(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のクロスガイドの構成では、中間ステージを使用するため、部品点数が多く、クロスガイドは大きく重いものとなっていた。そして、このことが、加振装置の特に高周波数領域における性能を低くしていた。具体的には、加振装置の可動部が重くなるため、駆動に多くの電力を要し、また、加振可能な周波数の上限を低くしていた。更に、加振装置の可動部の共振周波数を下げるため、試験周波数領域における振動ノイズが多くなっていた。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クロスガイドの構造の簡略化により、クロスガイドの小型・軽量化を実現し、その結果として加振装置の周波数特性を向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る加振装置は、振動テーブルと、振動テーブルをX軸方向に加振するX軸加振ユニットと、振動テーブルをY軸方向に加振するY軸加振ユニットと、振動テーブルをZ軸方向に加振するZ軸加振ユニットと、振動テーブルとZ軸加振ユニットとをX軸方向へスライド可能に連結する第1リニアガイドウェイと、振動テーブルとZ軸加振ユニットとをY軸方向へスライド可能に連結する第2リニアガイドウェイと、を備え、X軸リニアガイドウェイが、X軸方向へ延びるX軸レールと、X軸レールとX軸方向にスライド可能に係合するX軸キャリッジと、を備え、Y軸リニアガイドウェイが、Y軸方向へ延びるY軸レールと、Y軸レールとY軸方向にスライド可能に係合するY軸キャリッジと、を備え、X軸キャリッジがY軸キャリッジに直接固定されたものである。
【0008】
上記の構成によれば、中間ステージを使用せずにリニアガイドウェイ方式のクロスガイドが構成されるため、小型・軽量化による加振装置の周波数特性の向上が可能になる。
【0009】
また、本発明の一実施形態に係る加振装置は、X軸キャリッジをY軸キャリッジに固定するボルトを備え、X軸キャリッジには、キリ穴である第1キャリッジ取付穴が設けられていて、Y軸キャリッジには、タップ穴である第2キャリッジ取付穴が設けられていて、第1キャリッジ取付穴に通されたボルトが第2キャリッジ取付穴に捩じ込まれて、X軸キャリッジがY軸キャリッジに直接固定されたものである。
【0010】
この構成によれば、中間ステージを介さずに、ボルトのみでX軸キャリッジをY軸キャリッジに固定することが可能になる。
【0011】
上記の加振装置において、X軸キャリッジには、Z軸方向に延びる4つの第1キャリッジ取付穴が設けられていて、Y軸キャリッジには、Z軸方向に延びる4つの第2キャリッジ取付穴が設けられていて、4つの第1キャリッジ取付穴の中心線と、4つの第2キャリッジ取付穴の中心線が、XY平面上の所定の正方形の各頂点をそれぞれ通る構成としてもよい。
【0012】
この構成によれば、第1キャリッジ取付穴と第2キャリッジ取付穴の配列がそれぞれZ軸周りに2回回転対称性を有するため、X軸キャリッジに対してY軸キャリッジをZ軸周りに90度向きをずらしても、X軸キャリッジとY軸キャリッジとをボルトで直接連結することが可能になる。
【0013】
上記の加振装置において、X軸キャリッジのY軸方向(横方向)両側のX軸方向(直動方向)中央部に、Z軸方向(上下方向)から見てU字状に切り欠かれたU字切欠部が形成された構成としてもよい。
【0014】
上記の加振装置において、X軸キャリッジのY軸方向両側のX軸方向両端部に、Z軸方向から見てL字状に切り欠かれたL字切欠部が形成された構成としてもよい。
【0015】
上記のU字切欠部及び/又はL字切欠部を設けることにより、X軸キャリッジの小型・軽量化が可能になる。
【0016】
上記の加振装置において、X軸キャリッジは、U字切欠部とL字切欠部との間にフランジ部を有し、第1キャリッジ取付穴がフランジ部に形成された構成としてもよい。この構成は、言い換えれば、Y軸方向両側部分に形成された第1キャリッジ取付穴の位置を外して、そのX軸方向両側にU字切欠部及びL字切欠部を設けた構成である。
【0017】
この構成によれば、第1キャリッジ取付穴の位置を変えずに、X軸キャリッジを小型・軽量化することができる。
【0018】
上記の加振装置において、X軸リニアガイドウェイが、X軸レールとX軸キャリッジとに挟み込まれた転動体であるローラーを備えた構成としてもよい。
【0019】
この構成によれば、X軸リニアガイドウェイの剛性が向上し、耐荷重性(耐衝撃性)が向上すると共に、X軸リニアガイドウェイの共振周波数が向上して、X軸リニアガイドウェイに起因する振動ノイズが減少する。特に500Hz以上の周波数で加振する場合に、振動ノイズの低減に顕著な効果が現れる。
【0020】
上記の加振装置において、Y軸キャリッジのX軸方向両側のY軸方向中央部に、Z軸方向から見てU字状に切り欠かれた第2U字切欠部が形成され、Y軸キャリッジのX軸方向両側のY軸方向両端部に、Z軸方向から見てL字状に切り欠かれた第2L字切欠部が形成され、Y軸キャリッジが、第2U字切欠部と第2L字切欠部との間に第2フランジ部を有し、第2キャリッジ取付穴が第2フランジ部に形成され、Y軸リニアガイドウェイが、Y軸レールとY軸キャリッジとに挟み込まれた転動体であるローラーを備えた構成としてもよい。
【0021】
また、本発明の一実施形態に係る動電型アクチュエータは、略筒状の固定部と、固定部の中空部内に少なくとも一部が収容され、固定部の軸線方向に往復駆動される可動部と、固定部と可動部とを弾性的に連結するばね機構と、を備える。
【0022】
この構成によれば、ばね機構によって可動部と固定部とが弾性的に連結されるため、可動部が固定部から離脱したり、固定部の底部に衝突したりすることが防止される。
【0023】
上記の動電型アクチュエータにおいて、ばね機構が、可動部を、固定部に対して、軸線方向における中立位置に弾性的に支持する中立ばね機構である構成としてもよい。
【0024】
この構成によれば、可動部の位置の制御が可能になり、可動部を常に中立位置を中心に振動させることが可能になる。
【0025】
上記の動電型アクチュエータにおいて、ばね機構が、可動部に固定されたロッドと、固定部に固定された弾性要素支持プレートと、ロッドと弾性要素支持プレートとの間に介在する第1及び第2弾性要素と、を備え、弾性要素支持プレートにはロッドが通される貫通穴が設けられていて、ロッドが、第1フランジ部と、弾性要素支持プレートを挟んで第1フランジ部と反対側に設けられた第2フランジ部と、を備え、第1フランジ部と弾性要素支持プレートとの間に第1弾性要素が介在し、第2フランジ部と弾性要素支持プレートとの間に第2弾性要素が介在する構成としてもよい。
【0026】
この構成によれば、2つの弾性要素によって、正逆いずれの駆動方向に可動部が変位しても、確実に可動部を中立位置に引き戻すことが可能になる。
【0027】
上記の動電型アクチュエータにおいて、第1及び第2弾性要素の少なくとも一方がばねを含む構成としてもよい。
【0028】
上記の動電型アクチュエータにおいて、ばねがコイルばねである構成としてもよい。
【0029】
コイルばねを使用することにより、比較的に大きな変位の制御が可能になる。
【0030】
上記の動電型アクチュエータにおいて、第1及び第2弾性要素の少なくとも一方がゴム又は樹脂を含む構成としてもよい。
【0031】
例えば防振ゴムや樹脂板のように、ゴム弾性体や粘弾性体等の高い緩衝性を有する材料から形成された弾性要素を使用することにより、小型のばね機構が実現する。
【0032】
また、本発明の一実施形態に係る加振装置は、振動テーブルと、振動テーブルを鉛直方向に駆動する鉛直アクチュエータと、振動テーブルを水平方向に駆動する水平アクチュエータと、を備え、水平アクチュエータが、上記のいずれかの動電型アクチュエータである。
【0033】
駆動方向に重力が作用しない水平アクチュエータにおいては、可動部を中立位置に保つためには、可動部を正逆2方向に引き戻す機能が必要であり、第1及び第2弾性要素を備えたばね機構(中立ばね機構)が有効である。
【0034】
上記の加振装置において、鉛直アクチュエータが、略筒状の固定部と、固定部の中空部内に少なくとも一部が収容され、固定部の軸線方向に往復駆動される可動部と、可動部を固定部に対して下方から支持する空気ばねと、を備えた構成としてもよい。
【0035】
また、本発明の一実施形態に係るリニアガイドウェイは、レールと、レールとスライド可能に係合するキャリッジと、を備え、キャリッジのキャリッジ上面に、正方形の各頂点を通る4つの第1キャリッジ取付穴が設けられていて、第1キャリッジ取付穴がキリ穴である。
【0036】
また、本発明の一実施形態に係るリニアガイドウェイは、レールと、レールとスライド可能に係合するキャリッジと、を備え、キャリッジのキャリッジ上面に、正方形の各頂点を通る4つの第2キャリッジ取付穴が設けられていて、第2キャリッジ取付穴がタップ穴である。
【0037】
上記のリニアガイドウェイにおいて、レールとキャリッジとの間に介在し、キャリッジのスライドに伴ってレール及びキャリッジの軌道面上を転がる転動体を備えた構成としてもよい。
【0038】
上記のリニアガイドウェイにおいて、転動体がローラーである構成としてもよい。
【0039】
上記のリニアガイドウェイにおいて、転動体がボールである構成としてもよい。
【0040】
また、本発明の一実施形態に係るクロスガイドウェイは、上記のいずれかの第1リニアガイドウェイと、上記のいずれかの第2リニアガイドウェイと、第1リニアガイドウェイのキャリッジと第2リニアガイドウェイのキャリッジとを固定するボルトと、を備え、第1リニアガイドウェイの第1キャリッジ取付穴に通されたボルトが第2リニアガイドウェイの第2キャリッジ取付穴に捩じ込まれて、第1リニアガイドウェイのキャリッジが第2リニアガイドウェイのキャリッジに直接固定されているものである。
【0041】
上記のリニアガイドウェイにおいて、第1リニアガイドウェイのキャリッジと第2リニアガイドウェイのキャリッジとが、互いにスライド方向を90度ずらして組み合わされた構成としてもよい。
【0042】
また、本発明の一実施形態に係る加振装置は、振動テーブルとZ軸アクチュエータとをY軸方向にスライド可能に連結する第1スライダと、振動テーブルとY軸アクチュエータとをZ軸方向にスライド可能に連結する第2スライダとを備え、第2スライダのZ軸レールが振動テーブルに固定される(構成A)と共に、第1スライダのY軸レールの一つと、第2スライダのZ軸レールの一つとが、略同一平面上に配置されたこと(構成B)を特徴としている。
【0043】
上記構成Aにより、第2スライダのZ軸キャリッジにZ軸方向の加振力が加わることが回避される。これにより、第2スライダのZ軸キャリッジの振動に起因する振動ノイズが低減される。
【0044】
また、上記構成Bにより、第1スライダのY軸キャリッジ及び第2スライダのZ軸キャリッジにZ軸回りの振動トルクが加わることが回避される。これにより、第1スライダのY軸キャリッジ及び第2スライダのZ軸キャリッジの振動に起因する振動ノイズが低減される。
【0045】
そして、上記構成Aと上記構成Bを組み合わせることによって、リニアガイドに起因する高い周波数領域における主要な振動ノイズの要因の一つが排除され、振動ノイズが大幅に低減し、高い周波数領域における実用レベルの加振精度の実現を可能にするという作用効果が奏される。
【0046】
特許文献1に記載された加振装置では、高い周波数領域において強く発生する振動ノイズのために、加振精度が制限されていた。このような振動ノイズには様々な要因が考えられるが、これまでその要因は特定されていなかった。
