特許第6559936号(P6559936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6559936スラリー組成物、リンス組成物、基板研磨方法およびリンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559936
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】スラリー組成物、リンス組成物、基板研磨方法およびリンス方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20190805BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   C09K3/14 550C
   C09K3/14 550Z
   H01L21/304 622D
   H01L21/304 622Q
   H01L21/304 647A
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-181015(P2014-181015)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-56220(P2016-56220A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年9月5日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512096724
【氏名又は名称】日本キャボット・マイクロエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】増田 剛
(72)【発明者】
【氏名】北村 啓
(72)【発明者】
【氏名】松村 義之
【審査官】 安川 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−038906(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/137212(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/176122(WO,A1)
【文献】 特表2003−514374(JP,A)
【文献】 特開平11−140427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K
H01L
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
研磨剤と、
セルロース誘導体を含む1種以上の水溶性重合体と、
ポリビニルアルコール構造単位とポリアルキレンオキシドを含む水溶性グラフト共重合体と
Haze改善剤として主鎖構造に3級アミン構造を有する重合体と
を含有し、
7〜12のpHを有する、化学的機械研磨用のスラリー組成物。
【請求項2】
前記ポリビニルアルコール構造単位が、前記水溶性グラフト共重合体の幹又は側鎖を形成する、請求項1に記載のスラリー組成物。
【請求項3】
前記ポリアルキレンオキシドが、前記水溶性グラフト共重合体の幹又は側鎖を形成する、請求項1に記載のスラリー組成物。
【請求項4】
前記研磨剤は、1次粒子の平均粒径が0.01〜3μmの範囲内であり、前記研磨剤が2次粒子を形成している場合には、2次粒子平均粒径が0.02〜3μmの範囲内である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項5】
前記ポリビニルアルコール構造単位の水酸基の一部が、アシロキシ基で置換されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項6】
さらに、pH調整剤を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項7】
前記1種以上の水溶性重合体及び前記水溶性グラフト共重合体を含む水溶性重合体を1〜5000ppm含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のスラリー組成物。
【請求項8】
水と、
セルロース誘導体を含む1種以上の水溶性重合体と、
ポリビニルアルコール構造単位とポリアルキレンオキシドを含む水溶性グラフト共重合体と
Haze改善剤として主鎖構造に3級アミン構造を有する重合体と
を含有し、
7〜12のpHを有する、研磨基板用のリンス組成物。
【請求項9】
前記ポリビニルアルコール構造単位が、前記水溶性グラフト共重合体の幹又は側鎖を形成する、請求項に記載の研磨基板用のリンス組成物。
【請求項10】
前記ポリアルキレンオキシドが、前記水溶性グラフト共重合体の幹又は側鎖を形成する、請求項に記載の研磨基板用のリンス組成物。
【請求項11】
前記ポリビニルアルコール構造単位の水酸基の一部が、アシロキシ基で置換されている、請求項8〜10のいずれか1項に記載のリンス組成物。
