特許第6559750号(P6559750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559750
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】計量ロボット、およびツールホルダ
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/02 20060101AFI20190805BHJP
   B05B 12/00 20180101ALN20190805BHJP
【FI】
   B25J9/02 D
   !B05B12/00 A
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-193147(P2017-193147)
(22)【出願日】2017年10月3日
(65)【公開番号】特開2018-62055(P2018-62055A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2017年10月3日
(31)【優先権主張番号】10 2016 119 619.3
(32)【優先日】2016年10月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514297888
【氏名又は名称】マルコ システマナリセ ウント エントヴィックルング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ロイター
【審査官】 藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−229752(JP,A)
【文献】 特開2007−210081(JP,A)
【文献】 特開2004−269201(JP,A)
【文献】 特開平06−079562(JP,A)
【文献】 特開2003−269451(JP,A)
【文献】 実開昭58−143195(JP,U)
【文献】 特開昭63−180490(JP,A)
【文献】 特開2015−087306(JP,A)
【文献】 特開平02−106283(JP,A)
【文献】 特開昭60−221273(JP,A)
【文献】 特開2006−198510(JP,A)
【文献】 特開2014−061525(JP,A)
【文献】 実開平03−044581(JP,U)
【文献】 実開昭61−020280(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
B05B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに関して垂直に指向された3つの動作自由度を有する、液体または粘性媒体の供給用の計量ロボット(10)であって、
互いに関して平行に離間された2つの第1の直線ガイド(20)を有する基部(12)と、
前記2つの第1の直線ガイド(20)上に移動可能に支持されるとともに、前記2つの第1の直線ガイド(20)に関して垂直に指向された第2の直線ガイド(22)を有するポータルブリッジ(18)と、
計量ユニット(102)を収容するカート(32)を移動可能に案内するための第3の直線ガイド(24)であって、前記第1の直線ガイド(20)および前記第2の直線ガイド(22)に対して垂直に指向されるとともに、前記第2の直線ガイド(22)に沿って移動可能な第3の直線ガイド(24)と、
を備え、
前記計量ロボット(10)の作業スペース(15)が、前記2つの第1の直線ガイド(20)の長手方向に位置する領域における、前記2つの第1の直線ガイド(20)の間に直接延在する領域の延長部分に延在し、
前記ポータルブリッジ(18)を移動させるための単一の駆動モータ(40)を備え、そのモータシャフトが、前記ポータルブリッジ(18)の2つの支持部(36)に、効率的に駆動するように相互に接続され、
前記ポータルブリッジ(18)を移動させるための前記単一の駆動モータ(40)は、前記2つの第1の直線ガイド(20)の間に直接延在する領域に配置されるとともに、2つのシャフト端部を有する連続したモータシャフトを備え、2つのシャフト端部はそれぞれ2つの駆動ベルト(46)のうちの一方を駆動し、それらの2つの駆動ベルトはそれぞれ前記ポータルブリッジ(18)の2つの支持部(36)を連結する横木(50)に連結された、計量ロボット(10)。
【請求項2】
前記ポータルブリッジ(18)が、前記2つの第1の直線ガイド(20)上に移動可能に支持された2つの支持部(36)を有し、かつ、前記2つの第1の直線ガイド(20)の間の間隔にまたがるとともに、前記2つの第1の直線ガイド(20)上に移動可能に支持された前記ポータルブリッジ(18)の前記支持部(36)の位置から前記2つの第1の直線ガイド(20)の方向にオフセットして位置決めされた横断部(34)を有することを特徴とする請求項1に記載の計量ロボット(10)。
【請求項3】
前記ポータルブリッジ(18)および前記基部(12)のうち少なくとも一つが中空ボックス構造に設計され、好ましくは11×10-6 〜18×10-6 1/Kの熱膨張係数を有する鋼板から構成され、特に、12×10-6 〜17×10-6 1/Kの熱膨張係数を有する鋼板から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の計量ロボット。
【請求項4】
中空ボックス構造に設計された前記ポータルブリッジ(18)の内部空間が、補強リブ(52)により複数のセルに分割され、それらのセルのうち少なくとも一つに、ポリウレタンフォームまたは別の防振材が充填されることを特徴とする請求項3に記載の計量ロボット。
【請求項5】
中空ボックス構造に設計された前記基部(12)の内部空間にコンクリートが少なくとも部分的に充填されることを特徴とする請求項3または4に記載の計量ロボット。
【請求項6】
記2つの駆動ベルト(46)はスチールから製造されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の計量ロボット。
【請求項7】
前記第3の直線ガイド(24)に沿って前記カート(32)を移動させる駆動モータ(44)を備え、前記駆動モータ(44)は、好ましくはスチールから製造された駆動ベルト(48)を介して効率的に駆動するように前記カート(32)に接続され、前記駆動モータ(44)は、特にそのモータシャフトに取り付けられるとともに前記駆動ベルト(48)を駆動する駆動ローラ(54)を有しており、前記駆動ローラ(54)には、前記駆動ベルト(48)に関してスチールの摩擦係数よりも高い摩擦係数をもたらす材料(56)が被覆されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の計量ロボット。
