【発明が解決しようとする課題】
【0021】
液体金属を処理する現行の機械的攪拌又は電磁気的攪拌は、液体表面近傍に乱流を発生させるため、大部分の鋳造プロセスで支障が生じる。したがって、比較的安定した液体表面を得るには攪拌速度を制限しなければならず、結果として液体金属処理の効果と効率の両方が損なわれることになる。
【0022】
上述の理由から、本明細書の内容を理解する当業者には明らかであるように、新しい技術基盤と独立して又はかかる技術基盤との互換性を保ちながら拡張可能であり、コスト効率よく保守も容易な最小限のリソースが使用され、移動可能であるとともに配備箇所を選ばず配備時間も非常に短い、凝固処理前に液体金属の処理を行うシステム及び方法が必要とされている。
【0023】
したがって、既存の鋳造プロセスに容易に適用可能であり、集中的な融液剪断を実現可能な方法及び装置であって、融液表面からの気体及び汚染物質の取り込みを防止し、下工程に必要となる液体又は半固体のスラリー/フィードストックを加圧することにより剪断融液を下流に供給する方法及び装置を提供することが有利である。
【0024】
本発明は、高剪断液体金属処理装置であり、
第1端と第2端の間に延びる長手方向軸線を有し、前記第1端及び第2端に開口を有するバレルと、
前記バレルの中心を通り、かつ前記バレルの前記長手方向軸線に平行に取り付けられるロータシャフトと、
前記シャフトの軸線方向長さに沿って前記バレル内に取り付けられる複数のロータファンであって、各ロータファンは、その外端が前記バレルの内壁の最小距離内となるように形成されるロータファンと、
前記バレルの内面上に形成される複数のステータプレートであって、各ステータプレートは隣接する前記ロータファンの間に位置し、内面から実質的に前記ロータシャフトまで延在し、それぞれを貫通して流体を通過させるように形成された少なくとも1つの通路を有し、各ステータプレートの上面及び下面は、隣接する前記ロータファンの最小距離内に形成される、ステータプレートと、
を備え、前記最小距離は10μm〜10mmである、装置を提供する。
【0025】
本発明はまた、本発明の装置を使用して液体金属を処理する方法であり、液体金属は、前記バレル内を前記第1端から前記第2端に通液され、前記ロータファンの回転速度は、1rpm〜50,000rpmである、方法を提供する。
【0026】
即ち、本発明は、金属材料、粒子強化金属基複合材料(MMC)、及び不混和合金の更なる凝固処理を行うためのフィードストックとして処理/調整された液体金属を提供する装置及び方法である。
【0027】
本発明の装置及び方法は、化学組成を均質化し、液体金属又は金属基複合材料(MMC)中に気相、液相、及び固相を分散及び分布させることができる。さらに、本発明の装置及び方法は、様々な鋳造プロセス構造において実施可能である。本発明の方法は、スタンドアロンシステム又は組込みシステムとして実施することができる。
【0028】
本発明は、金属材料の凝固処理前の液体金属処理に使用することができる。液体金属処理は、特に、本発明によって提供される高い剪断力によって実現される。これにより、介在物及び気体元素を制御し、融液組成物及び温度を均一化し、液相が関与する化学反応又は相変態のための動力学的条件を改善し、不均一相を含む材料を混合し、鋳造微視組織を微細化して鋳造欠陥を解消/減少させ、様々な作用物質を分散させる手段が提供される。したがって、本発明は、特に限定するものではないが、高圧鋳造、低圧鋳造、重力鋳造、砂型鋳造、インベストメント鋳造、ダイレクトチル鋳造、双ロール鋳造、及びフィードストックとして液体金属を必要とする他の任意の鋳造プロセス等、様々な鋳造技術に適用可能である。
【0029】
本発明の主な目的は、金属材料、粒子強化金属基複合材料(MMC)、及び不混和合金の更なる凝固処理を行うためのフィードストックとして処理/調整された液体金属又は半固体スラリーを提供する装置及び方法を提供することである。本発明の他の目的は、化学組成を均質化し、金属と反応して金属基複合材料(MMC)を生成する液体金属又は粒子又は気体中に、気相、液相、及び固相を分散及び分布させることが可能な装置及び方法を提供することである。本発明の装置及び方法は、少なくとも1つの液相が関与する化学反応及び相変態の動力学的条件を強化するのに使用することができる。
【0030】
