(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記基板受取り動作において、前記ブレード部材の前記固定挟持部が前記基板載置構造に載置された前記基板の遠位側の縁部の位置を超えるまで前記ブレード部材を前進させ、しかる後に前記基板非保持状態にある前記ブレード部材を上昇させて前記基板を前記ブレード部材で受け取るように、前記ロボットアームおよび前記基板保持装置を制御する、請求項1記載の基板搬送ロボット。
前記基板保持装置は、前記一対のブレード部材が上下方向に配置された第1稼働状態と、前記一対のブレード部材が上下方向から外れた位置に配置され、単一の前記ブレード部材を前記基板載置構造に進入可能とする第2稼働状態とを切り換え可能に構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板搬送ロボット。
前記制御装置は、前記基板受取り動作および前記基板載置動作に先立って、前記一対のブレード部材の両方を基板非保持状態として、前記ブレード昇降手段によって下側の前記ブレード部材を上昇させることにより、前記基板載置構造の最下段に載置された前記基板を受け取る最下段基板受取り動作を、前記ロボットアームおよび前記基板保持装置に実施させる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板搬送ロボット。
前記ブレード昇降手段によって昇降駆動されない前記ブレード部材の先端部に設けた基板センサを有する基板検出手段をさらに備えた、請求項11または12に記載の基板搬送ロボット。
前記ブレード昇降手段によって昇降駆動される前記ブレード部材の先端部に設けた基板センサを有する基板検出手段をさらに備えた、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の基板搬送ロボット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、ハンド上にウェハを固定して保持するための固定機構の一つとして、エッジグリップ方式の固定機構がある。このエッジグリップ方式の固定機構は、例えば、ハンドを構成するブレード部材に設けた固定挟持部と、ウェハを押圧して固定挟持部と共にウェハを挟持するための可動挟持部とを有している。
【0010】
エッジリップ方式の固定機構を有するハンドを用いてウェハを受け取る際には、棚に載置されたウェハの下方にブレード部材を進入させる。このとき、ブレード部材の固定挟持部がウェハの遠位側の縁部の位置を僅かに超えるまでブレード部材を前進させる。
【0011】
もし、ブレード部材の固定挟持部をウェハの遠位側の縁部の位置にぴったりと合せようとした場合、ロボットアームの撓みやティーチングの誤差などに起因して、固定挟持部がウェハの遠位側の縁部の位置よりも手前に位置決めされてしまう可能性がある。
【0012】
このようにブレード部材の固定挟持部がウェハの遠位側の縁部の位置よりも手前に位置している状態で、ウェハを受け取るためにブレード部材を上昇させると、固定挟持部を形成するための突状部分の上にウェハが乗り上げてしまい、ウェハを受け取ることができない。
【0013】
この点に関連して、特許文献2に記載の従来技術は、上述したように、下側のハンドで保持したウェハを下側の段に載置する基板載置動作と、上側の空のハンドで上側の段のウェハを受け取る基板受取り動作とを同時に行うものである。
【0014】
もし仮に特許文献2の技術にエッジグリップ方式のハンドを適用した場合、棚へのハンド進入時において、基板受取り動作に適した位置に上側のハンドを位置決めしてしまうと、下側のハンドが基板載置動作に適した位置から遠位側に外れてしまい、逆に、基板載置動作に適した位置に下側のハンドを位置決めすると、上側のハンドが基板受取り動作に適した位置から近位側に外れてしまうという問題がある。
【0015】
このように従来の技術では、エッジグリップ方式で基板を保持する基板保持装置を備えた基板搬送ロボットにおいて、基板搬送時のタクトタイムを短縮することができなかった。
【0016】
本発明は、上述した従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであって、ロボットアームに装着された基板保持装置における基板の固定方式の種類にかかわらず、基板搬送時のタクトタイムを短縮することができる基板搬送ロボットおよび同ロボットを備えた基板搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、基板を保持して搬送するための基板搬送ロボットであって、ロボットアームと、前記ロボットアームに装着された基板保持装置と、前記ロボットアームおよび前記基板保持装置を制御するための制御装置と、を備え、前記基板保持装置は、上下方向に配置され、それぞれが前記基板を保持できる一対のブレード部材と、前記一対のブレード部材のそれぞれに設けられ、前記基板の縁部に当接される固定挟持部と、前記基板を押圧して前記固定挟持部と共に前記基板を挟持するための可動挟持部と、前記一対のブレード部材の一方を前記一対のブレード部材の他方に対して上下方向に相対的に移動させるためのブレード昇降手段と、を有し、前記制御手段は、前記一対のブレード部材の一方を基板保持状態とし、前記一対のブレード部材の他方を基板非保持状態として、上段および下段を有する基板載置構造に前記一対のブレード部材を進入させるブレード部材進入動作と、前記上段および前記下段の一方に載置された前記基板を前記基板非保持状態にある前記ブレード部材で受け取る基板受取り動作と、前記基板保持状態にある前記ブレード部材の前記基板を前記上段および前記下段の他方に載置する基板載置動作と、を前記ロボットアームおよび前記基板保持装置に実施させ、前記基板受取り動作により前記基板を受け取るタイミングと、前記基板載置動作により前記基板を載置するタイミングとをずらす、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記制御装置は、前記基板受取り動作において、前記ブレード部材の前記固定挟持部が前記基板載置構造に載置された前記基板の遠位側の縁部の位置を超えるまで前記ブレード部材を前進させ、しかる後に前記基板非保持状態にある前記ブレード部材を上昇させて前記基板を前記ブレード部材で受け取るように、前記ロボットアームおよび前記基板保持装置を制御する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、一対の前記可動挟持部は、互いに独立して駆動可能である、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の第4の態様は、第1乃至第3のいずれかの態様において、前記基板搬送ロボットは、さらに、前記一対のブレード部材を同時に昇降可能なサーボモータを有するZ軸昇降手段を備え、前記基板受取り動作は、前記Z軸昇降手段を用いて実施される、ことを特徴とする。
【0021】
本発明の第5の態様は、第1乃至第4のいずれかの態様において、前記基板受取り動作は、前記一対のブレード部材のうちの上側のブレード部材で実施される、ことを特徴とする。
