特許第6559719号(P6559719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559719(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドの結晶塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559719
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドの結晶塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20190805BHJP
   A61K 31/506 20060101ALN20190805BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20190805BHJP
   A61P 11/00 20060101ALN20190805BHJP
   A61P 13/08 20060101ALN20190805BHJP
   A61P 17/00 20060101ALN20190805BHJP
   A61P 1/18 20060101ALN20190805BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20190805BHJP
   A61P 35/02 20060101ALN20190805BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   !A61K31/506
   !A61P35/00
   !A61P11/00
   !A61P13/08
   !A61P17/00
   !A61P1/18
   !A61P43/00 111
   !A61P35/02
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-575040(P2016-575040)
(86)(22)【出願日】2015年6月23日
(65)【公表番号】特表2017-519027(P2017-519027A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】IB2015054712
(87)【国際公開番号】WO2015198229
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年6月20日
(31)【優先権主張番号】62/016,819
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513032275
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、ディベロップメント、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY DEVELOPMENT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100104617
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 伸美
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、エム.クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンドラ、エス.サテ
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/079236(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−519/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドのコハク酸塩の結晶形。
【請求項2】
CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、9.0、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、22.7、23.3、24.0、24.7、26.4、28.2および29.6度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項4】
CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.7、18.1、18.8、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項5】
CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、10.4、17.7、18.1、20.8および24.0度2θの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項6】
(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドの安息香酸塩の結晶形。
【請求項7】
CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、21.5、22.1、23.4、24.0、24.2、25.1、25.9、27.1、28.8および30.7度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項6に記載の結晶形。
【請求項8】
CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、24.2、25.9、27.1および28.8度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項6に記載の結晶形。
【請求項9】
CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、27.1および28.8度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項6に記載の結晶形。
【請求項10】
CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、18.1、18.6、22.1および24.0度2θの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、請求項6に記載の結晶形。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
固形、経口投与の医薬化合物の開発可能な形態の追求において、多数の特異的特性が求められてきた。医薬化合物の非晶質形態が開発されたかもしれないが、高結晶性を有する化合物が一般的には好ましい。このような高度に結晶化されている化合物は、しばしば塩である。
【0002】
国際特許出願番号PCT/US2013/77235において、タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ5(PRMT5)の阻害剤として示唆され、かつPRMT5−媒介疾患の治療に有用であると示唆された、一連の化合物が記載されている。その出願において具体的に開示されているのは、化合物(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(以下「化合物A」とする)である。経口投与に好適な特性を有するこのような化合物の安定的な、結晶形の同定は、PRMT5−媒介疾患の治療に大いに望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドの新規結晶塩、特にコハク酸塩(以下「化合物B」とする)および安息香酸塩(以下「化合物C」とする)に関する。本発明の化合物は、式(I):
【化1】
[式中、Xは、コハク酸または安息香酸である。]
によって表される。
【0004】
本発明の化合物は、タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ5(PRMT5)の阻害および癌等、特に造血癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫、および膵臓癌等の増殖性疾患の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、化合物Bの粉末X線回折パターンを示している−形態1。
図2図2は、化合物Cの粉末X線回折パターンを示している−形態1。
図3図3は、化合物Bの示差走査熱量測定痕跡を示している−形態1。
図4図4は、化合物Cの示差走査熱量測定痕跡を示している−形態1。
図5図5は、化合物Bの熱重量分析痕跡を示している−形態1。
図6図6は、化合物Cの熱重量分析痕跡を示している−形態1。
【発明の具体的説明】
【0006】
本発明は、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドの塩、特にコハク酸塩(以下「化合物B」とする)および安息香酸塩(以下「化合物C」とする)に向けられている。
【0007】
幾つかの態様において、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物B−形態1)のコハク酸塩の結晶形は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、9.0、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、22.7、23.3、24.0、24.7、26.4、28.2および29.6度2θからなる群から選択される、少なくとも9つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、9.0、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、22.7、23.3、24.0、24.7、26.4、28.2および29.6度2θからなる群から選択される、少なくとも8つの回折角度、または少なくとも7つの回折角度、または少なくとも6つの回折角度、または少なくとも5つの回折角度、または少なくとも4つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、9.0、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、22.7、23.3、24.0、24.7、26.4、28.2および29.6度2θからなる群から選択される、少なくとも3つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0008】
