(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の物体および他方の物体間を係合させることで一方の物体を他方の物体に装着し、一方および他方の物体間の係合を解くことで一方の物体を他方の物体から離脱させて、一方の物体を他方の物体に着脱自在に装着させる着脱装置において、
一端が他方の物体の側に取り付けられるヒンジピンと、
前記ヒンジピンの他端側に巻回される弾性部材と、
前記ヒンジピンの他端側に巻回された前記弾性部材を収容すると共に前記ヒンジピンの他端側に回転自在に嵌入する、軸心方向と直交する方向に開口して形成された収容部、および、前記弾性部材の少なくとも一方の端部を前記収容部の側方の側端面から露出させると共に前記弾性部材が前記ヒンジピンの他端側に巻着する向きに前記端部を移動させる前記側端面に形成されたロック溝を有する、一方の物体の側に取り付けられるアダプタと、
前記ヒンジピンの他端側に前記収容部が嵌入した前記アダプタの外周を覆う被覆部、前記被覆部を前記アダプタの外周に沿って前記アダプタの軸心周りに回動させる際に前記ヒンジピンと交錯する前記被覆部の被覆部分が切り欠かれて形成される長穴、および、前記側端面に対向する前記被覆部の被覆内面に突出して形成され前記被覆部が回動することで前記ロック溝から露出する前記端部に係合して前記弾性部材を前記ヒンジピンの他端側に巻着させ前記アダプタの回転をロックする突出部を有する、軸心が前記アダプタの軸心と同心に設けられるカバーと、
前記弾性部材を前記ヒンジピンの他端側に巻着させる巻着位置に前記弾性部材の弾性力に抗して前記突出部を保持する保持機構と
を備えることを特徴とするロック機構を備えた着脱装置。
前記保持機構は、前記被覆部の内周に突出して形成された係合部と、前記被覆部が回動して前記係合部が描く軌跡上における前記アダプタの外周に窪んで形成された第1被係合部とから構成され、前記突出部が前記巻着位置に存在するときに前記係合部と前記第1被係合部とが係合して前記突出部を前記巻着位置に保持することを特徴とする請求項1に記載のロック機構を備えた着脱装置。
前記保持機構は、前記被覆部が回動して前記係合部が描く軌跡上における前記アダプタの外周に窪んで形成された第2被係合部を備え、前記弾性部材を前記ヒンジピンの他端側に巻着させない弛緩位置に前記突出部が存在するときに前記係合部と前記第2被係合部とが係合して前記突出部を前記弛緩位置に保持することを特徴とする請求項2に記載のロック機構を備えた着脱装置。
前記保持機構は、前記ヒンジピンの外周に形成された段差と、前記弾性部材を前記ヒンジピンの他端側に巻着させない弛緩位置に前記突出部を存在させる周位置において前記ヒンジピンの他端側を挿通させる前記長穴の第1径部分と、前記被覆部を軸心周りに回動させて前記突出部が前記巻着位置に位置すると前記段差に係合する前記第1径部分と連通する前記長穴の第2径部分と、前記第1径部分および前記第2径部分間に前記第1径部分および前記第2径部分の各直径よりも短い間隔で形成されて、前記第1径部分および前記第2径部分間における前記ヒンジピンの移動に抵抗を与える前記長穴の幅狭部分とにより、構成されることを特徴とする請求項1に記載のロック機構を備えた着脱装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された上記従来の着脱装置では、便座ジョイントに取り付けられるヒンジロッドは、固定アダプタの突起部を中心に回転してしまう。また、特許文献2に開示された上記従来の着脱装置では、便座に取り付けられるケーシングがヒンジピンを中心に回転してしまう。このため、上記従来の各着脱装置では、便座や便座カバーが便器に対して回動し、これに伴い、便座や便座カバーが斜めになったり、がたついたりして、所定の位置に定めることが出来なかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
一方の物体および他方の物体間を係合させることで一方の物体を他方の物体に装着し、一方および他方の物体間の係合を解くことで一方の物体を他方の物体から離脱させて、一方の物体を他方の物体に着脱自在に装着させる着脱装置において、
一端が他方の物体の側に取り付けられるヒンジピンと、
ヒンジピンの他端側に巻回される弾性部材と、