【請求項8】
前記第3の直線ガイド(24)に沿って前記カート(32)を移動させる前記駆動モータ(44)が、無電流状態において前記駆動モータ(44)を遮断するブレーキ装置を備えることを特徴とする請求項に記載の計量ロボット。
【請求項9】
互いに関して等間隔で離間された複数の光バリア(60)が、前記第1、第2、および/または第3の直線ガイド(20,22,24)に沿って設けられ、前記ポータルブリッジ(18)、前記第3の直線ガイド(24)、および/または計量ユニットを収容するための前記カート(32)の形態で各直線ガイド(20,22,24)に沿って移動可能なユニットは、前記光バリア(60)を遮断し、かつ、2つの互いに隣接する光バリア(60)間の間隔の半分に相当する幅(63)を有する、スイッチラグ(62)を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の計量ロボット。
【請求項10】
前記第1の直線ガイド(20)、前記第2の直線ガイド(22)、前記第3の直線ガイド(24)、および前記直線ガイド(20,22,24)の一つによって移動可能に案内される少なくとも一つのカート、を備えたガイド要素の群のうち少なくとも一つのガイド要素と、中空ボックス構造に設計されるとともに前記少なくとも一つのガイド要素が固定される前記計量ロボット(10)の構造(12,18)と、の間に、中空ボックス構造に設計された各構造(12,18)の寸法不整を補償するための硬化性レベリングコンパウンドを設けることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の計量ロボット。
【請求項11】
前記第3の直線ガイド(24)に沿って移動可能であるとともに、計量ユニット(102)を収容するための保持機構(68)を備えたアダプタユニット(64)を有するカート(32)を備え、前記保持機構(68)は、好ましくは空気圧で作動可能であり、かつ、前記計量ユニット(102)のアダプタ(103)を、前記第3の直線ガイド(24)に沿って移動可能な前記カート(32)に、形状が整合するように固定するように構成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の計量ロボット。
【請求項12】
前記アダプタユニット(64)は、電気接続および/または空気圧接続インターフェイス(72)を有し、この電気接続および/または空気圧接続インターフェイス(72)は、前記第3の直線ガイド(24)に沿って移動可能な前記カート(32)に前記計量ユニット(102)の前記アダプタ(103)を固定することにより、前記計量ユニット(102)の前記アダプタ(103)における対応接続インターフェイス(128)に接続されて、前記計量ユニット(102)に電気エネルギーおよび/または圧縮空気または減圧を供給し、かつ、前記計量ユニット(102)とデータ交換を行うように構成されることを特徴とする請求項11に記載の計量ロボット。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の計量ロボット(10)用の、粘性媒体または液体媒体を分配するための計量バルブ(104)を有する少なくとも一つの計量ユニット(102)を提供するための複数の収容部を有する、ツールホルダ(100)であって、収容された各計量ユニット(102)の前記計量バルブ(104)を封止する封止要素(106)を有する、ツールホルダ(100)。
【請求項14】
少なくとも一つの前記封止要素(106)が、前記ツールホルダ(100)の固定位置に設けられるとともに、前記少なくとも一つの計量ユニット(102)が、前記ツールホルダに取り外し可能に収容されることを特徴とする請求項13に記載のツールホルダ。
【請求項15】
前記封止要素(106)が、前記計量バルブ(104)の出口ノズル(114)を封止するように包囲する環状リップシール(118)を備える、または、
前記封止要素(106)が、接着片(120)を備え、その一部が前記計量バルブ(104)の出口ノズル(114)上に接着接合するとともに、別の部分が、前記ツールホルダ(100)に取り外し可能に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項13または14に記載のツールホルダ。
【請求項16】
前記計量バルブ(104)の前記出口ノズル(114)と前記環状リップシール(118)を介して封止された流体と連通する吸引装置を備えることを特徴とする請求項15に記載のツールホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤などの液体および/または粘性媒体をワークピースにターゲット状に適用可能な計量ロボットに関する。さらに本発明は、少なくとも一つの計量ユニットを提供するための、好ましくは本発明による計量ロボット用のツールホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
所謂直角座標ロボット(Cartesian robots)は、通常、液体または粘性媒体(pasty media)をワークピースにターゲット状に適用できるように用いられる。こうした直角座標ロボットは、概して、互いに関して直交するように揃えられた2つまたは3つの直線ガイドを有し、それによりワークピースの規定された位置に接着剤を適用できるように、計量ユニットが間隔を介した所望の位置に移動される。こうした計量ロボットは、例えば、所謂テーブルトップロボットとして設計され、ワークピースはそのロボットの基部上を第1の直線ガイドに沿って移動可能である。この過程で基部は、少なくとも一つの固定位置支持部を支持し、そのヘッドエンドには第1の直線ガイドに対して垂直に指向された第2の直線ガイドを有する片持ち部が設けられており、さらにその第2の直線ガイドでは、計量ユニットを受けるカートの可動ガイド用の第3の直線ガイドが移動可能である。この点に関し第3の直線ガイドは第2の直線ガイドに沿って移動可能であり、第1および第2の直線ガイドに対して垂直に指向される。このように、計量ユニットが特定の位置に移動することが可能であり、第1の直線ガイドに沿って移動可能なカート上の基部に配置されたワークピースに接着剤を適用することができる。