特許第6559967号(P6559967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニクの特許一覧

特許6559967測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド
<>
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000002
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000003
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000004
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000005
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000006
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000007
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000008
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000009
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000010
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000011
  • 特許6559967-測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6559967
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】測定スタンドを電気的に起動する方法及び測定用プローブを支持するための測定スタンド
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/06 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   G01B5/06
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-21871(P2015-21871)
(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公開番号】特開2015-148613(P2015-148613A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年10月19日
(31)【優先権主張番号】10 2014 101 577.0
(32)【優先日】2014年2月7日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309007036
【氏名又は名称】ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニク
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ヘルムート
【審査官】 齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−217182(JP,A)
【文献】 特開2007−024895(JP,A)
【文献】 特開2012−145439(JP,A)
【文献】 特開2004−069510(JP,A)
【文献】 特開平10−160405(JP,A)
【文献】 特開平10−185697(JP,A)
【文献】 特開2003−097938(JP,A)
【文献】 特開2006−308476(JP,A)
【文献】 米国特許第05305646(US,A)
【文献】 独国特許発明第19623601(DE,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄層の厚さを測定するための、開始位置(31)から測定位置(32)への少なくとも1つの測定用プローブ(26)の運動を伴う測定スタンドを電気的に起動するための方法であって、
‐モータ(34)は、駆動装置(35)を介してラム(23)を上下に運動させる制御装置(25)によって起動され、ここで保持器(24)が前記ラム(23)上に設けられ、前記測定用プローブ(26)は前記保持器に対して固定でき、
‐前記測定用プローブ(26)又は前記保持器(24)が、測定対象のアイテム(14)上の前記測定位置(32)に降下するとすぐに、フリーホイールが前記駆動装置(35)と前記ラム(23)との間で起動され、前記駆動装置(35)の運動は、前記ラム(23)の垂直運動から分離される
方法において、
‐前記少なくとも1つの測定用プローブ(26)の前記開始位置(31)から前記測定位置(32)への運動速度は、前記測定位置(32)に到達する前に、減衰装置(91)を備えた機械的減衰によって低減され、
前記減衰装置(91)は、前記開始位置(31)と前記測定位置(32)の間に、調整可能な減衰領域(50)を形成し、
迅速モードにおける前記測定用プローブ(26)の高い運動速度または移動が、前記調整可能な減衰領域(50)の上に存在し、
