(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6559826
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】ウォーキングビーム式搬送装置及びウォーキングビーム式搬送装置の改造方法
(51)【国際特許分類】
C21D 1/00 20060101AFI20190805BHJP
B65G 25/02 20060101ALI20190805BHJP
F27D 3/02 20060101ALI20190805BHJP
F27B 9/24 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
C21D1/00 114B
B65G25/02 E
F27D3/02
F27B9/24 W
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-71669(P2018-71669)
(22)【出願日】2018年4月3日
【審査請求日】2018年4月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】中野 正昭
(72)【発明者】
【氏名】笹田 和寛
【審査官】
静野 朋季
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−120312(JP,U)
【文献】
特開昭56−055517(JP,A)
【文献】
実開昭60−147660(JP,U)
【文献】
実開昭48−051807(JP,U)
【文献】
実開昭59−033751(JP,U)
【文献】
実開昭60−165456(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00−1/84
F27B 9/00−9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入口から導入される被熱処理物が載置される複数のビームが炉長方向に沿って連ねられ、各々の前記ビームが、移動可能な移動ビームと、固定された固定ビームとからなるウォーキングビーム式搬送装置であって、
支柱で両端が支持された前記移動ビーム及び前記固定ビームのうちの少なくともいずれか一方について、炉長方向に沿って連なる複数の前記ビームのうちの、最も前記導入口側に位置する導入口側ビームの炉長方向における、該導入口側の一端部のみの下面の位置が中央部の下面の位置よりも低いことを特徴とするウォーキングビーム式搬送装置。
【請求項2】
前記導入口側ビームは、上面が平坦であり、その炉長方向における、前記導入口側の一端部のみが、その中央側より厚みが厚く下方に突出していることを特徴とする請求項1に記載のウォーキングビーム式搬送装置。
【請求項3】
前記導入口側ビームは、炉長方向における、前記導入口側の一端部のみの断面強度が中央部の断面強度よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のウォーキングビームの式搬送装置。
【請求項4】
前記導入口側ビームの中央部の断面強度は、前記導入口側ビーム以外の他のビームの中央部の断面強度と同じもしくはそれ以上であることを特徴とする請求項3に記載のウォーキングビーム式搬送装置。
【請求項5】
導入口から導入される被熱処理物が載置される複数のビームが炉長方向に沿って連ねられ、各々の前記ビームが、移動可能な移動ビームと、固定された固定ビームとからなるウォーキングビーム式搬送装置の改造方法であって、
前記移動ビーム及び前記固定ビームのうちの少なくともいずれか一方について、炉長方向に沿って連なる複数の前記ビームのうちの、最も前記導入口側に位置する導入口側ビームを、炉長方向における、該導入口側の一端部のみの下面の位置が中央部の下面の位置よりも低い改造用ビームに交換することを特徴とするウォーキングビーム式搬送装置の改造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被熱処理物が導入される導入口側であってもビームが湾曲し難いウォーキングビーム式搬送装置及びウォーキングビーム式搬送装置の改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウォーキングビーム式搬送装置としては、例えば特許文献1のように、固定ビームと移動ビームとから構成され、移動ビームの上下前後運動によってスラブ、ブルーム、ビレット、ビームブランクなどの材料を固定ビームと移動ビームに交互に置き換えながら搬送するウォーキングビーム炉の搬送装置が知られている。このウォーキングビーム式搬送装置に用いられている各ビームは、特許文献2のように、炉長方向における全長に亘って同一の断面形状をなしているものや、その炉長方向における両端部がその中央部より厚みが薄くなっているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5972424号公報
