(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置1の全体構成図である。
図2は、ウォームの回転軸心における断面図である。
図3は、
図2のIII部の拡大図である。
図4は、第1の実施形態に係る第2ハウジング32の支持部100の斜視図である。
図5は、第1の実施形態に係るハウジング側接触面150を軸方向に見た図である。
【0009】
第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置(以下、「ステアリング装置」と称する場合もある。)1は、
図1に示すように、車両の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置である。ステアリング装置1は、いわゆるダブルピニオン型のパワーステアリング装置である。
【0010】
ステアリング装置1は、転動輪としての左右の車輪(不図示)それぞれにナックルアーム(不図示)を介して連結されたタイロッド(不図示)と、タイロッドに連結されたラック軸3とを備えている。また、ステアリング装置1は、車両に設けられたステアリングホイール(不図示)からの操舵力をラック軸3に伝達する伝達機構部10を備えている。また、ステアリング装置1は、電動モータ50を有し、電動モータ50の駆動力を操舵補助力としてラック軸3に伝達してラック軸3の移動をアシストするアシスト部20を備えている。
【0011】
また、ステアリング装置1は、ラック軸3の外周面の一部の周囲を覆い、ラック軸3を軸方向に移動可能に支持するとともに、電動モータ50を支持するハウジング30を備えている。ハウジング30は、ラック軸3の一部を収容する第1ハウジング31と、後述する減速部60の周囲を覆うとともに、電動モータ50を支持する支持部100が設けられた第2ハウジング32と、第2ハウジング32の開口部を覆うカバー33とを有している。
【0012】
伝達機構部10は、ラック軸3に形成されたラックとともにラック・アンド・ピニオンを構成するピニオンが形成されたピニオン軸(不図示)と、ステアリングホイール(不図示)からの操舵力が入力される入力軸12とを有している。また、伝達機構部10は、ピニオン軸と入力軸12との相対的な回転角度に基づいてステアリングホイールの操舵トルクを検出するトルクセンサ(不図示)を有している。
【0013】
アシスト部20は、ラック軸3に形成されたラックとともにラック・アンド・ピニオンを構成するピニオンが形成されたピニオン軸21を有している。また、アシスト部20は、電動モータ50と、電動モータ50の回転速度を減速する減速部60と、電動モータ50の回転駆動力を減速部60に伝達する軸継手70とを備えている。
【0014】
減速部60は、ウォームギヤを構成する、ウォームホイール61と、ねじ状の歯車である円筒ウォームであるウォーム62とを備えている。ウォームホイール61は、ピニオン軸21に保持されている。
【0015】
軸継手70は、電動モータ50の出力軸51に保持されるモータ側部材71と、減速部60のウォーム62に保持されるウォーム側部材72と、モータ側部材71とウォーム側部材72との間に介在する弾性部材73とを備えている。
【0016】
モータ側部材71は、金属にて成形されており、電動モータ50の出力軸51の先端部が嵌め込まれるモータ側部材嵌合部711と、モータ側部材嵌合部711の周囲に設けられ、ウォーム側部材72の方へ突出したモータ側突出部712とを有している。モータ側突出部712は、回転方向に等間隔に4箇所形成されており、出力軸51の軸方向が柱方向となる三角柱状である。
【0017】
ウォーム側部材72は、金属にて成形されており、減速部60のウォーム62の先端部が嵌め込まれるウォーム側部材嵌合部721と、ウォーム側部材嵌合部721の周囲に設けられ、モータ側部材71の方へ突出したウォーム側突出部722とを有している。ウォーム側突出部722は、モータ側突出部712と同様に、回転方向に等間隔に4箇所形成されており、ウォーム62の軸方向が柱方向となる三角柱状である(
図3参照)。
【0018】
弾性部材73は、エチレンプロピレンゴム等のゴムにて成形されており、円柱状の部位の外周面から半径方向に放射状に突出した8つの半径方向突出部を有している(
図3参照)。
【0019】
(電動モータ50と第2ハウジング32の支持部100について)
電動モータ50は、周知のブラシレスモータであり、
