(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カチオン性ポリマーが、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、ピリジル基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも1つの正荷電性部分を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の化粧方法。
カチオン性ポリマーが、キトサン、コラーゲン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、ポリアニリン、ポリビニルイミダゾール、ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、ポリアミン、ポリイミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリ(第四級ピリジン)、ポリリシン、ポリオルニチン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリアミノプロピルビグアニド、及びそれらの塩からなる群から選択される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化粧方法。
アニオン性ポリマーが、硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボキシル基及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負荷電性部分を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の化粧方法。
アニオン性ポリマーが、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド酸、ポリスチレンスルホネート、ポリ(ビニルスルフェート)、デキストランスルフェート、コンドロイチンスルフェート、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、カルボキシメチルセルロース、スチレン無水マレイン酸誘導体及びそれらの塩からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の化粧方法。
【発明を実施するための形態】
【0029】
鋭意検討の結果、本発明者らは、非常に薄く、ほとんど透明であり、皮膚に容易には知覚されず、生体適合性及び/又は生分解性材料等の種々の材料で調製でき、接着剤層が全くなくても皮膚によく接着できるために皮膚への刺激がより少なく又は刺激がなく、長期使用に対して耐久性である自立性美容シートを使用することによって、優れた美容効果、例えば、良好な皮膚の触感、皮膚の外観変化、及び/又は、皮膚の保護を与えることができる化粧方法を提供することが可能であることを発見した。美容シートは厚さが非常に薄いため、空気及び水に良好な透過性を有し、良好な弾性を有することができる。
【0030】
本発明者らはまた、上記特性に加えて、皮膚の老化を処置し、皮膚上の皮脂を吸収し、皮膚上の発汗を制御し、皮膚上の臭いを制御し、及び/又は、皮膚を介して美容有効成分を送達する等の優れた美容効果を与えることができる自立性美容シートを使用する化粧方法を提供することが可能であることも発見した。
【0031】
更に、本発明者らはまた、上記本発明による化粧方法のために使用できる皮膚用の自立性美容シートを提供することが可能であることも発見した。
【0032】
以下、本発明による化粧方法と、本発明による化粧方法のために使用される自立性美容シートを、より詳細に説明していく。
【0034】
本発明の一実施形態は、皮膚の外観を変え、皮膚の触感を変え、及び/又は、皮膚を保護する化粧方法であって、少なくとも1つの生体適合性及び/又は生分解性の疎水性ポリマー層を含む皮膚用の自立性美容シートを皮膚に適用する工程を含み、自立性美容シートが、10〜1000nm、好ましくは30〜500nm、より好ましくは50〜300nmの厚さを有する、化粧方法である。
【0035】
以下、本発明の第1の実施形態で使用する美容シートを、より詳細に説明していく。
【0036】
本発明で使用する美容シートは自立性である。本明細書中の用語「自立性」は、本発明で使用する美容シートをシートの形態とすることができ、基材又は担体の補助なしで独立したシートとして取り扱うことができることを意味する。すなわち、用語「自立性」は、「自己支持性」と同じ意味を持つことができる。
【0037】
美容シートは、少なくとも1種の生体適合性及び/又は生分解性のポリマー層を含む。2種又はそれ以上の生体適合性及び/又は生分解性のポリマーを組み合わせて使用してよい。そのため、単一の種類の生体適合性及び/若しくは生分解性のポリマー、又は、異なる種類の生体適合性及び/若しくは生分解性のポリマーの組み合わせが使用できる。
【0038】
本明細書中の用語「生体適合性」ポリマーとは、ポリマーが、ポリマーと皮膚を含めた生体中の細胞との間に過度な相互作用を持たず、ポリマーが生体に異物として認識されないことを意味する。
【0039】
本明細書中の用語「生分解性」ポリマーは、例えば、生体自体の代謝又は生体中に存在し得る微生物の代謝に起因して、ポリマーが生体中で劣化又は分解し得ることを意味する。また、生分解性ポリマーは、加水分解によって劣化し得る。
【0040】
本明細書中の用語「疎水性」は、20〜40℃、好ましくは25〜40℃、より好ましくは30〜40℃でのポリマーの水(好ましくは1リットルの容量)に対する溶解性が、ポリマーの総質量に対して、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、より好ましくは1質量%未満、更により好ましくは0.1質量%未満であることを意味する。ポリマーが水に不溶性であることが最も好ましい。
【0041】
本発明で使用する美容シートが生体適合性及び/又は生分解性のポリマーを使用するため、皮膚への刺激はより少ない、又は刺激がなく、いかなる発疹も起こさない。加えて、非常に薄い厚さと、生体適合性及び/又は生分解性ポリマーの使用とを組み合わせて、本発明で使用する美容シートは皮膚によく接着できる。
【0042】
生体適合性及び/又は生分解性ポリマーの例として、ポリビニルアルコール及びその誘導体;ポリエチレンオキシド及びその誘導体;ポリビニルピロリドン及びその誘導体;ポリ乳酸;ポリアミノ酸;カゼイン、アルブミン、及びゼラチン等のタンパク質;グリコーゲン、デキストリン、デキストラン、ヒドロキシプロピルセルロース、アガロース、キチン、及びプルラン等の多糖;並びにカルボキシビニルポリマーを挙げることができる。
【0043】
上記のポリマーは架橋であっても架橋でなくてもよい。
【0044】
生体適合性及び/又は生分解性ポリマーとして、非架橋ポリマー、例えば非架橋ポリ乳酸及びその誘導体を使用することが好ましい。2種又はそれ以上の非架橋ポリマーを組み合わせて使用してよい。そのため、単一の種類の非架橋ポリマー、又は異なる種類の非架橋ポリマーの組み合わせが使用できる。
【0045】
ポリ乳酸の誘導体として、以下の繰り返し単位:
【0047】
(式中、R
1及びR
2は、独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を指すが、但しR
1及びR
2は同時には水素原子及びメチル基を指さない)
を有するポリマーを挙げることができる。自立性薄型シートの材料としてのポリ乳酸の使用が、参照により本明細書に組み込まれるAdv. Mater.、21、4388〜4392頁、2009年に開示されている。
【0048】
生体適合性及び/又は生分解性ポリマーとして、架橋ポリマーを使用することも好ましい。2種又はそれ以上の架橋ポリマーを組み合わせて使用してよい。そのため、単一の種類の架橋ポリマー、又は異なる種類の架橋ポリマーの組み合わせが使用できる。ポリマーの自立能力を強化するために、ポリマーを架橋させることは好ましいことがある。自立性薄型シートの材料としての使用は、参照により本明細書に組み込まれるPure and Applied Chemistry、80、2259〜2271頁、2008年に開示されている。
【0049】
少なくとも1種の非架橋ポリマー、例えばポリ乳酸と少なくとも1種の架橋ポリマーとの組み合わせを、生体適合性及び/又は生分解性ポリマーとして使用することが可能である。
【0050】
生体適合性及び/又は生分解性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1種のカチオン性ポリマーと少なくとも1種のアニオン性ポリマーとを含むことによって調製することができる。そのため、生体適合性及び/又は生分解性のポリマーは、好ましくは、少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含むことができる。2種又はそれ以上のカチオン性又はアニオン性のポリマーを組み合わせて使用してよい。そのため、単一の種類のカチオン性若しくはアニオン性ポリマー、又は異なる種類のカチオン性若しくはアニオン性ポリマーの組み合わせが使用できる。
【0051】
カチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム基、グアニジン基、ビグアニド基、イミダゾール基、イミノ基、ピリジル基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも1つの正荷電性部分を有してよい。
【0052】