【0022】
本発明の第6の態様は、第1乃至第5のいずれかの態様において、前記基板保持装置は、前記一対のブレード部材が上下方向に配置された第1稼働状態と、前記一対のブレード部材が上下方向から外れた位置に配置され、単一の前記ブレード部材を前記基板載置構造に進入可能とする第2稼働状態とを切り換え可能に構成されている、ことを特徴とする。
【0023】
本発明の第7の態様は、第1乃至第6のいずれかの態様において、前記制御装置は、前記基板受取り動作および前記基板載置動作に先立って、前記一対のブレード部材の両方を基板非保持状態として、前記ブレード昇降手段によって下側の前記ブレード部材を上昇させることにより、前記基板載置構造の最下段に載置された前記基板を受け取る最下段基板受取り動作を、前記ロボットアームおよび前記基板保持装置に実施させる、ことを特徴とする。
【0024】
本発明の第8の態様は、第1乃至第7のいずれかの態様において、前記一対のブレード部材の両方が、前記ブレード昇降手段によって昇降駆動される、ことを特徴とする。
【0025】
本発明の第9の態様は、第8の態様において、前記ブレード昇降手段は、前記一対のブレード部材のそれぞれを独立して昇降駆動することができる、ことを特徴とする。
【0026】
本発明の第10の態様は、第8または第9の態様において、前記ブレード昇降手段は、前記一対のブレード部材のそれぞれを昇降駆動するための一対の流体圧シリンダを有し、上側の前記ブレード部材のための前記流体圧シリンダは、そのピストンが下向きとなるように配置されており、下側の前記ブレード部材のための前記流体圧シリンダは、そのピストンが上向きとなるように配置されている、ことを特徴とする。
【0027】
本発明の第11の態様は、第1乃至第7のいずれかの態様において、前記一対のブレード部材のうちの一方のみが、前記ブレード昇降手段によって昇降駆動される、ことを特徴とする。
【0028】
本発明の第12の態様は、第11の態様において、前記ブレード昇降手段は、前記一対のブレード部材のうちの一方を昇降駆動するための流体圧シリンダを有し、前記一対のブレード部材のうちの他方は、前記流体圧シリンダのピストンが位置する側と反対側に位置している、ことを特徴とする。
【0029】
本発明の第13の態様は、第11または第12の態様において、前記ブレード昇降手段によって昇降駆動されない前記ブレード部材の先端部に設けた基板センサを有する基板検出手段をさらに備えた、ことを特徴とする。
【0030】
本発明の第14の態様は、第1乃至第13のいずれかの態様において、前記ブレード昇降手段によって昇降駆動される前記ブレード部材の先端部に設けた基板センサを有する基板検出手段をさらに備えた、ことを特徴とする。
【0031】
本発明の第15の態様は、第1乃至第14のいずれかの態様において、前記基板保持装置は、上下方向に配置された一対のハンドを有し、前記一対のハンドのそれぞれが前記ブレード部材を有し、前記一対のハンドのそれぞれは、互いに上下間隔が固定された複数の前記ブレード部材を有する、ことを特徴とする。
【0032】
本発明の第16の態様は、第1乃至第15のいずれかの態様による基板搬送ロボットと、種類の異なる複数の前記基板載置構造と、を備えた基板処理システムであって、複数の前記基板載置構造における基板載置ピッチが同一である、ことを特徴とする。
【0033】
なお、上述の基板載置構造には、上下方向に少なくとも二枚の基板を載置できる各種の構造が含まれ、例えば、FOUPなどの基板収容容器、処理装置ポートとしての基板載置棚(ウェハボード)、バッファ式アライナ、などが含まれる。ここで、バッファ式アライナとは、基板の回転機構の上方で次の基板を待機させるための基板昇降機構を備えたアライナである。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ロボットアームに装着された基板保持装置における基板の固定方式の種類にかかわらず、基板搬送時のタクトタイムを短縮することができる基板搬送ロボットおよび同ロボットを備えた基板搬送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態による基板搬送ロボットを模式的に示した斜視図。
【
図2】
図1に示した基板搬送ロボットのハンドの内部構造を説明するための模式的な断面図であって、上下ブレード部材の上下間隔を最大にした状態を示した図。
【
図3】
図1に示した基板搬送ロボットのハンドの内部構造を説明するための模式的な断面図であって、上下ブレード部材の上下間隔を最小にした状態を示した図。
【
図4】
図1に示した基板搬送ロボットの上ハンドを拡大して示した模式的な平面図。
【
図5】
図1に示した基板搬送ロボットの基板保持装置によって基板を保持した状態を説明するための模式的な平面図。
【
図6】
図1に示した基板搬送ロボットの基板保持装置が第2稼働状態にある様子を示した模式的な平面図であり、上ハンドが進入方向を向いた状態を示した図。
【
図7】
図1に示した基板搬送ロボットの基板保持装置が第2稼働状態にある様子を示した模式的な平面図であり、下ハンドが進入方向を向いた状態を示した図。
【
図8】
図1に示した基板搬送ロボットの一変形例の基板保持装置が第2稼働状態にある様子を示した模式的な平面図であり、上ハンドが進入方向を向いた状態を示した図。
【
図9】
図1に示した基板搬送ロボットの一変形例の基板保持装置が第2稼働状態にある様子を示した模式的な平面図であり、下ハンドが進入方向を向いた状態を示した図。
【
図10A】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための模式的な図。
【
図10B】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図10C】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図10D】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図10E】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図10F】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図10G】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図11A】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、未処理の基板を載置し、処理済みの基板を受け取る際の他の動作を説明するための模式的な図。
【