【請求項12】
さらに、pH調整剤を含む、請求項8〜11のいずれか1項に記載のリンス組成物。
【請求項13】
前記1種以上の水溶性重合体及び前記水溶性グラフト共重合体を含む水溶性重合体を1〜5000ppm含有する、請求項8〜12のいずれか1項に記載のリンス組成物。
【請求項14】
請求項1〜のいずれか1項に記載のスラリー組成物を、研磨基板に付着させる工程と、
研磨基板を、前記スラリー組成物により研磨パッドで研磨する工程と
を含む、基板研磨方法。
【請求項15】
請求項8〜13のいずれか1項に記載のリンス組成物で、研磨基板を洗浄する工程を含む、研磨基板のリンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板研磨技術に関し、より詳細には、ケミカル・メカニカル・ポリッシング(Chemical Mechanical Polishing:CMP)などに使用するスラリー組成物、リンス組成物、基板研磨方法およびリンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の製造に用いられる半導体基板であるシリコンウェーハは、各種のフォトリソグラフィー、堆積処理、研磨処理などが施され、半導体装置を提供するために利用されている。シリコンウェーハは、半導体装置を作成するための多数のプロセス工程が適用され、また半導体デバイスの歩留まりを改善することも要求されるので、その表面品質が厳密に要求される。シリコンウェーハを鏡面研磨して表面品質を確保するために、従来からケミカル・メカニカル・ポリッシング(CMP)技術が利用されている。
【0003】
シリコンウェーハの研磨におけるCMPでは、一般的に、シリコンウェーハを固定するためのキャリアーに保持させ、合成樹脂発泡体やスウェード調合成皮革などを含む研磨布を貼付した上下定盤の間にシリコンウェーハを挟持し、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニアなどのコロイド状粒子を分散した水性の組成物(以下、スラリー組成物として参照する。)を供給しながら押圧回転しつつ研磨が行われる。
【0004】
シリコンウェーハのCMPにおいては、近年の需要増加、半導体デバイスの高性能化及び高集積密度化に伴い、生産性、表面品質の向上がますます強く求められており、研磨速度の向上、表面粗さ、Haze(表面曇り)、平坦性(ロールオフ(端面だれ)、SFQR、ESFQR)、スクラッチの低減などが課題として挙げられている。
【0005】
半導体基板の表面性を改善する技術はこれまでにも提案されており、例えば、特開2014−38906号公報(特許文献1)では、研磨対象物の研磨面に対するパーティクルの付着を抑制することを課題としてポリビニルアルコールを骨格構造として含む研磨用組成物が記載されている。さらに、特開平11−140427号公報(特許文献2)では、炭素長鎖骨格を有し、側鎖にヒドロキシ低級アルキレン基を有する鎖状炭化水素系高分子を含有する研磨液および研磨方法が記載されている。
【0006】
これらの技術が知られているものの、半導体装置の高密度化の要請に伴い、デバイスサイズはさらなる微小化が要求されており、集積回路製品の歩留まりなどを改善するため、半導体基板の表面状態は、さらなる改善が要求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−38906号公報
【特許文献2】特開平11−140427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、半導体基板の表面状態を改善することを可能とする、スラリー組成物、リンス組成物、基板研磨方法およびリンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
水と、
研磨砥粒と、
ポリビニルアルコール構造単位を含む1種以上の水溶性重合体と
を含有する、化学的機械研磨用のスラリー組成物が提供される。
【0010】
本発明では。前記水溶性重合体がポリアルキレンオキシド構造単位またはポリビニルアルコール構造単位をそれぞれ含む1種以上の水溶性重合体とすることができる。前記水溶性重合体が前記スラリー組成物中に1種存在する場合、前記水溶性重合体は、前記ポリアルキレンオキシド構造単位およびポリビニルアルコール構造単位が前記水溶性重合体の幹または側鎖を形成することができる。さらに、pH調整剤を含むことが好ましい。また、本発明では、セルロース系重合体、ポリアルキレンオキシド系重合体から選択される水溶性重合体を含有することができる。本発明では、Haze改善剤を含有することができる。本発明では、前記水溶性重合体を1〜5000ppm含有することが好ましい。
【0011】
さらに本発明の第2の構成によれば、
水と、
ポリビニルアルコール構造単位を含む1種以上の水溶性重合体と
を含有する、研磨基板用のリンス組成物が提供される。
【0012】