カチオン性ポリマーは、キトサン、コラーゲン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリジアリルジアルキルアンモニウムクロリド、ポリアニリン、ポリビニルイミダゾール、ポリジメチルアミノエチレンメタクリレート、ポリ-1-メチル-2-ビニルピリジン、ポリアミン、ポリイミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリ(第四級ピリジン)、ポリリシン、ポリオルニチン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリアミノプロピルビグアニド、及びそれらの塩からなる群から選択できる。キトサンが好ましい。
【0053】
アニオン性ポリマーは、硫酸基、スルフェート基、スルホン酸基、スルホネート基、リン酸基、ホスフェート基、ホスホン酸基、ホスホネート基、カルボキシル基及びカルボキシレート基からなる群から選択される少なくとも1つの負荷電性部分を有してよい。
【0054】
アニオン性ポリマーは、アルギン酸、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド酸、ポリスチレンスルホネート、ポリ(ビニルスルフェート)、デキストランスルフェート、コンドロイチンスルフェート、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、カルボキシメチルセルロース、スチレン無水マレイン酸誘導体及びそれらの塩からなる群から選択できる。アルギン酸又はその塩が好ましく、アルギン酸ナトリウムがより好ましい。
【0055】
本発明による自立性美容シートは、10〜1000nm、好ましくは30〜500nm、より好ましくは50〜300nm、更により好ましくは70〜200nm、最も好ましくは80〜150nmの厚さを有する。
【0056】
このような非常に薄い厚さの自立性美容シートは、例えば、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマー又はその逆を交互に積層することによって調製することが可能である。交互に積層されるため、カチオン性ポリマーの正電荷とアニオン性ポリマーの負電荷は、互いに静電的に引かれ合い、美容シートの自立特性を強化するのに好都合になり得る架橋構造を形成する。
【0057】
交互積層は、例えば、カチオン性ポリマー溶液とアニオン性ポリマー溶液を交互に使用して、SiO
2担体等の担体をスピンコーティングすることによって実施することができる。キトサン等のカチオン性ポリマー溶液とアルギン酸ナトリウム等のアニオン性ポリマー溶液を含有するSiO
2担体のスピンコーティングによる非常に薄いシートの調製は、参照により本明細書に組み込まれるAdv. Mater.、19、3549〜3553頁、2007年及びSurgery、148、48〜58頁、2010年に開示されている。
【0058】
本発明による美容シートは、少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含む生体適合性及び/又は生分解性ポリマー層を含むことが好ましいが、その理由はカチオン性及びアニオン性ポリマーによって調製されるポリマーが疎水性であることができ、したがって本発明による美容シートが耐水性であることができ、強化された耐久性を有し得るからである。
【0059】
美容シートは、脱臭、スキンケア又はメーキャップ等の美容目的で、皮膚に適用することができる。
【0060】
本発明による美容シートは、少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含む生体適合性及び/又は生分解性ポリマー層を含むことが好ましいが、その理由はポリマー中のカチオン性基及びアニオン性基がそれぞれ酸性及び塩基性の悪臭分子を捕獲することができ、且つ/又は抗菌特性を有することができる(ポリリシン等のカチオン性ポリマーは抗菌特性を有する)からである。
【0061】
本発明の第1の実施形態は、皮膚の外観を変化させ、皮膚の触感を変化させ、且つ/又は皮膚を保護する化粧方法である。
【0062】
上記の化粧方法は、上記の自立性美容シートがいずれの美容有効成分を含まなくても、前記美容シートを使用することによって実施することができる。
【0063】
例えば、自立性美容シートは、皮膚上の光反射等を変えることによって皮膚の外観を即座に変化又は修正することができる。したがって、自立性美容シートは、毛穴又は皺等の皮膚の不具合を隠すことが可能である。更に、自立性美容シートは、皮膚上の表面粗さ等を変えることによって皮膚の触感を即座に変化又は修正することができる。更に、自立性美容シートは、汚染、汚染物質等の環境ストレスから、バリアーとして、皮膚の表面を覆い、皮膚をシールドすることによって、皮膚を即座に保護することができる。
【0064】
そのため、用語「皮膚を保護する化粧方法」とは、自立性美容シートが、汚染、汚染物質等の環境ストレスから、バリアーとして、皮膚の表面を覆い、皮膚をシールドすることによって、皮膚を保護することができることを意味する。
【0065】
上記の美容効果は、美容シートの化学組成、厚さ及び/又は表面粗さを変化させることによって調節又は制御することができる。
【0066】
皮膚に適用した後で、美容シート上にメーキャップ化粧料組成物を適用することも可能である。
【0067】
自立性美容シートを、基材シートに付着させる条件下で使用することが好ましいが、その理由は美容シートの皮膚への適用が容易になるからである。例えば、美容シートの複合材シート及び基材シートは、美容シートが皮膚に直接接触し、基材シートを美容シートからはがすことによって除去できる、又は美容シートが疎水性で基材シートが水溶性の場合、水で洗浄できるように、皮膚上に適用することができる。そのため、美容シートのみを皮膚上に残すことができる。
【0068】
(化粧方法及び自立性美容シートの第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、皮膚の老化を処置し、皮膚上の皮脂を吸収し、皮膚上の発汗を制御し、皮膚上の臭いを制御し、且つ/又は皮膚を介して少なくとも1種の美容有効成分を送達する化粧方法であって、少なくとも1つの生体適合性及び/又は生分解性の疎水性ポリマー層を含む皮膚用の自立性美容シートを皮膚に適用する工程を含み、自立性美容シートが、10〜1000nm、好ましくは30〜500nm、より好ましくは50〜300nmの厚さを有し、美容シートが、抗皮脂剤、抗ニキビ剤、デオドラント剤、制汗剤、抗菌剤、老化防止剤、美白剤又はそれらの混合物から好ましくは選択される、少なくとも1種の美容有効成分を含む、化粧方法である。
【0069】
本発明の別の態様は、上記の自立性美容シートそのものである。本発明による自立性美容シートは、皮膚上に適用されることが意図される。
【0070】
以下、本発明のこの第2の実施形態において使用される本発明による美容シートについてより詳細に説明していく。
【0071】
本発明の第2の実施形態において使用される美容シートは、本発明の第1の実施形態による化粧方法で使用する美容シート中に、好ましくは生体適合性及び/又は生分解性の疎水性ポリマー層中に、少なくとも1種の美容有効成分を含む。
【0072】
美容有効成分には制限がない。2種又はそれ以上の美容有効成分を組み合わせて使用できる。そのため、単一の種類の美容有効成分、又は異なる種類の美容有効成分の組み合わせが使用できる。
【0073】
本発明によれば、美容有効成分は抗皮脂剤でよい。抗皮脂剤を含む本発明による美容シートは、皮脂が原因でテカっている外観を低減することによって皮膚の外観を変化させることができる。加えて、抗皮脂剤はシート中にあるため、有害な外的要因から皮膚が保護される。そのため、抗皮脂剤を含む本発明による美容シートは、皮膚への刺激がより少ない又は刺激がない可能性がある。
【0074】
抗皮脂剤の例として、乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ピドロ酸亜鉛、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛及びシステイン酸(cysteate)亜鉛等の亜鉛塩、並びにカルボン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム及び酸化マグネシウム等のマグネシウム塩を挙げることができる。
【0075】
美容有効成分は、レチノイド、特にレチノール等の皮脂調節剤(seboregulatory agents);硫黄及び硫黄含有誘導体;塩化セレン;ビタミンB6又はピリドキシン;カプリロイルグリシン、サルコシン及び特にSeppic社よりSepicontrol A5(登録商標)の商標名で販売されているシナモン(Cinnamomum zeylanicum)の抽出物の混合物;特にSecma社よりPhlorogine(登録商標)の商標名で販売されているカラフトコンブ(Laminaria saccharina)の抽出物;特にSilab社によりSebonormine(登録商標)の商標名で販売されているスピラエアウルマリア(Spiraea ulmaria)の抽出物;例えば全てMaruzen社により販売されている種アルニカ・モンタナ(Arnica montana)、アカキナノキ(Cinchona succirubra)、チョウジ(Eugenia caryophyllata)、ホップ(Humulus lupulus)、セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)、セイヨウハッカ(Mentha piperita)、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)、サルビア(Salvia officinalis)及びタチジャコウソウ(Thymus vulgaris)の植物抽出物;特にEuromed社により販売されているノコギリヤシ(Serenoa repens)の抽出物;オオアザミ(genus Silybum)の植物抽出物;サポゲニンを含有する植物抽出物、とりわけヤマノイモ科のジオスゲニン富化抽出物;並びにオイゲノール及びオイゲニルグルコシドを含有するチョウジの抽出物から選択することも可能である。