図11B】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、未処理の基板を載置し、処理済みの基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図11C】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、未処理の基板を載置し、処理済みの基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図11D】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、未処理の基板を載置し、処理済みの基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図11E】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、未処理の基板を載置し、処理済みの基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図11F】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、未処理の基板を載置し、処理済みの基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図11G】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、未処理の基板を載置し、処理済みの基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図11H】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、未処理の基板を載置し、処理済みの基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図12A】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際のさらに他の動作を説明するための模式的な図。
【
図12B】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際のさらに他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図12C】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際のさらに他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図12D】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際のさらに他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図12E】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際のさらに他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図13A】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、基板載置構造の最下段の基板を受け取る際の動作を説明するための模式的な図。
【
図13B】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、基板載置構造の最下段の基板を受け取る際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図13C】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、基板載置構造の最下段の基板を受け取る際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図13D】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、基板載置構造の最下段の基板を受け取る際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図14A】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、基板載置構造の最下段の基板を受け取る際の他の動作を説明するための模式的な図。
【
図14B】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、基板載置構造の最下段の基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図14C】
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、基板載置構造の最下段の基板を受け取る際の他の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図15】
図1に示した基板搬送ロボットの他の変形例の基板保持装置の構造を説明するための模式的な断面図。
【
図16】
図1に示した基板搬送ロボットの他の変形例の基板保持装置の構造を説明するための模式的な断面図。
【
図17】
図1に示した基板搬送ロボットの他の変形例の基板保持装置を説明するための模式的な断面図。
【
図18】
図1に示した基板搬送ロボットの他の変形例の基板保持装置および基板検出手段を説明するための模式的な断面図。
【
図19】
図18に示した基板搬送ロボットの基板保持装置および基板検出手段を説明するための模式的な平面図。
【
図20A】
図18および
図19に示した基板搬送ロボットを用いて単一の基板を検出する際の動作を説明するための模式的な断面図。
【
図20B】
図18および
図19に示した基板搬送ロボットを用いて単一の基板を検出する際の動作を説明するための他の模式的な断面図。
【
図21】
図1に示した基板搬送ロボットの他の変形例の基板保持装置および基板検出手段を説明するための模式的な断面図。
【
図22A】
図21に示した基板搬送ロボットを用いて複数の基板を検出する際の動作を説明するための模式的な断面図。
【
図22B】
図21に示した基板搬送ロボットを用いて複数の基板を検出する際の動作を説明するための他の模式的な断面図。
【
図23】
図1に示した基板搬送ロボットの他の変形例の基板保持装置および基板検出手段を説明するための模式的な断面図。
【
図24】
図1に示した基板搬送ロボットの他の変形例の基板保持装置を説明するための模式的な断面図。
【
図25A】
図24に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための模式的な図。
【
図25B】
図24に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図25C】
図24に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図25D】
図24に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図25E】
図24に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための他の模式的な図。
【
図26】
図1に示した基板搬送ロボットと、種類の異なる基板載置構造とを備えた基板処理システムを示した模式的な平面図。
