(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃焼装置から排出される排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成される吸収塔における前記洗浄液を貯留するための液だまり部に、酸素を含む気体および前記洗浄液を噴射するように構成される気液混合装置であって、
第1流路を内部に画定するとともに、前記洗浄液を前記第1流路に導入するための洗浄液導入口、前記洗浄液導入口から導入されて前記第1流路を流れる前記洗浄液の流れ方向に対して直交する方向に沿って前記気体を前記第1流路に導入するための気体導入口、および、前記洗浄液導入口から導入された前記洗浄液と前記気体導入口から導入された前記気体との混合流体を吐出する吐出口、が形成された第1筒状部と、
前記洗浄液導入口から導入された前記洗浄液と前記気体導入口から導入された前記気体とが合流する合流部よりも前記洗浄液の流れ方向における上流側に設けられる絞り部と、
を備え、
前記吐出口の内径をD1、前記気体導入口の内径をD2とした際に、
0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす
気液混合装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
吐出口から吐出される混合流体に含まれる気体(気泡)の割合が過小であると、洗浄液の酸化に用いる酸素の量が不足するため、液だまり部での混合流体による洗浄液の酸化が不十分となる虞がある。また、吐出口から吐出される混合流体に含まれる気体の割合が過大であると、洗浄液による気体のせん断が不十分となり、気体(気泡)の微細化効果が減衰する虞がある。気体(気泡)の微細化効果が減衰して気泡のサイズが大きくなると、気体と洗浄液との接触面積が減少する。また、気泡のサイズが大きくなると、その分だけ気泡の浮力が大きくなるので、気泡が液だまり部に貯留される洗浄液中に滞在できる期間、すなわち、気泡が洗浄液を酸化できる期間が短くなる。このため、液だまり部での混合流体による洗浄液の酸化が不十分となる虞がある。
【0008】
上述した事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、液だまり部での混合流体による洗浄液の酸化が不十分となることを防止することができる気液混合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも一実施形態にかかる気液混合装置は、
燃焼装置から排出される排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成される吸収塔における上記洗浄液を貯留するための液だまり部に、酸素を含む気体および上記洗浄液を噴射するように構成される気液混合装置であって、
第1流路を内部に画定するとともに、上記洗浄液を上記第1流路に導入するための洗浄液導入口、上記洗浄液導入口から導入されて上記第1流路を流れる上記洗浄液の流れ方向に対して直交する方向に沿って上記気体を上記第1流路に導入するための気体導入口、および、上記洗浄液導入口から導入された上記洗浄液と上記気体導入口から導入された上記気体との混合流体を吐出する吐出口、が形成された第1筒状部と、
上記洗浄液導入口から導入された上記洗浄液と上記気体導入口から導入された上記気体とが合流する合流部よりも上記洗浄液の流れ方向における上流側に設けられる絞り部と、
を備え、
上記吐出口の内径をD1、上記気体導入口の内径をD2とした際に、
0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす。
【0010】
上記(1)の構成によれば、第1筒状部における吐出口の内径をD1、気体導入口の内径をD2とした際に、0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす。第1に、0.5<D2/D1の条件を満たす第1筒状部は、気体導入口の内径D2が吐出口の内径D1と比べて所定以上の大きさであるため、気体導入口を介して第1流路に気体を送るための気体導入ラインでの圧力損失を低減することができ、気体導入口から第1流路に導入されて吐出口から吐出される混合流体における酸素を含む気体の割合が過小になることを防止することができる。第2に、D2/D1<0.8の条件を満たす第1筒状部は、気体導入口の内径D2が吐出口の内径D1と比べて所定以下の大きさであるため、気体導入口から第1流路に導入されて吐出口から吐出される混合流体における酸素を含む気体の割合が過大になることを防止することができる。よって、上記の構成によれば、0.5<D2/D1<0.8の条件を満たすので、気体導入口から第1流路に導入されて吐出口から吐出される混合流体における酸素を含む気体の割合が過大や過小となることを防止することができ、ひいては液だまり部における混合流体による酸化が不十分となることを防止することができる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の気液混合装置は、上記気体導入口に連通する第2流路を内部に画定するとともに、上記気体導入口における上記気体の導入方向に沿って延在し、上記気体を上記第2流路に導入するための第2気体導入口が形成された第2筒状部と、上記洗浄液を上記洗浄液導入口から上記第1流路に送るための洗浄液導入ラインと、上記第1筒状部と、を第1締結装置により固定するために上記第1筒状部の上記合流部よりも上記洗浄液の流れ方向における上流側の外周から突出して設けられる洗浄液導入側締結部と、上記気体を上記第2気体導入口から上記第2流路に送るための気体導入ラインと、上記第2筒状部と、を第2締結装置により固定するために上記第2筒状部の外周から突出して設けられる気体導入側締結部と、をさらに備え、上記絞り部から上記気体導入口の中心軸までの長さをLとした際に、0.8<L/D1<1.3の条件を満たす。