【0076】
本発明によれば、美容有効成分は抗ニキビ剤でよい。
【0077】
本発明によれば、美容有効成分は、デオドラント剤、制汗剤又は抗菌剤でよい。
【0078】
デオドラント剤の例として、EDTA及びDPTA等のキレート剤;悪臭化合物の形成に関わる酵素の阻害剤、例えばアリールスルファターゼ、5-リポキシゲナーゼ、アミノアシラーゼ、及びβ-グルクロニダーゼの各阻害剤;ゼオライト;シクロデキストリン;並びに金属酸化物ケイ酸塩を挙げることができる。
【0079】
デオドラント剤は、シクロデキストリン及びその誘導体から選択することが好ましい。任意の種類のシクロデキストリン及びその誘導体を使用することができる。使用できるシクロデキストリンは、例えば、次式:
【0081】
[式中、xは、4(α-シクロデキストリンに対応する)、5(β-シクロデキストリンに対応する)及び6(γ-シクロデキストリンに対応する)から選択される]
のオリゴ糖から選択することができる。一実施形態において、シクロデキストリンは、β-シクロデキストリン及びγ-シクロデキストリン、例えばβ-シクロデキストリンから選択することができる。例えば、WACKER社によりCAVAMAX W7 PHARMAの名称で販売されているβ-シクロデキストリン及びWACKER社によりCAVAMAX W8の名称で販売されているγ-シクロデキストリンを使用することができる。別の実施形態では、シクロデキストリンの誘導体は、例えば、メチルシクロデキストリン、例えばWACKER社によりCAVASOL W7の名称で販売されているメチル-β-シクロデキストリンから選択することができる。
【0082】
制汗剤の例として、アルミニウム塩、ジルコニウム塩及び上述の亜鉛塩を挙げることができる。制汗性のアルミニウム塩が好ましい。本明細書で使用する用語「制汗性のアルミニウム塩」は、汗の流れを低減する、又は制限する効果を持つ任意の塩又は任意のアルミニウム錯体を意味する。本開示によるアルミニウム塩は、例えば、アルミニウムハロ水和物、アルミニウムジルコニウムハロ水和物、並びにアミノ酸とのジルコニウムヒドロキシクロリド及びアルミニウムヒドロキシクロリドの錯体、例えば通称「ZAG錯体」である米国特許第3,792,068号に記載のものから選択することができる。アルミニウム塩の中では、例えば、活性形態又は不活性形態のアルミニウムクロロ水和物、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムクロロハイドレックスポリエチレングリコール錯体、アルミニウムクロロハイドレックスプロピレングリコール錯体、アルミニウムジクロロ水和物、アルミニウムジクロロハイドレックスポリエチレングリコール錯体、アルミニウムジクロロハイドレックスプロピレングリコール錯体、アルミニウムセスキクロロ水和物、アルミニウムセスキクロロハイドレックスポリエチレングリコール錯体、アルミニウムセスキクロロハイドレックスプロピレングリコール錯体、及び乳酸ナトリウムアルミニウムで緩衝化した硫酸アルミニウムを挙げることができる。アルミニウムジルコニウム複塩の中では、例えば、アルミニウムジルコニウムオクタクロロ水和物、アルミニウムジルコニウムペンタクロロ水和物、アルミニウムジルコニウムテトラクロロ水和物、及びアルミニウムジルコニウムトリクロロ水和物を挙げることができる。アルミニウムジルコニウム復塩の例には、Reheis社によりReach AZP-908-SUFの名称で販売されている製品がある。アミノ酸とのジルコニウムヒドロキシクロリド及びアルミニウムヒドロキシクロリドの錯体は一般的に、ZAG(アミノ酸がグリシンである場合)として知られている。これらの製品のうち、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレックスグリシン錯体、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレックスグリシン錯体、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスグリシン錯体、及びアルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスグリシン錯体を挙げることができる。
【0083】
抗菌剤の例として、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(又はトリクロサン)、3,4,4'-トリクロロカルバニリド、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、イセチオン酸ヘキサミジン、メトロニダゾール及びその塩、ミコナゾール及びその塩、イトラコナゾール、テルコナゾール、エコナゾール、ケトコナゾール、サペルコナゾール、フルコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール、スルファコナゾール、スルコナゾール、テルビナフィン、シクロピロクス、シクロピロクソールアミン、ウンデシレン酸及びその塩、過酸化ベンゾイル、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フィチン酸、N-アセチル-L-システイン酸、リポ酸、アゼライン酸及びその塩、アラキドン酸、レゾルシノール、オクトピロックス、オクトキシグリセロール、オクタノールグリシン、カプリリルグリコール、10-ヒドロキシ-2-デカン酸、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン及びその誘導体(特許WO9318743に記載)、ピドロ酸銅、サリチル酸、ヨードプロピニルブチルカルバメート、ファルネソール、フィトスフィンゴシン及びそれらの混合物を挙げることができる。加えて、銀イオン等の金属イオンを与えることができる金属塩を使用してよい。
【0084】
本発明によれば、美容有効成分は、老化防止剤又は美白剤でよい。
【0085】
老化防止活性剤は、皮膚の老化の兆候を処置又は予防することができる任意の活性剤でよい。
【0086】
老化防止剤の例として、保湿剤、遊離基捕捉剤、角質溶解剤、ビタミン、抗エラスターゼ剤及び抗コラゲナーゼ剤、プロチド、脂肪酸誘導体、ステロイド、微量元素、漂白剤、藻類抽出物及びプランクトン抽出物、日焼け止め剤、酵素及び補酵素、フラボノイド及びセラミド、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0087】
I.有用な保湿剤には、乳酸ナトリウム;ポリオール、特にグリセロール、ソルビトール及びポリエチレングリコール;マンニトール;アミノ酸;ヒアルロン酸;ラノリン;尿素及び尿素を含有する混合物、例えばNMF(「天然保湿成分」);ワセリン;並びにそれらの混合物が含まれる。
【0088】
II.有用な遊離基捕捉剤には、ホスホン酸誘導体、例えばエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、及びそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、例えばエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム塩;エチレンジアミンテトラ酢酸及びその塩、例えばナトリウム塩;グアノシン;スーパーオキシジスムターゼ(superoxydismutase);トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体(アセテート);エトキシキン;ラクトフェリン;ラクトペルオキシダーゼ及びニトロキシド誘導体;超酸化物ジスムターゼ;グルタチオンペルオキシダーゼ;遊離基捕捉活性を有する植物抽出物、例えばSilab社によりDetoxilineの参照名で販売されている小麦胚芽の水性抽出物;並びにそれらの混合物が含まれる。
【0089】
III.有用な角質溶解剤には、α-ヒドロキシ酸、とりわけ果物由来の酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及びマンデル酸、それらの誘導体並びにそれらの混合物と;β-ヒドロキシ酸、例えばサリチル酸及びその誘導体、例えば5-n-オクタノイルサリチル酸又は5-n-ドデカノイルサリチル酸と;α-ケト酸、例えばアスコルビン酸又はビタミンC及びその誘導体、例えばその塩、例えばアスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム又はリン酸アスコルビルナトリウム;そのエステル、例えば酢酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル及びプロピオン酸アスコルビル、又はその糖、例えばグリコシル化アスコルビン酸、並びにそれらの混合物と;β-ケト酸xと;レチノイド、例えばレチノール(ビタミンA)及びそのエステル、レチナール、レチノイン酸及びその誘導体、並びに文書FR-A-2,570,377、EP-A-199636、EP-A-325-540及びEP-A-402072に記載のレチノイドと;それらの混合物とが含まれる。
【0090】