ヒンジピンの他端側に巻回された弾性部材を収容すると共にヒンジピンの他端側に回転自在に嵌入する、軸心方向と直交する方向に開口して形成された収容部、および、弾性部材の少なくとも一方の端部を収容部の側方の側端面から露出させると共に弾性部材がヒンジピンの他端側に巻着する向きに前記端部を移動させる前記側端面に形成されたロック溝を有する、一方の物体の側に取り付けられるアダプタと、
ヒンジピンの他端側に収容部が嵌入したアダプタの外周を覆う被覆部、被覆部をアダプタの外周に沿ってアダプタの軸心周りに回動させる際にヒンジピンと交錯する被覆部の被覆部分が切り欠かれて形成される長穴、および、前記側端面に対向する被覆部の被覆内面に突出して形成され被覆部が回動することでロック溝から露出する前記端部に係合して弾性部材をヒンジピンの他端側に巻着させアダプタの回転をロックする突出部を有する、軸心がアダプタの軸心と同心に設けられるカバーと、
弾性部材をヒンジピンの他端側に巻着させる巻着位置に弾性部材の弾性力に抗して突出部を保持する保持機構と
を備えることを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、ヒンジピンの一端を他方の物体の側、アダプタを一方の物体の側に取り付け、アダプタの収容部をヒンジピンの他端側に嵌入し、収容部内でヒンジピンの他端側に弾性部材が巻回した状態にすることで、一方の物体を他方の物体に装着することが出来る。この状態で、カバーの被覆部をアダプタの外周に沿ってアダプタの軸心周りに回動させることで、被覆部の被覆内面に突出して形成された突出部は、アダプタの側端面に形成されたロック溝から露出する弾性部材の端部に係合して、端部を周方向に押す。弾性部材は、この押す力によってヒンジピンの他端側に巻着する。突出部が巻着位置に存在するこの状態は、保持機構によって弾性部材の弾性力に抗して保持される。弾性部材がヒンジピンの他端側に巻着した状態に保持されると、アダプタの収容部に収容された弾性部材がヒンジピンの他端側に絡み付き、アダプタのヒンジピンに対する回転は阻止されてロックされる。このため、アダプタに取り付けられる一方の物体は、ヒンジピンに取り付けられる他方の物体に対して、従来のように回動しなくなる。この結果、一方の物体を他方の物体に容易に取り付けおよび取り外し出来ると共に、一方の物体が他方の物体に対して斜めになったり、がたついたりすることなく、一方の物体を所定の位置に定めることが可能になる。
【0009】
また、本発明は、保持機構が、被覆部の内周に突出して形成された係合部と、被覆部が回動して係合部が描く軌跡上におけるアダプタの外周に窪んで形成された第1被係合部とから構成され、突出部が巻着位置に存在するときに係合部と第1被係合部とが係合して突出部を巻着位置に保持することを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、カバーの被覆部がアダプタの外周に沿ってアダプタの軸心周りに回動し、被覆部の内周に形成された係合部とアダプタの外周に形成された第1被係合部とが係合することで、突出部が巻着位置に保持される。したがって、弾性部材が突出部によってヒンジピンの他端側に巻着した状態に保持されて、アダプタの回転ロック状態が保たれる。
【0011】
また、本発明は、被覆部が回動して係合部が描く軌跡上におけるアダプタの外周に窪んで形成された第2被係合部を上記の保持機構が備え、弾性部材をヒンジピンの他端側に巻着させない弛緩位置に突出部が存在するときに係合部と第2被係合部とが係合して突出部を弛緩位置に保持することを特徴とする。
【0012】
本構成によれば、カバーの被覆部がアダプタの外周に沿ってアダプタの軸心周りに回動し、被覆部の内周に形成された係合部とアダプタの外周に形成された第2被係合部とが係合することで、突出部は弛緩位置に保持される。したがって、弾性部材が突出部によってヒンジピンの他端側に巻着しない状態に保持されて、弾性部材のヒンジピンに対する絡み付きがほどけた状態になる。このため、アダプタをヒンジピンの軸心方向に移動させることで、アダプタの収容部からヒンジピンの他端側が抜け、アダプタとヒンジピンとの係合を解くことが出来る。また、被覆部をアダプタの外周に沿ってアダプタの軸心周りに回動させ、被覆部の内周に形成された係合部をアダプタの外周に形成された第1被係合部と第2被係合部との間で移動させることで、簡単に、ヒンジピンに対するアダプタの回転をロック状態およびアンロック状態にすることが出来る。
【0013】
また、本発明は、保持機構が、
前記側端面に対向する被覆部の被覆内面から軸心方向に所定長離れた被覆部の内周に突出して形成された突起と、