【0012】
上記(2)の構成によれば、絞り部から気体導入口の中心軸までの長さをLとした際に、0.8<L/D1<1.3の条件を満たす。第1に、吐出口の内径D1に対する絞り部から気体導入口の中心軸までの長さLの比が0.8<L/D1の条件を満たすので、上述した洗浄液導入側締結部と上述した気体導入側締結部とが干渉することを防止することができる。
【0013】
第2に、吐出口の内径D1に対する絞り部から気体導入口の中心軸までの長さLの比がL/D1<1.3の条件を満たす。ここで、絞り部から気体導入口の中心軸までの長さLが大きいと、その分だけ絞り部により生じた縮流が回復するため、気体(気泡)の微細化効果が減衰する傾向にある。上記の構成によれば、L/D1<1.3の条件を満たすため、気体(気泡)の微細化効果の減衰が少なく、上記微細化効果を発揮させることができる。
【0014】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の気液混合装置は、0.9<L/D1の条件をさらに満たす。
上記(3)の構成によれば、吐出口の内径D1に対する絞り部から気体導入口の中心軸までの長さLの比が0.9<L/D1の条件を満たすので、上述した洗浄液導入側締結部と上述した気体導入側締結部とが干渉することをより確実に防止することができるとともに、洗浄液導入側締結部と気体導入側締結部との間の間隔を大きくできるので、洗浄液導入側締結部や気体導入側締結部に配管などの他の部品を締結する締結作業を容易に行うことができる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の何れかに記載の気液混合装置において、上記吐出口の内径D1は、150mm以上270mm以下である。
【0016】
上記(4)の構成によれば、吐出口の内径D1は、150mm以上270mm以下であり、且つ、上述した0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす。この場合には、液だまり部における混合流体による酸化が不十分となることをより確実に防止することができる。
【0017】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)の何れかに記載の気液混合装置において、上記第1筒状部は、上記吐出口の中心軸に沿って延在し、上記気液混合装置は、上記吸収塔の上記液だまり部の少なくとも一部を画定する側壁に固定するための吐出口側締結部であって、上記第1筒状部の上記合流部よりも上記洗浄液の流れ方向における下流側の外周から上記吐出口の上記中心軸に直交する方向に沿って突出して設けられる吐出口側締結部をさらに備える。
【0018】
上記(5)の構成によれば、気液混合装置は、第1筒状部の合流部よりも洗浄液の流れ方向における下流側の外周から吐出口の中心軸に直交する方向に沿って突出して設けられる吐出口側締結部を備える。気液混合装置は、吐出口側締結部を上記側壁に固定することで、側壁に対する第1筒状部の位置を固定することができる。
【0019】
(6)本発明の少なくとも一実施形態にかかる排ガス脱硫装置は、
燃焼装置から排出される排ガスを脱硫するための排ガス脱硫装置であって、
内部に導入される上記排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成される吸収塔であって、上記洗浄液を貯留するための液だまり部を内部に画定する吸収塔と、
上記(1)〜(4)の何れかに記載の気液混合装置と、を備える。
【0020】
上記(6)の構成によれば、吸収塔は、内部に導入される排ガスの洗浄液を気液接触させるように構成され、且つ、洗浄液を貯留するための液だまり部を内部に画定している。気液混合装置は、第1筒状部の吐出口から吸収塔の液だまり部に吐出される混合流体により、吸収塔の液だまり部に貯留される洗浄液に対して十分な酸化反応を生じさせることができる。
【0021】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載の排ガス脱硫装置において、上記第1筒状部は、上記吐出口の中心軸に沿って延在し、上記気液混合装置は、上記第1筒状部の上記合流部よりも上記洗浄液の流れ方向における下流側の外周から上記吐出口の上記中心軸に直交する方向に沿って突出して設けられる吐出口側締結部をさらに備え、上記吸収塔は、上記液だまり部の少なくとも一部を画定する側壁であって、上記第1筒状部の上記吐出口を含む先端が挿通される挿通孔が形成された側壁と、上記吐出口の上記中心軸の水平面からの傾斜角度をθとした際に、水平面から上記傾斜角度θだけ傾斜した方向に沿って、上記側壁の上記挿通孔の周縁部から上記側壁の外側に突出して設けられる筒状突出部と、上記筒状突出部の先端から上記筒状突出部の延在する方向に直交する方向に沿って突出して設けられる噴射ノズル用締結部であって、上記吐出口側締結部が第3締結装置により固定されるように構成される噴射ノズル用締結部と、をさらに含む。
【0022】