前記測定対象のアイテム(14)の測定面(15)に向かう前記測定用プローブ(26)の遅い運動を達成するために、前記測定用プローブ(26)の前記運動速度の低減が、前記減衰領域(50)に存在する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記減衰領域(50)は、少なくとも1つの運動経路を有し、前記少なくとも1つの運動経路は、スリーブ(28)に対して侵入可能に案内される前記測定用プローブ(26)のセンサ要素(25)の侵入運動より大きいことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記減衰領域(50)は、前記駆動装置(35)の運動を測定する下端スイッチ(46)によって範囲を画定され、前記駆動装置(35)を検出した場合に前記制御装置(25)に信号が出力され、前記信号によって前記運動が停止することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記減衰領域(50)は、前記測定面(15)上の前記測定用プローブ(26)の配置に続く、フリーホイール(51)の起動後の前記駆動装置(35)の運動経路を少なくとも1つ備え、
前記モータ(34)は、前記ラム(23)上の駆動力なしに、より低い終了位置に向かって、前記駆動装置(35)を作動し続けることができる
ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記駆動装置(35)は、測定信号が前記測定用プローブ(26)から前記制御装置(25)に転送されるまで、予め定められた期間、下端スイッチ(46)によって検出された前記より低い終了位置に配置される
ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記減衰装置(91)は、調整部材(92)によって起動され、前記減衰装置(91)は、減衰部材(93)を有し、
前記減衰部材(93)により、前記調整部材(92)の侵入速度は一定に保たれるか、又は前記減衰部材(93)への侵入距離の増大と共に低減される
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
測定対象のアイテム(14)上の薄層の厚さを測定するための測定用プローブ(26)を支持するための測定スタンドであって、
前記測定スタンドは、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成され、
前記測定スタンドは、測定用テーブル(12)及び前記測定用テーブル(12)の上方に配設されたハウジング(19)を備え、
前記ハウジング(19)内には、開始位置(31)から測定位置(32)へのラム(23)の垂直運動を起動するためのモータ(34)を備えた駆動装置(35)が設けられ、前記駆動装置(35)は、制御装置(25)を用いて起動され、
前記測定スタンドは、前記ラム(23)上に配設された保持器(24)を備え、前記保持器(24)において前記測定用プローブ(26)を固定でき、
前記測定スタンドは、前記駆動装置(35)と前記ラム(23)との間にフリーホイール(51)を備え、前記フリーホイール(51)を用いて、前記測定用プローブ(26)又は前記保持器(24)が前記測定対象のアイテム(14)上の測定位置(32)に降下した場合に、前記駆動装置(35)の運動を前記ラム(23)の垂直運動から分離する、測定スタンドにおいて、
前記駆動装置(35)の運動速度は、前記測定用プローブ(26)の前記測定位置(32)に到達する前に、減衰装置(91)を備えた機械的減衰によって低減される
ことを特徴とする、測定スタンド。
【請求項8】
上端スイッチ(44)は、開始位置(31)に設けられ、
前記上端スイッチ(44)は、前記駆動装置(35)の上端位置を検出し、
下端スイッチ(46)は、前記ラム(23)の前記垂直運動から切り離された前記駆動装置(35)の運動の後に到達した前記駆動装置(35)の下端位置に設けられることを特徴とする、請求項に記載の測定スタンド。
【請求項9】
前記機械的減衰は、前記ハウジング(19)上又は前記ハウジング(19)内に配設された、前記ラム(23)の垂直運動を前記測定対象のアイテム(14)の方向に抑制する減衰装置(91)によって起動されることを特徴とする、請求項に記載の測定スタンド。
【請求項10】
前記減衰装置(91)は、調整部材(92)を備え、
前記調整部材(92)の減衰部材(93)への侵入速度は一定に保持されるか、又は侵入距離の増大と共に減少する
ことを特徴とする、請求項に記載の測定スタンド。
【請求項11】
前記減衰装置(91)は、往復式ピストンシリンダとして形成されることを特徴とする、請求項に記載の測定スタンド。
【請求項12】
前記減衰部材(93)は、減衰媒体として液体又はガスを有し、
前記減衰装置(91)は、電磁減衰部材を有し、かつ渦電流減衰部材として形成されている
ことを特徴とする、請求項10に記載の測定スタンド。
【請求項13】
前記駆動装置(35)は、キャリッジ(54)を有し、
前記キャリッジ(54)は、ガイド(42)に沿って上下に可動に案内され、
前記ガイド(42)は、駆動を目的としてモータ(34)に接続された形式で設けられ、前記減衰装置(91)から物理的に離間又は分離されている
ことを特徴とする、請求項10に記載の測定スタンド。
【請求項14】
前記減衰装置(91)の前記調整部材(92)は、前記駆動装置(35)の運動の前記減衰領域(50)内で前記キャリッジ(54)に直接作用することを特徴とする、請求項13に記載の測定スタンド。
【請求項15】
枢動レバー機構、カムフォロワ機構、急勾配ねじ山付きスピンドル又はディスクカムは、前記モータ(34)と前記キャリッジ(54)との間に設けられ、前記モータ(34)の駆動運動を前記キャリッジ(54)の運動へと伝動することを特徴とする、請求項13に記載の測定スタンド。
【請求項16】
前記モータは(34)は、戻しばねを備える回転磁石モータとして設けられることを特徴とする、請求項に記載の測定スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開始位置から測定位置へと移動する少なくとも1つの測定用プローブの運動を伴う、測定スタンドを起動するための方法に関し、この方法では、測定用プローブを測定対象のアイテム上に降下させて、特に薄層の厚さを測定する。本発明はまた、上記方法を実施するための測定スタンドにも関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象のアイテムの薄層の厚さを測定するために提供される測定用プローブを支持するための測定スタンドは、特許文献1から公知である。この測定スタンドは測定用テーブル及びハウジングを備え、このハウジングは測定用テーブルの上方に配設され、柱状部を用いて測定用テーブルに対して保持されている。このハウジングには、ラムに接続された駆動装置を駆動するモータが設けられている。駆動装置は、ガイドに沿って上下に可動に案内されるキャリッジを備え、キャリッジの上下運動を制御するために、歯付きベルトがキャリッジとモータとの間に設けられている。