本発明において、前記水溶性重合体がポリアルキレンオキシド構造単位またはポリビニルアルコール構造単位をそれぞれ含む1種以上の水溶性重合体とすることができる。さらに、前記水溶性重合体が前記スラリー組成物中に1種存在する場合、前記水溶性重合体は、前記ポリアルキレンオキシド構造単位およびポリビニルアルコール構造単位が前記水溶性重合体の幹または側鎖を形成することができる。また、セルロース系重合体、ポリアルキレンオキシド系重合体から選択される水溶性重合体を含有することができる。本発明では、さらに、Haze改善剤を含有することができる。また、前記水溶性重合体を1〜5000ppm含有することができる
【0013】
さらに本発明の第3の構成では、上記に記載のスラリー組成物を、研磨基板に付着させる工程と、
研磨基板を、前記スラリー組成物により研磨パッドで研磨する工程と
を含む基板研磨方法が提供される。
【0014】
また、本発明の第4の構成によれば、上記に記載のリンス組成物で、研磨基板を洗浄する工程を含む、研磨基板のリンス方法が提供される
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、LPD、Haze、Haze Scratch、Haze Lineなどとして参照される微小な凹凸、言い換えればナノスケールの研磨欠陥を改善することを可能とする、スラリー組成物、リンス組成物、基板研磨方法およびリンス方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施形態により説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。なお、本実施形態では、ナノスケールの研磨欠陥を、以下ナノスクラッチとして参照する。本発明のスラリー組成物またはリンス組成物は、ポリアルキレンオキシド構造単位またはポリビニルアルコール構造単位をそれぞれ含む1種以上の水溶性重合体を含有する。本実施形態の水溶性重合体は、第1の態様では、ポリオキシアルキレンオキシドおよびポリビニルアルコールの異なる2種の水溶性重合体が各組成物中に含まれて形成されていても良い。本発明の第2の態様では、ポリアルキレンオキシド構造単位またはポリビニルアルコール構造単位が幹鎖または側鎖を構成したグラフトポリマーとして各組成物中に存在していても良い。本発明におけるポリビニルアルコール構造単位が幹鎖または側鎖に存在する場合、水酸基の一部がアシロキシ基で置換されていても良い。アシロキシ基としては、炭素数2以上のアシロキシ基を好ましく使用することができ、特に好ましいのは、(CHCOO−)基である。
【0017】
ポリアルキレンオキシド構造単位におけるポリオキシアルキレンオキシドは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)共重合体とすることができ、共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でも良い。ポリアルキレンオキシドのアルキレンオキシドの繰り返し鎖長は、1〜1000、より好ましくは、2〜300、さらに好ましくは、3〜200程度である。
【0018】
本実施形態の水溶性重合体が、それぞれポリアルキレンオキシドまたはポリビニルアルコールといった独立した水溶性重合体を構成する場合、その存在比は、モル%で、5:95〜40:60が好ましく、ナノ研磨欠陥の改善の点では、10:90〜30:70の範囲とすることができる。また、ポリアルキレンオキシドおよびポリビニルアルコールの分子量は、1000〜10000000の範囲とすることができる。
【0019】
また、本実施形態でポリアルキレンオキシドおよびポリビニルアルコールがグラフト重合体を形成する場合、グラフト重合体の分子量は、重量平均分子量で5000〜500000とすることができ、スラリー溶液などの溶液のレオロジー特性を考慮すれば、10000〜300000の範囲、より好ましくは、10000〜200000の範囲とすることができる。
【0020】
本実施形態のグラフト重合体におけるポリアルキレンオキシド骨格と、ポリビニルアルコール骨格の存在比は、モル%で、5:95〜40:60が好ましく、ナノ研磨欠陥の改善の点では、10:90〜30:70の範囲とすることが好ましい。
【0021】
本実施形態のアルキレンオキシド骨格は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはこれらがランダムまたはブロック化して鎖を形成することができる。この中でも最も好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシドである。
【0022】
上述した水溶性重合体をグラフト重合体として添加する場合、具体的には、当該水溶性重合体としては下記一般式(1)を有する水溶性重合体を挙げることができる。
【0023】
【化1】
【0024】