IV.上記に示されたビタミンA、E及びCに加えて、有用なビタミンには、ビタミンB3(又はビタミンPP若しくはナイアシンアミド)、ビタミンB5(又はパンテノール)、ビタミンD、ビタミンF、これらのビタミンの誘導体、類似体及び前駆体、並びにビタミンA、E及びCの誘導体、類似体及び前駆体、例えばビタミンAの前駆体であるリコピン又はカロチンと、それらの混合物とが含まれる。
【0091】
ビタミンB3は、ビタミンPPとしても知られており、次式:
【0093】
[式中、Rは、-CONH
2(ナイアシンアミド)、-COOH(ニコチン酸又はナイアシン)、-CH
2OH(ニコチニルアルコール)、-CO-NH-CH
2-COON(ニコチン尿酸)又は-CO-NH-OH(ニコチニルヒドロキサム酸)でよい]
の化合物である。ビタミンB3誘導体には、ニコチン酸エステル、例えばニコチン酸トコフェロール;-CONH
2の水素基の置換によるナイアシンアミド由来のアミド;カルボン酸とアミノ酸の反応生成物;ニコチニルアルコールと、酢酸、サリチル酸、グリコール酸又はパルミチン酸等のカルボン酸とのエステルが含まれる。以下の誘導体も挙げることができる:2-クロロニコチンアミド、6-メチルニコチンアミド、6-アミノニコチンアミド、N-メチルニコチンアミド、N,N-ジメチルニコチンアミド、N-(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド、キノリン酸イミド(quninolinic acid imide)、ニコチンアニリド、N-ベンジルニコチンアミド、N-エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、メチルイソニコチン酸、チオニコチンアミド、ニアラミド、2-メルカプトニコチン酸、ニコモール及びニアプラジン。その他のビタミンB3誘導体には、その無機塩、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物及び炭酸塩、並びにその有機塩、例えばカルボン酸との反応によって得られる塩、例えば酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩等も挙げることができる。
【0094】
ビタミンB5として、パンテノール又はパンテニルアルコール又は2,4-ジヒドロキシ-N(3-ヒドロキシプロピル)-3,3-ジメチルブタンアミドをその種々の形態:D-パンテノール、DL-パンテノール、並びにその誘導体及び類似体、例えばパントテン酸カルシウム、パンテチン、パントテイン、エチルパンテニルエーテル、パンガミン酸、ピリドキシン及びパントイルラクトース、並びにそれらを含有する天然化合物、例えばロイヤルゼリーで使用することも可能である。
【0095】
ビタミンDとして、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3及びその類似体、並びにビタミンD類似体、例えば文書WO-A-00/26167に記載のもの、例えば、
3-ヒドロキシメチル-5-{2-[3-(5-ヒドロキシ-5-又は6-メチルヘキシル)-フェニル]-ビニル}-フェノール、
3-[3-(5-ヒドロキシ-1,5-ジメチル-ヘキシル)-フェノキシメチル]-5-ヒドロキシメチル-フェノール、
6-[3-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-ベンジルオキシ)-フェニル]-2-メチル-ヘプタ-3,5-ジエン-2-オール,
6-[3-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-ベンジルオキシ)-フェニル]-2-メチル-ヘキサン-2-オール、
6-[3-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-フェノキシメチル)-フェニル]-2-メチル-ヘプタン-2-オール、
7-[3-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-フェノキシメチル)-フェニル]-3-エチル-オクタン-3-オール、
5-{2-[4-(5-ヒドロキシ-5-メチル-ヘキシル)-フェニル]-ビニル又は-エチル}-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-又は4-(6-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプチル)フェニル]ビニル}-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-又は4-(6-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプチル)-フェニル]エチル-ベンゼン-1,3-ジオール、
2-ヒドロキシメチル-4-{2-[3-又は4-(5-ヒドロキシ-5-メチルヘキシル)-フェニル]-ビニル-フェノール、
2-ヒドロキシメチル-4-{2-[3-又は4-(6-ヒドロキシ-6-メチルヘプチル)-フェニル]-ビニル}-フェノール、
2-ヒドロキシメチル-4-{2-[3-又は4-(5-ヒドロキシ-5-メチルヘプチル)-フェニル]-エチル}-フェノール、
2-ヒドロキシメチル-4-{2-[3-又は4-(6-ヒドロキシ-6-メチルヘプチル)-フェニル]-エチル}-フェノール、
2-ヒドロキシメチル-5-(2-[4-(5-ヒドロキシ-5-メチル-ヘキシル)フェニル]-ビニル-フェノール、
6-[3-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-ベンジルオキシ)-フェニル]2-メチル-ヘプタン-2-オール、
4-[3-(5-ヒドロキシ-1,5-ジメチル-ヘキシル)-フェノキシメチル]2-ヒドロキシメチル-フェノール、
6-[3-又は4-[2-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-フェニル)-ビニル]フェニル}-2-メチル-ヘキサン-2-オール、
7-{4-[2-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-フェニル)-ビニル]フェニル}-2-メチル-ヘプタン-2-オール、
5-{2-[3-(6-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプチル)-フェニル]-1-メチルビニル-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(5-ヒドロキシ-5-メチル-ヘキシル)-フェニル]-ビニル}ベンゼン-1,3-ジオール、
5-[3-(6-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプチル) -フェノキシメチル]ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(7-ヒドロキシ-7-メチル-オクタ-1-エニル)-フェニル]ビニル}-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(7-ヒドロキシ-7-メチル-オクチル)-フェニル]-ビニルベンゼン-1,3-ジオール、
4-{2-[3-(6-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプチル)-フェニル]-ビニル)ベンゼン-1,2-ジオール、
3-{2-[3-(6-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプチル)-フェニル]-ビニル}フェノール、
6-{3-[2-(3,5-ビス-ヒドロキシメチル-フェニル)-ビニル]フェニル}-2-メチル-ヘキサン-2-オール、
3-{2-[3-(7-ヒドロキシ-7-メチル-オクチル)-フェニル]-ビニル}フェノール、
7-{3-[2-(3,5-ビス-ヒドロキシメチル-フェニル)-ビニル]フェニル-2-メチル-ヘプタン-2-オール、
7-{3-[2-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-フェニル)-ビニル]フェニル}-2-メチル-ヘプタン-2-オール、
7-{3-[2-(4-ヒドロキシメチル-フェニル)-ビニル]-フェニル}2-メチル-ヘプタン-2-オール、
4-{2-[3-(7-ヒドロキシ-7-メチル-オクタ-1-エニル)-フェニル]ビニル}-ベンゼン-1,2-ジオール、
7-[3-(3,4-ビス-ヒドロキシメチル-フェニルエチニル)-フェニル]2-メチル-ヘプタン-2-オール、
5-{2-[3-(6-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプタ-1-エニル)-フェニル]ビニル}-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(7-エチル-7-ヒドロキシ-ノナ-1-エニル)-フェニル]ビニル)-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(7-ヒドロキシ-1-メトキシ-1,7-ジメチル-オクチル)フェニル]-ビニル-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(6-ヒドロキシ-1-メトキシ-1,6-ジメチル-ヘプチル)フェニル]-ビニル}-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(5-ヒドロキシ-ペンチル)-フェニル]-ビニル-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(5-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプチル)-フェニル]-ビニル}ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(6-ヒドロキシ-7-メチル-オクチル)-フェニル]-ビニル)ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(5-ヒドロキシ-6-メチル-ヘプタ-1-エニル)-フェニル]ビニル}-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(6-ヒドロキシ-7-メチル-オクタ-1-エニル)-フェニル]ビニル}-ベンゼン-1,3-ジオール、