上記(7)の構成によれば、吸収塔の側壁に形成された挿通孔に第1筒状部の吐出口を含む先端を挿通した状態で、気液混合装置の吐出口側締結部が吸収塔の噴射ノズル用締結部に第3締結装置により固定される。ここで、第1筒状部は、吐出口の中心軸に沿って延在している。吸収塔の筒状突出部は、吐出口の中心軸の水平面からの傾斜角度θと同じ角度だけ水平面から傾斜した方向に沿って延在している。つまり、吸収塔の筒状突出部は、第1筒状部が設置された際の吐出口の中心軸と同じ方向に沿って延在している。第1筒状部は、第1筒状部の延在する方向に直交する方向に沿って延在する吐出口側締結部と、筒状突出部の延在する方向に直交する方向に沿って延在する噴射ノズル用締結部と、を第3締結装置により固定することで、吐出口の中心軸の水平面からの傾斜角度θをそのまま設置角度とすることができる。よって、上記の構成によれば、第1筒状部の設置角度の調整作業をなくし、第1筒状部の取付け作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、液だまり部での混合流体による洗浄液の酸化が不十分となることを防止することができる気液混合装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0026】
図1は、一実施形態にかかる排ガス脱硫装置の概略構成を示す断面図である。排ガス脱硫装置は、燃焼装置から排出される排ガスを脱硫するための装置である。上記燃焼装置は、例えば、ディーゼルエンジン、ガスタービンエンジン又は蒸気タービンエンジンなどのエンジンやボイラなどである。
排ガス脱硫装置1は、
図1に示されるように、内部に導入される排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成される吸収塔2と、気液混合装置4と、を備える。
【0027】
吸収塔2は、内部に導入される排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成される。図示される実施形態では、吸収塔2は、
図1に示されるように、内部に導入される排ガスに洗浄液を噴霧することで、排ガスと洗浄液とを気液接触させるように構成される気液接触部21A、および気液接触部よりも下方に位置し、気液接触部21Aで排ガス中のSOxを吸収した洗浄液が貯留される液だまり部21B、を内部に画定するように構成される。ここで、洗浄液としては、アルカリ剤を含む液体や海水などが挙げられる。また、アルカリ剤としては、CaCO
3、NaOH、Ca(OH)
2、NaHCO
3、Na
2CO
3などが挙げられ、高濃度に減容化されたアルカリを用いることもできる。
【0028】
より詳細には、吸収塔2は、
図1に示されるように、上述した気液接触部21Aおよび上述した液だまり部21Bを含む内部空間21を内部に画定する吸収塔本体部22と、吸収塔本体部22に排ガスを導入するための排ガス導入部23と、吸収塔本体部22から排ガスを排出するための排ガス排出部24と、を備える。
図1に示されるように、吸収塔本体部22と排ガス導入部23とが隣接する方向を第1方向、第1方向における排ガス導入部23側を一方側、第1方向における排ガス排出部24側を他方側、と定義する。
【0029】
図1に示されるように、吸収塔本体部22の上記第1方向における一方側の側壁である第1側壁25には、内部空間21(下方側内部空間21C)と連通する排ガス導入口251が形成されている。吸収塔本体部22の上記第1方向における他方側の側壁である第2側壁26には、排ガス導入口251よりも高い位置に、内部空間21(上方側内部空間21D)と連通する排ガス排出口261が形成されている。第1側壁25および第2側壁26の夫々は、上面視において第1方向に直交する第2方向に沿って延在するとともに、液だまり部21Bを含む内部空間21の少なくとも一部を画定している。
【0030】
燃焼装置(不図示)から排ガス導入部23に導入された排ガスは、排ガス導入部23を通過した後、排ガス導入口251を介して内部空間21(下方側内部空間21C)に導入される。内部空間21に導入された排ガスは、下方側内部空間21Cを一方側に位置する第1側壁25から他方側に位置する第2側壁26に向かって流れた後、内部空間21を上昇しながら流れていく。上方側内部空間21Dまで上昇した排ガスは、第1側壁25から第2側壁26に向かって流れた後、排ガス排出口261を介して排ガス排出部24に排出される。
【0031】
図1に示されるように、吸収塔本体部22の下方側内部空間21Cよりも上方、且つ、上方側内部空間21Dよりも下方に位置する気液接触部21Aには、内部空間21に上述した洗浄液を散布するための散布装置28が配置されている。散布装置28は、気液接触部21Aを通過する排ガスに対して洗浄液を散布し、排ガスと洗浄液とを気液接触させることで、排ガス中に含まれるSOx(SO
2を含む)を吸収除去するように構成される。
【0032】
散布装置28は、
図1に示されるように、吸収塔本体部22の内部空間21において上記第1方向に沿って延在する散水管281と、散水管281に設けられた複数の散水ノズル282と、を含む。散水ノズル282は、排ガスの流れ方向における下流側に向かって、すなわち、鉛直方向における上方に向かって、洗浄液を散布するように構成される。図示される実施形態では、散水ノズル282は、洗浄液を液柱状に噴射するようになっている。つまり、図示される吸収塔2は、液柱式の吸収塔である。
【0033】
