(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記計算距離間隔データ、前記詳細化粒度データおよび前記時隔値変化量閾値データを含む時隔値の計算条件を設定するための画面を提示して前記計算条件を入力する入力手段を具備する請求項1に記載の無閉塞時隔計算システム。
前記時隔値算出手段により算出された時隔値から得られる、第1軸を距離、前記第1軸に直交する第2軸を時間として表される前記走行区間の時隔値分布曲線を配置した画面を提示する出力手段を具備する請求項1に記載の無閉塞時隔計算システム。
前記出力手段は、前記時隔値算出手段により前記走行区間内において異なる間隔で算出され得る時隔値の一覧を、前記時隔値分布曲線とともに前記画面上に配置する請求項3に記載の無閉塞時隔計算システム。
前記出力手段は、前記第1軸を距離、前記第2軸を速度として表される前記走行区間の運転曲線を、前記時隔値分布曲線および前記時隔値の一覧とともに前記画面上に配置する請求項4に記載の無閉塞時隔計算システム。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態の無閉塞時隔計算システムの構成の一例を示す図。
【
図2】実施形態の無閉塞時隔計算システムを複数のコンピュータで構築する場合の一例を示す図。
【
図4】無閉塞信号システムにおける時隔値算出の考え方を説明するための図。
【
図5】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける無閉塞時隔計算で使用される変数の一覧を示す図。
【
図6】実施形態の無閉塞時隔計算システムが提示する計算条件を設定可能な計算指示画面の一例を示す図。
【
図7】実施形態の無閉塞時隔計算システムが、ルート、停車・通過により時隔値の計算開始位置を決定する規則を示す図。
【
図8】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが同一ルートを走行している場合であって、続行列車が停車から出発の場合の計算開始位置を示す図。
【
図9】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが同一ルートを走行している場合であって、先行列車が通過の場合の計算開始位置を示す図。
【
図10】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合の計算開始位置を示す図。
【
図11】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける時隔パターンが「発着」の場合の計算開始位置を示す図。
【
図12】実施形態の無閉塞時隔計算システムが、ルート、停車・通過により時隔値の計算終了位置を決定する規則を示す図。
【
図13】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが同一ルートを走行している場合であって、先行列車が停車の場合の計算終了位置を示す図。
【
図14】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが同一ルートを走行している場合であって、先行列車が通過の場合の計算終了位置を示す図。
【
図15】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合であって、列車長+余裕距離(先行列車後方)が停止位置を越えることがない場合の計算終了位置を示す図。
【
図16】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合であって、列車長+余裕距離(先行列車後方)が駅のキロ程を越えることがない場合の計算終了位置を示す図。
【
図17】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合であって、列車長+余裕距離(先行列車後方)が停止位置を越えるため、停止位置を計算終了位置とする場合を示す図。
【
図18】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合であって、列車長+余裕距離(先行列車後方)が駅のキロ程を越えるため、駅のキロ程を計算終了位置とする場合を示す図。
【
図19】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、時隔パターンが「発着」の場合の計算終了位置を示す図。
【
図20】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける無閉塞時隔計算での絶対キロ程と計算距離間隔とを示す図。
【
図21】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける先行列車とブレーキの起点との関係を示す図。
【
図22】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける続行列車の進入地点の求め方を説明するための図。
【
図23】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける続行列車の進入地点の求め方の特例の1つめを示す図。