こうしたテーブルトップロボットとは異なり、インラインロボット−生産ラインに用いられるまたは生産ラインに沿って用いられる−は、固定支持部を有する基部を有していない。こうしたインラインロボットは寧ろ、多くの場合、生産ラインの上に静置状に配置されるとともに生産ラインの輸送方向に対して垂直に揃えられた2つの第1の直線ガイドを有する。この点に関し、2つの第1の直線ガイド上にはブリッジが移動可能に支持されており、それらの2つの第1の直線ガイドに対して垂直に揃えられた第2の直線ガイドが前記のブリッジに沿って配置される。次いで計量ユニットを受けるカートの可動ガイド用の第3の直線ガイドが設けられており、この第3の直線ガイドは、2つの第1の直線ガイドおよび第2の直線ガイドに対して垂直に指向されるとともに、第2の直線ガイドに沿って移動可能である。その作業スペースは、その上の個々の直線ガイドの構造または配置により辛うじてアクセスすることができる程度である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようにテーブルトップロボットおよびインラインロボットはある程度の共通の特徴を有しているが、それでも尚、個々の直線ガイドの位置や配置に関して互いに異なるため、テーブルトップロボットおよびインラインロボットとして等しく使用することが可能な計量ロボットを提供することが望ましい。
【0004】
したがって本発明の根底にある目的は、できるだけ柔軟性のある利用が可能な計量ロボットの一貫した設計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する計量ロボットによって達成され、特に、2つの第1の直線ガイドの長手方向に延在する領域における、2つの第1の直線ガイドの間に直接延在する領域の延長部分に延在する計量ユニットの作業スペースにおいて達成される。
【0006】
従って従来のテーブルトップロボットまたはインラインロボットとは異なり、作業スペースは平面図で見たときの第1の直線ガイドの移動範囲に位置していない。本発明の計量ロボットを有する作業スペースは寧ろ2つの第1の直線ガイドの延長部分に延在するとともにそれらの2つの直線ガイドの間に延在する領域に延在している。したがって作業スペースが平面図で見たときの長方形領域として画定される場合、互いに関して平行に離間された2つの第1の直線ガイドは長方形の作業スペースの側面領域に対して垂直に延在するが、作業スペース内には侵入しない。したがって計量ロボットはテーブルトップロボットおよびインラインロボットとして使用される。計量ロボットが、例えば製造ラインで使用され、したがってインラインロボットとして使用される場合、製造ラインのコンベヤベルトは作業スペースを通して延在し、それにより連続的な製造工程を保証する。対照的に、テーブルトップロボットとして、計量ロボットは、固定位置の作業面すなわちその作業スペースの領域にテーブルを有し、処理されるワークピースは手作業により、あるいは更なるロボットにより作業面に配置される。
【0007】
本発明の計量ロボットの好ましい実施例を以下に詳述し、更なる実施例が図の記載、図面、および従属項から生じうる。
【0008】
したがってポータルブリッジが、2つの第1の直線ガイドの間の間隔にまたがるとともに、平面図で見たときに、そのポータルブリッジが2つの第1の直線ガイドの上に立つ位置から第1の直線ガイドの方向にオフセットして位置決めされた、横断部を有する第1の実施例に従って提供される。このため、ポータルブリッジは2つの第1の直線ガイド上を移動可能な2つの支持部を有し、2つの支持部のヘッドエンドは互いに横断部によって連結される。平面図から見ると、横断部はこの点に関し2つの支持部の領域に位置していない。寧ろ片持ち梁がそれらの支持部のヘッドエンドから突出しており、例えば、片持ち梁は2つの第1の直線ガイドの方向に指向されるとともに、それらの自由端を横断部によって互いに連結される。したがって横断部は、平面図または側面図で見たときにポータルブリッジの2つの支持部の足点(feet point)に関していわば張り出しを形成し、それにより計量ユニットが作業スペースの所望の領域へと移動するのを確実にする。
【0009】
更なる実施例によれば、計量ロボットのポータルブリッジおよび/または基部が中空ボックス状に設計され、好ましくは鋼板から構成されたものが提供される。したがってスチールすなわち鋼板は、従来の直角座標ロボットが一般的に設計される鋳造アルミニウムと比較して熱膨張係数が小さく、その結果、計量ロボットは熱の影響下で僅かしか変形しない。したがって計量ロボットの精度は僅かな温度変化にしか左右されない。さらに、その小さい熱膨張係数の結果、計量ロボットは温度によって誘発される拘束や拘束ストレスを少ししか受けず、計量ロボットの直線ガイドに沿って移動可能なカートの滑らかな移動は温度変化の影響を受けない。
【0010】
11〜18×10-6 1/Kの熱膨張係数を有する鋼板が、好ましくはポータルブリッジおよび基部の構成材料として用いられる。特に計量ロボットのポータルブリッジおよび基部を、例えば12×10-6 1/Kの熱膨張係数を有するスチールまたは17×10-6 1/Kの熱膨張係数を有するステンレス鋼などの、同じ材料から製造することが有利であることが判明しており、この場合、これはポータルブリッジと基部が任意の温度変化において同じ程度で変形し、ポータルブリッジと基部との間に拘束力が存在しないためである。
【0011】
たとえポータルブリッジの中空ボックス構造が既に十分な剛性特性を提供するとしても、本発明の更なる実施例により中空ボックス構造に設計されたポータルブリッジの内部空間を補強リブにより複数のセルに分割することが有利であることが判明している。それによりポータルブリッジがさらに剛性を有するように形成されるためである。更なる実施例により、それらのセルのうちの少なくとも単一のものをポリウレタンフォーム又は別の防振材で充填することが更に提供され、これは計量ロボットの動ひずみがそれにより小さく保たれるためである。
【0012】
対照的に、中空ボックス構造に設計された基部の内部空間には、基部そして計量ロボット全体に要求される安定性を提供するように、コンクリート、または、砂礫あるいは砂などの粒状体を充填してもよい。
【0013】
