えられる面に対向する面に備えられた基板をさらに含み、前記基板と前記第1電極との間に備えられた光散乱層をさらに含むことができる。本明細書の一実施態様によれば、前記光散乱層は、平坦層を含むことができる。本明細書の一実施態様によれば、前記平坦層は、前記第1電極と前記光散乱層との間に備えられてもよい。
【0104】
あるいは、本明細書の一実施態様によれば、前記基板の第1電極が備えられた面に対向する面に光散乱層をさらに含むことができる。
【0105】
本明細書の一実施態様によれば、前記光散乱層は、光散乱を誘導して、前記有機発光素子の光散乱効率を向上させられる構造であれば特に制限しない。具体的には、本明細書の一実施態様によれば、前記光散乱層は、バインダー内に散乱粒子が分散した構造、凹凸を有するフィルム、および/またはヘイズ(hazeness)を有するフィルムであってよい。
【0106】
本明細書の一実施態様によれば、前記光散乱層は、基板上に、スピンコーティング、バーコーティング、スリットコーティングなどの方法によって直接形成されるか、フィルム形態に作製して付着させる方式によって形成されてもよい。
【0107】
本明細書の一実施態様によれば、前記有機発光素子は、フレキシブル(flexible)有機発光素子であってよい。この場合、前記基板は、フレキシブル材料を含むことができる。具体的には、前記基板は、撓み可能な薄膜形態のガラス、プラスチック基板またはフィルム形態の基板であってよい。
【0108】
前記プラスチック基板の材料は特に限定しないが、一般的に、PET(polyethylene terephthalate)、PEN(Polyethylene naphthalate)、PEEK(Polyether ether ketone)、およびPI(Polyimide)などのフィルムを単層または複層の形態で含むものであってよい。
【0109】
本明細書は、前記有機発光素子を含むディスプレイ装置を提供する。前記ディスプレイ装置において、前記有機発光素子は、画素またはバックライトの役割を果たすことができる。その他、ディスプレイ装置の構成は、当技術分野で知られているものが適用可能である。
【0110】
本明細書は、前記有機発光素子を含む照明装置を提供する。前記照明装置において、前記有機発光素子は、発光部の役割を果たす。その他、照明装置に必要な構成は、当技術分野で知られているものが適用可能である。
【0111】
本明細書の一実施態様は、基板を用意するステップと、前記基板上に補助電極を形成するステップと、前記基板上に互いに離隔して備えられた2以上の導電性ユニットおよび前記導電性ユニットに接続された導電性接続部を含む第1電極を形成するステップと、前記導電性接続部または補助電極上に1以上のコンタクトホールを含む絶縁層を形成するステップと、前記第1電極上に1層以上の有機物層を形成するステップと、前記有機物層上に第2電極を形成するステップとを含み、
【0112】
前記導電性接続部は、前記コンタクトホールを介して前記補助電極と電気的に接続され、前記導電性接続部は、電流が流れる方向の長さが、これに垂直方向の幅よりも長い高抵抗領域を1以上含む、前記有機発光素子の製造方法を提供する。
【0113】
本明細書の一実施態様によれば、前記補助電極を形成するステップは、フォトエッチング;蒸着;またはプリンティングを用いることができる。具体的には、前記補助電極を形成するステップは、前記補助電極をストライプ構造または網構造に形成するための方法を用いることができる。前記フォトエッチング、蒸着およびプリンティングは、当業界で一般的に使用する方法であれば制限なく適用することができる。
【0114】
本明細書の一実施態様によれば、前記絶縁層を形成するステップは、前記導電性接続部または前記補助電極を覆うように絶縁層を形成した後、前記絶縁層の一領域を除去して前記コンタクトホールを形成するものであってよい。
【0115】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極を形成するステップは、前記基板上に第1電極物質層を形成し、前記第1電極にパターニングするものであってよい。具体的には、前記基板上に第1電極物質層を形成し、前記第1電極物質層をフォトエッチングまたはレーザエッチングなどにより前記第1電極に形成するものであってよい。さらに、前記基板上に前記第1電極が形成された後、前記導電性接続部上に絶縁層を形成し、前記絶縁層上に補助電極を形成することができる。
【0116】
本明細書の一実施態様によれば、前記第1電極を形成するステップは、前記絶縁層を形成するステップの後、前記補助電極および絶縁層が形成された基板上に第1電極物質層を形成し、前記第1電極にパターニングするものであってよい。具体的には、前記第1電極を形成するステップは、絶縁層を形成するステップの後、蒸着工程を用いて第1電極物質層を形成し、前記第1電極物質層をフォトエッチングまたはレーザエッチングなどにより前記第1電極に形成することができる。
【符号の説明】
【0117】
101:基板
201:導電性ユニット
301:補助電極
401:絶縁層
501:導電性接続部
511:高抵抗領域
601:コンタクトホール
701:追加の絶縁層
801:有機物層
901:第2電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11