【
図24】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、同ルートで続行列車が停車の場合の計算開始地点を示す図。
【
図25】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける続行列車の進入地点の求め方の特例の2つめを示す図。
【
図26】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける続行列車の進入地点の求め方の特例の3つめを示す図。
【
図27】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおいて決定される、発着の場合の計算終了地点を示す図。
【
図28】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける逆引きブレーキの計算方法を示す図。
【
図29】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける分解能を上げるべき区間を示す第1の図。
【
図30】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける分解能を上げるべき区間を示す第2の図。
【
図31】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける分解能を上げるべき区間を示す第3の図。
【
図32】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける分解能を上げるべき区間を示す第4の図。
【
図33】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける計算距離間隔(計算粒度)での全数計算例を示す図。
【
図34】
図33に示される計算結果から抽出される分解能を上げるべき区間を示す図。
【
図35】
図34に示される分解能を上げるべき区間の時隔計算例を示す図。
【
図36】
図35に示される計算結果から抽出される分解能を上げるべき区間を示す図。
【
図37】
図36に示される分解能を上げるべき区間の時隔計算例を示す図。
【
図38】実施形態の無閉塞時隔計算システムにより計算されたすべての時隔値の例を示す図。
【
図39】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける続行列車の運転曲線、時隔分布曲線およびブレーキ距離曲線の画面表示例を示す図。
【
図40】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける時隔値一覧の画面表示例を示す図。
【
図41】実施形態の無閉塞時隔計算システムにおける時隔分布曲線、運転曲線および時隔値一覧の同時画面表示例を示す図。
【
図42A】実施形態の無閉塞時隔計算システムの無閉塞時隔計算に関する処理手順の一例を示す第1のフローチャート。
【
図42B】実施形態の無閉塞時隔計算システムの無閉塞時隔計算に関する処理手順の一例を示す第2のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の無閉塞時隔計算システム100の構成の一例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、この無閉塞時隔計算システム100は、プロセッサ10、メモリ20、記憶装置30および表示装置40により構成される。また、この無閉塞時隔計算システム100は、メモリ20に格納されている無閉塞時隔計算プログラム21をプロセッサ10に実行させることにより、無閉塞時隔計算処理部11および時隔分布曲線表示処理部12の各機能部を実現する。なお、各機能部は、ソフトウェアによらず、例えば専用の電子回路などとして、ハードウェア的に実現してもよい。
【0017】
また、この無閉塞時隔計算システム100は、単独のコンピュータにより構築されるものであってもよいし、
図2に示すように、複数のコンピュータ(Webアプリケーションサーバ1、データベースサーバ2、Webクライアントブラウザ3)により構築されるものであってもよい。例えば、Webアプリケーションサーバ1が、インターネットN経由でWebクライアントブラウザ3からの要求を受け、データベースサーバ2(データベース2A)に格納されているデータおよびWebクライアントブラウザ3から受け取った変数などを用いて各種処理を実行し、その結果をWebクライアントブラウザ3に返却するようにしてもよい。つまり、
図1に示すプロセッサ10の役割をWebアプリケーションサーバ1が担い、
図1に示す記憶装置30の役割をデータベースサーバ2が担い、
図1に示す表示装置40の役割をWebクライアントブラウザ3が担うようにしてもよい。Webアプリケーションサーバ1は、複数のWebクライアントブラウザ3からの要求を受け付け、それらの要求に対する各種処理を並行して処理することが可能である。
【0018】