本発明は、金属材料の半固体スラリーを処理するのに有利である。特に、半固体スラリーに対する剪断力の影響は、生成した樹枝状晶を破壊し、それによって微視組織が等軸となるように/等軸に維持されるようにする。このことは、金属材料の降伏応力が粒径に反比例し、粒径が剪断速度に反比例することから特に重要である。さらに、このような環境下で金属が(一部でも)凝固すると、結果として得られる結晶粒組織は、半固体スラリーが十分な剪断力に十分な時間晒されたときに等軸となる傾向がある。
【0031】
本発明は、完全液体金属材料を処理するのに有利である。特に、液体金属内に粒子を均一に分布させることができ、それによって核形成部位を均一に分布させることができ、結果として得られる固体材料の微視組織の微細化及び均質化が可能となる。
【0032】
本発明を使用すれば、微視組織が微細化され鋳造欠陥が減少した、高品質な金属材料並びに金属基複合材料(MMC)及び発泡金属を生成することができる。
【0033】
本発明は、液体金属の全体積中の巨視的流れとの高剪断速度下での分散混合及び分布混合に使用して、液体表面近傍で激しい乱流を生じさせないようにすることができる。
【0034】
本発明の装置は、インライン合金炉として使用することができる。別法として、鋳造工場環境における液体金属用ポンプとして使用しながら、剪断及び精錬された材料を提供するようにしてもよい。別法として、金属を再利用するポテンシャル圧延機として使用してもよい。別法として、本発明による装置は、単純な異形押出ダイを取り付けることにより押出成形プロセスにおける圧力供給器として使用して押出成形物を生成し、押出成形物を一組のローラーに半固体状態で供給することによりシート金属を形成することもできる。
【0035】
ローラーシャフト及びローラーファンの回転は、当業者に明らかな任意の方法で実現可能である。本発明の幾つかの実施形態において、シャフト及びファンの回転は、流体に力が加えられて液体が装置を通過するときにファン及びシャフトを回転させるように作用するような圧力を加えながら、装置に液体を供給することによって達成することができる。これを達成するために、ファンは適切な方法で形成する必要があり、当業者にはそのような結果が得られるファンの様々な形成方法が容易に理解されるだろう。
【0036】
代替的又は追加的に、本発明の装置は、ロータシャフトに接続されてロータファンを回転させるモータを更に備えてもよい。モータは、ロータシャフトに直接接続しても間接的に接続してもよい。モータは、プラッットフォーム上に配置可能であり、ロータシャフトに接続してロータファンを駆動させることができる。
【0037】
一般に、本発明の装置は、装置の使用時にバレルの第1端が最上部に位置する一般的な向きで利用される。しかし、向きを変更することも可能である。例えば、本装置は、バレルの第1端が最下部に位置し、液体金属がバレル内で上向きにポンプ給送される、実質的に逆の向きでも使用可能である。この構成は、装置を脱ガス処理及び/又はMMRCの生成のために使用する場合に好ましい。このように逆向きで使用する場合は、気体が装置内を通過する液体金属を通る際に起泡され、その結果、気体と液体金属の反応によって酸化物、炭化物、又は他の介在物が生成される。
【0038】
本発明による装置は、バレルの第1端に形成されるリザーバを備えてもよい。リザーバの後段では、交互に配置されたステータプレートとロータファンがバレル内に収容される。リザーバ段は、内部に収容した液体金属の渦流を防ぐ内部バッフルを備えてもよい。ステータプレートは、リザーバの下部を形成し、バッフルは、ステータプレートの真下にあるロータファンによって上向きの渦流を防止するように形成してもよい。
【0039】
ステータプレートは、当業者に明らかな任意の方法で形成することができる。好ましくは、各ステータプレートは、2つの円板半部から構成され、バレルによって互いに保持され、それぞれの中央部に形成された穴を介してロータシャフトが駆動するように構成される。
【0040】
ステータプレートは、実質的に、流体(液体金属)の渦流による運動エネルギーを、各プレートを貫通して形成された少なくとも1つの通路を通過するように流体を仕向ける圧力に変換するように形成される。
【0041】
各ステータプレートは、それぞれを貫通するように形成された少なくとも1つの通路を有する。好ましくは、各ステータプレートは、それぞれを貫通して液体金属を通過させるように形成(例えばドリル形成)された複数の穴を有する。穴の直径は、任意の適切なサイズとすることができ、好ましくは0.5mm〜10mmとすることができる。ステータプレートの穴の直径は、バレルの長手方向軸線に沿って一定であっても、任意の適切な形式で変化してもよい。一方、穴の直径はバレルの長手方向軸線に沿って減少することが好ましい。即ち、ステータプレートの穴の直径は、バレルの長手方向軸線に沿ったステータプレートの位置によって決まり、バレルの第1端に近い方のプレートは、バレルの下端に近い方のプレートに比べて相対的に大きい穴を有する。
