(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559797
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】電子筐体冷却機の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20190805BHJP
F28D 15/06 20060101ALI20190805BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20190805BHJP
G05D 23/19 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
G06F1/20 D
F28D15/06
H05K7/20 J
H05K7/20 R
G06F1/20 B
G05D23/19 J
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-550497(P2017-550497)
(86)(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公表番号】特表2018-519557(P2018-519557A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】DE2016100136
(87)【国際公開番号】WO2016155701
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】102015104843.4
(32)【優先日】2015年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512086138
【氏名又は名称】リッタル ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Rittal GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール,ダニエル
【審査官】
豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】
特表平10−504410(JP,A)
【文献】
特開平07−210208(JP,A)
【文献】
特開2014−157494(JP,A)
【文献】
実開昭59−049162(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/20
F28D 15/06
G05D 23/19
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却装置が設けられた第1冷却材回路と、ヒートパイプ装置が設けられた別の第2冷却材回路とを備える電子筐体冷却機の制御方法であって、電子筐体の周囲の空気が放熱のために前記電子筐体冷却機の外部回路を通過して、前記電子筐体内部からの冷却されるべき空気が前記電子筐体冷却機の内部回路を通って伝熱されることにより冷却され、前記方法に、
電子筐体内部の現在の温度(Ti)を連続的または周期的に測定し、前記電子筐体内部温度(Ti)の目標温度を決定し、前記電子筐体内部の現在の温度(Ti)と目標温度が前記電子筐体冷却機を作動させる制御器の入力信号を形成し、前記入力信号に応じて前記制御器が前記冷却装置の制御変数を決定する制御信号を出力するステップと、
現在の冷却能力(P)に比例する測定変数として制御器信号を決定するステップであって、前記冷却能力が前記電子筐体内部温度(Ti)を目標温度に一定に保つために必要な冷却能力であるステップと、
電子筐体内部の現在の温度(Tu)を連続的または周期的に測定して、必要とされる冷却能力が前記冷却装置により提供される場合、または必要とされる冷却能力が前記ヒートパイプ装置により提供される場合、の何れかの場合に、前記第1冷却材回路および第2冷却材回路に対する冷却機の特性を用いることで、前記測定温度(Ti,Tu)および前記目標温度での前記第1冷却材回路および第2冷却材回路に対するそれぞれのエネルギー効率または代表変数を決定するステップと、
上記2つの冷却材回路のうち必要な冷却能力をよりエネルギー効率よく提供することのできる方を何れか選択して作動させるステップと、が備えられていることを特徴とする電子筐体冷却機の制御方法。
【請求項2】
前記第1冷却材回路および前記第2冷却材回路に対する操作変数にはデバイス特性から期待される特定の冷却能力およびエネルギー効率が割り当てられ、
このデバイス特性を利用して回路が作動し、選択された冷却材回路が、必要とされる冷却能力に十分に見合った冷却能力を提供するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御器が冷却装置のPID制御装置であって、その制御信号は目標温度と電子筐体内部温度(Ti)に依存し、冷却機の内部または外部回路を通過する空気を送風するファン速度および圧縮器速度の少なくとも1つに対応する操作変数であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記操作変数を必要とされる冷却能力に比例するものと仮定して、変換関数を用いて必要な冷却能力の近似値に変換し、前記変換関数は単なる乗数または変換係数とできることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記デバイス特性を用いて、前記測定温度(Ti,Tu)における、第1冷却回路、および/または、第2冷却回路に対する、最大および/または最小の冷却能力を予測するステップがさらに含まれることを特徴とする請求項2〜4の何れか1つに記載の方法。