記憶装置30には、線区マスタ31、駅マスタ32、番線マスタ33、車両形式マスタ34が格納されている。また、記憶装置30には、例えば既知の運転曲線システムなどにより計算された運転曲線データ(距離−速度曲線データ、距離−時間曲線データ)35が格納されている。さらに、記憶装置30には、ブレーキ性能マスタ36と、計算用係数マスタ(運転理論による計算用の係数マスタ)37とが格納されている。
【0019】
無閉塞時隔計算処理部11は、記憶装置30に格納されている各種マスタおよびデータを使って、無閉塞信号システムに好適な時隔値の計算を実行する。無閉塞時隔計算処理部11により計算された時隔値データ(距離時隔値データ、距離−ブレーキ距離データ)38は、記憶装置30に保存される。
【0020】
時隔分布曲線表示処理部12は、記憶装置30内の時隔値データ38を読み取り、時隔分布曲線やブレーキ距離曲線などを表示装置40に表示する。
【0021】
ここで、本実施形態の無閉塞時隔計算システム100の理解を助けるために、無閉塞信号システムの場合における時隔値の評価に関する問題点について整理する。
【0022】
従来の信号システムは、閉塞という区間で区切られ、その区間内には列車は1つしか存在できない。そのため、駅間に存在できる列車数は閉塞数に依存してしまい、列車の運転間隔も閉塞の数に依存する。列車の運転間隔を詰めようとすると、閉塞の区割りを変更しないと実現できない。閉塞の数を増やせば、その分たくさんの列車を走らせられるが、信号機を多数設置することになるため、コストがかかる。また、その区間を走る最も長い列車の列車長より短い閉塞区間の距離にはできない。結果として、列車長よりも長い閉塞区間ができてしまう。つまり、運転間隔を詰めるには、コストによる限界と、物理的な限界との両方がある。
【0023】
一方、最近では、閉塞に頼らない無閉塞信号システムが登場している。自列車の車上の位置検出装置で得た位置情報と、地上の通信設備を介して得た他の列車の位置情報とを比較しながら自列車の制御ができるCBTC(Communications-Based Train Control)といわれる信号システムである。無閉塞信号システムでは、自列車と他列車との距離を絶えず計算で求めているため、運転間隔を極限まで詰めることができる。すべての駅間において、ある距離間隔で、しかも、先行、続行列車の列車長も意識しながら、すべての距離地点で時隔値を評価しようとすると、計算量が多くなるため、いままで行われてこなかったが、もし、この新しい信号システムを導入して、どこまで運転間隔を詰められるかを評価するならば、各駅間の全領域に渡って、時隔値を評価しなければならない。
【0024】
例えば、A駅からC駅に走行する列車を想定した場合、ある距離地点での時隔値を算出することを距離方向に連続的に行うことで、
図3に示すように、A駅からC駅までの時隔分布曲線を描き、どの距離地点付近の時隔値が大きく、先行、続行の2列車が接近できないか評価する必要がある。
【0025】
また、時隔分布曲線は、
図4に示すように、一定距離(計算粒度)を任意に設定し、その一定距離ごとに時隔計算を繰り返すことで得ることができ、その精度は、計算粒度に比例する。例えば、距離方向の計算の詳細度を1mとして先行列車と続行列車との時隔値を求めれば(1mぐらい詳細であれば)、ほぼ正確な時隔分布曲線を得ることができるというのが基本的な考え方である。
【0026】
しかしながら、分布曲線の精度を上げようとして、例えば1m間隔で計算しようとすると、1kmの区間であれば1,000回の計算が必要であり、計算量が多くなり、妥当な時間内に処理が終わらないという問題が発生する。これが、無閉塞信号システムの場合における時隔値の評価に関する問題点である。
【0027】
なお、時隔値は、わかりやすく考えるため、勾配など変動要素がないとすれば、先行列車と続行列車が同じ速度で走る限り、ほとんど変化しない。先行列車が減速する付近は速度差が生まれ、時隔値が大きくなる。勾配やカーブなど走行抵抗の変化によって速度やブレーキ距離が変動し、時隔値も変化するが、一般的な都市交通では、列車長程度の距離では極端に時隔値が変わることがない。山間部の登山鉄道などでは、極端な変化があると考えられるが、列車長程度の間隔で時隔値計算すれば、時隔値の変動をとらえられると考えられる。列車長は、時隔分布をみるための計算粒度として目安になる距離である。
【0028】
汎用的に時隔値を評価するためには、計算間隔を走行する路線に合わせて変えられるようにしないとうまくいかない。運転曲線は列車長を考慮して作成されているので、時隔値を計算する間隔も列車長に応じて変更できるようにすると、汎用的に時隔値を評価できるようになる。
【0029】
本実施形態の無閉塞時隔計算システム100は、列車の走行区間について連続的に時隔値計算を行い、時隔値の分布を得るシステムである。この機能を単純に一定間隔で計算するように実現すると、計算量が多く、処理時間がかかるシステムとなってしまうが、この無閉塞時隔計算システム100は、計算が不要な区間は省略し、少ない計算量で精度の高い時隔分布曲線を得ることのできる独自の時隔値の計算方法を適用する。以下、この時隔値の計算方法の詳細について説明する。
【0030】