図2に示すように、出力軸51に装着された磁石52と、鉄心53と、巻線54と、磁石52、鉄心53及び巻線54を収容するフレーム55と、を有している。また、電動モータ50は、フレーム55を保持するブラケット56を有している。フレーム55及びブラケット56は、それぞれ、出力軸51を回転可能に支持する、軸受57、軸受58を有している。
【0020】
ブラケット56における軸方向の一方の端部には、第2ハウジング32の支持部100に形成された後述するハウジング側接触面150と合わせるための合わせ面であるブラケット側接触面561が形成されている。また、ブラケット56における軸方向の他方の端部には、フレーム55が取り付けられる取付面562が形成されている。また、ブラケット56には、電動モータ50を第2ハウジング32の支持部100に取り付けるためのボルト155を通す貫通孔563と、ブラケット側接触面561よりも軸方向に第2ハウジング32の支持部100側に突出するとともに、支持部100に挿入される挿入部564とを有している。
挿入部564は、軸方向に平行な外周面565が形成されている。外周面565には、全周に亘って外周面565から凹んだ溝566が形成されている。溝566には、Oリング567が嵌め込まれている。
【0021】
支持部100は、電動モータ50のブラケット56の挿入部564が挿入される円筒状の第1円筒状部110と、第1円筒状部110よりも半径方向の外側に設けられた円筒状の第2円筒状部120とを有している。第1円筒状部110及び第2円筒状部120は、円筒の中心線がウォーム62の回転軸心と同一となるように構成されている。また、支持部100は、内側に雌ネジ135が形成された円筒状のボス130を、第2円筒状部120よりも半径方向の外側に2つ有している。また、支持部100は、ボス130それぞれと第2円筒状部120とを接続する2つの接続部140を有している。
【0022】
第1円筒状部110における軸方向の先端部には、軸方向に直交する平面である第1円環状面111が形成されている。
第2円筒状部120における軸方向の先端部には、軸方向に直交する平面である第2円環状面121が形成されている。
ボス130における軸方向の先端部には、軸方向に直交する平面である第3円環状面131が形成されている。
接続部140における軸方向の先端部には、軸方向に直交する平面である接続面141が形成されている。接続面141は、雌ネジ135の中心と、ウォーム62の回転軸心とを結ぶ直線上に設けられている。
【0023】
第1の実施形態に係る支持部100においては、第1円環状面111、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141は、軸方向の位置が同一となるように機械加工が施されている。以下では、これら第1円環状面111、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141を、ブラケット56のブラケット側接触面561と接触させる「ハウジング側接触面150」と称する場合がある。
図5の網掛け部分が、ハウジング側接触面150である。
電動モータ50は、ブラケット56のブラケット側接触面561が第2ハウジング32の支持部100のハウジング側接触面150に接触させられた状態で、貫通孔563を通されたボルト155がボス130に形成された雌ネジ135に締め付けられることで第2ハウジング32に取り付けられる。
【0024】
ハウジング側接触面150において、第3円環状面131と第2円環状面121とは、接続面141を介して接続されているので、第3円環状面131、接続面141及び第2円環状面121は、相互の境界がない同一平面である。
他方、第1円環状面111と第2円環状面121とは、軸方向の位置が同一ではあるが、第1円環状面111と第2円環状面121とは接続されておらず、第1円環状面111と第2円環状面121との間にはこれらの面から凹んだ凹部160が形成されている。凹部160には、第1円筒状部110の外周と第2円筒状部120の内周とを接続するリブ161が、周方向に複数設けられている。リブ161における軸方向の先端部は、第2円環状面121よりも、電動モータ50とは反対側となるように設定されている。
【0025】
第1円筒状部110には、軸方向に平行な内周面112が形成されている。この内周面112の内側に、電動モータ50のブラケット56の挿入部564が挿入される。そして、溝566に嵌め込まれたOリング567が内周面112に接触して変形し、内周面112及びブラケット56の挿入部564に接触することで、第2ハウジング32とブラケット56との間がシールされる。