別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される、少なくとも9つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される、少なくとも8つの回折角度、または少なくとも7つの回折角度、または少なくとも6つの回折角度、または少なくとも5つの回折角度、または少なくとも4つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される、少なくとも3つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0009】
別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.7、18.1、18.8、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される、少なくとも9つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.7、18.1、18.8、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される、少なくとも8つの回折角度、または少なくとも7つの回折角度、または少なくとも6つの回折角度、または少なくとも5つの回折角度、または少なくとも4つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.7、18.1、18.8、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される、少なくとも3つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0010】
さらに別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、10.4、17.7、18.1、20.8および24.0度2θの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。さらに別の態様において、化合物B−形態1は、図1に実質的に従った、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0011】
幾つかの態様において、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物C−形態1)の安息香酸塩の結晶形は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、21.5、22.1、23.4、24.0、24.2、25.1、25.9、27.1、28.8および30.7度2θからなる群から選択される、少なくとも9つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、21.5、22.1、23.4、24.0、24.2、25.1、25.9、27.1、28.8および30.7度2θからなる群から選択される、少なくとも8つの回折角度、または少なくとも7つの回折角度、または少なくとも6つの回折角度、または少なくとも5つの回折角度、または少なくとも4つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、21.5、22.1、23.4、24.0、24.2、25.1、25.9、27.1、28.8および30.7度2θからなる群から選択される、少なくとも3つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0012】
別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、24.2、25.9、27.1、および28.8度2θからなる群から選択される、少なくとも9つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、24.2、25.9、27.1、および28.8度2θからなる群から選択される、少なくとも8つの回折角度、または少なくとも7つの回折角度、または少なくとも6つの回折角度、または少なくとも5つの回折角度、または少なくとも4つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、24.2、25.9、27.1および28.8度2θからなる群から選択される、少なくとも3つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0013】
別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、27.1および28.8度2θからなる群から選択される、少なくとも9つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、27.1および28.8度2θからなる群から選択される、少なくとも8つの回折角度、または少なくとも7つの回折角度、または少なくとも6つの回折角度、または少なくとも5つの回折角度、または少なくとも4つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、27.1および28.8度2θからなる群から選択される、少なくとも3つの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0014】
さらに別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、18.1、18.6、22.1および24.0度2θの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。さらに別の態様において、化合物C−形態1は、図2に実質的に従った、粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる。
【0015】
さらなる態様において、化合物B−形態1は、図3に実質的に従った示差走査熱量測定痕跡および/または図5に実質的に従った熱重量分析痕跡によって特徴付けられる。
【0016】
さらなる態様において、化合物C−形態1は、図4に実質的に従った示差走査熱量測定痕跡および/または図6に実質的に従った熱重量分析痕跡によって特徴付けられる。
【0017】
さらなる態様において、当業者であれば、化合物B−形態1が、前記態様を特徴付ける分析的データの任意の組合せによって特徴付けられることを理解するであろう。例えば、一態様において、化合物B−形態1は、図1に実質的に従った粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図3に実質的に従った示差走査熱量測定痕跡および図5に実質的に従った熱重量分析痕跡によって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、図1に実質的に従った粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図3に実質的に従った示差走査熱量測定痕跡によって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、図1に実質的に従った粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図5に実質的に従った熱重量分析痕跡によって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、10.4、17.7、18.1、20.8および24.0度2θの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図3に実質的に従った示差走査熱量測定痕跡によって特徴付けられる。別の態様において、化合物B−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、10.4、17.7、18.1、20.8および24.0度2θの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図5に実質的に従った熱重量分析痕跡によって特徴付けられる。
【0018】
さらなる態様において、当業者であれば、化合物C−形態1が、前記態様を特徴付ける分析的データの任意の組合せによって特徴付けられることを理解するであろう。例えば、一態様において、化合物C−形態1は、図2に実質的に従った粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図4に実質的に従った示差走査熱量測定痕跡および図6に実質的に従った熱重量分析痕跡によって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、図2に実質的に従った粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図4に実質的に従った示差走査熱量測定痕跡によって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、図2に実質的に従った粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図6に実質的に従った熱重量分析痕跡によって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、18.1、18.6、22.1および24.0度2θの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図4に実質的に従った示差走査熱量測定痕跡によって特徴付けられる。別の態様において、化合物C−形態1は、CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、18.1、18.6、22.1、および24.0度2θの回折角度を含んでなる、粉末X線回折(XRPD)パターンおよび図6に実質的に従った熱重量分析痕跡によって特徴付けられる。