【0003】
ラムは保持器を備え、この保持器に対して測定用プローブを固定できる。ラムと駆動装置との間にフリーホイールが設けられ、このフリーホイールは、測定用プローブを測定対象のアイテム上に降下させるとすぐに起動される。これによって、駆動装置の運動はラムの垂直運動から分離される。
【0004】
この測定スタンドは、学習ルーチンの実行後、及び後続のラム又は測定用プローブの開始位置と測定対象のアイテム上の測定位置との間の距離の測定後、測定用プローブの垂直運動を正確に起動することにより、まずラムの垂直運動を急速モードで起動し、次に徐行モードへと移行させることができる。過去の測定と、測定用プローブを測定表面上に降下させるまでに通過される移動経路全体の情報とにより、測定用プローブを優しく降下させるための計算を用いて速度の低減が決定及び達成される。このような測定スタンド、及び測定用プローブを測定対象のアイテム上に降下させるためのラムの垂直運動を起動するための方法の価値は証明されている。要件の更なる上昇により、このような測定スタンド及び測定スタンドを起動するための方法を更に発展させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第102010011633A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に薄層の厚さを測定するための、少なくとも1つの測定用プローブを支持するための測定スタンドを提案することであり、また少なくとも1つの測定用プローブの運動を伴う測定スタンドを起動するための少なくとも1つの方法も提案することである。上記測定スタンドは、測定対象のアイテムの測定表面上に測定用プローブを優しく降下させることを可能とし、更に上記測定スタンドは、非常に短い期間内に新たな測定作業のための準備が完了した状態とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、測定スタンドを電気的に起動する方法によって達成され、この方法では、少なくとも1つの測定用プローブの、ラムの開始位置からラムの測定位置への高い運動速度を、この測定位置に到達する前に機械的又は電気的減衰によって低減し、これにより測定用プローブを低下した運動速度で優しく降下させる。従って、事前に学習ルーチンを実行する必要がなくなる。測定位置に到達する直前に、又は測定位置に到達する前の運動範囲において、機械的又は電気的減衰を用いて運動速度を低減するため、開始位置から測定位置の上方の減衰領域の開始までに、急速モードからの事前に設定可能な速度低減を、追加の調整手段を必要とすることなく達成する。測定用プローブを測定対象のアイテムに向かってゆっくりと移動させること、及び/又は測定用プローブを減衰領域内の測定対象のアイテム上に優しく降下させることが可能となる。必要なのは、測定用プローブを測定位置の高さに設定するのみであり、上記測定用プローブは好ましくは、後に測定を行うために、駆動装置によって下端位置に位置決めされる。従って、新たな測定作業のための測定スタンドの設定又は改造のための時間の削減を達成でき、それに伴って生産性が向上する。
【0008】
初めの送り速度と比較して低下した運動速度は、好ましくは所定の減衰領域内での減衰によって起動される。急速な又は粗雑な送りに関する最大限の時間削減を得るために、及びプローブを測定対象のアイテムの測定表面に損傷を引き起こすことなく優しく降下させることができるよう、最適化された徐行速度又は低下した運動速度を得るために、駆動装置を起動するための2つの運動速度(上記駆動装置はこれら運動速度をラムの垂直運動に伝達する)は互いに対して事前設定及び決定される。測定用プローブを過度に激しく降下させることにより、測定対象のアイテムの表面における層の少なくとも損傷、特にへこみが引き起こされる場合があり、また測定が不正確になる場合がある。
【0009】
減衰領域内の低下した運動速度は、好ましくは一定に保たれる。これにより、モータを簡単な方式で起動できる。必要なのは、高い運動速度(これもまた好ましくは一定に保たれる)から低下した運動速度へと切替えることのみである。結果としてキンクした曲線として知られるものが達成され、キンクの程度は、高い運動速度と低下した運動速度との比によって決定される。
【0010】
電気的減衰は好ましくは、モータを起動するための電圧変化によって又はモータの短絡によって実施できる。例として、モータは短絡の結果として発電器として機能し、制動のために急速モードでの移動の高い速度を抑制できる。上記電圧変化又は短絡のモーメントに応じて、キンク特性線として知られるもののプロファイルを決定でき、上記線は、急速モードの特性線部分及び徐行モードの第2の特性線部分からなる。
【0011】
更に、モータの急速な回転速度の変化を電気的減衰のために起動できる。
【0012】
電気的減衰をセンサの信号によって開始させることもできる。このセンサは、駆動装置の開始位置に配設される端部スイッチとラムの測定位置との間に位置決めされ、切替え要素が配設されたラムの運動によってトリガされる。従ってラムの垂直運動中、特にラムの下降運動中、切替え要素をセンサを通して案内でき、センサは信号を出力でき、これによって徐行モードへの切替えが実施され、これは測定用プローブが測定対象のアイテム上に降下するまで維持される。例としてセンサは、フォトセル、光バリア、叉状光バリア又は近接度スイッチ等で構成できる。