基部およびポータルブリッジを中空ボックス構造に形成する鋼板は、本質的に比較的正確な寸法で予め加工(prefabricated)されてもよい。一方、金属板が互いに溶接されて中空ボックス構造を形成する場合、個々の金属板は、特定の状況下で僅かに変形しうる。したがって、基部、ポータルブリッジなどの、中空ボックス構造状に製造される計量ロボットの構造、または第3の直線ガイドの支持構造に対し、それぞれ直線ガイドおよび/またはそれらの直線ガイドによって案内されるカートを、正確な寸法で設置するように、更なる実施例では、中空ボックス構造に製造された各構造と、その各々の直線ガイドおよび/またはカートとの間に、あらゆる寸法不整を補償することが可能な硬化性レベリング用化合物(hardenable leveling compound)が提供される。例えば、計量ロボットの組立て時、第1の直線ガイドが、基部に形成された複数のチャネル状の位置決めパターンにより正確な位置に組み込まれ、そのとき各直線ガイドの位置を固定するようにそれらの複数のチャネルにはエポキシ樹脂などの硬化性充填用樹脂が充填される。充填用樹脂の硬化後、直線ガイドを次いで基部に締め付けねじを用いて固定してもよく、それらの締め付けねじは充填用樹脂を通して基部に締結される。
【0014】
更なる実施例では、計量ロボットはポータルブリッジを移動させるように単一の駆動モータを有する。対照的に、ポータルブリッジの各支持部がその各々の駆動モータによって移動される場合、2つのモータの同期が不十分な場合にはポータルブリッジの変位(canting)を招く場合がある。これに対し、駆動モータの一つのモータシャフトがポータルブリッジの2つの支持部に効率的に駆動するように接続されるという意味において、ポータルブリッジの2つの支持部が同一の駆動モータによって移動される場合、これを目的として複数の駆動モータに複雑な同期を要することなく、2つの支持部は同じ送り量を受ける。
【0015】
更なる実施例では、ポータルブリッジを移動させるための駆動モータのみが、例えば、2つの第1の直線ガイドの間に直接延在する領域に位置決めされる。その場合、駆動モータは2つのシャフト端部を有する連続したモータシャフトを備え、2つのシャフト端部はそれぞれ2つの駆動ベルトのうちの一方を駆動し、それらの2つの駆動ベルトはそれぞれポータルブリッジの2つの支持部を連結する横木(traverse)に連結される。この点に関し、駆動ベルトと、基部およびポータルブリッジと、の間に拘束力が生じないように、2つの駆動ベルトは好ましくは、例えばスチールなど、ポータルブリッジや基部が形成されるのと同じ材料から構成される。モータシャフトの軸を中心とする回転、および第3の直線ガイドの方向に指向された軸(垂直軸)を中心とする回転に関する計量ロボットの剛性特性もまた、2つの第1の直線ガイドの間の駆動モータの配置および2つの駆動ベルトを介したポータルブリッジの駆動によって改善される。
【0016】
更なる実施例では、計量ロボットは、第3の直線ガイドに沿ってカートを移動させる駆動モータを備え、そのため、この駆動モータは、好ましくはスチールから製造された駆動ベルトを介して効率的に駆動するようにカートに接続される。この駆動モータと駆動ベルトの間の望ましくないスリップを防止するように、駆動モータは、その駆動シャフトに取り付けられるとともに駆動ベルトを駆動する駆動ローラを有し、この駆動ローラは、駆動ベルトに関してスチールの摩擦係数よりも高い摩擦係数をもたらす材料で被覆される。例えば、駆動ローラは、約3〜10μmの粒径を有する硬質の粒状材料で被覆され、それによりスチールから製造された駆動ベルトに関して約0.17の摩擦係数を生じさせる。
【0017】
第3の直線ガイドに沿って移動可能なカートが電源異常の場合においてもその位置を維持することができるように、更なる実施例では、そのカートを移動させる駆動モータが、無電流状態において駆動モータを遮断するスプリング−マグネットブレーキなどのブレーキ装置を備える。例えば、スプリング−マグネットブレーキは、活動状態においてはスプリング式のラッチを駆動モータの駆動シャフトと係合しない位置に維持する電磁石を備える。一方、電源異常時には、電磁石は磁界を発生させず、それによりスプリングによって予め負荷が印加されたラッチが移動して駆動シャフトと接触し、その結果、駆動シャフト延いては駆動モータによって駆動されるカートは第3の直線ガイドに沿って移動することができない。
【0018】
更なる実施例では、互いに関して等間隔で離間された複数の光バリアが、第1、第2、および/または第3の直線ガイドに沿って設けられ、ポータルブリッジ、第3の直線ガイド、および/または計量ユニットを収容するためのカートの形態で各直線ガイドに沿って移動可能なユニットは、光バリアを遮断し、かつ、2つの互いに隣接する光バリア間の間隔の半分に相当する幅を有する、スイッチラグを有する。各々の光バリアの遮断と、その解放と、の両方が測定点として用いることができるため、光バリアによってもたらされる測定点の効果的な数はここでは2倍に増加する。
【0019】
更なる実施例では、計量ロボットは、第3の直線ガイドに沿って移動可能であるとともに、計量ユニットを収容するためのアダプタユニットを有するカートを備え、アダプタユニットは、好ましくは空気圧で作動可能であり、かつ、計量ユニットのアダプタを、第3の直線ガイドに沿って移動可能なカートに、形状が整合するように固定するように構成された、保持機構を有する。したがって、計量ロボットがその計量ユニットの供給を道具として独立して交換することを可能にするアダプタユニットにより、いわばツールチェンジャが形成される。
【0020】
アダプタユニットは、第3の直線ガイドに沿って移動可能なカートに計量ユニットを固定することにより、計量ユニットのアダプタの対応する接続インターフェイスに接続されるように構成された電気接続および/または空気圧接続インターフェイスを有する。このプロセスにより、計量ユニットの電力供給および/または圧縮空気供給または減圧供給と、計量ユニットとのデータの交換と、の両方が2つのインターフェイスを介して行われる。したがってツールチェンジャが計量ユニットの一つを別の計量ユニットと交換する場合、ロボットと計量ユニットの間の電気および/または空気圧インターフェイスは、このプロセスにおいて同時に遮断され、続いて追加のロボットやオペレータによる別の作業ステップを要することなく再構築される。
【0021】