【0042】
本発明の装置は、装置の所期の使用温度で溶融又は過度に劣化しない材料から形成する必要があることを理解されたい。したがって、本装置は、200℃以上、より好ましくは600℃以上、最も好ましくは1000℃以上の融点を有する材料から形成することが好ましい。このような高い融点を有する材料から形成した装置は、液体金属加工の高温環境での使用に適する。
【0043】
本発明の各ロータファンは、少なくとも1枚の羽根を備えることが好ましい。各羽根は、回転時に液体金属にエネルギーを加え、隣接するステータプレートを経て液体金属を押し下げるように作用するように形成可能である。
【0044】
本発明の装置によって生み出される高い剪断力は、各ロータファンと隣接するステータプレートとの間の最小距離によって得られる。特に、ロータファンを10μm〜10mmの最小距離内に配置することにより、ロータファンの回転時に装置内の液体金属が高い剪断力を受けることが保証される。
【0045】
本発明の装置は、ステータプレート、バレル、及びロータファンが全て収容される保護筐体を更に備えることが好ましい。
【0046】
本発明の装置は、ブッシュを備えることが好ましい。ブッシュは、上記筐体上又は上記ロータシャフト上に固定される。
【0047】
本発明のロータシャフトは、それ自体の上部にロータファンを容易に取り付けることができ、かつ、ナットを使用して所定位置に保持可能に通すことができる。
【0048】
本発明の方法は、本発明の装置を使用して、バッチ式又は連続式に液体金属を集中的に剪断することができる。これは、液体金属を処理する方法の一部として実行でき、液体金属を処理する方法には、それらに限定されないが、液体金属の脱ガス処理、半固体スラリーの調製、金属基複合材料の調製、発泡金属の調製、不混和液体金属の混合、再利用、合金化、液体金属のポンプ給送、更なる凝固のために調整された液体金属の提供、又は既存の鋳造プロセス内の液体金属加工がある。
【0049】
動作中、モータはロータシャフトを駆動することによりステータプレート間のロータファンを回転させるように動作させることができる。ファンの形成が適切であれば、装置内の液体に対して下向きに作用する負圧が生じ、液体に渦流が生じる。ステータプレートを横切る液体の渦流が発生すると、液体金属は、ロータファンとステータプレートの間の小さい間隙により剪断される。ロータファンは高速で回転させることができ、ファンが液体金属を通り抜け液体がファンを横切る際に、液体金属が剪断される。
【0050】
また、ファンの回転により、液体金属は、各ステータプレートに形成された少なくとも1つの通路に押し込まれ、更に剪断される。液体金属がステータプレートを通過すると、液体金属中の流れの渦要素が減少し、その結果、ステータプレートを横切る方向の圧力が増加する。
【0051】
本発明の幾つかの実施形態において、バレルの直径はその第1端から第2端に向かって漸減する。これらの実施形態では、液体金属がステータプレートに形成された少なくとも1つの通路を通過すると、上述したように、液体金属は、通過したステータプレートと次のステータプレートとの間に形成されるより小さい体積に送り込まれる。これはバレルの直径が漸減することによる。その結果、この段における液体金属の圧力が増加する。ステータプレートを通過した後、液体金属は他のロータファンに接触し、液体金属がバレルの下端から排出されるまで上述のプロセスが繰り返される。
【0052】
本発明による装置は、装置内を通過する液体金属が十分に強い剪断力と、液体金属の所望の処理を発生させるのに十分な圧力とを受けるようにするのに十分なロータファン及びステータプレートを備える。必要な剪断力及び圧力は、本装置の実施形態で企図される具体的な用途によって決まる。
【0053】