【0013】
更に、測定用プローブが測定対象のアイテム上の測定位置に降下すると、好ましくはフリーホイールが起動され、駆動装置は好ましくは下端スイッチを作動させるまで徐行モードでの運動を継続する。従って減衰領域は、ハウジング上又はハウジング内のセンサの開始位置と測定位置と下端スイッチとの間における位置によって、また下端スイッチによって決定される。下端スイッチが作動させられるとすぐに、制御装置は運動が完了したという信号を受信し、測定信号が測定用プローブによって制御装置へと送られるまで待機する。これによって、ラムを持ち上げて測定用プローブを測定位置から開始位置へと戻すための開始信号が、制御装置に与えられる。続いて、この開始位置に測定用プローブが到達したことを、開始位置の上端スイッチが検出し、運動が停止する。
【0014】
更に、減衰領域(即ち低下した運動速度でのラムの垂直運動)のサイズは、ラムに沿って調整可能である切替え要素の位置によって決定される。従って減衰領域は、ラムが通過する所定の移動距離に対して手動で設定することもできる。即ち減衰領域の適合又は削減及びこれに伴う減衰領域を通過するための時間の削減を設定することもできる。あるいは、所定の期間(これは特にラムの低下した運動速度に関して事前選択可能である低下した運動速度に依存し得る)も、減衰領域の設定のための手段として機能できる。
【0015】
減衰領域は好ましくは少なくとも1つの運動距離を備え、これは測定用プローブの測定位置の上方で始まり、フリーホイールの起動位置を少なくとも僅かに超えて延在する。
【0016】
更に減衰領域は、センサ要素が侵入可能な様式で案内される測定用プローブのスリーブに対する測定用プローブのセンサ要素の侵入運動より大きい少なくとも1つの運動距離を有している。従ってアイテムの測定表面に対するラムの移動距離の単純な調整により、測定用プローブが既に減衰領域に位置し、機械的又は電気的減衰が作用して、測定用プローブを測定対象のアイテムの表面上に優しく降下させることを達成していることから、測定用プローブのセンサ要素又は測定用プローブが測定対象のアイテム上に降下する以前に、測定要素が低下した運動速度で運動することを保証できる。
【0017】
運動速度の機械的減衰は、好ましくは減衰部材を有する調整部材を有する減衰装置によって起動される。この減衰装置により、侵入速度は一定に保たれるか、又は侵入距離の増大と共に低下する。減衰の電気的起動の代替として、機械的減衰を提供できる。
【0018】
本発明の基礎を形成する本目的は、更に測定スタンドによって達成され、この測定スタンドは、駆動コントローラの運動速度を調整して、測定位置に到達する以前に駆動コントローラの運動速度を電気的減衰又は機械的減衰によって低減できる。従って駆動装置の運動(上記運動はラムの垂直運動又は運動速度に伝達される)は、測定用プローブが測定対象の測定表面上に静止しようとする以前に制動できる。
【0019】
電気的減衰は、好ましくは制御電圧又はモータの回転速度を起動する制御装置によって起動される。従って制御装置に対する重力によって引き起こされる制御装置の運動速度の、及びそれに伴ってラムの運動速度の急な変化を実施できる。電圧及び/又は回転速度に対する変化は好ましくは制御装置において調整可能であり、これにより様々なプローブの種類及び/又は敏感な測定表面への適合も可能となる。
【0020】
電気的減衰を開始するために、センサを開始位置とプローブ又はラムの測定位置との間に設け、このセンサを用いて、ラム上に配設された切替え要素がセンサを通過するとすぐに、減衰を起動するための制御信号を制御装置へと出力する。従って減衰の開始のための正確かつ繰り返し可能な起動が可能となり、よって減衰領域の開始を決定できる。ここでセンサは好ましくは光バリアであり、センサ要素は例えば、光バリアにおいて信号をトリガするための突起等で形成される。
【0021】
切替え要素はラムに沿った高さにおいて調整可能であってよく、及び/又はセンサは好ましくは移動経路に沿って可動であり、これにより減衰領域のサイズを調整できる。この減衰領域は好ましくは、一度設定した後が、測定を実施するために、測定用テーブルに対する又は測定対象のアイテムの測定表面に対するハウジングの高さ調整によって再び調整するだけでよい。
【0022】
測定用プローブを測定対象のアイテムの測定表面上に低下した運動速度で降下させるために電気的減衰を用いることと共に、好ましくは駆動装置を設ける。この駆動装置は、垂直に配向されたガイドに沿って可動であるキャリッジを有し、このキャリッジはモータによって上下に可動となるように起動される。ここでモータは、駆動を目的としてキャリッジに接続される。ここで、キャリッジを上下に運動させるために、例としてベルトドライブを設けることができる。
【0023】
駆動装置又はキャリッジの下降運動により、キャリッジの重力及びラムの重力が高い運動速度を促進するために、歯付きベルトはモータとキャリッジとの間の動作接続として十分であり得る。
【0024】
更に、電気的減衰を用いる測定スタンドの場合、上端スイッチを好ましくは駆動装置の開始位置に設け、更なる下端スイッチを好ましくは駆動位置の下端位置に設ける。下端スイッチは、測定用プローブの測定位置の下方に配設される。これにより、測定用プローブを測定位置の測定表面に降下させた瞬間に起こるフリーホイールの起動の後、駆動装置の更なる運動を監視でき、測定用プローブの測定表面への降下の障害となることなく、上記運動を停止させることができる。従って減衰領域の終点も決定及び画定できる。
【0025】
更に、ハウジング内に配設され、駆動装置の運動及びそれに伴って測定対象のアイテムの方向へのラムの垂直運動を抑制する機械的減衰装置は、好ましくは駆動装置と協働して、機械的減衰を用いる測定スタンドを形成する。従って、測定位置へと移動中の駆動装置及びラムの運動エネルギはかなり低減され、好ましくはキンク特性線として知られるものが達成される。この特性線は、好ましくは一定である高い運動速度の、同様に一定である低い又は低下した運動速度への変化を示す。ここで、これら2つの直線を相互に接続する屈曲部は、切替え中に上記2つの一定の運動速度がそれぞれ生成されることを示している。