弾性部材をヒンジピンの他端側に巻着させない弛緩位置に突出部を存在させる周位置においてアダプタの一端面からアダプタの外周を軸心方向に所定長沿い、続いて突出部が巻着位置に位置するまでアダプタの周方向に沿い、続いて軸心方向に沿ってアダプタの外周に形成された、突起を案内するスライド溝と、
から構成されることを特徴とする。
【0014】
本構成によれば、被覆部の内周に形成された突起と、軸心方向にアダプタの外周に所定長形成されたスライド溝との軸心周りにおける周位置を合わせ、カバーを軸心方向にアダプタの外周に沿って移動させることで、軸心方向に所定長形成されたスライド溝に沿って突起が所定長移動し、カバーのアダプタへの装着が案内される。続いて、アダプタを覆ったカバーを軸心周りにアダプタの外周に沿って回動させることで、周方向に形成されたスライド溝に沿って突起が移動する。カバーは、周方向に続いて軸心方向に形成されたスライド溝に突起が達するまで回動し、突出部が巻着位置に案内される。突出部が巻着位置に位置すると、弾性部材の端部が突出部に押されて弾性部材がヒンジピンの他端側に巻着する。この状態では、収容部に収容された弾性部材はヒンジピンの他端側に絡み付く。続いて、カバーを軸心方向にアダプタの外周に沿って移動させることで、突出部が巻着位置に位置した状態で、周方向に続いて軸心方向に形成されたスライド溝に沿って突起が移動し、カバーのアダプタに対する相対位置が軸心方向にずれる。このずれによって突起が周方向に続いて軸心方向に形成されたスライド溝に滞在することで、カバーの周方向への回動が規制され、弾性部材がヒンジピンの他端側に絡み付いた状態に保持されて、アダプタの回転ロック状態が保たれる。このロック状態は、突起の軌跡をたどって突起をスライド溝に沿って動かさなければ解けないので、意図した操作をカバーに対して行わないと、解除することは出来ない。
【0015】
また、本発明は、保持機構が、ヒンジピンの外周に形成された段差と、弾性部材をヒンジピンの他端側に巻着させない弛緩位置に突出部を存在させる周位置においてヒンジピンの他端側を挿通させる長穴の第1径部分と、被覆部を軸心周りに回動させて突出部が巻着位置に位置すると段差に係合する第1径部分と連通する長穴の第2径部分と、第1径部分および第2径部分間に第1径部分および第2径部分の各直径よりも短い間隔で形成されて、第1径部分および第2径部分間におけるヒンジピンの移動に抵抗を与える長穴の幅狭部分とにより、構成されることを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、ヒンジピンの他端側を長穴の第1径部分に挿通させ、幅狭部分による抵抗に抗して被覆部を軸心周りに回動させて突出部を巻着位置に位置させると、長穴の第2径部分がヒンジピンの外周に形成された段差に係合する。この状態では、弾性部材が突出部によってヒンジピンの他端側に巻着した状態にされて、収容部に収容された弾性部材がヒンジピンの他端側に絡み付く。また、第1径部分および第2径部分間の長穴には、ヒンジピンの移動に抵抗を与える幅狭部分が形成されているので、弾性部材がヒンジピンの他端側に絡み付いた状態に保持されて、アダプタの回転ロック状態が保たれる。このロック状態は、幅狭部分による抵抗に抗して被覆部を回動させて、第2径部分と段差との係合を解かなければならないので、意図した操作をカバーに対して行わないと、解除することは出来ない。
【0017】
また、本発明は、アダプタにおいて、ロック溝の周囲を囲む周壁が前記側端面に突出して形成され、カバーにおいて、周壁の内周に外周が摺接して突出する被覆部の被覆内面隆起部分に突出部が形成されることを特徴とする。
【0018】
本構成によれば、突出部が形成された被覆部の被覆内面隆起部分の外周が、アダプタの側端面に突出して形成された周壁の内周に摺接することで、被覆部のアダプタに対する回動が案内される。したがって、被覆部を回動して行われるアダプタの回転ロック操作およびアンロック操作は、アダプタの側端面に形成された周壁に被覆内面隆起部分が案内されて、円滑に行われる。
【0019】
また、本発明は、ロック機構を備えた上記のいずれかの着脱装置と、
アダプタに取り付けられる、または、アダプタと一体に成形されるダンパケース、および、ダンパケースに収容されてダンパケースから突出する軸端が一方の物体に連結される回転軸を有し、一方の物体の回動に抵抗を与えるロータリーダンパと
を備えて、ヒンジ装置を構成した。
【0020】