【0019】
XRPDパターンは、XPRDパターンが特定値の±0.3度2θの範囲内の回折角度を含んでなる場合に、本明細書で特定される、ある値の「概略値」の回折角度(度2θで表される)を含んでなると理解されるであろう。さらに、当業者は、粉末X線回折(XRPD)パターンを得るために関与する、使用される装置、湿度、温度、粉末結晶の配向、および他のパラメーターが、回折パターンの線の外観、強度、および位置において多少の可変性を引き起こし得ることを熟知し、よく理解している。本明細書で提供される図1または2の粉末X線回折パターンに「実質的に従った」粉末X線回折パターンは、当業者に、図1または2のXPRDパターンを提供した化合物と同一の結晶形態を保有する化合物を示すと見なされるであろうXPRDパターンである。つまり、XPRDパターンは、図1または2のXPRDパターンと同一かもしれないが、それどころか若干異なっているかもしれない。このようなXPRDパターンは、本明細書で提示されたいずれか1つの回折パターンのそれぞれの線を必ずしも示さないことがあり、かつ/またはデータを得るなかで関与した条件の差異に起因する当該線の外観、強度または位置の推移において若干の変化を示すことがある。当業者は、それらのXPRDパターンと比較することによって、結晶化合物のサンプルが本明細書に開示された形態と同一の形態または異なる形態を有するかどうか決定する能力がある。例えば、当業者は、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドのコハク酸塩サンプルのXPRDパターンに図1を重ね合わせ、当技術分野の経験および能力を用いて、サンプルのXPRDパターンが、化合物B−形態1のXPRDパターンに実質的に従っているか否かを容易に決定することができる。もし、XPRDパターンが図1に実質的に従っていれば、サンプル形態が化合物B−形態1と同一の形態を有すると容易かつ正確に同定することができる。同様に、もし、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドの安息香酸塩のサンプルのXPRDパターンが図2に実質的に従っていれば、サンプル形態が化合物C−形態1と同一の形態を有すると容易かつ正確に同定することができる。
【0020】
「本発明の化合物」とは、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド、そして幾つかの態様において、特に化合物B−形態1として本明細書において規定された結晶形、または幾つかの形態において、特に化合物C−形態1として本明細書において規定された結晶形のコハク酸塩および安息香酸塩を意味する。
【0021】
本発明は、治療を必要とするヒトに、有効量の本発明の化合物または有効量の本発明の化合物および任意の薬学的に許容可能な担体を含んでなる組成物を投与することを含んでなる、治療を必要とするヒトにおいてPRMT5−媒介疾患を治療または改善するための治療法を含む。特定の態様において、PRMT5−媒介疾患は、増殖性疾患、代謝性疾患または血液疾患である。特定の態様において、本明細書に規定された化合物は、癌の治療に有効である。特定の態様において、本発明の化合物によるPRMT5の阻害は、以下の非限定的列挙の癌の治療に効果的である:乳がん、食道癌、膀胱癌、肺癌、造血癌、リンパ腫、髄芽腫、直腸腺癌、結腸腺癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、腺様嚢胞癌、肺腺癌、頭部および頸部の扁平上皮細胞癌、脳腫瘍、肝細胞癌、腎細胞癌、黒色腫、乏突起膠腫、卵巣明細胞癌、および卵巣漿液性嚢胞腺癌。特定の態様において、本明細書に記載された化合物は、造血癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫、および膵臓癌の治療に有用である。特定の態様において、本明細書に記載された化合物は、異常血色素症の治療に有用である。特定の態様において、本明細書に記載された化合物は、鎌状赤血球貧血の治療に有用である。特定の態様において、本明細書に記載された化合物は、糖尿病または肥満の治療に有用である。
【0022】
本明細書において、用語「PRMT5−媒介疾患」は、PRMT5が一因であると知られている、任意の疾病、疾患または他の病理学的状態を意味する。従って、幾つかの態様において、本開示は、PRMT5が一因であると知られている1つ以上の疾患の重症度を治療または減少することに関する。
【0023】
幾つかの態様において、本明細書に記載された化合物は、限定されないが、聴神経腫、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫)、虫垂癌、良性単クローン性免疫グロブリン血症、胆道癌(例えば、胆管肉腫)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳腺腺癌、乳頭癌、乳癌、乳房の髄様癌)、脳腫瘍(例えば、髄膜腫;神経膠腫、例えば星状細胞腫、乏突起膠腫;髄芽細胞腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、上皮性癌、上衣細胞腫、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば、食道の腺癌、バレット食道腺癌(Barrett’s adenocarinoma))、ユーイング肉腫、眼癌(例えば、眼内メラノーマ、網膜芽細胞腫)、家族性過好酸球増加症、胆嚢癌、胃癌(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭部および頸部癌(例えば、頭部および頸部の扁平上皮細胞癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮細胞癌(OSCC)、咽喉癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽腔癌、口腔咽頭癌))、造血癌(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T−細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)および慢性リンパ球性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL)等の白血病;ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)および非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、びまん性大細胞型リンパ腫(DLCL)(例えば、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)等のB細胞NHL)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾性辺縁帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(即ち、「ヴァルデンストレームマクログロブリン血症」)、ヘアリー細胞白血病(HCL)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫および中枢神経系原発(CNS)リンパ腫等のリンパ腫;および前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉腫、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫)等のT細胞NHL;1つ以上の上記の白血病/リンパ腫の混合;および多発性骨髄腫(MM))、重鎖疾患(例えば、アルファ鎖病、ガンマ鎖病、ミュー鎖病)、血管芽細胞腫、炎症性筋線維芽腫瘍、免疫球性アミロイドーシス、腎臓癌(例えば、ウィルム腫瘍としても知られている腎芽細胞腫、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝癌)、肺癌(例えば、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖症候群(MPD)(例えば、真性赤血球増加症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症(MF)としても知られている原発性骨髄線維症(AMM)、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増加症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経繊維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1型または2型、シュワン細胞症)、神経内分泌癌(例えば、胃腸膵管神経内分泌腫瘍(GEP−NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎児性癌、卵巣腺癌)、乳頭腺癌、膵臓癌(例えば、膵臓腺癌(pancreatic andenocarcinoma)、膵管内乳頭粘膜性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫)、陰茎癌(例えば、陰茎および陰嚢のパジェット病)、松果体腫、未分化神経外胚葉性腫瘍(PNT)、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮細胞癌(SCC)、角化棘細胞腫(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば、虫垂癌)軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、脂腺癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胎児性癌)、甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、膣癌および外陰癌(例えば、外陰のパジェット病)を含む癌の治療に有効である。