【0026】
機械的減衰装置の場合、減衰部材への調節部材の侵入速度は好ましくは、一定であるか、又は侵入距離の増大と共に減少しさえする。このようにして、測定用プローブを測定対象のアイテムの表面上に優しく降下させるための条件を達成できる。
【0027】
第1の実施形態によると、機械的減衰部材は往復式ピストンシリンダを有している。よって、長期使用を可能とする構造的に単純な構成要素が提供される。
【0028】
機械的減衰部材における減衰媒体は、好ましくは液体又はガス、特に油、空気、ゲル又は水を含む。
【0029】
あるいは機械的減衰装置は、電磁減衰部材又は渦電流減衰部材を含んでいてもよく、これを用いて調整部材の侵入運動を決定する。
【0030】
更に、キャリッジを垂直ガイドに沿って上下に案内する駆動装置を設けることが好ましく、ここで機械的減衰装置を抑制するために、駆動トルクを有するモータが存在する。
【0031】
機械的減衰装置を好ましくは、特にハウジング上に固定される駆動装置から物理的に離間した又は分離された状態で設ける。よって駆動装置は初めに高い運動速度で駆動され、ここで機械的減衰装置によって減衰領域、特に調整部材の侵入距離も決定される。駆動装置が特にキャリッジと共に減衰装置の調整部材上に静止しようとするとすぐに、機械的減衰が実施され、即ち測定用プローブを測定対象のアイテム上の測定位置に降下させるための運動速度の低減が実施される。
【0032】
機械的減衰装置の調整部材は、有利には駆動装置の運動又はモータの駆動トルクを抑制する。
【0033】
更に、枢動レバー機構、カムフォロワ機構、急勾配ねじ山付きスピンドル又はディスクカムを、モータと駆動装置のキャリッジとの間に設けることが好ましい。これにより、機械的減衰装置に対して直接向けられた駆動トルクを伝達できる。
【0034】
更に、好ましくは回転磁石モータを設ける。この回転磁石モータを、その回転角度及びそれによって印加される駆動トルクに関して制御できる。更に、このような回転磁石モータは、高い加速度及び高い力を伝達できるという利点を有する。モータ及び好ましくは駆動装置の開始位置への独立した復帰は、好ましくはその中に配設された戻しばねを用いることによって可能である。
【0035】
本発明及び更なる有利な実施形態及びその発展形態を、図面に示した例に基づいて以下により詳細に記載及び説明する。この記載及び図面から推測される特徴は、独立して又は本発明によるいずれの組み合わせにおいて共に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明による測定スタンドの斜視図である。
図2図2は、測定用プローブが開始位置にある状態の、図1による測定スタンドのハウジングの概略側面図である。
図3図3は、図1による測定スタンドのハウジングの前面側からの斜視図である。
図4図4は、測定用プローブが測定位置にある状態を示す測定スタンドのハウジングの概略側面図である。
図5図5は、図1による測定スタンドの切替えデバイスの概略図である。
図6図6は、上に重量軽減装置が配設された図1による測定スタンドのハウジングの後壁部の斜視図である。
図7図7は、図2による測定スタンドの代替実施形態の概略側面図である。
図8図8は、図7による測定スタンドの概略正面図である。
図9図9は、図7による測定スタンドの第1の運動位置における概略側面図である。
図10図10は、図7による測定スタンドの更なる運動位置における概略側面図である。
図11図11は、図7による測定スタンドの、測定用プローブの測定位置における概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1では本発明による測定スタンド11の斜視図を示し、図2ではカバーを外した状態の側面図を示す。この測定スタンド11は測定用テーブル12を備え、この測定用テーブル12上において、測定対象の個体対象若しくは測定対象のアイテム14を直接配置するか、又は台16によって保持する。測定スタンド11の足部に、又は測定用テーブル12上に、垂直に垂設された柱状体17が設けられ、これはねじ山付き柱状体18と共に、高さ調整可能な様式でハウジング19を支持する。互いに隣接して配設された2つの柱状体17、18により、単純な高さ調整のための平行な誘導を提供できる。ハウジング19を、少なくとも1つの調整ねじを備える調整機構20を用いて配向できる。高さは調整ねじ21を介して設定できる。更に、ハウジング19を測定用テーブル12に対する高さに固定するためのクランプ機構22を設けている。
【0038】
柱状体17、18の反対側では、ラム23がハウジング19において上下に可動な構造で支持されている。ラム23の下端には、測定用プローブ26又はセンサ等を着脱可能に固定するための保持器24が設けられている。あるいは保持器24は、多数の測定用プローブ26又はセンサを支持するようにも構成されている。例として、測定用プローブ26は薄層の厚さの測定のために構成される。例えば、この測定用プローブ26は、測定対象のアイテム14の測定表面15上に降下させることができる、降下キャップ30を有するセンサ要素25を有する。このセンサ要素25は、測定用プローブ26のスリーブ28において変位可能に案内され、スリーブ28に侵入でき、これによりセンサ要素25は完全にスリーブ28内に位置決めされる。測定用プローブ26の反対側の端部には接続ライン27が設けられ、これは別個の測定デバイス(より詳細には示さない)に接続されるか、又はハウジング19の端面の測定スタンド11の接続点(より詳細には示さない)において制御装置25に接続できる。
【0039】
例えば、特にボタンである2つの操作要素29、29’をハウジング19の上側に設ける。ボタン29を作動させると、開始位置31から測定位置32へ、及び再び開始位置31へと戻る一連の運動が実施される。ボタン29’を作動させると、上述の一連のルーチンを連続して何度も行なうことができ、反復回数は好ましくは自由にプログラムできる。