本発明の別の態様では、複数の計量ユニットが請求項14に記載のツールホルダから提供される。ツールホルダは特に、異なる媒体(media)が充填され、かつ/または、異なる構成の計量バルブを有する、複数の計量ユニットを備える。したがって計量ロボットは、ツールチェンジャを用いながらツールホルダから異なる媒体が充填された計量ユニットを取り外すことが可能であり、計量ユニットは、必要に応じてワークピースに異なる媒体および/または異なる分量を適用することができるように、任意選択的に異なる計量バルブを有することも可能である。これにより、計量ユニットのカートリッジの交換または変更時に発生するダウンタイムが管理されるため、計量ロボットの連続運転が保証される。計量バルブを手作業により別のものに交換する必要がある際に生じうるダウンタイムもまた管理されるため、それにより計量ロボットの能力が全体として向上する。
【0022】
計量ユニットの計量バルブは本質的に正常時締切弁であり、換言すれば、非作動状態では閉じられている弁である。それでもなお、計量ユニットの長期の不使用時の特定の条件下では、少量の媒体が計量バルブを通して排出される場合がある。これを防ぐため、本発明では、ツールホルダは、収容される各計量ユニット用の封止要素を有し、各計量ユニットの計量バルブを封止する。
【0023】
実施例では、この点に関し少なくとも一つの封止要素がツールホルダの固定位置に設けられる一方で、少なくとも一つの計量ユニットがツールホルダに取り外し可能に収容される。したがって計量ユニットが計量ロボットによりツールホルダから取り外される場合、これを目的として異なる作業ステップを要することなく、封止要素は自動的に計量バルブから取り外される。
【0024】
実施例では、封止要素は計量バルブの出口ノズルを封止するように包囲する環状リップシールを備えうる。この点に関し、リップシールは、その計量バルブとは反対側に配置された側が、例えば閉じられたカップによって収容され、または、その計量バルブとは反対側に配置された側が、リップシール上に射出成形されたまたはリップシールと一体形成されたカバーによって閉じられる。
【0025】
別の実施例では、封止要素が接着片を備え、その一部が計量バルブの出口ノズル上に接着接合するとともに、別の部分が、例えばクランプにより、ツールホルダに取り外し可能に取り付けられる。こうした接着片により計量バルブが封止された計量ユニットをツールホルダから取り外す場合、接着片は、この点において接着接合した出口バルブから自動的に引き剥がされ、供給される媒体を分配するように出口バルブが解放される。
【0026】
封止要素がリップシールとして構成される場合、ツールホルダは、更なる実施例では、計量バルブの出口ノズルとリップシールを介して封止された流体と連通する吸引装置を更に備える。このように、媒体の残留物が出口ノズルを詰まらせないように、媒体の残留部が出口ノズルから吸い出される。
【0027】
添付の図面を参照しながら一例として以下に本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の計量ロボットの正面からの斜視図。
図2】基部の無い図1の計量ロボットを後方から見た斜視図。
図3】計量ロボットのポータルブリッジの駆動部を説明する斜視図。
図4】ポータルブリッジが第1の直線ガイドに配置された、図3に対応する図。
図5】一部が破断された側面を有するポータルブリッジの斜視図。
図6】駆動部とともに第3の直線ガイドを示す斜視図。
図7】本発明の計量ロボットの3つの異なる構成を示す斜視図。
図8】作業スペースを保護するための光センサを有する図1の計量ロボットを示す図。
図9】本発明のツールホルダの実施例の側面図。
図10図9の細部「Z」の拡大図。
図11】本発明のツールホルダの更なる実施例の側面図。
図12図11の細部「X」の拡大図。
図13】第3の直線ガイドに沿って移動可能なカートの領域におけるツールチェンジャを含む本発明の計量ロボットを示す図。
図14図13の細部「X」の拡大図。
図15図13の細部「Z」の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の計量ロボット10を正面から斜めに見た全体的な斜視図を示す。計量ロボット10は、中空ボックス構造状に構成されるとともに、ポータルブリッジ18を支持する基部12を有しており、ポータルブリッジ18は、同様に中空ボックス構造状に構成されており、かつ、互いに関して平行に離間されるとともに基部12に支持された2つの第1の直線ガイド20(図2参照)に沿って移動可能である。ポータルブリッジ18は2つの第1の直線ガイド20に対して垂直に指向された第2の直線ガイド22を有し、ここでは図示しない計量ユニットを収容するカート32の可動ガイド用の第3の直線ガイド24が、第2の直線ガイド22に沿って移動可能に支持される。このカート32もまた、ここでは第3のカート32と称する。この点に関し第3の直線ガイド24は、2つの第1の直線ガイド20と、第2の直線ガイド22と、に対して垂直に指向されて、計量ユニットを収容するための第3のカート32が空間内の所望の位置にターゲット状に移動することを可能にする。
【0030】
既に述べたように、基部12は、中空ボックス構造状に構成されるとともに、平面図において計量ロボット10の作業スペース15を画定する作業面14を収容するための凹部16をその前方領域に形成する。したがって作業テーブルすなわち作業面14は、中空ボックス構造状に構成されるとともに個々の直線ガイド20,22,24も支持する基部12を介して、その基部12によって支持された直線ガイド20,22,24に対して強固に連結され、それによりロボット10は反りにくく(warp resistant)本質的に剛性を有する。基部12はさらに2つの第1の直線ガイド20を収容する役割を果たす2つの互いに離間した収容チャネル(図示せず)を有する。基部12の製造時に生じうる寸法許容差を補償するように、2つの第1の直線ガイド20はエポキシ樹脂によりそれらの収容チャネル内に一体成形(cast)される。
【0031】
図1に示されるように、平面図における作業面14によって画定される作業スペース15が、本発明の計量ロボット10の、2つの第1の直線ガイド20が長手方向に延在する領域における、それらの2つの第1の直線ガイド20の間に直接延在する領域の延長部分に延在している。換言すれば、2つの第1の直線ガイド20は、図1の斜視図において、作業スペース内に侵入することなく作業スペース14の後方に延在している。第3の直線ガイド24は、計量ユニットを収容する役割を果たすカート32とともに、ポータルブリッジ18に偏心状(eccentrically)に配置されるため、計量ユニットは、接着剤などの媒体を作業スペース14に配置されたワークピースに適用できるように、計量ロボット10により、作業スペース15内の所望の位置へとターゲット状に移動させることができる。
