【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、測定スタンドを電気的に起動する方法によって達成され、この方法では、少なくとも1つの測定用プローブの、ラムの開始位置からラムの測定位置への高い運動速度を、この測定位置に到達する前に機械的又は電気的減衰によって低減し、これにより測定用プローブを低下した運動速度で優しく降下させる。従って、事前に学習ルーチンを実行する必要がなくなる。測定位置に到達する直前に、又は測定位置に到達する前の運動範囲において、機械的又は電気的減衰を用いて運動速度を低減するため、開始位置から測定位置の上方の減衰領域の開始までに、急速モードからの事前に設定可能な速度低減を、追加の調整手段を必要とすることなく達成する。測定用プローブを測定対象のアイテムに向かってゆっくりと移動させること、及び/又は測定用プローブを減衰領域内の測定対象のアイテム上に優しく降下させることが可能となる。必要なのは、測定用プローブを測定位置の高さに設定するのみであり、上記測定用プローブは好ましくは、後に測定を行うために、駆動装置によって下端位置に位置決めされる。従って、新たな測定作業のための測定スタンドの設定又は改造のための時間の削減を達成でき、それに伴って生産性が向上する。
【0008】
初めの送り速度と比較して低下した運動速度は、好ましくは所定の減衰領域内での減衰によって起動される。急速な又は粗雑な送りに関する最大限の時間削減を得るために、及びプローブを測定対象のアイテムの測定表面に損傷を引き起こすことなく優しく降下させることができるよう、最適化された徐行速度又は低下した運動速度を得るために、駆動装置を起動するための2つの運動速度(上記駆動装置はこれら運動速度をラムの垂直運動に伝達する)は互いに対して事前設定及び決定される。測定用プローブを過度に激しく降下させることにより、測定対象のアイテムの表面における層の少なくとも損傷、特にへこみが引き起こされる場合があり、また測定が不正確になる場合がある。
【0009】
減衰領域内の低下した運動速度は、好ましくは一定に保たれる。これにより、モータを簡単な方式で起動できる。必要なのは、高い運動速度(これもまた好ましくは一定に保たれる)から低下した運動速度へと切替えることのみである。結果としてキンクした曲線として知られるものが達成され、キンクの程度は、高い運動速度と低下した運動速度との比によって決定される。
【0010】
電気的減衰は好ましくは、モータを起動するための電圧変化によって又はモータの短絡によって実施できる。例として、モータは短絡の結果として発電器として機能し、制動のために急速モードでの移動の高い速度を抑制できる。上記電圧変化又は短絡のモーメントに応じて、キンク特性線として知られるもののプロファイルを決定でき、上記線は、急速モードの特性線部分及び徐行モードの第2の特性線部分からなる。
【0011】
更に、モータの急速な回転速度の変化を電気的減衰のために起動できる。
【0012】
電気的減衰をセンサの信号によって開始させることもできる。このセンサは、駆動装置の開始位置に配設される端部スイッチとラムの測定位置との間に位置決めされ、切替え要素が配設されたラムの運動によってトリガされる。従ってラムの垂直運動中、特にラムの下降運動中、切替え要素をセンサを通して案内でき、センサは信号を出力でき、これによって徐行モードへの切替えが実施され、これは測定用プローブが測定対象のアイテム上に降下するまで維持される。例としてセンサは、フォトセル、光バリア、叉状光バリア又は近接度スイッチ等で構成できる。
【0013】
更に、測定用プローブが測定対象のアイテム上の測定位置に降下すると、好ましくはフリーホイールが起動され、駆動装置は好ましくは下端スイッチを作動させるまで徐行モードでの運動を継続する。従って減衰領域は、ハウジング上又はハウジング内のセンサの開始位置と測定位置と下端スイッチとの間における位置によって、また下端スイッチによって決定される。下端スイッチが作動させられるとすぐに、制御装置は運動が完了したという信号を受信し、測定信号が測定用プローブによって制御装置へと送られるまで待機する。これによって、ラムを持ち上げて測定用プローブを測定位置から開始位置へと戻すための開始信号が、制御装置に与えられる。続いて、この開始位置に測定用プローブが到達したことを、開始位置の上端スイッチが検出し、運動が停止する。