【請求項6】
第1冷却材回路、および/または、第2冷却材回路に対する最大冷却能力、および/または、最小冷却能力を予測するステップが、より良いエネルギー効率を持つ、最大冷却能力、および/または、最小冷却能力を提供する冷却材回路が他にないという条件で実行されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記制御方法には、前記冷却装置をサイクル運転させるために目標温度の周辺で上限と下限を有する冷却ヒステリシスを決定するステップがさらに含まれ、電子筐体内部温度(T
i)が下限温度から上限温度に上昇する冷却装置のスイッチオフ時間が、一連の作動時間の合間にある圧縮器の最小スイッチオフ時間の少なくとも1つに対応し、前記スイッチオフ時間は下記の数式に基づいて予測できるようになっており、
【数1】
ここで、Cは所定、予想、または実験的に得られる、冷却されるべき空気を受け入れている電子筐体の熱容量、ΔTは上限温度と下限温度との温度差、Pは予想される冷却能力であることを特徴とする請求項1〜6何れか1つに記載の方法。
【請求項8】
冷却装置が設けられた第1冷却材回路と、ヒートパイプ装置が設けられた別の第2冷却材回路とを備える電子筐体冷却機の制御方法であって、周囲の空気が放熱のために前記電子筐体冷却機の外部回路を通過して、前記電子筐体内部からの冷却されるべき空気が前記電子筐体冷却機の内部回路を通って伝熱されることにより冷却され、前記制御方法が、
電子筐体内部の現在の温度(T
i)を連続的または周期的に測定し、前記電子筐体内部温度(T
i)の目標温度を決定し、前記電子筐体内部の現在の温度(T
i)と目標温度が前記電子筐体冷却機を作動させる制御器の入力信号を形成し、前記入力信号に応じて前記制御器が前記冷却装置の制御変数を決定する制御信号を出力するステップと、
現在の冷却能力(P)に比例する測定変数として制御器信号を決定するステップであって、前記冷却能力が前記電子筐体内部温度Tiを目標温度に一定に保つために必要な冷却能力であるステップと、
現在の冷却能力(P)
に比例する前記測定変数のさらなる使用のために、ディスプレイまたは電子筐体を空調する制御管理ユニットに前記測定変数を出力するステップと、を備え、前記さらなる使用が、
前記冷却装置をサイクル運転させるために目標温度の周辺で上限と下限を有する冷却ヒステリシスを決定するステップを含み、電子筐体内部温度(T
i)が下限温度から上限温度に上昇する冷却装置のスイッチオフ時間が、一連の作動時間の合間にある圧縮器の最小スイッチオフ時間の少なくとも1つに対応し、前記スイッチオフ時間は下記の数式に基づいて予測できるようになっており、
【数2】
ここで、Cは所定、予想、または実験的に得られる、冷却されるべき空気を受け入れて
いる電子筐体の熱容量、ΔTは上限温度と下限温度との温度差、Pは予想される冷却能力
であることを特徴とする電子筐体冷却機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却装置が設けられた第1冷却材回路と、ヒートパイプ装置が設けられた別の第2冷却材回路とを備える電子筐体冷却機であって、周囲空気が放熱のために電子筐体冷却機の外部回路を通過して、電子筐体内部からの冷却されるべき空気が、電子筐体冷却機の内部回路を通って伝熱されることにより冷却されることを特徴とする電子筐体冷却機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子筐体冷却機を備えた電子筐体装置は例えば独国10 2012 108 110号明細書で公知となっている。このような電子筐体冷却機をエネルギー効率良く運転するためには、これら2つの冷却材回路から、より効率的に必要な冷却能力を提供することのできる冷却材回路を、何れかの運転時点で選択する必要がある。これには、必要とされる冷却能力の情報、換言すれば、電子筐体の内部温度を目標温度に維持するのに必要とされる冷却能力の情報がまず必要である。その上で、現在必要とされている冷却能力を提供する際には、各回路の効率性、つまり代表的なエネルギー効率を、それぞれの運転時に決定する必要がある。
【0003】
従来技術で知られている電子筐体冷却機は、例えば、冷却装置の原理のみに基づいており、冷却装置に必要とされている冷却能力およびエネルギー効率は考慮されておらず、一般的には、実際に必要とされている冷却能力とは関係のない所定速度、例えば、冷却装置が部品の寿命に対して平均的に最大の効率を有するとされる圧縮器の最大速度で、冷却機が運転される。さらには圧縮器を最大速度で運転することによって、必要とされる冷却能力の急上昇を確実に補償させることができる。しかし、冷却装置を圧縮器の高出力値で運転すると、冷却装置をサイクル運転させなければならず、電子筐体内部温度は目標温度の周りで、上限値と下限値の間でヒステリシスを示す。これは、必要とされる冷却能力にある程度正確に合致する冷却能力を冷却装置が提供するという理想的な状況と比べて、エネルギー的に不利である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の課題は、冷却装置とヒートパイプ装置とを備える電子筐体冷却機の制御方法であって、エネルギー効率の側面に基づき、運転の何れかの段階で、第1冷却材回路と第2冷却材回路の中から最適な選択を可能にする方法を提供することである。