【0032】
基部12は本質的に、その中空ボックス構造により、ある一定の固有の剛性を有するが、基部12に要求される安定性を付与するために、その内部空間にコンクリートを少なくとも部分的に充填してもよい。さらに図1から分かるように、基部12はその前方領域に引き出し17を有し、その前部はロボット10の操作要素を収容し、その背面には電源およびデータ通信用のインターフェイスが設けられる。
【0033】
図2は、本発明の計量ロボット10を後方から斜めに見た斜視図を示し、ここでは2つの相互に離間された第1の直線ガイド20をよりよく認識できるように、図1に関しての基部12を省略している。第1の直線ガイド20の各々はレールで形成されており、それぞれ2つの第1のカート28がレールの各々に沿って移動可能であり(図3参照)、ポータルブリッジがスクリュー26を通じてそれらのカート上に取り付けられて(図3参照)、ポータルブリッジ18が、4つの第1のカート28を介して移動可能なように、2つの第1の直線ガイド20上に支持される。ポータルブリッジ18の寸法不整を補償するように、第1のカート28と、ポータルブリッジ18の対応する接触域との間にそれぞれ硬化性レベリング用化合物(hardenable leveling compound)を設けてもよい。2つの第1の直線ガイド20は互いに離間して配置され、ポータルブリッジ18は4つの第1のカートにより2つの第1の直線ガイド20上に移動可能に支持されるため、このように形成されたガイドは、2つの第1の直線ガイド20がガイドの剛性を損なうことなく相対的に狭く設計されるように、相対的に剛性を有する。
【0034】
ポータルブリッジ18は、2つの第1の直線ガイド20の間に直接延在する領域に配置された単一の駆動モータ40によって駆動すなわち移動される。2つの第1の駆動ベルト46が第1の駆動モータ40によって駆動され、そのため、第1の駆動モータ40は2つのシャフト端部を有する連続したモータシャフトを備え、2つのシャフト端部はそれぞれ2つの駆動ベルト46のうちの一方を駆動する(図3参照)。この点に関し駆動ベルト46はポータルブリッジ18の2つの支持部36を互いに接続する横木(traverse)50に連結される。したがってポータルブリッジ18の支持部36が双方とも単一の駆動モータ40による駆動により常に同じ送り量を受けるため、ポータルブリッジ18またはそのポータルブリッジ18を保持するカート28は傾かない。
【0035】
既に述べたように、ポータルブリッジ18はまた望ましくは中空ボックス構造に設計され、ポータルブリッジ18の内部空間は複数の補強リブ52(図5参照)により複数のセルに分割することが可能であり、その少なくとも一つのセルは、ポリウレタンフォームまたは別の防振材を充填することが可能である。
【0036】
特に図2および図5を併せて参照することにより明らかなように、ポータルブリッジ18は2つの支持部36の間に延在し、したがって2つの第1の直線ガイド20の間の間隔にまたがる横断部34を有する。この点に関し横断部34は平面図で見た2つの第1の直線ガイド20の方向に位置決めされ、2つの第1の直線ガイドの上に立つポータルブリッジ18の支持部36の位置からオフセットされる。そのため、突出部すなわち片持ち梁38は、ポータルブリッジ18の各支持部36のヘッドエンドに形成されるとともに、平面図で見たときにそれぞれ第1の直線ガイド20の方向に延在する。それらの片持ち梁38と一体化されたポータルブリッジ18の横断部34は、平面図または側面図から見たときにポータルブリッジ18の支持部36の足点(feet point)に関して張り出しを形成するように片持ち梁38に隣接する。したがって第1の直線ガイド20が作業スペース15内まで延在していなくても、計量ロボット10の計量ユニットは、作業スペース内の所望の位置まで移動することができる。
【0037】
さらに図2から分かるように、ポータルブリッジ18は第2の駆動モータ42を支持しており、それにより第3の直線ガイド24を支持する第2のカート30が第2の直線ガイド22に沿って移動することができる。第3のカート32は第1のカート28の各々よりも長く、第2の直線ガイド22は、2つの第1の直線ガイド20の各々よりも幅が広く、それに要求される剛性も存在する。計量ロボット10はさらに第3の駆動モータ48(図6参照)を有しており、それにより第3のカート32が第3の直線ガイド24に沿って移動することができる。第2のカート30のドライブは第3のカート32のドライブと同様であるため、以下の記載は第3のカート32のドライブに限定される。第1のカート28と同様、第3のカート32もまた第3の駆動モータ44により(第3の)駆動ベルト48を用いて駆動され、駆動ローラ54はその駆動モータ44のモータシャフトに取り付けることが可能であり、駆動ベルト48の牽引力を向上させるように駆動ローラは第3の駆動ベルト48よりも摩擦係数の高い材料56で被覆される。第2の駆動モータ42によって駆動される第2の駆動ベルトはポータルブリッジ18のカバー47の下に延在しているため、図からは認識できない。本発明によれば、第3の駆動モータ44は、駆動モータ44を無電流状態に遮断するスプリング−マグネットブレーキなどの、図示しないブレーキ装置を備えうる。
【0038】
この点に関し、計量ロボット10の他の全ての駆動ベルトと同様、第3の駆動ベルト48はスチールから作られ、相対的にグリップが低いため、駆動ローラ54を特別な摩擦材料で被覆することが有利であることが分かる。一方、直角座標ロボットが一般的に製造される鋳造アルミニウム鋼とは異なり、スチールは約12〜17×10-6 1/Kの範囲の相対的に小さい熱膨張係数を有するため、ポータルブリッジ18、基部12、横木50、および直線ガイド20,22,24もスチールから形成されるという点では、駆動ベルトをスチールから製造することが有利であることが分かる。特にポータルブリッジ18および基部12が鋼板から製造されるという事実により、計量ロボットは少ししか熱膨張を受けず、計量ロボット10の精度もまた大きい温度変動を受けない。一方、温度変動の際に計量ロボット10の個々のコンポーネントの間に好ましくない応力作用や拘束作用が生じないように、同じ材料または同様の熱膨張係数を有する材料が用いられるということであれば、ポータルブリッジ18、基部12、および駆動ベルト46,48は、例えば、ステンレス鋼や、別の熱膨張の低い材料から製造してもよい。
【0039】