【0026】
以上のように構成されたステアリング装置1は、第1平面の一例としてのハウジング側接触面150(第3円環状面131、接続面141、第2円環状面121及び第1円環状面111)を有し、ラック軸3の一部を収容するハウジング30を備えている。また、ステアリング装置1は、第2平面の一例としてのブラケット側接触面561を有し、回転軸の一例としての出力軸51を支持するブラケット56を備えている。また、ステアリング装置1は、ハウジング30の第3円環状面131と、ブラケット56のブラケット側接触面561とが合わせられた状態でハウジング30とブラケット56とを締め付ける締付部材の一例としてのボルト155を備えている。また、ステアリング装置1は、ボルト155よりも出力軸51側でハウジング30とブラケット56との間をシールするシール部材の一例としてのOリング567を備えている。
そして、上記ステアリング装置1において、ハウジング側接触面150には、ボルト155とOリング567との間にハウジング側接触面150から凹んだ凹部160が形成されている。
【0027】
以上のように構成されたステアリング装置1においては、ハウジング30に、ハウジング側接触面150よりも凹んだ凹部160が形成されており、ブラケット側接触面561と凹部160との間の隙間が、ハウジング側接触面150とブラケット側接触面561との間の隙間よりも大きい。それゆえ、外部から、ブラケット側接触面561と第3円環状面131との間の隙間に浸入した水が、毛細管現象により、ハウジング30の第1円筒状部110の内部の、第1円筒状部110の内周面112とブラケット56の挿入部564の外周面565との間の隙間に入り込むことや、腐食生成物が進行することが抑制される。同様に、外部から、ブラケット側接触面561と第2円環状面121との間の隙間に浸入した水が、毛細管現象により、第1円筒状部110の内部の、第1円筒状部110の内周面112とブラケット56の挿入部564の外周面565との間の隙間に入り込むことや、腐食生成物が進行することが抑制される。
【0028】
このことについて、以下に比較例に係るハウジング側接触面151と比較しながら説明する。
図6は、比較例に係るハウジング側接触面151を軸方向に見た図である。
上述した実施の形態に係るハウジング側接触面150に対して、ボルト155とOリング567との間にハウジング側接触面150から凹んだ凹部160が形成されておらず、第1円環状面111と第2円環状面121とが相互の境界がない同一平面となっている構成を、比較例に係るハウジング側接触面151とする。
図6の網掛け部分が、ハウジング側接触面151である。比較例に係るハウジング側接触面151である場合には、この比較例に係るハウジング側接触面151と、電動モータ50のブラケット56のブラケット側接触面561との間の隙間が、ボルト155の周囲の第3円環状面131から第1円環状面111に至るまで略同一隙間である。この比較例に係るハウジング側接触面151とブラケット側接触面561とが接触した状態でボルト155がボス130に形成された雌ネジ135に締め付けられるため、両接触面は接触している。しかしながら、両接触面の表面粗さは0ではないため、微細な凹凸が生じている。そして、ハウジング側接触面151の表面の凹凸と、ブラケット側接触面561の表面の凹凸により、両接触面間に隙間が生じるおそれがある。両接触面間に隙間が生じている場合には、ハウジング30及びブラケット56の外部から、水が浸入し、毛細管現象により、両接触面間の隙間を介して、ハウジング30の第1円筒状部110の内部まで水が到達するおそれがある。また、例えば塩水噴霧後に生成した腐食生成物がOリング567によるシール部に到達し、ハウジング30の第1円筒状部110の内部まで浸食するおそれがある。
【0029】