【特許文献2】実開昭59−33751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のウォーキングビーム式搬送装置のように、ビームは加熱炉内に設けられているため、ビーム自身も加熱され熱延びするが、導入口の近辺に設けられているビームは、加熱される前の常温の材料が載置されることにより、繰り返し冷却される。このため、被熱処理物が載置される載置面、すなわち上面側が下面側より熱収縮することにより、両端部が上方へ反り返るように変形し、平坦であることが望ましい載置面が湾曲してしまうという課題がある。
【0005】
また、ウォーキングビーム式搬送装置は、重量が大きな被熱処理物がビームに載置されるので、長期間の操業により、ビームの長手方向(炉長方向;搬送方向)における中央側が下方に反るように変形してしまう場合がある。このような変形を防止するために、特許文献2のようにビームの中央側の厚みを両端部の厚みより厚くしたものもあるが、このようなビームが導入口側に設けられている場合には、上面側の収縮量と下面側の熱延び量との差が大きくなり、反り返りがより顕著に生じてしまうという課題がある。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、被熱処理物が導入される導入口側(導入口の近辺)であってもビームが湾曲し難いウォーキングビーム式搬送装置及びウォーキングビーム式搬送装置の改造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装置は、導入口から導入される被熱処理物が載置される複数のビームが炉長方向に沿って連ねられ、各々の前記ビームが、移動可能な移動ビームと、固定された固定ビームとからなるウォーキングビーム式搬送装置であって、支柱で両端が支持された前記移動ビーム及び前記固定ビームのうちの少なくともいずれか一方について、炉長方向に沿って連なる複数の前記ビームのうちの、最も前記導入口側に位置する導入口側ビームの炉長方向に
おける、該導入口側の一端部のみの下面の位置が中央部の下面の位置よりも低いことを特徴とする。
【0008】
前記導入口側ビームは、上面が平坦であり、その炉長方向に
おける、前記導入口側の一端部のみが、その中央側より厚みが厚く下方に突出していることを特徴とする。
【0009】
前記導入口側ビームは、炉長方向に
おける、前記導入口側の一端部のみの断面強度が中央部の断面強度よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
前記導入口側ビームの中央部の断面強度は、前記導入口側ビーム以外の他のビームの中央部の断面強度と同じもしくはそれ以上であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装置の改造方法は、導入口から導入される被熱処理物が載置される複数のビームが炉長方向に沿って連ねられ、各々の前記ビームが、移動可能な移動ビームと、固定された固定ビームとからなるウォーキングビーム式搬送装置の改造方法であって、前記移動ビーム及び前記固定ビームのうちの少なくともいずれか一方について、炉長方向に沿って連なる複数の前記ビームのうちの、最も前記導入口側に位置する導入口側ビームを、炉長方向に
おける、該導入口側の一端部のみの下面の位置が中央部の下面の位置よりも低い改造用ビームに交換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るウォーキングビーム式搬送装置及びウォーキングビーム式搬送装置の改造方法によれば、被熱処理物が導入される導入口側であってもビームが湾曲し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明が適用されるウォーキングビーム式搬送装置の一例であって、駆動ビームを下降させた状態を説明する部分断面説明図である。
【
図2】
図1に示したウォーキングビーム式搬送装置であって、駆動ビームを上昇させ前進させた状態を説明する部分断面説明図である。
【
図3】
図1に示したウォーキングビーム式搬送装置の平面図である。
【
図4】本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装置の好適な一実施形態を示す、最も導入口側に位置するビームを示す側面図である。
【
図5】本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装置の好適な一実施形態を示す、最も導入口側に位置するビーム以外の他のビームを示す側面図である。