5-{2-[3-(1,6-ジヒドロキシ-1,6-ジメチル-ヘプチル)-フェニル]ビニル}-ベンゼン-1,3-ジオール、及び
5-(2-[3-(6-ヒドロキシ-1,6-ジメチル-ケプト-1-エニル)-フェニル]ビニル}-ベンゼン-1,3-ジオール
を挙げることができる。
【0096】
ビタミンFは、必須脂肪酸の混合物であり、すなわち、少なくとも1つの二重結合を含有する不飽和酸、例えばリノール酸又は9,12-オクタデカジエン酸、及びその立体異性体、α形態のリノレン酸(9,12,15-オクタデカトリエン酸)又はγ形態のリノレン酸(6,9,12-オクタデカトリエン酸)及びそれらの立体異性体、アラキドン酸又は5,8,11,14-エイコサテトラエン酸及びその立体異性体である。ビタミンF又はその類似体、例えば少なくとも1つの二重結合を含有する不飽和酸、とりわけリノール酸、リノレン酸、及びアラキドン酸の混合物、又はそれらを含有する化合物、とりわけ、それらを含有する植物起源の油、例えばホホバ油等を、本発明の美容シート中に使用してもよい。
【0097】
V.有用な抗エラスターゼ剤には、ペプチド誘導体、とりわけ豆類種子由来のペプチド、例えばLaboratoires Seriobiologiques de Nancy社によりParelastylの参照名で販売されているもの;特許出願FR-A-2,180,033に記載のN-アシルアミノアミド誘導体、例えばエチル{2-[アセチル(3トリフルオロメチルフェニル)アミノ]-3-メチルブチリルアミノ}アセテート及び{2-[アセチル-(3-トリフルオロメチルフェニル)アミノ]-3-メチルブチリルアミノ}酢酸、並びにそれらの混合物が含まれる。抗コラゲナーゼ剤には、メタロプロテアーゼ阻害剤、例えばエチレンジアミン酸(EDTA)及びシステイン、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0098】
VI.有用なプロチドには、タンパク質(小麦又は大豆タンパク質)、それらの加水分解物、例えばSilab社によりTensineの参照名で販売されているもの、及びそれらの混合物が含まれる。
【0099】
VII.有用な脂肪酸誘導体には、タコ由来の必須脂肪酸リン脂質を含めた多価不飽和リン脂質、及びそれらの混合物が含まれる。
【0100】
VIII.有用なステロイドには、DHEA又はデヒドロエピアンドロステロン、その生物学的前駆体、その代謝産物、及びそれらの混合物が含まれる。DHEAの「生物学的前駆体」という表現は、とりわけ、Δ5-プレグネノロン、17α-ヒドロキシプレグネノロン及び17α-硫酸ヒドロキシプレグネノロンを意味する。「DHEA誘導体」という表現は、その代謝誘導体とその化学的誘導体の両方を意味する。とりわけ挙げることができる代謝誘導体には、Δ5-アンドロステン-3,17-ジオール、とりわけ5-アンドロステン-3β,17β-ジオール、Δ4-アンドロステン-3,17-ジオン、7-ヒドロキシDHEA(7α-ヒドロキシDHEA又は7β-ヒドロキシDHEA)及びそれ自体が7β-ヒドロキシDHEAの代謝産物である7-ケト-DHEAが含まれる。好ましい群は、デヒドロエピアンドロステロン、5-プレグネノロン、17-ヒドロキシプレグネノロン、17-硫酸ヒドロキシプレグネノロン、5-アンドロステン-3,17-ジオール、4-アンドロステン-3,17-ジオン、7-ヒドロキシDHEA、7-ケト-DHEA、並びにそれらの混合物である。
【0101】
IX.有用な微量元素には、銅、亜鉛、セレン、鉄、マグネシウム及びマンガン、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0102】
X.有用な漂白剤には、年齢の痕跡を処置又は予防する任意の化合物、すなわちメラニン形成が起こる表皮メラニン細胞の活力に直接作用し、及び/又は、メラニン形成に関わる酵素の1つを阻害するか、若しくはメラニンの合成鎖中の化学的化合物の1つの構造類似体として挿入されて該鎖が遮断され得るようにすることのいずれかによって、メラニンの生合成における工程の1つを妨げて脱色をもたらす任意の脱色化合物が含まれる。挙げることができる漂白活性剤には、例えば、コウジ酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその誘導体、例えばアルブチン及びそのエステル;エラグ酸及びその誘導体;植物抽出物、とりわけカンゾウ、クワ、タツナミソウ属(scutellaria)の抽出物;グルタチオン及びその前駆体;システイン及びその前駆体;文書WO-A-99/10318に記載のアミノフェノール由来の化合物、例えば、とりわけ、N-エチルオキシカルボニル-4-アミノフェノール、N-エチルオキシカルボニル-O-エチルオキシカルボニル-4-アミノフェノール、N-コレステリルオキシカルボニル-4-アミノフェノール及びN-エチルアミノカルボニル-4-アミノフェノール;並びにこれらの化合物の混合物が含まれる。
【0103】
XI.有用な藻類抽出物には、紅藻及び褐藻抽出物、例えば、ラミナリア科由来の褐藻抽出物、例えばLaminaria digitara種由来の抽出物、より特定すると、褐藻の被膜多糖の制御された酵素的解重合によって得られるオリゴ糖濃縮液である、CODIF社によりPhycosaccharidesの名称で販売されている製品が含まれる。藻類抽出物は、2種の尿酸:マンヌロン酸及びグルロン酸の配列を含む。
【0104】
XII.有用なプランクトン抽出物には、Chimex社によりMexoryl SAHの名称で販売されている水性分散体中のプランクトン(CTFA名:ビトレオシラフェルメント)が含まれる。
【0105】
XIII.使用できる有用な酵素には、動物、微生物(細菌、真菌又はウイルス)起源又は合成起源(化学合成又はバイオテクノロジー合成によって得られる)の、純結晶形態又は不活性希釈液に希釈した形態の任意の酵素が含まれる。例として、リパーゼ、プロテアーゼ、ホスホリパーゼ、セルラーゼ、ペルオキシダーゼ、とりわけラクトペルオキシダーゼ、カタラーゼ及びスーパーオキシドジスムターゼの中から、又は上述の酵素を含有する植物抽出物の中から挙げることができ、またそれらの混合物を挙げることができる。これらは、例えば、Novo Nordisk社より「Subtilisine SP554」の商標名で販売されている製品及びLaboratoires Serobiologiques de Nancy社により「Lysoveg LS」の商標名で販売されている製品から選択してもよい。とりわけ使用できる補酵素には、アルキレン化鎖ベンゾキノンのファミリーに属するユビキノン又は補酵素Q10、ビオチン(又はビタミンH)である補酵素R、及びそれらの混合物が含まれる。
【0106】
XIV.挙げることができる有用なフラボノイドには、例えば、フラボノイドのサブクラスを構成し、種々の置換基及び異なるレベルの酸化を含み得る3-フェニルクロマン骨格から形成されるイソフラボノイドが含まれる。用語「イソフラボノイド」は、イソフラボン、イソフラバノン、ロテノイド、プテロカルパン、イソフラバン、イソフラバン-3-エン、3-アリルクマリン、3-アリール-4-ヒドロキシクマリン、クメスタン、クマロノクロモン、a-メチルデオキシベンゾイン及び2-アリールベンゾフラン、並びにそれらの混合物のうち、いくつかのクラスの化合物を組み合わせる。このことについて、イソフラボノイド、その分析方法及びその源を完全に見直すために、P.M. Dewick著、Harbone編のThe Flavonoids、第5章「Isoflavonoids」、125〜157頁(1988年)が有利に参照されるであろう。
【0107】
イソフラボノイドは、天然起源であっても合成起源であってもよい。「天然起源」という表現は、天然起源の、元素、一般的には植物からの種々の抽出方法によって得られる、純粋形態の、又は溶かして種々の濃度にしたイソフラボノイドを意味する。「合成起源」という表現は、化学合成で得られる、純粋形態の、又は溶かして種々の濃度にしたイソフラボノイドを意味する。天然起源のイソフラボノイドを使用することが好ましい。これらのうち、ダイジン、ゲニスチン、ダイゼイン、ホルモノネチン、クネアチン、ゲニステイン、イソプルネチン及びプルネチン、カジャニン、オロボール、プラテンセイン、サンタル、ジュニペゲニン(junipegenin)A、グリシテイン、アフロルモシン、レツシン、テクトリゲニン、イリソリドン及びジャマイシン、並びにそれらの類似体及び代謝産物を挙げることができる。
【0108】