【
図27】処理装置のステージを上下二段の基板載置構造に切り換え可能な構成の一例を、上段を下げた状態で模式的に示した図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【
図28】
図27に示した基板載置構造を、上段を上げた状態で模式的に示した図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図。
【
図29】処理装置のステージを上下二段の基板載置構造に切り換え可能な構成の他の例を、上段を上げた状態で模式的に示した斜視図。
【
図30】
図27および
図28に示した基板載置構造において、
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための図。
【
図31】
図27および
図28に示した基板載置構造において、
図1に示した基板搬送ロボットを用いて、処理済みの基板を受け取り、未処理の基板を載置する際の動作を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態による基板搬送ロボットについて、図面を参照して説明する。なお、本実施形態による基板搬送ロボットは、特に半導体製造用のウェハ(円形基板)の搬送に適したものである。
【0037】
図1に示したように、本実施形態による基板搬送ロボット1は、基台2を有する。基台2には、旋回主軸3が第1回転軸線L1に沿って昇降可能に設けられている。
【0038】
旋回主軸3の上端にはロボットアーム4の基端が接続されている。ロボットアーム4は、基端に第1回転軸線L1を有すると共に先端に第2回転軸線L2を有する第1リンク部材5と、基端に第2回転軸線L2を有すると共に先端に第3回転軸線L3を有する第2リンク部材6と、を有する。第2リンク部材6の先端には、第3回転軸線L3周りに回転可能に基板保持装置7が設けられている。
【0039】
旋回主軸3の昇降動作および回転動作は、それぞれ、基台2の内部に設けられたZ軸昇降駆動源8および旋回駆動源9により行われる。回転主軸3が第1回転軸線L1周りに回転することにより、第1リンク部材5が旋回主軸3と一体に第1回転軸線L1周りに回転する。
【0040】
第1リンク部材5に対する第2リンク部材6の回転動作は、第1リンク部材5の内部に設けられた駆動源10により行われる。第2リンク部材6に対する基板保持装置7の回転動作は、第2リンク部材6の内部に設けられた駆動源11により行われる。
【0041】
上述のZ軸昇降駆動源8は、本発明におけるZ軸昇降手段を構成しており、Z軸昇降駆動源8によってロボットアーム4を昇降させることにより、基板保持装置7を昇降させることができる。駆動源8、9、10、11は、例えばサーボモータで構成することができる。
【0042】
各駆動源8、9、10、11は、ロボットコントローラ(制御装置)12によって制御され、これにより、基板保持装置7を有するロボットアーム4の昇降動作および回転動作が制御される。
【0043】
なお、本発明による基板搬送ロボットのロボットアームおよびその駆動手段の構成は、
図1に示した上述の構成に限られるものではなく、搬送対象の基板に対して基板保持装置を位置決めできる構成であれば良い。
【0044】
図2および
図3に示したように、ロボットアーム4の先端に装着された基板保持装置7は、共通の回転軸線として第3回転軸線L3を有して上下方向に配置された上ハンド13および下ハンド14を有する。上ハンド13は、第3回転軸線L3に沿って延在する内側手首軸15を有し、下ハンド14は、内側手首軸15の外側を第3回転軸線L3に沿って延在する外側手首軸16を有する。上ハンド13および下ハンド14は、それぞれが手首軸駆動源17、18を有しており、第3回転軸線L3周りに互いに独立して回転可能である。手首軸駆動源17、18は、サーボモータで構成することができる。
【0045】
上ハンド13は、内側手首軸15の上端に接続された中空部材から成る上ハンド基部19を有し、下ハンド14は、外側手首軸16の上端に接続された中空部材から成る下ハンド基部20を有する。上ハンド基部19の内部には、そのピストン21Aを下向きとして上側昇降エアシリンダ21が設けられており、下ハンド基部20の内部には、そのピストン22Aを下向きとして下側昇降エアシリンダ22が設けられている。
【0046】
上側昇降エアシリンダ21のピストン21Aの先端には、上側昇降部材23が接続されており、下側昇降エアシリンダ22のピストン22Aの先端には、下側昇降部材24が接続されている。上側昇降部材23には、基板Sを保持する上ブレード部材25の基端部が接続されており、下側昇降部材24には、基板Sを保持する下ブレード部材26の基端部が接続されている。上側昇降エアシリンダ21、下側昇降エアシリンダ22、上側昇降部材23、および下側昇降部材24は、本発明におけるブレード昇降手段を構成している。
【0047】
上側昇降エアシリンダ21および下側昇降エアシリンダ22は、ロボットコントローラ12によって、互いに独立に駆動可能である。このため、上ブレード部材25と下ブレード部材26との上下方向の配置に関し、4つの状態を適宜切り換えることができる。すなわち、上ブレード部材25が下位置にあり、下ブレード部材26が上位置にある第1配置状態(最小ピッチ)、上ブレード部材25が上位置にあり、下ブレード部材26が下位置にある第2配置状態(最大ピッチ)、上ブレード部材25が下位置にあり、下ブレード部材26が下位置にある第3配置状態(下側中間ピッチ)、および上ブレード部材25が上位置にあり、下ブレード部材26が上位置にある第4配置状態(上側中間ピッチ)の4つの状態を適宜切り換えることができる。
【0048】
上記の通り、上側昇降エアシリンダ21のピストン21Aを下向きとし、下側昇降エアシリンダ22のピストン22Aを上向きとしたので、長尺のエアシリンダを使用した場合でも、
図3に示したように、上ブレード部材25と下ブレード部材26との上下方向の最小間隔(最小ピッチ)を小さくすることができる。
【0049】
図4および
図5に示したように、上ブレード部材25および下ブレード部材26のそれぞれの先端部には、基板Sの縁部に当接される一対の固定挟持部27が設けられている。上ブレード部材25および下ブレード部材26のそれぞれの基端部の上面には、基板Sの底面を支持する一対の底面支持部28が設けられている。
【0050】
図2および
図3に示したように、上側昇降部材23の上面には、そのピストン29Aを前向きとして上側押圧エアシリンダ29が設けられており、下側昇降部材24の下面には、そのピストン30Aを前向きとして下側押圧エアシリンダ30が設けられている。
【0051】
上側押圧エアシリンダ29のピストン29Aの先端には、基板Sを押圧して固定挟持部27と共に基板Sを挟持するための可動挟持部31が設けられている。同様に、下側押圧エアシリンダ30のピストン30Aの先端には、基板Sを押圧して固定挟持部27と共に基板Sを挟持するための可動挟持部31が設けられている。
【0052】
上側押圧エアシリンダ29および下側押圧エアシリンダ30は、ロボットコントローラ12によって、互いに独立に駆動可能である。従って、上ハンド13の可動挟持部31および下ハンド14の可動挟持部31は、互いに独立して駆動可能である。