この無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算(無閉塞信号システムでの時隔値の計算)では、既存の信号機の位置や閉塞の区切れ目は存在しないため、計算には使用しない。その代わりに、先行列車の位置(計算位置)を、計算範囲内において計算粒度間隔で定め、逆引きブレーキ(逆引きブレーキ曲線)計算、続行列車の進入地点の計算によって、時隔値の計算を行う。運転曲線データ(距離に対する速度=距離−速度曲線データ、距離に対する時間=距離−時間曲線データ)は、別システムの運転曲線算出システムによって求められているとする。
【0031】
図5に、この無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算で使用される設定値およびデータ(変数)の一覧を示す。
図5に示すように、この無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算では、「余裕距離(先行列車後方)」、「余裕距離(続行列車前方)」、「信号現示変化時間」、「運転士取扱時間」、「転てつ器転換時分」などの変数が使用される。これらの設定値およびデータは、あらかじめ準備され、記憶装置30に保存されているものとする。
【0032】
次に、この無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算の前提および計算条件の設定について説明する。
【0033】
この無閉塞時隔計算システム100では、無閉塞信号システムでの時隔分布曲線を求めるにあたり、例えば
図6に示すような計算条件を設定可能な計算指示画面を提示して、計算に必要な諸条件を入力し、無閉塞時隔計算を実行する。なお、ここでは、無閉塞時隔計算処理部11が、この計算指示画面を提示する機能を有しているものとする。
【0034】
例えば、計算する区間を選択するため、線区を選択し(a1)、上りか下りか進行方向を選択する(a2)。また、その区間内の計算したい時隔算出駅を選択し(a3)、着着(先行列車到着、続行列車到着を意味する。)や発発(先行列車出発、続行列車出発を意味する。)など、出発、到着、通過の組み合わせで表される時隔パターン(a4)を選択する。時隔算出駅と時隔パターンとを選択することで、時隔算出駅を中心として、前の駅との区間、後ろの駅と区間、または時隔算出駅を含む前後の駅の区間など、どの区間を算出するかが決定される。
【0035】
また、時隔値を算出したい駅での先行列車車両形式(a5)、先行列車番線(a6)、先行列車運転曲線(a7)、続行列車車両形式(a8)、続行列車番線(a9)、続行列車運転曲線(a10)と、計算で使用する続行列車のブレーキノッチ(a11)とを選択する。先行列車車両形式と続行列車車両形式とを選択することで、先行列車の列車長および続行列車の列車長も得られる。
【0036】
さらに、この無閉塞時隔計算システム100では、計算距離間隔(a12)、詳細化粒度(a13)および時隔値変化量閾値(a14)の設定を受け付ける。計算距離間隔は、時隔値を計算すべき地点間の間隔の基準値である。詳細化粒度は、間隔を細分化することのできる限界値である。時隔値変化量閾値は、隣接する2つの地点間での時隔値の変化量の閾値である。計算指示画面上で設定される設定値(変数)のうち、符号a15で示されるこれら3つの変数は、計算量を削減し、計算を高速化するために設定される本実施形態の無閉塞時隔計算システム100独自の変数である。なお、本実施形態の無閉塞時隔計算システム100独自の変数として、後述する分解能も存在しており、この分解能も、この計算指示画面上で設定できるようにしてもよい。ここでは、この分解能は、無閉塞時隔計算システム100において既定の固定値であることを想定する。
【0037】
無閉塞時隔計算システム100、より詳細には、無閉塞時隔計算処理部11は、時隔計算ボタンa16が操作されると、計算指示画面上で設定された各変数(ならびに記憶装置30に格納されている各種マスタおよびデータ)を用いて無閉塞時隔計算を実行する。
【0038】
無閉塞時隔計算処理部11は、まず、時隔計算を行う駅間のうち、先行列車と続行列車とが走行する区間内で、時隔値の計算開始位置と計算終了位置とを決定する。
【0039】
第1に、無閉塞時隔計算処理部11は、
図7に示すように、ルート、停車・通過により時隔値の計算開始位置を決定する。
図8乃至
図10を参照して、時隔値の計算開始位置を決定する規則について詳述する。
【0040】
図8は、先行列車と続行列車とが同一ルートを走行している場合であって、続行列車が停車から出発の場合の計算開始位置を示している。また、
図9は、先行列車と続行列車とが同一ルートを走行している場合であって、先行列車が通過の場合の計算開始位置を示している。一方、
図10は、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合の計算開始位置を示している。
【0041】
ところで、時隔パターンが「発着」の場合、従来の信号システムでは、1個の信号機のみについて時隔値を計算したが、無閉塞時隔計算では、信号機がないため、計算粒度ごとに条件が成立する間において計算を行う。そのため、複数個の計算結果が生じ得る。
【0042】
図11に、時隔パターンが「発着」の場合の計算開始位置を示す。なお、従来の信号システムの場合と同様、発着の場合は、同ルートの場合しか計算しない。時隔パターンが発着の場合における時隔値の計算開始位置は、先行列車の停止位置とする。
【0043】