【0047】
本発明者は、この振動ノイズの要因を調査する過程で、第2連結手段のZ軸リニアガイドのレールを振動テーブルに固定する構成(構成A)を採用した場合と、第1連結手段のX軸リニアガイドのレールと第2連結手段のZ軸リニアガイドのレールとを同一平面(ZX平面)上に配置する構成(構成B)を採用した場合に、それぞれ高い周波数領域における振動ノイズのレベルが低下することを発見した。更に、これら2つの構成を組み合わせたところ、振動ノイズのレベルが大きく低下し、高い周波数領域において実用レベルの加振精度を達成できることが判明した。
【0048】
構成A(第2連結手段のZ軸リニアガイドのレールを振動テーブルに固定する)を採用した場合、振動テーブルをZ軸方向に加振すると、第2連結手段のZ軸リニアガイドは、レールのみが振動テーブルに追従してZ軸方向に加振され、キャリッジはZ軸方向には加振されない。リニアガイドのキャリッジは、レールと比べて、構造が複雑であり、尚且つ重量も大きいため、加振時に振動ノイズを発生し易い。従って、Z軸リニアガイドのキャリッジのZ軸方向への加振が回避されたことが、ノイズ低減の一因であると考えられる。
【0049】
また、構成B(第1連結手段のX軸リニアガイドのレールと第2連結手段のZ軸リニアガイドのレールとを同一平面上に配置する)を採用した場合、第2連結手段のZ軸リニアガイドのレールから振動テーブルにX軸方向の加振力を加えても、第1連結手段のX軸リニアガイドのキャリッジにはZ軸回りのトルクはかからない。また、このとき、第2連結手段のZ軸リニアガイドのキャリッジにもZ軸回りのトルクはかからない。X軸リニアガイドのキャリッジは、Z軸方向の並進力に対しては特に高い剛性を有しているが、Z軸回りのトルクに対しては比較的に剛性が低い。また、Z軸リニアガイドのキャリッジは、X軸方向の並進力に対しては特に高い剛性を有しているが、Z軸回りのトルクに対しては比較的に剛性が低い。従って、構成Bを採用することにより、第1連結手段のX軸リニアガイド及び第2連結手段のZ軸リニアガイドの各キャリッジにZ軸回りの振動トルクが加わるのが回避されたことが、ノイズ低減の一因であると考えられる。
【0050】
また、上記の加振装置において、第2スライダが3つ以上の並列するZ軸リニアガイドウェイを備えた構成としてもよい。
【0051】
上記構成Aの採用により、第2スライダの数を増やすことに伴う、鉛直方向に加振される質量の増加による加振精度の低下のデメリットよりも、剛性の強化により加振精度の向上のメリットが上回る。そのため、第2スライダが3つ以上の並列するZ軸リニアガイドウェイを備えた構成を採用することにより、更に加振精度を向上させることが可能になる。
【0052】
また、上記の加振装置において、第1スライダ、第2スライダ及び第3スライダの少なくとも一つが、転動体としてローラーを備えたローラーベアリング機構である構成としてもよい。
【0053】
剛性の高いローラーベアリング機構を使用することにより、更に高水準の加振精度が実現する。
【0054】
上記の加振装置において、X軸アクチュエータ、Y軸アクチュエータ及びZ軸アクチュエータが動電型アクチュエータであり、動電型アクチュエータが、略筒状の固定部と、固定部の中空部内に少なくとも一部が収容され、固定部の軸線方向に往復駆動される可動部と、可動部を固定部の軸線方向に往復移動可能に側方から支持する複数の可動部支持機構と、を備え、可動部支持機構が、可動部の側面に固定され、固定部の軸線方向に延びるレールと、固定部に固定され、レールと軸線方向にスライド可能に係合するキャリッジと、を備えると共に、固定部の軸線の周囲に略等間隔に配置された構成としてもよい。
【0055】
上記の加振装置において、第1スライダのY軸レールが振動テーブルに固定され、可動部が、固定部の中空部内に同軸に配置された円柱状部と、円柱状部の上端に取り付けられた、Y軸方向に一辺を有する略矩形状の天板と、を備え、天板のY軸方向における長さが、円柱状部の外径よりも大きく、且つ、振動テーブルのY軸方向における長さ以上である構成としてもよい。
【0056】
上記の加振装置において、2対の可動部支持機構を備え、可動部が2対の可動部支持機構により直交2方向にて両側から挟み込まれた構成としてもよい。
【0057】
上記の加振装置において、可動部が、その一端から突出して固定部の軸線上に延びるロッドを備え、固定部が、ロッドを固定部の軸線方向に移動可能に支持する軸受を備えた構成としてもよい。
【0058】
上記の加振装置において、加振装置が、ベースを備え、動電型アクチュエータが、固定部を支持する固定部支持機構を備え、固定部支持機構が、固定部に取り付けられた可動ブロックと、可動ブロックとベースとを固定部の軸線方向にスライド可能に連結するリニアガイドウェイと、ベースと可動ブロックとの間に配置され、軸線方向の振動の伝達を防止する緩衝手段と、を備えた構成としてもよい。
【0059】
上記の加振装置において、緩衝手段が空気ばねである構成としてもよい。
【0060】
上記の加振装置において、固定部支持機構が、ベースに固定された固定ブロックを備え、固定部支持機構のリニアガイドウェイ及び防振部材の少なくとも一方が、固定ブロックを介してベースに固定された構成としてもよい。
【0061】
また、本発明の一実施形態に係る動電型アクチュエータは、ベースと、ベース上に取り付けられた固定部支持機構と、固定部支持機構によって支持された略筒状の固定部と、固定部の中空部内に少なくとも一部が収容され、固定部の軸線方向に往復駆動される可動部と、を備え、固定部支持機構が、固定部に取り付けられた可動ブロックと、ベースと可動ブロックとを固定部の軸線方向にスライド可能に連結するリニアガイドウェイと、ベースと可動ブロックとを弾性的に連結するばね機構と、を備える。
【0062】
上記の動電型アクチュエータにおいて、ベースに固定された固定ブロックを備え、リニアガイドウェイ及びばね機構の少なくとも一方が、固定ブロックを介してベースに取り付けられた構成としてもよい。
【0063】
上記の動電型アクチュエータにおいて、ばね機構が、可動ブロックを、固定ブロックに対して、軸線方向における中立位置に弾性的に支持する中立ばね機構である構成としてもよい。
【0064】
上記の動電型アクチュエータにおいて、ばね機構が、可動ブロックに固定されたロッドと、固定ブロックに固定された弾性要素支持プレートと、ロッドと弾性要素支持プレートとの間に介在する第1及び第2弾性要素と、を備え、弾性要素支持プレートにはロッドが通される貫通穴が設けられていて、ロッドは、第1フランジ部と、弾性要素支持プレートを挟んで第1フランジ部と反対側に設けられた第2フランジ部と、を備え、第1フランジ部と弾性要素支持プレートとの間に第1弾性要素が介在し、第2フランジ部と弾性要素支持プレートとの間に第2弾性要素が介在する構成としてもよい。
【0065】
上記の動電型アクチュエータにおいて、弾性要素が空気ばねである構成としてもよい。
【0066】
上記の動電型アクチュエータにおいて、一対の可動ブロックを備え、一対の可動ブロックが、固定部の軸線を挟む両側面に取り付けられた構成としてもよい。
【0067】
また、本発明の一実施形態に係る加振装置は、上記のいずれかの動電型アクチュエータと、動電型アクチュエータによって軸線方向に加振される振動テーブルとを備える。
【0068】
また、本発明の一実施形態に係る振動テーブルは、略正方形状の枠部と、枠部の第1方向に対向する第1縁部を連結する第1リブと、枠部の、第1方向と直交する、第2方向に対向する第2縁部を連結する第2リブと、第1縁部の外側面に取り付けられた、第1及び第2方向の両方向と直交する第3方向にスライド可能な第1リニアガイドウェイと、第2縁部の外側面に取り付けられた、第3方向にスライド可能な第2リニアガイドウェイと、を備え、第1リニアガイドウェイが第1リブの延長面上に配置され、第2リニアガイドウェイが第2リブの延長面上に配置されたものである。
【0069】
また、上記の振動テーブルにおいて、枠部が、正方形の四隅が隅切りされた六角形状である構成としてもよい。
【発明の効果】
【0070】
本発明の実施形態によれば、中間ステージを使用せずにリニアガイドウェイ方式のクロスガイドを構成することが可能になるため、小型・軽量化による加振装置の周波数特性の向上が可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、各図において、同一の又は対応する要素については同一の又は対応する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0073】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る動電型3軸加振装置1(以下、「加振装置1」と略記する。)の機構部10の平面図である。以下の説明において、
図1における左右方向をX軸方向(右方向をX軸正方向)、上下方向をY軸方向(下方向をY軸正方向)、紙面に垂直な方向をZ軸方向(紙面裏側から表側に向かう方向をZ軸正方向)とする。なお、Z軸方向は鉛直方向であり、X軸及びY軸方向は水平方向である。また、
図2及び
図3は、それぞれ加振装置1の側面図である。なお、
図2はY軸負方向(
図1における上方向)に向かって加振装置1を見た図であり、
図3はX軸負方向(
図1における左方向)に向かって加振装置1を見た図である。
【0074】
図1に示されるように、加振装置1の機構部10は、その上面に供試体(不図示)が固定される振動テーブル400と、振動テーブル400をX軸、Y軸及びZ軸方向にそれぞれ加振する3つの加振ユニット(X軸加振ユニット100、Y軸加振ユニット200及びZ軸加振ユニット300)と、各加振ユニット100、200及び300が取り付けられた装置ベース500を備えている。
【0075】
図4はZ軸加振ユニット300の平面図であり、
図5及び
図6はZ軸加振ユニット300の側面図である。なお、
図5はY軸負方向に向かってZ軸加振ユニット300を見た図であり、
図6はX軸負方向に向かってZ軸加振ユニット300を見た図である。
【0076】
また、
図7、
図8及び
図9は、それぞれX軸加振ユニット100の平面図、側面図、及び正面図である。なお、
図7、
図8及び
図9は、それぞれZ軸負方向、Y軸負方向及びX軸負方向に向かってX軸加振ユニット100を見た図である。
【0077】
各加振ユニット100、200及び300は、それぞれ動電型アクチュエータ(ボイスコイルモータ)を備えた直動加振ユニットである。振動テーブル400と各加振ユニット100、200及び300とは、それぞれスライド連結機構である2軸スライダ(YZスライダ160、ZXスライダ260及びXYスライダ360)を介して連結されている。加振装置1は、各加振ユニット100、200及び300を用いて振動テーブル400及び振動テーブル400上に固定された供試体を直交3軸方向に加振する。
【0078】
図27は、加振装置1の駆動制御システム1aの概略構成を示すブロック図である。駆動制御システム1aは、装置全体の動作を制御する制御部20と、振動テーブル400の振動を計測する計測部30と、制御部20に電力を供給する電源部40と、外部との入出力を行うインターフェース部50を備えている。
【0079】