上記一般式(1)および(1’)中、Rは、水酸基、または炭素数2以上のアシロキシ基であり、aは、1〜10000の整数であり、M1、M2、N1、N2は、0以上の実数(グラフト化率)である。一般式(1)中、R1は、水素原子またはアシル基である。また、R、Rは、同一でも異なっていても良い炭素数2以上の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、bは、2〜10000の整数である。なお、上記一般式(1)および(1’)中のRは、水酸基およびアシロキシ基が混在する構造、すなわち、アシロキシ基が水酸基にケン化された構造とされていても良い。
【0025】
本実施形態において好ましい水溶性重合体としては、具体的には例えば、下記構造式(2)および(3)を有する水溶性重合体を挙げることができる。なお下記構造式(2)および(3)の水酸基は、その一部または末端水酸基が、アシロキシ基で置換されていても良い。
【0026】
【化2】
【0027】
【化3】
【0028】
本実施形態においては、上記水溶性重合体は、スラリー組成物中に1ppm(0.001質量%)〜5000ppm(0.5質量%)の範囲で存在することができる。また、研磨速度を現実的に生産可能なスループットに維持する観点から10ppm〜1000ppmの範囲で添加することが好ましい。
【0029】
本実施形態のスラリー組成物は、半導体基板表面のLPDおよびHazeを改善するためのHaze改善剤として主鎖構造に3級アミン構造を有する重合体を含有することができる。
【0030】
本発明に用いられる上記重合体は、分子内に2個以上の第1級アミノ基および/または)第2級アミノ基を有し、かつN原子を4〜100個を含むポリアミン化合物の活性水素に、少なくともエチレンオキシドを含むアルキレンオキシドを付加重合させることにより製造することができる。当該重合体の重量平均分子量は、5000〜100000の範囲とすることができる。また、本実施形態の重合体に含有されるN原子の数は、2個〜10000個以下とすることが、CMPプロセスに適用するための水溶性を提供する点で好ましく、Hazeを改善しつつ、十分なCMPプロセス適合性を提供する点ではN原子の数が2個〜1000個の範囲であることが好ましい。以下、本実施形態では、当該重合体を、アルキレンポリアルキレンオキシドアミン重合体(以下、APOAとして略記する。)として参照する。
【0031】
本実施形態で主鎖構造を与える、ポリアミン化合物としては、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミンなどのポリエチレンポリアミン、エチレンイミンの重合によって得られるポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンなどを挙げることができる。上述した化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用して、本実施形態のポリアミン主鎖構造を形成することができる。
【0032】
上記主鎖骨格に付加させるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどを挙げることができ、これらのアルキレンオキシドは、単独でまたは複数混合して用いることができる。
【0033】
本実施形態で使用することができるアルキレンオキシド骨格は、エチレンオキシド骨格および/またはポリプロピレン骨格から選択することが好ましい。本実施形態の重合体に付加するアルキレンオキシドにおけるエチレンオキシドの割合は、5%以上、好ましくは10%以上であり、50%〜90%とすることで、好ましいCMPプロセス適合性を付与することができる。また、本実施形態においてプロピレンオキシド骨格を含有させる場合には、10%〜20%の範囲とすることが、同様にプロセスマージンを広くする上で好ましい。
【0034】
本実施形態の重合体は、通常の方法により容易に製造することができる。例えば、本実施形態の重合体は、出発物質の前記ポリアミン化合物にアルカリ触媒下で100〜180℃、1〜10気圧でアルキレンオキシドを付加重合(グラフト重合)することにより製造することができる。
【0035】
主鎖骨格であるポリアミン化合物へのアルキレンオキシドの付加態様には特に限定はなく、2種以上のアルキレンオキシドが付加している形態の場合、ブロック状でもランダム状でもよい。本実施形態の重合体は、重量平均分子量が5000以上、好ましくは1万以上とすることができ、100000以下さらには80000以下の範囲とすることができる。重量平均分子量が小さすぎる場合には十分にHazeを改善することができず、大きすぎる場合には、各特性の添加量依存性が大きくなり、プロセスマージンを狭めてしまうため好ましくない。
【0036】
本明細書において主鎖構造とは、ポリアルキレンオキシド基をグラフト重合させる3級アミンを含む繰返し構造単位を2個以上含有する構造を意味する。さらに、本実施形態の主鎖構造を構成する3級アミンは、N−アルキレン基を含むことが好ましい。N−アルキレン基を構成するC原子数には特に限定はなく、C原子数が2〜10の範囲の直鎖または分岐鎖のアルキレン基から選択することができる。