第2に、無閉塞時隔計算処理部11は、
図12に示すように、ルート、停車・通過により時隔値の計算終了位置を決定する。
図13乃至
図19を参照して、時隔値の計算終了位置を決定する規則について詳述する。
【0044】
図13は、先行列車と続行列車とが同一ルートを走行している場合であって、先行列車が停車の場合の計算終了位置を示している。また、
図14は、先行列車と続行列車とが同一ルートを走行している場合であって、先行列車が通過の場合の計算終了位置を示している。
【0045】
一方、
図15は、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合であって、列車長+余裕距離(先行列車後方)が停止位置を越えることがない場合の計算終了位置を示している。また、
図16は、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合であって、列車長+余裕距離(先行列車後方)が駅のキロ程を越えることがない場合の計算終了位置を示している。また、
図17は、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合であって、列車長+余裕距離(先行列車後方)が停止位置を越えるため、停止位置を計算終了位置とする場合を示している。また、
図18は、先行列車と続行列車とが別のルートを走行している場合であって、列車長+余裕距離(先行列車後方)が駅のキロ程を越えるため、駅のキロ程を計算終了位置とする場合を示している。
【0046】
また、
図19に、時隔パターンが「発着」の場合の計算終了位置を示す。時隔パターンが発着の場合の計算終了位置は、先行列車の停止位置から、列車長+余裕距離(先行列車後方)の位置とする。
【0047】
以上のように、時隔値の計算開始位置と計算終了位置とを決定すると、続いて、無閉塞時隔計算処理部11は、計算距離間隔(計算粒度)での全数計算(計算距離間隔ごとに設定されるすべての計算地点での計算)を実行する。
【0048】
この無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算では、設定した計算距離間隔(計算粒度)に従い、その粒度で計算地点を設定し、すべての計算地点について時隔計算を行う。その後、詳細に計算すべき区間だけ、細分化することのできる限界の粒度まで段階的に細かく計算していく。
【0049】
例えば、無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算では、計算開始地点と計算終了地点とに計算地点を置き、かつ、その間については、
図20に示すように、絶対キロ程の0.000kmを基準として、計算粒度の整数倍の位置に計算地点を置くものとする。
【0050】
例えば、計算開始地点が11.475km、計算終了地点が12.105km、計算粒度が100mの場合、11.475km、11.500km、11.600km、11.700km、11.800km、11.900km、12.000km、12.100km、12.105kmの地点を計算地点とする。
【0051】
次に、逆引きブレーキ(逆引きブレーキ曲線)の計算について説明する。
【0052】
図21は、先行列車とブレーキの起点との関係を示す図である。
【0053】
無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算では、時隔計算をする場合、
図21に示すように、先行列車位置から先行列車の列車長と余裕距離(先行列車後方)の和だけ始発駅側の地点を逆引きブレーキの立ち上げ地点とする。立ち上げる速度は、ブレーキ起点速度とする。
【0054】
無閉塞時隔計算処理部11は、先行列車位置(計算開始地点)ごとに逆引きブレーキを作成し、
図22に示すように、続行列車の運転曲線との交点を求める。逆引きブレーキと続行列車の運転曲線の交点から余裕距離(続行列車前方)だけ始発駅側のキロ程の運転曲線上の点を進入地点とする。
【0055】
なお、
図23に示すように、逆引きブレーキと続行列車の運転曲線の交点から余裕距離(続行列車前方)だけ始発駅側のキロ程まで戻った位置が、続行列車の出発地点を越えてしまう場合、無閉塞時隔計算処理部11は、続行列車の出発地点を進入地点とする。その際、時隔計算の際の付加時分に、運転士取扱時分も付加する。
【0056】
また、
図24に示すように、計算開始地点において、先行列車と続行列車とが同ルートであって、続行列車が停車の場合、無閉塞時隔計算処理部11は、ブレーキ立ち上げ地点を続行列車の停止位置とする。この場合は、ブレーキは立ち上げない。また、続行列車側の余裕距離である余裕距離(続行列車前方)を考慮せず、続行列車の進入地点を、続行列車の停止位置とする(続行列車が停車しており、位置誤差を考慮する必要がないため、余裕距離(続行列車前方)を含めない。)。また、時隔計算の際の付加時分に、運転士取扱時分も付加する。
【0057】
また、
図25に示すように、逆引きブレーキ立ち上げ地点が続行列車の運転曲線の範囲内にあるが、その地点の運転曲線の速度がブレーキ起点速度よりも低い場合、運転曲線と逆引きブレーキの交点は存在しない。この場合、無閉塞時隔計算処理部11は、ブレーキ立ち上げ地点から余裕距離(続行列車前方)だけ始発駅側の運転曲線上の点を進入地点とする。