【0024】
幾つかの態様において、本発明の化合物は、糖尿病または肥満等の代謝性疾患の治療に有用である。幾つかの態様において、本発明の化合物は、糖尿病の発病を遅らせ、進行を遅め、または症状を改善することに有用である。幾つかの態様において、糖尿病は、1型糖尿病である。幾つかの態様において、糖尿病は、2型糖尿病である。幾つかの態様において、本発明の化合物は、肥満の発病を遅らせ、進行を遅め、または症状を改善することに有用である。幾つかの態様において、本発明の化合物は、被験体を減量させることに有用である。幾つかの態様において、本発明の化合物は、糖尿病および/または肥満を治療するために、メトホルミンおよびインスリン等の他の化合物、薬物、または治療と組み合わせて使用することができる。
【0025】
幾つかの態様において、本発明の化合物は、鎌状赤血球病またはβ−サラセミア等の血液疾患(例えば、異常血色素症)の治療に有用である。幾つかの態様において、本発明の化合物は、鎌状赤血球病の発病を遅らせ、進行を遅め、または症状を改善することに有用である。幾つかの態様において、本発明の化合物は、β−サラセミアの発病を遅らせ、進行を遅め、または症状を改善することに有用である。幾つかの態様において、本発明の化合物は、鎌状赤血球病またはβ−サラセミア等の異常血色素症を治療するために、他の化合物、薬物、または治療と組み合わせて使用することができる。
【0026】
本発明において使用されるように、状態に関する「治療」とは、(1)治療している状態の改善または治療している状態の1つ以上の生物学的発現、(2)(a)治療している状態に向かうかまたは関与している、生物学的カスケードにおける1つ以上のポイント、または(b)1つ以上の治療している状態の生物学的発現での干渉、(3)治療している状態に関連した、1つ以上の症状または作用の緩和を意味する。
【0027】
「有効量」とは、被験体において所望の生物学的反応を引き出す製剤原料(即ち、本発明の化合物)の量を意味する。このような反応は、治療している疾病または疾患の症状の緩和を含む。このような治療法における、本発明の化合物の有効量は、患者体重1kgあたり、1日あたり、約0.001〜100mgであり、単回または複数回投与で投与することができる。幾つかの態様において、用量レベルは、1日あたり約0.01〜約25mg/kgとなるだろう。幾つかの態様において、用量レベルは、1日あたり約0.05〜約10mg/kgとなるだろう。好適な用量レベルは、1日あたり約0.01〜25mg/kg、1日あたり約0.05〜10mg/kg、または1日あたり約0.1〜5mg/kgとなってもよい。この範囲内であれば、用量は、1日あたり0.005〜0.05、0.05〜0.5、0.5〜5.0、または5.0〜50mg/kgであってもよい。経口投与のために、組成物は、1.0〜1000ミリグラムの有効成分、治療される患者への用量の症候性調節のために、特に1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0および1000.0ミリグラムの有効成分を含む錠剤の形態で好ましくは提供される。化合物は、1日あたり1〜4回、好ましくは1日あたり1〜2回のレジメンで投与されてもよい。幾つかの態様において、本明細書に記載された化合物は、1日あたり1回以上、数日間投与される。幾つかの態様において、用量レジメンは、数日、数週間、数月または数年継続される。
【0028】
しかし、任意の特定の患者における、特定の用量レベルおよび投与頻度は、変化してもよく、年齢、体重、遺伝的特徴、一般的健康、性別、食事、投与の形態および時間、排泄率、複合薬、および特定の治療している状態の特性および重症度を含む多様な因子に依存するであろうことを理解するべきである。
【0029】
投与方法は、治療の過程の異なる時期または組合せ形態で同時に、本発明の化合物または組成物の有効量を投与することを含む。本発明の方法は、全ての公知の療法的治療レジメンを含む。
【0030】
本発明の化合物および組成物は、増殖性疾患、代謝性疾患または血液疾患等の、目的の状態または疾病を予防し治療するために関連する有用性を有する他の化合物および組成物と組み合わせることができる。併用療法の使用に適切な薬剤の選択は、当業者によって成し得る。治療薬の組合せは、多様な疾患の治療または予防を生じさせるために相乗的に作用し得る。この取り組みを用いることによって、各薬剤の少ない用量で治療効果を達成することができるかもしれず、従って意に沿わない副作用の可能性が低減される。特定の態様において、本明細書で提供された化合物まらは組成物は、体内において、その生物学的利用能を改善する、代謝を低減および/または改善する、その排泄を阻害する、および/または分配を改善する、1つ以上の追加的な治療的有効薬と組み合わせて投与される。採用される療法は、同一の疾患に対して所望の効果を達成し得、かつ/または異なる効果を達成し得ることも理解されよう。
【0031】
併用療法は、本発明の化合物と他の薬剤との共投与、本発明の化合物と他の薬剤の連続的投与、本発明の化合物と他の薬剤を含む組成物の投与、または本発明の化合物と他の薬剤を含む、別々の組成物の同時投与を含む。
【0032】
例となる追加的な治療的有効薬は、限定されないが、薬剤化合物(例えば、連邦規制基準(CFR)に規定されているようにアメリカ合衆国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)により認可を受けた化合物)、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖類、オリゴ糖、多糖類、核タンパク質、粘性タンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたは合成タンパク質、タンパク質に結合した小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミンおよび細胞等の有機小分子を含む。
【0033】
本発明は、特にPRMT5−媒介疾患の治療における、有効治療剤としての本発明の化合物の使用をさらに含む。特に、本発明は、増殖性疾患、代謝性疾患、または血液疾患の治療における本発明の化合物の使用を含む。
【0034】
別の態様において、本発明は、上記疾患の治療において使用するための薬剤の製造における本発明の化合物の使用を含む。
【0035】
本発明は、本発明の化合物および薬学的に許容可能な担体を含んでなる、医薬組成物にも向けられている。本発明は、さらに、本発明の化合物と薬学的に許容可能な担体を混合することを含んでなる、医薬組成物の調製方法に向けられている。
【0036】
「薬学的に許容可能な担体」とは、ヒトに適切に投与された際に意に沿わない反応を生じさせないために本発明の化合物の剤形に使用するために十分な純度および品質であり、かつ製剤原料(即ち、本発明の化合物)の媒体として用いられる、任意の1つ以上の化合物および/または組成物を意味する。担体は、賦形剤、希釈剤、顆粒および/または分散剤、界面活性剤および/または乳化剤、結合材、保存料、緩衝剤、滑沢剤、および天然油を含んでもよい。
【0037】
本発明は、本発明の化合物および任意の薬学的に許容可能な担体を混合すること含んでなる、組成物の製造方法をさらに含み、かつ、このような方法に起因するそれら組成物を含み、当該方法は慣用の薬学的技術を含む。例えば、本発明の化合物は、製剤化の前にナノ粉砕され(nanomilled)てもよい。本発明の化合物は、粉砕、微粉化または当技術分野で公知の他の粒径縮小方法によって調製することもできる。このような方法は、限定されないが、米国特許番号4826689、5145684、5298262、5302401、5336507、5340564、5346702、5352459、5354560、5384124、5429824、5503723、5510118、5518187、5518738、5534270、5536508、5552160、5560931、5560932、5565188、5569448、5571536、5573783、5580579、5585108、5587143、5591456、5622938、5662883、5665331、5718919、5747001、PCT出願WO93/25190、WO96/24336およびWO98/35666に記載されたものを含み、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている。本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術および方法を使用することによって調製されてもよい。幾つかの当技術分野において広く用いられている方法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)に記載されてて、その全体の教示は、本明細書に参照により組み込まれている。い
【0038】