本構成によれば、他方の物体に着脱させる一方の物体を所定の位置に定めることが可能な着脱装置を用いて、一方の物体を他方の物体に開閉自在に支持するヒンジ装置を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一方の物体を他方の物体に容易に着脱できると共に、一方の物体が他方の物体に対して斜めになったり、がたついたりせず、一方の物体を所定の位置に定めることが可能なロック機構を備えた着脱装置、およびそれを用いたヒンジ装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明によるロック機構を備えた着脱装置、およびそれを用いたヒンジ装置を洋式トイレに適用した、本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態によるヒンジ装置1の分解斜視図である。
【0025】
ヒンジ装置1は、着脱装置2とロータリーダンパ3とから構成され、同様な構成をした不図示のヒンジ装置1’と一対で、便座・便蓋ユニットおよび便器間に取り付けられる。ヒンジ装置1,1’は、一方の物体である便座・便蓋ユニットを他方の物体である便器に対して、開閉自在に支持する。ロータリーダンパ3は、ダンパケース3aに回転軸3bおよび粘性流体を収容して構成され、粘性流体によって回転軸3bの回転に抵抗を付与する。本実施形態では、回転軸3bの回転角度に制限のある有限角のロータリーダンパ3が使用されている。一対のうちの一方のヒンジ装置1を構成するロータリーダンパ3の回転軸3bは、ダンパケース3aから突出する軸端が便座・便蓋ユニットを構成する便蓋に連結され、便蓋の開閉時の回動に抵抗を与える。また、一対のうちの他方のヒンジ装置1’を構成するロータリーダンパ3の回転軸3bは、ダンパケース3aから突出する軸端が便座・便蓋ユニットを構成する便座に連結され、便座の開閉時の回動に抵抗を与える。
【0026】
着脱装置2は、ヒンジピン4、アダプタ5、弾性部材6およびカバー7から構成される。ヒンジピン4は下方の一端が便器の側に取り付けられる。アダプタ5は、弾性部材6を収容してカバー7で覆われ、ロータリーダンパ3を介して、便座・便蓋ユニットの側に取り付けられる。着脱装置2は、便座・便蓋ユニット側にあるアダプタ5と便器側にあるヒンジピン4との間を後述するように係合させることで、便座・便蓋ユニットを便器に装着する。また、アダプタ5およびヒンジピン4間の係合を後述するように解くことで、便座・便蓋ユニットを便器から離脱させる。着脱装置2は、このように便座・便蓋ユニットを便器に着脱自在に装着させる。
【0027】
ヒンジピン4は、一端側に外径部4a、他端側にロックピン部4bが同軸に異なる直径で形成された軸状部材である。便器の側には、ロックピン部4bよりも一回り直径が大きい外径部4aが固定される。直径の小さなロックピン部4bには弾性部材6が巻回される。弾性部材6は、内径がロックピン部4bの外径を収容する寸法のねじりコイルバネから構成される。弾性部材6の両端は、その巻き中心方向に垂直な径方向に平行に引き出されて、係止部6a,6bを構成する。
【0028】
図2(a)は、アダプタ5およびカバー7を破断した着脱装置2の一部破断断面図、
図2(b)は着脱装置2の後方斜視図である。なお、同図において
図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0029】
着脱装置2は、弾性部材6が巻回されたヒンジピン4の他端側がアダプタ5に収容され、アダプタ5がカバー7に覆われて構成される。ロータリーダンパ3は、アダプタ5の前方の側端部に形成された接続部5aがダンパケース3aの後方の側端部に挿入されて、アダプタ5に固定される。なお、本実施形態では、ロータリーダンパ3は、ダンパケース3aがアダプタ5に取り付けられる構成をしている場合について説明しているが、アダプタ5と一体にダンパケース3aが成形されるように構成してもよい。この場合、ロータリーダンパ3とアダプタ5とは1部品として構成される。
【0030】
図3(a)はアダプタ5の下方斜視図、
図3(b)は、カバー7の後端部をIIIb−IIIb線(
図2(a)参照)で破断してアダプタ5の後端部を露出させた着脱装置2の側面図である。なお、同図において
図1および
図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。また、
図3(b)において後述するカバー7の隆起部分7dの図示は省略している。
【0031】
アダプタ5は、