インターフェース部50は、例えば、ユーザとの間で入出力を行うユーザインターフェース、LAN(Local Area Network)等の各種ネットワークと接続するためのネットワークインターフェース、外部機器と接続するためのUSB(Universal Serial Bus)やGPIB(General Purpose Interface Bus)等の各種通信インターフェースの一つ以上を備えている。また、ユーザインターフェースは、例えば、各種操作スイッチ、表示器、LCD(liquid crystal display)等の各種ディスプレイ装置、マウスやタッチパッド等の各種ポインティングデバイス、タッチスクリーン、ビデオカメラ、プリンター、スキャナ、ブザー、スピーカー、マイクロフォン、メモリーカードリーダライタ等の各種入出力装置の一つ以上を含む。
【0080】
計測部30は、振動テーブル400に取り付けられた3軸振動センサ(3軸振動ピックアップ)32を備えており、3軸振動センサ32が出力する信号(例えば、速度信号や加速度信号)を増幅及びデジタル変換して制御部20へ送信する。なお、3軸振動センサ32は、X軸、Y軸及びZ軸方向の振動を独立に検出する。また、計測部30は、3軸振動センサ32の信号に基づいて、振動テーブル400の振動状態を示す各種パラメータ(例えば、速度、加速度、振幅、パワースペクトル密度等)を計算して、制御部20へ送信する。制御部20は、インターフェース部50を介して入力された加振波形や計測部30からの信号に基づいて、各加振ユニット100、200及び300の駆動コイル(後述)に入力する交流電流の大きさや周波数を制御することにより、所望の振幅及び周波数で振動テーブル400を加振することができる。
【0081】
次に、各加振ユニット100、200及び300の構造を説明する。後述するように、X軸加振ユニット100及びY軸加振ユニット200は、水平駆動用動電型アクチュエータ(以下、単に「水平アクチュエータ」という。)100A及び200Aをそれぞれ備えている。一方、Z軸加振ユニット300は、鉛直駆動用動電型アクチュエータ(以下、単に「鉛直アクチュエータ」という。)300Aを備えている。
【0082】
鉛直アクチュエータ300Aは、供試体や振動テーブルの重量(静荷重)を支持するための空気ばね330(後述)を備えている。一方、水平アクチュエータ100A及び200Aは、振動テーブルを中立位置(原点、基準位置)に戻す復元力を与える中立ばね機構130及び230(後述)をそれぞれ備えている。X軸加振ユニット100及びY軸加振ユニット200は、空気ばね330の替わりに中立ばね機構130、230を備えている点を除いては、Z軸加振ユニット300と同一構成である為、各加振ユニットを代表してZ軸加振ユニット300について詳細な構成を説明する。
【0083】
図10は鉛直アクチュエータ300Aの側面図であり、
図11はその正面図である。また、
図12はZ軸加振ユニット300(鉛直アクチュエータ300A)の縦断面図である。鉛直アクチュエータ300Aは、筒状体312を有する固定部310と、固定部310の筒内に収められた可動部320を備えている。可動部320は、固定部310に対して鉛直方向(Z軸方向)に移動することができる。可動部320は、略円柱状のメインフレーム322と、メインフレーム322の下端部に同軸に取り付けられた駆動コイル352を備えている。また、メインフレーム322の上端部には、メインフレーム322と略同径の中継フレーム324が同軸に取り付けられている。
【0084】
駆動コイル352は、駆動コイル保持部材351を介して、メインフレーム322の下端に取り付けられている。メインフレーム322は、下側ほど外径が大きくなるように、側面が緩やかに傾斜した円錐台状に形成されている。また、メインフレーム322は、中心軸上に延びるロッド322aと、中心軸と垂直に配置された天板322b及び底板322cを有している。天板322bと底板322cとは、ロッド322aによって連結されている。ロッド322aは、底板322cを貫通して、更に下方へ延びている。また、天板322bには、中継フレーム324が取り付けられている。
【0085】
また、固定部310の筒状体312の内部には、筒状体312と同軸に配置された略円筒形状の内側磁極316が固定されている。筒状体312と内側磁極316は、共に磁性体から形成されている。内側磁極316の外径は駆動コイル352の内径よりも小さく、駆動コイル352は内側磁極316の外周面と筒状体312の内周面とで挟まれた隙間に配置されている。また、内側磁極316の筒内には、ロッド322aをZ軸方向のみに移動可能に支持する軸受318が固定されている。
【0086】
筒状体312の内周面312aには複数の凹部312bが形成されており、各凹部312bには励磁コイル314が収容されている。励磁コイル314に直流電流(励磁電流)を流すと、筒状体312の内周面312aと内側磁極316の外周面とが接近して対向する箇所において、筒状体312の半径方向に矢印Aで示されるような磁界が発生する。この状態で駆動コイル352に駆動電流を流すと、駆動コイル352の軸方向、すなわちZ軸方向にローレンツ力が発生し、可動部320がZ軸方向に駆動される。
【0087】
また、内側磁極316の筒内には、空気ばね330が収納されている。空気ばね330の下端は固定部310に固定されており、上端にはロッド322aが固定されている。空気ばね330は、ロッド322aを介してメインフレーム322を下方から支持する。すなわち、空気ばね330により、可動部320と、可動部320に支持されるXYスライダ360、振動テーブル400及び供試体の重量(静荷重)が支持される。従って、Z軸加振ユニット300に空気ばね330を設けることにより、Z軸加振ユニット300の駆動力(ローレンツ力)によって可動部320や振動テーブル400等の重量(静荷重)を支持する必要が無くなり、可動部320等を振動させるための動荷重のみを提供すればよくなるため、Z軸加振ユニット300に供給される駆動電流(すなわち消費電力)が低減する。また、必要な駆動力の低減により、駆動コイル352も小型化できるため、可動部320の軽量化により、Z軸加振ユニット300をより高い周波数で駆動することが可能になる。更に、可動部320や振動テーブル400等の重量を支持する為の大きな直流成分を駆動コイルに供給する必要が無くなる為、電源部40も小型で簡単な構成のものを採用することが可能になる。
【0088】
また、Z軸加振ユニット300の可動部320を駆動すると、固定部310も駆動軸(Z軸)方向に大きな反力(加振力)を受ける。可動部320と固定部310の間に空気ばね330を設けることにより、可動部320から固定部310への伝達される加振力が緩和される。そのため、例えば、可動部320の振動が、固定部310、装置ベース500及び加振ユニット100、200を介して振動テーブル400へノイズ成分として伝達されることが防止される。
【0089】
ここで、水平アクチュエータ100A(
図8)の構成について説明する。上述したように、水平アクチュエータ100Aは、空気ばね330(
図12)の替わりに中立ばね機構130(
図13)を備えている点において鉛直アクチュエータ300Aと相違し、その他の基本的な構成において両者は共通する。また、水平アクチュエータ200Aも、以下に説明する水平アクチュエータ100Aと同一構成のものである。中立ばね機構130は、水平アクチュエータ100Aの固定部110と可動部120とを弾性的に連結する。
【0090】
図13は、中立ばね機構130付近を拡大した、水平アクチュエータ100Aの縦断面図である。破線枠内は、X軸正方向に向かって見た中立ばね機構130の背面図である。
【0091】
中立ばね機構130は、凸型ブラケット131、ロッド132、ナット133及び一対のコイルばね(圧縮コイルばね)134、135を備えている。凸型ブラケット131は、フランジ部131aにおいて固定部110の底部に固定されている。また、凸型ブラケット131の天板131bの中央には、ロッド132が通される貫通穴131b1が設けられている。
【0092】
X軸方向に延びるロッド132は、その一端(
図13における右端)にフランジ部132bが設けられており、フランジ部132bを介して、可動部120のロッド122aの先端(
図13における左端)に連結されている。また、ロッド132の他端部(
図13における左端部)には、ナット133と係合するおねじ部132aが形成されている。
【0093】
一対のコイルばね134、135は、ロッド132に被せられている。一方のコイルばね134は、ナット133のフランジ部と凸型ブラケット131の天板131b(コイル(弾性要素)支持プレート)とで挟み込まれて保持されている。他方のコイルばね135は、天板131bとロッド132のフランジ部132bとで挟み込まれて保持されている。ナット133の締め付けにより、一対のコイルばね134、135には予荷重が与えられている。2つのコイルばね134、135の復元力が釣り合う位置が、水平アクチュエータ100Aの可動部120の中立位置(あるいは、原点若しくは基準位置)となる。可動部120が中立位置から離れると、可動部120には、中立ばね機構130(直接的には、一対のコイルばね134、135)により、中立位置へ戻す方向の復元力が作用する。これにより、可動部120は、常に中立位置を中心としたZ軸方向への往復駆動を行うことが可能になり、駆動中に可動部120の位置が揺らぐという問題が解消される。
【0094】
次に、鉛直アクチュエータ300Aの説明に戻り、可動部320の上部を軸線方向にスライド可能に側方から支持する可動部支持機構340の構成を説明する。
図6及び
図12に示されるように、本実施形態の可動部支持機構340は、ガイドフレーム342及びZ軸リニアガイド344を備えている。なお、Z軸リニアガイド344には、後述するA型リニアガイド364A(
図17−19)と同じ構成のものが使用される。Z軸リニアガイド344は、Z軸レール344a及びZ軸キャリッジ344bを備えている。中継フレーム324の胴部324aの側面には、Z軸方向に延びる4本のZ軸レール344aが周方向において等間隔に取り付けられている。具体的には、胴部324aのX軸方向両端及びY軸方向両端にZ軸レール344aが一つずつ固定されている。
【0095】
また、固定部310(筒状体312)の上面には、筒状体312の内周面に沿って等間隔(90°間隔)に4つのガイドフレーム342が固定されている。ガイドフレーム342は、リブで補強された断面がL字状の固定部材(イケール、アングル又はL型ブラケットともいう。)である。各ガイドフレーム342の直立部342uには、Z軸レール344aと係合するZ軸キャリッジ344bが固定されている。
【0096】
Z軸キャリッジ344bは、回転可能な複数のローラー344c(後述)を転動体として有しており、Z軸レール344aと共にローラーベアリング機構のZ軸リニアガイド344を構成する。すなわち、可動部320は、上部の中継フレーム324において、ガイドフレーム342とZ軸リニアガイド344の対からなる4組の支持構造(可動部支持機構340)によって側方から支持され、X軸及びY軸方向には移動できないようになっている。そのため、可動部320がX軸及びY軸方向に振動することによるクロストークの発生が防止される。また、Z軸リニアガイド320の使用により、可動部320はZ軸方向へスムーズに移動可能になっている。更に、可動部320は、上述のように、その下部においても軸受318によってZ軸方向のみに移動可能に支持されている為、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転も規制され、不要な振動(Z軸方向への制御された並進運動以外の振動)が発生し難くなっている。
【0097】