【0005】
本課題は請求項1の特徴を有する本発明に係る方法により解決される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態に対応する。
【0006】
本発明に係る方法は下記のステップを備える。
電子筐体内部の現在の温度T
iを連続的または周期的に測定し、前記電子筐体内部温度T
iの目標温度を決定し、
前記電子筐体内部の現在の温度T
iと目標温度が前記電子筐体冷却機を作動させる制御器の入力信号を形成し、
前記入力信号に応じて前記制御器が前記冷却装置の制御変数を決定する制御信号を出力するステップと、
現在の冷却能力P
に比例する測定変数として制御信号を決定するステップであって、前記冷却能力は前記電子筐体内部温度T
iを目標温度に一定に保つために必要な冷却能力であるステップと、
電子筐体内部の現在の温度T
uを連続的または周期的に測定し、必要とされる冷却能力が前記第1冷却材回路により提供されるとき、または必要とされる冷却能力が前記ヒートパイプ装置により提供されるとき、のうち何れかのときに、前記第1冷却材回路および第2冷却材回路に対する冷却機の特性を用いて、前記測定温度T
i,T
uおよび前記目標温度での前記第1冷却材回路および第2冷却材回路に対するそれぞれのエネルギー効率または代表変数を決定するステップと、
上記2つの冷却材回路のうち必要な冷却能力をよりエネルギー効率よく提供することのできる方を選択して作動させるステップ。
【0007】
本発明はこのように、周囲の電子筐体温度を付加的な測定変数として決定し、電子筐体内部温度と周囲の電子筐体温度をペアで使用することにより、予測される既知の冷却能力の要件に対して、2つの冷却材回路のうち何れかを最適に選択する、というアイデアに基づくものである。必要とされる冷却能力の評価は、冷却装置の制御変数を決定する制御信号を制御器が出力することで、電子筐体冷却機が目標温度および電子筐体内部温度に応じて運転され、その信号が必要とされる冷却能力に比例しているという考えに基づいたものである。制御器が冷却装置を制御するPID制御器などの制御器であった場合、この制御器には、空気を内部回路または外部回路に各々送風する冷却装置のファンの速度に対応した、少なくとも1つの操作変数が含まれている。制御器の制御信号には圧縮器速度をプリセットする操作変数がさらに含まれている。圧縮器速度とファン速度が必要とされる冷却能力に比例すると、制御器の制御信号から必要とされる冷却能力を導出することができる。本発明を実施するためには、必要とされる冷却能力について定性的に厳密な値を定める必要はない。必要とされる冷却能力を予測すればそれで十分である。
【0008】
予測される必要冷却能力と、電子筐体内部温度と周囲電子筐体温度との温度差が既知であるとき、2つの冷却材回路のうちどの回路がよりエネルギー効率のよい必要冷却能力を提供することができるかを予測することができる。
【0009】
本発明の一実施形態では、操作変数、特に第1冷却材回路および第2冷却材回路に対するファン速度と圧縮器速度には、デバイス特性から期待される特定の冷却能力およびエネルギー効率が割り当てられ、回路はこのデバイス特性を利用して作動し、選択された冷却材回路が必要とされる冷却能力と十分に見合った冷却能力を提供するように構成されている。
【0010】
本発明の別の実施形態では、制御器は、冷却装置に対するPID制御装置であって、この制御信号が目標温度と電子筐体内部温度T
iに依存する、冷却機の内部および外部回路を通過する空気を送風するファンの速度と圧縮器速度の少なくとも1つに対応する少なくとも1つの操作変数を出力する。
【0011】
この操作変数は必要とされる冷却能力に比例するものと考えられ、これは変換関数を用いて必要とされる冷却能力に対応する近似値に変換されるが、変換関数は単なる乗数または変換係数でも構わない。
【0012】
本発明のまた別の実施形態では、本発明の方法に、デバイス特性が用いられた測定温度T
i,T
uでの、第1および/または第2冷却回路の、最大および/または最小の冷却能力を予測することがさらに含まれている。
【0013】
このデバイス特性はデータベースに記憶され、予測されるエネルギー効率に関連した、所定の電子筐体内部温度および周囲電子筐体温度で提供される冷却能力を設定することができる。
【0014】
第1冷却材回路、および/または、第2冷却材回路に対する最大冷却能力、および/または、最小冷却能力を予測することは、より良いエネルギー効率を持つ、最大冷却能力、および/または、最小冷却能力を提供する冷却材回路が他にないという条件の下で、実行することができる。
【0015】
予測された必要な冷却能力はさらに、冷却装置が設けられた冷却材回路のサイクル運転を最適化するために利用することができる。この目的のために本発明の実施形態が提供され、冷却装置をサイクル運転する方法には、目標温度の周辺に上限と下限を有する冷却ヒステリシスを決定するステップが含まれ、電子筐体内部温度T
iが下限温度から上限温度に上昇する冷却装置のスイッチオフ時間が、一連の作動時間の合間にある圧縮器の最小スイッチオフ時間の少なくとも1つに対応し、前記スイッチオフ時間は下記の数式に基づいて予測できるようになっており、
【数1】
ここで、Cは所定、予想、または実験的に得られる、冷却されるべき空気を受け入れている電子筐体の熱容量、ΔTは上限温度と下限温度との温度差、Pは予想される冷却能力である。