これに対して、本実施の形態においては、ハウジング30に凹部160が形成されており、ブラケット側接触面561と凹部160との間の隙間が、ハウジング側接触面150とブラケット側接触面561との間の隙間よりも大きいので、水が第1円環状面111まで到達し難くなる。その結果、ハウジング30の内周面112と、ブラケット56の外周面565との間の隙間に水が浸入したり腐食生成物が生成したりすることに起因して錆が進行することが抑制される。また、この錆により、ハウジング30とブラケット56との間をシールするOリング567のシール性能が低下し、Oリング567とハウジング30との間の隙間や、Oリング567とブラケット56との間の隙間から、電動モータ50の内部や、ハウジング30の内部に、水が浸入することや腐食生成物がさらに進行することが抑制される。なお、ブラケット側接触面561と凹部160との間の隙間は、ハウジング側接触面150とブラケット側接触面561とが接触しているのに対して、接触していないことを最低条件とする。
【0030】
また、本実施の形態においては、凹部160に、第1円筒状部110の外周と第2円筒状部120の内周とを接続するリブ161が、周方向に複数設けられている。それゆえ、ハウジング側接触面150から凹んだ凹部160を設けることに起因して、ブラケット56の挿入部564が挿入される第1円筒状部110の剛性が低くなり過ぎることが抑制される。なお、リブ161における軸方向の先端部とブラケット側接触面561とは接触していないため、リブ161を設けたとしても、水は第1円環状面111まで浸入し難い。
【0031】
なお、上述した実施形態においては、ボルト155にて締め付けられる際に合わせられる、ハウジング側接触面150とブラケット側接触面561との内、ハウジング側接触面150から凹んだ凹部160を形成しているが特にかかる態様に限定されない。例えば、凹部160に加えて、ブラケット56にも、ブラケット側接触面561から凹んだ凹部を形成しても良い。また、ハウジング側接触面150から凹んだ凹部160を形成することなしに、ブラケット56に、ブラケット側接触面561から凹んだ凹部を形成しても良い。これらの場合、ブラケット側接触面561から凹んだ凹部は、軸方向に見た場合には、凹部160が形成されている位置と同じ位置であることを例示することができる。
【0032】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係るハウジング側接触面250を軸方向に見た図である。
第2の実施形態に係る第2ハウジング232の支持部200は、第1の実施形態に係る第2ハウジング32の支持部100に対して、ハウジング側接触面150に相当する部位が異なる。以下、第2ハウジング32の支持部100と異なる点について説明する。第2ハウジング232の支持部200と第2ハウジング32の支持部100とで、同じ形状、機能を有する部位については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
第2の実施形態に係る第2ハウジング232の支持部200は、リブ161とは別に、凹部160に、第1円筒状部110の外周と第2円筒状部120の内周とを接続する円環接続部245を有している。円環接続部245における軸方向の先端部には、軸方向に直交する平面である円環接続面246が形成されている。
第2の実施形態に係る支持部200においては、第1円環状面111、第2円環状面121、第3円環状面131、接続面141及び円環接続面246は、軸方向の位置が同一となるように機械加工が施されている。以下では、これら第1円環状面111、第2円環状面121、第3円環状面131、接続面141及び円環接続面246を、ブラケット56のブラケット側接触面561と接触させる「ハウジング側接触面250」と称する場合がある。
図7の網掛け部分が、ハウジング側接触面250である。
【0034】
ハウジング側接触面250においては、円環接続面246を介して、第1円環状面111と第2円環状面121とが接続されている。それゆえ、円環接続面246と第1円環状面111とは、相互の境界がない同一平面である。また、円環接続面246と第2円環状面121とは、相互の境界がない同一平面である。
【0035】
ただし、円環接続面246が設けられている箇所は、接続面141が設けられている箇所と、周方向の位相が異なる。それゆえ、接続面141は、雌ネジ135の中心とウォーム62の回転軸心とを結ぶ直線上に設けられているが、円環接続面246は、この直線上に設けられていない。つまり、第3円環状面131、接続面141及び第2円環状面121は、直線的につながっているが、円環接続面246及び第1円環状面111とは直線的につながっていない。
それゆえ、ハウジング側接触面250には、ボルト155とOリング567との間にハウジング側接触面250から凹んだ凹部160が形成されている。
【0036】