【0037】
本実施形態の重合体としては具体的には、ポリエチレンポリアミンにアルキレンオキシドを付加重合させて形成される、主鎖構造に少なくとも3級アミン構造を含有する下記一般式(1)で示される重合体を例示することができる。
【0038】
【化4】
【0039】
上記一般式(1)中、x、yは、正の整数であり、Rは、アルキレン基を示す。R、Rは、炭素数2以上の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示し、最も好ましいRは、製造性、コスト、Haze改善性の点からエチレン基である。本実施形態では、xは、2〜1000、好ましくは2〜20であり、yは、2〜10000、好ましくは、2〜500の範囲とすることができる。RO鎖の鎖長が長くなりすぎると表面特性の改善効果が低下し、yが10000以上では、各特性の添加量依存性が大きくなり、プロセスマージンに悪影響を与えるためである。ROは、2種以上のアルキレンオキシドを使用して形成することができ、この実施形態の場合、異なるアルキレンオキシド基は、ブロック状でもランダム状でもよい。
【0040】
本発明における上記式(1)〜(4)で与えられる化合物は、その溶解度パラメータが、9〜16の範囲とされることが好ましい。なお、本明細書においては溶解度パラメータ(SP)とは、上田他、塗料の研究、No.152、Oct.2010年、第41頁〜46頁に記載されるFedorsの方法を使用し、モノマーのSP値をもって水溶性高分子のSP値とするものとする。
【0041】
さらに、本発明においては、さらに他の水溶性高分子を併用することができる。このような水溶性高分子としては、ビニルモノマーを重合させて生成されるホモポリマー、またはコポリマーを挙げることができる。このようなビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、オクチル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アジピン酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、ケイ皮酸ビニル等のカルボン酸ビニル類、アクリロニトリル、リモネン、シクロヘキセン;2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン;N−ビニルアセトアミド、N−ビニルメチルアセトアミドなどのN−ビニル化合物、ビニルフラン、2−ビニルオキシテトラピランなどの環状エーテルビニル化合物、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、フェノキシエチルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、メタリルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのモノビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、1,3−ブチレングリコールモノビニルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、ヘキサメチレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、グリセリンモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルなどのホモポリマー、任意の組み合わせのコポリマーであって、水溶性を有するポリマーまたはコポリマーを挙げることができ、これらは適宜水溶性を向上させるために、鹸化度を調整することもできる。
【0042】
上述したアクリル系樹脂の他、本発明では、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体を使用することができる。当該セルロース誘導体の平均分子量は、50000〜2000000のものを使用することができる。
【0043】
併用できる水溶性高分子としては、より具体的には例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリグリセリン、分子量が1000〜1000000のPEG/PEO、PEG−PPGブロック共重合体、アルキレンオキシドエチレンジアミン付加物(EO質量割合35%、PPG分子量4400、リバースタイプ)、ポリ−2−エチルオキサゾリン(Poly(2−ethyl−2−oxazoline、平均分子量500000)、ポリビニルアルコール(平均分子量200000)、ポリアクリル酸(平均分子量25000)、ポリアクリル酸塩(平均分子量5000)を挙げることができる。
【0044】