【0016】
本発明の別の態様によれば、制御器の制御信号に基づいて予想される必要な冷却能力は、電子筐体冷却機をエネルギー効率よく運転するために利用される必要は必ずしもない。かわりに、現時点でそれぞれ必要とされている冷却能力に比例する測定変数として決定される制御器の制御信号を、ディスプレイに出力するか、または、電子筐体内におけるより高度な機能もしくはデータセンターの空調に使用することができる。
【0017】
本発明の更なる詳細は、以下の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は従来技術に係る制御ループの概略図である。
【
図2】
図2は本発明の第1実施形態に係る制御ループの概略図である。
【
図3】
図3は本発明の別実施形態に係る制御ループの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に図示される従来技術に係る制御ループでは、電子筐体内部温度の目標値が制御器の入力信号として提供される。この制御器はPID制御器などとしてもよい。PID制御器は、冷却材回路を特徴付けるデバイス特性などに基づいて、電子筐体を空調するために用いられる冷却技術に応じた操作変数を決定し、これら操作変数は動作信号として調整装置に伝達される。この調整装置は冷却装置またはヒートパイプ装置などであっても良い。
【0020】
これが冷却装置の場合、操作変数は、圧縮器速度または少なくとも1つのファンに対応する少なくとも1つのファン速度などにしてもよい。圧縮器およびファンの速度は調節可能である。制御器は、利用可能なデバイス特性を基にして操作変数を決定し、所定の目標温度値および測定された電子筐体内部温度T
iにおいて、目標値と電子筐体内部温度との差が小さくなるように調整装置がプリセットされるようになっている。調整装置が冷却装置の場合、電子筐体内部温度が目標値の周りの上限と下限の間でヒステリシス挙動を示すサイクルモードで運転するように、制御器をさらに構成することができる。従来技術における制御方法では普通、電子筐体内部の温度を目標値に維持するために必要とされる実際に必要な冷却能力とは無関係に、操作変数が選択される。
【0021】
図2は本発明の第1実施形態に係る制御ループの概略図である。目標値と電子筐体内部温度T
iの差分信号はここでも、入力信号Eとして制御器に供給される。従来技術として知られている制御方法と同様に、
図2に係る本実施形態の制御器はPED制御器とすることができる。本発明では、制御器の出力信号は、調整装置に作用する操作変数としてはすぐに利用されないが、必要とされる冷却能力に比例する信号として解釈されるという点が重要である。このような仮定は、
図1を参照に説明されている通り、制御器により出力される操作変数、例えば圧縮器速度またはファンの速度などが、必要とされる冷却能力に比例するので、正当化される。このように予測された必要とされる冷却能力および、電子筐体内部温度と周囲電子筐体温度との温度差の情報に基づけば、デバイス特性を利用して、例えば、2つの冷却材回路のどの回路がよりエネルギー効率がよいと予測される必要な冷却能力を提供することができるのかを、判断することができる。
【0022】
図2に示される実施形態では、調整装置は、ヒートパイプ装置に加えて冷却装置を備える電子筐体冷却機などでもよく、必要な冷却能力を提供するためにこの冷却装置を利用することもできる。電子筐体内部の空気を冷却するためにエネルギー効率のよい本方法は、所定の条件(必要とされる冷却能力、電子筐体内部温度、周囲電子筐体温度)に見出される冷却装置およびヒートパイプ装置のエネルギー効率の予測に基づいて、各操作変数を調整装置に転送することにより、よりエネルギー効率の良い必要な冷却能力を提供することのできる、何れか一方の冷却技術が選択される。
【0023】
予測される必要な冷却能力をさらなる使用に利用することができる。上述の通り、必要とされる冷却能力を用いて冷却装置のヒステリシスを最適化し、これにより冷却装置の作動時間の合間にあるシャットオフ時間を、冷却装置の圧縮器の最小スイッチオフ時間に今すぐ対応させることが可能で、これは冷却装置の恒久的な運転安全性を確実にするために必要とされている。
【0024】
図3に記載されている実施形態では、電子筐体を冷却させる制御ループは、
図1に示されている制御ループや従来技術と同様である。しかし、
図3に図示されている実施形態では、制御器の出力信号、つまり調整装置への操作変数出力は、必要な冷却能力を予測するための
図2に説明されている方法にて利用され、この予測のために、電子筐体内部温度および周囲電子筐体温度がさらなる影響変数として再び使用される。このように予測された必要冷却能力を、電子筐体またはデータセンターの運転を最適化させるために、種々の方法で使用することが可能であって、ここにおいて複数の電子筐体が配置され、これにエネルギー管理システムが含まれている。上述の通り、予測された必要とされる冷却能力を用いてサイクル運転している冷却装置のヒステリシスを最適化することが可能で、これにより圧縮器の各作動時間の合間のスイッチオフ時間が、少なくとも圧縮器の最小スイッチオフ時間に対応するようになっている。
【0025】
上記の説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、本発明を実施するために個々の組み合わせおよび任意の組み合わせの両方で関連し得る。