XV.使用できる有用なセラミドには、天然起源又は合成起源の任意の種類のセラミド、例えばタイプII、タイプIII、タイプIV又はタイプVIのセラミド、及びそれらの混合物が含まれる。挙げることができるセラミドの例として、N-オレオイルジヒドロスフィンゴシン、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、N-α-ヒドロキシベヘノイルジヒドロスフィンゴシン、N-α-ヒドロキシパルミトイルジヒドロスフィンゴシン、N-リノレオイルジヒドロスフィンゴシン、N-パルミトイルジヒドロスフィンゴシン、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン及びN-ベヘノイルジヒドロスフィンゴシン、並びにそれらの混合物が挙げられる。Waitaki International Biosciences社によりGlycocerの商標名で販売されているグリコセラミドの混合物からなる製品;文書EP-A-0227994及びWO-A-94/07844に記載の化合物、例えば、Quest社により販売されているQuestamide H(ビス(N-ヒドロキシエチル-Nセチル)マロンアミド)、セチル酸N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(3-セチルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)アミド;特許出願WO-A-92/05764に記載のN-ドコサノイル-N-メチル-D-グルカミンも挙げることができる。これらのセラミドの混合物も使用することができる。
【0109】
美白剤の例として、アスコルビン酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、トラネキサム酸又はその誘導体、レゾルシノール又はその誘導体、アルコキシサリチル酸又はその塩、アデノシンリン酸又はその塩、ヒドロキノン又はそのグリコシド若しくはその誘導体、グルタチオン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール、マグノリグナン(5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2'-ジオール)、胎盤抽出物、カモミラ・レクティタ等を挙げることができる。
【0110】
アスコルビン酸は、D-配置又はL-配置を持ち、L-配置の方を用いることが好ましい。アスコルビン酸は、ビタミンCとも称され、アスコルビン酸の強力な還元効果のためにメラニン生成を阻害する効果を持つ。アスコルビン酸の誘導体は、アスコルビン酸塩であってよく、アスコルビン酸塩は、好ましくは、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸アスコルビルマグネシウム、及びリン酸アスコルビルナトリウムから選択される。アスコルビン酸の誘導体は、アスコルビン酸のグリコシドでも、アスコルビン酸エステルであってもよい。アスコルビン酸グリコシドの例として、例えば、アスコルビルグルコシドを挙げてもよい。アスコルビン酸エステルの例として、例えば、アスコルビン酸シリル、アスコルビン酸トコフェリル、及びアスコルビン酸アルキルを挙げてもよい。アスコルビン酸アルキルとして、アスコルビン酸メチル又はアスコルビン酸エチルを使用することが好ましい。特に、アスコルビルグルコシドが好ましい。アスコルビン酸又はその誘導体は、単体で使用しても、2つ又はそれ以上の種類のそれと組み合わせて使用してもよい。
【0111】
アスコルビン酸の誘導体の詳細な例として、例えば、Exsymol SAM社からPRO-AAとして市販されている5,6-ジ-O-ジメチルシリルアスコルベート;千寿製薬株式会社からSEPIVITAL EPCとして市販されているdl-α-トコフェリル-2-l-アスコルビルホスフェート;Roche社からStay-C 50として市販されているアスコルビルリン酸ナトリウム;Hayashibara Biochemical Labs., Inc.社から市販されているアスコルビルグルコシド;3-O-エチルアスコルビン酸等を挙げることができる。
【0112】
アスコルビン酸又はその誘導体は、好ましくは、スチレンと無水マレイン酸とのコポリマーと組み合わせて使用される。特に、前述のコポリマーの少なくとも一部の無水マレイン酸単位が加水分解されることが好ましい。前述の加水分解無水マレイン酸単位は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ塩の形態でもよい。前述の無水マレイン酸単位は、好ましくは、コポリマー全体の1mol当たり0.4〜0.9molを占め、無水マレイン酸単位とスチレン単位の割合は好ましくは50:50である。特に、無水マレイン酸単位とスチレン単位の割合が好ましくは50:50で、アンモニウム塩又はナトリウム塩が使用されると好ましい。アスコルビン酸又はその誘導体を前述のコポリマーと組み合わせて用いることによって、アスコルビン酸又はその誘導体の安定性が向上される。前述のコポリマーとして、例えば、30%の濃度で水に溶かしたアンモニウム塩の形態のスチレンと無水マレイン酸(50/50)のコポリマー(Atofina Chemicals Inc.社から製品番号SMA 1000 H(登録商標)として市販されている);又は40%の濃度で水に溶かしたナトリウム塩の形態のスチレンと無水マレイン酸(50/50)のコポリマー(Atofina Chemicals Inc.社から製品番号SMA 1000 H Na(登録商標)として市販されている)を使用することができる。前述のコポリマーは、局所適用向けの美白剤の総質量に対して、0.1〜20質量%の範囲、好ましくは0.1〜10質量%の範囲の濃度で使用される。
【0113】
コウジ酸の誘導体の例として、例えば、コウジ酸グルコシドを挙げてもよい。
【0114】
トラネキサム酸の誘導体の例として、トラネキサム酸のダイマー(塩酸トランス-4-(トランス-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等)、トラネキサム酸とヒドロキノンとのエステル(4'-ヒドロキシフェニルトランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボキシレート等)、トラネキサム酸とゲンチシン酸とのエステル(2-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボニルオキシ)-5-ヒドロキシ安息香酸及びその塩等)、トラネキサム酸アミド(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド及びその塩、トランス-4-(p-メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩、並びにトランス-4-グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸及びその塩等)等を挙げることができる。
【0115】
レゾルシノールの誘導体の例として、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール(ルシノール)等を挙げることができる。
【0116】
アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位又は5位の水素原子のうちいずれか1つがアルコキシ基で置換されている化合物である。前述のアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、及びイソブトキシ基のうちのいずれか1つであり、より好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。化合物の例として、例えば、3-メトキシサリチル酸、3-エトキシサリチル酸、4-メトキシサリチル酸、4-エトキシサリチル酸、4-プロポキシサリチル酸、4-イソプロポキシサリチル酸、4-ブトキシサリチル酸、5-メトキシサリチル酸、5-エトキシサリチル酸、5-プロポキシサリチル酸等を挙げることができる。アルコキシサリチル酸の塩は特に限定されない。その例として、例えば、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等、アンモニウム塩、アミノ酸塩等を挙げることができる。4-メトキシサリチル酸のカリウム塩が好ましい。
【0117】
アデノシンリン酸又はその塩の例として、例えば、アデノシンリン酸ジナトリウム等を挙げることができる。
【0118】
ヒドロキノンのグリコシドの例として、例えば、ヘキソースグリコシド、例えばヒドロキノンα-D-グルコース、ヒドロキノンβ-D-グルコース、ヒドロキノンα-L-グルコース、ヒドロキノンβ-L-グルコース、ヒドロキノンα-D-ガラクトース、ヒドロキノンβ-ガラクトース、ヒドロキノンα-L-ガラクトース、ヒドロキノンβ-L-ガラクトース等;ペントースグルコシド、例えばヒドロキノンα-D-リボース、ヒドロキノンβ-D-リボース、ヒドロキノンα-L-リボース、ヒドロキノンβ-L-リボース、ヒドロキノンα-D-アラビノース、ヒドロキノンβ-D-アラビノース、ヒドロキノンα-L-アラビノース、ヒドロキノンβ-L-アラビノース等;アミノ糖グリコシド、例えばヒドロキノンα-D-グルコサミン、ヒドロキノンβ-D-グルコサミン、ヒドロキノンα-L-グルコサミン、ヒドロキノンβ-L-グルコサミン、ヒドロキノンα-D-ガラクトサミン、ヒドロキノンβ-D-ガラクトサミン、ヒドロキノンα-L-ガラクトサミン、ヒドロキノンβ-L-ガラクトサミン等;ウロカニン酸グリコシド、例えばヒドロキノンα-D-グルクロン酸、ヒドロキノンβ-D-グルクロン酸、ヒドロキノンα-L-グルクロン酸、ヒドロキノンβ-L-グルクロン酸、ヒドロキノンα-D-ガラクツロン酸、ヒドロキノンβ-D-ガラクツロン酸、ヒドロキノンα-L-ガラクツロン酸、ヒドロキノンβ-L-ガラクツロン酸等を挙げることができる。これらの化合物のうち、ヒドロキノンβ-D-グルコース(以後、「アルブチン」と称される)が好ましい。ヒドロキノン又はそのグリコシドの誘導体の例として、例えば、ヒドロキノン又はそのグリコシドの塩を挙げることができる。特に、アルブチン誘導体の例として、例えば、6-O-カフェオイルアルブチン等を挙げることができる。