本発明のスラリー組成物中にアルキレンポリアルキレンオキシドアミン重合体が存在する場合、その添加量は、1ppm(0.001質量%)〜5000ppm(0.5質量%)の範囲とすることができる。また、シリコンウェーハの研磨速度を現実的に生産可能なスループットに維持する観点から5ppm〜1000ppmの範囲で添加することが好ましく、他のスラリー組成の調整を必要としない点で、より好ましくは、5ppm〜500ppmの範囲で添加することが好ましい。
【0045】
本発明のスラリー組成物は、上述した水溶性高分子の他、研磨砥粒、酸またはアルカリ、緩衝剤、触媒、各種塩類などの研磨成分を含有することができる。本発明に用いられる研磨砥粒は、研磨用に一般に使用されている研磨砥粒を使用することができる。研磨砥粒としては、例えば金属、金属または半金属の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物およびダイヤモンドなどを挙げることができる。
【0046】
本発明に使用することができる研磨砥粒としては、基板表面に有害なスクラッチ(きず)または他の欠陥を導入することなく基板表面を研磨することができるような金属酸化物であることが好ましい。好適な金属酸化物の研磨砥粒としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニアおよびマグネシア、並びにそれらの共形成された製品、それらの混合物およびそれらの化学混和物が挙げられる。典型的には、研磨砥粒は、アルミナ、セリア、シリカ、ジルコニアおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される。シリカ、特にはコロイダルシリカおよびセリアが好ましい研磨砥粒であり、コロイダルシリカがより好ましい。
【0047】
本発明のスラリー組成物の研磨砥粒は、好ましい液体キャリアーに研磨砥粒を分散させ、水溶性高分子などの各種添加剤を添加して、分散体または懸濁物として形成することができる。多くの場合、スラリー組成物は輸送コストの削減を目的に、研磨に供する時点の濃度よりも濃縮された状態で製造される。以下、スラリー組成物について濃度を述べている箇所は、全て研磨に供される研磨液として希釈された後の濃度を意味する。好ましい液体キャリアーとしては、極性溶媒、好ましくは水または水性溶媒を挙げることができ、研磨砥粒がスラリー中に含まれる場合には、研磨時点の濃度で0.1質量%以上、より好ましくは0.1〜50質量%の研磨砥粒を有することが望ましく、より好ましいスラリー組成物では、研磨砥粒は、0.1〜10質量%でコロイダルシリカを添加することができる。
【0048】
本発明のスラリー組成物は、研磨速度を考慮して適宜pHを調整することができる。本発明においては、スラリー組成物のpHは、5〜12であることが好ましく、より好ましくは、シリコンウェーハの研磨処理において、pHは7〜12の範囲である。
【0049】
研磨砥粒の1次粒子の平均粒径は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.01〜3μm、さらに好ましくは0.01〜0.8μm、特に好ましくは0.02〜0.5μmである。さらに、1次粒子が凝集して2次粒子を形成している場合は、同様に研磨速度を向上させる観点および被研磨物の表面粗さを低減させる観点から、2次粒子の平均粒径は、好ましくは0.02〜3μm、さらに好ましくは0.05〜1μm、特に好ましくは0.03〜0.15μmとすることができる。なお、研磨砥粒の1次粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡で観察または透過型電子顕微鏡で観察して画像解析を行い、粒径を測定することにより求めることができる。また、2次粒子の平均粒径は、レーザー光散乱法を用いて体積平均粒径として測定することができる。
【0050】
本発明では、研磨基板に応じて種々の他の添加剤を使用することができる。好ましい添加剤としては、例えば、アミン、アンモニウム塩、アルカリ金属イオン、膜形成剤、錯化剤、界面活性剤、レオロジー制御剤、ポリマー性安定剤又は分散剤、および/またはハロゲン化物イオンを研磨系中に存在させることができる。添加剤は任意の好適な濃度で研磨系中に存在できる。
【0051】
また、スラリー組成物には、アミン化合物を添加することができ、アミン化合物としては、脂肪族アミン、環状アミン、複素環アミン、芳香族アミン、ポリアミンおよびそれらの組み合わせから選択することができる。好ましい実施形態では、アミン化合物は、アミノ酸またはアミノアルコールなど、少なくとも1つの酸素原子と、少なくとも1つの極性部分とを含むことができ、具体的には、ジメチルプロパノールアミン(2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール又はDMAMPとしても知られる)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(イソプロピルアミノ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、2−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)エタノール、1,1’−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]イミノ]−ビス−2−プロパノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、2−(ジイソプロピルアミノ)エタノール、N−(3−アミノプロピル)モルホリン、およびそれらの混合物を含むことができる。