なお、吸収塔2は、内部に導入される排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成されていればよく、上述した液柱式に限定されない。例えば、吸収塔2は、内部空間21に気液接触を促進させるための充填材が充填される充填層を備えるグリッド式の吸収塔や、洗浄液を放射状に噴霧する散水ノズル282を備えるスプレー式の吸収塔などであってもよい。また、散水管281は、上面視において上記第1方向に直交する方向に沿って延在してもよい。また、散水ノズル282は、鉛直方向における下方に向かって、洗浄液を散布するように構成されていてもよい。
【0034】
気液接触部21Aを通過した排ガスには、水分が多く含まれる。気液接触部21Aよりも排ガスの流れ方向における下流側には、ミストエリミネータ27が配置されている。ミストエリミネータ27は、ミストエリミネータ27を通過する排ガスから水分を除去するように構成される。ミストエリミネータ27を通過した排ガスは、吸収塔2の外部に排出される。
【0035】
図示される実施形態では、ミストエリミネータ27は、排ガス排出部24に配置され、排ガス排出部24に排ガスの流れ方向における上流側と下流側とを隔てるように、鉛直方向に沿って延在している。なお、ミストエリミネータ27は、上方側内部空間21Dに配置されて、水平方向に沿って延在してもよい。また、ミストエリミネータ27は、多段構成であってもよい。
【0036】
液だまり部21Bは、内部空間21に導かれた排ガスに対して散布された散布済みの洗浄液が貯留されるように構成される。図示される実施形態では、液だまり部21Bは、下方側内部空間21Cの下方、且つ排ガス導入口251よりも低い位置に、液面が位置するように設けられる。液だまり部21Bに貯留される洗浄液には、排ガスから吸収したSOxにより生じた反応生成物が含まれる。ここで、反応生成物としては、SO
2が洗浄液に吸収されることで生成される亜硫酸塩などが挙げられる。
【0037】
図1に示されるように、第2側壁26には、鉛直方向における液だまり部21Bの底面211近傍の位置に、液だまり部21Bに貯留される洗浄液を外部に抜き出すための洗浄液抜出口262が開口している。洗浄液抜出口262は、液だまり部21Bに連通している。
【0038】
図示される実施形態では、排ガス脱硫装置1は、
図1に示されるように、液だまり部21Bに貯留された洗浄液を散布装置28に送るように構成される洗浄液循環ライン7と、吸収塔2の外部から液だまり部21Bに洗浄液を供給するように構成される洗浄液供給ライン8と、をさらに備える。
【0039】
洗浄液循環ライン7は、上述した洗浄液抜出口262および上述した散水管281を接続する少なくとも一つの配管71と、洗浄液循環ライン7の途中に設けられる、洗浄液抜出口262から散水管281に洗浄液を送るための洗浄液循環ポンプ72と、を含む。つまり、散布装置28から散布されて液だまり部21Bに貯留された洗浄液の少なくとも一部は、洗浄液循環ポンプ72により圧送されて、洗浄液循環ライン7を通り、散布装置28に送られる。
【0040】
洗浄液供給ライン8は、吸収塔2の外部に設けられる洗浄液貯留タンク81と、洗浄液貯留タンク81と液だまり部21Bとを接続する少なくとも一つの配管82と、を含む。洗浄液は、洗浄液貯留タンク81から液だまり部21Bに、洗浄液供給ライン8を通って送られる。
【0041】
気液混合装置4は、
図1に示されるように、例えば空気などの酸素を含む気体と洗浄液との混合流体MFを吸収塔2の液だまり部21Bに噴射するように構成される噴射ノズル5と、噴射ノズル5に洗浄液を送るように構成される洗浄液導入ライン41と、噴射ノズル5に酸素を含む気体を送るように構成される気体導入ライン42と、を含む。気液混合装置4は、噴射ノズル5から液だまり部21Bに混合流体MFを噴射し、液だまり部21Bに貯留される洗浄液に混合流体MFを行き渡らせることで、混合流体MFにより上記反応生成物を酸化させて、酸化生成物を生成する。酸化生成物としては、石膏などが挙げられる。
【0042】
図示される実施形態では、排ガス脱硫装置1は、
図1に示されるように、液だまり部21Bに貯留される酸化生成物(石膏)を含む洗浄液を排出するように構成される洗浄液排出ライン9をさらに備える。
図1に示される実施形態では、洗浄液排出ライン9は、液だまり部21Bに接続される洗浄液循環ライン7を介して洗浄液を排出するように構成される。より詳細には、洗浄液排出ライン9は、洗浄液循環ライン7の分岐部73から分岐し、吸収塔2の外部に設けられる装置91に接続されており、洗浄液循環ライン7の分岐部73から装置91に酸化生成物を含む洗浄液を送るようになっている。装置91としては、酸化生成物を含む洗浄液から水分を脱水する脱水機(分離機)や洗浄液を一時的に貯留するための貯留タンクなどが挙げられる。
【0043】
図1に示される実施形態では、洗浄液導入ライン41は、分岐部73よりも洗浄液の流れ方向における下流側に位置する分岐部44で、洗浄液循環ライン7から分岐している。上述した洗浄液循環ポンプ72は、洗浄液の一部を洗浄液抜出口262から分岐部44を介して噴射ノズル5に送るようになっている。
【0044】
図示される実施形態では、気体導入ライン42は、噴射ノズル5に一端が接続され、他端が液だまり部21Bの液面よりも上方の位置で大気開放している。
【0045】
図2は、一実施形態における噴射ノズルの機能を説明するための噴射ノズルの概略断面図である。
図3は、一実施形態における噴射ノズルの概略構成を示す断面図である。噴射ノズル5は、