さらに図6に見られるように、互いに均等に離間して配置された複数の光バリア(light barriers)60が第3の直線ガイド24に沿って設けられる。この点に関しこれらの光バリア60は、ロボット10の計量ユニットを支持する第3のカート32に取り付けられたスイッチラグ(switch lug)62により、遮断または開放される。この点に関しスイッチラグ62は隣り合う2つの光バリア60の間の間隔の半分に対応する幅63を有する。これにより各光バリア60の遮断または開放の両方が信号パルスとして用いられるため、光バリア60によって提供される測定点の有効数が2倍に増加する。光バリア60の測定点の精度を向上させるように、光バリア60はさらに小さい開口部を有してもよい。
【0040】
本発明の計量ロボット10は、その可動コンポーネントの慣性質量(mass of inertia)が底部から頂部へと減少する全体的な設計を有しており、第2のカート30を第2の直線ガイド22に沿って移動させる第2の駆動モータ42は第1の駆動モータ40よりも弱く、そしてまた第3のカート32を第3の直線ガイド24に沿って移動させる第3の駆動モータ44は第2の駆動モータ42よりも弱い。
【0041】
図7による計量ロボット10は、その作業スペース15が2つの第1の直線ガイド20の延長部分に延在するとともにそれらのガイドの間に延在する、計量ロボット10の本発明の構成により、テーブルトップロボットおよびインラインロボットの両方として使用することができる。したがって図7の左側の画像は、基部12の凹部16が、テーブルの役割を果たす作業面14によってカバーされた、テーブルトップロボットとしての実施例を示す。対照的に図7の真ん中の画像は、ここでは図示しないコンベヤベルトを基部12の凹部を通して案内させることができるように作業面14が取り外された、インラインロボットとしてのロボット10の使用を示す。計量ロボット10はまた、移送ラインの最後の機械を形成するという点で図7の右端に示す、インラインロボットとしても用いられる。
【0042】
図8によれば、本発明の計量ロボット10は光フェンス74を備えており、その光フェンス74の光バリアが遮断されたときにロボット10の移動を停止させるという点において、その光フェンス74により作業者をロボット10の移動から保護する。ロボット10の作業スペース15は、光フェンス74によりさらに2つの相互に隔離された領域(図示せず)に分割してもよく、それにより、例えばロボット10が光フェンス74で保護された半部内においてワークピースを処理する一方で、作業員がもう一方の半部内において新しいワークピースを作業スペース15内に導入することができる。
【0043】
本発明の計量ロボット10におけるツールの交換、すなわち計量ユニット102の、別の計量ユニット102への交換を速めるように、第3の直線ガイド24に沿って移動可能な第3のカート32は、ツールチェンジャとしての役割を果たすとともに、第3のカート32の空気圧シリンダ66によって駆動されるレバーすなわち保持機構68(図13,14参照)を有するアダプタユニット64を備える。保持機構68は空気圧シリンダ66の動作によりピボットピン69を中心として旋回し、それによりアダプタプレート103の上端130が保持機構68のノーズ部70により第3のカート32に対して付勢されることで、計量ユニット102のアダプタプレート103が第3のカート24に固定される。このため、アダプタプレート103の上端130は特に切妻屋根状輪郭部(gable roof-like contour)109を有しており、空気圧シリンダ66が移動して計量ユニット102をそのアダプタプレート103を介して第3のカート32に固定する際に、ノーズ部70が、切妻屋根状輪郭部109の第3のカート32から遠い側の斜面108に乗るとともに、その輪郭部に沿ってすべる。これに対し、アダプタプレート103の下端131は第3のカート32の収容溝71に収容され、それにより空気圧シリンダ66のピストンが外側に移動しているときに、アダプタプレート103したがって計量ユニット102が第3のカートに形状が整合した形で固定される。これに対し、空気圧シリンダ66のピストンが後退している場合、保持機構68はピボットピン69を中心として反時計回りに旋回する。この点に関し、保持機構68の与圧面が切妻屋根状輪郭部109のカート32に対向する側の斜面107に乗るとともに、その斜面を第3のカート32から離れる方向に促し、それによりアダプタプレート103の上端130が解放され、その結果、収容溝71に固定された計量ユニット102が第3のカート32から離れる方向に傾斜する。
【0044】
図13および特に図15に示される図13の細部「z」から分かるように、ツールチェンジャとしての役割を果たすアダプタユニット64は、計量ユニット102に対し電気エネルギーおよび圧縮空気または減圧と、制御信号とを供給するように、計量ユニット102のアダプタプレート103の対応接続インターフェイス128と接続可能な電気接続インターフェイス72および空気圧接続インターフェイス72を有する。この点に関し接続インターフェイス72の、アダプタプレート103の対応接続インターフェイス128への連結は、ツールチェンジャすなわち保持機構68を用いてアダプタプレート103を第3のカート32に固定する際に自動的に行われ、それにより、さもなければロボット10と計量ユニット102との間にプラグイン接続や結合接続を必要とするような、連結するための追加のステップを必要としない。
【0045】
次に、計量ロボット10によって使用されない計量ユニット102を収容し、提供するのに役立つ本発明のツールホルダ100について、図9〜12を参照しながら詳述する。このようにツールホルダ100に載置された計量ユニット102は、ツールホルダ100において新しいメディアカートリッジ110を充填または提供することができるとともに、後で計量ロボット10に使用するためにツールホルダ100から供給することができる。
【0046】
ツールホルダ100は、例えば図9に示すように、図の平面に対して垂直に互いにオフセットされた2つの歯を有するフォーク状支持部126、ならびに、各計量ユニット102を収容するようにフォーク状支持部126から直角に突出した片持ち部122を有する。この点に関しフォーク状支持部126は、各計量ユニット102のアダプタプレート103からそれぞれ2つずつ左右方向に突出した4つの差込部138を収容するための4つの半円形またはU字形の凹部132を形成する。この点に関しU字形の凹部132は互いに関して垂直に向いており、それにより計量ユニット102をその差込部138を用いてツールホルダ100の凹部132に掛けることができる。