この第2ハウジング232の支持部200の構成においても、支持部200に、ハウジング側接触面250よりも凹んだ凹部160が形成されており、ブラケット側接触面561と凹部160との間の隙間が、ハウジング側接触面250とブラケット側接触面561との間の隙間よりも大きい。それゆえ、外部から、ブラケット側接触面561と第3円環状面131との間の隙間に浸入した水が、毛細管現象により、ハウジング30の第1円筒状部110の内部の、第1円筒状部110の内周面112とブラケット56の挿入部564の外周面565との間の隙間に入り込むことや、腐食生成物が進行することが抑制される。その結果、ハウジング30の内周面112と、ブラケット56の外周面565との間の隙間に水が浸入したり腐食生成物が生成したりすることに起因して錆が進行することが抑制される。また、この錆により、ハウジング30とブラケット56との間をシールするOリング567のシール性能が低下し、Oリング567とハウジング30との間の隙間や、Oリング567とブラケット56との間の隙間から、電動モータ50の内部や、ハウジング30の内部に、水が浸入することや腐食生成物がさらに進行することが抑制される。
【0037】
また、第2の実施形態においては、凹部160に、リブ161に加えて、円環接続部245が設けられているので、第1円筒状部110の剛性が高められている。
なお、円環接続面246が設けられている箇所が、接続面141が設けられている箇所と周方向の位相が異なるのであれば、円環接続面246を複数設けても良い。
【0038】
<第3の実施形態>
図8は、第3の実施形態に係る第2ハウジング332の断面図である。
第3の実施形態に係る第2ハウジング332の支持部300は、第1の実施形態に係る第2ハウジング32の支持部100に対して、ハウジング側接触面150に相当する部位が異なる。以下、第2ハウジング32の支持部100と異なる点について説明する。第2ハウジング332の支持部300と第2ハウジング32の支持部100とで、同じ形状、機能を有する部位については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0039】
第2ハウジング332の支持部300においては、第1円筒状部110における軸方向の先端部は、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141における軸方向の位置よりも電動モータ50とは反対側となるように構成されている。第1円筒状部110の先端部には、機械加工が施されていても良いし、機械加工が施されていなくても良い。
【0040】
第3の実施形態に係る支持部300においては、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141が、ブラケット56のブラケット側接触面561と接触させられるハウジング側接触面350となる。
この第3の実施形態に係る支持部300においても、第2ハウジング332に、ブラケット側接触面561と凹部160との間の隙間が、ハウジング側接触面150とブラケット側接触面561との間の隙間よりも大きい。それゆえ、外部から、ブラケット側接触面561と第3円環状面131との間の隙間に浸入した水が、毛細管現象により、ハウジング30の第1円筒状部110の内部の、第1円筒状部110の内周面112とブラケット56の挿入部564の外周面565との間の隙間に入り込むことや腐食生成物が進行することが抑制される。その結果、ハウジング30の内周面112と、ブラケット56の外周面565との間の隙間に水が浸入したり腐食生成物を生成したりすることに起因して錆が進行することが抑制される。また、この錆により、ハウジング30とブラケット56との間をシールするOリング567のシール性能が低下し、Oリング567とハウジング30との間の隙間や、Oリング567とブラケット56との間の隙間から、電動モータ50の内部や、ハウジング30の内部に、水が浸入することや腐食生成物がさらに進行することが抑制される。
【0041】
また、第1円筒状部110における軸方向の先端部が、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141(ハウジング側接触面350)における軸方向の位置と同一ではなく、電動モータ50とは反対側に位置するので、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141の領域に機械加工を施せば良い。それゆえ、第1の実施形態に係るハウジング側接触面150を機械加工にて形成するよりも、容易にハウジング側接触面350を機械加工にて形成することができる。