各ロータファンは、1つ又は複数のファン羽根を備えてもよい。各羽根は、バレルの長手方向軸線に対して平行であっても傾斜していてもよく、また、バレルの長手方向軸線に対する向きがそれぞれの長さに沿って変化するように湾曲していてもよい。各羽根の形状は、現実的に製造及び組立て可能である限り、円筒状、角柱状、プリズム状、及び、規則的又は不規則な他の任意の幾何学的形状とすることができる。個々の羽根の形状は、互いに異なるようにすることができ、1つの羽根の表面は平坦であっても湾曲してしてもよく、異なる幾何学的表面の組合せであってもよい。単一のロータファンは、異なる形状の羽根を備えてもよい。ロータシャフトの周りのロータファンの羽根の分布は対称であることが好ましいが、必ずしもそうする必要はない。構造安定性のために、特により大きいセラミック異形を考慮する場合、ロータファンは、ロータファンの全ての羽根の外側の先端/縁部同士を接合するのに使用される外周リングを備え、これにより、ファンの構造完全性を維持し、装置の使用中、遠心力に由来する羽根に対する引張応力を減少させることができる。
【0054】
本発明による装置の1つ又は複数のロータファンの羽根は、中空であってよく、空気又は他の材料がファンを通過して液体金属中に供給可能なように形成することができる。このようにロータファンを形成することにより、空気又はMMRC粒子(又は他の任意の好適な材料)を液体金属内に導入し、液体金属の加工を強化することができる。
【0055】
各ステータプレートを貫通するように形成される穴は、装置内の液体金属が効果的かつ実用的に剪断される限り、丸い穴や四角い穴、スロット等とすることができる。一般には、適切な大きさの丸い穴が好ましい。ステータプレートの機能は、剪断力を提供し、圧力エネルギーに変換することによって液体の流れの運動エネルギーを減少させ、それによって圧力の上昇を促進して装置の移送能力を高めることである。
【0056】
本発明のステータプレートは、堅固なプレートの代わりに、剪断力を提供し流体の運動エネルギーを減少させて圧力エネルギーに変換するステータ羽根から構成されてもよい。即ち、ステータプレートは、それぞれを貫通するように形成された1つ又は複数の穴を備える堅固なプレートとして形成する代わりに、1つ又は複数のステータプレートを、バレルの内壁を起点とする/バレルの内壁に取り付けられた/バレルの内壁にスロット挿入される、環状の羽根から構成してもよい。かかる羽根は、運動エネルギーを圧力エネルギーに変換する同様の機能を発揮し、高い剪断力を提供するような形状とすることができる。当業者には理解されるように、羽根の形状は、それらが現実的に製造及び組立て可能である限り、円筒状、角柱状、プリズム状、及び、規則的な又は不規則な他の任意の幾何学的形状とすることができる。個々の羽根の形状は互いに異なっていてもよく、1枚の羽根の表面が平坦であっても湾曲していてもよく、異なる幾何学的表面を組合せることもできる。同じステータプレートで異なる羽根を使用することもできる。羽根の分布は、必ずしもステータプレートの周りで対称である必要はない。ステータプレートは湾曲していても、それ自体に穴を有してもよい。動作中、モータはロータシャフトを介してロータに力を伝達し、ロータを駆動してステータ間で回転させる。
【0057】
1つ又は複数のステータプレートが羽根から形成される場合、使用時に、液体金属はステータプレートを経て羽根の間を通過する。使用時は、ロータファンとステータプレートの間に小さい間隙が存在するため、液体金属はその間で高い剪断力を受ける。ロータファンの回転に起因する遠心力により外向きの流れ成分も発生する。その影響を受けた液体金属は、ロータファンの外縁とバレルの内壁との間の狭い間隙内で剪断されることになる。
【0058】
使用時に、本発明の装置のロータシャフト及びロータファンは、任意の適切な速度で動作させることができる。一般に、ロータシャフトの回転速度は、1rpm〜50,000rpmであることが好ましい。当業者なら好ましい回転速度を容易に決定することができるであろう。
【0059】
本発明による装置の1つ又は複数のロータファンは、各ロータファンを形成するいずれかの羽根の先端の周りに形成される外周リングを備えてもよい。この構造は、構造を単純化することができるので、ロータファンをセラミック系材料から形成する場合に有利である。また、アルミニウム等の腐食性の高い液体金属及び高融点合金の処理に使用することが企図される装置では特に好適である。外周リングの存在により半径方向応力をロータファンに沿ってより均一に伝達することが可能となる。
【0060】
本発明の方法の幾つかの実施形態において、使用時に、本発明による装置は、処理中の材料を入れたバットに完全に浸漬することができる。
【0061】
本発明の装置の幾つかの実施形態において、ロータシャフトは、装置(及び存在する場合はリザーバ)の第1端の上方に延在させることができ、それにより、中空管によって支持して使用中の反りを防止することができる。
【0062】