図2、3に示されるように、第1筒状部52と、絞り部53と、第2筒状部54と、を含む。
【0046】
第1筒状部52は、
図2、3に示されるように、第1流路55を内部に画定する筒状に形成されている。第1筒状部52には、洗浄液を第1流路55に導入するための洗浄液導入口56、洗浄液導入口56から導入されて第1流路55を流れる洗浄液の流れ方向に対して直交する方向に沿って上記気体を第1流路55に導入するための気体導入口57および上述した吐出口51が形成されている。吐出口51は、洗浄液導入口56から導入された洗浄液と、気体導入口57から導入された気体と、の混合流体MFを吐出するために設けられている。
【0047】
図2、3に示される実施形態では、第1筒状部52は、吐出口51の中心軸CAの延在する方向に沿って長さ方向を有している。第1筒状部52の長さ方向における一端に上述した洗浄液導入口56が開口し、第1筒状部52の長さ方向における他端に気体導入口57が開口している。第1筒状部52の外周には、上述した気体導入口57が開口している。洗浄液導入ライン41から洗浄液導入口56を介して第1流路55内に送られた洗浄液は、第1流路55を中心軸CAの延在する方向に沿った方向に、洗浄液導入口56から吐出口51に向かって流れる。
【0048】
第2筒状部54は、
図2、3に示されるように、気体導入口57に連通する第2流路58を内部に画定するとともに、気体導入口57における気体の導入方向(洗浄液の流れ方向に対して直交する方向)に沿って延在し、気体を第2流路58に導入するための第2気体導入口59が形成されている。
【0049】
図2、3に示される実施形態では、第2筒状部54は、気体導入口57の中心軸CA2の延在する方向、すなわち、吐出口51の中心軸CAの延在する方向に直交する方向に沿って長さ方向を有している。第2筒状部54の長さ方向における一端は、第1筒状部52の外周に一体的に接続されている。つまり、第1筒状部52と第2筒状部54は、一体的に形成されている。第2筒状部54の長さ方向における他端に上述した第2気体導入口59が開口している。気体導入ライン42から第2気体導入口59を介して第2流路58内に送られた気体は、第2流路58を通った後、気体導入口57を介して第1流路55内に送られる。第1流路55内に送られた気体は、合流部60において洗浄液と合流する。
【0050】
絞り部53は、
図2、3に示されるように、合流部60よりも洗浄液の流れ方向における上流側に設けられている。絞り部53は、内部を洗浄液が流れるとともに、洗浄液の流れ方向における上流側および下流側に比べて、断面積が急激に縮小する縮流形成口61が開口している。絞り部53は、縮流形成口61により洗浄液を縮流することで、絞り部53よりも洗浄液の流れ方向における下流側に負圧領域62(
図2参照)を発生させるように構成される。噴射ノズル5は、負圧領域62に生じる吸引力により、気体導入口57から気体を吸引する。なお、上記吸引力のみでは第1流路55に送られる気体の量が不足する場合には、第1流路55に気体を送るための不図示のポンプを気体導入ライン42に設け、該ポンプにより第1流路55に送られる気体の量を増量してもよい。
【0051】
図2、3に示される実施形態では、絞り部53は、第1筒状部52とは別体に構成されている。他の実施形態では、絞り部53は、第1筒状部52と一体的に形成されていてもよい。例えば、絞り部53は、第1筒状部52の第1流路55を区画する内周面から突出して設けられていてもよい。
【0052】
噴射ノズル5は、第1流路55を流れる洗浄液によって、第1流路55に送られた気体をせん断、微細化して混合流体MF(微細気泡を内部に含む洗浄液)を生成する。また、噴射ノズル5は、噴射ノズル5内で生成された混合流体MFを吐出口51から噴射するようになっている。
【0053】
図4は、一実施形態にかかる気液混合装置が奏する作用を説明するためのグラフであって、吐出口の内径に対する気体導入口の内径の比と、液だまり部での混合流体による酸化反応の効率と、の関係を示すグラフである。
【0054】
図4に示されるように、吐出口51の内径D1(
図3参照)に対する気体導入口57の内径D2(
図3参照)の比(D2/D1)が0.5以下であると、気体導入口57の内径D2が小さいため、気体導入ライン42における酸素を含む気体Gの圧力損失ΔPが大きくなる。気体導入ライン42における気体Gの圧力損失ΔPが大きいと、気体導入口57から第1流路55に導入される酸素を含む気体Gの流量が少なくなり、結果として吐出口51から吐出される混合流体MFにおける気体Gの割合OAが過小になる。吐出口51から吐出される混合流体MFにおける気体Gの割合OAが過小になると、洗浄液の酸化反応に用いる酸素が不足するため、液だまり部21Bにおける混合流体MFによる酸化反応の効率EOが低下する虞がある。
【0055】
また、
図4に示されるように、吐出口51の内径D1に対する気体導入口57の内径D2の比(D2/D1)が0.8以上であると、気体導入口57の内径D2が大きいため、気体導入口57から第1流路55に導入される気体Gの流量が多くなり、結果として吐出口51から吐出される混合流体MFにおける気体Gの割合OAが大きくなる。吐出口51から吐出される混合流体MFにおける気体Gの割合OAが過大になると、気体G(気泡)の微細化効果が減衰する虞がある。気体G(気泡)の微細化効果が減衰すると、気泡のサイズが大きくなる分だけ気泡の浮力が大きくなるので、気泡が液だまり部21Bに貯留される洗浄液中に滞在できる期間、すなわち、気泡が洗浄液を酸化できる期間が短くなる。よって、混合流体MFにおける気体Gの割合OAが過大になると、液だまり部21Bにおける混合流体MFによる酸化反応の効率EOが低下する虞がある。