【0042】
<第4の実施形態>
図9は、第4の実施形態に係る第2ハウジング432の断面図である。
第4の実施形態に係る第2ハウジング432の支持部400は、第1の実施形態に係る第2ハウジング32の支持部100に対して、ハウジング側接触面150に相当する部位が異なる。以下、第2ハウジング32の支持部100と異なる点について説明する。第2ハウジング432の支持部400と第2ハウジング32の支持部100とで、同じ形状、機能を有する部位については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0043】
第2ハウジング432の支持部400においては、第1円筒状部110における軸方向の先端部が、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141における軸方向の位置よりも電動モータ50側となるように構成されている。第1円筒状部110の先端部には、機械加工が施されていても良いし、機械加工が施されていなくても良い。
また、ブラケット56の挿入部564の周囲は、第2ハウジング432の第1円筒状部110の先端部を受け入れることが可能なように凹んでいる。
【0044】
第4の実施形態に係る支持部400においては、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141が、ブラケット56のブラケット側接触面561と接触させられるハウジング側接触面450となる。
この第4の実施形態に係る支持部400においても、第2ハウジング432に、ブラケット側接触面561と凹部160との間の隙間が、ハウジング側接触面450とブラケット側接触面561との間の隙間よりも大きい。それゆえ、外部から、ブラケット側接触面561と第3円環状面131との間の隙間に浸入した水が、毛細管現象により、ハウジング30の第1円筒状部110の内部の、第1円筒状部110の内周面112とブラケット56の挿入部564の外周面565との間の隙間に入り込むことや、腐食生成物が進行することが抑制される。加えて、第4の実施形態に係る支持部400においては、第1円筒状部110における軸方向の先端部が、第2円環状面121、第3円環状面131及び接続面141(ハウジング側接触面450)における軸方向の位置よりも電動モータ50側となるように構成されているので、たとえ、ハウジング30及びブラケット56の外部から、水が浸入し、両接触面間の隙間を介して、第1円筒状部110の近くまで水が到達したり腐食生成物が進行したりしたとしても、第1円筒状部110における軸方向の先端部を乗り越えて第1円筒状部110の内部に入り込むことが抑制される。その結果、ハウジング30の内周面112と、ブラケット56の外周面565との間の隙間に水が浸入したり腐食生成物が生成したりすることに起因して錆が進行することが抑制される。また、この錆により、ハウジング30とブラケット56との間をシールするOリング567のシール性能が低下し、Oリング567とハウジング30との間の隙間や、Oリング567とブラケット56との間の隙間から、電動モータ50の内部や、ハウジング30の内部に、水が浸入したり腐食生成物がさらに進行したりすることが抑制される。
【0045】
なお、上述した電動モータ50においては、ブラケット56が軸受58を介して出力軸51を直接的に支持しているが、特にかかる態様に限定されない。例えば、ブラケット56に連結された物が軸受58を保持し、この軸受58を介して出力軸51を間接的に支持しても良い。
また、電動モータ50の構造は、
図2に示した構造に限定されない。電動モータ50は、上述したトルクセンサ(不図示)からの出力値を用いてこの電動モータ50の制御量(例えば電流)を決定する制御部やインバータ等を一体的に有していても良い。
ステアリング装置は、第1平面を有し、ラック軸の一部を収容するハウジングと、第1平面と対向する第2平面を有し、回転軸を支持するブラケットを有する電動モータと、第1平面と第2平面とが合わせられた状態でハウジングとブラケットとを締め付ける締付部材と、締付部材よりも回転軸側でハウジングとブラケットとの間をシールするシール部材と、を備え、第1平面又は第2平面の少なくともいずれかの平面には、締付部材とシール部材との間に平面から凹んだ凹部が形成されている。