【0014】
更に、減衰領域(即ち低下した運動速度でのラムの垂直運動)のサイズは、ラムに沿って調整可能である切替え要素の位置によって決定される。従って減衰領域は、ラムが通過する所定の移動距離に対して手動で設定することもできる。即ち減衰領域の適合又は削減及びこれに伴う減衰領域を通過するための時間の削減を設定することもできる。あるいは、所定の期間(これは特にラムの低下した運動速度に関して事前選択可能である低下した運動速度に依存し得る)も、減衰領域の設定のための手段として機能できる。
【0015】
減衰領域は好ましくは少なくとも1つの運動距離を備え、これは測定用プローブの測定位置の上方で始まり、フリーホイールの起動位置を少なくとも僅かに超えて延在する。
【0016】
更に減衰領域は、センサ要素が侵入可能な様式で案内される測定用プローブのスリーブに対する測定用プローブのセンサ要素の侵入運動より大きい少なくとも1つの運動距離を有している。従ってアイテムの測定表面に対するラムの移動距離の単純な調整により、測定用プローブが既に減衰領域に位置し、機械的又は電気的減衰が作用して、測定用プローブを測定対象のアイテムの表面上に優しく降下させることを達成していることから、測定用プローブのセンサ要素又は測定用プローブが測定対象のアイテム上に降下する以前に、測定要素が低下した運動速度で運動することを保証できる。
【0017】
運動速度の機械的減衰は、好ましくは減衰部材を有する調整部材を有する減衰装置によって起動される。この減衰装置により、侵入速度は一定に保たれるか、又は侵入距離の増大と共に低下する。減衰の電気的起動の代替として、機械的減衰を提供できる。
【0018】
本発明の基礎を形成する本目的は、更に測定スタンドによって達成され、この測定スタンドは、駆動コントローラの運動速度を調整して、測定位置に到達する以前に駆動コントローラの運動速度を電気的減衰又は機械的減衰によって低減できる。従って駆動装置の運動(上記運動はラムの垂直運動又は運動速度に伝達される)は、測定用プローブが測定対象の測定表面上に静止しようとする以前に制動できる。
【0019】
電気的減衰は、好ましくは制御電圧又はモータの回転速度を起動する制御装置によって起動される。従って制御装置に対する重力によって引き起こされる制御装置の運動速度の、及びそれに伴ってラムの運動速度の急な変化を実施できる。電圧及び/又は回転速度に対する変化は好ましくは制御装置において調整可能であり、これにより様々なプローブの種類及び/又は敏感な測定表面への適合も可能となる。
【0020】
電気的減衰を開始するために、センサを開始位置とプローブ又はラムの測定位置との間に設け、このセンサを用いて、ラム上に配設された切替え要素がセンサを通過するとすぐに、減衰を起動するための制御信号を制御装置へと出力する。従って減衰の開始のための正確かつ繰り返し可能な起動が可能となり、よって減衰領域の開始を決定できる。ここでセンサは好ましくは光バリアであり、センサ要素は例えば、光バリアにおいて信号をトリガするための突起等で形成される。
【0021】
切替え要素はラムに沿った高さにおいて調整可能であってよく、及び/又はセンサは好ましくは移動経路に沿って可動であり、これにより減衰領域のサイズを調整できる。この減衰領域は好ましくは、一度設定した後が、測定を実施するために、測定用テーブルに対する又は測定対象のアイテムの測定表面に対するハウジングの高さ調整によって再び調整するだけでよい。
【0022】
測定用プローブを測定対象のアイテムの測定表面上に低下した運動速度で降下させるために電気的減衰を用いることと共に、好ましくは駆動装置を設ける。この駆動装置は、垂直に配向されたガイドに沿って可動であるキャリッジを有し、このキャリッジはモータによって上下に可動となるように起動される。ここでモータは、駆動を目的としてキャリッジに接続される。ここで、キャリッジを上下に運動させるために、例としてベルトドライブを設けることができる。