【0056】
上述したように、幾つかの実施形態では、上述した噴射ノズル5(気液混合装置4)は、上述した第1流路55を内部に画定するとともに、上述した第1筒状部52と、上述した絞り部53と、を備える。そして、上述した吐出口51の内径をD1、上述した気体導入口57の内径をD2とした際に、0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす。
【0057】
上記の構成によれば、第1筒状部52における吐出口51の内径をD1、気体導入口57の内径をD2とした際に、0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす。第1に、0.5<D2/D1の条件を満たす第1筒状部52は、気体導入口57の内径D2が吐出口51の内径D1と比べて所定以上の大きさであるため、気体導入口57を介して第1流路55に気体Gを送るための気体導入ライン42での圧力損失ΔPを低減することができ、気体導入口57から第1流路55に導入されて吐出口51から吐出される混合流体MFにおける気体Gの割合OAが過小になることを防止することができる。
【0058】
第2に、D2/D1<0.8の条件を満たす第1筒状部52は、気体導入口57の内径D2が吐出口51の内径D1と比べて所定以下の大きさであるため、気体導入口57から第1流路55に導入されて吐出口51から吐出される混合流体MFにおける気体Gの割合が過大になることを防止することができる。よって、上記の構成によれば、0.5<D2/D1<0.8の条件を満たすので、気体導入口57から第1流路55に導入されて吐出口51から吐出される混合流体MFにおける気体Gの割合が過大や過小となることを防止することができ、ひいては液だまり部21Bにおける混合流体MFによる酸化が不十分となることを防止することができる。
【0059】
図5は、一実施形態にかかる気液混合装置が奏する作用を説明するためのグラフであって、吐出口の内径に対する絞り部から気体導入口の中心軸までの長さの比と、気体導入口から導入される気体の微細化効果と、の関係を示すグラフである。
【0060】
図5に示されるように、吐出口51の内径D1に対する絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さの比(L/D1)が大きいと、その分だけ絞り部53により生じた縮流が回復するため、気体G(気泡)の微細化効果が減衰する傾向にある。特に、L/D1が1.3以上であると、気体G(気泡)の微細化効果の減衰が顕著であるため、液だまり部21Bにおける気体Gを含む混合流体MFによる酸化が不十分となる虞がある。また、吐出口51の内径D1に対する絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さの比(L/D1)が小さいと、その分だけ微細化効果を高めることができる。
【0061】
図6は、吸収塔における噴射ノズルが固定される部分近傍を概略的に示す部分断面図である。以下、
図6に基づいて、噴射ノズル5の取付方法を説明する。
【0062】
まず、第1側壁25を貫通するように形成された挿通孔252に、噴射ノズル5の吐出口51が形成された第1筒状部52の先端を挿通する。
【0063】
噴射ノズル5は、
図6に示されるように、吐出口側締結部63を含む。第1筒状部52は、吐出口51の中心軸CAに沿って延在しており、延在方向における一端に吐出口51が形成されている。吐出口側締結部63は、第1筒状部52の外周から吐出口51の中心軸CAに直交する方向に沿って突出して設けられている。吐出口側締結部63は、第1筒状部52の、第2筒状部54との接続部や合流部60よりも洗浄液の流れ方向における下流側の外周に設けられている。
【0064】
吸収塔2は、
図6に示されるように、筒状突出部29と、噴射ノズル用締結部30と、をさらに含む。筒状突出部29は、
図6に示されるように、吐出口51の中心軸CAの水平面からの傾斜角度をθとした際に、水平面から傾斜角度θだけ傾斜した方向に沿って、第1側壁25の挿通孔252の周縁部から外側に突出して設けられている。噴射ノズル用締結部30は、筒状突出部29の先端から筒状突出部29の延在する方向に直交する方向に沿って突出して設けられている。
【0065】
次に、第1側壁25に噴射ノズル5を固定する。噴射ノズル5の吐出口側締結部63は、吸収塔2の噴射ノズル用締結部30に締結装置66(66A)により固定される。図示される実施形態では、締結装置66A(第3締結装置)は、ボルト67(67A)と、ナット68(68A)と、を含む。
【0066】
ボルト67(67A)は、少なくとも外周面の一部にねじ部が形成された軸部671と、軸部671の基端部において軸部671よりも大径に形成された頭部672と、を備える。吐出口側締結部63と噴射ノズル用締結部30には、筒状突出部29の延在する方向に沿ってボルト67Aの軸部671が挿通可能な貫通孔631、301が形成されている。ボルト67Aは、筒状突出部29の延在する方向における一方側から、吐出口側締結部63および噴射ノズル用締結部30に形成された貫通孔631、301に軸部671が挿通され、筒状突出部29の延在する方向における他方側に挿通した軸部671の先端が、ナット68Aに螺合することで、第1側壁25に噴射ノズル5を固定する。
【0067】