また、可動部320とガイドフレーム342とをZ軸リニアガイド344で連結する場合、固定部310に固定されたガイドフレーム342にZ軸レール344aを取り付け、可動部320に取り付けたZ軸キャリッジ344bをZ軸レール344a上でスライド可能に支持する構成も考えられる。しかしながら、本実施形態では、これとは逆に、可動部320にZ軸レール344aを取り付け、ガイドフレーム342にZ軸キャリッジ344bを取り付けている。この取付構造を採用することにより、不要な振動が抑制されている。これは、Z軸キャリッジ344bよりもZ軸レール344aの方が、軽量であり、駆動方向(Z軸方向)の寸法が長く(従って単位長さ当たりの質量が小さく)、尚且つ駆動方向の質量分布が均一である為、可動部320にZ軸レール344aを固定した方が、Z軸加振ユニット300を駆動したときの質量分布の変動が少なく、従って、質量分布の変動に伴って生じる振動を低く抑えることができるからである。また、Z軸キャリッジ344bよりもZ軸レール344aの方が、重心が低い(すなわち設置面から重心までの距離が短い)為、可動側にZ軸レール344aを固定した方が、慣性モーメントが小さくなる。従って、この構成により、固定部310の共振周波数を加振周波数帯(例えば、0〜100Hz)よりも十分に高くすることが容易になり、共振による加振精度の低下が抑制される。
【0098】
次に、Z軸加振ユニット300と振動テーブル400とを連結するXYスライダ360の構成を説明する。
図4〜6に示されるように、本実施形態のXYスライダ360は、4組のクロスガイドウェイ(以下、単に「クロスガイド」という。)364を備えている。
【0099】
図14に、クロスガイド364の外観図を示す。クロスガイド364は、後述するA型リニアガイド364AとB型リニアガイド364Bとを、可動方向が互いに直交するようにキャリッジ同士を重ね合わせて固定したものである。
【0100】
図15〜17にA型リニアガイド364Aの外観図を示す。
図15、
図16及び
図17は、それぞれA型リニアガイド364Aの平面図、側面図(
図15における下側から見た図)及び正面図(
図15における左側から見た図)である。A型リニアガイド364Aは、レール364Aaとキャリッジ364Abとを備えている。
【0101】
また、
図18〜20にB型リニアガイド364Bの外観図を示す。
図18、
図19及び
図20は、それぞれB型リニアガイド364Bの平面図、側面図(
図18における下側から見た図)及び正面図(
図18における左側から見た図)である。B型リニアガイド364Bは、レール364Baとキャリッジ364Bbとを備えている。
【0102】
A型リニアガイド364Aは、キャリッジ364Abのキャリッジ上面における四隅に、ボルト固定用の4つのタップ穴であるキャリッジ取付穴(以下、単に「取付穴」という。)364Ab3が設けられている。4つの取付穴364Ab3は、その中心線がキャリッジ上面における正方形SqA(
図15に鎖線で示す)の各頂点を通るように形成されている。
【0103】
一方、B型リニアガイド364Bは、キャリッジ364Bbのキャリッジ上面における四隅に、ボルト固定用の4つのキリ穴である取付穴364Bb3が設けられている。4つの取付穴364Bb3は、その中心線がキャリッジ上面における正方形SqB(
図18に鎖線で示す)の各頂点を通るように形成されている。
【0104】
また、取付穴364Bb3が形成される間隔(すなわち、正方形SqBの辺の長さ)は、A型リニアガイド364Aの取付穴364Ab3が形成される間隔(すなわち、正方形SqAの辺の長さ)と一致している。そのため、A型リニアガイド364AとB型リニアガイド364Bとを、可動方向を90度ずらして重ね合わせても、各4つの取付穴364Bb3と取付穴364Ab3の位置関係が一致し、4本のボルトによってキャリッジ364Bbとキャリッジ364Abとを連結することができる。また、キャリッジ364Abの取付穴364Ab3をタップ穴とし、キャリッジ364Bbの取付穴364Bb3をキリ穴としているため、連結板を介さずにキャリッジ364Abとキャリッジ364Bbとを直接連結することができる。これにより、クロスガイド364の小型化及び軽量化が可能になる。また、連結板を省いてクロスガイド364を小型化することにより、クロスガイド364の剛性が高く(すなわち固有振動数が高く)なり、加振性能が向上する。具体的には、より高い周波数まで振動ノイズの少ない加振が可能になる。また、クロスガイドを加振するのに(すなわち機構部10の駆動に)必要な電力も低減する。
【0105】
また、キャリッジ364Ab及びキャリッジ364Bbのキャリッジ上面における四隅には、それぞれL字状の切欠部364Ab2及び364Bb2が形成されている。更に、キャリッジ364Ab及びキャリッジ364Bbの可動方向中央には、幅方向(
図15、
図18における上下方向)両側にU字状の切欠部364Ab1及び364Bb1(ハッチングが施された箇所)が形成されている。言い換えれば、取付穴364Ab3及び364Bb3が形成される各4つのフランジ部364Ab4及び364Bb4を除いて、キャリッジ364Ab及びキャリッジ364Bbの幅方向両側の縁部が削ぎ落とされている。これにより、キャリッジ364Ab及びキャリッジ364Bbの軽量化が実現されている。
【0106】
クロスガイド364は、このようにクロスガイド専用の小型で軽量なA型リニアガイド364A及びB型リニアガイド364Bから構成されるため、小型、軽量かつ高剛性なものとなっている。そのため、クロスガイド364は共振周波数が高く、振動ノイズの少ないXYスライダ(スライド連結機構)の実現を可能にしている。
【0107】
また、キャリッジ364Abとキャリッジ364Bbとは、取付穴364Bb3、364Ab3を除いて互いに同一の構造を有している。また、レール364Aaとレール364Baは同一構造のものである。そのため、A型リニアガイド364AとB型リニアガイド364Bとを組み合わせて使用しても、重量バランスが崩れることがない。
【0108】
また、各キャリッジ364Ab、364Bbは、それぞれ上下方向(
図15,18において紙面に垂直な方向)の軸周りに略2回回転対称性を有しているが、4回回転対称性は有していない。そのため、直動方向(
図15,18における左右方向)と横方向(
図15,18における上下方向)とでは、外力に対する応答特性(すなわち、振動特性)が異なる。それぞれ実質的に2回回転対称性を有し、重量分布が互いに略等しいキャリッジ364Abとキャリッジ364Bbとを上下方向の軸(各キャリッジ364Ab、364Bbの2回回転対称軸)周りに90度回転させて連結させたクロスガイド364のキャリッジ(以下「クロスキャリッジ」という。)は、略4回回転対称を獲得し、2つの直動方向(X軸方向とY軸方向)の間で外力に対する応答特性がより均質なものとなっている。
【0109】
上記のクロスガイド364を介して、Z軸加振ユニット300の可動部320と振動テーブル400とを連結することにより、振動テーブル400は、Z軸加振ユニット300の可動部320に対してX軸方向及びY軸方向にスライド可能に連結される。
【0110】
図21は、中継フレーム324の天板324bに取り付けられる4つのクロスガイド364のレール364Aa、364Baの配置関係を説明する上面図である。本実施形態のXYスライダ360では、天板324bに取り付けられる4本のレール(具体的には各2本のレール364Aa、364Ba)の向きが、X軸方向(
図21における左右方向)とY軸方向(
図21における上下方向)とで交互に変えられている。この配置により、4つのクロスガイド364の全体としての質量分布が平均化され、より方向性の少ない振動特性が実現されている。
【0111】
更に、
図21に示されるように、A型リニアガイド364AとB型リニアガイド364Bの上下の配置関係(すなわち、中継フレーム324の天板324bに固定されるレール364Aa、364Ba)が、クロスガイド364毎に交互に変えられている。これにより、A型リニアガイド364AとB型リニアガイド364Bの僅かな質量分布の違いが平均化され、より方向性の少ない振動特性が実現されている実現されている。
【0112】
このように、X軸方向及びY軸方向に小さな摩擦抵抗でスライド可能なXYスライダ360を介してZ軸加振ユニット300と振動テーブル400とを連結することにより、X軸加振ユニット100及びY軸加振ユニット200により振動テーブル400をX軸方向及びY軸方向にそれぞれ振動させても、振動テーブル400のX軸方向及びY軸方向の振動成分はZ軸加振ユニット300へ伝達されることがない。
【0113】
また、Z軸加振ユニット300の駆動によって、振動テーブル400にX軸及びY軸方向の力はほとんど加わらない。そのため、クロストークの少ない加振が可能になる。
【0114】
次に、X軸加振ユニット100と振動テーブル400とを連結するYZスライダ160(
図7、
図8)の構成を説明する。YZスライダ160は、X軸加振ユニット100の可動部120(中継フレーム124)の先端面に固定された連結アーム162と、連結アーム162(X軸加振ユニット100)と振動テーブル400とをY軸方向にスライド可能に連結する1組のY軸リニアガイド164Aと、X軸加振ユニット100と振動テーブル400とをZ軸方向にスライド可能に連結する3組のZ軸リニアガイド164Bを備えている。また、Y軸リニアガイド164Aは、1本のY軸レール164Aaと3つのY軸キャリッジ164Abを備えている。一方、Z軸リニアガイド164Bは、1本のZ軸レール164Baと1つのZ軸キャリッジ164Bbを備えている。
【0115】
図7に示されるように、連結アーム162は、X軸加振ユニット100側においては、可動部120(中継フレーム124)の直径と略同じ大きさに形成されている。この構成により、X軸加振ユニット100の加振力がバランス良く連結アーム162に伝達されるようになっている。また、連結アーム162は、振動テーブル400側においては、Y軸レール164Aaの長さと略同じ大きさまで拡張されている。この構成により、中継フレーム124の直径よりも長いY軸レール164Aaを、その全長に亘って支持することが可能になっている。
【0116】
また、連結アーム162には、軽量化のために、Z軸方向に貫通する5つの丸穴162aが、Y軸方向に等間隔に設けられている。連結アーム162に形成される丸穴162aの数、直径及び間隔は、連結アーム162の寸法や連結アーム162に加えられる加振力の大きさ等に応じて定められる。
【0117】
Y軸方向に延びるY軸レール164Aaは、連結アーム162及び中継フレーム124を介して、X軸加振ユニット100の可動部120に固定されている。また、Y軸レール164Aaには、Y軸レール164Aaとスライド可能に係合する3つのY軸キャリッジ164Abが装着されている。
【0118】
Z軸方向に延びる3本のZ軸レール164Baは、振動テーブル400のX軸加振ユニット100と対向する側面に、Y軸方向に等間隔で取り付けられている。また、各Z軸レール164Baには、Z軸レール164Baとスライド可能に係合するZ軸キャリッジ164Bbが装着されている。
【0119】
なお、本実施形態では、Y軸キャリッジ164Abは、上述したA型リニアガイド364aのキャリッジ364Abと同一構成のものであり、Z軸キャリッジ164Bbは、上述したB型リニアガイド364Bのキャリッジ364Bbと同一構成のものである。なお、Y軸キャリッジ164AbにB型リニアガイド364Bのキャリッジ364Bbを使用し、Z軸キャリッジ164BbにA型リニアガイド364aのキャリッジ364Abを使用してもよい。
【0120】