本発明の組成物は、経眼、経口、経鼻、経皮、閉鎖しているか否かに関わらない局所、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、および注射(腹腔内、皮下、筋肉内、腫瘍内、または非経口)を含む。組成物は、経眼、経口、経鼻、経皮、経舌下、非経口、または経直腸、または吸入または吹送による投与のために、錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、リポソーム、イオン交換樹脂、無菌眼用溶液、または眼用送達装置(ocular delivery device)(例えば、即時放出、時限的放出または持続的放出を容易にするコンタクトレンズ等)、非経口溶液または懸濁液、計測したエアロゾル、または液体スプレー、ドロップ、アンプル、自動注射装置、または坐薬等の用量単位であってもよい。
【0039】
経口投与に好適な本発明の組成物は、ピル、錠剤、カプレット、カプセル(それぞれ、即時放出、時限的放出、および持続的放出剤形を含んでいる)、顆粒および粉末等の固形を含む。
【0040】
経口組成物は、製剤原料(即ち、本発明の化合物)が、混合物中に均一に分散される、均一組成物として好ましくは製剤化され、本発明の化合物の均一量を含む用量単位に容易に分割することができる。好ましくは、組成物は、本発明の化合物を1つ以上の任意の存在している医薬担体(デンプン、糖、希釈剤、顆粒剤、滑沢剤、流動促進剤、結合剤、および分散剤等)、1つ以上の任意の存在している不活性医薬賦形剤(水、グリコール、油、アルコール、香料、保存料、着色料およびシロップ等)、1つ以上の任意の存在している慣用の錠剤化原料(コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウムおよび任意の多様なゴム等)、および任意の希釈剤(水等)と混合することによって調製される。
【0041】
例となる希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉砂糖およびこれらの混合物を含む。
【0042】
例となる顆粒剤および/または分散剤は、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、ナトリウムスターチグリコール酸塩、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘果肉、寒天、ベントナイト、セルロース、および木製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル−ピロリドン)(クロスポビドン)、デンプンカルボキシメチルナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、α化デンプン(pregelatinized starch)(Starch1500)、微結晶性デンプン、不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物、およびこれらの混合物を含む。
【0043】
例となる界面活性剤および/または乳化剤は、天然乳化剤類(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンチン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイド粘土類(例えば、ベントナイト(ケイ酸アルミニウム)およびVeegum(ケイ酸アルミニウムマグネシウム))、長鎖アミノ酸誘導体、高分子アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、およびプロピレンモノステアリン酸グリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー類(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラギナン、セルロース誘導体類(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル メチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)、ソルビタンモノパルミテート(Span 40)、モノステアリン酸ソルビタン(Span 60)、トリステアリン酸ソルビタン(Span 65)、 モノオレエートグリセリル、ソルビタンモノオレエート(Span 80))、ポリオキシエチレンエステル類(例えば、ポリオキシエチレンモノステアリン酸(Myrj 45)、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアリン酸およびソルトール(Solutol))、スクロース脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、Cremophor(商標))、ポリオキシエチレンエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Brij 30))、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレイン酸、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、Pluronic F68、Poloxamer 188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウムおよび/またはこれらの混合物を含む。
【0044】
例となる結合剤は、デンプン(例えば、コーンスターチおよびスターチペースト)、ゼラチン、糖類(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖液、ラクトース、ラクチトール、マンニトール等)、天然および合成ゴム類(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモス抽出物、パンワーゴム(panwar gum)、ガティゴム(ghatti gum)、アイサポール(isapol husks)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶化セルロース、セルロース酢酸塩、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、およびカラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan))、アルギン酸塩類、エチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート類、ワックス類、水、アルコール、および/またはこれらの混合物を含む。
【0045】
例となる保存料は、抗酸化物質、キレート剤、抗菌保存料、抗真菌保存料、アルコール保存料、酸性保存料、および他の保存料を含む。
【0046】
例となる抗酸化物質は、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル(acorbyl palmitate)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸塩カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムを含む。
【0047】
例となるキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ならびにその塩および水和物(例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸2ナトリウム、エデト酸3ナトリウム、エデト酸2ナトリウムカルシウム、エデト酸2カリウム等)、クエン酸ならびにその塩および水和物(例えば、クエン酸一水和物)、フマル酸ならびにその塩および水和物、リンゴ酸ならびにその塩および水和物、リン酸ならびにその塩および水和物、および酒石酸ならびにその塩および水和物を含む。
【0048】
例となる抗菌保存料は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、およびチメロサールを含む。
【0049】
例となる抗真菌保存料は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸塩ナトリウムおよびソルビン酸を含む。
【0050】
例となるアルコール保存料は、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール性化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸およびフェニルエチルアルコールを含む。
【0051】
例となる酸性保存料は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、およびフィチン酸を含む。
【0052】
他の保存料は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、KathonおよびEuxylを含む。特定の態様において、保存料は抗酸化物である。他の態様において、保存料はキレート剤である。
【0053】
例となる緩衝剤は、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、水酸化カルシウムリン酸、酢酸カリウム、塩化カルシウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、脱パイロジェン水、等張食塩水、リンガー溶液(Ringer’s solution)、エチルアルコール、およびこれらの混合物を含む。
【0054】
例となる滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、モルト、グリセリルベヘネート(glyceryl behanate)、水素化植物油類、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物を含む。
【0055】