第1側壁25に噴射ノズル5を固定した後に、噴射ノズル5に気体導入ライン42を接続する。図示される実施形態では、噴射ノズル5は、
図6に示されるように、第2筒状部54の、第2気体導入口59が形成された端部の外周から突出して設けられる気体導入側締結部64をさらに含む。気体導入ライン42は、第2筒状部54の延在する方向に沿って延在する気体導入管47を含む。気体導入管47は、第2気体導入口59に連通する開口が形成された端部の外周から突出して設けられる気体下流側締結部48を備える。気体導入管47の気体下流側締結部48は、噴射ノズル5の気体導入側締結部64に締結装置66(66B)により固定される。
【0068】
図示される実施形態では、締結装置66B(第2締結装置)は、ボルト67Aと同様の構成を備えるボルト67Bと、ナット68Aと同様の構成を備えるナット68Bと、を含む。ボルト67Bは、気体導入側締結部64および気体下流側締結部48に形成された貫通孔641、481に挿通された軸部671の先端にナット68Bが螺合することで、噴射ノズル5の第2筒状部54に気体導入管47を固定する。
【0069】
第1側壁25に噴射ノズル5を固定した後に、噴射ノズル5に洗浄液導入ライン41を接続する。洗浄液導入ライン41と噴射ノズル5との接続は、気体導入ライン42と噴射ノズル5との接続と同時に行ってもよいし、気体導入ライン42と噴射ノズル5との接続よりも前や後に行ってもよい。
【0070】
噴射ノズル5は、
図6に示されるように、第1筒状部52の、洗浄液導入口56が形成された端部の外周から突出して設けられる洗浄液導入側締結部65をさらに含む。洗浄液導入ライン41は、第1筒状部52の延在する方向に沿って延在する洗浄液導入管45を含む。洗浄液導入管45は、
図6に示されるように、洗浄液導入口56との間に絞り部53を挟んで連通する開口451が形成された端部の外周から突出して設けられる洗浄液下流側締結部46を備える。
図6に示されるように、洗浄液導入管45の洗浄液下流側締結部46は、噴射ノズル5の洗浄液導入側締結部65に締結装置66C(第1締結装置)により固定される。
【0071】
図示される実施形態では、締結装置66Cは、ボルト67Aと同様の構成を備えるボルト67Cと、ナット68Aと同様の構成を備えるナット68Cと、を含む。ボルト67Cは、洗浄液導入側締結部65および洗浄液下流側締結部46に形成された貫通孔651、461に挿通された軸部671の先端にナット68Cが螺合することで、第1筒状部52と洗浄液導入管45との間に絞り部53を挟んだ状態で、噴射ノズル5の第1筒状部52に洗浄液導入管45を固定する。
【0072】
上述したように、吐出口51の内径D1に対する絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さの比(L/D1)が小さいと、その分だけ微細化効果を高めることができる。しかし、絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さLが短いと、上述した洗浄液導入側締結部65と上述した気体導入側締結部64とが干渉する虞がある。図示される実施形態では、洗浄液導入側締結部65は、中心軸CAに直交する方向に沿って延在し、気体導入側締結部64は、中心軸CA2(中心軸CAに直交)に直交する方向に沿って延在している。つまり、洗浄液導入側締結部65は、気体導入側締結部64の延在する方向に直交する方向に沿って延在するため、洗浄液導入側締結部65と気体導入側締結部64の干渉が生じ易い。
【0073】
幾つかの実施形態では、上述した噴射ノズル5(気液混合装置4)は、上述した第2筒状部54と、上述した洗浄液導入側締結部65と、上述した気体導入側締結部64と、をさらに備える。上述した噴射ノズル5(気液混合装置4)は、吐出口51の内径をD1、絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さをLとした際に、0.8<L/D1<1.3の条件を満たす。
【0074】
上記の構成によれば、吐出口51の内径をD1、絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さをLとした際に、0.8<L/D1<1.3の条件を満たす。第1に、吐出口51の内径D1に対する絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さLの比が0.8<L/D1の条件を満たすので、上述した洗浄液導入側締結部65と上述した気体導入側締結部64とが干渉することを防止することができる。
【0075】
第2に、吐出口51の内径D1に対する絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さLの比がL/D1<1.3の条件を満たす。ここで、絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さLが大きいと、その分だけ絞り部53により生じた縮流が回復するため、気体G(気泡)の微細化効果が減衰する傾向にある。上記の構成によれば、L/D1<1.3の条件を満たすため、気体G(気泡)の微細化効果の減衰が少なく、上記微細化効果を発揮させることができる。
【0076】
なお、上述した噴射ノズル5(気液混合装置4)が0.8<L/D1<1.3の条件を満たす本発明は、上述した噴射ノズル5(気液混合装置4)が0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす発明と同時に実施可能であり、また、上記発明とは別に独立して実施可能である。