【
図6】本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装置の変形例を示す、最も導入口側に位置するビームを示す側面図である。
【
図7】本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装置の他の変形例を示す、最も導入口側に位置するビームを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装置の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
ウォーキングビーム式搬送装置1を備えた加熱炉自体は種々様々な形式のものが知られている。
図1〜
図3には、ウォーキングビーム式搬送装置1の一例が示されている。本発明は、下記の例に限らず、どのような形式のウォーキングビーム式搬送装置であっても適用することができる。
【0016】
炉床30と炉壁31と炉天井32とで構成された加熱炉の炉体33は、炉長方向に延びた掘り込み部34が凹設された取付床面35に設置されている。炉床30に複数の支柱5を立設し、この支柱5の上に炉長方向に沿った固定ビーム4を炉幅方向に所要間隔を介して複数設けると共に、掘り込み部34内に第1駆動装置38によって昇降動作を行う昇降用部材39を炉長方向に沿って設けている。
【0017】
昇降用部材39においては、掘り込み部34の床面34aの上に、上下方向に傾斜して炉長方向に延びた傾斜案内部40を炉長方向に所要間隔を介して複数設けると共に、炉長方向に延びた作動フレーム41の上下に上ローラ42と下ローラ43とを炉長方向に所要間隔を介して複数設け、この作動フレーム41に設けられた下ローラ43を傾斜案内部40の上に保持させるようにしている。
【0018】
第1駆動装置38としてはシリンダを用い、この第1駆動装置38によって伸縮される伸縮ロッド38aの先端に作動フレーム41の一端を接続し、この伸縮ロッド38aを伸縮させて作動フレーム41を炉長方向に往復移動させるようにし、これにより作動フレーム41に設けられた下ローラ43を傾斜案内部40に沿って往復移動させて、上ローラ42と下ローラ43とが設けられた作動フレーム41を上下方向に移動させるようにしている。
【0019】
昇降用部材39における上ローラ42に保持されて昇降される駆動用フレーム45を炉長方向に沿って設けると共に、この駆動用フレーム45から炉床30に設けられた各貫通部30aを通して支柱5を炉体33内に突出させ、この支柱5の上に炉長方向に沿った駆動ビーム3を炉幅方向に所要間隔を介して複数設け、駆動用フレーム45を掘り込み部34内に設けられた第2駆動装置44によって炉長方向に往復移動させて、駆動用フレーム45に設けられた駆動ビーム3を炉長方向に往復移動させるようにしている。
【0020】
第2駆動装置44としてはシリンダを用い、この第2駆動装置44によって伸縮される伸縮ロッド44aの先端に駆動用フレーム45の一端を接続し、この伸縮ロッド44aを伸縮させて駆動用フレーム45を炉長方向に往復移動させて、駆動用フレーム45に設けられた駆動ビーム3を炉長方向に往復移動させるようにしている。
【0021】
ウォーキングビーム式搬送装置1で加熱炉内を搬送されて加熱処理される搬送物、例えばスラブなどの材料2は、炉体33の一端に設けられた扉48を開けて導入口48aから炉体33内に導入され、固定ビーム4の上に保持される。そして、第1駆動装置38による昇降用部材39の昇降動作と、第2駆動装置44により駆動用フレーム45に設けられた駆動ビーム3を炉長方向に往復移動させる動作とを順番に行い、駆動ビーム3をウォーキング動作(矩形運動)させ、材料2を取り出し口49aに向けて炉長方向に順々に移動させて加熱処理し、炉体33の他端に設けられた扉49を開けて、加熱処理された材料2を取り出し口49aから取り出すようになっている。
【0022】
ウォーキングビーム式搬送装置1の最も導入口48a側に位置する駆動ビーム3X及び固定ビーム4X(以下、単に「ビーム3X,4X」という)には、未加熱の被熱処理物2や比較的温度が低い被熱処理物2が載置される。このため、従来のウォーキングビーム式加熱炉は、温度が低い被熱処理物2が載置される固定ビーム及び駆動ビームの上面側が下面側より収縮することにより、これらビームはその両端部間で上方に反り返るように変形してしまう。
【0023】
このため、本実施形態のウォーキングビーム式搬送装置1の最も導入口48a側に位置するビーム3X,4Xは、炉長方向(搬送方向)における両端部の断面強度が中央側の断面強度より高く形成されている。
【0024】
形鋼(この場合は、I型鋼)でなるビーム3X,4Xは、