【0053】
また、上側押圧エアシリンダ29および下側押圧エアシリンダ30は、それぞれ、上側昇降部材23および下側昇降部材24に設けられており、上ブレード部材25および下ブレード部材26も、それぞれ、上側昇降部材23および下側昇降部材24に設けられているので、各ブレード部材25、26の昇降動作に連動して各可動挟持部31が昇降する。
【0054】
基板保持装置7は、上ブレード部材25および下ブレード部材26が上下方向に配置された第1稼働状態と、上ブレード部材25および下ブレード部材26が上下方向からはずれた位置に配置され、上ブレード部材25および下ブレード部材26のいずれか一方のみをFOUPなどの基板載置構造に進入可能とする第2稼働状態とを切り換え可能に構成されている。
【0055】
第2稼働状態においは、
図6に示したように、上ハンド13を稼働位置としたままで下ハンド14を非稼働位置まで退避させ、或いは、
図7に示したように、下ハンド14を稼働位置としたままで上ハンド13を非稼働位置まで退避させることができる。ここで「稼働位置」とは、ハンドをFOUPなどの基板載置構造に進入可能な位置であり、「非稼働位置」とは、稼働位置にある一方のハンドによる基板搬送動作の邪魔にならないように他方のハンドを退避させた位置である。
【0056】
なお、変形例としては、
図8および
図9に示したように、上ハンド13および下ハンド14の一方を、他方に対して後方に移動させて非稼働位置に配置するようにしても良い。
【0057】
図6および
図7に示した回転退避型においても、
図8および
図9に示した直動退避型においても、稼働位置にあるハンドの第3回転軸線L3の位置が変化しないので、アームの実効長が変化しない。このため、上ハンド13および下ハンド14の稼働位置/非稼働位置の切り換えに際して、自重によるロボットアーム4の垂れに差が生じないという利点がある。この、自重によるロボットアーム4の垂れの差は、特にダブルアームタイプの場合に問題となる。
【0058】
次に、上述したロボットコントローラ12によってロボットアーム4および基板保持装置7を駆動して、基板載置構造の上段から処理済み基板を受け取り、基板載置構造の下段に未処理基板を載置する際の動作について、
図10A乃至
図10Gを参照して説明する。
【0059】
なお、
図10A乃至
図10Gに示した基板載置構造100は、例えばバッファ式アライナであり、基板載置構造100の下段がアライナの回転機構を構成し、基板載置構造100の上段が、回転機構の上方で次の基板を待機させる基板昇降機構を構成する。
【0060】
まず、
図10Aに示したように、上ブレード部材25を基板非保持状態とし、下ブレード部材26を基板保持状態とする。
【0061】
次に、ロボットアーム4を駆動して、
図10Bに示したように、基板載置構造100の上段と下段との間に、上ブレード部材25および下ブレード部材26を進入させる(ブレード部材進入動作)。このとき、上ブレード部材25の固定挟持部27が基板載置構造100の上段に載置された基板Sの遠位側の縁部の位置を僅かに超えるまで、上ブレード部材25および下ブレード部材26を前進させる。
【0062】
次に、上ハンド13の可動挟持部31を非挟持位置まで後退させた状態で、
図10Cに示したように、上側昇降エアシリンダ21を駆動して上ブレード部材25を上昇させ、上ブレード部材25で基板Sを受け取る(基板受取り動作)。このとき、上ブレード部材25の固定挟持部27は、基板載置構造100の上段に載置された基板Sの遠位側の縁部を僅かに超えた位置に配置されているので、固定挟持部27を構成する突状部分の上に基板Sが乗り上げることがない。
【0063】
次に、上側押圧エアシリンダ29を駆動して上ハンド13の可動挟持部31を前進させ、
図10Dに示したように上ハンド13の可動挟持部31と固定挟持部27とで基板Sを挟持して保持する。これにより、上ハンド13による基板Sの保持動作が完了する。
【0064】
そして、上述した基板受取り動作と一緒に、或いは基板受取り動作の完了後に、ロボットアーム4を駆動して上ハンド13および下ハンド14を僅かに後退させ、
図10Dに示したように、下ブレード部材26で保持した基板Sを、基板載置構造100の下段の載置位置の上方に配置する。
【0065】
次に、
図10Eに示したように、下側押圧エアシリンダ30を駆動して、下ハンド14の可動挟持部31を非挟持位置まで後退させる。次に、下側昇降エアシリンダ22を駆動して、
図10Fに示したように下ブレード部材26を下降させ、基板載置構造100の下段に基板Sを載置する。これにより、下ハンド14による基板載置動作が完了する。
【0066】
次に、ロボットアーム4を駆動して、
図10Gに示したように上ブレード部材25および下ブレード部材26を後退させ、他の基板載置構造に処理済み基板Sを搬送する。
【0067】
以上、
図10A乃至
図10Gを用いて説明したように、本実施形態による基板搬送ロボット1を用いて処理済み基板Sの受取りと未処理基板Sの載置を実施する際には、基板受取り動作により処理済み基板Sを受け取るタイミングと、基板載置動作により未処理基板Sを載置するタイミングとをずらしている。これにより、基板受取り動作において、固定挟持部27を構成する突状部分の上に基板Sが乗り上げないように、上ブレード部材25を僅かに前方(遠位方向)に行き過ぎた位置に配置することが可能となる。
【0068】
また、処理済み基板Sが洗浄済み基板である場合には、処理済み基板Sを常に上ブレード部材25で保持するようにすることで、半導体製造エリアにおける清浄度を確保するためのダウンフローによる基板Sへのパーティクルの付着を防止することができる。
【0069】
次に、上述したロボットコントローラ12によってロボットアーム4および基板保持装置7を駆動して、基板載置構造100の下段に未処理基板Sを載置し、基板載置構造100の上段から処理済み基板Sを受け取る際の他の動作について、
図11A乃至
図11Hを参照して説明する。
【0070】
まず、
図11Aに示したように、上ブレード部材を基板非保持状態とし、下ブレード部材を基板保持状態とする。
【0071】
次に、ロボットアーム4を駆動して、
図11Bに示したように、基板載置構造100の上段と下段との間に、上ブレード部材25および下ブレード部材26を進入させる(ブレード部材進入動作)。このとき、下ブレード部材26で保持された基板Sが基板載置構造100の下段の基板載置位置に対応する位置に配置されるように、下ブレード部材26および上ブレード部材25を前進させる。
【0072】
次に、
図11Cに示したように、下側押圧エアシリンダ30を駆動して下ハンド14の可動挟持部31を非挟持位置まで後退させる。次に、下側昇降エアシリンダ22を駆動して、
図11Dに示したように下ブレード部材26を下降させ、基板載置構造100の下段に基板Sを載置する。これにより、下ハンド14による基板載置動作が完了する。
【0073】
次に、ロボットアーム4を駆動して、