【0058】
また、
図26に示すように、余裕距離(続行列車前方)だけ始発駅側に戻った地点位置が、続行列車の出発地点を越えてしまう場合、無閉塞時隔計算処理部11は、続行列車の出発地点を進入地点とする。その際、時隔計算の際の付加時分に、運転士取扱時分も付加する。
【0059】
無閉塞時隔計算処理部11は、先行列車位置と続行列車の進入地点の位置から、先行列車の運転時間、続行列車の運転時間を求め、計算時隔を求める。計算時隔の求め方は、信号方式と同じである。
【0060】
また、
図27に示すように、発着の場合の計算終了地点では、続行列車の運転曲線が駅に停車する地点がブレーキ立ち上げ地点となる。この場合、ブレーキは立ち上げす、続行列車の停止位置を進入地点とする。
【0061】
図28は、逆引きブレーキ(逆引きブレーキ曲線)の計算方法を示す図である。
【0062】
この無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算では、逆引きブレーキを使用する。逆引きブレーキの計算は、進行方向と逆方向に向かって計算する。この計算処理は運転曲線のブレーキ計算処理と同一である。
【0063】
ブレーキの計算開始点(逆引きブレーキ立ち上げ地点であり、ブレーキ起点速度の高さの点)からマイナス方向に減速度αとΔt秒間に移動する距離Δdとを求め、続行列車運転曲線と交点を結ぶところまで繰り返し計算する。交点を結んだ時のΔtの繰り返した積算値が時隔値であり、また、Δdの繰り返した積算値がブレーキ距離である。
【0064】
次に、この無閉塞時隔計算システム100における無閉塞時隔計算の計算距離間隔(計算粒度)と詳細化計算とについて説明する。
【0065】
単純に計算距離間隔(粒度)を小さくしていくと、計算量が飛躍的に大きくなる。この無閉塞時隔計算システム100では、時隔分布に必要な部分だけ細かく計算し、それ以外の部分は計算しないようにする。見かけ上の計算粒度をあげても計算量が増えないような計算方法を以下に示す。
【0066】
線路設備の状態は、車両長程度の距離で急激に変わることはあり得ない。よって列車長程度の100mより小さい距離内では、時隔値は大きく変わることはない。よって一定間隔ごとに計算された時隔値の間にさらにピーク値があると考えられるときのみ、より詳細に計算すればよいと考える。
【0067】
時隔値の詳細化計算に必要な変数は、4つ存在する。
【0068】
(1)計算距離間隔:100m(例)。すべて計算する計算粒度である。
【0069】
(2)分解能:10分割(例)。計算粒度を1段階細かくするときの分解能とする。
【0070】
(3)詳細化粒度:1m(例)。分解能が10分割のとき、2回分解を行うということを意味する。
【0071】
(4)時隔値変化量閾値:5秒(例)。計算した時隔値の区間内での差がこの値より大きいときにさらに細かく計算する閾値とする。
【0072】
また、時隔計算は、以下の5段階の計算手順を踏む。
【0073】
(1)計算対象のすべての区間に対し、計算距離間隔(計算粒度)ごとに計算し、時隔値を算出する。
【0074】
(2)計算された時隔値の並びを見て、さらに分解能を上げるべき区間を見つけ出す。分解能を上げるための判定は2種類あり、上昇や下降から変化する区間、または大きく値が変化する区間を対象とする。
【0075】
(3)1つ細かい分解能で対象の区間だけをさらに細かく計算し、時隔値を算出する。
【0076】
(4)最大粒度まで計算が達したかどうか判断し、達すれば計算終了する。達してなければ(2)に戻り、分解能を上げた計算を繰り返す。
【0077】
(5)非線形の連続した時隔値データから時隔分布図を描画する。
【0078】
図29乃至
図32を参照して、分解能を上げるべき区間について説明する。
【0079】
無閉塞時隔計算処理部11は、第1に、
図29および
図30に示すように、計算された時隔値の並びが、同値を含んで上昇から下降または下降から上昇に転じる前後区間を、分解能を上げる区間とする。なお、同値を含む場合、
図31に示すように、前後変化がない同値が連続する区間内の分解能は上げないようにする。
【0080】
また、無閉塞時隔計算処理部11は、第2に、
図32に示すように、計算された時隔値の区間での差異が大きい場合、分解能を上げる区間とする。その閾値は別途定義し、それを超えた場合に分解能を上げる区間と判定する。
【0081】
無閉塞時隔計算処理部11は、これら分解能を上げるべき区間について、計算条件として設定された計算距離間隔(計算粒度)での全数計算の場合と同様に、(1つ細かい分解能の)新たな粒度で時隔値計算を実行する。無閉塞時隔計算処理部11は、分解能を上げるべき区間の計算が終わると、再び得られた時隔値の並びから、さらに分解能を上げるべき区間を抽出する。そして、無閉塞時隔計算処理部11は、その区間内を(さらに1つ細かい分解能の)新たな粒度で時隔値計算を実行する。無閉塞時隔計算処理部11は、この詳細化を、計算条件として設定された詳細化粒度に達するまで繰り返し、時隔値計算を再帰的に実行する。
【0082】
ここで、
図33乃至
図38を参照して、無閉塞時隔計算処理部11による時隔値計算の実例を説明する。
【0083】
いま、無閉塞時隔計算処理部11は、変数を以下として計算することを想定する。