図3(a)に示すように円筒状をしており、その軸心方向と直交する方向に円筒状に開口して収容部5bが形成されている。収容部5bの内径は、ヒンジピン4の外径部4aを収容する直径に設定されている。収容部5bは、ヒンジピン4他端側のロックピン部4bに巻回された弾性部材6を収容すると共に、ヒンジピン4の外径部4aに軸支されて、ヒンジピン4の他端側に回転自在に嵌入する。
【0032】
アダプタ5の接続部5aと反対側の後方の側端面には、ロック溝5cが形成されている。ロック溝5cは、弾性部材6の両端の係止部6a,6bを収容部5bの側方の側端面から露出させるスリット溝5c1と、係止部6a,6bの移動を案内する一対のガイド溝5c2とから形成される。スリット溝5c1は、収容部5bに連通して、かつ、収容部5bに弾性部材6を収容する際に係止部6a,6bの通り道となるように、直方体状に開口して、形成されている。また、ガイド溝5c2は、弾性部材6がヒンジピン4のロックピン部4bに巻着する向きに係止部6a,6bを移動させるように、スリット溝5c1の形成方向に垂直な方向において互いに逆の向きに開口して、形成されている。各ガイド溝5c2は、スリット溝5c1の形成方向において、弾性部材6の高さ寸法分離れた間隔をもって形成されている。このロック溝5cの周囲を囲むアダプタ5の側端面には、円環状をした周壁5dが突出して形成されている。
【0033】
図4(a)は、カバー7の前方部を一部破断してカバー7の内部底面側を示す一部破断斜視図、
図4(b)は、カバー7およびアダプタ5の後端部をIVb−IVb線(
図2(a)参照)で破断した状態の着脱装置2を斜め後方上方から見下ろした斜視図、
図5はカバー7だけの後端部を破断した状態の着脱装置2を後方下方から見上げた状態の斜視図である。なお、
図4および
図5において
図1〜
図3と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0034】
カバー7は、ヒンジピン4の他端側に収容部5bが嵌入したアダプタ5の外径部外周を覆う被覆部7aを有する。カバー7の軸心はアダプタ5の軸心と同心に設けられている。被覆部7aは、底を有する中空円筒状をしており、被覆部7aをアダプタ5の外周に沿ってアダプタ5の軸心周りに回動させる際にヒンジピン4と交錯する被覆部7aの被覆部分が切り欠かれて、長穴が着脱孔7bとして形成されている。着脱孔7bは、ヒンジピン4の他端側をアダプタ5の収容部5bに嵌入させる際に、ヒンジピン4を貫通させる役目を果たす。同時に、着脱孔7bは、後述するように、ヒンジピン4とアダプタ5とを弾性部材6を使って係合させる際に、ヒンジピン4に阻害されることなく被覆部7aを回動させる役目を果たす。被覆部7aの外周後端には、
図1および
図2に示すように、被覆部7aを回動させるための溝が操作部7cとして形成されている。操作部7cの溝には、ドライバー等の調整工具類が差し込まれる。
【0035】
アダプタ5の後方側端面に対向する被覆部7a内周底面の被覆内面には、
図2(a)および
図4(a)に示すように、円筒状に突出する隆起部分7dが形成されている。被覆部7aは、隆起部分7dが周壁5dに嵌合し、隆起部分7dの外周が周壁5dの内周に摺接することで、周壁5dに案内されて、アダプタ5の軸心を中心に回転する。また、アダプタ5の後方側端面に対向する隆起部分7dの突出端面には、扇状に突出する一対の突出部がロック制御部7e,7fとして形成されている。
【0036】
ロック制御部7e,7fは、被覆部7aが周壁5dに案内されて、カバー7の後方から見て反時計方向に回動することで、その端部側面がカム面7e1,7f1として、ロック溝5cから露出する係止部6a,6bに係合して、係止部6a,6bを反時計方向に押す。ロック制御部7e,7fのこの押す力により、弾性部材6はその巻き径を縮め、ヒンジピン4他端側のロックピン部4bに巻着して、アダプタ5のヒンジピン4を中心とする回転をロックする。一方、ロック制御部7e,7fは、被覆部7aが周壁5dに案内されて、カバー7の後方から見て時計方向に回動することで、
図4(b)に示すように、カム面7e1,7f1が係止部6a,6bから離れる向きに移動して、係止部6a,6bを反時計方向に押す力を緩める。ロック制御部7e,7fの係止部6a,6bを押す力が緩み、弾性部材6がその弾性力によって巻き径を拡大すると、弾性部材6のロックピン部4bに対する巻着が解け、アダプタ5の回転ロック状態が解除される。
【0037】