【0040】
図2では、測定用プローブ26は開始位置31に設けられている。ラム23を用いて、測定用プローブ26を下げて測定位置32へと移動させることができる。この例示的実施形態では、上記測定位置32は、測定対象のアイテム14の測定表面15上への降下位置に対応する。開始位置31と測定位置32との間の移動距離又は経路は、ラム23の移動の動作範囲又は経路より小さい。ハウジング19は好ましくは、測定対象のアイテム14の測定表面に対して、開始位置31及び測定位置32がラム23の動作範囲内に位置するように、調整ねじ21を介して事前に位置決めされる。
【0041】
運動を起動するために、電気モータ34をハウジング19内に設ける。このモータは、ラム23に接続された駆動装置35を駆動する。駆動装置35は駆動要素36を備え、この駆動要素36は特に歯付きベルトで形成されている。この駆動要素36は、下側アイドラプーリ37及び上側アイドラプーリ38によって支持される。これらアイドラプーリ37、38は好ましくは歯付きシリンダとして形成され、歯付きベルトの歯の輪郭に適合される。歯付きベルト及び歯付きシリンダの選択により、滑りのない駆動運動の伝達が可能となる。下側アイドラプーリ37は、モータ34の駆動軸に直接固定されている。
【0042】
図3においてより詳細には示さない連結要素41を、駆動要素36上に設ける。連結要素41はガイド42に沿って案内され、ガイド42は好ましくは、2つの案内要素43、特に互いに平行に配向された案内ロッドを備えている(図4参照)。連結要素41は、クランプ締結具によって駆動要素36に接続されている。平面図において見られるように、連結要素41はU字型の輪郭を有し、これにより駆動要素36をU字型の輪郭の両側の縦棒の間で案内し、各縦棒はガイド要素43に作用する。
【0043】
切替え突起45を好ましくは連結要素41上に設け、この切替え突起45は、プリント回路基板(より詳細には示さない)上に配設されたセンサ要素又は叉状光バリアと協働する。このプリント回路基板も制御及び調節装置の一部である。このようにして駆動装置35の上端位置を検出できる。あるいは、上端スイッチ44を設けることもできる。制御装置25はハウジング19内に配設でき、又は図示したように、ハウジングの外側に位置決めすることもできる。
【0044】
ラム23と駆動装置35とは、フリーホイール51によって互いに連結される(図3)。このフリーホイール51は、一方では連結要素41上に配設された支持面52によって、他方では軸受面53によって形成される。ラム23の固有の重量により、軸受面53は支持面52上で静止する。この軸受面53は好ましくはキャリッジ54上に設けられ、このキャリッジ54は好ましくはガイド42上で上下に可動に案内される。キャリッジ54は受承部分56を有し、これを介してラム23はキャリッジ54に着脱可能に連結される。モータ34によって駆動される測定用プローブ26の運動中にラム23が駆動装置35上に静止するという事実により、測定用プローブ26が測定対象のアイテム14の測定表面上に降下すると即座に、駆動力をラム23に、従って測定用プローブ26に伝達することなく、モータ34を連続的に稼働させることができ、これにより連結要素41を更に下げることができる。フリーホイール51のこの分離位置を図4に示す。ハウジング19内の下端スイッチ46を用いて、駆動装置35の下端位置が検出され、モータ34が停止する。
【0045】
フリーホイール51は好ましくは切替えデバイス58を備え、この切替えデバイス58は、軸受面53が支持面52から持ち上げられるとすぐに起動する。この目的のために、切替えデバイス58は、キャリッジ54又はラム23上に配設される第1の構成要素59と、連結要素41又は駆動装置35に接続される第2の構成要素60とを有する。第1の構成要素59は好ましくは叉状光バリアとして形成され、第2の構成要素60は好ましくは切替えフィンガ又は切替え突起45として形成される。フリーホイール51が起動されるとすぐに、第2の構成要素60は第1の構成要素59から案内され、切替え信号が制御及び調節装置へと出力される。この位置を図5に破線で示す。プリント回路基板は、好ましくは、キャリッジ54上に配設され、プリント回路基板に固定された叉状光バリアの切替え信号を処理して、これを制御及び調節装置へと送る。この目的のために必要な制御ラインは好ましくはねじ山付き柱状体18に近接したガイドにおいて上下に運動できる案内ロッド62上に固定されている。案内ロッド62は、一方の端部においてキャリッジ54に固定的に接続されている。反対側において案内ロッドは、ガイドにおいて上下に可動である転がり軸受又は平軸受を有する。この案内ロッド62により、ラム23に作用する発生し得る径方向への駆動力は排除される。
【0046】
モータ34の駆動軸を設置するための軸受64は、同時に駆動装置35の下降運動のための停止部材としても機能する。
【0047】
駆動装置35の上端位置と下端位置との間にセンサ47を設け、このセンサ47を好ましくはハウジング19に固定する。センサ47に適合する切替え要素48を設け、この切替え要素48をラム23に固定する。あるいは、この切替え要素をキャリッジ54に固定することもできる。センサ47は、ラム23の垂直運動中に、開始位置31から測定位置32へと通過する。例として、センサ47を、切替え信号が発せられた場合にセンサ47が位置49にあるように設定できる。位置49の図示は単に例示的なものであり、これを測定対象のアイテム14に更に近づけるか若しくは測定対象のアイテム14から更に遠ざけることもでき、又はハウジング19内の下端スイッチに向けて位置決めできる。このセンサ47及び切替え要素48は、好ましくは切替え突起を有する光バリアであってもよい。あるいは、連結要素41に固定された切替え突起45を、例えば位置49を検出するために、更なる光バリアに割り当ててもよい。
【0048】