【0052】
本発明ではアミン化合物の他、アンモニウム塩を添加することができ、例えば、水酸化されたアミン(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH))および第4級アンモニウム化合物などを使用することもできる。
【0053】
スラリー組成物には、各種塩類のカウンターイオンとしてアルカリ金属イオンが存在していても良い。好ましいアルカリ金属イオンとしては、周期表のI族の1価の卑金属イオンを挙げることができる。アルカリ金属イオンとしては、具体的には、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオンおよびセシウムイオンを使用することができる。カリウムイオンおよびセシウムイオンが好ましく、カリウムイオンがより好ましい。
【0054】
なお、本発明では、防食剤を研磨系と共に使用することができ、防食剤としては、アルキルアミン、アルカノールアミン、ヒドロキシルアミン、リン酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリビニルホスホン酸塩、ポリリンゴ酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリビニルスルホン酸塩、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾールおよびそれらの混合物を挙げることができる。
【0055】
さらに本発明においては任意的にキレート剤などをスラリー組成物に添加することができる。キレート化剤としては、例えば、アセチルアセトネートなどのカルボニル化合物、例えば、酢酸塩、アリールカルボン酸塩などのカルボン酸塩、少なくとも1のヒドロキシル基を含有するカルボン酸塩、例えば、グリコール酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、没食子酸およびそれらの塩など、ジカルボン酸塩、トリカルボン酸塩およびポリカルボン酸塩(例えば、シュウ酸塩、フタル酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、二ナトリウムEDTAなどのエデト酸塩、およびそれらの混合物などを挙げることができる。好ましいキレート剤としては、例えば、例えば、エチレングリコール、ピロカテコール、ピロガロール、タンニン酸などのジアルコール、トリアルコール又は多価アルコールおよびリン酸塩含有化合物を挙げることができる。
【0056】
本発明においては任意的に界面活性剤、粘度調整剤、凝固剤を研磨系と共に使用することができる。好適な粘度調整剤としては、例えば、ウレタンポリマー、少なくとも1つのアクリル単位を含むアクリル酸塩を挙げることができる。具体的には、粘度調整剤としては、低分子量のカルボン酸塩、高分子量のポリアクリルアミド化合物を挙げることができ、好ましい界面活性剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子電解質、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素化界面活性剤、それらの混合物などを挙げることができる。
【0057】
基板は、適切な研磨パッドを備えた研磨系で研磨することができる。研磨パッドとしては、例えば、織および不織の研磨パッドを好ましく使用することができる。好適な研磨パッドは、具体的には、合成樹脂製研磨パッドを使用することができ、好適なポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ナイロン、フッ化炭素、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレン、それらの共形成製品およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0058】
また、本発明のスラリー組成物および基板研磨方法は、シリコン基板のみならず、ポリシリコン膜、SiO膜、金属配線膜が形成されたシリコン基板、サファイア基板、SiC基板、GaAs基板、GaN基板、TSV形成用基板など、研磨処理が適用できる基板について適用することができる。また、本発明は、事前にスラリー組成物を調整しておき、調整後のスラリー組成物を研磨基板に供給しながら研磨パッドで研磨する方法の他、希釈液およびスラリー原液を研磨パッド上に供給し、研磨パッド近傍で基板研磨用のスラリー組成物を調整するいわゆるon-platen調合・調整を行う研磨方法にも適用することができる。