図4に示すように、例えば上下方向に間隔を隔てて対向するフランジ10間にウエブ11が鉛直に設けられている。ビーム3X,4Xの上面12は、平坦な面をなしており、両端部は、中央側より上下のフランジ10の間隔が広く形成されている。両端部のウエブ11は中央側より下方に長い寸法で形成され、ビーム3X,4Xの下側はアーチ状をなして両端部の断面強度が中央側の断面強度より高められている。すなわち、ビーム3X,4Xは、両端部の厚みT1が、中央側の厚みT2より厚く形成されている。
【0025】
また、ウォーキングビーム式搬送装置1のビーム3X,4X以外の、他の駆動ビーム3Y及び固定ビーム4Y(以下、単に「他のビーム3Y,4Y」という)も、形鋼により形成されている。ビーム3X,4X以外の他のビーム3Y,4Yは、加熱炉内において高温の状態が維持されつつ重量が大きな被熱処理物2が載置されても中央側が下がって湾曲しないように、
図5に示すように、中央側が、両端部より上下のフランジ13の間隔が広く形成されている。他のビーム3Y,4Yは、上面15が平坦な面をなし、中央側のウエブ14が両端部より下方に深い寸法で形成されており、ビーム3Y,4Yの中央側の厚みT3が両端部の厚みT4より厚く形成されている。
【0026】
また、ビーム3X,4Xの中央側の厚みT2は、他のビーム3Y,4Yの中央側の厚みT3と同じである。
【0027】
本実施形態のウォーキングビーム式搬送装置1によれば、ビーム3X,4Xの、炉長方向における両端部の下面16の位置P1が、その中央部の下面16の位置P2よりも低く、いわば下面16がアーチ状になっているので、ビーム3X,4Xは、上面12が被熱処理物2によって冷やされて縮もうとして下向きに働く力を水平方向に逃がすことができ、両端部側が上方に反り返るような変形を抑制することができる。
【0028】
上記実施形態においては、ビーム3X,4Xのいずれの下面16もアーチ状に形成されている例について説明したが、これに限らず、いずれか一方のみがアーチ状をなしていても構わない。また、アーチ状をなすビームは、ビーム3X,4Xのみに限らず、例えば、導入口48a側から2つまたは3つなど、導入口48a側から続く複数のビーム3X,4Xであっても構わない。
【0029】
一般に予熱帯と称するゾーンのビームに特定するという方法も考えられる。
【0030】
また、ビーム3X,4Xの形状を、アーチ状と称したが、それは、両端部の下面16の位置P1がその中央部の下面16の位置P2よりも低ければ良く、その区間の下面16の形態は、曲線とは限らず、直線状や、下向きに凸状となっていてもよい。
【0031】
また、上面12が平坦であれば、その下面16とをつなぐウエブ11が中央側よりも両端部の方が下方に長い寸法となるので、両端部の断面強度がその中央部の断面強度よりも大きくなる。
【0032】
また、両端部の断面強度が高いビーム3X,4Xは、例えばその中央部側の厚みT2を、他のビーム3Y,4Yの中央部側の厚みT4と同等以上にすれば、当該ビーム3X,3Yの炉長方向における中央側が、他のビーム3Y,4Yの中央側と同じもしくはそれ以上の断面強度を有することになるので、ビーム3X,4Xであっても、重量が大きな被熱処理物2が載置されて長期間操業されたとしても、炉長方向における中央側が下方に反るように湾曲することも防止することができる。
【0033】
また、ビーム3X,4Xは、上面12が平坦な面をなし、両端部は、中央側より上下のフランジ10の間隔が広く、ウエブ11が下方に深く形成されて断面強度を高めたので、被熱処理物2が載置される面を平坦にしつつも高い断面強度を備えることができる。
【0034】
また、上記実施形態においては、ビーム3X,4Xの両端部を、中央側よりウエブ11を深く形成して断面強度を高めた例について説明したが、これに限るものではない。例えば、フランジ10及びウエブ11の肉厚を厚くする、或いは、図示しないけれども、フランジ10及びウエブ11と直交しフランジ10とウエブ11とをつなぐリブを設ける等して断面強度を高めても構わない。
【0035】
また、他のビーム3Y,4Yは、上面15が平坦な面をなしており、中央側は、両端部より上下のフランジ13の間隔が広く、すなわちウエブ14が深い寸法で形成されているので、長期間の操業により、炉長方向における中央側が下方に反るようなビーム3Y,4Yの湾曲を防止することができる。
【0036】
図7には、
図4に示した実施形態の変形例が示されている。
図4では、導入口側ビーム3X,4Xの炉長方向における両端部の下面の位置P1を中央部の下面の位置P2よりも低くする場合について説明したが、この変形例では、導入口側ビーム3X,4Xは、導入直後の被熱処理物2が最初に載置される最も導入口48a側に位置する単一のビームであり、そして、導入直後で最も温度の低い被熱処理物2が載置される当該ビームの炉長方向における、導入口48a側の一端部のみを、その下面の位置P1を中央部の下面の位置P2よりも低くした構成とされている。