図11Eに示したように、上ブレード部材25の固定挟持部27が、基板載置構造100の上段に載置された基板Sの遠位側の縁部の位置を僅かに超えるまで、上ブレード部材25および下ブレード部材26を前進させる。
【0074】
次に、上ハンド13の可動挟持部31を非挟持位置まで後退させた状態で、
図11Fに示したように、上側昇降エアシリンダ21を駆動して上ブレード部材25を上昇させ、上ブレード部材25で基板Sを受け取る。このとき、上ブレード部材25の固定挟持部27は、基板載置構造100の上段に載置された基板Sの遠位側の縁部を僅かに超えた位置に配置されているので、固定挟持部27を構成する突状部分の上に基板Sが乗り上げることがない。
【0075】
次に、上側押圧エアシリンダ29を駆動して上ハンド13の可動挟持部31を前進させ、
図11Gに示したように上ハンド13の可動挟持部31と固定挟持部27とで基板Sを挟持して保持する。これにより、上ハンド13による基板Sの保持動作が完了する。
【0076】
次に、ロボットアーム4を駆動して、
図11Hに示したように、上ブレード部材25および下ブレード部材26を後退させ、他の基板載置構造に処理済み基板Sを搬送する。
【0077】
以上、
図11A乃至
図11Hを用いて説明したように、本実施形態による基板搬送ロボット1を用いて未処理基板Sの受渡しと処理済み基板Sの載置を実施する際には、基板載置動作により未処理基板Sを載置するタイミングと、基板受取り動作により処理済み基板Sを受け取るタイミングとをずらしている。これにより、基板受取り動作において、固定挟持部27を構成する突状部分の上に基板Sが乗り上げないように、上ブレード部材25を僅かに前方(遠位方向)に行き過ぎた位置に配置することが可能となる。
【0078】
また、処理済み基板Sが洗浄済み基板である場合には、処理済み基板Sを常に上ブレード部材25で保持するようにすることで、半導体製造エリアにおける清浄度を確保するためのダウンフローによる基板Sへのパーティクルの付着を防止することができる。
【0079】
次に、上述したロボットコントローラ12によってロボットアーム4、基板保持装置7、およびZ軸昇降駆動源8を駆動して、基板載置構造100の上段から処理済み基板Sを受け取り、基板載置構造100の下段に未処理基板Sを載置する際の他の動作について、
図12A乃至
図12Eを参照して説明する。
【0080】
まず、
図12Aに示したように、上ブレード部材25を基板非保持状態とし、下ブレード部材26を基板保持状態として、基板載置構造100の上段と下段との間に、上ブレード部材25および下ブレード部材26を進入させる(ブレード部材進入動作)。このとき、上ブレード部材25の固定挟持部27が、基板載置構造100の上段に載置された基板Sの遠位側の縁部の位置を僅かに超えるまで、上ブレード部材25および下ブレード部材26を前進させる。
【0081】
次に、上ハンド13の可動挟持部31を非挟持位置まで後退させた状態で、
図12Bに示したように、サーボモータを有するZ軸昇降駆動源8を駆動して、上ハンド13および下ハンド14を上昇させ、上ブレード部材25で基板Sを受け取る(基板受取り動作)。このとき、上ブレード部材25の固定挟持部27は、基板載置構造199の上段に載置された基板Sの遠位側の縁部を僅かに超えた位置に配置されているので、固定挟持部27を構成する突状部分の上に基板Sが乗り上げることがない。
【0082】
この基板受取り動作においては、Z軸昇降駆動源8による上ハンド13および下ハンド14の上昇動作に合せて、下側昇降エアシリンダ22を駆動して、下ブレード部材26を下降させる。これにより、下ブレード部材26で保持した未処理基板Sが、基板載置構造100の下段に接触しないようにする。
【0083】
次に、上側押圧エアシリンダ29を駆動して上ハンド13の可動挟持部31を前進させ、
図12Cに示したように上ハンド13の可動挟持部31と固定挟持部27とで基板Sを挟持して保持する。これにより、上ハンド13による基板Sの保持動作が完了する。
【0084】
上述した基板受取り動作と一緒に、或いは基板受取り動作の完了後に、ロボットアーム4を駆動して上ハンド13および下ハンド14を僅かに後退させ、
図12Cに示したように、下ハンド14で保持した基板Sを、基板載置構造100の下段の載置位置の上方に配置する。
【0085】
次に、
図12Dに示したように、下側押圧エアシリンダ30を駆動して、下ハンド14の可動挟持部31を非挟持位置まで後退させる。次に、Z軸昇降駆動源8を駆動して、
図12Eに示したように上ハンド13および下ハンド14を下降させ、下ブレード部材26上の未処理基板Sを基板載置構造100の下段に載置する。これにより、下ハンド14による基板載置動作が完了する。
【0086】
この基板載置動作においては、Z軸昇降駆動源8による上ハンド13および下ハンド14の下降動作に合せて、上側昇降エアシリンダ21を駆動して、上ブレード部材25を上昇させる。これにより、上ブレード部材25で保持した処理済み基板Sが、基板載置構造100の上段に接触しないようにする。
【0087】
以上、
図12A乃至
図12Eを用いて説明したように、本実施形態による基板搬送ロボット1を用いて処理済み基板Sの受取りと未処理基板Sの載置を実施する際には、サーボモータを有するZ軸昇降駆動源8を用いて基板受取り動作を実施するようにしたので、基板受取り時の処理済み基板Sへの衝撃を最小化しつつ基板受取り動作を実施することができる。このため、例えばアライナによるアライメント処理を施した処理済み基板Sの、基板受取り時の位置ずれを確実に防止しつつ、処理済み基板Sを保持することができる。
【0088】
また、基板受取り動作および基板載置動作にサーボモータを有するZ軸昇降駆動源8を用いるので、基板載置構造100毎にその基板載置ピッチが異なる場合でも、より柔軟に対応することができる。
【0089】
なお、本実施形態による基板搬送ロボット1においては、上述したように上ブレード部材25および下ブレード部材26の上下方向の配置状態について、最大ピッチ、最小ピッチ、下側中間ピッチ、および上側中間ピッチの4つを適宜切り換えることができるので、基板受取り動作および/または基板載置動作にZ軸昇降駆動源8を用いない場合でも、基板載置ピッチの異なる複数種類の基板載置構造100に柔軟に対応することができる。
【0090】
また、処理済み基板Sが洗浄済み基板である場合には、処理済み基板Sを常に上ブレード部材25で保持するようにすることで、半導体製造エリアにおける清浄度を確保するためのダウンフローによる基板Sへのパーティクルの付着を防止することができる。
【0091】
次に、
図13A乃至
図13Dを参照して、本実施形態による基板搬送ロボット1を用いて上述した基板受取り動作および基板載置動作を行う際の前工程について説明する。この前工程は、特にFOUPのように多数の基板Sを収容した基板載置構造100からの基板Sの搬入および搬出の際に有効である。
【0092】
上述した基板受取り動作および基板載置動作に先立って、
図13Aに示したように上ハンド13を非稼働位置とした状態で、
図13Bに示したように、ロボットアーム4を駆動して下ブレード部材26を、基板載置構造100の最下段の基板Sの下方に進入させる。
【0093】
次に、