位置49と少なくとも測定位置32又は測定位置32の下方に配設された位置との間(これは駆動装置が下端位置を取るまで存在し得る)に、減衰領域50を形成し、この減衰領域50において、測定用プローブ26の運動速度を機械的又は電気的に減衰させる。この減衰領域50の上方(即ち、開始位置31から位置49まで)において、高い運動速度又は急速モードにおける測定用プローブ26の運動速度が存在し、これはモータ34によって駆動される。位置49を通過すると、減衰、即ち測定対象のアイテム14の測定表面15に向かう測定用プローブ26のゆっくりとした運動を達成するための測定用プローブ26の運動速度の低下が起こる。減衰領域50のサイズは、センサ47の高さと、切替え要素48の高さ又は切替え突起45及びそれに割り当てられる更なる光バリアの高さとによって設定できる。
【0049】
図6では、重量軽減装置68がハウジング19の後側67に設けられている。この重量軽減装置68は、保持器24が複数の測定用プローブ26若しくはセンサ、又はより大きく重い測定用プローブ26等を受承する場合に、取り付けることができる。この重量軽減装置68により、少なくとも1つの測定用プローブ26を、小さな固有重量しか伴わずに測定表面上に載せることができる。重量軽減装置68は軸受ピン71を介して後壁部67に固定され、レバーアーム72を枢動可能に受承している。レバーアーム72の一方の端部には固定用ピン74が設けられ、これはラム23に作用し、後面67内の貫通孔73を通過している。固定用ピン74はレバーアーム72のスロット凹部75内に固定され、これにより、レバーアーム72の枢動動作中に補償運動を行うことが可能となる。反対側において、少なくとも1つの質量要素77がレバーアーム72に設けられている。この質量要素は、吸収するべき負荷に応じて、保持器24によってレバーアーム72に沿って変位できる。更に、質量要素77をレバーアーム72に交換可能に設けることもでき、これにより、より大きな又はより小さな質量要素77をレバーアーム72に取り付けることができる。この重量軽減装置68は好ましくは、カバーによって覆われて保護されている。
【0050】
このような測定スタンド11は好ましくは、層の厚さ測定に使用される。この層の厚さ測定は、磁気誘導法又は渦電流法によって実施できる。各方法の使用は、測定対象の基材及び層に左右される。例として、強磁性基材上の非磁性層の場合には磁気誘導法を使用する。非鉄金属上の非導電性層の場合には渦電流法を実施する。
【0051】
あるいは、測定スタンド11を更なる測定作業にも使用できる。保持器24をラム23上に着脱可能に設置し、これにより、測定要素に応じて、測定要素に適合された保持器24をラム23上に配設できる。
【0052】
測定用プローブ26を用いた手動測定の場合、測定用プローブ26は異なる速度又は力で測定対象の測定表面に降下させられ、測定対象のアイテム14の表面は損傷し、結果として測定値が不正確となるため、このような測定スタンド11を特に、測定対象のアイテム14上の薄層の厚さを測定する際及び測定対象のアイテム14の連続測定を行う際に使用される。
【0053】
このような電気的減衰を用いる測定スタンドを新たな測定作業のために設定するために、以下のアプローチを採用する。
【0054】
測定対象のアイテム14を、台16を用いて又は用いずに測定用テーブルに配置する。次に駆動装置35を下端位置に位置決めし、測定用プローブ26を測定対象のアイテム14の測定表面15に配置する。次にハウジング19を調整機構20によって僅かに上向きに移動させ、これにより例えば、スリーブ(この中にセンサ要素が侵入可能に配設される)を備える測定用プローブ26を測定表面15から僅かに持ち上げる。ここでセンサ要素自体は測定表面15上に静止し続ける。次に第1の測定サイクルを実施できる。ここで、独立したルーチンを実施し、これは一度のルーチンであってよいか、又は多数の繰り返しを含む。ルーチンは、ボタン29のうちの1つを用いるだけで開始できる。
【0055】
ルーチンの開始時に、駆動装置35を開始位置31に配設する。次に、切替え要素48がセンサ47を通過した際にセンサ47によって信号が制御装置25へと出力され、これによって運動速度のための電気的減衰が始まるまで、駆動装置35は高い運動速度で又は急速モードで下降する。電圧変化又は駆動回転速度の低減が実施され、これにより測定用プローブ26は、低下した運動速度で、減衰領域50内で更に下降する。測定用プローブ26が測定表面15上に降下すると、フリーホイール51が起動され、これによりモータ34はラム23に駆動力を与えることなく、駆動装置35を作動させ続けることができる。減衰領域は遅くとも、駆動装置35が下端位置に到達してすぐに終了する。あるいは、フリーホイール51の起動によって信号を出力でき、これによって減衰領域50が終了する。即ち、モータの駆動が停止し、モータ34は停止する。下端位置に到達すると、又はモータ34が停止すると、測定用プローブ26は、事前に決定できる滞在期間の間、測定対象のアイテム14上に留まって測定を行う。次に制御装置25を用いて、測定用プローブ26を開始位置31へと戻す。測定位置32から開始位置31へのこの復帰運動は、制御装置25が測定用プローブ26から制御信号を受信するとすぐに、制御装置25によって開始させることができる。上記制御信号は、測定値が得られたことを示す。
【0056】
図7では、測定スタンド11の、図2による実施形態と比較した代替的実施形態を示す。この実施形態は、駆動装置35の特定の設計に関して、及び機械的減衰装置91によるラム23の運動の減衰に関して、図2による実施形態と異なる。その他の点に関しては、図1図6に記載されている測定スタンド11の構造、操作原理及び変形例を参照できる。
【0057】
相違点を以下に詳細に説明する。
【0058】