【0059】
さらに、本発明においては、水と、一般式(1)で示される水溶性重合体とを含有する水溶液を、研磨処理後の研磨基板を洗浄するリンス溶液として使用することもできる。本実施形態のリンス組成物は、水と、一般式(1)弟子される水溶性重合体の他、セルロース系重合体、ポリアルキレンオキシド重合体、その他の水溶性重合体、酸、塩基などのpH調整剤など、研磨砥粒を除いた各種の添加剤を添加して使用することができる。
【0060】
これまで本発明につき実施形態を以て詳細に説明してきたが、以下、本発明をさらに具体的な実施例によって説明する。なお、後述する実施形態は、本発明を理解するためもものであり、本発明を如何なる意味で限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0061】
下記構造式を有する添加剤をスラリー溶液に添加して本発明のスラリー組成物を作成し、そのLPDおよび表面曇り(DWOHaze)を測定した。スラリー組成物の調整およびシリコンウェーハ研磨条件は、以下の通りである。
【0062】
1.スラリー組成物(研磨液の濃縮物)の調整
構造式(2)の水溶性重合体の例示可能物として、ポリビニルアルコール-ポリエチレンオキサイドグラフト共重合体 (80:20mol%,Mw=93600,ケン化度98.5%、主幹:ポリビニルアルコール、側鎖:ポリエチレンオキサイド)、構造式(3)の水溶性重合体の例示化合物として、ポリエチレンオキサイド-ポリビニルアルコールグラフト共重合体 (25:75mol%,Mw=45000,ケン化度92〜99%,主幹:ポリエチレンオキサイド、側鎖:ポリビニルアルコール)、構造式(4)の重合体の例示化合物として、アルキレンポリアルキレンオキシドポリアミン重合体(EO:PO=8:2,平均窒素数5個,Mw=46000を添加し、下記表1の組成を有するスラリー組成物をそれぞれ調整した。なお、例1〜が実施例であり、例3、4が比較例である。
【0063】
【表1】
【0064】
2.研磨条件
1で作成したスラリー組成物を使用して、12インチp型シリコンウェーハ、抵抗率0.1〜100Ω・cm)、結晶方位<100>をフッ化水素酸(0.5%)で23℃・2分間洗浄して自然酸化膜を除去した後、スラリー組成物濃縮物を水で20倍希釈して研磨液とし、以下の条件で研磨処理を適用した。
(1)研磨装置:12インチ片面研磨機、岡本機械製作所製SPP800S
(2)ウェハヘッド:テンプレート方式
(3)研磨パッド:DOW社製 SPM3100
(4)定盤回転数:31rpm
(5)研磨ヘッド回転数:33rpm
(6)研磨圧:3psi=210g/cm=20.7kPa
(7)スラリー供給量:500mL/min(かけ流し)
【0065】
研磨後、シリコンウェーハを、SC−1(アンモニア(29質量%水溶液):過酸化水素(31質量%水溶液):純水=1:1:4(体積比)溶液)23℃ 20分間のバッチ洗浄後、その後さらに芝浦メカトロニクス製 SC−200S、SC−1(アンモニア(29質量%水溶液):過酸化水素(31質量%水溶液):純水=1:4:20(体積比)溶液)23℃ PVAブラシスクラブ洗浄した後、純水洗浄した。
【0066】
3.測定方法
洗浄後のシリコンウェーハ表面の表面粗さ(ヘイズ)は、KLA Tencor社製のSurfscan SP2を用い、暗視野ワイド斜入射チャネル(DWO)で測定されるDWO Hazeの値を用いた。LPDは、同じくKLA Tencor社製のSurfscan SP2を用い、暗視野コンポジット斜入射チャネル(DCO)におけるLPDの値を用いた。ナノ研磨欠陥は、LPDシグナルよりも強度が低く、表面からの散乱強度がベースライン強度よりも局所的に強いシグナルの量として定義した。具体的には、本実施例では、設定した領域内において観測された該当するシグナルをカウントして判定した。各測定値は、同一の添加剤について同一条件で少なくとも2回測定を行ない、その平均値を使用し、◎:優秀、○:良好、△:普通、×:不良の相対評価を行った。
【0067】
4.結果
評価結果を下記表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
さらに上記研磨後、研磨砥粒を含まないリンス組成物を製造して、例1〜2の研磨基板をブラシスクラブによりリンスし、純水洗浄し、同様にLPD、Haze(DWO)、ナノ研磨欠陥を評価したところ、良好な結果が得られた。
【0070】
以上のように、本発明によれば、Haze、LPDおよびナノスケールでの研磨欠陥を同時に改善することを可能とするスラリー組成物および基板研磨方法を提供することができる。
【0071】
これまで本発明を、実施形態をもって説明してきたが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。