Y軸キャリッジ164AbとZ軸キャリッジ164Bbとは、4本のボルトにより連結されて、クロスガイド164のキャリッジ(クロスキャリッジ)を形成している。すなわち、Y軸レール164Aaは、3つのクロスキャリッジを介して、3本のZ軸レール164Baと連結されている。この構成により、振動テーブル400は、X軸加振ユニット100の可動部120に対してY軸方向及びZ軸方向にスライド可能に連結されている。
【0121】
このようにY軸方向及びZ軸方向に小さな摩擦抵抗でスライド可能なYZスライダ160を介してX軸加振ユニット100と振動テーブル400とを連結することにより、Y軸加振ユニット200及びZ軸加振ユニット300により振動テーブル400をY軸方向及びZ軸方向にそれぞれ振動させても、振動テーブル400のY軸方向及びZ軸方向の振動成分はX軸加振ユニット100へ伝達されることがない。
【0122】
また、X軸加振ユニット100の駆動によって、振動テーブル400にY軸及びZ軸方向の力はほとんど加わらない。そのため、クロストークの少ない加振が可能になる。
【0123】
また、Y軸加振ユニット200と振動テーブル400とを連結するZXスライダ260も、YZスライダ160と同一の構成を有しており、振動テーブル400は、Y軸加振ユニット200の可動部に対してZ軸方向及びX軸方向にスライド可能に連結されている。従って、やはりZ軸加振ユニット300及びX軸加振ユニット100により振動テーブル400をZ軸方向及びX軸方向にそれぞれ振動させても、振動テーブル400のZ軸方向及びX軸方向の振動成分はY軸加振ユニット200へ伝達されることがない。
【0124】
また、Y軸加振ユニット200の駆動によって、振動テーブル400にZ軸及びX軸方向の力はほとんど加わらない。そのため、クロストークの少ない加振が可能になる。
【0125】
以上のように、各加振ユニット100、200及び300は、互いに干渉することなく、振動テーブル400を各駆動軸方向に正確に加振することができる。また、各加振ユニット100、200及び300は、可動部がガイドフレーム及びリニアガイドにより駆動方向のみに移動可能に支持されている為、非駆動方向へは振動し難くなっている。その為、制御されていない非駆動方向の振動が各加振ユニット100、200及び300から振動テーブル400に加わることもない。従って、振動テーブル400の各軸方向の振動は、対応する各加振ユニット100、200及び300の駆動によって正確に制御される。
【0126】
次に、可動部支持機構140、240、340、YZスライダ160、ZXスライダ260及びXYスライダ360等において使用されるリニアガイド機構(レール及びキャリッジ)の内部構造について、可動部支持機構340のZ軸リニアガイド344(Z軸キャリッジ344b、Z軸レール344a)を例に挙げて説明する。尚、上述したように、Z軸リニアガイド344は、A型リニアガイド364Aと同一構成のものである。また、B型リニアガイド364Bの内部構造も、取付穴364Bb3を除いては、Z軸リニアガイド344と同様に構成されている。また、加振装置1の機構部10に使用されている他のリニアガイド機構も、Z軸リニアガイド344と同様に構成されている。
【0127】
図22は、可動部支持機構340のZ軸リニアガイド344(Z軸レール344a及びZ軸キャリッジ344b)を、Z軸レール344aの長軸と垂直な一面(すなわちXY平面)で切断した断面図である。また、
図23は、
図22のI−I断面図である。本実施形態のZ軸リニアガイド344は、転動体としてローラーを使用したものである。ローラーを使用することにより、高い位置精度と剛性が得られる。
【0128】
図22におけるZ軸レール344aの横方向両側面には、それぞれZ軸方向に伸びる、断面が台形状の溝344a1が形成されている。また、
図22及び
図23に示されるように、Z軸キャリッジ344bにはZ軸レール344aを囲むように、Z軸方向に伸びる溝344b5が形成されている。溝344b5の各側壁には、Z軸レール344aの溝344a1に沿って延びる突出部344b6が形成されている。突出部344b6には、Z軸レール344aの台形状の溝344a1の各斜面と平行な、一対の斜面が形成されている。Z軸レール344aの一対の溝344a1の合計4つの斜面と、これらとそれぞれ対向する突出部344b6の合計4つの斜面との間には、それぞれ隙間が形成されている。この4つの隙間には、それぞれ多数のステンレス鋼製のローラー344c1、344c2、344c3、344c4と、ローラーを回転可能に保持して連結する樹脂製のリテーナ344c5(
図23)が収納されている。ローラー344c1、344c2、344c3、344c4は、それぞれ溝344a1の斜面と突出部344b6の斜面とで挟み込まれて保持されている。
【0129】
また、Z軸キャリッジ344bの内部には、上記4つの隙間とそれぞれ平行に4つのローラー退避路344b1、344b2、344b3、344b4が形成されている。
図23に示されるように、ローラー退避路344b1、344b2、344b3、344b4は、その両端において、対応する上記隙間と連絡している。これにより、ローラー344c1、344c2、344c3、344c4及びリテーナ344c5を循環させるための循環路が形成されている。
【0130】
Z軸キャリッジ344bがZ軸レール344aに沿ってZ軸方向に移動すると、多数のローラー344c1、344c2、344c3、344c4がリテーナ344c5と共に各循環路344b1、344b2、344b3、344b4内を循環する。Z軸キャリッジ344bは、多数のローラー344c1、344c2、344c3、344c4によって支持されている。また、ローラー344c1、344c2、344c3、344c4が転がることにより、Z軸方向の抵抗が小さく保たれる。その結果、Z軸方向とは異なる方向の大荷重がZ軸リニアガイド344に加わった場合でも、Z軸キャリッジ344bはZ軸レール344aに沿ってスムーズに移動することができる。
【0131】
図24は、ローラーとリテーナ344c5の配置関係を示した図である。
図24に示されるように、複数のローラー(例えばローラー344c4)を連結するリテーナ344c5は、ローラー344c4間に配置される複数のスペーサ部344c5bと、複数のスペーサ部344c5bを連結する一対のバンド344c5aを有している。各スペーサ部344c5bの両端が一対のバンド344c5aにそれぞれ固定され、梯子状のリテーナ344c5が形成されている。隣接する一対のスペーサ部344c5bと一対のバンド344c5aとで囲まれた空間に各ローラー344c4が保持されている。
【0132】
また、ローラー344c4間に硬度の低いリテーナ344c5のスペーサ部344c5bを介在させることで、ローラー344c4同士が狭い接触面積で直接接触することによって生じる油膜切れや摩耗が防止され、摩擦抵抗が少なくなり、寿命も大幅に延びる。
【0133】
X軸加振ユニット100及びY軸加振ユニット200も可動部支持機構140、240を備えている。X軸加振ユニット100の可動部120(中継フレーム124)は、駆動方向(X軸)と垂直な2方向(Y軸及びZ軸方向)において両側からX軸リニアガイドを介してガイドフレームで支持されている。同様に、Y軸加振ユニット200の可動部(中継フレーム)は、駆動方向(Y軸)と垂直な2方向(Z軸及びX軸方向)において両側からY軸リニアガイドを介してガイドフレームで支持されている。X軸加振ユニット100及びY軸加振ユニット200は、いずれも可動部が軸線方向を水平に向けて配置される。その為、可動部支持機構が無い従来の加振ユニットでは、可動部がロッドのみで片持ち支持されることになり、可動部の先端側(振動テーブル400側)が自重により下方に垂れ下がり、これが駆動時のフリクションや不要な振動の増加の原因となった。本実施形態では、X軸加振ユニット100及びY軸加振ユニット200の可動部が下方からガイドフレームによって支持される為、このような問題も解消されている。
【0134】
次に、振動テーブル400の構成について説明する。振動テーブル400(
図8)は、天板401と、天板401の周縁部から下垂する枠部410と、その下面にXYスライダ360が取り付けられる底部402と、天板401と枠部410と底部402とで挟み込まれた蜂巣状の芯部420とを備え、ハニカム構造を有している。
【0135】
図25は、振動テーブル400付近を拡大した平面図である。
図25に示されるように、天板401は、正方形の四隅を切り落とした隅切角状(略六角形状)の板材である。枠部410も、板材を隅切角状に接合した枠状部材である。枠部410は、Y軸方向に延びる一対のY壁部411、415と、X軸方向に延びる一対のX壁部413、417と、4つの隅切壁部412、414、416、418を有している。隅切壁部412はY壁部411の一端とX壁部413の一端とを連結し、隅切壁部414はX壁部413の他端とY壁部415の一端とを連結し、隅切壁部416はY壁部415の他端とX壁部417の一端とを連結し、隅切壁部418はX壁部417の他端とY壁部411の他端とを連結する。
【0136】
また、振動テーブル400は、天板401の下面から下垂する複数のリブ(421、422、423、431、432、433、441、442、443、451、452、453)を備えている。これら複数のリブは、蜂巣状に結合して、芯部420を構成する。
【0137】
一対のY壁部411、415は、X軸方向に延びる3つのリブ431、432、433により連結されている。リブ431はY壁部411、415の一端同士を連結し、リブ433はY壁部411、415の他端同士を連結し、リブ432はY壁部411、415のY軸方向中央部同士を連結する。
【0138】
一対のX壁部413、417は、Y軸方向に延びる3つのリブ421、422、423により連結されている。リブ421はX壁部413の一端とX壁部417の他端とを連結し、リブ423はX壁部413の他端とX壁部417の一端とを連結し、リブ422はX壁部413、417のY軸方向中央部同士を連結する。
【0139】
リブ441、442、443は、それぞれ隅切壁部414、418と平行に(すなわち、X軸及びY軸に対して45度傾いて)配置されている。リブ441はY壁部411とX壁部417とを連結し、リブ443はY壁部411とX壁部417とを連結する。また、リブ442は、リブ421とリブ431との連結部と、リブ423とリブ433との連結部とを連結する。
【0140】
リブ451、452、453は、それぞれ隅切壁部412、416と平行に(すなわち、X軸及びY軸に対して45度傾いて)配置されている。リブ451はY壁部411とX壁部413とを連結し、リブ453はY壁部415とX壁部417とを連結する。また、リブ452は、リブ421とリブ433との連結部と、リブ423とリブ431との連結部とを連結する。
【0141】
このように、振動テーブル400は、ハニカム構造を採用することにより、軽量でありながら高い剛性を有しており、これにより、共振周波数が高く、また、高い周波数での加振が可能となっている。
【0142】
また、
図25に示されるように、振動テーブル400は、Z軸周りに4回回転対称性を有している。そのため、方向性の少ない振動特性が実現されている。
【0143】
また、上述したように、振動テーブル400は、正方形の四隅を切り落とした隅切角状に形成されている。使用されない四隅を切り落としたことにより、軽量化が実現されている。また、比較的に剛性が低く共振周波数が低い四隅を切り落としたことにより、高剛性化と共振周波数の向上が実現されている。
【0144】
また、
図7及び
図25に示されるように、3本のZ軸レール164Baは、それぞれX軸方向に延びるリブ431、432、433の延長面上に(具体的には、リブ431、432、433の一端部に)固定されている。従って、3本のZ軸レール164Baは、振動テーブル400を加振するX軸方向において、高い剛性で支持されている。