【0088】
まず、無閉塞時隔計算処理部11は、粒度100m単位に時隔計算を行い、時隔値を列挙する。
図33に、計算距離間隔(計算粒度)での全数計算例を示す。
【0089】
次に、無閉塞時隔計算処理部11は、分解能を上げるべき区間を抽出する。
図34は、
図33に示される計算結果から抽出される分解能を上げるべき区間を示す図である。
図34に示すように、無閉塞時隔計算処理部11は、時隔値の並びが上昇から下降または下降から上昇に転じる前後区間として、5.3km〜5.5kmの区間と、5.8km〜6.1kmの区間とを抽出する。
【0090】
無閉塞時隔計算処理部11は、抽出した区間のみについて、分解能を上げ、粒度10m単位に時隔計算を行い、時隔値を列挙する。
図35に、分解能を上げるべき区間の時隔計算例を示す。(A)が、5.3km〜5.5kmの区間の時隔計算例、(B)が、5.8km〜6.1kmの区間の時隔計算例である。
【0091】
無閉塞時隔計算処理部11は、分解能を上げて時隔値を計算した区間内から、分解能をさらに上げるべき区間を抽出する。
図36は、
図35に示される計算結果から抽出される分解能を上げるべき区間を示す図である。
図36に示すように、無閉塞時隔計算処理部11は、時隔値の並びが上昇から下降または下降から上昇に転じる前後区間として、5.40km〜5.42kmの区間、5.87km〜5.89kmの区間、5.90km〜5.95kmの区間、および5.97km〜5.99kmの区間を抽出する。
【0092】
無閉塞時隔計算処理部11は、抽出した区間のみについて、分解能を上げ、粒度1m単位に時隔計算を行い、時隔値を列挙する。
図37に、分解能を上げるべき区間の時隔計算例を示す。(A)が、5.40km〜5.42kmの区間の時隔計算例、(B)が、5.87km〜5.89kmの区間の時隔計算例、(C)が、5.87km〜5.89kmの区間の時隔計算例、(D)が、5.97km〜5.99kmの区間の時隔計算例である。
【0093】
ここでは、詳細化粒度を1mと想定しているので、無閉塞時隔計算処理部11は、時隔計算を終了する。このように、無閉塞時隔計算処理部11は、前述のように決定した計算開始位置から計算終了位置までの区間について、まず、設定された計算距離間隔ごとに時隔値計算を行い、その時隔値計算の結果に基づき、分解能を上げるべき区間を抽出し、設定された分解能で計算粒度を1段階細かくする。そして、無閉塞時隔計算処理部11は、分解能を上げるべき区間の抽出および計算粒度の詳細化を、設定される詳細化粒度に達するまで繰り返す。
【0094】
図38に、無閉塞時隔計算処理部11により計算されたすべての時隔値の例を示す。
図38に示すように、無閉塞時隔計算処理部11により、計算粒度は異なるが非線形の連続する時隔値一覧が作成される。すなわち、無閉塞時隔計算処理部11は、結果として、距離の間隔が一定でない時隔値データ38を生成する。
【0095】
時隔分布曲線表示処理部12は、時隔計算の基になった距離−速度曲線である運転曲線のうちの続行列車の運転曲線(ランカーブ)と、無閉塞時隔計算処理部11により算出されて保存された時隔値およびブレーキ距離データとを記憶装置30から読み出し、時隔分布曲線(先行列車位置キロ程に対する時隔値)を、例えば、続行列車の運転曲線およびブレーキ距離曲線(先行列車位置キロ程に対するブレーキ距離)とともに表示装置40に表示する。
【0096】
図39に、続行列車の運転曲線、時隔分布曲線およびブレーキ距離曲線の画面表示例を示す。
図39中、符号b2で示される領域が、続行列車の運転曲線、時隔分布曲線およびブレーキ距離曲線の表示領域である。距離間隔は一定ではないが、時隔分布曲線表示処理部12は、距離に対応させて時隔値やブレーキ距離値を線で結ぶことにより、例えば横軸を距離、縦軸を時間として表される曲線を生成する。
【0097】
また、時隔分布曲線表示処理部12は、続行列車の運転曲線、時隔分布曲線およびブレーキ距離曲線とともに、先行列車尾端の時間曲線および続行列車頭端の時間曲線を画面上に表示してもよい。
図39中、符号b1で示される領域が、先行列車尾端の時間曲線および続行列車頭端の時間曲線の表示領域である。
【0098】
運転曲線の距離−時間曲線である時間曲線は、続行列車の頭端が時隔算出駅に到着する時間を0、または続行列車の頭端が時隔算出駅から出発する時間を0とする。時隔分布曲線表示処理部12は、算出された時隔値の中の最大の値を最大時隔値とし、その最大時隔値分ずらした時間に先行列車の尾端が時隔算出駅に到着するように、または、先行列車の尾端が時隔算出駅から出発するように時間曲線を描画する。
【0099】
また、時隔分布曲線表示処理部12は、
図40に示すように、求められた時隔値を一覧表示するような画面も実現できる。時隔分布曲線表示処理部12は、逆引きブレーキ計算に使用した距離位置である先行列車キロ程をはじめ、続行列車運転曲線と逆引きブレーキ曲線との交点のキロ程に余裕距離を考慮した続行列車キロ程や、ブレーキ距離、先行列車キロ程から列車長などを考慮した先行列車位置、先行列車キロ程での先行列車時間曲線上の時間である先行列車時間、同じく、続行列車キロ程での続行列車時間曲線上の時間である続行列車時間、そして、求まった時隔値である計算時隔値と、信号機の処理時間や伝送遅延なども考慮に入れた信号時隔値などを表示できる。