例となる天然油は、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、クロフサスグリの種、ルリヂサ、ビャクシン属の木、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラの肝、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚類、アマニ、ゲラニオール、ウリ類、グレープシード、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイの実、ラバンディン、ラベンダー、レモン、リツェアクベバ、マカデミアナッツ、マロウ、マンゴーの種、メドウフォームシード、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、ヤシ、ヤシ核、桃仁、ラッカセイ、ケシの実、カボチャの種、菜種、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、ビャクダン、サザンカ(sasquana)、香辛料(savoury)、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、ダイズ、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチベル、クルミおよび小麦胚種の油類を含む。例となる合成油は、限定するわけではないが、ステアリン酸ブチル、トリカプリルグリセリル、トリカプリルトリグリセリル、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360(dimethicone360)、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油およびこれらの混合物を含む。
【0056】
本発明の化合物は、組成物が、本発明の化合物および生分解性遅延放出担体(例えば、高分子担体)または薬学的に許容可能な非生分解性遅延放出担体(例えば、イオン交換担体)を含んでなる、遅延放出組成物を経由して投与されてもよい。
【0057】
生分解性および非生分解性遅延放出担体は、当技術分野において周知である。生分解性担体は、製剤原料(複数可)(即ち、本発明の化合物)を保持し、製剤原料を放出するために好適な環境(例えば、水性、酸性、塩基性等)内でゆっくり分解/溶解する粒子またはマトリックスを形成するために用いられている。このような粒子は、製剤原料(即ち、本発明の化合物)をその中で放出するため、体液内で分解/溶解する。粒子は、好ましくはナノ粒子(例えば、直径約1〜500nmの範囲、好ましくは直径約50〜200nm、および最も好ましくは直径約100nm)である。遅延放出組成物を調製する過程において、遅延放出担体および本発明の化合物は、第一に有機溶剤中で溶解または分散される。結果として得られる混合物は、乳濁液を製造するために、任意の界面活性剤を含む水溶液内へ添加される。有機溶剤は、遅延放出担体および本発明の化合物を含む、粒子のコロイド懸濁液をもたらすために、次いで乳濁液から蒸発される。
【0058】
錠剤およびカプセルは、有利な経口用量単位形態を表している。錠剤は、標準技術を用いて糖衣されていてもフィルムコートされていてもよい。錠剤は、同様に、持続的な、制御放出治療効果をもたらすために、コーティングされていても、別の方法で作り上げられてもよい。用量形態は、外部成分が、内部成分を包む形態である、内部用量および外部用量の成分を含んでなり得る。2つの成分は、胃内(腸溶性層等)の分解に耐え、内部成分が十二指腸内へ無傷で通過することを許容する層、または放出を遅延させるかまたは持続させる層によって、さらに分離されてもよい。多様な腸溶性および非腸溶性層またはコーティング材(ポリマー酸、シェラック、アセチルアルコール、および酢酸セルロースまたはこれらの組合せ等)が用いられてもよい。
【0059】
特定の態様において、本発明は、化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、少なくとも10重量%の化合物Bが、化合物B−形態1として存在している、化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%の化合物Bが、化合物B−形態1として存在している、化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、少なくとも95重量%、または少なくとも96重量%、または少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%、または少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%、または少なくとも99.8重量%、または少なくとも99.9重量%の化合物Bが、化合物B−形態1として存在している、化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。
【0060】
別の態様において、本発明は、90重量%以下の化合物Bが、非結晶質である化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下、または50重量%以下、または40重量%以下、または30重量%以下、または20重量%以下、または10重量%以下の化合物Bが、非結晶質である化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、5重量%以下、または4重量%以下、または3重量%以下、または2重量%以下、または1重量%以下、または0.5重量%以下、または0.2重量%以下、または0.1重量%以下の化合物Bが、非結晶質である化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。
【0061】
別の態様において、本発明は、90重量%以下の化合物Bが、化合物B−形態1以外の他の形態で存在している化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下、または50重量%以下、または40重量%以下、または30重量%以下、または20重量%以下、または10重量%以下の化合物Bが、化合物B−形態1以外の他の形態で存在している化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、5重量%以下、または4重量%以下、または3重量%以下、または2重量%以下、または1重量%以下、または0.5重量%以下、または0.2重量%以下、または0.1重量%以下の化合物Bが、化合物B−形態1以外の他の形態で存在している化合物Bを含んでなる医薬組成物に関する。
【0062】
特定の態様において、本発明は、化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、少なくとも10重量%の化合物Cが、化合物C−形態1として存在している、化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%の化合物Cが、化合物C−形態1として存在している、化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、少なくとも95重量%、または少なくとも96重量%、または少なくとも97重量%、または少なくとも98重量%、または少なくとも99重量%、または少なくとも99.5重量%、または少なくとも99.8重量%、または少なくとも99.9重量%の化合物Cが、化合物C−形態1として存在している、化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。
【0063】
別の態様において、本発明は、90重量%以下の化合物Cが、非結晶質である化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下、または50重量%以下、または40重量%以下、または30重量%以下、または20重量%以下、または10重量%以下の化合物Cが、非結晶質である化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、5重量%以下、または4重量%以下、または3重量%以下、または2重量%以下、または1重量%以下、または0.5重量%以下、または0.2重量%以下、または0.1重量%以下の化合物Cが、非結晶質である化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。
【0064】
別の態様において、本発明は、90重量%以下の化合物Cが、化合物C−形態1以外の他の形態で存在している化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下、または50重量%以下、または40重量%以下、または30重量%以下、または20重量%以下、または10重量%以下の化合物Cが、化合物C−形態1以外の他の形態で存在している化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。別の態様において、本発明は、5重量%以下、または4重量%以下、または3重量%以下、または2重量%以下、または1重量%以下、または0.5重量%以下、または0.2重量%以下、または0.1重量%以下の化合物Cが、化合物C−形態1以外の他の形態で存在している化合物Cを含んでなる医薬組成物に関する。
【0065】
以上のように、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1](S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドのコハク酸塩の結晶形。
[2]CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、9.0、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、22.7、23.3、24.0、24.7、26.4、28.2および29.6度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[1]に記載の結晶形。