【0119】
美白有効成分として、特に、L-アスコルビン酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、トラネキサム酸又はその誘導体、アルブチン又はその誘導体、及びルシノールが好ましく、アスコルビン酸誘導体、例えば3-O-エチル-L-アスコルビン酸及びL-アスコルビン酸グルコシドがより好ましい。
【0120】
本発明による自立性美容シートは、美容有効成分を、美容シートの総質量に対して、0.01〜30質量%、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%の量で含むことができる。
【0121】
本発明による美容シートは、前述の構成成分に加えて、化粧料に通常用いられる構成成分、特に、例えば酸、塩基、塩、顔料、粉末、界面活性剤、油、有機溶媒、シリコーン、シリコーン誘導体、動物又は植物由来の天然抽出物、蝋等を、本発明の効果を損なわない範囲内で含むことができる。
【0122】
本発明による自立性美容シートは、基材シートに付着させてもよい。基材の材料は限定されない。2種又はそれ以上の材料を組み合わせて使用できる。そのため、単一の種類の材料、又は、異なる種類の材料の組み合わせを使用してもよい。任意の事象において、基材シートは可塑性又は伸縮性であることが好ましい。
【0123】
基材は水溶性であるとより好ましいが、その理由は本発明による美容シートが疎水性であると、基材を水で洗浄することによって美容シートを残すことが可能であるからである。実際に、上述の通り、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーの組み合わせは、疎水性シートを形成することができる。したがって、水溶性基材シートと、少なくとも1種のカチオン性ポリマー及び少なくとも1種のアニオン性ポリマーを含む少なくとも1種の生体適合性及び/又は生分解性の疎水性ポリマーを含む本発明による美容シートとの組み合わせが好ましい。水溶性材料の例として、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、酢酸セルロース等を挙げることができる。PVAが好ましい。
【0124】
基材シートは、基材シートに付着させた本発明による美容シートの取り扱いを容易にするために、この美容シートの厚さよりも厚くすることができる。基材シートの厚さは限定されないが、1μmから5mm、好ましくは10μmから1mm、より好ましくは50から500μmでよい。
【0125】
美容シートは基材シートから剥離可能であることがより好ましい。剥離方法は限定されない。したがって、美容シートは、基材シートからはがしてもよく、又は水等の溶媒に基材シートを溶かすことによって剥離してもよい。
【0126】
本発明による自立性美容シートは、皮膚、特に顔を美容処置するために用いられる。本発明による自立性美容シートは、いかなる形状又は形態でもよい。例えば、フルフェイスマスクシート、又は、頬、鼻及び目の周り等の顔の一部向けのパッチとして使用することができる。
【0127】
本発明による第2の実施形態は、皮膚の老化を処置し、皮膚上の皮脂を吸収し、皮膚上の発汗を制御し、皮膚上の臭いを制御し、及び/又は、皮膚を介して少なくとも1種の美容有効成分を送達する化粧方法であって、本発明による第1の実施形態で使用したものと同一であるが、但し上記の少なくとも1種の美容有効成分を含む、自立性美容シートを皮膚上に適用する工程を含む、化粧方法である。
【0128】
特に、本発明は、1種又は複数の美容有効成分を皮膚に又は皮膚を介して送達することができる。高濃度の美容有効成分は、本発明による美容シート中に組み込むことができ、該シートが自立性であるため該シート中に保持され得る。したがって、本発明による美容シートを皮膚上の標的領域に適用することによって、美容有効成分を皮膚に又は皮膚を介して長時間送達することができる。
【0129】
本発明による美容シートが、10〜1000nm、好ましくは30〜500nm、より好ましくは50〜300nm、更により好ましくは70〜200nm、最も好ましくは80〜150nmの非常に薄い厚さを有するので、シート中の美容有効成分は容易に皮膚の中に拡散することができる。結果として、美容有効成分の皮膚への効果的な浸透が実現できる。
【0130】
上記の美容効果は、本発明による美容シートの化学組成、厚さ及び/又は表面粗さを変化させることによって、また美容有効成分の種類及び/又は量を変化させることによって、調節又は制御することができる。
【0131】
皮膚上に適用した後で、本発明による美容シート上にメーキャップ化粧料組成物を適用することも可能である。
【0132】
本発明による自立性美容シートを、基材シートに付着させる条件下で使用することが好ましいが、その理由は美容シートの皮膚への適用が容易になるからである。例えば、本発明による美容シートの複合材シート及び基材シートは、美容シートが皮膚に直接接触し、基材シートを美容シートからはがすことによって除去できる、又は美容シートが疎水性で基材シートが水溶性の場合、水で洗浄できるように、皮膚上に適用することができる。そのため、本発明による美容シートのみを皮膚上に残すことができる。
【0133】
(実施例)
本発明を、実施例により、更に詳細に記載することとするが、この実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0134】
(実施例1)
キトサン水溶液(1mg/mL、1%(v/v)酢酸)及びアルギン酸ナトリウム水溶液(1mg/mL、0.5M NaCl)は、脱イオン水で調製した。
【0135】
キトサン及びアルギン酸ナトリウムから構成される多層ナノシートは、
(1)1mLのキトサン水溶液をSiO
2基材の表面上に滴下し、その後、基材を4,500rpmで20秒間回転させ、脱イオン水で2回濯ぎ、担体を30秒間スピンすることによって乾燥することによって、キトサン層を形成する工程と、
(2)1mLのアルギン酸ナトリウム水溶液を、キトサン層で被覆されたSiO
2基材の表面上に滴下し、その後、基材を4,500rpmで20秒間回転させ、脱イオン水で2回濯ぎ、担体を30秒間スピンすることによって乾燥することによって、アルギン酸ナトリウム層を形成する工程と、
(3)上記のスピンコーティングを利用した交互積層法(4,500rpm、15秒)によるキトサン層及びアルギン酸ナトリウム層の形成を繰り返して、所望の厚さのナノシートを獲得する工程と、
(4)キトサン層形成段階でスピンコーティングを利用した交互積層法を終わらせ、窒素によってキトサン層の表面を乾燥する工程と、
(5)多層ナノシート上の10wt%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液をキャスティングし、溶液を12時間放置し、乾燥してPVA基材シートを形成する工程と、
(6)厚さが70μmのPVA基材シートを含む多層ナノシート(2.0*2.0cm
2)を、SiO
2担体からピンセットを使用してはがす工程と
によって調製した。
【0136】
キトサン及びアルギン酸ナトリウムで構成される多層ナノシートの厚さは約90nmだった。ナノシートの厚さは、原子間力顕微鏡法(AFM)を用いるナノシート端部の断面解析によって決定した。
【0137】
(評価1)
実施例1による、多層ナノシート及びPVA基材シートで構成された美容シートは、皮膚上の視認性、皮膚の触感、皮膚上の毛穴を隠蔽する性能、及び皮膚の保護について評価された。
【0138】
(皮膚上の視認性)
実施例1による美容シートを成人女性の頬に適用し、PVA基材シートを水で溶かした。頬上の第1の多層ナノシートの上に、第2の美容シートを適用し、PVA基材シートを水で溶かした。これをもう1度繰り返して、3層のナノシートを成人女性の頬の上に作製した。
【0139】
頬の上にナノシートが1層形成されるごとに、ナノシートの視認性を評価した。これを5名の成人女性に実施し、視認性をA(3名以上の女性が認識しにくかった)、B(2名の女性が認識しにくかった)、及びC(1名以下の女性が認識しにくかった)でランク付けした。
【0140】
対照として、WO2009/041121による市販の美容補助パッチフィルム(Kazuki International Corporation社により市販されているDesign Tape)を使用した。フィルムの単一フィルムを5名の成人女性の頬に適用し、フィルムの視認性を上記の通り評価した。
【0141】
結果をTable 1(表1)に示す。
【0143】
複数のナノシートを皮膚上に適用した場合でも、ナノシートは視認されないことが判明した。一方、対照は視認可能だった。
【0144】
加えて、対照は皮膚にいくらかの刺激をもたらしたが、ナノシートは刺激をもたらさなかった。
【0145】
(皮膚の触感)
実施例1による美容シートを成人女性の頬に適用し、PVA基材シートを水で溶かした。頬上の第1の多層ナノシートの上に、第2の美容シートを適用し、PVA基材シートを水で溶かした。これをもう1度繰り返して、3層のナノシートを成人女性の頬の上に作製した。
【0146】
頬の上にナノシートが1層形成されるごとに、ナノシートを適用した皮膚の触感を評価した。これを5名の成人女性に実施し、皮膚の触感をA(3名以上の女性が滑らか)、B(2名の女性が滑らか)及びC(1名以下の女性が滑らか)でランク付けした。
【0147】