【0100】
また、時隔分布曲線表示処理部12は、時隔分布曲線と、運転曲線と、時隔値一覧とを同時に表示することも可能である。
図41に、時隔分布曲線、運転曲線および時隔値一覧を同一画面で表示する例を示す。
図41中、符号c1で示される領域が、時隔分布曲線の表示領域であり、符号c2で示される領域が、運転曲線の表示領域であり、符号c3で示される領域が、時隔値一覧の表示領域である。時隔分布曲線表示処理部12は、例えば、時隔分布曲線および運転曲線を表示中の状況下において、所定のボタン(c4)が操作された場合に、時隔分布曲線および運転曲線に加えて、時隔値の一覧を表示するようにしてもよい。
【0101】
図42Aおよび
図42Bは、本実施形態の無閉塞時隔計算システム100の無閉塞時隔計算に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0102】
無閉塞時隔計算処理部11は、まず、無閉塞時隔計算の設定値およびデータ(変数)の読み込みを行う(ステップS1)。また、無閉塞時隔計算処理部11は、計算条件の設定を行う(ステップS2)。
【0103】
無閉塞時隔計算処理部11は、無閉塞計算の開始指示を受け付け(ステップS3)、最初に計算する駅間を決定する(ステップS4)。また、無閉塞時隔計算処理部11は、駅間内の計算開始位置を決定し(ステップS5)、その計算開始位置をStartpos(変数)に保存する(ステップS6)。続いて、無閉塞時隔計算処理部11は、区間内の計算終了位置を決定し(ステップS7)、その計算終了位置をEndpos(変数)に保存する(ステップS8)。また、無閉塞時隔計算処理部11は、ステップS2で設定された計算距離間隔を計算粒度として設定する(ステップS9)。
【0104】
無閉塞時隔計算処理部11は、最初の計算距離地点を決定し(ステップS10)、その計算距離地点での逆引きブレーキ曲線を計算する(ステップS11)。無閉塞時隔計算処理部11は、続行列車のランカーブとの逆引きブレーキ曲線の交点を算出し(ステップS12)、ブレーキ距離と時隔値とを保存する(ステップS13)。
【0105】
無閉塞時隔計算処理部11は、計算距離地点から計算距離間隔だけ離れた地点を新たな計算距離地点とし(ステップS14)、その計算距離地点がEndposを上回ったか否かを判定する(ステップS15)。上回っていない場合(ステップS15のNo)、無閉塞時隔計算処理部11は、次の計算距離地点を決定し(ステップS16)、ステップS11に戻る。
【0106】
一方、Endposを上回っている場合(ステップS16のYes)、無閉塞時隔計算処理部11は、分解能を上げるすべての区間の計算を終了したか否かを判定する(ステップS17)。終了していない場合(ステップS17のNo)、無閉塞時隔計算処理部11は、分解能を上げる区間の次の区間を決定し(ステップS18)、その計算開始位置をStartpos(変数)に保存するとともに(ステップS19)、計算終了位置をEndpos(変数)に保存する(ステップS20)。そして、無閉塞時隔計算処理部11は、ステップS10に戻る。
【0107】
すべての区間の計算を終了している場合(ステップS17のYes)、無閉塞時隔計算処理部11は、分解能はステップS2で設定された詳細化粒度に達しているか否かを判定する(ステップS21)。達していない場合(ステップS21のNo)、無閉塞時隔計算処理部11は、分解能を上げ、新たな計算粒度として設定する(ステップS22)。無閉塞時隔計算処理部11は、時隔値の並びから分解能を上げるべき区間を抽出し(ステップS23)、最初の区間を決定する(ステップS24)。無閉塞時隔計算処理部11は、その計算開始位置をStartpos(変数)に保存するとともに(ステップS19)、計算終了位置をEndpos(変数)に保存し(ステップS20)、ステップS10に戻る。
【0108】
詳細化粒度に達している場合(ステップS21のYes)、無閉塞時隔計算処理部11は、計算すべき駅間の処理がすべて終わったか否かを判定する(ステップS25)。終わっていない場合(ステップS25のNo)、無閉塞時隔計算処理部11は、次の駅間を決定し(ステップS26)、ステップS5に戻る。一方、すべて終わっている場合には(ステップS25のYes)、時隔分布曲線表示処理部12が、保存された時隔値およびブレーキ距離を読み込み(ステップS27)、時隔分布曲線およびブレーキ距離曲線を表示する(ステップS28)。
【0109】
駅間に分布する時隔値の変化やブレーキ距離の変化を正確に把握するためには、時隔計算を駅間において一定間隔で行うことが必要となる。そして、より正確な分布を求めるためには、この一定間隔を細かくする必要がある。しかし、時隔計算に必要なのはピーク値の値だけなので、そのピーク状態になる部分だけ詳細に計算すればよい。この点に着目して、本実施形態の無閉塞時隔計算システム100は、以上のように、時隔値を計算する必要がある部分を絞り込み、計算量を抑えることによって、必要なデータだけを高速に計算することを実現する。
【0110】
すなわち、本実施形態の無閉塞時隔計算システム100は、少ない計算量で精度の高い時隔分布曲線を得ることができる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。