【0023】
駆動装置又はキャリッジの下降運動により、キャリッジの重力及びラムの重力が高い運動速度を促進するために、歯付きベルトはモータとキャリッジとの間の動作接続として十分であり得る。
【0024】
更に、電気的減衰を用いる測定スタンドの場合、上端スイッチを好ましくは駆動装置の開始位置に設け、更なる下端スイッチを好ましくは駆動位置の下端位置に設ける。下端スイッチは、測定用プローブの測定位置の下方に配設される。これにより、測定用プローブを測定位置の測定表面に降下させた瞬間に起こるフリーホイールの起動の後、駆動装置の更なる運動を監視でき、測定用プローブの測定表面への降下の障害となることなく、上記運動を停止させることができる。従って減衰領域の終点も決定及び画定できる。
【0025】
更に、ハウジング内に配設され、駆動装置の運動及びそれに伴って測定対象のアイテムの方向へのラムの垂直運動を抑制する機械的減衰装置は、好ましくは駆動装置と協働して、機械的減衰を用いる測定スタンドを形成する。従って、測定位置へと移動中の駆動装置及びラムの運動エネルギはかなり低減され、好ましくはキンク特性線として知られるものが達成される。この特性線は、好ましくは一定である高い運動速度の、同様に一定である低い又は低下した運動速度への変化を示す。ここで、これら2つの直線を相互に接続する屈曲部は、切替え中に上記2つの一定の運動速度がそれぞれ生成されることを示している。
【0026】
機械的減衰装置の場合、減衰部材への調節部材の侵入速度は好ましくは、一定であるか、又は侵入距離の増大と共に減少しさえする。このようにして、測定用プローブを測定対象のアイテムの表面上に優しく降下させるための条件を達成できる。
【0027】
第1の実施形態によると、機械的減衰部材は往復式ピストンシリンダを有している。よって、長期使用を可能とする構造的に単純な構成要素が提供される。
【0028】
機械的減衰部材における減衰媒体は、好ましくは液体又はガス、特に油、空気、ゲル又は水を含む。
【0029】
あるいは機械的減衰装置は、電磁減衰部材又は渦電流減衰部材を含んでいてもよく、これを用いて調整部材の侵入運動を決定する。
【0030】
更に、キャリッジを垂直ガイドに沿って上下に案内する駆動装置を設けることが好ましく、ここで機械的減衰装置を抑制するために、駆動トルクを有するモータが存在する。
【0031】
機械的減衰装置を好ましくは、特にハウジング上に固定される駆動装置から物理的に離間した又は分離された状態で設ける。よって駆動装置は初めに高い運動速度で駆動され、ここで機械的減衰装置によって減衰領域、特に調整部材の侵入距離も決定される。駆動装置が特にキャリッジと共に減衰装置の調整部材上に静止しようとするとすぐに、機械的減衰が実施され、即ち測定用プローブを測定対象のアイテム上の測定位置に降下させるための運動速度の低減が実施される。
【0032】
機械的減衰装置の調整部材は、有利には駆動装置の運動又はモータの駆動トルクを抑制する。
【0033】
更に、枢動レバー機構、カムフォロワ機構、急勾配ねじ山付きスピンドル又はディスクカムを、モータと駆動装置のキャリッジとの間に設けることが好ましい。これにより、機械的減衰装置に対して直接向けられた駆動トルクを伝達できる。
【0034】
更に、好ましくは回転磁石モータを設ける。この回転磁石モータを、その回転角度及びそれによって印加される駆動トルクに関して制御できる。更に、このような回転磁石モータは、高い加速度及び高い力を伝達できるという利点を有する。モータ及び好ましくは駆動装置の開始位置への独立した復帰は、好ましくはその中に配設された戻しばねを用いることによって可能である。
【0035】
本発明及び更なる有利な実施形態及びその発展形態を、図面に示した例に基づいて以下により詳細に記載及び説明する。この記載及び図面から推測される特徴は、独立して又は本発明によるいずれの組み合わせにおいて共に適用できる。