ロック制御部7e,7fの、弾性部材6をヒンジピン4の他端側に巻着させる巻着位置は、保持機構により、弾性部材6のその径を増そうとする弾性力に抗して、保持される。本実施形態では、この保持機構は、被覆部7aの内周に突出して形成された係合部7g(
図4(a)参照)と、被覆部7aが回動して係合部7gが描く軌跡上におけるアダプタ5の外周に窪んでされた第1被係合部5e(
図5参照)とから構成される。この保持機構は、ロック制御部7e,7fが巻着位置に存在するときに係合部7gと第1被係合部5eとが係合して、ロック制御部7e,7fを巻着位置に保持する。
【0038】
本実施形態では、保持機構は、被覆部7aが回動して係合部7gが描く軌跡上におけるアダプタ5の外周に窪んで形成された第2被係合部5fを備え、弾性部材6をヒンジピン4の他端側に巻着させない弛緩位置にロック制御部7e,7fが存在するときに、係合部7gと第2被係合部5fとが
図5に示すように係合して、ロック制御部7e,7fを弛緩位置に保持する。第1被係合部5eと第2被係合部5fとの間のアダプタ5の外周は、
図3(a)に示すように、第1被係合部5eおよび第2被係合部5fの窪みの深さより浅く削られており、係合部7gが辿るガイド溝5gを形成している。
【0039】
便蓋に連結されるヒンジ装置1と、便座に連結されるヒンジ装置1’とは、ロータリーダンパ3の回転軸3bの軸端を、互いに反対の便座・便蓋ユニットの外側に向けて、便座・便蓋ユニットおよび便器間に左右に並んで取り付けられる。このため、ヒンジ装置1とヒンジ装置1’とは、カバー7に形成される着脱孔7bの形状と、弾性部材6を構成する線材の巻き方向とが異なる。カバー7に形成される着脱孔7bの形状が左右のヒンジ装置1,1’で異なるのは、弾性部材6がヒンジピン4に巻着する被覆部7aの巻着位置で、着脱孔7bの開口部を便器の前方に露出させないようにして、便器の使用者から着脱孔7bの開口部を見えなくするためである。このため、ヒンジ装置1では、被覆部7aを反時計方向に回動させると、弾性部材6がヒンジピン4に巻着して着脱孔7bの開口部が便器の後方を向く。また、ヒンジ装置1’では、被覆部7aを時計方向に回動させると、弾性部材6がヒンジピン4に巻着して着脱孔7bの開口部が便器の後方を向く。このためには、弾性部材6の線材の巻き方向は、ヒンジ装置1とヒンジ装置1’とで異ならせる必要がある。また、ロック溝5cを構成するガイド溝5c2は、ヒンジ装置1’では、スリット溝5c1に対して
図3(b)に示す向きと逆の向きに形成され、弾性部材6の係止部6a,6bを逆の向きに案内する。このため、上下のガイド溝5c2は、スリット溝5c1に対して
図3(b)に示すように上下で異なる向きに形成するのではなく、上下で両向きに同じように形成すると、ヒンジ装置1とヒンジ装置1’とで同じアダプタ5を用いて部品を共通化することが出来る。
【0040】
着脱装置2の組み立てに際しては、まず、係止部6a,6bの突出方向をスリット溝5c1の開口方向に合わせて、弾性部材6をアダプタ5の収容部5bに組み込む。次に、収容部5bに弾性部材6が組み込まれた状態のアダプタ5にカバー7を被せる。この際、アダプタ5の収容部5bをカバー7の着脱孔7bに露出させる。次に、着脱孔7bから露出する収容部5bをヒンジピン4の他端側に嵌入し、弾性部材6の内径部にロックピン部4bの外径部を挿入することで、着脱装置2は組み上がる。この着脱装置2は、アダプタ5に接続されるロータリーダンパ3を介して便座・便蓋ユニットに連結されて、ヒンジ装置1,1’を構成する。
【0041】
このような本実施形態による着脱装置2によれば、ヒンジピン4の一端を便器の側、アダプタ5を便座・便蓋ユニットの側に取り付け、上記のようにアダプタ5の収容部5bをヒンジピン4の他端側に嵌入し、収容部5b内でヒンジピン4の他端側に弾性部材6が巻回した状態にすることで、便座・便蓋ユニットを便器に装着することが出来る。この状態で、操作部7cを操作して、カバー7の被覆部7aをアダプタ5の外周に沿ってアダプタ5の軸心周りに反時計方向に回動させることで、ロック制御部7e,7fは、アダプタ5の側端面に形成されたロック溝5cから露出する弾性部材6の係止部6a,6bにカム面7e1,7f1が係合して、係止部6a,6bを押す。弾性部材6は、この押す力によってヒンジピン4の他端側に巻着する。
【0042】