図13Cに示したように、Z軸昇降駆動源8を駆動して上ハンド13および下ハンド14を上昇させ、下ブレード部材26で最下段の基板Sを受け取る(最下段基板受取り動作)。次に、ロボットアーム4を駆動して、
図13Dに示したように上ブレード部材25および下ブレード部材26を後退させ、基板載置構造100から最下段の基板Sを搬出する。
【0094】
これにより基板載置構造100の最下段が空になるので、上述した基板受取り動作および基板載置動作によって、基板載置構造100に収容された未処理基板Sの搬出と、処理済み基板Sの基板載置構造100への搬入とを、順次実施することが可能となる。
【0095】
なお、上ブレード部材25および下ブレード部材26を基板載置構造100に進入させる際に、下ブレード部材26に保持された処理済み基板SがFOUP等の基板載置構造100の背面壁に接触する可能性がある場合には、下ハンド14の可動挟持部31を予め非挟持位置まで後退させておくようにする。
【0096】
次に、
図14A乃至
図14Cを参照して、本実施形態による基板搬送ロボット1を用いて上述した基板受取り動作および基板載置動作を行う際の前工程の他の例について説明する。
【0097】
上述した基板受取り動作および基板載置動作に先立って、
図14Aに示したように、上ブレード部材25および下ブレード部材26の両方を基板非保持状態として、ロボットアーム4を駆動して、上ブレード部材25と下ブレード部材26と間に基板載置構造100の最下段の基板Sが位置するように、上ブレード部材25および下ブレード部材26を前進させる。
【0098】
次に、下側昇降エアシリンダ22を駆動して下ブレード部材26を上昇させることにより、基板載置構造100の最下段に載置された基板Sを下ブレード部材26で受け取る(最下段基板受取り動作)。次に、ロボットアーム4を駆動して、
図14Cに示したように上ブレード部材25および下ブレード部材26を後退させ、基板載置構造100から基板Sを搬出する。
【0099】
これにより基板載置構造100の最下段が空になるので、上述した基板受取り動作および基板載置動作によって、基板載置構造100に収容された未処理基板Sの搬出と、処理済み基板Sの基板載置構造への搬入とを、順次実施することが可能となる。
【0100】
次に、上述した基板搬送ロボット1の一変形例について、
図15を参照して説明する。
【0101】
本変形例による基板搬送ロボットは、
図15に示したように単一のハンド32を有し、単一のハンド32が上ブレード部材25および下ブレード部材26の両方を備えている。
【0102】
単一のハンド32のハンド基部33の内部には、単一の昇降エアシリンダ34が設けられている。単一の昇降エアシリンダ34のピストン34Aは下向きに配置されており、その下端に下側昇降部材24が接続されている。一方、上ブレード部材25はハンド基部32に固定されている。すなわち、本変形例においては、下ブレード部材26のみがハンド基部33に昇降可能に装着されている。
【0103】
上ブレード部材25は、昇降エアシリンダ34のピストン34Aが位置する側と反対側に位置している。これにより、長尺のエアシリンダを使用した場合でも、ハンド基部33の厚みの増大を抑制することができる。
【0104】
図16は、
図15に示した変形例とは逆に、上ブレード部材25を可動とし、下ブレード部材26を固定とした例を示している。単一のエアシリンダ34のピストン34Aは上向きに配置されている。この例においても、長尺のエアシリンダを使用した場合でも、ハンド基部33の厚みの増大を抑制することができる。
【0105】
図15および
図16に示した各例による基板搬送ロボットにおいても、Z軸昇降駆動源8を用いることにより、上述した基板受取り動作および基板載置動作を実施することができる。
【0106】
次に、上述した基板搬送ロボット1の他の変形例について、
図17を参照して説明する。
【0107】
本変形例による基板搬送ロボットにおいては、上ハンド13は
図1に示した基板搬送ロボット1の場合と同様である。一方、下ハンド14については、下側昇降エアシリンダ22が設けられておらず、下ブレード部材26がハンド基部20に固定されている。
【0108】
本変形例による基板搬送ロボットにおいても、Z軸昇降駆動源8を用いることにより、上述した基板受取り動作および基板載置動作を実施することができる。
【0109】
次に、上述した基板搬送ロボットの他の変形例について、
図18乃至
図20Bを参照して説明する。
【0110】
本変形例による基板搬送ロボットは、
図17に示した基板搬送ロボットにおいて、上ハンド13に基板検出手段35を設けたものである。基板検出手段35は、可動の上ブレード部材25の先端部に設けた基板センサ36と、この基板センサ36に接続されたセンサアンプ37とを有する。基板センサ36は、例えば透過型の光センサまたは反射型の光センサにより構成することができる。
【0111】
本変形例による基板搬送ロボットによれば、
図20Aおよび
図20Bに示したように、上側昇降エアシリンダ21を駆動して上ブレード部材26を上下方向に移動させることにより、単一の基板Sの近位側の縁部を基板センサ36によって検出することができる。そのため、例えばロボットアーム4を狭い開口部101に挿入した状態において、ロボットアーム4自体の昇降動作ができない場合であっても、上ブレード部材25の昇降動作によって単一の基板Sの有無を検出することができる。
【0112】
図21は、
図18に示した例とは逆に、固定の下ブレード部材26を有する下ハンド14に基板検出手段35を設けた例を示している。この例においては、
図22Aおよび
図22Bに示したように、Z軸昇降駆動源8によって下ブレード部材26を昇降させることにより、基板載置構造100に載置された複数の基板Sの有無を検出することができる(マッピング可能)。
【0113】
固定の下ブレード部材26に基板センサ36を設けることにより、基板センサ36とセンサアンプ37との間の光ファイバの取り回しを容易化できると共に、光量(検出精度)の安定化を図ることができる。
【0114】
図23は、上ハンド13および下ハンド14の両方に基板検出手段35を設けた例を示している。この例においては、
図18に示した例における単一基板Sの検出と、
図21に示した例における複数基板の検出Sの両方を実施することができる。
【0115】
なお、
図18に示した例においても、Z軸昇降駆動源8を駆動することにより、可動の上ブレード部材25に設けた基板センサ36を用いて複数の基板Sを検出することができる。
【0116】
次に、上述した実施形態の他の変形例による基板搬送ロボットについて、
図24乃至
図25Eを参照して説明する。
【0117】
本例による基板搬送ロボットにおいては、上ハンド13の上側昇降部材23に、互いに上下間隔が固定された複数(本例では3つ)の上ブレード部材25が接続されている。同様に、下ハンド14の下側昇降部材24にも、互いに上下間隔が固定された複数(本例では3つ)の下ブレード部材26が接続されている。
【0118】
本例による基板搬送ロボットを用いて、処理済み基板Sを基板載置構造100に搬入し、未処理基板Sを基板載置構造100から搬出する際には、まず、