図7、8によると、駆動装置35は、ハウジング19に対して横方向に固定されたモータ34を、外側壁部に備える。枢動レバー95は、モータ34の駆動軸を介して駆動され、駆動装置35のキャリッジ54と係合する。ロータ96は好ましくは、枢動レバーの自由端部に設けられ、また好ましくは凹部97、特にスロット凹部97内で、ごく僅かな遊びを有して案内される。枢動レバー95の枢動動作により、ローラ96は、12時位置から例えば反時計周りに6時位置へと移動し、これによってガイド42に沿ったキャリッジ54の下降運動を実施する。更に、レバーアーム72は、モータ34の反対側のハウジング19の外側に、枢動軸71の周りで回転可能に設置され、ここでレバーアーム72の半分は、適切なレバー力を設定するために、右レバーアームに沿って可動かつ固定可能である釣合い錘77を受承する。更なるローラ98は、レバーアーム72上に、ローラ96と対向して反対側に設けられ、これもまたキャリッジ54の凹部97と係合する。この重量軽減装置68は、機能に関して、図6に記載したものに相当する。
【0059】
機械的減衰装置91はハウジング19内、有利にはハウジング19の基部に配設される。この機械的減衰装置は、例えば減衰部材93内に侵入可能に案内される調整部材92を備えている。例として、減衰部材93は往復式ピストンシリンダとして形成されている。機械的減衰装置91は、好ましくは流体、特に油、ガス、空気、ゲル又は水によって動作する。減衰率は容易に調整できる。
【0060】
減衰装置91は好ましくは、キャリッジ54上において、2つのガイド42の真ん中で調整要素92と係合し、またキャリッジ54の下降運動を減衰させて抑制する。
【0061】
機械的減衰装置91を用いるこのような測定スタンド11は以下のように動作する。
【0062】
測定対象のアイテム14を、台16を用いて又は用いずに測定用テーブル12上に位置決めする。駆動装置35は、図7に示す開始位置31にある。次にモータ34は、制御装置25を介してエネルギを与える。このモータ34は好ましくは、高い初期トルクを生成できる回転磁石モータである。次に枢動レバー95が回転駆動され、これにより枢動レバー95は反時計回りに回転し、キャリッジ54をガイド42に沿って下方に動かす。この下降運動はラム23の重量及び測定用プローブ26の重量によって支援され、また釣り合い錘77はレバーアーム72に対してごく僅かにしか反作用しないため、駆動装置35の下降運動は高い運動速度で、即ち急速モードで実施される。次に、キャリッジ54は機械的減衰装置91の調整部材92に当接する。これを図9に示す。この瞬間において測定用プローブ26は、測定対象のアイテム14の測定表面15の方向に長い経路を高い速度で通過している。駆動装置35のキャリッジ54が機械的減衰装置91の調整部材92上で静止するため、ここで減衰領域50の機能が開始される。枢動レバー95は好ましくは、90°超、好ましくは100°超の枢動範囲を有し、ここで枢動レバー95は、キャリッジ54の高い運動速度が開始時に生成され、この運動速度が運動の終了に向かって減少し、続いて持ち上げ力が増大するように配向される。従って、枢動レバーの開始位置又は初期位置は、それぞれ7時若しくは6時位置、又は5時若しくは6時位置の間の範囲において、8時〜10時位置の間であるか、又は2時〜4時位置の間であるか、又は11時〜1時位置の間でさえある。枢動段階の終了時に、減衰装置91は、枢動レバー95を介した高いてこ作用力によって抑制され得る。ラム23の、及びそれに伴って測定用プローブ26の垂直運動は、図9に示す位置から始まって徐行運動へと移行し、これにより測定対象のアイテム14の測定表面に向かう測定用プローブ26のゆっくりとした運動をもたらす。機械的減衰装置91の調整部材92の侵入速度は、減衰部材93によって決定される。
【0063】
測定対象のアイテム14上に測定用プローブ26が降下する直前の、減衰領域50内の移動位置を図10に示す。
【0064】
図11による測定対象のアイテム14の測定表面15上に測定用プローブ26が降下した後、モータ34の駆動トルクは有効となるよう継続されてもよく、これにより調整部材92は残りの移動経路を通過する。これは、図10図11とを比較することにより確認できる。同時に、参照符号Aによって図11に示すように、測定用プローブ26に、従って測定表面15に駆動力が作用しないよう、フリーホイール51が起動される。
【0065】
好ましくは下端スイッチ(図示せず)が検出できる図11に示す終了位置に到達すると、モータ34は、制御装置25を介して所定の期間エネルギを与えられず、これにより枢動レバー95をこの位置に保持する。これは少なくとも、測定用プローブ26を使用して測定を行うために必要である。モータ34内に含まれる戻しばねは、好ましくは電流の切断の後に復帰運動を引き起こす。復帰運動のためにモータ34を追加で駆動するか、又はモータ34のみを駆動することもできる。ここでは、特にモータ内に復帰要素が設けられていない場合、駆動装置35の開始位置31への復帰は釣り合い錘77によって支援され、これにより、測定後に測定用プローブ26を測定対象のアイテム14から持ち上げ、駆動装置35を図1による開始位置31へと戻す。
【0066】
図7〜11に示すモータ34の代替として、及び駆動装置35の代替として、キャリッジ54を上下運動において起動するために、キャリッジ54の下降運動を減衰装置91を用いた機械的減衰と合体させる代替案も提供できる。例として、モータを、チェーン、歯付きベルト等の駆動手段、又はカムディスク若しくは急勾配ねじ山付きスピンドル(そのカーブ又はねじ山外形は、急速度のための運動経路及び後続の減衰領域50のサイズ又は長さに適合されている)等のカムフォロワ機構によって駆動できる。
【符号の説明】
【0067】
14 アイテム
23 ラム
24 保持器
25 制御装置、センサ要素
26 測定用プローブ
28 スリーブ
31 開始位置
32 測定位置
34 モータ
35 駆動装置
42 ガイド
44 上端スイッチ
46 下端スイッチ
47 センサ
48 切替え要素
50 減衰領域
51 フリーホイール
54 キャリッジ
91 減衰装置
92 調整部材
93 減衰部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11