ロック制御部7e,7fが巻着位置に存在するこの状態は、保持機構によって、弾性部材6の弾性力に抗して保持される。本実施形態では、カバー7の被覆部7aがアダプタ5の外周に沿ってアダプタ5の軸心周りに回動し、被覆部7aの内周に形成された係合部7gがガイド溝5gに案内されてアダプタ5の外周に形成された第1被係合部5eに達し、係合部7gと第1被係合部5eとが係合することで、ロック制御部7e,7fが巻着位置に保持される。
【0043】
弾性部材6がヒンジピン4の他端側に巻着した状態に保持されると、アダプタ5の収容部5aに収容された弾性部材6がヒンジピン4他端側のロックピン部4bに絡み付き、アダプタ5のヒンジピン4に対する回転は阻止されてロックされる。このため、アダプタ5が取り付けられる便座・便蓋ユニットは、ヒンジピン4が取り付けられる便器に対して、従来のように回動しなくなる。この結果、便座・便蓋ユニットを便器に容易に取り付けおよび取り外し出来ると共に、従来のように、便座・便蓋ユニットが便器に対して斜めになったり、がたついたりすることなく、便座・便蓋ユニットを所定の位置に定めることが可能になる。
【0044】
また、本実施形態による着脱装置2によれば、操作部7cを操作して、カバー7の被覆部7aがアダプタ5の外周に沿ってアダプタ5の軸心周りに時計方向に回動し、被覆部7aの内周に形成された係合部7gがガイド溝5gに案内されてアダプタ5の外周に形成された第2被係合部5fに達し、係合部7gと第2被係合部5fとが係合することで、ロック制御部7e,7fは弛緩位置に保持される。したがって、弾性部材6がロック制御部7e,7fによってヒンジピン4の他端側に巻着しない状態に保持されて、弾性部材6のヒンジピン4に対する絡み付きがほどけた状態になる。このため、便座・便蓋ユニットを便器から持ち上げ、アダプタ5をヒンジピン4の軸心方向に移動させることで、アダプタ5の収容部5bからヒンジピン4の他端側が抜け、アダプタ5とヒンジピン4との係合を解くことが出来る。
【0045】
また、操作部7cを操作して、被覆部7aをアダプタ5の外周に沿ってアダプタ5の軸心周りに回動させ、被覆部7aの内周に形成された係合部7gをアダプタ5の外周に形成された第1被係合部5eと第2被係合部5fとの間で移動させることで、簡単に、ヒンジピン4に対するアダプタ5の回転をロック状態およびアンロック状態にすることが出来る。
【0046】
また、本実施形態では、被覆部7aのアダプタ5に対する回動は、カバー7の隆起部分7dの外周が、アダプタ5の側端面に突出して形成された周壁5dの内周に摺接することで、案内される。したがって、被覆部7aつまりカバー7を回動して行われるアダプタ5の回転ロック操作およびアンロック操作は、周壁5dに隆起部分7dが案内されて、円滑に行われる。
【0047】
また、本実施形態のヒンジ装置1は、ロック機構を備えた上記の着脱装置2と、便座・便蓋ユニットの回動に抵抗を与えるロータリーダンパ3とを備えて構成される。本構成によれば、便器に着脱させる便座・便蓋ユニットを所定の位置に定めることが可能な着脱装置2を用いて、便座・便蓋ユニットを便器に開閉自在に支持するヒンジ装置1を提供することが出来る。
【0048】
なお、保持機構は、被覆部7aの内周に突出して形成された
図4(a)に示す突起7gと、この突起7gを案内するアダプタ5の外周に形成された
図6に示すスライド溝5hとから構成するようにしてもよい。
図6において
図3(a)と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。突起7gは、
図4(a)に示すように、アダプタ5の後方側端面に対向する被覆部7aの被覆内面から軸心方向に所定長離れて形成されている。スライド溝5hは、弾性部材6をヒンジピン4の他端側に巻着させない弛緩位置にロック制御部7e,7fを存在させる周位置において、アダプタ5の一端面からアダプタ5の外周を軸心方向に所定長沿う第1溝部5h1と、この第1溝部5h1に続いて、ロック制御部7e,7fが巻着位置に位置するまでアダプタ5の周方向に沿う第2溝部5h2と、この第2溝部5h2に続いて軸心方向に沿ってアダプタ5の外周に形成された第3溝部5h3とから、形成される。
【0049】