対照として、WO2009/041121による市販の美容補助パッチフィルム(Kazuki International Corporation社により市販されているDesign Tape)を使用した。フィルムの単一フィルムを5名の成人女性の頬に適用し、皮膚の触感を上記の通り評価した。
【0148】
結果をTable 2(表2)に示す。
【0150】
ナノシートが皮膚に非常に滑らかな触感を与えることが判明した。一方、対照は、皮膚に滑らかな触感を与えづらかった。
【0151】
(毛穴隠蔽性)
実施例1による美容シートを成人女性の頬に適用し、PVA基材シートを水で溶かした。頬上の第1の多層ナノシートの上に、第2の美容シートを適用し、PVA基材シートを水で溶かした。これをもう1度繰り返して、3層のナノシートを成人女性の頬の上に作製した。
【0152】
頬の上にナノシートが1層形成されるごとに、その毛穴隠蔽性能を評価した。これを5名の成人女性に実施し、毛穴隠蔽性能をA(3名以上の女性が認識しにくかった)、B(2名の女性が認識しにくかった)、及びC(1名以下の女性が認識しにくかった)でランク付けした。
【0153】
対照として、上記の評価をナノシートなしで実施した。
【0154】
結果をTable 3(表3)に示す。
【0156】
単一のナノシートでも毛穴隠蔽効果があり、ナノシート層の数にしたがって毛穴隠蔽効果が増すことが判明した。
【0157】
(皮膚の保護)
実施例1による美容シートを成人女性の頬に適用し、PVA基材シートを水で溶かした。頬上の第1の多層ナノシートの上に、第2の美容シートを適用し、PVA基材シートを水で溶かした。これをもう1度繰り返して、3層のナノシートを成人女性の頬の上に作製した。
【0158】
頬の上にナノシートが1層形成されるごとに、その皮膚の保護能力を以下のように評価した。
【0159】
皮膚上に適用しておいたナノシートの上にカーボンブラック粉末を適用した。ナノシートを水で洗浄することによりカーボンブラック粒子を除去した後、ナノシートの色又黒ずみを評価した。これを5名の成人女性に実施し、皮膚の保護能力をA(3名以上の女性が清潔)、B(2名の女性が清潔)及びC(1名以下の女性が清潔)でランク付けした。
【0160】
対照として、上記の評価をナノシートなしで実施した。すなわち、カーボンブラック粉末を直接皮膚に適用した。皮膚を水で洗浄することによりカーボンブラック粒子を除去した後、ナノシートの色又は黒ずみを上記のように評価した。
【0161】
結果をTable 4(表4)に示す。
【0163】
単一のナノシートでも皮膚の保護効果があり、ナノシート層の数にしたがって皮膚の保護効果が増すことが判明した。
【0164】
(実施例2)
キトサン(1mg/mL、1%(v/v)酢酸)及びβ-シクロデキストリン(0.2mg/mL)の水溶液とアルギン酸ナトリウム(1mg/mL、0.5M NaCl)及びβ-シクロデキストリン(0.2mg/mL)の水溶液は、脱イオン水で調製した。
【0165】
キトサン、アルギン酸ナトリウム、及びβ-シクロデキストリンから構成される多層ナノシートは、
(1)1mLのキトサン及びβ-シクロデキストリンの水溶液をSiO
2基材の表面上に滴下し、その後、基材を4,500rpmで20秒間回転させ、脱イオン水で2回濯ぎ、担体を30秒間スピンすることによって乾燥することによって、キトサン+β-シクロデキストリン層を形成する工程と、
(2)1mLのアルギン酸ナトリウム及びβ-シクロデキストリンの水溶液を、キトサン+β-シクロデキストリン層で被覆されたSiO
2基材の表面上に滴下し、その後、基材を4,500rpmで20秒間回転させ、脱イオン水で2回濯ぎ、担体を30秒間スピンすることによって乾燥することによって、アルギン酸ナトリウム+β-シクロデキストリン層を形成する工程と、
(3)上記のスピンコーティングを利用した交互積層法(4,500rpm、15秒)によるキトサン+β-シクロデキストリン層及びアルギン酸ナトリウム+β-シクロデキストリン層の形成を繰り返して、所望の厚さのナノシートを獲得する工程と、
(4)キトサン+β-シクロデキストリン層形成段階でスピンコーティングを利用した交互積層法を終わらせ、窒素によってキトサン+β-シクロデキストリン層の表面を乾燥する工程と、
(5)多層ナノシート上の10wt%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液をキャスティングし、溶液を12時間放置し、乾燥してPVA基材シートを形成する工程と、
(6)厚さが70μmのPVA基材シートを含む多層ナノシート(2.0*2.0cm
2)を、SiO
2担体からピンセットを使用してはがす工程と
で調製した。
【0166】
キトサン、アルギン酸ナトリウム、及びβ-シクロデキストリンで構成される多層ナノシートの厚さは約100nmだった。ナノシートの厚さは、原子間力顕微鏡法(AFM)を用いるナノシート端部の断面解析によって決定した。
【0167】
ナノシート(キトサン及びアルギン酸ナトリウム)中のβ-シクロデキストリンの量はHPLC法によって決定し、約10wt%であると判明した。
【0168】
(評価2)
実施例1及び2による、多層ナノシート及びPVA基材シートで構成される2つの美容シートを、腋窩の発汗に不随する悪臭を制御する能力について評価した。
【0169】
実施例1及び2によるそれぞれの美容シート(2.0*2.0cm
2)を成人男性の脇下に適用し、PVA基材シートを水で溶かした。6時間後、脇下の臭いを評価した。これを5名の成人男性に実施し、悪臭制御能力をA(臭いなし)、B(やや臭う)及びC(強い臭いがある)にランク付けした。
【0170】
対照として、上記の評価を美容シートなしで実施した。
【0171】
結果をTable 5(表5)に示す。
【0173】
実施例1及び2、特に実施例2による美容シートが、発汗による悪臭の低減又は除去に効果的であることが判明した。
【0174】
加えて、実施例1及び2による美容シートは皮膚に刺激をもたらさなかった。
【0175】
(実施例3)
キトサン(1mg/mL、1%(v/v)酢酸)及び3-O-アスコルビン酸エチル(0.2mg/mL)の水溶液とアルギン酸ナトリウム(1mg/mL、0.5M NaCl)及び3-O-アスコルビン酸エチル(0.2mg/mL)の水溶液は、脱イオン水で調製した。
【0176】
キトサン、アルギン酸ナトリウム、及び3-O-アスコルビン酸エチルから構成される多層ナノシートは、
(1)1mLのキトサン及び3-O-アスコルビン酸エチルの水溶液をSiO
2基材の表面上に滴下し、その後、基材を4,500rpmで20秒間回転させ、脱イオン水で2回濯ぎ、担体を30秒間スピンすることによって乾燥することによって、キトサン+3-O-アスコルビン酸エチル層を形成する工程と、
(2)1mLのアルギン酸ナトリウム及び3-O-アスコルビン酸エチルの水溶液を、キトサン+3-O-アスコルビン酸エチル層で被覆されたSiO
2基材の表面上に滴下し、その後、基材を4,500rpmで20秒間回転させ、脱イオン水で2回濯ぎ、担体を30秒間スピンすることによって乾燥することによって、アルギン酸ナトリウム+3-O-アスコルビン酸エチル層を形成する工程と、
(3)上記のスピンコーティングを利用した交互積層法(4,500rpm、15秒)によるキトサン+3-O-アスコルビン酸エチル層及びアルギン酸ナトリウム+3-O-アスコルビン酸エチル層の形成を繰り返して、所望の厚さのナノシートを獲得する工程と、
(4)キトサン+3-O-アスコルビン酸エチル層形成段階でスピンコーティングを利用した交互積層法を終わらせ、窒素によってキトサン+3-O-アスコルビン酸エチル層の表面を乾燥する工程と、
(5)多層ナノシート上の10wt%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液をキャスティングし、溶液を12時間放置し、乾燥してPVA基材シートを形成する工程と、
(6)厚さが70μmのPVA基材シートを含む多層ナノシート(2.0*2.0cm
2)を、SiO
2担体からピンセットを使用してはがす工程と
で調製した。
【0177】
キトサン、アルギン酸ナトリウム、及び3-O-アスコルビン酸エチルで構成される多層ナノシートの厚さは約100nmだった。ナノシートの厚さは、原子間力顕微鏡法(AFM)を用いるナノシート端部の断面解析によって決定した。
【0178】
ナノシート(キトサン及びアルギン酸ナトリウム)中の3-O-アスコルビン酸エチルの量はHPLC法によって決定し、約10wt%であると判明した。
【0179】
(評価3)
実施例1及び3による、多層ナノシート及びPVA基材シートで構成される2つの美容シートを、その皮膚美白性能について評価した。
【0180】
実施例1及び3によるそれぞれの美容シート(2.0*2.0cm
3)を成人の前腕に適用し、PVA基材シートを水で溶かした。次いで、最小紅斑量の約2倍の強度のUVB光線をナノシートに照射して皮膚の黒ずみを誘発した。これを10名の男性及び10名の女性に実施し、4週間繰り返した。
【0181】
4週間後、皮膚の色を比色計(SPECTRO PHOTOMETER、CMS-35FS、株式会社村上色彩技術研究所)で測定した。具体的には、比色計を使用して皮膚の色対比を決定し、したがってナノシートの効果を評価した。L*値を測定し、皮膚の色対比の指数として使用した。4週間の前と後での皮膚の色におけるL*値の差(ΔL*)(ΔL*=4週間後のL*-4週間前のL*)を、測定したL*値に基づいて計算した。
【0182】
結果として、実施例3による美容シートのΔL*が実施例1による美容シートのそれよりも小さいことが判明した。したがって、実施例3による美容シートの使用が皮膚の色素沈着を低減することが確認された。
【0183】
加えて、実施例1及び3による美容シートは皮膚に刺激をもたらさなかった。