【0037】
言い換えれば、導入口48a側に位置する単一のビーム3X,4Xにおける、導入口48a側と反対側の他端部は、他のビーム3Y,4Yの端部と同様に構成される。
【0038】
この変形例であっても、上記単一の導入口側ビーム3X,4Xについて、上面が平坦であり、その炉長方向における導入口48a側の一端部が、その中央側より厚みが厚く下方に突出している構成や、炉長方向における導入口48a側の一端部の断面強度が中央部の断面強度よりも大きい構成、単一の導入口側ビーム3X,4Xの中央部の断面強度が、導入口側ビーム3X,4X以外の他のビーム3Y,4Yの中央部の断面強度と同じもしくはそれ以上である構成を採用することができる。このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0039】
上記実施形態においては、他のビーム3Y,4YをI型鋼により構成する例について説明したが、これに限らず、例えば、他のビーム3Y,4Yは、上下のフランジ13の間隔が炉長方向において均一な形鋼や角パイプ状の鋼材であっても構わない。
【0040】
従来のウォーキングビーム式搬送装置を、その導入口48a側においてビーム3X,4Xの両端部側が上方に反り返るように変形することを防止できる本実施形態のウォーキングビーム式搬送装置1に改造する方法は、従来のウォーキングビーム式搬送装置が備えるビーム3X,4X,3Y,4Yのうち、導入口48a側に配置されている導入口側ビームを、炉長方向における両端部の下面の位置P1が中央部の下面の位置P2よりも低い改造用ビーム3X,4Xに交換する。例えば、最も導入口48a側に配置されているビームを、両端部の断面強度が中央側の断面強度より高い改造用ビーム3X,4Xに交換する。
【0041】
図7の変形例の場合は、導入口側ビームが、最も導入口48a側に位置するビームであり、当該ビームを、炉長方向における、導入口48a側の一端部のみの下面の位置P1が中央部の下面の位置P2よりも低い改造用ビーム3X,4Xに交換する。
【0042】
これにより、従来のウォーキングビーム式搬送装置を容易に本実施形態のウォーキングビーム式搬送装置1に改造することができる。
【0043】
また、上記実施形態においては、ビーム3X,4Xの下面側のみがアーチ状をなしている例について説明したが、例えば、これらビーム3X,4Xは、上下のフランジ10の間隔が炉長方向において均一な形鋼であって、
図6に示すように中央側が上方に突出するように湾曲している形態(キャンバー状)であっても構わない。この場合には、被熱処理物2が載置される上面が湾曲しているので、ビーム3X’,4X’の上面に複数のライダー17を備え、これら複数のライダー17の上面にて平坦な平面を形成すればよい。
【0044】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 ウォーキングビーム式搬送装置
2 被熱処理物
3 駆動ビーム
3X,3X’ 最も導入口側に位置する駆動ビーム
3Y 他の駆動ビーム
4 固定ビーム
4X,4X’ 最も導入口側に位置する固定ビーム
4Y 他の固定ビーム
5 支柱
10 フランジ
11 ウエブ
12 上面
13 フランジ
14 ウエブ
15 上面・
16 下面
17 ライダー
30 炉床
30a 貫通部
31 炉壁
32 炉天井
33 炉体
34 掘り込み部
34a 床面
35 取付床面
38 第1駆動装置
38a 伸縮ロッド
39 昇降用部材
40 傾斜案内部
41 作動フレーム
42 上ローラ
43 下ローラ
44 第2駆動装置
44a 伸縮ロッド
45 駆動用フレーム
48 扉
48a 導入口
49 扉
49a 取り出し口
P1 ビームの両端部(一端部)の下面の位置
P2 ビームの中央部の下面の位置
T1 ビームの両端部(一端部)の厚み
T2 ビームの中央部側の厚み
T3 他のビームの両端部の厚み
T4 他のビームの中央部側の厚み
【要約】
【課題】被熱処理物が導入される導入口側であってもビームが湾曲し難いウォーキングビーム式搬送装置及びウォーキングビーム式搬送装置の改造方法を提供する。
【解決手段】導入口から導入される被熱処理物が載置される複数のビームが炉長方向に沿って連ねられ、各々のビームが、移動可能な移動ビームと、固定された固定ビームとからなるウォーキングビーム式搬送装置であって、 支柱5で両端が支持された移動ビーム及び固定ビームのうちの少なくともいずれか一方について、炉長方向に沿って連なる複数のビームのうちの、導入口側に配置されている導入口側ビーム3X,4Xの炉長方向における両端部の下面16の位置P1が中央部の下面16の位置P2よりも低い。
【選択図】
図4