本構成によれば、被覆部7aの内周に形成された突起7gと、アダプタ5の外周に軸心方向に形成された第1溝部5h1との軸心周りにおける周位置を合わせ、カバー7を軸心方向にアダプタ5の外周に沿ってアダプタ5を覆う向きに移動させることで、第1溝部5h1に沿って突起7gが所定長移動し、カバー7のアダプタ5への装着が案内される。続いて、アダプタ5を覆ったカバー7を軸心周りにアダプタ5の外周に沿って回動させることで、周方向に形成された第2溝部5h2に沿って突起7gが移動する。カバー7は、周方向に続いて軸心方向に形成された第3溝部5h3に突起7gが達するまで回動し、ロック制御部7e,7fが巻着位置に案内される。ロック制御部7e,7fが巻着位置に位置すると、弾性部材6の係止部6a,6bがロック制御部7e,7fのカム面7e1,7f1に押されて、弾性部材6がヒンジピン4のロックピン部4bに巻着する。この状態では、収容部5bに収容された弾性部材6はヒンジピン4のロックピン部4bに絡み付く。続いて、カバー7を軸心方向にアダプタ5の外周に沿ってアダプタ5から抜く向きに移動させることで、ロック制御部7e,7fが巻着位置に位置した状態で、周方向に続いて軸心方向に形成された第3溝部5h3に沿って突起7gが移動し、カバー7のアダプタ5に対する相対位置が軸心方向にずれる。このずれによって突起7gが第3溝部5h3に滞在することで、カバー7の周方向への回動が規制され、弾性部材6がヒンジピン4のロックピン部4bに絡み付いた状態に保持されて、アダプタ5の回転ロック状態が保たれる。このロック状態は、突起7gの軌跡をたどって突起7gをスライド溝5hに沿って動かさなければ解けないので、意図した操作をカバー7に対して行わないと、解除することは出来ない。
【0050】
また、保持機構は、
図7(b)に示す、ヒンジピン4の外周に形成された段差4cと、カバー7の底部に着脱孔7bに代えて形成される
図7(a)に示す着脱孔7hとで、構成するようにしてもよい。着脱孔7hは、外径部4aを挿通させる直径を有する第1径部分7h1、ヒンジピン4の段差4cの形成部分に嵌合する直径を有する第2径部分7h2、および、第1径部分7h1および第2径部分7h2の各直径よりも短い間隔で形成される幅狭部分7h3により、形成される。第1径部分7h1は、弾性部材6をヒンジピン4の他端側に巻着させない弛緩位置にロック制御部7e,7fを存在させるカバー7の周位置において、ヒンジピン4の他端側を挿通させる。第2径部分7h2は、第1径部分7h1と連通して形成され、被覆部7aを軸心周りに回動させてロック制御部7e,7fが巻着位置に位置すると、段差4cに係合する。幅狭部分7h3は、第1径部分7h1および第2径部分7h2間におけるヒンジピン4の移動に抵抗を与える。
【0051】
本構成によれば、ヒンジピン4の他端側を第1径部分7h1に挿通させ、幅狭部分7h3による抵抗に抗して被覆部7aを軸心周りに回動させて、ロック制御部7e,7fを巻着位置に位置させると、第2径部分7h2がヒンジピン4の外周に形成された段差4cに係合する。この状態では、弾性部材6がロック制御部7e,7fによってヒンジピン4のロックピン部4bに巻着した状態にされて、収容部5bに収容された弾性部材6がヒンジピン4のロックピン部4bに絡み付く。また、第1径部分7h1および第2径部分7h2間の着脱孔7hには、ヒンジピン4の移動に抵抗を与える幅狭部分7h3が形成されているので、弾性部材6がヒンジピン4のロックピン部4bに絡み付いた状態に保持されて、アダプタ5の回転ロック状態が保たれる。このロック状態は、幅狭部分7h3による抵抗に抗して被覆部7aを回動させて、第2径部分7h2と段差4cとの係合を解かなければならないので、意図した操作をカバー7に対して行わないと、解除することは出来ない。
【0052】
上記の保持機構では、第1径部分7h1の片側に幅狭部分7h3を介して第2径部分7h2が形成されているが、第1径部分7h1の反対側にも対称に、幅狭部分7h3を介して第2径部分7h2が形成されるように構成してもよい。この場合、被覆部7aを軸心周りに反対側に回動させて、反対側に形成された第2径部分7h2および幅狭部分7h3により、巻き方向の異なる弾性部材6をロックピン部4bに巻着させ、その巻着した状態を保持することが出来る。このため、この構成によれば、ヒンジ装置1とヒンジ装置1’とで同じカバー7を用いて部品を共通化することが出来る。
【0053】
また、上記の実施形態および各変形例においては、弾性部材6の両端に設けた係止部6a,6bをアダプタ5の後方側端面に露出させ、一対のロック制御部7e,7fにより両係止部6a,6bに力を加えて、弾性部材6をロックピン部4bに巻着させる場合について、説明した。しかし、弾性部材6の一端部だけをアダプタ5の後方側端面に露出させ、1つのロック制御部によりこの一端部に力を加えて、弾性部材6をロックピン部4bに巻着させるように構成してもよい。この構成においても、上記の実施形態と同様な作用効果が奏される。