[3]CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.3、17.7、18.1、18.8、19.6、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[1]に記載の結晶形。
[4]CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、8.2、10.4、13.5、15.8、16.4、17.7、18.1、18.8、20.8、21.9、23.3および24.0度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[1]に記載の結晶形。
[5]CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.5、10.4、17.7、18.1、20.8および24.0度2θの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[1]に記載の結晶形。
[6]図1に実質的に従った粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[2]〜[5]のいずれかに記載の結晶形。
[7](S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドの安息香酸塩の結晶形。
[8]CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、21.5、22.1、23.4、24.0、24.2、25.1、25.9、27.1、28.8および30.7度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[7]に記載の結晶形。
[9]CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、9.2、10.9、12.8、14.2、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、24.2、25.9、27.1および28.8度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[7]に記載の結晶形。
[10]CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、15.6、16.6、16.9、18.1、18.6、22.1、24.0、27.1および28.8度2θからなる群から選択される少なくとも3つの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[7]に記載の結晶形。
[11]CuKα放射線を用いて測定された際に、約4.3、7.7、18.1、18.6、22.1および24.0度2θの回折角度を含んでなる粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[7]に記載の結晶形。
[12]図2に実質的に従った粉末X線回折(XRPD)パターンによって特徴付けられる、[8]〜[11]のいずれかに記載の結晶形。
[13][1]〜[6]のいずれかに記載の結晶形および薬学的に許容可能な担体を含んでなる、医薬組成物。
[14][7]〜[12]のいずれかに記載の結晶形および薬学的に許容可能な担体を含んでなる、医薬組成物。
[15]経口投与用に適用される、[13]に記載の組成物。
[16]錠剤またはカプセルの形態である、[15]に記載の組成物。
[17]経口投与用に適用される、[14]に記載の組成物。
[18]錠剤またはカプセルの形態である、[17]に記載の組成物。
[19]その治療を必要とするヒトにおいて癌を治療する方法であって、該ヒトに[1]〜[6]のいずれかに記載の結晶形の有効量を投与することを含んでなる、方法。
[20]その治療を必要とするヒトにおいて癌を治療する方法であって、該ヒトに[7]〜[12]のいずれかに記載の結晶形の有効量を投与することを含んでなる、方法。
[21]その治療を必要とするヒトにおいて癌を治療する方法であって、該ヒトに[13]、[15]または[16]に記載の組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
[22]その治療を必要とするヒトにおいて癌を治療する方法であって、該ヒトに[14]、[17]または[18]に記載の組成物の有効量を投与することを含んでなる、方法。
[23]前記癌が、造血癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫および膵臓癌からなる群から選択される、[19]〜[22]のいずれかに記載の方法。
[24]療法に用いるための、[1]〜[12]のいずれかに記載の結晶形。
[25]PRMT5−媒介疾患の治療に用いるための、[1]〜[12]のいずれかに記載の結晶形。
[26]癌の治療に用いるための、[1]〜[12]のいずれかに記載の結晶形。
[27]前記癌が、造血癌、肺癌、前立腺癌、黒色腫および膵臓癌からなる群から選択される、[26]に記載の結晶形。
さらなる詳述なしに、当業者は、前述の記載を用いて本発明を最大限利用できると信じられている。以下の実施例は、従って、いかなる方法においても本発明の範囲の制限としてではなく、単なる例証として解釈されるべきである。
【実施例】
【0066】
実施例1:(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(化合物A)の調製
(a)tert−ブチル(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルバミン酸塩
ジクロロメタン(3000mL)中の、tert−ブチルピペリジン−4−イルカルバミン酸塩(200g、1mol)、およびトリエチルアミン(150g、1.5mol)の溶液に、温度を0℃に維持しながら、1時間かけて、無水酢酸(102g、1mol)を滴下して添加した。添加後、混合物を0℃でもう2時間撹拌し、この時間でTLCが、反応が完了したことを示した。溶液を、水(1L)の添加によってクエンチした。有機層を回収し、重炭酸ナトリウム水溶液(1L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、粗製産物を得た。4つのバッチを平行して運転し、670g重量の組み合わさった粗製産物を製造した。
【0067】
LCMS(m/z):243.1(M+1)。
【0068】
(b)1−(4−アミノピペリジン−1−イル)エタノン塩酸塩
メタノール(1000mL)中の、tert−ブチル(1−アセチルピペリジン−4−イル)カルバミン酸(330g、1.36mol)溶液に、0℃の温度を維持して30分間かけて、塩酸(メタノール中4M、300mL)を添加した。添加後、混合物を、0℃でもう2時間撹拌し、次いで、濃縮して、粗製産物を得た。2つのバッチを平行して運転し、310g重量の組み合わさった粗製産物を製造した。
【0069】
HNMR(400MHz、DO)δ4.35(dd、J=2.0、12.0Hz、1H)、3.98−3.85(m、1H)、3.44−3.30(m、1H)、3.18−3.05(m、1H)、2.75−2.58(m、1H)、2.06−1.92(m、5H)、1.61−1.31(m、2H);LCMS(m/z):143.1(M+1)。
【0070】
(c)6−ヒドロキシピリミジン−4−カルボン酸
水(500mL)中の(Z)−1、4−ジエトキシ−1、4−ジオキソブト−2−エン−2−オレートナトリウム(55.0g、262mmol)溶液に、酢酸ホルムアミジン(27.3g、262mmol)および水酸化ナトリウム(10.5g)を添加した。添加後、得られた混合物を、16時間、25℃で撹拌し、次いで、濃縮し、次いで、pH=1まで、添加した含水塩酸(1N)で酸性化した。得られた固体をろ過によって回収し、水およびエーテルで洗浄し、6−ヒドロキシピリミジン−4−カルボン酸(6.0g、収率:16.3%)を得た。
【0071】
HNMR(400MHz、DMSO−d)δ12.89(s、1H)、8.24(s、1H)、6.83(s、1H)。
【0072】
(d)6−クロロピリミジン−4−塩化カルボニル
酢酸エチル(3000mL)中の6−ヒドロキシピリミジン−4−カルボン酸(300g、2.14mol)の撹拌した混合物に、反応温度を30℃未満に維持して、塩化オキサリル(1356g、10.68mol)をゆっくりと滴下した。添加後、混合物を、30分間、20℃で撹拌し、次いで、2mLのN、N−ジメチルホルムアミドを混合物に添加した。混合物を、次いで16時間、80℃で撹拌し、濃縮して黒い固体として粗製産物を得た。3つのバッチを平行して運転し、787g重量の組み合わさった粗製産物を製造した。
【0073】
(e)(R)−2−(オキシラン−2−イルメチル)−1、2、3、4−テトラヒドロイソキノリン
0℃での、テトラヒドロフラン(100mL)中の、1、2、3、4−テトラヒドロイソキノリン(10g、0.15mol)溶液に、フッ化カリウム(22g、0.3mmol)を添加した。1時間後、(S)−オキシラン−2−イルメチル3−スルホン酸ニトロベンゼン(21.4g、0.17mmol)を添加し、得られた溶液を、16時間、22℃で撹拌した。固体を、ろ過によって除去し、テトラヒドロフランで洗浄した。溶液を、次いで濃縮した(15g、収率53%)。
【0074】
LCMS(m/z):190.1(M+1)。
【0075】
(f)(S)−1−アミノ−3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)プロパン−2−オール
−78℃での、エタノール(100mL)中の、(R)−2−(オキシラン−2−イルメチル)−1、2、3、4−テトラヒドロイソキノリン(15g、0.08mol)溶液に、アンモニアガスをゆっくりと泡立てながら通気した。反応混合物を、次いで密封し、3時間、80℃で加熱した。反応混合物を、次いで濃縮した(15g、収率92%)。
【0076】
LCMS(m/z):207.1(M+1)。