図25Aに示したように複数の下ブレード部材26で複数の処理済み基板Sを保持した状態で、ロボットアーム4を駆動して、
図25Bに示したように複数の下ブレード部材26および複数の上ブレード部材25を前進させて基板載置構造100内に進入させる。
【0119】
次に、
図25Cに示したように、上側昇降エアシリンダ21を駆動して複数の上ブレード部材25を上昇させ、複数の上ブレード部材25で複数の未処理基板Sを保持する。続いて、
図25Dに示したように、下側昇降エアシリンダ22を駆動して複数の下ブレード部材26を下降させ、複数の下ブレード部材26で複数の処理済み基板Sを基板載置構造100に載置する。次に、
図25Eに示したように、ロボットアーム4を駆動して、複数の上ブレード部材25および複数の下ブレード部材26を後退させ、基板載置構造100から複数の未処理基板Sを搬出する。
【0120】
本例においては、複数の処理済み基板Sを基板載置構造100に同時に搬入し、複数の未処理基板Sを基板載置構造100から同時に搬出することができるので、基板搬送時のタクトタイムをさらに短縮することができる。
【0121】
なお、通常は上ブレード部材25の設置数と下ブレード部材26の設置数を同一とすることが望ましいが、使用目的に応じて、両者の設置数を異ならせても良い。
【0122】
次に、上述した実施形態または各変形例による基板搬送ロボット1と、種類の異なる複数の基板載置構造100とを備えた基板処理システムについて、
図26を参照して説明する。
【0123】
この基板処理システム50は、基板載置構造100として、FOUP100A、アライナ100B、および処理装置ポート100Cを備えている。そして、本実施形態においては、これらの基板載置構造100における基板載置ピッチが、同一に設定されている。ここで、アライナ100Bは、基板(ウェハ)Sを回転させる載置部の他に、基板Sを仮置きする載置部を有している(図示しない)。
【0124】
このように本実施形態においては、複数種類の基板載置構造100において、それらの基板載置ピッチを同一に設定したので、上ブレード部材25および下ブレード部材26の上下方向の相対移動距離を最小化することができる。
【0125】
なお、上述した実施形態及び各変形例においては、基板載置構造100の上段から処理済み基板Sを受け取り、基板載置構造100の下段に未処理基板Sを置く場合について説明したが、これとは逆に、基板載置構造100の下段から処理済み基板を受け取り、基板載置構造100の上段に未処理基板を置くようにしても良い。
【0126】
この場合には、上ブレード部材25と下ブレード部材26との上下間隔を最大(全ピッチ)として、基板保持状態にある上ブレード部材25を基板載置構造100の上段の上方に進入させ、基板非保持状態にある下ブレード部材26を基板載置構造100の下段の下方に進入させる。そして、上ブレード部材25の下降動作によって基板載置構造100の上段に基板Sを置き、下ブレード部材26の上昇動作によって基板載置構造100の下段から基板Sを受け取る。
【0127】
また、第1の基板載置構造100から受け取った処理済み基板Sを第2の基板載置構造100に載置する際には、第1の基板載置構造100における基板受取り動作・基板載置動作とは逆の動作によって、第2の基板載置構造100に処理済み基板Sを載置し、新たな未処理基板Sを受け取るようにしても良い。
【0128】
例えば、第1の基板載置構造100において、上ブレード部材25および下ブレード部材26の上下間隔を拡大することにより基板受取り動作・基板載置動作を実施する場合には、第2の基板載置構造100においては、上ブレード部材25および下ブレード部材26の上下間隔を縮小することにより基板受取り動作・基板載置動作を実施しても良い。
【0129】
図27(a)、(b)および
図28(a)、(b)は、処理装置のステージ40を上下二段の基板載置構造100に切り換え可能な構成の一例を示している。ステージとしては、レジスト塗布工程における回転台や熱処理工程におけるホットプレートが考えられるがこれに限らず、上下二段となっていない基板載置構造に広く適用することができる。
【0130】
この基板載置構造100は、下段を構成する3本の下段可動ピン38と、上段を構成する3本の上段可動ピン39とを有する。上段可動ピン39は、
図27(a)、(b)に示したように、ステージ40の基板載置面と同じ高さ、またはそれよりも下方に退避させた状態と、
図28(a)、(b)に示したように上方に持ち上げた状態とを切り換えることができる。下段可動ピン38も、ステージ40の基板載置面と同じ高さ、またはそれよりも下方に退避させることができる。
【0131】
下段可動ピン38および上段可動ピン39を持ち上げた状態においては、
図28(b)に示したように、下段可動ピン38および上段可動ピン39のそれぞれに基板Sを載置することができる。
【0132】
また、上段可動ピン39は、その長手軸線周りに回転させて、ピン上端に設けた基板支持片を半径方向内向きと半径方向外向きとで切り換えることができる。これにより、
図28(a)の状態から、上段可動ピン39の上端に設けた基板支持片を、ステージ40上または下段可動ピン38上に載置された基板Sを回避させながら、
図27(a)に示した退避位置まで下げることができる。逆に、上段可動ピン39の上端に設けた基板支持片を、
図27(a)に示した退避位置から、下段可動ピン38上に載置された基板Sを回避させながら、
図28(a)の状態に持ち上げることができる。
【0133】
図29は、処理装置のステージ40を上下二段の基板載置構造100に切り換え可能な構成の他の例を示している。この例においては、3本の下段可動ピン38と3本の上段可動ピン39とが同一円周上に配置されている。本例においても、上段可動ピン39を昇降および回転駆動することにより、
図27(a)、(b)および
図28(a)、(b)に示した例と同様の機能を達成することができる。
【0134】
また、
図27(a)、(b)および
図28(a)、(b)に示した例、および
図29に示した例においては、可動ピンの回転動作に代えて、半径方向への前後動作を用いて基板を回避するようにしても良い。
【0135】
図30は、
図27および
図28に示した基板載置構造100において、
図1に示した基板搬送ロボット1を用いて、処理済みの基板Sを受け取り、未処理の基板Sを載置する際の動作を示している。
【0136】
図31は、
図27および
図28に示した基板載置構造100において、
図1に示した基板搬送ロボット1を用いて、処理済みの基板Sを受け取り、未処理の基板Sを載置する際の他の動作を示している。
【0137】
図30および
図31に示したように、処理済みの基板Sを上段可動ピン39または下段可動ピン38で持ち上げて上下二段とすることにより、基板搬送ロボット1を用いて処理済み基板Sと未処理基板Sとを迅速に入れ替えることができる。
【0138】
なお、一方のブレード部材をエアシリンダ等で上下に駆動し、他方のブレード部材をZ軸用モータで駆動する場合に、 エアシリンダの動作速度を検出し、その動作速度に基づいてZ軸用モータの駆動速度を調整してもよい。この際、エアシリンダの動作速度が所定値より高い/低い場合に、何らかのアラームを発するようにしてもよい。