本発明の装置におけるバレルの内壁は、その長手方向軸線に沿って略円筒対称である。これにより、ロータファンの外端を内壁の最小距離内に維持することが可能となる。本発明のバレルの内壁は、ステータプレートを容易に取り付け保持することが可能な周方向スロットを備えてもよい。
【0063】
本発明による装置は、その長手方向軸線に沿って任意の好適な断面形状を有することができる。バレルの幅は、第1端側で最も大きくなり、下端に向かって徐々に狭くなることが好ましい。この構成は、液体金属がバレルを通過する際に圧力を増加させることが容易となるため好ましい可能性がある。別法として、バレルは、その長手方向軸線に沿って実質的に一定の直径を有してもよい。
【0064】
更なる代替形態として、バレルをベンチュリ計のような形状として幅が広‐狭‐広となるような断面を有するようにしてもよい。更なる代替形態として、バレルは、幅が反対に狭‐広‐狭となるような断面を有するようにしてもよい。いずれの場合の断面も、装置を通過する液体を圧縮及び膨張させ、それによって圧力の周期的な変動をもたらし、かかる圧力の周期的な変動を利用して剪断/混合/加工時間を確保することができる。
【0065】
本発明の装置の幾つかの実施形態において、ロータファン及び/又はステータプレートは、ロータファンが回転したときに液体を装置内に引き込んで通過させるように形成される。これらの実施形態において、本装置は、第1端側の開口を液体金属に浸漬される位置に置いた状態で、液体金属がこの開口から装置内に自動的に取り込まれるように動作させることができる。
【0066】
本発明の幾つかの実施形態において、1つ又は複数のロータファンは、互いに長手方向に離間された2組の羽根から形成してもよい。同様に、1つ又は複数のステータプレートは、長手方向に離間された2枚の平板から形成してもよい。このように形成されたロータファン及びステータプレートは、より大きい圧力を蓄積してから流れを拡散させることができる。
【0067】
本発明の幾つかの実施形態において、ロータファンは、ロータシャフトの周りに、ロータシャフトに沿って螺旋状に配置することができ、ステータプレートは、バレルの内壁の周りに、対応する螺旋状に配置することができる。無論、この構成を実現するには、各ステータプレート及び各ロータファンは、ロータシャフトの周囲を完全に取り囲む環状とすることはできず、ロータシャフトの周囲の途中までしか延在させることはできない。ただし、バレルの長手方向軸線に沿った方向では、ロータファンとステータプレートの交互配置が維持される。
【0068】
本発明のバレルは、当業者に明らかな任意の方法で構成可能である。例えば、バレルは、2つの半部に分離した後、それらを互いに接合して組み立てるようにしてもよい。この構成は保持リングを使用して実現できるが、その場合は、第1支持リングをバレルの第1端又はその近傍においてバレルの周りに形成し、第2支持リングをバレルの第2端又はその近傍においてバレルの周りに形成してもよい。代替形態では、単純に半部同士をしっかりとボルト締結し、ボルト締結された単純なフランジを使用して半部間を封止してもよい。
【0069】
さらに、上述のとおり、バレルは、バレルの部品が破損しても液体金属が筐体内に保持されるように筐体に収容することができる。
【0070】
本発明の幾つかの実施形態において、本装置は、バレル内の材料温度を制御するために(例えばバレル内の材料の適正な温度勾配を確保するために)、バレルの外部に配置された又はバレルと一体化された、1つ又は複数のヒーターを更に備えてもよい。ヒーターは、当業者に明らかな任意の方法で形成可能である。
【0071】
本発明による装置の材料は、当業者に容易に理解される諸材料要件を満足する必要がある。特に限定するものではないが、これらの要件としては以下が挙げられる。
・装置の使用温度において高い強度及び高い耐久性を有すること
・使用される液体金属の腐食性に耐える耐腐食性を有すること
・利用可能な製造技術を使用して製造可能であること
・コストが妥当であること
【0072】
本発明の高剪断装置の製造には、装置と共に使用される液体金属によって定義される所望の温度において十分な強度及び化学的安定性を有する限り、セラミック、グラファイト、鋼、高温合金、及び他の任意の材料を使用することができる。例えば、液体マグネシウム合金を処理/調整する上記高剪断装置を構成する好ましい材料としては、ニッケル不含の高温スチールが挙げられる。アルミニウム合金を処理/調整する上記高剪断装置を構成する好ましい材料としては、グラファイト、M0S12で被覆されたモリブデン、及びセラミックが挙げられる。好適なセラミック材料としては、それらに限定されないが、窒化物、ケイ化物、酸化物、炭化物、サイアロン、及び他の混合セラミックが挙げられる。特に好ましいセラミックとしては、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化シリコン、及びサイアロンが挙げられる。なお、グラファイトは、本発明の全ての実施形態においてブッシュの好適な材料の1つである。