【0047】
したがってツールホルダ100は本発明の計量ロボット10によって使用されるための複数の計量ユニット102を提供することが可能であり、そのためツールホルダ100は、例えば図1の計量ロボットの基部12のすぐ前に配置してもよく、それにより計量ロボットがツールチェンジャ64を用いてツールホルダ100から計量ユニット102を取り外し、再びその計量ユニットをツールホルダ100に戻すことが可能である。そのため、ツールチェンジャ64の保持機構68がツールホルダ100によって提供される複数の計量ユニット102、特にそれらのアダプタプレート103を利用することができるように、ポータルブリッジ18は、第1の直線ガイド20に沿ってまっすぐ作業面14まで移動する。計量ユニット102をツールホルダ100から取り外すには、まずアダプタプレート103の下端131が第3のカート32の収容溝71に収容されるまで第3のカートが上に少しだけ移動する。次いでツールチェンジャ64の空気圧シリンダ66のピストンが外側に移動し、その結果、保持機構68のノーズ部70が、アダプタプレート103の上端の斜面108に乗る。空気圧シリンダ66の前進駆動の結果、計量ユニット102が、収容溝71によって収容されたアダプタプレート103の端部131を中心として左側に旋回し、それにより計量ロボット10の第3のカート32に対して引き寄せられる。この点に関し、計量ユニット102の対応接続点128が同時にツールチェンジャ64の接続インターフェイス72と接続され、そのための個別の作業ステップが生じない。このように収容された計量ユニット102を、例えば異なる媒体または異なる計量バルブ104を有する別の計量ユニット102と交換する場合、計量ロボット100は先にツールホルダ100から取り外した計量ユニット102をツールホルダに戻し、次いで別の計量ユニット102をツールホルダ100から取り外すことができる。
【0048】
ツールホルダ100によって提供される計量ユニット102は本質的に、各メディアカートリッジ110から媒体流路112を通して計量バルブ104の出口ノズル114へと媒体が移動しないように、非作動状態においてはバルブボール116により出口ノズル114が閉鎖される常時閉の計量バルブ104を有する。しかしながら、媒体の残留物がバルブボール116または出口ノズル114の領域に捕集される場合、更なる媒体が計量バルブ104から投与されるのを防止することはできない。
【0049】
これを防止するため、ツールホルダ100は、収容する各計量ユニット102用の、各計量ユニット102の計量バルブ104を封止する封止要素106を有する。この点に関し封止要素106はツールホルダ100の固定位置に設けられており、このことは計量ユニット102がツールホルダ100から取り外されるときに封止要素106が各計量バルブ104から自動的に取り外されることを意味する。
【0050】
図10に示す実施例では、封止要素106は、例えば片持ち部122によって収容されるカップ124によりさらに収容される環状リップシール118である。この点に関し環状リップシール118はカップ124の上部端に形成された環状溝に嵌め込まれ、それにより必要に応じて梃子で外すことにより容易に交換することができる。
【0051】
図11,12に示す実施例は、計量ユニット104の出口ノズル114に接着接合される接着片120についての封止要素106である。この点に関し接着片120は好ましくは計量バルブ104を封止するように計量バルブ104の出口ノズル108に接着接合される領域にのみ接着性を有する。対照的に、接着片120の反対の位置に配置された端部は、スプリング136によって予め負荷が印加されたクランプ134により、ツールホルダ100の片持ち部122の自由端に固定され、それによりツールホルダ100に脱着可能に固定される。計量ユニット102がツールホルダ100から取り外される場合、接着片120は出口ノズル114から自動的に引き剥がされる。クランプ134が解放される場合、異なる計量ユニット102の出口ノズル104を封止するように、次いで接着片120が新しい接着片120に交換される。
【0052】
シール要素106が環状リップシール118によって形成される図9,10の実施例では、カップ124の内部空間に減圧を形成することができる図示しない吸引装置を付加的にツールホルダ11に一体化させてもよい。このように吸引装置により、あらゆる媒体の残留物を出口ノズル114から除去することが可能であり、こうした媒体の残留物を手作業で除去するための追加の作業ステップを必要としない。
【符号の説明】
【0053】
10…計量ロボット
12…基部
14…作業面
15…作業スペース
16…14の凹部
17…引出し
18…ポータルブリッジ
20…第1の直線ガイド
22…第2の直線ガイド
24…第3の直線ガイド
26…スクリュー
28…第1のカート
30…第2のカート
32…第3のカート
34…18の横断部
36…18の支持部
38…片持ち梁または突出部
40…第1の駆動モータ
42…第2の駆動モータ
44…第3の駆動モータ
46…第1の駆動ベルト
47…カバー
48…第3の駆動ベルト
50…横木(traverse)
52…補強リブ
54…駆動ローラ
56…摩擦コーティング
60…光バリア(light barrier)
62…スイッチラグ
63…62の幅
64…ツールチェンジャまたはアダプタユニット
66…空気圧シリンダ
68…保持機構またはレバー機構
69…ピボットピン
70…ノーズ部
71…収容溝
72…接続インターフェイス(電気/空気圧)
73…与圧面
74…光フェンス(light fence)
100…ツールホルダ
102…計量ユニット
103…アダプタプレート
104…計量バルブ
106…封止要素
107…斜面
108…斜面
109…切妻屋根状輪郭部(gable roof-like contour)
110…カートリッジ
112…媒体流路
114…出口ノズル
116…バルブボール
118…リップシール
120…接着片
122…片持部
124…カップ
126…フォーク状支持部
127…歯(tines)
128…対応接続インターフェイス
130…103の上端
131…103の下端
132…凹部
134…クランプ
136…スプリング
138…差込部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15