【0145】
同様に、3本のZ軸レール264Baは、それぞれY軸方向に延びるリブ421、422、423の延長面上に(具体的には、リブ421、422、423の一端部に)固定されている。従って、3本のZ軸レール264Baは、振動テーブル400を加振するY軸方向において、高い剛性で支持されている。
【0146】
このように、Z軸レール164Ba及び264Baは、振動テーブル400の剛性の高い位置に取り付けられている。そのため、振動テーブル400がZ軸レール164Ba及び264Baを介して加振されても、振動テーブル400が大きく変形して、特に低い周波数領域において大きな振動ノイズを発生することがない。
【0147】
次に、各加振ユニットの固定部を装置ベース500に取り付ける構造について説明する。
【0148】
図4〜6に示されるように、Z軸加振ユニット300の固定部310は、Z軸加振ユニット300のX軸方向両側に配置された一対の支持ユニット350(固定部支持機構。フローティング機構あるいは弾性支持機構ともいう。)を介して、装置ベース500の上面に取り付けられている。
図6に示されるように、各支持ユニット350は、可動ブロック358、一対のアングル(固定ブロック)352及び一対のリニアガイド354を備えている。可動ブロック358は、Z軸加振ユニットの固定部310の側面に取り付けられた支持部材である。一対のアングル352は、可動ブロック358のY軸方向両端面とそれぞれ対向して配置されており、装置ベース500の上面に固定されている。可動ブロック358のY軸方向両端と各アングル352とは、リニアガイド354によって、それぞれZ軸方向にスライド可能に連結されている。
【0149】
リニアガイド354は、レール354aと、レール354aと係合するキャリッジ354bを備えている。可動ブロック358のY軸方向両端面には、レール354aが取り付けられている。また、各アングル352には、対向するレール354aと係合するキャリッジ354bが取り付けられている。また、可動ブロック358と装置ベース500との間には、一対の空気ばね356がY軸方向に並べて配置されており、可動ブロック358は一対の空気ばね356を介して装置ベース500に支持されている。
【0150】
このように、Z軸加振ユニット300は、その固定部310がリニアガイド354及び空気ばね356を備えた支持ユニット350により装置ベース500に対して駆動方向(Z軸方向)に弾性的に支持されているため、Z軸加振ユニット300の駆動時に固定部310に加わるZ軸方向の強い反力(加振力)は、装置ベース500には直接伝達されず、空気ばね356によって特に高周波成分が大きく減衰される。そのため、Z軸加振ユニット300から装置ベース500及び他の加振ユニット100、200を介して振動テーブル400に伝達される振動ノイズが大きく低減される。
【0151】
図7〜9に示されるように、水平アクチュエータ100Aの固定部110は、X軸加振ユニット100のY軸方向両側に配置された一対の支持ユニット150を介して、装置ベース500の上面に取り付けられている。各支持ユニット150は、装置ベース500の上面に固定された逆T字状の固定ブロック152と、X軸加振ユニット100の固定部110の側面に取り付けられた略直方体状の可動ブロック158と、固定ブロック152と可動ブロック158とをX軸方向にスライド可能に連結するリニアガイド154を備えている。
【0152】
可動ブロック158は、水平アクチュエータ100Aの固定部110の側面にボルトで固定されている。可動ブロック158が取り付けられる固定部110のY軸方向両側面には、Z軸と平行な中心軸を有する、内側に凹む円柱面状の湾曲面110aが設けられている。また、可動ブロック158の固定部110と対向する面にも、湾曲面110aに適合する湾曲面158aが形成されている。可動ブロック158を固定部110の側面に取り付けると、固定部110の湾曲面110aと可動ブロック158の湾曲面158aとが嵌合し、可動ブロック158に対して固定部110がZ軸方向に移動できなくなる。また、この嵌合により、固定部110のX軸及びY軸方向への移動も、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転も規制され、固定部110は可動ブロック158によって確実に保持される。また、凸曲面(湾曲面158a)と凹曲面(湾曲面110a)との係合構造であるため、後述する第6実施形態における角状の凸部(突出部6158a)と凹部(角溝6110a)との係合構造に比べて、凸状構造と凹状構造との間に隙間が生じにくく、びびり振動(chattering)による振動ノイズが発生しにくくなっている。
【0153】
リニアガイド154は、固定ブロック152の上面に取り付けられたX軸方向に延びるレール154aと、可動ブロック158の下面に取り付けられた、レール154aと係合する一対のキャリッジ154bを備えている。また、固定ブロック152のX軸負方向側の側面には、上方に延びるL字状のアーム(枝板)152aが固定されている。可動ブロック158とアーム152aとの間には、ばね機構156が設けられている。
【0154】
図26は、支持ユニット150(
図8)のばね機構156付近を拡大した側面図である。ばね機構156は、ボルト156a、固定板156b、リング156c、ナット156d、コイルばね156e、緩衝板156f、ワッシャ156g及びナット156hを備えている。固定ブロック152のアーム152aの上部にはX軸方向に延びる貫通穴152ahが設けられていて、この貫通穴152ahにボルト156aが通されている。ボルト156aの先端は、固定板156bを介して可動ブロック158に固定されている。また、ボルト156aの先端部は、円筒状のリング156cに挿入されている。
【0155】
リング156cは、ボルト156aに捩じ込まれたナット156dと固定板156bとの間で挟み込まれて固定されている。また、ボルト156aの先端側は、コイルばね156eに挿し込まれている。コイルばね156eは、固定板156bとアーム152aとの間で挟み込まれて保持されている。また、コイルばね156eの先端部にはリング156cが嵌め込まれ、コイルばね156eの先端部はリング156cを介して可動ブロック158に固定されている。
【0156】
なお、コイルばね156eは、鋼製の圧縮コイルばねをアクリル樹脂等の粘弾性体(ダンパー)に埋め込んだ筒状の部材(防振ばね)である。防振ばねの替わりにコイルばね単体を使用してもよい。また、コイルばねと直列又は並列に別体のダンバー(例えば防振ゴムやオイルダンパー)を設けてもよい。
【0157】
ボルト156aの頭部側には、2つのナット156hが捩じ込まれて、固定されている。また、ボルト156aは、緩衝板156f及びワッシャ156gにそれぞれ設けられた貫通穴に通されている。緩衝板156fは、ワッシャ156g(及び2つのナット156h)とアーム152aとの間で挟み込まれている。緩衝板156fは、例えば防振ゴムやポリウレタン等の樹脂(すなわち、ゴム弾性体及び/又は粘弾性体)から形成されている。
【0158】
コイルばね156eには予荷重が与えられていて、水平アクチュエータ100Aに負荷が加えられていないときには、ボルト156aは、ナット156h、ワッシャ156g及び緩衝板156fを介してアーム152a(固定ブロック152)に押し当てられる。そのため、可動ブロック158に固定された水平アクチュエータ100Aは、コイルばね156eと緩衝板156fの復元力が釣り合う中立位置に配置される。すなわち、ばね機構156も、中立ばね機構の一種である。
【0159】
X軸加振ユニット100が振動テーブル400をX軸正方向に加振すると、その反力が支持ユニット150の可動ブロック158に伝わり、更にばね機構156(コイルばね156e)を介して固定ブロック152(アーム152a)に伝わる。コイルばね156eは、その低い共振周波数以外の振動成分を殆ど伝達しないため、支持ユニット150によってX軸加振ユニット100から装置ベース500への振動ノイズの伝達が抑制される。
【0160】
また、X軸加振ユニット100が振動テーブル400をX軸負方向に加振すると、その反力が支持ユニット150の可動ブロック158、ばね機構156(緩衝板156f)を介して固定ブロック152(アーム152a)に伝わる。緩衝板156fは、高い周波数の振動を殆ど伝達しないため、支持ユニット150によってX軸加振ユニット100から装置ベース500への振動ノイズの伝達が抑制される。
【0161】
なお、X軸正方向の反力はX軸負方向の反力よりも小さい。そのため、本実施形態ではX軸正方向の反力を受ける弾性要素として、小型で安価な緩衝板156fが使用されている。X軸正方向の反力が大きくなる場合には、緩衝板156fに替えてコイルばねを使用して、中立ばね機構130と同様の構成としてもよい。
【0162】
上記の構成により、X軸加振ユニットの固定部110は、リニアガイド154及びばね機構156を備えた支持ユニット150(固定部支持機構)により、装置ベース500に対して駆動方向(X軸方向)に柔らかく弾性的に支持されるため、X軸加振ユニット100の駆動時に固定部110に加わるX軸方向の強い反力(加振力)は、装置ベース500に直接伝達されず、ばね機構156によって特に高周波成分が大きく減衰される。そのため、X軸加振ユニット100から振動テーブル400に伝達される振動ノイズが大きく低減される。
【0163】
Y軸加振ユニット200も、水平アクチュエータ100Aと同一構成の水平アクチュエータ200Aを備えている。水平アクチュエータ200Aの固定部210も、一対の支持ユニット250(
図1)によりY軸方向において装置ベース500に弾性的に支持されている。支持ユニット250は、X軸加振ユニットの支持ユニット150と同一構成のものであるため、重複する細部の説明は省略する。
【0164】
以上のように、各加振ユニット100、200、300を、弾性要素(空気ばね又はばね機構)を備えた支持ユニット150、250、350により弾性的に支持する構成を採用することにより、装置ベース500を介した加振ユニット間の特に高周波数成分の振動(ノイズ)の伝達が抑制されるため、より高精度の加振が可能になっている。
【0165】
なお、Z軸加振ユニット300を支持する支持ユニット350には、供試体及び振動テーブル400を加振するための動荷重に加えて、Z軸加振ユニット300、振動テーブル400及び供試体の重量(静荷重)が加わる。そのため、比較的に小型で大荷重の支持が可能な空気ばね356が採用されている。一方、X軸加振ユニット100を支持する支持ユニット150及びY軸加振ユニット200を支持する支持ユニット250には、大きな静荷重が加わらないため、比較的に小型のコイルばねが使用されている。
【0166】
<変形例>
上記の実施形態では、転動体にローラー344c2を使用したローラーベアリング(ころ軸受)機構を有するリニアガイドが使用されているが、他の種類の転動体を使用したローラーベアリング機構を有するリニアガイドを使用してもよい。例えば、
図28の横断面図に示されるように、レール1344aとキャリッジ1344bとの隙間に介在する転動体にボール1344c1、1344c2、1344c3、1344c4を使用したボールベアリング(玉軸受)機構を有するリニアガイド1344を使用することができる。
【0167】