【0073】
本発明の装置には様々な用途がある。本装置は、調整された液体金属を、圧延、押出、絞り等の様々な鋳造プロセスに供給する高剪断ポンプとして特に有用である。
【0074】
本発明の装置は、溶融炉又は均熱炉内に一体形成し、調整された液体金属を連続インゴット鋳造機に供給して高品質のインゴットを生成することもできる。上記インゴットは、よく分散した酸化物粒子を含み、結晶粒微細化能を保持し、高品質鋳造を実現するための鋳造場フィードストックとして使用することができる。
【0075】
本発明の装置は、溶融炉又は均熱炉内に一体形成し、調整された液体金属を連続(又は半連続)鋳造プロセスに供給することもできる。特に限定するものではないが、上記連続プロセスとしては、薄帯材向けの双ロール鋳造、インゴット及びスラブ向けのダイレクトチル鋳造、棒材向けの上向き鋳造、及び、フィードストックとして液体金属を必要とする他の連続(又は半連続)鋳造プロセスが挙げられる。上記調整融液の供給速度は、本装置のロータファン及び/又はステータプレートの回転速度及び設計を変更することによって制御することができる。
【0076】
本発明の装置は、溶融炉又は均熱炉内に一体形成し、調整された液体金属をシェイプ鋳造プロセスに供給し、成形部品を製造することもできる。特に限定するものではないが、上記シェイプ鋳造プロセスとしては、高圧鋳造、低圧鋳造、重力鋳造、砂型鋳造、インベストメント鋳造、及び、フィードストックとして液体金属を必要とする他の任意のシェイプ鋳造プロセスが挙げられる。上記調整融液の投入量は、本装置のロータファン及び/又はステータプレートの回転速度及び設計を変更することによって制御することができる。
【0077】
本発明の装置は、以下に示す特徴の液体金属を生成するのに使用することができる。以下の例は単なる例示であって包括的なものではない。
【0078】
本装置は、ガス含有量が低く、よく分散した酸化皮膜及び他の介在物、均一な温度及び均質な化学組成を有する調整された液体金属を、様々な鋳造プロセスにおける凝固処理に好適なフィードストックとして生成することができる。
【0079】
本装置は、結晶粒の微細化、鋳造プロセスの促進、及び鋳造生成物の品質改善に使用することができる。例えば、本装置は、等軸凝固を促進するために、ダイレクトチル鋳造及び双ロール鋳造プロセスに直接組み込むことができ、また、直接調整された液体金属を提供する投入ポンプとして、シェイプ鋳造プロセスに組み込むこともできる。
【0080】
本装置は、気相、液相、及び分離した固相を液体基材中に分散及び分布させるのに使用することができ、例えば、高効率の脱ガス処理、十分に分散した微視組織を得るための不混和金属液体の混合、微細な固体粒子がよく分散し均一に分布した金属基複合材料の生成、及び、ヘテロ相間の化学反応の促進等に利用可能である。
【0081】
本装置は、鋳造工場環境において溶融金属をポンプ給送するのに使用することができる。本装置は、インライン合金炉として使用可能である。本装置は、スクラップ金属を効率的に再利用するのに使用することができる。本装置は、押出成形や圧延、線材の絞り加工、ビレット及び厚板の鋳造を含めた諸種の改装可能な半固体成形法における上流圧を提供するのに使用することができる。
【0082】
本装置を用いれば、固体粒子、液滴、及び気泡を液体金属中に効率的に分散させ均一に分布させることが可能となる。本装置を用いれば、液体金属中の固体粒子、液滴、及び気泡のサイズを小さくすることができる。本装置を用いれば、化学組成の均質化及び液体金属中の温度場を改善することが可能となる。
【0083】
本装置を用いれば、液体金属中の内在固体粒子と外来固体粒子の両方を活性化することによって金属及び合金の物理的な結晶粒微細化を達成し、それにより金属材料の顕著な結晶粒微細化を実現することが可能となる。本装置は、少なくとも一種の液相が関与する化学反応及び相変態の動力学的条件を改善するのに使用することもできる。
【0084】
図示及び後述の好ましい実施形態を参照すれば本発明の理解が深まるであろう。