【0077】
(g)(S)−6−クロロ−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド
ジクロロメタン(3500mL)中の、(S)−1−アミノ−3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)プロパン−2−オール(247g、1.20mol)とトリエチルアミン(250g、2.5mol)の撹拌した混合物に、6−クロロピリミジン−4−塩化カルボニル(100mLのジクロロメタン中190g)を1時間かけて、−60℃で、ゆっくりと添加した。添加後、混合物を10℃まであたためた。撹拌を1時間継続し、この時間でTLCが、反応が完了したことを示した。反応物を、水(1.5L)の添加によってクエンチした。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィーで精製して(酢酸エチル〜ジクロロメタン:メタノール=10:1)、淡い黄色い固体として所望の産物を得た。4つのバッチを平行して運転し、800g重量、収率49%の組み合わさった粗製産物を製造した。
【0078】
HNMR(400MHz、MeOD−d)δ8.73(d、J=1.0Hz、1H)、8.07(d、J=1.0Hz、1H)、7.17−7.06(m、3H)、7.00(d、J=7.0Hz、1H)、4.12(q、J=6.0Hz、1H)、3.74(s、2H)、3.64−3.53(m、2H)、2.94(q、J=5.5Hz、2H)、2.92−2.81(m、2H)、2.78−2.64(m、2H)、LCMS(m/z):347.2[M+H]
【0079】
(h)(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド
イソプロパノール(2000mL)中の、(S)−6−クロロ−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(190g、0.55mmol)、1−(4−アミノピペリジン−1−イル)エタノン(78g)、およびトリエチルアミン(100g、1mol)の溶液を、16時間、60℃で撹拌した。混合物を濃縮し、残渣を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、所望の産物を得た。4つのバッチを平行して運転し、482g重量の組み合わさった粗製産物を製造した。この材料を、分取HPLCでさらに精製し、標題の化合物(325g、純度98%超、遊離塩基形態)を得た。
【0080】
HNMR(400MHz、MeOD−d)δ8.26(s、1H)、7.15−7.02(m、5H)、4.46(m、1H)、4.15−4.07(m、2H)、3.88(m、1H)、3.74(s、2H)、3.53(m、2H)、3.33(m、1H)、2.95−2.86(m、5H)、2.68(m、2H)、2.14−2.01(m、5H)、1.48−1.42(m、2H);LCMS(m/z):453.3[M+H]
【0081】
実施例2:(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドのコハク酸塩(化合物B)の調製
(a)小規模
酢酸エチル(0.5mL)を、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(非晶質遊離塩基)(19.9mg)に添加した。懸濁液に、コハク酸(メタノール中1M溶液、1.0当量)を添加し、懸濁液の温度を、48時間、40℃〜5℃の間で循環させた。結晶塩を遠心力ろ過によって単離し、固体をXPRDで分析した。
【0082】
(b)大規模
イソプロパノール(5.0mL)を、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(非晶質遊離塩基)(361.3mg)に添加した。懸濁液を40℃に加熱し、コハク酸(メタノール中1M溶液、1.0当量)を添加した。懸濁液に、コハク酸塩の種(上記の方法(a)によって調製された)を添加し、懸濁液の温度を、16時間、40℃〜5℃の間で循環させた。結晶コハク酸塩を真空下で単離し、15分間空気乾燥し、4時間、40℃で、真空オーブンで乾燥した。結晶コハク酸塩の収率は、68.6%(312.9mg)であった。コハク酸塩の化学量論は、HNMRによって、およそ1:1((S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド:コハク酸)であると決定された。
【0083】
この材料(化合物B−形態1)の粉末X線回折(XRPD)パターンは、図1において示されていて、回折角度および間隔dの集計は、以下の表Iに示されている。XRPD分析は、Siゼロ−バックグラウンドウェハ(Si zero-background wafers)のPANanalytical X’Pert Pro Diffractometerで実行した。収集条件は、CuKα放射線、発生器張力:45kV、発生器電流:40mA、ステップサイズ:0.02°2θを含んでいた。
【0084】
【表1】
【0085】
標題化合物の示差走査熱量測定法(DSC)のサーモグラムは、40mL/分の窒素ガスでパージする自動採取器および冷蔵機能つき冷却システムを備えたTA Instruments Q100示差走査熱量計に記録され、図3において示されている。実験は、波形アルミ製皿で、15℃/分の加熱率を用いて実施された。化合物B−形態1のDSCサーモグラムは、約144.1℃の開始温度を有する吸熱を示した。当業者は、吸熱の開始温度が、実験条件に依存して変動し得ることを認識するであろう。
【0086】
標題化合物の熱重量分析(TGA)サーモグラムは、TA Instruments Q5000熱重量分析計に記録され、図5に示されている。実験は、60mL/分の窒素ガス流および15℃/分の加熱率で実施された。化合物B−形態1のTGAサーモグラムは、75℃未満で、およそ0.53%の水の損失を示した。
【0087】
化合物Bは、以下の特性を実証した:
開放容器中25℃/60%RHで、開放容器中40℃/75%RHで、および閉鎖容器中50℃/大気条件で、4週間後、≦0.4%の分解。開放容器中25℃/60%RHで、開放容器中40℃/75%RHで、および閉鎖容器中50℃/大気条件で、6週間後、XPRD分析によって、物理的変化は検出されなかった。形態変化はXPRD分析により観察されずに、1xICH固形で光分解によるおよそ1.4%の分解。
【0088】
【表2】
【0089】
実施例3:(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミドの安息香酸塩(化合物C)の調製
(a)小規模
メチルtert−ブチルエーテル(0.5mL)を、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(非晶質遊離塩基)(21.5mg)に添加した。懸濁液に安息香酸(テトラヒドロフラン中3M溶液、1.0当量)を添加し、懸濁液の温度を、48時間、40℃〜5℃で循環した。結晶塩を、遠心力ろ過によって単離し、固体を、XPRD分析によって分析した。
【0090】
(b)大規模
イソプロパノール(3.5mL)を、(S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド(非晶質遊離塩基)(349.9mg)に添加した。懸濁液を、40℃に加熱し、安息香酸(テトラヒドロフラン中3M溶液、1.0当量)を添加した。懸濁液に、安息香酸塩の種(上記の方法(a)によって調製された)を添加し、懸濁液の温度を、16時間、40℃〜5℃で循環した。結晶安息香酸塩を真空下で単離し、15分間空気で乾燥し、4時間、40℃で、真空オーブンで乾燥した。結晶安息香酸塩の収率は、68.6%(305.3mg)であった。安息香酸塩の化学量論は、HNMRにより、およそ1:1((S)−6−((1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ)−N−(3−(3、4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)−イル)−2−ヒドロキシプロピル)ピリミジン−4−カルボキサミド:安息香酸)であると決定された。
【0091】
この材料(化合物C−形態1)の粉末X線回折(XRPD)パターンは、図2において示されていて、回折角度および間隔dの集計は、以下の表IIに示されている。XRPD分析は、Si ゼロ−バックグラウンドウェハ(Si zero-background wafers)のPANanalytical X’Pert Pro Diffractometerで実行した。収集条件は、CuKα放射線、発生器張力:45kV、発生器電流:40mA、ステップサイズ:0.02°2θを含んでいた。
【0092】
【表3】
【0093】
標題化合物の示差走査熱量測定法(DSC)のサーモグラムは、40mL/分の窒素ガスでパージする自動採取器および冷蔵機能つき冷却システムを備えたTA Instruments Q100示差走査熱量計に記録され、図4において示されている。実験は、波形アルミ製皿で、15℃/分の加熱率を用いて実施された。化合物C−形態1のDSCサーモグラムは、約141.7℃の開始温度を有する吸熱を示した。当業者は、吸熱の開始温度が、実験条件に依存して変動し得ることを認識するであろう。
【0094】
標題化合物の熱重量分析(TGA)サーモグラムは、TA Instruments Q5000熱重量分析計に記録され、図6に示されている。実験は、60mL/分の窒素ガス流および15℃/分の加熱率で実施された。化合物C−形態1のTGAサーモグラムは、75℃未満で、およそ1.25%の水の損失を示した。
【0095】
化合物Cは、以下の特性を実証した:
開放容器中25℃/60%RHで、開放容器中40℃/75%RHで、および閉鎖容器中50°C/大気条件で、2週間後、XPRD分析によって、物理的変化は検出されなかった。形態変化はXPRD分析により観察されずに、1xICH固形で光分解によるおよそ1.6%の分解。
【0096】
【表4】
図1
図2
図3
図4
図5
図6