なお、転動体がレール及びキャリッジと点で接触するボールベアリング機構よりも、線で接触するローラーベアリング機構の方が、接触面積が大きく、高い剛性が得られるため、共振周波数の向上において顕著に有利である。そのため、高い周波数領域において振動試験を行う場合には、上記の実施形態のようにローラーベアリング式のリニアガイドを使用することが望ましい。しかしながら、必ずしも全てのリニアガイドにローラーベアリング式のものを使用する必要はない。例えば、可動部支持機構340やスライド連結機構(YZスライダ160、ZXスライダ260及びXYスライダ360)等の比較的に移動量が多い箇所にローラーベアリング式のリニアガイドを使用し、固定部支持機構(支持ユニット150、250及び350)等の比較的に移動量が少ない箇所にボールベアリング式のリニアガイドを使用してもよい。また、所望の共振周波数特性が得られるのであれば、一部又は全部のリニアガイドにボールベアリング式のものを使用してもよい。
【0168】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、2軸スライダ(スライド連結機構)の構成と可動部の形状において、上述した第1実施形態と相違する。以下の第2実施形態の説明では、第1実施形態との相違点を中心に置き、第1実施形態と共通する構成については説明を省略する。
【0169】
図29及び
図30は、それぞれ本発明の第2実施形態に係る加振装置の振動テーブル2400付近を拡大した平面図及び側面図である。
【0170】
第1実施形態では、タップ穴の取付穴が形成されたA型リニアガイドのキャリッジと、キリ穴の取付穴が形成されたB型リニアガイド364Bのキャリッジとが、ボルトのみで直接連結されてクロスキャリッジが構成された。これに対して、第2実施形態では、可動方向の異なる2つのリニアガイドのキャリッジが、連結板(中間ステージ)を介して連結される構成が採用されている。本実施形態の構成では、第1実施形態と比較して、部材(連結板とボルト)の数量が増えるため、重量及び組み立て工数が増え、加振性能は低くなるものの、専用のリニアガイド(A型及びB型リニアガイド)を使用する必要が無く、市販の汎用のリニアガイドを使用することができる。
【0171】
図29及び
図30に示されるように、加振装置2000のYZスライダ2160は、Y軸リニアガイド2165と3つのZ軸リニアガイド2167とが、連結板2166を介して連結されている。Y軸リニアガイド2165は、連結アーム2162に固定された1本のY軸レール2165aと、このY軸レール2165aとスライド可能に係合する3つのY軸キャリッジ2165bを備えている。3つのY軸キャリッジ2165bは、Y軸方向に等間隔に並べられ、連結アーム2162に固定されている。
【0172】
一方、Z軸リニアガイド2167は、1本のZ軸レール2167aと1つのZ軸キャリッジ2167bを備えている。3つのZ軸リニアガイド2167のZ軸レール2167aは、Y軸方向に等間隔に並べられ、振動テーブル2400のYZスライダ2160と対向する側面に固定されている。また、各Z軸キャリッジ2167bは連結板2166に固定されている。Y軸キャリッジ2165bとZ軸キャリッジ2167bの対応する一組は、連結板2166を挟んで、向かい合う位置に固定されている。
【0173】
同様に、
図29に示されるように、加振装置2000のZXスライダ2260は、X軸リニアガイド2265と3つのZ軸リニアガイド2267とが、連結板2266を介して連結されている。X軸リニアガイド2265は、連結アーム2262に固定された1本のX軸レール2265aと、このX軸レール2265aとスライド可能に係合する3つのX軸キャリッジ2265bを備えている。3つのX軸キャリッジ2265bは、X軸方向に等間隔に並べられ、連結アーム2262に固定されている。
【0174】
一方、Z軸リニアガイド2267は、1本のZ軸レール2267aと1つのZ軸キャリッジ2267bを備えている。3つのZ軸リニアガイド2267のZ軸レール2267aは、X軸方向に等間隔に並べられ、振動テーブル2400のZXスライダ2260と対向する側面に固定されている。また、各Z軸キャリッジ2267bは連結板2266に固定されている。X軸キャリッジ2265bとZ軸キャリッジ2267bの対応する一組は、連結板2266を挟んで、向かい合う位置に固定されている。
【0175】
また、
図29及び
図30に示されるように、XYスライダ2360は、2つのX軸リニアガイド2365と2つのY軸リニアガイド2367とが、4つの連結板2366を介して連結されている。
【0176】
各X軸リニアガイド2365は、振動テーブル2400の下面に固定された1本のX軸レール2365aと、このX軸レール2365aとスライド可能に係合する2つのX軸キャリッジ2365bを備えている。
【0177】
また、各Y軸リニアガイド2367は、Z軸加振ユニットの中継フレーム2324の天板2324bの上面に固定された1本のY軸レール2367aと、このY軸レール2367aとスライド可能に係合する2つのY軸キャリッジ2367bを備えている。
【0178】
各X軸キャリッジ2365bは、それぞれ連結板2366を介して1つのY軸キャリッジ2367bと固定されている。具体的には、各X軸レール2365aに装着された2つのX軸キャリッジ2365bの一方は、Y軸レール2367aの一方と係合するY軸キャリッジ2367bの一つと連結し、他方のX軸キャリッジ2365bは他方のY軸レール2367aと係合するY軸キャリッジ2367bの一つと連結する。すなわち、各X軸レール2365aは、連結板2366によって連結されたX軸キャリッジ2365b及びY軸キャリッジ2367bを介して、各Y軸レール2367aと連結している。この構成により、振動テーブル2400は、中継フレーム2324に対してX軸方向及びY軸方向にスライド可能に連結されている。
【0179】
また、
図29に示されるように、YZスライダ2160のY軸負方向端のZ軸レール2167a1と、XYスライダ2360のY軸負方向端のX軸レール2365a1とは、Y軸と垂直な同一平面上に配置されている。同様に、YZスライダ2160のY軸正方向端のZ軸レール2167a3と、XYスライダ2360のY軸正方向端のX軸レール2365a2とは、Y軸と垂直な同一平面上に配置されている。言い換えれば、振動テーブル2400にX軸方向の力を加えるYZスライダ2160の3本のZ軸レール2167aのうちの両端の2本(2167a1及び2167a2)が、XYスライダ2360の2本のX軸レール2365a(2365a1及び2365a2)とそれぞれ略同一平面上に配置されている。
【0180】
この構成により、XYスライダ360の各クロスキャリッジ2364(X軸キャリッジ2365b、Y軸キャリッジ2367b)に加わるZ軸回りのトルクや、YZスライダ2160のZ軸キャリッジ2167bに加わる歪みが低減するため、よりノイズの少ない正確な加振が可能になると共に、X軸キャリッジ2365b、Y軸キャリッジ2367b及びZ軸キャリッジ2167bの故障率が低減し、より耐久性に優れた加振装置が実現する。
【0181】
特に、Z軸レール2167aを振動テーブル2400の側面に取り付けてZ軸キャリッジ2167bが鉛直方向に加振されないようにすることに加えて、Z軸レール2167aとX軸レール2365aとを同一平面上に配置してZ軸キャリッジ2167bに歪み(Z軸回りのトルク)が加わらないようにすることにより、これらの相乗効果によって、振動のノイズが顕著に軽減され、Z軸キャリッジ164bの故障率も大幅に低下する。
【0182】
また、ZXスライダ2260もYZスライダ2160と同様に構成されている。すなわち、ZXスライダ2260のX軸負方向端のZ軸レール2267a1と、XYスライダ2360のX軸負方向端のY軸レール2367a1とは、X軸と垂直な同一平面上に配置されている。同様に、ZXスライダ2260のX軸正方向端のZ軸レール2267a3と、XYスライダ2360のX軸正方向端のY軸レール2367a2とは、X軸と垂直な同一平面上に配置されている。
【0183】
これらの構成により、特に高い周波数領域における加振精度の大幅な向上と、耐久性の向上が実現されている。
【0184】
図31は、Z軸加振ユニットの可動部2320の外観図である。また、
図32は、中継フレーム2324の外観図である。
図32に示されるように、中継フレーム2324は、メインフレーム2322と略同径の胴部2324aと、胴部2324aの上端に水平に取り付けられた天板2324bを備えている。天板2324bは、胴部2324aの外径以上の幅(X軸方向寸法)及び奥行(Y軸方向寸法)を有する略矩平板状の部材である。
【0185】
中継フレーム2324の天板2324bの上面には、Y軸方向に伸びる一対の段差2324b1が形成されており、天板2324bの上面は、X軸方向において中央部が周辺部よりも1段高くなっている。この一対の段差2324b1に沿って、XYスライダ2360の一対のY軸レール2367aが配置される。すなわち、段差2324b1はY軸レール2367aを天板2324b上の正確な位置に取り付けるための位置決め構造である。一対の段差2324b1を設けることにより、一対のY軸レール2367aを、単に段差2324b1に沿わせて取り付けるだけで、高い平行度で天板2324b上に配置することが可能になる。
【0186】
図33は、XYスライダ2360のY軸レール2367aの斜視図である。
図33に示されるように、Y軸レール2367aには、その軸方向に並んで配置された複数の貫通孔2367ahが形成されている。Y軸レール2367aは、貫通孔2367ahにボルトを通して、中継フレーム2324の天板2324bに設けられたタップ穴2324b2にねじ込むことによって、天板2324bに固定される。
【0187】
本実施形態においては、Y軸レール2367aの貫通孔2367ahの間隔(及び天坂のボルト穴の間隔)sは、Y軸レール2367aの幅Wの2倍以下(好ましくは幅W以下、より好ましくは幅Wの50〜80%、更に好ましくは幅Wの60〜70%)と一般的な間隔よりも短くなっている。このように、Y軸レール2367aの固定間隔を短くすることによって、Y軸レール2367aは撓むことなく中継フレーム2324の天板2324bに強固に固定される。
【0188】
なお、上述した第2実施形態では、中継フレーム2324の天板2324bにY軸レール2367aが固定され、振動テーブル2400にX軸レール2365aが固定されているが、これとは逆に、振動テーブル2400にY軸レール2367aを固定し、Z軸加振ユニットの可動部にX軸レール2365aを固定する構成としてもよい。
【0189】
また、上述した第2実施形態では、XYスライダ2360が2つのX軸リニアガイド2365(X軸レール2365a)と2つのY軸リニアガイド2367(Y軸レール2367a)を備えるが、X軸レール2365a及び/又はY軸リニアガイド2367を3つ以上備えた構成としてもよい。この場合も、各X軸レール2365aと各Y軸レール2367aがクロスキャリッジ2364を介してそれぞれ連結される。すなわち、n本のX軸レール2365aとm本のY軸レール2367aとがn×m個のクロスキャリッジ2364により連結される。
【0190】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、YZスライダ及びZXスライダの構成において、上述した第2実施形態と相違する。以下の第3実施形態の説明では、第2実施形態との相違点を中心に置き、第2実施形態と共通する構成については説明を省略する。
【0191】
図34は、本発明の第3実施形態に係る加振装置の振動テーブル3400付近を拡大した平面図である。
【0192】