【0077】
幾つかの実施形態では、上述した噴射ノズル5(気液混合装置4)は、0.9<L/D1の条件をさらに満たす。この場合には、吐出口51の内径D1に対する絞り部53から気体導入口57の中心軸CA2までの長さLの比が0.9<L/D1の条件を満たすので、上述した洗浄液導入側締結部65と上述した気体導入側締結部64とが干渉することをより確実に防止することができる。また、洗浄液導入側締結部65と気体導入側締結部64との間の間隔を大きくできるので、洗浄液導入側締結部65や気体導入側締結部64に配管などの他の部品を締結する締結作業を容易に行うことができる。
【0078】
幾つかの実施形態では、上述した吐出口51の内径D1は、150mm以上270mm以下である。また、上述した0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす。この場合には、本発明者らは、混合流体MFによる酸化反応の効率EOが良好であることを確認した。上記の構成によれば、液だまり部21Bにおける混合流体MFによる酸化が不十分となることをより確実に防止することができる。
【0079】
幾つかの実施形態では、上述した噴射ノズル5(気液混合装置4)は、吸収塔2の液だまり部21Bの少なくとも一部を画定する側壁(第1側壁25など)に固定するための上述した吐出口側締結部63を備える。吐出口側締結部63は、吐出口51の中心軸CAに沿って延在する第1筒状部52の、第2筒状部54との接続部や合流部60よりも洗浄液の流れ方向における下流側の外周に設けられている。吐出口側締結部63は、第1筒状部52の上記外周から吐出口51の中心軸CAに直交する方向に沿って突出して設けられている。この場合には、噴射ノズル5(気液混合装置4)は、第1筒状部52の合流部60よりも洗浄液の流れ方向における下流側の外周から吐出口51の中心軸CAに直交する方向に沿って突出して設けられる吐出口側締結部63を備える。噴射ノズル5(気液混合装置4)は、吐出口側締結部63を上記側壁に固定することで、側壁に対する第1筒状部52の位置を固定することができる。
【0080】
幾つかの実施形態にかかる排ガス脱硫装置1は、上述した吸収塔2と、上述した気液混合装置4と、を備える。上記の構成によれば、吸収塔2は、内部に導入される排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成され、且つ、洗浄液を貯留するための液だまり部21Bを内部に画定している。気液混合装置4は、第1筒状部52の吐出口51から吸収塔2の液だまり部21Bに吐出される混合流体MFにより、吸収塔2の液だまり部21Bに貯留される洗浄液に対して十分な酸化反応を生じさせることができる。
【0081】
幾つかの実施形態では、上述した噴射ノズル5(気液混合装置4)は、上述した第1筒状部52と、上述した吐出口側締結部63と、を含む。そして、上述した吸収塔2は、上述した筒状突出部29と、上述した噴射ノズル用締結部30と、を含む。
【0082】
上記の構成によれば、吸収塔2の側壁(第1側壁25など)に形成された挿通孔252に第1筒状部52の吐出口51を含む先端を挿通した状態で、噴射ノズル5(気液混合装置4)の吐出口側締結部63が吸収塔2の噴射ノズル用締結部30に締結装置66A(第3締結装置)により固定される。ここで、第1筒状部52は、吐出口51の中心軸CAに沿って延在している。吸収塔2の筒状突出部29は、吐出口51の中心軸CAの水平面からの傾斜角度θと同じ角度だけ水平面から傾斜した方向に沿って延在している。つまり、吸収塔2の筒状突出部29は、第1筒状部52が設置された際の吐出口51の中心軸CAと同じ方向に沿って延在する。第1筒状部52は、第1筒状部52の延在する方向に直交する方向に沿って延在する吐出口側締結部63と、筒状突出部29の延在する方向に直交する方向に沿って延在する噴射ノズル用締結部30と、を締結装置66Aにより固定することで、吐出口51の中心軸CAの水平面からの傾斜角度θをそのまま設置角度とすることができる。よって、上記の構成によれば、第1筒状部52の設置角度の調整作業をなくし、第1筒状部52の取付け作業を容易にすることができる。
【0083】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0084】
例えば、上述した幾つかの実施形態では、排ガス排出部24は、第1方向において、吸収塔本体部22を挟んで排ガス導入部23とは反対側に設けられていたが、排ガス導入部23と同じ側に設けられていてもよい。また、排ガス排出部24は、上面視において第1方向に直交する第2方向において、吸収塔本体部22に隣接するように設けられていてもよい。
【解決手段】排ガスに洗浄液を気液接触させる吸収塔における洗浄液を貯留するための液だまり部に、酸素を含む気体および洗浄液を噴射するように構成される気液混合装置であって、第1流路を内部に画定し、洗浄液を第1流路に導入するための洗浄液導入口、洗浄液導入口から導入されて第1流路を流れる洗浄液の流れ方向に対して直交する方向に沿って気体を第1流路に導入するための気体導入口、および洗浄液と気体との混合流体を吐出する吐出口、が形成された第1筒状部と、洗浄液導入口から導入された洗浄液と気体導入口から導入された気体とが合流する合流部よりも洗浄液の流れ方向における上流側に設けられる絞り部と、を備え、吐出口の内径をD1、気体導入口の内径をD2とした際に、0.5<D2/D1<0.8の条件を満たす。