上述した第2実施形態では、振動テーブルのX軸加振ユニット及びY軸加振ユニットと対向する側面にZ軸レール2167a及び2267aがそれぞれ固定されている。これに対して、第3実施形態では、振動テーブル3400のX軸加振ユニット及びY軸加振ユニットと対向する側面にY軸レール3165a及びX軸レール3265aがそれぞれ固定されている。この構成を採用することにより、比較的に厚さ(Z軸方向寸法)の薄い振動テーブルを使用した場合でも、
図30に示されるように、振動テーブル2400の上下面からZ軸レール2167が上下に突出するのを防ぐことができ、振動テーブル上への供試体の設置の自由度が向上する。
【0193】
一方、第2実施形態のように、振動テーブル2400にYZスライダ2160及びZXスライダ2260のZ軸レール2167a及び2267aを取り付ける構成を採用した場合には、YZスライダ2160のZ軸キャリッジ2167b、連結板2166及びX軸キャリッジ2165b並びにZXスライダ2260のZ軸キャリッジ2267b、連結板2266及びY軸キャリッジ2265bが上下に駆動されなくなるため、これらの部材の上下駆動に伴う振動ノイズの発生が抑制される。
【0194】
また、上述した第2実施形態のYZスライダ2160(ZXスライダ2260)では、1つの大きな連結板2166(2266)に複数のY軸キャリッジ2165b(X軸キャリッジ2265b)と複数のZ軸キャリッジ2167b(2267b)がそれぞれ固定され、1つの大型のクロスキャリッジ2164(2264)が形成されている。これに対して、第3実施形態のYZスライダ3160(ZXスライダ3260)では、1つの小さな連結板3166(3266)に1つのY軸キャリッジ3165b(X軸キャリッジ3265b)と1つのZ軸キャリッジ3167b(3267b)がそれぞれ固定されて小型のクロスキャリッジ3164(3264)が形成され、複数の小型のクロスキャリッジ3164(3264)によりZ軸レール3167a(3267a)とY軸レール3165a(X軸レール3265a)が連結されている。
【0195】
このように、クロスキャリッジ3164、3264を小型・軽量化することにより、クロスキャリッジ3164、3264を高速で駆動し易くなり、また、クロスキャリッジ3164、3264の共振周波数を高めて振動ノイズを低減させることができる。
【0196】
また、第3実施形態では、Z軸加振ユニットの可動部の天板3324bは、振動テーブル3400と略同じ(又は、それ以上の大きさの)平面寸法で形成されている。そのため、天板3324bの上面に取り付けられるY軸レール2367a(X軸レール3365a)の長さを、振動テーブル3400のY軸方向(X軸方向)における全幅と略同じ(又は、それ以上の)長さまで拡張しても、Y軸レール3367a(X軸レール3365a)の全長を天板3324bによって下方から支持することができ、振動テーブル3400を常に高い剛性で支持することが可能になっている。
【0197】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、2軸スライダ(スライド連結機構)であるYZスライダ4160及びZXスライダ4260の構成において、上述した第2実施形態と相違する。以下の第4実施形態の説明では、第2実施形態との相違点を中心に置き、第2実施形態と共通する構成については説明を省略する。また、ZXスライダ4260は、YZスライダ4160と共通の構成を有するため、ZXスライダ4260についての具体的な説明は省略する。
【0198】
図35及び
図36は、それぞれ本発明の第4実施形態に係る加振装置の振動テーブル4400付近を拡大した平面図及び側面図である。
【0199】
第4実施形態のYZスライダ4160は、2つのY軸リニアガイド4165と、2つのZ軸リニアガイド4167と、これらを連結する連結板4166を備えている。また、第4実施形態では、YZスライダ4160のZ軸レール4167が、振動テーブル4400には直接固定されず、中継アーム4168を介して振動テーブル4400に固定されている。
【0200】
中継アーム4168の厚さ(Z軸方向寸法)は、振動テーブル4400側においては、振動テーブル4400の厚さと略同じ大きさであるが、Z軸リニアガイド4167側においては、Z軸リニアガイド4167のレールの長さと略同じ大きさまで拡張されている。この構成により、Z軸リニアガイド4167のレールが全長に亘って中継アーム4168によって支持される。
【0201】
また、中継アーム4168の幅(Y軸方向寸法)は、Z軸リニアガイド4167側においては、2つのZ軸リニアガイド4167の配置間隔と略同じ大きさであるが、振動テーブル4400側においては、XYスライダの2本のX軸レール4367aの配置間隔と略同じ大きさまで拡張されている。言い換えれば、Z軸リニアガイド4167の配置間隔をX軸レール4367aの配置間隔よりも小さくすることで、YZスライダ4160の小型・軽量化が図られている。更に、中継アーム4168を使用することにより、Z軸リニアガイド4167のレールと振動テーブル4400との間に一定の距離が確保されるため、振動テーブル上への供試体の設置の自由度が向上する。
【0202】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、加振ユニット(Z軸加振ユニット5300)を1つのみ備えた1軸加振装置の一例である。以下の第5実施形態の説明では、第1実施形態との相違点を中心に置き、第1実施形態と共通する構成については説明を省略する。
【0203】
図37及び
図38は、それぞれ本発明の第5実施形態に係る加振装置5000の側面図及び平面図である。
【0204】
第5実施形態では、1軸方向のみに加振をするため、振動テーブル5400は、XYスライダを介さず、Z軸加振ユニット5300の可動部5320の上面に直接取り付けられている。
【0205】
また、4つの可動部支持機構5340は、Z軸加振ユニット5300の可動部5320ではなく、振動テーブル5400を直接支持している。そのため、振動テーブルのY軸方向及びZ軸方向の振動ノイズを効果的に抑制することができる。
【0206】
また、加振装置5000は、供試体Wを上方から振動テーブル5400に押さえ付けるための門型の反力フレーム5600を備えている。反力フレーム5600は、Z軸加振ユニット5300の固定部(筒状体)310の上面に固定されている。また、反力フレーム5600の梁部5610の下面には、供試体Wを固定するチャック装置5610が設けられている。チャック装置5610は、供試体Wに加わるZ軸方向の力を検出するロードセル(又は圧電式荷重センサ)を備えている。
【0207】
Z軸加振ユニット5300の空気ばね356(
図12)の作動により、供試体Wが振動テーブル5400と反力フレーム5600との間で挟まれ、供試体Wに所定の静荷重が与えられる。すなわち、第5実施形態の加振装置5000によれば、供試体Wに所定の静荷重を与えながら、供試体Wを加振する試験を行うことができる。
【0208】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、2つの加振ユニット(X軸加振ユニット6100、Z軸加振ユニット6300)を備えた2軸加振装置の一例である。以下の第5実施形態の説明では、第1実施形態との相違点を中心に置き、第1実施形態と共通する構成については説明を省略する。
【0209】
図39及び
図40は、それぞれ本発明の第6実施形態に係る加振装置6000の平面図及び側面図である。
【0210】
第6実施形態では、振動テーブル6400が2方向(各加振ユニットの駆動方向及びそれに垂直な1方向)に加振される。そのため、各加振ユニット6100、6300と振動テーブル5400とが、他の加振ユニット6300、6100の駆動方向にスライド可能に連結される。具体的には、X軸加振ユニット6100と振動テーブル6400とは、Z軸スライダ6160によってZ軸方向にスライド可能に連結され、Z軸加振ユニット6300と振動テーブル6400とは、X軸スライダ6360によってZ軸方向にスライド可能に連結される。
【0211】
Z軸スライダ6160は、Z軸リニアガイド6164と、このZ軸リニアガイド6164とX軸加振ユニット6100の可動部とを連結する連結アーム6162とを備えている。Z軸リニアガイド6164は、1つのZ軸キャリッジが装着された1本のZ軸レールを備えている。また、Z軸キャリッジは連結アーム6162に固定され、Z軸レールは中継アーム6168を介して振動テーブル6400の側面に固定されている。
【0212】
X軸スライダ6360は、2つのX軸リニアガイド6164を備えている。各X軸リニアガイド6164は、3つのX軸キャリッジが装着された1本のX軸レールを備えている。
【0213】
X軸加振ユニット6100の固定部は、支持ユニット6150を介して、装置ベース6500に固定されている。また、Z軸加振ユニット6300の固定部は、支持ユニット6350を介して、装置ベース6500に固定されている。
【0214】
支持ユニット6350は、第1実施形態の支持ユニット350と略同一構成のものである。一方、支持ユニット6150は、第1実施形態の支持ユニット150とは異なり、ばね機構156の替わりに、Z軸方向に並べて配置された2つの空気ばね6156を備えている。
【0215】
X軸加振ユニット6100には、水平アクチュエータの固定部のY軸方向両側面に、角溝6110aが形成されている。また、支持ユニットの可動ブロックには、角溝6110aと嵌合する突出部6158aが形成されている。この角溝6110aと突出部6158aとの嵌合により、X軸加振ユニット6100の固定部が支持ユニットの可動ブロックに対してX軸方向に移動しないようになっている。
【0216】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば本明細書中に例示的に明示された実施形態等の構成及び/又は本明細書中の記載から当業者に自明な実施形態等の構成を適宜組み合わせた構成も本願の実施形態に含まれる。
【0217】
上記の各実施形態は、本発明を動電型の加振装置に適用した例であるが、本発明はこの構成に限定されず、他の種類の加振ユニット(例えば、回転電動機や油圧回転モータと送りねじ機構等の回転−直動変換機構とを組み合わせた直動加振ユニット、リニアモータ等)を使用した加振装置にも本発明を適用することができる。
【0218】
例えば、第1実施形態の加振装置1は、3軸の動電型加振装置に本発明を適用した例であるが、当然ながら本発明は1軸及び2軸の動電型加振装置に適用することができる。
【0219】
また、第1実施形態では、支持ユニット350(固定部支持機構)の振動を減衰する緩衝手段として空気ばねが使用されているが、防振効果のある他の種類のばね(例えば鋼製のコイルばね)や弾性体(防振ゴム等)を使用する構成とすることもできる。
【0220】
スライド連結機構の各軸のリニアガイドの数(1本、2本、3本、4本、5本以上)や配置は、振動テーブルの大きさ、供試体の大きさや重量分布、試験条件(周波数、振幅)等に応じて、適宜選択される。また、第1実施形態のXYスライダ360が備えるクロスガイド364の数も、4つに限らず、振動テーブルの大きさや供試体の荷重、試験条件等に応じて、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上にすることもできる。
【0221】
また、第5実施形態の1軸加振装置は、反力フレーム5600を備えているが、反力フレーム5600を備えていない構成としてもよい。また、2軸及び3軸加振装置に反力フレームを設ける構成としてもよい。この場合、反力フレームは例えば装置ベースに固定される。